説明

繊維複合部品を製造するための繊維複合材の製造方法

本発明は、樹脂に添加される1種類または複数種類の充填物質と樹脂・充填物質混合物に添加される補強繊維とを備えた繊維複合材の製造方法に関わる。樹脂または樹脂・充填物質混合物には、繊維以外に、粉砕した繊維材を繊維粉砕物として添加する。本発明は、さらに、樹脂マトリックスと補強繊維と場合によっては充填物質とを含むSMC成形材にも関わり、充填物質は、補強繊維をも構成する材料から成る粉砕物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維複合部品を製造するための繊維複合材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の繊維複合材は、補強繊維と、充填物質を添加したマトリックスから成り、マトリックスは樹脂系である。反応性樹脂と結合させた充填物質は広範囲で使用される。
【0003】
充填物質として通常使用されるのは、炭酸カルシウム、ドロマイト、カオリン、タルカン、石英、ウォラストナイト、酸化アルミニウム三水和物、三酸化アンチモン、重晶石、或いはガラス中空玉である。
【0004】
しかしながら、従来から技術水準で知られている充填物質を使用すると、鏡のような滑らかな表面を備えた繊維複合部品は得られない。鏡のような滑らかな表面とは、今日自動車産業において要求されるクラスA「可視部品」に相当する表面である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、繊維複合部品の機械的特性および光学的特性(クラスAの表面)を改善させ、さらに従来慣用されている方法よりも迅速に、よって低コストに生産させることのできる方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本来の補強繊維(たとえば炭素繊維)の材料から成る充填物質を使用することにより、従来のものよりも有利な特性を備えた極めて均質な部品が得られる。加えて部品の表面は非常に滑らかであり、したがって自動車産業における可視部品に対する主要な要求であるクラスAの表面を達成可能である。暖気または冷気において不具合な応力は発生せず、部品は後でリサイクルが容易であり、低コストなリサイクルも可能である。
【0007】
樹脂(好ましくは高反応性の反応性樹脂)、すなわち後のマトリックスには、充填物質として、本来の補強繊維の材料から成っている物質が添加される。このため、充填材を細かく粉砕または切断して樹脂に混入する。粉砕物は2mm以下のサイズを有しているのが好ましく、切断繊維は20mm以下のサイズを有しているのが好ましい。
【0008】
本発明は、さらに、前記充填物質のうちの1つまたは2つを備えた樹脂フィルムにも関わり、すなわち繊維複合部品の本来の補強繊維から成る粉砕物または切断繊維を備えた樹脂フィルムにも関わる。この樹脂フィルムはたとえば織物、編み物、メリヤス、無方向性または多軸性の束(Gelege)等の繊維半製品と組み合わせることができる。
【0009】
また、充填物質を従来のプレプレグ材と組み合わせてもよい。この場合、充填物質をプレプレグ材の上に散布するか吹き付ける。
【0010】
さらに、噴射方法により織物、編み物、メリヤス、無方向性または多軸性の束等の繊維半製品の上に樹脂充填物質混合物を被着させてもよい。被着後、前記繊維半製品をたとえばレターフォームへさらに加工する。
【0011】
本発明は、さらに、SMC成形材にも関わる。SMC成形材、すなわちSheet-Moulding-Compound(シートモールディングコンパウンド)成形材は、樹脂マトリックス系と、補強繊維と、場合によっては充填物質とから成っている。この場合、本発明によれば、充填物質または付加的な充填物質は、補強繊維を構成する材料から成る粉砕物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強繊維と樹脂と充填物質とを含む繊維複合部品を製造するための繊維複合材の製造方法において、充填物質が粉砕した補強繊維および/または切断した補強繊維を含んでいることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
粉砕した充填物質の粒径が2mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
切断繊維のサイズが20mm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
粉砕物および/または切断した補強繊維に、後に繊維複合部品のマトリックスを形成する樹脂を混合させることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項5】
樹脂充填物質混合物をフィルムに加工することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項6】
樹脂充填物質フィルムを、たとえば織物、編み物、メリヤス、無方向性または多軸性の束等の繊維半製品の上に被着させることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
本来の繊維半製品をたとえば予成形品として部品の型に収容する前に、樹脂充填物質フィルムをそのようなものとして部品の型に装入することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項8】
樹脂・充填物質混合物を噴射方法で繊維半製品の上に被着させるか、或いは、部品の型に被着させることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項9】
樹脂・充填物質混合物で噴射処理した繊維半製品を予成形品の製造にも利用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項10】
樹脂マトリックスと補強繊維と場合によっては充填物質とを含むSMC成形材において、充填物質または付加的な充填物質が、補強繊維をも構成する材料から成る粉砕物であることを特徴とするSMC成形材。

【公表番号】特表2008−510844(P2008−510844A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526191(P2007−526191)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001247
【国際公開番号】WO2006/021172
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(506305311)ゼルテクス ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (2)
【Fターム(参考)】