缶蓋および飲料缶
【課題】タブの曲がりを生じさせずに缶蓋のうちの開口となる部分を飲料缶の内部に深く押し込むことが可能な缶蓋等を提供する。
【解決手段】パネル400の表面には、半球状に形成され飲料缶100の外側方向に向かって突出した突出部420が形成されている。また、パネル400には、ユーザにより操作されるタブ500が取り付けられている。タブ500には、基部510から突出した突出部520が設けられた状態となっている。ここで、この突出部520は、パネル400から離れる方向に向かって突出するように設けられているとともに、タブの長手方向に沿って配置されている。また、この突出部520は、タブ500の第2の側辺52から第1の側辺51にかけて設けられている。
【解決手段】パネル400の表面には、半球状に形成され飲料缶100の外側方向に向かって突出した突出部420が形成されている。また、パネル400には、ユーザにより操作されるタブ500が取り付けられている。タブ500には、基部510から突出した突出部520が設けられた状態となっている。ここで、この突出部520は、パネル400から離れる方向に向かって突出するように設けられているとともに、タブの長手方向に沿って配置されている。また、この突出部520は、タブ500の第2の側辺52から第1の側辺51にかけて設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶蓋および飲料缶に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に形成された開口片と、2点で支持されるプルトップリングとから成り、開口片の一方の長手側縁に沿って開口片を押し下げ開口する押下バーをプルトップリングに設けたプルトップが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−48435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在広く用いられている飲料缶にはタブが取り付けられていることが多く、飲み口となる開口が形成される際には、このタブがユーザにより操作され、飲料缶のうちのタブにより押圧される被押圧部が、飲料缶の内部方向へ押し込まれる。これにより、この被押圧部の位置する箇所に開口が形成される。ここで、タブに対して突出片を設けるなどしてタブの一部が飲料缶の内部に深く入るようにすれば、上記被押圧部の押し込み量を大きくすることができ、飲み口となる開口を大きくすることが可能となる。ところでこのように突出片などを形成した場合、タブの曲がりが生じやすくなってしまう。
本発明の目的は、タブの曲がりを生じさせずに缶蓋のうちの開口となる部分を飲料缶の内部に深く押し込むことが可能な缶蓋等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される缶蓋は、突出部を表面に備え、缶胴の開口に取り付けられるパネルと、前記パネルの前記表面に対向するように且つ一方向に沿うように配置され、当該一方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該一方向に沿う領域が当該パネルから離れる方向に向かって突出して形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルの前記突出部に向かって進出するとともに当該突出部に突き当たり、当該第2の側辺にて当該パネルを押圧するタブと、を備える缶蓋である。
【0006】
ここで、前記タブの前記領域は、前記第1の側辺から前記第2の側辺にかけて配置され、当該第1の側辺から当該第2の側辺にかけて配置された当該領域が、前記パネルから離れる方向に向かって突出していることを特徴とすることができる。
また、前記第2の側辺のうちの前記突出部に接触する部位は、前記タブの前記第1の側辺側がユーザにより持ち上げられる前、当該突出部から離れた箇所に配置されているとともに前記パネルから離間した状態で配置され、当該タブの当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで当該パネルに接近するように進出し当該パネルの当該突出部に接触することを特徴とすることができる。
さらに、前記タブの前記領域が前記パネルから離れる方向に向かって突出することによって、当該タブには、前記一方向に沿う溝が形成され、前記溝の幅が前記突出部の径よりも大きくなるように当該溝および当該突出部は形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記タブの前記領域が前記パネルから離れる方向に向かって突出することによって、当該タブの一方の面側には、前記一方向に沿うように設けられ当該一方の面から突出するタブ側突出部が形成され、前記タブは、前記第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで予め定められた箇所を中心に回転し、表裏が反転され、前記タブの前記表裏の反転によって、当該タブの前記一方の面が前記パネルに対向するようになるとともに、当該一方の面側に形成された前記タブ側突出部の一部が当該パネルの周縁に対峙するようになり、前記タブ側突出部の前記一部の前記一方の面からの突出量が、当該タブ側突出部の長手方向における一端部の突出量および当該タブ側突出部の長手方向における他端部の突出量よりも小さいことを特徴とすることができる。
【0007】
また本発明を飲料缶と捉えた場合、本発明が適用される飲料缶は、開口部を有し飲料が内部に収容された缶本体と、当該缶本体の当該開口部を塞ぐ缶蓋と、を備え、前記缶蓋は、突出部を表面に備え、前記缶本体の前記開口部に取り付けられるパネルと、前記パネルの前記表面に対向するように且つ一方向に沿うように配置され、当該一方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該一方向に沿う領域が当該パネルから離れる方向に向かって突出して形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルの前記突出部に向かって進出するとともに当該突出部に突き当たり、当該第2の側辺にて当該パネルを押圧するタブと、を備える飲料缶である。
【0008】
ここで、前記パネルを正面から且つ前記タブが取り付けられている側から眺めた場合において、当該タブの前記第2の側辺は、前記一方向と直交する方向に沿うように形成されているとともに直線状に形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記タブを前記パネルに固定するリベットが更に設けられ、前記パネルを正面から且つ前記タブが取り付けられている側から眺めた場合において、当該タブの前記第2の側辺は、前記一方向と直交する直線であって前記リベットを通る直線よりも前記第1の側辺側に設けられていることを特徴とすることができる。
さらに、前記タブの前記第1の側辺には、切り欠きが形成されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タブの曲がりを生じさせずに缶蓋のうちの開口となる部分を飲料缶の内部に深く押し込むことが可能な缶蓋等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態が適用される飲料缶を説明するための図である。
【図2】タブの他の構成例を示した図である。
【図3】突出部の他の構成例を説明するための図である。
【図4】タブが取り付けられる前のパネルの状態を示した図である。
【図5】タブがユーザにより操作された際に生じるパネルの破断を説明するための図である。
【図6】タブがユーザにより操作された際のタブの動きを示した図である。
【図7】タブがユーザにより操作された際のタブの動きを示した図である。
【図8】飲料缶の比較例を示した図である。
【図9】比較例におけるタブがユーザにより操作された際のタブの状態を示した図である。
【図10】タブが突出部を押圧する際の状態を側方から眺めた場合の図である。
【図11】飲料缶の他の構成例を示した図である。
【図12】タブの他の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される飲料缶100を説明するための図である。なお同図(A)は飲料缶100を上方から眺めた場合の図であり、同図(B)は同図(A)の矢印IB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。また、同図(C)は同図(A)の矢印IC方向からタブ500を眺めた場合の図である。
【0012】
本実施形態における飲料缶100は、同図(A)に示すように、上部に開口を有するとともに下部に底部を有し且つ筒状に形成された容器本体(缶胴、缶本体)200と、容器本体200の開口に取り付けられ容器本体200の開口を塞ぐ缶蓋300とを有している。なお、飲料缶100の内部には、清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料などの飲料が充填(収容)されている。
【0013】
缶蓋300は、円盤状に形成され基板として機能するパネル400を有している。ここで、このパネル400には、その表面にスコア線(切り裂き線、弱化線)410が形成されている。さらに、パネル400のうちのスコア線410により囲まれた領域内であってパネル400の表面には、半球状に形成され飲料缶100の外側方向に向かって突出した突出部420が形成されている。また、パネル400には、パネル400に対向するように配置されユーザにより操作されるタブ500が取り付けられている。ここで、このタブ500は、パネル400のうちのスコア線410により囲まれた領域に重なるように設けられている。このため、本実施形態では、パネル400のうちの飲み口となる部分が汚れにくくなっている。
【0014】
また、本実施形態の構成では、例えば直径が2〜3cm程度の小径の飲料缶100であったとしても、開口の面積を確保でき、また、タブ500の大きさを確保できるようになっている。現在、広く流通している飲料缶(長円状または矩形状のタブが取り付けられた飲料缶)においては、タブを設置するためのタブ用スペース、および、開口を形成するための開口用スペースの二つのスペースを確保する必要が生じる。このため、現在流通している飲料缶にて、飲料缶の直径を小さくする場合は、タブ用スペース、および、開口用スペースの何れか又は両者を小さくする必要が生じる。一方で、本実施形態の構成では、タブ用スペースおよび開口用スペースが上下に重なった状態で設けられるため、タブ用スペースおよび開口用スペースを小さくせずに、飲料缶100の直径を小さくすることができる。
【0015】
なお、上記では説明を省略したが、パネル400(缶蓋300)は、いわゆる巻き締めによって容器本体200に固定されており、図1(A)に示すように、パネル400と容器本体200との接合部には巻き締め部250が形成されている。ここで、この巻き締め部250は、環状に形成されている。また、巻き締め部250は、パネル400の表面(タブ500が取り付けられる面)よりも上方に配置されている。
【0016】
ここで、タブ500は、一端部55および他端部56を有し、ユーザにより他端部56側が操作されることで、パネル400に設けられた突出部420を押圧する。より具体的に説明すると、ユーザによって他端部56側が持ち上げられることで一端部55側がパネル400に接近し、この一端部55側がパネル400に設けられた突出部420を押圧する。これにより、スコア線410が形成されている箇所にてパネル400の破断が生じ、パネル400に開口が形成される。なお、本実施形態における缶蓋300は、飲み口として機能する開口がパネル400に形成された後もタブ500がパネル400に取り付けられた状態を維持するいわゆるステイオンタイプの缶蓋である。
【0017】
タブ500についてさらに説明すると、本実施形態におけるタブ500は、同図(A)に示すように、円盤状に形成されたパネル400の略中央部からパネル400の外周縁に向かう一方向(以下、この一方向を「タブ配置方向」と称することがある)に沿って配置されている。さらに、タブ500は、パネル400の中央部側に上記一端部55を有しパネル400の外周縁側に上記他端部56を有している。
【0018】
また、タブ500は、タブ500の他端部56側に配置されるとともにタブ配置方向と直交(交差)する方向に沿って配置された第1の側辺51と、タブ500の一端部55側に配置されるとともにタブ配置方向と直交する方向に沿って配置された第2の側辺52とを有している。また、タブ500は、タブ配置方向に沿うように配置された第3の側辺53と、同じくタブ配置方向に沿うように配置され第3の側辺53とは反対側に配置された第4の側辺54とを有している。なお、第3の側辺53および第4の側辺54は互いに接近するように湾曲した状態で形成されている。
【0019】
また、タブ500には、同図(A)に示すように、第3の側辺53と第2の側辺52とが交わる箇所、および、第4の側辺54と第2の側辺52とが交わる箇所に、突出片57が設けられている。ここで、二つ設けられたこの突出片57の各々は、第2の側辺52から突出するように設けられている。付言すると、第1の側辺51が設けられている側とは反対側に突出するように設けられている。さらに説明すると、二つ設けられた突出片57は、タブ配置方向と直交する方向において互いにずらされた状態で配置されている。また、二つの突出片57の間には間隙が形成されている。なお、本実施形態では、タブ500のうちの突出片57の部分が、リベット260によってパネル400に固定されている。
【0020】
さらに、本実施形態におけるタブ500では、同図(A)、(B)に示すように、タブ500の中央部(タブ配置方向と直交する方向における中央部)に、タブ500の基部510から突出した突出部520が設けられた状態となっている。付言すると、本実施形態では、タブ500の基部510のうちのタブ配置方向に沿って配置された長尺状の領域がパネル400から離れる方向に向かって突出して形成され、この突出により、タブ500に対して突出部520が形成された状態となっている。ここで、タブ側突出部の一例としてのこの突出部520は、パネル400から離れる方向に向かって突出するように設けられているとともに、タブ配置方向に沿って配置されている。また、この突出部520は、タブ500の第2の側辺52から第1の側辺51にかけて設けられている。
【0021】
なお、このように突出部520を第1の側辺51まで形成した場合、ユーザはタブ500の操作を行いやすくなる。本実施形態では、タブ500が操作される際、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられるが、突出部520が第1の側辺51まで形成されていると、タブ500の第1の側辺51とパネル400との間隙が形成される。そしてこの場合、ユーザはこの間隙に指を入れることができるようになり、ユーザは、タブ500の他端部56側の持ち上げを行いやすくなる。
【0022】
また、突出部520は、平板状に形成された基部510の一方の面側から他方の面側に向かって基部510を押圧することにより形成され、突出部520は、この他方の面から突出するように設けられている。さらに説明すると、本実施形態では、突出部520が形成される結果、タブ500の上記一方の面側に、タブ配置方向に沿う溝530(図1(B)参照)が形成された状態となっている。付言すると、本実施形態におけるタブ500では、突出部520が設けられている面とは反対側の面に、タブ配置方向に沿う溝530が形成された状態となっている。
【0023】
本実施形態におけるタブ500では、このようにタブ配置方向に沿った突出部520(溝530)が形成される。このため、本実施形態におけるタブ500は曲げ剛性が高められている。より具体的に説明すると、パネル400に開口が形成される際には上記のとおりタブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられるが、この際、タブ500にはタブ500を曲げようとする荷重が作用することとなる。ここで本実施形態では、上記のように突出部520が形成され、タブ500の曲げ剛性が高められている。このため、本実施形態では、タブ500を曲げようとする荷重がタブ500に作用してもタブ500の曲がりが生じにくくなっている。
【0024】
なお、上記では説明を省略したが、本実施形態では、タブ500に形成された溝530の幅を、パネル400に形成された突出部420の径よりも大きくしている。これは、第2の側辺52が突出部420を押圧して開口を形成する時、タブ500の突出片57の屈曲部周辺に大きな応力を受荷する。このとき、タブ500の溝530は湾曲形状であることにより剛性を有するが、溝530から突出片57に延びる延長部は平面状であるため剛性は劣る。つまり、タブ500の形状として、剛性の劣る前記延長部の長さは短い方が望ましくなる。このとき、突出片57の位置は変わらないので、溝530の幅が大きければ、前記延長部は短くなり、溝530の幅が小さければ、前記延長部は長くなる。そのため、タブ500に形成された溝530の幅を、パネル400に形成された突出部420の径よりも大きくすることが望ましい。
また、本実施形態では、タブ500に形成された溝530の幅を、パネル400に形成された突出部420の径よりも大きくすることで、同図(A)、(B)に示すように、溝530の内部に、パネル400に形成された突出部420の一部を収める構成としている。ここで、例えば、溝530の幅が小さい場合、溝530の内部に突出部420を収めることが難しくなり、タブ500と突出部420とが干渉してしまう。なお、このような干渉は、第2の側辺52を図中他端部56側(図1(A)における下方向)に後退させることで避けることができるようになる。仮に、タブ500を回転させたときの第2の側辺52の軌跡が突出部420の中心付近を通る場合、前記側辺52は突出部420を頂部から缶内に押込むため、突出部420を缶内に深く曲げ入れることができる。しかし、第2の側辺52を図中他端部56側(図1(A)における下方向)に後退させると、前記側辺52の軌跡は、突出部420の側面を通り、突出部420の中心付近を通らないため、突出部420を缶内に深く曲げ入れることができない。そしてこの場合、パネル400に形成される開口が小さいものになってしまう。
【0025】
なお、同図(C)に示すように、上記突出部520の基部510からの突出量は一定ではなく(溝530の深さは一定ではなく)、突出部520のうちタブ500の一端部55と他端部56との間に位置する部位(以下、「中間部位」と称することがある)の突出量は、一端部55における突出量、他端部56における突出量よりも小さくなっている。ここで、上記中間部位は、タブ500がユーザにより操作されタブ500が約180°回転した際(反転した際)に(詳細は後述)、パネル400の周縁に位置する巻き締め部250に対峙するようになる。この際に、中間部位の突出量が小さくなっていると、タブ500をより多く回転させることができる。そしてこの場合、パネル400に形成される開口をより大きなものとすることができる。なお、本実施形態では、タブ500が巻き締め部250に対峙する場合を例示するが、飲料缶100の直径が大きい場合は、反転したタブ500の第1の側辺51側がパネル400の周縁内(巻き締め部250よりも内側)に収まるようになり、この場合は、反転したタブ500はパネル400の周縁に対峙しないようになる。
【0026】
なお、タブ500に形成された突出部520(溝530)は、上記にて説明した形態に限られない。
例えば、図2(タブ500の他の構成例を示した図)の(A)に示すように、突出部520の頂部521を平坦状にするとともにこの頂部521から下方に延びる二つの側部522を設けることができる。ここで、この形態の場合、平坦状の頂部521と側部522とが交わる箇所のそれぞれに角部が形成される。付言すると、この形態の場合、二つの角部が形成される。なお、この二つの角部の各々の角度は、同じ角度とすることもできるし、同図(B)に示すように、異なる角度とすることもできる。
【0027】
また、図1にて示した突出部520は、図2(C)に示すように(図1(B)も参照)、頂部521と一方の側部522とが交わる箇所、頂部521と他方の側部522とが交わる箇所に曲率を付与した形状であったが、図2(D)に示すように、突出部520の全体に曲率を付与し突出部520の断面形状を半円状にすることもできる。また、図1にて示した突出部520では、図2(C)に示すように、頂部521と一方の側部522とが交わる箇所の曲率、および、頂部521と他方の側部522とが交わる箇所の曲率が同じであったが、図2(E)に示すように、曲率を異ならせることもできる。
【0028】
さらに、図2(F)に示すように、突出部520の頂部521を平坦状に形成するとともにこの頂部521に対してタブ配置方向に沿った凹凸を形成することもできる。付言すると、突出部520の頂部521の断面形状を波形とすることもできる。また、頂部521に対してタブ配置方向に沿った突出部523を設けたり(同図(G)参照)、頂部521に対してタブ配置方向に沿った凹部524を設けたりすることもできる(同図(H)参照)。また、同図(I)、(J)に示すように、断面形状において、突出部520の頂部521をV字状とすることもできる。なお、同図(I)は、頂部521を外側方向に突出させることでV字状とし、同図(J)は、頂部521を内側方向に突出させることでV字状とした場合を示している。
【0029】
また、パネル400に形成された突出部420についても、図1にて説明した構成以外の構成とすることができる。図1にて示した突出部420は、図3(突出部420の他の構成例を説明するための図)の(A)にも示すように、側方から眺めた場合の断面形状が半球状であったが、突出部420は、例えば、同図(B)に示すように、円錐状に形成することもできる。なお、図示は省略するが、突出部420は、半球状、円錐状などに限らず、円柱状(円筒状)や角柱状に形成することもできる。また、円柱の上面に前記の半球や円錐を載せた形状にすることもできる。
【0030】
図1を再度参照し、タブ500についてさらに説明すると、同図(A)に示すように、タブ500の第1の側辺51には、切り欠き51Aが形成されている。ここで本実施形態では、タブ500が操作されパネル400に開口が形成される際、タブ500の第1の側辺51とパネル400との間に形成された間隙にユーザの指が入れられたうえでタブ500の他端部56側が持ちあげられる。この際、第1の側辺51に切り欠き51Aが形成されていると、上記間隙に指を入れやすくなり、ユーザは、タブ500の他端部56側の持ち上げを行いやすくなる。さらに説明すると、本実施形態における構成では、第1の側辺51の近くに巻き締め部250が位置し、上記間隙に指を入れにくくなっている。このため、本実施形態では、切り欠き51Aを形成し、ユーザの指が上記間隙に入りやすい構成としている。
【0031】
図4は、タブ500が取り付けられる前のパネル400の状態を示した図である。
本実施形態におけるパネル400では、上記のとおり、その表面にスコア線410が形成されている。さらに、パネル400のうちのスコア線410により囲まれた領域内には、上記のとおり、半球状に形成され飲料缶100の外側方向に向かって突出した突出部420が形成されている。
【0032】
ここで、スコア線410は、パネル400のうちのタブ500により押圧される部位(突出部420が設けられている部位)を囲むように形成されている。また、スコア線410は、パネル400の表面に形成された溝により構成されており、パネル400の破断を誘導する役割を果たす。付言すると、スコア線410は、パネル400の強度を部分的に弱める役割を果たしており、タブ500によりパネル400が押圧された際に、このスコア線410にてパネル400の破断が生じるようになる。
【0033】
また、パネル400の表面には、タブ500の突出片57(図1(A)参照)に形成された貫通孔(不図示)に通された後に押し潰され上記リベット260(図1(A)参照)となる第1突起431および第2突起432が設けられている。さらに、本実施形態のパネル400には、突出部420よりもパネル400の外周縁側、且つ、スコア線410により囲まれている領域内に、パネル400の補強を行う環状の補強用ビード440が設けられている。
【0034】
ここで、スコア線410についてさらに説明すると、本実施形態のスコア線410は、略環状に形成されている。また、スコア線410は、パネル400の破断が最初に開始される始点411およびパネル400の破断が終了する終点412を有している。なお、始点411と終点412との間には、スコア線410が形成されていないスコア線非形成部413が存在している。
【0035】
ここで、タブ500がユーザにより操作されタブ500による突出部420の押圧が開始されると、パネル400のうちのスコア線410よりも内側に位置する部位(以下、「内側部位」と称することがある)が飲料缶100の内部方向に押し込まれ、また、このとき、パネル400のうちのリベット260(図1(A)参照)が位置する箇所が飲料缶100の外側方向に向けて引っ張られる。これによりスコア線410に対してせん断力が作用するようになり、スコア線410が設けられている箇所にてパネル400の破断が発生する。
【0036】
ここで、図5を参照しパネル400の破断について詳細に説明する。
図5は、タブ500がユーザにより操作された際に生じるパネル400の破断を説明するための図である。なお、本図では、タブ500の図示を省略している。
タブ500がユーザにより操作されタブ500による突出部420の押圧が開始されると、まず、同図(A)に示すように、スコア線410の始点411にてパネル400の破断が生じるとともに、一方のリベット260(以下、このリベットを「第1リベット260A」と称する)と突出部420との間に位置する部位にてパネル400の破断が起こる。その後、同図(B)に示すように、円形の突出部420の周囲に沿ってパネル400の破断が進行する。
【0037】
次いで、他方のリベット260(以下、このリベットを「第2リベット260B」と称する)と突出部420との間に位置する部位にてパネル400の破断が起こる。そして最後に、同図(C)に示すように、補強用のビード440の外周縁に沿ってパネル400の破断が進行し、終点412にてパネル400の破断が終了する。ここで、本実施形態では、スコア線410の始点411から終点412に向かってパネル400の破断が進行するのに伴い、上記内側部位が飲料缶100の内部へ進入する。付言すると、上記スコア線非形成部413が設けられている箇所を回転中心として、内側部位は、回転を行いながら飲料缶100の内部へ進入する。これにより、パネル400のうちの内側部位が位置していた箇所に開口が形成される。
【0038】
なお、上記では説明を省略したが、スコア線非形成部413は、突出部420の近傍に配置されている。付言すると、スコア線非形成部413は、パネル400のうちのタブ500により押圧される部位の近傍に配置されている。このため、本実施形態では、突出部420がスコア線非形成部413から離れた箇所に配置されている場合に比べ、飲料缶100の内部への内側部位の入り込み量が多くなり、パネル400に形成される開口が大きくなる。
【0039】
なお、本実施形態では、パネル400に形成された突出部420は、図4に示すように、寸法Lだけ、第1突起431(第1リベット260A)に寄せられた状態で配置されている。さらに説明すると、突出部420は、第1突起431(第1リベット260A)と第2突起432(第2リベット260B)とを通る直線の中点よりも第1突起431側に配置されている。さらに説明すると、突出部420は、スコア線410のうちの第2突起432と突出部420との間に位置する部位よりも、スコア線410のうちの第1突起431と突出部420との間に位置する部位に寄せられた状態で配置されている。このため、本実施形態では、タブ500によるパネル400の押圧が開始されると、上記のとおり、まず、第1突起431側にてパネル400の破断が生じるようになる。
【0040】
次に、タブ500がユーザにより操作された際のタブ500の動きについて説明する。
図6、図7は、タブ500がユーザにより操作された際のタブ500の動きを示した図である。
ユーザによるタブ500の操作が開始される際には、まず、図6(A)に示すタブ500の他端部56(第1の側辺51)とパネル400との間にユーザの指が挿入される。なお上記のとおり、タブ500の第1の側辺51には切り欠き51Aが形成されており、ユーザは、タブ500の他端部56とパネル400との間への指の挿入を行いやすくなっている。
【0041】
その後、同図(B)に示すように、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられる。この持ち上げが行われると、同図に示すように、突出片57の根元にてタブ500が曲がるようになるとともに、タブ500の他端部56側が上方に変位する。また、タブ500の一端部55側に位置する第2の側辺52がパネル400に形成された突出部420に向かって進出するとともに突出部420に突き当たり、第2の側辺52がこの突出部420を押圧する。
なお、本実施形態では、図6(A)に示すように第2の側辺52が直線状に形成されているが、第2の側辺52に対して、図12(タブ500の他の構成例を示した図)に示すように切り欠きを設けることもできる。付言すると、第2の側辺52は、第1の側辺51が位置する側に向かって凹むように湾曲した状態で形成することもできる。第2の側辺52を直線状に形成した場合は、第2の側辺52と突出部420とが点接触となり、タブ500のうちの突出部420に接触する箇所に応力が集中し、この接触する箇所にて変形などが生じるおそれがある。図12のように切り欠きを形成した場合は、タブ500と突出部420とが線接触となり、上記応力の集中を避けることができる。なお、第2の側辺52が直線状に形成されている場合、突出部420のうちの第2の側辺52が接触する箇所を平面状とすることでも、タブ500と突出部420とを線接触で接触させることができるようになる。なお、上記では説明を省略したが、本実施形態では、タブ500のパネル400に対する角度が約30°となったときに、第2の側辺52が突出部420に接触する構成となっている。
【0042】
第2の側辺52が突出部420を押圧すると、上記のとおりスコア線410にてパネル400の破断が起こる。これにより、内側部位が飲料缶100の内部へ入り込み、パネル400に開口が形成される。その後、タブ500の更なる操作がユーザにより行われ、図7(A)、(B)に示すように、タブ500が約180°回転した状態(反転した状態)となる。
【0043】
この状態となると、同図(A)に示すとおり、タブ500の第2の側辺52が、パネル400に形成された開口を通じて飲料缶100の内部に進入し、パネル400の突出部420を更に押圧した状態となる。そしてこの場合、内側部位が飲料缶100の内部に更に深く進入した状態となる。
詳細に説明すれば、パネル400に突出部420がない場合、タブ500の第2の側辺52が缶内に進入した深さだけパネルを押圧して開口するため、大きな開口は望めない。しかし、パネル400に突出部420を設けることにより、タブ500の第2の側辺52が缶内に進入した深さに突出部420の高さを加えた深さの開口となる。なお、図7(A)、(B)を見てわかるように、当初はタブ500の第2の側辺52が突出部420の頂部に当接押圧して開口を開始するが、開口の進行につれて、開口片が傾くことにより第2の側辺52と突出部420の頂部が当接しなくなってしまう。そこで、本実施形態では第2の側辺52との当接する箇所が突出部420の側辺部に移動しながら押圧し続けることができるように、パネル400の突出部420とタブ500の第2の側辺52を配置するようにしている。このことにより、開口角度をさらに大きくし、大きな開口が形成されるようにしている。
このように本実施形態では、パネル400に突出部420が形成されており、この突出部420が設けられることによって内側部位が飲料缶100の内部により深く進入する。そしてこの場合、パネル400の形成される開口がより大きなものとなる。
なお、上記では説明を省略したが、タブ500の縁部のうち第2の側辺52に沿って曲げ加工を施しこの縁部を折り返したり、タブ500の縁部のうち第2の側辺52に沿ってカール加工を施したりすることもできる。この場合、第2の側辺52が突出部420を押圧した際に生じうるタブ500の変形が生じにくくなる。なお、上記折り返しやカール加工は、パネル400側に向かってタブ500が曲がるようにタブ500を変形させることで行うこともできるし、パネル400側とは反対側に向かってタブ500が曲がるようにタブ500を変形させることで行うこともできる。
【0044】
なお、本実施形態の飲料缶100では、タブ500を一方向に向けて約180°回転させることより、ユーザは飲料缶100の内部の飲料を飲むことが可能となる。付言すると、一方向に回転させたタブ500を逆方向に回転させないでも(初期状態に戻さないでも)、十分な大きさの開口が形成される。このため、ユーザは簡単な操作で内部の飲料を飲むことができるようになる。さらに説明すると、本実施形態では、開口に必要な操作がタブ500を引き起こす操作だけでよいため、開口の形成に必要な操作が簡便になる。
【0045】
なお、上記にて説明したが、本実施形態では、突出部520(図1(C)参照)の基部510からの突出量は一定ではなく、突出部520のうちタブ500の一端部55と他端部56との間に位置する部位(中間部位)の突出量が、一端部55における突出量、他端部56における突出量よりも小さくなっている。そして本実施形態では、タブ500がユーザにより操作されタブ500が約180°回転した際(反転した際)、図7(B)に示すように、上記中間部位が、巻き締め部250に対峙するようになる。この場合、タブ500をより多く回転させることができ、パネル400に形成される開口をより大きなものとすることができる。
【0046】
図8は、飲料缶100の比較例を示した図である。なお、上記にて説明した実施形態と同様の機能を有する部分については上記と同じ符号を付している。また、同図(A)は比較例の飲料缶100を上方から眺めた場合の図であり、同図(B)は同図(A)の矢印VIIIB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。また、同図(C)は同図(A)の矢印VIIIC方向からタブ500を眺めた場合の図である。
【0047】
同図に示す比較例では、タブ500が平板状に形成されている。また、本比較例では、パネル400の表面に沿うようにタブ500が配置されているとともに、パネル400の表面にタブ500が接触した状態で設けられている。また、本比較例では、二つ設けられた突出片57に加え、この突出片57の間に、第2突出片58が設けられている。なお、この比較例におけるタブ500では、曲げ剛性を高めるため、第3の側辺53の縁部、第4の側辺54の縁部、第2突出片58の縁部に対してカール加工を施している。
【0048】
図9は、比較例におけるタブ500がユーザにより操作された際のタブ500の状態を示した図である。付言すると、図9は、図8(A)のIX−IX線における断面におけるタブ500の状態を示している。
本比較例でも、タブ500がユーザにより操作される際には、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられる。これにより、パネル400のうちのスコア線410により囲まれた領域がタブ500の第2突出片58により押圧される。そして第2突出片58による押圧がなされると、スコア線410にてパネル400の破断が起こり、パネル400に開口が形成される。
【0049】
ところで、この比較例では、タブ500がパネル400に沿うように且つパネル400に接した状態で配置されているために、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられると、図9の矢印9Aに示すように、第2突出片58の図中下面に対し、第2突出片58を図中上方に向けて押圧する押圧荷重が作用するようになる。また、タブ500の他端部56側にも、矢印9Bに示すように、この他端部56側を図中上方に向けて押圧する押圧荷重が作用するようになる。この結果、この比較例では、第2突出片58の根元において、タブ500の曲がりが生じやくなる。そしてこのような曲がりが生じると、パネル400の開口が形成されない事態が生じたり、形成される開口が小さくなったりする。
【0050】
一方で、本実施形態における構成では、図10(タブ500が突出部420を押圧する際の状態を側方から眺めた場合の図)の矢印10Aに示すように、タブ500の第2の側辺52に対してパネル400の突出部420から荷重が加わるようになるが、この荷重は、タブ500の長手方向に沿って作用する荷重矢印10Bの半径方向の分力である。付言すると、矢印10Bはタブ500の長手方向に沿ってタブ500を圧縮させる荷重となる。本実施形態と比較例の大きな違いは、荷重を受ける方向の違いにある。本実施形態は、タブ500の長手方向に沿って荷重がかかるが、比較例では、長手方向と直角方向に荷重がかかる。また、タブ500は長手方向と長手方向と直角方向では強度が異なるため、さらに言えば、タブ500は長手方向には曲がりにくいが長手方向と直角方向には曲がりやすいため、本実施形態のほうが比較例に比べ剛性を有すると言える。
【0051】
さらに説明すると、本実施形態における構成では、図1(B)などに示すように、タブ500のうちのパネル400(突出部420)を押圧する部位(第2の側辺52)が、パネル400から浮いた状態となっている。付言すると、本実施形態では、タブ500のうち、リベット260により固定され回転の支点となる部位よりも、上方に(パネル400から離れた箇所に)、パネル400の押圧を行う第2の側辺52が設けられている。
【0052】
このため、本実施形態では、タブ500がパネル400に接触しタブ500がパネル400を押圧した際、タブ500はパネル400に対し角度を有した状態で配置されるようになる(図10参照)。そして、この場合は、上記のとおり、パネル400からタブ500に作用する荷重が、タブ500を圧縮させようとする荷重となる。この結果、本実施形態における構成では、上記の比較例に比してタブ500の曲がりが生じにくくなる。
【0053】
なお、上記のとおり、タブ500のうちのパネル400を押圧する部位をパネル400から浮かしておくことで、タブ500の曲がりが生じにくくなるが、タブ500における曲がりをさらに抑制するには、図8にて示した第2突出片58のような突出片を設けない構成することが好ましい。具体的には、図1などで示した構成のように、第2の側辺52から突出する突出片を設けない構成とすることが好ましい。さらに説明すると、図1(A)の第2の側辺52のように、パネル400を正面から且つタブ500が取り付けられている側から眺めた場合において、タブ500のうちのパネル400を押圧する部位は、直線状に且つタブ配置方向と直交する方向に沿うように形成しておくことが好ましい。
【0054】
また、タブ500における曲がり防止には、パネル400を正面から且つタブ500が取り付けられている側から眺めた場合における第2の側辺52の位置を、図1(A)に示すように、二つのリベット260を通る直線SLよりも第1の側辺51(他端部56)側とすることが好ましい。ここで、第2の側辺52が、図11(飲料缶100の他の構成例を示した図)の(A)に示すように、他端部56が設けられている側ではなく、他端部56が設けられている側とは反対側に設けられている場合、タブ500のうち直線SLが通る部分(符号12A参照)あたりにてタブ500の曲がりが生じやすくなる。なお、図11では、突出部420の図示を省略している。また、図11(A)は飲料缶100を上方から眺めた場合の図(パネル400を正面から且つタブ500が取り付けられている側から眺めた場合の図)であり、同図(B)は同図(A)の矢印XIB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。
【符号の説明】
【0055】
51…第1の側辺、51A…切り欠き、52…第2の側辺、200…容器本体、260…リベット、300…缶蓋、400…パネル、420…突出部、500…タブ、520…突出部、530…溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶蓋および飲料缶に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に形成された開口片と、2点で支持されるプルトップリングとから成り、開口片の一方の長手側縁に沿って開口片を押し下げ開口する押下バーをプルトップリングに設けたプルトップが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−48435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在広く用いられている飲料缶にはタブが取り付けられていることが多く、飲み口となる開口が形成される際には、このタブがユーザにより操作され、飲料缶のうちのタブにより押圧される被押圧部が、飲料缶の内部方向へ押し込まれる。これにより、この被押圧部の位置する箇所に開口が形成される。ここで、タブに対して突出片を設けるなどしてタブの一部が飲料缶の内部に深く入るようにすれば、上記被押圧部の押し込み量を大きくすることができ、飲み口となる開口を大きくすることが可能となる。ところでこのように突出片などを形成した場合、タブの曲がりが生じやすくなってしまう。
本発明の目的は、タブの曲がりを生じさせずに缶蓋のうちの開口となる部分を飲料缶の内部に深く押し込むことが可能な缶蓋等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される缶蓋は、突出部を表面に備え、缶胴の開口に取り付けられるパネルと、前記パネルの前記表面に対向するように且つ一方向に沿うように配置され、当該一方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該一方向に沿う領域が当該パネルから離れる方向に向かって突出して形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルの前記突出部に向かって進出するとともに当該突出部に突き当たり、当該第2の側辺にて当該パネルを押圧するタブと、を備える缶蓋である。
【0006】
ここで、前記タブの前記領域は、前記第1の側辺から前記第2の側辺にかけて配置され、当該第1の側辺から当該第2の側辺にかけて配置された当該領域が、前記パネルから離れる方向に向かって突出していることを特徴とすることができる。
また、前記第2の側辺のうちの前記突出部に接触する部位は、前記タブの前記第1の側辺側がユーザにより持ち上げられる前、当該突出部から離れた箇所に配置されているとともに前記パネルから離間した状態で配置され、当該タブの当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで当該パネルに接近するように進出し当該パネルの当該突出部に接触することを特徴とすることができる。
さらに、前記タブの前記領域が前記パネルから離れる方向に向かって突出することによって、当該タブには、前記一方向に沿う溝が形成され、前記溝の幅が前記突出部の径よりも大きくなるように当該溝および当該突出部は形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記タブの前記領域が前記パネルから離れる方向に向かって突出することによって、当該タブの一方の面側には、前記一方向に沿うように設けられ当該一方の面から突出するタブ側突出部が形成され、前記タブは、前記第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで予め定められた箇所を中心に回転し、表裏が反転され、前記タブの前記表裏の反転によって、当該タブの前記一方の面が前記パネルに対向するようになるとともに、当該一方の面側に形成された前記タブ側突出部の一部が当該パネルの周縁に対峙するようになり、前記タブ側突出部の前記一部の前記一方の面からの突出量が、当該タブ側突出部の長手方向における一端部の突出量および当該タブ側突出部の長手方向における他端部の突出量よりも小さいことを特徴とすることができる。
【0007】
また本発明を飲料缶と捉えた場合、本発明が適用される飲料缶は、開口部を有し飲料が内部に収容された缶本体と、当該缶本体の当該開口部を塞ぐ缶蓋と、を備え、前記缶蓋は、突出部を表面に備え、前記缶本体の前記開口部に取り付けられるパネルと、前記パネルの前記表面に対向するように且つ一方向に沿うように配置され、当該一方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該一方向に沿う領域が当該パネルから離れる方向に向かって突出して形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルの前記突出部に向かって進出するとともに当該突出部に突き当たり、当該第2の側辺にて当該パネルを押圧するタブと、を備える飲料缶である。
【0008】
ここで、前記パネルを正面から且つ前記タブが取り付けられている側から眺めた場合において、当該タブの前記第2の側辺は、前記一方向と直交する方向に沿うように形成されているとともに直線状に形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記タブを前記パネルに固定するリベットが更に設けられ、前記パネルを正面から且つ前記タブが取り付けられている側から眺めた場合において、当該タブの前記第2の側辺は、前記一方向と直交する直線であって前記リベットを通る直線よりも前記第1の側辺側に設けられていることを特徴とすることができる。
さらに、前記タブの前記第1の側辺には、切り欠きが形成されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タブの曲がりを生じさせずに缶蓋のうちの開口となる部分を飲料缶の内部に深く押し込むことが可能な缶蓋等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態が適用される飲料缶を説明するための図である。
【図2】タブの他の構成例を示した図である。
【図3】突出部の他の構成例を説明するための図である。
【図4】タブが取り付けられる前のパネルの状態を示した図である。
【図5】タブがユーザにより操作された際に生じるパネルの破断を説明するための図である。
【図6】タブがユーザにより操作された際のタブの動きを示した図である。
【図7】タブがユーザにより操作された際のタブの動きを示した図である。
【図8】飲料缶の比較例を示した図である。
【図9】比較例におけるタブがユーザにより操作された際のタブの状態を示した図である。
【図10】タブが突出部を押圧する際の状態を側方から眺めた場合の図である。
【図11】飲料缶の他の構成例を示した図である。
【図12】タブの他の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される飲料缶100を説明するための図である。なお同図(A)は飲料缶100を上方から眺めた場合の図であり、同図(B)は同図(A)の矢印IB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。また、同図(C)は同図(A)の矢印IC方向からタブ500を眺めた場合の図である。
【0012】
本実施形態における飲料缶100は、同図(A)に示すように、上部に開口を有するとともに下部に底部を有し且つ筒状に形成された容器本体(缶胴、缶本体)200と、容器本体200の開口に取り付けられ容器本体200の開口を塞ぐ缶蓋300とを有している。なお、飲料缶100の内部には、清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料などの飲料が充填(収容)されている。
【0013】
缶蓋300は、円盤状に形成され基板として機能するパネル400を有している。ここで、このパネル400には、その表面にスコア線(切り裂き線、弱化線)410が形成されている。さらに、パネル400のうちのスコア線410により囲まれた領域内であってパネル400の表面には、半球状に形成され飲料缶100の外側方向に向かって突出した突出部420が形成されている。また、パネル400には、パネル400に対向するように配置されユーザにより操作されるタブ500が取り付けられている。ここで、このタブ500は、パネル400のうちのスコア線410により囲まれた領域に重なるように設けられている。このため、本実施形態では、パネル400のうちの飲み口となる部分が汚れにくくなっている。
【0014】
また、本実施形態の構成では、例えば直径が2〜3cm程度の小径の飲料缶100であったとしても、開口の面積を確保でき、また、タブ500の大きさを確保できるようになっている。現在、広く流通している飲料缶(長円状または矩形状のタブが取り付けられた飲料缶)においては、タブを設置するためのタブ用スペース、および、開口を形成するための開口用スペースの二つのスペースを確保する必要が生じる。このため、現在流通している飲料缶にて、飲料缶の直径を小さくする場合は、タブ用スペース、および、開口用スペースの何れか又は両者を小さくする必要が生じる。一方で、本実施形態の構成では、タブ用スペースおよび開口用スペースが上下に重なった状態で設けられるため、タブ用スペースおよび開口用スペースを小さくせずに、飲料缶100の直径を小さくすることができる。
【0015】
なお、上記では説明を省略したが、パネル400(缶蓋300)は、いわゆる巻き締めによって容器本体200に固定されており、図1(A)に示すように、パネル400と容器本体200との接合部には巻き締め部250が形成されている。ここで、この巻き締め部250は、環状に形成されている。また、巻き締め部250は、パネル400の表面(タブ500が取り付けられる面)よりも上方に配置されている。
【0016】
ここで、タブ500は、一端部55および他端部56を有し、ユーザにより他端部56側が操作されることで、パネル400に設けられた突出部420を押圧する。より具体的に説明すると、ユーザによって他端部56側が持ち上げられることで一端部55側がパネル400に接近し、この一端部55側がパネル400に設けられた突出部420を押圧する。これにより、スコア線410が形成されている箇所にてパネル400の破断が生じ、パネル400に開口が形成される。なお、本実施形態における缶蓋300は、飲み口として機能する開口がパネル400に形成された後もタブ500がパネル400に取り付けられた状態を維持するいわゆるステイオンタイプの缶蓋である。
【0017】
タブ500についてさらに説明すると、本実施形態におけるタブ500は、同図(A)に示すように、円盤状に形成されたパネル400の略中央部からパネル400の外周縁に向かう一方向(以下、この一方向を「タブ配置方向」と称することがある)に沿って配置されている。さらに、タブ500は、パネル400の中央部側に上記一端部55を有しパネル400の外周縁側に上記他端部56を有している。
【0018】
また、タブ500は、タブ500の他端部56側に配置されるとともにタブ配置方向と直交(交差)する方向に沿って配置された第1の側辺51と、タブ500の一端部55側に配置されるとともにタブ配置方向と直交する方向に沿って配置された第2の側辺52とを有している。また、タブ500は、タブ配置方向に沿うように配置された第3の側辺53と、同じくタブ配置方向に沿うように配置され第3の側辺53とは反対側に配置された第4の側辺54とを有している。なお、第3の側辺53および第4の側辺54は互いに接近するように湾曲した状態で形成されている。
【0019】
また、タブ500には、同図(A)に示すように、第3の側辺53と第2の側辺52とが交わる箇所、および、第4の側辺54と第2の側辺52とが交わる箇所に、突出片57が設けられている。ここで、二つ設けられたこの突出片57の各々は、第2の側辺52から突出するように設けられている。付言すると、第1の側辺51が設けられている側とは反対側に突出するように設けられている。さらに説明すると、二つ設けられた突出片57は、タブ配置方向と直交する方向において互いにずらされた状態で配置されている。また、二つの突出片57の間には間隙が形成されている。なお、本実施形態では、タブ500のうちの突出片57の部分が、リベット260によってパネル400に固定されている。
【0020】
さらに、本実施形態におけるタブ500では、同図(A)、(B)に示すように、タブ500の中央部(タブ配置方向と直交する方向における中央部)に、タブ500の基部510から突出した突出部520が設けられた状態となっている。付言すると、本実施形態では、タブ500の基部510のうちのタブ配置方向に沿って配置された長尺状の領域がパネル400から離れる方向に向かって突出して形成され、この突出により、タブ500に対して突出部520が形成された状態となっている。ここで、タブ側突出部の一例としてのこの突出部520は、パネル400から離れる方向に向かって突出するように設けられているとともに、タブ配置方向に沿って配置されている。また、この突出部520は、タブ500の第2の側辺52から第1の側辺51にかけて設けられている。
【0021】
なお、このように突出部520を第1の側辺51まで形成した場合、ユーザはタブ500の操作を行いやすくなる。本実施形態では、タブ500が操作される際、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられるが、突出部520が第1の側辺51まで形成されていると、タブ500の第1の側辺51とパネル400との間隙が形成される。そしてこの場合、ユーザはこの間隙に指を入れることができるようになり、ユーザは、タブ500の他端部56側の持ち上げを行いやすくなる。
【0022】
また、突出部520は、平板状に形成された基部510の一方の面側から他方の面側に向かって基部510を押圧することにより形成され、突出部520は、この他方の面から突出するように設けられている。さらに説明すると、本実施形態では、突出部520が形成される結果、タブ500の上記一方の面側に、タブ配置方向に沿う溝530(図1(B)参照)が形成された状態となっている。付言すると、本実施形態におけるタブ500では、突出部520が設けられている面とは反対側の面に、タブ配置方向に沿う溝530が形成された状態となっている。
【0023】
本実施形態におけるタブ500では、このようにタブ配置方向に沿った突出部520(溝530)が形成される。このため、本実施形態におけるタブ500は曲げ剛性が高められている。より具体的に説明すると、パネル400に開口が形成される際には上記のとおりタブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられるが、この際、タブ500にはタブ500を曲げようとする荷重が作用することとなる。ここで本実施形態では、上記のように突出部520が形成され、タブ500の曲げ剛性が高められている。このため、本実施形態では、タブ500を曲げようとする荷重がタブ500に作用してもタブ500の曲がりが生じにくくなっている。
【0024】
なお、上記では説明を省略したが、本実施形態では、タブ500に形成された溝530の幅を、パネル400に形成された突出部420の径よりも大きくしている。これは、第2の側辺52が突出部420を押圧して開口を形成する時、タブ500の突出片57の屈曲部周辺に大きな応力を受荷する。このとき、タブ500の溝530は湾曲形状であることにより剛性を有するが、溝530から突出片57に延びる延長部は平面状であるため剛性は劣る。つまり、タブ500の形状として、剛性の劣る前記延長部の長さは短い方が望ましくなる。このとき、突出片57の位置は変わらないので、溝530の幅が大きければ、前記延長部は短くなり、溝530の幅が小さければ、前記延長部は長くなる。そのため、タブ500に形成された溝530の幅を、パネル400に形成された突出部420の径よりも大きくすることが望ましい。
また、本実施形態では、タブ500に形成された溝530の幅を、パネル400に形成された突出部420の径よりも大きくすることで、同図(A)、(B)に示すように、溝530の内部に、パネル400に形成された突出部420の一部を収める構成としている。ここで、例えば、溝530の幅が小さい場合、溝530の内部に突出部420を収めることが難しくなり、タブ500と突出部420とが干渉してしまう。なお、このような干渉は、第2の側辺52を図中他端部56側(図1(A)における下方向)に後退させることで避けることができるようになる。仮に、タブ500を回転させたときの第2の側辺52の軌跡が突出部420の中心付近を通る場合、前記側辺52は突出部420を頂部から缶内に押込むため、突出部420を缶内に深く曲げ入れることができる。しかし、第2の側辺52を図中他端部56側(図1(A)における下方向)に後退させると、前記側辺52の軌跡は、突出部420の側面を通り、突出部420の中心付近を通らないため、突出部420を缶内に深く曲げ入れることができない。そしてこの場合、パネル400に形成される開口が小さいものになってしまう。
【0025】
なお、同図(C)に示すように、上記突出部520の基部510からの突出量は一定ではなく(溝530の深さは一定ではなく)、突出部520のうちタブ500の一端部55と他端部56との間に位置する部位(以下、「中間部位」と称することがある)の突出量は、一端部55における突出量、他端部56における突出量よりも小さくなっている。ここで、上記中間部位は、タブ500がユーザにより操作されタブ500が約180°回転した際(反転した際)に(詳細は後述)、パネル400の周縁に位置する巻き締め部250に対峙するようになる。この際に、中間部位の突出量が小さくなっていると、タブ500をより多く回転させることができる。そしてこの場合、パネル400に形成される開口をより大きなものとすることができる。なお、本実施形態では、タブ500が巻き締め部250に対峙する場合を例示するが、飲料缶100の直径が大きい場合は、反転したタブ500の第1の側辺51側がパネル400の周縁内(巻き締め部250よりも内側)に収まるようになり、この場合は、反転したタブ500はパネル400の周縁に対峙しないようになる。
【0026】
なお、タブ500に形成された突出部520(溝530)は、上記にて説明した形態に限られない。
例えば、図2(タブ500の他の構成例を示した図)の(A)に示すように、突出部520の頂部521を平坦状にするとともにこの頂部521から下方に延びる二つの側部522を設けることができる。ここで、この形態の場合、平坦状の頂部521と側部522とが交わる箇所のそれぞれに角部が形成される。付言すると、この形態の場合、二つの角部が形成される。なお、この二つの角部の各々の角度は、同じ角度とすることもできるし、同図(B)に示すように、異なる角度とすることもできる。
【0027】
また、図1にて示した突出部520は、図2(C)に示すように(図1(B)も参照)、頂部521と一方の側部522とが交わる箇所、頂部521と他方の側部522とが交わる箇所に曲率を付与した形状であったが、図2(D)に示すように、突出部520の全体に曲率を付与し突出部520の断面形状を半円状にすることもできる。また、図1にて示した突出部520では、図2(C)に示すように、頂部521と一方の側部522とが交わる箇所の曲率、および、頂部521と他方の側部522とが交わる箇所の曲率が同じであったが、図2(E)に示すように、曲率を異ならせることもできる。
【0028】
さらに、図2(F)に示すように、突出部520の頂部521を平坦状に形成するとともにこの頂部521に対してタブ配置方向に沿った凹凸を形成することもできる。付言すると、突出部520の頂部521の断面形状を波形とすることもできる。また、頂部521に対してタブ配置方向に沿った突出部523を設けたり(同図(G)参照)、頂部521に対してタブ配置方向に沿った凹部524を設けたりすることもできる(同図(H)参照)。また、同図(I)、(J)に示すように、断面形状において、突出部520の頂部521をV字状とすることもできる。なお、同図(I)は、頂部521を外側方向に突出させることでV字状とし、同図(J)は、頂部521を内側方向に突出させることでV字状とした場合を示している。
【0029】
また、パネル400に形成された突出部420についても、図1にて説明した構成以外の構成とすることができる。図1にて示した突出部420は、図3(突出部420の他の構成例を説明するための図)の(A)にも示すように、側方から眺めた場合の断面形状が半球状であったが、突出部420は、例えば、同図(B)に示すように、円錐状に形成することもできる。なお、図示は省略するが、突出部420は、半球状、円錐状などに限らず、円柱状(円筒状)や角柱状に形成することもできる。また、円柱の上面に前記の半球や円錐を載せた形状にすることもできる。
【0030】
図1を再度参照し、タブ500についてさらに説明すると、同図(A)に示すように、タブ500の第1の側辺51には、切り欠き51Aが形成されている。ここで本実施形態では、タブ500が操作されパネル400に開口が形成される際、タブ500の第1の側辺51とパネル400との間に形成された間隙にユーザの指が入れられたうえでタブ500の他端部56側が持ちあげられる。この際、第1の側辺51に切り欠き51Aが形成されていると、上記間隙に指を入れやすくなり、ユーザは、タブ500の他端部56側の持ち上げを行いやすくなる。さらに説明すると、本実施形態における構成では、第1の側辺51の近くに巻き締め部250が位置し、上記間隙に指を入れにくくなっている。このため、本実施形態では、切り欠き51Aを形成し、ユーザの指が上記間隙に入りやすい構成としている。
【0031】
図4は、タブ500が取り付けられる前のパネル400の状態を示した図である。
本実施形態におけるパネル400では、上記のとおり、その表面にスコア線410が形成されている。さらに、パネル400のうちのスコア線410により囲まれた領域内には、上記のとおり、半球状に形成され飲料缶100の外側方向に向かって突出した突出部420が形成されている。
【0032】
ここで、スコア線410は、パネル400のうちのタブ500により押圧される部位(突出部420が設けられている部位)を囲むように形成されている。また、スコア線410は、パネル400の表面に形成された溝により構成されており、パネル400の破断を誘導する役割を果たす。付言すると、スコア線410は、パネル400の強度を部分的に弱める役割を果たしており、タブ500によりパネル400が押圧された際に、このスコア線410にてパネル400の破断が生じるようになる。
【0033】
また、パネル400の表面には、タブ500の突出片57(図1(A)参照)に形成された貫通孔(不図示)に通された後に押し潰され上記リベット260(図1(A)参照)となる第1突起431および第2突起432が設けられている。さらに、本実施形態のパネル400には、突出部420よりもパネル400の外周縁側、且つ、スコア線410により囲まれている領域内に、パネル400の補強を行う環状の補強用ビード440が設けられている。
【0034】
ここで、スコア線410についてさらに説明すると、本実施形態のスコア線410は、略環状に形成されている。また、スコア線410は、パネル400の破断が最初に開始される始点411およびパネル400の破断が終了する終点412を有している。なお、始点411と終点412との間には、スコア線410が形成されていないスコア線非形成部413が存在している。
【0035】
ここで、タブ500がユーザにより操作されタブ500による突出部420の押圧が開始されると、パネル400のうちのスコア線410よりも内側に位置する部位(以下、「内側部位」と称することがある)が飲料缶100の内部方向に押し込まれ、また、このとき、パネル400のうちのリベット260(図1(A)参照)が位置する箇所が飲料缶100の外側方向に向けて引っ張られる。これによりスコア線410に対してせん断力が作用するようになり、スコア線410が設けられている箇所にてパネル400の破断が発生する。
【0036】
ここで、図5を参照しパネル400の破断について詳細に説明する。
図5は、タブ500がユーザにより操作された際に生じるパネル400の破断を説明するための図である。なお、本図では、タブ500の図示を省略している。
タブ500がユーザにより操作されタブ500による突出部420の押圧が開始されると、まず、同図(A)に示すように、スコア線410の始点411にてパネル400の破断が生じるとともに、一方のリベット260(以下、このリベットを「第1リベット260A」と称する)と突出部420との間に位置する部位にてパネル400の破断が起こる。その後、同図(B)に示すように、円形の突出部420の周囲に沿ってパネル400の破断が進行する。
【0037】
次いで、他方のリベット260(以下、このリベットを「第2リベット260B」と称する)と突出部420との間に位置する部位にてパネル400の破断が起こる。そして最後に、同図(C)に示すように、補強用のビード440の外周縁に沿ってパネル400の破断が進行し、終点412にてパネル400の破断が終了する。ここで、本実施形態では、スコア線410の始点411から終点412に向かってパネル400の破断が進行するのに伴い、上記内側部位が飲料缶100の内部へ進入する。付言すると、上記スコア線非形成部413が設けられている箇所を回転中心として、内側部位は、回転を行いながら飲料缶100の内部へ進入する。これにより、パネル400のうちの内側部位が位置していた箇所に開口が形成される。
【0038】
なお、上記では説明を省略したが、スコア線非形成部413は、突出部420の近傍に配置されている。付言すると、スコア線非形成部413は、パネル400のうちのタブ500により押圧される部位の近傍に配置されている。このため、本実施形態では、突出部420がスコア線非形成部413から離れた箇所に配置されている場合に比べ、飲料缶100の内部への内側部位の入り込み量が多くなり、パネル400に形成される開口が大きくなる。
【0039】
なお、本実施形態では、パネル400に形成された突出部420は、図4に示すように、寸法Lだけ、第1突起431(第1リベット260A)に寄せられた状態で配置されている。さらに説明すると、突出部420は、第1突起431(第1リベット260A)と第2突起432(第2リベット260B)とを通る直線の中点よりも第1突起431側に配置されている。さらに説明すると、突出部420は、スコア線410のうちの第2突起432と突出部420との間に位置する部位よりも、スコア線410のうちの第1突起431と突出部420との間に位置する部位に寄せられた状態で配置されている。このため、本実施形態では、タブ500によるパネル400の押圧が開始されると、上記のとおり、まず、第1突起431側にてパネル400の破断が生じるようになる。
【0040】
次に、タブ500がユーザにより操作された際のタブ500の動きについて説明する。
図6、図7は、タブ500がユーザにより操作された際のタブ500の動きを示した図である。
ユーザによるタブ500の操作が開始される際には、まず、図6(A)に示すタブ500の他端部56(第1の側辺51)とパネル400との間にユーザの指が挿入される。なお上記のとおり、タブ500の第1の側辺51には切り欠き51Aが形成されており、ユーザは、タブ500の他端部56とパネル400との間への指の挿入を行いやすくなっている。
【0041】
その後、同図(B)に示すように、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられる。この持ち上げが行われると、同図に示すように、突出片57の根元にてタブ500が曲がるようになるとともに、タブ500の他端部56側が上方に変位する。また、タブ500の一端部55側に位置する第2の側辺52がパネル400に形成された突出部420に向かって進出するとともに突出部420に突き当たり、第2の側辺52がこの突出部420を押圧する。
なお、本実施形態では、図6(A)に示すように第2の側辺52が直線状に形成されているが、第2の側辺52に対して、図12(タブ500の他の構成例を示した図)に示すように切り欠きを設けることもできる。付言すると、第2の側辺52は、第1の側辺51が位置する側に向かって凹むように湾曲した状態で形成することもできる。第2の側辺52を直線状に形成した場合は、第2の側辺52と突出部420とが点接触となり、タブ500のうちの突出部420に接触する箇所に応力が集中し、この接触する箇所にて変形などが生じるおそれがある。図12のように切り欠きを形成した場合は、タブ500と突出部420とが線接触となり、上記応力の集中を避けることができる。なお、第2の側辺52が直線状に形成されている場合、突出部420のうちの第2の側辺52が接触する箇所を平面状とすることでも、タブ500と突出部420とを線接触で接触させることができるようになる。なお、上記では説明を省略したが、本実施形態では、タブ500のパネル400に対する角度が約30°となったときに、第2の側辺52が突出部420に接触する構成となっている。
【0042】
第2の側辺52が突出部420を押圧すると、上記のとおりスコア線410にてパネル400の破断が起こる。これにより、内側部位が飲料缶100の内部へ入り込み、パネル400に開口が形成される。その後、タブ500の更なる操作がユーザにより行われ、図7(A)、(B)に示すように、タブ500が約180°回転した状態(反転した状態)となる。
【0043】
この状態となると、同図(A)に示すとおり、タブ500の第2の側辺52が、パネル400に形成された開口を通じて飲料缶100の内部に進入し、パネル400の突出部420を更に押圧した状態となる。そしてこの場合、内側部位が飲料缶100の内部に更に深く進入した状態となる。
詳細に説明すれば、パネル400に突出部420がない場合、タブ500の第2の側辺52が缶内に進入した深さだけパネルを押圧して開口するため、大きな開口は望めない。しかし、パネル400に突出部420を設けることにより、タブ500の第2の側辺52が缶内に進入した深さに突出部420の高さを加えた深さの開口となる。なお、図7(A)、(B)を見てわかるように、当初はタブ500の第2の側辺52が突出部420の頂部に当接押圧して開口を開始するが、開口の進行につれて、開口片が傾くことにより第2の側辺52と突出部420の頂部が当接しなくなってしまう。そこで、本実施形態では第2の側辺52との当接する箇所が突出部420の側辺部に移動しながら押圧し続けることができるように、パネル400の突出部420とタブ500の第2の側辺52を配置するようにしている。このことにより、開口角度をさらに大きくし、大きな開口が形成されるようにしている。
このように本実施形態では、パネル400に突出部420が形成されており、この突出部420が設けられることによって内側部位が飲料缶100の内部により深く進入する。そしてこの場合、パネル400の形成される開口がより大きなものとなる。
なお、上記では説明を省略したが、タブ500の縁部のうち第2の側辺52に沿って曲げ加工を施しこの縁部を折り返したり、タブ500の縁部のうち第2の側辺52に沿ってカール加工を施したりすることもできる。この場合、第2の側辺52が突出部420を押圧した際に生じうるタブ500の変形が生じにくくなる。なお、上記折り返しやカール加工は、パネル400側に向かってタブ500が曲がるようにタブ500を変形させることで行うこともできるし、パネル400側とは反対側に向かってタブ500が曲がるようにタブ500を変形させることで行うこともできる。
【0044】
なお、本実施形態の飲料缶100では、タブ500を一方向に向けて約180°回転させることより、ユーザは飲料缶100の内部の飲料を飲むことが可能となる。付言すると、一方向に回転させたタブ500を逆方向に回転させないでも(初期状態に戻さないでも)、十分な大きさの開口が形成される。このため、ユーザは簡単な操作で内部の飲料を飲むことができるようになる。さらに説明すると、本実施形態では、開口に必要な操作がタブ500を引き起こす操作だけでよいため、開口の形成に必要な操作が簡便になる。
【0045】
なお、上記にて説明したが、本実施形態では、突出部520(図1(C)参照)の基部510からの突出量は一定ではなく、突出部520のうちタブ500の一端部55と他端部56との間に位置する部位(中間部位)の突出量が、一端部55における突出量、他端部56における突出量よりも小さくなっている。そして本実施形態では、タブ500がユーザにより操作されタブ500が約180°回転した際(反転した際)、図7(B)に示すように、上記中間部位が、巻き締め部250に対峙するようになる。この場合、タブ500をより多く回転させることができ、パネル400に形成される開口をより大きなものとすることができる。
【0046】
図8は、飲料缶100の比較例を示した図である。なお、上記にて説明した実施形態と同様の機能を有する部分については上記と同じ符号を付している。また、同図(A)は比較例の飲料缶100を上方から眺めた場合の図であり、同図(B)は同図(A)の矢印VIIIB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。また、同図(C)は同図(A)の矢印VIIIC方向からタブ500を眺めた場合の図である。
【0047】
同図に示す比較例では、タブ500が平板状に形成されている。また、本比較例では、パネル400の表面に沿うようにタブ500が配置されているとともに、パネル400の表面にタブ500が接触した状態で設けられている。また、本比較例では、二つ設けられた突出片57に加え、この突出片57の間に、第2突出片58が設けられている。なお、この比較例におけるタブ500では、曲げ剛性を高めるため、第3の側辺53の縁部、第4の側辺54の縁部、第2突出片58の縁部に対してカール加工を施している。
【0048】
図9は、比較例におけるタブ500がユーザにより操作された際のタブ500の状態を示した図である。付言すると、図9は、図8(A)のIX−IX線における断面におけるタブ500の状態を示している。
本比較例でも、タブ500がユーザにより操作される際には、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられる。これにより、パネル400のうちのスコア線410により囲まれた領域がタブ500の第2突出片58により押圧される。そして第2突出片58による押圧がなされると、スコア線410にてパネル400の破断が起こり、パネル400に開口が形成される。
【0049】
ところで、この比較例では、タブ500がパネル400に沿うように且つパネル400に接した状態で配置されているために、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられると、図9の矢印9Aに示すように、第2突出片58の図中下面に対し、第2突出片58を図中上方に向けて押圧する押圧荷重が作用するようになる。また、タブ500の他端部56側にも、矢印9Bに示すように、この他端部56側を図中上方に向けて押圧する押圧荷重が作用するようになる。この結果、この比較例では、第2突出片58の根元において、タブ500の曲がりが生じやくなる。そしてこのような曲がりが生じると、パネル400の開口が形成されない事態が生じたり、形成される開口が小さくなったりする。
【0050】
一方で、本実施形態における構成では、図10(タブ500が突出部420を押圧する際の状態を側方から眺めた場合の図)の矢印10Aに示すように、タブ500の第2の側辺52に対してパネル400の突出部420から荷重が加わるようになるが、この荷重は、タブ500の長手方向に沿って作用する荷重矢印10Bの半径方向の分力である。付言すると、矢印10Bはタブ500の長手方向に沿ってタブ500を圧縮させる荷重となる。本実施形態と比較例の大きな違いは、荷重を受ける方向の違いにある。本実施形態は、タブ500の長手方向に沿って荷重がかかるが、比較例では、長手方向と直角方向に荷重がかかる。また、タブ500は長手方向と長手方向と直角方向では強度が異なるため、さらに言えば、タブ500は長手方向には曲がりにくいが長手方向と直角方向には曲がりやすいため、本実施形態のほうが比較例に比べ剛性を有すると言える。
【0051】
さらに説明すると、本実施形態における構成では、図1(B)などに示すように、タブ500のうちのパネル400(突出部420)を押圧する部位(第2の側辺52)が、パネル400から浮いた状態となっている。付言すると、本実施形態では、タブ500のうち、リベット260により固定され回転の支点となる部位よりも、上方に(パネル400から離れた箇所に)、パネル400の押圧を行う第2の側辺52が設けられている。
【0052】
このため、本実施形態では、タブ500がパネル400に接触しタブ500がパネル400を押圧した際、タブ500はパネル400に対し角度を有した状態で配置されるようになる(図10参照)。そして、この場合は、上記のとおり、パネル400からタブ500に作用する荷重が、タブ500を圧縮させようとする荷重となる。この結果、本実施形態における構成では、上記の比較例に比してタブ500の曲がりが生じにくくなる。
【0053】
なお、上記のとおり、タブ500のうちのパネル400を押圧する部位をパネル400から浮かしておくことで、タブ500の曲がりが生じにくくなるが、タブ500における曲がりをさらに抑制するには、図8にて示した第2突出片58のような突出片を設けない構成することが好ましい。具体的には、図1などで示した構成のように、第2の側辺52から突出する突出片を設けない構成とすることが好ましい。さらに説明すると、図1(A)の第2の側辺52のように、パネル400を正面から且つタブ500が取り付けられている側から眺めた場合において、タブ500のうちのパネル400を押圧する部位は、直線状に且つタブ配置方向と直交する方向に沿うように形成しておくことが好ましい。
【0054】
また、タブ500における曲がり防止には、パネル400を正面から且つタブ500が取り付けられている側から眺めた場合における第2の側辺52の位置を、図1(A)に示すように、二つのリベット260を通る直線SLよりも第1の側辺51(他端部56)側とすることが好ましい。ここで、第2の側辺52が、図11(飲料缶100の他の構成例を示した図)の(A)に示すように、他端部56が設けられている側ではなく、他端部56が設けられている側とは反対側に設けられている場合、タブ500のうち直線SLが通る部分(符号12A参照)あたりにてタブ500の曲がりが生じやすくなる。なお、図11では、突出部420の図示を省略している。また、図11(A)は飲料缶100を上方から眺めた場合の図(パネル400を正面から且つタブ500が取り付けられている側から眺めた場合の図)であり、同図(B)は同図(A)の矢印XIB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。
【符号の説明】
【0055】
51…第1の側辺、51A…切り欠き、52…第2の側辺、200…容器本体、260…リベット、300…缶蓋、400…パネル、420…突出部、500…タブ、520…突出部、530…溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
突出部を表面に備え、缶胴の開口に取り付けられるパネルと、
前記パネルの前記表面に対向するように且つ一方向に沿うように配置され、当該一方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該一方向に沿う領域が当該パネルから離れる方向に向かって突出して形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルの前記突出部に向かって進出するとともに当該突出部に突き当たり、当該第2の側辺にて当該パネルを押圧するタブと、
を備える缶蓋。
【請求項2】
前記タブの前記領域は、前記第1の側辺から前記第2の側辺にかけて配置され、当該第1の側辺から当該第2の側辺にかけて配置された当該領域が、前記パネルから離れる方向に向かって突出していることを特徴とする請求項1記載の缶蓋。
【請求項3】
前記第2の側辺のうちの前記突出部に接触する部位は、前記タブの前記第1の側辺側がユーザにより持ち上げられる前、当該突出部から離れた箇所に配置されているとともに前記パネルから離間した状態で配置され、当該タブの当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで当該パネルに接近するように進出し当該パネルの当該突出部に接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の缶蓋。
【請求項4】
前記タブの前記領域が前記パネルから離れる方向に向かって突出することによって、当該タブには、前記一方向に沿う溝が形成され、
前記溝の幅が前記突出部の径よりも大きくなるように当該溝および当該突出部は形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の缶蓋。
【請求項5】
前記タブの前記領域が前記パネルから離れる方向に向かって突出することによって、当該タブの一方の面側には、前記一方向に沿うように設けられ当該一方の面から突出するタブ側突出部が形成され、
前記タブは、前記第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで予め定められた箇所を中心に回転し、表裏が反転され、
前記タブの前記表裏の反転によって、当該タブの前記一方の面が前記パネルに対向するようになるとともに、当該一方の面側に形成された前記タブ側突出部の一部が当該パネルの周縁に対峙するようになり、
前記タブ側突出部の前記一部の前記一方の面からの突出量が、当該タブ側突出部の長手方向における一端部の突出量および当該タブ側突出部の長手方向における他端部の突出量よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の缶蓋。
【請求項6】
開口部を有し飲料が内部に収容された缶本体と、当該缶本体の当該開口部を塞ぐ缶蓋と、を備え、
前記缶蓋は、
突出部を表面に備え、前記缶本体の前記開口部に取り付けられるパネルと、
前記パネルの前記表面に対向するように且つ一方向に沿うように配置され、当該一方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該一方向に沿う領域が当該パネルから離れる方向に向かって突出して形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルの前記突出部に向かって進出するとともに当該突出部に突き当たり、当該第2の側辺にて当該パネルを押圧するタブと、
を備える飲料缶。
【請求項7】
前記パネルを正面から且つ前記タブが取り付けられている側から眺めた場合において、当該タブの前記第2の側辺は、前記一方向と直交する方向に沿うように形成されているとともに直線状に形成されていることを特徴とする請求項6記載の飲料缶。
【請求項8】
前記タブを前記パネルに固定するリベットが更に設けられ、
前記パネルを正面から且つ前記タブが取り付けられている側から眺めた場合において、当該タブの前記第2の側辺は、前記一方向と直交する直線であって前記リベットを通る直線よりも前記第1の側辺側に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の飲料缶。
【請求項9】
前記タブの前記第1の側辺には、切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の飲料缶。
【請求項1】
突出部を表面に備え、缶胴の開口に取り付けられるパネルと、
前記パネルの前記表面に対向するように且つ一方向に沿うように配置され、当該一方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該一方向に沿う領域が当該パネルから離れる方向に向かって突出して形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルの前記突出部に向かって進出するとともに当該突出部に突き当たり、当該第2の側辺にて当該パネルを押圧するタブと、
を備える缶蓋。
【請求項2】
前記タブの前記領域は、前記第1の側辺から前記第2の側辺にかけて配置され、当該第1の側辺から当該第2の側辺にかけて配置された当該領域が、前記パネルから離れる方向に向かって突出していることを特徴とする請求項1記載の缶蓋。
【請求項3】
前記第2の側辺のうちの前記突出部に接触する部位は、前記タブの前記第1の側辺側がユーザにより持ち上げられる前、当該突出部から離れた箇所に配置されているとともに前記パネルから離間した状態で配置され、当該タブの当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで当該パネルに接近するように進出し当該パネルの当該突出部に接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の缶蓋。
【請求項4】
前記タブの前記領域が前記パネルから離れる方向に向かって突出することによって、当該タブには、前記一方向に沿う溝が形成され、
前記溝の幅が前記突出部の径よりも大きくなるように当該溝および当該突出部は形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の缶蓋。
【請求項5】
前記タブの前記領域が前記パネルから離れる方向に向かって突出することによって、当該タブの一方の面側には、前記一方向に沿うように設けられ当該一方の面から突出するタブ側突出部が形成され、
前記タブは、前記第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで予め定められた箇所を中心に回転し、表裏が反転され、
前記タブの前記表裏の反転によって、当該タブの前記一方の面が前記パネルに対向するようになるとともに、当該一方の面側に形成された前記タブ側突出部の一部が当該パネルの周縁に対峙するようになり、
前記タブ側突出部の前記一部の前記一方の面からの突出量が、当該タブ側突出部の長手方向における一端部の突出量および当該タブ側突出部の長手方向における他端部の突出量よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の缶蓋。
【請求項6】
開口部を有し飲料が内部に収容された缶本体と、当該缶本体の当該開口部を塞ぐ缶蓋と、を備え、
前記缶蓋は、
突出部を表面に備え、前記缶本体の前記開口部に取り付けられるパネルと、
前記パネルの前記表面に対向するように且つ一方向に沿うように配置され、当該一方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該一方向に沿う領域が当該パネルから離れる方向に向かって突出して形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルの前記突出部に向かって進出するとともに当該突出部に突き当たり、当該第2の側辺にて当該パネルを押圧するタブと、
を備える飲料缶。
【請求項7】
前記パネルを正面から且つ前記タブが取り付けられている側から眺めた場合において、当該タブの前記第2の側辺は、前記一方向と直交する方向に沿うように形成されているとともに直線状に形成されていることを特徴とする請求項6記載の飲料缶。
【請求項8】
前記タブを前記パネルに固定するリベットが更に設けられ、
前記パネルを正面から且つ前記タブが取り付けられている側から眺めた場合において、当該タブの前記第2の側辺は、前記一方向と直交する直線であって前記リベットを通る直線よりも前記第1の側辺側に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の飲料缶。
【請求項9】
前記タブの前記第1の側辺には、切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の飲料缶。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−95434(P2013−95434A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237586(P2011−237586)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)
【Fターム(参考)】
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