説明

線光発光装置

【課題】線光発光装置、及びコンパクトで頑丈な測定機構の製作。更には、一つの装置で多種多様な照射形態を得ることを可能とする。
【解決手段】発光装置は、直線状に配置された一つ又は複数の光放射装置5と、押出形材4に挿入可能な一つ又は複数の光学部品10、12又は13とを備える。押出形材4は中空状に構成され、光を放出するための出射口6を有する。押出形材4は一体的に構成されると有利であり、組み立てが極めて簡易になる。押出形材4は開口部を有し、開口部を長手方向側面及び両端部でのみ封印する必要があるため、汚れた微粒子を搬送構造の中に容易に入り込ませない。押出形材4を用いて種々の照明処理を行うことが出来る。光放射装置を、押出形材内の溝7、7’、及び7”内の位置に可変的に挿入することができる。光学部品10、12、13を、所定位置に挿入してもよい。押出形材又は挿入部材を改造したり交換する必要がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線状に配置された光放射装置を備えた発光装置に関する。本発明はまたこのような発光装置と一つ又は複数のカメラとを備えた測定機構、及び測定面に沿って搬送されている材料ウェブの縁端をモニタして測定するための又はその材料ウェブの欠陥及び/又は斑を検出するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術には、測定面に沿って搬送されている材料ウェブ上の欠陥及び/又は斑を検出するための、線光発光装置を備えたシステムがある。本明細書において、「線光」という語は、材料ウェブ上に照明による線を作り出す光束を意味するものであり、通常この線は該ウェブを横切って通る。このようなシステムを用いて、例えば測定面に沿って高速で搬送されている紙匹を検査することが可能となり、好ましくは、一つ又は複数の線走査カメラを反射光法又は透過光法を用いて、ウェブの縁端を正確に識別したり、材料ウェブ上の輝度の差を検出して欠陥及び/又は斑(例えば、かすれ、虫や汚れた微粒子の混在等)を正確に識別する。反射光法では、発光装置及びカメラの両方を材料ウェブの同一面に配置し、透過光法では、発光装置及びカメラをウェブの別々の面に配置する。
【0003】
線光発光装置は、例えば、国際公開2004/006560号公報及び米国特許第6,880,952 B2号公報により周知である。
【特許文献1】国際公開2004/006560号公報
【特許文献2】米国特許6,880,952 B2号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、線光発光装置を製作し、ひいてはコンパクトで頑丈な構造を有する測定機構を製作することである。更なる目的は、一つの装置で可能な限り多種多様な照射形態を得ることを可能とすることである。
【0005】
この目的は請求項1に記載の装置によって達成される。従属項は本発明の有利な構成を含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置は、直線状に配置された一つ又は複数の光放射装置と一つ又は複数の光学部品とを備え、搬送構造内に配置されている。本発明によれば、上記搬送構造は押出形材を有し、上記押出形材の内部に上記光放射装置と上記一つ又は複数の光学部品とが配置される。
【0007】
上記押出形材は、好ましくは中空状に構成され、当該押出形材から光を放出するための出射口を有する。上記押出形材は、一体的に構成されると有利であり、これによって組み立てが極めて簡易になる。結果として、一体的に構成された押出形材は開口部を有し、当該開口部を長手方向側面及び両端部でのみ封印する必要があるため、汚れた微粒子を搬送構造の中に容易に入り込ませないという効果も得られる。
【0008】
押出形材は好ましくは溝又は他の固定機構を有し、この中に光放射装置及び一つ又は複数の光学部品を挿入配置する。このようにして、極めてコンパクトで頑強な構成を得る。この溝は光放射装置及び光学部品を所望の配置でしっかりと保持する。押出形材内で長手方向に配置するための固定機構とは別に追加的な固定機構を基本的に必要としない。
【0009】
本発明のさらなる局面によれば、上記光放射装置は、上記押出形材の断面の少なくとも2つの位置で上記押出形材内に配置されてもよい。このために、上記光放射装置を上記押出形材の上記光出射口からの少なくとも2つの距離の間で可変的に配置できるように、上記溝が上記押出形材内に配置されてもよい。これにより、光放射装置は、他の光学部品に対して及び測定面に対して、理想的な幾何学的条件を満たすように配置できるという効果が得られる。この点に関して、この局面では、押出形材の使用を前提としておらず、むしろ、このような多様性は他の搬送構造においても得られるということに注目すべきである。
【0010】
上記光放射装置はまた、角度位置に関して可変的に配置することができる。このために、溝又は他の固定機構が、上記光放射装置を上記押出形材からの光の放射主方向に対して少なくとも2つの異なる角度位置に配置できるように、上記押出形材内に配置されてもよい。上記異なる角度位置のための上記溝は好ましくは、上記光放射装置の放射主方向を、上記押出形材からの上記光の放射主方向(以下、「角度差」と称する)に対して選択的に0°又は90°とすることができるように、上記押出形材内に配置される。
【0011】
角度差が90°の場合、特に光放射装置が押出形材の片側に密接するように配置される場合、光放射装置から光の出射口までの光路を押出形材の外部にまで延ばすことが出来る。他の角度差を用いることもできるが、90°の角度差は、略矩形の断面をもつ押出形材にとって良い選択である。
【0012】
全体としてこの装置は調節可能であるという点では、所定の角度差が得られるように光放射装置を配置する場合、光放射装置から発せられる光を反射して光が押出形材、すなわち、押出形材の出射口から所望の光放射主方向に出射するように、鏡面板、散乱鏡面板又は反射型梨地ガラス板をさらに設ける必要がある。このために、鏡面板、散乱鏡面板、又は反射型梨地ガラス板を押出形材内に配置するために適切な溝又は固定手段を押出形材に設けてもよい。
【0013】
本発明の更なる局面によれば、光学板(例えば、光学的に透明なディスク又は半透明のつや消しディスク)又はロッドレンズを上記押出形材の出射口の領域の長手方向に、同様の位置で選択的に配置するように、押出形材を構成してもよい。このようにすることで、調節の可能性がさらに増す。このために、ロッドレンズあるいは光学板を選択的に受け入れることができるように、溝による割り込みを有する円弧形状の面を押出形材の出射口の領域に設けることが好ましい。
【0014】
一つの同じ押出形材を異なる照明処理に用いることができるということが明らかとなる。光放射装置を、押出形材内の溝内の位置に可変的に挿入することができる。さらに、理想的な光学部品を選択してそれらのために設けられた所定位置に挿入してもよい。これにより、押出形材又は挿入部材(光放射装置及び他の光学部品)を改造したり交換したりする必要はなく多数の異なる方法で用いることができるモジュールシステムが得られる。
【0015】
上記押出形材はさらに、カメラシステムを作動させるときに上記カメラを調節するために用いることのできる較正装置を固定するためのリブ又は他の固定手段を備えていてもよい。
【0016】
本発明のさらに別の局面によれば、反射の入射角度付近の比較的小さい角度領域で入射光の大部分を散乱反射する散乱鏡面板又は反射型梨地ガラス板が、光放射装置の後ろに押出形材からの光の出射口と隔てて、光の光路に沿って配置される。本明細書において、「散乱反射」という語は通常の鏡によって生じる種類の反射は得られないが、散乱コーン(scattering cone)が反射の入射角度付近に存在することを意味する。そのため、本発明のこの散乱鏡面板は、アルミニウム−ブロンズでコーティングされた板、つや消し面(例えば、つや消し白色の表面)を有する板、つや消しバライトでコーティングされた板又はビード・コーティングされた板であることが好ましい。これにより、光の散乱は的確に押出形材の内部で生じるので、光が押出形材から出射するときにはその光はすでに極めて均質であるという効果が得られる。
【0017】
本発明のこの局面は、例えば、電気光学素子又はLEDを使用することが重要であり、電気光学素子又はLEDは、(例え、線に沿って配置されているとしても)基本的には点光源にすぎないため均質の線光を事前に生成しない。この局面もまた押出形材の使用を前提としておらず、むしろ、一層均質な線光を生成するためのこの手段が他の搬送機構においても実行されうるということに注目すべきである。
【0018】
透明な光学的なディスク、半透明のつや消しディスク、或いは拡散板又はロッドレンズを、押出形材からの光の出射口の領域に配置してもよい。特に、高い光出力を選択したいのか、極めて均質な照射を選択したいのかによって、適切な光学部品の選択がなされる。例えば、透過光法では高い光出力が選択される傾向にあり、反射光法では均質な照射が選択される傾向にある。しかしながら、用途によって逆の条件が所望される場合もある。
【0019】
本発明によれば、各光放射装置は、回路基板を備えていることが好ましく、この回路基板には電気光学素子又はLED又は他の照明手段が直線状に配置されることが好ましい。光放射装置の全長が直列に組み立てられた回路基板の数とそれぞれの長さによって決まるように、上記回路基板は、モジュール方式で構成されると有利であろう。例えば、長さ1000mmの押出形材を想定すると、挿入される回路基板によって、150mm、300mm、450mm、600mm、750mm、又は900mmの幅を持つ光の線を生成することができる。従って、測定処理によって実際に必要な領域のみを可変的に照射することができ、このために同一の押出形材を用いることが可能となる。他の測定処理では、押出形材を長くすることで、例えば幅1500mmの光の線を生成することができる。
【0020】
このモジュール化のために、光放射装置は、隣接する各端部にプラグ接続可能なコネクタを有することが有利であり、接続線を介して押出形材の一つの面から全ての光放射装置が電流の供給を受けかつ/又は制御されてもよい。さらに、光放射装置は、隣接する光放射装置にプラグ接続可能なコネクタを介して接続される介在挿入部材に介在されることで、押出形材の一つの面から接続線を介して全ての光放射装置が電流の供給を受けかつ/又は制御されてもよい。こうような介在挿入部材は、例えば、必ずしもウェブの中心領域ではなく材料ウェブの縁端のみを照射するべきときに有利である。この場合、介在挿入部材は単に、押出形材の各端部領域に配置された光放射装置間のプラグ接続可能なコネクタ又はスペーサとしての役割を果たす。
【0021】
重複効果が端部領域では減少するため、光強度は基本的には直線状の照射領域の端部で減少する。この影響を補償するため、本発明によれば、押出形材の端部に光放射装置が配置された場合、電気光学素子間の空間又はLED間の空間を端部に向かうにしたがって連続的に狭くすることで、端部領域でも均質な照射を得る。他の選択肢として又はさらに、電気光学素子又はLEDは、端部に向かうにしたがって高い光出力を行うことで、端部領域でも均質の照射を得る。
【0022】
本発明のさらなる他の局面によれば、一つ又は複数の内部コンジットを押出形材内に備えて、熱を放散するための冷却水をその内部コンジット中に通してもよい。このために、エンドピースによって押出形材の一端で相互に連結した少なくとも2つの内部コンジットを設けて、第1の内部コンジットを冷却水の供給ラインとして用い、第2の内部コンジットを冷却水の排出ラインとして用いてもよい。従って、コンジットは、冷却水を供給する装置と押出形材の一端でのみ連結されるという利点を持つ。
【0023】
内部コンジットの代わりに、細長いパイプをU字形状に折り曲げて、押出形材内に備えてもよい。このようなU字形状のパイプの2つのアームが押出形材の相互に向かい合った内部面に支えられ、内部面をU字形状のパイプの形状に対応するよう変形させてパイプへの熱伝導を高める。
【0024】
最後に、他の選択肢として又はさらに冷却フィンが押出形材の外面に設けられて、簡易だが効率的な冷却を行なうことができる。
【0025】
本発明に係る測定機構は、上記発光装置と、一つ又は複数のカメラ、詳細には線走査カメラとを備え、上記発光装置及び上記一つ又は複数のカメラは測定面の方向に向けられる。
【0026】
上記測定面に沿って搬送されている材料ウェブのウェブ縁端をモニタするあるいは欠陥及び/又は斑を検出するための本発明に係るシステムは、このような測定機構と、上記一つ又は複数のカメラからのデータを分析して、上記欠陥及び/又は上記斑を正確に識別しあるいは上記材料の上記ウェブのウェブ縁端位置又は上記材料のウェブ幅をモニタするための測定装置とを備える。
【0027】
本発明を、添付の図面を参照して、好ましい実施形態を基にして以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る線光発光装置1を備えたシステムであって、反射光法によって材料ウェブの縁端をモニタし又は材料ウェブ上の欠陥及び/又は斑を検出するためのシステムを示す図である。この装置は、線光つまり光束を材料ウェブ2上に作り、該線光つまり光束は材料ウェブ2を横切って通る照明による線を材料ウェブ2上に作る。このようなシステムは、例えば、測定面に沿って高速で搬送される紙匹を少なくとも1つの線走査カメラ3を用いて検査して材料ウェブ上の輝度の差を検出することで、反射光法又は透過光法によって欠陥及び/又は斑を識別することを可能とする。
【0029】
線光発光装置1はまた、透過光法にも用いることが出来る。図2は、本発明のさらなる実施形態に係る本発明の装置1を備えたシステムであって、透過光法で材料ウェブの縁端をモニタし又は材料ウェブ上の欠陥及び/又は斑を検出するためのシステムを示す図である。この装置1は材料ウェブ2の下方に配置され、2つのカメラ3の方向に、上方に向けて線光を送出する。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に係る線光発光装置のための、好ましくはアルミニウム製の押出形材4を示しており、この押出形材4に適切な挿入部材が設けられることを示す図である。図5乃至図8は同一の実施形態に係る押出形材4を各々示し、押出形材の内部に備えた適切な挿入部材又はこの挿入部材の適切な配置を4つの異なる変形例で示す図である。
【0031】
本発明に係る発光装置は、光放射のための直線状に配置された一つ又は複数の光放射装置5と、一つ又は複数の光学部品とを備えており、これらは押出形材4に挿入される。押出形材4は例示的実施形態において中空状に構成され、押出形材4からの光を放出するための出射口6を有する。押出形材は一体的に構成されると有利であり、これによって組み立てが極めて簡易になる。これによって、結果として、一体的に構成された押出形材は開口部を有し、当該開口部を長手方向側面又は両端部でのみ封印する必要があるため、汚れた微粒子を搬送構造の中に容易に入り込ませないという効果も得られる。
【0032】
図示された例示的実施形態において、押出形材4は溝7、7’、及び7”を有し、この中に光放射装置5及び一つ又は複数の光学部品を挿入して押出形材4内の別々の適切な位置に配置することができる。このようにして、極めてコンパクトで頑強な構造を得る。この溝7、7’、及び7”は光放射装置及び光学部品を所望の配置でしっかりと保持する。押出形材内で長手方向に配置するための固定機構とは別に追加的な固定機構を備える必要は基本的にない。
【0033】
光放射装置を押出形材の光の出射口6からの少なくとも2つの距離の間で可変的に配置できるように(図7と図8を比較のこと)、溝7’及び7”が押出形材内に配置される。このために、7’で示される位置の向かい合った両溝の間の距離は、7” で示される位置の向かい合った両溝の間の距離と等しく、よって光放射装置の同じ回路基板17をどちらの位置にも挿入できる。これにより、光放射装置を、他の光学部品に対して及び測定面すなわち材料ウェブ2に対して、理想的な幾何学的条件を満たすように配置できるという効果が得られる。
【0034】
例示的実施形態において、光放射装置はまた、角度位置に関して可変的に配置される。このために、溝7は、光放射装置を押出形材からの光の放射主方向に対して2つの異なる角度位置に配置できるように、押出形材内に配置される。このために、光放射装置5の放射主方向8が、押出形材からの光の放射主方向9に対して任意に0°又は90°とすることが出来る(図6を参照のこと、この図では90°の角度差を示している)ように、溝7、7’及び7”は、押出形材内に配置される。符号7(図6)で示す位置の向かい合った両溝の間の距離は、符号7’(図8)又は符号7”(図7)で示す位置の向かい合った両溝の間の距離と等しく、よって光放射装置の同じ回路基板17をこれらのすべての位置に可変的に挿入することができる。
【0035】
図6に示す例示的実施形態におけるように、角度差が90°の場合、特に光放射装置が押出形材の片側(図6では右側)に密接するように配置される場合、光放射装置から光の出射口までの光路を押出形材の外部にまで延ばすことが出来る。他の角度差を用いることもできるが、90°の角度差は、略矩形の断面をもつ押出形材にとって最適である。
【0036】
全体としてこの装置は調節可能であるという点で、所定の角度差が得られるように光放射装置5を配置する場合、光放射装置から発せられる光を反射して所望の光放射主方向9に光が押出形材から出射するように、鏡面板、散乱鏡面板10又は反射型梨地ガラス板をさらに備える必要がある。このために、鏡面板、散乱鏡面板10、又は反射型梨地ガラス板を押出形材内に配置するために適切な溝11又は固定手段を押出形材に備えていてもよい。
【0037】
本発明のさらなる局面によると、光学板12(例えば、光学的に透明なディスク又は半透明のつや消しディスク)又はロッドレンズ13を押出形材の出射口6の領域の長手方向に、選択的に同様の位置(図4参照)に配置するように、押出形材を構成してもよい。このようにすることで、調節の可能性がさらに増す。このために、ロッドレンズ13あるいは光学板12を択一的に受け入れることができるように、溝15による割り込みを有する円弧形状の面14を押出形材の出射口6の領域に備えることが好ましい。
【0038】
ロッドレンズ13を使用する場合は、押出形材4の中空の空間を、組立て工程中に溝15の各々にゴム製のシール剤を入れることでシールしてもよい。光学板が用いられる場合にも、このようにゴム製のシール剤でシールしてもよく、この場合ゴム製のシール剤を相応に小さくなるように構成する。
【0039】
一つの同じ押出形材を異なる照明処理に用いることができるということが明らかとなる。光放射装置を、押出形材内の溝7、7’、及び7”内の位置に可変的に挿入することができる。さらに、理想的な光学部品を選択してそれらのために設けられた所定位置に挿入してもよい。これにより、押出形材又は挿入部材(光放射装置及び他の光学部品)を改造したり交換したりする必要はなく多数の異なる方法で用いることができるモジュールシステムが得られる。
【0040】
本発明のさらなる別の局面によれば、反射の入射角度付近の比較的小さい角度領域で入射光の大部分を散乱反射する散乱鏡面板10又は反射型梨地ガラス板が、光放射装置5の後ろに、押出形材からの光の出射口6から隔てて、光の光路に沿って配置される。本明細書において、「散乱反射」という語は通常の鏡によって生じる種類の反射は得られないが、散乱コーンが反射の入射角度付近に存在するということを意味する。そのため、本発明のこの散乱鏡面板は、アルミニウム−ブロンズでコーティングされた板、つや消し面を有する板の表面(例えば、つや消し白色面)、つや消しバライトでコーティングされた板又はビード・コーティングされた板であることが好ましい。これにより、光の散乱が的確に押出形材の内部で生じるので、光が押出形材から出射するときにはその光はすでに極めて均質であるという効果が得られる。
【0041】
本発明のこの局面は、例えば、電気光学素子又はLED16を使用することが重要であり、電気光学素子又はLED16は、(例え、線に沿って配置されているとしても)基本的には点光源にすぎないため均質の線光を事前に生成しない。
【0042】
透明な光学的なディスク12’、半透明のつや消しディスク12、或いは拡散板又はロッドレンズ13を、押出形材からの光の出射口6の領域に配置してもよい。特に、高い光出力を選択したいのか、極めて均質な照射を選択したいのかによって、適切な光学部品の選択がなされる。例えば、透過光法では高い光出力が選択される傾向にあり、反射光法では均質な照射が選択される傾向にある。しかしながら、用途によって逆の条件が所望される場合もある。
【0043】
本発明によれば、各光放射装置は、回路基板17を備えていることが好ましく、この回路基板には電気光学素子又はLED16が直線状に配置されることが好ましい。光放射装置5の全長が直列に組み立てられた回路基板17の数とそれぞれの長さによって決まるように、前記回路基板17は、モジュール方式で構成されると有利であろう。例えば、長さ1000mmの押出形材を想定すると、挿入される回路基板によって、150mm、300mm、450mm、600mm、750mm、又は900mmの幅を持つ光の線を生成することができる。従って、測定処理によって実際に必要な領域のみを可変的に照射することができ、このために同一の押出形材を用いることが可能となる。他の測定処理では、押出形材を長くすることで、例えば幅1500mmの光の線を生成することができる。
【0044】
このモジュール化のために、光放射装置5は、隣接する各端部にプラグ接続可能なコネクタ(図示せず)を有することが有利であり、押出形材の片面から接続線を介して全ての光放射装置が電流の供給を受けかつ/又は制御されてもよい。さらに、複数の光放射装置5は、隣接する複数の光放射装置にプラグ接続可能なコネクタを介して接続される介在挿入部材(図示せず)に介在されることで、押出形材の片面から接続線を介して全ての光放射装置が電流の供給を受けかつ/又は制御されてもよい。こうような介在挿入部材は、例えば、必ずしもウェブの中心領域ではなく材料ウェブ2の縁端のみを照射するべきときに有利である。この場合、介在挿入部材は単に、押出形材の各端部領域に配置された光放射装置間のプラグ接続可能なコネクタ又はスペーサとしての役割を果たす。
【0045】
重複効果が端部領域では減少するため、光強度は基本的には直線状の照射領域の端部で減少する。この影響を補償するため、本発明によれば、押出形材の端部に光放射装置を配置する場合、電気光学素子間の空間又はLED16間の空間を端部に向かうにしたがって連続的に狭くすることで、端部領域でも均質な照射を得る。他の選択肢として又はさらに、電気光学素子又はLED16は、端部に向かうにしたがって高い光出力を行うことで、端部領域でも均質の照射を得る。
【0046】
本発明のさらなる他の局面によれば、一つ又は複数の内部コンジット18、18’を押出形材4内に設けて、熱を放散するための冷却水を中に通してもよい(図4参照)。このために、少なくとも2つの内部コンジット18、18’を設けて、これらをエンドピース(図示せず)によって押出形材の一端で相互に連結することで、第1の内部コンジット18を冷却水の供給ラインとして用い、第2の内部コンジット18’を冷却水の排出ラインとして用いてもよい。従って、コンジットは、冷却水を供給する装置と押出形材の一端でのみ連結されるという利点を持つ。
【0047】
内部コンジットの代わりに、細長いパイプ又はチューブ(図示せず)をU字形状に折り曲げて、押出形材内に備えてもよい。このようなU字形状のパイプの2つのアームが押出形材の相互に向かい合った内部面に支えられ、内部面をU字形状のパイプの形状に対応させてパイプへの熱伝導を高める。
【0048】
最後に、他の選択肢として又はさらに冷却フィンが押出形材の外面に設けられて、簡易だが効率的な冷却を行なうことができる。この場合、ファンをさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係る線光発光装置を備えたシステムであって、反射光法によって材料ウェブの縁端をモニタし又は材料ウェブ上の欠陥及び/又は斑を検出するためのシステムを示す図
【図2】本発明のさらなる実施形態に係る線光発光装置を備えたシステムであって、透過光法で材料ウェブの縁端をモニタし又は材料ウェブ上の欠陥及び/又は斑を検出するためのシステムを示す図
【図3】本発明の実施形態に係る、種々の考えられる挿入部材を備えた線光発光装置の押出形材を示す図
【図4】本発明の実施形態に係る線光発光装置の押出形材の断面を示す図
【図5】本発明の実施形態に係る、考えられる挿入部材の第1の変形体を備えた線光発光装置の押出形材を示す図
【図6】本発明の実施形態に係る、考えられる挿入部材の第2の変形体を備えた線光発光装置の押出形材を示す図
【図7】本発明の実施形態に係る、考えられる挿入部材の第3の変形体を備えた線光発光装置の押出形材を示す図
【図8】本発明の実施形態に係る、考えられる挿入部材の第4の変形体を備えた線光発光装置の押出形材を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に配置された一つ又は複数の光放射装置(5)と、一つ又は複数の光学部品(10、12、12’、13)とを備え、搬送構造内に配置された発光装置であり、
前記搬送構造は押出形材(4)を含み、当該押出形材の内部に前記光放射装置(5)と前記一つ又は複数の光学部品(10、12、12’、13)とが配置されることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記押出形材(4)は、中空でありかつ当該押出形材(4)からの光を放出するための出射口(6)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記押出形材(4)は一体的に構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記押出形材は複数の溝(7、7’、7”、11、15)を有し、前記複数の溝に前記光放射装置(5)と前記一つ又は複数の光学部品(10、12、12’、13)とを挿入することによりこれらを前記押出形材内に配置することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記押出形材(4)は、前記光放射装置(5)を前記押出形材の断面の少なくとも2つの位置で当該押出形材内に配置できるように構成されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記複数の溝(7’、7”)が、前記光放射装置を前記押出形材の前記光出射口(6)からの少なくとも2つの距離の間で可変的に配置できるように、前記押出形材内に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の溝(7、7’、7”)が、前記光放射装置を前記押出形材からの光の放射主方向(9)に対して少なくとも2つの異なる角度位置に配置できるように、当該押出形材内に配置されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記異なる角度位置のための前記複数の溝(7、7’、7”)は、前記光放射装置の放射主方向を、前記押出形材からの前記光の放射主方向に対して任意に0°又は90°とすることができるように、当該押出形材内に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記押出形材は、光学板(12、12’)又はロッドレンズ(13)を前記押出形材の前記出射口(6)の領域の同じ位置に選択的に配置できるように構成されていることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記ロッドレンズ(13)を受け入れるための円弧形状の面(14)を前記押出形材の前記出射口(6)の領域に配置し、前記円弧形状の面は前記溝(15)による割り込みを有して代替的に前記光学板(12、12’)を受け入れ可能とすることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記光放射装置の前記放射主方向(8)を前記押出形材からの前記光の放射主方向(9)とを一致させるように前記光放射装置によって発せられる光を反射する鏡面板、散乱鏡面板(10)又は反射型梨地ガラス板を配置するための前記溝(11)又は固定手段が前記押出形材(4)に設けられることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
反射の入射角度付近の比較的小さい角度領域で入射光の大部分を散乱反射する前記散乱板(10)又は前記反射型梨地ガラス板が、前記光放射装置(5)の後ろに前記押出形材からの光の前記出射口(6)から隔てて、光の光路に沿って配置されることを特徴とする、特に請求項1乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記散乱鏡面板(10)又は前記反射型梨地ガラス板は、アルミニウム−ブロンズでコーティングされた板、つや消し面を有する板、つや消しバライトでコーティングされた板、又はビード・コーティングされた板であることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
透明な光学的ディスク(12’)、半透明のつや消しディスク(12)あるいは拡散板又は前記ロッドレンズ(13)は、前記押出形材からの光の前記出射口(6)の領域に配置されることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記光放射装置は各々回路基板(17)を備え、好ましくは前記回路基板には電気光学素子又はLED(16)が直線状に配置されることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記光放射装置の全長が直列に組み立てられた前記回路基板(17)の数とそれぞれの長さによって決まるように、前記光放射装置のための前記回路基板はモジュール方式で構成されることを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
複数の前記光放射装置は、隣接する各端部にプラグ接続可能なコネクタを備えることにより、接続線を介して前記押出形材の片面から全ての前記光放射装置が電流の供給を受けかつ/又は制御されうることを特徴とする、請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
複数の前記光放射装置は、隣接する前記光放射装置にプラグ接続可能なコネクタを介して接続される介在挿入部材に介在されることで、前記押出形材の片面から接続線を介して全ての前記光放射装置が電流の供給を受けかつ/又は制御されうることを特徴とする、請求項1乃至17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記押出形材の端部に前記光放射装置が配置される場合、前記電気光学素子間の空間又は前記LED(16)間の空間を前記端部に向かうにしたがって連続的に狭くすることで、端部領域でも均質な照射を得ることを特徴とする、請求項1乃至18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記押出形材の前記端部に前記光放射装置が配置される場合、前記電気光学素子又は前記LED(16)が前記端部に向かうにしたがって高い光出力を行って前記端部領域でも均質な照射を得るように制御装置による制御が行われうることを特徴とする、請求項1乃至19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
一つ又は複数の内部コンジット(18、18’)を前記押出形材内に設け、当該コンジットに熱を消散するための冷却水を中に通すことを可能とすることを特徴とする、請求項1乃至20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
少なくとも2つの前記内部コンジット(18、18’)を設け、エンドピースによって前記押出形材の一端で当該コンジットを相互に連結して、第1の内部コンジット(18)を冷却水の供給ラインとして用い、第2の内部コンジット(18’)を冷却水の排出ラインとして用いることができることを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記押出形材の一端でU字形状に曲げられた細長いパイプを前記押出形材内に配置して、熱を放散するための冷却水を中に通すことを可能とすることを特徴とする、請求項1乃至22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記U字形状パイプの2つのアームは前記押出形材の相互に向かい合った内部面に支えられることを特徴とする、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記内部面を、前記U字形状パイプの形状に対応させて前記パイプへの熱伝導を高めることを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記押出形材は外面に冷却フィンを備えることを特徴とする、請求項1乃至25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
前記押出形材は較正装置を固定するための溝又は固定機構を備えることを特徴とする、請求項1乃至26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
請求項1乃至27のいずれかに記載の前記発光装置と、一つ又は複数のカメラ(3)、詳細には線走査カメラとを備える測定機構であって、前記発光装置及び前記一つ又は複数のカメラ(3)が測定面の方向に向けられる、測定機構。
【請求項29】
測定面に沿って搬送されている材料ウェブ(2)のウェブ縁端又はウェブ幅をモニタし又は欠陥及び/又は斑を検出するためのシステムであって、前記システムは、請求項28に記載の前記測定機構と、
前記一つ又は複数のカメラ(3)からのデータを分析して、前記欠陥及び/又は前記斑を正確に識別するための測定装置とを備えることを特徴とするシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−273456(P2007−273456A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−51395(P2007−51395)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(506399251)テックスマグ ゲーエムベーハー フェアトリーブスゲゼルシャフト ゲーエムベーハー (4)
【氏名又は名称原語表記】Texmag GmbH Vertriebsgesellschaft GmbH
【住所又は居所原語表記】Zehntenwegstrasse 17 8800 Thalwil Switzerland
【Fターム(参考)】