説明

緩衝材テープ供給装置の連装装置

【課題】緩衝材テープに生ずる、有効に利用されない無駄な部分を少なくすることができ、緩衝材テープの有効利用効率の向上を図ることができる緩衝材テープ供給装置の連装装置を提供すること。
【解決手段】緩衝材テープ供給装置40は、電気的部品がACFを介して圧着される電気的ワークにACFを介して電気的部品を圧着するために又は電気的ワークにACFを貼り付けるために、電気的ワーク80と、ワーク80に向かって移動自在になっているヘッド部材9との間に配置される緩衝材テープ52を備えており、かつ、この緩衝材テープ52の繰り出し軸49と巻き取り軸とを備えている。連装装置1には、複数個の緩衝材テープ供給装置40が緩衝材テープ52の幅方向に並べられてセットされるスペースがあり、これらの緩衝材テープ供給装置40は着脱自在となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子的ワークを含む電気的ワークにACF(異方性導電フィルム、Anisotropic Conductive Film)を介して電子的部品を含む電気的部品を圧着するために又は前記電気的ワークにACFを貼り付けるために用いられる緩衝材テープ供給装置を駆動させる装置に係り、例えば、LCD(液晶ディスプレイ、Liquid Crystal Display)やPCB(プリント基板、Printed Circuits Board)、FPC(フレキシブルプリント基板、Flexible Printed Circuits)等の電気的ワークにACFを介して、例えば、IC(集積回路、Integrated Circuit)チップやFPC等の電気的部品を圧着するための作業や、電気的ワークにACFを貼り付けるための作業に利用することができるものである。
【背景技術】
【0002】
電気的ワークになっているLCDに、このLCDのための電気的部品になっていて、LCDのためのドライバチップになっているICチップを装着するためには、ACFをLCDに貼り付ける作業(第1工程)と、ICチップをこのACFに仮圧着する作業(第2工程)と、ICチップを、ACFを介してLCDに本圧着する作業(第3工程)とが行われる。これらの工程の作業は、LCDに向かって移動自在になっているそれぞれのヘッド部材を用いて行われ、ヘッド部材がLCDに向かって前進することにより、LCDへのACFの貼り付けと、ACFへのICチップの仮圧着と、ACFを介したLCDへのICチップの本圧着とのそれぞれが実施される。
【0003】
また、第1工程は、ACFをLCDに均一に貼り付けるための緩衝材が、ヘッド部材と、ACF及びLCDとの間に配置されて実施され、この緩衝材がヘッド部材で押されながらACF及びLCD側へ移動し、ヘッド部材の押圧力が緩衝材を介してACFに作用することにより、緩衝材の作用によってACFはLCDに均一に貼り付けられることになる。また、第3工程でも、ICチップを、ACFを介してLCDに均一に本圧着するための緩衝材が、ヘッド部材と、ICチップ、ACF及びLCDとの間に配置され、この緩衝材がヘッド部材で押されながらICチップ、ACF及びLCD側へ移動し、ヘッド部材の押圧力が緩衝材を介してICチップ及びACFに作用することにより、緩衝材の作用によってICチップはACFを介してLCDに均一に本圧着されることになる。
【0004】
なお、ACFは粘着性の成分を有しており、このため、第1及び第3工程における緩衝材は、ACFの粘着成分がこれらの工程で用いられるそれぞれのヘッド部材に付着することを防止するためにも使用される。
【0005】
下記の特許文献1に示されている緩衝材は、テープになっている。この特許文献1には、緩衝材テープを供給するための緩衝材テープ供給装置が示されている。この緩衝材テープ供給装置は、緩衝材テープの送り元側の部分が巻かれている繰り出し軸と、緩衝材テープの送り先側の部分を巻き取るための巻き取り軸と、を備えており、これらの巻き取り軸と繰り出し軸の回転により、緩衝材テープの供給が行われる。
【特許文献1】特開2006−210464
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LCD等の電気的ワークにACFを介して本圧着されるICチップ等の電気的部品の個数は、その電気的ワークの種類や機能に応じて決められている。このため、電気的ワークのなかには、ACFを介して電気的ワークに本圧着される電気的部品の個数が、緩衝材テープの幅方向において1個となっているものもあり、緩衝材テープの幅方向において複数個となっているものもある。
【0007】
前述の第1工程や第3工程には、電気的部品の個数が異なっているこれらの電気的ワークが送られてくる。このため、これらの電気的ワークに対しての作業に行えるようにするためには、第1工程の作業や第3工程の作業において、幅寸法が大きくなっている幅広の緩衝材テープを用い、これにより、電気的部品の個数が最大個数となっている電気的ワークに対しても対処できるようにすることになる。
【0008】
これによると、電気的部品の個数が少ない電気的ワークについては、緩衝材テープの大部分が有効に利用されない無駄な部分となってしまう。
【0009】
本発明の目的は、緩衝材テープに生ずる、有効に利用されない無駄な部分を少なくすることができ、緩衝材テープの有効利用効率の向上を図ることができる緩衝材テープ供給装置の連装装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る緩衝材テープ供給装置の連装装置は、電気的部品がACFを介して圧着される電気的ワークに前記ACFを介して前記電気的部品を圧着するために又は前記電気的ワークに前記ACFを貼り付けるために、前記電気的ワークと、この電気的ワークに向かって移動自在になっているヘッド部材との間に配置される緩衝材テープを備え、かつ、この緩衝材テープの送り元側の部分が巻かれている繰り出し軸と、前記緩衝材テープの送り先側の部分を巻き取るための巻き取り軸と、を備えている緩衝材テープ供給装置が配置され、この緩衝材テープ供給装置を駆動させるための装置であって、複数個の前記緩衝材テープ供給装置が前記緩衝材テープの幅方向に並べられてセットされるスペースを有し、これらの緩衝材テープ供給装置のそれぞれが着脱自在となっていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る装置には、複数個の緩衝材テープ供給装置が緩衝材テープの幅方向に並べられてセットされるスペースが設けられており、本発明に係る装置に対して、これらの緩衝材テープ供給装置のそれぞれが着脱自在となっている。このため、使用する緩衝材テープ供給装置を選択し、選択された緩衝材テープ供給装置を本発明に係る装置にセットすることができる。これにより、ACFを介して電気的ワークに圧着される電気的部品の個数が緩衝材テープの幅方向において異なっているそれぞれの電気的ワークに対して有効に対処することができる。そして、緩衝材テープに生ずる、有効に利用されない無駄な部分を少なくすることができ、緩衝材テープの有効利用効率の向上を図ることができる。
【0012】
緩衝材テープ供給装置の緩衝材テープを前述の繰り出し軸側から前述の巻き取り軸側へ走行させるために、本発明に係る装置には、巻き取り軸を、緩衝材テープを巻き取る方向へ回転させるための巻き取り軸用回転駆動部材が設けられる。この巻き取り軸用回転駆動部材の個数は、それぞれの緩衝材テープ供給装置ごとに1個設けられた複数個としてもよく、あるいは、これらの緩衝材テープ供給装置について共通となった1個としてもよい。
【0013】
後者の場合には、本発明に係る装置に、緩衝材テープ供給装置の巻き取り軸を、緩衝材テープを巻き取る方向へ回転させるための1個の巻き取り軸用回転駆動部材を設け、この巻き取り軸用回転駆動部材の長さ方向を緩衝材テープの幅方向とする。これにより、1個の巻き取り軸用回転駆動部材から、緩衝材テープの幅方向に配置されている複数個の緩衝材テープ供給装置のそれぞれの巻き取り軸に、緩衝材テープを巻き取るための回転駆動力を伝達することができる。
【0014】
これによると、本発明に係る装置に、それぞれの緩衝材テープ供給装置ごとに巻き取り軸用回転駆動部材を設ける必要がないため、本発明に係る装置の構造を簡単化することができる。
【0015】
また、1個の巻き取り軸用回転駆動部材からそれぞれの緩衝材テープ供給装置の巻き取り軸に、緩衝材テープを巻き取るための回転駆動力を伝達する場合において、この巻き取り軸用回転駆動部材によってそれぞれの巻き取り軸を回転させるための構造は、任意な構造でよい。この構造の一例は、1個の巻き取り軸用回転駆動部材からそれぞれの巻き取り軸に、これらの巻き取り軸に巻かれた緩衝材テープを介して、緩衝材テープを巻き取るための回転駆動力が伝達されるようにすることである。
【0016】
この構造を採用する場合には、それぞれの巻き取り軸を、繰り出し軸側へ前後進自在とする。
【0017】
これによると、巻き取り軸が緩衝材テープを巻き取ることにより、巻き取り軸における緩衝材テープの巻径が大きくなっても、巻き取り軸が繰り出し軸側へ前進することにより、1個の巻き取り軸用回転駆動部材からそれぞれの巻き取り軸に、巻き取り軸に巻かれた緩衝材テープを介して、緩衝材テープを巻き取るための回転駆動力を伝達することができる。
【0018】
本発明に係る装置では、前述したヘッド部材が、緩衝材テープ供給装置の緩衝材テープを押しながら前述した電気的ワークに向かって前進した後に後進することにより、緩衝材テープには弛み(ゆるみ)が生ずることになる。この弛みは、ヘッド部材が次の前後進を行うときまでに除去しておかなければならない。
【0019】
この弛みの除去を行うための一例は、本発明に係る装置に、それぞれの緩衝材テープ供給装置の繰り出し軸を、緩衝材テープを巻き取る方向へ回転させるための1個の繰り出し軸用回転駆動部材を設け、この繰り出し軸用回転駆動部材の長さ方向を緩衝材テープの幅方向とすることである。
【0020】
これによると、緩衝材テープの幅方向に並べられた複数個の緩衝材テープ供給装置のそれぞれの繰り出し軸を、1個の繰り出し軸用回転駆動部材により、緩衝材テープを巻き取る方向へ回転させることができる。
【0021】
また、上述の1個の繰り出し軸用回転駆動部材から複数個の緩衝材テープ供給装置のそれぞれの繰り出し軸に、それぞれの緩衝材テープ供給装置ごとに設けられたトルクリミッタを介して、緩衝材テープを巻き取るための回転駆動力が伝達されるようにする。さらに、ヘッド部材が緩衝材テープを押しながら電気的ワークに向かって前進しているときと、ヘッド部材が前進の後に後進しているときと、ヘッド部材が後進によって達した後退位置に停止しているときとのうち、少なくともヘッド部材が後退位置に停止しているときにおいて、繰り出し軸用回転駆動部材を回転させる。
【0022】
これによると、緩衝材テープに弛みが生じているときに、繰り出し軸用回転駆動部材が回転することにより、緩衝材テープに弛みが生じていてこの緩衝材テープは緊張状態になっていないため、繰り出し軸用回転駆動部材の回転駆動力は、トルクリミッタを介してそれぞれの繰り出し軸に伝達されることになる。これにより、緩衝材テープはこれらの繰り出し軸に巻き取られ、緩衝材テープの弛みは除去されることになる。一方、巻き取り軸が緩衝材テープを巻き取るときには、緩衝材テープは緊張状態になるため、繰り出し軸用回転駆動部材とそれぞれの繰り出し軸との間がトルクリミッタによって断絶され、これにより、それぞれの繰り出し軸は、緩衝材テープを繰り出すための回転を行うことになる。
【0023】
そして、緩衝材テープ供給装置に、巻き取り軸が緩衝材テープを繰り出す方向へ回転することを阻止するワンウェイクラッチを設けることにより、ヘッド部材が電気的ワークに向かって前進したときに、緩衝材テープは巻き取り軸から繰り出されず、繰り出し軸の回転によって緩衝材テープを繰り出し軸から繰り出すことができる。この繰り出しが行われるときにも、緩衝材テープは緊張状態になるため、繰り出し軸用回転駆動部材とそれぞれの繰り出し軸との間は、トルクリミッタによって断絶される。
【0024】
本発明に係る装置におけるそれぞれの緩衝材テープ供給装置の配置位置は、予め定められた一定の位置でもよく、あるいは、それぞれの緩衝材テープ供給装置の配置位置を、緩衝材テープの幅方向へ調整自在としてもよい。
【0025】
後者によると、緩衝材テープ供給装置の配置位置を緩衝材テープの幅方向へ調整することができるため、電気的部品の配置位置が緩衝材テープの幅方向に異なっているそれぞれの電気的ワークに対して、有効に対処することができる。
【0026】
また、本発明に係る装置にそれぞれの緩衝材テープ供給装置を直接的にセットするようにしてもよく、あるいは、本発明に係る装置に、それぞれの緩衝材テープ供給装置を個別に保持するための複数個の保持部材を設け、これらの保持部材に緩衝材テープ供給装置を保持させることにより、本発明に係る装置にそれぞれの緩衝材テープ供給装置を間接的にセットするようにしてもよい。
【0027】
後者を採用し、かつ、本発明に係る装置におけるそれぞれの緩衝材テープ供給装置の配置位置を緩衝材テープの幅方向へ調整自在とする場合には、本発明に係る装置に、緩衝材テープの幅方向を長さ方向とする少なくとも1本のバー部材を設け、このバー部材にそれぞれの保持部材を案内させることにより、それぞれの保持部材の配置位置を、緩衝材テープの幅方向へ調整自在とする。
【0028】
また、それぞれの保持部材に、これらの保持部材の配置位置を、バー部材の長さ方向の位置に固定するための位置固定手段を設けることが好ましい。
【0029】
これによると、それぞれの保持部材の位置を、位置固定手段により、これらの保持部材によって保持された緩衝材テープ供給装置を配置すべきバー部材の長さ方向の所定位置に固定することができ、これにより、それぞれの緩衝材テープ供給装置を、バー部材の長さ方向の正確な位置に固定配置することができる。
【0030】
本発明に係る装置は、電気的部品を、ACFを介して電気的ワークに圧着する作業のために用いることができ、また、本発明に係る装置は、ACFを電気的ワークに貼り付ける作業のためにも用いることができる。
【0031】
そして、電気的ワークには電子的ワークが含まれ、電気的部品にも電子的部品が含まれる。電気的ワークは、例えば、LCDやPCB、FPC等であり、電気的部品は、例えば、ICチップやFPC等である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、緩衝材テープに生ずる、有効に利用されない無駄な部分を少なくすることができ、緩衝材テープの有効利用効率の向上を図ることができるという効果を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る緩衝材テープ供給装置の連装装置は、電気的部品を、ACFを介して電気的ワークに圧着するために用いる装置である。
【0034】
図1には、緩衝材テープ供給装置40がセットされたときにおける本実施形態に係る連装装置1の正面図が示され、図2は、このときの連装装置1の側面図を示している。また、図3には、緩衝材テープ供給装置40がセットされていないときにおける連装装置1の正面図が示され、図4は、このときの連装装置1の側面図を示している。
【0035】
図1及び図3に示されているように、連装装置1の本体2には、本体2に左右方向へ延設されている複数個のガイドレール3を介して、3個のスライド構造体4が配置されている。図2及び図4に示されているように、それぞれのスライド構造体4は、本体2に対して、ガイドレール3に案内されて左右方向に移動自在となっている第1スライド部材5と、第1スライド部材5に対して、第1スライド部材5に上下方向へ延設されているガイドレール6を介して、上下方向に移動自在となっている第2スライド部材7と、第1スライド部材5に下向きに取り付けられたシリンダ8と、を含んで構成されている。シリンダ8のロッド8Aに第2スライド部材7が連結され、ロッド8Aの上下動により、第2スライド部材7は昇降動する。また、第2スライド部材7の下端部には、ヘッド部材9が取り付けられている。
【0036】
それぞれのスライド構造体4の配置位置は、ガイドレール3の案内作用により、左右方向に調整自在である(図10を参照)。
【0037】
また、図2及び図4に示されているように、それぞれの第1スライド部材5の上部には、回転式の操作部材10が配置され、操作部材10のねじ軸10Aは、第1スライド部材5の内部にねじ込まれている。また、連装装置1の本体2には、ねじ軸10Aが上下に貫通した孔11Aが形成されているブラケット11が取り付けられている。このため、ねじ軸10Aが第1スライド部材5の内部に侵入する方向へ操作部材10を回転操作し、操作部材10の押圧部10Bをブラケット11の上面に押圧させることにより、スライド構造体4は、本体2における左右方向のその位置に固定される。
【0038】
また、孔11Aは、左右方向に長い長孔になっているため、操作部材10を上述とは逆方向へ回転操作することにより、スライド構造体4を左右方向に移動させることができる。このようにスライド構造体4を移動させることにより、ヘッド部材9の配置位置を、左右方向に変更することができる。
【0039】
図1及び図3に示されているように、本体2には、板状となっている左右一対のブラケット12,13の基部が取り付けられ、図2及び図4に示されているように、これらのブラケット12,13は、本体2から前方へ延出している。これらのブラケット12,13は、前後2本のバー部材14,15によって連結されている。
【0040】
図5には、連装装置1の本体2を省略したブラケット12,13の平面図が示されている。この図5に示されているように、ブラケット12,13のうち、一方のブラケット12には、第1及び第2電動モータ16,17が取り付けられている。第1電動モータ16には、タイミングプーリ18、タイミングベルト19及びタイミングプーリ20を介して、駆動軸21が連結されている。第1電動モータ16には、タイミングプーリ22、タイミングベルト23及びタイミングプーリ24を介して、駆動ローラ25が連結されている。これらの駆動軸21と駆動ローラ25は、一対のブラケット12,13の間に回転自在に架け渡されている。
【0041】
後述の説明で分かるように、駆動軸21は、本実施形態における繰り出し軸用回転駆動部材になっており、駆動ローラ25は、本実施形態における巻き取り軸用回転駆動部材になっている。
【0042】
図5に示されているように、一対のブラケット12,13の間には、前述の緩衝材テープ供給装置40を保持するための保持部材26が、前述のヘッド部材9の個数と同じ個数である3個配置されている。これらの保持部材26の本体27は、左右の側面部27A,27Bと、これらの側面部27A,27Bを連結する前後2個の底面部27C,27Dとで形成されている。前述の2本のバー部材14,15と駆動軸21と駆動ローラ25は、それぞれの側面部27A,27Bを左右方向に貫通している。
【0043】
このため、それぞれの保持部材26の配置位置は、2本のバー部材14,15の案内作用による保持部材26の移動により、バー部材14,15の長さ方向である左右方向に調整することができる。
【0044】
また、図5に示されているように、それぞれの保持部材26には位置固定部材28が配置され、この位置固定部材28は底面部27Cにビス等で結合されている。それぞれの位置固定部材28には、2本のバー部材14,15のうち、バー部材14が貫通している。また、それぞれの位置固定部材28には、位置固定部材28にねじ込まれたねじ軸29Aを備えている回転式の操作部材29が配置されている。ねじ軸29Aがバー部材14に達していないときには、保持部材26を、2本のバー部材14,15で案内させながら左右方向に移動させることができる。また、操作部材29を、ねじ軸29Aがバー部材14に達するまで回転操作すると、保持部材26は、一対のブラケット12,13の間における左右方向のその位置に固定される。
【0045】
このため、位置固定部材28と操作部材29により、保持部材26の配置位置をバー部材14の長さ方向である左右方向の位置に固定するための位置固定手段30が構成されている。
【0046】
また、前述した駆動軸21はスプライン軸であり、この駆動軸21には、図5に示されているように、それぞれの保持部材26の内部において、駆動歯車31が配置されている。これらの駆動歯車31は、駆動軸21に案内されて移動可能である。駆動歯車31には、駆動軸21に達するビス32がねじ込まれ、ビス32で駆動歯車31は駆動軸21に固定されている。保持部材26をバー部材14,15に案内させて左右方向に移動させるときには、ビス32を緩めることにより、駆動歯車31も左右方向に移動させることができる。
【0047】
3個の保持部材26のそれぞれの内部には、カセット式となっている緩衝材テープ供給装置40が挿入され、これにより、保持部材26に緩衝材テープ供給装置40が保持される。このため、前述したヘッド部材9よりも下側の空間であって、保持部材26が左右方向に移動可能となっている空間が、緩衝材テープ供給装置40をセットすることができるスペースになっている。また、それぞれの保持部材26の内部空間は、それぞれの緩衝材テープ供給装置40を個別に着脱自在にセットできるスペースになっている。
【0048】
次に、緩衝材テープ供給装置40について説明する。図6には、緩衝材テープ供給装置40の平面図が示されており、図7には、緩衝材テープ供給装置40の側面図が示されている。装置40の本体41は、左右2個の板部材42,43と、これらの板部材42,43を連結するバー部材44及びフック部材45によって構成されている。本体41の後端部には、フック部材45により、後向きに開口した凹部46が形成されている。保持部材26に装置40を保持させるとき、図2に示されているように、この凹部46に前述のバー部材15が挿入係止される。また、図7に示されているように、本体41の下面の前側の部分には、下向きに開口した2個の凹部47,48が形成されている。保持部材26に装置40を保持させるとき、図2に示されているように、凹部47に前述のバー部材14が挿入され、凹部48に駆動軸21が挿入される。
【0049】
また、図7に示されているように、本体41の上面の前側の部分には、繰り出し軸49の中心軸49Aが挿入された上向きの凹部50が形成され、本体41に取り付けられた板ばね製の抜け止め部材51により、中心軸49Aは抜け止めされている。この繰り出し軸49には、緩衝材テープ52の送り元側の部分が巻かれており、テープ52の送り元側の端部は、繰り出し軸49に粘着テープ等の結合部材で結合されている。本体41の上面の後側の部分には、スライド部材55が配置され、スライド部材55には、巻き取り軸53の中心軸54が挿入された上向きの凹部55Aが形成されている。巻き取り軸53には、緩衝材テープ52の送り先側の端部が粘着テープ等の結合部材で結合され、このテープ52の送り先側の部分は、巻き取り軸53に巻き取られる。
【0050】
なお、巻き取り軸53の中心軸54には、平坦部54Aが形成されている。このため、中心軸54は、スライド部材55の凹部55Aに対して挿入、抜き取り可能になっており、また、中心軸54は、平坦部54Aにより、回転できない状態でスライド部材55に配置されている。巻き取り軸53は、中心軸54を中心に回転自在である。
【0051】
スライド部材55は、本体41を構成している左右の2個の板部材42,43ごとに設けられ、これらのスライド部材55は、本体41の後側の部分に配置されたガイドバー部材56に案内されて、繰り出し軸49側へスライド自在になっている。スライド部材55のこのスライドにより、巻き取り軸53は、繰り出し軸49側へ前後進自在となっている。図8は、巻き取り軸53が繰り出し軸49側へ前進したときを示している。
【0052】
図7に示されているように、本体41には、スライド部材55のスライド配置スペースよりも前側において、ガイド部材57が固定され、左右の2個の板部材42,43ごとに設けられたガイド部材57には、バー部材58がスライド自在に挿入され、バー部材58の後端部は、スライド部材55に結合されている。また、バー部材58の外周には、スライド部材55とガイド部材57との間において、コイルばね59が巻回されている。このため、スライド部材55は、コイルばね59により、本体41の後端部に設けられているストップ部60に当接する方向へ常にスライド付勢されている。
【0053】
また、左右2個の板部材42,43の間には、ガイドローラ61〜64が回転自在に架け渡され、緩衝材テープ52の繰り出し軸49と巻き取り軸53との間での緩衝材テープ52の走行は、ガイドローラ61〜64で案内される。なお、緩衝材テープ52は、例えば、ウレタンゴム等の弾性材料で形成された緩衝材をテープとしたものである。
【0054】
図6に示されているように、左右2個の板部材42,43の間において、言い換えると、緩衝材テープ供給装置40の本体41の内部において、被動歯車65が繰り出し軸49の一方の側面の側に配置されている。これらの繰り出し軸49と被動歯車65は同軸的に配置されているとともに、繰り出し軸49と被動歯車65は、互いに自由回転自在となっている。また、図7に示されているように、繰り出し軸49と被動歯車65との間には、繰り出し軸49と被動歯車65とを接続するための摩擦式のトルクリミッタ66が配置され、このトルクリミッタ66は繰り出し軸49の内部に組み込まれている。
【0055】
このため、緩衝材テープ52が緊張状態になっていないときに、言い換えると、緩衝材テープ52に弛みが生じているときに、被動歯車65が、繰り出し軸49が緩衝材テープ52を巻き取る方向になっている図7のA方向に回転した場合には、トルクリミッタ66の摩擦力によって被動歯車65の回転駆動力が伝達される繰り出し軸49により、緩衝材テープ52が巻き取られることになる。そして、緩衝材テープ52が緊張状態になっているときに被動歯車65が図7のA方向に回転した場合には、トルクリミッタ66に生ずるスリップにより、被動歯車65は繰り出し軸49に対して図7のA方向へ空回転する。また、緩衝材テープ52の緊張状態が巻き取り軸53による緩衝材テープ52の巻き取りによって生じている場合には、トルクリミッタ66でスリップが生じながら、図7のA方向に回転する被動歯車65に対して、繰り出し軸49は、緩衝材テープ52からの引っ張り力により、A方向とは逆方向へ回転し、繰り出し軸49から緩衝材テープ52が繰り出されることになる。
【0056】
緩衝材テープ供給装置40には、この装置40が前述した保持部材26に保持されていない通常時において、被動歯車65が回転してしまうことを防止するための回転止め手段70が設けられている。この回転止め手段70は、2個の板部材42,43の間に架け渡されたピン71と、このピン71を中心に回動自在となった回転止め部材72とで構成されている。回転止め部材72は、ピン71に対して互いに略反対側に配置されている上下2個の端部72A,72Bを有する。図7に示されているように、上側の端部72Aが被動歯車65の歯に係合することにより、被動歯車65は回転止め手段70によって回り止めされる。このときには、回転止め部材72の全体の重心位置により、回転止め部材72の下側の端部72Bは、本体41に形成されている前述の凹部47の位置と同じ位置に至っている。
【0057】
上述の通常時においては、繰り出し軸49と被動歯車65とがトルクリミッタ66の摩擦力で互いに接続されているため、回転止め部材72の上側の端部72Aが被動歯車65の歯に係合することにより、繰り出し軸49が緩衝材テープ52を繰り出す方向に回転してしまうことを防止できる。
【0058】
また、図7に示されているように、巻き取り軸53と、この巻き取り軸53の中心軸54との間には、巻き取り軸53が、緩衝材テープ52を繰り出す方向である図7のB方向に回転することを阻止するためのワンウェイクラッチ73が設けられている。巻き取り軸53の内部に組み込まれているこのワンウェイクラッチ73により、巻き取り軸53は図7のB方向とは逆方向へのみ回転する。
【0059】
次に、本実施形態に係る連装装置1を用いて、電気的ワークにACFを介して電気的部品を圧着する作業について説明する。この作業は、図1に示されているように、電気的ワーク80に3個の電気的部品81を、ACF82を介して圧着するものである。
【0060】
先ず初めに、前述したそれぞれのヘッド部材9を、前述したそれぞれのスライド構造体4の左右方向への移動より、電気的部品81の位置と対応する位置へ移動させる。また、前述したそれぞれの保持部材26の位置も、これらの保持部材26を前述したバー部材14,15で案内させることにより、電気的部品81の位置と対応する位置へ移動させ、保持部材26に内部に配置されている前述した駆動歯車31の位置も、これらの駆動歯車31を駆動軸21に案内させることにより、電気的部品81の位置と対応する位置へ移動させる。また、保持部材26の位置を、前述した位置固定手段30によって固定し、駆動歯車31の位置を、前述したビス32のねじ込みによって固定する。この後、それぞれの保持部材26の内部空間に、カセット式として形成されている緩衝材テープ供給装置40を挿入セットする。
【0061】
この挿入セットは、図2に示されているように、それぞれの装置40の本体41に形成されている凹部46にバー部材15を、本体41に形成されている凹部47にバー部材14を、本体41に形成されている凹部48に駆動軸21を、それぞれ挿入して行う。
【0062】
図9には、以上のように保持部材26の内部空間に緩衝材テープ供給装置40を挿入セットしたときを示しており、この図9では、保持部材26は省略されている。保持部材26の内部空間への装置40の挿入セットが行われると、言い換えると、装置40が保持部材26によって保持されると、凹部47に侵入したバー部材14に回転止め部材72の下側の端部72Bが当たるため、装置40に配置されている回転止め部材72はピン71を中心に揺動し、上側の端部72Aは、被動歯車65の歯から外れる。すなわち、回転止め手段70による被動歯車65の回転止めが解除される。
【0063】
また、装置40が保持部材26によって保持されると、被動歯車65に、保持部材26の内部空間に配置されている駆動歯車31が噛合する。また、装置40に設けられているスライド部材55及巻き取り軸53は、前述したコイルばね59により、常に後方へ付勢されているため、装置40が保持部材26によって保持されると、巻き取り軸53は、前述した駆動ローラ25に当接する。巻き取り軸53に、緩衝材テープ52の送り先側の部分が巻き取られている場合には、巻き取り軸53は、緩衝材テープ52の送り先側の部分を介して、駆動ローラ25に当接する。
【0064】
このため、それぞれの保持部材26に保持された装置40の被動歯車65には、駆動歯車31を介して駆動軸21の回転駆動力を伝達できるようになる。また、それぞれの保持部材26に保持された装置40の巻き取り軸53には、駆動ローラ25の回転駆動力を伝達できるようになる。したがって、駆動軸21は、それぞれ装置40の繰り出し軸49に、駆動歯車31と被動歯車65とトルクリミッタ66とを介して、回転駆動力を伝達するための繰り出し軸用回転駆動部材となり、駆動ローラ25は、それぞれの装置40の巻き取り軸53に回転駆動力を伝達するための巻き取り軸用回転駆動部材となる。
【0065】
これらの繰り出し軸用回転駆動部材21と巻き取り軸用回転駆動部材25は、装置40に配置されている緩衝材テープ52の幅方向が長さ方向となった長さを有していることになる。また、バー部材14,15の長さ方向は、緩衝材テープ52の幅方向になっている。
【0066】
また、それぞれの保持部材26に装置40が保持されると、これらの装置40は、緩衝材テープ52の幅方向に並ぶことになる。さらに、これらの装置40は、それぞれの保持部材26に装置40が保持されることにより、連装装置1に連装されてセットされたことになり、これらの装置40は、連装装置1によって駆動され得る状態となる。そして、これらの装置40の連装装置1における左右方向の配置位置は、電気的ワーク80に配置されたそれぞれの電気的部品81の左右方向の位置と対応している。
【0067】
以下に、前述したシリンダ8と第1及び第2電動モータ16,17等の駆動源を制御するためのコンピュータによって実行される連装装置1の作動を、このコンピュータのプログラムで設定されている作業の順番にしたがって説明する。
【0068】
連装装置1の始動スイッチを投入すると、図1及び図2に示されているように、上面に電気的ワーク80が位置決め固定されているスライドテーブル83が、図示外の移送装置により、保持部材26の下側の空間へ送られてくる。電気的ワーク80に配置されている電気的部品81の位置が、ヘッド部材9の真下の位置に達すると、スライドテーブル83の移動は停止する。このときの電気的部品81は、前工程の作業となっている仮圧着作業により、電気的ワーク80にACF82を介して仮圧着されている。
【0069】
上述のようにスライドテーブル83が、図示外の移送装置により、保持部材26の下側の空間へ送られてくると、第1電動モータ16の駆動が開始され、これにより、駆動軸21は回転し始める。この駆動軸21の回転は、電気的ワーク80に対する所定の作業が終了するまで、すなわち、電気的部品81がACF82を介して圧着された電気的ワーク80が、スライドテーブル83の移動により、保持部材26の下側の空間から排出されるまで、継続される。そして、駆動軸21の回転方向は、駆動歯車31を介してそれぞれの被動歯車65を図7のA方向に回転させる方向である。
【0070】
また、電気的ワーク80に配置されている電気的部品81の位置が、ヘッド部材9の真下の位置に達すると、それぞれのヘッド部材9はシリンダ8の作動によって下降し、これらのヘッド部材9は、緩衝材テープ供給装置40の緩衝材テープ52を押しながら電気的ワーク80に向かって移動する。これにより、図9に示されているように、電気的部品81は、緩衝材テープ52を介したヘッド部材9の押圧力により、ACF82を介して電気的ワーク80に圧着される。このときのヘッド部材9は加熱されているため、ヘッド部材9からの押圧力と熱とにより、電気的部品81の電極と電気的ワーク80の電極との間に存在しているACF82内の導電粒子は、これらの電極を接続させるように重なり合って並ぶ。これにより、電極間同士を接続する導電経路がACF82内に形成される。
【0071】
また、ヘッド部材9の押圧力は、緩衝材テープ52を介して電気的部品81とACF82に作用するため、電気的部品81のACF82を介した電気的ワーク80への圧着は、均一に行われる。
【0072】
それぞれのヘッド部材9が最下位置まで下降することによって上記圧着が行われると、それぞれのヘッド部材9はシリンダ8の作動によって上昇し、元の位置に、言い換えると、電気的ワーク80に対して後退した上昇位置に戻る。
【0073】
以上のようにヘッド部材9が上下動しているときには、駆動軸21は回転し続けており、この回転は被動歯車65に、図7のA方向に被動歯車65を回転させるものとして伝達されるため、緩衝材テープ52は、被動歯車65からの回転駆動力がトルクリミッタ66を介して伝達される繰り出し軸49の巻き取り作用により、緊張した状態になっている。このように緊張状態になっている緩衝材テープ52が、下降するヘッド部材9によって電気的ワーク80側へ押されるため、駆動軸21と繰り出し軸49との間に配置されているトルクリミッタ66にスリップが生ずることにより、言い換えると、駆動軸21と繰り出し軸49との間がトルクリミッタ66によって断絶されることにより、繰り出し軸49は、緊張している緩衝材テープ52に作用する引っ張り力によって図7のA方向とは逆方向に回転する。このため、ヘッド部材9下降したときには、緩衝材テープ52は、繰り出し軸49から繰り出される。
【0074】
なお、巻き取り軸53には、前述したように緩衝材テープ52を繰り出す方向である図7のB方向に巻き取り軸53が回転することを阻止するためのワンウェイクラッチ73が設けられているため、巻き取り軸53から緩衝材テープ52が繰り出されることはない。
【0075】
上述のように、ヘッド部材9が下降することによって緩衝材テープ52が繰り出し軸49から繰り出されると、ヘッド部材9が上昇したときに、緩衝材テープ52には弛みが生ずることになる。この弛みは、次の電気的部品を電気的ワークにACFを介して圧着するためにヘッド部材9が上下動するときまでに、除去しておかなければならない。
【0076】
本実施形態では、ヘッド部材9が上下動しているときと、ヘッド部材9が上昇して元の位置に停止しているときと、において、駆動軸21は回転している。このため、駆動軸21の回転駆動力は、トルクリミッタ66を介して繰り出し軸49に伝達され続けられている。ヘッド部材9が上昇し始めることによって緩衝材テープ52に弛みが生じたときには、駆動軸21と繰り出し軸49との間はトルクリミッタ66によって接続されるため、最下位置まで達したヘッド部材9が元の位置まで上昇しているときと、この元の位置にヘッド部材9が停止しているときと、において、緩衝材テープ52の弛みは、繰り出し軸49が図7のA方向へ回転することにより、除去される。また、この除去が終了した後は、緩衝材テープ52は緊張状態になるため、駆動軸21から回転駆動力が伝達され続けられている被動歯車65は、トルクリミッタ66の断絶作用により、繰り出し軸49に対して空回転し、繰り出し軸49の回転は停止する。
【0077】
以上の作業が終了すると、前述した移送装置によってスライドテーブル83は、保持部材26の下側の空間から送り出される。この後、別の電気的ワークが上面に位置決め固定された次のスライドテーブルが、保持部材26の下側の空間へ送り込まれることになり、このスライドテーブルに位置決め固定されている電気的ワークに対して、ヘッド部材9が前述と同様に上下動、すなわち、前後進することにより、電気的ワークに電気的部品がACFを介して圧着される。そして、この作業が繰り返される。
【0078】
以上のようにして、保持部材26の下側の空間へ送り込まれるスライドテーブルが交換されているときに、前述した駆動ローラ25は前述した第2電動モータ17の駆動によって所定量回転する。この回転は、それぞれの緩衝材テープ供給装置40の巻き取り軸53に、図7のB方向とは逆方向に巻き取り軸53を回転させるものとして伝達される。このときにも緩衝材テープ52は緊張状態になり、巻き取り軸53の巻き取り作用と、トルクリミッタ66の断絶と、被動歯車65に対する繰り出し軸49の図7のA方向とは逆方向への回転とにより、緩衝材テープ52は所定量だけ繰り出し軸49側から巻き取り軸53側へ走行する。これにより、ヘッド部材9の真下の位置に、緩衝材テープ52の新しい箇所が供給される。
【0079】
また、このように緩衝材テープ52が巻き取り軸53に巻き取られていくと、巻き取り軸53における緩衝材テープ52の巻径が大きくなる。前述したように、巻き取り軸53は、スライド部材55のスライド作用により、繰り出し軸49側へ前後進可能になっているため、巻き取り軸53に巻き取られた緩衝材テープ52の部分を介して駆動ローラ25からの回転駆動力が伝達されている巻き取り軸53は、上述の巻径が大きくなった場合には、繰り出し軸49側への前進により、上述の巻径の増加に追従することができることになる。そして、駆動ローラ25の回転駆動力は、巻き取り軸53に巻き取られた緩衝材テープ52の部分を介して巻き取り軸53に伝達されることになる。
【0080】
図10は、2個の電気的部品81が配置されている電気的ワーク80が、保持部材26の下側の空間へ送り込まれるスライドテーブル83に位置決め固定されている場合を示している。このときには、3個のヘッド部材9のうち、1個のヘッド部材9の作動は休止される。また、3個の保持部材26に保持されていた3個のカセット式の緩衝材テープ供給装置40のうち、1個の装置40は保持部材26から取り出される。
【0081】
また、図10では、2個の電気的部品81同士の間隔は、図1におけるそれぞれの組み合わせの左右2個の電気的部品81同士の間隔と相違している。このため、図10の場合には、作動させる2個のヘッド部材9同士の左右方向の間隔についての調整作業が、これらのヘッド部材9を備えているスライド構造体4の左右方向への移動によって行われ、また、緩衝材テープ供給装置40を保持させる2個の保持部材26同士の左右方向の間隔についての調整作業も、これらの保持部材26の左右方向への移動によって行われる。
【0082】
これにより、2個の電気的部品81が配置されている電気的ワーク80について、図1及び図2で説明した前述と同じ作業を行えることになる。
【0083】
以上説明した本実施形態の連装装置1によると、この連装装置1には、複数個の緩衝材テープ供給装置40が緩衝材テープ52の幅方向に並べられてセットされるスペースが設けられており、連装装置1に対して、これらの緩衝材テープ供給装置40のそれぞれが着脱自在となっている。このため、使用する緩衝材テープ供給装置40を選択し、選択された緩衝材テープ供給装置40を連装装置1にセットすることができる。これにより、ACF82を介して圧着される電気的部品81の個数が緩衝材テープ52の幅方向において異なっているそれぞれの電気的ワーク80に対して有効に対処することができる。そして、緩衝材テープ52に生ずる、有効に利用されない無駄な部分を少なくすることができ、緩衝材テープ52の有効利用効率の向上を図ることができる。
【0084】
また、本実施形態では、それぞれの緩衝材テープ供給装置40の巻き取り軸53を、緩衝材テープ52の幅方向が長さ方向になった長さを有している1個の駆動ローラ25により、緩衝材テープ52を巻き取る方向に回転させている。このため、これらの巻き取り軸53を回転させるための駆動部材は、1個の駆動ローラ25で足りることになり、それだけ連装装置1の構造を簡単化することができる。
【0085】
また、それぞれの緩衝材テープ供給装置40の繰り出し軸49には、トルクリミッタ66を介して、緩衝材テープ52を巻き取るための回転駆動力が駆動軸21から伝達される。このため、ヘッド部材9の電気的ワーク80側への前後進によって緩衝材テープ52に生ずる弛みを、繰り出し軸49の回転によって除去することができる。
【0086】
なお、緩衝材テープ52の弛みを除去するときに、駆動ローラ25により、それぞれの装置40の巻き取り軸53を図7のB方向とは逆方向に回転させてもよい。これによると、繰り出し軸49と巻き取り軸53との両方の回転により、緩衝材テープ52の弛みを除去することができる。これによると、弛みの除去を高速によって短時間で行え、連装装置1による作業の効率向上を図ることができる。
【0087】
さらに、本実施形態では、それぞれの緩衝材テープ供給装置40の繰り出し軸49を、緩衝材テープ52の幅方向が長さ方向になった長さを有している1個の駆動軸21により、緩衝材テープ52を巻き取る方向に回転させている。このため、これらの繰り出し軸49を回転させる駆動部材は、1個の駆動軸21で足りることになり、それだけ連装装置1の構造を一層簡単化することができる。
【0088】
また、それぞれの緩衝材テープ供給装置40の配置位置は、緩衝材テープ52の幅方向へ調整自在になっている。このため、電気的部品81の配置位置が緩衝材テープ52の幅方向に異なっているそれぞれの電気的ワーク80に対して、有効に対処することができる。
【0089】
また、それぞれの緩衝材テープ供給装置40は、緩衝材テープ52の幅方向に配置位置を調整することができる保持部材26にセットされる。このため、それぞれの保持部材26の配置位置を緩衝材テープ52の幅方向に変更することにより、それぞれの緩衝材テープ供給装置40の配置位置を、電気的部品81の配置位置が緩衝材テープ52の幅方向に異なっているそれぞれの電気的ワーク80に対応させて調整することができる。
【0090】
さらに、それぞれの保持部材26には位置固定手段30が設けられているため、保持部材26及び緩衝材テープ供給装置40を、緩衝材テープ52の幅方向の正確な位置に固定することができる。
【0091】
以上説明した実施形態に係る連装装置1は、電気的ワーク80にACF82を介して電気的部品81を圧着するために用いるものであったが、電気的ワークにACFを貼り付けるときにも、連装装置1を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、電気的ワークにACFを介して電気的部品を圧着するときや、電気的ワークにACFを貼り付けるときに、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、緩衝材テープ供給装置がセットされたときにおける本発明の一実施形態に係る連装装置を示す正面図である。
【図2】図2は、緩衝材テープ供給装置がセットされたときにおける図1の連装装置の側面図である。
【図3】図3は、緩衝材テープ供給装置がセットされていないときにおける図1の連装装置の正面図である。
【図4】図4は、緩衝材テープ供給装置がセットされていないときにおける図1の連装装置の側面図である。
【図5】図5は、図1及び図3に示されている板状の左右一対のブラケットを、図1及び図3に示されている連装装置の本体を省略して示した平面図である。
【図6】図6は、緩衝材テープ供給装置の平面図である。
【図7】図7は、緩衝材テープ供給装置の側面図である。
【図8】図8は、巻き取り軸が繰り出し軸側へ前進したときを示す図7と同様の図である。
【図9】図9は、保持部材の内部空間に緩衝材テープ供給装置を挿入セットし、緩衝材テープを用いた作業を行っているときを示す側面図であって、保持部材を省略した図である。
【図10】図10は、保持部材の下側の空間へ送り込まれるスライドテーブルに、図1とは異なる個数の電気的部品が配置された電気的ワークが位置決め固定されている場合を示す図1と同様の図である。
【符号の説明】
【0094】
1 連装装置
9 ヘッド部材
14,15 バー部材
21 繰り出し軸用回転駆動部材である駆動軸
25 巻き取り軸用回転駆動部材である駆動ローラ
26 保持部材
30 位置固定手段
40 緩衝材テープ供給装置
49 繰り出し軸
52 緩衝材テープ
53 巻き取り軸
66 トルクリミッタ
73 ワンウェイクラッチ
80 電気的ワーク
81 電気的部品
82 ACF

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的部品がACFを介して圧着される電気的ワークに前記ACFを介して前記電気的部品を圧着するために又は前記電気的ワークに前記ACFを貼り付けるために、前記電気的ワークと、この電気的ワークに向かって移動自在になっているヘッド部材との間に配置される緩衝材テープを備え、かつ、この緩衝材テープの送り元側の部分が巻かれている繰り出し軸と、前記緩衝材テープの送り先側の部分を巻き取るための巻き取り軸と、を備えている緩衝材テープ供給装置が配置され、この緩衝材テープ供給装置を駆動させるための装置であって、
複数個の前記緩衝材テープ供給装置が前記緩衝材テープの幅方向に並べられてセットされるスペースを有し、これらの緩衝材テープ供給装置のそれぞれが着脱自在となっていることを特徴とする緩衝材テープ供給装置の連装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の緩衝材テープ供給装置の連装装置において、前記緩衝材テープ供給装置の前記巻き取り軸を、前記緩衝材テープを巻き取る方向へ回転させるための1個の巻き取り軸用回転駆動部材を備えており、
この巻き取り軸用回転駆動部材は、前記緩衝材テープの幅方向を長さ方向とする長さを有し、前記1個の巻き取り軸用回転駆動部材から複数個の前記緩衝材テープ供給装置のそれぞれの前記巻き取り軸に、前記緩衝材テープを巻き取るための回転駆動力が伝達されることを特徴とする緩衝材テープ供給装置の連装装置。
【請求項3】
請求項2に記載の緩衝材テープ供給装置の連装装置において、それぞれの前記緩衝材テープ供給装置の前記巻き取り軸は、これらの巻き取り軸に巻かれた前記緩衝材テープを介して、前記1個の巻き取り軸用回転駆動部材から前記緩衝材テープを巻き取るための回転駆動力が伝達され、それぞれの前記巻き取り軸は、前記繰り出し軸側へ前後進自在になっていることを特徴とする緩衝材テープ供給装置の連装装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の緩衝材テープ供給装置の連装装置において、前記緩衝材テープ供給装置の前記繰り出し軸を、前記緩衝材テープを巻き取る方向へ回転させるための1個の繰り出し軸用回転駆動部材を備えており、
この繰り出し軸用回転駆動部材は、前記緩衝材テープの幅方向を長さ方向とする長さを有し、この繰り出し軸用回転駆動部材から複数個の前記緩衝材テープ供給装置のそれぞれの前記繰り出し軸に、それぞれの前記緩衝材テープ供給装置ごとに設けられたトルクリミッタを介して、前記緩衝材テープを巻き取るための回転駆動力が伝達され、
前記繰り出し軸用回転駆動部材は、前記ヘッド部材が前記緩衝材テープを押しながら前記電気的ワークに向かって前進しているときと、前記ヘッド部材が前記前進の後に後進しているときと、前記ヘッド部材が前記後進によって達した後退位置に停止しているときとのうち、少なくとも前記ヘッド部材が前記後退位置に停止しているときに回転しており、
それぞれの前記緩衝材テープ供給装置に、前記巻き取り軸が前記緩衝材テープを繰り出す方向へ回転することを阻止するワンウェイクラッチが設けられていることを特徴とする緩衝材テープ供給装置の連装装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の緩衝材テープ供給装置の連装装置において、それぞれの前記緩衝材テープ供給装置の配置位置が、前記緩衝材テープの幅方向へ調整自在になっていることを特徴とする緩衝材テープ供給装置の連装装置。
【請求項6】
請求項5に記載の緩衝材テープ供給装置の連装装置において、それぞれの前記緩衝材テープ供給装置を個別に保持するための複数個の保持部材を有し、これらの保持部材の配置位置が、前記緩衝材テープの幅方向へ調整自在になっていることを特徴とする緩衝材テープ供給装置の連装装置。
【請求項7】
請求項6に記載の緩衝材テープ供給装置の連装装置において、前記緩衝材テープの幅方向を長さ方向とする少なくとも1本のバー部材を備え、このバー部材にそれぞれの前記保持部材を案内させることにより、それぞれの前記保持部材の配置位置が、前記緩衝材テープの幅方向へ調整自在になっているとともに、それぞれの保持部材に、これらの保持部材の配置位置を、前記バー部材の長さ方向の位置に固定するための位置固定手段が設けられていることを特徴とする緩衝材テープ供給装置の連装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−158791(P2009−158791A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336866(P2007−336866)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000149011)株式会社大橋製作所 (7)
【Fターム(参考)】