説明

縁石兼排水溝ユニット

【課題】タイヤの乗り上げ等によりカバー部が水路部から外れてしまうことを未然に防止することができ、安全性を向上することができる縁石兼排水溝ユニットを提供する。
【解決手段】水路部3に、内方に向け突設されリブ13を有する被係合体12と、内方に向け突設され水路部3の長手方向に貫通する孔部17a,17bを有する規制体15とを設ける。カバー部4に、水路部3の内方に向け突設され被係合体12と対応するフィン24を有する係合体23と、規制体15と長手方向から対向するように突設され孔部17a,17bに対応する孔部26を有する被規制体25とを設ける。規制体15の孔部17a,17bと被規制体25の孔部26とに規制ピン30を挿通することにより、カバー部4を水路部3に対して固定状態で載置する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や道路橋等の路肩に、その長手方向に並べて設置される縁石兼排水溝ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の縁石兼排水溝ユニットは、例えば道路の路肩(道路の路面と、道路の幅方向両端に設けられる欄干との間)に敷モルタルを介して設置される。この場合、縁石兼排水溝ユニットは、道路の長手方向に沿って並べて設置され、排水溝として機能する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平06−047926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図7に示すように、従来の縁石兼排水溝ユニット100は、前述の通り、道路101の路面102と欄干103との間、つまり路肩104に敷モルタル105を介して設置されるものである。縁石兼排水溝ユニット100は、水路部106とカバー部107とを備え、水路部106に対してカバー部107を上方から被せることにより、道路101の長手方向に沿って略筒状に構成されるものである。水路部106は、路面102、欄干103および敷モルタル105に対して、例えば埋め殺しアンカー108等で不動状態に固定される。
【0004】
水路部106には、一対の受け部106aと、後述する固定ピン109を挿入するための水路部側挿入穴部106bが設けられている。一方、カバー部107には、雨水誘導面部107aと、この雨水誘導面部107aに一体的に形成された傾斜面部107bが設けられている。また、カバー部107には、カバー部107が水路部106に一対の受け部106aを介して被せられたときに水路部側挿入穴部106bと連通するカバー部側挿入穴部107cが設けられている。このカバー部側挿入穴部107cは、カバー部107の裏面に形成され垂直方向に延びる補強板107dに溶接等で固定されている。
【0005】
そして、カバー部107を水路部106に載置し、挿入穴部106b、107cを連通させた状態で、これら挿入穴部106b、107cにゴム製の固定ピン109を挿入することにより、カバー部107が水路部106に対して固定される。雨水誘導面部107aは、水路部106内に連通する排水穴110を有しており、路面102に降った雨水を排水穴110から水路部106へ流入させるようになっている。また、傾斜面部107bは、これに乗り上げたタイヤ(図示せず)の方向を路面102側に是正し、乗り上げたタイヤを路面102側に押し戻すようになっている。
【0006】
ところで、このような構成の縁石兼排水溝ユニット100が設置される道路101は、一般的に、その全長が長く構成される。従って、縁石兼排水溝ユニット100は、その長手方向に複数連結され、水路部106が連続した状態で設置される。これにより、縁石兼排水溝ユニット100は、橋外に設けられた下水道(図示せず)へと続く排水溝として機能する。この場合、道路101の全長によっては、縁石兼排水溝ユニット100を相当数設置する必要がある。
【0007】
しかしながら、上記のような構成、つまり、カバー部107が水路部106に載置され固定ピン109により固定されている構成の縁石兼排水溝ユニット100では、以下のような問題が生じてしまう。即ち、路肩104に設置された縁石兼排水溝ユニット100においては、例えば事故等の何等かの理由により、カバー部107に自動車のタイヤが乗り上げてしまう場合がある。
【0008】
このとき、タイヤや自動車の重さによる下方への力、いわゆる外力がカバー部107の一端側に加えられると、カバー部107の他端側に固定ピン109による水路部106とカバー部107との結合力を上回る力がかかり、固定ピン109が挿入穴部106b、107cから抜けてしまうことがある。この状態では、カバー部107の他端側が持ち上がって、カバー部107全体が水路部106から外れて跳ね上がり路面102側に飛び出してしまうことがあった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従って、その目的は、タイヤの乗り上げや接触等によりカバー部が水路部から外れてしまうことを未然に防止することができ、安全性を向上することができる縁石兼排水溝ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の縁石兼排水溝ユニットは、上方へ開放する水路部と、この水路部にその開放部を閉塞すべく上方から着脱可能に装着されたカバー部と、前記水路部に内方に向け突設され、被係合部を有する被係合体と、前記水路部に内方に向け突設され、その水路部の長手方向に貫通する孔部を有する規制体と、前記カバー部に前記水路部の内方に向け突設され、前記被係合体と対応する係合部を有する係合体と、前記カバー部に前記規制体と前記長手方向から対向するように突設され、前記孔部に対応する孔部を有する被規制体と、前記規制体の孔部および被規制体の孔部に挿通されて前記カバー部の上方向への移動を規制する規制部材とを具備し、前記係合体の係合部は、前記カバー部が所定の距離だけ上方向に移動したときに前記被係合体の被係合部に係合してそれ以上の移動を規制可能に構成されていることに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0011】
この構成によれば、規制体の孔部と被規制体の孔部とに規制部材が挿通されることにより、カバー部が水路部に対して固定された状態で載置される。これにより、タイヤの乗り上げや接触等によりカバー部に外力が加えられたとしても、当該カバー部の浮き上がりを防止して水路部から外れにくくすることができる。また、カバー部の一端側に局所的な外力が加えられた場合に、万が一、他端側が浮き上がるような事態になったとしても、係合体の係合部が被係合体の被係合部に係合することにより、カバー部の他端側がそれ以上浮き上がることを防止することができる。これにより、カバー部の一端側に局所的に外力が加えられたとしても、当該カバー部が水路部から外れることを防止することができる。
【0012】
上記の縁石兼排水溝ユニットにおいて、前記規制部材は、棒状部とこの棒状部の両端から略垂直な方向に延びる一対の腕部とからなる略U字型の形状に形成され、前記規制体の孔部と前記被規制体の孔部は、前記規制部材の腕部を挿通可能な長孔状に形成されている構成としてもよい(請求項2の発明)。
【0013】
この構成によれば、規制部材の一方の腕部を規制体の長孔状の孔部と被規制体の長孔状の孔部とに挿通し、挿通した規制部材を棒状部を中心に回動させることにより、一対の腕部が規制体と被規制体とを挟む状態となる。この状態では、規制部材が当該規制部材の挿通方向に移動してしまうことを一対の腕部により制限でき、これにより、規制部材が規制体の孔部と被規制体の孔部とから抜けてしまうことを防止することができる。
【0014】
上記の縁石兼排水溝ユニットにおいて、前記規制体は、前記被規制体を挟む2つの規制片部から構成され、この2つの規制片部の2つの長孔状の孔部は、略同じ径で且つ前記被規制体の長孔状の孔部よりも小さな径に形成されている構成としてもよい(請求項3の発明)。
この構成によれば、規制部材が2つの規制片部の2つの長孔状の孔部において2箇所で支持され水平な状態で安定する。これにより、規制部材の端部が上下方向にガタついてしまうことを防止することができる。
【0015】
上記の縁石兼排水溝ユニットにおいて、前記2つの規制片部の2つの長孔状の孔部と前記被規制体の長孔状の孔部は、一端側が低くなるように傾斜している構成としてもよい(請求項4の発明)。
この構成によれば、規制部材が2つの規制片部の2つの長孔状の孔部において低い側の2箇所で支持され低い位置で安定する。これにより、規制部材の端部が上下方向にガタついてしまうことのみならず水平方向にガタついてしまうことも防止することができる。
【0016】
上記の縁石兼排水溝ユニットにおいて、前記規制部材は、前記規制体に備えられた鎖に取り付け部を介して連結されている構成としてもよい(請求項5の発明)。
この構成によれば、取り付け部を掴むことによって規制部材を挿通することができ、規制部材の挿通作業を簡単に行うことができる。また、規制部材を規制体に鎖で繋いだことにより、取り外した規制部材が落下してしまうことを防止することができる。また、規制部材を、着脱可能なカバー部側ではなく水路部側に連結したので、取り外した規制部材をぶら下げた状態で保管することができ、紛失してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の縁石兼排水溝ユニットによれば、カバー部が浮き上がるような事態も含めて、タイヤの乗り上げや接触等によりカバー部が水路部から外れてしまうことを未然に防止することができ、安全性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図6を参照して説明する。
図1に示すように、縁石兼排水溝ユニット1は、道路(例えば高速道路)の路肩2に設置されるものであり、上方へ開放する開放部3aを有する長尺な水路部3と、この水路部3にその開放部3aを閉塞すべく上方から着脱可能に装着されたカバー部4とから構成されている。なお、路肩2は、路面5と欄干6との間に位置するものであり、縁石兼排水溝ユニット1は、路面5と欄干6との間の設置面7に敷設された敷モルタル8上に設置されるものである。また、縁石兼排水溝ユニット1は、道路の長手方向に沿って連続して設置される。
【0019】
縁石兼排水溝ユニット1の水路部3は、雨水等の排水を流す排水面部3bと、この排水面部3bの路面5側の端部から上方向へ延びる第1の取付面部3cと、欄干6側の端部から上方向に延び第1の取付面部3cよりも長く形成された第2の取付面部3dとを有している。この水路部3は、高速道路の長手方向へ並べて設置され、これにより、道路外に設けられた下水道(図示せず)へ続く排水溝として機能する。なお、水路部3は、第2の取付面部3dの裏面に形成された埋め殺しアンカー9を欄干6と一体化させると共に、排水面部3bの裏面を敷モルタル8と一体化させることにより不動状態に固定される。
【0020】
図2は、カバー部4を水路部3から若干外した状態の縁石兼排水溝ユニット1を示す透視斜視図である。第1の取付面部3cには、複数の第1の嵌合ピン10が縁石兼排水溝ユニット1の長手方向(左右方向)に沿って設けられており、第2の取付面部3dには、複数の第2の嵌合ピン11が縁石兼排水溝ユニット1の長手方向に沿って設けられている。また、第2の取付面部3dにおいて第2の嵌合ピン11よりも下方部(上下方向における略中段部)には、水路部3の内方に向けて路面5側(図1では左側)に突出した複数の被係合体12が溶接により固定されている。本実施形態では、被係合体12は、縁石兼排水溝ユニット1の長手方向に沿って略等間隔の3箇所に設けられている。これらの被係合体12は、水平面状に形成されたリブ13(被係合部に相当)と、これらのリブ13の一端部に形成され垂直下方に延びる補強面部14とからなり、その断面がL字状をなすよう形成されている。
【0021】
また、第2の取付面部3dには、水路部3の内方に向けて路面5側に突出した複数の規制体15が設けられている。本実施形態では、規制体15は、縁石兼排水溝ユニット1の左端側および右端側の2箇所(左端側の被係合体12の外方および右端側の被係合体12の外方の2箇所)に設けられている。これらの規制体15は、後述するカバー部4の被規制体25を挟む2つの規制片部16a,16bが1組となって構成されている。これらの規制片部16a,16bには、水路部3の長手方向に貫通する孔部17a,17bが設けられている。
【0022】
カバー部4は、水路部3の開放部3aを上方から閉塞するように被せられている。このカバー部4は、路面5と略面一となるように形成された雨水誘導面部4aと、この雨水誘導面部4aと一体的に形成され設置面7に対して下方に傾斜(欄干6から路面5に向かって下方に傾斜)した傾斜面部4bと、この傾斜面部4bと一体的に形成され傾斜面部4bと欄干6との間を隙間なく覆う閉塞面部4cとから構成されている。
【0023】
雨水誘導面部4aには、横長状に貫通した複数の排水穴18が形成されており、路面5からの雨水等を水路部3の排水面部3bに流入させるようになっている。また、雨水誘導面部4aの路面5側の端部には、下方に屈曲成形された屈曲面部4dが設けられており、この屈曲面部4dには、上記した複数の第1の嵌合ピン10と嵌合する複数の第1の嵌合穴19が形成されている。そして、これらの第1の嵌合穴19に第1の嵌合ピン10が嵌合することにより、カバー部4の路面5側の端部が支えられる。
【0024】
閉塞面部4cの欄干6側の端部には、下方に屈曲形成された嵌合面部4eが設けられており、この嵌合面部4eには、上記した複数の第2の嵌合ピン11と嵌合する複数の第2の嵌合穴20が形成されている。そして、これらの第2の嵌合穴20に第2の嵌合ピン11が嵌合することにより、カバー部4の欄干6側の端部が支えられる。このように、第1の嵌合ピン10および第2の嵌合ピン11と、第1の嵌合穴19および第2の嵌合穴20とにより、カバー部4は水路部3に対して着脱可能に装着されるようになっている。
【0025】
また、カバー部4の閉塞面部4cにおいて、上記した規制体15および後述する被規制体25の上方には、図5に示すように、開口部21が設けられている。この開口部21の外方(図5では右方)には、開口部21よりも前後方向に大きく開口した大開口部22が設けられている。
【0026】
傾斜面部4bの裏面において上記した複数の被係合体12に対向する位置には、水路部3の内方に向けて欄干6側(図1では右側)に突出した複数の係合体23が溶接により固定されている。本実施形態では、係合体23は、上記した被係合体12に対応して、縁石兼排水溝ユニット1の長手方向に沿って略等間隔の3箇所に設けられている。
【0027】
これらの係合体23の下部には、当該係合体23と一体的に形成され欄干6側に突出したフィン24(係合部に相当)が設けられている。これらのフィン24は、上記したリブ13よりも下方において当該リブ13と対応する位置に形成されており、このフィン24の上面24aは、リブ13の下面に対して斜め下方(図1では右下方向)に傾斜するように形成されている。従って、フィン24は、カバー部4が所定の距離だけ上方向に移動したときにリブ13に係合して、カバー部4のそれ以上の上方向への移動を規制可能に構成されている。
【0028】
また、カバー部4には、規制体15(規制片部16a,16b)に対して長手方向から対向するように突出した複数の被規制体25が設けられている。本実施形態では、被規制体25は、上記した規制体15に対応して、縁石兼排水溝ユニット1の左端側および右端側の2箇所に設けられている。これらの被規制体25には、上記した規制体15の孔部17a,17bに対応して水路部3の長手方向に貫通する孔部26が形成されている。
【0029】
上記した2つの規制片部16a,16bのうち一方の先端部には、鎖27の一端側が留め具28を介して連結されており、この鎖27の他端側には、取り付けリング29(取り付け部に相当)を介して規制ピン30(規制部材に相当)が連結されている。この規制ピン30は、図6に示すように、棒状部31と、この棒状部31と一体的に形成され当該棒状部31の両端から略垂直な方向に延びる一対の腕部32a,32bとから構成されており、全体として略U字型の形状に形成されている。また、規制ピン30の腕部32aには、取り付けリング29を挿通するための挿通孔33が設けられている。
【0030】
上記した規制体15(規制片部16a,16b)の孔部17a,17bと被規制体25の孔部26は、規制ピン30の腕部32bを挿通可能な長孔状に形成されているとともに、カバー部4側から水路部3側に向けて(図1では左側から右側に向けて)一端側が低くなるように傾斜している。また、これら2つの長孔状の孔部17a,17bは、略同じ径で且つ被規制体25の長孔状の孔部26よりも小さな径に形成されている。
【0031】
カバー部4を水路部3に装着すると、上記した2つの規制片部16a,16bの間に被規制体25が挟まれた状態となる。この状態で、規制ピン30の一方の腕部32b(取り付けリング29が挿通されていない腕部)を、長孔状の孔部17a,26,17bに挿通すると、挿通された規制ピン30は、重力の作用によって棒状部31を中心に下方に回動し、一対の腕部32a,32bが規制体15と被規制体25とを挟んだ状態となる。これにより、規制ピン30がカバー部4の上方向への移動を規制するとともに、一対の腕部32a,32bが当該規制ピン30の左右方向(当該規制ピン30への挿通方向)への移動を規制する状態となる。
【0032】
上記した路面5は、一般的に、路肩2に向かって下方に傾斜するよう形成される。そのため、例えば降雨時において、路面5上の雨水は、自然に路肩2へ向かって流れて雨水誘導面部4aに達し、雨水誘導面部4aの排水穴18から水路部3の排水面部3bに流入する。縁石兼排水溝ユニット1は、前述のように高速道路の長手方向に沿って連続して設置されており排水溝として機能する。従って、排水穴18から排水面部3bに流入した雨水は連続した縁石兼排水溝ユニット1内(連続した排水面部3b上)を流れ、やがて下水道に誘導される。
【0033】
次の上記した構成の作用について説明する。
路肩2に設置された縁石兼排水溝ユニット1においては、例えば事故等の何等かの理由により、カバー部4に自動車のタイヤが乗り上げたり接触したりする場合がある。この場合、タイヤや自動車の重さによる下方への力がカバー部4の一端側に加えられると(図1中矢印A参照)、カバー部4の他端側に上方への力が加えられる(図1中矢印B参照)。
【0034】
しかしながら、本発明の縁石兼排水溝ユニット1は、規制体15の孔部17a,17bと被規制体25の孔部26とに規制ピン30が挿通され、カバー部4が水路部3に対して固定された状態で載置されている。これにより、タイヤの乗り上げや接触等によりカバー部4に外力が加えられたとしても、規制ピン30によってカバー部4の上方向への移動が規制され、これにより、当該カバー部4の浮き上がりが防止され水路部3から外れにくくなる。また、カバー部4の一端側に局所的な外力が加えられた場合に、万が一、規制ピン30が規制体15から脱落してカバー部4の他端側が浮き上がるような事態になったとしても、係合体23のフィン24が被係合体12のリブ13に係合することにより、カバー部4の他端側がそれ以上浮き上がることを防止できる。これにより、カバー部4の一端側に局所的に外力が加えられたとしても、当該カバー部4が水路部3から外れることを防止することができる。
【0035】
ところで、排水面部3bに流入する雨水は、路面5を流れてから排水面部3bに流入するので、必然的に様々な混入物、例えばアスファルトの粉塵、タイヤの磨耗塵、或いは木の枝やごみ等を含んでしまっている。このため、排水面部3bを長期に亘り放置しておくと、これらの混入物が縁石兼排水溝ユニット1内で詰まり、縁石兼排水溝ユニット1が有する排水機能を果たせなくなることがある。特に降雨量が多いときには路面5が冠水するような事態となってしまう。従って、定期的にカバー部4を外して排水面部3b(水路部3内)の清掃を行わなければならないという実情がある。
【0036】
ここで、カバー部4を水路部3から外す場合について説明する。
まず、図1において、作業者は、大開口部22を通して手指で取り付けリング29を掴み、規制ピン30を棒状部31を中心に上方に回動する。続いて、規制ピン30を長孔状の孔部17b,26,17aから引き出して取り外す。規制ピン30を取り外すと、カバー部4は水路部3に対して、第1の嵌合穴19および第2の嵌合穴20に第1の嵌合ピン10および第2の嵌合ピン11が嵌合しただけの状態となる。つまり、カバー部4は上方向(図1中矢印C方向)へ移動可能な状態となる。
【0037】
そして、カバー部4を所定の距離だけ上方向に持ち上げていくと、図3に示すようにカバー部4のフィン24がリブ13に当接し係合する。フィン24がリブ13に係合したら、カバー部4を上方向とは異なる方向、つまり、フィン24の傾斜方向に沿って斜め上方向(図3中矢印D方向)へ移動させる。これにより、フィン24とリブ13と係合が解除され、図4に示すように、カバー部4を水路部3から完全に外すことができる。
【0038】
以上に説明したように本実施形態によれば、規制体15の孔部17a,17bと被規制体25の孔部26とに規制ピン30を挿通することにより、カバー部4を水路部3に対して固定状態で載置する構成とし、しかも、被係合体12のリブ13とこれに下方から対応する係合体23のフィン24とを設ける構成としたので、タイヤの乗り上げや接触等によりカバー部4に外力が加えられたり、万が一、カバー部4が浮き上がるような事態になったとしても、当該カバー部4が水路部3から外れることを防止することができる。これにより、カバー部4が浮き上がるような事態も含めて、タイヤの乗り上げや接触等によりカバー部が水路部から外れてしまうことを未然に防止することができ、安全性を向上することができる。
【0039】
また、カバー部4の傾斜面部4bが欄干6から路面5に向かって下方に傾斜していることから、この傾斜面部4bに乗り上げたタイヤの方向は即座に路面5側に是正され、路面5側に押し戻される。つまり、カバー部4の傾斜面部4bは、乗り上げたタイヤを路面5側にガイドするガイド機能を有しているので、車両が欄干6に衝突するといった事故等を起こりにくくすることができる。また、欄干6側からの雨水を傾斜面部4bの傾斜面に沿って効率的に排水穴18へ導くことができる。
【0040】
また、規制ピン30を規制体15の長孔状の孔部17a,17bと被規制体25の長孔状の孔部26とに挿通すると、一対の腕部32a,32bが規制体15と被規制体25とを挟む状態となる。この状態では、規制ピン30が当該規制ピン30の挿通方向(左右方向)に移動してしまうことを一対の腕部32a,32bにより制限でき、これにより、規制ピン30が孔部17a,17bと孔部26とから抜けてしまうことを防止することができる。
【0041】
また、規制体15の2つの長孔状の孔部17a,17bは、略同じ径で且つ被規制体25の長孔状の孔部26よりも小さな径に形成されているので、規制ピン30が孔部17a,17bにおいて2箇所で支持され水平な状態で安定する。これにより、規制ピン30の端部が上下方向にガタついてしまうことを防止することができる。
また、規制体15の2つの長孔状の孔部17a,17bと被規制体25の長孔状の孔部26は、一端側が低くなるように傾斜しているので、規制ピン30が孔部17a,17bにおいて低い側の2箇所で支持され低い位置で安定する。これにより、規制ピン30の端部が上下方向にガタついてしまうことのみならず水平方向にガタついてしまうことも防止することができる。
【0042】
また、作業者は、取り付けリング29を手指で掴むことによって規制ピン30を保持することができ、規制ピン30の規制体15および被規制体25に対する装着作業を簡単に行うことができる。また、規制ピン30を規制体15に鎖27で繋いだことにより、取り外した規制ピン30が落下してしまうことを防止することができる。また、規制ピン30を、着脱可能なカバー部4側ではなく水路部3側に連結したので、取り外した規制ピン30をぶら下げた状態で保管することができ、紛失してしまうことを防止することができる。
また、規制体15および被規制体25の上方に開口部21を設けたので、規制ピン30を視認しながら容易に孔部17a,26,17bに挿通することができる。また、開口部21の外方に大開口部22を設けたので、規制ピン30を当該大開口部22を通すことにより扱い易くできる。
【0043】
また、カバー部4は、規制ピン30を規制体15の孔部17a,17bと被規制体25の孔部26とから取り外し、カバー部4を所定の距離だけ上方向に移動させ、係合体23のフィン24が被係合体12のリブ13に係合したら当該カバー部4を上方向とは異なる方向に移動させるだけで、水路部3から簡単に外すことができる。従って、水路部3を清掃等する場合において人為的操作によるカバー部4の取り外し作業を非常に簡単に行なうことができる。
【0044】
また、フィン24とリブ13との係合は、フィン24が斜め下方に傾斜していることから、フィン24の上面24aとリブ13の先端部13aとが接触するいわゆる線接触に近い状態となる。従って、フィン24とリブ13とが係合した後に、カバー部4をフィン24の傾斜方向へ移動させる際には、フィン24がガイド的な役割を果たす。また、フィン24とリブ13とが線接触に近い状態で係合することから、カバー部4を移動させる際の摩擦による影響が小さくなる。更に、フィン24とリブ13とが線接触する箇所を中心として、カバー部4は若干の回動が可能となり、カバー部4の移動の方向に比較的遊びが生じる。従って、カバー部4をフィン24の傾斜方向に沿って正確に移動させる必要はなく、大まかに斜め上方向に移動させればよいため、カバー部4を一層外しやすくなっている。
【0045】
また、清掃作業等において、取り外したカバー部4が邪魔である場合には、カバー部4の雨水誘導面部4a側を上方に向け、開口部21の端部21aを規制体15の上部に設けられた切り欠き部34(図4参照)に差し込むことにより、カバー部4を立てかけておくことができ、カバー部4が邪魔にならない。
【0046】
なお、本発明は上記した一実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
上記した実施形態では、縁石兼排水溝ユニット1を高速道路の路肩2に適用したが、これに限定されるものではなく、例えば普通の一般道路、中央分離帯、道路橋(図示しないが、例えば川に架けられた一般的な橋)等にも適用することができる。
【0047】
また、フィン24の形状をリブ13に対して斜め下方に傾斜させるように形成したが、これに限定されるものではなく、例えばリブ13に対して平行に形成してもよい。また、リブ13とフィン24とに、互いに引っ掛かる爪部を設けてもよい。この場合、互いの係合力が強くなり、カバー部4が外力によって水路部3から一層外れにくくなる。
【0048】
また、雨水誘導面部4aを設けずに、カバー部4の全部を傾斜面部4bとし、この傾斜面部4bの下方部に排水穴18を形成する構成としてもよい。
また、規制ピン30を取り扱うための大開口部22は、上記した実施形態のように部分的に設けてもよいし、長手方向に長く設けてもよい。また、閉塞面部4cを設けずに傾斜面部4bと欄干6との間を開放するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、縁石兼排水溝ユニットを路肩に設置した状態を示す断面図
【図2】カバー部を水路部から若干外した状態の縁石兼排水溝ユニット1を示す透視斜視図
【図3】カバー部を上方向へ移動した状態を示す断面図
【図4】カバー部を取り外した状態を示す断面図
【図5】開口部およびその周辺を示す平面図
【図6】規制ピンの外観を示す斜視図
【図7】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0050】
図面中、1は縁石兼排水溝ユニット、3は水路部、3aは開放部、4はカバー部、12は被係合体、13はリブ(被係合部)、15は規制体、16a,16bは規制片部、17a,17bは規制体の孔部、23は係合体、24はフィン(係合部)、25は被規制体、26は被規制体の孔部、27は鎖、29は取り付けリング(取り付け部)、30は規制ピン(規制部材)、31は棒状部、32a,32bは一対の腕部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方へ開放する水路部と、
この水路部にその開放部を閉塞すべく上方から着脱可能に装着されたカバー部と、
前記水路部に内方に向け突設され、被係合部を有する被係合体と、
前記水路部に内方に向け突設され、その水路部の長手方向に貫通する孔部を有する規制体と、
前記カバー部に前記水路部の内方に向け突設され、前記被係合体と対応する係合部を有する係合体と、
前記カバー部に前記規制体と前記長手方向から対向するように突設され、前記孔部に対応する孔部を有する被規制体と、
前記規制体の孔部および被規制体の孔部に挿通されて前記カバー部の上方向への移動を規制する規制部材とを具備し、
前記係合体の係合部は、前記カバー部が所定の距離だけ上方向に移動したときに前記被係合体の被係合部に係合してそれ以上の移動を規制可能に構成されていることを特徴とする縁石兼排水溝ユニット。
【請求項2】
前記規制部材は、棒状部とこの棒状部の両端から略垂直な方向に延びる一対の腕部とからなる略U字型の形状に形成され、
前記規制体の孔部と前記被規制体の孔部は、前記規制部材の腕部を挿通可能な長孔状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の縁石兼排水溝ユニット。
【請求項3】
前記規制体は、前記被規制体を挟む2つの規制片部から構成され、
この2つの規制片部の2つの長孔状の孔部は、略同じ径で且つ前記被規制体の長孔状の孔部よりも小さな径に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の縁石兼排水溝ユニット。
【請求項4】
前記2つの規制片部の2つの長孔状の孔部と前記被規制体の長孔状の孔部は、一端側が低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の縁石兼排水溝ユニット。
【請求項5】
前記規制部材は、前記規制体に備えられた鎖に取り付け部を介して連結されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の縁石兼排水溝ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−95312(P2008−95312A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275616(P2006−275616)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(591006520)株式会社興和工業所 (34)
【Fターム(参考)】