説明

総合胃腸薬

【課題】抗生物質でなく、非抗生物質により、ヘリコバクター・ピロリ除菌作用と胃病の治療を促進すると共に、ピロリ菌除去により将来とも発癌を予防できる総合胃腸薬の提供。
【解決手段】銅クロロフィリンナトリウム,臭化プロパンテリンおよびケイ酸マグネシウムを配合したヘリコバクター・ピロリ菌を除菌ないし殺菌する抗潰瘍胃炎治療剤を主剤とし、これに粘膜防御性治療剤,胃腸潰瘍精神安定剤,抗ペプシン制酸作用剤,H受容体拮抗剤および心身安定剤を配合して成ることを特徴とする総合胃腸薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてヘリコバクター・ピロリ菌に有効な胃腸病の治療薬であると共に、ヘリコバクター・ピロリ菌に帰因すると謂われている胃癌発生を、予防し、かつ潰瘍などを治癒できる新規な総合胃腸薬に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身体の重要な器官である胃腸の病気に関しては、古来より種々の医薬品が開発され、数多くのものが用いられている。
【0003】
その中、例えば、消化酵素を配合した胃腸薬とか制酸剤組成の医薬などがメーカーより生産され、広く販売されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0004】
処で、胃病に係る数多くの症例において、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が、胃病の治癒,改善を阻害することが知られ、この胃潰瘍または十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ菌の除菌補助剤として、ランソプラゾール,アモキシシリン,クラリスロマイシンなどの抗生物質が用いられている(非特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭57−85315号公報
【特許文献2】特開平7−101867号公報
【非特許文献1】武田薬品工業株式会社製「Takepron」のカタログ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の治療薬は、抗生物質であるため有効性に優れ、その使用は盛んである。
【0006】
しかし乍ら、この有効な治療薬に対し、抗生物質に禁忌する患者に対しては、投与することはできないという問題がある。
【0007】
本発明者は、医師としてこの問題を解決するため、抗生物質でなくてヘリコバクター・ピロリ菌に有効に働く医薬はないかと鋭意研究を重ねた処、既存の抗潰瘍治療剤三種類の有効な組合せ配合より、ヘリコバクター・ピロリ菌に働く胃腸薬を得ることに成功した。
【0008】
そしてさらに、上記抗潰瘍治療剤に対し、粘膜防御性治療剤,胃腸潰瘍精神安定剤,抗ペプシン制酸作用剤,H受容体拮抗剤および心身安定剤を配合して、治療効果を促進させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成を備えることにより、上記課題を解決できるものである。
【0010】
(1)銅クロロフィリンナトリウム,臭化プロパンテリンおよびケイ酸マグネシウムを配合したヘリコバクター・ピロリ菌を除菌ないし殺菌する抗潰瘍胃炎治療剤を主剤とし、これに粘膜防御性治療剤,胃腸潰瘍精神安定剤,抗ペプシン制酸作用剤,H受容体拮抗剤および心身安定剤を配合して成ることを特徴とする総合胃腸薬。
【0011】
(2)抗潰瘍胃炎治療剤を主剤として3.0〜5.0gを配合し、粘膜防御性治療剤に塩酸セトラキサートを1.0〜2.0g,胃腸潰瘍精神安定剤にスルピリドを1.0〜2.0g,抗ペプシン制酸作用剤にアルジオキサを0.5〜0.8g,H受容体拮抗剤にファモチジンを0.3〜0.6g、および心身安定剤にクロチアゼパム0.2〜0.5gを配合して成ることを特徴とする前記(1)記載の総合胃腸薬。
【発明の効果】
【0012】
抗潰瘍胃炎治療剤として、銅クロロフィリンナトリウム,臭化プロパンテリンおよびケイ酸マグネシウムを胃腸薬の主剤として用いたことにより、胃潰瘍,十二指腸潰瘍中のヘリコバクター・ピロリ菌に侵されている病巣に対して有効に作用していることが判明しており、既存の抗生物質の薬剤を禁忌する患者に対して、安心有効に服用させることができる。
【0013】
さらに胃腸潰瘍・精神剤のスルピリドおよび心身安定剤のクロチアゼパムは、胃腸を含む他の臓器のうち、身体の弱ったストレス状態で緊張している個処を穏やかに緩和し、治療効果を著しく改善できる。
【0014】
したがって、その結果胃腸のみならず、この疾患の原因と思われる他の身体の各種器官や組織を含めて治癒効果を著しく促進して健康を回復できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0016】
本実施例にあって、既に薬理効果が立証されて、医薬品として広く製造販売している薬剤を挙げて説明する。
【0017】
(1)まず、基剤として用いられるヘリコバクター・ピロリ菌を除菌ないし殺菌する抗潰瘍胃炎治療剤Aについては、以下の成分構成で、かつ1g中の配合量は以下の通りである。
銅クロロフィリンナトリウム(Aa) 30mg
臭化プロパンテリン(Ab) 15mg
ケイ酸マグネシウム(Ac) 831.2mg
その他添加剤(※) 少量
【0018】
(2)粘膜防御性治療剤Bについては、その成分構成の1g中の配合量を含めて以下の通りである。
塩酸セトラキサート 400mg
【0019】
(3)胃腸潰瘍精神安定剤Cについてはスルピリドであって、その成分構成の1g中の配合量を含めて以下の通りである。
スルピリド 100mg
【0020】
(4)抗ペプシン制酸作用剤Dとしては、その成分構成の1g中の配合量を含めて以下の通りである。
アルジオキサ 500mg
【0021】
(5)H受容体拮抗剤Eについては、その成分構成の1g中の配合量を含めて以下の通りである。
日局ファモチジン 100mg
【0022】
(6)心身安定剤Fとしては、その成分構成の1g中の配合量を含めて以下の通りである。
クロチアゼパム 100mg
【0023】
次に、上記治療剤として、抗潰瘍胃炎治療剤A,粘膜防御性治療剤B,胃腸潰瘍精神安定剤C,抗ペプシン制酸作用剤D,H受容体拮抗剤E,心身安定剤Fを配合を異にした総合胃腸薬として用いた臨床例を、表1として示す。
【0024】
【表1】

【0025】
殊に、胃中におけるヘリコバクター・ピロリ菌が癌発生の誘因と謂われている最近の臨床例が示されている[刊行物1]から考察し、抗潰瘍胃炎治療剤Aとして知られる非抗生物質医薬品を主剤として用いて臨床例を作った。
【0026】
[刊行物1]
「Helicobacter pylori感染と胃癌の発生」TKP241−1(3457)武田薬品工業株式会社製カタログ第2頁下から第3行ないし第1行の「観察期間を通して、H.pylori陽性患者の36例(2.9%)に胃癌が発生したが、H.pylori陰性患者に胃癌は認められなかった。」
【0027】
表1から分るように、
銅クロロフィリンナトリウム(Aa)
臭化プロパンテリン(Ab)
ケイ酸マグネシウム(Ac)
の、いずれか一つでも欠く抗潰瘍胃炎治療剤は、ピロリ菌を撲滅する効力は生じないことを確認すると共に、一旦ピロリ菌を陰性にした後、すべての患者より一例も発癌数はなかったことを追跡検証できた。
【0028】
なお、他の、粘膜防御性治療剤B,胃腸潰瘍精神安定剤C,抗ペプシン制酸作用剤D,H受容体拮抗剤E,心身安定剤Fの添加服用により、きわめて薬効の高いことを立証できた。
【0029】
処で、抗潰瘍胃炎治療剤は、それ自体、臭化プロパンテリン,銅クロロフィリンナトリウム,ケイ酸マグネシウムとして既知の薬品であるが、本発明は、ヘリコバクター・ピロリ除菌療法が、専ら抗生物質による治療手段で行っているのを、非抗生物質によって可能とする方法が実現できるか否かを多年に亘って数多く症例を研究した結果、上記公知薬品に到達し、これらの薬品によってピロリ菌の消失を確認できたものである。
【0030】
しかも、このピロリ菌消失した患者すべての胃病について、後日胃癌に変異した患者は一例だに見出できなかったことを、追跡確証できたものである。
【0031】
さらに、これらの薬品に対し、他の、粘膜防御性治療剤B,胃腸潰瘍精神安定剤C,抗ペプシン制酸作用剤D,H受容体拮抗剤E,心身安定剤Fの添加により、ピロリ菌以外の胃壁の病巣改善にきわめて有効に作用したものと認められた。
【0032】
なお、上述の各成分の配合は、飽くまで一実施を示したものであり、その配合割合は、以下の範囲であることが最も好ましい。
【0033】
抗潰瘍胃炎治療剤(A) 3.0g〜5.0g
粘膜防御性治療剤(B) 1.0g〜2.0g
胃腸潰瘍精神安定剤(C) 1.0g〜2.0g
抗ペプシン制酸作用剤(D) 0.5g〜0.8g
受容体拮抗剤(E) 0.3g〜0.6g
心身安定剤(F) 0.2g〜0.5g
【0034】
いずれにしろ、症状の種々の変化に対応可能な胃腸薬として、共通の効能を呈するので、広く胃腸薬として有効であると共に、鎮痛,精神安定機能を有するので、胃腸のみならず、それ以外の器官への予防が可能となるなど、きわめて効果は高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅クロロフィリンナトリウム,臭化プロパンテリンおよびケイ酸マグネシウムを配合したヘリコバクター・ピロリ菌を除菌ないし殺菌する抗潰瘍胃炎治療剤を主剤とし、これに粘膜防御性治療剤,胃腸潰瘍精神安定剤,抗ペプシン制酸作用剤,H受容体拮抗剤および心身安定剤を配合して成ることを特徴とする総合胃腸薬。
【請求項2】
抗潰瘍胃炎治療剤を主剤として3.0〜5.0gを配合し、粘膜防御性治療剤に塩酸セトラキサートを1.0〜2.0g,胃腸潰瘍精神安定剤にスルピリドを1.0〜2.0g,抗ペプシン制酸作用剤にアルジオキサを0.5〜0.8g,H受容体拮抗剤にファモチジンを0.3〜0.6g、および心身安定剤にクロチアゼパム0.2〜0.5gを配合して成ることを特徴とする請求項1記載の総合胃腸薬。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総量が6.0g〜10.9gとした際、抗潰瘍胃炎治療剤としての銅クロロフィリンナトリウム0.09g〜0.15g、臭化プロパンテリン0.045g〜0.075g、およびケイ酸マグネシウム2.49g〜4.16gと、粘膜防御性治療剤としての塩酸セトラキサート0.4g〜0.8g、胃腸潰瘍精神安定剤としてのスルピリド0.1g〜0.2g、抗ペプシン制酸作用剤としてのアルジオキサ0.25g〜0.4g、H受容体拮抗剤としてのファモチジン0.03g〜0.06g、心身安定剤としてのクロチアゼパム0.02g〜0.05gを配合して成ることを特徴とするヘリコバクター・ピロリ菌を除菌ないし殺菌する総合胃腸薬。

【公開番号】特開2006−249073(P2006−249073A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28191(P2006−28191)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(505050946)
【Fターム(参考)】