説明

織物、繊維及び薄膜とともに使用するための疎水性添加剤

本発明は、織物、繊維、及び薄膜とともに使用するための疎水性添加剤に関する。本発明の一態様が、不織織物の疎水性を高めるために、不織織物の用意に使用するためのマスターバッチ組成を具える。一実施例では、マスターバッチ組成がポリマー及び脂質エステルを有する。脂質エステルは、マスターバッチの10重量%乃至40重量%を含む。織物は、マスターバッチ組成を有する場合、ASTM D2578の試験方法にしたがって測定された場合に、100°乃至125°の接触角を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物、繊維、及び薄膜とともに使用するための疎水性添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
不織織物は、多くの環境で使用され、汚染された体液を含む流体に対するバリアを与える。汚染された体液は、低い表面張力を有する流体である。一般に、不織織物は、十分なバリア材料として考えるために、低い表面張力を有する流体の効果的な撥水性を実現するために、コーティング又は薄膜を有する。不織織物は、当技術得分野で知られた方法によって製造し得る。また、不織織物を組み込んだ製品は、従来の製造方法によって製造される。現在のところ、フッ素化された及びシリコーンベースの組成が不織織物製品に適用されるコーティング及び薄膜に含まれており、低い表面張力を有する流体の効果的な撥水性を実現している。
【0003】
しかしながら、皮膚に接触するフッ素化されたコーティングに長期間晒される間に、皮膚炎を患う人々がいる。製造プロセスの際の不織織物へのシリコーン化合物の適用は、非常に難しく、大きな労働力を要する。
【0004】
必要とされるのは、低い表面張力を有する流体を撥くが、長期間接する間に皮膚炎を引き起こさず、比較的容易且つ安価に製造可能な、織物、繊維、及び薄膜のための組成である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様が、不織織物の疎水性を高めるために不織織物を調整するのに使用するためのマスターバッチ組成を含む。一実施例では、マスターバッチ組成が、ポリマー及び脂質エステルを含む。脂質エステルは、マスターバッチの10重量%乃至40重量%を構成する。織物は、マスターバッチ組成を含む場合、ASTM D2578の試験方法にしたがって測定した場合、100°乃至125°の接触角を有する。
【0006】
本発明のさらに別の実施例では、繊維の疎水性を高めるためにステープル繊維とともに使用するためのマスターバッチの調整方法が、第1のポリマーとトリグリセリドとを混ぜ合わせてマスターバッチを形成することを含む。トリグリセリドエステルが、マスターバッチの10重量%乃至95重量%を構成する。このマスターバッチは、薄膜として成形した場合に、ASTM D2578の試験方法にしたがって測定した場合、100°乃至120°の接触角を有する。
【0007】
本発明のさらに別の実施例では、不織織物とともに使用するためのマスターバッチの調整方法が、担体熱可塑性ポリマーと脂質エステルとを混ぜ合わせることを含む。脂質エステルは、マスターバッチの10重量%乃至95重量%を構成する。このマスターバッチは、織物として成形した場合、ASTM D2578の試験方法にしたがって測定した場合、110°乃至120°の接触角を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、発明者に現在知られた本発明を実施する最良の形態を寄与する現在のところ好適な本発明の組成物、実施例及び方法を詳細に言及することとする。しかしながら、開示された実施例は、様々な且つ代替的な形式で実施し得る本発明の単なる典型例であることに留意されたい。したがって、ここで開示される特定の詳細は限定するのではなく、本発明の態様に関する代表的な原則及び/又は本発明を様々に採用するために当業者に示唆するための代表的な原則として解釈すべきである。
【0009】
実施例を除いて又は明示的に示さない限り、材料の量、反応条件、又は使用法を示す本明細書の総ての数は、本発明の最も広い範囲を説明するために、「約」という用語に代えられることに留意されたい。言及される数値的限定の中での実施が好適である。また、反対のものを明示的に示さない限り:
パーセント及び比の値は重量により;
「ポリマー」という用語は、「オリゴマー」、「コポリマー」、「二量体」、「三元重合体」、「四量体」等を含む;
本発明に関連して所定の目的に関して適切且つ好適なものとして記載される材料群又はクラスは、これらの材料の任意の2又はそれ以上が混合され等しく適切であり又は好適であることを示す;
化学用語に記載された構成物質は、本明細書で特定される任意の組み合わせへの添加時点での構成物質に関し、混合の際の混合物構成間の化学的相互作用を除外するものではない;
頭字語の第1の定義又は他の略語は、ここで使用される以下の同じ略語に適用され、初めに定義された略語の通常の文法的バリエーションに準用する;
反対のものを明示的に示さない限り、特性の測定値は、同じ特性に関する上記又は下記のような同じ技術によって測定される。
【0010】
マスターバッチは、原料の残りとの後の希釈に関して、通常の混合物に生じるものよりも高濃度の特殊の添加剤と同様に、少量の重要な原料を扱うのに便利な製品を提供する。
【0011】
本発明の少なくとも1つの実施例では、マスターバッチ組成が、織物の疎水性を高めるための不織織物を調整する際に使用のために混合される。マスターバッチは、担体として及び任意に抗酸化物質として機能するマスターバッチポリマーを含んでいる。さらに、マスターバッチは、トリグリセリドといった脂質エステルを含む。脂質エステルは、少なくとも一実施例では、グリセロールに結合された3つの脂肪酸を含む。本発明の少なくとも一実施例では、トリグリセリドエステルは、グリセロールポリマー骨格を含む。脂肪酸は、脂肪酸エステルを形成するグリセロールポリマー骨格から張り出している。脂肪酸は、植物、動物、及び/又は合成原料に由来する。例えば、植物の脂肪酸は、一般に、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、及びリノレン酸といった多量の不飽和脂肪酸を含む。別の実施例では、より一般にはステアリン酸と称されるオクタデカン酸は、植物油と同様に、動物の脂肪及び動物油に由来する。また、ステアリン酸は、綿実油といった植物油の水素化によって調整し得る。さらに別の実施例では、トリグリセリドエステルが、CAS登録番号68334−28−1を有するものといった混合水素化野菜油を含む。
【0012】
織物の疎水性を高めることは、一般に、ベースポリマーよりも低い表面エネルギを有する添加剤の添加によって得られるポリマーの表面エネルギの低下を含む。脂質エステルがトリステアリン酸グリセロールといったトリグリセリドエステルである一実施例では、得られるポリマーの低い表面エネルギは明らかではない。トリステアリン酸グリセロールは、文献値によれば表面エネルギが29.4乃至30.1mJ/mである典型的なポリプロピレンといった多くのポリマーの表面エネルギよりも比較的高い34.2mJ/mの表面エネルギを有する。
【0013】
本発明の少なくとも一実施例では、ハロゲン原子が、脂質エステルの10重量%よりも低い。本発明の別の実施例では、ハロゲン原子が、脂質エステルの1重量%よりも低い。本発明のさらに別の実施例では、ハロゲン原子が、脂質エステルの0.1重量%よりも低い。トリグリセリドエステルの他の実施例では、実質的にハロゲンを含まない。ある実施例では、トリグリセリドエステルが、検出できない結合及び/又はイオン化ハロゲンを含む。
【0014】
ジ−又はトリ−グリセリドといった2以上のエステル結合を有する脂肪酸では、脂肪酸由来の群が同じであり、又は2又は3以上の異なる脂肪酸由来の群であることが理解されよう。さらに、添加剤の組成が、本発明の範囲から逸脱せずに、1分子当たり同じ脂肪酸由来の群を具える及び/又は異なる脂肪酸由来の群を具えるモノ−ジ−及び/又はトリ−脂肪酸エステルの混合物(例えば、モノ−ジ−及び/又はトリグリセリド)を含むことが理解されよう。
【0015】
少なくとも一実施例において好適な脂肪酸は、C脂肪酸乃至C30脂肪酸であり;別の実施例ではC12脂肪酸乃至C22脂肪酸である。適切な植物の脂肪酸は、一般に、不飽和脂肪酸である。脂肪酸は、アラキジン酸(arachidec acid)、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸(limoleic acid)、リノレン酸、及びアラキドン酸を含む群から適切に選択される。
【0016】
さらに別の実施例では、特に飽和が脂肪酸前駆体の水素化の結果として生じる場合に、実質的に飽和した脂肪酸が好適である。脂肪酸は、[1]に示すようなC12脂肪酸乃至C22脂肪酸である。


ここで、R、R、及びRは、それぞれ11乃至21の炭素原子の数を有する。少なくとも1の他の実施例では、脂肪酸は、C16脂肪酸乃至C20脂肪酸である。さらに、少なくとも一実施例では、実質的に飽和した脂肪酸が、特に飽和が脂肪酸前駆体の水素化の結果として生じる場合に好適である。さらに、少なくとも一実施例では、C18脂肪酸、ステアリン酸が好適である。ステアリン酸−置換脂肪酸の一例は、555−43−1のCAS登録番号を有する[2−オクタデカノイルオキシル−(オクタデカノイルオキシメチル)エチル]オクタデカン酸塩である。好適なトリグリセリドエステルは、グリセロール骨格に非水素置換基を有しないエステル化したグリセロール骨格を有することが理解されよう。
【0017】
[1]が、3つの張り出した脂肪酸が同じである単純なトリグリセリドを示す一方、他の実施例が、本発明の範囲から逸脱せずに2又は3の異なるペンダント脂肪酸が存在する混合トリグリセリドを有する。さらに、トリグリセリドエステルが1つのトリグリセリドエステル構造として[1]に示される一方、マスターバッチの調整で使用されるトリグリセリドエステルが、本発明から逸脱せずに、異なるペンダント脂肪酸群及び/又は脂肪酸の1又はそれ以上の誘導体を有する複数のトリグリセリドエステルを含むことが理解されよう。さらに、[1]に示すトリグリセリドエステルがモノマーである一方、マスターバッチの調整で使用されるトリグリセリドエステルが、本発明から逸脱せずに、重合した飽和グリセリドエステルといった、重合トリグリセリドエステルを含むことが理解されよう。さらに、重合トリグリセリドエステルが、ポリマーに含まれる異なる数の単量体ユニットを有するポリマーの混合物を含むことが理解されよう。例えば、重合トリグリセリドエステルは、モノエステル、ジエステル等の混合物を含む。モノエステル及びジエステル成分が増加すると、親水性が高まり易くなり、又は得られるポリマー又は添加剤混合物の疎水性の向上が低まり易くなる。しかしながら、向上のレベルは、織物の他の適用例に適している。
【0018】
トリグリセリドエステルが織物の表面に移動する場合、所定の浄化、蒸発、又は表面の剥離によってトリグリセリドエステルを表面から除去できる。織物に組み込まれたトリグリセリドエステルの量の減少は、織物の撥水性及び/又は撥油性を減らす。トリグリセリドの数平均分子量が比較的小さい場合、トリグリセリドは表面に移動し得る。トリグリセリドエステルの数平均分子量が増加すると、織物の表面へのトリグリセリドエステルの移動を示す。驚くべきことに、トリグリセリドエステルが組み込まれた織物の表面へのトリグリセリドエステルの移動が、本発明の特定の分子量の比較的低い数平均分子量の受け入れられるレベルに実質的に減少する。少なくとも一実施例では、マスターバッチの調整に使用されるトリグリセリドエステルが、500乃至2000の範囲の数平均分子量を有する。別の実施例では、マスターバッチの調整に使用されるトリグリセリドエステルが、650乃至1200の範囲の数平均分子量を有する。さらに別の実施例では、トリグリセリドエステルが、750乃至1000の範囲の数平均分子量を有する。
【0019】
本発明の少なくとも一実施例では、トリグリセリドエステルが、マスターバッチの10重量%乃至95重量%の範囲にある。少なくとも一の他の実施例では、トリグリセリドエステルが、マスターバッチの10重量%乃至40重量%の範囲にあり、担体ポリマーとともに調整する場合に比較的軟らかいペレットを形成するよう構成される。少なくとも他の一実施例では、トリグリセリドエステルが、マスターバッチの15重量%乃至30重量%の範囲にある。別の実施例では、トリグリセリドエステルが、マスターバッチの21重量%乃至27重量%の範囲にある。
【0020】
ペレットとして形成される場合、マスターバッチは、ASTM D2240の試験方法にしたがって試験した場合に、少なくとも一実施例では、20乃至100の範囲のショアA硬さを有する。別の実施例では、マスターバッチは、ペレットとして形成される場合、30乃至80の範囲の硬さを有する。さらに別の実施例では、マスターバッチは、ペレットとして形成される場合、40乃至70の範囲の硬さを有する。
【0021】
本発明の少なくとも一実施例では、担体ポリマーとともにトリグリセリドエステルを調整して、ある濃度を形成し得る。担体ポリマーはトリグリセリドエステルを固定し、比較的軟らかいペレット形態を生成するよう作用する。軟らかいペレット形態の場合、一実施例では、1重量%乃至10重量%の範囲のマトリクスポリマーとともにマトリクスポリマーと混合するようマスターバッチを調整できる。別の実施例では、3重量%乃至7重量%の範囲のマトリクスポリマーとともにマトリクスポリマーと混合するようマスターバッチを調整できる。これらの範囲が、マトリクスポリマーへの添加の前の濃度を測定するよう典型的に使用される機器の調剤能力の測定精度によって限定されることが理解されよう。十分に精度良い調整能力を有する機器を利用できる場合、他の範囲の添加を実施できる。
【0022】
さらに少なくとも一実施例では、トリグリセリドエステルが、マスターバッチの40重量%乃至95重量%の範囲であり、担体ポリマーとともに調整した場合に圧縮形態を形成するよう構成できる。少なくとも1のさらなる実施例では、トリグリセリドエステルが、マスターバッチの45重量%乃至90重量%の範囲であり、担体ポリマーとともに調整した場合に圧縮形態を形成するよう構成できる。
【0023】
マスターバッチは、試験方法ASTM D2240にしたがって試験した場合に、一実施例では、圧縮形態として形成する場合に1乃至20のショアA硬さを有する。
【0024】
本発明の少なくとも一実施例では、担体ポリマーでトリグリセリドエステルを調整して圧縮形態を得る。担体ポリマーは、トリグリセリドエステルを固定し、圧縮形態を生成するよう作用する。圧縮形態の場合、一実施例では、0.05重量%乃至1重量%の範囲のマトリクスポリマーでマトリクスポリマーと混合するようマスターバッチを調整し得る。別の実施例では、0.3重量%乃至0.5重量%の範囲のマトリクスポリマーでマトリクスポリマーと混合するようマスターバッチを調整し得る。これらの範囲は、多くの場合、マトリクスポリマーへの添加の前に濃度を測定するよう使用される機器によって限定されることが理解されよう。十分精度良い調剤能力を有する機器を利用できる場合、他の範囲の添加を実施できる。
【0025】
担体ポリマーは、少なくとも一実施例では、熱可塑性ポリマーといった疎水性ポリマーである。熱可塑性ポリマーの非限定的な例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体といったポリオレフィン;ポリアミド−6、ポリアミド−11、又はポリアミド−66といったポリアミド;ポリエチレンテレフタレート;生分解性プラスチックのポリ−3−ヒドロキシ酪酸塩(PHB)といったポリエステル;ポリ乳酸のようなデンプンベースのプラスチックを含むASTM D6400タイプの生分解性ポリマーといった生分解性ポリマー;及び/又はASTM D6002タイプの堆肥化可能なポリマーといった堆肥化可能なポリマーを含む。
【0026】
ポリプロピレンの例は、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、メタロセンベースのポリプロピレン;シングルサイト触媒由来のポリプロピレン、及び/又は束縛構造触媒由来のポリプロピレンを含むがこれらに限定されない。ポリプロピレンは、本発明の範囲から逸脱せずに、ホモポリマー又は共重合体であることが理解されよう。共重合体の非限定的な例は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、及び交互共重合体を有する。共重合体の一部を含む変性共重合体が、メタクリレートといったアクリル化合物;イオン性化合物;本発明の範囲から逸脱せずにポリアミドといった他の熱可塑性樹脂を含む。
【0027】
担体ポリマーに組み込まれるトリグリセリドエステルの量は、アモルファス結晶構造又は半結晶質構造を有する担体ポリマーの領域の量に依存する。担体ポリマーの結晶度の量は、示差走査熱量測定法、x線回折、小角x線散乱(SAXS)、赤外線分光学法といった当技術分野で知られた方法、又は、既知の結晶化度のパーセント値を有する既知の標準的なポリマーによってマスターバッチの取り込み量と比較される場合に、担体ポリマーに混合されるマスターバッチの量によって判定される。
【0028】
本発明の特定の実施例では、担体ポリマーに取り込まれるマスターバッチの量によると、疎水性の担体ポリマーが、担体ポリマーの1重量%乃至100重量%を構成するアモルファス領域又は半結晶質領域のいずれかを含む。本発明の他の実施例では、担体ポリマーが、担体ポリマーの20重量%乃至95重量%を構成するアモルファス領域又は半結晶質領域を含む。本発明のさらに別の実施例では、担体ポリマーが、担体ポリマーの25重量%乃至70重量%を構成するアモルファス領域又は半結晶質領域を含む。
【0029】
不織繊維、溶解繊維、又は他のタイプの繊維といった繊維を作製するのに適したマトリクスポリマーへの添加剤としてマスターバッチを溶かして混合できる。マスターバッチは、マトリクスポリマーに添加剤として混合した場合に、繊維の表面張力を低くすることで、繊維から作られる不織繊維のバリヤ特性を高める。これにより、低表面張力の流体用のバリア材料として適した不織繊維が得られる。不織繊維は、繊維に由来する非フッ素ベース又は他のハロゲンベースの化学物質を実質的に含む。
【0030】
マスターバッチとマトリクスポリマーとを混合することによって、不織繊維を用意できる。マトリクスポリマーは、少なくとも一実施例では、熱可塑性ポリマーといった疎水性ポリマーである。熱可塑性ポリマーの非限定的な実施例が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体といったポリオレフィン;ポリアミド−6、ポリアミド−11、又はポリアミド−66といったポリアミド;ポリエチレンテレフタレート;生分解性プラスチックのポリ−3−ヒドロキシ酪酸塩(PHB)といったポリエステル;ポリ乳酸のようなデンプンベースのプラスチックを含むASTM D6400タイプの生分解性ポリマーといった生分解性ポリマー;及び/又はASTM D6002タイプの堆肥化可能なポリマー堆肥化可能なポリマーを含む。ポリプロピレンの例は、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、メタロセンベースのポリプロピレン;シングルサイト触媒由来のポリプロピレン、及び/又は束縛構造触媒由来のポリプロピレンを含むがこれらに限定されない。ポリプロピレンは、本発明の範囲から逸脱せずに、ホモポリマー又は共重合体であることが理解されよう。共重合体の非限定的な例は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、及び交互共重合体を有する。共重合体の一部を含む変性共重合体が、メタクリレートといったアクリル化合物;イオン性化合物;本発明の範囲から逸脱せずにポリアミドといった他の熱可塑性樹脂を含む。
【0031】
ポリプロピレンマトリクスポリマーは、好適には、溶融糸又は繊維として通常は円形の複数の細かいダイキャピラリーを通して押し出された場合に、比較的高い延伸比を可能にする比較的狭い分子量分布を有する。ポリプロピレンの比較的狭い分子量分布は、一般に、特に比較的高い溶融流れ速さを有するマトリクスポリマーと組み合わせた場合に、細かい繊維を紡ぐことを可能にする。例えば、少なくとも一実施例では、ASTM D1238にしたがって測定した場合に、溶融流れ速さが10分当たり1000グラムを超える。本発明の別の実施例では、溶融流れ速さが、本発明の範囲を逸脱せずに、10分当たり1200グラム乃至10分当たり2000グラムの範囲である。
【0032】
本発明の少なくとも一実施例に係るマスターバッチ組成を用いて製造される不織繊維は、一般に、平均直径が50μmよりも小さい。本発明の別の実施例では、不織繊維の平均直径が、1μm乃至25μmの範囲である。本発明のさらなる実施例では、不織繊維の平均直径が、8μm乃至23μmの範囲である。本発明のさらに別の実施例では、不織繊維の平均直径が、12μm乃至20μmである。
【0033】
少なくとも一実施例では、メルトブローンウェブ又は層が、1μm乃至5μmの範囲の数平均繊維径を有するメルトブローン繊維を含む。別の実施例では、メルトブローン繊維が、1μm乃至4μmの範囲の数平均繊維径を有する。さらに別の実施例では、メルトブローン繊維が、1μm乃至3μmの範囲の数平均繊維径を有する。数平均繊維径は、走査型電子顕微鏡(SEM)及びその画像解析ソフトウェアを用いることによって判定される。倍率は、1000倍乃至10,000倍のように、繊維が測定のために適切に拡大されるよう選択される。少なくとも100の繊維が測定され、ソフトウェアで数平均繊維径が計算される。
【0034】
ウェブ又は層の1又はそれ以上の繊維が、1000ナノメートル未満の直径を具えるナノ繊維を含むことが理解されよう。少なくとも一実施例では、ナノ繊維を含む層又はウェブが、単にナノ繊維から成る。別の実施例では、ナノ繊維を含む層を大径の繊維と混ぜることができる。
【0035】
不織繊維が上記のように説明される一方、少なくとも一実施例では本発明の範囲から逸脱せずに、組成物を、メルトブローンにより繊維を調整するような他の方法により押し出しし得ることが理解されよう。
【0036】
不織繊維から成る不織織物は、不織織物シート又は不織層−メルトブローン層−不織層(SMS)ラミネートのような不織織物ラミネートといった単層織物から成る。このラミネートは、バランス又は非バランス構造のいずれかであることが理解されよう。バランスラミネートのさらなる非限定的な例は、不織織物層−メルトブローン層−メルトブローン層−不織織物層(SMMMS)ラミネートである。
【0037】
不織及び/又はメルトブローン繊維は、当技術分野で知られた方法によって衛生用品を形成するのに適している。衛生用品の非限定的な例は、衣服、医療用被覆、及び/又は個人医療の衛生用品等といった製品を含んでいる。
【0038】
添加剤は、溶融ブレンドされ又は不織織物にコーティングされ、繊維が、低表面張力流体へのバリアとなる。本発明の少なくとも一実施例では、繊維の表面エネルギが、ASTM D2578の試験方法にしたがって測定した場合、100°乃至125°の範囲に増加した接触角を有する。別の実施例では、繊維の接触角は、108°乃至122°の範囲である。別の実施例では、繊維の接触角は、117°乃至120°の範囲である。溶融ブレンドされ又は不織織物にコーティングといった方法を用いて実施例を説明する一方、添加剤を液化するための方法して、溶媒への溶解又は乳化を含むがこれらに限定されないものを使用できることが明らかであろう。さらに、本発明の範囲を逸脱せずに、2軸押出機による配合、粉砕又はミリングといった任意の従来の方法によって、担体ポリマーに添加剤を分散できる。
【0039】
本発明の少なくとも一実施例では、添加剤を溶融ブレンド又はコーティングした場合に、繊維の表面エネルギが、INDA80.8の方法にしたがって測定した場合に、25乃至60の範囲のアルコール忌避性を有する。別の実施例では、アルコール忌避性が30乃至55の範囲である。さらに別の実施例では、アルコール忌避性が35乃至50の範囲である。
【0040】
本発明の少なくとも一実施例では、添加剤を溶融ブレンド又はコーティングした場合に、繊維の表面エネルギが、IST80.6(0.01)にしたがって測定した場合に、10インチ乃至20インチの範囲の水頭を有する。別の実施例では、水頭が12インチ乃至18インチの範囲である。さらに別の実施例では、水頭が14インチ乃至16インチの範囲である。
【0041】
約22g/mの単位面積当たりの重量を具えたコントロールとして使用される標準的なポリプロピレンでできた代表的な不織織物は、EDANA法WSP70.3にしたがって測定した場合に、例えば、16秒(SMMS)又は26秒(SMMMS)の低表面張力の裏抜け値を有する(32mJ/m)。疎水性添加剤を使用する場合、本発明の少なくとも一実施例によれば、不織布バリアシート及びバリア要素が、32mN/mの表面張力を有する液体について上記の方法により判定されるように、少なくとも25%増加した表面張力の裏抜け値を有する。別の実施例では、表面張力の裏抜け値が、標準的なポリプロピレンコントロールに対して少なくとも50%増加する。さらに別の実施例では、表面張力の裏抜け値が、少なくとも100%増加する。さらに別の実施例では、表面張力の裏抜け値が、少なくとも200%増加する。
【0042】
表面張力裏抜け値は、選択的に、200秒未満、150秒未満又は100秒未満に限定される。不織バリアシート又はバリア要素が、弾性材料を具える領域又は他の材料に取り付けられたエッジを除く、材料の任意の部分でこのような値を有する場合、それらの低表面張力裏抜け値よりも高い値を有すると考えられる。
【0043】
マスターバッチを用意するために、本発明の少なくとも一実施例では、繊維の疎水性を高めるためにステープルファイバとともに使用するために、担体ポリマーが脂質エステルと混ぜ合わせられる。例えば、メタロセンベースのポリプロピレンが、トリグリセリドエステルと溶融ブレンドされる。トリグリセリドエステルは、10重量%乃至95重量%のマスターバッチを含む。マスターバッチがステープルファイバの形状の場合、ASTM D2578の試験方法にしたがって測定した場合、接触角は100°乃至125°の範囲である。
【0044】
疎水性不織繊維を用意するために、少なくとも一実施例では、トリグリセリドエステルがマスターバッチの10重量%乃至40重量%を構成する場合に上記のようにして用意されたマスターバッチが、マトリクスポリマーと溶融ブレンドされ繊維前駆体を形成する。繊維前駆体化合物は、不織織物を製造するのに適した不織繊維を形成するためにスパンボンドされる。マスターバッチは、1重量%乃至10重量%の範囲の不織繊維を含む。
【0045】
疎水性不織繊維又はメルトブローン繊維を用意するために、本発明の少なくとも一実施例では、トリグリセリドエステルがマスターバッチの40重量%乃至95重量%を構成する場合に上記のようにして用意されたマスターバッチが、マトリクスポリマーと溶融ブレンドされ繊維前駆体を形成する。繊維前駆体化合物は、スパンボンドされて不織繊維を形成し、又はメルトブローンされてメルトブローン繊維を形成するが、そのいずれもが織物を製造するために使用するのに適している。織物は単層の織物又はラミネート織物であることが理解されよう。マスターバッチは、0.05重量%乃至1重量%の範囲の不織繊維又はメルトブローン繊維を有する。
【0046】
本発明のさらなる実施例が、フィラメントタイプの繊維、織物、及び/又は織物要素とともに使用するための疎水性添加剤を含む。フィラメント繊維の非限定的な実施例は、ステープルファイバ、織物(textile)フィラメント繊維、工業用フィラメント繊維、及びトー(tow)繊維を含む。織物及び織物要素のさらなる実施例が、光沢ロールストックを含むロールストック;ストランド;タイヤヤーンを含むヤーン(yarn);フィラメント;ロッド;幅広の織物;平編みの織物;ファイバフィル(fil)織物;積層又は配向バイアスシース織物を含むシート織物を含む。配向バイアス織物の例は、0/90織り及び/又は45/45バイアス織物を含む。さらに、織物を機械方向(MD)に沿って配向できる。
【0047】
フィラメントタイプの繊維は、少なくとも一実施例では、1インチ乃至7インチの範囲の長さを有する。他の実施例では、ステープルファイバの長さが1.1インチ乃至3インチの範囲である。さらに別の実施例では、ステープルファイバが1.25インチ乃至2インチの範囲である。
【0048】
フィラメントタイプの繊維は、少なくとも一実施例では、0.25乃至100デニール/フィラメントの直径を有する。少なくとも他の実施例では、ステープルファイバが0.25乃至18デニール/フィラメントの直径を有する。さらに別の実施例では、ステープルファイバが0.25乃至3デニール/フィラメントの直径を有する。
【0049】
疎水性添加剤は、本発明の少なくとも一実施例では、乾燥織物、乾燥織物要素、又は乾燥繊維の0.1乃至1.5重量%の範囲である。別の実施例では、疎水性添加剤の活性成分が、乾燥織物又は乾燥繊維の0.15乃至0.8重量%の範囲である。さらに別の実施例では、疎水性添加剤の活性成分が、乾燥織物又は乾燥繊維の0.2乃至0.6重量%の範囲である。
【0050】
また、繊維は、複合繊維といった多成分繊維を含む。複合繊維の例は、並列形態、芯鞘型形態、孤島型形態、分割パイ(pie)型形態、及び/又はリボン形態を含むが、これれらに限定されない。本実施例は疎水性添加剤を説明するが、添加剤は、本発明の範囲を逸脱せずに疎油性又は疎液性でもよいことが理解されよう。
【0051】
疎水性添加剤は、本発明の少なくとも一実施例では、乾燥薄膜の0.1乃至1.5重量%の範囲である。別の実施例では、疎水性添加剤は、乾燥薄膜の0.15重量%乃至0.8重量%の範囲である。さらに別の実施例では、疎水性添加剤が0.2重量%乃至0.6重量%の範囲である。
【0052】
本発明のさらに別の実施例では、疎水性添加剤を、膜フィルタとして使用するための微孔性の中空繊維を含む中空の膜繊維;親水性繊維が疎水性添加剤を含む混合物によってカプセル化されたリポセル(lipocell)繊維といったカプセル化疎水性繊維;家庭用の断熱詰物といった疎水性断熱繊維として形成できる。
【0053】
疎水性添加剤を有する中空の繊維膜は、本発明の少なくとも一実施例では、200mm乃至5,000mmの範囲の外径を有する。別の実施例では、中空の繊維膜が、300mm乃至1,000mmの範囲の直径を有する。本発明のさらに別の実施例では、中空の繊維膜が、500mm乃至750mmの範囲の直径を有する。
【0054】
疎水性添加剤を有する中空の繊維膜は、本発明の少なくとも一実施例では、50mm乃至300mmの範囲の肉厚を有する。本発明の別の実施例では、疎水性添加剤を有する中空の繊維膜が、75mm乃至250mmの範囲の肉厚を有する。本発明のさらに別の実施例では、疎水性添加剤を有する中空の繊維膜が、100mm乃至200mmの範囲の肉厚を有する。
【0055】
疎水性添加剤を有する中空の繊維膜は、微孔性形態を有する。本発明の少なくとも一実施例では、微孔性形態が、0.1mm乃至25mmの範囲の直径の複数の細孔を有する。本発明の別の実施例では、疎水性添加剤を有する中空の繊維膜が、0.3mmの範囲の直径を有する細孔を有する。本発明のさらに別の実施例では、疎水性添加剤を有する中空の繊維膜が、0.18乃至1mmの範囲の直径の細孔を有する。
【0056】
微孔性形態を有する膜を含む中空の繊維膜を作製する方法は、当技術分野で知られている。
【0057】
他の実施例では、疎水性添加剤を薄膜との使用のために添加できる。薄膜の例は、外側コーティング;固着防止膜;汚染防護膜;90°を超える接触角を有するスーパーフォビックフィルム又は150°を超える接触角を有するウルトラフォビック繊維を含む自己洗浄膜含むラミネート及びバランス化した複合材料を作製するのに使用される薄膜であるが、これらに限定されない。
【0058】
本発明のさらなる実施例では、薄膜形成ポリマーとの混合物の中の疎水性添加剤が、複合材料作製膜として形成される。複合材料作製膜の非限定的な実施例は、肩掛けバッグ、密封バッグ、又はテープといった補強材を作製するのに使用される包装材料を含む。テープを含む複合材料作製膜を、本発明の範囲から逸脱せずに、クロス(cross)織物又はニードルファブリックとして形成することもできることが理解されよう。また、ラミネート、非バランス化複合材料、及び/又はバランス化複合材料の形成に複合材料作製膜を使用できる。ラミネート、非バランス化複合材料及び/又はバランス化複合材料では、複合材料作製膜を別の異種及び/又は同種薄膜、織物、又は他の適切な基板に関する外側コーティングとして使用できる。
【0059】
包装に相対的な疎水性を要する適切な製品のために包装材料を使用できる。相対的に疎水性の包装を要する製品の非限定的な例は、錆を防ぐための鋼コイル、タイヤ及び編み糸のコーンである。包装材料及びマスターバッチは、一般に、疎水性添加剤に加えて選択肢として他の補助剤を有することが理解されよう。補助剤の一例は、静電気防止補助剤である。
【0060】
また、包装材料は、比較的高い引張エネルギ吸収を有する。織物及び/又は繊維の引張エネルギ吸収(TEA)は、包装材料に使用される織物の強さを測定したものであり、ASTM D1682によって測定できる。この試験方法は、このような試験方法を用いて得られる応力歪み曲線の下方の領域で示されるように、織物を壊すためのエネルギを測定するものである。
【0061】
少なくとも一実施例では、マスターバッチを含む包装材料又は他の織物、薄膜、繊維、又は物品が、1500g/インチ乃至6500g/インチの範囲のTEAを有する。別の実施例では、包装材料又は他の織物、薄膜、繊維、又は物品が、2000g/インチ乃至5500g/インチの範囲のTEAを有する。
【0062】
本発明の他の実施例では、疎水性添加剤が、耐水織物、繊維及び/又は薄膜に一般に使用される他の材料の代用物である。この代用物を、疎水性添加剤及び/又は疎水性添加剤を含む混合物によって全体的に又は部分的に作製できる。疎水性添加剤及び/又は疎水性添加剤を含む混合物が使用される材料の代用物の非限定的な例は、疎水性モノマー及び/又は反応性モノマー;潤滑性仕上げ材料;及びエステル仕上げ材料といった「恒常的」又は一時的コーティングから成るエマルションポリマーの代用物を含む。エステル仕上げ材料の非限定的な例は、アルキル及び/又はアルケニル、リン酸エステル、リン酸エステル、中性化したリン酸エステル、ポリシロキサンコーティング、シリコーンコーティング、及び/又は水溶性界面活性剤といった表面改質剤を含む。表面改質剤の非限定的な例は、C−C12アルキル又はアルケニルリン酸金属/金属又は土類塩といった親油性末端基が無く界面活性剤特性が無いか又は限れられる水溶性を含む。
【0063】
本発明の別の実施例では、繊維が押し出しされた後に、特に、繊維が担体ポリマーの50℃以内の溶解温度の場合に、マスターバッチが不織繊維にコーティングされる。マスターバッチは、溶剤担体溶液又は溶融共押出しといった当技術分野で知られた方法を用いてコーティングされる。
【0064】
実施例1
担体ポリマーへの脂質エステルの溶融ブレンドが以下の条件の下で行われる。押し出し機は、9ゾーンのLeistriz34mmスクリュー押し出し機である。スクリューは、38の長さ対直径比(L/D)を有する。スクリューは、ハイピッチの混練及びタービン混合要素を具えた34mmの直径の共回転するスクリューである。
【0065】
固形の脂質エステルは、低負荷の混合機で担体ポリマーに任意に混ぜられゾーン1に導入される。押し出し機は任意の液体噴射ポートを有しており、それは固形の脂質エステルを加える場合に覆われ、液体脂質エステルを加える場合に開かれる。押し出し機は、ゾーン6で大気にベントされる。押し出し機のダイは、2つの穴を有しており、ダイの直前の20メッシュのスクリーンを使用する。
【0066】
スクリューの速さは、1分当たり(RPM)300回転に設定される。押し出し機の各ゾーンの温度設定は、以下のとおりである:

【0067】
マスターバッチA:90%のモノエステル及び10%のジエステルを有する脂質エステルグリセロールモノステアレートが、ポリエチレンポリマーの脂質エステルの20重量%のローディングで、低密度のポリエチレンポリマーに混ぜられる。
【0068】
マスターバッチB:40%のモノエステル及び60%のジエステルを有する脂質エステルグリセロールモノステアレートが、ポリエチレンポリマーの脂質エステルの20重量%のローディングで、低密度のポリエチレンポリマーに混ぜられる。
【0069】
マスターバッチC:脂質エステルグリセロールモノオレイン酸塩が、ポリエチレンポリマーの脂質エステルの20重量%のローディングで、低密度のポリエチレンポリマーに混ぜられる。
【0070】
マスターバッチD:脂質エステルグリセロールトリステアレートが、ポリエチレンポリマーの脂質エステルの20重量%のローディングで、低密度のポリエチレンポリマーに混ぜられる。
【0071】
マスターバッチA,B,C,及びDは、それぞれ混合された低密度のポリエチレンマトリクスポリマーである。マスターバッチは、マトリクスポリマーの選択されたマスターバッチの5重量%のローディングの混合物を含む。マトリクスポリマーは、10分当たり2グラムの溶融流れ速さを有する。混合されたマスターバッチ及びマトリクスポリマー混合物は、0.001インチの厚さを有する薄膜として吹き込み成形される。
【0072】
ASTM D2578の試験方法にしたがって薄膜の接触角が測定される。

フッ素化有機化合物は、Unitex Chemical Corporation(Greensboro,NC)によって供給される。
【0073】
接触角が大きくなるほど、組成物がより疎水性になり、低表面張力の流体をよく撥くことができる。
【0074】
実施例2
不織織物及びメルトブローン織物が、活性脂質エステル原料として1重量%のローディングのグリセロールトリステアレート又は活性原料としてフッ素化有機化合物FX−1801を有するポリプロピレンを用いて調整される。織物のオーブン時効がなく、IST80.6(0.01)の方法にしたがって水頭が測定される。

フッ素化有機化合物が3M Corporation,(St.Paul,MN)によって供給される。
【0075】
実施例3
不織織物及びメルトブローン織物が、活性原料として2.5重量%のローディングのグリセロールトリステアレート又は活性原料としてフッ素化有機化合物Uniplex FE700プラス0.35重量%のトリグリセリドを有するポリプロピレンを用いて調整される。織物のオーブン時効がなく、IST80.8の方法にしたがってアルコール忌避性が測定される。アルコール忌避性の評価指数は、IST80.8の方法にしたがって測定されたアルコール忌避性の10分の1である。

フッ素化有機化合物は、Unitex Chemical Corporation(Greensboro,NC)によって供給される。
【0076】
実施例4
不織織物及びメルトブローン織物が、活性原料として2.5重量%のローディングのグリセロールトリステアレート又は活性原料としてフッ素化有機化合物Uniplex FE700プラス0.35重量%のトリグリセリドを有するポリプロピレンを用いて調整される。50℃で2時間、繊維をオーブン時効し、IST80.8の方法にしたがってアルコール忌避性が測定され、10で割ることによってアルコール忌避性評価指数に変換される。

【0077】
本発明の実施例を図示且つ説明したが、これらの実施例は、本発明の総ての可能な形態を図示且つ説明することを意図するものではない。むしろ、明細書中で使用される用語は、限定のためではなく説明するためのものであり、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに様々な変更を行うことができることに留意されたい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織織物の疎水性を高めるために、不織織物を用意する際に使用するためのマスターバッチであって、前記マスターバッチが、
担体ポリマーと;
前記マスターバッチの10乃至40重量%を構成する脂質エステルと;
を具えており、
前記織物が、ASTM D2578の試験方法にしたがって測定した場合に、100°乃至125°の範囲の接触角を有することを特徴とするマスターバッチ。
【請求項2】
前記マスターバッチが、実質的にハロゲンフリーであることを特徴とする請求項1に記載のマスターバッチ。
【請求項3】
前記脂質エステルが、トリグリセリドエステルであることを特徴とする請求項1に記載のマスターバッチ。
【請求項4】
前記トリグリセリドエステルが、C乃至C30の範囲の脂肪酸を含むことを特徴とする請求項3に記載のマスターバッチ。
【請求項5】
前記トリグリセリドエステルが、C12乃至C22の範囲の脂肪酸を含むことを特徴とする請求項3に記載のマスターバッチ。
【請求項6】
前記トリグリセリドエステルが、750乃至1000の範囲の数平均分子量を有することを特徴とする請求項3に記載のマスターバッチ。
【請求項7】
前記ポリマーが、熱可塑性ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のマスターバッチ。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸塩、ポリアミド、及びそれらの共重合体から成る群から選択されることを特徴とする請求項7に記載のマスターバッチ。
【請求項9】
不織織物で使用するための繊維であって、前記繊維が、
請求項1に記載のマスターバッチと;
マトリクスポリマーと;
を具えており、
前記繊維が、ASTM D2578の試験方法にしたがって測定した場合に、117乃至120°の範囲の接触角を有することを特徴とする不織織物で使用するための繊維。
【請求項10】
請求項1に記載のマスターバッチ及びマトリクスポリマーを具える複数の繊維を具えており、
前記不織織物が、IST80.6(0.01)の試験方法にしたがって測定した場合に、10乃至20インチの範囲の水頭を有することを特徴とする疎水性不織織物。
【請求項11】
請求項1に記載のマスターバッチ及びマトリクスポリマーを具える複数の繊維を具えており、
前記不織織物が、INDA80.8の試験方法にしたがって測定した場合に、10乃至60の範囲のアルコール忌避性を有することを特徴とする疎水性不織織物。
【請求項12】
請求項1に記載のマスターバッチを含むスパンボンド繊維又はメルトブローン繊維を具えることを特徴とする繊維。
【請求項13】
請求項1に記載のマスターバッチを具える添加剤と;
マトリクスポリマーと;
を具えることを特徴とする薄膜。
【請求項14】
前記マトリクスポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリプロピレン共重合体を含むことを特徴とする請求項13に記載の薄膜。
【請求項15】
前記マスターバッチが、前記エステルの10重量%未満を構成するハロゲン原子を有することを特徴とする請求項13に記載の薄膜。
【請求項16】
前記脂質エステルが、トリグリセリドエステルを含むことを特徴とする請求項15に記載の薄膜。
【請求項17】
不織織物の疎水性を高めるために、不織織物を用意する際に使用するためのマスターバッチであって、前記マスターバッチが、
固形の疎水性ポリマーと;
500乃至1200の範囲の数平均分子量を有する重合飽和グリセリドエステルと;
を具えることを特徴とするマスターバッチ。
【請求項18】
前記重合飽和グリセリドエステルが、

の構造を有しており、
,R,及びRが、それぞれ11乃至21の範囲の炭素数を有することを特徴とする請求項17に記載のマスターバッチ。
【請求項19】
,R,及びRが、ステアリン置換基を含むことを特徴とする請求項18に記載のマスターバッチ。
【請求項20】
前記固形の疎水性ポリマーが、熱可塑性ポリマーであることを特徴とする請求項17に記載のマスターバッチ。
【請求項21】
前記固形の疎水性ポリマーが、生分解性又は堆肥化可能であることを特徴とする請求項17に記載のマスターバッチ。
【請求項22】
前記重合飽和グリセリドが、前記マスターバッチの10乃至40重量%を構成しており、
前記マスターバッチが、ASTM D2240の試験方法にしたがって試験した場合に、20乃至100の範囲のショアA硬さを有することを特徴とする請求項17に記載のマスターバッチ。
【請求項23】
前記重合飽和グリセリドが、前記マスターバッチの40乃至95重量%を構成しており、
前記マスターバッチが、ASTM D2240の試験方法にしたがって試験した場合に、1乃至20の範囲のショアA硬さを有することを特徴とする請求項17に記載のマスターバッチ。
【請求項24】
前記疎水性ポリマーが、前記マスターバッチの含有量によると、前記疎水性ポリマーの1重量%乃至100重量%の範囲を構成するアモルファス領域又は半結晶領域を有することを特徴とする請求項17に記載のマスターバッチ。
【請求項25】
繊維とともに使用するためのマスターバッチを用意するための方法であって、前記方法が:
第1のポリマーを提供するステップと;
トリグリセリドエステルを前記ポリマーと混ぜ合わせて、前記マスターバッチの10乃至95重量%を構成する前記マスターバッチのトリグリセリドを形成するステップとを具えており、
前記マスターバッチが、薄膜として成形した場合に、ASTM D2578の試験方法にしたがって測定した場合に、100°乃至125°の範囲の接触角を有することを特徴とする方法。
【請求項26】
前記トリグリセリドエステルを混ぜ合わせるステップが、前記第1のポリマーに接触させて溶融混合するステップを有しており、
前記トリグリセリドエステルが、骨格に非水素置換基を有しないエステル化グリセロール骨格を含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
疎水性繊維を形成するための方法であって、前記方法が:
第2のポリマーと請求項25の方法によって用意された前記マスターバッチとを溶融混合して、繊維前駆体化合物を形成するステップと;
前記繊維前駆体化合物を疎水性繊維に形成するステップと;
を具えており、
前記マスターバッチが、1重量%乃至10重量%の範囲の前記前駆体化合物を構成することを特徴とする方法。
【請求項28】
生地を形成するための方法であって、前記方法が:
請求項25の方法によって用意された材料を含む前記マスターバッチを軟らかくするステップであって、前記トリグリセリドエステルが、前記マスターバッチの40重量%乃至95重量%を構成するステップと;
第2のポリマーを用意するステップと;
前記マスターバッチを前記第2のポリマーとともに圧縮して、前駆体化合物を形成するステップと;
前駆体化合物を前記生地に形成するステップと;
を具えており、
前記マスターバッチが、前記前駆体化合物の0.3重量%乃至0.5重量%の範囲を構成することを特徴とする方法。
【請求項29】
生地を形成するための方法であって、前記方法が:
請求項25の方法によって用意された材料を含む前記マスターバッチを液化するステップであって、前記トリグリセリドエステルが、前記マスターバッチの10重量%乃至40重量%を構成するステップと;
第2のポリマーを用意するステップと;
第2のポリマーを前記生地に形成するステップと;
液化した前記マスターバッチで前記生地をコーティングするステップと;
を具えており、
前記マスターバッチが、前記生地の1重量%乃至10重量%の範囲を構成することを特徴とする方法。
【請求項30】
前記生地が、繊維、織物、又は薄膜を具えることを特徴とする請求項29に記載の方法。



【公表番号】特表2012−531530(P2012−531530A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517519(P2012−517519)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/032475
【国際公開番号】WO2010/151368
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(511306011)テクマー ピーエム,エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】TECHMER PM,LLC
【Fターム(参考)】