説明

網膜走査型画像表示装置

【課題】消費電力の大幅な増加や装置の大型化を招くことなく、入力光について外部変調による高速変調を実現することができる網膜走査型画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像情報に応じた駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号に応じた強度のレーザ光を出射する光源部110と、光源部110から出射されたレーザ光を2次元方向に走査する走査部と、この走査部によって走査されたレーザ光を観察者の眼の網膜へ投射して、画像を投影する投射部とを備え、光源部110は、光源120と、光源120から出射したレーザ光の強度を前記駆動信号に基づいて変調する磁気光学変調器140とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微弱な光を高速で走査しながら網膜に照射することで、網膜上に走査された光の残像を映像として認識させる網膜走査型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば画像表示装置等においては、光源として半導体励起固体レーザ(DPSSレーザ)等が用いられる。かかる半導体励起固体レーザは、その応答速度が遅いことから、高速変調に制限がある。このため、従来、入力光に対して外部から間接的に変調を加える外部変調器を用いる技術がある。
【0003】
こうした外部変調器には、音響光学効果を利用したものがある。音響光学効果を用いた外部変調器においては、ガラス等からなる音響光学媒体と圧電素子とによって構成される音響光学素子が備えられる。かかる外部変調器では、圧電素子に電気信号が加えられることで超音波が音響光学媒体中を伝播し、これにより、音響光学媒体中を通過する光が回折させられる。
【0004】
このような外部変調器によって変調される光を発する光源を備える画像表示装置の一例として、網膜走査型画像表示装置がある(例えば、特許文献1参照)。網膜走査型画像表示装置は、微弱な光を高速で走査しながら観察者の網膜に照射することで、網膜上に走査された光の残像を映像として観察者に認識させる画像表示装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−089931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
音響光学効果を利用した外部変調器においては、光の回折に超音波が用いられることから、超音波の伝播速度の遅れを無視できる程度の高速変調を行うためには、光を集光して小さく絞って入射させる必要がある。このため、音響光学効果を利用した外部変調器においては、光学系が複雑になり、アライメントが難く、変調器の小型化を図ることが困難である。また、音響光学効果を得るための音響光学素子については、消費電力が比較的大きいという問題がある。
【0007】
一方で、網膜走査型画像表示装置については、観察者の頭部に装着されて用いられたり、持ち運びが行われたりすることから、低消費電力化及び小型化の要請がある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、消費電力の大幅な増加や装置の大型化を招くことなく、入力光について外部変調による高速変調を実現することができる網膜走査型画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の網膜走査型画像表示装置は、画像情報に応じた駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号に応じた強度の光束を出射する光源部と、前記光源部から出射された光束を2次元方向に走査する走査部と、前記走査部によって走査された光束を観察者の眼の網膜へ投射して、画像を投影する投射部とを備え、前記光源部は、光源と、前記光源から出射した光束の強度を前記駆動信号に基づいて変調する磁気光学変調器とを有するものである。
【0010】
また、請求項2に記載の網膜走査型画像表示装置は、請求項1に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記磁気光学変調器は、それぞれ独立して透過率を制御可能な複数のセル部を、前記光束の入射方向に対して略直交する平面に2次元配列させており、前記駆動信号に基づいて前記セル部毎に制御信号を入力して各前記セル部に入射した光の透過率を制御し、前記光源から出射した光束の強度を変調する制御部を備えたものである。
【0011】
また、請求項3に記載の網膜走査型画像表示装置は、請求項2に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記制御部は、前記セル部毎に入力する制御信号によって、各前記セル部に入射した光を透過させるかまたは遮断するかを制御するものである。
【0012】
また、請求項4に記載の網膜走査型画像表示装置は、請求項2または請求項3に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記制御部は、前記複数のセル部のうち光を透過させるセル部を隣接させて一つのまとまった透過領域となるように、前記制御信号を制御するものである。
【0013】
また、請求項5に記載の網膜走査型画像表示装置は、請求項4に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記制御部は、前記透過領域の中心が前記光束の光軸位置と略一致するように前記制御信号を制御するものである。
【0014】
また、請求項6に記載の網膜走査型画像表示装置は、請求項2〜5のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記光源部は、前記光源から出射された光束の少なくとも一部が、前記磁気光学変調器の入射口全てに入射するように構成されたものである。
【0015】
また、請求項7に記載の網膜走査型画像表示装置は、請求項2〜6のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記光源は、赤色光束を出射する赤色レーザと、緑色光束を出射する緑色レーザと、青色光束を出射する青色レーザとを有しており、前記赤色光束、前記緑色光束及び前記青色光束を時分割で順次出射し、前記制御部は、前記赤色光束、前記緑色光束及び前記青色光束のそれぞれの強度を順次変調するものである。
【0016】
また、請求項8に記載の網膜走査型画像表示装置は、請求項2〜6のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記光源は、赤色光束を出射する赤色レーザと、緑色光束を出射する緑色レーザと、青色光束を出射する青色レーザとを有しており、前記磁気光学変調器は、前記赤色レーザ、前記緑色レーザ及び前記青色レーザのそれぞれに設けられているものである。
【0017】
また、請求項9に記載の網膜走査型画像表示装置は、請求項2〜6のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記光源は、赤色光束を出射する半導体レーザと、緑色光束を出射する固体レーザと、青色光束を出射する半導体レーザとを有しており、前記駆動信号生成部は、前記半導体レーザ及び前記磁気光学変調器のそれぞれに対して、前記画像情報に応じた駆動信号を出力して、各前記半導体レーザから前記駆動信号に応じて強度変調した光束を出射させ、かつ、前記固体レーザから出射した光束の強度を前記磁気光学変調器により前記駆動信号に応じて変調させるものである。
【0018】
また、請求項10に記載の網膜走査型画像表示装置は、請求項2〜9のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記セル部は、16×16のマトリクス状に形成されており、前記制御部は、前記セル部を制御して、前記光束の強度を256階調に制御するものである。
【0019】
また、請求項11に記載の網膜走査型画像表示装置は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記磁気光学変調器は、前記光源から出射される光束の光路上に、第1の直線偏光板と、前記第1の直線偏光板の偏光特性に対して直交する偏光特性を有する第2の直線偏光板と、前記第1の直線偏光板と前記第2の直線偏光板との間に挟まれた磁気光学素子とを配置したものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の網膜走査型画像表示装置によれば、消費電力の大幅な増加や装置の大型化を招くことなく、入力光について外部変調による高速変調を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る網膜走査型画像表示装置の外観を示す図である。
【図2】同じく網膜走査型画像表示装置の電気的構成及び光学的構成を示す図である。
【図3】光源部の構成を示す図である。
【図4】磁気光学変調器の平面図である。
【図5】磁気光学変調器の側面図である。
【図6】磁気光学変調器において磁気光学効果が得られる場合の偏光の一例を示す説明図である。
【図7】磁気光学変調器において磁気光学効果が得られない場合の偏光の一例を示す説明図である。
【図8】磁気光学変調器の他の構成例を示す平面図である。
【図9】磁気光学変調器の他の構成例を示す側面図である。
【図10】16×16のマトリクス状に形成されるセル部群を示す図である。
【図11】光束の強度変化にともなうセル部群のON/OFFパターンの一例を示す図である。
【図12】光束の強度変化にともなうセル部群のON/OFFパターンの一例を示す図である。
【図13】光源部の他の構成を示す図である。
【図14】光源部の他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、網膜走査型画像表示装置は比較的わずかな光量で明るい画像が表示できることに着目し、網膜走査型画像表示装置において、外部変調器として磁気光学素子を備える構成を採用するものである。以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
[網膜走査型画像表示装置の構成]
まず、本発明の一実施形態に係る網膜走査型画像表示装置(以下、「RSD」という)の構成について、図1,図2を参照して具体的に説明する。
【0024】
[RSD1の外観]
図1に示すように、本実施形態に係るRSD1は、投影対象を観察者(RSD1を装着した状態のユーザ)の眼の網膜とし、走査したレーザ光を瞳孔から入射させて網膜上に投影することにより、観察者に画像を視認させる。つまり、RSD1は、微弱な光を高速で走査しながら観察者の網膜に照射することで、網膜上に走査された光の残像を映像として観察者に認識させる画像表示装置である。
【0025】
RSD1は、コントロールユニット2と、伝送ケーブル部3と、頭部装着具4とを備える。コントロールユニット2は、画像信号に応じた強度のレーザ光を画像光として出射する。伝送ケーブル部3は、コントロールユニット2から出射された画像光を伝送する光ファイバケーブル50(図2参照)を有する。頭部装着具4は、RSD1を観察者の頭部に装着させるための部分であるとともに、伝送ケーブル部3によって伝送された画像光を走査して観察者に投射し、観察者に対して画像を表示するための部分である。
【0026】
コントロールユニット2は、記憶部(図2、コンテンツ記憶部14参照)を内蔵し、この記憶部に記憶されたコンテンツ情報等に基づいて画像信号を形成する。コントロールユニット2は、形成した画像信号に応じた強度のレーザ光を画像光として伝送ケーブル部3へ出射する。
【0027】
頭部装着具4は、略眼鏡形状に構成される支持部材6と、この支持部材6に支持される投影ユニット10とを有する。投影ユニット10は、支持部材6のフロント部7の側方に設けられる。投影ユニット10は、伝送ケーブル部3により伝送されてきた画像光を、観察者が表示画像として認識可能とするために走査する。
【0028】
投影ユニット10は、コントロールユニット2においてR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の色毎に強度変調された画像光を、2次元方向に走査し、観察者の眼Yに入射させる。また、投影ユニット10においては、観察者の眼Yの前方に対応する位置(眼Yに対向する位置)に、ハーフミラー9が設けられている。このハーフミラー9により、外光Lxはハーフミラー9を透過して観察者の眼Yに入射し、投影ユニット10から出射される画像光Lyはハーフミラー9で反射され観察者の眼Yに入射する。これにより、観察者は、外光Lxによる外景に、画像光Lyによる画像を重ねて視認することができる。
【0029】
このように、本実施形態のRSD1は、外光を透過させつつ、画像光を観察者の眼Yに走査しつつ投射するシースルー型のRSDである。なお、本発明に係る網膜走査型画像表示装置の一例であるRSDとしては、必ずしもシースルー型のRSDである必要はない。
【0030】
[RSD1の電気的構成及び光学的構成]
次に、図2を参照しながら、RSD1の電気的構成及び光学的構成について説明する。図2に示すように、RSD1が備えるコントロールユニット2内には、RSD1全体の動作を統括制御する制御部30と、この制御部30から画像信号Sが供給される光源ユニット11とが設けられている。光源ユニット11は、制御部30から供給される画像信号Sから画像情報を画素単位で読み出し、読み出した画素単位の画像情報に基づいて、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の色毎に強度変調されたレーザ光を生成して出射する。
【0031】
制御部30は、その内部に記憶されている制御プログラムにしたがって所定の処理を実行することによって、RSD1全体を制御する。この制御部30は、CPU、フラッシュメモリ、RAM、VRAM、複数の入出力I/Fなどを有し、これらはデータ通信用のバスにそれぞれ接続されており、このバスを介して各種情報の送受信を行う。
【0032】
(光源ユニット11)
光源ユニット11には、画像を合成するための要素となる信号等を発生する画像信号供給回路13が設けられている。制御部30は、入出力端子等を介して外部接続された図示しない機器類から供給される画像データや、比較的大容量の記憶領域を有するコンテンツ記憶部14にあらかじめ記憶されたコンテンツ情報に基づく画像データの入力を受ける。制御部30は、それらの画像データに基づいて画像信号Sを生成し、その画像信号Sを画像信号供給回路13に送る。画像信号供給回路13は、画像信号Sに基づいて、表示画像を形成するための要素となる各信号を画素単位で生成する。つまり、本実施形態では、画像信号供給回路13が、画像情報に応じた駆動信号を生成する駆動信号生成部として機能する。
【0033】
ここで、コンテンツ記憶部14に記憶されるコンテンツ情報とは、文字を表示させるためのデータ、画像を表示させるためのデータ、及び動画を表示させるためのデータのうちの少なくとも1つのデータで構成されるものである。例えば、コンテンツ情報は、パソコン等で使用される文書ファイルや画像ファイル、動画ファイル等である。また、コンテンツ記憶部14は、例えば、ハードディスクのような磁気的記憶媒体や、CD−Rのような光学的記録媒体や、フラッシュメモリ等とすることができる。
【0034】
また、光源ユニット11には、画像信号供給回路13により生成された駆動信号(以下「光源駆動信号」という。)60に応じた強度のレーザ光(光束)を出力する光源部110が設けられている。光源部110は、光源120と、光源120から出射したレーザ光の強度を光源駆動信号60に基づいて変調する磁気光学変調器140とを有する。つまり、光源部110は、光源120からの光を、磁気光学変調器140によって変調し、光ファイバケーブル50に対して出射する。
【0035】
光源120は、その出射するレーザ光として、赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光を生成する。このため、光源120は、赤色レーザ光を生成する赤色レーザ生成部121と、緑色レーザ光を生成する緑色レーザ生成部122と、青色レーザ光を生成する青色レーザ生成部123とを有する。そして、光源駆動信号60には、赤色レーザ生成部121に対する制御信号であるR駆動信号60r、緑色レーザ生成部122に対する制御信号であるG駆動信号60g、及び青色レーザ生成部123に対する制御信号であるB駆動信号60bが含まれる(図3参照)。
【0036】
磁気光学変調器140は、磁気光学効果を用いた外部変調器である。つまり、磁気光学変調器140は、光源120からの入力光である赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光に対し、光源駆動信号60に基づいて外部から間接的に変調を加えることで、各色のレーザ光の強度を変調する。磁気光学変調器140により変調されたレーザ光である変調光Lcは、結合光学系77によって集光されて光ファイバケーブル50に導かれる。なお、光ファイバケーブル50は、伝送ケーブル部3(図1参照)内に収容されている。
【0037】
また、画像信号供給回路13は、投影ユニット10に設けられる水平走査部80で使用される水平駆動信号61と、同じく投影ユニット10に設けられる垂直走査部90で使用される垂直駆動信号62とをそれぞれ出力する。水平駆動信号61及び垂直駆動信号62は、伝送ケーブル部3が有する駆動信号伝送用ケーブルにより伝送される。
【0038】
(投影ユニット10)
投影ユニット10は、RSD1において光源ユニット11と観察者の眼Yとの間に位置する。投影ユニット10には、コリメート光学系79と、水平走査部80と、第1リレー光学系85と、垂直走査部90と、第2リレー光学系95とが設けられている。コリメート光学系79は、光源ユニット11で生成され光ファイバケーブル50を介して出射されるレーザ光を平行光化する。水平走査部80は、コリメート光学系79で平行光化されたレーザ光を画像表示のために水平方向に往復走査する。垂直走査部90は、水平走査部80で水平方向に走査されたレーザ光を垂直方向に走査する。第1リレー光学系85は、水平走査部80と垂直走査部90との間に設けられる。第2リレー光学系95は、水平走査部80及び垂直走査部90によって水平方向と垂直方向に走査されたレーザ光を観察者の瞳孔101aへ出射するためのものである。
【0039】
水平走査部80及び垂直走査部90、ならびに第1リレー光学系85は、光ファイバケーブル50から入射されたレーザ光を、画像として観察者の網膜101bに投影可能な状態とするために、水平方向と垂直方向に走査して走査光束とするための光走査装置及び光学系である。つまり、本実施形態では、水平走査部80及び垂直走査部90を含む構成が、光源部110から出射された光束を2次元方向に走査する走査部として機能する。したがって、以下の説明では、水平走査部80及び垂直走査部90を総称して走査部ともいう。
【0040】
水平走査部80は、共振型の偏向素子81と、水平走査駆動回路82とを備える。偏向素子81は、レーザ光を水平方向に走査するため偏向面を有する。水平走査駆動回路82は、偏向素子81を共振させて偏向素子81の偏向面(反射面)を揺動させる駆動信号を、水平駆動信号61に基づいて発生させる。
【0041】
一方、垂直走査部90は、非共振型の偏向素子91と、垂直走査駆動回路92とを備える。偏向素子91は、レーザ光を垂直方向に走査するため偏向面(反射面)を有する。垂直走査駆動回路92は、偏向素子91の偏向面を非共振状態で揺動させる駆動信号を、垂直駆動信号62に基づいて発生させる。垂直走査部90は、表示すべき画像の1フレーム毎に、画像を形成するためのレーザ光を最初の水平走査線から最後の水平走査線に向かって垂直に走査する。これにより、2次元走査された画像が形成される。ここで「水平走査線」とは、水平走査部80による水平方向への1走査を意味する。
【0042】
また、水平走査部80と垂直走査部90との間でレーザ光を中継する第1リレー光学系85は、水平走査部80が有する偏向素子81の偏向面によって水平方向に走査されたレーザ光を、垂直走査部90が有する偏向素子91の偏向面に収束させる。そして、偏向素子91の偏向面に収束したレーザ光が、この偏向素子91の偏向面によって垂直方向に走査され、画像光Lyとして形成される。画像光Lyとしてのレーザ光は、正の屈折力を持つ2つのレンズ95a、95bが直列配置された第2リレー光学系95を介して、観察者の眼Yの前方に位置するハーフミラー9で反射させられて観察者の瞳孔101aに入射する。これにより、網膜101b上に、画像信号Sに応じた表示画像が投影される。このようにして、観察者は、画像光Lyを表示画像として認識することとなる。
【0043】
また、第2リレー光学系95においては、レンズ95aによって、それぞれのレーザ光がそのレーザ光の中心線を相互に略平行にされ、かつそれぞれ収束レーザ光に変換される。そして、レンズ95aによって変換されたレーザ光は、レンズ95bによってそれぞれほぼ平行なレーザ光となると共に、これらのレーザ光の中心線が観察者の瞳孔101aに収束するように変換される。このレンズ95bは、走査部で走査された画像光Ly(レーザ光)を観察者の眼Yに入射させて、観察者の網膜101b上に画像信号Sに応じた画像を投影する接眼光学系として機能する。このように、本実施形態では、第2リレー光学系95及びハーフミラー9を含む構成が、走査部によって走査された光束を観察者の眼Yの網膜101bへ投射して、画像を投影する投射部として機能する。
【0044】
〔光源部の構成〕
続いて、図3、図4、及び図5を参照しながら、光源部110の構成について説明する。図3に示すように、光源部110は、光源120と、ビーム径拡大光学系150と、磁気光学変調器140とを有する。
【0045】
(光源120)
光源120は、赤色レーザ生成部121と緑色レーザ生成部122と青色レーザ生成部123とを有する。赤色レーザ生成部121は、赤色レーザ光Lrを発生させる固体レーザであるRレーザ124と、このRレーザ124を駆動するためのRレーザドライバ125とを有する。
【0046】
緑色レーザ生成部122及び青色レーザ生成部123も、赤色レーザ生成部121と同様に構成される。すなわち、緑色レーザ生成部122は、緑色レーザ光Lgを発生させる固体レーザであるGレーザ126と、このGレーザ126を駆動するためのGレーザドライバ127とを有する。また、青色レーザ生成部123は、青色レーザ光Lbを発生させる固体レーザであるBレーザ128と、このBレーザ128を駆動するためのBレーザドライバ129とを有する。
【0047】
上述のとおり各レーザ生成部121,122,123に対する駆動信号60r,60g,60bには、レーザのON/OFF信号が含まれる。つまり、赤色レーザ生成部121においては、R駆動信号60rにより、赤色レーザ光LrのON/OFFが制御される。同様に、緑色レーザ生成部122においては、G駆動信号60gにより、緑色レーザ光LgのON/OFFが制御され、青色レーザ生成部123においては、B駆動信号60bにより、青色レーザ光LbのON/OFFが制御される。
【0048】
各レーザ124,126,128から出射したレーザ光Lr,Lg,Lbは、ダイクロイックミラー131,132,133に入射する。その後、これらのダイクロイックミラー131,132,133により、各レーザ光Lr,Lg,Lbが波長に関して選択的に反射・透過して、ビーム径拡大光学系150を介して磁気光学変調器140に入射する。なお、赤色レーザ生成部121、緑色レーザ生成部122、及び青色レーザ生成部123のそれぞれから出射されるレーザ光は時分割で出射される。
【0049】
具体的には、Rレーザ124から出射される赤色レーザ光Lrは、ダイクロイックミラー131に入射し、このダイクロイックミラー131を透過して、光源120からの出射光を形成する。また、Gレーザ126から出射される緑色レーザ光Lgは、ダイクロイックミラー132に入射し、このダイクロイックミラー132によってダイクロイックミラー131に向けて反射させられる。その後、ダイクロイックミラー131に入射した緑色レーザ光Lgは、このダイクロイックミラー131によってビーム径拡大光学系150へ向けて反射させられ、光源120からの出射光を形成する。
【0050】
また、Bレーザ128から出射される青色レーザ光Lbは、ダイクロイックミラー133に入射し、このダイクロイックミラー133によってダイクロイックミラー132に向けて反射させられる。その後、ダイクロイックミラー132に入射した青色レーザ光Lbは、このダイクロイックミラー132を透過した後、ダイクロイックミラー131に入射する。その後、ダイクロイックミラー131に入射した青色レーザ光Lbは、このダイクロイックミラー131によってビーム径拡大光学系150へ向けて反射させられ、光源120からの出射光を形成する。なお、各レーザ124,126,128からのレーザ光Lr,Lg,Lbを光源120からの出射光として出射させるための光学系の構成は、各レーザ124,126,128から出射するレーザ光Lr,Lg,Lbが波長に関して選択的に反射・透過させられる構成であれば限定されるものではない。
【0051】
そして、光源120は、赤色レーザ光Lr、緑色レーザ光Lg及び青色レーザ光Lbを時分割で順次出射する。すなわち、図3に示すように、光源120は、三色のレーザ光Lr,Lg,Lbを、例えばあらかじめ設定された単位時間毎に、所定の順番で繰り返して照射する。そして、このように三色のレーザ光Lr,Lg,Lbが時分割で順次出射される光源部110において、ドライバ146は、赤色レーザ光Lr、緑色レーザ光Lg及び青色レーザ光Lbのそれぞれの強度を順次変調する。つまり、光源120から順番に出射される三色のレーザ光Lr,Lg,Lbが、出射される順番に対応して磁気光学変調器140において順次強度変調を受ける。
【0052】
このように、本実施形態の光源部110においては、三色のレーザ光Lr,Lg,Lbそれぞれについての出射及び強度変調の処理が、単位時間毎に順次振り分けられて行われる。このようなレーザ光の色毎の時分割処理により、三色のレーザ光Lr,Lg,Lbで一つの磁気光学変調器140が共用される。
【0053】
こうしたレーザ光の色毎の時分割処理において、各色のレーザ光の出射及び強度変調の順番は、特に限定されない。また、レーザ光の色毎の時分割処理において、単位時間毎のレーザ光の出射、つまり各色のレーザ光の出射及び停止を切り替えるためのON/OFF制御は、各色のレーザ光に対応するレーザドライバ125,127,129それぞれに対して入力される駆動信号60r,60g,60bに基づいて行われる。なお、各色のレーザ光のON/OFF制御のための制御信号については、磁気光学変調器140においてレーザ光の強度変調を制御するためのドライバ146から、各レーザドライバ125,127,129のそれぞれに対して入力される構成が採用されてもよい。
【0054】
(ビーム径拡大光学系150)
ビーム径拡大光学系150は、光源120から出射されたレーザ光Lr,Lg,Lbのビーム径を拡大させる拡大レンズ151と、拡大レンズ151によりビーム径が拡大されたレーザ光を平行光にするためのコリメートレンズ152とを有する。つまり、光源120から出射されるレーザ光Lr,Lg,Lbは、リレー光学系150において、拡大レンズ151により発散させられてビーム径が拡大し、コリメートレンズ152により平行光化される。
【0055】
(磁気光学変調器140)
磁気光学変調器140は、磁気光学式の空間変調器であり、磁気光学素子141と、コイル142とを有する。磁気光学素子141は、複数の層からなる例えば厚さ数ミリ程度の積層構造を有し、光を透過可能に構成される。
【0056】
磁気光学素子141は、例えば磁性ガーネット膜や1次元磁性フォトニック結晶等の磁気光学効果を有する光磁気材料からなる磁化層を有する。この磁化層は、磁気光学効果(ファラデー効果)によって、入射する光に対して磁化の方向に応じた偏光方向の回転を与える。
【0057】
コイル142は、磁気光学素子141に対して磁界を発生させるためのものである。つまり、コイル142は、磁気光学素子141に磁場を印加するための手段である。コイル142は、磁気光学素子141に対して、磁気光学素子141における光の入射側(図3において左側)に隣接するように配置されている。なお、本実施形態では、コイル142は、磁気光学素子141に対して光の入射側に配置されているが、その反対側、すなわち光の出射側(図3において右側)に配置されてもよい。コイル142は、薄膜コイル144を有する。
【0058】
図4に示すように、薄膜コイル144は、導線が渦巻き状に巻かれたものであり、磁気光学素子141における磁化の方向を設定するための磁界を発生させる。薄膜コイル144は、磁気光学素子141に対して、膜面が光の入射面に対して略平行となる姿勢で隣接するように配置される。
【0059】
コイル142は、電流の供給を受けることで、薄膜コイル144において磁気光学素子141に対して磁界を発生させる。そして、薄膜コイル144に対して供給される電流、つまり薄膜コイル144によって発生する磁界が制御されることにより、磁気光学素子141を透過する光に対して与えられる偏光方向の回転量(回転角度)が調整される。
【0060】
また、磁気光学変調器140は、磁気光学素子141の動作を制御するためのドライバ146を有する。ドライバ146は、具体的には、コイル142が有する薄膜コイル144に対して供給する電流の方向及び大きさを制御することで、磁気光学素子141が透過する光に対して与える偏光方向の回転量(回転角度)を制御する。
【0061】
したがって、ドライバ146は、コイル142の薄膜コイル144に対して電流を供給する電源部146aを有する。そして、コイル142の薄膜コイル144は、例えば薄膜コイル144の端部に形成される端子や磁気光学素子141において導電性を有する部分等に接続される配線を介して通電されるように電源部146aに接続される。電源部146aは、パルス電流を薄膜コイル144に供給する。ただし、電源部146aから薄膜コイル144に供給される電流は、直流電流であってもよい。
【0062】
ドライバ146は、磁気光学素子141の制御を、変調信号である駆動信号60aに基づいて行う。すなわち、駆動信号60aは、磁気光学素子141において入射する光に与えられる、磁化の方向に応じた偏光方向の回転を調整するための信号である。駆動信号60aは、画像信号供給回路13から光源部110に送られる光源駆動信号60(図2参照)に含まれる。つまり、磁気光学変調器140は、光源120から出射したレーザ光の強度を、駆動信号60aを受けるドライバ146によって、光源駆動信号60に基づいて変調する。
【0063】
なお、本実施形態のRSD1においては、磁気光学素子141に対して磁界を発生させるための構成として、薄膜コイル144を有するコイル142が用いられているが、これに限定されるものではない。したがって、磁気光学素子141に対して磁界を発生させるための構成としては、例えば、磁性体を用いる構成や、磁気光学素子141を電極間に介装させ、その磁気光学素子141を挟み込む電極によって磁気光学素子141に対する磁界を発生させる構成等であってもよい。
【0064】
また、磁気光学変調器140においては、磁気光学素子141における光の入射側(図3において左側)及び光の出射側(同図において右側)に、互いに偏光方向が直交する偏光板147、148が設けられている。偏光板147、148は、いずれも入射する光について直線偏光を行う直線偏光板であり、その偏光方向が互いに直交する。
【0065】
磁気光学素子141における光の入射側に設けられる偏光板(以下「入射側偏光板」という。)147は、光源120から出射されるレーザ光の光路上において、磁気光学素子141の入射側に設けられるコイル142に対して、レーザ光の進行方向の後側(図3において左側)に所定の間隔を隔てた位置に設けられる。また、磁気光学素子141における光の出射側に設けられる偏光板(以下「出射側偏光板」という。)148は、光源120から出射されるレーザ光の光路上において、磁気光学素子141に対して、レーザ光の進行方向の前側(図3において右側)に所定の間隔を隔てた位置に設けられる。ただし、入射側偏光板147は、コイル142に対して隣接するように設けられてもよく、出射側偏光板148は、磁気光学素子141に対して隣接するように設けられてもよい。
【0066】
このように、本実施形態の磁気光学変調器140は、光源120から出射されるレーザ光の光路上に、第1の直線偏光板としての入射側偏光板147と、入射側偏光板147の偏光特性に対して直交する偏光特性を有する第2の直線偏光板としての出射側偏光板148と、入射側偏光板147と出射側偏光板148との間に挟まれた磁気光学素子141とを配置する。ただし、入射側偏光板147及び出射側偏光板148の偏光方向については、必ずしも互いに直交する必要はなく、適切な角度関係に適宜調整され得る。
【0067】
以上のような構成を備える磁気光学変調器140の動作について、図6及び図7を加えて説明する。磁気光学変調器140においては、駆動信号60aに従うドライバ146によって、薄膜コイル144に対してパルス電流が供給される。これにより、薄膜コイル144によって磁気光学素子141に対して磁界が印加される。このように磁気光学素子141に対して印加される磁界により、磁気光学素子141における磁化の方向が回転させられる。
【0068】
図6(a)に示すように、光源120から出射されたレーザ光は、様々な偏光成分を含む状態から、入射側偏光板147によってある方向(図における上下方向)の偏光成分P1だけを含むようにフィルタリングされる。入射側偏光板147を通過したレーザ光は、磁気光学素子141に入射する。磁気光学素子141においては、ドライバ146の電源部146aから薄膜コイル144に電流が流されることで得られる磁気光学効果(ファラデー効果)により、入射したレーザ光に対して、磁気光学素子141における磁化の方向に応じた偏光方向の回転が与えられる。
【0069】
すなわち、図6(b)に示すように、磁気光学素子141における入射光の偏光方向の回転角度が角度θである場合、偏光成分P1だけを含むレーザ光(同図(a)参照)は、偏光成分P1の偏光方向に対して角度θ回転した方向を偏光方向とする偏光成分P2に変調される。磁気光学素子141を透過することで変調されたレーザ光は、出射側偏光板148によってフィルタリングされる。
【0070】
具体的には、出射側偏光板148は、前記のとおり偏光方向が入射側偏光板147の偏光方向に対して直交する。このため、図6(c)に示すように、出射側偏光板148によれば、磁気光学素子141を透過することで得られる偏光成分P2(同図(b)参照)だけを含むレーザ光から、入射側偏光板147を透過することで得られる偏光成分P1(同図(a)参照)の偏光方向に直交する方向(図における左右方向)の偏光成分P3が得られる。この偏光成分P3のレーザ光が、変調光Lc(図3参照)を形成する光として、磁気光学変調器140から出射する。
【0071】
<図3の146aが電流源となっているので修正>
一方、ドライバ146の電源部146aから薄膜コイル144に電流が流されない場合、つまり磁気光学素子141において磁気光学効果(ファラデー効果)が得られない場合、光源120から出射されるレーザ光は、磁気光学変調器140からの出射が妨げられる。すなわち、図7(a)に示すように、光源120から出射され、入射側偏光板147を透過することで得られる偏光成分P1のレーザ光は、磁気光学素子141を透過することによっても、磁気光学素子141における磁化の方向に応じた偏光方向の回転が与えられない。つまり、図7(b)に示すように、磁気光学素子141を透過したレーザ光は、偏光成分P1の状態のままである。
【0072】
したがって、図7(c)に示すように、磁気光学素子141を透過したレーザ光は、出射側偏光板148によりフィルタリングされ、出射側偏光板148を透過できない。すなわち、磁気光学素子141を透過した偏光成分P1のレーザ光は、出射側偏光板148を透過することで得られる偏光成分を含まないことから、出射側偏光板148を透過する光、つまり磁気光学変調器140からの出射光は得られない。結果として、この場合、変調光Lc(図3参照)は得られない。
【0073】
このように、磁気光学変調器140においては、磁気光学素子141による入射光に対する変調が行われることで、変調光Lcとして、出射側偏光板148の偏光成分(図6(c)、偏光成分P3参照)の出射光が得られる。したがって、磁気光学素子141による入射光に対する偏光方向の回転角度である角度θの大きさによって、変調光Lcの強度が変化する。すなわち、変調光Lcの明るさとしての強度に対応する偏光成分P3(図6(c))の振幅の大きさは、偏光成分P1または偏光成分P2の振幅の大きさに対してsinθが乗算された値に相当する。実際には、磁気光学変調器140によれば、磁気光学素子141による入射光に対する偏光方向の回転角度である角度θの大きさ等からして、入射光に対して数%程度の強度(明るさ)を有する微弱な光が得られる。つまり、なお、図6及び図7において、偏光成分を囲む破線の円は、レーザ光のビーム径を仮想的に示すものである。
【0074】
以上のように、磁気光学素子141において得られる磁気光学効果(ファラデー効果)により、光源120から出射されるレーザ光の強度が変調される。つまりは、磁気光学素子141におけるレーザ光の変調が制御されることで、磁気光学変調器140に入射して入射側偏光板147、磁気光学素子141及び出射側偏光板148を透過するレーザ光の透過率が制御される。すなわち、磁気光学素子141を有する磁気光学変調器140は、入射光を透過させ変調する透過型の磁気光学式空間変調器として構成される。
【0075】
磁気光学変調器140において出射側偏光板148を透過したレーザ光は、変調光Lcとして磁気光学変調器140から出射され、結合光学系77によって光ファイバケーブル50内に入射し、光ファイバケーブル50によって投影ユニット10へと導かれる。
【0076】
このように、本実施形態においては、磁気光学変調器140に備えられるドライバ146が、光源駆動信号60に基づいて磁気光学素子141に制御信号を入力して磁気光学素子141に入射した光の透過率を制御し、光源120から出射したレーザ光の強度を変調する制御部として機能する。ここで、ドライバ146から磁気光学素子141に対して入力される制御信号には、薄膜コイル144に対する電流についての制御信号が含まれる。
【0077】
磁気光学変調器140においては、変調されるレーザ光の強度が、例えば256階調に制御される。つまりこの場合、ドライバ146によって薄膜コイル144に対して供給される電流の大きさが256段階に制御されることにより、磁気光学素子141が透過する光に対して与える偏光方向の回転量(回転角度)が256段階に制御される。
【0078】
すなわち、出射側偏光板148から出射するレーザ光の強度が、0の状態(変調光Lcが得られない状態)から255段階に分けられる。そして、レーザ光の各強度に対応するように、薄膜コイル144に対して供給される電流の大きさにより制御される磁気光学素子141における偏光方向の回転量(回転角度)が、256段階に制御される。これにより、磁気光学変調器140において変調されるレーザ光の強度が256階調に制御される。
【0079】
以上のように、磁気光学変調器140に備えられる磁気光学素子141については、複数のセグメントに分割されてもよい。以下では、磁気光学素子141が複数のセグメントに分割される構成(以下「分割構成」という。)について、図8〜図12を参照して説明する。
【0080】
図8及び図9に示すように、分割構成においては、磁気光学素子141が有する磁化層が、磁気光学効果(ファラデー効果)によって、入射する光に対して磁化の方向に応じた偏光方向の回転を与える複数のセル143を有する。複数のセル143は、2次元マトリクス状に配列される。各セル143については、それぞれ独立に磁化の方向が設定される。
【0081】
分割構成においては、コイル142が、磁気光学素子141を構成する複数の各セル143に対応して設けられる薄膜コイル144を有する。つまり、分割構成においては、コイル142は、少なくとも磁気光学素子141が有するセル143の数と同数の薄膜コイル144を有する。そして、薄膜コイル144は、各セル143における磁化の方向を独立に設定するための磁界を発生させる。薄膜コイル144は、各セル143に対して、膜面が光の入射面に対して略平行となる姿勢で隣接するように配置される。
【0082】
コイル142は、電流の供給を受けることで、各薄膜コイル144において各薄膜コイル144が対応するセル143に対して磁界を発生させる。そして、各薄膜コイル144に対して供給される電流、つまり各薄膜コイル144によって発生する磁界が制御されることにより、磁気光学素子141が有する各セル143について、それぞれ独立して透過率の制御が行われる。つまり、コイル142に供給される電流が調整されることにより、各セル143を透過する光に対して与えられる偏光方向の回転量(回転角度)が調整される。
【0083】
このように、本実施形態の磁気光学変調器140は、それぞれ独立して透過率を制御可能な複数の磁化設定要素として、互いに対応するセル143及び薄膜コイル144を含む複数のセル部145を有する。そして、磁気光学変調器140は、複数のセル部145を、レーザ光の入射方向に対して略直交する平面に2次元配列させている。
【0084】
すなわち、磁気光学変調器140が有する複数のセル部145は、磁気光学素子141のセル143の配列に対応して2次元マトリクス状に配列される。そして、この複数のセル部145の配列方向は、光源120から出射されるレーザ光の光軸L0に対して略直交する平面に沿う方向である(図3参照)。
【0085】
分割構成においては、ドライバ146は、各セル部145の動作を制御する。具体的には、ドライバ146は、各薄膜コイル144に対して供給する電流の方向及び大きさを制御することで、各セル部145が透過する光に対して与える偏光方向の回転量(回転角度)を制御する。したがって、分割構成においては、電源部146aは、各薄膜コイル144に対して独立に電流を供給する。そして、各薄膜コイル144は、例えば薄膜コイル144の端部に形成される端子や磁気光学素子141において導電性を有する部分等に接続される配線を介して、独立して通電されるように電源部146aに接続される。
【0086】
また、ドライバ146による各セル部145の制御は、駆動信号60aに基づいて行われる。すなわち、分割構成においては、駆動信号60aは、各セル143において入射する光に与えられる、磁化の方向に応じた偏光方向の回転を調整するための信号である。
【0087】
このように、分割構成においては、ドライバ146が、セル部145毎に制御信号を入力して各セル部145に入射した光の透過率を制御し、光源120から出射したレーザ光の強度を変調する制御部として機能する。ここで、ドライバ146から各セル部145に対して入力される制御信号には、薄膜コイル144に対する電流についての制御信号が含まれる。したがって、ドライバ146は、磁気光学素子141の各セル143に対応する薄膜コイル144を、2次元マトリクス状の配列において選択することで特定し、各薄膜コイル144に対して独立した信号を送る。
【0088】
そして、分割構成における磁気光学変調器140の動作は、例えば次の通りである。すなわち、磁気光学変調器140においては、駆動信号60aに従うドライバ146によって、複数の薄膜コイル144に対して選択的にパルス電流が供給される。これにより、薄膜コイル144によって磁気光学素子141の各セル143に対して独立に磁界が印加される。このように各セル143に対して印加される磁界により、各セル143における磁化の方向が独立に回転させられる。したがって、分割構成においては、各セル部145について、磁気光学効果(ファラデー効果)が得られる場合(図6参照)と得られない場合(図7参照)とが独立して制御される。
【0089】
そして、分割構成では、ドライバ146は、セル部145毎に入力する制御信号によって、各セル部145に入射した光を透過させるかまたは遮断させるかを制御する。すなわち、ドライバ146は、セル部145に入射した光を透過させる場合は、セル部145に入力する制御信号により、前述したように、磁気光学素子141の各セル部145において薄膜コイル144に通電することで、入射側偏光板147を透過した偏光成分P1のレーザ光の偏光方向を偏光成分P2に変化させる。これにより、出射側偏光板148を透過した偏光成分P3のレーザ光が、変調光Lcを形成する光として得られる。
【0090】
一方、ドライバ146は、セル部145に入射した光を遮断する場合は、セル部145に入力する制御信号により、前述したように、磁気光学素子141の各セル部145において薄膜コイル144に通電しないことで、入射側偏光板147を透過した偏光成分P1のレーザ光を、その偏光方向を維持しつつ透過させる。これにより、セル部145を透過したレーザ光は、出射側偏光板148を透過できずに出射側偏光板148において遮断される。
【0091】
このように、ドライバ146は、セル部145に対する制御信号、具体的にはセル部145を構成する薄膜コイル144に対する電流についての制御信号により、磁気光学変調器140による変調光Lcが得られるようにセル部145に入射した光を透過させる場合と、セル部145に入射した光を遮断する場合とを、セル部145毎に独立して制御する。以下では、各セル部145について、入射する光を透過させる状態、つまりセル部145において入射する光の偏光方向を変化させる状態を「ON」の状態とし、入射する光を遮断する状態、つまりセル部145において入射する光の偏光方向を変化させない状態を「OFF」の状態とする。
【0092】
つまり、分割構成においては、ドライバ146により、複数のセル部145についてのONとOFFとが、各セル部145で独立に選択的に切り換えられる。ただし、セル部145が入射した光を透過させる場合については、コイル142に供給される電流の調整により、セル143を透過する光に対して与えられる偏光方向の回転量(回転角度)の調整、つまり変調光Lcの強度(明るさ)の調整は可能である。
【0093】
そして、分割構成において、三色のレーザ光Lr,Lg,Lbの色毎の時分割処理が行われることで、時分割で3色のレーザ光の出射及び変調が行われ、各セル部145についての色が表現される。
【0094】
また、本実施形態の磁気光学変調器140においては、2次元マトリクス状に配列されるセル部145が、16×16のマトリクス状に形成されるとともに、ドライバ146により、セル部145が制御され、レーザ光の強度が256階調に制御されることが好ましい。すなわち、この場合、図10に示すように、256個のセル部145が、光源120から出射されるレーザ光の光軸L0(図3参照)に対して略直交する平面に沿って、縦16列、横16列(16行)の態様で配列される。図10においては、各マス目が、セル143及び薄膜コイル144を含むセル部145を示す。
【0095】
そして、図10に示すように16×16のマトリクス状に2次元配列されるセル部145が、ドライバ146により、磁気光学変調器140を透過するレーザ光の強度、つまり変調光Lcの強度が256階調となるように制御される。すなわち、256個のセル部145について、ONのセル部145が0個の状態から、ONのセル部145が255個の状態まで、256段階に、磁気光学変調器140を透過するレーザ光の強度が調整される。言い換えると、256個のセル部145について、全てのセル部145がOFFの状態から、1個のセル部145を除いた残り全てのセル部145がONの状態まで、256段階に、磁気光学変調器140を透過するレーザ光の強度が調整される。
【0096】
したがって、ここでいうレーザ光の強度についての「階調」は、ONの状態(またはOFFの状態)のセル部145の個数によって定まる。以下では、256階調に制御されるレーザ光の強度を、256個のセル部145におけるONの状態のセル部145の数により表わす。つまりこの場合、レーザ光の強度は、ONの状態のセル部145の数に対応する、「0」〜「255」までの256個の数値により表わされる。また、以下では、便宜上、ONの状態のセル部145を「ONセル部145a」、OFFの状態のセル部145を「OFFセル部145b」とする。
【0097】
図11においては、16×16のマトリクス状に配列されたセル部145群について、ONセル部145aを無着色、OFFセル部145bを着色の正方形で表わしている。図11(a)に示すように、レーザ光の強度が「0」の場合、256個のセル部145は、いずれもOFFセル部145bとなる。つまり、256個のセル部145においてONセル部145aが1個も存在しない。したがって、この場合、光源120から入射するレーザ光は、磁気光学変調器140においてセル部145を透過できずに遮断される。
【0098】
また、図11(b)に示すように、レーザ光の強度が「1」の場合、256個のセル部145のうち、1個のセル部145がONセル部145aとなる。図11(b)においては、1個のONセル部145aとして、16×16のマトリクス状の配列における左から8番目、上から8番目に位置する略中央のセル部145が用いられている。
【0099】
同様にして、図11(c)は、レーザ光の強度が「20」の状態を示し、同図(d)は、レーザ光の強度が「169」の状態を示す。図11(c)及び(d)においては、複数存在するONセル部145aの配列の一例として、各強度段階におけるレーザ光の強度を表す数値の数のONセル部145aが、点在する状態を示している。つまり、図11(c)及び(d)においては、16×16のマトリクス状に配列されたセル部145群において、各強度段階におけるレーザ光の強度を表す数値に対応する数のONセル部145aが、ランダムに存在する。
【0100】
また、図11(e)は、レーザ光の強度が「255」の状態を示す。この場合、256個のセル部145のうち、255個のセル部145がONセル部145aとなり、1個のセル部145のみがOFFセル部145bとなる。図11(e)においては、OFFセル部145bとして、16×16のマトリクス状の配列における左から16番目、上から1番目に位置する右上角のセル部145が用いられている。図11(e)に示すレーザ光の強度が「255」の状態が、256階調に制御されるレーザ光の強度について最も強度が高い状態に対応する。
【0101】
このようにONセル部145aの数によって制御されるレーザ光の各強度段階において、ONセル部145aの位置は特に限定されない。つまり、例えば図11(b)に示すようにレーザ光の強度が「1」の場合については、16×16のマトリクス状の配列における位置にかかわらず1個のONセル部145aが存在する場合、レーザ光の強度は「1」となる。
【0102】
そこで、レーザ光の各強度段階においてONセル部145aとして用いるセル部145については、例えばランダムな配置にしたり強度の変化の度に規則的に変わる配置にしたりすることにより、16×16のマトリクス状に配列された256個のセル部145が均一的に用いられるように制御される。このような制御は、セル部145の経時劣化との関係から、セル部145についての長寿命化に貢献する。
【0103】
このように、磁気光学変調器140においては、ドライバ146による16×16のマトリクス状に配列されたセル部145群についてのON/OFF制御により、レーザ光の強度が256階調に制御される。ただし、レーザ光の強度段階として、256個全てのセル部145がONセル部145aとなる状態を用いることもできる。このような強度段階が上述したように256階調に制御されるレーザ光の強度段階に加えられることで、ONセル部145aの数が0個から256個までの257階調の実現が可能となる。
【0104】
また、レーザ光の強度について、各段階における、16×16のマトリクス状に配列されたセル部145群のON/OFFパターンとしては、複数のONセル部145aが隣接して一つのまとまった領域を形成するように制御されることが好ましい。つまりこの場合、ドライバ146は、複数のセル部145のうち光を透過させるセル部145であるONセル部145aを隣接させて一つのまとまった透過領域となるように、制御信号を制御する。このような場合におけるセル部145群のON/OFFパターンの一例について、図12を用いて説明する。図12においては、図11と同様に16×16のマトリクス状に配列されたセル部145群について、ONセル部145aを無着色、OFFセル部145bを着色の正方形で表わしている。
【0105】
図12(a),(b)は、図11(a),(b)と同様に、レーザ光の強度が「0」の場合及び「1」の場合を示している。そして、図12(c)に示すように、レーザ光の強度が「20」の場合において、20個のONセル部145aが、16×16のマトリクス状に配列されたセル部145群における略中央に、縦4列、横5列(5行)の態様で存在する。図12(c)においては、20個のONセル部145aとして、16×16のマトリクス状の配置における左から7−10番目、上から6−10番目の範囲に含まれるセル部145が用いられている。こうした16×16のマトリクス状に配列されたセル部145群におけるONセル部145aの集合領域が、隣接する複数のONセル部145aにより形成される一つのまとまった透過領域145cとして存在する。
【0106】
すなわち、透過領域145cは、16×16のマトリクス状に配列されたセル部145群において、2個以上の複数のONセル部145aが隣接することで形成される島状の部分として存在する部分である。したがって、透過領域145cについて、一つのまとまった領域とは、複数のONセル部145aによって形成される領域の外縁で囲まれる範囲内に、OFFセル部145bが存在しない領域を意味する。このため、例えば環状に配置された複数のONセル部145aは、透過領域145cを形成するONセル部145aに含まれない。
【0107】
したがって、図12(d)に示すように、レーザ光の強度が「169」の場合においては、169個のONセル部145aが、例えば縦13列、横13列(13行)の態様で透過領域145cとして存在する。また、図12(e)は、図11(e)の場合と同様にレーザ光の強度が「255」の状態を示す。図12(e)に示すように、1個のOFFセル部145b以外の255個のセル部145がONセル部145aである状態においては、その255個のONセル部145aの領域部分が、透過領域145cとして存在する。
【0108】
また、透過領域145cを形成するONセル部145aの配置形状については、回転対称の形状であることが好ましい。この場合、透過領域145cの形状としては、例えば、正方形、正五角形等の正多角形状や円形状等が採用される。このように、透過領域145cの形状が回転対称の形状とされることで、ドライバ146による256個のセル部145についてのON/OFF制御の容易化が図れる。
【0109】
さらに、透過領域145cについては、その中心位置が光源120から出射されるレーザ光の光軸L0(図3参照)の位置と略一致するように形成されることが好ましい。すなわち、光軸L0の方向が256個のセル部145が配列される2次元平面に対して略垂直方向となるようにレーザ光が透過する構成において、その光軸L0の位置が、透過領域145cの2次元平面における中心の位置に対して略一致することが好ましい。この場合、ドライバ146は、透過領域145cの中心がレーザ光の光軸L0の位置と略一致するように制御信号を制御する。
【0110】
ここで、透過領域145cの中心としては、例えば、透過領域145cに対する外接矩形の中心や外接円の中心に位置するセル部145が対応させられる。具体的には、例えばレーザ光の強度が「9」の場合において、透過領域145cとして3×3のマトリクス状に配置される9個のONセル部145aが形成されるときは、8個のONセル部145aによって囲まれる中心のONセル部145aの位置が、透過領域145cの中心の位置とされる。つまりこの場合、9個のONセル部145aのうち中心のONセル部145aがレーザ光の光軸L0の位置に略一致するように、透過領域145cが形成される位置がドライバ146からの制御信号によって制御される。ここで、透過領域145cの中心に対応するセル部145の特定の容易化を図る観点からも、前述したように透過領域145cが回転対称の形状であることが好ましい。
【0111】
さらに、磁気光学変調器140においてマトリクス状に形成されるセル部145の数については、16×16の配置に対して縦方向及び横方向に整数倍されてもよい。したがって、マトリクス状に形成されるセル部145の数については、例えば16×16の配置が縦方向及び横方向に2倍された32×32の配置であってもよい。
【0112】
セル部145が32×32のマトリクス状に形成される場合、レーザ光の強度は、ONセル部145aが0個の状態から4個ずつ増加させられることで、256階調に制御可能となる。すなわち、ONセル部145aが0個の状態から、4個、8個、16個、・・・と、各強度段階におけるONセル部145aの数が4の倍数とされることで、ONセル部145aの数によって256段階のレーザ光の強度調整が可能となる。
【0113】
したがって、32×32に配置されるセル部145において1020(=4×255)個のONセル部145aが存在する状態が、256階調に制御されるレーザ光の強度について最も強度が高い状態に対応する。なお、セル部145が32×32のマトリクス状に形成される場合においても、1024(=32×32)個全てのセル部145がONセル部145aとなる状態が用いられることで、257階調の実現が可能となる。
【0114】
そして、セル部145が32×32のマトリクス状に形成される場合においては、16×16の配置との比較において、セル部145の数が増加することから、隣接するONセル部145aにより形成される一つのまとまった透過領域について、前記のとおりレーザ光の光軸L0の位置に対応させられる中心の位置や回転対称の形状の精度の向上が図られる。
【0115】
セル部145の32×32の配置において、ONセル部145aについての0個の状態からの4個ずつの増加パターンとしては、例えば次のような態様が挙げられる。すなわち、強度段階の1段階目としては、32×32の配置において中心に位置する2×2の4個のセル部145がONとされる。次に、2段階目として、2×2の4個のONセル部145aにより形成される正方形における対向する一対の辺の外側において2個ずつの4個のセル部145がONとされる。続いて、3段階目として、2×2の4個のONセル部145aにより形成される正方形における残りの対向する一対の辺の外側において2個ずつの4個のセル部145がONとされる。そして、4段階目として、3段階目における12個のONセル部145aを含む4×4の配列における四隅に存在するセル部145がONとされる。このように、レーザ光の各強度段階において、一つのまとまった透過領域の形状について回転対称の形状が維持されるように、セル部145についてのON/OFF制御が行われる。
【0116】
また、本実施形態の磁気光学変調器140においては、光源部110は、光源120から出射された光束の少なくとも一部が、磁気光学変調器140の入射口全てに入射するように構成されることが好ましい。ここで、磁気光学変調器140の入射口とは、各セル部145においてレーザ光の入射側に設けられ、レーザ光のセル部145に対する入射を許容する開口部分である。したがって、図10に示すように、磁気光学変調器140の入射口145dは、各セル部145において設けられる。つまり、セル部145が16×16のマトリクス状に形成される構成においては、磁気光学変調器140は256個の入射口145dを有する。
【0117】
このように磁気光学変調器140が有する入射口145dに対して、光源120から出射されるレーザ光が全ての入射口145dに入射するように、レーザ光のビーム径が調整される。具体的には、光源120と磁気光学変調器140との間においてリレー光学系150を構成する拡大レンズ151(図3参照)により、光源120から出射されるレーザ光のビーム径が調整される。つまり、拡大レンズ151によってビーム径が拡大されるレーザ光の照射範囲内に、全てのセル部145の入射口145dが含まれるように、光源120から出射されるレーザ光のビーム径が調整される。
【0118】
また、セル部145群に対するレーザ光のビーム径の調整においては、レーザ光の強度分布(例えばガウス分布)等が考慮される。例えば、レーザ光の光軸L0の近傍部分が照射されるセル部145と、透過領域145cにおける周縁部分を形成するセル部145とで、照射されるレーザ光の強度の差が比較的小さくなるように、セル部145群に照射されるレーザ光のビーム径が調整される。
【0119】
また、レーザ光の強度分布に関しては、その強度分布によって各セル部145による強度変調の度合いを制御することもできる。この場合、例えば、ドライバ146は、磁気光学変調器140に入射されるレーザ光の強度分布に応じて、各セル部145から出射する変調光の強度が略均一となるように制御信号を制御する。
【0120】
すなわち、レーザ光は、一般に、その強度について例えばガウス分布に近似する分布等の所定の分布を有する。そこで、磁気光学変調器140に入射するレーザ光の強度分布に基づいて、セル部145群における各セル部145による変調量、つまりコイル142の各薄膜コイル144に対して供給する電流の大きさを制御する。
【0121】
具体的には、磁気光学変調器140に入射するレーザ光の強度分布(断面強度分布)が例えばガウス分布である場合、レーザ光の強度は、光軸L0の部分が最も高く、周縁にかけて低くなる。そこで、各セル部145から出射するレーザ光の強度の均一化を図るため、レーザ光の強度分布に応じて、レーザ光の中央部分(光軸L0の近傍部分)が透過する部分に位置するセル部145に対して、レーザ光の周縁部分が透過する部分に位置するセル部145の方が、変調光の強度が大きくなるように、各セル部145に対する供給電流の大きさが制御される。
【0122】
このように、磁気光学変調器140に入射されるレーザ光の強度の分布に応じて、各セル部145による入射光の強度の変調量が制御されることにより、磁気光学変調器140がそれぞれ独立して透過率を制御可能な複数のセル部145を有する構成において、磁気光学変調器140から出射される変調光Lcについて、レーザ光の強度分布による強度のバラツキを低減することが可能となる。
【0123】
以上のように、本実施形態のRSD1が備える光源部110においては、磁気光学変調器140が、赤色レーザ光Lr、緑色レーザ光Lg、及び青色レーザ光Lbの三色のレーザ光で共用されている。つまり、本実施形態の光源部110においては、光源120が備える各レーザ生成部121,122,123で生成されたレーザ光が所定の光学系を介して入射する一つの磁気光学変調器140によって強度変調される構成が採用されている。このような構成に対して、磁気光学変調器140が、各色のレーザ光毎に設けられてもよい。つまり、光源部110においては、磁気光学変調器140が、それぞれ三原色の各色毎に設けられていてもよい。
【0124】
磁気光学変調器140が三原色の各色のレーザ光のそれぞれに対して独立に設けられる構成(以下「本構成」という。)について、図13を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、すでに説明した実施形態と共通する構成については、同一の符号を用いて適宜説明を省略する。
【0125】
図13に示すように、本構成に係る光源部210においては、光源220が、赤色レーザ生成部121、緑色レーザ生成部122、及び青色レーザ生成部123を有し、各レーザ生成部に対して、磁気光学変調器140が設けられている。すなわち、赤色レーザ生成部121に対しては磁気光学変調器140rが、緑色レーザ生成部122に対しては磁気光学変調器140gが、青色レーザ生成部123に対しては磁気光学変調器140bがそれぞれ設けられている。
【0126】
そして、赤色レーザ生成部121から出射した赤色レーザ光Lrは、赤色レーザ生成部121と磁気光学変調器140rとの間に設けられるリレー光学系150において、拡大レンズ151でビーム径が拡大させられてコリメートレンズ152で平行光化された後、磁気光学変調器140rに入射する。磁気光学変調器140rに入射したレーザ光は、ドライバ146によるセル部145のON/OFF制御のもと、磁気光学効果(ファラデー効果)によって強度変調され、赤色レーザ光Lrの変調光Ldとして出射される。
【0127】
同様にして、緑色レーザ生成部122から出射した緑色レーザ光Lgは、緑色レーザ生成部122と磁気光学変調器140gとの間に設けられるリレー光学系150を介して磁気光学変調器140gに入射し、強度変調され、緑色レーザ光Lgの変調光Leとして出射される。また、青色レーザ生成部123から出射した青色レーザ光Lbは、青色レーザ生成部123と磁気光学変調器140bとの間に設けられるリレー光学系150を介して磁気光学変調器140bに入射し、強度変調され、青色レーザ光Lbの変調光Lfとして出射される。
【0128】
図13に示すように、各色のレーザ光についての変調光Ld,Le,Lfは、ダイクロイックミラー261,262,263に入射する。その後、これらのダイクロイックミラー261,262,263により、各変調光Ld,Le,Lfが波長に関して選択的に反射・透過して、出射光Loとして出射する。
【0129】
具体的には、赤色レーザ光Lrの変調光Ldは、ダイクロイックミラー261を透過して、出射光Loを形成する。また、緑色レーザ光Lgの変調光Leは、ダイクロイックミラー262に入射し、このダイクロイックミラー262によってダイクロイックミラー261に向けて反射させられる。その後、ダイクロイックミラー261に入射した変調光Leは、このダイクロイックミラー261によって反射させられ、出射光Loを形成する。
【0130】
また、青色レーザ光Lbの変調光Lfは、ダイクロイックミラー263に入射し、このダイクロイックミラー263によってダイクロイックミラー262に向けて反射させられる。その後、ダイクロイックミラー262に入射した変調光Lfは、このダイクロイックミラー262を透過した後、ダイクロイックミラー261に入射する。その後、ダイクロイックミラー261に入射した変調光Lfは、このダイクロイックミラー261によって反射させられ、出射光Loを形成する。
【0131】
各色のレーザ光Lr,Lg,Lbについての変調光Ld,Le,Lfにより形成される出射光Loは、結合光学系77によって集光されて光ファイバケーブル50に導かれる(図2参照)。なお、各色のレーザ光Lr,Lg,Lbについての変調光Ld,Le,Lfを出射光Loとして出射させるための光学系の構成は、各変調光Ld,Le,Lfが波長に関して選択的に反射・透過させられる構成であれば限定されるものではない。
【0132】
また、本構成においては、磁気光学素子141の制御を行うための変調信号(図3、駆動信号60a参照)が、各色のレーザ光に対応する磁気光学変調器140に対して独立に送られる。すなわち、図13に示すように、赤色レーザ光Lrに対応する磁気光学変調器140rが備えるドライバ146に対しては、赤色レーザ光Lr用の変調信号としての駆動信号60xが入力される。同様にして、緑色レーザ光Lgに対応する磁気光学変調器140gが備えるドライバ146に対しては、緑色レーザ光Lg用の変調信号としての駆動信号60yが入力され、青色レーザ光Lbに対応する磁気光学変調器140bが備えるドライバ146に対しては、青色レーザ光Lb用の変調信号としての駆動信号60zが入力される。
【0133】
このように、本構成においては、光源220に、赤色レーザ生成部121、緑色レーザ生成部122、及び青色レーザ生成部123が備えられるとともに、各色のレーザ光Lr,Lg,Lbのレーザ生成部に対応する磁気光学変調器140r,140g,140bがそれぞれ備えられる。
【0134】
また、本実施形態のRSD1においては、緑色レーザ光Lgに対してのみ、磁気光学変調器140が設けられる構成(以下「別構成」という。)が採用されてもよい。別構成について、図14を参照しながら説明する。
【0135】
図14に示すように、別構成に係る光源部310においては、光源320が、赤色レーザ生成部121、緑色レーザ生成部122、および青色レーザ生成部123を有する。そして、緑色レーザ生成部122に対してのみ、磁気光学変調器140gが設けられている。
【0136】
したがって、別構成においては、緑色レーザ生成部122は、G駆動信号60gを受けるレーザドライバ327によって駆動されるレーザとして、固体レーザ326を有する。また、赤色レーザ生成部121は、R駆動信号60x’を受けるレーザドライバ325によって駆動されるレーザとして、赤色レーザ光Lrを出射する半導体レーザ324を有する。同様に、青色レーザ生成部123は、B駆動信号60z’を受けるレーザドライバ329によって駆動されるレーザとして、青色レーザ光Lbを出射する半導体レーザ328を有する。
【0137】
そして、緑色レーザ生成部122から出射される緑色レーザ光Lgは、前述したようにリレー光学系150を介して磁気光学変調器140gに入射し、強度変調され、緑色レーザ光Lgの変調光Leとして出射される。また、赤色レーザ生成部121から出射される赤色レーザ光Lrは、変調信号を含むR駆動信号60x’に応じて強度変調され、リレー光学系150を介して変調光Lhとして出射される。同様にして、青色レーザ生成部123から出射される青色レーザ光Lbは、変調信号を含むB駆動信号60z’に応じて強度変調され、リレー光学系150を介して変調光Liとして出射される。
【0138】
そして、各色のレーザ光についての変調光Lh,Le,Liは、ダイクロイックミラー261,262,263により、各変調光Lh,Le,Liが波長に関して選択的に反射・透過して、出射光Loとして出射する。なお、赤色レーザ生成部121から出射される赤色レーザ光Lr、および青色レーザ生成部123から出射される青色レーザ光Lbについては、リレー光学系150を介することなく出射される構成が採用されてもよい。
【0139】
以上のように、本実施形態に係るRSD1においては、磁気光学素子は可視光の透過率が低い(数%程度)という特性が用いられ、わずかな光量で明るい画像が表示できる網膜走査型の画像表示装置において、磁気光学素子を備える外部変調器としての磁気光学変調器によるレーザ光の強度変調が可能となる。そして、磁気光学素子141が複数のセグメントとしてのセル143に分割されることで、デジタル的な階調表現が行われる。こうした複数のセル143による階調表現が、必要な階調表現として行われる。また、網膜走査型の画像表示装置においては、ビーム径が比較的小径のレーザ光が用いられることから、これに対応して磁気光学素子141も小型なものとなる。レーザ光の強度変調を行うための磁気光学素子141が小型となることにより、高い応答性が得られ、高速変調が可能となる。また、網膜走査型の画像表示装置においては、画像を表示するために必要な光量がわずかであることから、磁気光学素子141が小型であっても透過率が低いことによる熱の問題が生じにくい。
【0140】
なお、本実施形態のRSD1は、観察者の眼の網膜上に投影する光としてレーザ光を用いているが、これに限定されない。つまり、本発明に係る網膜走査型画像表示装置において観察者の眼の網膜上に投影される光としては、コリメートされた光束であればよい。
【0141】
以上説明したように、本実施形態に係るRSD1によれば、以下の効果が期待できる。
【0142】
(1)本実施形態のRSD1は、画像情報に応じた光源駆動信号60を生成する画像信号供給回路13と、光源駆動信号60に応じた強度のレーザ光を出射する光源部110(210)と、光源部110(210)から出射されたレーザ光を2次元方向に走査する水平走査部80及び垂直走査部90と、これらの走査部によって走査されたレーザ光を観察者の眼Yの網膜101bへ投射して、画像を投影する第2リレー光学系95及びハーフミラー9を含む構成とを備える。そして、光源部110は、光源120(220)と、光源120(220)から出射したレーザ光の強度を光源駆動信号60に基づいて変調する磁気光学変調器140とを有する。これにより、消費電力の大幅な増加や装置の大型化を招くことなく、入力光について外部変調による高速変調を実現することができる。
【0143】
すなわち、本実施形態のRSD1においては、レーザ光の強度変調を行うための構成として、磁気光学効果を利用する磁気光学変調器140が備えられる。このため、本実施形態のRSD1は、レーザ光の外部変調器として例えば音響光学効果を用いた外部変調器が備えられる構成との比較において、消費電力や装置構成の単純さ等の点で有利である。また、磁気光学素子についての、可視光の透過率が低いことやコントラストが低いこと等の性質は、プロジェクタ等の画像表示装置との比較においてわずかな光量で明るい画像が表示できる網膜走査型の表示装置においては問題とならない。
【0144】
(2)また、本実施形態のRSD1においては、磁気光学変調器140は、それぞれ独立して透過率を制御可能な複数のセル部145を、レーザ光の入射方向に対して略直交する平面に2次元配列させており、駆動信号60aに基づいてセル部145毎に制御信号を入力して各セル部145に入射した光の透過率を制御し、光源120(220)から出射したレーザ光の強度を変調するドライバ146を備える。これにより、磁気光学変調器140によって強度変調されるレーザ光について、デジタル的な階調表現が可能となる。
【0145】
(3)また、本実施形態のRSD1においては、ドライバ146は、セル部145毎に入力する制御信号によって、各セル部145に入射した光を透過させるかまたは遮断するかを制御する。これにより、各セル部145の制御が、2値制御(ON/OFF制御)となるため、制御の容易化が図れる。
【0146】
(4)また、本実施形態のRSD1においては、ドライバ146は、複数のセル部145のうち光を透過させるセル部145を隣接させて一つのまとまった透過領域145cとなるように、制御信号を制御する。これにより、セル部145群を透過するレーザ光について、回折等の光学的な不具合が生じにくく、良好なビーム形状が得られる。また、各セル部145の制御の容易化が図れる。
【0147】
(5)また、本実施形態のRSD1においては、ドライバ146は、透過領域145cの中心がレーザ光の光軸L0の位置と略一致するように制御信号を制御する。これにより、セル部145群に入射するレーザ光についてのレーザーパワーの効率的な利用が可能となる。
【0148】
(6)また、本実施形態のRSD1においては、光源部110(210)は、光源120(220)から出射されたレーザ光の少なくとも一部が、磁気光学変調器140の入射口145d全てに入射するように構成されている。これにより、複数のセル部145の全てをレーザ光の強度変調を行うための部分として利用することが可能となり、強度変調のパターン数を確保することができる。
【0149】
(7)また、本実施形態のRSD1においては、光源120は、赤色レーザ光Lrを出射するRレーザ124と、緑色レーザ光Lgを出射するGレーザ126と、青色レーザ光Lbを出射するBレーザ128とを有しており、赤色レーザ光Lr、緑色レーザ光Lg及び青色レーザ光Lbを時分割で順次出射し、ドライバ146は、赤色レーザ光Lr、緑色レーザ光Lg及び青色レーザ光Lbのそれぞれの強度を順次変調する。これにより、三色のレーザ光Lr,Lg,Lbで一つの磁気光学変調器140を共用することができ、セル部145群について、レーザ光の色毎に異なるON/OFFパターンによる強度変調が可能となる。
【0150】
(8)また、本実施形態のRSD1においては、光源220は、赤色レーザ光Lrを出射するRレーザ124と、緑色レーザ光Lgを出射するGレーザ126と、青色レーザ光Lbを出射するBレーザ128とを有しており、磁気光学変調器140は、Rレーザ124、Gレーザ126およびBレーザのそれぞれに設けられている。これにより、磁気光学変調器140に入射するレーザ光について、色毎に(波長により)変化する強度分布に応じた強度変調を行うことが容易となる。
【0151】
(9)また、本実施形態のRSD1においては、光源320は、赤色レーザLrを出射する半導体レーザ324と、緑色レーザ光Lgを出射する固体レーザ326と、青色レーザ光Lbを出射する半導体レーザ328とを有しており、画像信号供給回路13は、半導体レーザ324,328及び磁気光学変調器140gのそれぞれに対して、画像情報に応じた駆動信号60x’,60z’,60yを出力して、各半導体レーザ324,328から駆動信号60x’,60z’に応じて強度変調したレーザ光Lr,Lbを出射させ、かつ、固体レーザ326から出射した緑色レーザ光Lgの強度を磁気光学変調器140gにより駆動信号60yに応じて変調させる。これにより、緑色レーザ光Lgについて、容易に所望の強度に合わせることが可能となる。
【0152】
(10)また、本実施形態のRSD1においては、セル部145は、16×16のマトリクス状に形成されており、ドライバ146は、セル部145を制御して、レーザ光の強度を256階調に制御する。これにより、複数のセル部145についての制御が容易になるとともに、8ビットの画像への対応が容易になる。
【0153】
(11)また、本実施形態のRSD1においては、磁気光学変調器140は、光源120(220)から出射されるレーザ光の光路上に、入射側偏光板147と、入射側偏光板147の偏光特性に対して直交する偏光特性を有する出射側偏光板148と、入射側偏光板147と出射側偏光板148との間に挟まれた磁気光学素子141とを配置している。これにより、簡易な構成によって磁気光学効果を利用した強度変調が可能となる。
【符号の説明】
【0154】
1 RSD(網膜走査型画像表示装置)
9 ハーフミラー
13 画像信号供給回路(駆動信号生成部)
60 光源駆動信号(駆動信号)
80 水平走査部(走査部)
90 垂直走査部(走査部)
95 第2リレー光学系
101b 網膜
110 光源部
120 光源
124 Rレーザ(赤色レーザ)
126 Gレーザ(緑色レーザ)
128 Bレーザ(青色レーザ)
140 磁気光学変調器
141 磁気光学素子
145 セル部
145c 透過領域
145d 入射口
146 ドライバ(制御部)
147 入射側偏光板(第1の直線偏光板)
148 出射側偏光板(第2の直線偏光板)
210 光源部
220 光源
310 光源部
320 光源
324 半導体レーザ
326 固体レーザ
328 半導体レーザ
L0 光軸
Y 眼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に応じた駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号に応じた強度の光束を出射する光源部と、前記光源部から出射された光束を2次元方向に走査する走査部と、前記走査部によって走査された光束を観察者の眼の網膜へ投射して、画像を投影する投射部とを備え、
前記光源部は、光源と、前記光源から出射した光束の強度を前記駆動信号に基づいて変調する磁気光学変調器とを有することを特徴とする網膜走査型画像表示装置。
【請求項2】
前記磁気光学変調器は、それぞれ独立して透過率を制御可能な複数のセル部を、前記光束の入射方向に対して略直交する平面に2次元配列させており、
前記駆動信号に基づいて前記セル部毎に制御信号を入力して各前記セル部に入射した光の透過率を制御し、前記光源から出射した光束の強度を変調する制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の網膜走査型画像表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記セル部毎に入力する制御信号によって、各前記セル部に入射した光を透過させるかまたは遮断するかを制御することを特徴とする請求項2に記載の網膜走査型画像表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数のセル部のうち光を透過させるセル部を隣接させて一つのまとまった透過領域となるように、前記制御信号を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の網膜走査型画像表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記透過領域の中心が前記光束の光軸位置と略一致するように前記制御信号を制御することを特徴とする請求項4に記載の網膜走査型画像表示装置。
【請求項6】
前記光源部は、前記光源から出射された光束の少なくとも一部が、前記磁気光学変調器の入射口全てに入射するように構成されたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置。
【請求項7】
前記光源は、赤色光束を出射する赤色レーザと、緑色光束を出射する緑色レーザと、青色光束を出射する青色レーザとを有しており、前記赤色光束、前記緑色光束及び前記青色光束を時分割で順次出射し、
前記制御部は、前記赤色光束、前記緑色光束及び前記青色光束のそれぞれの強度を順次変調することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置。
【請求項8】
前記光源は、赤色光束を出射する赤色レーザと、緑色光束を出射する緑色レーザと、青色光束を出射する青色レーザとを有しており、
前記磁気光学変調器は、前記赤色レーザ、前記緑色レーザ及び前記青色レーザのそれぞれに設けられていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置。
【請求項9】
前記光源は、赤色光束を出射する半導体レーザと、緑色光束を出射する固体レーザと、青色光束を出射する半導体レーザとを有しており、
前記駆動信号生成部は、前記半導体レーザ及び前記磁気光学変調器のそれぞれに対して、前記画像情報に応じた駆動信号を出力して、各前記半導体レーザから前記駆動信号に応じて強度変調した光束を出射させ、かつ、前記固体レーザから出射した光束の強度を前記磁気光学変調器により前記駆動信号に応じて変調させることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置。
【請求項10】
前記セル部は、16×16のマトリクス状に形成されており、
前記制御部は、前記セル部を制御して、前記光束の強度を256階調に制御することを特徴とする請求項2〜9のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置。
【請求項11】
前記磁気光学変調器は、前記光源から出射される光束の光路上に、第1の直線偏光板と、前記第1の直線偏光板の偏光特性に対して直交する偏光特性を有する第2の直線偏光板と、前記第1の直線偏光板と前記第2の直線偏光板との間に挟まれた磁気光学素子とを配置したことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の網膜走査型画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−53540(P2011−53540A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203770(P2009−203770)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】