説明

繊維で強化された複合ステント

身体の内腔に植え込む繊維で強化されたポリマー製複合ステントが開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体の内腔に植え込む、ステント等の放射方向に拡張可能で植え込み可能な医療装置に関する。特に、本発明は繊維で強化された複合ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、放射方向に拡張可能な内部人工器官に関するものであり、身体の内腔に植え込むために適合させられている。「内部人工器官」とは、体内に置かれる人工機器に対応する。「内腔」とは、血管等の管状臓器の空洞を意味する。
【0003】
ステントとは、このような内部人工器官の例である。ステントは一般に円筒形状の装置であり、血管又は尿路や胆管等のその他身体の内腔の一部の開通を保持し、時に拡張する機能を有する。ステントは、血管内のアテローム性狭窄の治療に頻繁に用いられる。「狭窄」とは、身体の通路又は開口部の直径の狭小化又は収縮を意味する。このような治療では、ステントは血管を強化し、血管系の血管形成術後の再狭窄を防ぐ。「再狭窄」とは、成功したように見えた治療(バルーン血管形成術、ステント植え込み術、又は弁形成術等)の後に、血管又は心臓弁内で狭窄が再発することを意味する。
【0004】
ステントでの患部又は病変の治療には、ステントの送達及び配置の両者が関係する。「送達」とは、身体の内腔を通じて病変等の治療を必要とする血管内の領域にステントを導入し運搬することを意味する。「配置」とは、治療領域において、内腔内でステントを拡張することに対応する。ステントの送達と配置は、ステントをカテーテルの一端に置き、皮膚を通じて身体の内腔内にカテーテルの一端を挿入し、カテーテルを所望の治療場所まで身体の内腔内を進め、治療場所でステントを拡張し、内腔からカテーテルを取り除くことによって達成される。
【0005】
バルーン拡張型ステントの場合、カテーテルに置かれるバルーンにステントが取り付けられる。ステントの取り付けは一般にステントをバルーンに圧接又は圧着することが含まれる。次にステントはバルーンを膨張させることで、拡張される。続いてバルーンを収縮させて、カテーテルは引き抜かれる。自己拡張型のステントの場合、ステントは、格納式シース又はソックを介してカテーテルに固定することができる。ステントが所望の身体の位置に到達すると、シースを引き抜くことで、ステントが自己拡張することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ステントは複数の機械的要件を満たすことができなければならない。まず、ステントは構造負荷、具体的には血管の壁を支持する際にステントにかかる中心に向かう圧縮力、に耐えられるものでなければならない。よって、ステントは十分な放射方向の強度を有することが必要である。放射方向の強度とは、ステントにかかる中心に向かう圧縮力に耐える能力をいうが、ステントの円周方向の強度と剛性による。よって、放射方向の強度と剛性は、輪状又は円周方向の強度と剛性とも説明できる。
【0007】
一旦拡張されると、ステントは鼓動する心臓によって生じる周期的な負荷を含めたステントにかかる様々な力に関わらず、その耐用年数の間そのサイズと形状を適切に維持しなければならない。例えば、中心に向かってかかる力はステントを内側に収縮させる傾向がある。一般に収縮を最小限にすることが望ましい。
【0008】
さらに、ステントは、圧着、拡張、及び周期的負荷に耐えられる十分な柔軟性を有することが必要である。ステントを蛇行した血管の中を移動させ、線状ではなく、曲がっていることの多い配置位置に適合可能とするには長手方向の柔軟性が重要である。最後に、ステントは有害な血管反応を引き起こさないように、生体適合性を有しなければならない。
【0009】
ステントの構造は一般に、当技術分野では通例ストラット又はバーアームと呼ばれる相互接続された構造要素のパターン又はネットワークを含む足場からなる。足場はワイヤー、チューブ、又はシート状の材料を円筒形に丸めたもので形成することができる。ポリマー素材からステントを作製する従来の方法には単一ポリマー又はポリマーブレンドに基づいてポリマー製チューブを押出成形、ブロー成形、射出成形で形成し、レーザーでチューブにパターンを切り抜くことがある。ステントを中心に向けて圧縮し(圧着を可能にするため)、放射方向に拡張する(配置を可能にするため)ことができるように、足場は設計されている。従来のステントは、パターンの構造要素のそれぞれの互いに対する動きを通じて拡張及び収縮することができる。
【0010】
また、薬材ステントは、金属製又はポリマー製の足場の表面に活性剤、活性薬剤、生物活性剤、又は生物活性薬剤を含むポリマー担体を塗付することによって作製することができる。ポリマー製の足場はまた、活性剤又は活性薬剤の担体として機能することができる。
【0011】
さらに、ステントが生分解性のものであることが望ましい。多くの治療において、ステントが身体内で存在することは、例えば血管開通を保つ及び/又は薬剤送達等の意図した役割を達成するまでの限られた時間の間必要とされうる。よって、生体吸収性ポリマー等の生分解性、生体吸収性、及び/又は生腐食性の素材で作製されたステントは、その臨床的必要性がなくなってはじめて完全に腐食するように構成するべきである。
【0012】
一般に、ポリマーの機械的性質にはステント設計に影響するいくつかの重要な側面がある。ポリマーは単位質量あたりを基準とすると、金属と比較して強度が低い傾向がある。よって、ポリマー製ステントは一般に同じ又は類似の寸法の金属製ステントより円周方向の強度と放射方向の剛性が小さくなる。不十分な放射方向の強度は、血管への植え込み後にポリマー製ステントの収縮が比較的高い発生率で起きる潜在的原因となる。
【0013】
ポリマー製ステントのもう一つの潜在的問題としては、そのストラットやバーアームが圧着や拡張の際に割れることがあり、特にもろいポリマーについてはこれが言える。実質的に変形にさらされるステントパターンの局所的な部分は破断に対して最も脆弱である傾向がある。また、十分な機械的強度を有するには、ポリマー製ステントは金属製ステントよりも著しく太いストラットが必要であり、その結果好ましくないより大きな外形となる。
【0014】
ステント設計において考慮すべき他の要素として、放射線不透過性があげられる。上述の機械的要件を満たす他に、ステントが放射線不透過性のものであること、すなわちX線蛍光透視で見ることができることが望ましい。「放射線不透過性」とはある物質のX線を吸収する能力をさす。ステントの送達をリアルタイムに可視化することによって、ステントの正確な配置が容易になる。心臓専門医又はインターベンショナルラジオロジストは、患者の血管系を通る送達用カテーテルを把握することができ、ステントを病変箇所に正確に配置することができる。これは、一般に蛍光透視法又は類似のX線による可視化手段によって実現される。ステントがX線蛍光透視で見られるようにするには、周辺組織と比較してより大きなX線吸収力がなければならない。ステント内に用いられる放射線不透過性素材によって、ステントの直接可視化を実現する。
【0015】
金属と比較してポリマー類(そして主に炭素、水素、酸素及び窒素で構成されるポリマー)の重大な欠点は、放射線透過性を有し、放射線不透過性を有しないことである。ポリマー類は、生体組織に類似するX線吸収性を有する傾向がある。
【0016】
ステントに小さいマーカーを付けることは製造上困難であり、非常に小さいマーカーをステントに付着したままにすることも課題がある。マーカーの許容される最大のサイズが蛍光透視鏡で見るには小さすぎる場合、複数のマーカーが必要となりうる。これにより製造がよりいっそう困難となる。
【0017】
よって、強度と柔軟性の両者を兼ね備える、生分解性ポリマー製ステントを製造する方法が存在することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の特定の実施形態は、マトリクスポリマーと前記マトリクスポリマーの融解温度より高い融解温度を有する物質を含む複数の短繊維とで構成される混合物を形成するステップを備えることができるステントを製造する方法に向けられる。この方法は、混合物をチューブ又はシート形成装置に置きチューブ又はシートを形成するステップであって、前記装置は、前記装置内の前記混合物の温度がマトリクスポリマーの融解温度より高くかつ前記繊維の前記物質の融解温度より低い温度となるように加熱されるステップをさらに備えることができる。前記マトリクスポリマーの少なくとも一部が融解ポリマーとなりうる。前記マトリクスポリマー及び前記短繊維を有する前記チューブ又はシートからステントを製造することができる。
【0019】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも一層の繊維層と少なくとも一層のポリマーフィルム層とを備えたチューブを形成するステップであって、少なくとも一層の繊維層の繊維は少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高い融解温度を有する物質を含むステップを備えることができるステントを製造する方法に向けられる。この方法は、前記チューブを少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高くかつ前記繊維の前記物質の融解温度より低い温度に加熱し、少なくとも一層のポリマーフィルム層のポリマーの少なくとも一部を融解するステップをさらに備えることができる。少なくとも一層の繊維層の少なくとも一部が少なくとも一層のポリマーフィルム層の前記融解ポリマーの少なくとも一部に埋め込まれうる。前記加熱されたチューブは冷却されて、前記冷却されたチューブからステントを製造することができる。
【0020】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも一層の繊維層と少なくとも一層のポリマーフィルム層とを備えた層状シートを形成するステップであって、少なくとも一層の繊維層の繊維は少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高い融解温度を有する物質を含むステップを備えることができるステントを製造する方法に向けられる。この方法は、前記層状シートを少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高くかつ前記繊維の前記物質の融解温度より低い温度に加熱し、少なくとも一層のポリマーフィルム層のポリマーの少なくとも一部を融解するステップを備えることができる。繊維の少なくとも一部が少なくとも一層のポリマーフィルム層の前記融解ポリマーの少なくとも一部に埋め込まれうる。前記加熱された層状シートは冷却されて、前記冷却されたシートからステントを製造することができる。
【0021】
本発明のさらなる実施形態は、複数の繊維を含むチューブ状の繊維層上にコーティングポリマーを含むコーテイング層を形成するステップを備えるステントを製造する方法に向けられる。前記コーティング層は溶剤に溶解したコーティングポリマーを含む流動体を塗付して、前記溶剤の全部又は大部分を、塗付された流動体から除去することによって形成することができる。前記繊維は前記溶剤内で不溶性又は比較的低い溶解性を有する物質を含むことができる。前記物質は前記コーティングポリマーの融解温度より高い融解温度を有することができる。この方法は、前記コーティングされた繊維層からステントを製造するステップをさらに備えることができる。
【0022】
本発明の他の実施形態は、構造体を形成するための型内に複数の繊維を置くステップを備えるステントを製造する方法に向けられる。この方法は、部分的に又は完全に融解されたマトリクスポリマーを前記型内に置き、前記融解ポリマー内に前記繊維を少なくとも部分的に埋め込むステップを含むことができる。前記繊維は、前記マトリクスポリマーの融解温度より高い融解温度を有する物質を含むことができる。前記型内の前記マトリクスポリマー及び前記繊維の温度は、前記繊維物質の融解温度より低くしうる。この方法は、前記融解ポリマーを冷却して前記構造体を形成するステップと、前記冷却された構造体からステントを製造するステップをさらに備えることができる。
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、構造体を形成するための押出機に複数の繊維を置くステップを備えることができるステントを製造する方法に向けられる。この方法は、前記押出機にマトリクスポリマーを搬送するステップを含むことができる。前記繊維は前記マトリクスポリマーの融解温度より高い融解温度を有する物質を含むことができる。前記構造体を前記マトリクスポリマーの融解温度より高くかつ前記物質の融解温度より低い温度で前記押出機を用いて形成し、前記繊維の少なくとも一部が前記マトリクスポリマー内に埋め込むことができる。前記冷却された構造体からステントを製造することができる。
【0024】
本発明のさらなる実施形態は、二種の繊維を含む繊維メッシュチューブを加熱するステップを備えるステントを製造する方法に向けられる。第一繊維は第一ポリマーを有し、第二繊維は第二ポリマーを有することができる。前記第一ポリマーは前記第二ポリマーの軟化温度より低い軟化温度を有することができる。前記チューブは前記第一ポリマーの軟化温度と前記第二ポリマーの軟化温度との間の温度範囲に加熱されることができる。この方法は、前記チューブに圧力を加えて、前記チューブの少なくとも一部の繊維を平坦化して前記チューブの放射方向の外形を縮小するステップをさらに備えることができる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態は、繊維メッシュチューブを加熱するステップを備えるステントを製造する方法に向けられる。前記チューブの少なくとも一部の繊維は第一ポリマーと第二ポリマーとを含むことができる。前記第一ポリマーは前記第二ポリマーの軟化温度より低い軟化温度を有することができる。前記チューブは前記第一ポリマーの軟化温度と前記第二ポリマーの軟化温度との間の温度範囲に加熱することができる。このお方法は、前記チューブに圧力を加えて、前記チューブの少なくとも一部の繊維を平坦化して前記チューブの放射方向の外形を縮小するステップをさらに備えることができる。
【0026】
いくつかのさらなる実施形態は、金属フィルムをポリマー製チューブの表面の少なくとも一部に結合するステップを備えるステントを製造する方法に向けられる。この方法は、前記金属フィルムを有する前記チューブからステントを製造するステップであって、前記金属フィルムが前記ステントの表面の少なくとも一部を覆うステップをさらに備えることができる。
【0027】
本発明の他の実施形態は、二層の放射方向のポリマー層の間に金属フィルムを有するチューブを形成するステップを備えるステントを製造する方法に向けられる。この方法は、前記チューブからステントを製造するステップをさらに備えることができる。
【0028】
本発明の特定の他の実施形態は、ポリマー製のチューブを伸張し、ステントの直径を減少させるステップ備えるステントを製造する方法に向けられる。この方法は、前記伸張されたチューブの周囲の周りに金属バンドを置くステップをさらに備えることができる。前記チューブの周りに配置された前記金属バンドを有する前記伸張されたチューブを加熱することができる。この方法は、前記加熱されたチューブを放射方向に拡張させることによって、前記金属バンドを前記チューブに結合させるステップをさらに備えることができる。前記伸張されたチューブからステントを製造することができる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態は、複数の相互接続した構造要素を備えた放射方向に拡張可能なステントであって、前記構造要素はマトリクスポリマーに少なくとも部分的に埋め込まれた繊維を含むステントに向けられる。前記繊維は前記マトリクスポリマーの融解温度より高い融解温度を有する物質を含むことができる。前記繊維は前記マトリクスポリマーより高い前記繊維の軸に沿った強度及び弾性率により、前記ステントを機械的に強化するように構成することができる。
【0030】
本発明の他の実施形態は、複数の相互接続した構造要素を備えた放射方向に拡張可能なステントであって、前記構造要素は、少なくとも一層の放射方向の繊維層及び少なくとも一層の放射方向のポリマーフィルム層を有するステントに向けられる。前記繊維は少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高い融解温度を有する物質を含むことができる。少なくとも一層の繊維層は少なくとも一層のポリマーフィルム層に少なくとも部分的に埋め込まれることができる。前記繊維は前記ポリマーフィルム層より高い前記繊維の軸に沿った強度及び弾性率により、前記ステントを機械的に強化するように構成することができる。
【0031】
本発明のさらなる実施形態は、複数の構造要素を備えた放射方向に拡張可能なステントであって、前記構造要素は、少なくとも二層の放射方向の繊維層及び少なくとも一層の放射方向のポリマーフィルム層を有するステントに向けられる。少なくとも一層の繊維層の少なくとも一部は少なくとも一層のポリマーフィルム層の少なくとも一部に埋め込まれることができる。少なくとも一層の繊維層の繊維の前記ステントの円筒軸に対する配向は、他の繊維層の繊維の配向と異なることができる。
【0032】
本発明の特定の実施形態は、少なくとも二種の繊維から織られた放射方向に拡張可能なステントに向けられる。第一繊維は第一ポリマーを有し、第二繊維は第二ポリマーを有することができる。前記第一ポリマーは前記第二ポリマーの軟化温度より低い軟化温度を有することができる。前記繊維の少なくとも一部は放射方向の外形が平坦化し、これによりチューブの放射方向の外形が縮小することができる。
【0033】
本発明の他の実施形態は、第一ポリマー及び第二ポリマーを有する繊維から織られた放射方向に拡張可能なステントに向けられる。前記第一ポリマーは前記第二ポリマーの軟化温度より低い軟化温度を有し、前記繊維の少なくとも一部は放射方向の外形が平坦化し、これによりチューブの放射方向の外形が縮小することができる。
【0034】
本発明のさらなる実施形態は、ステントの表面の複数の部分に結合した金属フィルムを有する放射方向に拡張可能なステントであって、前記金属フィルムは、十分に放射線不透過性であることで、前記ステントを使用中に見ることができるステントに向けられる。
【0035】
本発明のさらなる実施形態は、複数の相互接続した構造要素を備えた放射方向に拡張可能なステントであって、前記構造要素は層の間の複数個所に金属フィルムが埋め込まれた二層の放射方向のポリマー層を有するステントに向けられる。前記金属フィルムは十分に放射線不透過性であることで、前記ステントを使用中に見ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の各種実施形態はポリマー製で生分解性の植え込み可能な複合医療装置及びこのような装置を製造する方法に関する。一般に、植え込み可能な複合医療装置は異なる性質を有する二以上の肉眼で見える別個の素材で形成される装置である。複合装置は全体として、二以上の別個の素材の望ましい性質を有することができる。よって、ポリマーの複合構造を用いることによって、望ましい機械的性質及び/又は分解性が得られる。
【0037】
本発明の目的から以下の用語には以下の定義が対応する。
【0038】
「ガラス転移温度」、Tとは、大気圧下で、ポリマーの非晶性領域が脆いガラス状態から堅い変形可能な又は延性のある状態に変化する温度をいう。つまり、Tはポリマーチェーン内の部分運動が開始される温度に対応する。非晶性ポリマー又は半結晶性ポリマーが上昇する温度にさらされると、温度の上昇とともにポリマーの膨張係数と熱容量の両者が増加し、これは分子運動の増加を示す。温度が上昇しても、サンプル内の実際のモル体積は一定のまま保たれるので、より高い膨張係数は系における自由体積の増加を示し、よって、分子はより自由に動くことができる。増加する熱容量は運動を通じた熱放散の増加に対応する。特定のポリマーのTは、加熱速度に依存し、ポリマーの熱履歴に影響されうる。また、ポリマーの化学構造は可動性に影響することによって、ガラス転移に大きく影響する。
【0039】
「応力」とは、例えばある平面内の小さい面積にかかる力等、単位面積当たりの力を意味する。応力は平面に対して垂直成分と平行成分とに分けることができ、それぞれ垂直応力、せん断応力という。例えば、引張応力は拡張(長さの伸長)の原因となる応力の垂直成分である。圧縮応力は圧縮(長さの短縮)の原因となる素材に応力の垂直成分である。応力によって素材が変形することがあり、これは長さの変化を意味する。「拡張」又は「圧縮」はサンプルが応力にさらされた場合、素材のサンプルの長さの増加又は減少と定義することができる。
【0040】
「ひずみ」とは、一定の応力又は負荷において素材に起きる拡張又は圧縮の量を意味する。ひずみは本来の長さの分数又は百分率、つまり長さの変化を本来の長さで割った値で表現される。よって、応力は拡張については正数であり、圧縮については負数である。
【0041】
「溶剤」とは一以上の他の物質を溶解又は分散させるか又は少なくとも物質の一部を溶解又は分散させることによって、分子又はイオンサイズレベルでの均一に分散された混合物を生成することができる物質として定義される。溶剤は、常温と常圧で溶剤1mlにつき少なくとも0.1mgのポリマーを溶解させることができることが必要であり、より限定すると1mlにつき0.5mg溶解させることができることが必要である。溶剤の「強さ」とは溶剤がポリマーを溶解させることができる度合いを表す。溶剤がより強力であれば、溶剤はより多くのポリマーを溶解させることができる。
【0042】
負荷応力に対するひずみの度合いを数値化した素材の特性としては弾性率がある。弾性率は素材に負荷された一単位面積あたりの応力成分又は力の成分を、負荷力の軸に沿った負荷力によるひずみで割った割合によって定義される。例えば、素材は引張係数と圧縮係数の両方を有する。比較的高い弾性率を有する素材は堅固又は剛性がある傾向がある。逆に比較的低い弾性率を有する素材は柔軟である傾向がある。素材の弾性率は、その分子構成及び分子構造、素材の温度、変形の程度、並びにひずみ速度又は変形速度に従う。例えば、そのTより低い温度では、ポリマーは高い弾性率を有して脆い傾向にある。ポリマーの温度がそのTより低い温度から高い温度へと上昇するにつれて、弾性率は減少する。
【0043】
表面又は層「の上に」とは、表面又は層に対して垂直な軸に沿って測って、表面又は層よりも高いか又は上であることをいうが、必ずしも表面又は層に接していない。
【0044】
「ビカット軟化温度」(VST)とは、ISO306に基づいた特定の試験条件下でポリマーが軟化し始める温度の基準である。これは所定の負荷の下で試験片の表面に標準的な圧子(端部が平坦な針で、円形の断面が1mmであるもの)を通すことによって測定される。1mm通したところでの温度はコバルトのVSTとされる。VSTはある素材の加熱された物体との限定された短期間の接触に耐える能力の指標となる。
【0045】
「弾性変形」という用語は、ある物体に対する負荷応力が十分に少ないため、その応力から解放されると、物体が本来の寸法又は実質的に本来の寸法に向けて動くような物体の変形をいう。しかし、弾性変形されたポリマー素材は、ポリマーのTより低い温度の場合変形していない状態へ戻ることを妨げられることがある。Tより低い温度では、エネルギー障壁が変形やバルク緩和を可能とする分子運動を抑制又は防止することがある。
【0046】
「弾性限界」とは、ある素材が恒久的に変形せずに耐えられる最大応力をいう。「降伏点」とは弾性限界での応力をいい、「極限ひずみ」とは弾性限界でのひずみをいう。「塑性変形」とは弾性限界を超えた応力の下での素材に起きる恒久的な変形をいう。
【0047】
「植え込み可能な医療装置」という用語には自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、ステントグラフト、及びグラフトが含まれることが意図されるが、これらに限定されない。一般に、ステント等の植え込み可能な医療装置は、植え込まれる身体の内腔に適合する実質的にあらゆる構造パターンを有することができる。本明細書で説明される本発明の実施形態は植え込み可能な医療装置に一般に適用することができる。
【0048】
通常、ステントは環及びストラット又はバーアームの長手方向に延びる、相互接続された構造要素のパターン又はネットワークで構成される。一般に、ストラットはパターンをもって配列され、これらは血管内腔壁に接して血管開通を保持するように設計される。特定の設計目的を達成するため、無数のストラットパターンが当業者には周知の事柄である。
【0049】
図1は、ストラット15を示すステント10を三次元で図示する。本明細書で開示される実施形態は図1に図示されるステント又はステントパターンに限定されない。実施形態は容易に他のパターンや他の装置に適用することができる。パターン構造の変形は実質的に無限である。
【0050】
ステント10のようなステントはチューブにレーザー切断法等の技術を用いてパターンを形成することによって製造することができる。用いることができるレーザーの代表的な例として、エキシマー、二酸化炭素、及びYAGを含む。他の実施形態においては、化学エッチングを用いて、伸長されたチューブにパターンを形成することができる。
【0051】
他の実施形態においては、植え込み可能な医療装置を製造する前のポリマー製チューブの直径は約0.2mmから約5.0mmであることができ、より限定すると、約1mmから約3mmであることができる。他に明記されていない限り、チューブの「直径」とはチューブの外側の直径をいう。
【0052】
本明細書において、ポリマー製の植え込み可能な複合装置を製造する各種実施形態が開示される。連続相と不連続相にはポリマー製素材もしくは金属製素材又はポリマー製素材及び金属製素材の組合せを含むことができる。
【0053】
一般に、ポリマーは生体安定性、生体吸収性、生分解性、又は生腐食性を有することができる。生体安定性とは生分解性を有しないポリマーをいう。生分解性、生体吸収性、及び生腐食性という用語は分解、腐食、及び吸収という用語とともに同義に用いられており、血液等の体液にさらされた場合に、完全に腐食又は吸収されることができ、徐々に体内に再吸収、吸収、及び/又は体内から除去することができるポリマーをいう。また、ステントの表面に活性剤もしくは活性薬剤又は活性剤もしくは活性薬剤を含むポリマー担体を塗付することによって製造することができる。
【0054】
生分解性ポリマーから製造されたステントは、例えば血管開通の保持及び/又は薬剤の送達等のその意図した役割が達成されるまでの期間の間、体内に残存することを意図している。分解、腐食、吸収及び/又は再吸収の過程が完了すると、生分解性ステントのいずれの部分又はステントの生分解性の部分は残らない。いくつかの実施形態においては、わずかな無視しうる程度の痕跡又は残留物が後に残ることがある。存続期間は約1ヶ月から数年にわたりうるが、一般に6ヶ月から18ヶ月の範囲内である。
【0055】
ポリマーの生分解性は一般に、血管環境内等、体液にさらされた際にポリマーに起きる物理的性質及び化学的性質の変化をいう。性質の変化には、腐食又は吸収による分子量の減少、機械的性質の劣化、及び質量の減少が含まれうる。機械的性質はポリマーの強度と弾性率に対応する。ポリマーの機械的性質の劣化は、例えば血管の機械的支持を提供すること等の、ステントの能力を減少させる。分子量の減少は例えば加水分解過程及び/又は代謝過程によって起こりうる。加水分解とは水素分子が加わることによって、分子が二つの部分に切断する化学過程をいう。
【0056】
したがって、ポリマーのバルク分解の程度は、拡散性に強く依存しており、したがってポリマー内での水の拡散速度に依存する。分解過程におけるいくつかの性質又はパラメーターは生分解性装置の設計において重要である。これらには装置の平均的な腐食速度、腐食の特徴、分解されるポリマーの半減期、及び分解過程の間の装置の機械的安定性が含まれる。「平均的な腐食速度」はあらゆる選択された期間の間の平均的な腐食速度であることができ:
平均的な腐食速度=(m−m)/(t−t
ここでは、「m」は装置の質量を表し、「t」は腐食の時間を表し、m及びmは、腐食の間のt及びtにおける装置の質量を表す。例えば、選択された期間は腐食の開始と他の選択された時点の間であることができる。他の選択された時点として、例えば装置の腐食が約25%、50%、75%、又は100%(完全な腐食)である時点があげられる。完全な腐食は装置による治療に必要な時間にほぼ相当しうる。
【0057】
分解されるポリマーの「半減期」は、ポリマーの分子量が元の数値の半分に落ちるのにかかる時間の長さを表す。例えばJ.C.Middleton and A.J.Tipton、バイオマテリアル、21巻(23)(2000)pp.2335〜2346。
【0058】
金属も生体安定性又は生腐食性を有するとみなすことができる。いくつかの金属は、体液にさらされた場合比較的速く腐食又は浸食される傾向があるため、生腐食性を有するとみなされる。生体安定性を有する金属は生腐食性を有しない金属をいう。生体安定性を有する金属は、体液にさらされた場合無視しうる程度の腐食速度又は浸食速度を有する。
【0059】
一般に、金属腐食又は金属浸食は金属の表面とその環境との間の化学反応をともなう。例えば血管環境等の湿潤環境での腐食又は浸食は金属の表面から金属原子が除去される結果となる。表面の金属原子は電子を失い、活性化した荷電イオンとなって金属から分離し溶液中で塩類を形成する。
【0060】
植え込み可能な医療装置の製造に用いることができる生腐食性金属の代表的な例として、マグネシウム、亜鉛、及び鉄が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態においては、生腐食性の金属製ステントは、血液等の体液に約一週間から約三ヶ月の間、又はより限定すると約一ヶ月から約二ヶ月の間さらされた場合に完全に腐食するようにすることができる。
【0061】
上述のように、ステント等の植え込み可能な医療装置は比較的高い強度と剛性とともに柔軟性を示すことができる必要がある。なぜなら、治療前及び治療中に装置に応力がかかることから、装置の使用中には多様な機械的要求が求められるからである。「使用」には製造、組立(例えばステントのバルーンへの圧着)、治療箇所までの身体の内腔を通じたステントの送達、及び治療箇所でのステントの配置が含まれる。例えば、ステントは、中心に向かう圧縮力に耐えるのに、放射方向又は輪状の強度と剛性が必要である。
【0062】
例えば使用等の際にステントにかかる応力によって、個々の構造要素が応力にさらされる。配置の際に、ステントの足場及び/又はコーティングはステント本体の放射方向の拡張によって生じる応力にさらされることがある。足場及び/又はコーティングはステントを圧着又は圧接によってカテーテルに載せる際に応力にさらされることがある。配置後、中心に向かう圧縮力によって足場及び/又はコーティングは応力にさらされる。これらの応力は足場の破損の原因となることがある。ステントが患者の体内に存在する間に起きるステントの機械的完全性の破断は患者にとって深刻なリスクとなるおそれがある。例えば、ステントからポリマー製の足場及び/又はコーティングの一部が離脱することによって塞栓が生じるリスクがある。
【0063】
ポリマー製素材からステントを製造する従来の方法は、単一ポリマー又はポリマーブレンドを基礎とするポリマー製チューブを形成し、そのチューブにパターンをレーザーで切るという方法が含まれる。また、ポリマー製チューブは丸められて接着されたシート又はフィルムから形成することができる。ポリマー製チューブ及びシートは各種方法によって形成することができるが、その方法として、押出成形、射出成形、又はブロー成形が含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
押出成形では、単一ポリマー又はポリマーブレンドの融解ポリマーが押出機を通されて、チューブが形成される。押出成形は融解ポリマーへのせん断力によって、分子にチューブの軸方向に大きな力をかける傾向がある。せん断力は融解ポリマーを金型に通させて、その融解ポリマーを引いてチューブを小さな外形に形成することによって生じる。その結果、従来の押出成形の方法で形成されたポリマー製チューブは、著しく軸方向のポリマー鎖配列を有する傾向がある。しかしこのような従来の押し出されたチューブは周方向のポリマー鎖配列を有しないか又は実質的に有しない傾向がある。
【0065】
使用の際に植え込み可能な医療装置には応力がかかるので、装置の機械的安定性のため軸方向と周方向の両者について十分な強度を有することが重要である。構造部材にかかる応力の方向は軸方向と周方向とで様々な方向にわたることがある。よって、機械的安定性のため軸方向及び周方向の強度の適切なバランスも重要である。軸方向及び周方向の配向の相対量はステントパターン等の複数の要素に依存しうる。
【0066】
ステント等の放射方向に拡張可能な装置は、軸方向及び周方向に適切な大きさ及びバランスの強度を有しない場合には、より機械的に不安定になる傾向がある。例えば、周方向及び軸方向に適切な大きさ及びバランスの強度を有するチューブから製造されたステントは圧着や配置の際の亀裂が起きにくくなる。よって、軸方向及び周方向に所望の強度及びバランスを有する植え込み可能な医療装置を製造することが望ましい。
【0067】
両方向での所望の強度は、いくつかの方法によって実現することができる。いくつかの実施形態では連続相に混合された繊維を有する複合構造のチューブから装置を製造することを含むことができる。他の実施形態では、ポリマー鎖配列を周方向に沿って誘起させて強度を増加させることができる。
【0068】
特定の実施形態では、繊維のためのポリマーとして、高い弾性率を有する結晶性領域を形成することができるものを選択することができ、連続相に用いるポリマーには比較的柔軟なポリマーを含むことができる。繊維を強化するために用いられるポリマーの代表例として、ポリ(L−ラクチド)及びポリグリコリドが含まれるが、これらに限定されない。連続相に用いることができる代表的なポリマーとして、ポリ(DL−ラクチド)及びポリ(e−カプロラクトン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
ステント等の植え込み可能な医療装置は、周方向の強度及び弾性率の両者について適切な大きさ及びバランスを有することによって圧着の際の亀裂が起きにくくなる。より高い周方向の強度及び弾性率によってストラットの幅を減少させることが可能となるか、又は一般にステントの形状の縮小が可能となる。軸方向及び周方向の両方向に適切な強度を有するチューブによって製造された植え込み可能な医療装置は、金属ステントと類似するか又は金属ステントよりもよい機械的性質を有し、その壁の厚さやストラットの幅も許容範囲内となる。
【0070】
当業者には周知のことであるが、ポリマー内のポリマー鎖の分子配向又は分子配列はバルクポリマーの性質に大きく影響する特に重要な現象である。例えば、強度、弾性率、降伏点の性質、及び破断伸びはポリマー内のポリマー鎖の配向によって影響されることがある重要な性質の一部である。配向とはポリマー鎖の長手方向の軸又は共有結合の軸に沿ったポリマー鎖配列の程度をいう。ポリマー製素材の分子配向の程度は所望の方向に沿って応力を加えることによって導くことができる。
【0071】
固体のポリマーは非晶性領域と結晶性領域を有しうる。結晶性領域は秩序構造の高配向のポリマー鎖を含む。配向結晶性構造は、ポリマー鎖配列の軸に沿って、高い強度及び高い弾性率を有する傾向にある(負荷応力に対して低い伸び)。これに対して、非晶性ポリマー領域は、特定の方向に配向するか又は配向しない比較的無秩序のポリマー鎖を有する。しかし、非晶性領域においても高い程度の分子配向が誘起されることがある。配向非晶性領域はポリマー鎖配列の軸に沿って、高い強度及び高い弾性率を有する傾向がある。一定の条件下での一部のポリマーでは、配向が誘起された非晶性ポリマーに非晶性ポリマーの結晶化をともなわせることができる。
【0072】
ポリマーは、完全に非晶性か、一部結晶性か、又はほぼ完全に結晶性であることができる。一部結晶性のポリマーには非晶性領域で分けられた結晶性領域を含む。結晶性領域のポリマー鎖のすべては必ずしも同じ方向に配向するわけではない。しかし、半結晶性ポリマーに応力を加えることによって高配向の結晶領域を誘起させることができる。この応力によってポリマーの非晶性領域のポリマー鎖の配向を誘起させることができる。
【0073】
単一ポリマー又はポリマーブレンドを基礎として、押出成形、ブロー成形、又は射出成形等を用いる従来の方法で製造されたポリマー製チューブは、周方向の強度及び剛性が十分ではない傾向がある。これは周方向のポリマー鎖配列が低いことによる。
【0074】
本発明の様々な実施形態にはステント等の植え込み可能な医療装置並びに連続相及び不連続相を有する複合物からこのような装置を製造する方法が含まれる。連続相にはポリマーマトリクスを含むことができ、不連続相はマトリクスに混合され、分散され、及び/又は埋め込まれた繊維を含むことができる。連続相又は不連続相の一方又は両方に活性剤を含むことができる。
【0075】
いくつかの実施形態においては、不連続相には放射線不透過性物質を含むことができる。放射線不透過性物質には例えば、金属、合金、又はポリマーと金属もしくは合金との混合物を含むことができる。ある実施形態においては、不連続相には金属繊維、金属ワイヤー、金属バンド、又は金属ストリップを含むことができる。金属は腐食性金属、生体安定性金属、又は生体安定性及び生腐食性金属の混合物を含むことができる。不連続相において用いることができる代表的な金属としては、マグネシウム、亜鉛、鉄、白金、及び金が含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
「繊維」とはその幅又は直径よりも実質的に長い長さを有する物質の単位として定義される。ここでは、繊維にはフィラメント、ストリップ、又はワイヤーを含むことができるが、これらに限定されない。
【0077】
いくつかの実施形態においては、ポリマー製繊維は当業者に知られている複数の方法のうちいずれのものを用いて形成することができ、これらの方法には、融解紡糸法、湿式紡糸法、乾式紡糸法、ゲル紡糸法、電気紡糸法、又は噴霧法が含まれるがこれらに限定されない。繊維は、繊維軸に沿って比較的高いポリマー鎖の配向を有したものを製造することができるので、比較的高い強度及び剛性を有する。
【0078】
ポリマー製繊維の「紡糸」は一般に融解ポリマー又はポリマー溶液である高粘性の流動体を出糸突起という装置の極めて小さな穴から押し出すか又は通させて、半固体状のポリマーの連続フィラメントを形成することが含まれる。出糸突起には、融解ポリマー又はポリマー溶液が通過する多数の穴が存在する。最初の状態では、繊維を形成するポリマーは固体であるので、まず押出成形のために流動体に変えなければならない。これは一般に、ポリマーが熱可塑性である場合(つまり加熱により軟化し融解する)、融解によって実現され、非熱可塑性である場合、好適な溶剤に溶解することによって実現される。これらが直接溶解又は融解することができない場合、化学処理を施して可溶性又は熱可塑性誘導体を形成しなければならない。
【0079】
融解紡糸においては、繊維を形成するポリマーは出糸突起を通した押出成形のために融解され、その後冷却することによって固化される。湿式紡糸は、溶剤に溶解されたポリマーから繊維を形成することが含まれる。ポリマー溶液は、化学浴に浸された出糸突起をポンプで通される。溶解されたポリマーは化学浴では混合しない。出糸突起からフィラメントが飛び出すと、ポリマーが溶液から沈殿して固化する。
【0080】
乾式紡糸についても、ポリマー溶液から繊維を形成することが含まれる。ポリマー溶液は出糸突起をポンプで通される。しかし、ポリマーを希釈又は化学変化によって沈殿させる代わりに溶剤を気流又は不活性ガスの流れの中で蒸発させることによって固化を実現する。
【0081】
ゲル紡糸は湿式紡糸の一種であるが、高い強度又はその他の特殊な繊維の性質を得るために用いられる特殊な処理である。この処理では、超高分子量ポリマーが著しく低い濃度の溶剤に溶解されている。この濃度は、一般的な湿式紡糸及び乾式紡糸処理で用いられる濃度より著しく低い。ポリマー又は繊維が溶液から沈殿して、化学浴又は冷却された水浴で固化する。次に、繊維が延伸されて、ポリマー分子が配向される。縮小率もまた一般に湿式紡糸及び乾式紡糸処理より著しく高い。
【0082】
縮小率は延伸繊維の長さの、繊維の元の長さに対する比率として定義される。ゲル紡糸の縮小率は40:1以下であるのに対し湿式紡糸又は融解紡糸の縮小率は約3〜15:1でありうる。
【0083】
縮小率は延伸繊維の長さの、そのまま紡いだ繊維の長さに対する比率として定義される。そのまま紡いだ繊維とは溶剤又は融解された状態から形成されて固化された繊維をいう。ゲル紡糸の縮小率は40:1以下であるのに対し湿式紡糸又は融解紡糸の縮小率は約3〜15:1でありうる。
【0084】
乾湿式紡糸法では、ポリマーは押し出される際に真の液体状態ではない。ポリマー鎖は液晶状態で様々な点で互いに結合されている。真溶液においてそうであるように、鎖は完全に分れていない。これにより結果として生成されるフィラメント内で鎖の相互間に強い力が生じ、繊維の引張強度を著しく増加させることができる。液晶は押し出される間、せん断力によって繊維軸に沿って配列される。フィラメントは互いに対して比較的高配向を有して浮上し、これによりさらに強度が向上する。フィラメントはまず空気中を通り、次に流体浴でさらに冷却される。乾湿式紡糸法での縮小率は一般に1.03:1未満である。
【0085】
電気紡糸法及び噴霧法を用いてナノ繊維を製造することができる。「ナノ繊維」とは、約1nm〜約10,000nmの範囲内の寸法の繊維をいう。電気紡糸法では、静電気及び機械力を利用して、微細なオリフィス又は出糸突起の先端から繊維を紡ぐ。電気紡糸法ではポリマーは溶剤又は融解ポリマーに溶解され、出糸突起(例えばガラスピペット)に置かれて、一端は封止される。出糸突起は例えば、電源等によって正電荷又は負電荷に保たれる。静電気の反発力がポリマー溶剤又は融解ポリマーの表面張力を超えると、液体は出糸突起からあふれ出て、極めて微細な連続フィラメントを形成する。
【0086】
紡がれた繊維の強度と弾性率は延伸によって増加することができる。延伸には繊維軸に沿って張力を加えることが含まれる。押し出された繊維が固化する間及び/又は固化した後に繊維を伸ばすことができる。延伸は分子鎖を引き合わせて、繊維軸に沿って配向させる傾向があり、これによって、繊維軸に沿って大幅により強く、剛性を有する繊維が形成される。
【0087】
上述のように、ステントの望ましい機械的及び分解性の性質はステントを複合体として製造することによって得られる。ステントの個々の特徴(つまり、剛性、強度、長手方向の柔軟性、分解速度)は、複合体を形成する一以上の肉眼で見える別個の素材によって提供される。よって、複合構造の利点の一つとして、ステントの個々の特徴は個々に調整することができるか又は単一ポリマー又はポリマーブレンドによって製造されたステントよりも個々に調整することができる。
【0088】
ステントに強度と剛性を提供するために、繊維は比較的強くて堅く、繊維軸に沿って高い弾性率を有するように製造しうる。連続相は不連続繊維相と異なる性質を有するように構成することができる。例えば、連続相は低い弾性率を有するように構成することができ、これにより不連続相より大きな柔軟性を有することになる。よって、連続相はステントに必要な柔軟性を提供することができるように構成することができる。上述のように、Tよりも低いポリマーは比較的脆く、非弾性である傾向があり、Tより高い場合よりも柔軟で容易に変形される。よって、柔軟な連続相は体温よりも高いTを有するポリマーを用いて得ることができる。
【0089】
繊維と連続相の分解性の性質は様々な組合せを有するように構成することができる。ある実施形態においては、繊維と連続相との分解速度をほぼ同じにすることができる。また、繊維と連続相との分解速度を異にすることができる。繊維の分解速度は連続相よりも速く又は遅くすることができる。本明細書で説明されるように、相のポリマーの選択、分子量、及びポリマーの結晶化度によって相の分解速度を調整することができる。
【0090】
いくつかの方法によってステントのポリマーの性質を調整又は変更することができる。異なるポリマーは異なる機械的性質及び分解速度を有するため、これらの方法には不連続相及び連続相のポリマー又はポリマーの化学成分の群の適切な選択が含まれる。以下に説明されるように、様々な性質はポリマーの分子量に依存する。ポリマーの特定の性質はポリマーの結晶化度に関係する。よって、不連続相及び連続相のこれらの性質は、これらの相のポリマーの選択並びに分子量及びポリマーの結晶化度の変更によって個々に変更することができる。
【0091】
強度及び弾性率等の機械的性質、ポリマーの分解性の性質、並びに融解温度は、分子量に依存する。一般に、分子量が高いほど、ポリマーはより強く、堅くなる(より高い弾性率)。よって、繊維の強度及び弾性率は高い分子量を有する繊維を製造することによってさらに向上させることができる。
【0092】
分子量が増加すると、ポリマーの分解速度は減少する。また、分子量とともに融解温度は増加する。いくつかの実施形態においては、装置の複合体の繊維と連続相との両方に異なる分子量を有する同じ種類のポリマーを用いることができる。連続相と不連続相の異なる分子量によって、相の機械的性質、分解性の性質、及び融解温度が異なりうる。
【0093】
上述のように、ポリマーの結晶化度は物質の強度及び弾性率等の機械的性質に関係する。結晶化度が高いほど、ポリマーの結晶構造の分子配向の方向に沿ってポリマーはより強く、堅くなる。
【0094】
結晶化度は流動体の拡散速度にも関係し、よって、生分解性ポリマーの腐食速度に関係する。一般に流動体のポリマーへの拡散速度は結晶化度が増加するにつれて、減少する。よって、水と体液の拡散速度は非結晶性ポリマーより結晶性及び半結晶性ポリマーの方が低いことが予測される。したがって、生分解性ポリマー領域の腐食速度は、例えば複合体の連続ポリマー相の結晶化度を変更することによって調整することができる。
【0095】
ある実施形態においては、ポリマーの結晶化度は、ポリマーを加熱することによって変更することができる。ポリマーを加熱することによって、ポリマー素材の結晶領域の結晶化度及び/又は大きさを変えることができる。結晶化度は特定の温度範囲内でポリマーを加熱することによって変えることができる。ポリマー素材をポリマーのガラス転移温度、T、より低い温度に加熱しても分子構造は大きく変わらないので、素材の機械的性質も大きく変わらない。Tより低い場合、ポリマー鎖の部分運動に対するエネルギー障壁がポリマー素材の分子構造の変更を抑制するか又は防止する。
【0096】
一般に、結晶化はポリマーのTと融解温度、T、の間の温度に加熱されたポリマー素材で起こりうる。その結果、ポリマーのTとTの間の温度にポリマーを加熱するとポリマーの弾性率が増加する。
【0097】
図2は温度の関数としてポリマーの結晶化速度を概略的に図示する。(Rodriguez,F.,Principles of Polymer Systems,2nd ed.,McGraw Hill(1982))図2はポリマー結晶化の速度がポリマーのTより低い温度から温度が上昇させられるか、又はポリマーのTより高い温度から温度が減少させられると増加することが示される。結晶化速度は、TとTとの間のいずれかの点で最大の16に到達する。図2はTよりも低い温度又はTより高い温度では結晶化は実質的に起きないことを示す。
【0098】
上述のように、非結晶性ポリマーはポリマー素材を加熱することによって形成することができる。Tよりも高い温度では、ポリマー素材は無秩序に融解し、結晶化できず、あらゆる存在する結晶性も破壊される。融解ポリマーをポリマーのTより高い温度からポリマーのTより低い温度に急冷した結果、固体の非結晶性ポリマーを形成しうる。結果として得られる非結晶性ポリマー素材は、加熱前より低い弾性率を有し、より柔軟でより堅くない素材となりうる。
【0099】
特定の実施形態においては、繊維強化ステントを製造する方法としては、マトリクスポリマーと複数の短繊維を含む混合物を形成することを含むことができる。繊維は、マトリクスポリマーの融解温度より高い融解温度を有する物質を含むことができる。
【0100】
ある実施形態においてマトリクスポリマーは、生体安定性もしくは生分解性ポリマー又はこれらの組合せでありうる。繊維の物質は、生体安定性もしくは生分解性ポリマー又はこれらの組合せでありうる。いくつかの実施形態においては、繊維の物質は生体安定性及び/又は腐食性金属でありうる。ある実施形態においては、繊維はポリマー製素材及び金属製素材の組合せでありうる。例えば、繊維はポリマー粒子と金属粒子との混合物でありうる。
【0101】
上述のように、形成された混合物は複合材料であることができる。図3は、混合物を概略的に図示する。マトリクスポリマーは連続相20に対応し、短繊維25は不連続相に対応しうる。
【0102】
ある実施形態においては、短繊維は連続ポリマー相と同じか又は類似のポリマー素材によって構成することができる。また、短繊維は異なる性質を有する繊維の混合物であることができる。例えば、短繊維は異なる分解速度及び/又は機械的性質を有する繊維の混合物であることができる。
【0103】
ある実施形態においては、混合物はマトリクスポリマーと繊維を混合装置の中でマトリクスポリマーの融解温度より高い温度でかつ繊維物質の融解温度より低い温度で混合して形成することができる。よって、マトリクスポリマーを含む融解ポリマーの連続相は繊維物質の融解温度より低い温度の不連続繊維相と混合することができる。
【0104】
図4は短繊維を用いた繊維強化チューブを図示する。チューブ30は連続ポリマー相38に埋め込まれた複数の短繊維35を含む。図4に示されるように、繊維35は、チューブの軸に対して任意の方向に配向される。繊維は軸方向、周方向、及びこの両者の間の配向に機械的補強を提供する。よって、繊維はチューブ及びチューブから形成されたステントの機械的安定性を向上させる。
【0105】
周方向の強度はチューブの放射方向の拡張を通じてさらに向上させることができる。放射方向の拡張は連続相のポリマー鎖配列を誘起させ、短繊維の周方向の配列を誘起させることによってチューブの周方向の強度を向上させる。
【0106】
方法の実施形態としては、チューブ又はシート形成装置に混合物を置き、チューブ又はシートを形成することをさらに含むことができる。装置内の混合物の温度がマトリクスポリマーの融解温度より高くかつ繊維物質の融解温度より低くなるように、装置を加熱することができる。いくつかの実施形態においては、マトリクスポリマーの少なくとも一部は融解ポリマーであることができる。混合物は次にマトリクスポリマーの融解温度より低い温度に冷却することができる。
【0107】
上述のように融解ポリマーは形成されたチューブの結晶化度を調整できるように冷却することができる。よって、いくつかの実施形態においては、形成されたチューブ又はシートはマトリクスポリマーの融解温度より低い温度に冷却することで、形成されたチューブ内のマトリクスポリマーの大部分が非結晶性又は結晶性となるようにすることができる。
【0108】
ある実施形態においては、形成装置は射出成形装置であることができる。混合物はマトリクスポリマーの少なくとも一部が融解ポリマーであるようにマトリクスポリマーの融解温度より高くかつ繊維の融解温度より低い温度で射出することができる。型の中の混合物の温度がマトリクスポリマーの融解温度より高くかつ繊維の融解温度より低くなるように、型を加熱装置又はチャンバーによって加熱することができる。
【0109】
また、他の実施形態においては、混合物はマトリクスポリマーの融解温度より低い温度で型に置くことができる。加熱された型は次に混合物をマトリクスポリマーの融解温度より高くかつ繊維の融解温度より低い温度に加熱することによってマトリクスポリマーを融解することができる。
【0110】
他の実施形態においては、形成装置は押出機であることができる。混合物はマトリクスポリマーの融解温度より低い温度で押出機に搬送することができる。また、マトリクスポリマーの少なくとも一部が融解ポリマーであるように、混合物はマトリクスポリマーの融解温度より高くかつ繊維の融解温度より低い温度で押出機に搬送することができる。混合物はマトリクスポリマーの融解温度より高くかつ繊維の融解温度より低い温度となるように、押出機内で加熱することができる。
【0111】
また、方法はステントをチューブ又はシートから製造することをさらに含むことができる。上述のように、ステントは、チューブに複数の相互接続された構造要素を有するパターンを形成することによって、チューブから製造することができる。また、シートをチューブにまるめて、そのチューブにパターンを形成することもできる。
【0112】
図5は上述の、繊維強化チューブを製造する方法の実施形態を概略的に図示する。マトリクスポリマー40は融解ポリマー又は固体として押出機45の中へ搬送される。押出機45はポリマー40を融解して混合して比較的低い粘性の流動体50を生成する。流動体50は押出機45から混合装置55へ送られる。繊維60も混合装置55へ送られる。混合装置55は流動体50を繊維60に混合して混合物65を生成する。混合物65は金型70を通して形成装置75に搬送され、チューブ又はシートが形成される。形成装置75は例えば射出成形装置又は押出機であることができる。
【0113】
いくつかの実施形態においては、短繊維は上述のように形成される繊維を短い長さに切ることによって製造することができる。ある実施形態においては、短繊維の少なくとも一部の長さは形成されたチューブの直径よりも実質的に短い。例えば、いくつかの実施形態においては、短繊維の長さは0.05mm未満でありうる。他の実施形態においては、短繊維の長さは0.05から8mmの間であることができ、より限定すると、0.1から0.4mmの間か又は0.3から0.4mmの間であることができる。
【0114】
他の実施形態においては、繊維強化ステントを製造する方法として、少なくとも一層の繊維層及び少なくとも一層のポリマーフィルム層を有するチューブを形成することを含むことができる。ある実施形態においては、少なくとも一層の繊維層が少なくとも一層のフィルム層と交互になる。ある実施形態においては、繊維層の繊維は少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高い融解温度を有する物質を少なくとも一つ含むことができる。また、方法は、少なくとも一層の繊維層と少なくとも一層のポリマーフィルム層を含む層状のシートを形成することを含むことができる。
【0115】
ある実施形態においては、少なくとも一層のポリマーフィルム層は生分解性ポリマーを含むことができる。少なくとも一層の繊維層の繊維物質は生体安定性もしくは生分解性ポリマー又はその組合せを含むことができる。ある実施形態においては、少なくとも一層の繊維層の繊維物質は生体安定性及び/又は腐食性金属を含むことができる。ある実施形態においては、少なくとも一層の繊維層の繊維はポリマー製物質及び金属製物質の組合せであることができる。例えば、繊維はポリマー粒子と金属粒子の混合物であることができる。
【0116】
ある実施形態においては繊維層の繊維は、ポリマーフィルム層と同じ又は類似のポリマー製物質で構成することができる。また、繊維層は異なる性質を有する繊維の混合物であることができる。いくつかの実施形態においては、他の繊維層とは異なる性質を有する繊維層を少なくとも一層含むことができる。例えば、異なる繊維層は異なる分解速度及び/又は機械的性質を有することができる。
【0117】
他の実施形態においては、ポリマーフィルム層は同じ又は類似の性質を有することができる。また、少なくとも一層のポリマーフィルム層が他のポリマーフィルム層と異なる性質を有することができる。例えば、異なるポリマーフィルム層は異なる分解速度及び/又は機械的性質を有することができる。
【0118】
ある実施形態においては、繊維層は織物構造を有することができる。織物構造とは一から数百以上の繊維を所望の全体の形状及び寸法に従って、チューブの円筒軸に対して0°から180°の角度で、あらゆる形で織り、組み、編み、らせん状に巻き、及び/又はより合わせて形成されるあらゆる構造をいう。
【0119】
図6Aは二層のポリマーフィルム層82及び84の間に繊維層80が形成されたチューブの二次元の径方向の断面図を図示する。図6Bは層の拡大図を図示する。ポリマーフィルム層の融解により繊維層80は少なくとも部分的にポリマーフィルム層82及び84からのポリマーに埋め込まれている。
【0120】
図7は二組のらせん状に巻かれた繊維92及び94を含むらせん状に巻かれた繊維メッシュのチューブ90を図示する。チューブ90は円筒軸96を有する。座標系98は軸96に対する相対的配向を示す。繊維92は90°を超える相対的配向を有し、繊維92は90°未満の相対的配向を有する。
【0121】
いくつかの実施形態においては、ある繊維層での繊維の配向は他の繊維層での繊維の配向と異なりうる。これはステントの機械的安定性をさらに向上させる。ある実施形態においては、90°を超える配向を有する一組の繊維を有する一層の繊維層と90°未満の配向を有する一組の繊維を有する別の繊維層を含むことができる。
【0122】
例えば、図8は繊維層100及び104並びにポリマーフィルム層108、112及び116で形成されたチューブの層を二次元で図示する。繊維層100は例えば図7の繊維92等のような、90°を超える配向を有する繊維を含むことができる。繊維層104は例えば図7の繊維94等のような、90°未満の配向を有する繊維を含むことができる。
【0123】
ある実施形態においては、チューブはマンドレル上に層を配置することによって形成することができる。例えば、図9はマンドレル124に配置されたらせん状に巻かれた繊維メッシュ120を図示する。繊維メッシュ120をマンドレル124上に配置する前にポリマーフィルム層をマンドレル124上に配置することができる。ポリマーフィルム層をマンドレル124上に配置し、これに続き別の繊維層、別のポリマーフィルム層、などと配置することができる。
【0124】
方法は、少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高くかつ繊維物質の融解温度より低い温度にチューブ又はシートを加熱することをさらに含むことができる。チューブ又はシートを加熱することによって、ポリマーフィルム層のポリマーの少なくとも一部を融解することができる。
【0125】
ある実施形態においては、繊維層の少なくとも一部がポリマーフィルム層の融解ポリマーの少なくとも一部に埋め込まれうる。いくつかの実施形態においては、加熱されたチューブは冷却され、冷却されたチューブからステントを製造することができる。上述のように、加熱されたチューブはこのように冷却することによって、形成されたチューブの冷却されたポリマーフィルム層の結晶化度を調整することができる。
【0126】
上述のように、ステントを製造するのにナノ繊維を用いることができる。多数の層を形成することができるので、層状構造を製造する場合にはナノ繊維を用いることが特に望ましい。一般に、より多くの数の層があれば、複合構造はより強くなる。ナノ繊維よりも大きい繊維を用いると構造が望ましいものよりも厚くなりうるので、層の数は制限されうる。
【0127】
他の実施形態においては、繊維強化ステントを製造する方法は、複数の繊維を有するチューブ型の繊維層の上にコーティングポリマーを含むコーティング層を形成することを含むことができる。また、繊維をシートになるように形成することができる。上述のようにチューブになるように形成された複数の繊維は織物構造であることができる。
【0128】
ある実施形態においては、コーティングポリマーは生体安定性及び/又は生分解性ポリマー又はその組合せを含むことができる。少なくとも一つの繊維層の繊維物質は、生体安定性及び/又は生分解性ポリマー又はその組合せを含むことができる。ある実施形態においては、繊維物質は生体安定性及び/又は腐食性金属を含むことができる。他の実施形態においては、繊維はポリマー製物質と金属製物質の組合せであることができる。例えば、繊維はポリマー粒子と金属粒子の混合物であることができる。
【0129】
ある実施形態において、コーティング層は溶剤に溶解したコーティングポリマーを含む流動体を塗付することによって形成することができる。繊維物質は不溶性又は溶剤内で比較的低い溶解度を有しうる。いくつかの実施形態において、コーティングは活性剤を含むことができる。流動体は、その流動体の中に溶解又は分散した活性剤を含むことができる。ある実施形態においては、繊維物質はコーティングポリマーの融解温度より高い融解温度を有することができる。溶剤のすべて、又はその大部分を塗付された流動体から除去することができる。
【0130】
また、流動体は当業者に知られる様々な方法でチューブに塗付することができる。例えば、流動体はチューブに噴霧され、又はチューブは流動体に浸漬することができる。ある実施形態においては、繊維層はマンドレル上に置かれ、その後流動体に浸漬され、及び/又は流動体が噴霧される。
【0131】
ある実施形態において、繊維層はコーティングポリマー又は以前にマンドレル上に形成された別の種類のポリマーを含むポリマー層に重ねてマンドレル上に置くことができる。マンドレルに以前に形成されたポリマー層は上述のように浸漬及び/又は噴霧によって形成することができる。
【0132】
いくつかの実施形態においては、コーティングを形成した後に、チューブ又はシートはコーティングポリマーの融解温度より高くかつ繊維物質の融解温度より低い温度に加熱することができる。チューブ又はシートは、コーティングポリマーの融解温度より低い温度に冷却することで、形成されたチューブ又はシートのコーティングポリマーの大部分が非結晶性、結晶性又は部分的に結晶性となるようにすることができる。
【0133】
いくつかの実施形態においては、繊維強化ステントを製造する方法は構造体を形成する型に複数の繊維を置くことを含むことができる。構造体は例えば、チューブ又はシートであることができる。繊維は数々の方法によって型に置くことができる。ある実施形態においては上述のように短繊維を型の中でランダムに又は実質的にランダムに置くことができる。他の実施形態においてはフィラメントを型に置かれたマンドレルの周りにらせん状又はその他の態様で巻くことができる。ある実施形態においては、上述のような織物構造を型に置くことができる。
【0134】
方法は、型の中に一部又は完全に融解されたマトリクスポリマーを置き、融解ポリマー内に少なくとも部分的に繊維を埋め込むことをさらに含むことができる。ある実施形態においては、繊維はマトリクスポリマーの融解温度よりも高い融解温度を有する物質を含むことができる。型内の融解ポリマーと繊維の温度は、繊維物質の融解温度よりも低くすることができる。
【0135】
ある実施形態においては、マトリクスポリマーは生体安定性もしくは生分解性ポリマー又はこれらの組合せであることができる。繊維物質もまた生体安定性もしくは生分解性ポリマー又はこれらの組合せであることができる。いくつかの実施形態においては、繊維物質は生体安定性及び/又は腐食性金属であることができる。ある実施形態においては、繊維はポリマー製物質及び金属製物質の組み合わせであることができる。例えば、繊維はポリマー粒子及び金属粒子の混合物であることができる。
【0136】
融解ポリマーは冷却されて構造体が形成され、冷却された構造体からステントを製造することができる。上述のように、融解ポリマーをこのように冷却することによってマトリクスポリマーの結晶化度を調整することができる。
【0137】
ステントはチューブに複数の相互接続された構造要素を含むパターンを形成することによってチューブから形成することができる。上述のように、ステントはシートからチューブを形成し、チューブに複数の相互接続された構造要素を含むパターンを形成することによってシートから形成することができる。
【0138】
ある実施形態においては、薬材ステントは型に活性剤を置くことで製造することができる。活性剤は融解されたマトリクスポリマー内に混合又は分散させることができる。また、活性剤は繊維と混合又は分散させることができる。他の実施形態においては、活性剤を含むコーティングをステントに塗付することができる。
【0139】
さらなる実施形態においては、繊維強化ステントを製造する方法は、構造体を形成する押出機に複数の繊維を置くことを含むことができる。構造体は例えば、チューブ又はシートであることができる。上述のように、繊維は複数の方法によって押出機内に置くことができる。ある実施形態においては、上述のように押出機の中に短繊維をランダムに又は実質的にランダムな態様で置くことを含むことができる。他の実施形態においては、型に置かれたマンドレルの周りにらせん状又はその他の態様でフィラメントを巻くことができる。ある実施形態においては上述のように織物構造を押出機に置くことができる。
【0140】
方法は、押出機内にマトリクスポリマーを搬送することをさらに含むことができる。ある実施形態においては、マトリクスポリマーは繊維物質の融解温度より低い融解温度を有することができる。また構造体は、マトリクスポリマーの融解温度より高くかつ繊維物質の融解温度より低い温度で押出機を用いて形成することができる。ある実施形態においては、マトリクスポリマー内に少なくとも一部の繊維が埋め込まれうる。
【0141】
ある実施形態においては、マトリクスポリマーは生体安定性もしくは生分解性ポリマー又はこれらの組合せであることができる。繊維物質もまた生体安定性もしくは生分解性ポリマー又はこれらの組合せであることができる。いくつかの実施形態においては、繊維物質は生体安定性及び/又は腐食性金属であることができる。ある実施形態においては、繊維はポリマー製物質及び金属製物質の組合せであることができる。例えば、繊維はポリマー粒子及び金属粒子の混合物であることができる。
【0142】
融解ポリマーは次に冷却されて構造体を形成し、冷却された構造体からステントを製造することができる。上述のように、ステントはチューブ又はステントから製造することができる。上述のように、融解ポリマーはこのように冷却することによって、マトリクスポリマーの結晶化度を調整することがができる。
【0143】
いくつかの実施形態においては、薬材ステントは押出機に活性剤を搬送することによって製造することができる。他の実施形態においては、少なくとも一部の繊維は活性剤を含むことができる。
【0144】
上述のように、パターンをレーザーで切ることによって、複数の相互接続された構造要素を含むパターンを形成することができる。ある実施形態においては、構造要素の少なくとも一部が少なくとも一部の繊維の配向と揃うか又は実質的に揃うようにパターンを切ることができる。例えば、図10は繊維セグメント132、134、136、及び138の配向と揃えられたストラット又は構造要素130のパターンを図示する。
【0145】
他の実施形態においては、繊維強化ステントの円周方向の強度と剛性はチューブの放射方向の拡張によって向上させることができる。連続ポリマー相内のポリマー鎖配列は、円周方向に沿って誘起させることによって強度を増加させることができる。また、放射方向の拡張はチューブ内の繊維の配列を誘起し、円周方向の強度をさらに増加させることができる。
【0146】
負荷応力によって誘起されるポリマー鎖配列の程度はポリマーの温度に依存しうる。例えば、ポリマーのTより低い温度では、ポリマーセグメントは互いを通過する十分なエネルギーを有することができない。一般に、セグメントの移動が十分でなければ、ポリマー鎖配列は誘起されない。Tより高い温度では、ポリマー鎖の回転そしてセグメントの移動が可能であるので、負荷応力によってポリマー鎖配列は容易に誘起される。Tとポリマーの融解温度、T、の間では回転障壁が存在する。しかし、この障壁はセグメントの移動を実質的に妨げるには十分大きなものではない。ポリマーの温度がTより高く上昇すると、回転に対するエネルギー障壁は減少し、ポリマー鎖のセグメントの移動は増加する傾向がある。よって、温度が上昇すると、負荷応力によってポリマー鎖配列はより容易に誘起される。
【0147】
ポリマー鎖の再配列はポリマー物質の弾性領域及び塑性領域に応力が加えられた場合に起こりうる。弾性限界を超えて塑性領域まで応力を加えられたポリマーは一般に、応力が除かれた場合でも応力を加えられたときの形状と対応する誘起されたポリマー鎖配列を保持する。ポリマー鎖は負荷応力の方向に配向されることができる。応力が加えられたポリマー物質は負荷応力の方向に、より高い引張強度及び弾性率を有することができる。
【0148】
また、ポリマーを加熱することは応力下のポリマーの変形を容易にし、よってポリマーの機械的性質の変更を容易にすることができる。加熱下で応力によって弾性的に変形されたポリマーは、弛緩した状態に緩められるか又は弛緩状態に向かって緩められる前にポリマーを冷却することによって、誘起されたポリマー鎖配列を保持することができる。
【0149】
いくつかの実施形態においては、ポリマー製チューブは連続相のポリマーのTより低い温度で変形することができる。また、連続相ポリマーのT以上かつポリマーのT以下の範囲の温度でチューブを変形することが望ましい。上述のように、ポリマー物質はTより高い温度でポリマー鎖のセグメントの移動によってより容易に変形する。変形はポリマー鎖のセグメントの移動によって起こりうるポリマー鎖配列を誘起する。よって、ポリマー製チューブを変形の前、又は同時に加熱することにより、特に環境温度より低いTを有するポリマーの変形を容易にすることができる。変形は一定の又はほぼ一定の温度で起こりうるので、変形と同時にチューブを加熱することが望ましい。よって、導かれるポリマー配列及び機械的性質は一定又はほぼ一定にすることができる。
【0150】
いくつかの実施形態においては、繊維強化ポリマー製チューブは、例えばチューブの中に流動体を流すことによって、ポリマー製チューブの圧力を増加することにより放射方向に変形することができる。チューブに張力及び/又はトルクを加えることもできる。チューブは輪状の部材又は型に配置することができる。型は、チューブの外側の直径又は表面の変形を型の内側の直径に限定することによって、チューブの放射方向の変形の度合いを調整する役割を果たすことができる。型の内側の直径はポリマー製チューブの所望の直径以下の直径に対応する。
【0151】
ポリマー製チューブは又変形の前、最中、及び後に加熱することができる。一般に、変形中の温度はポリマーのガラス転位温度以上でかつポリマーの融解温度以下であることが望ましい。ポリマー製チューブは流動体及び/又は型によって加熱することができる。
【0152】
特定の実施形態はポリマー製チューブの遠位端をまず封止、遮断又は閉鎖することを含むことができる。続く製造工程では、この端部は開放することができる。次に、ある流動体を(従来は空気、窒素、酸素、アルゴン、などの不活性ガス)ポリマー製チューブの近位端に流し入れ、チューブの圧力を増加させることができる。チューブ内の流動体の圧力はチューブを変形させる役割を果たすことができる。
【0153】
増加した圧力によってチューブは放射方向及び/又は軸方向に変形することができる。型を用いる代わりに又は型と組み合わせて流動体の温度及び圧力を用いて放射方向の変形の度合いを調整することで、チューブの内側の直径の変形を限定することができる。また、圧力を連続相ポリマーのほぼ極限応力より少ない程度に圧力を増加することによって、チューブへの損傷を抑制又は予防することが望ましい。連続相ポリマーは塑性的又は弾性的に変形することができる。上述のように、降伏点を越えて伸張されたポリマーは、その伸張された外形を保持する傾向があり、よって誘起された分子配向を保持する傾向がある。
【0154】
チューブ内の圧力及びチューブの温度は一定の時間の間、環境レベルより高い値に維持することによって、ポリマー製チューブに熱処理をすることができる。ある実施形態においては、変形されたチューブの温度は選択された時間の間、連続相ポリマーのT以上かつ連続ポリマーのT以下に維持することができる。選択される時間は約1分から約2時間であることができ、より限定すると、約2分から約10分であることができる。「熱処理」とは、上昇した温度への反応として、ポリマー鎖を異なる構成に平衡化させることをいう。この場合、ポリマー鎖は上昇した温度で高配向の構造を取り入れることができる。ポリマー鎖配列は、時間と温度に依存する処理であり、よって特定の温度でポリマー物質が変形した状態で安定するようにポリマー鎖を再配列させるには一定の時間が必要となりうる。熱処理は、張力によって容易になりうる。
【0155】
本発明のさらなる実施形態は、主に又は完全にメッシュチューブ又はステント構造に巻かれた又は組まれたポリマー繊維から構成されるステントに関する。組まれたステントは十分な放射方向の強度を提供することができるが、しかし、このようなメッシュ繊維構造の放射方向の外形は所望のものより大きくなりうる。具体的には、「ネットポイント」つまり繊維が重なり合う点をいうが、この点がステントの放射方向の外形を増加させる傾向がある。ネットポイント142が図9に図示されている。本明細書で説明されている方法の実施形態によって、十分に小さな外形及び十分に高い放射方向の強度を有する繊維メッシュステントの製造を可能とする。
【0156】
ステントを製造する方法の特定の実施形態においては、少なくとも二種の繊維からチューブ又はステント構造体を形成することを含むことができる。ある実施形態においては、第一繊維が第一ポリマーを含み、第二繊維が第二ポリマーを含むことができる。
【0157】
ステントを製造する方法の他の実施形態においては、第一ポリマー及び第二ポリマーを含む複合繊維からチューブ又はステント構造体を形成することを含むことができる。いくつかの実施形態においては、チューブの繊維は第一ポリマーを含む内核及び第二ポリマーを含む外層又は被膜を含むことができる。他の実施形態においては、外側の被膜が第一ポリマーで、内核が第二ポリマーであることができる。他の実施形態においては、チューブの繊維は第一ポリマーと第二ポリマーとの混合体又はブレンドであることができる。
【0158】
特定の実施形態においては、第一ポリマーは第二ポリマーの軟化温度より低い軟化温度を有することができる(T)。また、第一ポリマーは第二ポリマーのT及びTより低いT及びTを有することができる。
【0159】
例えば、二つの異なる種類の繊維を含むステントでは、第一繊維はポリ(l−乳酸)から形成され、第二繊維は10:90ポリ(l−ラクチド−コ−グリコライド)(10%ラクチド、90%グリコライド)から形成されうる。ポリ(L−乳酸)は融解温度が175°Cであり、ポリ(l−ラクチド−コ−グリコライド)は融解温度が200°Cである。また、例示的な複合繊維は、50%ポリ(l−乳酸)及び10:90ポリ(l−ラクチド−コ−グリコライド)から形成されうる。
【0160】
二種の繊維及び/又は第一ポリマーと第二ポリマーとの複合体で構成された繊維を有するステントを製造する様々な実施形態は第一ポリマーの軟化温度と第一ポリマーの融解温度との間の範囲の温度にチューブを加熱することを含むことができる。ある実施形態においては、チューブに圧力をかけてチューブの少なくとも一部の繊維を平坦化して、チューブの放射方向の外形を縮小させる。第一ポリマーで形成された熱せられた繊維は、圧力が加えられると平らになる傾向があり、これによりチューブの外形が縮小される。同様に、第一ポリマーを含む加熱された繊維は平坦化される傾向がある。具体的には、加えられた圧力によって繊維の少なくとも一部のネットポイントでのチューブの放射方向の外形を縮小することができる。
【0161】
いくつかの実施形態においては、第二ポリマーは加熱、繊維の平坦化、及びステント使用の間ステント構造体に高い強度を提供するように適合させることができる。ある実施形態においては、温度範囲は第二ポリマーのTより低くなりうる。この場合、第二ポリマーは第一繊維を平らにする加熱の間、比較的堅いままであることができる。温度範囲は第二ポリマーのTより低くなりうる。また、温度範囲は第二ポリマーのTより高くなりうる。
【0162】
いくつかの実施形態においては、繊維の断面図は円形であることができる。また、繊維の断面図は卵形又は楕円形等の長円形を有することができる。長円形の断面図を有する繊維によって血管のより高い被覆率が可能となるとともに、より小さなステントの放射方向の外形を提供することができる。
【0163】
ある実施形態においては、チューブは繊維の加熱及び平坦化の間、マンドレル上に置くことができる。チューブの上に置かれた圧力チューブによって圧力を加えて繊維を平坦化することができる。代わりの実施形態においては、繊維は加熱されたクリンパで加熱されて平坦化することができる。加熱されたマンドレルによってチューブに熱を加えることができる。チューブは、例えばアルゴン、空気、酸素、窒素、等の不活性ガス等の加熱された流動体をチューブ上に吹くことによって加熱することもできる。また、チューブはマンドレル上で熱処理することができる。
【0164】
ある実施形態においては、チューブは加熱されて、チューブの製造された直径又はそれに近い数値となるように圧力を加えることができる。チューブは選択された時間の間、温度範囲を維持することによって熱処理することができる。
【0165】
いくつかの実施形態においては、方法は加熱及び/又は圧力を加えて少なくとも一部の繊維を平坦化する前、最中又は後にチューブの放射方向の拡張を行うことを含むことができる。上述のように、放射方向の拡張は繊維ポリマー内の分子配向を誘起し、これは繊維の伸張強度を増加させる傾向がある。他の実施形態においては、チューブは加熱及び/又は圧力を加えて少なくとも一部の繊維を平坦化する前、最中又は後に圧着をすることができる。
【0166】
図11は、複合繊維140の径方向の断面図を図示する。繊維140は第一ポリマーの内核142及び第二ポリマーの外層144を有する。図12は繊維ステントの繊維を加熱し平坦化するのに用いることができるシステム150の径方向の断面図を図示する。重なり合う繊維152は滑動するウェッジタイプのクリンパ154と固定されるマンドレル156との間に存在する。ウェッジタイプのクリンパ154は加熱されて、ステントの繊維に圧力を加えることができる。図12に図示される繊維152、クリンパ154、及びマンドレル156を含む領域160の拡大図が図13及び図14に図示される。図13はクリンパ154の内側への動作によって繊維に圧力を加える前の繊維152を図示し、図14はクリンパ154で圧力を加えた後の繊維152を図示する。図14は繊維152がクリンパ154によって平坦化されたことを示す。
【0167】
上述のように、小さな放射線不透過性マーカーを有するステントの製造には困難が伴う。ポリマー製ステントに結合及び/又は埋め込まれた金属フィルムを含むステント及びステントを製造する方法の各種実施形態が本明細書で開示される。金属フィルムは、ステントが使用時に見えるのに十分な放射線不透過性を有することができる。
【0168】
ステントはポリマー製チューブの中及び/又は上に金属フィルムを結合及び/又は埋め込むことによって形成することができる。ステントは例えばレーザー等を用いて金属フィルムを有するチューブ内に相互接続された構造要素のパターンを形成することによって製造することができる。パターンを形成することは、ポリマーの除去とともにポリマーの中又は上の金属フィルムの一部を除去することを含むことができる。
【0169】
特定の実施形態においては、金属フィルムは生体安定性金属、生腐食性金属、又は生体安定性金属及び生腐食性金属の組合せを含むことができる。上述のように、植え込み可能な医療装置を製造するのに用いることができる生腐食性金属の代表例として、マグネシウム、亜鉛、及び鉄が含まれるが、これらに限定されない。植え込み可能な医療装置を製造するのに用いることができる生体安定性金属の代表例として、金又は白金が含まれるが、これらに限定されない。
【0170】
特定の実施形態においては、ステントはその表面の複数部分に結合された金属フィルムを含むことができる。ステントを製造する方法のいくつかの実施形態においては、ポリマー製チューブの表面の少なくとも一部に金属フィルムを結合することを含むことができる。ある実施形態においては金属フィルムはチューブの表面の周りに周方向に配列されたバンドを含むことができる。ステントの長手方向の軸に沿ったバンドの長さは、チューブの長さ以下となりうる。他の実施形態においては、金属フィルムはチューブの表面に沿って長手方向に配列された長手のストリップを含む。
【0171】
図による説明として、図15はチューブ170の表面に周方向に配列された金属バンド174が結合又は接着されたポリマー製チューブ170を図示する。図16はチューブ178の表面に長手方向に配列された金属フィルム182のストリップが結合又は接着されたポリマー製チューブ178を図示する。
【0172】
代わりの実施形態においては、ステントを製造する方法は、ポリマー製シートの表面の少なくとも一部に金属フィルムを結合することを含むことができる。次に、シートは丸められて接着することでチューブを形成することができる。
【0173】
図17は図15におけるチューブ170から製造されたステント200の一部を図示する。ステント200は構造要素208に結合されて、周方向に配列された金属フィルムマーカー204を有する。線A−Aはステントの長手方向の軸に対応する。図18は図16におけるチューブ178から製造されたステント220を図示する。ステント220は構造要素228に結合されて、長手方向に配列された金属マーカー224を有する。線A−Aはステントの長手方向の軸に対応する。
【0174】
いくつかの実施形態においては、金属フィルムはあらゆる好適な生体適合性接着剤を用いてポリマー製チューブに結合することができる。ある実施形態においては、接着剤は溶剤を含むことができる。溶剤はポリマー製チューブのポリマーを溶解し、金属フィルムがチューブに結合することを可能にする。他の実施形態においては接着剤はポリマーと混合した溶剤を含むことができる。溶剤又は溶剤とポリマーとの混合体をチューブに塗付してから金属フィルムを塗付することができる。次に溶剤は、チューブを例えばオーブン等によって加熱することによって除去することができる。
【0175】
溶剤の代表例として、クロロホルム、アセトン、クロロベンゼン、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、二塩化エチレン、2−エチルヘキサノール、及びこれらの組合せを含むがこれらに限定されない。代表的なポリマーは本明細書で開示された選択された溶剤に溶解することができる生体安定性及び生分解性ポリマーを含むことができる。
【0176】
他の実施形態においては、接着剤は例えばエポキシ類、ポリエステル類、及びフェノール類等の熱硬化性樹脂;例えばポリアミド、ポリエステル、及びエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂;並びに例えば天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、及びポリイソブチレン等のエラストマーを含むがこれらに限定されない。他の接着剤として、タンパク質、セルロース、デンプン、ポリ(エチレングリコール)、フィブリン接着剤、並びにこれらの誘導体及び組合せを含むがこれらに限定されない。
【0177】
溶剤と他の物質との混合物を用いて接着剤を生成することができる。いくつかの実施形態において、例えば水とスクロースとの混合物等の水と糖類との混合物を接着剤として用いることができる。他の実施形態においては、PEGの混合物又はこれらの誘導体を好適な溶剤と混合して接着剤を生成することができる。PEG又はその誘導体に好適な溶剤として水、エタノール、クロロホルム、アセトン等が含まれるがこれらに限定されない。
【0178】
他の実施形態において、方法はさらにステントの表面に金属フィルムが結合されたステントの外側の表面上にコーティングを形成することを含むことができる。コーティングは、ステントの表面上の金属フィルムの少なくとも一部分の上に存在することができる。ある実施形態においては、コーテイングは生体安定性又は生分解性ポリマーを含むことができる。ある実施形態においては、コーティングは活性剤又は活性薬剤を含むことができる。コーティングはポリマーと溶剤との混合物を塗付した後に溶剤を除去することによって形成することができる。ある実施形態においては、ポリマーコーティングは生分解性コーティングの実質的又は完全な生分解の前にステントから金属フィルムが離脱することを抑制又は予防することができる。
【0179】
図による説明として、図19はステントの構造要素の一部230の側壁の断面図を図示する。ポリマー製基質238に結合又は接着された金属フィルムマーカー234の上にコーティング232が存在する。コーティング232はマーカー234が基質238から離脱することを抑制する傾向がある。
【0180】
他の実施形態においては、ステントの構造要素は、層の間の複数個所に金属フィルムが埋め込まれた二層の放射方向のポリマー層を含むことができる。特定の実施形態においては、ステントを製造する方法は二層のポリマー層の間に埋め込まれた金属フィルムを含むチューブを形成し、そのチューブからステントを製造することを含むことができる。ある実施形態においては、金属フィルムはポリマー層の間に、チューブの周りに周方向に配列されたバンドであることができる。他の実施形態においては、金属フィルムはポリマー層の間に、チューブの長手方向に沿って配列された長手のストリップであることができる。
【0181】
また、二層のポリマー層の間に埋め込まれた金属フィルムを含むシートを形成することができる。次にシートは丸められて接着されてチューブを形成することができる。
【0182】
図による説明として、図20はステントの構造要素の一部240の側壁の断面図を図示する。金属フィルムマーカー244は内腔側のポリマー層248と内腔から離れたポリマー層252との間に埋め込まれる。
【0183】
いくつかの実施形態においては、チューブの内側のポリマー層の表面上に金属フィルムを置いた状態で、その上にチューブの外側のポリマー層を押し出してチューブを形成することを含むことができる。外側の層を内側の層の上に押し出すことで、金属フィルムを層の間に埋め込むことができる。いくつかの実施形態においては、内側のポリマー層の融解温度は外側の層の融解温度よりも高くなりうる。外側の層は、外側のポリマー層の融解温度より高くかつ内側のポリマー層の融解温度より低い温度で内側の層の上に押し出されることによって、内側の層はその構造的完全性を維持することができる。
【0184】
他の実施形態においては、ステントを形成する方法は、ポリマー製チューブを伸張することによってステントの直径を減少させることを含むことができる。次に、金属バンドの形状の金属フィルムが伸張されたチューブの少なくとも一部の周りに配置される。金属バンドが周りに配置されたポリマー製チューブは続いて加熱される。いくつかの実施形態においては、方法はチューブに金属バンドが結合するように、加熱されたチューブを放射方向に拡張させることを含むことができる。加熱されたチューブは少なくとも金属バンドの直径まで放射方向に拡張することができる。
【0185】
本明細書に開示される植え込み可能な医療装置の実施形態を製造するのに用いることができるポリマーの代表例として、ポリ(N−アセチルグルコサミン)(キチン)、キトサン、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ラクチド−コ−グリコライド)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(オルトエステル)、ポリ酸無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコライド−コ−カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエステルアミド、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート)、エーテル−エステル共重合体(例えばPEO/PLA)、ポリホスファゼン、生分子(例えばフィブリン、フィブリノゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、及びヒアルロン酸)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレン及びエチレン−アルファオレフィン共重合体、ポリアクリレートを除くアクリルポリマー及び共重合体、ハロゲン化ビニルポリマー及び共重合体(例えば、ポリ塩化ビニル)、ポリビニルエーテル(例えばポリビニルメチルエーテル)、ポリハロゲン化ビニリデン(例えばポリ塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族(例えばポリスチレン)、ポリビニルエステル(例えばポリ酢酸ビニル)、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリアミド(例えばナイロン66及びポリカプロラクタム)、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、レーヨン−トリアセテート、セルロース、酢酸セルロース、セルロースブチレート、酢酸セルロースブチレート、セロファン、セルロースナイトレート、セルロースプロピオネート、セルロースエーテル、並びにカルボキシメチルセルロースを含むがこれらに限定されない。本明細書で開示される植え込み可能な医療装置の実施形態の製造に用いるのに特に好適なポリマーのさらなる代表例として、エチレンビニルアルコール共重合体(一般名EVOH又は商取引上の名称EVALで一般に知られている)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(ビニリデンフルオリド−コ−ヘキサフルオロプロペン)(例えばSOLEF21508、Solvay Solexis PVDF、Thorofare、NJから入手可能)、ポリビニリデンフルオリド、(別名KYNAR、ATOFINA Chemicals、Philadelphia、PAから入手可能)、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ(酢酸ビニル)、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体、及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0186】
本発明の特定の実施形態が示されて説明されているが、本発明の広い意図から逸脱することなく変更や改変を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、添付のクレームはその範囲内に本発明の真の意図及び範囲内に含まれるこのような変更や改変を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】ステントを三次元で図示する。
【図2】温度の関数としてポリマーの結晶化速度を概略的に図示する。
【図3】連続的なポリマー相と不連続な繊維相の混合物を概略的に図示する。
【図4】短繊維を有する繊維で強化されたチューブを図示する。
【図5】繊維で強化されたチューブを製造する方法の実施例を図示する。
【図6】Aは繊維層と二層のポリマー層で形成されたチューブの径方向の断面図を二次元で図示する。図6Bは図6Aに示す層の拡大図である。
【図7】らせん状に巻かれた繊維メッシュのチューブを図示する。
【図8】繊維層とポリマー層で形成されたチューブの層を二次元で図示する。
【図9】マンドレルに配置された繊維メッシュチューブを図示する。
【図10】繊維を用いたストラット又は構造要素の配置を図示する。
【図11】複合繊維の径方向の断面図を図示する。
【図12】繊維ステントの繊維を加熱して平坦化するシステムの径方向の断面図を図示する。
【図13】繊維を平坦化する前の、図12に示すシステムの繊維の拡大図である。
【図14】図12に示すシステムの繊維の、平坦化した繊維を示す拡大図である。
【図15】表面に円周方向に配列した金属バンドが結合又は接着されたポリマー製チューブを図示する。
【図16】表面に長手方向に配列した金属フィルムが結合又は接着されたポリマー製チューブを図示する。
【図17】表面に円周方向に配列した金属フィルムを有するステントを図示する。
【図18】表面に長手方向に配列した金属フィルムを有するステントを図示する。
【図19】ポリマー製基板上の金属フィルムを被うコーティングを有するステントの構造要素の一部の側壁の断面図である。
【図20】内腔側の層と内腔から離れた層との間に金属フィルムが埋められたステントの構造要素の一部の側壁の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクスポリマーと前記マトリクスポリマーの融解温度より高い融解温度を有する物質を含む複数の短繊維とを有する混合物を形成するステップと、
前記混合物をチューブ又はシート形成装置に置きチューブ又はシートを形成するステップであって、前記装置は、前記装置内の前記混合物の温度が前記マトリクスポリマーの融解温度より高くかつ前記繊維の前記物質の融解温度より低い温度となるように加熱されて、前記マトリクスポリマーの少なくとも一部が融解ポリマーとなるステップと、
前記マトリクスポリマー及び前記短繊維を有する前記チューブ又はシートからステントを製造するステップと、
を備えるステントを製造する方法。
【請求項2】
前記マトリクスポリマーは、生分解性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維の前記物質は、生分解性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維の前記物質は、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維の前記物質は、放射線不透過性物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物は、活性剤を含む、請求項1に記載の方法
【請求項7】
前記繊維の少なくとも一部は、活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記短繊維の少なくとも一部の長さは、前記形成されたチューブの長さより実質的に短い、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記混合物は、混合装置内において、前記マトリクスポリマーの融解温度より高くかつ前記繊維の前記物質の融解温度より低い温度で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記チューブは、チューブ又はシートを射出成形によって形成することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記チューブを形成するステップは、チューブ又はシートを混合物から押し出すステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記形成されたチューブ又はシートは、前記マトリクスポリマーの融解温度より低い温度に冷却されて、前記形成されたチューブ内の前記マトリクスポリマーの大部分が非結晶性、結晶性、又は部分的に結晶性となる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステントを製造するステップは、前記形成されたチューブに複数の相互接続した構造要素を備えるパターンを形成するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステントを製造するステップは、チューブを前記シートから形成するステップと、前記形成されたシート上に複数の相互接続した構造要素を備えるパターンを形成するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記マトリクスポリマーと前記短繊維とを備えた前記チューブを放射方向に変形し、チューブの周方向の強度と剛性とを増加させ及び/又は少なくとも一部の前記繊維の周方向の配列を向上させるステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法で製造されたステント。
【請求項17】
少なくとも一層の繊維層と少なくとも一層のポリマーフィルム層とを備えたチューブを形成するステップであって、少なくとも一層の繊維層の繊維は少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高い融解温度を有する物質を含むステップと、
前記チューブを少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高くかつ前記繊維の前記物質の融解温度より低い温度に加熱し、少なくとも一層のポリマーフィルム層のポリマーの少なくとも一部を融解し、少なくとも一層の繊維層の少なくとも一部が少なくとも一層のポリマーフィルム層の前記融解ポリマーの少なくとも一部に埋め込まれるステップと、
前記加熱されたチューブを冷却するステップと、
前記冷却されたチューブからステントを製造するステップと、
を備えるステントを製造する方法。
【請求項18】
少なくとも一層のポリマーフィルム層は、生分解性ポリマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも一層の繊維層の前記繊維の前記物質は、生分解性ポリマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも一層の繊維層の前記繊維の前記物質は、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも一層の繊維層の前記繊維の前記物質は、放射線不透過性物質を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも一層の繊維層が少なくとも一層のフィルム層と交互になる、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも一層の繊維層は、織物構造を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも一層の前記ポリマーフィルム層は、活性剤を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記繊維の少なくとも一部は、活性剤を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記チューブを形成するステップは、少なくとも一層をマンドレル上に置くステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記加熱されたチューブは、少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より低い温度に冷却されて、融解された前記ポリマーの大部分が非結晶性、結晶性、又は部分的に結晶性となる、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
ステントを製造するステップは、前記チューブに複数の相互接続した構造要素を備えるパターンを形成するステップを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記加熱されたチューブを放射方向に変形し、チューブの周方向の強度及び剛性を増加させるステップをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも一層の繊維層の前記チューブの円筒軸に対する繊維の配向は、他の繊維層の繊維の配向と異なりうる、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも一層の繊維層の前記チューブの円筒軸に対する繊維の配向は90°より大きく、他の繊維層の繊維の配向は90°未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
請求項17に記載の方法で製造されたステント。
【請求項33】
少なくとも一層の繊維層と少なくとも一層のポリマーフィルム層とを備えた層状シートを形成するステップであって、少なくとも一層の繊維層の繊維は少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高い融解温度を有する物質を含むステップと、
前記層状シートを少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高くかつ前記繊維の前記物質の融解温度より低い温度に加熱し、少なくとも一層のポリマーフィルム層のポリマーの少なくとも一部を融解し、前記繊維の少なくとも一部が少なくとも一層のポリマーフィルム層の前記融解ポリマーの少なくとも一部に埋め込まれるステップと、
前記加熱された層状シートを冷却するステップと、
前記冷却されたシートからステントを製造するステップと、
を備えるステントを製造する方法。
【請求項34】
少なくとも一層のポリマーフィルム層は、生分解性ポリマーを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも一層の繊維層の前記繊維の前記物質は、生分解性ポリマーを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも一層の繊維層の前記繊維の前記物質は、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも一層の繊維層の前記繊維の前記物質は、放射線不透過性物質を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも一層の繊維層は少なくとも一層のポリマーフィルム層と交互になる、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記ステントを製造するステップは、前記層状シートからチューブを形成し、前記チューブ及び/又は前記層状シートに複数の相互接続した構造要素を備えるパターンを形成するステップを備える、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記ポリマーフィルム層の少なくとも一層は、活性剤を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記繊維の少なくとも一部は、活性剤を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記加熱された層状シートを冷却するステップをさらに備える、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記繊維はナノ繊維である、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記加熱されたシートは、前記ポリマーフィルムの融解温度より低い温度に冷却されて、融解された前記ポリマーの大部分が非結晶性、結晶性及び/又は部分的に結晶性となる、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
ステントを製造するステップは、前記シートに複数の相互接続した構造要素を備えるパターンを形成し、前記シートからチューブを形成するステップを備える、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
ステントを製造するステップは、前記シートからチューブを形成し、前記シートに複数の相互接続した構造要素を備えるパターンを形成するステップを備える、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
請求項33に記載の方法で製造されたステント。
【請求項48】
複数の繊維を含むチューブ状の繊維層上にコーティングポリマーを含むコーテイング層を形成するステップであって、前記コーティング層は溶剤に溶解したコーティングポリマーを含む流動体を塗付して、前記溶剤の全部又は大部分を、塗付された流動体から除去することによって形成し、前記繊維は前記溶剤内で不溶性又は比較的低い溶解性を有する物質を含み、前記物質は前記コーティングポリマーの融解温度より高い融解温度を有するステップと、
前記コーティングされた繊維層からステントを製造するステップと、
を備えるステントを製造する方法。
【請求項49】
前記コーティングポリマーは、生分解性ポリマーを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも一層の繊維層の前記繊維の前記物質は、生分解性ポリマーを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記繊維の前記物質は、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記繊維の前記物質は、放射線不透過性物質を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記コーティング層は、活性剤を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記繊維の少なくとも一部は、活性剤を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記チューブ状繊維層は織物構造を有する、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記流動体を塗付するステップは、前記流動体を前記チューブに噴霧するステップ及び/又は前記溶剤に前記チューブを浸漬するステップを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項57】
前記コーティング層を前記コーティングポリマーの融解温度より高い温度に加熱し、前記コーティングポリマーの融解温度より低い温度に前記コーティング層を冷却して、前記コーティング層の大部分が非結晶性、結晶性、及び/又は部分的に結晶性となるステップをさらに備える、請求項48に記載の方法。
【請求項58】
前記コーティングされたチューブを放射方向に変形し、前記チューブの周方向の強度及び剛性を増加させるステップをさらに備える、請求項48に記載の方法。
【請求項59】
前記繊維層はマンドレル上に置かれる、請求項48に記載の方法。
【請求項60】
前記繊維層は前記コーティングポリマーを含むコーティング層の上のマンドレル上に置かれる、請求項48に記載の方法。
【請求項61】
請求項48に記載の方法で製造されたステント。
【請求項62】
構造体を形成するための型内に複数の繊維を置くステップと、
部分的に又は完全に融解されたマトリクスポリマーを前記型内に置き、前記融解ポリマー内に前記繊維を少なくとも部分的に埋め込むステップであって、前記繊維は、前記マトリクスポリマーの融解温度より高い融解温度を有する物質を含み、前記型内の前記マトリクスポリマー及び前記繊維の温度は、前記繊維物質の融解温度より低いステップと、
前記融解ポリマーを冷却して前記構造体を形成するステップと、
前記冷却された構造体からステントを製造するステップと、
を備えるステントを製造する方法。
【請求項63】
前記マトリクスポリマーは、生分解性ポリマーを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記繊維の前記物質は、生分解性ポリマーを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記繊維の前記物質は、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記繊維の前記物質は、放射線不透過性物質を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記繊維の前記物質は、生分解性ポリマーを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記繊維の前記物質は、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項69】
前記繊維の前記物質は、放射線不透過性物質を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項70】
前記型内に活性剤を置くステップをさらに備える、請求項62に記載の方法。
【請求項71】
前記繊維の少なくとも一部は、活性剤を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項72】
前記繊維を型内に置くステップは、前記型内に置かれたマンドレルの周りに前記繊維を置くステップを備える、請求項62に記載の方法。
【請求項73】
前記繊維を型内にランダム又は実質的にランダムな態様で置く、請求項62に記載の方法。
【請求項74】
前記構造体はチューブ又はシートを備える、請求項62に記載の方法。
【請求項75】
前記構造体はシートを備え、ステントを製造するステップは、前記シートからチューブを形成し、前記チューブに複数の相互接続した構造要素を備えるパターンを形成するステップを備える、請求項62に記載の方法。
【請求項76】
前記構造体はチューブを備え、ステントを製造するステップは、前記チューブに複数の相互接続した構造要素を備えるパターンを形成するステップを備える、請求項62に記載の方法。
【請求項77】
前記構造体は、前記マトリクスポリマーの融解温度より低い温度に冷却されて、前記形成された構造体内の前記マトリクスポリマーの大部分が非結晶性、結晶性、及び/又は部分的に結晶性となる、請求項62に記載の方法。
【請求項78】
前記構造体はチューブを備え、前記形成されたチューブを放射方向に変形し、前記チューブの周方向の強度及び剛性を増加させるステップをさらに備える、請求項62に記載の方法。
【請求項79】
請求項68に記載の方法で製造されたステント。
【請求項80】
構造体を形成するための押出機に複数の繊維を置くステップと、
前記押出機にマトリクスポリマーを搬送するステップであって、前記繊維は前記マトリクスポリマーの融解温度より高い融解温度を有する物質を含むステップと、
前記構造体を前記マトリクスポリマーの融解温度より高くかつ前記物質の融解温度より低い温度で前記押出機を用いて形成するステップであって、前記繊維の少なくとも一部が前記マトリクスポリマー内に埋め込まれるステップと、
前記冷却された構造体からステントを製造するステップと、
を備えるステントを製造する方法。
【請求項81】
前記マトリクスポリマーは、生分解性ポリマーを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記繊維の前記物質は、生分解性ポリマーを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記繊維の前記物質は、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記繊維の前記物質は、放射線不透過性物質を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
活性剤を押出機内に搬送するステップをさらに備える、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記繊維の少なくとも一部は、活性剤を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
前記押出機内に複数の繊維を置くステップは、マンドレルの周りに前記繊維を置くステップを備える、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
前記押出機内に複数の繊維を置くステップは、前記繊維を前記押出機内にランダム又は実質的にランダムな態様で置くステップを備える、請求項80に記載の方法。
【請求項89】
前記構造体はシートを備え、ステントを製造するステップは、前記シートからチューブを形成し、前記チューブ内に複数の相互接続した構造要素を備えるパターンを形成するステップを備える、請求項80に記載の方法。
【請求項90】
前記構造体はチューブを備え、ステントを製造するステップは、前記チューブ内に複数の相互接続した構造要素を備えるパターンを形成するステップを備える、請求項80に記載の方法。
【請求項91】
前記構造体は、前記マトリクスポリマーの融解温度より低い温度に冷却されて、前記形成された構造体内の前記マトリクスポリマーの大部分が非結晶性、結晶性、又は部分的に結晶性となる、請求項80に記載の方法。
【請求項92】
前記構造体はチューブを備え、前記形成されたチューブを放射方向に変形し、前記チューブの周方向の強度及び剛性を増加させるステップをさらに備える、請求項80に記載の方法。
【請求項93】
請求項80に記載の方法で製造されたステント。
【請求項94】
二種の繊維を含む繊維メッシュチューブを加熱するステップであって、第一繊維は第一ポリマーを有し、第二繊維は第二ポリマーを有し、前記第一ポリマーは前記第二ポリマーの軟化温度より低い軟化温度を有し、前記チューブは前記第一ポリマーの軟化温度と前記第二ポリマーの軟化温度との間の温度範囲に加熱されるステップと、
前記チューブに圧力を加えて、前記チューブの少なくとも一部の繊維を平坦化して前記チューブの放射方向の外形を縮小するステップと、
を備えるステントを製造する方法。
【請求項95】
前記第一ポリマーは、生体安定性及び/又は生分解性ポリマーを含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記第二ポリマーは、生体安定性及び/又は生分解性ポリマーを含む、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記チューブは、加熱される間、マンドレル上に置かれる、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
加熱されたクリンパを用いて圧力が加えられる、請求項94に記載の方法。
【請求項99】
前記チューブの直径は、加熱される間固定される、請求項94に記載の方法。
【請求項100】
前記チューブは、前記チューブの製造された直径又はそれに近い数値となるように加熱及び加圧される、請求項94に記載の方法。
【請求項101】
前記チューブの温度は、選択された時間の間、前記温度範囲内に保たれて、前記チューブの熱処理が行われる、請求項94に記載の方法。
【請求項102】
加熱及び/又は圧力を加えて少なくとも一部の繊維を平坦化する前、最中又は後に前記チューブの放射方向の拡張を行うステップをさらに備える、請求項94に記載の方法。
【請求項103】
前記第一ポリマーは、前記第二ポリマーより低い融解温度を有する、請求項94に記載の方法。
【請求項104】
前記温度範囲は、前記第一ポリマー及び前記第二ポリマーの融解温度より低い、請求項94に記載の方法。
【請求項105】
前記温度範囲は、前記第二ポリマーのガラス転位温度より低い、請求項94に記載の方法。
【請求項106】
前記加えられた圧力によって、前記繊維のネットポイントの少なくとも一部の放射方向の外形が縮小する、請求項94に記載の方法。
【請求項107】
請求項94に記載の方法で製造されたステント。
【請求項108】
繊維メッシュチューブを加熱するステップであって、前記チューブの少なくとも一部の繊維は第一ポリマーと第二ポリマーとを含み、前記第一ポリマーは前記第二ポリマーの軟化温度より低い軟化温度を有し、前記チューブは前記第一ポリマーの軟化温度と前記第二ポリマーの軟化温度との間の温度範囲に加熱されるステップと、
前記チューブに圧力を加えて、前記チューブの少なくとも一部の繊維を平坦化して前記チューブの放射方向の外形を縮小するステップと、
を備えるステントを製造する方法。
【請求項109】
前記チューブの少なくとも一部の繊維は、内核及び外側の被膜を有し、前記内核は前記第一ポリマーを含み、前記外側の被膜は前記第二ポリマーを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記チューブの少なくとも一部の繊維は、前記第一ポリマーと前記第二ポリマーとの混合物を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記第一ポリマーは、生体安定性及び/又は生分解性ポリマーを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項112】
前記第二ポリマーは、生体安定性及び/又は生分解性ポリマーを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項113】
前記チューブは、加熱される間、マンドレル上に置かれる請求項108に記載の方法。
【請求項114】
加熱されたクリンパを用いて圧力が加えられる、請求項108に記載の方法。
【請求項115】
前記チューブの直径は、加熱される間固定される、請求項108に記載の方法。
【請求項116】
前記チューブは、前記チューブの製造された直径又はそれに近い数値となるように加熱及び加圧される、請求項108に記載の方法。
【請求項117】
前記チューブの温度は、選択された時間の間、前記温度範囲内に保たれて、前記チューブの熱処理が行われる、請求項108に記載の方法。
【請求項118】
加熱及び/又は圧力を加えて少なくとも一部の繊維を平坦化する前、最中又は後に前記チューブの放射方向の拡張を行うステップをさらに備える、請求項108に記載の方法。
【請求項119】
前記チューブを加熱及び/又は圧力を加えて少なくとも一部の繊維を平坦化する前、最中、又は後に前記チューブを圧着するステップをさらに備える、請求項108に記載の方法。
【請求項120】
前記第一ポリマーは、前記第二ポリマーより低い融解温度を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項121】
前記温度範囲は、前記第一ポリマー及び前記第二ポリマーの融解温度より低い、請求項108に記載の方法。
【請求項122】
前記温度範囲は、前記第二ポリマーのガラス転移温度より低い、請求項108に記載の方法。
【請求項123】
前記加えられた圧力によって、前記繊維の少なくとも一部のネットポイントの放射方向の外形が縮小する、請求項108に記載の方法。
【請求項124】
請求項108に記載の方法でステントを製造する方法。
【請求項125】
金属フィルムをポリマー製チューブの表面の少なくとも一部に結合するステップと、
前記金属フィルムを有する前記チューブからステントを製造するステップであって、前記金属フィルムが前記ステントの表面の少なくとも一部を覆うステップと、
を備えるステントを製造する方法。
【請求項126】
前記金属フィルムは、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記ステントの表面の一部分の上にある前記金属フィルムの少なくとも一部分の上にコーティングを形成するステップをさらに備える、請求項125に記載の方法。
【請求項128】
前記金属フィルムは、ポリマー製チューブの表面の少なくとも一部分に生体適合性接着剤を用いて結合される、請求項125に記載の方法。
【請求項129】
前記ポリマー製チューブは、生体安定性及び/又は生分解性ポリマーを含む、請求項125に記載の方法。
【請求項130】
前記金属フィルムは、前記チューブの表面の周りに周方向に配列されたバンドを含む、請求項125に記載の方法。
【請求項131】
前記金属フィルムは、前記チューブの表面に沿って長手方向に配列された長手のストリップを含む、請求項125に記載の方法。
【請求項132】
前記ステントを製造するステップは、前記金属フィルムを有する前記チューブにパターーンを形成するステップであって、前記パターンは複数の相互接続した構造要素を含むステップを備える、請求項125に記載の方法。
【請求項133】
請求項125に記載の方法で製造されたステント。
【請求項134】
二層の放射方向のポリマー層の間に金属フィルムを有するチューブを形成するステップと、
前記チューブからステントを製造するステップと、
を備えるステントを製造する方法。
【請求項135】
前記チューブは内側のチューブ状のポリマー層を覆うように外側のチューブ状のポリマー層を押し出して形成され、前記内側の層はその表面上に置かれた金属フィルムを含む、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記ポリマー層は、生体安定性及び/又は生分解性ポリマーを含む、請求項134に記載の方法。
【請求項137】
前記金属フィルムは、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項134に記載の方法。
【請求項138】
前記金属フィルムは、前記層の間に、前記チューブの円周の周りに周方向に配列されたバンドを含む、請求項134に記載の方法。
【請求項139】
前記金属フィルムは、前記ポリマー層の間に、前記チューブに沿って長手方向に配列された長手のストリップを含む、請求項134に記載の方法。
【請求項140】
前記ステントを製造するステップは、前記チューブにパターンを形成するステップであって、前記パターンは複数の相互接続した構造要素を含むステップを備える、請求項134に記載の方法。
【請求項141】
請求項134に記載の方法で製造されたステント。
【請求項142】
ポリマー製のチューブを伸張し、ステントの直径を減少させるステップと、
前記伸張されたチューブの周囲の周りに金属バンドを置くステップと、
前記チューブの周りに配置された前記金属バンドを有する前記伸張されたチューブを加熱するステップと、
前記加熱されたチューブを放射方向に拡張させることによって、前記金属バンドを前記チューブに結合させるステップと、
前記伸張されたチューブからステントを製造するステップと、
を備えるステントを製造する方法。
【請求項143】
前記金属バンドは、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記加熱されたチューブは、少なくとも前記金属バンドの直径に放射方向に拡張する、請求項142に記載の方法。
【請求項145】
前記ポリマー製チューブは、生体安定性及び/又は生分解性ポリマーを含む、請求項142に記載の方法。
【請求項146】
前記ステントを製造するステップは、前記拡張されたチューブにパターンを形成するステップであって、前記パターンは複数の相互接続した構造要素を含むステップを備える、請求項142に記載の方法。
【請求項147】
請求項142に記載の方法で製造されたステント。
【請求項148】
複数の相互接続した構造要素を備えた放射方向に拡張可能なステントであって、
前記構造要素はマトリクスポリマーに少なくとも部分的に埋め込まれた繊維を含み、
前記繊維は前記マトリクスポリマーの融解温度より高い融解温度を有する物質を含み、
前記繊維は前記マトリクスポリマーより高い前記繊維の軸に沿った強度及び弾性率により、前記ステントを機械的に強化するように構成される、
ステント。
【請求項149】
複数の相互接続した構造要素を備えた放射方向に拡張可能なステントであって、
前記構造要素は、少なくとも一層の放射方向の繊維層及び少なくとも一層の放射方向のポリマーフィルム層を有し、
前記繊維は少なくとも一層のポリマーフィルム層の融解温度より高い融解温度を有する物質を含み、
少なくとも一層の繊維層は少なくとも一層のポリマーフィルム層に少なくとも部分的に埋め込まれ、
前記繊維は前記ポリマーフィルム層より高い前記繊維の軸に沿った強度及び弾性率により、前記ステントを機械的に強化するように構成される、
ステント。
【請求項150】
複数の構造要素を備えた放射方向に拡張可能なステントであって、
前記構造要素は、少なくとも二層の放射方向の繊維層及び少なくとも一層の放射方向のポリマーフィルム層を有し、
少なくとも一層の繊維層の少なくとも一部は少なくとも一層のポリマーフィルム層の少なくとも一部に埋め込まれ、
少なくとも一層の繊維層の繊維の前記ステントの円筒軸に対する配向は、他の繊維層の繊維の配向と異なる、
ステント。
【請求項151】
少なくとも一層の繊維層の繊維の前記ステントの円筒軸に対する配向は、90°より大きく、他の繊維層の繊維の配向は、90°より小さい、請求項150に記載のステント。
【請求項152】
少なくとも二種の繊維から織られた放射方向に拡張可能なステントであって、
第一繊維は第一ポリマーを有し、第二繊維は第二ポリマーを有し、
前記第一ポリマーは前記第二ポリマーの軟化温度より低い軟化温度を有し、
前記繊維の少なくとも一部は放射方向の外形が平坦化し、これによりチューブの放射方向の外形が縮小する、
ステント。
【請求項153】
第一ポリマーと第二ポリマーとを有する繊維から織られた放射方向に拡張可能なステントであって、
前記第一ポリマーは前記第二ポリマーの軟化温度より低い軟化温度を有し、
前記繊維の少なくとも一部は放射方向の外形が平坦化し、これによりチューブの放射方向の外形が縮小する、
ステント。
【請求項154】
ステントの表面の複数の部分に結合した金属フィルムを有する放射方向に拡張可能なステントであって、
前記金属フィルムは、十分に放射線不透過性であることで、前記ステントを使用中に見ることができる、
ステント。
【請求項155】
前記金属フィルムは、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項153に記載の装置。
【請求項156】
前記金属フィルムを有する表面の複数の部分の少なくとも一部は、その上にコーティングをさらに備える、請求項153に記載の装置。
【請求項157】
前記ポリマー製チューブは、生体安定性及び/又は生分解性ポリマーを含む、請求項153に記載の装置。
【請求項158】
前記複数の部分は周方向に配列される、請求項153に記載の装置。
【請求項159】
前記複数の部分は長手方向に配列される、請求項153に記載の装置。
【請求項160】
複数の相互接続した構造要素を備えた放射方向に拡張可能なステントであって、
前記構造要素は層の間の複数個所に金属フィルムが埋め込まれた二層の放射方向のポリマー層を有し、前記金属フィルムは十分に放射線不透過性であることで、前記ステントを使用中に見ることができる、
ステント。
【請求項161】
前記ポリマー層は、生体安定性及び/又は生分解性ポリマーを含む、請求項160に記載の装置。
【請求項162】
前記金属フィルムは、生体安定性及び/又は腐食性金属を含む、請求項160に記載の装置。
【請求項163】
前記複数の部分は周方向に配列される、請求項160に記載の装置。
【請求項164】
前記複数の部分は長手方向に配列される、請求項160に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2009−507528(P2009−507528A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526965(P2008−526965)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/030169
【国際公開番号】WO2007/021558
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】