説明

緩衝包装材

【課題】物品をより確実に保護することができるようにする。
【解決手段】上方に開口部52を有し、下方にほぼ直線状の底部56を有し、収容空間内に物品を収容することによって当該物品を緩衝しつつ包装をする緩衝包装材であって、最も外側に位置する第1気泡緩衝シート袋体10と、その内側に位置する第2気泡緩衝シート袋体20と、その内側に位置する不織布袋体30とを有する。第1気泡緩衝シート11,第2気泡緩衝シート21,不織布31は、すべて、長方形状をなすとともに、底部56に該当する折り曲げ部14,24,34において折り曲げられて、各々表裏一対の第1折り曲げ気泡緩衝シート15a,15b,第2折り曲げ気泡緩衝シート25a,25b,折り曲げ不織布35a,35bとされており、それらの左右の各縁部は、各々、一体的に熱溶着されて、左右一対の閉塞部53a,53bが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に対する衝撃を緩和しつつその物品を包装する緩衝包装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ある程度以上貴重な物品等については、外部からの衝撃によって損傷することを防止するために、緩衝された状態で保存され運搬される。
そのために、段ボール等の箱に収容(包装)されたり、気泡緩衝シート(多数の気泡(空気袋)を有する合成樹脂のシート)によって包装されたりする。なお、新規な気泡緩衝シートの一例として、特許文献1に開示されているものもある。
【0003】
ところで、一般的に、気泡緩衝シートで物品を包装する場合は、1枚状(シート状)の気泡緩衝シートのまま、物品の外面を覆うことが多い。
しかしながら、その作業は煩雑である。
【0004】
また、気泡緩衝シートによって袋状にされたもの(気泡緩衝シート袋体)が予め製造され、その気泡緩衝シート袋体に物品を収容する形態で、物品を包装する場合もある。
その場合、従来においては、気泡緩衝シート袋体(緩衝包装材)は、1重の気泡緩衝シートによって形成されている。すなわち、その緩衝包装材は、おもて面及び裏面とも各々1重(1枚状)の気泡緩衝シートによって形成され、上方に開口部を有し、その他の縁部は閉塞状態とされている。
【0005】
しかしながら、1重の気泡緩衝シートでは、緩衝機能が十分でない場合もある。
また、収容される物品が特に傷つきやすいものである場合等においては、その物品に直接的に接触するものが、気泡緩衝シートよりも柔らかい材質のシート等、気泡緩衝シートとは異なる材質のものであることがより好ましい場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−196376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、物品をより確実に保護することが可能な緩衝包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、収容空間内に物品を収容することによって当該物品を緩衝しつつ包装をする緩衝包装材であって、気泡緩衝シートによって形成され袋状をなし外側に位置する気泡緩衝シート袋体と、シート状物によって形成され袋状をなし前記気泡緩衝シート袋体の内側に位置するシート状物袋体とを有する、緩衝包装材である。
【0009】
「シート状物」としては、不織布,発泡ポリエチレン等の発泡体のシート,軟質の紙等がある。このことは、請求項2に係る発明においても同様である。
【0010】
この発明の緩衝包装材では、次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明の緩衝包装材では、物品がシート状物袋体の内部に収容されることによって、気泡緩衝シート袋体の内部にも収容されることとなり、容易に緩衝状態とされる。
また、この発明の緩衝包装材では、気泡緩衝シート袋体の内側にシート状物袋体が存在するために、基本的に、収容される物品には、そのシート状物袋体が直接的に接触することとなる。
このため、そのシート状物が気泡緩衝シートよりもソフトなものとされることによって、収容される物品は、シート状物袋体が存在せず直接的に気泡緩衝シート袋体が接触する場合と比較して、よりソフトに保護されることになる。
【0011】
請求項2に係る発明は、収容空間内に物品を収容することによって当該物品を緩衝しつつ包装をする緩衝包装材であって、気泡緩衝シートによって形成され袋状をなし最も外側に位置する第1気泡緩衝シート袋体と、気泡緩衝シートによって形成され袋状をなし前記第1気泡緩衝シート袋体の内側に位置する第2気泡緩衝シート袋体と、シート状物によって形成され袋状をなし前記第2気泡緩衝シート袋体の内側に位置するシート状物袋体とを有する、緩衝包装材である。
【0012】
この発明の緩衝包装材では、次の作用効果が得られる。
すなわち、この発明の緩衝包装材では、物品がシート状物袋体の内部に収容されることによって、第1気泡緩衝シート袋体及び第2気泡緩衝シート袋体の内部にも収容されることとなり、容易に緩衝状態とされる。
そして、この発明の緩衝包装材では、気泡緩衝シートによって形成された袋状の気泡緩衝シート袋体が2重にされている(第1気泡緩衝シート袋体,第2気泡緩衝シート袋体を有している。なお、3重以上の態様も含まれる)ために、気泡緩衝シート袋体が1重の場合と比較して、より確実に物品が緩衝される。
また、この発明の緩衝包装材では、第2気泡緩衝シート袋体の内側にシート状物袋体が存在するために、基本的に、収容される物品には、そのシート状物袋体が直接的に接触することとなる。
このため、そのシート状物が気泡緩衝シートよりもソフトなものとされることによって、収容される物品は、シート状物袋体が存在せず直接的に第2気泡緩衝シート袋体が接触する場合と比較して、よりソフトに保護されることになる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明の緩衝包装材であって、当該緩衝包装材は、上方に開口部を有し、下方にほぼ直線状の底部を有するものであり、前記気泡緩衝シート袋体を形成する気泡緩衝シート、及び、前記シート状物袋体を形成するシート状物は、前記底部に該当する折り返し部において折り返されて、各々表裏一対の折り返し気泡緩衝シート、及び、折り返しシート状物とされており、前記一対の折り返し気泡緩衝シート、及び、前記一対の折り返しシート状物の左右の各縁部は、各々、一体的に熱溶着されて、左右一対の閉塞部が形成されている、緩衝包装材である。
【0014】
「前記底部に該当する折り返し部において折り返されて、各々表裏一対の折り返し気泡緩衝シート、及び、折り返しシート状物とされており、」の一例として、「前記底部に該当する折り曲げ部において折り曲げられて、各々表裏一対の折り曲げ気泡緩衝シート、及び、折り曲げシート状物とされており、」がある。
しかしながら、折り曲げられることなく、緩やかに折り返される態様も含まれる。
【0015】
この発明の緩衝包装材では、請求項1に係る発明の緩衝包装材の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、気泡緩衝シート袋体,シート状物袋体は、気泡緩衝シート,シート状物が、すべて底部に該当する折り返し部において折り返され、かつ、それらの左右の各縁部が各々一体的に熱溶着されて左右一対の閉塞部が形成されて構成されているため、各袋体ごとに左右の各縁部が熱溶着されて各々左右一対の閉塞部が形成される場合よりも、能率的に製造され得る。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項2に係る発明の緩衝包装材であって、当該緩衝包装材は、上方に開口部を有し、下方にほぼ直線状の底部を有するものであり、前記第1気泡緩衝シート袋体を形成する気泡緩衝シート、前記第2気泡緩衝シート袋体を形成する気泡緩衝シート、及び、前記シート状物袋体を形成するシート状物は、すべて、前記底部に該当する折り返し部において折り返されて、各々表裏一対の第1折り返し気泡緩衝シート、第2折り返し気泡緩衝シート、及び、折り返しシート状物とされており、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シート、前記一対の第2折り返し気泡緩衝シート、及び、前記一対の折り返しシート状物の左右の各縁部は、各々、一体的に熱溶着されて、左右一対の閉塞部が形成されている、緩衝包装材である。
【0017】
「前記底部に該当する折り返し部において折り返されて、各々表裏一対の第1折り返し気泡緩衝シート、第2折り返し気泡緩衝シート、及び、折り返しシート状物とされており、」の一例として、「前記底部に該当する折り曲げ部において折り曲げられて、各々表裏一対の第1折り曲げ気泡緩衝シート、第2折り曲げ気泡緩衝シート、及び、折り曲げシート状物とされており、」がある。
しかしながら、折り曲げられることなく、緩やかに折り返される態様も含まれる。
【0018】
この発明の緩衝包装材では、請求項2に係る発明の緩衝包装材の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、第1気泡緩衝シート袋体,第2気泡緩衝シート袋体,シート状物袋体は、気泡緩衝シート(第1気泡緩衝シート,第2気泡緩衝シート)、シート状物が、すべて底部に該当する折り返し部において折り返され、かつ、それらの左右の各縁部が各々一体的に熱溶着されて左右一対の閉塞部が形成されて構成されているため、各袋体ごとに左右の各縁部が熱溶着されて各々左右一対の閉塞部が形成される場合よりも、能率的に製造され得る。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項3に係る発明の緩衝包装材であって、前記開口部を基準に、前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの一方、及び、前記一対の折り曲げシート状物のうちの一方は、当該開口部に対応する部分において相互に接着されておらず、前記開口部を基準に、前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの他方、及び、前記一対の折り曲げシート状物のうちの他方は、当該開口部に対応する部分において相互に接着されていない、緩衝包装材である。
【0020】
この発明の緩衝包装材では、請求項3に係る発明の緩衝包装材の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、おもて側/裏側の折り返し気泡緩衝シート、及び、おもて側/裏側の折り返しシート状物は、各々、おもて側/裏側の各側において、開口部に対応する部分において相互に接着されていない。
このため、おもて側において、折り返し気泡緩衝シートと折り返しシート状物との間には、各々が相互に接着されている場合と比較して、大きな隙間が生じ得る。裏側においても同様である。
このため、この緩衝包装材では、収容される物品に対して、より大きな緩衝機能が得られることになる。
【0021】
請求項6に係る発明は、請求項4に係る発明の緩衝包装材であって、前記開口部を基準に、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの一方、前記一対の第2折り返し気泡緩衝シートのうちの一方、及び、前記一対の折り返しシート状物のうちの一方は、当該開口部に対応する部分において相互に接着されておらず、前記開口部を基準に、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの他方、前記一対の第2折り返し気泡緩衝シートのうちの他方、及び、前記一対の折り返しシート状物のうちの他方は、当該開口部に対応する部分において相互に接着されていない、緩衝包装材である。
【0022】
この発明の緩衝包装材では、請求項4に係る発明の緩衝包装材の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、おもて側/裏側の第1折り返し気泡緩衝シート、おもて側/裏側の第2折り返し気泡緩衝シート、及び、おもて側/裏側の折り返しシート状物は、各々、おもて側/裏側の各側において、開口部に対応する部分において相互に接着されていない。
このため、おもて側において、第1折り返し気泡緩衝シートと第2折り返し気泡緩衝シートとの間,第2折り返し気泡緩衝シートと折り返しシート状物との間には、各々が相互に接着されている場合と比較して、大きな隙間が生じ得る。裏側においても同様である。
このため、この緩衝包装材では、収容される物品に対して、より大きな緩衝機能が得られることになる。
【0023】
請求項7に係る発明は、請求項3又は請求項5に係る発明の緩衝包装材であって、前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの一方は、前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの他方の上縁部よりもさらに上方に延びるとともに、前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの当該他方の上縁部及びその近傍に対して重なる姿勢まで折り返し可能な接着用折り返し部が形成されており、当該接着用折り返し部には、前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの前記他方の上縁部の近傍に当該接着用折り返し部が接着するための接着剤が付着されている、緩衝包装材である。
【0024】
この発明の緩衝包装材では、請求項3又は請求項5に係る発明の緩衝包装材の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この緩衝包装材では、収容空間内に物品が収容された状態で、接着用折り返し部が他方の折り返し気泡緩衝シートの上縁部及びその近傍に対して重なる姿勢まで折り返され、その接着用折り返し部が接着剤によって当該他方の折り返し気泡緩衝シートの上縁部の近傍に対して接着される。
こうして、この緩衝包装材では、収容された物品が確実に収容状態に維持される。
【0025】
請求項8に係る発明は、請求項4又は請求項6に係る発明の緩衝包装材であって、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの一方は、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの他方の上縁部よりもさらに上方に延びるとともに、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの当該他方の上縁部及びその近傍に対して重なる姿勢まで折り返し可能な接着用折り返し部が形成されており、当該接着用折り返し部には、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの前記他方の上縁部の近傍に当該接着用折り返し部が接着するための接着剤が付着されている、緩衝包装材である。
【0026】
この発明の緩衝包装材では、請求項4又は請求項6に係る発明の緩衝包装材の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この緩衝包装材では、収容空間内に物品が収容された状態で、接着用折り返し部が他方の第1折り返し気泡緩衝シートの上縁部及びその近傍に対して重なる姿勢まで折り返され、その接着用折り返し部が接着剤によって当該他方の第1折り返し気泡緩衝シートの上縁部の近傍に対して接着される。
こうして、この緩衝包装材では、収容された物品が確実に収容状態に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例の緩衝包装材を示す斜視図である。なお、この図において、気泡緩衝シートの気泡(空気袋)の記載は省略されている。このことは、図2,図3,図5,図6においても同様である。
【図2】本発明の一実施例の緩衝包装材を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施例の緩衝包装材を示す拡大縦断面図である。(a)は緩衝包装材の一般的な部分における縦断面を示し、(b)は閉塞部における縦断面(端面)を示す。
【図4】本発明の一実施例の緩衝包装材から気泡緩衝シートを取り出して、その一部を拡大して示す図である。(a)は正面図であり、(b)は断面図である。
【図5】本発明の一実施例の緩衝包装材の製造方法を簡略に示す図である。
【図6】本発明の一実施例の緩衝包装材の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の一実施例について、図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、この緩衝包装材は、3つの袋体10,20,30によって形成されており、全体としても袋状(3重の袋状)をしている。
この緩衝包装材は、例えば、自動車のバンパーを収容するものである。それに併せて、この緩衝包装材は、全体として横長の長方形状をしている。
【0029】
この緩衝包装材は、開口部52,底部56,左右一対の閉塞部53a,53bを有している。開口部52は、この緩衝包装材の上方に形成されている。底部56は、この緩衝包装材の下方においてほぼ直線状をしている。左右一対の閉塞部53a,53bは、この緩衝包装材の左右の各縁部に形成され、直線状をしている。
【0030】
この緩衝包装材は、3つの袋体10,20,30として、外側から内側に向かって、第1気泡緩衝シート袋体10,第2気泡緩衝シート袋体20,不織布袋体30(本発明の「シート状物袋体」に該当する)を有している。
第2気泡緩衝シート袋体20と不織布袋体30とは、ほぼ同一の形状及び大きさを有している。第1気泡緩衝シート袋体10は、第2気泡緩衝シート袋体20及び不織布袋体30と比べて、ほぼ、接着用折り返し部17の分だけ大きく形成されている。
【0031】
第1気泡緩衝シート袋体10及び第2気泡緩衝シート袋体20は、長方形状の気泡緩衝シート(第1気泡緩衝シート11,第2気泡緩衝シート21)によって形成されており、可撓性を有している。すなわち、図4に示すように、各気泡緩衝シート11,21は、軟質の薄い合成樹脂によって形成されており、多数の気泡(空気袋)45を有している。
図1〜図3に戻り、不織布袋体30は、長方形状の不織布31(本発明の「シート状物」に該当する)によって形成されており、可撓性を有している。
【0032】
長方形状の各シート(第1気泡緩衝シート11,第2気泡緩衝シート21,不織布31)は、折り曲げ部14,24,34(本発明の「折り返し部」に該当する)において折り曲げられて(折り返されて)、各々、表裏一対(2枚状)のシートが形成されている。
すなわち、表裏一対(2枚状)の第1折り曲げ気泡緩衝シート15a,15b(本発明の「第1折り返し気泡緩衝シート」に該当する),第2折り曲げ気泡緩衝シート25a,25b(本発明の「第2折り返し気泡緩衝シート」に該当する),折り曲げ不織布35a,35b(本発明の「折り返しシート状物」に該当する)が形成されている。
【0033】
各シート11,21,31の折り曲げ部14,24,34は、各袋体10,20,30の底部16,26,36に該当する。各底部16,26,36は、ほぼ直線状をしている。
各袋体10,20,30の底部16,26,36は、相互に対応している。すなわち、第1気泡緩衝シート袋体10の底部16の上方近傍に第2気泡緩衝シート袋体20の底部26が位置し、第2気泡緩衝シート袋体20の底部26の上方近傍に不織布袋体30の底部36が位置する。
各袋体10,20,30の底部16,26,36によって、緩衝包装材の底部56が形成されている。すなわち、緩衝包装材の底部56は3重底状をしている。
【0034】
この緩衝包装材の左側の縁部においては、次のように、閉塞部53aが形成されている。
すなわち、おもて側の第1折り曲げ気泡緩衝シート15aの左側縁部,おもて側の第2折り曲げ気泡緩衝シート25aの左側縁部,おもて側の折り曲げ不織布35aの左側縁部,裏側の折り曲げ不織布35bの左側縁部,裏側の第2折り曲げ気泡緩衝シート25bの左側縁部,裏側の第1折り曲げ気泡緩衝シート15bの左側縁部(合計で6枚状のシートの左側の縁部)が、一体的に熱溶着で結合されて、左側の閉塞部53aが形成されている。
同様にして、この緩衝包装材の右側の縁部においては、合計で6枚状のシートの右側の縁部が一体的に熱溶着で結合されて、右側の閉塞部53bが形成されている。
【0035】
この緩衝包装材においては、おもて側の第1折り曲げ気泡緩衝シート15aの上縁部,おもて側の第2折り曲げ気泡緩衝シート25aの上縁部,おもて側の折り曲げ不織布35aの上縁部,裏側の折り曲げ不織布35bの上縁部,裏側の第2折り曲げ気泡緩衝シート25bの上縁部(合計で5枚状のシートの上縁部)が同一高さ位置に位置しており、底部56と平行に延びている。
一方、裏側の第1折り曲げ気泡緩衝シート15bは、おもて側の第1折り曲げ気泡緩衝シート15a等の5枚状のシート(上述)の上縁部よりもさらに上方に延びており(当該裏側の第1折り曲げ気泡緩衝シート15bが鉛直の一平面状にされた状態において)、その部分が接着用折り返し部17とされている。
接着用折り返し部17の内側の面には帯状に接着剤が付着されて、帯状の接着剤付着部18が形成されており、接着剤付着部18には保護シート19が貼着されている。
【0036】
次に、この緩衝包装材の製造方法について、図5に基づいて説明する。
この緩衝包装材は、上述のように、3枚のシート(第1気泡緩衝シート11,第2気泡緩衝シート21,不織布31)によって形成されている。
各シート11,21,31のロール111,121,131が並列的に位置固定的に設置されている。
そして、各ロール111,121,131から、シート11,21,31が、相互に重なるようにして引き出され、その3重のシート11,21,31は、三角板150及びスリット装置155によって同時に折り曲げられ、6重状とされる。
そして、その6重状のシートが、所定の間隔ごとに溶断される。すなわち、6重状のシートがベース160上に載置された状態で、高温状態の溶断部材162が下降して、その6重状のシートを溶着するとともに切断する。
こうして、緩衝包装材(前述)がほぼ製造される。
【0037】
次に、この緩衝包装材の使用方法及び作用効果について説明する。
図6に示すように、この緩衝包装材には、自動車のバンパー等の物品Bが収容される(このことは前述)。物品Bは、この緩衝包装材の内部空間(すなわち、不織布袋体30の内部空間)内に収容される。
物品Bが収容された状態で、第1気泡緩衝シート袋体10(裏側の第1折り曲げ気泡緩衝シート15b)の接着用折り返し部17において、保護シート19が取り外され、接着用折り返し部17が折り返され、接着用折り返し部17は、接着剤付着部18(その接着剤)によって、表側の第1折り曲げ気泡緩衝シート15aの上縁部の近傍に結合(接着)される。
【0038】
この緩衝包装材にバンパー等の物品Bが収容されることによって、その物品Bは次のように保護される。
この緩衝包装材は、第1気泡緩衝シート袋体10及び第2気泡緩衝シート袋体20を有しており、気泡緩衝シートが2重とされている。このため、気泡緩衝シートが1重の場合と比較して、より確実に物品Bが緩衝される。
また、この緩衝包装材は、最も内側に不織布袋体30を有しているため、バンパー等の物品Bは直接的には不織布31によって覆われるために、気泡緩衝シートによって直接的に覆われる場合と比較して、バンパー等の物品Bの表面は、よりソフトに保護され得ることとなる。
【0039】
また、この緩衝包装材では、おもて側の第1折り曲げ気泡緩衝シート15aとおもて側の第2折り曲げ気泡緩衝シート25aとは、左右の各側縁部(閉塞部53a,53b)以外においては結合しておらず、両者の間には隙間が生じやすい状態とされている。おもて側の第2折り曲げ気泡緩衝シート25aとおもて側の折り曲げ不織布35aとにおいても同様である。これらのことは、裏側においても、同様である。
このため、収容される物品Bに対して、より大きな緩衝機能が得られる。
【0040】
なお、上記のものはあくまで本発明の一実施例にすぎず、当業者の知識に基づき種々の変更を加えた態様で本発明を実施できることはもちろんである。
【0041】
例えば、気泡緩衝シート袋体を2つ(2重に)有するのではなく、1つのみを有していてもよい。また、逆に、気泡緩衝シート袋体を3つ(3重に)有していてもよい。
また、本発明の緩衝包装材は、長方形状に限らず、種々の形状をとることができる。
【符号の説明】
【0042】
10 第1気泡緩衝シート袋体(気泡緩衝シート袋体)
11 第1気泡緩衝シート(気泡緩衝シート)
14 折り曲げ部(折り返し部)
15a,15b 第1折り曲げ気泡緩衝シート(第1折り返し気泡緩衝シート(折り返し気泡緩衝シート))
17 接着用折り返し部
20 第2気泡緩衝シート袋体(気泡緩衝シート袋体)
21 第2気泡緩衝シート(気泡緩衝シート)
24 折り曲げ部(折り返し部)
25a,25b 第2折り曲げ気泡緩衝シート(第2折り返し気泡緩衝シート(折り返し気泡緩衝シート))
30 不織布袋体(シート状物袋体)
31 不織布(シート状物)
34 折り曲げ部(折り返し部)
35a,35b 折り曲げ不織布(折り返しシート状物)
52 開口部
53a,53b 閉塞部
56 底部
B 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間内に物品を収容することによって当該物品を緩衝しつつ包装をする緩衝包装材であって、
気泡緩衝シートによって形成され袋状をなし外側に位置する気泡緩衝シート袋体と、
シート状物によって形成され袋状をなし前記気泡緩衝シート袋体の内側に位置するシート状物袋体と
を有する、緩衝包装材。
【請求項2】
収容空間内に物品を収容することによって当該物品を緩衝しつつ包装をする緩衝包装材であって、
気泡緩衝シートによって形成され袋状をなし最も外側に位置する第1気泡緩衝シート袋体と、
気泡緩衝シートによって形成され袋状をなし前記第1気泡緩衝シート袋体の内側に位置する第2気泡緩衝シート袋体と、
シート状物によって形成され袋状をなし前記第2気泡緩衝シート袋体の内側に位置するシート状物袋体と
を有する、緩衝包装材。
【請求項3】
請求項1に記載の緩衝包装材であって、
当該緩衝包装材は、上方に開口部を有し、下方にほぼ直線状の底部を有するものであり、
前記気泡緩衝シート袋体を形成する気泡緩衝シート、及び、前記シート状物袋体を形成するシート状物は、前記底部に該当する折り返し部において折り返されて、各々表裏一対の折り返し気泡緩衝シート、及び、折り返しシート状物とされており、
前記一対の折り返し気泡緩衝シート、及び、前記一対の折り返しシート状物の左右の各縁部は、各々、一体的に熱溶着されて、左右一対の閉塞部が形成されている、
緩衝包装材。
【請求項4】
請求項2に記載の緩衝包装材であって、
当該緩衝包装材は、上方に開口部を有し、下方にほぼ直線状の底部を有するものであり、
前記第1気泡緩衝シート袋体を形成する気泡緩衝シート、前記第2気泡緩衝シート袋体を形成する気泡緩衝シート、及び、前記シート状物袋体を形成するシート状物は、すべて、前記底部に該当する折り返し部において折り返されて、各々表裏一対の第1折り返し気泡緩衝シート、第2折り返し気泡緩衝シート、及び、折り返しシート状物とされており、
前記一対の第1折り返し気泡緩衝シート、前記一対の第2折り返し気泡緩衝シート、及び、前記一対の折り返しシート状物の左右の各縁部は、各々、一体的に熱溶着されて、左右一対の閉塞部が形成されている、
緩衝包装材。
【請求項5】
請求項3に記載の緩衝包装材であって、
前記開口部を基準に、前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの一方、及び、前記一対の折り返しシート状物のうちの一方は、当該開口部に対応する部分において相互に接着されておらず、
前記開口部を基準に、前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの他方、及び、前記一対の折り返しシート状物のうちの他方は、当該開口部に対応する部分において相互に接着されていない、
緩衝包装材。
【請求項6】
請求項4に記載の緩衝包装材であって、
前記開口部を基準に、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの一方、前記一対の第2折り返し気泡緩衝シートのうちの一方、及び、前記一対の折り返しシート状物のうちの一方は、当該開口部に対応する部分において相互に接着されておらず、
前記開口部を基準に、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの他方、前記一対の第2折り返し気泡緩衝シートのうちの他方、及び、前記一対の折り返しシート状物のうちの他方は、当該開口部に対応する部分において相互に接着されていない、
緩衝包装材。
【請求項7】
請求項3又は請求項5に記載の緩衝包装材であって、
前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの一方は、前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの他方の上縁部よりもさらに上方に延びるとともに、前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの当該他方の上縁部及びその近傍に対して重なる姿勢まで折り返し可能な接着用折り返し部が形成されており、
当該接着用折り返し部には、前記一対の折り返し気泡緩衝シートのうちの前記他方の上縁部の近傍に当該接着用折り返し部が接着するための接着剤が付着されている、
緩衝包装材。
【請求項8】
請求項4又は請求項6に記載の緩衝包装材であって、
前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの一方は、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの他方の上縁部よりもさらに上方に延びるとともに、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの当該他方の上縁部及びその近傍に対して重なる姿勢まで折り返し可能な接着用折り返し部が形成されており、
当該接着用折り返し部には、前記一対の第1折り返し気泡緩衝シートのうちの前記他方の上縁部の近傍に当該接着用折り返し部が接着するための接着剤が付着されている、
緩衝包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−25981(P2011−25981A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175313(P2009−175313)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(399055764)株式会社和泉 (4)
【Fターム(参考)】