説明

缶ホルダー成形紙材、缶ホルダー及びカートン

【課題】底が抜けて缶体が落下してしまうのを確実に防止するともに、缶体を安定的に保持することが可能な缶ホルダーを組み立てることができる缶ホルダー成形紙材を提供する。
【解決手段】屈曲可能な一枚の板紙からなり、組み立てられることで缶体を保持可能とする缶ホルダー成形紙材10において、缶体の底部が載置される底片部20と、該底片部20の両端に折目線21,22を介してそれぞれ接続され、該折目線21,22に従って立ち上げられて缶体の胴部に沿って湾曲される一対の側壁成形部30,40とを設け、さらに、立ち上げられて湾曲された一対の側壁成形部30,40における周方向両端に、互いに係合してこれら一対の側壁成形部30,40同士を連結させる雄係合部31及び雌係合部41を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶ホルダーを成形可能な缶ホルダー成形紙材、該缶ホルダー成形紙材により成形される缶ホルダー、及び上記缶ホルダー成形紙材が区画形成されたカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器ホルダーとしては、例えばホットコーヒー用の深絞り成形による薄肉のプラスチック製容器を保持する、プラスチックの射出成形により形成された容器ホルダーが知られている。
【0003】
一方、缶飲料については、飲料の種類に応じて適宜加温又は冷却され、飲みごろの温度に調節して販売することが一般化している。
特にコーヒー、お茶等の飲料においては高温に加温することが好ましいが、そのような温度に加温すると、缶の熱伝導性が高いことから、缶の表面温度が高く素手で持ったまま飲むことが困難な場合がある。
また、ビール等の低温に冷やされた飲料においては、缶の表面温度が低く素手で持つには冷た過ぎることがあり、さらに缶表面に水滴が付着することにより滑り易く、場合によっては手から滑り落ちて落下してしまう。
【0004】
そこで、上記不都合を是正すべく、このような缶飲料をプラスチック製の容器ホルダーに保持して、該容器ホルダーを持って缶飲料を飲むことが考えられる。しかしながら、プラスチックで容器ホルダーを成形した場合、生産コストが高くなり、また、ある程度の体積を有するため流通にも不向きであり、使用後の廃棄においても嵩張るという欠点がある。
【0005】
ここで、例えば特許文献1には、組立て式の紙製の缶ホルダーが開示されている。この缶ホルダーは、6つの側壁とこれら側壁から構成される筒体の一端側を閉塞する1つの底部とが折目線を介して連接された紙材からなり、折目線に従って折り込むとともに底部を糊付けされることで組み立てられる。このような缶ホルダーによれば、板紙等の紙材から構成されているため、生産コストを抑えるとともにその廃棄も容易に行なうことができ、また通常の紙材と同様、積層して運搬することができるため、流通時や廃棄時に嵩張ることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−286472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の缶ホルダーにおいては、缶体の下部を支持する底部が糊付けにより固定されているため、缶体の重量によっては缶ホルダーの底部が抜けて缶体が落下してしまうおそれがある。また、6つの側壁により形成される断面6角形の筒体内部に円筒状の缶体を保持する構成のため、缶ホルダーと缶体との間に隙間が生じて一体感がなく、保持が不安定であるという欠点がある。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、底が抜けて缶体が落下してしまうのを確実に防止するともに、缶体を安定的に保持することができる缶ホルダーを組み立てることが可能な缶ホルダー成形紙材、缶ホルダー及びカートンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る缶ホルダー成形紙材は、屈曲可能な一枚の板紙からなり、組み立てられることで缶体を保持可能とされる缶ホルダー成形紙材であって、前記缶体の底部が載置される底片部と、該底片部の両端に折目線を介してそれぞれ接続され、該折目線に従って立ち上げられて前記缶体の胴部に沿って湾曲される一対の側壁成形部とを備え、立ち上げられて湾曲された一対の前記側壁成形部の周方向両端に、互いに係合してこれら一対の前記側壁成形部同士を連結させる側壁係合部を備えることを特徴としている。
【0010】
このような特徴の缶ホルダー成形紙材においては、底片部に対して一対の側壁成形部を立ち上げて湾曲させ、さらに、湾曲させた側壁成形部の周方向両端を側壁係合部によって連結させることで、底片部によって缶体の底部を支持するとともに一対の側壁成形部によって缶体の胴部を保持する缶ホルダーを組み立てることができる。
また、底片部が一対の側壁成形部の両方に一体的に接続されているため、これら底片部と側壁成形部との接続箇所の強度が高く、缶体を保持した際に底片部が抜け落ちてしまうのを防止することができる。
さらに、側壁成形部が缶体の胴部に沿って湾曲されるとともにこれら側壁成形部の周方向端部が側壁係合部により係合されて、一対の側壁成形部の内側に円筒状の空間が形成されるため、該空間に缶体を挿入することで、缶体と缶ホルダーとの間に隙間が形成されることがなく缶体を一体感高く強固に保持することができる。
【0011】
また、本発明に係る缶ホルダー成形紙材は、屈曲可能な一枚の板紙からなり、組み立てられることで缶体を保持する缶ホルダーを成形可能な缶ホルダー成形紙材であって、前記缶体の底部が載置される底片部と、該底片部の複数の端部に折目線を介してそれぞれ接続された複数の側壁成形部とを備え、これら側壁形成部は前記折目線に従って立ち上げられて前記缶体の胴部に沿って湾曲され、立ち上げられて湾曲された各前記側壁成形部の周方向両端に、互いに係合することで隣り合う前記側壁成形部同士を連結させる側壁係合部を備えるものであってもよい。
【0012】
このような特徴の缶ホルダー成形紙材においては、底片部に対して複数の側壁成形部を立ち上げて湾曲させ、さらに、湾曲させた側壁成形部の周方向両端を隣り合う側壁係合部によって連結させることで、底片部によって缶体の底部を支持するとともに複数の側壁成形部によって缶体の胴部を保持する缶ホルダーを組み立てることができる。
また、底片部が複数の側壁成形部に一体的に接続されているため、これら底片部と側壁成形部との接続箇所の強度が高く、缶体を保持した際に底片部が抜け落ちてしまうのを防止することができる。
さらに、側壁成形部が缶体の胴部に沿って湾曲されるとともにこれら側壁成形部の周方向端部が側壁係合部により係合されて、複数の側壁成形部の内側に円筒状の空間が形成されるため、該空間に缶体を挿入することで、缶体と缶ホルダーとの間に隙間が形成されることがなく缶体を一体感高く強固に保持することができる。
【0013】
また、本発明に係る缶ホルダー成形紙材においては、前記側壁成形部の少なくとも一つに、これら側壁成形部を立ち上げた際の上下方向に沿って延びる折目線と、該折目線の両端を接続する切目線とによってループ状に区画形成された一対の取っ手成形部が、その折目線を対向状態にして配置され、これら一対の前記取っ手成形部に、該一対の取っ手成形部をその折目線に従って立ち上げた際に互いに係合して前記取っ手成形部同士を連結する取っ手係合部が備えられたことを特徴としている。
【0014】
このような特徴の缶ホルダー成形紙材によれば、缶ホルダーを組み立てる際に、一対の側壁成形部を立ち上げて湾曲させて連結させた後、一対の取っ手成形部を折目線に従って径方向外側に立ち上げるとともに、これら取っ手成形部を取っ手係合部によって連結する。これによって、缶ホルダーに取っ手を形成することができ、缶ホルダーを持ち易くすることができる。
また、この取っ手成形部は、側壁成形部に区画形成されているため、取っ手成形部を折目線に従って立ち上げても、側壁成形部と缶体との一体感が損なわれることはない。即ち、一対の側壁成形部による円筒形状が損なわれることがないため、缶体を一体感高く保持することができ、該缶体を強固に保持したまま取っ手を成形することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る缶ホルダー成形紙材においては、前記取っ手成形部の内側に、ループ状の切目線によって区画された取っ手孔成形部が形成されたことを特徴とする。
【0016】
このような特徴の缶ホルダー成形紙材によれば、取っ手孔成形部を切目線に沿って打ち抜くことにより、容易に取っ手孔を形成することができる。これによって、缶ホルダーをより持ち易くできる他、缶ホルダーに缶体を保持した状態で取っ手孔に指を入れるようにして取っ手を持つことで、いわばジョッキによって飲料を飲むような爽快感を得ることができる。
【0017】
本発明に係る缶ホルダーは、上記いずれかの缶ホルダー成形紙材を組み立てることにより成形されたことを特徴とする。
このような缶ホルダーによれば、上記のように底片部が抜けることがなく、また、缶体を一体感高くを強固に保持することができる。
【0018】
本発明に係るカートンは、4つのパネルが折目線を介して連接されてなり、複数の前記缶体を一体的に保持するカートンであって、請求項1から3のいずれか一項に記載の缶ホルダー成形紙材が切目線を介して区画形成された前記板紙からなることを特徴としている。
【0019】
このような特徴のカートンによれば、カートンから缶ホルダー成形紙材を打ち抜くことができるため、当該缶ホルダー成形紙材を組み立てて成形した缶ホルダーによって、カートンにより包装されていた缶体自体を保持することができる。また、通常廃棄されるカートンを活用して缶ホルダーを成形する構成のため、コストを低減させることができる。
【0020】
また、本発明に係るカートンにおいては、前記底片部が、いずれか一の前記パネル内に形成されていることを特徴とする。
これにより、底片部が複数のパネルに跨ることはなく該底片部が折目線上にかかることがないため、底片部に折目線が存在することによる強度の低下を防止することができる。よって、底片部が破断等により抜け落ちることのない強固な缶ホルダーを成形することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の缶ホルダー成形紙材によれば、底片部が一対の側壁成形部の両方に一体的に接続されているため、缶体を保持した際に底片部が抜け落ちてしまうことを防止することができる。また、側壁成形部が缶体の胴部に沿って湾曲されて連結されることで缶体と缶ホルダーとの間の隙間をなくし、缶ホルダーと缶体との一体感を高めることができる。したがって、缶体を安定的かつ強固に保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係るカートンの展開平面図である。
【図2】実施形態に係る缶ホルダー成形紙材の平面図である。
【図3】缶ホルダー成形紙材から缶ホルダーを組み立てる途中段階を示す図である。
【図4】実施形態に係る缶ホルダーの斜視図である。
【図5】実施形態に係る缶ホルダーによって缶体を保持した状態を示す斜視図である。
【図6】第1変形例に係る缶ホルダー成形紙材の平面図である。
【図7】第2変形例に係る缶ホルダー成形紙材の平面図である。
【図8】第3変形例に係る缶ホルダー成形紙材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
(カートン)
図1は実施形態に係るカートンの平面図である。カートン100は、紙を主たる原料としたある程度の剛性を有する屈曲自在な板紙からなり、例えば秤量200〜500kg/mである紙製マルチパック用シートから形成されている。このカートン100は、筒型箱状に成形されることで例えば6つの缶体Cをその内側に一体的に保持できるものである。
【0025】
このカートン100は、展開状態にて、4つのパネル90が折目線91を介することにより連接された構成をなしている。
より詳細には、これらパネル90は、それぞれ略矩形状をなす第1側板パネル90a、底板パネル90b、第2側板パネル90c、天面パネル90dがこの順番でそれぞれの長手方向の側部において連接されることで構成されている。
【0026】
また、第1側板パネル90aにおける底板パネル90bとは反対側の側部には、上記長手方向に沿って連設された3つの雌孔部92aを有する雌フラップ92が折目線93を解して接続されている。
さらに、天面パネル90dにおける第2側板パネル90cとは反対側の側部には、上記長手方向に沿って連設された3つの雄フック部94aを有する雄フラップ94が、折目線95を介して接続されている。
【0027】
カートン100を展開状態から箱状に成形するには、まず、各折目線91に従って第1側板パネル90a、底板パネル90b、第2側板パネル90c、天面パネル90dを折り曲げて略四角筒状に成形する。その後、それぞれ折目線93,95に従って雌フラップ92及び雄フラップ94を折り曲げるとともに、雄フラップ94の各雄フック部94aをそれぞれ雌フラップ92の雌孔部92aに挿入、係合させ、第1側板パネル90aと天面パネル90dを連結させる。このようにして、カートン100が内側に複数の缶体Cを収納可能な筒型箱状に成形される。
【0028】
なお、カートン100を筒型箱状に成形する際には、工場における自動包装工程にて複該箱状の成形と同時にその内側に複数の缶体Cが収納されるようになっている。
【0029】
そして、本実施形態のカートン100においては、第1側板パネル90a、底板パネル90b、第2側板パネル90cに跨るようにして、切目線11により缶ホルダー成形紙材10が区画形成されている。
【0030】
(缶ホルダー成形紙材)
缶ホルダー成形紙材10は、切目線11によりカートン100から抜き打かれる一枚物の紙板であり、組み立てることで缶ホルダー1を成形することができる。
【0031】
この缶ホルダー成形紙材10は、詳しくは図2に示すように、底片部20と、該底片部20に接続された一対の側壁成形部30,40とから構成され、底片部20の中心を通る軸線Oを基準として略点対称に形成されている。
【0032】
底片部20は、略矩形状をなしており、その長手方向は短手方向よりも十分に長いものとされ、この長手方向の寸法は缶体Cの底部の直径と同一か僅かに大きい程度に形成されている。そして、この底片部20の長手方向両端に一対の側壁成形部30,40がそれぞれ一体的に接続されている。
【0033】
一対の側壁成形部30,40のうち、一方側(図2における左側)の側壁成形部30は、略矩形状をなしており、その短手方向の寸法は、缶体Cの高さ寸法よりは短く、例えば該缶体Cの高さ寸法の2分の1〜3分の2程度とされており、長手方向の寸法は、缶体Cの胴部の周方向の長さの2分の1と同一かこれより僅かに大きい程度とされている。
【0034】
このような矩形状をなす側壁成形部30においては、一対の長辺のうち底片部20から離間する側の長辺が、缶ホルダー1の開口側に位置する開口側長辺30bとされ、底片部20に近接する側の長辺が缶ホルダー1の底部側に位置する底部側長辺30aとされている。
【0035】
また、この側壁成形部30は、その底部側長辺30aの端部において、上記底片部20の長手方向一端側の短辺の略半分の部分と折目線21を介して接続されている。これにより、底片部20の長手方向と側壁成形部30の短手方向とが一致するとともに、底片部20の短手方向と側壁成形部30の長手方向とが一致することになる。
【0036】
さらに、この側壁成形部30の長手方向両端には、それぞれ2つの雄係合部(側板連結部)31が形成されている。これら計4つの雄係合部31は、側壁成形部30の短辺に折目線32を介して接続されており、該短辺に沿った方向を長手方向とした略矩形状をなしている。
【0037】
4つの雄係合部31のうち、側壁成形部30における底片部20に近接する側の短辺に接続された2つの雄係合部31a,31aは、それぞれ該短辺に沿った方向に一定距離離間して配置されており、これら雄係合部31a,31aの底部側長辺30a側の辺は該底部側長辺30a側に突出するように湾曲した形状をなしている。
また、4つの雄係合部31のうち、側壁成形部30における底片部20から離間した側の短辺に接続された2つの雄係合部31b,31bは、反対側の上記雄係合部31a,31aと対称をなしており、これら雄係合部31a,31aと同様に、側壁成形部30の短辺に沿った方向に一定距離離間して配置されるとともに、これら雄係合部31b,31bの底部側長辺30a側の辺が該底部側長辺30a側に突出するように湾曲した形状をなしている。
【0038】
一対の側壁成形部30,40のうち、他方側(図2における右側)の側壁成形部40は、上記一方側の側壁成形部30と略対称的に形成されている。即ち、この他方側の側壁成形部40は、略矩形状をなしており、その短手方向の寸法は、缶体Cの高さ寸法よりは短く、例えば該缶体Cの高さ寸法の2分の1〜3分の2程度とされており、長手方向の寸法は、缶体Cの胴部の周方向の長さの2分の1と同一かこれより僅かに大きい程度とされている。
【0039】
このような矩形状をなす側壁成形部40においては、一対の長辺のうち底片部20から離間する側の長辺が、缶ホルダー1の開口側に位置する開口側長辺40bとされ、底片部20に近接する側の長辺が缶ホルダー1の底部側に位置する底部側長辺40aとされている。
【0040】
このような矩形状をなす側壁成形部40は、底部側長辺40aの端部において、上記底片部20の長手方向他端側の短辺の略半分の部分と折目線22を介して接続されている。これにより、底片部20の長手方向と側壁成形部40の短手方向とが一致するとともに、底片部20の短手方向と側壁成形部40の長手方向とが一致することになる。さらに、底片部20から見て一方の側壁成形部30と他方の側壁成形部40が互いに反対側に延びるように配置されることになる。
【0041】
この側壁成形部40の長手方向両端には、それぞれ2つの雌係合部(側板連結部)41が形成されている。これら計4つの雌係合部41は、それぞれ側壁成形部40の短辺に折目線42及び切目線43を介して接続されており、該短辺に沿った方向を長手方向とした略矩形状をなしている。
より詳細には、雌係合部41の長辺が、底部側長辺40a側に位置する折目線42と、該折目線42に連続するとともに開口側長辺40b側に位置する切目線43を介して側壁成形部40に接続されている。これにより、雌係合部41と側壁成形部40との間には切目線43によるスリットが形成されることになる。
【0042】
また、4つの雌係合部41のうち、側壁成形部40における底片部20に近接する側の短辺に接続された2つの雌係合部41a,41aは、それぞれ該短辺に沿った方向に一定距離離間して配置されており、これら雌係合部41a,41aの開口側長辺40b側の辺が該開口側長辺40b側に突出するように湾曲した形状をなしている。
【0043】
さらに、4つの雌係合部41のうち、側壁成形部40における底片部20から離間した側の短辺に接続された2つの雌係合部41b,41bは、反対側の上記雌係合部41a,41aと対称をなしており、これら雌係合部41a,41aと同様に、側壁成形部40の短辺に沿った方向に一定距離離間して配置されるとともに、これら雌係合部41b,41bの開口側長辺40b側の辺が該開口側長辺40b側に突出するように湾曲した形状をなしている。
【0044】
そして、この他方の側壁成形部40の内側には、一対の取っ手成形部50が形成されている。
この取っ手成形部50は、側壁成形部40の短辺と平行に延びて直線状をなす折目線51と、該折目線51の両端同士を接続する切目線52とによってループ状に区画されており、その折目線51を対向状態にして一対が形成されている。
【0045】
この取っ手成形部50は、取っ手成形部本体53と、取っ手係合部54と、取っ手孔成形部55とを備えている。取っ手成形部本体53は、上述のように取っ手成形部50を区画形成する折目線51を一つの長辺とした矩形状をなしており、該折目線51の反対側の長辺に、該長辺に沿って延びる取っ手係合部54が、折目線54a及び切目線54bを介して接続されている。
【0046】
このような一対の取っ手成形部50のうち、底片部20に近接した一方の取っ手成形部50aにおいては、取っ手係合部54が、開口側長辺40b側寄りに偏って配置され、さらにその折目線54aが、開口側長辺40b側に配置されるとともに切目線54bが底部側長辺40a側に配置されている。
一方、底片部20から離間した他方の取っ手成形部50bにおいては、取っ手係合部54は、底部側長辺40a側寄りに配置され、さらにその折目線54aが、底部側長辺40a側に配置されるとともに、切目線54bが開口側長辺40b側に配置されている。
即ち、一対の取っ手成形部50a,50bにおいて、それぞれ取っ手係合部54は互いに点対称の配置関係にて形成されているのである。
【0047】
また、取っ手孔成形部55は、取っ手成形部本体53の内側において、切目線55aによってループ状の矩形に区画形成されており、矩形をなす切目線55aの一辺が折目線51に重なるように配置されている。また、該取っ手孔成形部55は折目線51同様、一対の取っ手成形部50a,50bにて対称に配置されている。
【0048】
以上のような缶ホルダー成形紙材10は、組み立てることによって缶ホルダー1を成形することができる。また、このような缶ホルダー成形紙材10は、図1に示すように、底片部20が4つのパネル90のうち底板パネル90b内に収まっており、複数のパネル90に跨っていることはない。
【0049】
(缶ホルダー)
上記缶ホルダー成形紙材10から缶ホルダー1を組み立てる手順について説明する。この組立ては、図3に示すように、側壁成形部30,40を立ち上げて湾曲させた後、取っ手成形部50を立ち上げることによる行なわれる。
【0050】
即ち、まず、底片部20に対して一対の側壁成形部30,40をそれぞれ折目線21,22に従って立ち上げて対向状態とする。これにより、底片部20に対して側壁成形部30,40が90°の角度で立設した状態になる。
次に、側壁成形部30,40を、それぞれの長手方向両端を近接させるようにして軸線Oを中心として底片部20の長手方向を直径とした円弧状をなすように湾曲させる。なお、底片部20が缶体Cの底部直径と略同一寸法をなしているため、側壁成形部30,40は缶体Cの胴部に沿って湾曲されることになる。
【0051】
そして、一方の側壁成形部30の雄係合部31a,31aと他方の側壁成形部40の雌係合部41b,41bとを係合させる。また、同様にして、一方の側壁成形部30の雄係合部31b,31bと他方の側壁成形部40の雌係合部41a,41aとを係合させる。
これら係合は、雄係合部31a,31bの折目線32をそれぞれ雌係合部41a,41bの切目線43からなるスリットに差し込むことにより行なわれる。なお、雄係合部31a,31b、雌係合部41a,41bは上述のように、その一辺が湾曲した形状をなしているため、該湾曲形状に案内されるようにして両者を容易に係合させることができる。
【0052】
このようにして側壁成形部30,40の雄係合部31及び雌係合部41を係合させることで、立ち上げられて湾曲させられた側壁成形部30、40の周方向両端が互いに連結され、その内側に軸線Oを中心とした円筒状の空間が形成される。
【0053】
次に、一対の取っ手成形部50a,50bを切目線52に沿って打ち抜くとともに、これら取っ手成形部50a,50bを、湾曲した側壁成形部40の径方向外側に向かって折目線51に従って折り込む。そして、取っ手孔成形部55を切目線55aに沿って打ち抜き、それぞれの取っ手成形部50a,50bにおける取っ手係合部54,54を互いに係合させる。この係合は、取っ手係合部54,54の折目線54a部分をそれぞれ互いの切目線54bからなるスリットに差し込むことにより行なわれる。これにより、一対の取っ手成形部50a,50bからなる孔の空いた取っ手が成形される。
【0054】
以上のようにして、図4に示すように、底片部20により底部が成形されるとともに一対の側壁成形部30,40により軸線Oを中心とした円筒状の側壁が成形され、さらに、取っ手成形部50によって取っ手が成形された缶ホルダー1が完成する。この缶ホルダー1においては、図5に示すように、側壁成形部30,40からなる円筒形状の内側に缶体Cを挿入すると、缶体Cの缶底が底片部20が支持されるとともに該缶体Cの胴部が側壁成形部30,40に保持される。
【0055】
本実施形態に係る缶ホルダー成形紙材10においては、上記のように、底片部20に対して一対の側壁成形部30,40を立ち上げて湾曲させ、さらに、これら側壁成形部30,40の周方向両端を雄係合部31及び雌係合部41によって連結させることで、糊付け等を行なうことなく容易に缶ホルダー1を組み立てることができる。
【0056】
この缶ホルダー1においては、底片部20が一対の側壁成形部30,40の両方に一体的に接続されているため、これら底片部20と側壁成形部30,40との接続箇所の強度を高くすることができる。したがって、缶体Cを保持した際に底片部20に重量が及ぶことにより底片部20が破断して缶体Cが抜け落ちてしまうのを防止することができる。
【0057】
さらにまた、側壁成形部30,40が缶体Cの胴部に沿って湾曲されるとともにこれら側壁成形部30,40の周方向端部が雄係合部31及び雌係合部41により強固に係合されているため、これら側壁成形部30,40によって缶体Cの胴部と同様の円筒形状を成形することができる。したがって、缶体Cと缶ホルダー1との間に隙間が形成されることがなく缶体Cを一体感高く強固に保持することができる。
【0058】
さらに、本実施形態においては、取っ手成形部50a,50bを径方向外側に立ち上げて取っ手係合部54によって互いに係合させることにより、容易に取っ手を形成することができる。これにより、缶ホルダー1を持ち易くすることができる。
【0059】
また、取っ手成形部50は、側壁成形部40内に区画形成されているため、取っ手成形部50を折目線51に従って立ち上げても、側壁成形部40と缶体Cとの一体感が損なわれることはない。
即ち、一対の側壁成形部30,40が湾曲された後に連結されることで形成される円筒形状が損なわれることがないため、缶ホルダー1と缶体Cとの一体感を高く保ち、該缶体Cを強固に保持しつつ、取っ手を成形することができる。
【0060】
また、取っ手孔成形部55を切目線55aに沿って打ち抜くことにより、容易に取っ手孔を形成することができる。これによって、缶ホルダー1をより持ち易くできる他、缶ホルダー1に缶体を保持した状態で取っ手孔に指を入れるようにして取っ手を持つことで、いわばジョッキによって飲料を飲むような爽快感を得ることができる。
【0061】
さらに、本実施形態に係るカートンにおいては、上記のような缶ホルダー1を組み立てることが可能な缶ホルダー成形紙材10を打ち抜くことができるため、当該缶ホルダー成形紙材10を組み立てて成形した缶ホルダー1によって、カートン100により包装されていた缶体C自体を保持することができる。
また、通常廃棄されるカートン100を活用して缶ホルダー1を成形する構成のため、コストを低減させることができるとともにリサイクルの観点から好ましい。
【0062】
さらに、カートン100においては、缶ホルダー成形紙材10の底片部20が、複数のパネル90に跨らず、一のパネル90内に収まっているため、底片部20がカートン100の折目線91上にかかることはない。したがって、底片部20に折目線91が存在することによる強度の低下を防止することができる。これにより、底片部20が破断等により抜け落ちることのない強固な缶ホルダー1を成形することが可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、実施形態においては、カートン100において、缶ホルダー成形紙材10の底片部20が底板パネル90b上に配置されていたが、底片部20が複数のパネル90に跨らない限り、他のパネル90上に配置されていてもよく、缶ホルダー成形紙材10を打ち抜く切目線11をどのように形成してもよい。
【0064】
また、例えば、上記缶ホルダー成形紙材10の第1の変形例として、図6に示すような缶ホルダー成形紙材60であってもよい。
この第1の変形例の缶ホルダー成形紙材60においては、一方の側壁形成部30が、その底部側長辺30aの中央にて底片部20の長手方向一端側と折目線21を介して接続されており、他方の側壁形成部40が、その底部側長辺40aの中央にて底片部20の長手方向他端側に折目線22を介して接続されている。また、側壁形成部40に取っ手成形部50,50が区画形成されている。このような缶ホルダー成形紙材60も、実施形態の缶ホルダー成形紙材と同様に組み立てることで、缶ホルダーを成形することができる。
【0065】
さらに、第2変形例として、例えば図7に示すような缶ホルダー成形紙材70であってもよい。
この缶ホルダー成形紙材70は、3つの端部を有する略Y字状をなして缶体Cが載置される底片部71を備えており、該底片部71の3つの端部に折目線71aを介して計3つの側壁形成部72がそれぞれ接続されている。これら側壁形成部72は、折目線71aを介して立ち上げられて缶体Cの胴部に沿って湾曲させられる。該湾曲させられた側壁形成部72の周方向両端には、実施形態で詳述した雄係合部31又は雌係合部41が形成されており、これら雄係合部31及び雌係合部41が隣り合う側壁形成部72同士で係合することで、3つの側壁形成部72が連結させられる。これにより、3つの側壁形成部72の内側に、缶体Cを保持する円筒状の空間が形成された缶ホルダーが成形される。
また、3つの側壁形成部72の一つには、実施形態で詳述した一対の取っ手成形部50,50が区画形成されており、該取っ手成形部50,50を立ち上げるとともに、取っ手成形部本体53から取っ手孔成形部55,55を打ち抜き、さらに取っ手係合部54,54同士を係合させることで、缶ホルダーに取っ手を成形することができる。
【0066】
さらにまた、第3変形例として、例えば図8に示すような缶ホルダー成形紙材80であってもよい。
この缶ホルダー成形紙材80は、4つの端部を有する略十文字状をなして缶体Cが載置される底片部81を備えており、該底片部81の4つの端部に折目線81aを介して計4つの側壁形成部82がそれぞれ接続されている。これら側壁形成部82は、折目線81aを介して立ち上げられて缶体Cの胴部に沿って湾曲させられる。該湾曲させられた側壁形成部82の周方向両端には、実施形態で詳述した雄係合部31又は雌係合部41が形成されており、これら雄係合部31及び雌係合部41が隣り合う側壁形成部82同士で係合することで、4つの側壁形成部82が連結させられる。これにより、4つの側壁形成部82の内側に、缶体Cを保持する円筒状の空間が形成された缶ホルダーが成形される。
また、4つの側壁形成部82の一つには、実施形態で詳述した一対の取っ手成形部50,50が区画形成されており、該取っ手成形部50,50を立ち上げるとともに、取っ手成形部本体53,53から取っ手孔成形部55,55を打ち抜き、さらに取っ手係合部54,54同士を係合させることで、缶ホルダーに取っ手を成形することができる。
【0067】
以上のように、変形例1〜3の缶ホルダー成形紙材60,70,80においても、実施形態の缶ホルダー成形紙材10と同様、底片部20,71,81が抜けることなく、缶体Cを強固に保持できる缶ホルダーを成形することができる。また、実施形態で示したように、上記変形例1〜3の缶ホルダー成形紙材60,70,80がカートンに区画形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 缶ホルダー
10 缶ホルダー成形紙材
11 切目線
20 底片部
21 折目線
22 折目線
30 側壁成形部
31 雄係合部(側壁係合部)
40 側壁成形部
41 雌係合部(側壁係合部)
50 取っ手成形部
51 折目線
52 切目線
53 取っ手成形部本体
54 取っ手係合部
55 取っ手孔成形部
55a 切目線
60 缶ホルダー成形紙材
70 缶ホルダー成形紙材
71 底片部
71a 折目線
72 側壁成形部
80 缶ホルダー成形紙材
81a 折目線
81 底片部
82 側壁成形部
100 カートン
C 缶体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲可能な一枚の板紙からなり、組み立てられることで缶体を保持する缶ホルダーを成形可能な缶ホルダー成形紙材であって、
前記缶体の底部が載置される底片部と、
該底片部の両端に折目線を介してそれぞれ接続された一対の側壁成形部とを備え、
該側壁形成部は前記折目線に従って立ち上げられて前記缶体の胴部に沿って湾曲され、
立ち上げられて湾曲された一対の前記側壁成形部の周方向両端に、互いに係合してこれら一対の前記側壁成形部同士を連結させる側壁係合部を備えることを特徴とする缶ホルダー成形紙材。
【請求項2】
屈曲可能な一枚の板紙からなり、組み立てられることで缶体を保持する缶ホルダーを成形可能な缶ホルダー成形紙材であって、
前記缶体の底部が載置される底片部と、
該底片部の複数の端部に折目線を介してそれぞれ接続された複数の側壁成形部とを備え、
これら側壁形成部は前記折目線に従って立ち上げられて前記缶体の胴部に沿って湾曲され、
立ち上げられて湾曲された各前記側壁成形部の周方向両端に、互いに係合することで隣り合う前記側壁成形部同士を連結させる側壁係合部を備えることを特徴とする缶ホルダー成形紙材。
【請求項3】
前記側壁成形部の少なくとも一つに、
これら側壁成形部を立ち上げた際の上下方向に沿って延びる折目線と、該折目線の両端を接続する切目線とによってループ状に区画形成された一対の取っ手成形部が、その折目線を対向状態にして配置され、
これら一対の前記取っ手成形部に、該一対の取っ手成形部をその折目線に従って立ち上げた際に互いに係合して前記取っ手成形部同士を連結する取っ手係合部が備えられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の缶ホルダー成形紙材。
【請求項4】
各前記取っ手成形部の内側に、ループ状の切目線によって区画された取っ手孔成形部が形成されたことを特徴とする請求項3に記載の缶ホルダー成形紙材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の缶ホルダー成形紙材を組み立てることにより成形された缶ホルダー。
【請求項6】
4つのパネルが折目線を介して連接されてなり、複数の前記缶体を一体的に保持するカートンであって、
請求項1から4のいずれか一項に記載の缶ホルダー成形紙材が切目線によって区画形成されていることを特徴とするカートン。
【請求項7】
前記底片部が、いずれか一の前記パネル内に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−235136(P2010−235136A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83811(P2009−83811)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(305060154)ユニバーサル製缶株式会社 (219)
【Fターム(参考)】