説明

締固め機の制御方法および制御システム

【課題】本発明は、締固め機から地中に広がる振動少なくとも一つの重要な測定点でセンサにより把握される。締固め機の制御方法および、締固め機を締固め効果もしくは締固め度に関して高効率で作動できると同時に近隣の建造物にこれ以上振動負荷を加えることが許容されない相応のシステムを提供する。
【解決手段】測定を直接重要な測定点、又は関心を引く測定点、即ち、一般に直接建造物においてなすことにより、局部かつ目下の土壌特性が、建造物において把握された振動測定値に影響なく、詳しく明記できない土壌パラメータによる万一の逆算または外挿をベースとする不正確な負荷検知は不要とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締固め機の締固めパラメータの自動適合のための締固め機の制御方法および、とりわけ、かような締固め機の相応な制御システムに関する。
【0002】
上記様締固め機もしくは締固め器械は、地盤、地中、交通道路、ダムなどの締固め用により多く使用される。かような締固め機は公知技術の様々な実施形態で周知である。ここでは、例えば自動推進式ローラー、自動推進式付随ローラーを取り上げることができるが、これに限られない。本発明は、土壌アンカーなどを地中へ打ち込むための装置(ランマーまたは杭打ちハンマー)と区別すべきである。
【背景技術】
【0003】
締固め効果の改良もしくは、締固め度をアップするためには、締固め工具の振動重畳もしくは振動励起が知られている。これは、特許文献1を代表的に参照されたい。ここで当該締固め機は、特許文献2に記載のように、例えば振動プレートまたは振動ローラーを備える。
【特許文献1】DE 3308476 A1
【特許文献2】WO 02/25015 A1
【0004】
しかしながら、ここでの主な問題は、締固め機自体が周辺建造物として振動により損傷され得ることである。このことは、振動励起周波数が機械または地中の局部固有周波数範囲であったり、または、振動振幅が大きいと、とりわけ問題である。従って、例えば機械の不所望な「ジャンプ」をも防ぐべく、振動を把握し、場合によっては制御ループを介して修正することが、公知技術より周知である。かような制御は、特許文献3と、上記特許文献2に既に記載済みである。振動把握のためには、ここでは締固め機または振動器械にセンサを設けている。しかし地中自体あるいは周辺建造物における振動はこの際考慮されないままである。
【特許文献3】EP 0688379 B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、締固め機の制御方法および、締固め機を締固め効果もしくは締固め度に関して高効率で作動できると同時に近隣の建造物にもはや振動負荷を加えることが許容されない、相応のシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は請求項1に記載の方法および従属請求項に記載のシステムにより解決される。好適な実施例は各下位請求項の対象である。
【0007】
本発明の方法では、締固め機に端を発し、地中に広がる振動は少なくとも一箇所の重要な測定点で、少なくとも一つのセンサにより把握され、センサが把握した振動測定値は少なくとも一つのデータ処理ユニットに伝送され、該データ処理ユニットがこれらを、各測定点用許容振動極限値と比較する。当該測定点用許容極限値を超えると、測定点で測定された振動測定値を振動極限値以下に設定するように少なくとも一つの締固めパラメータを自動的に、つまり、制御ループ内で、変更するか、もしくは、締固めパラメータに、最大把握振動測定値が振動極限値以下であるべく影響を及ぼす。
【0008】
締固めパラメータとは、特許出願の意味では、締固め作用もしくは締固め度に影響を及ぼす物理的に把握可能な寸法を意味する。締固めパラメータは好適には、締固め工具の振動振幅、この振幅の作用方向、この振動の異なった方向コンポーネント、振動周波数、または、移動速度または締固め機の質量をも含むグループからとられる。
【0009】
本発明の方法の主な利点は、測定が直接重要な測定点もしくは、関心を引く測定点、つまり、一般に直接建造物においてなされることに見られる。それにより、局部かつ目下の土壌特性は、建造物において把握された振動測定値に影響がない。それにより、詳しく明記できない土壌パラメータ(振動広がり速度や減衰といった)による万一の逆算または外挿をベースとする不正確な負荷検知は不要となる。
【0010】
このことは、締固め機を締固め効果と締固め度に関して非常な高効率で作動できると同時に、近隣の建造物に、とりわけここでは振動に弱い建造物を、これ以上振動負担を加えることが許可されないことにより、できるだけよく振動から保護することを意味する。
【0011】
本発明によるシステムは、締固め機により引き起こされた振動、もしくは、締固め機に端を発する振動の把握用の少なくとも一つのセンサおよび、この少なくとも一つのセンサが伝送する振動測定値を許容振動極限値と比較する少なくとも一つのデータ処理ユニットを有する。該極限値を超えると、データ処理ユニットは締固め機の少なくとも一つの締固めパラメータの変化を導入する。該少なくとも一つのセンサは、測定点に出現する振動を直接把握するために、地中の建造物領域またはこの建造物自体に設けられている。
【0012】
かようなシステムの利点は主に、制御方法の上記実施形態を参照されたい。
【0013】
場合によっては別個に保護を請求する本発明のとりわけ好適な実施例では、複数の締固め機を工事現場で作動する。各個々の締固め機の位置は、センサの位置に対し絶対的または少なくとも相対的に把握される。更に各個々の締固め機にデータ処理ユニットが設けられ、これは全センサの振動測定データを分析し、締固め機の既知の位置に基づき、各締固め機にとってどのセンサもしくはどの測定点が重要で、どれが重要ではないかを算出する。締固め機にとって重要な測定点において振動測定値が許容極限値を超える場合は、データ処理ユニットが、当該の締固め機を作動する少なくとも一つの締固めパラメータの相当な変化を行う。とりわけ有利な実施例では、全締固め機をセントラルデータ処理ユニットで制御し、この際、とりわけGPSのようなナビゲーションシステムが受信する位置データが評価されるときは、各機械自体にデータ処理ユニットが備えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施例と作用を図面により記載する。一実施例との関連のみで示される特徴は、技術的に可能な枠内で、本発明の一般的特徴としてもみなされる。
【0015】
図1の実施形態は、ここでは圧延機として構成された締固め機20を有し、地中の締固め用に、土工事、アスファルト工事に好適に使われるが、プレート締固め機または他の構造であっても当然よい。締固め機20はデータ処理ユニット9により制御される。工事現場領域に、建造物における振動もしくはパイブレーションの把握用に複数のセンサもしくは建造物センサが設けられている。センサ10が住宅1に、センサ11が工事の建物12に設けられている。両センサ10と11は把握された振動測定値を、ここでは同時にデータ把握ユニットとして構成されたデータ処理ユニット9へ伝送する。データ通信はケーブル接続により行われる。更にセンサ12が工場の建物13に、センサ13がレールトンネル4の領域に設けられている。レールトンネルは道路トンネル、パイプダクト、下水道などの比較可能な建造物の代表例である。センサは橋、塔、記念碑などにより多く設けることができる。センサ12、13からのデータ通信は無線通信により行われ、そのためには、データ把握、処理ユニット9に無線セルが備え付けられる。センサ10〜13からデータ把握、処理ユニット9への一方向性データ通信で十分である。ここに示されるセンサの数は当然一例にすぎない。本発明では、センサの数は無制限である。一つの測定点で複数のセンサもしくは例えば異なった測定様式のセンサも可能である。
【0016】
センサ10〜13は地中に設けられる。当該対象物(建物など)に直接設けることも当然可能である。センサは加速センサまたは地震センサでよい。
【0017】
センサ10〜13からデータ把握、処理ユニット9に伝送された振動測定値はそこで、各測定点における当該対象物用許容極限値と比較される。許容極限値は例えばDIN工業規格4150に含有されているか、あらかじめ例えば応力アナリストにより規定される。比較の際は、原則的に以下の状態が区別される。
【0018】
測定値は極限値より小さい。
【0019】
測定値は極限値と同じである。
【0020】
測定値は極限値より大きい。
【0021】
原則的には、新たな、変更された値がデータ処理ユニット9により算出される必要はない。むしろ、評価および、測定値と極限値の比較で十分である。すると結果として、測定値が極限値より大、小、あるいは極限値と等しいかが伝送される。それに依存して、機械の制御ユニットが締固めパラメータを相応に減少、増加もしくは一定に保つ。
【0022】
ここに記載された例ではデータ把握、処理ユニット9により締固め機20用締固めパラメータの少なくとも一つの新たな、変更値(例えば振動振幅、振動作用方向、振幅の作用方向成分、周波数、移動速度等)が規定されるかまたは算出され、これに伝送される。伝送は無線で行われ、そのためには、データ把握、処理ユニット9に、ここでは第二無線セル15が備えられ、締固め機が対応の無線セル16を備える。しかし、データ把握、処理ユニット9に2種の独立した無線技術を使用することは必ずしも必要ではない。少なくとも一つの締固めパラメータの適合もしくは変更は、当該対象物へ振動負荷をかけることをもはや許可せず、同時に締固め機を地中圧縮と奥行き効果(締固め効果もしくは締固め度)に関し高効率で作動するべく、制御ループ内で行われる。つまり、局部的に最大可能を目指す制御が行われる。ここでは、制御ループ同調によって、唯一または複数の締固めパラメータが同時または順々に変更され得る。
【0023】
文書化、品質管理対策、更には保証のため、センサ10〜13の振動測定値が保持される。記録方法としては電子記入システムおよび在来記入システム(ペーパープリントアウト)が可能である。締固め機20の締固めパラメータおよびその制御による変化を文書化することも行われる。それにより、締固め機が把握された振動測定値に反応したことの文書化もできる。ここで締固め機20とデータ把握、処理ユニット9間のデータ通信は二方向性を有する。データの記憶は例えばデータ把握、処理ユニット9にて可能である。
【0024】
締固め機20を制御するデータ把握、処理ユニット9は現場、つまり工事現場領域に据え付けるか、あるいは組み立てられる。当然、これを非集中型、例えば、建築会社または締固め機20のメーカーの本社(もしくは制御サ−ビスプロバイダに)設けることも可能である。するとセンサとユニット9間および締固め機20とユニット9間のデータ通信は無線で行われる。
【0025】
更に、データ把握、処理ユニット9を直接締固め機20上に設けることが可能である。これは図2に示される。ここでの主な利点としては、ユニット9と締固め機20間の無線接続が不要になる。しかも、ユニット9の現場据付組み立てが不要なので、システムもしくは設備が工事現場によりふさわしくなる。この原理ではセンサ10〜13と(無線セル14を有する)ユニット9間の専有無線通信が有利である。つまり、相応の無線技術を駆使するセンサを使用しさえすればよいことが規準となる。
【0026】
工事現場で複数の締固め機20を使用するのであれば、図3に記載の実施例がとりわけ有利だとわかる。ここでは図2と比較してセンサ10〜13および(移動により常に位置を変える)締固め機(一台もしくは複数)20が、ここでは例えばGPS受信技術で行われる、目下の位置を確認する技術的可能性を備える。他方、一般に場所固定されたセンサに関しては、位置を一回限りに規定し、データ把握、処理ユニット9に入力することも可能である。
【0027】
本発明では、各締固め機20にデータ把握、処理ユニット9が備えられる。こうしてユニット9はセンサ10〜13の振動測定値を得ると同時に、これらの測定値が把握される位置を得る。こうして締固め機20の既知の固有位置により、各締固め機用のどの臨界振動測定値が重要なのかが検出もしくは算出されるので、少なくとも一つの締固めパラメータの変更によりこれに相応に応じることができる。それにより、工事現場では任意に多数の締固め機を使用できる。
【0028】
別の実施形態では、全締固め機20を制御する唯一のデータ把握、処理ユニット9が設けられる。これは、非集中的または工事現場に設けることができる。また、これを締固め機上に設けることもでき、ここでは該締固め機は他の締固め機のマスター・マシーン(他の構成でもよい)としての役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のシステムの実施形態の説明図である。
【図2】データ処理ユニットが直接締固め機に設けられた、図1のシステムの変形例を示す図である。
【図3】センサと締固め機がGPS受信機を備えた、図2のシステムの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 住宅
1 建造物
2 建造物
3 建造物
4 建造物
4 レールトンネル
9 データ処理ユニット
10 センサ
11 センサ
12 センサ
13 センサ
13 工場の建物
14 無線セル
15 第二無線セル
16 無線セル
20 締固め機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締固めプロセス中に少なくとも一つの締固めパラメータが制御ループにより変更可能な、地中、とりわけ土工事およびアスファルト工事用少なくとも一つの締固め機(20)の制御方法であって、締固め機(20)から地中に広がる振動が建造物(1,2,3,4)領域にある少なくとも一つの重要な測定点で、地中の当該建造物領域または建造物自体に設けられた少なくとも一つのセンサ(10,11,12,13)により把握され、センサ(10,11,12,13)により把握された振動測定値が少なくとも一つのデータ処理ユニット(9)に伝送され、該データ処理ユニット(9)がこれらを各測定点用許容振動極限値と比較し、極限値を超えると、測定点で測定された振動測定値を振動極限値以下に自動的に設定するように少なくとも一つの締固めパラメータを変更することを特徴とする締固め機(20)の制御方法。
【請求項2】
複数のセンサ(10,11,12,13)が異なる測定点に設けられる、および/または、複数のセンサが一つの測定点に設けられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つのセンサ(10,11,12,13)により把握された振動測定値が文書化のために記憶されることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一つの締固め機(20)の締固めパラメータ、とりわけ、制御ループにより変更された締固めパラメータが文書化のために記憶されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの変更可能な締固めパラメータが、振幅、振幅の作用方向、振動の鉛直コンポーネント、振動周波数、または、締固め機の移動速度を含むグループから取られることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
少なくともセンサ(10,11,12,13)とデータ処理ユニット(9)間またはデータ処理ユニット(9)と締固め機(20)間のデータ通信が無線で行われることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
それぞれデータ処理ユニット(9)により制御されるか、または、そのうち幾つかが共通のデータ処理ユニットにより制御される、複数の締固め機(20)が使用されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
少なくとも一つの締固め機(20)が目下の位置を把握し、それに属するデータ処理ユニット(9)に伝送し、該データ処理ユニット(9)が、場合によってはこの締固め機(20)の少なくとも一つの締固めパラメータを変更すべく、各締固め機にとりどのセンサ測定値が重要かを検出することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
締固め機(20)がその位置をGPS受信機で把握し、好適には少なくとも一つのセンサ(10,11,12,13)もその位置をGPS受信機で把握することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
締固め機により引き起こされた振動または締固め機に端を発する振動の把握用の少なくとも一つのセンサ(10,11,12,13)、センサ(10,11,12,13)から伝送された振動測定値を許容振動極限値と比較し、場合によっては締固め機(20)の少なくとも一つの締固めパラメータを変更する少なくとも一つのデータ処理ユニット(9)を有する、地中など用の、少なくとも一つの変更可能な締固めパラメータを有する少なくとも一つの締固め機(20)の制御システム、とりわけ請求項1から請求項9のいずれかに記載の方法での制御システムであって、少なくとも一つのセンサ(10,11,12,13)が、測定点に発生する振動を直接把握するために、地中の建造物(1,2,3,4)領域、またはこの建造物自体に設けられていることを特徴とする締固め機(20)の制御システム。
【請求項11】
複数のセンサ(10,11,12,13)が一つの測定点および/または異なる測定点に設けられていることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
それぞれデータ処理ユニット(9)または共通のデータ処理ユニットにより制御される複数の締固め機(20)を有することを特徴とする請求項10または請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
データ処理ユニット(9)と締固め機(20)間のデータ通信が二方向性であることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも一つのデータ処理ユニット(9)が直接締固め機(20)に設けられていることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも一つのセンサ(10,11,12,13)と少なくとも一つの締固め機(20)が目下の位置を確認する技術的可能性を備え、これを少なくとも一つのデータ処理ユニット(9)に伝送する可能性を備えることを特徴とする請求項10から請求項14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
センサ(10,11,12,13)と締固め機(20)がGPS受信機を有することを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
締固め機(20)が圧延機またはプレート締固め機であることを特徴とする請求項10から請求項16のいずれかに記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−267133(P2008−267133A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108168(P2008−108168)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(504359662)ボマク ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】