説明

縦方向に結合されている変換器を備えた表面波共振器フィルタ

本発明は、縦方向に結合されており、非対称的な電気的なポートおよび対照的な電気的ポートを有する入力変換器および出力変換器を備えた表面波共振器フィルタに関する。入力変換器は相互に並列に接続されており、また非対称的な電気的なポートの信号端子と接続されている。入力変換器はそれぞれ2つの出力変換器の間に配置されており、これらの2つの出力変換器は相互に並列に接続されており、また対称的な電気的なポートの端子に接続されている。中央に配置されている2つの出力変換器は一緒にいわゆるVスプリット変換器を形成し、2つの出力変換器に共通する電流レールは、音響的なトラックの中心とは反対側において反射性に作用するフィンガを用いて、隣接する入力変換器の前述の電流レールとは反対側にあるアースレールに接続されている。本発明によるフィルタは良好な対称性および整合において挿入損失が少ないという利点を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦方向に結合されており、音響的なトラック内に配置されており、非対称的な電気的なポートおよび対照的な電気的ポートを有する入力変換器および出力変換器を備えた表面波共振器フィルタ(DMSフィルタ/DMS = Double Mode Surface Acoustic Wave)に関する。
【0002】
3つの変換器を備えたその種のフィルタは例えば刊行物EP 1394940 A1から公知であり、この刊行物においてフィルタの電気的なポートは並列に接続されている2つの部分変換器に分割されている変換器によって対称的にされている。部分変換器は共通の電流レールを有し、この電流レールは、非対称的なポートと接続されている変換器の対向する電流レールと接続されていることによって接地されている。不所望な非対称性を補償調整するために、変換器の内の1つに浮いた状態の金属構造が設けられている。
【0003】
さらに刊行物EP 0605884 A1の図6からは、全部で7つの変換器を備えた対称的/非対称的に動作可能な別のDMSフィルタが公知であり、このDMSフィルタにおいては入力変換器と出力変換器が交互に配置されており、ここで並列に接続されている3つの入力変換器は非対称的な電気的な入力ポートに接続されており、並列に接続されているそれぞれ2つの出力変換器は対称的な電気的な出力ポートの端子に接続されている。
【0004】
刊行物EP 0605884 A1の図7からは、図6とは異なり中央の入力変換器を直列に接続されている2つの部分変換器に分割することによって(垂直方向の溝、Vスプリット)入力ポートの対称化を達成している、対称的/対称的に動作可能なDMSフィルタが公知である。
【0005】
別のDMSフィルタは例えば刊行物US 3582840、US 5694096、US 5770985およびUS 4492940から公知である。
【0006】
フィルタの入力側または出力側に対応付けられており、相互に並列に接続されている変換器の数が増せば、DMSフィルタの反射損失を低減することができる。しかしながら他方では、付加的に必要とされる線路素子によってフィルタ装置の寄生的な容量が増し、入力側および出力側における整合がより劣悪になる。付加的な入力変換器または出力変換器の並列回路においては、入力側ないし出力側における所定のインピーダンスレベルを維持するための音響的なトラックの開口部は比較的小さくなる。3つの変換器を備えた装置から6つの変換器を備えた装置に変わると、例えば開口部はファクタ2だけ減少される。これによって、開口部に比例して上昇するフィンガ抵抗をファクタ2だけ低減することができる。それどころか、変換器は並列に接続されているので、フィンガ抵抗損失はファクタ4だけ低減される。このことは殊にHFフィルタ(HF=高周波)にとって有利である。このHFフィルタにおいては低いフィンガ高さおよび狭いフィンガ幅によって大きなフィンガ抵抗損失が生じる。もっとも、公知のように横方向の2D損失(2D=二次元)は上昇するので、開口部を過度に大きく低減することは許されない。最小の開口部に関する臨界値は約20λである。フィルタの長さはDMSトラックにおいて比較的多くの数の変換器を使用することによってより長くなる。この際、変換器毎の付加的な変換器に対しては、例えばボンディングワイヤまたはバンプのような外部の接地が必要であり、このことは装置全体の面積を拡大することになる。
【0007】
本発明の課題は、挿入損失が少なく、良好なインピーダンス整合を有し、且つ所要面積が小さい、縦方向に結合されている共振器を備えた非対称的/対称的に動作可能な広帯域表面波共振器フィルタを提供することである。
【0008】
この課題は、請求項1によるフィルタによって解決される。本発明の有利な実施形態および発展形態は従属請求項に記載されている。
【0009】
音響的なトラックおよびこのトラック内に配置されており縦方向に結合されている入力変換器および出力変換器を備えた表面波共振器フィルタが提供され、この表面波共振器フィルタは非対称的な入力側および非対称的な電気的な出力側を有する。入力変換器は相互に並列に接続されており、また非対称的な電気的なポートの信号端子と接続されている。入力変換器はそれぞれ2つの出力変換器の間に配置されており、これらの2つの出力変換器は相互に並列に接続されており、また対称的な出力側の相応の端子に接続されている。中央に配置されており、相互に直列に接続されている2つの出力変換器は一緒にいわゆるVスプリット変換器を形成し、2つの出力変換器に共通する電流レールは少なくとも一方の側において、少なくとも1つの(音響的なトラックの中心とは反対側において)延在する電流フィンガないし金属ストライプを用いて、隣接する入力変換器の対向しているアースレールに接続されている。
【0010】
音響的なトラックは共振構造を形成するために両側がリフレクタ構造によって境界付けられている。フィルタは少なくとも1つの第1の入力変換器および少なくとも1つの第2の入力変換器を有し、これらの入力変換器は相互に並列に電気的に接続されており、また非対称的な入力側と接続されている。
【0011】
さらにフィルタは相互に並列に接続されている少なくとも2つの第1の出力変換器を有し、これらの第1の出力変換器は対称的な出力側の第1の端子と接続されており、またフィルタは相互に並列に接続されている少なくとも2つの第2の出力変換器を有し、これらの第2の出力変換器は対称的な出力側の第2の端子と接続されている。
【0012】
各第1の入力変換器は2つの第1の出力変換器の間に配置されている。各第2の入力変換器は2つの第2の出力変換器の間に配置されている。
【0013】
すなわち本発明によるフィルタは全部で6個の変換器を備えた基本構造を有する。しかしながらフィルタはまた6個よりも多い数の変換器を有することもでき、この場合入力変換器として設けられている全ての変換器は非対称的なポートの信号端子と電気的に接続されており、フィルタの中心からリフレクタ構造の方向に向かって配置されており、出力変換器として設けられている全ての変換器は対称的なポートの第1の信号端子と電気的に接続されており、またフィルタの中心から前述の方向とは反対の方向に向かって配置されており、出力変換器として設けられている全ての変換器は対称的なポートの第2の信号端子と電気的に接続されている。
【0014】
対称的な電気的なポートおよび非対称的な電気的なポートへの変換器の前述の接続順序によって、全ての第1の入力変換器および第1の出力変換器においては、最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの中心の間隔が実質的に半波長の偶数倍であることが達成される。波長λは実質的に通過帯域におけるフィルタの中心周波数に関するものであり、またこの周波数に対応する。
【0015】
非接地とは、アースとは異なる電位にあるか信号経路と接続されている電極フィンガを表す。接地とはアースに接続されている電極フィンガを表す。
【0016】
1つの変換器においては電極フィンガが有利にはλ/2のパターン間隔を有するパターンで配置されており、また交互に異なる電位に接続されている。
【0017】
音響波の波長λは周期的で電極フィンガにより形成される規則的な格子において、第1の格子ストップバンド内では、フィンガの中心から測定されたフィンガ間隔の2倍に等しい。
【0018】
格子ストップバンドの概念は、音響波が格子内で電極フィンガによって反射された波成分の重畳により指数的に減衰され、その結果周期的な格子内では定在波が形成される周波数領域を表す。つまり例えば、リフレクタはストップバンド内の周波数に対してのみ効果的に高い反射係数で作動することができ、ストップバンド外では波は実質的にこのリフレクタを通り抜ける。
【0019】
不規則な格子に関して、波長λは2倍のフィンガ間隔の平均値として求められる。すなわち、Lがトラック内の最初の変換器フィンガと最後の変換器フィンガの中心の間隔を表し、NFがこの領域に包含されるフィンガの数(最初の変換器フィンガおよび最後の変換器フィンガを含む)を表す場合には、波長λはλ=2*L/(NF−1)と定義される。
【0020】
対称的な電気的なポートおよび非対称的な電気的なポートへの変換器の前述の接続順序によって、全ての第2の入力変換器および第2の出力変換器においては、最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガ間の距離が実質的に半波長の奇数倍であることが達成される。
【0021】
本発明によれば有利には、以下の条件の内の少なくとも1つが満たされている。
A)中央に配置されている出力変換器の共通の電流レール(=第1の電流レール)が、第1の出力変換器と第1の入力変換器との間に配置されている第1の接続構造を介して、隣接する第1の入力変換器の接地されており、前述の電流レールとは反対側にある電流レール(=第2の電流レール)と電気的に接続されている。
B)第2の出力変換器と第2の入力変換器との間には第2の接続構造が配置されており、第1の電流レールは第2の接続構造を介して、隣接する第2の入力変換器の接地されており、第1の電流レールとは反対側にある電流レールと電気的に接続されている。
【0022】
フィンガ装置において両方の条件A)およびB)が満たされている場合には殊に有利である。
【0023】
第1の接続構造および第2の接続構造は少なくとも1つの金属ストライプを有する。金属ストライプは例えば、中央に配置されている相応の(第1または第2の)出力変換器の延長された接地電極フィンガを表す。これらのフィンガを次に現れる(第1または第2の)入力変換器に対応付けることができる。
【0024】
第1の接続構造は有利には奇数≧1個のフィンガを有し、また第2の接続構造は偶数≧2個のフィンガを有する。
【0025】
音響的なトラックの中心と対向している、入力変換器の端部にあるフィンガは両方とも非接地でもよい。しかしながらこれらのフィンガの内の一方が接地されていてもよい。しかしながら有利には、音響的なトラックの中心と対向している、入力変換器の端部にある接地されているフィンガが延長されて、本発明の範囲において第1の接続構造および第2の接続構造を形成する。
【0026】
本発明によるフィルタは、出力ポートにおける信号対称性が良好であり、挿入損失が少なく、また入力ポートないし出力ポートにおけるインピーダンス整合が良好であるという利点を有する。
【0027】
中央に配置されている変換器を2つの出力変換器に分割することによって、入力変換器と出力変換器が交互に配置されているフィルタに比べて、非対称的なフィルタ入力側におけるインピーダンス整合も改善される。何故ならば、出力変換器を接地するためのバンプないしボンディングワイヤが省略されるからである。バンプおよびこれに接続されている電気的な接続部を省略することによって寄生容量が低減される。さらにはこれにより、モジュールの大きさを縮小することができる。
【0028】
個々の変換器それぞれの電極フィンガは有利には実質的に周期的なパターンで配置されており、フィンガ中心の間隔はおよそ半波長である。フィンガ配置の周期性を殊に、隣接する変換器の相互に対向している端部または移行領域において、例えばフィンガ中心の間隔がこの端部領域においては変換器の中心領域における間隔よりも小さくなるように変更することができる。これによって、パターンに関して2つの隣接する変換器の中心領域間において局所的なずれを生じさせることができ、これはDMSフィルタの動作のために必要とされる比較的高い縦モードの基礎である。これらの変換器の中心領域のパターン間のずれは通常の場合約−λ/4である。さらに、ここでは端部領域におけるフィンガ中心間の距離が短いことによって僅かな体積波損失を達成することができる。
【0029】
これら2つの変換器におけるフィンガ中心間隔がそれぞれ、対応する変換器の中心から対応する隣接する変換器の方向に向かって単調に変化し、隣接する変換器との境界において極値(有利には最小値)に達する場合には体積波をさらに低減することができる。フィンガ幅を局部的なフィンガ間隔に応じて適合させることもできる。これについては図11Cを参照されたい。
【0030】
1つの変換器における非接地フィンガと接地フィンガの順序は有利には実質的に周期的である。すなわち非接地フィンガと接地フィンガが交互に現れる。しかしながら所定の用途に関しては、省略重み付けの枠内においてこの順序は異なっていてもよく、個々のフィンガを反転させる、ないし反対側にある電流レールに接続することもできる。したがって、反転されたフィンガを好適に選択した場合には、フィルタの選択特性を改善することができる。
【0031】
本発明の有利な実施形態においては、それぞれの変換器において所定のフィンガ配置構成、例えば偶数または奇数の電極フィンガが使用されるか、所定の対称特性が充足されることによってフィルタ特性が改善される。これについては図面の説明を参照されたい。
【0032】
中央に配置されている出力変換器、すなわち第1の出力変換器AW1および第2の出力変換器AW2は、非接地電極フィンガおよび接地電極フィンガの配置構成に関して、有利には(垂直軸に関して)相互に鏡面対称に構成されている。
【0033】
以下では、実施例および図面に基づき本発明を詳細に説明する。図面は概略的で縮尺通りではない本発明の種々の実施例を示す。同一の部分または同様に作用する部分には、同一の参照記号が付してある。ここで、
図1は、音響的なトラックに内に6個の変換器を備えた非対称的/対称的に動作可能な例示的なDMSフィルタ(従来技術)を示し、
図2および図3はそれぞれ、第1の電流レールが両側とも接地されている、音響トラックに内に6個の変換器を備えた非対称的/対称的に動作可能な例示的なDMSフィルタを示し、
図4は、図2によるDMSトラックおよびマルチポート共振器を包含するフィルタを示し、
図5は、図2によるDMSトラックおよび梯子形構造の基本素子を包含するフィルタを示し、
図6Aは、4個の変換器と入力側に配置されている直列共振器とを備えたフィルタの伝達関数と比較した、図4によるフィルタの伝達関数を示し、
図6Bは、図6Aの伝達関数の通過帯域の拡大図を示し、
図6Cは、図2および図1による対称的なポートの端子間の振幅差を示し、
図6Dは、図2および図1による対称的なポートの端子間の位相差を示し、
図7〜9はそれぞれ、6個の変換器を備えたDMSトラックを包含する別のフィルタを示し、
図10は、中央に配置されている出力変換器の構成を示し、
図11Aは、フィンガが周期的なパターンで配置されている、隣接する変換器の相互に対向している境界領域を示し、
図11Bおよび11Cはそれぞれ、変換器の境界に向かって単調に短くなるフィンガ中心間隔を有する、隣接する変換器の相互に対向している境界領域を示し、
図12は、音響トラックに内に8個の変換器を備えた非対称的/対称的に動作可能な例示的なDMSフィルタを示し、
図13は重み付けされた変換器の一部を概略的に示す。
【0034】
図1は、リフレクタ構造R1およびR2によって境界付けられている音響的なトラックASを有する例示的なDMSフィルタを示す。フィルタは非対称的な入力側INと、第1の端子OUT1および第2の端子OUT2を備えた対称的な出力側を有する。
【0035】
音響的なトラック内には全部で6個の変換器を包含する基本構造が配置されている。
【0036】
入力側INの信号端子には、接地されている第1の入力変換器EW1および第2の入力変換器EW2の並列回路が接続されている。
【0037】
第1の出力変換器AW1およびAW1′は対称的な出力側の第1の端子OUT1に接続されており、また第2の出力変換器AW2およびAW2′は対称的な出力側の第2の端子OU2に接続されている。
【0038】
音響的なトラックにおいて中央に配置されている第1の出力変換器AW1および相応の第2の出力変換器AW2は相並んで配置されており、また共通の第1の電流レールSS1を介して電気的に直列に接続されており、また音響的に逆位相で接続されている。逆位相とは、第1の出力変換器および第2の出力変換器において、最も外側にあり他方の変換器と対向している非接地フィンガ間の距離が実質的に半波長の奇数倍(有利にはλ/2または3λ/2)であることを意味する。
【0039】
この実施例において出力変換器AW1およびAW2に関して共通する第1の電流レールSS1は浮いた状態である。すなわちSS1においては任意の電位を調節することができる。これによって出力ポートにおける信号対称性が妨害される。
【0040】
図2においては第1の電流レールSS1が第1の接続構造RF1を用いて第1の入力変換器EW1の電流レールSS2(=第2の電流レール)に接続されている。さらに、第1の電流レールSS1が第2の接続構造RF2を用いて第2の入力変換器EW2の電流レールSS3(=第3の電流レール)に接続されている。
【0041】
第1の接続構造RF1は延長された接地電極フィンガとして構成されている。第2の接続構造RF1は延長された2つの接地電極フィンガとして構成されている。
【0042】
第1の接続構造RF1ないし第2の接続構造RF2(殊に複数の電極フィンガを備えた接続構造)は音響波を反射するよう機能する。
【0043】
本発明の範囲においてフィンガ間の距離は常にフィンガ中心間隔であると解される。
【0044】
中央に配置されている第1の出力変換器と第1の入力変換器の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガ間の距離a1は実質的にλであり、ここでλは波長である。これらの非接地フィンガの間には、延長された電極フィンガとして構成されている金属ストライプ(=第1の接続構造)が配置されている。
【0045】
中央に配置されている第2の出力変換器と第2の入力変換器の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガ間の距離a2は実質的に3λ/2である。これらの非接地フィンガの間には、延長された電極フィンガとして構成されている2つの金属ストライプ(=第2の接続構造)が配置されている。
【0046】
出力変換器AW1とAW2は本発明の全ての変形形態において逆位相に接続されている。この例においては、中央に配置されている第1の出力変換器AW1およびAW2の最も外側にあり相互に対向しているフィンガは非接地である。すなわち出力変換器AW1およびAW2の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの間の距離は実質的にλ/2である。
【0047】
図2において、中央に配置されている変換器、すなわち第1の出力変換器AW1および第2の出力変換器AW2はそれぞれ同数の非接地フィンガを有する。フィンガ総数は2つの出力変換器AW1およびAW2において同数に選択されている。
【0048】
第1の入力変換器EW1および第2の入力変換器EW2は同数N4の非接地フィンガを有する。入力変換器EW1およびEW2のフィンガ総数は1以外である。第1の入力変換器EW1は第2の入力変換器よりも1つ多い(接地)フィンガを有する。
【0049】
この変形形態においては、フィルタの基本構造の端部にある出力変換器AW1’およびAW2’は同数N5の非接地フィンガを有する。これらの変換器のフィンガ総数も等しく選定されている。
【0050】
第2の入力変換器EW2と対向している端部にある第2の出力変換器AW2’の端部にあるフィンガはこの変形形態においては非接地である。端部にある第2の出力変換器AW2’と対向している第2の入力変換器EW2の端部にあるフィンガもまた非接地である。
【0051】
音響的なトラックの中央部と対向している端部にある出力変換器AW1’およびAW2’のフィンガは図2から図5においては両方とも非接地である。それらとは異なり図7から図9においては、音響的なトラックの中央部と対向している端部にある第1の出力変換器AW1’のフィンガは非接地であり、音響的なトラックの中央部と対向している端部にある第2の出力変換器AW2’のフィンガは接地である。
【0052】
図3においては、中央に配置されている第1の出力変換器AW1と第2の出力変換器AW2の最も外側にあり相互に対向しているフィンガは接地である。すなわち出力変換器AW1およびAW2の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの間隔は実質的に3λ/2である。図10においては、出力変換器AW1およびAW2の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの間隔は半波長の比較的大きい奇数倍、図10においては7λ/2でよいことが示唆されている。ここでは出力変換器AW1およびAW2の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの間にはリフレクタRF3が配置されており、このリフレクタRF3は偶数の接地電極フィンガを有する。リフレクタは第1の電流レールSS1に接続されている。この第1のレールSS1とは反対側においてリフレクタは接地されている。
【0053】
図4においては、図2により構成されているDMSトラックASの他に、対称的な出力側の側面においてこのトラックの後段に接続されており、リフレクタ構造R1’およびR2’によって境界付けられている別のトラックを包含するフィルタが示されており、この別のトラックはマルチポート共振器として構成されている。
【0054】
マルチポート共振器はリフレクタ構造R1’とR2’との間に並んで配置されており、音響的に縦方向に相互に結合されている2つの変換器W1およびW2を有し、各変換器W1ないしW2は固有の信号経路内に配置されているか、それぞれの信号経路において直列に接続されている。変換器W1は一方ではフィルタ出力側の第1の端子OUT1に接続されており、他方では第1の出力変換器AW1およびAW1’からなる並列回路に接続されている。変換器W2は一方ではフィルタ出力側の第2の端子OUT2に接続されており、他方では第2の出力変換器AW2およびAW2’からなる並列回路に接続されている。
【0055】
変換器W1およびW2は音響的なトラックにおいて逆位相に接続されている。
【0056】
図5においては、図2による音響的なトラックに、非対称的な入力側の側面において梯子型基本素子が前段に接続されている。梯子型基本素子は信号経路内に配置されている共振器RE2およびこの信号経路をアースに接続する別の共振器RE1を包含する。共振器RE1,RE2はリフレクタ間に配置されているそれぞれ1つの変換器を表す。
【0057】
ここに示されている変形形態においては、直列共振器RE2が信号経路において並列共振器RE1の後段に接続されている。しかしながら、基本素子において並列共振器が信号経路において直列共振器の後段に接続されていることも可能である。また、任意の数の基本素子も可能である。直列共振器ないし並列共振器が、音響的なトラックASの前段に接続されている任意のT素子およびπ素子を形成することができる。
【0058】
図6A〜6Dにおいては、図2の本発明によるフィルタと公知のフィルタの電気的なパラメータの数値シミュレーション結果が示されている。
【0059】
図6Aにおいては図4によるフィルタの数値計算された伝達関数1が示されている。|S21|は相応の制御パラメータS21の絶対値である。この伝達関数1は、a)出力変換器の浮いた状態の共通の電流レールに4つの変換器を備えた音響的なトラックを有し、またb)入力側において音響的なトラックの前段に接続されている直列共振器を有するDMSフィルタの伝達関数2と対比されている。後者のフィルタは、刊行物EP 1394940 A1の図1による公知のフィルタと同等のものである。このフィルタは直列に接続されている2つの部分変換器に分割されている出力変換器を有する。
【0060】
1930MHz付近の高周波遮断領域における本発明によるフィルタの選択は、4つの変換器を備えた上述の変換器に比べて著しく改善されている。
【0061】
図6Bにおいては伝達関数1および2の通過領域が拡大されて示されている。本発明による挿入損失は公知のフィルタの挿入減衰よりも約0.3〜0.5dBほど低い。
【0062】
図6Cにおいては対称的な出力側の端子OUT1とOUT2との間の振幅差が示されており、また図6Dにおいては対称的な出力側の端子OUT1とOUT2との間の(180°を除いて得られた)位相差が示されている。
【0063】
曲線3および5はそれぞれ図2によるフィルタ(すなわち第1の電流レールSS1は接地されている)に対応する。曲線4および6はそれぞれ図1によるフィルタ(すなわち第1の電流レールSS1は接地されていない)に対応する。
【0064】
対称的な信号の割合はフィルタの通過帯域において等しく、且つ相互に180°だけずれているべきである(振幅対称性および位相対称性)。したがって理想的には振幅差も上記の定義のような位相差も0であることが望ましい。図6Cおよび6Dからは本発明によるフィルタが改善された振幅対称性および位相対称性を有していることが見て取れる。
【0065】
図7から図9に示されている実施例において、第1の電流レールSS1は片側だけ第1の接続構造RF1を用いて電気的に接地されている、ないし第2の電流レールSS2と接続されている。
【0066】
図7から図9による実施例においては、中央に配置されている第2の出力変換器と第2の入力変換器の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの間隔a2は実質的にλ/2である。間隔a1は図2と同様に実質的にλである。
【0067】
間隔a1とa2の差は対称的な出力側の振幅対称性および位相対称性に基づき有利にはλ/2に選定されている。
【0068】
中央に配置されている第1の出力変換器AW1は図7においてN3個の非接地フィンガを有し、また中央に配置されている第2の出力変換器AW2はN3’=N3+1個の非接地フィンガを有する。これらの変換器の相互に対向しているフィンガは非接地である。2つの出力変換器AW1とAW2のフィンガ総数の差は2フィンガである。
【0069】
第1の入力変換器EW1および第2の入力変換器EW2は同数N4の非接地フィンガを有する。入力変換器EW1とEW2のフィンガの総数も同数に選定されている。
【0070】
フィルタの基本構造の端部にある出力変換器AW1’およびAW2’はこの変形形態においては同数N5の非接地フィンガを有する。これらの変換器のフィンガ総数は1だけ異なり、ここでは第2の出力変換器AW2’のフィンガ総数が第1の出力変換器AW1’のフィンガ総数に比べて1だけ多い。
【0071】
端部にある第1の出力変換器および端部にある第2の出力変換器のフィンガ総数は全ての変形形態において同数に選定することができるか、(接地)フィンガ1個または2個分だけ異なっていても良い。
【0072】
図8に示されているフィルタは、ここでは中央に配置されている出力変換器AW1およびAW2が相互に同数の非接地電極フィンガと同数のフィンガ総数を有する点で図7のフィルタとは異なる。これらの変換器の相互に対向しているフィンガは接地である。ここで中央に配置されている出力変換器AW1およびAW2はそのフィンガの配置構成に関して、音響的なトラックASの垂直軸ないし中心軸について鏡面対称的に構成されている。
【0073】
図7および図8においては、第2の入力変換器EW2と端部にある出力変換器AW2’の相互に対向している端部にあるフィンガは両方とも接地である。これらの変換器の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガ間の距離は実質的に3λ/2である。
【0074】
図9においては、第2の入力変換器EW2と端部にある出力変換器AW2’の相互に対向しているフィンガは両方とも非接地であり、またこれらのフィンガの間隔は実質的にλ/2である。
【0075】
図9においては、第1の入力変換器EW1はN4個の非接地フィンガを有し、また第2の入力変換器EW2はN4’=N4+1個の非接地フィンガを有する。入力変換器EW1およびEW2のフィンガ総数も1だけ異なる。
【0076】
端部にある出力変換器AW1’はこの変形形態においてN2個の非接地フィンガを有する。端部にある第2の出力変換器AW2’はこの変形形態においてN2’=N2+1個の非接地フィンガを有する。これらの変換器のフィンガ総数は2つ異なり、ここで第2の出力変換器AW2’のフィンガ総数は第1の出力変換器AW1’のフィンガ総数に比べて2だけ多い。
【0077】
中央に配置されている出力変換器AW1およびAW2はここでは図8と同様に構成されている。
【0078】
図11Aから図11Cには2つの変換器、この場合においては第1の入力変換器EW1と端部にある第1の出力変換器AW1’の移行領域(境界領域)が示されている。
【0079】
図11Aにおいては、電極フィンガの中心がλ/2の周期的なパターンにある2つの変換器の境界領域に置かれている。
【0080】
図11Bにおいてフィンガ中心間隔l1〜lは相互に等しくなく、ここでフィンガ中心間隔l1〜l5は、それぞれの変換器の端部に向かって減少しており、変換器の境界においては最小値に達する。移行領域におけるこのフィンガ中心間隔の減少はチャープと称される。図11Bにおいてフィンガ幅は等しく選定されているが、図11Cにおいてはフィンガ中心間隔が減少するにつれフィンガ幅も相応に低減する。有利には、金属化部比率(すなわち全体の面積に対する金属化された面積の割合)はそれぞれの変換器において、フィンガ間隔が減少しているにもかかわらず全体として一定に保たれている。
【0081】
本発明によるフィルタのDMSトラックにおける金属化部比率は有利には0.65〜0.75の間にある。
【0082】
非接地フィンガの中心間の距離は実質的にλである。DMSトラックの種々の変換器のフィンガ周期性における約5%までの僅かな偏差も考えられ、また有利である。チャープによって変換器の移行領域においてはそれどころか約15%までのλの偏差が生じることも考えられる。
【0083】
図11Aから図11Cに図示されている変換器EW1およびAW1’の代わりに、本発明の範囲においては以下の変換器ペアの境界領域が意図されていても良い:AW1とEW1、AW2とAW1、EW2とAW2、AW2’とEW2。
【0084】
図12においては、本発明によるフィルタが6個の変換器AW2’、EW2、AW2、AW1、EW1およびAW’からなる基本構造の他に、別の変換器、ここでは別の第1の入力変換器EW1’および別の第2の入力変換器EW2’を有していても良い。
【0085】
全ての入力変換器は相互に並列に接続されており、入力側の信号端子INに接続されている。
【0086】
別の実施形態においては、第1の出力変換器AW1、AW1’と出力側の第1の端子OUT1との間の第1の信号経路に第1の直列共振器を直列に接続することができる。第2の出力変換器AW2,AW2’と出力側の第2の端子OUT2との間の第2の信号経路には第2の直列共振器を直列に接続することができる。
【0087】
図13においては、変換器の内の少なくとも1つ、ここでは入力変換器EW1では、横断方向において、それぞれの電流レールS1に接続されている電極フィンガFG1に、この電流レールS1とは反対側にある電流レールS2に接続されている残片フィンガSF1が対向していることが示唆されている。残片フィンガの長さは有利には3λ/4から3λ/2である。
【0088】
横方向において測定される、フィンガFG1とこのフィンガFG1に対応する残片フィンガSF1との間の最小間隔(=ギャップGP)は有利にはλ/4以下である。
【0089】
変換器を重み付けすることができ、ここでは音響的なトラックないしそれぞれの変換器における種々のギャップの中心の横方向の位置y1〜y3は異なるように選定されている。変換器を省略重み付けすることもでき、この場合2つの励起中心は電極フィンガの端子順序を交換することによって省略されている。励起中心は異なる電位を有する2つの隣接する電極フィンガに対応する。
【0090】
本発明を可能な実施形態の限定的な数を用いて説明しているが、本発明はこれらの数に限定されるものではない。変換器は分割されたフィンガを有することができ、この際1つの半波長につき同一の電位にある複数のフィンガが設けられている。フィルタの入力側および出力側は基本的に相互に交換可能である。図面に示した配置構成を水平または垂直に反転させることができる。
【0091】
端部にある出力変換器AW1’、AW2’の図面に示されている端部にある測定フィンガを省略することができ、しかも1つの測定フィンガを省略することができるか、測定フィンガを2つとも省略することができる。
【0092】
本発明の全ての実施形態において、2つの変換器の境界において一方の変換器の端部にある接地フィンガを取り除き、これを接している変換器に対応付けることも可能である。
【0093】
リフレクタ構造を接地することができ、殊にトラックにおいて端部にあるそれぞれの変換器の接地されている電流レールに接続することができる。
【0094】
音響的なトラックASの任意に選択された、相互に並んで配置されている2つの変換器の間には、理想値から偏差する位相差を補償調整するためにリフレクタを設けることができる。トラックが種々の変換器ペアの間に装入されている複数のリフレクタを包含することができる。有利にはトラック内の相互に対応するリフレクタが音響的なトラックの中心点ないし中心軸に対して対称的に装入されている。
【0095】
中央に配置されている第1の出力変換器および第2の出力変換器は基本的にそれぞれ偶数のフィンガまたは奇数のフィンガを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】音響的なトラックに内に6個の変換器を備えた非対称的/対称的に動作可能な例示的なDMSフィルタ(従来技術)。
【図2】第1の電流レールが両側とも接地されている、音響トラックに内に6個の変換器を備えた非対称的/対称的に動作可能な例示的なDMSフィルタ。
【図3】第1の電流レールが両側とも接地されている、音響トラックに内に6個の変換器を備えた非対称的/対称的に動作可能な例示的なDMSフィルタ。
【図4】図2によるDMSトラックおよびマルチポート共振器を包含するフィルタ。
【図5】図2によるDMSトラックおよび梯子形構造の基本素子を包含するフィルタ。
【図6A】4個の変換器と入力側に配置されている直列共振器とを備えたフィルタの伝達関数と比較した、図4によるフィルタの伝達関数。
【図6B】図6Aの伝達関数の通過帯域の拡大図。
【図6C】図2および図1による対称的なポートの端子間の振幅差。
【図6D】図2および図1による対称的なポートの端子間の位相差。
【図7】6個の変換器を備えたDMSトラックを包含する別のフィルタ。
【図8】6個の変換器を備えたDMSトラックを包含する別のフィルタ。
【図9】6個の変換器を備えたDMSトラックを包含する別のフィルタ。
【図10】中央に配置されている出力変換器の構成。
【図11A】フィンガが周期的なパターンで配置されている、隣接する変換器の相互に対向している境界領域。
【図11B】変換器の境界に向かって単調に短くなるフィンガ中心間隔を有する、隣接する変換器の相互に対向している境界領域。
【図11C】変換器の境界に向かって単調に短くなるフィンガ中心間隔を有する、隣接する変換器の相互に対向している境界領域。
【図12】音響トラックに内に8個の変換器を備えた非対称的/対称的に動作可能な例示的なDMSフィルタ。
【図13】重み付けされた変換器の一部の概略図。
【符号の説明】
【0097】
AS 音響的なトラック、 AW1 中央に配置されている第1の出力変換器、 AW2 中央に配置されている第2の出力変換器、 AW1’ 端部にある第1の出力変換器、 AW2’ 端部にある第2の出力変換器、 EW1 第1の入力変換器、 EW2 第2の入力変換器、 FG1 電極フィンガ、 SF1 電極フィンガFG1に対応する残片フィンガ、 GP ギャップ、 R1,R2 音響的なトラックを境界付けるリフレクタ構造、 R1’,R2’ リフレクタ構造、 RE1,RE2 共振器、 RF1 第1の接続構造、 RF2 第2の接続構造、 RF3 リフレクタ、 IN (非対称的な)入力側、 OUT1 対称的な出力側の第1の出力側、 OUT2 対称的な出力側の第2の出力側、 SS1 第1の電流レール=中央に配置されている出力変換器の共通の電流レール、 S1,S2 電流レール、 SS2 入力変換器の対向する電流レール、 W1,W2 マルチポート共振器の変換器、 y1〜y3 GAP中心の横方向の位置、 l1〜l5 変換器の境界領域におけるフィンガ中心間隔、 S21 制御パラメータ、 1 図2のフィルタの伝達関数、 2 4つの変換器を備えたフィルタの伝達関数、 3 図2のフィルタに関する端子OUT1とOUT2との間の振幅差、 4 4つの変換器を備えたフィルタに関する端子OUT1とOUT2との間の振幅差、 5 図2のフィルタに関する端子OUT1とOUT2との間の位相差、 6 4つの変換器を備えたフィルタに関する端子OUT1とOUT2との間の位相差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面波フィルタにおいて、
−両側がリフレクタ構造(R1,R2)によって境界付けられている音響的なトラックを有し、該音響的なトラックにおいては音響的に縦方向に相互に結合されている第1の入力変換器(EW1)および第2の入力変換器(E2)、ならびに第1の出力変換器(AW1,AW1’)および第2の出力変換器(AW2,AW2’)が配置されており、
−相互に並列に接続されている少なくとも1つの第1の入力変換器(EW1)および少なくとも1つの第2の入力変換器(EW2)を有し、該第1の入力変換器(EW1)および該第2の入力変換器(EW2)は非対称的な入力側(IN)と電気的に接続されており、
−相互に並列に接続されている少なくとも2つの第1の出力変換器(AW1,AW1’)を有し、該第1の出力変換器(AW1,AW1’)は対称的な出力側の第1の端子(OUT1)に接続されており、
−相互に並列に接続されている少なくとも2つの第2の出力変換器(AW2,AW2’)を有し、該第2の出力変換器(AW2,AW2’)は前記対称的な出力側の第2の端子(OUT2)に電気的に接続されており、
−各第1の入力変換器(EW1)は2つの第1の出力変換器(AW1,AW1’)の間に配置されており、各第2の入力変換器(EW2)は2つの第2の出力変換器(AW2,AW2’)の間に配置されており、
−前記音響的なトラックにおいて中央に配置されている前記第1の出力変換器(AW1)および対応する前記第2の出力変換器(AW2)はそれぞれ相並んで配置されており、共通の第1の電流レール(SS1)を介して電気的に直列に接続されており、
−全ての第1の入力変換器および出力変換器において、最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの中心間の距離が実質的に半波長の偶数倍であり、
−全ての第2の入力変換器および出力変換器において、最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの中心間の距離が実質的に半波長の奇数倍であり、
−以下の条件の内の少なくとも1つが満たされており、
A)前記第1の電流レール(SS1)が、前記第1の出力変換器(AW1)と前記第1の入力変換器(EW1)との間に配置されている第1の接続構造(RF1)を介して、隣接する前記第1の入力変換器(EW1)の第2の電流レール(SS2)と電気的に接続されており、該第2の電流レール(SS2)は前記第1の電流レール(SS1)と対向しており且つ接地されており、
B)前記第1の電流レール(SS1)が、前記第2の出力変換器(AW2)と前記第2の入力変換器(EW2)との間に配置されている第2の接続構造(RF2)を介して、隣接する前記第2の入力変換器(EW2)の第3の電流レール(SS2)と電気的に接続されており、該第3の電流レール(SS3)は前記第1の電流レール(SS1)と対向しており且つ接地されており、
−前記第1の接続構造および前記第2の接続構造は少なくとも1つの金属ストライプを有する、
ことを特徴とする、表面波フィルタ。
【請求項2】
直接隣接している全ての第1の入力変換器および出力変換器において、最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの中心間の距離が実質的に2半波長である、請求項1記載のフィルタ。
【請求項3】
直接隣接している全ての第2の入力変換器および出力変換器において、最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの中心間の距離が実質的に半波長である、請求項1または2記載のフィルタ。
【請求項4】
前記第2の入力変換器および前記第2の出力変換器において、前記第2の入力変換器(EW2)および前記中央に配置されている第2の出力変換器(AW2)の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの中心間の距離は実質的に3半波長であり、且つ前記第2の入力変換器(EW2)および端部にある前記第2の出力変換器(AW2’)の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの中心間の距離は実質的に半波長である、または、前記第2の入力変換器(EW2)と前記中央に配置されている第2の出力変換器(AW2)の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの中心間の距離は実質的に半波長であり、且つ前記第2の入力変換器(EW2)と端部にある前記第2の出力変換器(AW2’)の最も外側にあり相互に対向している非接地フィンガの中心間の距離は実質的に3半波長である、請求項1または2記載のフィルタ。
【請求項5】
前記金属ストライプは、前記第1の電流レールおよび前記第2の電流レールに接続されているか、前記第3の電流レールに接続されている、延長された電極フィンガとして構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項6】
前記第1の接続構造(RF1)は、延長された電極フィンガとして構成されている奇数≧1個の金属ストライプを有する、請求項5記載のフィルタ。
【請求項7】
前記第2の接続構造(RF2)は、延長された電極フィンガとして構成されている偶数≧2個の金属ストライプを有する、請求項5または6記載のフィルタ。
【請求項8】
前記音響的なトラックは、基本構造を形成する、2つの第1の出力変換器(AW1,AW1’)と2つの第2の出力変換器(AW2,AW2’)と第1の入力変換器(EW1)と第2の入力変換器(EW2)とを有する、請求項1から7までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項9】
前記第1の入力変換器(EW1)はN1個の非接地フィンガを有し、前記第2の入力変換器(EW2)はN1’=N1+1個の非接地フィンガを有する、請求項8記載のフィルタ。
【請求項10】
前記基本構造における端部にある前記第1の出力変換器(AW1’)はN2個の非接地フィンガを有し、前記基本構造における前期端部にある第2の出力変換器(AW2’)はN2’+N2+1個の非接地フィンガを有する、請求項8または9記載のフィルタ。
【請求項11】
前記音響的なトラックの中心と対向している、前記端部にある第1の出力変換器(AW1’)および前記端部にある第2の出力変換器(AW2’)の端部にあるフィンガは両方とも非接地である、または両方とも接地である、請求項1から10までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項12】
前記音響的なトラックの中心と対向している、前記端部にある第1の出力変換器(AW1’)の端部にあるフィンガは非接地であり、前記音響的なトラックの中心と対向している、前記端部にある第2の出力変換器(AW2’)の端部にあるフィンガは接地である、請求項1から10までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項13】
前記第1の入力変換器(EW1)および前記第2の入力変換器(EW2)は同数N4個の非接地フィンガを有する、請求項8記載のフィルタ。
【請求項14】
前記基本構造における前記端部にある第1の出力変換器(AW1’)および前記端部にある出力変換器(AW2’)は同数N5個の非接地フィンガを有する、請求項8,9および11から13までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項15】
前記音響的なトラックにおいてそれぞれ中央に配置されている、前記第1の出力変換器(AW1)および前記第2の出力変換器(AW2)は同数N6個の非接地フィンガを有する、請求項1から14までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項16】
前記中央に配置されている第1の出力変換器(AW1)および前記中央に配置されている第2の出力変換器(AW2)はそれぞれ偶数個のフィンガを有する、請求項15記載のフィルタ。
【請求項17】
前記中央に配置されている第1の出力変換器(AW1)および前記中央に配置されている第2の出力変換器(AW2)はそれぞれ奇数個のフィンガを有する、請求項16記載のフィルタ。
【請求項18】
前記中央に配置されている第1の出力変換器(AW1)はN3個の非接地フィンガを有し、前記中央に配置されている第2の出力変換器(AW2)はN3’=N3+1の非接地フィンガを有する、請求項1から14までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項19】
前記中央に配置されている第1の出力変換器(AW1)および前記中央に配置されている第2の出力変換器(AW2)の相互に対向している端部にあるフィンガは非接地である、請求項1から18までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項20】
前記中央に配置されている第1の出力変換器(AW1)および前記中央に配置されている第2の出力変換器(AW2)の相互に対向している端部にあるフィンガは接地である、請求項1から18までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項21】
前記音響的なトラックの中心と対向している、前記端部にある出力変換器(AW1’,AW2’)のフィンガは両方とも非接地である、請求項13から20までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項22】
前記音響的なトラックの中心と対向している、前記端部にある第1の出力変換器(AW1’)のフィンガは非接地であり、前記音響的なトラックの中心と対向している、前記端部にある第2の出力変換器(AW2’)のフィンガは接地である、請求項13から20までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項23】
前記第2の入力変換器(EW2)と対向している、前記端部にある第2の出力変換器(AW2’)の端部にあるフィンガは接地であり、前記端部にある第2の出力変換器(AW2’)と対向している、前記第2の入力変換器(EW2)の端部にあるフィンガは接地である、請求項1から10、13から20および22までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項24】
前記第2の入力変換器(EW2)と対向している、前記端部にある第2の出力変換器(AW2’)の端部にあるフィンガは非接地であり、前記端部にある第2の出力変換器(AW2’)と対向している、前記第2の入力変換器(EW2)の端部にあるフィンガは非接地である、請求項1から10、13から21までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項25】
前記中央に配置されている第1の出力変換器(AW1)と前記中央に配置されている第2の出力変換器(AW2)との間には、偶数個のフィンガを備えたリフレクタ(RF3)が配置されている、請求項1から24までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項26】
前記リフレクタ(RF3)は前記第1の電流レール(SS1)に接続されている、請求項25記載のフィルタ。
【請求項27】
前記リフレクタ(RF3)は前記第1の電流レール(SS1)側とは反対側において接地されている、請求項26記載のフィルタ。
【請求項28】
相互に並んで配置されている2つの変換器(AW1’,EW1,AW1,AW2,EW2,AW2')毎に相互に対向している移行領域を有し、該移行領域におけるフィンガ周期は前記2つの変換器の最大フィンガ周期よりも小さい、請求項1から27までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項29】
相互に並んで配置されている2つの変換器(AW1’,EW1,AW1,AW2,EW2,AW2’)の相互に対向している領域における前記フィンガ周期は、該2つの変換器において対応する変換器の中心から対応する隣接する変換器に向かう方向においてそれぞれ小さくなっていき、前記隣接する変換器との境界において最小値に達する、請求項28記載のフィルタ。
【請求項30】
前記音響的なトラックの中心と対向している、前記入力変換器(EW1,EW2)の端部にあるフィンガは両方とも非接地である、請求項1から29までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項31】
前記第1の入力変換器、前記第2の入力変換器、前記第1の出力変換器および前記第2の出力変換器の中から選択された少なくとも1つの変換器においては、横方向において、それぞれの電流レールに接続されている電極フィンガに対して、該電流レールとは反対側にある電流レールに接続されている残片フィンガが対向されており、該残片フィンガの長さは3λ/4から3λ/2の間である、請求項1から30までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項32】
1つのフィンガと該フィンガに対応する残片フィンガとの間の横方向において測定された最小間隔はλ/4以下である、請求項31記載のフィルタ。
【請求項33】
2ポート共振器として構成されている別の音響的なトラックを有し、該音響的なトラックには第1の変換器(W1)および第2の変換器(W2)が配置されており、該第1の変換器(W1)および該第2の変換器(W2)は縦方向において相互に結合されており、
前記2ポート共振器の前記第1の変換器(W1)は、第1の信号経路において前記第1の出力変換器(AW1,AW1’)と前記出力側の前記第1の端子(OUT1)との間に直列に接続されており、
前記2ポート共振器の前記第2の変換器(W2)は、第2の信号経路において前記第2の出力変換器(AW2,AW2’)と前記出力側の前記第2の端子(OUT2)との間の直列に接続されている、請求項1から32までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項34】
前記第1の信号経路においては、前記第1の出力変換器(AW1、AW1’)と前記出力側の前記第1の端子(OUT1)との間に第1の直列共振器が直列に接続されており、
前記第2の信号経路においては、前記第2の出力変換器(AW2,AW2’)と前記出力側の前記第2の端子(OUT2)との間に第2の直列共振器が直列に接続されている、請求項1から33までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項35】
前記入力側(IN)と前記入力変換器(EW1,EW1’)との間の信号経路において、直列共振器(RE2)が並列に接続されている、請求項1から34までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項36】
前記入力側(IN)と前記入力変換器(EW1,EW1’)との間には横方向の分岐が配置されており、該横方向の分岐においては並列共振器(RE1)が接続されている、請求項1から35までのいずれか1項記載のフィルタ。
【請求項37】
前記入力側と前記出力側が交換されている、請求項1から36までのいずれか1項記載のフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2007−534243(P2007−534243A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508755(P2007−508755)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003624
【国際公開番号】WO2005/107065
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】