説明

縦型遊技機

【課題】 遊技機を安定した状態で立設させて搬送することができるようにする。
【解決手段】 パチンコ機PMが、外枠20と外枠20の側部にヒンジ結合されて横開き可能に取り付けられた前枠30と前枠30に装備された遊技構成部材とを有し、全体として縦向きに立設されて遊技に供される。外枠20は、上枠部材21、左枠部材22、右枠部材23および下枠部材24から矩形枠状に形成され、下枠部材24が、枠底面となる底板部26と前枠より下側において前面に露出する部分を覆う幕板部25とから樹脂材料により一体に形成される。外枠20の前後方向の立設角度を調整する立設角度調整機構29が、底板部26に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定保持用の外枠と、外枠の側部にヒンジ結合されて横開き可能に取り付けられるとともに常時は外枠の前面開放空間を覆って閉止保持される前枠と、前枠の所要設定位置に装備された遊技構成部材とを有し、全体として縦向きに立設されて遊技に供される縦型遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような縦型遊技機として、パチンコ機やアレンジボール機、雀球機などが知られている。この種の遊技機の代表例とされるパチンコ機では、前枠が外枠の側部にヒンジ機構を介して開閉可能に連結され、反対側側部に設けられた施錠装置を用いて常には外枠の前面を覆う閉鎖姿勢で前枠が閉止保持される。この前枠には所要のゲージ設定で遊技領域が形成された遊技盤、遊技盤の前面を覆うガラス扉、遊技球を貯留する上下の球皿、球皿に貯留された遊技球を遊技盤に向けて発射する遊技球発射装置、球貯留タンクや球払出装置等を備えた裏セット盤、パチンコ機の作動を制御する各種制御基板や中継基板など、各種の遊技構成部材が各々の設定位置に装備されている。
【0003】
ここで、上記のように遊技構成部材が装備されて前枠と遊技構成部材とが一つにまとめられた前枠全体(以下、「前枠構造体」という)はかなりの重量となる。このため、パチンコ機では通常の形態として、重量のある前枠構造体と比較的軽量な外枠とが別に取り扱われ、前枠構造体が外枠に対してヒンジ機構を用いて片持ち支持形態で連結されて開閉できるようになっている。なお、外枠は、木材や硬質樹脂材により形成された複数本の定尺枠部材を枠組み連結して構成されている(例えば、特許文献1〜4参照)。また、ヒンジ機構は、外枠と前枠の互いの一側縁(例えば正面左側の側縁)上下に固定された外枠側および前枠側ヒンジ金具の軸ピンと軸孔との嵌合いにより連結するように構成されているものが多用されている。
【0004】
ところで、パチンコ機では本来の縦向き遊技提供状態において、重量物である前枠構造体の裏セット盤内に多数の金属製遊技球を貯留しており、全体として相当な重量となる。このため、外枠に対して左側縁上下のヒンジ機構で片持ち連結支持されている前枠は、ヒンジ機構の軸ピンと軸孔との嵌合差(径差)やヒンジ金具の撓みに起因して反支点側(正面右側)が下傾して、水平姿勢・位置を保持できなくなるおそれがある。この結果、前枠およびこれにより保持された遊技構成部材が傾き変位し、それぞれの球通流路の勾配変化による球流れ不良を招く等、本来の設計意図に基づく安定したゲームが展開維持し得なくなるという問題が生じるおそれがある。それだけに前枠構造体を適正な姿勢・位置に保持することが重要であり、またその支持技術手段が不可欠である。
【0005】
そこで、従来からパチンコ機に実施されている一般的な枠構造では、外枠を遊技施設の遊技島に設置する際に外枠を適正な姿勢・位置に調整して固定し、このように姿勢調整された外枠に前枠構造体を連結させて閉止したときに、前枠構造体が適正な姿勢・位置に支持されるように構成されている。具体的には、外枠と前枠の互いの下部整合部位、すなわち、外枠の前側開口面域下端に位置する耐久強度の高い支持台板(「幕板」)の上端面において左右方向の傾きが水平になるように水平調整を行い、さらに外枠の前後方向の傾きが所定の後傾角度(一般に1度以内の後傾角度とされる)になるように傾斜調整を行って、外枠を適正な姿勢・位置に調整したうえで遊技島に釘打ち固定する。一方、ヒンジ機構と反対側にあたる右側の下部整合部分には、ヒンジ機構の連結支持高さ位置を基準とする係合支持部が設けられ、左側のヒンジ機構と右側の係合支持部とで前枠を支持することで、前枠を閉鎖した遊技提供時に前枠構造体が適正な左右方向の水平姿勢・位置および所定の後傾姿勢で保持されるように構成されている。
【0006】
なお、係合支持部の構成としては、一般的には、幕板の上端右側に受け金具を設ける一方、前枠の下端右側にはこの受け金具と係脱可能な座部を下方に突出成型し、前枠を閉鎖したときに前枠側の座部が外枠側の受け金具に乗り上げるように係合して前枠構造体を支持する構成が用いられている。また、重量物である前枠構造体の開閉操作をより滑らかに実現するため、前枠側および外枠側の係合支持部のいずれか一方に回動可能な回転ローラを設け、回転ローラと平面(受け金具または座部)との係合によって前枠構造体を支持するように構成した枠構造が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特許第2505630号公報
【特許文献2】特許第2551880号公報
【特許文献3】特許第2673411号公報
【特許文献4】特許第2856321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のようにパチンコ機等は外枠の前後方向の傾きが所定の後傾角度(約1度以内の後傾角度)になるように傾斜調整を行って、外枠を適正な姿勢・位置に調整したうえで遊技島に釘打ち固定されるが、この後傾角度を付与するために外枠の底面に後傾角度に対応するテーパを設け、外枠を遊技島に載置した状態で所定の後傾角度を有して立設できるように構成されることがある。このように構成することにより外枠を遊技島に設置するときの後傾調整が不要もしくは簡単となるのであるが、製造段階や、運送段階において遊技機を立設した状態で搬送することが多く、このとき搬送台上に遊技機を単独で立設すると所定の後傾角度を有して後傾状態で立設することになり、立設安定性に欠けるという問題がある。特に、前枠に取り付けられた遊技盤の後面側に取り付けられる遊技構成部材は外枠の後端面より後方に突出し、遊技機全体の重心位置が後側に位置する傾向があるため、喩え僅かな角度であっても後傾状態で立設することにより後方に転倒しやすくなり、立設安定性に欠けるという問題がある。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みたもので、遊技機を遊技島に所定の後傾角度を有して設置するためのテーパ面が外枠底面に設けられた遊技機を、製造段階や、運送段階において安定した状態で立設させて搬送することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このようなことから、本発明に係る縦型遊技機は、固定保持用の外枠と、この外枠の側部にヒンジ結合されて横開き可能に取り付けられるとともに常時は外枠の前面開放空間を覆って閉止保持される前枠と、この前枠の所要設定位置に装備された遊技構成部材とを有し、全体として縦向きに立設されて遊技に供されるように構成され、外枠が、上枠部材、左枠部材、右枠部材および下枠部材から矩形枠状に形成され、下枠部材が、枠底面を形成する底板部と外枠に前枠が閉止保持された状態で前枠より下側において前面に露出する部分を覆う幕板部とから樹脂材料により一体に形成される。そして、外枠が前後方向に所定の角度を有して立設するように前後方向の立設角度を調整する立設角度調整機構が、底板部に設けられている。
【0011】
なお、立設角度調整機構が、底板部の前後いずれかに偏った位置に底板部の底面から下方に突出可能に設けられた左右一対の突出部材と、この突出部材を底板部に対して上下に移動可能に保持する保持部材とから構成されるのが好ましい。
【0012】
この場合に、底板部の枠底面が、前後方向中間点を通って左右に延びる線を境に前側領域をなす前半底面と後側領域をなす後半底面とに分割されて形成されており、前半底面は外枠の前面および後面に対して直角に延びて形成され、前半底面を水平載置面上に接触させて外枠を載置すると外枠は垂直に起立し、後半底面は前半底面に対して所定角度だけ傾斜して形成されており、後半底面を水平載置面上に接触させて外枠を載置すると外枠は所定角度だけ後傾状態で起立するようになっており、さらに、突出部材が後半底面から下方に突出可能に設けられており、突出部材の下端を前半底面の延長面上に位置するまで突出させ、前半底面および突出部材の下端を水平載置面に当接させて外枠を垂直に起立させることができるように構成されているのが好ましい。
【0013】
また、底板部の枠底面が、外枠の前面および後面に対して直角な面に対して所定角度だけ傾斜して形成されており、枠底面を水平載置面上に接触させて外枠を載置すると外枠は所定角度だけ後傾状態で起立するようになっており、突出部材が枠底面から下方に突出可能に設けられており、突出部材の下端を枠底面の前端を通り外枠の前面および後面に直角な面上に位置するまで突出させ、枠底面の前端および突出部材の下端を水平載置面に当接させて外枠を垂直に起立させることができるように構成されていても良い。
【発明の効果】
【0014】
上記構成の本発明に係る縦型遊技機によれば、底板部および幕板部を樹脂一体成形してなる下枠部材の底板部に立設角度調整機構が設けられており、この立設角度調整機構により外枠の立設角度を調整可能である。このため、製造段階や、運送段階においては、外枠が垂直になるように、もしくは、遊技機全体の中心が外枠の底面の前後方向中央部に作用するような前傾角度となるように立設角度を調整すれば、遊技機を安定状態で立設させることができ、製造段階や、運送段階において遊技機を安定した状態で立設させて搬送することができる。なお、この遊技機を遊技島に取り付けるときには、立設角度調整機構を用いずに底板部の底面のテーパ面を用いて(もしくは立設角度調整機構により外枠が所定の後傾角度で立設するように調整して)遊技機を所定の後傾角度を有した状態で遊技島に簡単に取り付けることができる。また、少なくとも下枠部材を樹脂一体成型しているため、外枠を廃棄するときには下枠部材を溶融して再利用可能であり、省資源化を図ることができる。
【0015】
なお、立設角度調整機構を左右一対の突出部材とこれ上下に移動可能に保持する保持部材とから構成するのが好ましく、これにより、突出部材の位置を調整して、外枠を垂直に立設させたり、所定の後傾角度を有して立設させたりすることが簡単である。
【0016】
この場合に、底板部の枠底面を前半底面と後半底面とに分割して形成し、前半底面に対して後半底面を所定角度だけ傾斜して形成するのが好ましく、これにより前半底面を水平載置面上に接触させて外枠を垂直に起立させ、後半底面を水平載置面上に接触させて外枠を所定角度だけ後傾状態で起立させることができる。この結果、突出部材の下端を前半底面の延長面上に位置するまで突出させ、前半底面および突出部材の下端を水平載置面に当接させて外枠を垂直に且つ安定状態で起立させることができる。
【0017】
また、底板部の枠底面を外枠の前面および後面に対して直角な面に対して所定角度だけ傾斜して形成し、枠底面を水平載置面上に接触させて外枠を載置すると外枠は所定角度だけ後傾状態で起立するようになし、且つ、突出部材の下端を枠底面の前端を通り外枠の前面および後面に直角な面上に位置するまで突出させ、枠底面の前端および突出部材の下端を水平載置面に当接させて外枠を垂直に起立させることができるように構成されていても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明に係る縦型遊技機の一例として、遊技島に取り付けられた状態におけるパチンコ機PMを図1及び図2に示しており、まずこれらの図を参照して遊技島を構成する島構造体10およびパチンコ機PMの全体概要構成について説明する。
【0019】
島構造体10は、天井側から順に配設された、島幕板11と、呼び出しランプ12aを有したランプ板12と、パチンコ機PMを横に1列に並んで配設するために横方向に所定間隔を有して設けられた保持枠13と、球箱載せ台となる天板14と、天板14から下方に床面まで延びる腰板15とから構成される。そして、ランプ板12と天板14との上下間隔内において保持枠13により仕切られて横方向に並んだ複数の空間内にそれぞれパチンコ機PMが図示のように取り付けられる。なお、このように取り付けられたパチンコ機PMの背面側には、後述するように遊技中において入賞装置に入賞せずにアウト口に入り込んだアウト球をホール側に回収するための回収装置16が島設備として図5に示すように設けられている。
【0020】
このようにして島構造体10に取り付けられるパチンコ機PMの構成について簡単に説明する。パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠20の前面開口に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載用の前枠30が前面左側に設けられた上下ヒンジ機構50,51により外枠20に対して横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、施錠装置32により常には外枠20の前面を覆った閉止状態で保持される。
【0021】
上記外枠20は、木材や樹脂等で成形加工された複数本の定形尺の枠部材すなわち上枠部材21および左右枠部材22,23と、樹脂一体成形された下枠部材24とを直角に枠組み連結して構成されており、ランプ板12、左右の保持枠13および天板14に囲まれた空間内に固定される。下枠部材24は、前枠30の下側において前面に露出する部分をなす幕板部25と、外枠下面を形成する底板部26とを備えて樹脂材料により一体に形成されている。このように樹脂材料を使用することにより、下枠部材24についてはこれをそのまま廃棄することなく、溶融して再利用可能である。
【0022】
前枠30の前面上部側には、透明アクリル板やガラス板を有したガラス扉33が左端部のヒンジ(図示せず)を介して横開きおよび着脱が自在に取り付けられ、施錠装置32により常には前枠30の前面を覆う閉止状態に保持される。ガラス扉33の背後に位置する前枠上部には、遊技盤35を着脱自在に収容する収容枠が設けられており、この収容枠に立設姿勢で係止保持された遊技盤35がガラス扉33を通して視認されるようになっている。遊技盤35は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧板を基板とし、円弧状のレール36に囲まれて略円形状の遊技領域PAが形成されている。遊技領域PAには多数本の遊技釘(図示せず)や風車とともに各種の入賞具38、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる画像表示装置37、サイドランプ等の遊技構成部品が取り付けられ、下端部にアウト口39が設けられている。
【0023】
前枠30の前面における上記ガラス扉33の下側には、上球皿装置40が左端のヒンジ機構により横開きおよび着脱可能に取り付けられ、常にはガラス扉33の下側において前枠30の前面を覆った状態で係止保持されている。この上球皿装置40には、前方に突出して形成され、遊技中に払い出される入賞球を受容して貯留する上球皿部41が設けられている。なお、詳細図示しないが、上球皿部41に前面側が覆われた前枠30の下部領域には遊技補助盤と称される補助機構部が形成されており、この遊技補助盤の各部に、遊技盤35の遊技領域PA内に遊技球を発射する発射装置や、スピーカ等が設けられている。
【0024】
さらに、前枠30の前面における上球皿装置40の下側に下球皿装置43が前方に突出して設けられている。この下球皿装置43は、上球皿部41内に貯留された入賞球がオーバーフローしたときや、遊技者が上球皿装置40の球排出レバー42を操作して上球皿部41から入賞球が排出されたときに内部に形成された球皿通路を介して送られてくる入賞球を受容して貯留する下球皿部44と、下球皿部44の右側に位置して遊技球の発射操作を行う発射ハンドル45と、下球皿部44の左側に位置する灰皿46、下球皿部44内に貯留した遊技球を下方に載置された球箱BB内に落下排出させるための球抜きレバー47とから構成されている。なお、下球皿部44の底面には球排出孔が形成されており、この球排出口を開閉自在に覆う球抜き蓋を球抜きレバー47の操作により開放して、下球皿部44内の遊技球を球箱BB内に排出できるようになっている。
【0025】
前枠30の裏面側には、球貯留タンク61、球貯留タンク61から供給された遊技球を落下移動させつつ整列させるタンクレール62、遊技盤33における入賞状態等に基づいてタンクレール62を通ってタンク61から供給される遊技球を賞球として払い出す球払出装置63、遊技中での各種制御を行うための電源基板64、主基板65、画像表示装置37の裏面側に位置して画像表示制御を行う画像制御基板66等が図示のように配設されている。なお、図示していないが、内部には、球払出装置63から払い出された賞球を上球皿部41に導く賞球通路や、遊技中において遊技盤35の入賞具38に入賞することなく落下してアウト口39に入り込んだ遊技球をパチンコ機PMの背面側に導くアウト球通路が設けられている。
【0026】
以上の構成のパチンコ機PMにおいて、外枠20の下部を構成する下枠部材24について、図3〜図6を参照して説明する。下枠部材24は、外枠20の前面に閉鎖状態で保持された前枠30の下側において前面に露出する部分を覆うように位置する垂直板状の幕板部25と、幕板部25の下縁から水平に後方に延びて外枠20の底面を構成する底板部26とからなり、樹脂材料により一体に成形されて作られている。
【0027】
幕板部25は、前面が垂直平面からなり、後面に桁枠状の補強リブ251を有しており、左右端部に前後に垂直に延びる板状の結合面部252を有している。なお、結合面部252は底板部26と同一の前後長さを有した矩形板状に形成されており、幕板部25および底板部26はこれら左右の結合面部252より外側に延出した幕板延出部253および底板延出部262aを有している。底板部26は、外枠下面を形成する平板状の下底面部261と、左右両側において下底面部261から所定間隔を有して上方に位置する左右の上底面部262とから構成され、図9に示すように、上底面部262の下方に位置する下底面部261は一部切り欠かれている。なお、上底面部262が結合面部252を超えて外側に延出して底板延出部262aが形成されている。
【0028】
このように構成された下枠部材24が左右枠部材22,23の下部に結合されて外枠20が構成されるのであるが、この結合部の構成を説明する。この結合は、左右枠部材22,23の下部内側面が結合面部252の外側面に接触し、下部前面が幕板延出部253の後面に接触し、底面が底板延出部262aの上面に接触するように、下枠部材24の左右端部に左右枠部材22,23を載置し、結合面部252と左右の枠部材22,23とをリベット結合して行われる。このリベット結合のため、図4〜図6に示されているように、左右の結合面部252および左右枠部材22,23にそれぞれ4カ所においてリベット挿通孔が形成されており、これらリベット挿通孔にリベット222,232を挿通させて左右の結合面部252に左右枠部材22,23をリベット結合する。このとき、リベット222,232の頭部が外側面に突出しないように、左右枠部材22,23の外側面に前後に延びる凹溝221,231が形成されており、且つリベット222,232の両端頭部と結合面部252および左右枠部材22,23との間に受け座金223,233が挟持されて、リベット結合強度の低下(へたり)を防止している。
【0029】
さらに、幕板延出部253の後面には、図12に詳しく示すように、ネジ挿入口253bが形成されたボス部253aが設けられており、前面にはネジ挿入口253bが開口するキャップ取付凹部253cが形成されている。この幕板延出部253の前面側からネジ挿入口253bにネジ254を挿入して左右枠部材22,23に螺合させ、左右枠部材22,23と幕板部25とを結合させる。この後、キャップ取付凹部253cに図示のようにキャップ255を取り付けて、外観を損なうことを防止するようにしている。このようにして、リベット222,223およびネジ254により左右枠部材22,23が下枠部材24にしっかりと結合される。
【0030】
ここで前述したように、遊技島を構成する島構造体10における設置台枠の収容サイズが関西枠および関東枠の二種類に分かれるため、これら両枠に対応するため、下枠部材24を二種類用意するようにしている。すなわち、図3(A)に示すように、下枠部材24の高さ寸法Bを関東枠用に設定したものと、図3(B)に示すように、下枠部材24′の高さ寸法B′を関西枠用に設定したものとを用意し、関東枠用のパチンコ機PMには図3(A)に示す下枠部材24を組み付け、関西枠用のパチンコ機PMには図3(B)に示す下枠部材24′を組み付けて外枠20を作成する。
【0031】
なお、関東枠用の下枠部材24と関西枠用の下枠部材24′とは、底板部26の厚さ寸法を変更した形状により対応している。具体的には、底板部26,26′を構成する下底面部261,261′と上底面部262a,262a′の間隔寸法(および結合面部252、252′のサイズ)を変更して対応している。これにより、下枠部材24,24′に対して左右枠部材22,23を取り付ける部分の寸法Aは関東枠、関西枠いずれの場合も同一となり、下枠部材24,24′を変更するだけで、上および左右枠部材21,22,23を共用できる。
【0032】
上記のように下枠部材24,24′と左右枠部材22,23とを結合するとともに、上枠部材21の左右端部に左右枠部材22,23の上端部を結合して外枠20が作られるのであるが、上枠部材21と左右枠部材22,23の結合構造は従来と同一であるので、その説明は省略する。
【0033】
図1及び図2に示すようにパチンコ機PMは遊技島構造体10に取り付けられるのであるが、このときに、まず上記のように矩形枠状に構成された外枠20が単体で遊技島構造体10に取り付けられる。この取付は、図5に示すように、底板部26を釘(例えば、五寸釘)5により天板14に打ち付けて行われる。このとき、下枠部材24は樹脂材料により形成されているため、釘5を底板部26に直接打ち込んだのでは底板部26が割れたり、ヒビが入ったりするおそれがある。このため、底板部26の左右2カ所に前後方向の後部側に位置して、左右に延びた長孔からなる釘打ち孔264aを有した釘ボス264が形成されており、この釘打ち孔264aを通して釘5を天板14に打ち込んで、底板部26を天板14に結合固定するようになっている。
【0034】
このようにして釘5により下枠部材24を天板14に固定するとともに、上枠部材21を同様に釘により島構造体10を構成する部材(ランプ板12の後側に位置する構造部材)に固定し、外枠20を所要の後傾角度(通常は、1度以内の角度)で島構造体10に固定する。そして、上下のヒンジ機構50,51を介して前枠30を外枠20に開閉自在に取り付けた後、前枠30を閉鎖状態で施錠装置32により外枠20に施錠保持して遊技に供される。これら上下のヒンジ機構50,51のうち、上ヒンジ機構50は従来から用いられているヒンジ機構と同一であり、外枠20及び前枠30のいずれか一方に垂直に延びる係止ピンが設けられ、他方に垂直に延びる係合孔を有した係合部材が設けられており、係止ピンを係合部材の係合孔に嵌合させて外枠20に対して前枠30の左端上部が水平方向に開閉揺動自在に係合保持されるようになっている。
【0035】
一方、下ヒンジ機構51は図12及び図13に示すように構成されており、この構造についてこれらの図を参照して説明する。下枠部材24の幕板部25における正面から見て左上端部に、前方に突出してヒンジ受容部256が一体に形成されている(下枠部材24の一部として樹脂一体成形されている)。ヒンジ受容部256の上面に、下ヒンジピン部材52を受容するための略変則五角形状の平板状凹部からなる受容凹部256aが形成されており、この受容凹部256a内に下ヒンジピン部材52が受容されて保持される。受容凹部256a内には、上下に貫通するネジ挿入孔256cを有した円筒状の凹部からなる保持凹部256bと、二つの保持ネジ孔256d(図6参照)が形成されている。
【0036】
下ヒンジピン部材52は、受容凹部256aに対応した略変則五角形状の板状部53と、板状部53の下面に下方に突出して設けられた円盤状の保持部54aと、板状部53の上面における保持部54aと上下に対向する位置に上方に突出して設けられた円盤状の支持部54bと、支持部54bから上方に突出するとともに保持部54aと垂直同軸上に位置して形成された支持ピン部54cとからなり、金属材料等から作られている。なお、板状部53の二カ所に保持ネジ孔256cに対応してネジ挿入孔53aが形成されている。このような形状の下ヒンジピン部材52は、保持部54aを保持凹部256b内に嵌入させつつ板状部53を受容凹部256a内に受容させ、ネジ挿入孔53aから挿入した保持ネジ58をネジ孔256dに螺合させて(図6参照)、ヒンジ受容部256に取り付けられる。さらに、ヒンジ受容部256の下面側からネジ挿入口256c内に固定ネジ55を挿入し、これを下ヒンジピン部材52の保持部54aの下面に形成されたネジ孔に螺合させて下ヒンジ部材52をヒンジ受容部256に強固に固定して、下ヒンジ機構51が構成されている。
【0037】
一方、前枠部材30を構成する枠部材31の左端下端部には、ヒンジ金具56がネジ57により固定されており、ヒンジ金具56には下ヒンジピン部材52の支持ピン部54cと嵌合する嵌合孔56aが形成されている。嵌合孔56a内に支持ピン部54cを嵌入させるようにして前枠30が外枠20に取り付けられる。このとき同時に、上ヒンジ機構50において係止ピンが係合部材の係合孔に嵌合し、上下のヒンジ機構50,51により前枠30が外枠20に開閉自在に取り付けられる。なお、上ヒンジ機構50の係止ピンと下ヒンジ機構51の支持ピン部54cとは、垂直に延びる同軸上に位置し、この軸が開閉揺動中心軸となる。さらにこのとき、図12に示すように、ヒンジ金具56が下ヒンジピン部材52の支持部54bの上に載置されて上下方向の支持がなされる。
【0038】
上記のように下ヒンジ機構51は幕板部25(下枠部材24)の一部として樹脂一体成形されたヒンジ受容部256内に下ヒンジピン部材52(ヒンジ部材)を受容保持する構成であるので、従来のようにヒンジ金具(ヒンジ部材)が幕板の前方に露出して装飾性を低下させるおそれがない。また、従来のようにヒンジ金具が前方に露出すると、ヒンジ金具が外部の何かに当たって外力が作用したようなときに、ヒンジ金具が変形して前枠の水平保持が狂うおそれがあり、さらには、前方に露出したヒンジ金具を通して遊技機内部に不正に電波等を照射して内部装置の誤作動を引き起こすような不正操作のおそれがあったが、本実施形態の下ヒンジ機構51ではこのような問題がない。本実施形態の下ヒンジ機構51では特に、下ヒンジピン部材52の支持部54bの上に載置されたヒンジ金具56をヒンジ受容部256がカバーして保護する形態となっており、ヒンジ金具56が外部から外力を受けて変形することを防止している。
【0039】
下枠部材24には、さらに、前枠支持機構27、球箱保持機構28および立設角度調整機構29が設けられており、これらの構成および作用について説明する。
【0040】
まず、前枠支持機構27について、図4および図6〜図9を参照して説明する。前枠支持機構27は、パチンコ機PMを正面から見た状態で、上下ヒンジ機構50,51と反対側すなわち右側における幕板部25の後側に設けられて、閉鎖状態の前枠30を下側から支持するための機構である。前枠支持機構27は、金属板材からなるベース部材271と、左右一対のガイド部材272と、調整ネジ273と、保持ナット274と、ローラアセンブリ275とから構成される。
【0041】
ベース部材271は、水平板部271aと、水平板部271aの左右後端から直角に下方に折れ曲がって形成された左右一対の固定アーム部271bと、水平板部271aの中央後端から直角に上方に折れ曲がって形成された支持アーム部271cとを有して構成される。なお、保持ナット674は水平板部671aの下面に接合されている。ベース部材271は、固定アーム部271bに形成された取付孔271eに取付ネジ271gを挿入し、これを幕板部25の背面に設けた取付ボス257のネジ孔に螺合させて幕板部25の背面に固定される。
【0042】
水平板部671aの中央には上下に貫通してネジ孔671dが形成されており、保持ナット674の雌ネジ孔と連通している。保持ナット674の雌ネジ孔に調整ネジ673が水平板部671aの下面側から螺合して取り付けられる。調整ネジ673は、ヘッド部673aと、雄ネジ部673bと、雄ネジ部673bの先端から同軸に突出した円筒部673cとから構成され、雄ネジ部673bを保持ナット674の雌ネジ孔に螺合させて水平板部671aに取り付けられる。
【0043】
支持アーム部271cの左右に前後に貫通するネジ孔271fが形成されており、このネジ孔271fに挿入した固定ネジ271hをガイド部材272のネジ孔272aに螺合させて、一対のガイド部材272が支持アーム部271cの左右に固定される。このように固定された状態で左右一対のガイド部材272は互いに所定間隔を置いて対向し、この所定間隔内にガイド部材272に挟持されてガイドされた状態でローラアセンブリ275が配設される。
【0044】
ローラアセンブリ275は、正面視U字状に折り曲げられた板材からなる支持プレート276と、支持プレート276のU字状空間内に配設されるとともに左右板部276aにより回転自在に支持された支持ローラ277と、支持プレート276のU字状空間の底板部276bに固設された円筒状の受容部材278とから構成される。受容部材278には上下に貫通する受容孔278aが形成されており、受容孔278aは支持プレート276の底板部276bに形成された貫通孔276cと連通して下面に開口している。このような構成のローラアセンブリ275が、支持プレート276が左右一対のガイド部材272の間に上方から挿入されるとともに、支持プレート276の底板部276bの貫通孔276cから受容部材278の受容孔278a内に調整ネジ273の円筒部273cを嵌入させて、ベース部材271に上下に移動可能に取り付けられている。なお、ローラアセンブリ275は、支持プレート276の左右側面が左右のガイド部材272により挟持されてガイドされ、且つ後面が支持アーム部271cの前面に当接してガイドされて上下に移動可能となっている。
【0045】
ここで貫通孔276cは円筒部273cを嵌入させる径であるが調整ネジ273の雄ネジ部273bより小径に形成されており、図9から分かるように、雄ネジ部273bの先端面上に支持プレート276の底板部276bが載置される状態となる。このため、この状態で調整ネジ273の保持ナット274に対する螺合量を変化させると雄ネジ部273bが支持プレート276を支持した状態で上下動し、支持ローラ277の上下位置調整を行うことができる。
【0046】
このようにして上下位置調整がなされる支持ローラ277は、図9に示すように、前枠30の枠部材31の右端部下面に当接して閉鎖状態の前枠30の右側部を下面側から支持する。ここで前枠30は前述のように左端部において上下のヒンジ機構50,51により開閉自在に支持されるが、図12に示すように前枠30に固定されたヒンジ金具56が下ヒンジピン部材52の支持部54bの上に載置されて左端部の上下方向の位置決めがなされる。このように、前枠30を外枠20に閉鎖状態で取り付けた状態では、左端部においては下ヒンジ機構51により上下方向の支持がなされる一方、右端部においては支持ローラ277により上下方向の支持がなされるようになっている。なお、支持ローラ277は左右に延びる回転軸を中心として回転自在であり、前枠30を開閉させるときに、前枠30の枠部材31の下面が支持ローラ277上に載置された状態で支持ローラ277が回転して、前枠30をスムーズに開閉作動させることができる。また、幕板上面部25aには前後に延びるとともに上方に突出した前枠ガイドリブ25dが前端部にテーパを有して設けられており、前枠30の下面を前枠ガイドリブ25d上を移動させて支持ローラ277の上にスムーズに導くようにしている。
【0047】
このとき左右の支持位置が相違したのでは前枠30が外枠20に対して左右どちらかに傾くため、図8に示すように、外枠20の底面から下ヒンジピン部材52の支持部54bの上面までの上下寸法D1と、外枠20の底面から支持ローラ277の上端面までの上下寸法D2とが等しくなるように、調整ネジ273の螺合量調整が行われ、前枠30の左右方向水平度調整がなされる。
【0048】
次に、球箱保持機構28について、図8、図10、図11等を参照して説明する。球箱保持機構28は、下枠部材24の幕板部25の裏面に設けられた中央取付ボス258aの貫通孔内に後面側から挿入された取付ネジ282と螺合して、幕板部25の前面側に取り付けられた球箱係止部材281を備える。この球箱係止部材281は係止アーム281aを有し、後面側に取付ネジ282と螺合する雌ネジ281bが形成されている。雌ネジ281bにおいて取付ネジ282と螺合して幕板部25に取り付けられた球箱係止部材281は、幕板部25に対して取付ネジ282と一緒にそのネジ軸芯を中心として回転可能であり、この回転をスムーズに行わせるため、取付ネジ282と幕板部25との間にワッシャ283が配設されている。
【0049】
球箱保持機構28は、天板14における前面側に突出した球箱載置台14a(図5参照)上に載置される球箱BBのフランジ部BBFを、図10に示すように係止保持し、球箱BBが天板14の球箱載置台14aから落下するのを防止する。このとき、上述のように球箱係止部材281は取付ネジ282の軸心を中心として回転自在であるので、球箱係止部材281を回転させて係止アーム281aを側方もしくは上方に位置させて、球箱載置台14aに球箱BBを係止アーム281aと干渉することなく載置できるようにし(この状態を球箱係止部材281が解放位置にあると称する)、球箱載置台14aに球箱BBを載置した後に係止アーム281aを図10に示すように下方向くように回転させれば(この状態を球箱係止部材281が係止位置にあると称する)、係止アーム281aにより球箱BBのフランジ部BBFを係止保持させることができるようになっている。なお、球箱BBを取り出すときには、球箱係止部材281を解放位置まで回転させて係止アーム281aを側方もしくは上方におけるフランジ部BBFから離間した位置に移動させる。
【0050】
なお、出荷客先(遊技ホール)の要求により球箱係止部材281を使用しないときには出荷段階において、図11に示すように、球箱係止部材281に代えてキャップ288もしくは288′を取付ネジ284およびワッシャ285を用いて取り付ける。なお、この取付ネジ284は、幕板部25の裏面に設けられた左右取付ボス258bに挿入されてキャップ288、288′と螺合し、キャップ288、288′を幕板部25の前面に固定する。
【0051】
次に、立設角度調整機構29について説明する。この立設角度調整機構29を設けるために、底板部26を構成する下底面部261の底面が前後方向中間点を境に、水平角度を設定する前半底面261aと、後傾角度を設定する後半底面261bとに分割されて形成されている。前半底面261aは外枠20の前面および後面に対して直角に延びて形成されており、図9に示すように前半底面261aを水平面上に接触させて外枠20を載置すると外枠20は垂直に起立して水平面上に載置される。一方、後半底面261bは図9に示すように前半底面261aに対して所定角度αだけ傾斜して形成されており、図5に示すように後半底面261bを水平面上に接触させて外枠20を載置すると、外枠20は水平面に対して角度αだけ後傾状態で起立する。
【0052】
前述のように、外枠20を遊技島構造体10に取り付けるときには、図5に示すように底板部26の左右2カ所に後部側に位置して形成された釘ボス264の釘打ち孔264aを通して釘5を天板14に打ち込んで底板部26を天板14に結合固定する。これにより、後半底面261bが天板14に接触し、外枠20は天板14上に所定角度αだけ後傾して取り付けられる。この角度αはパチンコ機PMを設置するために要求される角度であり、通常は約1度以内の角度であり、このように角度αだけ後傾した状態でパチンコ機PMが遊技に供される。このことから分かるように、本実施形態に係るパチンコ機PMでは、外枠20の底板部26の釘打ち孔264aを通して釘5を天板14に打ち込んで底板部26(外枠20)を天板14に結合固定するだけで、外枠20およびこれに前枠30を取り付けて構成されるパチンコ機PMを所要角度αだけ後傾した状態で遊技島構造体10に取り付けることができ、後傾角度調整が簡単である。
【0053】
ところで、パチンコ機PMの製造および搬送段階においてはパチンコ機PM(外枠20)を立設した状態で搬送することが求められるが、パチンコ機PMが角度αだけ後傾した状態では不安定な状態で立設することになり、搬送時にパチンコ機PMが後方に倒れるおそれがあるという問題がある。そこで、搬送時等における立設安定性を向上させるために、立設角度調整機構29が設けられている。
【0054】
立設角度調整機構29は、図4〜図6、図9等に示すように、底板部26の上底面部262に設けられて上下に貫通する調整雌ネジ263aが形成された調整ネジボス263と、調整雌ネジ263aに螺合して取り付けられた角度調整ボルト291とから構成される。角度調整ボルト291は、ボルトヘッド291aが上底面部262の上方に突出するとともに雄ネジ部291bが調整雌ネジ263aと螺合して取り付けられており、ボルトヘッド291aをレンチ等により回転させて、雌ネジ部291bの下端面であるネジ下面291cの上下位置を調整することができる。
【0055】
パチンコ機PMを搬送等するときには、図9に示すように、ネジ下面291cが下底面部261の前半底面261aの延長面と一致するように角度調整ボルト291の螺合量調整を行う。この結果、外枠20は図9に示すように、前半底面261aが搬送時の搬送台上面と接触する状態となり、外枠20(パチンコ機PM)は垂直に起立した状態となり、後傾状態となることがなく、安定した状態で立設する。この結果、搬送時等における立設安定性が向上する。なお、外枠20を遊技島構造体10の天板14に固設するときには、図9の丸囲み図に示すように、角度調整ボルト291のネジ下面291cを後半底面261bより上側に位置するように螺合量を調整する。
【0056】
なお、上記の実施形態では、底板部26を構成する下底面部261の底面を前後方向中間点を境に、水平角度を設定する前半底面261aと、後傾角度を設定する後半底面261bとに分割形成しているが、下底面部261の底面全面を後傾角度を設定する後半底面261bと同一の面により形成しても良い。この場合には、ネジ下面291cを下底面部261の底面から上方に引き込んだ状態として外枠20を天板14に取り付ければ、これを所定の後傾状態で取り付けることができる。一方、パチンコ機PMを搬送等するときには、角度調整ボルト291のネジ下面291cを下方に突出させ、外枠20を垂直に起立した状態とする。
【0057】
なお、図8及び図9〜図11等に示すように、幕板部26の上面には、幕板部26の前面より後側において上方に起立するとともに左右方向に延びた前枠係止アーム部259が一体に形成されている。この前枠係止アーム部259の前面には後方に窪んだ係止凹部259aが形成されており、前枠30が外枠20の前面に閉鎖状態で取り付けられたときに、図9に示すように、前枠30の枠部材31の下端に後方に突出して形成された係止突起部31aが係止凹部259a内に入り込み、前枠30を下枠24に係止させ、前枠30の上方への持ち上がり移動や、外部からの不正操作を防止する。
【0058】
以上説明した本発明の実施形態において、達成される主要な効果を整理すれば、下記のようになる。
【0059】
第1に、下枠部材24は、前枠30の下側において前面に露出する部分をなす幕板部25と、外枠下面を形成する底板部26とを備えて樹脂材料により一体に形成されている。このように樹脂材料を使用することにより、下枠部材24についてはこれをそのまま廃棄することなく、溶融して再利用可能である。
【0060】
第2に、関東枠用の下枠部材24と関西枠用の下枠部材24′とは、底板部26の厚さ寸法を変更した形状により対応している。具体的には、底板部26,26′を構成する下底面部261,261′と上底面部262a,262a′の間隔寸法(および結合面部252、252′のサイズ)を変更して対応しており、これにより、下枠部材24,24′に対して左右枠部材22,23を取り付ける部分の寸法Aは関東枠、関西枠いずれの場合も同一となり、下枠部材24,24′を変更するだけで、上および左右枠部材21,22,23を共用できる。
【0061】
第3に、パチンコ機PMを遊技島構造体10に取り付けるときに、まず外枠20が単体で遊技島構造体10に取り付けられるが、この取付は、図5に示すように、底板部26を釘(例えば、五寸釘)5により天板14に打ち付けて行われる。このとき、下枠部材24は樹脂材料により形成されているため、釘5を底板部26に直接打ち込んだのでは底板部26が割れたり、ヒビが入ったりするおそれがある。このため、底板部26の左右2カ所に前後方向の後部側に位置して、左右に延びた長孔からなる釘打ち孔264aを有した釘ボス264が形成されており、この釘打ち孔264aを通して釘5を天板14に打ち込んで、底板部26を天板14に結合固定するようになっており、下枠部材24が割れたり、ヒビが入ったりするおそれがない。
【0062】
第4に、下ヒンジ機構51は幕板部25(下枠部材24)の一部として樹脂一体成形されたヒンジ受容部256内に下ヒンジピン部材52(ヒンジ部材)を受容保持する構成であるので、従来のようにヒンジ金具(ヒンジ部材)が幕板の前方に露出して装飾性を低下させるおそれがない。また、従来のようにヒンジ金具が前方に露出すると、ヒンジ金具が外部の何かに当たって外力が作用したようなときに、ヒンジ金具が変形して前枠の水平保持が狂うおそれがあり、さらには、前方に露出したヒンジ金具を通して遊技機内部に不正に電波等を照射して内部装置の誤作動を引き起こすような不正操作のおそれがあったが、本実施形態の下ヒンジ機構51ではこのような問題がない。本実施形態の下ヒンジ機構51では特に、下ヒンジピン部材52の支持部54bの上に載置されたヒンジ金具56をヒンジ受容部256がカバーして保護する形態となっており、ヒンジ金具56が外部から外力を受けて変形することを防止している。
【0063】
第5に、前枠30を外枠20に閉鎖状態で取り付けた状態では、左端部においては下ヒンジ機構51により上下方向の支持がなされる一方、右端部においては前枠支持機構27の支持ローラ277により上下方向の支持がなされるようになっており、前枠30を確実に支持することができる。また、支持ローラ277は左右に延びる回転軸を中心として回転自在であり、前枠30を開閉させるときに、前枠30の枠部材31の下面が支持ローラ277上に載置された状態で支持ローラ277が回転して、前枠30をスムーズに開閉作動させることができる。さらに、幕板上面部25aには前後に延びるとともに上方に突出した前枠ガイドリブ25dが前端部にテーパを有して設けられており、前枠30の下面を前枠ガイドリブ25d上を移動させて支持ローラ277の上にスムーズに導くようにしている。
【0064】
このとき左右の支持位置が相違したのでは前枠30が外枠20に対して左右どちらかに傾くため、図8に示すように、外枠20の底面から下ヒンジピン部材52の支持部54bの上面までの上下寸法D1と、外枠20の底面から支持ローラ277の上端面までの上下寸法D2とが等しくなるように、調整ネジ273の螺合量調整を行えば、前枠30の左右方向水平度調整を簡単に行うことができる。
【0065】
第6に、球箱保持機構28は、天板14における前面側に突出した球箱載置台14a(図5参照)上に載置される球箱BBのフランジ部BBFを、図10に示すように係止保持し、球箱BBが天板14の球箱載置台14aから落下するのを防止する。このとき、上述のように球箱係止部材281は取付ネジ282の軸心を中心として回転自在であるので、球箱係止部材281を回転させて係止アーム281aを側方もしくは上方に位置させて、球箱載置台14aに球箱BBを係止アーム281aと干渉することなく載置できるようにし、球箱載置台14aに球箱BBを載置した後に係止アーム281aを図10に示すように下方向くように回転させれば、係止アーム281aにより球箱BBのフランジ部BBFを係止保持させることができる。なお、球箱BBを取り出すときには、球箱係止部材281を解放位置まで回転させて係止アーム281aを側方もしくは上方におけるフランジ部BBFから離間した位置に移動させれば、球箱BBを簡単に取り出すことができる。
【0066】
第7に、底板部26を構成する下底面部261の底面が前後方向中間点を境に、水平角度を設定する前半底面261aと、後傾角度を設定する後半底面261bとに分割されて形成されている。前半底面261aは外枠20の前面および後面に対して直角に延びて形成されており、図9に示すように前半底面261aを水平面上に接触させて外枠20を載置すると外枠20は垂直に起立して水平面上に載置される一方、後半底面261bは図9に示すように前半底面261aに対して所定角度αだけ傾斜して形成されており、図5に示すように後半底面261bを水平面上に接触させて外枠20を載置すると、外枠20は水平面に対して角度αだけ後傾状態で起立する。
【0067】
このため、外枠20を遊技島構造体10に取り付けるときには、図5に示すように底板部26の左右2カ所に後部側に位置して形成された釘ボス264の釘打ち孔264aを通して釘5を天板14に打ち込んで底板部26を天板14に結合固定すれば、後半底面261bが天板14に接触し、外枠20は天板14上に所定角度αだけ後傾して取り付けられる、すなわち、角度αだけ後傾した状態でパチンコ機PMが遊技に供される。このことから分かるように、本実施形態に係るパチンコ機PMでは、外枠20の底板部26の釘打ち孔264aを通して釘5を天板14に打ち込んで底板部26(外枠20)を天板14に結合固定するだけで、外枠20およびこれに前枠30を取り付けて構成されるパチンコ機PMを所要角度αだけ後傾した状態で遊技島構造体10に取り付けることができ、後傾角度調整が簡単である。
【0068】
一方、パチンコ機PMを搬送等するときには、図9に示すように、ネジ下面291cが下底面部261の前半底面261aの延長面と一致するように角度調整ボルト291の螺合量調整を行う。この結果、外枠20は図9に示すように、前半底面261aが搬送時の搬送台上面と接触する状態となり、外枠20(パチンコ機PM)は垂直に起立した状態となり、後傾状態となることがなく、安定した状態で立設する。この結果、搬送時等における立設安定性が向上する。
【0069】
第8に、図8及び図9〜図11等に示すように、幕板部26の上面には、幕板部26の前面より後側において上方に起立するとともに左右方向に延びた前枠係止アーム部259が一体に形成されている。この前枠係止アーム部259の前面には後方に窪んだ係止凹部259aが形成されており、前枠30が外枠20の前面に閉鎖状態で取り付けられたときに、図9に示すように、前枠30の枠部材31の下端に後方に突出して形成された係止突起部31aが係止凹部259a内に入り込み、前枠30を下枠24に係止させ、前枠30の上方への持ち上がり移動や、外部からの不正操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る縦型遊技機としてのパチンコ機を遊技島構造体に取り付けた状態を示す正面図である。
【図2】本発明に係る縦型遊技機としてのパチンコ機を遊技島構造体に取り付けた状態を示す背面図である。
【図3】上記パチンコ機の外枠を構成する下枠部材を示す背面図であり、図3(A)は関東枠用の下枠部材、図3(B)は関西枠用の下枠部材の背面図である。
【図4】上記外枠の下部を示す背面図である。
【図5】上記パチンコ機の下部を左側から見た側面図である。
【図6】上記外枠を中間部において水平面に沿って切断して外枠下部を示す平面断面図である。
【図7】上記外枠の下枠部材に設けられる前枠支持構造の部品構成を示す分解斜視図である。
【図8】上記外枠の下部を示す部分断面正面図である。
【図9】上記パチンコ機の下部を前枠支持構造の中心を通る前後垂直面に沿って切断して示す側面断面図である。
【図10】上記外枠の下部を、図8の矢印X−Xに沿って断面して示す側面断面図である。
【図11】上記外枠の下部を、図8の矢印XI−XIに沿って断面して示す側面断面図である。
【図12】上記パチンコ機の下部を下ヒンジ機構51の中心を通る前後垂直面に沿って切断して示す側面断面図である。
【図13】下ヒンジ機構の部品構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
PM パチンコ機 PA 遊技領域
BB 球箱 BBF フランジ部
5 釘(五寸釘)
10 島構造体 11 島幕板
12 ランプ板 12a 呼出ランプ
13 保持枠
14 天板 14a 球箱載置台
15 腰板 16 回収装置
20 外枠 21 上枠部材
22 左枠部材 23 右枠部材
221,231 凹溝
222,232 リベット
223,233 受け座金
24,24′ 下枠部材
25 幕板部
251 補強リブ 252,252′ 結合面部
253 幕板延出部
253a ボス部 253b ネジ挿入孔
253c キャップ取付凹部
254 ネジ 255 キャップ
256 ヒンジ受容部
256a 受容凹部 256b 保持凹部
256c ネジ挿入孔 256d 保持ネジ孔
257 取付ボス
258a 中央取付ボス 258b 左右取付ボス
259 前枠係止アーム部 259a 係止凹部
26,26′ 底板部
261,261′ 下底面部
261a 前半底面 261b 後半底面
262 上底面部 262a 底板延出部
263 調整ネジボス 263a 調整雌ネジ
264 釘ボス 264a 釘打ち孔
27 前枠支持機構
271 ベース部材
271a 水平板部 271b 固定アーム部
271c 支持アーム部 271d 調整用雌ネジ
271e 取付孔 271f ネジ孔
271g 取付ネジ 271h 固定ネジ
272 ガイド部材 272a ネジ孔
273 調整ネジ
273a ヘッド部 273b 雄ネジ部
273c 円筒部
274 ロックナット
275 ローラアセンブリ
276 支持プレート
276a 左右板部 276b 底板部
276c 貫通孔
277 支持ローラ
278 受容部材 278a 受容孔
28 球箱保持機構
281 球箱係止部材
281a 係止アーム 281b 雌ネジ
282 取付ネジ 283 ワッシャ
284 取付ネジ 285 ワッシャ
288,288′ キャップ
29 立設角度調整機構
291 角度調整ボルト
291a ボルトヘッド 291b 雄ネジ部
291c ネジ下面
30 前枠
31 枠部材 31a 係止突起
32 施錠装置 33 ガラス扉
35 遊技盤 36 レール
37 画像表示装置 38 入賞具
39 アウト口
40 上球皿装置 41 上球皿部
42 球排出レバー
43 下球皿装置 44 下球皿部
45 発射ハンドル 46 灰皿
47 球抜きレバー
50 上ヒンジ機構
51 下ヒンジ機構 52 下ヒンジピン部材
53 板状部 53a ネジ挿入孔
54a 保持部 54b 支持部
54c 支持ピン部 55 固定ネジ
56 ヒンジ金具 56a 嵌合孔
57 ネジ 58 保持ネジ
61 球貯留タンク 62 タンクレール
63 球払出装置 64 電源基盤
65 主基盤 66 画像制御基盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定保持用の外枠と、前記外枠の側部にヒンジ結合されて横開き可能に取り付けられるとともに常時は前記外枠の前面開放空間を覆って閉止保持される前枠と、前記前枠の所要設定位置に装備された遊技構成部材とを有し、全体として縦向きに立設されて遊技に供される縦型遊技機において、
前記外枠が、上枠部材、左枠部材、右枠部材および下枠部材から矩形枠状に形成され、
前記下枠部材が、枠底面を形成する底板部と前記外枠に前記前枠が閉止保持された状態で前記前枠より下側において前面に露出する部分を覆う幕板部とから樹脂材料により一体に形成され、
前記外枠が前後方向に所定の角度を有して立設するように前後方向の立設角度を調整する立設角度調整機構が、前記底板部に設けられていることを特徴とする縦型遊技機。
【請求項2】
前記立設角度調整機構が、前記底板部の前後いずれかに偏った位置に前記底板部の底面から下方に突出可能に設けられた左右一対の突出部材と、前記突出部材を前記底板部に対して上下に移動可能に保持する保持部材とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の縦型遊技機。
【請求項3】
前記底板部の前記枠底面が、前後方向中間点を通って左右に延びる線を境に前側領域をなす前半底面と後側領域をなす後半底面とに分割されて形成されており、
前記前半底面は前記外枠の前面および後面に対して直角に延びて形成され、前記前半底面を水平載置面上に接触させて前記外枠を載置すると前記外枠は垂直に起立し、前記後半底面は前記前半底面に対して所定角度だけ傾斜して形成されており、前記後半底面を水平載置面上に接触させて前記外枠を載置すると前記外枠は前記所定角度だけ後傾状態で起立するようになっており、
前記突出部材が前記後半底面から下方に突出可能に設けられており、前記突出部材の下端を前記前半底面の延長面上に位置するまで突出させ、前記前半底面および前記突出部材の下端を水平載置面に当接させて前記外枠を垂直に起立させることができるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の縦型遊技機。
【請求項4】
前記底板部の前記枠底面が、前記外枠の前面および後面に対して直角な面に対して所定角度だけ傾斜して形成されており、前記枠底面を水平載置面上に接触させて前記外枠を載置すると前記外枠は前記所定角度だけ後傾状態で起立するようになっており、
前記突出部材が前記枠底面から下方に突出可能に設けられており、前記突出部材の下端を前記枠底面の前端を通り前記外枠の前面および後面に直角な面上に位置するまで突出させ、前記枠底面の前端および前記突出部材の下端を水平載置面に当接させて前記外枠を垂直に起立させることができるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の縦型遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−34352(P2006−34352A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214637(P2004−214637)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】