説明

締め具とベルトとを備えるアセンブリ

【課題】締め具とベルトとを備えるアセンブリにおいて、締結のために係合される部分の磨耗を減少またはなくして、締め付け効率を改善する。
【解決手段】締め具15は、ベース33と、引き込みレバー43と、ラチェット40とを備える。ベルト14の歯列27の歯29において、歯29の捕捉面30の接線であると共にベルト14に対して平行である少なくとも1本の直線d1、d2が、ベルト14の長手方向L14に対して90度未満の角度α1、α2をなす。レバー43の引き込み端45が、ベルト14の歯27と協働するようになっている。ラチェット40の保持領域42が、ベルト14の歯27と協働するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類又はスポーツ用品に使用されるような、締め具とベルトとを備えるアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
上記アセンブリは、靴の折り返し部分又は生地等のような要素を可逆的に締め付けるのに役立つものである。
【0003】
本発明によるアセンブリは、例えば、スノーサーフィン、すなわちスノーボードの分野に適用される。スノーボードのいくつかの固定器具またはビンディングは、ブーツを固定器具のベース上に着脱可能に保持するための1つ又は複数のストラップを備える。
【0004】
ストラップは、概して、カバーと、カバーに連結されるラチェット締め具とを備える。ストラップの長さは、締め具によってベルトをカバーに対して変位させることで調節される。この目的で、締め具のレバーによってストラップを短縮することが可能になっており、レバーが作動していないときにはラチェットがストラップの延伸を防止する。必要な場合に、解放ボタンによってラチェットを作動させることで、ストラップの延伸、又はベルト及びカバーの分離によるストラップの開放が行われる。この動作は、締め具のユーザ、すなわち、スノーボードを行う人物であって、ストラップの張りを緩めたいと思っているか、又はブーツを固定器具から解放したいと思っている人物によって望まれる行為である。
【0005】
ベルトのストラップの大部分は歯列を備える。したがって、ストラップの締め付け方向にベルトを付勢することを目的として、レバーの引き込み端が、ベルトの歯列と協働するように設けられる1つ又は複数の歯を有する。当然、ラチェットは、ストラップの延伸又は開放を防止するためにも歯列と協働する。
【0006】
このタイプのストラップは概して、特に実施が容易であることから、好評的に使用されている。しかし、いくつかの不都合な点が挙げられる。
【0007】
例えば、時間に経過とともに、とりわけ、ストラップによって最もきつく締め付けられる部分において歯列に摩耗が認められるようになる。また、歯が締め付けの際に抜け得る方向においてベルトの歯列に対するレバーの引き込み端の捕捉が不完全になることがしばしばある。
【0008】
また、ストラップの締め付け度合いの漸進性の欠如も認められる。この欠如は、歯の摩耗に伴って助長される。
【0009】
さらに、時間の経過により、すなわち、摩耗が助長されると、締め付けを誘起するのに必要なエネルギーが増大する。言い換えれば、ストラップを締め付けるのに徐々に労力がかかるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、本発明は特に歯列の摩耗を減じ又は無くすことを目的とする。本発明は、ベルトの歯列によるレバーの引き込み端の捕捉を最適化することを目的とする。本発明は、ストラップの締め付けの漸進性を改善することも目的とする。最後に、本発明は、締め付けの効率を改善することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため、本発明は、締め具とベルトとを備えるアセンブリであって、該ベルトは、長手方向に沿って取付端から自由端まで延びると共に歯列を備え、締め具は、ベースと、引き込みレバーと、ラチェットとを備え、該レバーは、ベース上に連結されると共に、一方では第1の方向に沿うベルトの引き込み端を有し、他方では操作端を有し、ラチェットは、ベース上に連結されると共に、第1の方向とは逆の第2の方向に沿ったベルトの変位を防止するように設けられる保持領域を有し、弾性手段が、ラチェットの保持領域をベースに向かって常に付勢する、アセンブリを提供する。
【0012】
本発明によるアセンブリは、ベルトの歯列の少なくとも1つの歯について、該歯の捕捉面の接線であると共にベルトに対して平行である少なくとも1本の直線が、ベルトの長手方向に対して90度未満の角度をなすこと、レバーの引き込み端が、ベルトの歯列と協働するようになっていること、及びラチェットの保持領域が、ベルトの歯列と協働するようになっていることを特徴とする。
【0013】
本発明による歯列の歯は、従来技術のベルトの幅に等しい幅を有するベルトであっても、より長い能動部分を有する。これは、言い換えれば、歯の能動長さがベルトの幅より長いことを意味する。結果的に、歯の能動表面は、レバーの引き込み端と接触する表面であるのだが、これは従来技術のベルトの歯の場合よりも大きい。
【0014】
従って、特にアセンブリの締め付けの間、歯にかかる接触圧力が減少する。当然、この圧力減少は、従来技術の装置を備えるアセンブリに対して考慮されるものである。
【0015】
結果的として生じる利点のうち、特に歯の摩耗の大幅な減少を挙げることができる。同様の観点から、レバーの引き込み端の摩耗も減少される。必然的に、接触圧力が減少することによって歯とびが回避される方向において、ベルトの歯列によるレバーの引き込み端の捕捉が改善される。
【0016】
別の利点は、歯の形状に関する。実際、ベルトを長手方向に追っていくと、与えられた歯の少なくとも一部が、横断方向に後続の歯の一部の高さにあることが認められる。これによって、レバーがベルトに加える締め付けの力が、1つの歯から別の歯へ漸進的に移行するようになる。言い換えれば、締め付けはより漸進的であり、ユーザ側に必要とされる締め付けの労力がより少ない。
【0017】
圧力が減少することによってベルトに対するレバーの摩擦が減少するため、締め付け効率の改善も認められる。
【0018】
また、締め具は解放ボタンを備えるように構成してもよく、ベースは、ブリッジによって繋がっている第1のフランジ及び第2のフランジを有し、レバーは、ベース上でフランジ間に連結され、第1の引き込み方向は、フランジとブリッジとに対して実質的に平行であり、ラチェットは、ベース上でフランジ間に連結され、弾性手段は、ラチェットの保持領域をブリッジに向かって付勢し、且つ解放ボタンは、弾性手段の作用に抗してブリッジに対してラチェットの保持領域が離れるように設けられることが理解されるであろう。さらに言えば、解放ボタンは、ラチェットの保持領域を弾性手段の作用に抗するように付勢するように設けられる。
【0019】
当該構成は、広く普及している操作標準規格に対応する。
【0020】
本発明の他の特徴及び利点が、非限定的な実施形態、すなわち本発明が実現され得る方法によって、添付の図面を参照して以下の説明からより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態による、ストラップを備えるスノーボードの固定器具の斜視図である。
【図2】図1の固定器具の第1のストラップの部分的な側面図である。
【図3】図1の長手方向L1に沿った、第1のストラップの断面図である。
【図4】締め具がベルトを引き込んだ場合の、図3と同様の断面図である。
【図5】締め具がベルトを解放した場合の、図3と同様の断面図である。
【図6】締め具がベルトを保持した場合の、締め具をより良く示す、図1の部分的な拡大図である。
【図7】ベルトが締め具の引き込みレバーの2つの歯によって付勢されていると共に、ラチェットによってベルトの前進が許されている場合の、第1のストラップのベルトの底面概略図である。
【図8】ベルトが引き込みレバーの1つのみの歯によって付勢されていると共に、締め具のラチェットによってベルトの後退が防止されている場合の、図7と同様の図である。
【図9】本発明の第2の実施形態による、図3と同様の図である。
【図10】本発明の第3の実施形態による、ベルトの上面斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施形態による、ベルトの上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
スノーボードの分野で使用されるアセンブリを以下で説明するが、上述したように本発明は他の分野にも適用されることを理解されたい。
【0023】
次に、図1〜図8を参照して第1の実施形態を説明する。
【0024】
図1に示されるように、アセンブリが、不図示のブーツを板3上に保持するように設けられるスノーボードの固定器具1を備える。
【0025】
既知のように、固定器具1は、支承板4、並びに、アーチ7によって互いに繋がっている外縁5及び内縁6を有する。
【0026】
支承板4は、固定器具の長手方向L1に沿って前端8から後端9まで延びる。
【0027】
第1のストラップ11及び第2のストラップ12は、ブーツを固定器具1上に着脱可能に保持するように設けられる。便宜上、第1のストラップ11のみを以下で説明する。
【0028】
限定するものではないが、第1のストラップ11は、例えば、カバー13と、ベルト14と、ベルトの締め具15とを備える。
【0029】
カバー13は、例えば、柔軟な材料から成る1つ又は複数の層を備えており、取付端20から自由端21まで延びる。当然、取付端20は、例えば、継手によって内縁6に連結されている。カバー13は、長さを調整するように構成されている複数の片を備えることができる。
【0030】
ベルト14は、その長手方向L14に沿って取付端25から自由端26まで延びる。この場合、取付端25は、例えば、継手によって外縁5に連結されている。
【0031】
ここで、ベルト14は、アーム(腕部)28上に配置されている歯列27を備えている。歯列27及びアームは単一ブロック片を形成しており、これはプラスチック材料から成ることが好ましい。歯列27は、規則的な間隔で配置されている一連の歯29から成る。各歯29は、以下で明らかになるように締め具15と協働するように設けられる捕捉面30及び係合面31を有する。面30及び31の接合部は、歯29の頂点をなすエッジを形成する。捕捉面30は、ベルト14に対して垂直の向きになっており、それによって、締め具15の他の構成部材に安定して捕捉される。
【0032】
次に、締め具15の構造及び機能を図2〜図8を参照して説明する。
【0033】
締め具15は、図2では側方から示されている。締め具15は、ベルト14を案内するように設けられるU字形状のベース33を備える。ベース33は、ブリッジ36によって繋がっている第1のフランジ34及び第2のフランジ35を備える。
【0034】
ベース33は、例えば、締め具15が自由端21の高さにあるように、軸を有するリベット37によってカバー13に連結される。
【0035】
図3に示されるように、締め具15は、軸41に沿ってフランジ31及び32間に連結されているラチェット40を備える。ばねのような不図示の弾性手段が、ラチェットの保持領域42がブリッジ36に向かって押されるように、ラチェット40を常に付勢する。保持領域42は、歯の形態で示されている。
【0036】
引き込みレバー43が、その一端において操作端44を有し、他端においては少なくとも1つの歯46を備える引き込み端45を有する。引き込みレバー43は、軸47に沿ってフランジ34及び35間に連結される。ばねのような不図示の弾性手段が、操作端44がブリッジ36に向かって押されるように、レバー43を常に付勢する。
【0037】
解放ボタン50が、ラチェット40のカム52の表面を押圧するように設けられるカム51の表面と、手動で作動されるように設けられる操作端53を有する。解放ボタン50は、軸54に沿ってフランジ34及び35間に連結される。引き込みレバー43及び解放ボタン50はそれぞれ、異なる軸47及び54に沿って連結されることに留意されたい。
【0038】
概して、本発明の第1の実施形態によると、ラチェット40の軸41と、レバー43の軸47と、ボタン50の軸54とは、互いに平行である。これらの軸41、47及び54は、締め具15の横断方向W15に沿った向きになっている。この方向W15は、ブリッジ36と平行であり、ベルト14が締め具15に導入されるときにベルト14の横断方向W14と重なる。当然、ベルト14の横断方向W14はベルトに対して平行であり、ベルトの長手方向L14に対して垂直である。
【0039】
外部からの付勢が全くなければ、締め具15の構成要素は、図3に示されているようにそれぞれの配置に付いている。
【0040】
ベルト14がフランジ34及び35間において、ベース33にブリッジ36の長さを有するように、ラチェット40がストラップ11の延伸を防止する。これは、ベルト14の自由端26が、ベース33の内側エッジ56から外側エッジ57に向かう方向に変位することができないことを意味する。
【0041】
これに対し、逆方向の変位は可能である。この変位は、図4の場合のようにユーザによって誘起され得る。
【0042】
引き込みレバー43は、歯46がベルト14を引き込むようにその端部44を介して作動される。この場合、ベルト14の自由端26は、外側エッジ57から内側エッジ56に向かう方向に変位する。これは、ストラップ11が短くなることを意味し、ブーツの締め付けがきつくなる。
【0043】
反対に、ユーザがストラップを緩めたい場合、又はさらに、ストラップを解いてブーツを脱ぎたい場合、ユーザは図5に示されている通りにすればよい。
【0044】
この場合、引き込みレバー43は付勢されず、その操作端44はブリッジ36に対して最も近い配置に付く。ユーザは、例えば、指で解放ボタン50の操作端53を作動させる。
【0045】
ボタン50のカム51の表面は、ラチェット40の保持領域42がブリッジ36及びベルト14から離れるように、ラチェット40のカム52の表面を押圧する。ラチェット40がベルト14と係合していないため、ストラップ11は延伸することができる。
【0046】
当然、ボタン50の作動を止めればすぐにラチェット40は保持位置に戻りベルトと係合する。
【0047】
締め具15の構造によってもたらされる1つの利点は、解放ボタン50を手動で作動させればストラップ11が延伸し、開くことである。
【0048】
本発明によると、特に図1及び図6〜図8を参照すれば分かるように、ベルト14の歯列27の少なくとも1つの歯29について、歯29の捕捉面30の接線であると共にベルト14に対して平行である少なくとも1本の直線d1、d2とベルトの長手方向L14とが90度未満の角度α1、α2をなし、レバー43の引き込み端45が、ベルト14の歯列27と協働するようになっており、ラチェット40の保持領域42が、ベルト14の歯列27と協働するようになっている。
【0049】
少なくとも1つの歯29について、捕捉面30の少なくとも一部が長手方向L14に対して垂直とされていない、とも言える。
【0050】
従来技術のストラップに対して、本発明の締め具15及びベルト14は、引き込みレバー43とベルトとの間、又はラチェット40とベルトとの間に隆起した捕捉表面を提供する。もちろん、同様の寸法との、すなわち、同様の大きさの締め具及びベルトについての比較がなされ、その結果、各歯にかかる接触圧力は、ベルト、引き込みレバー又はさらにはラチェットに対するものであろうと減少する。
【0051】
結果的として生じる利点の1つとして、歯の摩耗が減少すること、又はさらには歯の摩耗が無くなることが言える。従って、特にストラップの締め付け時の歯とびが軽減され、又は無くなりさえもする。また、本発明による構成は、締め付けの漸進性を増加させる。さらには、その後、ベルトと締め具との間の摩擦が減ることが評価される。これは、締め付け効率を改善する。
【0052】
本発明の第1の実施形態によると、ベルト14の歯列27と接するレバー43の歯46について、レバーの歯46の捕捉面60の接線であると共にベルト14に対して平行である少なくとも1本の直線d3、d4が、ベルトの長手方向L14に対して90度未満の角度α3、α4をなす。
【0053】
同様の観点から、ベルト14の歯列27と接するラチェット40の保持領域42について、ラチェットの保持領域42の捕捉面70の接線であると共にベルト14に対して平行である少なくとも1本の直線d5、d6が、ベルトの長手方向L14に対して90度未満の角度α5、α6をなす。
【0054】
図7及び図8による図は、ベルト14、ラチェット40及びレバー43に関する参照符号をまとめて示している。ベルト14の歯29、ラチェット40の保持領域42、及びレバー43の歯46は、同一又は同様の形状である。特に、ラチェット40の保持領域である歯42、及びレバー43の歯46はそれぞれ、ベルトの歯29と類似の形状を有するように設けられる。これによって、ベルトによるラチェット及び/又はレバーの確実な捕捉が可能になる。
【0055】
本発明の第1の実施形態によれば、限定を意図するものではないが、ベルト14の歯29、ラチェット40の保持領域である歯42、及びレバー43の歯46はそれぞれ、実質的にV字形状を有する。言い換えれば、歯の実質的な形状は山形である。この形状により、ベルト14は、ストラップ11の締め付けの間にほとんど又は全く締め具15のフランジ34及び35に摩擦を生じない。このことはV字形状によってベルト14の中心がフランジ34及び35間に位置することになるとも言える。有利にも、締め付け効率は良くなる。
【0056】
便宜上、ベルト14の歯29を以下にさらに詳述する。しかし、ベルト14の歯29について説明することは、ラチェット40の保持領域である歯42又はレバー43の歯46に適用されることは明らかである。
【0057】
特に図7及び図8に示されているように、歯の29の捕捉面30は、第1の小面81及び第2の小面82を有する。各小面81及び82は、捕捉面30の直線部分を有する。当然、小面81及び82の接合部は、V字の頂点を形成する。捕捉面30がベルト14の表面に対して垂直である場合、小面81及び82は、ベルトに対して垂直である。これは、ラチェット40によるベルト14の保持と同様に、レバー43からの締め付けの力の伝達を改善する。必然的に、係合面31は、長手方向L14に沿って係合面31がアーム28と共に10度〜70度の角度をなす方向に傾斜している。各歯29の係合面が、ストラップ11の締め付けの間にラチェット40を押圧する。
【0058】
限定するものではないが、歯列27は、横断方向に対称であるように設けられる。したがって、各歯29は、ベルト14の長手方向中心軸(参照符号L14によって示される)に対して横断方向に対称である。必然的に、小面81及び82の接合部は、ベルト14の第1の横断縁83と第2の横断縁84との中間にある。これは、上記のように、締め付けの効率を改善し、その上、締め付けのより確かな規則性をももたらす。実際には、ベルト14は、締め具15において引き込みレバー43の作動中により規則的に進む。
【0059】
実際、レバー43によるベルト14の引き込みの途中段階では、図7に認められるように、レバー43の隣接する歯46の中央部分93がベルト14の隣接する歯29によって捕捉されながら、レバー43の基準歯46の外側部分91及び92がベルト14の基準歯29によって捕捉される。総じて、捕捉面30及び60の有益な表面が、隣接する2つの歯29及び46上に分配されることで、常にこの有益な表面全体が使用される。
【0060】
ベルト14の引き込みの別の途中段階では、図8から分かるように、レバー43の歯46の全体がベルト14の歯29によって捕捉される。ここでもまた、捕捉面30及び60の有益な表面全体が使用される。
【0061】
したがって、要約すると、ストラップ11の締め付けは、ベルトの歯とレバーの歯との規則的な一連の捕捉である。
【0062】
ベルト14の各歯29が、ベルトの全幅、すなわち第1の横断縁83から第2の横断縁84まで延びることに留意されたい。
【0063】
ベルト14の歯29のV字の角度は、60度〜170度であり、また、120度〜140度の角度値が非常に好都合である。従って、角度α1及びα2は、30度〜85度である。歯27は横断方向に対称であるため、角度α1及びα2は、同じ値である。
【0064】
同様に、上記のように、ラチェット40の歯42及びレバー43の歯46のV字の角度は、60度〜170度である。また、ラチェットの歯42及びレバーの歯46はそれぞれ、ラチェット又はレバーの全幅にわたって延びる。さらに、ラチェットの歯42及びレバーの歯46はそれぞれ横断方向に、すなわち、それぞれ、継手の軸41及び47に対して垂直である中心軸に対して対称である。
【0065】
次に、本発明の他の実施形態を、図9〜図11を参照して説明する。便宜上、第1の実施形態と同じ要素は、同じ参照符号で示す。
【0066】
第2の実施形態について、図9には、特にカバー13と、ベルト14と、締め具15とを備えるストラップ11が示されている。締め具15自体は同様に、ラチェット40と、レバー43と、解放ボタン50とを備えている。
【0067】
第2の実施形態において特有なのは、引き込みレバー43及び解放ボタン50が同軸47に沿って連結されていることである。この配置によって、締め具15の構造が簡略化されている。
【0068】
第3の実施形態は、図10によれば、ベルト14の歯29の形状が他の実施形態とは異なる。当然、ラチェットの歯及びレバーの歯の形状は、ベルトの形状に類似している。実際、ベルト14の歯29、ラチェット40の歯42、及びレバー43の歯46はそれぞれ、特に捕捉面30の高さに、実質的に湾曲した形状を有する。例えば、円形部分又は放射状部分等が挙げられる。湾曲した形状は、各歯、特に捕捉面30に連続性をもたらす。ここでもまた、各歯は横断方向に対称である。
【0069】
第4の実施形態は、図11によれば、ベルト14の歯29の形状が他の実施形態とは異なる。この場合も、ラチェットの歯及びレバーの歯の形状は、ベルトの形状と類似している。ベルト14の歯29、ラチェット40の歯42、及びレバー43の歯46はそれぞれ、特に捕捉面30の高さに、交互の小面101、102、103及び104を有する。限定するものではないが、交互の小面101、102、103及び104は、2つの連続した山形を形成するように横断方向に規則的に配置される。第1の実施形態の場合と同じ利点が得られる。
【0070】
概して、本発明の構成要素は、当業者に既知の材料及び技術を使用して作製される。
【0071】
当然、本発明は、上記実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に含みうるあらゆる技術的な均等物を含む。
【0072】
例えば、大抵の場合、捕捉面の幅がベルト、ラチェット又は引き込みレバーの幅よりも長くなるように別の形状の歯を設けてもよい。
【0073】
歯は、並列した別個の複数の片を備えてもよい。
【0074】
歯は、ベルト、ラチェット又は引き込みレバーの幅よりも短い範囲上を横断方向に延びてもよい。
【0075】
歯は、横断方向に対称でなくてもよい。
【0076】
また、締め具は、複数のラチェットを備えてもよい。
【0077】
引き込みレバー43によりベルト14を直接的に引き込むことを説明した。しかし、代替的に、引き込みレバーは、ベルト14を間接的に引き込むようにしてもよい。例えば、締め具が、引き込みレバーとベルトとの間に配置される歯車を備えてもよい。この場合、ラチェットを、歯車と協働するように構成することができる。
【0078】
なお、解放ボタンを使用しない態様も考えられる。この場合、引き込みレバー及びラチェットは、タイロッドによってベースと繋がっていて、タイロッドの回転によってベルトがラチェットから分離し、これによって、ベルトが解放されるようにしてもよい。
【0079】
概して、本発明によるアセンブリが、ストラップを有している、例えば、スノーボードの固定器具を備えることを説明した。この場合には、少なくとも1つのストラップが、締め具とベルトとを備える。当然、アセンブリは、靴底及び胴部を備えるあらゆる靴と、胴部を締め付けるように設けられる締め具及びベルトとを備えてもよい。例えば、アセンブリは、スキー靴、二輪駆動車用の靴、消防用の靴、警備用の靴、又は軍事用の靴等を備えてもよい。
【0080】
また、アセンブリは、袋を備えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締め具(15)とベルト(14)とを備えるアセンブリであって、該ベルト(14)は、長手方向(L14)に沿って取付端(25)から自由端(26)まで延在し、かつ歯列(27)を備え、前記締め具(15)は、ベース(33)と、引き込みレバー(43)と、ラチェット(40)とを備え、該レバー(43)は、前記ベース(33)上に連結されると共に、第1の方向に沿って前記ベルト(14)を引き込む引き込み端(45)と操作端(44)とを有し、前記ラチェット(40)は、前記ベース(33)上に連結されると共に、前記第1の方向とは反対の方向である第2の方向に前記ベルト(14)が変位することを防止する保持領域(42)を有し、弾性手段が、前記ラチェット(40)の前記保持領域(42)を前記ベース(33)に向かって常に付勢する、締め具とベルトとを備えるアセンブリにおいて、
前記ベルト(14)の前記歯列(27)の少なくとも1つの歯(29)について、該歯(29)の捕捉面(30)の接線であると共に前記ベルト(14)に対して平行である少なくとも1本の直線(d1、d2)が、前記ベルト(14)の前記長手方向(L14)に対して90度未満の角度(α1、α1)をなすようにされており、前記レバー(43)の前記引き込み端(45)は、前記ベルト(14)の前記歯列(27)と協働するようにされており、前記ラチェット(40)の前記保持領域(42)は、前記ベルト(14)の前記歯列(27)と協働するようにされていることを特徴とする、締め具とベルトとを備えるアセンブリ。
【請求項2】
前記ベルト(14)の前記歯列(27)と協働する前記レバー(43)の引き込み端は歯(46)を有し、前記レバーの前記歯(46)の捕捉面(60)の接線であると共に前記ベルト(14)に対して平行である少なくとも1本の直線(d3、d4)が、前記ベルトの長手方向(L14)に対して90度未満の角度(α3、α4)をなすことを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ベルト(14)の前記歯列(27)と協働する前記ラチェット(40)の前記保持領域は歯を有し、前記ラチェットの前記歯(42)の捕捉面(70)の接線であると共に前記ベルト(14)に対して平行である少なくとも1本の直線(d5、d6)が、前記ベルトの長手方向(L14)に対して90度未満の角度(α5、α6)をなすことを特徴とする、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ベルト(14)の歯(29)、前記ラチェット(40)の歯(42)又は前記レバー(43)の歯(46)は、ほぼV字形状を有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記ベルト(14)の歯(29)、前記ラチェット(40)の歯(42)又は前記レバー(43)の歯(46)の前記V字形状のV字の角度は、60度〜170度であることを特徴とする、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ベルト(14)の歯(29)、前記ラチェット(40)の歯(42)又は前記レバー(43)の歯(46)は、実質的に湾曲形状を有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ベルト(14)の歯(29)、前記ラチェット(40)の歯(42)又は前記レバー(43)の歯(46)は、交互の小面(101、102、103、104)を有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ベルト(14)の歯(29)、前記ラチェット(40)の歯(42)又は前記レバー(43)の歯(46)は、横断方向において対称であることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記締め具を解放する解放ボタンを有し、前記引き込みレバー(43)及び前記解放ボタン(50)はそれぞれ、異なる軸(47、54)に沿って連結されることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記締め具を解放する解放ボタンを有し、前記引き込みレバー(43)及び前記解放ボタン(50)はそれぞれ、同じ軸(47)に沿って連結されることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記ベース(33)は、ブリッジ(36)によって繋がれている第1のフランジ(34)及び第2のフランジ(35)を有し、前記レバー(43)は、前記ベース(33)上で前記第1のフランジ(34)及び前記第2のフランジ(35)間に連結され、第1の引き込み方向は、前記第1のフランジ(34)及び前記第2のフランジ(35)並びに前記ブリッジ(36)に対して実質的に平行であり、前記ラチェット(40)は、前記ベース(33)上で前記第1のフランジ(34)及び前記第2のフランジ(35)間に連結され、前記弾性手段は、前記ラチェット(40)の前記保持領域(42)を前記ブリッジ(36)に向かって付勢することを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記締め具(15)は、前記弾性手段の作用に抗して前記ラチェット(40)の前記保持領域(42)への付勢を解除する解放ボタン(50)を備えることを特徴とする、請求項1ないし8及び11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記アセンブリは、ストラップ(11、12)を備える固定器具(1)を含み、該ストラップ(11、12)の少なくとも1つが、締め具(15)とベルト(14)とを備えることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記アセンブリはスキー靴を備え、該スキー靴は、靴底及び胴部と、該胴部を締め付けるように設けられる前記締め具(15)及び前記ベルト(14)とを備えることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記アセンブリは二輪駆動車用の靴を備え、該二輪駆動車用の靴は、靴底及び胴部と、該胴部を締め付けるように設けられる前記締め具(15)及び前記ベルト(14)とを備えることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記アセンブリは袋を備えることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−148881(P2010−148881A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292540(P2009−292540)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(508280601)サロモン エス.エー.エス. (5)
【Fターム(参考)】