緑化ディスプレイ装置
【課題】緑化による屋内装飾のディスプレイ効果を高める。
【解決手段】通水孔64、66、68が設けられた複数の植栽容器38と、貯水とともに植栽容器38を内側に入れた状態で支えることができる複数の貯水容器36と、複数の貯水容器36を上下に所定の間隔をおいて整列させる複数の支持パネル34を備えた緑化ディスプレイ装置10を提供する。貯水容器36の底壁48には、貯水容器36内の貯水水位を一定に維持するための排水孔58が設けられており、上段の貯水容器36に設けられた排水孔58から排出された水が下段の貯水容器36に供給される。上段の貯水容器36から下段の貯水容器36に供給される水の流れと水音という動的なものと、動きと音のない静的な植物のコントラストがディスプレイ効果を高めている。
【解決手段】通水孔64、66、68が設けられた複数の植栽容器38と、貯水とともに植栽容器38を内側に入れた状態で支えることができる複数の貯水容器36と、複数の貯水容器36を上下に所定の間隔をおいて整列させる複数の支持パネル34を備えた緑化ディスプレイ装置10を提供する。貯水容器36の底壁48には、貯水容器36内の貯水水位を一定に維持するための排水孔58が設けられており、上段の貯水容器36に設けられた排水孔58から排出された水が下段の貯水容器36に供給される。上段の貯水容器36から下段の貯水容器36に供給される水の流れと水音という動的なものと、動きと音のない静的な植物のコントラストがディスプレイ効果を高めている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内装飾に用いられる緑化ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
植物には、空気を清浄化するという科学的な作用に加え、見る人の心に安らぎや癒しを与えるという心理的な面での作用が認められている。そのため居住空間や集客空間など人が集まるところには植物が置かれることが多い。そのような植物の代表的なものとして古くから観葉植物が知られている。観葉植物は比較的環境に左右されない品種のものが多く、手入れが楽であり、また見た目にも自然な植生を感じることができるため、今日に至るまで広く用いられている。最近では、より人工的な緑化手法として、ユニット化された緑化パネルなどを用いて、例えば壁面などに平面状に緑化を施すといった手法も用いられるようになってきている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−283962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物の生育には二酸化炭素と水と光エネルギが必要であり、二酸化炭素は屋内の空気中から取り入れることができ、光エネルギは窓から射し込む太陽光や室内灯などから取り入れることができる。これらは何れも植物が自律的に摂取することができるものである。しかし降雨がない屋内では水だけは人為的に与える必要がある。緑化パネルを用いた緑化装置において、これまでにも給水を自動化したものはあるが、その多くは給水管を人目につかないように隠すか、もしくは逆にむき出しにされたままであり、給水そのものを積極的に見せるような演出はなされていない。
本発明は、屋内装飾に用いられる緑化ディスプレイ装置において、給水行為を効果的に見せることによってディスプレイ効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、通水孔が設けられた複数の植栽容器と、貯水とともに前記植栽容器を内側に入れた状態で支えることができる複数の貯水容器と、前記複数の貯水容器を上下に所定の間隔をおいて整列させる複数の支持パネルを備え、前記貯水容器内の貯水水位を一定に維持するための排水孔が前記貯水容器に設けられ、上段の前記貯水容器に設けられた前記排水孔から排出された水が下段の前記貯水容器に供給される、緑化ディスプレイ装置を提供する。
【0006】
この緑化ディスプレイ装置では、上段の貯水容器から排出された水が下段の貯水容器の中に落下することにより植物への給水が行われる。各貯水容器には一定量の水が貯留され、植栽容器の通水孔を通じて植栽容器内に植栽された植物に摂取される。最上段の貯水容器に給水すれば、それより下の各貯水容器には上段から下段に順に自動的に給水が行われる。最下段の貯水容器から排出された水をろ過装置等を用いて浄化させた後にポンプ等で最上段の貯水容器に揚水すれば、外部からの補給を必要としない給水サイクルを構築することができ、水源のない場所での使用にも好適である。
【0007】
この緑化ディスプレイ装置は、植物と給水行為という静的なものと動的なものの対比を演出するものである。上段の貯水容器から下段の貯水容器へと供給される水の流れおよび水音という動的なものと、動きと音のない静的な植物のコントラストがディスプレイ効果を高め、見る者の注意を引くとともに長時間見ても飽きさせないようにしている。
【0008】
本発明が提供する緑化ディスプレイ装置は、前記貯水容器が、前傾する前壁と、前記前壁と直角をなす底壁と、前記支持パネルの表面に取り付けられる後壁を備え、前記植栽容器が前記前壁と前記底壁によって前傾した姿勢で支えられるように構成することができる。
【0009】
この緑化ディスプレイ装置では、前傾した植栽容器内の植物が奥行き方向にもよく見えるようになり、陰影が深まるとともに立体感が増し、植物がより美しく見える。
【0010】
本発明が提供する緑化ディスプレイ装置は、前記底壁の幅方向において連続的に設けられた前記排水孔と連続する空間を有し、前記排水孔から排出された水を前記空間内を通して下方に導く導水パネルを備えたものとして構成することができる。
【0011】
この緑化ディスプレイ装置では、排水孔から落下する水の流れに幅方向の広がりを持たせることができ、さらには導水パネルによって水の流れを制御することができるようになり、給水行為をより美しく見せることができる。
【0012】
本発明が提供する緑化ディスプレイ装置は、前記導水パネルによって下方に導かれた水が前記貯水容器の後壁と前記植栽容器との間から前記貯水容器に供給されるように構成することができる。
【0013】
この緑化ディスプレイ装置は、給水時に水が植物に直接かからないようにされているため、水に触れると痛んだり病気になったりする品種の植物に対して特に好適である。
【0014】
本発明が提供する緑化ディスプレイ装置は、前記植栽容器、前記貯水容器および前記支持パネルに透光性素材を用いるとともに、前記支持パネルの裏面側に発光パネルを配したものとして構成することができる。
【0015】
この緑化ディスプレイ装置では、発光パネルによる面発光によってディスプレイ効果が高まるとともに、至近距離から供給される光エネルギが植物の光合成を促進させ、生長を助成するとともに発色性を向上させることができるようになる。発光パネルの光源としては、白熱灯、放電灯、LED、ELなどを用いることができる。
【0016】
本発明が提供する緑化ディスプレイ装置は、上下に整列された前記複数の貯水容器の下方から前記複数の植栽容器に植栽された複数の植物に送風する送風機を備えたものとして構成することができる。
【0017】
この緑化ディスプレイ装置では、植物に上下左右にランダムに揺れる動きを与えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、植物と給水行為という静的なものと動的なものの対比を演出することにより、動きがなく無音な植物のディスプレイに変化と彩を与え、屋内装飾のディスプレイ効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】緑化ディスプレイ装置の側面図
【図2】緑化ディスプレイ装置の一部を拡大した側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の緑化ディスプレイ装置について説明する。
図1に緑化ディスプレイ装置10の構造を示す。支柱12は、上端14と下端16をそれぞれ屋内の天井と床に固定もしくは押しつけた状態で直立している。支柱12の側方には、下から上に向かって順に送風機18、給水タンク20、緑化パネル22、発光パネル24、流水タンク26が配されており、倒れないように支柱12によって支えられている。緑化パネル22から落下した水は給水タンク20に一時貯留され、図示しない水路を経由して流水タンク26に揚水される。緑化パネル22に植栽された植物30は、送風機18から上に向けて送られる風によって揺れるようになっている。
【0021】
緑化パネル22と発光パネル24は、それぞれ上下に4つずつ並べられ、それぞれに一枚のパネル壁をなしている。緑化パネル22と発光パネル24は、支柱12に対して平行になるように互いに近接して配されており、支柱12に近い側に発光パネル24が配されている。支柱12には水平方向に延びる5本のガイド32a、32b・・・32eが上下方向に等間隔で設けられており、各緑化パネル22と発光パネル24はガイド32a、32b・・・32eの間に装着されている。
【0022】
図2に緑化パネル22の構造を示す。緑化パネル22は、支持パネル34の前面(発光パネル24側が背面)に上下2つの貯水容器36が設けられたものであり、それぞれの貯水容器36には植栽容器38が収納されている。支持パネル34は矩形の板状体であり、上辺と下辺がそれぞれガイド32aの下溝44とガイド32bの上溝46に嵌められている。緑化パネル22は、下溝44と上溝46の間をスライドしながらガイド32a、32bに沿って水平方向に移動可能であり、ガイド32a、32bの端部から装着したり取り外したりすることができる。
【0023】
貯水容器36は、矩形の底壁48と側壁50と前壁52および後壁54で構成されている。側壁50と前壁52は底壁48に対して直交する関係にあるが、後壁54は底壁48から離れるに従って前壁52から離れる方向に後傾している。貯水容器36は後壁54が留め具56によって支持パネル34に固定されているため、底壁48が下傾するともに前壁52が前傾している。
【0024】
底壁48には排水孔58が設けられている。排水孔58は、貯水容器36の貯水量を一定量に維持するためのものであり、後壁54寄りの位置であって前壁52の上端の縁より低い位置に、一方の側壁50から他方の側壁50にかけて連続する長孔状に設けられている。貯水容器36に供給された水は排水孔58の位置までは貯水されるが、それを超えると排水孔58から排出される。上段の貯水容器36から排出された水は下段の貯水容器36に供給され、ここでも一定量に達するとさらに下段の貯水容器36に供給される。従って、流水タンク26から最上段の貯水容器36に水を供給してやれば、その下方に配された7段の貯水容器36には自動的に給水が行われる。最下段の貯水容器36から排出された水は給水タンク20に回収され、流水路28を経由して再び流水タンク26に移送される。緑化ディスプレイ装置10ではこのような給水サイクルが構築されている。
【0025】
底壁48には排水孔58に沿って導水パネル60が取り付けられている。導水パネル60は、2枚のパネルを適宜の距離をおいて平行に配したものであり、2枚のパネルの間に形成された導水空間62が排水孔58と直線状に連続している。導水パネル60は底壁48と同程度の幅を有し、先端が下段の貯水容器36の直上に至る程度の長さを有している。排水孔58から排出された水は導水パネル60によって下段の貯水容器36まで導かれるため、途中でこぼれたりして屋内の床や周辺に置かれた家具などを濡らしたりすることはない。
【0026】
植栽容器38には前壁と底壁および側壁にそれぞれ通水孔64、66、68が設けられている。これらの通水孔64、66、68は、貯水容器36の貯水水位WLより下に位置するように設けられている。植栽容器38は貯水容器36の内壁面に設けられたスペーサ70によって貯水容器36の内壁面と直接接触しないように支えられているため、貯水容器36に供給された水は通水孔64、66、68を通って植栽容器38内の植物30に摂取される。植栽容器38は貯水容器36の前壁50の前傾に合わせて前傾姿勢で収納されているため、植物30は植栽容器36の前壁より外側にはみ出し、重力の作用によって僅かに下向きの姿態となる。これに送風機18から送られる風が当たると上下左右にランダムに揺れ、見る者の注意を引くとともに気持ちを和ませる効果が生まれる。
【0027】
植栽容器38内の土が通水孔64、66、68から貯水容器36に漏れ出すことが考えられるが、水より密度の高い土は貯水容器36の底壁48と前壁52が連結する角部に溜まるので、排水孔58を詰まらせる心配はない。また、植栽容器38は貯水容器36には固定されておらず、簡単に取り外すことができるため、植物30の植え替えなどを容易に行うことができるだけでなく、予め別の品種の植物を植栽した植栽容器と簡単に交換することができる。
【0028】
発光パネル24についても、緑化パネル22と同様に、ガイド32a、32bに設けられた下溝72と上溝74の間をスライドしながらガイド32a、32bに沿って水平方向に移動可能であり、ガイド32a、32bの端部から装着したり取り外したりすることができる。発光パネル24は、内蔵された図示しない光源によってパネル全体が面発光し、前面に配された緑化パネル22を照らし出すものである。さらには至近距離から光エネルギを供給することで、植物30の光合成を促進させ、生長を助成するとともに発色性を向上させることができる。
【0029】
緑化パネル22および導水パネル60は、透光性を有する素材、例えばアクリル板などで構成することができる。アクリル板は加工性が良く、透明度が高く、さらには耐久性にも優れるので、緑化ディスプレイ装置10を安価に製作するのに適しており、また品質を長期間安定した状態に保つことができる。さらには高い透明度で植物30をクリアに見せることができるとともに、宙に浮いているような演出効果も期待できるようになる。また導水パネル60を水が上から下に流れるときの流水密度の濃淡によって発光パネル24の光を様々な方向に屈折させ、揺らぎ感を演出することもできる。
【0030】
緑化ディスプレイ装置10は本発明の一つの実施の形態であり、本発明は他の形態として実施することも可能である。特に緑化パネル22と発光パネル24の枚数は天井の高さなどに応じて決めるべきものであり、ガイド32a、32b・・・の数はこれに応じて自ずと決まるものである。また一枚あたりの緑化パネル22に設ける貯水容器36は1つでもよく、3つ以上であってもよい。また貯水容器36の底壁48に設ける排水孔は、排水孔58のように連続した長孔状のものに変えて非連続の孔を適宜の間隔で直線状に配したものとすることができる。さらに緑化ディスプレイ装置10を簡略化したものとして、発光パネル24や導水パネル60、送風機18を省略することもできる。緑化ディスプレイ装置10を屋内の壁面などに取り付ける場合には支柱12も省略可能である。この場合は壁面にガイド32a、32b・・・を直接取り付ければよい。
【符号の説明】
【0031】
10 緑化ディスプレイ装置
22 緑化パネル
24 発光パネル
30 植物
34 支持パネル
36 貯水容器
38 植栽容器
48 底壁
52 前壁
54 後壁
58 排水孔
60 導水パネル
62 導水空間
64、66、68 通水孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内装飾に用いられる緑化ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
植物には、空気を清浄化するという科学的な作用に加え、見る人の心に安らぎや癒しを与えるという心理的な面での作用が認められている。そのため居住空間や集客空間など人が集まるところには植物が置かれることが多い。そのような植物の代表的なものとして古くから観葉植物が知られている。観葉植物は比較的環境に左右されない品種のものが多く、手入れが楽であり、また見た目にも自然な植生を感じることができるため、今日に至るまで広く用いられている。最近では、より人工的な緑化手法として、ユニット化された緑化パネルなどを用いて、例えば壁面などに平面状に緑化を施すといった手法も用いられるようになってきている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−283962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物の生育には二酸化炭素と水と光エネルギが必要であり、二酸化炭素は屋内の空気中から取り入れることができ、光エネルギは窓から射し込む太陽光や室内灯などから取り入れることができる。これらは何れも植物が自律的に摂取することができるものである。しかし降雨がない屋内では水だけは人為的に与える必要がある。緑化パネルを用いた緑化装置において、これまでにも給水を自動化したものはあるが、その多くは給水管を人目につかないように隠すか、もしくは逆にむき出しにされたままであり、給水そのものを積極的に見せるような演出はなされていない。
本発明は、屋内装飾に用いられる緑化ディスプレイ装置において、給水行為を効果的に見せることによってディスプレイ効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、通水孔が設けられた複数の植栽容器と、貯水とともに前記植栽容器を内側に入れた状態で支えることができる複数の貯水容器と、前記複数の貯水容器を上下に所定の間隔をおいて整列させる複数の支持パネルを備え、前記貯水容器内の貯水水位を一定に維持するための排水孔が前記貯水容器に設けられ、上段の前記貯水容器に設けられた前記排水孔から排出された水が下段の前記貯水容器に供給される、緑化ディスプレイ装置を提供する。
【0006】
この緑化ディスプレイ装置では、上段の貯水容器から排出された水が下段の貯水容器の中に落下することにより植物への給水が行われる。各貯水容器には一定量の水が貯留され、植栽容器の通水孔を通じて植栽容器内に植栽された植物に摂取される。最上段の貯水容器に給水すれば、それより下の各貯水容器には上段から下段に順に自動的に給水が行われる。最下段の貯水容器から排出された水をろ過装置等を用いて浄化させた後にポンプ等で最上段の貯水容器に揚水すれば、外部からの補給を必要としない給水サイクルを構築することができ、水源のない場所での使用にも好適である。
【0007】
この緑化ディスプレイ装置は、植物と給水行為という静的なものと動的なものの対比を演出するものである。上段の貯水容器から下段の貯水容器へと供給される水の流れおよび水音という動的なものと、動きと音のない静的な植物のコントラストがディスプレイ効果を高め、見る者の注意を引くとともに長時間見ても飽きさせないようにしている。
【0008】
本発明が提供する緑化ディスプレイ装置は、前記貯水容器が、前傾する前壁と、前記前壁と直角をなす底壁と、前記支持パネルの表面に取り付けられる後壁を備え、前記植栽容器が前記前壁と前記底壁によって前傾した姿勢で支えられるように構成することができる。
【0009】
この緑化ディスプレイ装置では、前傾した植栽容器内の植物が奥行き方向にもよく見えるようになり、陰影が深まるとともに立体感が増し、植物がより美しく見える。
【0010】
本発明が提供する緑化ディスプレイ装置は、前記底壁の幅方向において連続的に設けられた前記排水孔と連続する空間を有し、前記排水孔から排出された水を前記空間内を通して下方に導く導水パネルを備えたものとして構成することができる。
【0011】
この緑化ディスプレイ装置では、排水孔から落下する水の流れに幅方向の広がりを持たせることができ、さらには導水パネルによって水の流れを制御することができるようになり、給水行為をより美しく見せることができる。
【0012】
本発明が提供する緑化ディスプレイ装置は、前記導水パネルによって下方に導かれた水が前記貯水容器の後壁と前記植栽容器との間から前記貯水容器に供給されるように構成することができる。
【0013】
この緑化ディスプレイ装置は、給水時に水が植物に直接かからないようにされているため、水に触れると痛んだり病気になったりする品種の植物に対して特に好適である。
【0014】
本発明が提供する緑化ディスプレイ装置は、前記植栽容器、前記貯水容器および前記支持パネルに透光性素材を用いるとともに、前記支持パネルの裏面側に発光パネルを配したものとして構成することができる。
【0015】
この緑化ディスプレイ装置では、発光パネルによる面発光によってディスプレイ効果が高まるとともに、至近距離から供給される光エネルギが植物の光合成を促進させ、生長を助成するとともに発色性を向上させることができるようになる。発光パネルの光源としては、白熱灯、放電灯、LED、ELなどを用いることができる。
【0016】
本発明が提供する緑化ディスプレイ装置は、上下に整列された前記複数の貯水容器の下方から前記複数の植栽容器に植栽された複数の植物に送風する送風機を備えたものとして構成することができる。
【0017】
この緑化ディスプレイ装置では、植物に上下左右にランダムに揺れる動きを与えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、植物と給水行為という静的なものと動的なものの対比を演出することにより、動きがなく無音な植物のディスプレイに変化と彩を与え、屋内装飾のディスプレイ効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】緑化ディスプレイ装置の側面図
【図2】緑化ディスプレイ装置の一部を拡大した側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の緑化ディスプレイ装置について説明する。
図1に緑化ディスプレイ装置10の構造を示す。支柱12は、上端14と下端16をそれぞれ屋内の天井と床に固定もしくは押しつけた状態で直立している。支柱12の側方には、下から上に向かって順に送風機18、給水タンク20、緑化パネル22、発光パネル24、流水タンク26が配されており、倒れないように支柱12によって支えられている。緑化パネル22から落下した水は給水タンク20に一時貯留され、図示しない水路を経由して流水タンク26に揚水される。緑化パネル22に植栽された植物30は、送風機18から上に向けて送られる風によって揺れるようになっている。
【0021】
緑化パネル22と発光パネル24は、それぞれ上下に4つずつ並べられ、それぞれに一枚のパネル壁をなしている。緑化パネル22と発光パネル24は、支柱12に対して平行になるように互いに近接して配されており、支柱12に近い側に発光パネル24が配されている。支柱12には水平方向に延びる5本のガイド32a、32b・・・32eが上下方向に等間隔で設けられており、各緑化パネル22と発光パネル24はガイド32a、32b・・・32eの間に装着されている。
【0022】
図2に緑化パネル22の構造を示す。緑化パネル22は、支持パネル34の前面(発光パネル24側が背面)に上下2つの貯水容器36が設けられたものであり、それぞれの貯水容器36には植栽容器38が収納されている。支持パネル34は矩形の板状体であり、上辺と下辺がそれぞれガイド32aの下溝44とガイド32bの上溝46に嵌められている。緑化パネル22は、下溝44と上溝46の間をスライドしながらガイド32a、32bに沿って水平方向に移動可能であり、ガイド32a、32bの端部から装着したり取り外したりすることができる。
【0023】
貯水容器36は、矩形の底壁48と側壁50と前壁52および後壁54で構成されている。側壁50と前壁52は底壁48に対して直交する関係にあるが、後壁54は底壁48から離れるに従って前壁52から離れる方向に後傾している。貯水容器36は後壁54が留め具56によって支持パネル34に固定されているため、底壁48が下傾するともに前壁52が前傾している。
【0024】
底壁48には排水孔58が設けられている。排水孔58は、貯水容器36の貯水量を一定量に維持するためのものであり、後壁54寄りの位置であって前壁52の上端の縁より低い位置に、一方の側壁50から他方の側壁50にかけて連続する長孔状に設けられている。貯水容器36に供給された水は排水孔58の位置までは貯水されるが、それを超えると排水孔58から排出される。上段の貯水容器36から排出された水は下段の貯水容器36に供給され、ここでも一定量に達するとさらに下段の貯水容器36に供給される。従って、流水タンク26から最上段の貯水容器36に水を供給してやれば、その下方に配された7段の貯水容器36には自動的に給水が行われる。最下段の貯水容器36から排出された水は給水タンク20に回収され、流水路28を経由して再び流水タンク26に移送される。緑化ディスプレイ装置10ではこのような給水サイクルが構築されている。
【0025】
底壁48には排水孔58に沿って導水パネル60が取り付けられている。導水パネル60は、2枚のパネルを適宜の距離をおいて平行に配したものであり、2枚のパネルの間に形成された導水空間62が排水孔58と直線状に連続している。導水パネル60は底壁48と同程度の幅を有し、先端が下段の貯水容器36の直上に至る程度の長さを有している。排水孔58から排出された水は導水パネル60によって下段の貯水容器36まで導かれるため、途中でこぼれたりして屋内の床や周辺に置かれた家具などを濡らしたりすることはない。
【0026】
植栽容器38には前壁と底壁および側壁にそれぞれ通水孔64、66、68が設けられている。これらの通水孔64、66、68は、貯水容器36の貯水水位WLより下に位置するように設けられている。植栽容器38は貯水容器36の内壁面に設けられたスペーサ70によって貯水容器36の内壁面と直接接触しないように支えられているため、貯水容器36に供給された水は通水孔64、66、68を通って植栽容器38内の植物30に摂取される。植栽容器38は貯水容器36の前壁50の前傾に合わせて前傾姿勢で収納されているため、植物30は植栽容器36の前壁より外側にはみ出し、重力の作用によって僅かに下向きの姿態となる。これに送風機18から送られる風が当たると上下左右にランダムに揺れ、見る者の注意を引くとともに気持ちを和ませる効果が生まれる。
【0027】
植栽容器38内の土が通水孔64、66、68から貯水容器36に漏れ出すことが考えられるが、水より密度の高い土は貯水容器36の底壁48と前壁52が連結する角部に溜まるので、排水孔58を詰まらせる心配はない。また、植栽容器38は貯水容器36には固定されておらず、簡単に取り外すことができるため、植物30の植え替えなどを容易に行うことができるだけでなく、予め別の品種の植物を植栽した植栽容器と簡単に交換することができる。
【0028】
発光パネル24についても、緑化パネル22と同様に、ガイド32a、32bに設けられた下溝72と上溝74の間をスライドしながらガイド32a、32bに沿って水平方向に移動可能であり、ガイド32a、32bの端部から装着したり取り外したりすることができる。発光パネル24は、内蔵された図示しない光源によってパネル全体が面発光し、前面に配された緑化パネル22を照らし出すものである。さらには至近距離から光エネルギを供給することで、植物30の光合成を促進させ、生長を助成するとともに発色性を向上させることができる。
【0029】
緑化パネル22および導水パネル60は、透光性を有する素材、例えばアクリル板などで構成することができる。アクリル板は加工性が良く、透明度が高く、さらには耐久性にも優れるので、緑化ディスプレイ装置10を安価に製作するのに適しており、また品質を長期間安定した状態に保つことができる。さらには高い透明度で植物30をクリアに見せることができるとともに、宙に浮いているような演出効果も期待できるようになる。また導水パネル60を水が上から下に流れるときの流水密度の濃淡によって発光パネル24の光を様々な方向に屈折させ、揺らぎ感を演出することもできる。
【0030】
緑化ディスプレイ装置10は本発明の一つの実施の形態であり、本発明は他の形態として実施することも可能である。特に緑化パネル22と発光パネル24の枚数は天井の高さなどに応じて決めるべきものであり、ガイド32a、32b・・・の数はこれに応じて自ずと決まるものである。また一枚あたりの緑化パネル22に設ける貯水容器36は1つでもよく、3つ以上であってもよい。また貯水容器36の底壁48に設ける排水孔は、排水孔58のように連続した長孔状のものに変えて非連続の孔を適宜の間隔で直線状に配したものとすることができる。さらに緑化ディスプレイ装置10を簡略化したものとして、発光パネル24や導水パネル60、送風機18を省略することもできる。緑化ディスプレイ装置10を屋内の壁面などに取り付ける場合には支柱12も省略可能である。この場合は壁面にガイド32a、32b・・・を直接取り付ければよい。
【符号の説明】
【0031】
10 緑化ディスプレイ装置
22 緑化パネル
24 発光パネル
30 植物
34 支持パネル
36 貯水容器
38 植栽容器
48 底壁
52 前壁
54 後壁
58 排水孔
60 導水パネル
62 導水空間
64、66、68 通水孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水孔が設けられた複数の植栽容器と、貯水とともに前記植栽容器を内側に入れた状態で支えることができる複数の貯水容器と、前記複数の貯水容器を上下に所定の間隔をおいて整列させる複数の支持パネルを備え、
前記貯水容器内の貯水水位を一定に維持するための排水孔が前記貯水容器に設けられ、上段の前記貯水容器に設けられた前記排水孔から排出された水が下段の前記貯水容器に供給される、緑化ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記貯水容器が、前傾する前壁と、前記前壁と直角をなす底壁と、前記支持パネルの表面に取り付けられる後壁を備え、前記植栽容器が前記前壁と前記底壁によって前傾した姿勢で支えられた、請求項1に記載の緑化ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記底壁の幅方向において連続的に設けられた前記排水孔と連続する空間を有し、前記排水孔から排出された水を前記空間内を通して下方に導く導水パネルを備えた、請求項2に記載の緑化ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記導水パネルによって下方に導かれた水が前記貯水容器の後壁と前記植栽容器との間から前記貯水容器に供給される、請求項3に記載の緑化ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記植栽容器、前記貯水容器および前記支持パネルに透光性素材を用いるとともに、前記支持パネルの裏面側に発光パネルを配した、請求項1乃至4の何れかに記載の緑化ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記導水パネルに透光性素材を用いた、請求項5に記載の緑化ディスプレイ装置。
【請求項7】
上下に整列された前記複数の貯水容器の下方から前記複数の植栽容器に植栽された複数の植物に送風する送風機を備えた、請求項1乃至6の何れかに記載の緑化ディスプレイ装置。
【請求項1】
通水孔が設けられた複数の植栽容器と、貯水とともに前記植栽容器を内側に入れた状態で支えることができる複数の貯水容器と、前記複数の貯水容器を上下に所定の間隔をおいて整列させる複数の支持パネルを備え、
前記貯水容器内の貯水水位を一定に維持するための排水孔が前記貯水容器に設けられ、上段の前記貯水容器に設けられた前記排水孔から排出された水が下段の前記貯水容器に供給される、緑化ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記貯水容器が、前傾する前壁と、前記前壁と直角をなす底壁と、前記支持パネルの表面に取り付けられる後壁を備え、前記植栽容器が前記前壁と前記底壁によって前傾した姿勢で支えられた、請求項1に記載の緑化ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記底壁の幅方向において連続的に設けられた前記排水孔と連続する空間を有し、前記排水孔から排出された水を前記空間内を通して下方に導く導水パネルを備えた、請求項2に記載の緑化ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記導水パネルによって下方に導かれた水が前記貯水容器の後壁と前記植栽容器との間から前記貯水容器に供給される、請求項3に記載の緑化ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記植栽容器、前記貯水容器および前記支持パネルに透光性素材を用いるとともに、前記支持パネルの裏面側に発光パネルを配した、請求項1乃至4の何れかに記載の緑化ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記導水パネルに透光性素材を用いた、請求項5に記載の緑化ディスプレイ装置。
【請求項7】
上下に整列された前記複数の貯水容器の下方から前記複数の植栽容器に植栽された複数の植物に送風する送風機を備えた、請求項1乃至6の何れかに記載の緑化ディスプレイ装置。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2012−39969(P2012−39969A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185659(P2010−185659)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(510227182)
【出願人】(509007687)
【出願人】(510226716)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(510227182)
【出願人】(509007687)
【出願人】(510226716)
【Fターム(参考)】
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