説明

緑化管理方法

【課題】緑化地域、特に、高速道路の路肩部や中央分離帯に、除草剤に対する耐性の違いを利用して地被植物の単一植生を作り出し、草刈コストを削減しながら、良好な景観を作り出す緑化管理方法を提供する。
【解決手段】特定の除草剤に対する耐性が雑草より強く、かつ成長高が低い地被植物を緑化地域に植栽し、地被植物が全面被覆するまでの間、特定の除草剤を用いて所定時期に雑草を除草することを特徴とする緑化管理方法。前記地被植物としては、テイカカズラとハイビャクシンを選ぶことができる。また、前記特定の除草剤としては、例えばビスピリバックナトリウム塩を有効成分とする液剤を用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑化地域、例えば高速道路の路肩や遮音壁前面部、中央分離帯等の特定領域の緑化管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高速道路の路肩(以下、「遮音壁前面部」を含む)や中央分離帯には、法面保護や環境、景観の向上のため、植物が植えられている。その植物は、人工的に植える場合と、道路造成前の土地に生えていた自然の植物が育成、繁茂するのをそのまま利用する場合がある。
【0003】
かかる高速道路の路肩や中央分離帯では、植物の管理を怠ると、植物の高さが、反射誘導標や距離標(以下、「距離標等」という。)が隠れるまでに成長し、車両の走行の安全性が損なわれる。そこで、距離標等の視認性を確保するために、草丈の低い草地で維持することを、管理上の基本方針としている。そのため、一般的には草丈の低い芝生で管理する方針が採用されており、張り芝を行った後、芝刈りや除草剤散布を行っていた。しかし、管理に手間と多額の経費を必要としながらも、完全に雑草の侵入を阻止することはできない。
【0004】
一部の道路では、つる性の常緑低木であるヘデラ類等のグラウンドカバープランツ(地被植物)をマルチングにより植栽して全面被覆させることで雑草の侵入を抑える方法が採用されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0005】
特許文献1には、土壌に、編み目の一辺が1mmから3mmまでの任意の長さを有する網体を広げて設置し、その土壌に芝草を植栽して芝地を形成することにより、雑草の地下茎の成長を妨げることで、芝地に生育する雑草の成長を抑制する方法が開示されている。
【0006】
特許文献2には、グラウンドカバープランツを用いて法面を緑化するに当たり、透水性、通気性、抑草性を有すると共に植物の根を通す性質を有するシート上に培養土を敷き、グラウンドカバープランツを植え付け育苗した後、生育したグラウンドカバープランツの苗をシートと共に剥がし、法面に貼り付ける緑化方法が開示されている。
【0007】
特許文献3には、マット、シートを利用し、雑草の繁茂を抑制しつつ緑化を図る工程において、緑化される部分は、雑草も生育する部分になるが、雑草の抑制機能を低下させないために、マット、シートから地中に達する根系において、マット、シート直下から数cmの幅で空気層を形成する植栽方法が開示されている。
【0008】
一方、培土の成分や構造に工夫をすることにより雑草の成長を抑制する方法も提案されている(例えば、特許文献4〜7参照)。
【0009】
特許文献4には、古紙、パルプ、ゼラチン、カゼイン、石灰の一種以上を厚さ0.1cm以上にマルチングし、その上に、芝草または地被植物の植物種子を配合した不朽性樹皮マルチ材を1cm以上重ねてマルチングすることにより、農薬を使わずに、雑草を抑制して植物種子を成長させる方法が開示されている。
【0010】
特許文献5には、建設汚泥や建設発生土等を強アルカリ性になるように加工した改良土を分離帯花壇部、車道と歩道の間の花壇部、交差緑地部、路肩、路肩法面部等の地面に、下部から植物が出てくるのを阻止できる所定厚さに押し圧固定した改良土層を形成し、その後に改良土層の上面にセダムの発芽、生育が可能で、雑草等の生育を抑制できる厚さの培土層を形成、その培土層にセダム苗またはセダム種子を植え付ける緑化舗装工法が開示されている。
【0011】
特許文献6には、土壌中に、植物の地上部の成長量を所定高さに制限できる根部の深さに透水性及び保水性を備えた固化層を形成し、その固化層の上にコウライシバ、ノシバ、シバザクラなどの被覆植物を植栽する緑化工法が開示されている。
【0012】
特許文献7には、雑草の成長を低下させるために、植物生産培地に個別粒子サイズ中央値が約100μm未満の疎水性粒状材料を少なくとも1cmの深さにまで施すことで、植物生産培地がその深さまでに疎水性粒状材料を約1重量%以上から約25重量%以下の量で含有するようにした雑草抑制方法が開示されている。
【0013】
さらに、除草を行うべき場所における雑草の成長を抑制する方法として、複数の植物を混植することが特許文献8〜11に開示されている。
【0014】
特許文献8には、除草を行うべき所望の場所における雑草の成長を抑制する雑草抑制方法として、表土に対する被覆速度が大きいソバ、コンフリー、ヘアリーベッチ、アークトセカ、ポテンティラ、シバ類、宿根バーベナ、マツバギクおよびアジュガから選ばれる少なくとも一種の先行植物を植栽した後、あるいは植栽と同時に、表土に対して安定被覆を形成しうるシバ類、シバザクラ、コトネアスター、キチジョウソウ、リュウノヒゲ、ヒガンバナ、オキザリス、ササ類およびツツジ類から選ばれる少なくとも一種の安定植物を、先行植物と混在させて植栽または播種することが開示されている。
【0015】
特許文献9には、除草を行うべき所望の場所における雑草の成長を抑制する雑草抑制方法として、吹き付け施工により、ソバもしくはコンフリーとシバ類とを混在させて植栽することが開示されている。
【0016】
特許文献10には、キク科の雑草が繁茂している除草を行うべき所望の場所における雑草の成長を抑制する雑草抑制方法として、表土に対する被覆速度が大きいソバ、コンフリー、ヘアリーベッチおよびシバ類から選ばれる少なくとも一種の先行植物を植栽した後、あるいは植栽と同時に、表土に対して安定被覆を形成しうるシバ類、シバザクラ、コトネアスター、キチジョウソウ、リュウノヒゲ、ヒガンバナ、オキザリス、シラン、ササ類およびツツジ類から選ばれる少なくとも一種の安定植物を、先行植物と混在させて植栽することが開示されている。
【0017】
特許文献11には、播種繁殖可能な多年生の草丈の低いグラウンドカバープランツの複数種の種子混合物を、被緑面化地面に播種後、増殖させて緑面化を行う方法において、種子混合物として、継続的な雑草抑制効果の主体となるムカデシバ属、ツルメヒシバ属及びミヤコグザ属の中から選択されるベース植物と、ベース植物が十分生育するまでの期間の雑草抑制効果を補うシャクジゾウ属またはアオイゴケ属から選択される先行植物との組み合わせからなるものを使用することが開示されている。
【0018】
【特許文献1】特開平9−248056号公報
【特許文献2】特開2005−328796号公報
【特許文献3】特開2006−94787号公報
【特許文献4】特開平11−18590号公報
【特許文献5】特開2004−248513号公報
【特許文献6】特開2005−54477号公報
【特許文献7】特表2006−505493号公報
【特許文献8】特開2005−73625号公報
【特許文献9】特開2005−198606号公報
【特許文献10】特開2005−198607号公報
【特許文献11】特開2005−328744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述の特許文献1〜3において開示されたような、グラウンドカバープランツをマルチングにより植栽して全面被覆させることで雑草の侵入を抑える方法では、完全被覆後の雑草侵入防止の効果は高いものの、ヘデラ類等のグラウンドカバープランツを用いる場合、全面被覆するまでの雑草防除が課題であり、全面マルチングや人力除草等を行う必要がある。したがって、全面マルチングに使用する部材が高価で、人力による除草もコストがかかる。
【0020】
また、特許文献4〜7において開示されたような、培土の成分や構造に工夫をすることにより雑草の成長を抑制する方法では、培地の成分や構造を変える必要があるので、膨大な手間とコストがかかるという問題がある。
【0021】
さらに、特許文献8〜11において開示されたような、除草を行うべき場所に複数の植物を混植する方法においては、実際に植えるべき土地の土質や環境に応じて複数の植物の選択や組み合わせを検討する必要があるので、手間とコストがかかるという問題がある。
【0022】
そこで本発明は、緑化地域、特に、高速道路の路肩部や中央分離帯に、除草剤に対する耐性の違いを利用して地被植物の単一植生を作り出し、草刈コストを削減しながら、良好な景観を作り出す緑化管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するため、本発明は、特定の除草剤に対する耐性が雑草より強く、かつ成長高が低い地被植物を緑化地域に植栽し、前記地被植物が全面被覆するまでの間、前記特定の除草剤を用いて所定時期に雑草を除草することを特徴とする緑化管理方法である。
前記地被植物としては、テイカカズラとハイビャクシンが好適である。
【0024】
本発明においては、まず除草剤に対する耐性が雑草(一年生雑草、多年生雑草を含む)より強く、かつ成長高が低い地被植物(グラウンドカバープランツ)、例えばテイカカズラやハイビャクシンの苗を植栽する。あるいは、自生しているときは、それを用いる。次に、雑草駆除に効果があり、植栽したあるいは自生している地被植物に害がないか低い種類、濃度の除草剤の散布を行うことで、地被植物の繁茂を阻害する雑草の侵入を抑えて、地被植物が全面被覆する植生を作り出す。テイカカズラ又はハイビャクシンが全面被覆して優占した後は、植物間の競争により他の雑草の侵入を抑えることが可能で、ほとんど草刈りを行うことなく除草剤のみで距離標等の視認性を確保することができる。
【0025】
前記特定の除草剤を用いて雑草を除草する時期としては、地被植物に対して雑草が占有する割合が少ない時期、あるいは、雑草の背丈が大きくなって、除草剤の使用量が増大する前の、適当な時期とすることができる。
前記特定の除草剤としては、地被植物がテイカカズラのときは、ビスピリバックナトリウム塩,テトラピオン液剤,テトラピオン粒剤,フルアジホップP乳剤,グリホサートアンモニウム塩液剤のいずれか、または、それらを組み合わせた薬剤を好適に使用することができる。
【0026】
また、地被植物がハイビャクシンのときは、前記特定の除草剤は、ビスピリバックナトリウム塩,フラザスルフロン水和剤,アシュラム液剤,トリクロピル液剤,メコプロップPカリウム塩液剤,イマザキン・ペンディメタリン水和剤,ペンディメタリン水和剤のいずれか、または、それらを組み合わせた薬剤を好適に使用することができる。
なお、本発明において、「除草剤」は、雑草を殺草あるいは成長抑制をする薬剤を総称するものであり、いわゆる除草剤のほか草刈軽減剤等をも含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、特定の除草剤に対する耐性が雑草より強く、かつ成長高が低い地被植物を緑化地域に植栽し、地被植物が全面被覆するまでの間、特定の除草剤を用いて所定時期に雑草を除草することにより、緑化地域、特に、高速道路の路肩部や中央分離帯に、除草剤に対する耐性の違いを利用して地被植物の単一植生を作り出し、草刈コストを削減しながら、良好な景観を作り出すことができる。
【0028】
このように、本発明では、除草剤等に対する強い耐性を示すテイカカズラとハイビャクシン等の地被植物を利用することにより、これまで全面マルチングや人力除草等の物理的作業によって行っていた地被植物による全面被覆を、雑草とテイカカズラ及びハイビャクシンの除草剤等に対する耐性の違いを利用した化学的作業(除草剤の散布)により可能とすることができる。
【0029】
除草剤の散布のみで管理できることから、ヘデラ類等を用いる場合に必要な、全面マルチング、人力除草費、交通規制費を節減できる。また芝生管理で行う場合に必要な、芝刈りの費用や管理作業に必要な交通規制費を削減できる。
除草剤は、除草剤散布車を用いて散布できるので、交通規制や標識の設置をする必要がないので、交通渋滞の原因を引き起こすこともなく、交通規制のための人件費などのコストが低減できる。
単一の地被植物を植栽することにより、雑草の侵入がない、統一性のある、優れた景観を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、緑化地域に植栽する地被植物として、テイカカズラとハイビャクシンを用いる。
テイカカズラは、キョウチクトウ科の常緑ツル性低木であり、広く我が国に自生している。テイカカズラは、成長が旺盛で、幹は太くなりにくく、東海地方より以西の本州、四国、九州、沖縄等の温暖地域で自生する。耐乾性、耐暑性が高いので、造成地や路肩等でも、定着性が良好である。5〜6月に開花し、秋から冬にかけて紅葉する。
【0031】
ハイビャクシンは、ヒノキ科ビャクシン属ハイビャクシンとアメリカハイビャクシンが代表的である、いずれも匍匐性の常緑低木で枝は放射状に這い広がり、地面の起伏に合わせて這い、接地点から発根して広がり、耐寒性に富み枝先は下垂する。ここでは北米西部に分布しているアメリカハイビャクシンの品種であるバーハーバが最高樹高でも20cmと低く本工法に適している。
【0032】
このテイカカズラとハイビャクシンを緑化地域に植栽すると、初め、雑草も生えてくる。それに対し、雑草のみを除草し、テイカカズラとハイビャクシンに対しては除草効果が低い除草剤として、ビスピリバックナトリウム塩液剤を用いることができることを知見した。これは2,6−ビス(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルオキシ)安息香酸ナトリウム3.0%水、界面活性剤等97.0%を有効成分とするもので、(株)理研グリーン製の「理研ショートキープ」という商品名で、草刈軽減剤として市販されている。
【0033】
このビスピリバックナトリウム塩液剤以外にも、次の薬剤を使用することができる。
テイカカズラに対しては、テトラピオン液剤(有効成分 2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸ナトリウム(30.0%):三共アグロ(株)製の商品名「フレノック液剤30」),テトラピオン粒剤(有効成分 2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸ナトリウム(10.0%):三共アグロ(株)製の商品名「フレノック粒剤10」),フルアジホップP乳剤(有効成分 ブチル=(R)−2−[4−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)フェノキシ]プロピオナート(17.5%):石原産業(株)製の商品名「ワンサイドP乳剤」),グリホサートアンモニウム塩液剤(有効成分 アンモニウム=N−(ホスホノメチル)グリシナート(41.0%):日産化学工業(株)製の商品名「ラウンドアップハイロード」)が使用できる。
【0034】
ハイビャクシンに対しては、フラザスルフロン水和剤(有効成分 1−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)−3−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジルスルホニル)尿素(10.0%):石原産業(株)製の商品名「シバゲン水和剤」),アシュラム液剤(有効成分 N’−メトキシカルボニルスルファニルアミドナトリウム(37.0%):バイエルクロップサイエンス(株)製の商品名「バイエル アージラン液剤」),トリクロピル液剤(有効成分 トリエチルアンモニウム=3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルオキシアセタート(44.0%):石原産業(株)製の商品名「石原ザイトロンアミン液剤」),メコプロップPカリウム塩液剤(有効成分 (R)−2−(4−クロロ−o−トリルオキシ)プロピオン酸カリウム(52.0%):日本曹達(株)製の商品名「一本締液剤」),イマザキン・ペンディメタリン水和剤(有効成分 (RS)−2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)キノリン−3−カルボン酸(8.50%) N−(1−エチルプロピル)−3,4−ジメチル−2,6−ジニトロアニリン(38.0%):BASFアグロ(株)製の商品名「オフIIフロアブル」),ペンディメタリン水和剤(有効成分 N−(1−エチルプロピル)−3,4−ジメチル−2,6−ジニトロアニリン(45.0%):BASFアグロ(株)製の商品名「ウェイアップフロアブル」)が使用できる。
【実施例】
【0035】
(実施例1)雑草が優先する芝生地からテイカカズラ単一植生への転換
九州自動車道 八女〜松橋間上下線の本線路肩部に生育していたイネ科雑草が優先する芝生地を、除草剤散布により路肩部総延長距離約140kmのうち、約27kmをテイカカズラの単一植生地に転換した。
上述の単一植生転換までの作業は、併用開始後〜平成9年までは芝生刈り込みと侵入雑草種に応じた除草剤散布を行った。
【0036】
平成10年〜平成15年は、雑草の中に、周辺に自生するテイカカズラも侵入していたので、芝生刈り込みおよび上述のビスビリパックナトリウム塩液剤を1000ml/10aの使用量で4月と9月頃の年2回、除草剤散布車を用いて路肩に散布した。
平成16年からは、テイカカズラの被覆割合が大きくなったため、ビスピリパックナトリウム塩液剤(1000ml/10a)の散布は継続しつつ、芝生刈り込みを中止した。
その結果、テイカカズラが全面被覆した箇所では、植物間の競争で他の雑草の侵入が抑制されている。
【0037】
ビスビリパックナトリウム塩液剤を散布する前の平成6年と、散布を開始して7年ほど経過した平成17年の本線路肩の植生を調査したところ、テイカカズラの生息箇所が大幅に増えていた。この調査結果から、テイカカズラの単一植生地に転換する手法として、ビスビリパックナトリウム塩液剤の使用が有効であることを確認した。
【0038】
(実施例2)
平成18年6月に自生繁殖しているテイカカズラに対して、また平成19年4月には植栽されたテイカカズラ苗に対して、ビスビリパックナトリウム塩液剤以外の各種除草剤を試験散布(1回実施)し、テイカカズラの除草剤耐性試験を行った。
試験散布で使用した除草剤仕様を表1に示す。また除草剤を試験区に散布して30日後、60日後において、テイカカズラの生葉数の増減傾向を調べた結果と耐性の判定結果を表2に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
この実験結果により、テイカカズラに対して耐性が大か中の、フルアジホップP乳剤,テトラピオン粒剤,グリホサートアンモニウム塩液剤,テトラピオン液剤が使用できることを確認した。
【0042】
(実施例3)
平成15年6月から平成16年11月にかけてハイビャクシンに対して各種除草剤を試験散布し、植生に対する試験を行った。
除草剤を散布した除草剤仕様を表3に示す。また、ハイビャクシンを植え付けてから(6月)、1か月後、4か月後、8か月後、11か月後、1年1月後、1年4月後に除草剤を散布し、またハイビャクシンを植え付けてから2か月後、5か月後、1年4か月後のハイビャクシンの生育状況について調べた試験結果を表4に示す。
【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
この実験結果により、ハイビャクシンの除草剤に対する耐性が大か中の、フラザスルフロン水和剤,アシュラム液剤,トリクロピル液剤,メコプロップPカリウム塩液剤,イマザキン・ペンディメタリン水和剤,ペンディメタリン水和剤、ビスピリバックナトリウム塩液剤が使用できることを確認した。
【0046】
このように、芝生刈り込みを廃止し除草剤のみの管理を試行したところ、周辺に自生するテイカカズラが繁茂して全面被覆し良好な景観を呈するようになり、草刈費の節減と景観向上の両立を図ることができた。
【0047】
以上実施例のように、テイカカズラやハイビャクシンと各種除草剤の組み合わせで、雑草管理に必要な作業や交通規制を削減でき、人件費などのコストを抑制しつつ、交通渋滞などの危険性を低減できた。
なお、テイカカズラやハイビャクシン以外でも除草剤に対して強い抵抗性を示す地被植物があるということは経験的に知られている。よって各種除草剤を試験散布すれば、同様の方法で使用可能な種を発見できる可能性がある。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、緑化地域に、除草剤に対する耐性の違いを利用して地被植物の単一植生を作り出し、草刈コストを削減しながら、良好な景観を作り出す緑化管理方法であり、特に高速道路や一般道路の路肩部や中央分離帯の特定領域の緑化管理方法として広く利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の除草剤に対する耐性が雑草より強く、かつ成長高が低い地被植物を緑化地域に植栽し、前記地被植物が全面被覆するまでの間、前記特定の除草剤を用いて所定時期に雑草を除草することを特徴とする緑化管理方法。
【請求項2】
前記地被植物は、テイカカズラである請求項1記載の緑化管理方法。
【請求項3】
前記特定の除草剤は、ビスピリバックナトリウム塩,テトラピオン液剤,テトラピオン粒剤,フルアジホップP乳剤,グリホサートアンモニウム塩液剤,から選ばれた1種以上を有効成分とする薬剤である請求項2に記載の緑化管理方法。
【請求項4】
前記地被植物は、ハイビャクシンである請求項1記載の緑化管理方法。
【請求項5】
前記特定の除草剤は、ビスピリバックナトリウム塩,フラザスルフロン水和剤,アシュラム液剤,トリクロピル液剤,メコプロップPカリウム塩液剤,イマザキン・ペンディメタリン水和剤,ペンディメタリン水和剤,から選ばれた1種以上を有効成分とする薬剤である請求項4記載の緑化管理方法。

【公開番号】特開2008−67695(P2008−67695A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208104(P2007−208104)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【出願人】(598017790)西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社 (4)
【Fターム(参考)】