説明

線状光源モジュールおよびその製造方法

【課題】複数の発光素子を実装基板上に配置した線状光源モジュールにおいて、蛍光体樹脂の濃度むらを改善する事ができる線状光源モジュールおよびこれに用いられる実装基板とその製造方法を提供する。
【解決手段】実装基板上のアノード端子とカソード端子間でワイヤボンドもしくははんだ接続する事で、蛍光体樹脂中に含まれる蛍光体粒子の帯電による色度の偏りを防止し、さらには複数のLED20から出射される光の放射照度分布にむらを改善する事が出来る。さらに、端子接続部でワイヤボンドを切断する事で、電気的な接続が分離された本来の配線状態に戻す事も可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子が実装基板上に線状に実装されてなる線状光源モジュールおよび実装基板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種表示装置や照明装置等に使用される光源モジュールとして、線状光源モジュールが知られている。線状光源モジュールは、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子を線状に配置してなる光源モジュールである。
【0003】
当該線状光源モジュールにおいては、線状に配置された複数の発光素子から出射された光が導光板等の導光手段に効率よく入射されるように、当該複数の発光素子を取り囲むように枠体が設けられる場合が多い。
【0004】
たとえば、図13に示す特開2004−265978号公報(特許文献1)には、実装基板と、当該実装基板上に線状に配置された複数のLEDと、当該LEDを取り囲むように実装基板上に配置された枠状と反射体とを備えた線状光源モジュールが開示されている。
【0005】
この種の線状光源モジュールにおいては、出射される光の放射照度分布にむらが生じることを抑制することが重要であり、そのためには、蛍光体樹脂を線状かつ均一に高精度に塗布することが必要になる。これを実現するためには、蛍光体樹脂の塗布時に、蛍光体樹脂の放出されるノズル移動に伴う蛍光体樹脂濃度に偏りを持たせないことが一つの解決方法となる。
【0006】
また、たとえば、図14に示す特開2011−61056号公報(特許文献2)には、熱処理時の放熱基板と回路基板との熱膨張係数の差により応力が発生して基板が反るという課題に対して、発光素子チップ及び回路チップをボンディングワイヤによって電気的に直列接続する線状光源モジュールが開示されている。従来の接着剤で貼り付けた異なる部品の代りに、一体形成された基板を用いているので、熱膨張係数の差による応力が生じず、反りは生じない。その結果として、線状光源装置は小型になり、より蛍光体樹脂を線状かつ均一に高精度に塗布しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−265978号公報
【特許文献2】特開2011−61056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に開示の如く発光ダイオードアレイの両側に沿って延びる反射体を形成して発光ダイオード素子の横側面又は前面からの光を反射し、より高い照度を得ることは出来るが、線状光源モジュールとしては大型化してしまい、反射体の位置精度により線状光源の光の均一性について偏りが生じやすく、コスト的にも反射体の費用が必要となり高価になる。
【0009】
そこで、線状光源モジュールにあっては、枠体の中を蛍光体樹脂で充填し、蛍光体樹脂中には蛍光体粒子が含有される場合が多い。発光素子から出射された光はこの蛍光体粒子により、外部に向けてより効率的に出射される構成にすることが一般的である。
また、上述した特許文献2に開示の如くLEDチップと回路チップを直接ボンディングワイヤで形成すれば、ワイヤの形成方向にLEDチップと回路チップが配置するが、更なる出射される光の放射照度分布むら低減させる為には、より線状光源の小型化が求められている。
【0010】
そこで、各LEDチップのみを直接ボンディングワイヤで接続し、より線状方向に小型に配置する手法が採用されているが、例えばディスペンサを使用して蛍光体樹脂を枠体中に塗布した場合、蛍光体樹脂の硬化後に何らかの作用により、線状方向に蛍光体の濃度むらが生じる場合がある。そして、蛍光体の濃度むらは、線状光源自体の出射される光の放射照度分布にむらに繋がる結果となっている。
【0011】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたものであり、
複数の発光素子を実装基板上に配置した線状光源モジュールにおいて、蛍光体の濃度むらを改善する事ができる線状光源モジュールおよびこれに用いられる実装基板とその製造方法を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に基づく線状光源モジュールは、複数の発光素子が線状に実装されてなる線状光源モジュールに用いられるものであって、線状光源のアノード端子とカソード端子を接続させる端子部を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に基づく線状光源モジュールは、複数の発光素子が線状に実装されてなる線状光源モジュールに用いられるものであって、線状光源のアノード端子とカソード端子を一時的に電気的に接続させることを特徴とする。
【0014】
上記アノード端子と上記カソード端子は、実装基板上に形成されていてもよいし、実装基板以外の線状光源モジュールの構成部品上に形成されてもよい。
【0015】
上記本発明に基づく上記実装基板にあっては、上記実装基板上に載置した複数の線状光源を一時的に上記アノード端子とカソード端子をワイヤボンドで電気的に接続して構成されていることが好ましい。
【0016】
上記本発明に基づく上記実装基板にあっては、上記実装基板上に載置した複数の線状光源を一時的に上記アノード端子とカソード端子をはんだで電気的に接続して構成されていることが好ましい。
【0017】
上記本発明に基づく上記実装基板にあっては、上記実装基板上に載置したアノード端子とカソード端子の端子間隔を4mm以下になるように形成されていることが好ましい。
【0018】
上記本発明に基づく線状光源モジュール製造工程において、上記実装基板の上記アノード端子と上記カソード端子を短絡させるための短絡工程と、上記短絡工程で短絡させた電気的な接続を除去するための短絡部除去工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の発光素子を実装基板上に配置した線状光源モジュールにおいて、蛍光体樹脂の濃度むらを改善する事ができる線状光源モジュールおよびこれに用いられる実装基板とその製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1における線状光源モジュールの斜視図である。
【図2】図1に示す線状光源モジュールの平面図である。
【図3】図1に示す線状光源モジュールの断面図である。
【図4】蛍光体樹脂塗布の概念図である。
【図5】従来例の色度y分布結果である。
【図6】本願発明の実施例1の線状光源モジュールの上面図全体である。
【図7】本発明による色度y分布結果である。
【図8】本願発明の実施例2の線状光源モジュールの上面図全体である。
【図9】本願発明の線状光源モジュールの実製品配線図である。
【図10】本願発明の線状光源モジュールの概念図である。
【図11】本願発明の工程プロセスフロー図である。
【図12】検証実験図である。
【図13】従来例の特許文献1の説明図である。
【図14】従来例の特許文献2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。
以下に示す実施の形態は、いずれも液晶表示装置のバックライト、照明装置、今後の蛍光灯への代替え照明等に組み込まれる線状光源モジュールを例示するものであり、当該線状光源モジュールは、ここではその説明を省略するが、液晶表示装置のバックライトでは、その出射面側に導光体等の導光手段が別途設置される前提のものである。
【0022】
なお、以下に示す実施の形態においては、同様のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態1における線状光源モジュールの斜視図である。また、図2は、図1に示す線状光源モジュールの平面図であり、図3は、図1に示す線状光源モジュールの断面図である。
【0024】
なお、図3は、図2に示すIII−III線に沿って線状光源モジュールを切断した場合の断面図である。まず、これら図1ないし図3を参照して、本実施の形態における線状光源モジュール1Aの構造について説明する。
【0025】
図1ないし図3に示すように、本実施の形態における線状光源モジュール1Aは、実装基板10と、枠体15と、複数のLED20とを主として備えている。
【0026】
実装基板10は、平面視矩形状の板状の部材からなり、基材部11と、第1導電パターン12Aと、一対の第2導電パターン12B,12Cとを有している。当該実装基板10の主表面は、枠体15および複数のLED20が実装される光源エリアと、他の回路部品が実装される周辺エリアとに大別される。第1導電パターン12Aは、光源エリア内の略中央部に配置されるように設けられており、一対の第2導電パターン12B,12Cは、少なくともその一部が光源エリア内の周縁部に配置されるように設けられている。
【0027】
図1および図3に示すように、基材部11は、ベース11aと、当該ベース11a上に形成された絶縁層11bとを含んでいる。ベース11aは、LED20が駆動することで生じた熱や、実装基板10に実装された他の回路部品にて生じた熱を外部に効率的に放熱する観点から、アルミニウム等の高熱伝導性の金属板にて構成されていることが好ましい。しかしながら、ベース11aは、これに限定されるものではなく、ガラスエポキシ板や、セラミックス板にて構成されていてもよい。また、絶縁層11bは、ベース11aと第1および第2導電パターン12A〜12Cとの間の絶縁性が確保できるものであれば、どのような材質のものであってもよい。なお、ベース11aを上述した如くのガラスエポキシ板やセラミックス板の如くの絶縁体にて構成した場合には、絶縁層11bの形成は不要である。
【0028】
図1ないし図3に示すように、基材部11の主表面上(すなわち、絶縁層11bの主表面上)には、上述した第1導電パターン12Aおよび第2導電パターン12B,12Cが形成されている。第1導電パターン12Aは、複数のLED20がその表面上に実装される導電パターンであり、一対の第2導電パターン12B,12Cは、複数のLED20の各々の実装位置を決定するためのアラインメントマークとなるアラインメント部を含む導電パターンである。なお、本実施の形態において、複数のLED20が導電パターン上に実装される理由は、主としてLED20が駆動することで生じた熱を基材部11に効率的に放熱するためである。
【0029】
図3に示すように、第1導電パターン12Aおよび第2導電パターン12B,12Cのそれぞれは、基材部11の主表面上に形成された配線層13aと、当該配線層13aを覆うように形成されためっき層13bとを含んでいる。なお、本実施の形態における線状光源モジュール1Aにあっては、第1導電パターン12Aおよび第2導電パターン12Cは、電気信号を伝送するための配線としての機能は有していないが、電気信号を伝送するための他の配線層と同時に形成されるいわゆるダミー配線に相当するものであるため、ここではこれら第1導電パターン12Aおよび第2導電パターン12Cに含まれる層13aについても配線層と称している。
【0030】
配線層13aおよびめっき層13bの材質は、特に限定されるものではないが、配線層13aは、熱伝導率および導電率の観点から銅などの金属材料にて構成されていることが好ましく、めっき層13bは、熱伝導率、導電率および反射率の観点から、銀、アルミニウム、白金などの金属材料にて構成されていることが好ましい。なお、光が実装基板10に一切照射されないように構成されている場合や、配線層13aの腐食を防止するために別途プリフラックスを配線層13aに塗布する場合等には、めっき層13bの形成は不要である。
【0031】
配線層13aの厚みとしては、熱の逃がし易さや電流の流れ易さ等の観点から、その断面積ができるだけ大きくなるように厚く形成することが好ましい。 しかしながら、配線層13aを厚く形成し過ぎた場合には、配線層13aのパターニングの際に、不要部分を溶解させるために大量のエッチング液が必要になるとともに、エッチングのタクトタイムも長時間化するため、これらを考慮して最適の厚みとすることが好ましい。また、配線層13aの厚みを厚く形成し過ぎた場合には、後述するアラインメント部のエッジ部に大きな丸みが生じてしまう原因になる。そのため、上述した各種の観点から、配線層13aの厚みとしては、好適には0.035mm以下とされることが好ましい。
【0032】
図1および図2に示すように、第1導電パターン12Aは、基材部11の主表面の法線方向から見た場合に(以下、単にこれを「平面視した場合に」とも称する)、長尺の略矩形状の形状を有しており、当該第1導電パターン12Aが延びる方向に沿ってLED20が線状に実装されている。
【0033】
一対の第2導電パターン12B,12Cのうちの一方である第2導電パターン12Bは、基材部11の主表面上において、第1導電パターン12Aの延びる方向と交差する方向の一方側において当該第1導電パターン12Aと概ね並走するように設けられている。 より詳細には、第2導電パターン12Bは、第1導電パターン12Aが延びる方向に沿って延びるベース部12bと、当該ベース部12bから第1導電パターン12A側に向けて突出する複数の凸部からなるアラインメント部18Bとを含んでいる。当該複数のアラインメント部18Bは、ベース部12bが延びる方向に沿って一定の距離をもってそれぞれ離間して設けられている。
【0034】
一対の第2導電パターン12B,12Cのうちの他方である第2導電パターン12Cは、基材部11の主表面上において、第1導電パターン12Aの延びる方向と交差する方向の他方側において当該第1導電パターン12Aと概ね並走するように設けられている。 より詳細には、第2導電パターン12Cは、第1導電パターン12Aが延びる方向に沿って延びるベース部12cと、当該ベース部12cから第1導電パターン12A側に向けて突出する複数の凸部からなるアラインメント部18Cとを含んでいる。当該複数のアラインメント部18Cは、ベース部12cが延びる方向に沿って一定の距離をもってそれぞれ離間して設けられている。
【0035】
以上により、一対の第2導電パターン12B,12Cは、基材部11の主表面上において第1導電パターン12Aが延びる方向と交差する方向に沿って第1導電パターン12Aを挟み込むように位置することになる。なお、アラインメント部18B,18Cは、第1導電パターン12Aが延びる方向に沿って互い違いに配置されるように設けられている。
【0036】
ここで、複数の凸部からなるアラインメント部18B,18Cのそれぞれは、平面視した場合に一対の角部をそれぞれ有しており、これら一対の角部の各々または一方がアラインメント用の出隅部となる。すなわち、上記構成を採用することにより、凸部の角部にて構成される複数のアラインメント用の出隅部が、基材部11の主表面上において、第1導電パターン12Aが延びる方向と交差する方向に沿って当該第1導電パターン12Aに対峙して配置されることになる。
【0037】
複数のLED20は、駆動されることで光を出射する発光素子に該当し、上述したように第1導電パターン12Aの延びる方向に沿って線状に互いに所定の距離をもって第1導電パターン12A上に実装されている。より詳細には、複数のLED20の各々は、図示しないダイボンド材によって第1導電パターン12Aに接着されており、複数のLED20のうちの隣り合うLED同士は、金線等からなるボンディングワイヤ21によって電気的に接続されている。
【0038】
図1ないし図3に示すように、枠体15は、たとえば白色樹脂の成形体にて構成されており、好適には射出成形(アウトサート成形)されることによって実装基板10に一体化させて形成される。枠体15は、その外形が環状(額縁状)となるようにスリット状の内部中空を有する形状に形成されており、上述した第1導電パターン12Aの周縁に沿って配設されている。
【0039】
枠体15は、上述した線状に配置された複数のLED20を取り囲むように設けられており、当該複数のLED20から出射された光の一部を反射する反射面15aをその内周部に有している。なお、当該反射面15aは、図3に示すように傾斜状に設けられることが好ましい。このように構成することにより、LED20の駆動時において、反射面15aで反射された光をLED20の光軸方向に導くことが可能になり、外部に向けて効率よく光が出射されることになる。
【0040】
また、図3に示すように、枠体15の内部中空には、蛍光体樹脂16が充填されている。蛍光体樹脂16は、たとえばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等からなり、枠状の反射体15の内部中空に位置する複数のLED20を封止している。なお、蛍光体樹脂16には、蛍光体粒子が分散配置されていている。
【0041】
次に、本実施の形態における線状光源モジュール1Aを製造するための具体的な製造方法について説明する。
【0042】
本実施の形態における線状光源モジュール1Aを製造するに際しては、まずベース11a上に絶縁層11bを形成し、形成した絶縁層11b上にさらに配線層13aを形成する。具体的には、絶縁層11bは、たとえば接着や蒸着等によってベース11a上に形成され、配線層13aは、蒸着または接着等によって絶縁層11b上に導体層が形成された後に、当該導体層に対してフォトマスクを用いたエッチング処理が行なわれて所定形状にパターニングされることにより絶縁層11b上に形成される。
【0043】
次に、配線層13a上にめっき層13bを形成する。より詳細には、所定形状にパターニングされた配線層13aが基材部11の主表面上に形成されてなる仕掛品をめっき液に浸漬し、当該状態を維持しつつ配線層13aに電圧を印加することにより、剥き出しとなっている配線層13aの表面にめっき処理が施され、これによりめっき層13bが配線層13a上に形成される。以上により、第1導電パターン12Aおよび第2導電パターン12B,12Cが基材部11の主表面上に形成されてなる実装基板10が製作される。
【0044】
なお、上述したエッチング処理の際には、形成される配線層13aのエッジ部に丸みが生じてしまうことになる。当該エッジ部の丸みは、その後に行なわれるめっき処理の際にもめっき層13bのエッジ部に丸みとなって現れるため、結果的に第1導電パターン12Aおよび第2導電パターン12B,12Cのエッジ部に丸みが生じてしまうことになる。
【0045】
そのため、第2導電パターン12B,12Cに含まれるアラインメント部のエッジ部に丸みが可能な限り生じないようにするためには、前述したように配線層13aの厚みを必要以上に厚く形成し過ぎないことが重要である。
【0046】
次に、実装基板10の主表面側に枠体15を形成する。より詳細には、実装基板10を射出成形装置の成形型に設置した後、白色樹脂を成形型に流し込み、これを硬化させることで第1導電パターン12A上に枠体15が形成される。なお、このように枠体15を実装基板10に対して射出成形にて形成することにより、実装基板10に対する枠体15の実装位置が高精度に位置決めされることになる。
【0047】
次に、第1導電パターン12A上に複数のLED20が位置決めして実装される。より詳細には、上述した第2導電パターン12B,12Cに含まれるアラインメント部を基準として複数のLED20の各々の実装位置が決定され、これに基づいて複数のLED20がチップマウンタ等を用いて第1導電パターン12A上に実装される。その後、複数のLED20がボンディングワイヤ21を用いてワイヤボンドされ、さらに蛍光体樹脂16によって封止されることにより、図1ないし図3に示した如くの線状光源モジュール1Aが完成する。
【0048】
図4に蛍光体樹脂の塗布方法についての詳細を概念図で示す。ディスペンサノズル23の先端から出た蛍光体樹脂を一定量ずつ放出しながら、第1導電パターン12A上のアノード端子側(−端子)からカソード端子側(+端子)までノズル先端を移動させて、均一に蛍光体樹脂を塗布する。
【0049】
図5に従来の蛍光体樹脂塗布による線状光源モジュール1Aの塗布位置と色度y分布の関係を示す。アノード端子(−端子)を原点として、カソード端子(+端子)までの色度y分布は、図に示されるように、アノード端子(−端子)付近が0.15程度であり、カソード端子(+端子)に近づくにつれて上昇し、カソード端子(+端子)付近では、0.2程度に達している。この為、線状光源モジュール1A内に色度y偏りが生じ、複数のLED20から出射される光の放射照度分布にむらを与えている。これは、後述する検証実験で記述するが、蛍光体樹脂中に含まれる蛍光体粒子の帯電による影響と考えられる。
【0050】
図6は、本願発明の実施例1の線状光源モジュール1Aの上面図全体である。第2導電パターン12B上のカソード端子(+端子)と第3導電パターン12D上のアノード端子(−端子)がボンディングワイヤ21を用いてワイヤボンドされている。また、複数のLED20はチップピッチ1.00〜2.00mm(好ましくは1.6mm前後)の間隔で第1導電パターン12A上に形成され、15個程度がボンディングワイヤで直列に接続されている、線状光源モジュールのクラスタ22を形成されている。さらに、各クラスタの間隔は3.00〜4.00mm(好ましくは3.7mm前後)を有し、1つの線状光源モジュール1A内には、およそ4つクラスタが形成されている。
【0051】
これらのカソード端子(+端子)とアノード端子(−端子)のワイヤボンドは、複数のLED20のワイヤボンドと同時に形成される。
【0052】
そして、図4に示した蛍光体樹脂塗布後、蛍光体樹脂の熱硬化を行い、所定の処理が完了するまでアノード端子(−端子)とカソード端子(+端子)間の端子部にて、ワイヤボンドすることを可能とする。
【0053】
一方で、蛍光体樹脂中に含まれる蛍光体粒子の帯電により、蛍光体樹脂塗布時に蛍光体粒子はアノード(−)に帯電しており、カソード端子(+端子)に集合しやすい特性を持っている。
【0054】
その為、線状光源モジュール1A内に色度の偏りを生じやすくなっている。しかし、上述のアノード端子とカソード端子間でワイヤボンドする事で、アノード端子(−端子)とカソード端子(+端子)が一時的に短絡された状態、つまり電位差が無くなった状態となる。
【0055】
これにより、後の工程である蛍光体樹脂の熱硬化等によるカソード端子(+端子)への蛍光体粒子の集束促進を防止する事が出来るようになる。さらに、このワイヤボンドを蛍光体樹脂塗布、熱硬化等の後に端子部のワイヤボンド部分を切断して、アノード端子(−端子)とカソード端子(+端子)端子間の電気的な接続の分離が可能となる。
【0056】
このアノード端子とカソード端子間でワイヤボンドする事で、蛍光体樹脂中に含まれる蛍光体粒子の帯電による色度の偏りを防止し、さらには複数のLED20から出射される光の放射照度分布にむらを改善する事が出来る。そして、さらには、端子接続部でワイヤボンドを切断する事で、電気的な接続が分離された本来の配線状態に戻す事も可能となる。
【0057】
図7に本願発明による線状光源モジュール1Aの塗布位置と色度y分布の関係を示す。図に示されるように、色度yはアノード端子(−端子)付近が0.17程度であり、カソード端子(+端子)に近づいても同様に0.17程度であり、線状光源モジュール1A内に色度yの偏りは見られず、さらには、複数のLED20から出射される光の放射照度分布が高精度に均一なものに改善される。
【0058】
以上の結果より、本発明に線状光源モジュール1Aによれば、LED20の色度yの偏りが減少すると共に光の放射照度分布が従来例に対して改善することが確認できる。
したがって、本発明の有意な効果が当該結果により確認された。
(実施の形態2)
図8は本願発明の実施例2の線状光源モジュールの上面図全体である。
【0059】
以下、この図8を参照して、本実施の形態における本実施の形態における線状光源モジュール1Bについて説明する。この線状光源モジュール1Bについては、実施の形態1で記載したアノード端子(−端子)とカソード端子(+端子)の端子位置、接続方法が相違する。すなわち、本実施形態の線状光源モジュール1Bでは、全クラスタのアノード端子を連結させた+端子部を形成し、同様に全クラスタのカソード端子を連結させた−端子部を形成する。
【0060】
そして、+端子部と−端子部は、はんだによって短絡されている。
これにより、1つの線状光源モジュールの微細なワイヤボンドでの短絡、切断という製造方法の負担を低減すると共に、+端子部と−端子部の大きなはんだによる短絡箇所1カ所を短絡、切断する事で、実施の形態1と同様に、線状光源モジュール内に色度の偏りがなく、さらには、複数のLED20から出射される光の放射照度分布が高精度に均一なものに改善された状態を実現する事が出来る。
【0061】
図9に本願発明の線状光源モジュールの実製品基板の配線図を示す。線状光源モジュールの実装基板は、幅10mm、長さ110mm程度の大きさの平面視矩形状の板状の部材から構成されており、実装基板10の主表面は、基準穴、枠体15および複数のLED20が実装される光源エリアと、他の回路部品が実装される周辺エリアとが配置されている。
【0062】
図10に本願発明の概念図を示す。図6、図8、図9において、本願発明の実製品での構成を説明したが、本願発明は図10に記載されているように、複数のLED20がボンディングワイヤで接続されており、そのLED20と配線された配線エリアにアノード端子(−端子)とカソード端子(+端子)を有し、それらを蛍光体樹脂塗布工程前に短絡し、蛍光体樹脂塗布工程後に何らかの方法、例えば、ボンディングワイヤの断線、配線のエッチィングによる除去にてアノード端子(−端子)とカソード端子(+端子)を断線する工程を含んでいる実装基板及びそれに搭載された線状光源モジュールをすべて含むものである。
【0063】
図11に本願発明の工程プロセスフロー図を示す。受け入れ検査工程にて部品の品質確認を行い、ダイボンド工程にて、複数のLED20を第1導電パターン12Aにダイボンドする。次に、ボンディングワイヤ工程にて、複数のLED20をボンディングワイヤで接続し、同時あるいはその後にアノード端子(−端子)とカソード端子(+端子)についてもボンディングワイヤで接続する。なお、実施例2のはんだについても同様の処理で行う。次に、ボンディングワイヤQC工程でボンディングワイヤの品質検査を行い、蛍光体樹脂塗布工程にて、枠体15中の複数のLED20を所定の蛍光体樹脂で封止する。封止された蛍光体樹脂を熱処理により硬化した後、短絡用ボンディングワイヤ工程にてボンディングワイヤの断線、あるいははんだ断線を行う。
【0064】
図12に検証実験の結果を示す。
ガラス板上の配線シート(銅箔厚さ35um、配線1.5mmピッチ品)の銅配線の櫛歯パターンを作成して、同様にパターン上に蛍光体樹脂を塗布し、線状光源モジュールの模式実験を実施したところ、カソード端子(+端子)側に蛍光体樹脂が集まり、蛍光体樹脂中の蛍光体粒子はアノード(−)に帯電している事を確認している。図12には、銅配線の櫛歯パターンの初期から処理後における蛍光体粒子の移動の様子を顕微鏡写真にて示しており、全体写真の動画においても蛍光体粒子はアノード(−)に帯電している事を確認している。
【0065】
なお、粒子の実施の形態においては、枠体15がアウトサート成形によいって実装基板10に一体化された場合を例示して説明を行なったが、他の方法を用いて枠体15を実装基板10に組付けることとしてもよい。
【0066】
さらに、複数のLED20の線状の意味は、湾曲状、並列状、ジグザグ状、長方形状、正方形状といった一定の方向性を指し、直線性が一部でもあれば、一直線にのみ複数のLED20が配列したものに限定されない。
【0067】
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、線状光源モジュールおよび実装基板として利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1A〜1C 線状光源モジュール、
10 実装基板
11 基材部
11a ベース
11b 絶縁層
12A 第1導電パターン
12B 第2導電パターン
12C 第2導電パターン
12D 第3導電パターン
12b ベース部
12c ベース部
13a 配線層
13b めっき層
14 白色レジスト膜
15 枠体
15a 反射面
16 蛍光体樹脂
18B アラインメント部
18C アラインメント部
20 LED
21 ボンディングワイヤ
22 クラスタ
23 ディスペンサノズル
24 アノード端子 (−端子)
25 カソード端子 (+端子)
26 はんだ
101 線状光源
102 反射体
103 回路チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が実装基板上に線状に実装されてなる線状光源モジュールであって、
前記実装基板の基材部の主表面上に設けられ、前記複数の発光素子がその表面上に実装された第1導電パターンと、
前記基材部の前記主表面上に設けられた第2導電パターンと、前記発光素子の周囲を囲む枠体と、前記枠体内を塗布する蛍光体樹脂を備え、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンに端子部を有する事を特徴する線状光源モジュール。
【請求項2】
複数の発光素子が実装基板上に線状に実装されてなる線状光源モジュールであって、
前記実装基板の基材部の主表面上に設けられ、前記複数の発光素子がその表面上に実装された第1導電パターンと、
前記基材部の前記主表面上に設けられた第2導電パターンと、前記発光素子の周囲を囲む枠体と、前記枠体内を塗布する蛍光体樹脂を備え、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとの端子部で短絡可能な事を特徴する線状光源モジュール。
【請求項3】
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとの端子間の一時的な短絡が、ワイヤボンディングよってなされている請求項1または請求項2に記載の線状光源モジュール。
【請求項4】
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとの端子間の一時的な短絡が、はんだによってなされている請求項1または請求項2に記載の線状光源モジュール。
【請求項5】
複数の発光素子が実装基板上に線状に実装されてなる実装基板であって、
前記実装基板の基材部の主表面上に設けられ、前記複数の発光素子がその表面上に実装された第1導電パターンと、
前記基材部の前記主表面上に設けられた第2導電パターンと、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとの端子部を有する事を特徴する実装基板。
【請求項6】
複数の発光素子が実装基板上に線状に実装されてなる実装基板であって、前記実装基板の基材部の主表面上に設けられ、前記複数の発光素子がその表面上に実装された第1導電パターンと、
前記基材部の前記主表面上に設けられた第2導電パターンと、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとの端子間で短絡可能な事を特徴する実装基板。
【請求項7】
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとの端子間の一時的な短絡が、ワイヤボンディングよってなされている請求項5または請求項6に記載の実装基板。
【請求項8】
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとの端子間の一時的な短絡が、はんだによってなされている請求項5または請求項6に記載の実装基板。
【請求項9】
複数の発光素子が実装基板上に線状に実装されてなる線状光源モジュールの製造方法であって、
前記実装基板の第1導電パターンと前記第2導電パターンとの端子間の短絡工程と、前記前記枠体内を塗布する蛍光体樹脂塗布工程と、前記蛍光体樹脂の硬化工程と、前記実装基板の第1導電パターンと前記第2導電パターンとの端子間の短絡を分離する工程を有することを特徴とする線状光源モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−77660(P2013−77660A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215782(P2011−215782)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】