線条材の洗浄乾燥装置
【課題】洗浄液中に溶解しきらずに洗浄液面に浮上した浮遊物による線条材の汚染を低減する。
【解決手段】線条材に付着する付着物を洗浄液によって除去する洗浄ユニットと、該洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に付着した前記洗浄液を除去する乾燥ユニットとを備えた線条材の洗浄乾燥装置であって、前記洗浄ユニットは、前記洗浄液を貯留する洗浄槽と、前記洗浄槽内の洗浄液面を、前記線条材が大気中から前記洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所を含む進入領域と、前記線条材が前記洗浄液から前記大気中に出る際に前記洗浄液面と交差する箇所を含む進出領域とに分離して、前記線条材から除去されて前記進入領域の前記洗浄液面に浮遊する前記付着物が前記進出領域に流れ込むのを阻止する分離阻止体とを備えている。
【解決手段】線条材に付着する付着物を洗浄液によって除去する洗浄ユニットと、該洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に付着した前記洗浄液を除去する乾燥ユニットとを備えた線条材の洗浄乾燥装置であって、前記洗浄ユニットは、前記洗浄液を貯留する洗浄槽と、前記洗浄槽内の洗浄液面を、前記線条材が大気中から前記洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所を含む進入領域と、前記線条材が前記洗浄液から前記大気中に出る際に前記洗浄液面と交差する箇所を含む進出領域とに分離して、前記線条材から除去されて前記進入領域の前記洗浄液面に浮遊する前記付着物が前記進出領域に流れ込むのを阻止する分離阻止体とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線条材の洗浄乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
線条材、例えば絶縁電線に用いられる導体金属心線(以下導体と呼ぶ)の表面は、伸線工程や圧延工程において発生したその金属特有の金属粉や、同工程で使用する加工用潤滑剤などが表面に付着している。電気的特性の要請から絶縁層の厚さは薄膜化の一途をたどっており、導体表面に付着している金属粉が除去されないまま絶縁塗料を塗布すると、絶縁性能の低下を招くことが指摘されている。
【0003】
また金属条やリードフレームなどのフープ材は、圧延ののち必要に応じてプレス加工されるが、圧延工程並びにプレス工程において発生したその金属特有の金属粉や、同工程で使用する加工用潤滑剤などが表面に付着していると、後続の、例えばめっき工程などでめっき不良が発生するなどの問題点が指摘されている。
【0004】
図6に示すように、従来の線条材の洗浄工程にあっては、線条材4を加工する際に鉱物油や水溶性潤滑液等の加工用潤滑剤を線条材4に塗布して加工装置2で加工を行い、当該加工後に線条材4を洗浄液が貯留された洗浄槽7に浸漬して洗浄する。かかる洗浄工程に次いでエアブロー装置8によりエアを吹き付けて洗浄液を除去し、さらに乾燥装置9により線条材4を乾燥して巻取りドラム3に巻き取って次工程に送る作業が行われていた。このような線条材4の洗浄に有機溶剤を用いた洗浄方法もしくは洗浄装置は、例えば特許文献1、2、3(従来技術1という)に開示されている。また、加工油を洗浄する洗浄液として、水の電気分解によって得られるイオン成分を含む液体(以下、電解水と呼ぶ)を用いる方法が、特許文献4、5(従来技術2という)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4324767号公報
【特許文献2】特許第3232149号公報
【特許文献3】特開2001−198638号公報
【特許文献4】特開2005−230632号公報
【特許文献5】特開2005−324143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術1にかかる問題点は、乾燥時に線条材表面から有機溶剤を除去する際に有機溶剤が飛散、揮発することである。揮発した有機溶剤は所謂VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)として大気中に拡散するが、これは光化学オキシダントの原因となる可能性が有り、大気汚染を引き起こす恐れがある。大気中に拡散したVOCを回収するためには、VOCの何百倍、何千倍といった体積の大気を吸引してVOCを分離しなければならず、大規模な設備が必要となる。
【0007】
従来技術2にかかる問題点は、洗浄時に除去された加工油が洗浄液に完全には溶解せず、一部は液面に浮上するため、線条材が洗浄液の液面から大気中に出る際に高濃度の加工油を付着させてしまう恐れがあることである。
【0008】
本発明の目的は、かかる問題点に鑑み、簡易な構造でありながら、洗浄液中に溶解しき
らずに表面に浮上した浮遊物による線条材表面の汚染を低減することが可能な線条材の洗浄乾燥装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施の形態によれば、線条材に付着する付着物を洗浄液によって除去する洗浄ユニットと、該洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に付着した前記洗浄液を除去する乾燥ユニットとを備えた線条材の洗浄乾燥装置であって、前記洗浄ユニットは、前記洗浄液を貯留する洗浄槽と、前記洗浄槽内の洗浄液面を、前記線条材が大気中から前記洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所を含む進入領域と、前記線条材が前記洗浄液から前記大気中に出る際に前記洗浄液面と交差する箇所を含む進出領域とに分離して、前記線条材から除去されて前記進入領域の前記洗浄液面に浮遊する前記付着物が前記進出領域に流れ込むのを阻止する分離阻止体とを備えている線条材の洗浄乾燥装置が提供される。
【0010】
好ましくは、前記洗浄ユニットは、前記線条材に付着する付着物の大部分を洗浄によって除去する粗洗浄ユニットと、該粗洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に残留する付着物を洗浄によって除去する仕上げ洗浄ユニットとから構成され、前記粗洗浄ユニットまたは前記仕上げ洗浄ユニットのいずれかまたは両方に、前記分離阻止体が備えられている。
【0011】
また、好ましくは、前記分離阻止体は、内部に前記線条材が通る線条材通路を有する筒状体であって、前記進出領域の交差する箇所に挿入され、挿入により前記線条材通路内に入り込む洗浄液の洗浄液面と前記線条材通路外の洗浄液面とを前記筒状体の壁によって分離するように構成されている。
【0012】
また、好ましくは、前記線条材通路に清浄な洗浄液を供給するようにする。
【0013】
また、好ましくは、前記清浄な洗浄液の流量を、前記洗浄液を供給しない場合に前記線条材が持ち出す液量の2倍以上とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な構成でありながら、洗浄液中に溶解しきらずに洗浄液面に浮上した浮遊物による線条材の汚染を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる線条材の洗浄乾燥装置とその周辺の装置全体を示した第1の実施の形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる、洗浄ユニットの一部を詳細に示した側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる、洗浄ユニットの一部を詳細に示した上面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる、乾燥ユニットの側面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる、線条材の洗浄乾燥装置とその周辺の装置全体を示した実施形態を示す側断面図である。
【図6】従来の洗浄乾燥装置とその周辺の装置全体を示した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の一実施の形態について説明する。
【0017】
線条材の洗浄乾燥装置は、機械加工装置により加工された線条材を洗浄する洗浄槽を有
する洗浄ユニットと、この洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に付着した洗浄液を除去する乾燥ユニットとを備える。洗浄ユニットでは、線条材を液体槽に浸漬して、水系の洗浄液を用いて前記線条材表面に付着した加工油などの付着物を除去する。乾燥ユニットでは、洗浄ユニットで付着した洗浄液を線条材表面から除去して乾燥表面を得る。
【0018】
通常、洗浄槽の洗浄液のうち或る量が、線条材の表面に付着した状態で、洗浄ユニットから引き上げられる。このとき、洗浄槽の洗浄液面に、洗浄によって除去された付着物としての加工油が浮遊していると、線条材の引き上げ時に線条材4の表面に再付着する。従って、線条材が洗浄液から大気中に出る際に洗浄液面と交差する箇所では、洗浄液面には加工油が浮遊していないようにしなければならない。
【0019】
発明者らは、鋭意検討の結果、線条材から除去され加工油は、線条材が洗浄液に進入する点に近いほど多く、その点の近傍で浮遊している加工油が、線条材が洗浄液面から大気中に出る位置の近傍まで移動して来て、線条材が洗浄液面から出る際に線条材に付着することを見出した。この知見より、線条材が洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所と、線条材が洗浄液から出る際に洗浄液面と交差する箇所との間の、液面を分離することで、浮上する加工油などの浮遊物の流通を遮断することが可能となり、線条材の再汚染を劇的に低減できることが明らかとなった。
【0020】
そこで、本発明の一実施の形態では、前記洗浄ユニットの洗浄槽に、洗浄液面を分離して浮遊物の流通を阻止する分離阻止体を設けている。この分離阻止体は、洗浄槽内の洗浄液面を、線条材が大気中から洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所を含む進入領域と、線条材が洗浄液から大気中に出る際に洗浄液面と交差する箇所を含む進出領域とに分離して、線条材表面から除去されて進入領域の洗浄液面に浮遊する浮遊物が進出領域に流れ込むのを阻止するようになっている。
【0021】
このような構成により、洗浄ユニットから線条材の引き上げ時に、線条材の表面が浮遊物に再汚染されることがなく、清浄な線条材を乾燥ユニットに送ることができる。
【0022】
次に、本発明にかかる線条材の洗浄乾燥装置の一実施の形態を図面を用いて具体的に説明する。
【0023】
1.第1の実施の形態
[洗浄乾燥装置]
図1は、本発明にかかる線条材の洗浄乾燥装置とその周辺の装置全体を示した実施形態の側断面図である。
【0024】
洗浄乾燥装置1の前段には加工装置2として、線条材4に鉱物油や水溶性潤滑液等の加工用潤滑剤を塗布してプレス加工を行う加工装置が設置されている。また、洗浄乾燥装置1の後段には、当該洗浄乾燥装置1によって洗浄された線条材4を巻き取り、次工程へ投入するための巻取りドラム3が設置されている。図1において矢印は、線条材4の走行方向を示しており、図中左から右に向かって、プレス加工、洗浄/乾燥、巻取りの各工程を経るように移送される。
【0025】
図1において、線条材4を洗浄するための洗浄乾燥装置1は、洗浄ユニット10、および乾燥ユニット30とから概略構成されている。線条材4は、金属線や、金属条、また加工装置によりプレス加工されたリードフレーム等の線条材などである。線条材表面に付着した付着物は、液体または固体、例えば加工粉ならびに加工用潤滑液等である。
【0026】
[洗浄ユニット]
洗浄乾燥装置1における洗浄ユニット10は、線条材4の表面に付着した付着物としての加工油を除去するための洗浄液16を貯留した洗浄槽11と、この洗浄槽11に設けられ本実施の形態の特徴部分である分離阻止体(筒状体15)と、後段に設置した乾燥ユニット30側に筒状体15から線条材4を送り出す線条材送り機構13とを有する。
【0027】
この洗浄ユニット10では、洗浄効果を高めるために超音波発生装置などを設置して、洗浄槽11内の洗浄液にエネルギーを付与するなどしても良い。
【0028】
図2および図3は洗浄ユニット10を詳細に示した側断面図ならびに上面図である。図2において矢印は線条材4の走行方向を示しており、プレス加工された線条材4は図中左側から投入されて洗浄槽11に移送される。図3において、線条材4は、洗浄液面16aに対して斜め下向きに入り、鉛直上向きに引き上げられて乾燥ユニットに移送される。
【0029】
(洗浄槽)
洗浄槽11は、線条材4の表面に付着した加工用潤滑剤や異物などを洗い落とす。本実施形態では、線条材4を洗浄液16中に浸漬しながら洗浄する構成となっている。洗浄槽11の中間部には少なくとも一部が洗浄液16中に位置する押さえローラ11aを配置されている。線条材4を押さえローラ11aにより規制しながら移送させることによって、線条材4が洗浄液16中を通過して洗浄される。かかるのち、線条材4は洗浄槽11内を上方に走行し、筒状体15に形成された線条材通路15aの内部を通過して、洗浄液面から大気中に取り出される。洗浄槽11に貯留される洗浄液は、プレス加工時に使用する加工用潤滑剤の種類や、プレス加工時に発生する塵埃の量に応じて適宜選択されるが、本実施形態では、例えば、アルカリ性電解水を使用している。
【0030】
(分離阻止体)
分離阻止体は、洗浄槽内の洗浄液面を、前記線条材が大気中から洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所を含む進入領域と、線条材が洗浄液から大気中に出る際に洗浄液面と交差する箇所を含む進出領域とに分離して、前記進入領域の前記洗浄液面に浮遊している前記浮遊物が前記進出領域に流れ込むのを阻止する。分離阻止体により、進入領域と進出領域との液面を分離することで、浮上する浮遊物の流通を遮断することを可能とし、浮遊物が浮遊していない洗浄液面から線状体を取り出すことができる。従って、洗浄ユニットから線条材の引き上げ時に、線条材の表面が浮遊物に再汚染されることがなく、清浄な線条材を乾燥ユニットに送ることができる。
【0031】
実施の形態によっては、この分離阻止体は、前記洗浄槽から前記線条材が出る際に交差する前記洗浄液面の交差位置に挿入され、前記線状材を走行させる線条材通路を有し、該洗浄材通路内の洗浄液面と前記通路外の洗浄液面とを分離する筒状体であることもある。洗浄液面の交差位置に環状の通路を有する筒状体を挿入するだけで、洗浄ユニットから線条材の引き上げ時に、線条材の表面が浮遊物に再汚染されることがなく、清浄な線条材を乾燥ユニットに送ることができる。
【0032】
図2に示す実施の形態では、筒状体15は、内部に線条材4が通る線条材通路15aを有する。筒状体15は、洗浄槽11から線条材4が出る際に交差する洗浄液面16aの交差位置に線条材通路15aが来るよう挿入され、洗浄槽11に設置される。この設置により線条材通路15a内に入り込む洗浄液16の洗浄液面(進出領域B)と、線条材通路15a外であって、線条材4が大気中から洗浄液に進入する際に洗浄液と交差する箇所を含む洗浄液面(進入領域A)とを筒状体15の壁によって分離するようになっている。洗浄液面の交差位置に線条材通路15aを有する筒状体15を挿入するだけで、洗浄ユニット10から線条材4の引き上げ時に、線条材4の表面が浮遊物に再汚染されることがなく、清浄な線条材4を乾燥ユニット30に送ることができる。線条材4表面の清浄度をより向
上させるために、線条材通路15aに清浄な洗浄液を供給するようにしてもよい。
【0033】
また、図3に示すように、筒状体15の線条材通路15aの断面形状は、線条材4の断面形状と略相似であり、ここでは矩形をしている。そして、線条材通路15aの断面形状は、線条材通路15aの内壁と線条材4との間に所定の空隙、例えば1mmの空隙を介して、線条材4を囲んでいる。
【0034】
筒状体15は、線条材通路15aを有する単なる筒で構成することもできるが、図示例のように筒状体15の周囲に環状に張り出した断面凹型の溢流液溜15bを形成するようにしてもよい。この溢流液溜15bに洗浄液が入り込まない程度に筒状体15を洗浄液面16aよりも下方に沈めて、洗浄液面16aを線条材通路15aの外方に押し出すとともに下方にも押し出す。これにより、筒状体15を単なる筒で構成した場合と比べて、洗浄液面の進出領域Bと進入領域Aとを一層離間させて、洗浄液面16aに浮遊する加工油が線条材通路15aに巻き込まれるのをより有効に防止することができる。また、この溢流液溜15bは、洗浄液16を溜めるバッファとなるので、洗浄液面16aが筒状体15の高さ近くまで上昇して線条材通路15a内に流れ込もうとするのを有効に防止することができる。
【0035】
(線条材送り機構)
線条材送り機構13は、洗浄槽11に設置された筒状体15の上方に設置されている。線条材4は、筒状体15に形成された線条材通路15aの内部を通過したのち、上方に設置された線条材送り機構13によって、鉛直上向きに引き上げられ、洗浄液面16aから大気中に取り出される。前記線条材通路15aと前記線条材送り機構13の間には、必要に応じて液体を吹き飛ばすためのエアブローノズル18を備えていてもよい。
【0036】
[乾燥ユニット]
図4は乾燥ユニット30の側面図である。乾燥ユニット30は、洗浄ユニット10の後段に設けられる。本実施形態において、乾燥ユニット30は、図示しないガス供給手段によりガスが供給されるようになっており、このガスを、ガスブローノズル35を通じて線条材4に吹き付けるように構成されている。図4において、矢印は線条材4の走行方向を示しており、図中下から上、左から右に向かって線条材4は移送される。乾燥ユニット30は、洗浄槽11を通過した線条材4に気体を吹き付けて乾燥を行うようになっている。
【0037】
前記乾燥ユニット30は、必要に応じて吹き付ける気体を加熱させる加熱機構32を備えていてもよい。この加熱機構32は、例えば加熱温度の調節が可能なヒータ熱板(図示せず)を配置し、ヒータ熱板によって加熱された配管内をガスが通過することにより、前記ガスが加熱される。このようにして加熱されたガスを線条材4に吹き付けることにより、洗浄液は蒸発する。従って、乾燥ユニット30を通過した線条材4は洗浄液16が除去された状態で、巻取りドラム3に移送される。
【0038】
[作用]
前述したように、線条材4が洗浄液16から大気中に出る際に洗浄液面16aと交差する箇所では、洗浄液面16aには加工油が浮遊していないようにしなければならない。本実施の形態では、線条材通路15aは、線条材4が洗浄槽11から出る際に洗浄液面16aと線条材4とが交差する位置に配置されている。このため、線条材4が洗浄液16に進入する際に洗浄液面16aと交差する箇所と、線条材4が洗浄液16から出る際に洗浄液面16aと交差する箇所の間の、洗浄液面16aを分離する。これにより、浮上する加工油の流通を遮断することが可能となり、線条材4の再汚染を劇的に低減できる。
【0039】
また、前記線条材通路15aに清浄な洗浄液を供給することにより、より線条材4表面
の清浄度を向上させることができる。
【0040】
また、前記線条材通路15aに供給する清浄な洗浄液の流量が、清浄な洗浄液を供給しない場合に線条材4が持ち出す洗浄液量の2倍以上とすることにより、より線条材4表面の清浄度を向上させることができる。この理由は次の通りである。
【0041】
図1および図3において、洗浄槽11から引き上げられた線条材4の表面には、洗浄液16が液膜状に付着している。付着している洗浄液膜の厚さは、線条材4の引き上げ速度に依存するが、親水性の材料を水中から鉛直上向きに引き上げる場合には、およそ10乃至70μmである。例として、幅4cm、線速度4m/分で走行するリードフレームに付着して持ち出される洗浄液流量を考えると、プレス加工で打ち抜かれることにより表面積が減少していることを考慮して、3乃至20mL/分程度となる。従って、線条材通路15aの所定の空隙を約1mmとした場合、この流量の2倍以上(6乃至40mL/分以上)の清浄な洗浄液を線条材通路15aに供給するだけで、線条材4の表面の清浄度は大幅に向上する(実施例2、3参照)。
【0042】
[実施の形態の効果]
本実施の形態によれば、以下に挙げる一つ又はそれ以上の効果を有する。
【0043】
(1)本実施の形態にかかる洗浄乾燥装置1によれば、洗浄ユニット10の洗浄槽11に分離阻止体としての筒状体15を設けるという簡易な構成でありながら、線条材4は、洗浄ユニット10からの引き上げ時に、洗浄液16中に溶解しきらずに表面に浮上した加工油などの浮遊物で線条材表面が再汚染されることがなく、清浄な加工部品として次工程で利用することができる。
【0044】
(2)また、水のように蒸発潜熱の大きな液体を乾燥させる場合にも、投入するエネルギーを低減でき、エネルギーコストの低減や、エネルギー使用量低減を通じたCO2排出削減も実現できる。
【0045】
(3)さらに、本実施の形態に基づく洗浄乾燥装置1を用いて線条材4を水系の洗浄液16で洗浄したのち乾燥を実施することにより、有機溶剤を用いた洗浄を行う必要がない。その結果として、有機溶剤の大気への漏洩を低減することができ、VOCの発生抑制や、労働作業環境改善、大気環境への影響低減も可能となる。
【0046】
このほかにも、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々様々変形実施可能なことは勿論である。
【0047】
上述した実施の形態では、加工装置2にてプレス加工を行ったリードフレームなどの条材を洗浄乾燥装置1で洗浄する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、伸線装置によって伸線加工を行った線材の洗浄に適用してもよく、また圧延加工装置によって圧延加工を行った異形銅条など金属条の洗浄に適用しても良い。
【0048】
また、上述した実施の形態では、1つの洗浄ユニットからなる洗浄乾燥装置を示したが、洗浄ユニットの数は2以上でも良い。
【0049】
2.第2の実施の形態
図5は、そのような洗浄ユニットの数を2つに増設した第2の実施の形態の洗浄乾燥装置を示す。図1に示す第1の実施の形態と異なる点は、洗浄乾燥装置1が、第1洗浄ユニット10と第2洗浄ユニット20とを有する点である。
【0050】
洗浄乾燥装置1における第1洗浄ユニット10は、線条材4の表面の付着物を除去するための洗浄液を貯留した洗浄槽11と、後段に設置した第2洗浄ユニット20側に線条材4を送り出す線条材送り機構13とを有する。また、線条材4が液面から大気中に引き出される際に線条材4が液面と交差する位置の液面を分離する線条材通路15aを有する筒状体15を設置できるようになっている。洗浄槽11に貯留される洗浄液は、本実施の形態では、アルカリ性電解水を使用している。
【0051】
洗浄乾燥装置1における第2洗浄ユニット20は、線条材4の表面の付着物を除去するための洗浄液を貯留した洗浄槽21と、後段に設置した乾燥ユニット30側に線条材4を送り出す線条材送り機構23とを有する。また、線条材4が液面から大気中に引き出される際に線条材4が液面と交差する位置の液面を分離する線条材通路25aを有する筒状体25を設置できるようになっている。洗浄槽21に貯留される洗浄液は、洗浄槽11に貯留される洗浄液や、最終的な目標清浄度などに応じて適宜選択されるが、本実施の形態では、純水を使用している。
【0052】
図5の洗浄乾燥装置を用い、第1の実施形態と同様の処理を行った。これによれば、機械加工装置により加工された線条材に付着する加工油の大部分を洗浄によって除去する粗洗浄ユニットと、洗浄ユニットの後段に配置され線条材表面に僅かに残留する加工油を洗浄によって除去する仕上洗浄ユニットと、を備えて構成することによって、線条材は、線条材通路15a、25aを有する筒状体15、25を設置した2つの洗浄ユニットを経るので、洗浄ユニット10、20からの引き上げ時に、浮遊する加工油で再汚染されることがなく、より清浄な加工部品として次工程で利用することができる。
【0053】
なお、図示例では、線条材通路を有する筒状体は、第1洗浄ユニットと第2洗浄ユニットの両方に設置したが、いずれか一方の洗浄ユニットに設置するようにしても良い。
【実施例】
【0054】
(実施例1〜3)
1つの洗浄ユニットを設けた第1の実施の形態に対応する実施例1〜3について比較例1とともに述べる。実施例1〜3は、いずれも線条材通路を有する筒状体を設置したものである。線条材通路15aは線条材4と約1mmの空隙を介して線条材を囲んでいる。比較例1は筒状体を設置しなかったものである。実施例及び比較例ともに、評価に供したリードフレームは、幅が40mm,厚さが約0.2mmのものであり、線速度4m/分で走行させた。線条材4を巻き取り後に適切な長さに切断し、溶剤にて抽出して表面に付着している油分量(残留油分濃度)を比較評価した。これは、線条材通路15aへの洗浄液供給を行った場合と行わなかった場合についての洗浄性能を比較評価したものである。その結果を表1にまとめた。
【0055】
【表1】
【0056】
表1の結果から、実施例1では、残留油分濃度が、線条材通路への洗浄液供給を行わなかった場合であっても、洗浄材通路を設けなかった比較例1に対して半減した。洗浄材通
路への供給液量を10mL/分とした実施例2では、残留油分濃度は、実施例1の3/4以下に低減した。供給液量を実施例2の倍にした実施例3では、残留油分濃度は、実施例2の1/4に激減した。
【0057】
(実施例4〜7)
2つの洗浄ユニット10、20を設けた第2の実施の形態に対応する実施例4〜6について、比較例2とともに述べる。ここで、実施例4〜6は、第1洗浄槽11と第2洗浄槽21のそれぞれについて筒状体15および25を設置したものである。比較例2は筒状体をいずれの洗浄槽にも設置しなかったものである。なお、線条材通路15a、25aへの洗浄液供給はいずれも行わなかった。これらの場合の、線条材4表面の残留油分濃度を比較評価した。結果は、表2に示すとおりであった。
【0058】
【表2】
【0059】
表2の結果から、第1洗浄槽11と第2洗浄槽21のいずれか一方に筒状体を設置した実施例4、5では、第1洗浄槽11に設置した実施例4の方が、第2洗浄槽21に設置した実施例5よりも有効であり、その残留油分濃度は実施例5の半分以下であった。またいずれの洗浄槽にも筒状体を設置した実施例6では、残留油分濃度は1μg/フレーム以下と激減し、さらに有効であった。筒状体をいずれも設置しなかった比較例2の場合は、洗浄槽を1槽のみ設けたときよりも優れていたものの、いずれかに筒状体を設置する場合よりも劣っていた。
【符号の説明】
【0060】
1 洗浄乾燥装置
2 加工装置
3 巻取りドラム
4 線条材
10 第1洗浄ユニット
11 洗浄槽
13 線条材送り機構
15 筒状体(分離阻止体)
15a 線条材通路
20 第2洗浄ユニット
21 第2の洗浄槽
23 線条材送り機構
25 筒状体(分離阻止体)
25a 線条材通路
30 乾燥ユニット
32 加熱機構
35 ガスブローノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、線条材の洗浄乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
線条材、例えば絶縁電線に用いられる導体金属心線(以下導体と呼ぶ)の表面は、伸線工程や圧延工程において発生したその金属特有の金属粉や、同工程で使用する加工用潤滑剤などが表面に付着している。電気的特性の要請から絶縁層の厚さは薄膜化の一途をたどっており、導体表面に付着している金属粉が除去されないまま絶縁塗料を塗布すると、絶縁性能の低下を招くことが指摘されている。
【0003】
また金属条やリードフレームなどのフープ材は、圧延ののち必要に応じてプレス加工されるが、圧延工程並びにプレス工程において発生したその金属特有の金属粉や、同工程で使用する加工用潤滑剤などが表面に付着していると、後続の、例えばめっき工程などでめっき不良が発生するなどの問題点が指摘されている。
【0004】
図6に示すように、従来の線条材の洗浄工程にあっては、線条材4を加工する際に鉱物油や水溶性潤滑液等の加工用潤滑剤を線条材4に塗布して加工装置2で加工を行い、当該加工後に線条材4を洗浄液が貯留された洗浄槽7に浸漬して洗浄する。かかる洗浄工程に次いでエアブロー装置8によりエアを吹き付けて洗浄液を除去し、さらに乾燥装置9により線条材4を乾燥して巻取りドラム3に巻き取って次工程に送る作業が行われていた。このような線条材4の洗浄に有機溶剤を用いた洗浄方法もしくは洗浄装置は、例えば特許文献1、2、3(従来技術1という)に開示されている。また、加工油を洗浄する洗浄液として、水の電気分解によって得られるイオン成分を含む液体(以下、電解水と呼ぶ)を用いる方法が、特許文献4、5(従来技術2という)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4324767号公報
【特許文献2】特許第3232149号公報
【特許文献3】特開2001−198638号公報
【特許文献4】特開2005−230632号公報
【特許文献5】特開2005−324143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術1にかかる問題点は、乾燥時に線条材表面から有機溶剤を除去する際に有機溶剤が飛散、揮発することである。揮発した有機溶剤は所謂VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)として大気中に拡散するが、これは光化学オキシダントの原因となる可能性が有り、大気汚染を引き起こす恐れがある。大気中に拡散したVOCを回収するためには、VOCの何百倍、何千倍といった体積の大気を吸引してVOCを分離しなければならず、大規模な設備が必要となる。
【0007】
従来技術2にかかる問題点は、洗浄時に除去された加工油が洗浄液に完全には溶解せず、一部は液面に浮上するため、線条材が洗浄液の液面から大気中に出る際に高濃度の加工油を付着させてしまう恐れがあることである。
【0008】
本発明の目的は、かかる問題点に鑑み、簡易な構造でありながら、洗浄液中に溶解しき
らずに表面に浮上した浮遊物による線条材表面の汚染を低減することが可能な線条材の洗浄乾燥装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施の形態によれば、線条材に付着する付着物を洗浄液によって除去する洗浄ユニットと、該洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に付着した前記洗浄液を除去する乾燥ユニットとを備えた線条材の洗浄乾燥装置であって、前記洗浄ユニットは、前記洗浄液を貯留する洗浄槽と、前記洗浄槽内の洗浄液面を、前記線条材が大気中から前記洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所を含む進入領域と、前記線条材が前記洗浄液から前記大気中に出る際に前記洗浄液面と交差する箇所を含む進出領域とに分離して、前記線条材から除去されて前記進入領域の前記洗浄液面に浮遊する前記付着物が前記進出領域に流れ込むのを阻止する分離阻止体とを備えている線条材の洗浄乾燥装置が提供される。
【0010】
好ましくは、前記洗浄ユニットは、前記線条材に付着する付着物の大部分を洗浄によって除去する粗洗浄ユニットと、該粗洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に残留する付着物を洗浄によって除去する仕上げ洗浄ユニットとから構成され、前記粗洗浄ユニットまたは前記仕上げ洗浄ユニットのいずれかまたは両方に、前記分離阻止体が備えられている。
【0011】
また、好ましくは、前記分離阻止体は、内部に前記線条材が通る線条材通路を有する筒状体であって、前記進出領域の交差する箇所に挿入され、挿入により前記線条材通路内に入り込む洗浄液の洗浄液面と前記線条材通路外の洗浄液面とを前記筒状体の壁によって分離するように構成されている。
【0012】
また、好ましくは、前記線条材通路に清浄な洗浄液を供給するようにする。
【0013】
また、好ましくは、前記清浄な洗浄液の流量を、前記洗浄液を供給しない場合に前記線条材が持ち出す液量の2倍以上とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な構成でありながら、洗浄液中に溶解しきらずに洗浄液面に浮上した浮遊物による線条材の汚染を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる線条材の洗浄乾燥装置とその周辺の装置全体を示した第1の実施の形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる、洗浄ユニットの一部を詳細に示した側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる、洗浄ユニットの一部を詳細に示した上面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる、乾燥ユニットの側面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる、線条材の洗浄乾燥装置とその周辺の装置全体を示した実施形態を示す側断面図である。
【図6】従来の洗浄乾燥装置とその周辺の装置全体を示した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の一実施の形態について説明する。
【0017】
線条材の洗浄乾燥装置は、機械加工装置により加工された線条材を洗浄する洗浄槽を有
する洗浄ユニットと、この洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に付着した洗浄液を除去する乾燥ユニットとを備える。洗浄ユニットでは、線条材を液体槽に浸漬して、水系の洗浄液を用いて前記線条材表面に付着した加工油などの付着物を除去する。乾燥ユニットでは、洗浄ユニットで付着した洗浄液を線条材表面から除去して乾燥表面を得る。
【0018】
通常、洗浄槽の洗浄液のうち或る量が、線条材の表面に付着した状態で、洗浄ユニットから引き上げられる。このとき、洗浄槽の洗浄液面に、洗浄によって除去された付着物としての加工油が浮遊していると、線条材の引き上げ時に線条材4の表面に再付着する。従って、線条材が洗浄液から大気中に出る際に洗浄液面と交差する箇所では、洗浄液面には加工油が浮遊していないようにしなければならない。
【0019】
発明者らは、鋭意検討の結果、線条材から除去され加工油は、線条材が洗浄液に進入する点に近いほど多く、その点の近傍で浮遊している加工油が、線条材が洗浄液面から大気中に出る位置の近傍まで移動して来て、線条材が洗浄液面から出る際に線条材に付着することを見出した。この知見より、線条材が洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所と、線条材が洗浄液から出る際に洗浄液面と交差する箇所との間の、液面を分離することで、浮上する加工油などの浮遊物の流通を遮断することが可能となり、線条材の再汚染を劇的に低減できることが明らかとなった。
【0020】
そこで、本発明の一実施の形態では、前記洗浄ユニットの洗浄槽に、洗浄液面を分離して浮遊物の流通を阻止する分離阻止体を設けている。この分離阻止体は、洗浄槽内の洗浄液面を、線条材が大気中から洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所を含む進入領域と、線条材が洗浄液から大気中に出る際に洗浄液面と交差する箇所を含む進出領域とに分離して、線条材表面から除去されて進入領域の洗浄液面に浮遊する浮遊物が進出領域に流れ込むのを阻止するようになっている。
【0021】
このような構成により、洗浄ユニットから線条材の引き上げ時に、線条材の表面が浮遊物に再汚染されることがなく、清浄な線条材を乾燥ユニットに送ることができる。
【0022】
次に、本発明にかかる線条材の洗浄乾燥装置の一実施の形態を図面を用いて具体的に説明する。
【0023】
1.第1の実施の形態
[洗浄乾燥装置]
図1は、本発明にかかる線条材の洗浄乾燥装置とその周辺の装置全体を示した実施形態の側断面図である。
【0024】
洗浄乾燥装置1の前段には加工装置2として、線条材4に鉱物油や水溶性潤滑液等の加工用潤滑剤を塗布してプレス加工を行う加工装置が設置されている。また、洗浄乾燥装置1の後段には、当該洗浄乾燥装置1によって洗浄された線条材4を巻き取り、次工程へ投入するための巻取りドラム3が設置されている。図1において矢印は、線条材4の走行方向を示しており、図中左から右に向かって、プレス加工、洗浄/乾燥、巻取りの各工程を経るように移送される。
【0025】
図1において、線条材4を洗浄するための洗浄乾燥装置1は、洗浄ユニット10、および乾燥ユニット30とから概略構成されている。線条材4は、金属線や、金属条、また加工装置によりプレス加工されたリードフレーム等の線条材などである。線条材表面に付着した付着物は、液体または固体、例えば加工粉ならびに加工用潤滑液等である。
【0026】
[洗浄ユニット]
洗浄乾燥装置1における洗浄ユニット10は、線条材4の表面に付着した付着物としての加工油を除去するための洗浄液16を貯留した洗浄槽11と、この洗浄槽11に設けられ本実施の形態の特徴部分である分離阻止体(筒状体15)と、後段に設置した乾燥ユニット30側に筒状体15から線条材4を送り出す線条材送り機構13とを有する。
【0027】
この洗浄ユニット10では、洗浄効果を高めるために超音波発生装置などを設置して、洗浄槽11内の洗浄液にエネルギーを付与するなどしても良い。
【0028】
図2および図3は洗浄ユニット10を詳細に示した側断面図ならびに上面図である。図2において矢印は線条材4の走行方向を示しており、プレス加工された線条材4は図中左側から投入されて洗浄槽11に移送される。図3において、線条材4は、洗浄液面16aに対して斜め下向きに入り、鉛直上向きに引き上げられて乾燥ユニットに移送される。
【0029】
(洗浄槽)
洗浄槽11は、線条材4の表面に付着した加工用潤滑剤や異物などを洗い落とす。本実施形態では、線条材4を洗浄液16中に浸漬しながら洗浄する構成となっている。洗浄槽11の中間部には少なくとも一部が洗浄液16中に位置する押さえローラ11aを配置されている。線条材4を押さえローラ11aにより規制しながら移送させることによって、線条材4が洗浄液16中を通過して洗浄される。かかるのち、線条材4は洗浄槽11内を上方に走行し、筒状体15に形成された線条材通路15aの内部を通過して、洗浄液面から大気中に取り出される。洗浄槽11に貯留される洗浄液は、プレス加工時に使用する加工用潤滑剤の種類や、プレス加工時に発生する塵埃の量に応じて適宜選択されるが、本実施形態では、例えば、アルカリ性電解水を使用している。
【0030】
(分離阻止体)
分離阻止体は、洗浄槽内の洗浄液面を、前記線条材が大気中から洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所を含む進入領域と、線条材が洗浄液から大気中に出る際に洗浄液面と交差する箇所を含む進出領域とに分離して、前記進入領域の前記洗浄液面に浮遊している前記浮遊物が前記進出領域に流れ込むのを阻止する。分離阻止体により、進入領域と進出領域との液面を分離することで、浮上する浮遊物の流通を遮断することを可能とし、浮遊物が浮遊していない洗浄液面から線状体を取り出すことができる。従って、洗浄ユニットから線条材の引き上げ時に、線条材の表面が浮遊物に再汚染されることがなく、清浄な線条材を乾燥ユニットに送ることができる。
【0031】
実施の形態によっては、この分離阻止体は、前記洗浄槽から前記線条材が出る際に交差する前記洗浄液面の交差位置に挿入され、前記線状材を走行させる線条材通路を有し、該洗浄材通路内の洗浄液面と前記通路外の洗浄液面とを分離する筒状体であることもある。洗浄液面の交差位置に環状の通路を有する筒状体を挿入するだけで、洗浄ユニットから線条材の引き上げ時に、線条材の表面が浮遊物に再汚染されることがなく、清浄な線条材を乾燥ユニットに送ることができる。
【0032】
図2に示す実施の形態では、筒状体15は、内部に線条材4が通る線条材通路15aを有する。筒状体15は、洗浄槽11から線条材4が出る際に交差する洗浄液面16aの交差位置に線条材通路15aが来るよう挿入され、洗浄槽11に設置される。この設置により線条材通路15a内に入り込む洗浄液16の洗浄液面(進出領域B)と、線条材通路15a外であって、線条材4が大気中から洗浄液に進入する際に洗浄液と交差する箇所を含む洗浄液面(進入領域A)とを筒状体15の壁によって分離するようになっている。洗浄液面の交差位置に線条材通路15aを有する筒状体15を挿入するだけで、洗浄ユニット10から線条材4の引き上げ時に、線条材4の表面が浮遊物に再汚染されることがなく、清浄な線条材4を乾燥ユニット30に送ることができる。線条材4表面の清浄度をより向
上させるために、線条材通路15aに清浄な洗浄液を供給するようにしてもよい。
【0033】
また、図3に示すように、筒状体15の線条材通路15aの断面形状は、線条材4の断面形状と略相似であり、ここでは矩形をしている。そして、線条材通路15aの断面形状は、線条材通路15aの内壁と線条材4との間に所定の空隙、例えば1mmの空隙を介して、線条材4を囲んでいる。
【0034】
筒状体15は、線条材通路15aを有する単なる筒で構成することもできるが、図示例のように筒状体15の周囲に環状に張り出した断面凹型の溢流液溜15bを形成するようにしてもよい。この溢流液溜15bに洗浄液が入り込まない程度に筒状体15を洗浄液面16aよりも下方に沈めて、洗浄液面16aを線条材通路15aの外方に押し出すとともに下方にも押し出す。これにより、筒状体15を単なる筒で構成した場合と比べて、洗浄液面の進出領域Bと進入領域Aとを一層離間させて、洗浄液面16aに浮遊する加工油が線条材通路15aに巻き込まれるのをより有効に防止することができる。また、この溢流液溜15bは、洗浄液16を溜めるバッファとなるので、洗浄液面16aが筒状体15の高さ近くまで上昇して線条材通路15a内に流れ込もうとするのを有効に防止することができる。
【0035】
(線条材送り機構)
線条材送り機構13は、洗浄槽11に設置された筒状体15の上方に設置されている。線条材4は、筒状体15に形成された線条材通路15aの内部を通過したのち、上方に設置された線条材送り機構13によって、鉛直上向きに引き上げられ、洗浄液面16aから大気中に取り出される。前記線条材通路15aと前記線条材送り機構13の間には、必要に応じて液体を吹き飛ばすためのエアブローノズル18を備えていてもよい。
【0036】
[乾燥ユニット]
図4は乾燥ユニット30の側面図である。乾燥ユニット30は、洗浄ユニット10の後段に設けられる。本実施形態において、乾燥ユニット30は、図示しないガス供給手段によりガスが供給されるようになっており、このガスを、ガスブローノズル35を通じて線条材4に吹き付けるように構成されている。図4において、矢印は線条材4の走行方向を示しており、図中下から上、左から右に向かって線条材4は移送される。乾燥ユニット30は、洗浄槽11を通過した線条材4に気体を吹き付けて乾燥を行うようになっている。
【0037】
前記乾燥ユニット30は、必要に応じて吹き付ける気体を加熱させる加熱機構32を備えていてもよい。この加熱機構32は、例えば加熱温度の調節が可能なヒータ熱板(図示せず)を配置し、ヒータ熱板によって加熱された配管内をガスが通過することにより、前記ガスが加熱される。このようにして加熱されたガスを線条材4に吹き付けることにより、洗浄液は蒸発する。従って、乾燥ユニット30を通過した線条材4は洗浄液16が除去された状態で、巻取りドラム3に移送される。
【0038】
[作用]
前述したように、線条材4が洗浄液16から大気中に出る際に洗浄液面16aと交差する箇所では、洗浄液面16aには加工油が浮遊していないようにしなければならない。本実施の形態では、線条材通路15aは、線条材4が洗浄槽11から出る際に洗浄液面16aと線条材4とが交差する位置に配置されている。このため、線条材4が洗浄液16に進入する際に洗浄液面16aと交差する箇所と、線条材4が洗浄液16から出る際に洗浄液面16aと交差する箇所の間の、洗浄液面16aを分離する。これにより、浮上する加工油の流通を遮断することが可能となり、線条材4の再汚染を劇的に低減できる。
【0039】
また、前記線条材通路15aに清浄な洗浄液を供給することにより、より線条材4表面
の清浄度を向上させることができる。
【0040】
また、前記線条材通路15aに供給する清浄な洗浄液の流量が、清浄な洗浄液を供給しない場合に線条材4が持ち出す洗浄液量の2倍以上とすることにより、より線条材4表面の清浄度を向上させることができる。この理由は次の通りである。
【0041】
図1および図3において、洗浄槽11から引き上げられた線条材4の表面には、洗浄液16が液膜状に付着している。付着している洗浄液膜の厚さは、線条材4の引き上げ速度に依存するが、親水性の材料を水中から鉛直上向きに引き上げる場合には、およそ10乃至70μmである。例として、幅4cm、線速度4m/分で走行するリードフレームに付着して持ち出される洗浄液流量を考えると、プレス加工で打ち抜かれることにより表面積が減少していることを考慮して、3乃至20mL/分程度となる。従って、線条材通路15aの所定の空隙を約1mmとした場合、この流量の2倍以上(6乃至40mL/分以上)の清浄な洗浄液を線条材通路15aに供給するだけで、線条材4の表面の清浄度は大幅に向上する(実施例2、3参照)。
【0042】
[実施の形態の効果]
本実施の形態によれば、以下に挙げる一つ又はそれ以上の効果を有する。
【0043】
(1)本実施の形態にかかる洗浄乾燥装置1によれば、洗浄ユニット10の洗浄槽11に分離阻止体としての筒状体15を設けるという簡易な構成でありながら、線条材4は、洗浄ユニット10からの引き上げ時に、洗浄液16中に溶解しきらずに表面に浮上した加工油などの浮遊物で線条材表面が再汚染されることがなく、清浄な加工部品として次工程で利用することができる。
【0044】
(2)また、水のように蒸発潜熱の大きな液体を乾燥させる場合にも、投入するエネルギーを低減でき、エネルギーコストの低減や、エネルギー使用量低減を通じたCO2排出削減も実現できる。
【0045】
(3)さらに、本実施の形態に基づく洗浄乾燥装置1を用いて線条材4を水系の洗浄液16で洗浄したのち乾燥を実施することにより、有機溶剤を用いた洗浄を行う必要がない。その結果として、有機溶剤の大気への漏洩を低減することができ、VOCの発生抑制や、労働作業環境改善、大気環境への影響低減も可能となる。
【0046】
このほかにも、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々様々変形実施可能なことは勿論である。
【0047】
上述した実施の形態では、加工装置2にてプレス加工を行ったリードフレームなどの条材を洗浄乾燥装置1で洗浄する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、伸線装置によって伸線加工を行った線材の洗浄に適用してもよく、また圧延加工装置によって圧延加工を行った異形銅条など金属条の洗浄に適用しても良い。
【0048】
また、上述した実施の形態では、1つの洗浄ユニットからなる洗浄乾燥装置を示したが、洗浄ユニットの数は2以上でも良い。
【0049】
2.第2の実施の形態
図5は、そのような洗浄ユニットの数を2つに増設した第2の実施の形態の洗浄乾燥装置を示す。図1に示す第1の実施の形態と異なる点は、洗浄乾燥装置1が、第1洗浄ユニット10と第2洗浄ユニット20とを有する点である。
【0050】
洗浄乾燥装置1における第1洗浄ユニット10は、線条材4の表面の付着物を除去するための洗浄液を貯留した洗浄槽11と、後段に設置した第2洗浄ユニット20側に線条材4を送り出す線条材送り機構13とを有する。また、線条材4が液面から大気中に引き出される際に線条材4が液面と交差する位置の液面を分離する線条材通路15aを有する筒状体15を設置できるようになっている。洗浄槽11に貯留される洗浄液は、本実施の形態では、アルカリ性電解水を使用している。
【0051】
洗浄乾燥装置1における第2洗浄ユニット20は、線条材4の表面の付着物を除去するための洗浄液を貯留した洗浄槽21と、後段に設置した乾燥ユニット30側に線条材4を送り出す線条材送り機構23とを有する。また、線条材4が液面から大気中に引き出される際に線条材4が液面と交差する位置の液面を分離する線条材通路25aを有する筒状体25を設置できるようになっている。洗浄槽21に貯留される洗浄液は、洗浄槽11に貯留される洗浄液や、最終的な目標清浄度などに応じて適宜選択されるが、本実施の形態では、純水を使用している。
【0052】
図5の洗浄乾燥装置を用い、第1の実施形態と同様の処理を行った。これによれば、機械加工装置により加工された線条材に付着する加工油の大部分を洗浄によって除去する粗洗浄ユニットと、洗浄ユニットの後段に配置され線条材表面に僅かに残留する加工油を洗浄によって除去する仕上洗浄ユニットと、を備えて構成することによって、線条材は、線条材通路15a、25aを有する筒状体15、25を設置した2つの洗浄ユニットを経るので、洗浄ユニット10、20からの引き上げ時に、浮遊する加工油で再汚染されることがなく、より清浄な加工部品として次工程で利用することができる。
【0053】
なお、図示例では、線条材通路を有する筒状体は、第1洗浄ユニットと第2洗浄ユニットの両方に設置したが、いずれか一方の洗浄ユニットに設置するようにしても良い。
【実施例】
【0054】
(実施例1〜3)
1つの洗浄ユニットを設けた第1の実施の形態に対応する実施例1〜3について比較例1とともに述べる。実施例1〜3は、いずれも線条材通路を有する筒状体を設置したものである。線条材通路15aは線条材4と約1mmの空隙を介して線条材を囲んでいる。比較例1は筒状体を設置しなかったものである。実施例及び比較例ともに、評価に供したリードフレームは、幅が40mm,厚さが約0.2mmのものであり、線速度4m/分で走行させた。線条材4を巻き取り後に適切な長さに切断し、溶剤にて抽出して表面に付着している油分量(残留油分濃度)を比較評価した。これは、線条材通路15aへの洗浄液供給を行った場合と行わなかった場合についての洗浄性能を比較評価したものである。その結果を表1にまとめた。
【0055】
【表1】
【0056】
表1の結果から、実施例1では、残留油分濃度が、線条材通路への洗浄液供給を行わなかった場合であっても、洗浄材通路を設けなかった比較例1に対して半減した。洗浄材通
路への供給液量を10mL/分とした実施例2では、残留油分濃度は、実施例1の3/4以下に低減した。供給液量を実施例2の倍にした実施例3では、残留油分濃度は、実施例2の1/4に激減した。
【0057】
(実施例4〜7)
2つの洗浄ユニット10、20を設けた第2の実施の形態に対応する実施例4〜6について、比較例2とともに述べる。ここで、実施例4〜6は、第1洗浄槽11と第2洗浄槽21のそれぞれについて筒状体15および25を設置したものである。比較例2は筒状体をいずれの洗浄槽にも設置しなかったものである。なお、線条材通路15a、25aへの洗浄液供給はいずれも行わなかった。これらの場合の、線条材4表面の残留油分濃度を比較評価した。結果は、表2に示すとおりであった。
【0058】
【表2】
【0059】
表2の結果から、第1洗浄槽11と第2洗浄槽21のいずれか一方に筒状体を設置した実施例4、5では、第1洗浄槽11に設置した実施例4の方が、第2洗浄槽21に設置した実施例5よりも有効であり、その残留油分濃度は実施例5の半分以下であった。またいずれの洗浄槽にも筒状体を設置した実施例6では、残留油分濃度は1μg/フレーム以下と激減し、さらに有効であった。筒状体をいずれも設置しなかった比較例2の場合は、洗浄槽を1槽のみ設けたときよりも優れていたものの、いずれかに筒状体を設置する場合よりも劣っていた。
【符号の説明】
【0060】
1 洗浄乾燥装置
2 加工装置
3 巻取りドラム
4 線条材
10 第1洗浄ユニット
11 洗浄槽
13 線条材送り機構
15 筒状体(分離阻止体)
15a 線条材通路
20 第2洗浄ユニット
21 第2の洗浄槽
23 線条材送り機構
25 筒状体(分離阻止体)
25a 線条材通路
30 乾燥ユニット
32 加熱機構
35 ガスブローノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線条材に付着する付着物を洗浄液によって除去する洗浄ユニットと、該洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に付着した前記洗浄液を除去する乾燥ユニットとを備えた線条材の洗浄乾燥装置であって、
前記洗浄ユニットは、
前記洗浄液を貯留する洗浄槽と、
前記洗浄槽内の洗浄液面を、前記線条材が大気中から前記洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所を含む進入領域と、前記線条材が前記洗浄液から前記大気中に出る際に前記洗浄液面と交差する箇所を含む進出領域とに分離して、前記線条材から除去されて前記進入領域の前記洗浄液面に浮遊する前記付着物が前記進出領域に流れ込むのを阻止する分離阻止体とを備えている線条材の洗浄乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の線条材の洗浄乾燥装置において、
前記洗浄ユニットは、前記線条材に付着する付着物の大部分を洗浄によって除去する粗洗浄ユニットと、該粗洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に残留する付着物を洗浄によって除去する仕上げ洗浄ユニットとから構成され、
前記粗洗浄ユニットまたは前記仕上げ洗浄ユニットのいずれかまたは両方に、前記分離阻止体が備えられている線条材の洗浄乾燥装置。
【請求項3】
請求項1に記載の線条材の洗浄乾燥装置において、
前記分離阻止体は、内部に前記線条材が通る線条材通路を有する筒状体であって、前記進出領域の交差する箇所に挿入され、挿入により前記線条材通路内に入り込む洗浄液の洗浄液面と前記線条材通路外の洗浄液面とを前記筒状体の壁によって分離するように構成されている線条材の洗浄乾燥装置。
【請求項4】
請求項3に記載の線条材の洗浄乾燥装置において、
前記線条材通路に清浄な洗浄液を供給するよう構成されている線条材の洗浄乾燥装置。
【請求項5】
請求項4に記載の線条材の洗浄乾燥装置において、
前記清浄な洗浄液の流量が、前記洗浄液を供給しない場合に前記線条材が持ち出す液量の2倍以上である線条材の洗浄乾燥装置。
【請求項1】
線条材に付着する付着物を洗浄液によって除去する洗浄ユニットと、該洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に付着した前記洗浄液を除去する乾燥ユニットとを備えた線条材の洗浄乾燥装置であって、
前記洗浄ユニットは、
前記洗浄液を貯留する洗浄槽と、
前記洗浄槽内の洗浄液面を、前記線条材が大気中から前記洗浄液に進入する際に洗浄液面と交差する箇所を含む進入領域と、前記線条材が前記洗浄液から前記大気中に出る際に前記洗浄液面と交差する箇所を含む進出領域とに分離して、前記線条材から除去されて前記進入領域の前記洗浄液面に浮遊する前記付着物が前記進出領域に流れ込むのを阻止する分離阻止体とを備えている線条材の洗浄乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の線条材の洗浄乾燥装置において、
前記洗浄ユニットは、前記線条材に付着する付着物の大部分を洗浄によって除去する粗洗浄ユニットと、該粗洗浄ユニットの後段に配置され前記線条材に残留する付着物を洗浄によって除去する仕上げ洗浄ユニットとから構成され、
前記粗洗浄ユニットまたは前記仕上げ洗浄ユニットのいずれかまたは両方に、前記分離阻止体が備えられている線条材の洗浄乾燥装置。
【請求項3】
請求項1に記載の線条材の洗浄乾燥装置において、
前記分離阻止体は、内部に前記線条材が通る線条材通路を有する筒状体であって、前記進出領域の交差する箇所に挿入され、挿入により前記線条材通路内に入り込む洗浄液の洗浄液面と前記線条材通路外の洗浄液面とを前記筒状体の壁によって分離するように構成されている線条材の洗浄乾燥装置。
【請求項4】
請求項3に記載の線条材の洗浄乾燥装置において、
前記線条材通路に清浄な洗浄液を供給するよう構成されている線条材の洗浄乾燥装置。
【請求項5】
請求項4に記載の線条材の洗浄乾燥装置において、
前記清浄な洗浄液の流量が、前記洗浄液を供給しない場合に前記線条材が持ち出す液量の2倍以上である線条材の洗浄乾燥装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−179522(P2012−179522A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42998(P2011−42998)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]