説明

織物支持体の製造方法及び当該織物支持体

本発明は、シリコーン被膜を有する織物支持体の製造方法に関するものである。この製造方法は、得られる支持体の機能的特性を低減させることなく、シリコーン被膜の重量を減少させることが可能である。また、本発明は、当該織物支持体に関するものでもある。当該方法は、次の工程:(1)シリコーン組成物5を製造し、(2)工程(1)で製造されたシリコーン組成物を織物支持体4の一方の面又は両方の面に塗布し、(3)工程(2)付着した被膜を、好ましくは210℃に達する温度に加熱することによって乾燥及び/又は架橋させることを含み、該工程(2)におけるシリコーン組成物の織物支持体への塗布を、少なくとも3個の構成部材、即ち、圧力ロール1、塗布ロール2及び計量ロール3を有する塗布頭部を備える塗布機を使用する転写式塗布によって実施し、ここで、他の随意の構成部品は計量部品であり、該被覆ロール及び圧力ロールのみが該織物支持体と接触することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一般的分野は、シリコーン被膜を有する織物支持体の製造方法の分野である。本明細書において、表現「織物支持体」とは、繊維支持体、織布支持体、編組支持体、編物支持体又は不織布支持体を意味するものとする。
【背景技術】
【0002】
シリコーン被膜は、シリコーン組成物、特に架橋性シリコーン組成物であって、該織物の表面へのシリコーンの固定を促進させる系、特に、ある種のポリオルガノシロキサンの不飽和(アルケニル、例えばSi−Vi)基のヒドロシリル化反応又は重付加反応によってそれと同種又は異種のポリオルガノシロキサンの水素に架橋させてエラストマーを薄膜の状態で生成させることができる2種成分型又は多種成分型の系を含むものから得られる。また、他のシリコーン組成物、例えば、重縮合によって得られるもの、エマルジョン又は溶媒相中の組成物も好適である。
【0003】
これらの組成物は、とりわけ、例えば織物支持体の保護、機械補強又は機能化のための被膜として好適である。これらのシリコーン組成物は、スポーツ用衣類の分野で使用されている又は車両の乗員の個人的保護のためのバッグ(「エアバッグ」としても知られている)を製造するために使用されている柔軟性の織布、編組、編み物又は不織布の被膜として大きな市場が開拓されてきた。
【0004】
スポーツ衣類用の織物を耐久機能化させるためにシリコーン配合物を使用することに関する詳細については、特に仏国特許FR−A−2865223号を参照することができる。
【0005】
エアバッグの詳細については、特に仏国特許FR−A−2668106を参照することができる。
【0006】
従来から、エアバッグは、合成繊維の生地、例えばポリアミドの生地であって、その表面の少なくとも一つにシリコーン型エラストマーの層が被覆されたものから形成されている。このような保護層又は保護被膜が存在するのは、衝撃を受けたときにガス発生器によって放出されるガス(例えば:一酸化炭素、NOx)が、極めて熱く、かつ、ポリアミドのエアバッグを損傷させ得る白熱粒子を含有するという事実のためである。したがって、内部エラストマー系保護層は、高温に対する抵抗性と機械的応力に対する抵抗性とがなければならない。また、このエラストマー被膜は、エアバッグの壁を形成する合成繊維支持体に完全に付着する薄くて均一な皮膜の状態であることも重要である。
【0007】
さらに、ガス発生器によって放出されたガスが乗員室に入らないようにするために、エアバッグの良好でかつ一定の不透過性を確保することも重要である。また、機械的及び熱的により攻撃的なガス発生器を使用すると、エアバッグの継ぎ目に追加の応力が加わることになる。これらは、エアバッグの配置に関連する物理的応力を増大させ、エラストマー被覆織物の裂け目及びこれらの継ぎ目の開放の原因となる可能性がある。これは、ガス発生器から発出された高温のガスが、所定のエアバッグの裂け、エッジコーミング(磨損)又は破裂の原因ともなる弱点を生み出す継ぎ目を介して逃れる点となる。そのため、エラストマー被膜は、最適な機械的性質、特に良好な引裂抵抗性及びエッジコーミング抵抗性(被覆された織物がエアバッグの継ぎ目のエッジコーミングに抵抗する能力)を有しなければならない。
【0008】
本出願人は、特許文献WO2005/045123号において、これらの目的を達成することを可能にする架橋性シリコーン組成物を提案した。
【0009】
シリコーン組成物を支持体に適用するための技術の一つが被覆である。織物支持体の分野では、25〜200g/m2の厚さ及び10〜60m/分の速度で織物支持体を被覆することができる伝統的なドクターブレードシステムが使用されている。
【0010】
しかしながら、所定の用途、特にエアバッグ及びスポーツ用衣類の製造用途では、経済競争力という理由で、非常に薄いシリコーン層を適用することが求められている。その上、このエラストマー被膜は、少量の付着量であっても上記目的を全て達成することを可能にしなければならない。
【0011】
しかしながら、ドクターブレードを使用する被覆技術には、いくつかの制限がある。具体的に言うと、厚みを減らすために、このドクターブレードを織物支持体に高圧で押しつけるので、当該支持体の繊維がドクターブレードにより損傷する。さらに、その被覆速度も制限しなければならない。当該速度が高ければ高いほど付着重量も大きいからである。同様に、高い移動速度は、織物支持体を劣化させやすい。最後に、この被覆技術では、単位面積当たり25g/m2未満の質量を得ることは困難である。とはいえ、コストを低減させるためには単位面積当たりの質量が小さいことが望ましく、また、生産性を増大させるためには移動速度が高いことが望ましい。さらに、保護の特性や機能化の特性を、多くの材料を使用することなく又はさらにはその量を減らすことによって改善させることが求められている。これらの制限は、特に、被覆用組成物を希釈するための1種以上の溶媒を含む系を使用することによって克服できる。しかし、この解決手段は、満足のいくものではない。というのは、1種以上の溶媒を使用すると、その後それらの溶媒を除去したり、リサイクルしたりすることが必要となるからである。
【0012】
さらに、エアバッグが1段階製織技術によってまとめられた2つのプライを有する繊維から製造される場合には、ドクターブレードは、単一のプライを有する繊維帯と2つのプライを有する繊維帯とをつなぐ移行帯により妨害されるため、当該移行帯でのシリコーン被膜の厚みは、十分ではないし均一でもない。通常の解決策は、当該移行帯に連続被膜が形成されるのを確実にするように、繊維の全体に塗布されるシリコーンの量を増加させることからなるが、これは、経済的な観点からは満足のいくものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】仏国特許2865223号明細書
【特許文献2】仏国特許2668106号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/045123号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記従来技術の欠点を克服することを目的とする。
【0015】
この観点において、本発明の主な目的の一つは、シリコーン被膜を有する織物支持体の製造方法であって、該シリコーン被膜の単位面積当たりの質量を減少させることを可能にするが、ただし得られる支持体の機能特性を低減させないものを提供することである。
【0016】
本発明の別の主要目的は、シリコーン被膜を有する織物支持体の製造方法であって、該シリコーン被膜の単位面積当たりの質量を低い値、例えば20g/m2未満に達するまで容易に減少できると共に、最適な機能特性を有する薄く連続的で均一な皮膜の状態、特に良好でかつ一定の不透過性と良好な引裂抵抗性及びエッジコーミング抵抗性とを確保する被膜の状態で得ることができるものを提供することである。
【0017】
本発明の別の主要目的は、シリコーン被膜を有する織物支持体の製造方法であって、移動速度を高くすることを可能にするものを提供することである。
【0018】
本発明の別の主要目的は、シリコーン被膜を有する織物支持体の製造方法であって、該支持体を損傷させないことを可能にするものを提供することである。
【0019】
本発明の別の主要目的は、織物支持体の製造方法であって、溶媒がなく、かつ、粘度の高い架橋性シリコーン組成物を使用することを可能にするものを提供することである。
【0020】
本発明の別の主要目的は、当該織物支持体の製造方法を用いて、車両の乗員を保護するためのエアバッグを形成させることを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
特に、これらの目的は、まず、次の工程:
(1)シリコーン組成物を準備し;
(2)工程(1)で準備したシリコーン組成物を織物支持体の1つ又は2つの表面に塗布し;そして
(3)工程(2)で形成された付着物を、好ましくは210℃に達することができる温度で加熱することによって乾燥及び/又は架橋すること
を含む、1つ又は2つの表面上にシリコーン被膜を有する織物支持体の製造方法であって、
工程(2)に従うシリコーン組成物の織物支持体への塗布を、少なくとも3個の構成部品、すなわち圧力ロール、塗布ロール及び計量ロールを有する塗布頭部を備える塗布機を使用する転写式塗布によって実施し、ここで、他の随意の構成部品は計量部品であり、該被覆ロール及び圧力ロールのみが該織物支持体と接触することを特徴とする、前記方法に関する本発明によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に従う様々な例に使用できる塗布機の塗布頭部の略図である。
【図2】図2は、本発明に従う様々な例に使用できる塗布機の塗布頭部の略図である。
【図3】図3は、本発明に従う様々な例に使用できる塗布機の塗布頭部の略図である。
【図4】図4は、本発明に従う様々な例に使用できる塗布機の塗布頭部の略図である。
【図5】図5は、例2に従って得られた織布の走査電子顕微鏡を使用した表面観察写真(×50拡大)である。
【図6】図6は、例3に従って得られた織布の走査電子顕微鏡を使用した断面観察写真(×100拡大)である。
【図7】図7は、例4に従って得られた織布の走査電子顕微鏡を使用した断面観察写真(×100拡大)である。
【図8】図8は、例4に従って得られた織布の図7の拡大図(×200拡大)である。
【図9】図9は、例5に従って得られた織布の走査電子顕微鏡を使用した断面観察写真(×100拡大)である。
【図10】図10は、例5に従って得られた織布の走査電子顕微鏡を使用した断面観察写真(×200拡大)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書において、表現「転写式塗布」とは、塗布ロール上にシリコーン膜を形成させ、次いでそれを織物支持体に転写させることを意味するものとする。塗布ロール上に形成された膜は、実質的に一定の厚さのものであり、この一定の厚さを維持して織物支持体に適用される。こうして、本質的に均一な厚さの被膜が得られる。
【0024】
本発明に従う製造方法は、転写被覆技術を織物支持体に適用して、同一の単位面積当たり質量の同一の被覆支持体であってドクターブレードを使用して被覆されたものよりも機能的性能が良好な被覆支持体を得ることを可能にする点で有益である。
【0025】
つまり、本発明に従う製造方法は、ドクターブレードを使用する被覆システムにより従来生じていたよりも単位面積当たりの平均質量が高く、かつ、同従来よりも被覆速度が高い被膜を有する、既存の被覆支持体と機能的性質が同一の被覆支持体を得ることを可能にする。
【0026】
本願においては、シロキシ単位を表すための次の「シリコーン」命名法を参照されたい(「Chemistry and technology Silicones,Walter NOLL Academic Press 1968,第3頁表1」):
・M:(R°)3SiO1/2
・MAlc:(R°)2(Alc)SiO1/2
・D:(R°)2SiO2/2
・DAlc:(R°)(Alc)SiO2/2
・M’:(R°)2(H)SiO1/2
・D’:(R°)(H)SiO2/2
・MOH:(R°)2(OH)SiO1/2
・DOH:(R°)(OH)SiO2/2
・T:(R°)SiO3/2
・Q:SiO4/2
ここで、R°は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル及びn−ヘキシル)であって、随意に少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていてよいもの(例えば3,3,3−トリフルオルプロピル)及びアリール基(例えばフェニル、キシリル及びトリル)から選択され、
Alc=アルケニル、好ましくはビニル(Viと示す)又はアリルである。
【0027】
第1変形例によれば、シリコーン組成物は、架橋性組成物(A)であって、
−次の成分(a−1)又は(a−2):
・(a−1)は、少なくとも1種の有機過酸化物を主成分とする触媒の作用により架橋することができる少なくとも1種のポリオルガノシロキサンに相当し;
・(a−2)は、
1分子当たり少なくとも2個のC2〜C6アルケニル基が珪素に結合してなる少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(I)、及び
1分子当たり少なくとも2個の水素原子が珪素に結合してなる少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(II)
を含む、重付加反応により架橋することができる2種以上のポリオルガノシロキサンの混合物に相当する;
−有効量の架橋用触媒であって、(a−1)を使用する場合には少なくとも1種の有機過酸化物からなり、(a−2)を使用する場合には白金族(III)からの少なくとも1種の金属又は金属化合物からなるもの;
・随意に少なくとも1種の接着促進剤(IV);
・随意に少なくとも1種の無機充填剤(V);
・随意に少なくとも1種の架橋抑制剤(VI);
・随意に少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(VII);及び
・随意に特定の特性を付与するための1種以上の機能性添加剤
を含むものである。
【0028】
少なくとも1種の有機過酸化物を主成分とする触媒の作用により架橋することができるポリオルガノシロキサン(a−1)は、有利には、次式のシロキシ単位:
1aSiO(4-a)/2 (a.1)
(式中、
・R1は、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する、随意に置換されていてよい炭化水素系基を表し;
・aは、1、2又は3である。)
を有する物質である。
【0029】
好ましくは、R1は、
・メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル及びドデシル基;
・例えばシクロヘキシルなどのシクロアルキル基;
・例えばビニル、アリル、ブテニル及びヘキセニル基などのアルケニル基;
・例えばフェニル、トリル及びβ−フェニルプロピルのようなアラルキル基などのアリール基;並びに
・1個以上の水素原子が1個以上のハロゲン原子で置換された上記基;シアノ基又は例えばクロルメチル、トリフルオルプロピル若しくはシアノエチル基などのシアノ基相当物
から選択される。
【0030】
さらに好ましくは、ポリオルガノシロキサン(a−1)は、トリメチルシリル、ジメチルビニル、ジメチルヒドロキシシリル又はトリビニルシリル単位を鎖の末端基とする。
【0031】
特に有利な一実施形態では、ポリオルガノシロキサン(a−1)は、1分子当たり少なくとも2個のアルケニル基を有する。
【0032】
本発明に有用な有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ビス(p−クロルベンゾイル)、過酸化ビス(2,4−ジクロルベンゾイル)、過酸化ジクミル、過酸化ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、過安息香酸t−ブチル、過酸化t−ブチルクミル、上記過酸化物のハロゲン化誘導体、例えば過酸化ビス(2,4−ジクロルベンゾイル)、1,6−ビス(p−トルオイルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、1,6−ビス(ベンゾイルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、1,6−ビス(p−トルオイルペルオキシカルボニルオキシ)ブタン及び1,6−ビス(2,4−ジメチルベンゾイルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサンが挙げられる。
【0033】
本発明に従う方法の好ましい一実施形態によれば、使用する架橋性被覆用シリコーン組成物(A)は、重付加反応により架橋することができる2種以上のポリオルガノシロキサンを含む。このような組成物は、例えば国際公開第2005/045123号パンフレットに記載されている。
【0034】
好ましくは、当該組成物(A)は、
・(a)1分子当たり少なくとも2個のC2〜C6アルケニル基が珪素に結合してなる少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(I);
・(b)1分子当たり少なくとも2個の水素原子が珪素に結合してなる少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(II);
・(c)白金族に属する少なくとも1種の金属から構成される、触媒として有効な量の少なくとも1種の触媒(III);
・(d)少なくとも1種の接着促進剤(IV);
・(e)随意に少なくとも1種の無機充填剤(V);
・(f)随意に少なくとも1種の架橋抑制剤(VI);
・(g)随意に少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(VII);
・(h)随意に少なくとも1種の着色添加剤(VIII);及び
・(i)随意に少なくとも1種の耐火性改善用添加剤(IX)
から形成された混合物を含む。
【0035】
ポリオルガノシロキサンPOS(I)は、重付加反応による架橋方法のための組成物(A)の主成分の一つである。有利には、該組成物は、次式の単位:
abSiO(4-(a+b))/2 (I.1)
(式中、
・Wはアルケニル、好ましくはビニル基であり;
・Zは、触媒の活性に不利な作用を及ぼさず、かつ、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であって少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていてよいもの及びアリール基から選択される、1価の炭化水素系基であり;
・aは1又は2であり、bは0、1又は2であり、そしてa+bは1〜3である。)と、
随意に次の平均式の他の単位:
cSiO(4-c)/2 (I.2)
(式中、Zは上記と同一の意味を有し、cは0〜3の値を有する。)と
を有する。
【0036】
Z基は、同一のものでもよく又は異なるものでもよい。
【0037】
用語「アルケニル」とは、少なくとも1個のオレフィン系二重結合、より好ましくは1個のみの二重結合を有する置換又は非置換の直鎖又は分岐不飽和炭化水素系鎖を意味するものとする。好ましくは、当該「アルケニル」基は、2〜8個の炭素原子、さらに好ましくは2〜6個の炭素原子を有する。この炭化水素系鎖は、随意に、少なくとも1個のヘテロ原子、例えばO、N、Sを有する。
【0038】
「アルケニル」基の好ましい例は、ビニル、アリル及びホモアリル基であり;ビニルが特に好ましい。
【0039】
用語「アルキル」とは、随意に置換(例えば1個以上のアルキルで)された飽和、環状、直鎖状又は分岐状の炭化水素系鎖であって、好ましくは1〜10個の炭素原子、例えば1〜8個の炭素原子、さらに好ましくは1〜4個の炭素原子を有するものを意味する。
【0040】
アルキル基の例は、特に、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、イソブチル、n−ブチル、n−ペンチル、イソアミル及び1,1−ジメチルプロピルである。
【0041】
用語「アリール」とは、6〜18個の炭素原子を有する芳香族炭化水素系基であって、単環式又は多環式、好ましくは単環式又は二環式のものを意味する。本発明の文脈において、表現「多環式芳香族基」とは、互いに縮合(オルト縮合又はオルト縮合及びペリ縮合)した2個以上の芳香族環を有する、すなわち、対で少なくとも2個の炭素を共通して有する基を意味するものと理解すべきである。
【0042】
「アリール」の例としては、例えばフェニル、キシリル及びトリル基が挙げられる。
【0043】
有利には、POS(I)は、200mPa.s、好ましくは1000mPa.sに等しい粘度、より好ましくはさらに5000〜200000mPa.sの粘度を有する。
【0044】
本願において、示される粘度は、ブルックフィールド粘度計を使用して、1982年5月のAFNOR NFT 76106基準法に従い25℃で測定された動的粘度の値に相当する。
【0045】
勿論、POS(I)は、POS(I)と同一の定義に相当する数種のオイルの混合物であることができる。
【0046】
POS(I)は、式(I.1)の単位から単独で形成されていてもよいし、式(I.2)の単位をさらに有していてもよい。
【0047】
POS(I)は、有利には、直鎖状重合体であって、そのジオルガノポリシロキサン鎖がD又はDViシロキシ単位から本質的になり、かつ、それぞれの末端がM又はMViシロキシ単位でブロックされたものである。
【0048】
好ましくは、Z基の少なくとも60%はメチル基が占める。しかし、ジオルガノポリシロキサン鎖に沿って、Z2SiO以外の少量の単位、例えば次式の単位:ZSiO15(Tシロキシ単位)及び/又はSiO2(Qシロキシ単位)が存在することは、多くとも2%の割合であれば除外されない(これらのパーセンテージは、100個の珪素原子当たりのT単位及び/又はQ単位の数を表す)。
【0049】
式(I.1)のシロキシ単位の例は、ビニルジメチルシロキシ、ビニルフェニルメチルシロキシ、ビニルメチルシロキシ及びビニルシロキシ単位である。
【0050】
式(I.2)のシロキシ単位の例は、SiO4/2、ジメチルシロキシ、メチルフェニルシロキシ、ジフェニルシロキシ、メチルシロキシ及びフェニルシロキシ単位である。
【0051】
POS(I)の例は、ジメチルビニルシリル末端ジメチルポリシロキサン、トリメチルシリル末端メチルビニルジメチルポリシロキサン共重合体、ジメチルビニルシリル末端メチルビニルジメチルポリシロキサン共重合体及び環状メチルビニルポリシロキサンである。
【0052】
これらのPOS(I)は、シリコーンマニュファクチャーズ社が販売しており、又は既に知られている技術を実施することによって製造できる。
【0053】
ポリオルガノシロキサン(II)は、好ましくは、
・ 次式のシロキシ単位:
deSiO(4-(d+e))/2 (II.1)
(式中、
・Lは、触媒の活性に不利な作用を及ぼさず、かつ、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であって少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていてよいもの及びアリール基から選択される1価炭化水素系基であり;
・dは1又は2であり、eは0、1又は2であり、そしてd+eは1〜3の値を有する。)と、
随意に次の平均式の他のシロキシ単位:
gSiO(4-g)/2 (II.2)
(式中、Lは上記と同一の意味を有し、gは0〜3の値を有する。)と
を含むタイプのものである。
【0054】
このポリオルガノシロキサン(II)の動的粘度は少なくとも10mPa.sに等しく、好ましくは20〜1000mPa.sである。
【0055】
ポリオルガノシロキサン(II)は、次式の単位(II.1)単独から形成されていてもよいし、式(II.2)の単位をさらに有してもよい。
【0056】
ポリオルガノシロキサン(II)は、直鎖構造、分岐構造、環状構造又はネットワーク構造を有することができる。
【0057】
L基は、上記Z基と同一の意味を有する。
【0058】
式(II.1)のシロキシ単位の例は、
H(CH32SiO1/2、HCH3SiO2/2、H(C65)SiO2/2
である。
【0059】
式(II.2)のシロキシ単位の例は、式(I.2)のシロキシ単位の例として上記したものと同一である。
【0060】
ポリオルガノシロキサン(II)の例は、直鎖状化合物及び環状化合物、例えば、
・水素ジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン;
・トリメチルシリル末端ポリ(ジメチル)(水素メチル)シロキサン単位を含む共重合体;
・水素ジメチルシリル末端ポリ(ジメチル)(水素メチル)シロキサン単位を含む共重合体;
・トリメチルシリル末端ポリ水素メチルシロキサン;及び
・環状ポリ水素メチルシロキサン
である。
【0061】
化合物(II)は、随意に、水素ジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンと、少なくとも3個のSiH(水素シロキシ)官能基を有するポリオルガノシロキサンとの混合物であることができる。
【0062】
好ましくは、ポリオルガノシロキサン(I)と(II)との割合は、該ポリオルガノシロキサン(II)中における珪素に結合した水素原子数対該ポリオルガノシロキサン(I)中における珪素に結合したアルケニル基数のモル比が0.4〜10、好ましくは0.6〜5であるというものである。
【0063】
本発明に使用する組成物の架橋機構に好適な重付加反応は、当業者に周知である。この反応においては、触媒(III)をさらに使用することができる。この触媒(III)は、特に、白金化合物及びロジウム化合物から選択できる。特に、米国特許US−A−3159601、US−A−3159602、US−A−3220972及び欧州特許EP−A−0057459、EP−A−0188978及びEP−A−0190530に記載された白金と有機物質との錯体、米国特許US−A−3419593、US−A−3715334、US−A−3377432及びUS−A−3814730に記載された白金とビニルオルガノシロキサンとの錯体を使用することが可能である。一般に好ましい触媒は白金である。この場合、白金金属の重量で算出される触媒(III)の量(重量)は、通常、POS(I)及び(II)の総重量に基づき2〜400ppm、好ましくは5〜100ppmである。
【0064】
これは限定ではないが、接着促進剤(IV)は、専ら、
・(IV.1)1分子当たり少なくとも1個のC2〜C6アルケニル基を有する少なくとも1種のアルコキシル化オルガノシラン;
・(IV.2)少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも1種の有機珪素化合物;及び
・(IV.3)少なくとも1種の金属Mキレート及び/又は一般式:M(OJ)nの金属アルコキシド(ここで、n=Mの原子価であり、J=直鎖又は分岐C1〜C8アルキルであり、Mは、Ti、Zr、Ge、Li、Mn、Fe、Al及びMgよりなる群から選択される。)
を含むことが考えられる。
【0065】
本発明の好ましい一実施形態によれば、促進剤(IV)のアルコキシル化オルガノシラン(IV.1)は、特に、次の一般式の物質から選択できる:
【化1】

(式中、
・R1、R2及びR3は、同一の又は互いに異なる水素系基又は炭化水素系基であり、好ましくは、水素、直鎖若しくは分岐C1〜C4アルキル又は少なくとも1個のC1〜C3アルキルで適宜置換されていてよいフェニルを表し;
・Aは直鎖又は分岐C1〜C4アルキレンであり;
・Gは原子価結合又は酸素であり;
・R4及びR5は、同一の基又は異なる基であり、そして直鎖又は分岐C1〜C4アルキルを表し;
・x'=0又は1であり;
・x=0〜2である。)。
【0066】
これは限定ではないが、ビニルトリメトキシシランが特に好適な化合物(IV.1)であると考えることができる。
【0067】
有機珪素化合物(IV.2)に関しては、
−次の一般式を満足する物質(IV.2a):
【化2】

(式中、
・R6は直鎖又は分岐C1〜C4アルキル基であり、
・R7は直鎖又は分岐アルキル基であり、
・Yは、0、1、2又は3に等しく、
【化3】

(式中
・E及びDは、同一の基又は異なる基であり、直鎖又は分岐C1〜C4アルキルから選択され、
・zは0又は1に等しく、
・R8、R9、R10は、同一の基又は異なる基であり、水素又は直鎖若しくは分岐C1〜C4アルキルを表し、
・R8及びR9又はR10は、交互に、エポキシを保持する2個の炭素原子と共にアルキル5員環〜7員環を形成することができる。)
か、或いは
−次式の少なくとも1個の単位:
pqSiO(4-(p+q))/2 (IV.2b1
(式中、
・Xは、式(IV.2a)について上で定義した基であり,
・Gは、触媒の活性に不利な作用を及ぼさず、かつ、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であって、適宜少なくとも1個のハロゲン原子で置換されたもの、有利には、メチル、エチル、プロピル及び3,3,3−トリフルオルプロピル基並びにアリール基から選択される1価の炭化水素系基であり、
・p=1又は2であり、
・q=0、1又は2であり、
・p+q=1、2又は3である。)と、
随意に次の平均式の少なくとも1個の単位:
rSiO(4-r)/2 (IV.2b2
(式中、Gは上記と同じ意味を有し、rは0〜3の値、例えば1〜3の値を有する。)と
を含むエポキシ官能性ポリジオルガノシロキサンからなる物質(IV.2b)
から選択されることが予想される。
【0068】
接着促進剤(IV)の最終化合物(IV.3)に関して、好ましい物質は、キレート及び/又はアルコキシド(IV.3)の金属MがTi、Zr、Ge、Li、Mnから選択されるものである。チタンが特に好ましいことを強調しなければならない。このものは、例えば、ブトキシ型のアルコキシ基と結合できる。
【0069】
接着促進剤(IV)は、
・(IV.1)単独
・(IV.2)単独
・(IV.1)+(IV.2)、
2つの好ましい条件によれば:
・(IV.1)+(IV.3)
・(IV.2)+(IV.3)、
及び最後に最も好ましい条件によれば:(IV.1)+(IV.2)+(IV.3)
から形成できるであろう。
【0070】
本発明によれば、接着促進剤を形成させるための有利な一つの組合せは次のとおりである:
・ビニルトリメトキシシラン(VTMO)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)及びチタン酸ブチル。
【0071】
定量的にいうと、(IV.1)と(IV.2)と(IV.3)との重量割合(当該3種の総量に対する重量パーセントとして表される)は次のとおりであると特定できる:
・(IV.1)≧10%、好ましくは15〜70%、さらに好ましくは25〜65%、
・(IV.2)≦90%、好ましくは70〜15%、さらに好ましくは65〜25%、
・(IV.3)≧1%、好ましくは5〜25%、さらに好ましくは8〜18%。
ここで、(IV.1)、(IV.2)及び(IV.3)のこれらの割合の合計は100%に等しいものとする。
【0072】
良好な接着性のためには、重量比(IV.2):(IV.1)は、好ましくは2:1〜0.5:1であり、2:1の比が特に好ましい。
【0073】
有利には、接着促進剤は、組成物(A)の成分の全てに対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、さらに好ましくは1〜3重量%の量で存在する。
【0074】
無機充填剤(V)は補強充填剤であっても補強充填剤でなくてもよい。このものは、好ましくは、シリカ、例えば、コロイドシリカ、発熱経路で製造されたシリカ(発熱シリカ又はヒュームドシリカとして知られているシリカ)若しくは湿式方法により製造されたシリカ(沈降シリカ)又はこれらのシリカの混合物、炭酸カルシウム、クオーツ、シリコーン類、アルミネート及び他の酸化物、カオリン、二酸化チタン又は微小球、例えばガラス微小球を含む。全ての形態の充填剤、基本的には、球状の充填剤、針状の充填剤、葉片状の充填剤、層状の充填剤及び微小繊維状の充填剤を使用することができる。好ましくは、当該充填剤は疎水性表面を有するが、これは、当該充填剤を、例えば好適なシラン、短鎖シロキサン又は脂肪酸で処理することによって得ることができる。これらの充填剤及びそれらの処理方法は当業者に周知であるため、追加の説明は必要ない。
【0075】
重量の観点から、該組成物の成分の全てに対して、10〜50重量%、好ましくは15〜40重量%、さらに好ましくは20〜30重量%の量の充填剤(V)を使用することが好ましい。
【0076】
また、架橋抑制剤(VI)も周知である。これらのものは、従来どおり、次の化合物:
・有利には環状であり、かつ、少なくとも1個のアルケニルで置換されたポリオルガノシロキサン(テトラメチルビニルテトラシロキサンが特に好ましい);
・ピリジン;
・ホスフィン及び有機ホスフィット;
・不飽和アミド;
・マレイン酸アルキル;及び
・アセチレンアルコール
から選択される。
【0077】
好ましい熱ヒドロシリル化反応阻害剤として、これらのアセチレンアルコール(FR−B−1528464及びFR−A−2372874参照)は、次式:
R−(R’)C(OH)−C≡CH
(式中、
・Rは、直鎖若しくは分岐アルキル基又はフェニル基であり;
・R’は、H又は直鎖若しくは分岐アルキル基又はフェニル基であり;
・該R、R'基及び該三重結合を基準にしてα位に位置する炭素原子は、随意に環を形成することが可能であり;
・R及びR'中に含まれる炭素原子の総数は、少なくとも5個、好ましくは9〜20個である。)
を有する。
【0078】
該アルコールは、好ましくは、250℃を超える沸点を有するものから選択される。例としては、
・1−エチニル−1−シクロヘキサノール;
・3−メチル−1−ドデシン−3−オール;
・3,7,11−トリメチル−1−ドデシン−3−オール;
・1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オール;
・3−エチル−6−エチル−1−ノニン−3−オール;及び
・3−メチル−1−ペンタデシン−3−オール
が挙げられる。
【0079】
これらのα−アセチレンアルコールは市販用の製品である。
【0080】
このような抑制剤(VI)は、ポリオルガノシロキサン(I)及び(II)の総重量に対して、多くとも3000ppmの量で、好ましくは100〜1000ppmの量で存在する。
【0081】
一変形例によれば、組成物のシリコーン相は、少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(VII)であって、その構造内に少なくとも1個のアルケニル残基から構成されてよいものを含むことができ、また、この樹脂は、0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%のアルケニル基(1個以上)の重量含有量を有する。
【0082】
これらの樹脂は、周知でかつ市販されている分岐ポリオルガノシロキサンのオリゴマー又は重合体である。これらのものは、好ましくはシロキサン溶液の状態である。これらのものは、それらの構造内に、M、D、T及びQ単位から選択される少なくとも2個の異なる単位を含み、ここで、これらの単位の少なくとも1つは、T又はQ単位である。
【0083】
好ましくは、これらの樹脂は、アルケニル(ビニル)樹脂である。分岐ポリオルガノシロキサンオリゴマー又は重合体の例としては、MQ樹脂、MDQ樹脂、TD樹脂及びMDT樹脂(アルケニル官能基がM、D及び/又はT単位により保持されていてよい)が挙げられる。特に好適な樹脂の例としては、ビニル基の含有量が0.2〜10重量%のビニルMDQ又はMQ樹脂(これらのビニル基はM及び/又はD単位によって保持される)が挙げられる。
【0084】
この化合物(VII)は、エアバッグを形成するために縫い合わされた合成繊維(例えばポリアミドから作られたもの)の表面の被膜との関連において、シリコーンエラストマー被膜の機械的強度だけでなく、その密着性を増大させるという役割を果たす。この組織化樹脂は、有利には、該組成物の成分の全てに対して、10〜70重量%、好ましくは30〜60重量%、さらに好ましくは40〜60重量%の濃度で存在する。特に好ましくは、ポリオルガノシロキサン樹脂(VII)は、SiO2単位(Q単位)を少なくとも2重量%、特に4〜14重量%、好ましくは5重量%〜12重量%含むであろう。
【0085】
耐火性改善用添加剤(IX)としては、例えば、アミノ基(第二又は第三アミノ基)で置換されたフェニル基を有する化合物が挙げられる。このような添加剤の例は、米国特許第5,516,938号に見出される。このような添加剤の有用な量は、通常、組成物の総量に対して0.01〜1重量部である。
【0086】
保存上の理由のため、シリコーン組成物(A)は、有利には、少なくとも2成分系であって、その混合物が重付加により高温で迅速に架橋することができるものの状態で与えられる。次いで、これらの成分は、当業者の基準に従って様々な部分に分配される;特に、触媒は、水素シロキサンを含む成分から分離される。
【0087】
本発明の別の変形例によれば、シリコーン組成物は、次の成分を含む架橋性組成物(B)である:
B.I:1分子当たり、一方ではM、D、T、Q型の単位から選択される少なくとも2個の異なるシロキシ単位であって該単位の一つがT単位又はQ単位であるものと、他方ではOH及び/又はOR2型(ここで、R2は直鎖又は分岐C1〜C6アルキル基である。)の少なくとも3個の加水分解性/縮合性基とを有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)樹脂を含む皮膜形成性シリコーンネットワークを生成する系;
B.II:該ネットワークの織物表面への固定を促進させる、次の物質からなる系:
−(1)次の一般式の少なくとも1種の金属アルコキシド:
M[(OCH2CH2aOR3n(B.I)
(式中、
・MはTi、Zr、Ge、Si、Mn及びAlよりなる群から選択される金属であり;
・n=Mの原子価であり;
・R3置換基は、同一のもの又は異なるものであり、それぞれ直鎖又は分岐C1〜C12アルキル基を表し;
・aは0、1又は2を表し;
・ただし、該aが0を表す場合には、該R3アルキル基は2〜12個の炭素原子を有し、該aが1又は2を表す場合には、該R3アルキル基は1〜4個の炭素原子を有するものとし;
・随意に、該金属Mは配位子に結合する。)か、或いは
−(2)式(B.I)の単量体アルコキシド(式中、R3は上記の意味を有し、aは0を表す。)の部分加水分解の結果として生じる少なくとも1種の金属ポリアルコキシドか、或いは
−(1)と(2)の組合せか、或いは
−(3)(1)及び/又は(2)と、
・1分子当たり少なくとも1個のC2〜C6アルケニル基を含む少なくとも1種のアルコキシル化されていてよいオルガノシラン;
・及び/又は、少なくとも1種のエポキシ、アミノ、ウレイド、イソシアネート及び/又はイソシアヌレート基を有する少なくとも1種の有機珪素化合物
との組合せのいずれか;
B.III:次の物質からなる機能性添加剤:
−(1)少なくとも1種のシラン及び/又は少なくとも1種の本質的に直鎖状のPOS及び/又は少なくとも1種のPOS樹脂であって、これらの有機珪素化合物のそれぞれが、1分子当たり、一方のB.I及び/又はB.IIと反応することができる或いはB.I及び/又はB.IIと反応することができる官能基をその場で生成することができる1個以上の固定用官能基(AF)と、他方の該AF官能基と同一のもの又は異なるものであってよい1個以上の疎水性官能基(HF)とを備えるものか、或いは
−(2)少なくとも1個の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和炭化水素系基と随意にSi以外の1個以上のヘテロ原子とを有し、かつ、単量体、オリゴマー又は重合体構造の状態にある少なくとも1種の炭化水素系化合物であって、該炭化水素系化合物が、1分子当たり、一方のB.I及び/又はB.IIと反応することができる或いはB.I及び/又はB.IIと反応することができる官能基をその場で生成することができる1個以上の固定用官能基(AF)と、他方の該AF官能基と同一のもの又は異なるものであってよい1個以上の疎水性官能基(HF)とを有するものか、或いは
−(3)(1)と(2)との混合物
のいずれか;
B.IV:随意に(i)少なくとも1種の有機溶媒及び/又は1種の非反応性有機珪素化合物;(2i)及び/又は水からなる非反応性添加剤系;ただし、次の成分を使用することを条件とする(部は重量基準である):
・成分B.I100部当たり、
・0.5〜200部の成分B.II、
・1〜1000部の成分B.III、及び
・0〜10000部の成分B.IV。
【0088】
このような組成物は、例えば、仏国特許第2865223号に記載されている。
【0089】
シリコーン組成物(A)又は(B)の粘度は、上記成分の量を変化させることによって及び異なる粘度のポリオルガノシロキサンを選択することによって調節できる。好ましくは、本発明で使用するシリコーン組成物は溶媒を有しない。したがって、溶媒を除去したり再循環させたりすることはない。
【0090】
転写被覆技術は、一般に、流体(1〜1000mPa.sの動的粘度)被覆組成物を用いる紙分野に関連があるものであるが、本発明に従う方法は、予想に反して、高い動的粘度で、好ましくは3000mPa.s以上、好ましくは5000mPa.s以上、さらに好ましくは8000mPa.s以上、さらに30000mPa.s以上の高い動的粘度で機能すると同時に、単位面積当たりの質量が小さくても優れた機能的性能を有するシリコーン被膜を備える織物支持体をさらに得ることを可能にする。
【0091】
本発明の適用分野に応じて、シリコーン組成物は、例えば、20000〜50000mPa.s、又は100000〜300000mPa.sの動的粘度を有することができる。
【0092】
シリコーン組成物を使用する準備が整ったら、これを、本発明に従う方法に応じて、すなわち少なくとも3個の構成部品、すなわち圧力ロール、塗布ロール及び計量ロールを有する塗布頭部を備える塗布機(ここで、他の随意の構成部品は計量部品であり、該被覆ロール及び圧力ロールのみが該織物支持体と接触する)を使用した転写式塗布により織物支持体に塗布する。
【0093】
特に有利には、計量部品は、全体的に円形の横断面を有する。すなわち、このものは、ドクターブレードを形成する突起を有しない。
【0094】
好ましくは、該計量部品は、計量ロールと呼ばれるロールである。しかしながら、該計量部品は、任意の好適な計量手段、すなわちドクターブレード、押出器、供給スロット又は供給ノズル、カーテン被覆型システム又は塗布ロール上にシリコーンの皮膜を形成させることを可能にする他の任意の部材であることができることは自明である。
【0095】
このような機械は、例えば、5ロール塗布頭部と架橋用オーブンとを備える。これらの塗布機は、紙加工の分野では公知である。ただし、紙は平坦な支持体である。そのため、このタイプの機械は、平坦でない織物支持体には適さないという偏見があった。同様に、当業者にとって、この技術は、高粘度の組成物には好適でない。
【0096】
このような機械は、織物支持体の巻き付きを解く巻出機と、塗布頭部と、織物支持体を運搬するための手段と、少なくとも1個のオーブンと、巻取機とを備えるため、該支持体は、いったん被覆されたら、その被膜を架橋するために1個以上のトンネルオーブンを通過し、次いで巻取機に巻き取られる。
【0097】
本発明で使用するシリコーン組成物が室温で架橋又は乾燥し得る場合であっても、本発明に従う方法の工程3に従って、熱的手段及び/又は電磁放射線(UV又は電子線又は赤外線の放射)により架橋又は乾燥を促進させることが好ましい。架橋又は乾燥工程中の温度は、好ましくは210℃よりも低く、さらに好ましくは90〜190℃である。オーブン内での滞留時間は温度による;一般に、160〜180℃近辺の温度ではおよそ10〜60秒である。
【0098】
特に有利には、本発明に従う方法で使用する塗布機は、織物支持体と接触するドクターブレードを備えない。したがって、織物支持体は、塗布機を通過するときに損傷を受けない。
【0099】
好ましくは、塗布ロール及び圧力ロールは、織物支持体と同じ移動方向で同時回転する。しかしながら、これらのロールは逆回転することもできることは自明である。
【0100】
好ましくは、被覆ロール及び計量ロールは同時回転する。しかしながら、これらのロールは逆回転することもできることは自明である。
【0101】
特に有利には、塗布ロール対計量ロールの速度比は、1.2以上、好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上である。
【0102】
有利には、塗布頭部は、5個のロール、すなわち圧力ロールと、塗布ロールと、3個の計量ロールとを備え、ここで、随意の他のロール(複数)は計量ロールであり、好ましくは、全て織物支持体の移動方向で同時回転する。該計量ロールは、まず、該計量ロールと塗布ロールとの間でシリコーン組成物を相当にせん断するのを可能にする。これは、これらのロール上に形成したシリコーン膜の厚さを制御することを可能にする。
【0103】
これらのロールは、金属から作られ若しくはゴムで被覆されていてよく、又は、セラミックを含めた任意の他の材料から作られていてよい。
【0104】
特に有利には、計量ロールと塗布ロールとの間隔は50μm以下、好ましくは20μm以下である。これら2個のロール間の密接な接触により、シリコーンをよくせん断することが可能になる。
【0105】
この密接な接触を促進させるために、計量ロールと塗布ロールを異なる材料、例えば一方が金属から作られたもので、他方がゴムで被覆されたものから作ることができる。
【0106】
塗布機は、単一パスで織物支持体の2面を被覆するように配置された2個の塗布頭部を備えることができる。この場合には、織物の下部面への被覆用の圧力ロールであるロールは、織物の上部面への被覆用の塗布ロールでもある。このときに、シリコーンの供給は二重である。
【0107】
本発明に従う方法は、織物支持体と接触するドクターブレードが存在しないので、10m/分〜500m/分、好ましくは20m/分〜100m/分の織物支持体移動速度を獲得することを可能にする。
【0108】
本発明の方法の特に有利な特徴の一つによれば、織物支持体に適用されるシリコーン組成物の量は、30g/m2以下、好ましくは20g/m2以下、さらに好ましくは15g/m2以下である。
【0109】
本発明に従う方法は、織物支持体、すなわち織物、編組、編物又は不織繊維支持体、好ましくは、天然繊維、合成繊維(有利にはポリエステル又はポリアミドから作られたもの)又は混合繊維から作られた織物、編組、編物又は不織支持体を被覆するために使用できる。本発明に従う方法は、繊細な繊維、例えばガラス布又は炭素布に特に好適である。
【0110】
また、本発明は、上記の方法によって得ることができる、織布、ニット織物又は不織布材料から作られた支持体であって1つ又は2つの表面上にシリコーン被膜が被覆されたものを目的とするものでもある。
【0111】
1つ又は2つの表面上にシリコーン被膜が被覆された、上で定義したような当該織物支持体は、該シリコーン被膜が該織物のフィラメントの外部表面に連続的に続くことを特徴とする。
【0112】
好ましくは、このものは、どの場所であっても、I=E(μ)/G(g/m2)で定義される厚さ指数Iが3以下、好ましくは2以下、さらに好ましくは1.5以下である(ここで、Gはシリコーン被膜の単位面積当たりの平均質量である。)厚さEを有する。
【0113】
単位面積当たりの平均質量Gは、被覆に使用されるシリコーン組成物の量(g)を、被覆される支持体の表面積(m2)で割ることによって得られる。
【0114】
得られる被膜は、支持体を被覆するのに必要なシリコーン組成物の量が、ドクターブレード塗布機を使用した場合に同じ支持体をその機能的性能を損なうことなく被覆するのに必要な量よりも少ないように、均一な厚さの薄層の状態である。
【0115】
本発明の非常に有利な特徴の一つによれば、支持体は、シリコーン被膜の単位面積当たりの平均質量が30g/m2以下、好ましくは20g/m2以下、さらに好ましくは15g/m2以下である。
【0116】
好ましくは、シリコーン被膜は、上記のような架橋性シリコーン組成物(A)又は(B)から得られる。
【0117】
本発明に従う支持体は、好ましくはISO9237基準法に従って10l/dm2/分を超える多孔度を有する糸目の粗い織物である。表現「糸目の粗い織物支持体」とは、ISO9237基準法に従って10l/dm2/分を超える多孔度を有する支持体を意味するものとする。織布の場合には、特に、糸目の粗い織物を1cm当たりの縦糸及び横糸の数(その合計は36以下である)に相当するものとして定義することが可能である。本発明において特に好ましい織布としては、一般に、被覆されていない状態での重量が200g/m2未満、特に160g/m2以下の織布が挙げられる。例えば、10×10〜18×18糸数/cmを有する、特にポリアミド又はポリエステルから作られた当該織布、例えばこれらの特徴を有する470dtex(デシテックス)の織布が挙げられる。被覆された繊維又は支持体の適用に応じて特定の又は強化された特性を与えるために、工業用布繊維、すなわち従来の繊維と比較して特性が改善された、例えば靭性が増大した織物繊維から形成された支持体を使用することもできることを言及しておく。
【0118】
本発明に従う支持体は、例えば、単一の要素からなる平坦な織物であることができ、又は、該織物は、単一のシームレス部分を形成するように単一工程で織られた少なくとも2種の要素から構成できる。
【0119】
本発明の別の態様は、上記のような被覆支持体から形成された又は上記本発明の方法に従って製造された、自動車乗員を保護するためのエアバッグに関するものである。
【0120】
特に有利には、本発明に従う自動車乗員保護用のエアバッグは、OPW(one piece woven)エアバッグと呼ばれる、単一工程で織られた2種の要素から構成される単一のシームレス部材である。
【0121】
また、本発明に従う織物支持体は、特に、テントキャンバス、パラシュート生地などのような工業用布を製造するために使用することもできる。
【0122】
これは、スポーツウエアやアウトドア活動に参加するために適した布地などの衣料品の製造に取り入れることも可能である。
【0123】
驚くべきことに、例えば20g/m2に等しい単位面積当たりの平均質量のシリコーン被膜を有する、本発明に従う方法によって得られた支持体は、単位面積当たりの平均質量が同じでドクターブレードを使用して被覆されたシリコーン被膜を有する支持体よりも機能的性能及び圧力抵抗性能が良好である。
【0124】
上記特性及び特徴により、自動車乗員の個人保護用エアバッグは、特にポリアミド又はポリエステル織物から作製された上記のような糸目の粗い織物から製造でき、これは、いったん被覆されると、エッジコーミングと引き裂きに対する良好な抵抗性、200g/m2以下の重量を有し、また、さらに、特に不透過性、熱保護、多孔度及び柔軟性の最適な特性を有する。これは、従来技術の方法に従って被覆された織物から製造されたエアバックよりも軽くて、性能が高く、しかも費用の安いエアバッグを製造することを可能にする。
【0125】
一般に、ここで問題となっている被覆は、柔軟性のある支持体材料の表面の少なくとも1つへの単一層の付着に相当し得る(一次層)。しかし、これは、不透過性及び好ましい感触の特徴という観点で考えられる最も良好な性能を確保する所望の厚さを全体的に保有するように、既に被覆された支持体材料(二次層)の表面の少なくとも1つへの第2層又は随意に第3層の付着であることもできる。
【0126】
本発明に従って組成物を製造すること及び当該組成物をポリアミド織物用の被膜として適用することに関する次の実施例は、本発明をさらによく理解することを可能にし、その利点とその実施形態の変形例を強調するものである。本発明に従う方法により得られた生成物の性能は、比較試験によって実証する。
【0127】
試験の説明
・被覆重量は、被覆した試料と、被覆していない試料、好ましくは当該被覆区域の前の元の織物との重量差計量によって測定する。
・引裂抵抗測定:引裂抵抗の測定は、ISO13937−2基準法に従うプロトコールにより実施する。
・エッジコーミング抵抗性の測定:エッジコーミング抵抗性の測定は、ASTM D6479基準法の指示に従って実施する。
・摩擦抵抗性及び耐摩耗性の試験(「スクラブ」試験)(ISO5981A基準法)。この試験は、組成物の付着及び老化抵抗性を反映するものである。この試験は、一方では、試験片の向かい合う2個の縁部をつまみ、かつ、一方に対する他方の交互運動によって動く2個の掴み具を使用して、織物にせん断運動を施し、他方では、移動する支持体と接触させることによって当該織物に摩耗を施すことからなる。
・動的浸透性試験。この装置は、既知の容量の2個のチャンバーからなる。まず、この試験は、第1チャンバーに加圧ガス(この場合空気)を充填し、そして、入口弁を密閉することによってこれを漏れ止めにすることからなる。被覆した織物の試料を中空板に固定し、被覆面を第2チャンバー(それ自体周囲空気で満たされている)に向ける。
時間t=0で、電磁弁を開放して該第1チャンバーと第2チャンバーとを連通させ、それによって、被覆支持体に急激な過圧を加える。この圧力は100kPaである。この系は漏れ止め性であるため、このときに圧力は2個のチャンバー内で均一であり、被覆織物を介してしか損失は生じない。次いで、チャンバー内の圧力の減少を経時的に測定する。
一般に、圧力が50kPaに降下(50%の損失)するのに要する時間を監視する:この時間が長ければ長いほど、圧力は良好に維持され、試料の漏れ止め性も大きい。織物は、圧力が3秒を超えて50%降下したときに漏れ止めであるとみなされる。
【実施例】
【0128】

塗布頭部の例
本発明に従う方法では、塗布頭部の様々な配置を使用することができる。このような配置を図1〜4に示す。
図1は、織物4を運ぶ圧力ロール1と、塗布ロール2と、計量部品3とを備える転写式塗布頭部の略図である。塗布ロール2と圧力ロール1のみが織物4と接触する。シリコーン5の供給は、計量部品3を介して行う。この計量部品3は、ドクターブレード、押出器、ノズル、スロット、別のロール又は塗布ロール2上にシリコーンの皮膜を形成させることを可能にする他の任意の部材であることができる。当該塗布ロール2は、圧力ロール1及び織物4に対して同時回転することができる(方向7)。
また、塗布ロール2は、圧力ロール1及び織物4に対して逆回転することもできる(方向6)。この場合には、シリコーンの供給は、側5b上で行う。
この機械は、織物4と接触するいかなるドクターブレードも備えない。
【0129】
図2は、計量部品が3個の計量ロール3a、3b及び3cからなる5ロール転写式塗布頭部の略図である。シリコーン5の供給は、例えば、第1の2個の計量ロール3c及び3b間で行う。次いで、このようにして形成されたシリコーン膜をロール3aに転写し、続いてコーター2に転写し、そうして織物4に転写する。
【0130】
図3は、本発明の好ましい実施形態である3ロール転写式塗布頭部の略図である。計量部品はロール3である。織物4の移動方向で同時回転する塗布ロール2を使用する間に、シリコーンの供給を位置5で行うことができる。
【0131】
図4は、織物の2つの表面を単一パスで被覆するための2個の3ロール転写式塗布頭部の組立品を示す。この場合には、織物4の下面への被覆のためのプレッサーであるロール1は、織物4の上面への被覆のためのコーターでもある。このときに、シリコーンの供給は2回であり、例えば位置5a及び5bで行うことができる。
【0132】
例1−(本発明):
(1)ブルースターシリコーンズ社が販売するTCS7534A及びTCS7534Bレッドの100/10混合物(重量基準)を主成分とする液状シリコーンエラストマーを使用する。このものは、重付加によって硬化できるエラストマーである。
48000mPa.sの動的粘度を有する組成物を得る。
(2)次いで、得られた組成物を、470デシテックス(dtex)の線密度及び18×18糸数/cmの打込数を有するポリアミドPA−6,6から作られた連続合成糸の織布に塗布する。この塗布は、パイロット塗布機を使用して転写式塗布により実施し、その塗布頭部は、図3のスキームに相当する。
計量ロール3は金属製でかつ固定されており、塗布ロール2は、80のショアA硬度を有するゴムから作られ、織物の速度の100%で回転し、15barの圧力で計量ロールに押し付けられ、また、圧力ロール1は金属製であり、かつ、40m/分で織物を運ぶ。圧力ロールの塗布ロールへの接触により、織物上に9mmの圧痕が残る。
シリコーン組成物の付着量は、18g/m2である。
(3)織物を被覆後、それぞれ2m長の3個の連続するオーブンに通す。オーブンの最大温度は220℃であり、これは織物の表面では180℃に相当する。このシリコーンエラストマーをこれらのオーブン内で架橋させたところ、該織物は、2個の水冷ロールを通過させた後に、乾燥した感触及び非粘着質の感触を有する。
【0133】
欠陥や目に見える凹凸のない、均質な外観の支持体が得られる。被膜の赤色により明らかになる織物の被覆は連続的であるように見える。
【0134】
180℃で30秒の後硬化後のスクラブ付着は、600回の摩擦を超える。
引裂強度は、287±5N(織物単独については217±6N)であり、エッジコーミング抵抗性は、371±18N(織物単独について312±28N)、すなわち引裂強度が30%の増加で、エッジコーミング抵抗性が20%の増加である。
動的浸透性試験の結果は10秒である。
【0135】
例2−(本発明):
(1)ブルースターシリコーンズ社が販売するTCS7511A及びTCS7511Dの99.3重量%/0.7重量%混合物を主成分とする液状シリコーンエラストマーを使用する。このものは、重付加によって硬化できるエラストマーである。
2500mPa.sの動的粘度を有する組成物を得る。
(2)次いで、得られた組成物を、470デシテックス(dtex)の線密度及び18×18糸数/cmの打込数を有するポリアミドPA−6,6から作られた連続合成糸の織布に塗布する。この塗布は、パイロット塗布機を使用して転写式塗布により実施し、その塗布頭部は、図3に従って3個のロールを備える:金属製計量ロールは、織物の速度の60%で回転し、金属製塗布ロールは、織物の速度の105%で回転し、そして、100ミクロンのスペーサーを介して15barの圧力で計量ロールに押し付けられ、そして、ゴム製圧力ロールが織物を20m/分で運ぶ。圧力ロールの塗布ロールへの接触により、織物上に9mmの圧痕が残る。
付着重量は、15g/m2である。
(3)工程3は、例1と同様である。
【0136】
目に見える凹凸や欠陥のない、均質な外観の支持体が得られ、被膜による織物の覆いは連続的であるように見える。図5は、被膜が均一に分布しており、一定の厚さであり、しかも織物の平坦ではない形状に従っていることを示す。被膜は、フィラメントの浮き上がりに追従し、かつ、シリコーンの連続相を形成している。その外観は滑らかである。損傷を受けた糸はない。本発明に従う方法により、織物の表面を被覆するのに必要な量だけ使用して、織物全体を同じ効率で被覆することが可能になる。糸の頂部は効果的に保護され、また、糸間におけるシリコーンの蓄積はない。
【0137】
180℃で30秒の後硬化後のスクラブ付着は、600回の摩擦を超える。
引裂強度は、350±22N(織物単独については217±6N)であり、エッジコーミング抵抗性は、330±20N(織物単独について312±28N)、すなわち引裂強度が60%の増加である。
【0138】
例3(本発明)
(1)ブルースターシリコーンズ社が販売するTCS7534A及びTCS7534Bの100重量%/10重量%混合物を主成分とする液状シリコーンエラストマーを使用する。このものは、重付加によって硬化できるエラストマーである。
44000mPa.sの動的粘度を有する組成物を得る。
(2)次いで、得られた組成物を、470デシテックス(dtex)の線密度及び18×18糸数/cmの打込数を有するポリアミドPA−6,6から作られた連続合成糸の織布に塗布する。この塗布は、パイロット塗布機を使用して転写式塗布により実施し、その塗布頭部は図2に従って5個のロールを備える:第1金属製計量ロールは、織物の速度の10%で回転し、第2ゴム製計量ロールは、織物の速度の16%で回転し、第3金属製計量ロールは、織物の速度の50%で回転し、ゴム製塗布ロールは、織物の速度の110%で回転し、15barの圧力で計量ロールに押し付けられ、そして金属製圧力ロールは織物を50m/分で運ぶ。圧力ロールの塗布ロールへの接触により、織物上に16mmの圧痕が残る。
付着重量は、22g/m2である。
(3)工程3は、例1と同様である。
目に見える凹凸や欠陥のない均質な外観の支持体が得られ、被膜による織物の覆いは連続的であるように見える。図6は、被膜が均一に分布し、一定の厚さであり、しかも織物の平坦ではない形状に従っていることを示している。被膜は、フィラメントの浮き上がりに追従し、かつ、シリコーンの連続相を形成している。その外観は滑らかである。損傷を受けた糸はない。糸の頂部は効果的に保護され、また、糸間におけるシリコーンの蓄積はない。
180℃で30秒の後硬化後のスクラブ付着は、600回の摩擦を超える。
【0139】
例4(本発明):
(1)ブルースターシリコーンズ社が販売するTCS7534A及びTCS7534Bの100重量%/10重量%混合物を主成分とする液状シリコーンエラストマーを使用する。このものは、重付加によって硬化できるエラストマーである。
44000mPa.sの動的粘度を有する組成物を得る。
(2)次いで、得られた組成物を、470デシテックス(dtex)の線密度及び18×18糸数/cmの打込数を有するポリアミドPA−6,6から作られた連続合成糸の織布に塗布する。この塗布は、パイロット塗布機を使用して転写式塗布により実施し、その塗布頭部は図2に従って5個のロールを備える:第1金属製計量ロールは、織物の速度の10%で回転し、第2ゴム製計量ロールは、織物の速度の15%で回転し、第3金属製計量ロールは、織物の速度の60%で回転し、ゴム製塗布ロールは、織物の速度の110%で回転し、15barの圧力で計量ロールに押し付けられ、そして、ゴム製圧力ロールが織物を50m/分で運ぶ。圧力ロールの塗布ロールへの接触により、織物上に16mmの圧痕が残る。
付着重量は、20g/m2である。
(3)工程3は、例1と同様である。
目に見える凹凸や欠陥のない、均質な外観の支持体が得られ、被膜による織物の覆いは連続的であるように見える。図7及び8は、被膜が均一に分布し、一定の厚さであり、しかも織物の平坦ではない形状に従っていることを示している。被膜は、フィラメントの浮き上がりに追従し、かつ、シリコーンの連続相を形成している。その外観は滑らかである。損傷を受けた糸はない。特に、20g/m2の被覆重量に対して例えば図8の位置Pで測定されたシリコーン膜の厚さ(ミクロンで表す)に相当する厚さ指数Iは、常に2未満であるように思われる。
180℃で20秒の後硬化後のスクラブ付着は、1200回の摩擦を超える。
動的浸透性試験の結果は15秒である。
【0140】
例5(比較):
比較のため、例4と同一のシリコーン組成物を使用する。
また、18×18糸数/cmを有する470dtexの同じPA−6,6ポリアミド織物も使用する。
この組成物をこの織物にドクターブレードを使用した被覆により塗布する。架橋温度は、エラストマーを得るために50のオーブン内滞留時間で180℃である。
また、付着重量は20g/m2である。この被膜の外観は均質ではなく、また、この被膜は連続的には見えなかった。図9及び10は、所定の糸がドクターブレードにより損傷を受け、この被覆から所定のフィラメントが出現することを示している。特に、この被膜では、織物表面上に連続皮膜を設置することができない。糸の頂部は露出したように見えると同時に、ブレードは、糸間の空間にシリコーンを満たした。特に、20g/m2の被覆重量に対して例えば図10の位置Pで測定されたシリコーン膜の厚さ(ミクロンで表す)に相当する厚さ指数Iは、77ミクロン/20g/m2=3.85に等しいように思われる。したがって、糸の頂部よりも、糸間の方に局所的に多くのシリコーンが存在する。
スクラブ付着は、1200回の摩擦を超える。
動的浸透性試験の結果は1.5秒である。
【0141】
例6(本発明):
(1)ブルースターシリコーンズ社が販売するTCS7512A/TCS7511C/TCS7511Dの67.8重量%/31.8重量%/0.4重量%混合物を主成分とする液状シリコーンエラストマーを使用する。このものは、重付加によって硬化できるエラストマーである。
16000mPa.sの動的粘度を有する組成物を得る。
(2)次いで、得られた組成物を、470デシテックス(dtex)の線密度及び18×18糸数/cmの打込数を有するポリアミドPA−6,6から作られた連続合成糸の織布に塗布する。この塗布は、パイロット塗布機を使用して転写式塗布により実施し、その塗布頭部は、図3に従って3個のロールを備える:金属製計量ロールは、織物の速度の60%で回転し、金属製塗布ロールは、織物の速度の105%で回転し、そして、100ミクロンのスペーサーを介して15barの圧力で計量ロールに押し付けられ、そして、ゴム製圧力ロールが織物を20m/分で運ぶ。圧力ロールの塗布ロールへの接触により、織物上に16mmの圧痕が残る。
付着重量は、21g/m2である。
(3)工程3は、例1と同様である。
目に見える凹凸や欠陥のない、均質な外観の支持体が得られ、被膜による織物の覆いは連続的であるように見える。
180℃で30秒の後硬化後のスクラブ付着は、1000回の摩擦を超える。
引裂強度は、340±13N(織物単独については217±6N)であり、エッジコーミング抵抗性は、380±40N(織物単独について312±28N)、すなわち引裂強度が55%の増加で、エッジコーミング抵抗性が20%の増加である。
【0142】
例7(本発明):
(1)ブルースターシリコーンズ社が販売するTCS7512A/TCS7511Dの99.6重量%/0.4重量%混合物を主成分とする液状シリコーンエラストマーを使用する。このものは、重付加によって硬化できるエラストマーである。
30800mPa.sの動的粘度を有する組成物を得る。
(2)次いで、得られた組成物を、470デシテックス(dtex)の線密度及び16×16糸数/cmの打込数を有するポリアミドPA−6,6から作られた連続合成糸の織布に塗布する。この塗布は、パイロット塗布機を使用して転写式塗布により実施し、その塗布頭部は、図3に従って3個のロールを備える:金属製計量ロールは、織物の速度の30%で回転し、金属製塗布ロールは、織物の速度の105%で回転し、そして、100ミクロンのスペーサーを介して15barの圧力で計量ロールに押し付けられ、そして、ゴム製圧力ロールが織物を50m/分で運ぶ。圧力ロールの塗布ロールへの接触により、織物上に7mmの圧痕が残る。
付着重量は、27g/m2である。
(3)工程3は、例1と同様である。
目に見える凹凸や欠陥のない、均質な外観の支持体が得られ、被膜による織物の覆いは連続的であるように見える。
180℃で30秒の後硬化後のスクラブ付着は、1000回の摩擦を超える。
引張強度は、330±13N(織物単独については240±10N)でであり、エッジコーミング抵抗性は、353±11N(織物単独については58±10N)、すなわち引裂強度が35%の増加で、エッジコーミング抵抗性が500%の増加である。
【0143】
例8(本発明):
(1)ブルースターシリコーンズ社が販売するTCS7511A/TCS7511Dの99.3重量%/0.7重量%混合物を主成分とする液状シリコーンエラストマーを使用する。このものは、重付加によって硬化できるエラストマーである。
2500mPa.sの動的粘度を有する組成物を得る。
(2)次いで、得られた組成物を、470デシテックス(dtex)の線密度及び16×16糸数/cmの打込数を有するポリアミドPA−6,6から作られた連続合成糸の織布に塗布する。この塗布は、パイロット塗布機を使用して転写式塗布により実施し、その塗布頭部は、図3に従って3個のロールを備える:金属製計量ロールは、織物の速度の60%で回転し、金属製塗布ロールは、織物の速度の105%で回転し、そして、100ミクロンのスペーサーを介して15barの圧力で計量ロールに押し付けられ、そして、ゴム製圧力ロールが織物を20m/分で運ぶ。圧力ロールの塗布ロールへの接触により、織物上に14mmの圧痕が残る。
付着重量は、27g/m2である。
(3)工程3は、例1と同様である。
目に見える凹凸や欠陥のない、均質な外観の支持体が得られ、被膜による織物の覆いは連続的であるように見える。
180℃で30秒の後硬化後のスクラブ付着は、1000回の摩擦を超える。
引張強度は、349±5N(織物単独については240±10N)であり、エッジコーミング抵抗性は、240±22N(織物単独については58±10N)、すなわち引裂強度が45%の増加で、エッジコーミング抵抗性が300%の増加である。
【0144】
例9(本発明):
(1)150000mPa.sの粘度を有する薄い青色の重付加シリコーンエラストマーを使用する。これは、3500〜100000mPa.sの粘度を有するビニル末端ポリオルガノシロキサンと、ビニル樹脂と、表面疎水性化発熱シリカと、中央及び/又は鎖の末端に水素シロキサン官能基を有する、5〜400mPa.sの粘度を有するポリオルガノ水素シロキサン架橋剤と、白金錯体である触媒と、不飽和二重結合及び/又はエポキシ官能基を有するシランとチタン酸アルキルとを含む接着促進剤とを主成分とする配合2成分系である。
(2)次いで、得られた組成物を470dtexの線密度及び18×18糸数/cmの打込数を有するポリアミドPA−6,6糸の織物に塗布する。この架橋性エラストマーを図3に従って3ロール頭部に固定金属製計量ロールで塗布し、ここで、塗布ロールは、80のショアA硬度を有するゴムから作られ、これを15barの圧力で計量ロールに押し付けられ、そして該塗布ロールは、織物の速度の105%で回転し、金属圧力ロールは織物を20m/分で運ぶ。圧力ロールの塗布ロールへの接触により、織物上に7mmの圧痕が残る。
付着重量は、16g/m2である。
(3)工程3は、例1と同様である。
目に見える欠陥や凹凸のない均質な外観の支持体が得られ、被膜の青色によって明らかになる織物の覆いは連続的であるように見える。
スクラブ付着は、600回の摩擦を超える。
引裂強度は、378±14N(織物単独については217±6N)であり、エッジコーミング抵抗性は、343±17N(織物単独について312±28N)、すなわち引裂強度が75%の増加である。
動的浸透性試験の結果は3秒である。
【0145】
例10(本発明):
(1)ブルースターシリコーンズ社が販売するTCS7534A及びTCS7534B(赤色)の100/10(重量)を混合することによって得られた重付加シリコーンエラストマーを使用する。
該系の粘度は50000mPa.sである。
(2)次いで、得られた組成物を470dtexの線密度及び22×21糸数/cm打込数を有するポリアミドPA−6,6糸の「one piece woven」(OPW)織物に塗布する。
この架橋性エラストマーを図3に従って3ロール頭部に塗布し、ここで、金属製計量ロールは、織物の速度の80%で回転し、金属製塗布ロールは、織物の速度の120%で回転し、これを15barの圧力で計量ロールに押し付け、また金属圧力ロールは織物を20m/分で運ぶ。塗布ロールと圧力ロールとのギャップは、例7と同様に平坦の織物上の7mmの圧痕に該当する。
付着重量は、第1面及び第2面上で45g/m2である。
(3)工程3は、例1と同様である。
被膜の赤色着色によって明らかになるように、特に被覆されたように見える移行帯において目に見える凹凸や欠陥のない均質な外観の支持体が得られる。
スクラブ付着は、2000回の摩擦を超える。
引張強度は、345±15N(織物単独については210±10N)であり、エッジコーミング抵抗性は、660±70N(織物単独について660±70N)、すなわち65%の引裂強度の増加である。
【0146】
上記結果は、本発明に従う方法により、使用するシリコーン組成物及び織物のタイプにかかわらず、単位面積当たりの質量が低くても、特に単位面積当たりの質量が約20g/m2であっても、非常に良好な機能的性能及び圧力抵抗性を有する支持体を得ることが可能になることを示すものである。
【0147】
したがって、本発明に従う方法により、支持体の機能的性能や漏れ止め性を損なうことなく、シリコーンの使用量を減少させることが可能になる。よって、この方法は、経済的な観点から特に有益である。また、当該方法は、より費用のかからない支持体を使用することを可能にするにも拘わらず、所望の機能的特性を保証する。本発明に従う方法により、被覆織物支持体の漏れ止め性を増大させると同時に、少量のシリコーンしか使用しないことも可能になる。
【符号の説明】
【0148】
1 圧力ロール
2 塗布ロール
3 計量部品
4 織物支持体
5 シリコーン組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程:
(1)シリコーン組成物を準備し;
(2)工程(1)で準備したシリコーン組成物を織物支持体の1つ又は2つの表面に塗布し;そして
(3)工程(2)で形成された付着物を、好ましくは210℃に達することができる温度で加熱することによって乾燥及び/又は架橋すること;
を含む、1つ又は2つの表面上にシリコーン被膜を有する織物支持体の製造方法であって、工程(2)に従うシリコーン組成物の織物支持体への塗布を、少なくとも3個の構成部品、すなわち圧力ロール、塗布ロール及び計量ロールを有する塗布頭部を備える塗布機を使用する転写式塗布によって実施し、ここで、他の随意の構成部品は計量部品であり、該被覆ロール及び圧力ロールのみが該織物支持体と接触すること、及び、塗布ロール対計量ロールの速度比が1.2以上、好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
使用する塗布機が、織物支持体と接触するドクターブレードを備えないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計量ロールと前記塗布ロールとの間隔が50μm以下、好ましくは20μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記計量ロール及び前記塗布ロールが異なる材料から作られていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記塗布ロール及び前記圧力ロールが織物支持体と同じ移動方向で同時回転することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記被覆ロール及び前記計量ロールが同時回転することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
工程(2)に従って塗布されるシリコーン組成物の量が30g/m2以下、好ましくは20g/m2以下、さらに好ましくは15g/m2以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記シリコーン組成物が、
−次の成分(a−1)又は(a−2):
・(a−1)は、少なくとも1種の有機過酸化物を主成分とする触媒の作用により架橋することができる少なくとも1種のポリオルガノシロキサンに相当し;
・(a−2)は、重付加反応により架橋することができる2種以上のポリオルガノシロキサンの混合物であって、
1分子当たり少なくとも2個のC2〜C6アルケニル基が珪素に結合してなる少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(I)と、
1分子当たり少なくとも2個の水素原子が珪素に結合してなる少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(II)と
を含むものに相当する;
−有効量の架橋用触媒であって、(a−1)を使用する場合には少なくとも1種の有機過酸化物からなり、(a−2)を使用する場合には白金族(III)からの少なくとも1種の金属又は金属化合物からなるもの;
−随意に少なくとも1種の接着促進剤(IV);
−随意に少なくとも1種の無機充填剤(V);
−随意に少なくとも1種の架橋抑制剤(VI);
−随意に少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(VII);及び
−随意に特定の特性を付与するための1種以上の機能性添加剤
を含む架橋性組成物(A)であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記架橋性シリコーン組成物(A)の前記接着促進剤(IV)が、主として、
・(IV.1)1分子当たり少なくとも1個のC2〜C6アルケニル基を有する少なくとも1種のアルコキシル化オルガノシラン;
・(IV.2)少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも1種の有機珪素化合物;及び
・(IV.3)少なくとも1種の金属Mキレート及び/又は一般式:M(OJ)nの金属アルコキシド(ここで、n=Mの原子価であり、J=直鎖又は分岐C1〜C8アルキルであり、Mは、Ti、Zr、Ge、Li、Mn、Fe、Al及びMgよりなる群から選択される。)
を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリオルガノシロキサン(I)が次式の単位:
abSiO(4-(a+b))/2 (I.1)
(式中、
・Wはアルケニル、好ましくはビニル又はアリル基であり;
・Zは、触媒の活性に不利な作用を及ぼさず、かつ、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であって少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていてよいもの及びアリール基から選択される1価の炭化水素系基であり;
・aは1又は2であり、bは0、1又は2であり、そしてa+bは1〜3である。)
及び随意に次の平均式の他の単位:
cSiO(4-c)/2 (I.2)
(式中、Zは上記と同一の意味を有し、cは0〜3の値を有する。)
を含むことを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリオルガノシロキサン(II)が次式のシロキシ単位:
deSiO(4-(d+e))/2 (II.1)
(式中、
・Lは、触媒の活性に不利な作用を及ぼさず、かつ、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であって少なくとも1個のハロゲン原子で置換されていてよいもの及びアリール基から選択される1価の炭化水素系基であり;
・dは1又は2であり、eは0、1又は2であり、そしてd+eは1〜3の値を有する。)
及び随意に次の平均式の他のシロキシ単位:
gSiO(4-g)/2 (II.2)
(式中、Lは上記と同一の意味を有し、gは0〜3の値を有する。)
を含むことを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ポリオルガノシロキサン(I)と(II)との割合は、該ポリオルガノシロキサン(II)中における珪素に結合した水素原子の数対該ポリオルガノシロキサン(I)中における珪素に結合したアルケニル基の数のモル比が0.4〜10、好ましくは0.6〜5であるというものであることを特徴とする、請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記シリコーン組成物が、次の成分を含む架橋性組成物(B)であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法:
B.I:1分子当たり、一方ではM、D、T、Q型の単位から選択される少なくとも2個の異なるシロキシ単位であって該単位の一つがT単位又はQ単位であるものと、他方ではOH及び/又はOR2型(ここで、R2は直鎖又は分岐C1〜C6アルキル基である。)の少なくとも3個の加水分解性/縮合性基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)樹脂を含む皮膜形成性シリコーンネットワークを生成する系;
B.II:次の(1)〜(3)のいずれかからなる該ネットワークの織物表面への固定を促進させる系:
・(1)次の一般式の少なくとも1種の金属アルコキシド:
M[(OCH2CH2aOR3n (B.I)
(式中、
Mは、Ti、Zr、Ge、Si、Mn及びAlよりなる群から選択される金属であり;
n=Mの原子価であり;
3置換基は、同一のもの又は異なるものであり、それぞれ直鎖又は分岐C1〜C12アルキル基を表し;
aは、0、1又は2であり;
ここで、該aが0を表す場合には、該R3アルキル基は2〜12個の炭素原子を有し、該aが1又は2を表す場合には、該R3アルキル基は1〜4個の炭素原子を有するものとし;
随意に、金属Mは配位子に結合する。)か、或いは
・(2)式(B.I)の単量体アルコキシド(式中、R3は上記の意味を有し、aは0を表す。)の部分加水分解の後に生じた少なくとも1種の金属ポリアルコキシドか、或いは
・(1)と(2)の組合せか、或いは
・(3)(1)及び/又は(2)と、
1分子当たり少なくとも1個のC2〜C6アルケニル基を含む少なくとも1種のアルコキシル化されていてよいオルガノシラン、
及び/又は、少なくとも1個のエポキシ、アミノ、ウレイド、イソシアネート及び/又はイソシアヌレート基を有する少なくとも1種の有機珪素化合物と
の組合せ、のいずれか;
B.III:次の(1)〜(3)のいずれかからなる機能性添加剤:
・(1)少なくとも1種のシラン及び/又は少なくとも1種の本質的に直鎖状のPOS及び/又は少なくとも1種のPOS樹脂であって、これらの有機珪素化合物のそれぞれが、1分子当たり、一方のB.I及び/又はB.IIと反応することができる或いはB.I及び/又はB.IIと反応することができる官能基をその場で生成することができる1個以上の固定用官能基(AF)と、他方の該AF官能基と同一のもの又は異なるものであってよい1個以上の疎水性官能基(HF)とを備えるものか、或いは
・(2)少なくとも1個の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和炭化水素系基と随意にSi以外の1個以上のヘテロ原子とを有し、かつ、単量体、オリゴマー又は重合体構造の状態にある少なくとも1種の炭化水素系化合物であって、該炭化水素系化合物が、1分子当たり、一方のB.I及び/又はB.IIと反応することができる或いはB.I及び/又はB.IIと反応することができる官能基をその場で生成することができる1個以上の固定用官能基(AF)と、他方の該AF官能基と同一のもの又は異なるものであってよい1個以上の疎水性官能基(HF)とを有するものか、或いは
・(3)(1)と(2)との混合物
のいずれか;
B.IV :随意に(i)少なくとも1種の有機溶媒及び/又は1種の非反応性有機珪素化合物;(2i)及び/又は水からなる非反応性添加剤系;ただし、次の成分を使用することを条件とする(部は重量基準である):
成分B.I100部当たり、
0.5〜200部の成分B.II、
1〜1000部の成分B.III、及び
0〜10000部の成分B.IV。
【請求項14】
前記シリコーン組成物の動的粘度が3000mPa.s以上、好ましくは5000mPa.s以上、さらに好ましくは8000mPa.s以上であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記シリコーン組成物の前記動的粘度が30000mPa.s以上であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の方法によって得ることができ、かつ、どの場所であっても、I=E(μ)/G(g/m2)で定義される厚さ指数Iが3以下、好ましくは2以下、さらに好ましくは1.5以下である(ここで、Gはシリコーン被膜の単位面積当たりの平均質量である。)厚さEを有することを特徴とする、1つ又は2つの表面上にシリコーン被膜が被覆された織物支持体。
【請求項17】
前記シリコーン被膜が前記織物のフィラメントの外部表面に連続的に続くことを特徴とする、請求項16に記載の1つ又は2つの表面上にシリコーン被膜が被覆された織物支持体。
【請求項18】
前記シリコーン被膜の単位面積当たりの平均質量が30g/m2以下、好ましくは20g/m2以下、さらに好ましくは15g/m2以下であることを特徴とする、請求項16又は17に記載の支持体。
【請求項19】
前記織物支持体がISO9237基準法に従って10l/dm2/分を超える多孔度を有する糸目の粗い織物であることを特徴とする、請求項16〜18のいずれかに記載の支持体。
【請求項20】
前記シリコーン被膜が請求項11〜16のいずれかに規定された架橋性シリコーン組成物(A)又は(B)から得られた、請求項16〜19のいずれかに記載の支持体。
【請求項21】
前記織物が継ぎ目のない単一の部材を形成させるために単一工程で織られた少なくとも2種の構成部材から構成されている、請求項16〜20のいずれかに記載の支持体。
【請求項22】
請求項16〜21のいずれかに記載の被覆支持体から形成された自動車乗員保護用のエアバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−520052(P2010−520052A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552184(P2009−552184)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052527
【国際公開番号】WO2008/107407
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(507421304)ブルースター・シリコーン・フランス・エスアエス (62)
【氏名又は名称原語表記】BLUESTAR SILICONES FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】21,AVENUE GEORGES POMPIDOU F−69486 LYON CEDEX 03 FRANCE
【Fターム(参考)】