説明

缶蓋および飲料缶

【課題】飲料缶に取り付けられるタブの剛性を増す。
【解決手段】本発明の缶蓋300は、容器本体200の開口に取り付けられるパネル400を備えている。また、缶蓋300は、タブ500を備えている。このタブ500は、パネル400の表面に沿うように且つ一方向に沿うように配置され、一方向における他端部56に第1の側辺51を有し一端部55に第2の側辺52を有している。また、このタブ500は、第1の側辺51と第2の側辺52との間であって一方向に沿う領域がパネル400から離れる方向あるいはパネル400に接近する方向に向かって突出して形成されている。さらに、このタブ500は、第1の側辺51側がユーザにより持ち上げられることで、第2の側辺52がパネル400に向かって進出しパネル400を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶蓋および飲料缶に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に形成された開口片と、2点で支持されるプルトップリングとから成り、開口片の長手方向に沿って開口片の上面を押圧し、開口片の一方の長手側縁に沿って開口片を押し下げ開口する押下バーをプルトップリングに設けたプルトップが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−48435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在広く用いられている飲料缶にはタブが取り付けられていることが多く、飲み口になる開口が形成される際には、このタブがユーザにより操作され、飲料缶のうちのタブにより押圧される被押圧部が、飲料缶の内部方向へ押し込まれる。これにより、この被押圧部が位置している箇所に開口が形成される。ここで、このタブの剛性が低いと、タブが変形しやすくなり、飲み口になる開口の形成が不十分となることがある。
本発明の目的は、飲料缶に取り付けられるタブの剛性を増すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される缶蓋は、缶胴の開口に取り付けられるパネルと、前記パネルの表面に沿うように且つ一方向に沿うように配置され、当該一方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該第1の側辺と当該第2の側辺との間に位置する領域であって当該一方向に沿う領域が前記パネルから離れる方向あるいは当該パネルに接近する方向に向かって突出して形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルに向かって進出し当該パネルを押圧するタブとを備える缶蓋である。
ここで、前記タブの前記領域は、前記一方向に沿うように設けられているとともに当該一方向と交差する方向における当該タブの中央部に位置することを特徴とすれば、一方向と交差する方向におけるタブの中央部の剛性を増すことができる。
また、前記タブの前記領域の前記突出は、前記パネルに対向する第1の面及び当該第1の面とは反対側の面である第2の面のいずれか一方の面から他方の面に向けて押圧され当該タブに曲げ加工が施されることで形成されていることを特徴とすれば、タブの上記領域をより簡易に形成することができる。
【0006】
他の観点から捉えると、本発明が適用される缶蓋は、缶胴の開口に取り付けられるパネルと、前記パネルの表面に沿うように配置され、長手方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該第1の側辺と当該第2の側辺との間に位置する領域に変形加工が施され当該長手方向に沿う折り筋が形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルに向かって進出し当該パネルを押圧するタブとを備える缶蓋である。
ここで、前記タブは、前記第2の側辺から突出する突出片を有し、前記折り筋は、前記突出片にも形成されていることを特徴とすれば、突出片の曲げ剛性を高めることができるようになる。
また、前記長手方向に沿って形成された前記折り筋は、当該長手方向と交差する方向における異なる箇所に複数設けられていることを特徴とすれば、突出片の曲げ剛性をさらに高めることができ、また第1の側辺側がユーザにより持ち上げられる際にタブが捩じれることを抑制することができる。
【0007】
また本発明を飲料缶と捉えた場合、本発明が適用される飲料缶は、飲料が内部に収容される缶胴と、前記缶胴の開口に取り付けられるパネルと、前記パネルの表面に沿うように配置され、長手方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有し、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで当該第2の側辺側が当該パネルに向かって進出するタブ本体部と、前記タブ本体部の前記第2の側辺から突出して設けられるとともにその外周縁にカール加工が施され、当該タブ本体部の前記第1の側辺側がユーザにより持ち上げられた際に前記パネルに接近し当該パネルを押圧する突出片とを備える飲料缶である。
ここで、前記突出片は、前記長手方向に沿って配置されるとともに、当該長手方向と直交する方向における一方の端部に当該長手方向に沿う第1の辺を有し、当該長手方向と直交する方向における他方の端部に当該長手方向に沿う第2の辺を有し、前記突出片の前記カール加工は、前記第1の辺及び前記第2の辺に少なくとも施されていることを特徴とすれば、第1の側辺側がユーザにより持ち上げられる際に突出片が曲がることを抑制することができる。
また、前記突出片の前記カール加工は、当該突出片の先端にも施されていることを特徴とすれば、第1の側辺側がユーザにより持ち上げられる際に応力が集中し得る突出片の先端の剛性を増すことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、飲料缶に取り付けられるタブの剛性を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態が適用される飲料缶を説明するための図である。
【図2】タブが取り付けられる前のパネルの状態を示した図である。
【図3】タブがユーザにより操作された際に生じるパネルの破断を説明するための図である。
【図4】タブがユーザにより操作された際のタブの動きを示した図である。
【図5】タブがユーザにより操作された際のタブの動きを示した図である。
【図6】タブの他の構成例を示した図である。
【図7】突出部の他の構成例を説明するための図である。
【図8】飲料缶の他の構成例を示した図である。
【図9】飲料缶の他の構成例を示した図である。
【図10】飲料缶の他の構成例を示した図である。
【図11】飲料缶の他の構成例を示した図である。
【図12】タブの他の構成例を示した図である。
【図13】飲料缶の他の構成例を示した図である。
【図14】飲料缶の他の構成例を示した図である。
【図15】タブの他の構成例を示した図である。
【図16】タブの他の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される飲料缶100を説明するための図である。なお同図(A)は飲料缶100を上方から眺めた場合の図であり、同図(B)は同図(A)の矢印IB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。また、同図(C)は同図(A)の矢印IC方向からタブ500を眺めた場合の図である。
【0011】
本実施形態における飲料缶100は、同図(A)に示すように、上部に開口を有するとともに下部に底部を有し且つ筒状に形成された容器本体(缶胴)200と、容器本体200の開口に取り付けられ容器本体200の開口を塞ぐ缶蓋300とを有している。なお飲料缶100の内部には、清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料などの飲料が充填(収容)されている。
【0012】
缶蓋300は、円盤状に形成され基板として機能するパネル400を有している。ここで、このパネル400には、その表面にスコア線(切り裂き線、弱化線)410が形成されている。さらに、パネル400のうちのスコア線410により囲まれた領域内であってパネル400の表面には、半球状に形成され飲料缶100の外側方向に向かって突出した突出部420が形成されている。また、パネル400には、ユーザにより操作されるタブ500が取り付けられている。ここで、このタブ500は、パネル400のうちのスコア線410により囲まれた領域に重なるように設けられている。このため、本実施形態では、パネル400のうちの飲み口となる部分が汚れにくくなっている。
【0013】
なお、本実施形態の構成では、例えば直径が2〜3cm程度の小径の飲料缶100であったとしても、開口の面積を確保でき、また、タブ500の大きさを確保できるようになっている。現在、広く流通している飲料缶(長円状または矩形状のタブが取り付けられた飲料缶)においては、タブを設置するためのタブ用スペース、および、開口を形成するための開口用スペースの二つのスペースを確保する必要が生じる。このため、現在流通している飲料缶にて、飲料缶の直径を小さくする場合は、タブ用スペース、および、開口用スペースの何れか又は両者を小さくする必要が生じる。一方で、本実施形態の構成では、タブ用スペースおよび開口用スペースが上下に重なった状態で設けられるため、タブ用スペースおよび開口用スペースを小さくせずに、飲料缶100の直径を小さくすることができる。
【0014】
なお、上記では説明を省略したが、パネル400(缶蓋300)は、いわゆる巻き締めによって容器本体200に固定されており、図1(A)に示すように、パネル400と容器本体200との接合部には巻き締め部250が形成されている。ここで、この巻き締め部250は、環状に形成されている。また、巻き締め部250は、パネル400の表面(タブ500が取り付けられる面)よりも上方に配置されている。
【0015】
タブ500は、一端部55および他端部56を有し、ユーザにより他端部56側が操作されることで、パネル400に設けられた突出部420を押圧する。より具体的に説明すると、ユーザによって他端部56側が持ち上げられることで一端部55側がパネル400に接近し、この一端部55側がパネル400に設けられた突出部420を押圧する。これにより、スコア線410が形成されている箇所にてパネル400の破断が生じ、パネル400に開口が形成される。なお、本実施形態における缶蓋300は、飲み口として機能する開口がパネル400に形成された後も、タブ500がパネル400に取り付けられた状態を維持するいわゆるステイオンタイプの缶蓋である。
【0016】
タブ500についてさらに説明すると、本実施形態におけるタブ500は、同図(A)に示すように、円盤状に形成されたパネル400の略中央部からパネル400の外周縁に向かう一方向(以下、この一方向を「タブ配置方向」と称することがある)に沿って配置されている。さらに、タブ500は、パネル400の中央部側に上記一端部55を有しパネル400の外周縁側に上記他端部56を有している。
【0017】
また、タブ500は、タブ500の他端部56側に配置されるとともにタブ配置方向と直交(交差)する方向に沿って配置された第1の側辺51と、タブ500の一端部55側に配置されるとともにタブ配置方向と直交する方向に沿って配置された第2の側辺52とを有している。また、タブ500は、タブ配置方向に沿うように配置された第3の側辺53と、同じくタブ配置方向に沿うように配置され第3の側辺53とは反対側に配置された第4の側辺54とを有している。なお、第3の側辺53および第4の側辺54は互いに接近するように湾曲した状態で形成されている。
【0018】
また、タブ500には、同図(A)に示すように、第3の側辺53と第2の側辺52とが交わる箇所、および、第4の側辺54側辺と第2の側辺52とが交わる箇所に、突出片57が設けられている。ここで、二つ設けられたこの突出片57の各々は、第2の側辺52から突出するように設けられている。付言すると、第1の側辺51が設けられている側とは反対側に突出するように設けられている。さらに説明すると、二つ設けられた突出片57は、タブ配置方向と直交する方向において互いにずらされた状態で配置されている。また、二つの突出片57の間には間隙が形成されている。なお、本実施形態では、タブ500のうちの突出片57の部分が、リベット260によってパネル400に固定されている。
【0019】
さらに、本実施形態におけるタブ500では、同図(A)、(B)に示すように、タブ500の中央部(タブ配置方向と直交する方向における中央部)に、タブ500の基部510から突出した突出部520が設けられた状態となっている。ここで、この突出部520は、パネル400から離れる方向に向かって突出するように設けられているとともに、タブ配置方向に沿って形成されている。また、この突出部520は、タブ500の第2の側辺52から第1の側辺51にかけて設けられている。なお、突出部520は、タブ500の基部510からパネル400に接近する方向に向かって突出するように構成してもよい。
【0020】
なお、このように突出部520を第1の側辺51まで形成した場合、ユーザはタブ500の操作を行いやすくなる。本実施形態では、タブ500が操作される際、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられるが(詳細は後述)、突出部520が第1の側辺51まで形成されていると、タブ500の第1の側辺51とパネル400との間隙が形成される。そしてこの場合、ユーザはこの間隙に指を入れることができるようになり、ユーザは、タブ500の他端部56側の持ち上げを行いやすくなる。
【0021】
また、突出部520は、平板状に形成された基部510の一方の面側から他方の面側に向かって基部510を押圧され、曲げ加工が施されることにより形成され、突出部520は、この他方の面から突出するように設けられている。さらに説明すると、本実施形態では、突出部520が形成される結果、タブ500の上記一方の面側に、タブ配置方向に沿う溝530(図1(B)参照)が形成された状態となっている。付言すると、本実施形態におけるタブ500では、突出部520が設けられている面とは反対側の面に、タブ配置方向に沿う溝530が形成された状態となっている。
【0022】
本実施形態におけるタブ500では、このようにタブ配置方向に沿った突出部520(溝530)が形成される。このため、本実施形態におけるタブ500は曲げ剛性が高められている。より具体的に説明すると、パネル400に開口が形成される際には上記のとおりタブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられるが、この際、タブ500にはタブ500を曲げようとする荷重が作用することとなる。ここで本実施形態では、上記のように突出部520が形成され、タブ500の曲げ剛性が高められている。このため、本実施形態では、タブ500を曲げようとする荷重がタブ500に作用してもタブ500の曲がりが生じにくくなっている。
【0023】
なお、上記では説明を省略したが、本実施形態では、タブ500に形成された溝530の幅を、パネル400に形成された突出部420の径よりも大きくしている。これは、第2の側辺52が突出部420を押圧して開口を形成する時、タブ500の突出片57の屈曲部周辺に大きな応力を受荷する。このとき、タブ500の溝530は湾曲形状であることにより剛性を有するが、溝530から突出片57に延びる延長部は平面状であるため剛性は劣る。つまり、タブ500の形状として、剛性の劣る前記延長部の長さは短い方が望ましくなる。このとき、突出片57の位置は変わらないので、溝530の幅が大きければ、前記延長部は短くなり、溝530の幅が小さければ、前記延長部は長くなる。そのため、タブ500に形成された溝530の幅を、パネル400に形成された突出部420の径よりも大きくすることが望ましい。
また、本実施形態では、同図(A)、(B)に示すように、タブ500に形成された溝530の幅を大きくすることで、溝530の内部に、パネル400に形成された突出部420の一部を収める構成としている。ここで、例えば、溝530の幅が小さい場合、溝530の内部に突出部420を収めることが難しくなり、タブ500と突出部420とが干渉してしまう。なお、このような干渉は、第2の側辺52を図中他端部56側(図1(A)における下方向)に後退させることで避けることができるようになる。仮に、タブ500を回転させたときの第2の側辺52の軌跡が突出部420の中心付近を通る場合、前記側辺52は突出部420を頂部から缶内に押込むため、突出部420を缶内に深く曲げ入れることができる。しかし、第2の側辺52を図中他端部56側(図1(A)における下方向)に後退させると、前記側辺52の軌跡は、突出部420の側面を通り、突出部420の中心付近を通らないため、突出部420を缶内に深く曲げ入れることができない。そしてこの場合、パネル400に形成される開口が小さいものになってしまう。
【0024】
なお、同図(C)に示すように、上記突出部520の基部510からの突出量は一定ではない(溝530の深さは一定ではない)。さらに説明をすると、突出部520のうちタブ500の一端部55と他端部56との間に位置する部位(以下、「中間部位」と称することがある)の突出量は、一端部55における突出量、他端部56における突出量よりも小さい。ここで、上記中間部位は、タブ500がユーザにより操作されタブ500が約180°回転した際(反転した際)に(詳細は後述)、巻き締め部250に対峙するようになる。この際に、中間部位の突出量が小さくなっていると、タブ500をより多く回転させることができる。そしてこの場合、パネル400に形成される開口をより大きなものとすることができる。なお、本実施形態では、タブ500が巻き締め部250に対峙する場合を例示するが、飲料缶100の直径が大きい場合は、反転したタブ500の第1の側辺51側がパネル400の周縁内(巻き締め部250よりも内側)に収まるようになり、この場合は、反転したタブ500はパネル400の周縁に対峙しないようになる。
【0025】
なお、同図(A)に示すように、タブ500の第1の側辺51には、切り欠き51Aが形成されている。ここで本実施形態では、タブ500が操作されパネル400に開口が形成される際、タブ500の第1の側辺51とパネル400との間に形成された間隙にユーザの指が入れられた状態で、タブ500の他端部56側が持ちあげられる(詳細は後述)。この際、第1の側辺51に切り欠き51Aが形成されていると、上記間隙に指を入れやすくなり、ユーザは、タブ500の他端部56側の持ち上げを行いやすくなる。さらに説明すると、本実施形態における構成では、第1の側辺51の近くに巻き締め部250が位置し、上記間隙に指を入れにくくなっている。このため、本実施形態では、切り欠き51Aを形成し、ユーザの指が上記間隙に入りやすい構成としている。
【0026】
図2は、タブ500(図1参照)が取り付けられる前のパネル400の状態を示した図である。
本実施形態におけるパネル400では、上記のとおり、その表面にスコア線410が形成されている。さらに、パネル400のうちのスコア線410により囲まれた領域内には、上記のとおり、半球状に形成され飲料缶100の外側方向に向かって突出した突出部420が形成されている。
【0027】
ここで、スコア線410は、パネル400のうちのタブ500により押圧される部位(突出部420が設けられている部位)を囲むように形成されている。また、スコア線410は、パネル400の表面に形成された溝により構成されており、パネル400の破断を誘導する役割を果たす。付言すると、スコア線410は、パネル400の強度を部分的に弱める役割を果たしており、タブ500によりパネル400が押圧された際に、このスコア線410にてパネル400の破断が生じるようになる。
【0028】
また、パネル400の表面には、タブ500の突出片57(図1(A)参照)に形成された貫通孔(不図示)に通された後に押し潰され上記リベット260(図1(A)参照)となる第1突起431および第2突起432が設けられている。さらに、本実施形態のパネル400には、突出部420よりもパネル400の外周縁側、且つ、スコア線410により囲まれている領域内に、パネル400の補強を行う環状の補強用ビード440が設けられている。
【0029】
ここで、スコア線410についてさらに説明すると、本実施形態のスコア線410は、略環状に形成されている。また、スコア線410は、パネル400の破断が最初に開始される始点411およびパネル400の破断が終了する終点412を有している。なお、始点411と終点412との間には、スコア線410が形成されていないスコア線非形成部413が存在している。
【0030】
ここで、タブ500がユーザにより操作されタブ500の突出部420による押圧が開始されると、パネル400のうちのスコア線410よりも内側に位置する部位(以下、「内側部位」と称することがある)が飲料缶100(図1参照)の内部方向に押し込まれる。また、このとき、パネル400のうちのリベット260(図1(A)参照)が位置する箇所が飲料缶100の外側方向に向けて引っ張られる。これによりスコア線410に対してせん断力が作用するようになり、スコア線410が設けられている箇所にてパネル400の破断が発生する。
【0031】
図3は、タブ500(図1参照)がユーザにより操作された際に生じるパネル400の破断を説明するための図である。本図では図示を省略しているタブ500がユーザにより操作され、タブ500による突出部420の押圧が開始されると、まず、同図(A)に示すように、スコア線410の始点411にてパネル400の破断が生じる。また、一方のリベット260(以下、このリベットを「第1リベット260A」と称する)と突出部420との間に位置する部位にて、パネル400の破断が起こる。その後、同図(B)に示すように、円形の突出部420の周囲に沿ってパネル400の破断が進行する。
【0032】
次いで、他方のリベット260(以下、このリベットを「第2リベット260B」と称する)と突出部420との間に位置する部位にてパネル400の破断が起こる。そして最後に、同図(C)に示すように、補強用ビード440の外周縁に沿ってパネル400の破断が進行し、終点412にてパネル400の破断が終了する。ここで、本実施形態では、スコア線410の始点411から終点412に向かってパネル400の破断が進行するのに伴い、上記内側部位が飲料缶100(図1参照)の内部へ進入する。付言すると、上記スコア線非形成部413が設けられている箇所を回転中心として、内側部位は、回転を行いながら飲料缶100の内部へ進入する。これにより、パネル400のうちの内側部位が位置していた箇所に開口が形成される。
【0033】
なお、上記では説明を省略したが、スコア線非形成部413は、突出部420の近傍に配置されている。付言すると、スコア線非形成部413は、パネル400のうちのタブ500(図1参照)により押圧される部位の近傍に配置されている。このため、本実施形態では、突出部420がスコア線非形成部413から離れた箇所に配置されている場合に比べ、飲料缶100(図1参照)の内部への内側部位の入り込み量が多くなり、パネル400に形成される開口が大きくなる。
【0034】
また、上記では説明を省略したが、本実施形態では、パネル400に形成された突出部420は、図2に示すように、寸法Lだけ、第1突起431(第1リベット260A)に寄せられた状態で配置されている。さらに説明すると、突出部420は、第1突起431(第1リベット260A)と第2突起432(第2リベット260B)とを通る直線の中点よりも第1突起431側に配置されている。さらに説明すると、突出部420は、スコア線410のうちの第2突起432と突出部420との間に位置する部位よりも、スコア線410のうちの第1突起431と突出部420との間に位置する部位に寄せられた状態で配置されている。このため、本実施形態では、タブ500によるパネル400の押圧が開始されると、上記のとおり、まず、第1突起431側にてパネル400の破断が生じるようになる。
【0035】
次に、タブ500がユーザにより操作された際のタブ500の動きについて説明する。
図4、図5は、タブ500がユーザにより操作された際のタブ500の動きを示した図である。
ユーザによるタブ500の操作が開始される際には、まず、図4(A)に示すタブ500の他端部56(第1の側辺51)とパネル400との間にユーザの指が挿入される。なお上記のとおり、タブ500の第1の側辺51には切り欠き51Aが形成されており、ユーザは、タブ500の他端部56とパネル400との間への指の挿入を行いやすくなっている。
【0036】
その後、同図(B)に示すように、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられる。この持ち上げが行われると、同図に示すように、突出片57の根元にてタブ500が曲がるようになるとともに、タブ500の他端部56側が上方に変位する。また、タブ500の一端部55側に位置する第2の側辺52がパネル400に形成された突出部420に向かって進出するとともに突出部420に突き当たり、第2の側辺52がこの突出部420を押圧する。
なお、本実施形態では、図4(A)に示すように第2の側辺52が直線状に形成されているが、第2の側辺52に対して、図15(タブ500の他の構成例を示した図)に示すように切り欠きを設けることもできる。付言すると、第2の側辺52は、第1の側辺51が位置する側に向かって凹むように湾曲した状態で形成することもできる。第2の側辺52を直線状に形成した場合は、第2の側辺52と突出部420とが点接触となり、タブ500のうちの突出部420に接触する箇所に応力が集中し、この接触する箇所にて変形などが生じるおそれがある。図15のように切り欠きを形成した場合は、タブ500と突出部420とが線接触となり、上記応力の集中を避けることができる。なお、第2の側辺52が直線状に形成されている場合、突出部420のうちの第2の側辺52が接触する箇所を平面状とすることでも、タブ500と突出部420とを線接触で接触させることができるようになる。なお、上記では説明を省略したが、本実施形態では、タブ500のパネル400に対する角度が約30°となったときに、第2の側辺52が突出部420に接触する構成となっている。
【0037】
第2の側辺52が突出部420を押圧すると、上記のとおりスコア線410にてパネル400の破断が起こる。これにより、内側部位が飲料缶100(図1参照)の内部へ入り込み、パネル400に開口が形成される。その後、タブ500の更なる操作がユーザにより行われ、図5(A)、(B)に示すように、タブ500が約180°回転した状態(反転した状態)となる。
【0038】
この状態となると、同図(A)に示すとおり、タブ500の第2の側辺52が、パネル400に形成された開口を通じて飲料缶100(図1参照)の内部に進入し、パネル400の突出部420を更に押圧した状態となる。そしてこの場合、内側部位が飲料缶100の内部に更に深く進入した状態となる。
詳細に説明すれば、パネル400に突出部420がない場合、タブ500の第2の側辺52が缶内に進入した深さだけパネルを押圧して開口するため、大きな開口は望めない。しかし、パネル400に突出部420を設けることにより、タブ500の第2の側辺52が缶内に進入した深さに突出部420の高さを加えた深さの開口となる。なお、図5(A)、(B)を見てわかるように、当初はタブ500の第2の側辺52が突出部420の頂部に当接押圧して開口を開始するが、開口の進行につれて、開口片が傾くことにより第2の側辺52と突出部420の頂部が当接しなくなってしまう。そこで、本実施形態では第2の側辺52との当接する箇所が突出部420の側辺部に移動しながら押圧し続けることができるように、パネル400の突出部420とタブ500の第2の側辺52を配置するようにしている。このことにより、開口角度をさらに大きくし、大きな開口が形成されるようにしている。
このように本実施形態では、パネル400に突出部420が形成されており、この突出部420が設けられることによって内側部位が飲料缶100の内部により深く進入する。そしてこの場合、パネル400の形成される開口がより大きなものとなる。
なお、上記では説明を省略したが、タブ500の縁部のうち第2の側辺52に沿って曲げ加工を施しこの縁部を折り返したり、タブ500の縁部のうち第2の側辺52に沿ってカール加工を施したりすることもできる。この場合、第2の側辺52が突出部420を押圧した際に生じうるタブ500の変形が生じにくくなる。なお、上記折り返しやカール加工は、パネル400側に向かってタブ500が曲がるようにタブ500を変形させることで行うこともできるし、パネル400側とは反対側に向かってタブ500が曲がるようにタブ500を変形させることで行うこともできる。
【0039】
なお、本実施形態の飲料缶100では、タブ500を一方向に向けて約180°回転させることより、ユーザは飲料缶100の内部の飲料を飲むことが可能となる。付言すると、一方向に回転させたタブ500を逆方向に回転させない状態(初期状態に戻さない状態)で、ユーザが飲料を飲むのに十分な大きさの開口が形成される。このため、ユーザは簡単な操作で内部の飲料を飲むことができるようになる。さらに説明すると、本実施形態では、開口に必要な操作がタブ500を引き起こす操作だけでよいため、開口の形成に必要な操作が簡便になる。
【0040】
なお、上記にて説明したが、本実施形態では、突出部520(図1(C)参照)の基部510からの突出量は一定ではなく、突出部520のうちタブ500の一端部55と他端部56との間に位置する部位(中間部位)の突出量が、一端部55における突出量、他端部56における突出量よりも小さくなっている。そして本実施形態では、タブ500がユーザにより操作されタブ500が約180°回転した際(反転した際)、図5(B)に示すように、上記中間部位が、巻き締め部250に対峙するようになる。この場合、タブ500をより多く回転させることができ、パネル400に形成される開口をより大きなものとすることができる。
【0041】
なお、タブ500に形成された突出部520(溝530)は、上記にて説明した形態に限られない。ここで、図6はタブ500の他の構成例を示した図である。
例えば、図6(A)に示すように、突出部520の頂部521を平坦状にするとともにこの頂部521から下方に延びる二つの側部522を設けることができる。ここで、この形態の場合、平坦状の頂部521と側部522とが交わる箇所のそれぞれに角部が形成される。付言すると、この形態の場合、二つの角部が形成される。なお、この二つの角部の各々の角度は、同じ角度とすることもできるし、同図(B)に示すように、異なる角度とすることもできる。
【0042】
また、図1にて示した突出部520は、図6(C)に示すように(図1(B)も参照)、頂部521と一方の側部522とが交わる箇所、頂部521と他方の側部522とが交わる箇所に曲率を付与した形状であったが、図6(D)に示すように、突出部520の全体に曲率を付与し突出部520の断面形状を半円状にすることもできる。また、図1にて示した突出部520では、図6(C)に示すように、頂部521と一方の側部522とが交わる箇所の曲率、および、頂部521と他方の側部522とが交わる箇所の曲率が同じであったが、図6(E)に示すように、曲率を異ならせることもできる。
【0043】
さらに、図6(F)に示すように、突出部520の頂部521を平坦状に形成するとともにこの頂部521に対してタブ配置方向に沿った凹凸を形成することもできる。付言すると、突出部520の頂部521の断面形状を波形とすることもできる。また、頂部521に対してタブ配置方向に沿った突出部523を設けたり(同図(G)参照)、頂部521に対してタブ配置方向に沿った凹部524を設けたりすることもできる(同図(H)参照)。また、同図(I)、(J)に示すように、断面形状において、突出部520の頂部521をV字状とすることもできる。なお、同図(I)は、頂部521を外側方向に突出させることでV字状とし、同図(J)は、頂部521を内側方向に突出させることでV字状とした場合を示している。
【0044】
また、パネル400に形成された突出部420についても、図1にて説明した構成以外の構成とすることができる。図1にて示した突出部420は、図7(突出部420の他の構成例を説明するための図)の(A)にも示すように、側方から眺めた場合の断面形状が半球状であったが、突出部420は、例えば、同図(B)に示すように、円錐状に形成することもできる。なお、図示は省略するが、突出部420は、半球状、円錐状などに限らず、円柱状(円筒状)や角柱状に形成することもできる。また、円柱の上面に前記の半球や円錐を載せた形状にすることもできる。
【0045】
図8は、飲料缶100の他の構成例を示した図である。なお、上記にて説明した実施形態と同様の機能を有する部分については上記と同じ符号を付している。また、同図(A)は飲料缶100を上方から眺めた場合の図であり、同図(B)は同図(A)の矢印VIIIB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。また、同図(C)はタブ500がパネル400を押圧する際の状態を示した図である。
【0046】
上記にて説明した実施形態では、パネル400に突出部420(図1参照)を設けた構成を説明したが、本構成例では、図8(A)、(B)に示すように、突出部420が設けられていない構成となっている。なお、この場合、同図(C)に示すように、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられタブ500が約90°回転すると、タブ500の第2の側辺52がパネル400を押圧するようになる。この押圧により、上記と同様、スコア線410にて破断が起こり、パネル400に開口が形成される。付言すると、この場合、タブ500の第2の側辺52がパネル400に当接してから、さらにタブ500を約90°回転させて開口が完成する。なお、本構成例では、突出部420が設けられていないため、飲料缶100の内部への内側部位の入り込み量が図1等にて示した構成における入り込み量よりも小さくなる。
なお、他の実施例として、図16(タブ500の他の構成例を示した図)に示すように、タブ500を側面から見たとき、第2の側辺52の形状を60°の傾斜を有するように形成することができる((D)図参照)。この場合、タブ500の他端部56側がユーザにより持ち上げられタブ500が約60°回転すると((C)図参照)、第2の側辺52がパネル400を押圧するようになる。この押圧により、スコア線410にて破断が起こり、パネル400に開口が形成される。この場合、タブ500は第2の側辺52がパネル400に当接してから開口完成まで、さらに約120°回転することができる。なお、第2の側辺52の傾斜角度は60°に限らず、任意に設定することができる。
【0047】
図9は、飲料缶100の他の構成例を示した図である。なお、同図(A)は飲料缶100を上方から眺めた場合の図であり、同図(B)は同図(A)の矢印IXB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。
【0048】
本構成例においても、パネル400に突出部420(図1参照)が設けられていない状態となっている。また、本構成例では、二つ設けられた突出片57の間に、第2の側辺52から突出する第2突出片58が設けられている。ここで、本構成例では、突出部420が設けられていないが、第2突出片58が設けられているため、飲料缶100の内部への内側部位(スコア線410により囲まれている部位)の入り込み量を大きくすることができる。
【0049】
なお、本構成例では、第2突出片58に対して曲げモーメントが作用するが、本構成例では、第2突出片58が湾曲して形成されているため、この曲げモーメントに起因する第2突出片58の曲がりが生じにくくなっている。付言すると、本構成例では、パネル400から離れる方向に向かって突出するように第2突出片58が湾曲しているため、第2突出片58の曲がりが生じにくくなっている。
【0050】
飲料缶100の他の構成例を更に説明する。
図10は、飲料缶100の他の構成例を示した図である。なお、同図(A)は飲料缶100を上方から眺めた場合の図であり、同図(B)は同図(A)の矢印XB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。また、同図(C)は同図(A)の矢印XC方向からタブ500を眺めた場合の図である。
【0051】
同図に示す構成例では、タブ500の全体が平板状に形成されている。また、本構成例では、パネル400の表面に沿うようにタブ500が配置されているとともに、パネル400の表面にタブ500が接触した状態で設けられている。したがって、本構成例では、突出部520を設けた上記タブ500(図1参照)と比較して、タブ500の厚みが小さくなっている。また、本構成例では、図1にて示した構成に比べ、パネル400の表面からのタブ500の出寸法が小さくなっている。
【0052】
ここで、本構成例におけるタブ500でも、二つ設けられた突出片57の間に第2突出片58が設けられている。また、本構成例におけるタブ500では、タブ500の曲げ剛性を高めるため、第3の側辺53の縁部、第4の側辺54の縁部、第2突出片58の縁部(外周縁)に対してカール加工を施している。さらに説明すると、第2突出片58は、先端580と、タブ配置方向に沿うように配置された第1の辺581と、同じくタブ配置方向に沿うように配置され第1の辺581とは反対側に配置された第2の辺582とを有している。本構成例におけるタブ500の第2突出片58では、これらの先端580、第1の辺581、及び第2の辺582に対してカール加工を施している。
【0053】
ここで本構成例におけるタブ500がユーザにより操作される際、タブ500の他端部56側が持ち上げられるが、この際、タブ500の基部510(タブ500のうち第2突出片58よりも他端部56側に位置する部位)に対して曲げモーメントが作用する。ところで本実施形態では、上記のとおり、第3の側辺53の縁部、第4の側辺54の縁部に対してカール加工が施されているために、タブ500の基部510の曲がりが生じにくくなっている。また、第2突出片58に対して曲げモーメントが作用するが、本構成例では、第2突出片58の縁部に対してもカール加工が施されており、第2突出片58の曲がりも生じにくくなっている。
【0054】
飲料缶100の他の構成例をさらに示す。
図11は、飲料缶100の他の構成例を示した図である。なお、同図(A)は飲料缶100を上方から眺めた場合の図であり、同図(B)は同図(A)の矢印XIB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。また、同図(C)は同図(A)の矢印XIC方向からタブ500を眺めた場合の図である。
【0055】
本構成例でも、上記と同様、第2の側辺52から突出した第2突出片58がタブ500に設けられている。さらに本構成例では、タブ500の第2突出片58の先端からタブ500の他端部56にかけて位置する領域であってタブ500の中央部に位置する領域(タブ配置方向と直交する方向における中央部に位置する領域)に対して、曲げ加工が施され、この領域に、タブ配置方向に沿った凸部525が複数設けられた状態となっている。
【0056】
ここで、複数設けられた凸部525の各々は、その断面形状が略三角形で形成されるとともに、タブ配置方向と直交する方向(タブ500の幅方向)に並ぶように設けられている。また、凸部525の各々は、図11(B)に示すように、図中左下方向から図中右上方向に向かう第1の片525Aと、図中右下方向から図中左上方向に向かう第2の片525Bとを備えている。なお、第1の片525Aと第2の片525Bとは、第1の片525Aの図中上端部と第2の片525Bの図中上端部とが接続した状態で設けられている。
【0057】
ここで本構成例でも、タブ500の他端部56側が持ち上げられタブ500の基部510に対して曲げモーメントが作用する。ところで、上記のとおり、本構成例には、タブ配置方向に沿った凸部525がタブ500に複数設けられており、上記曲げモーメントに起因する基部510の曲がりが生じにくくなっている。また、第2突出片58に対して曲げモーメントが作用するが、本構成例では、第2突出片58にも凸部525が設けられており、第2突出片58の曲がりも生じにくくなっている。ここで、本構成では、図1と同様、タブ500に突出部(凸部)が設けられた構成であるが、凸部525の各々の高さが小さくなっており、図1における構成よりもタブ500の厚みが小さくなっている。
【0058】
なお、上記では説明を省略したが、本構成例では、タブ500の基部510の下面(図11(B)の符号500A参照)よりもパネル400側に、凸部525の下端部(符号526参照)が突出しない構成となっている。ここで、基部510の下面よりもパネル400側に凸部525の下端部が突出する場合、タブ500とパネル400との間に間隙が形成され、パネル400からタブ500が浮くようになる。
【0059】
また、本構成例では、図11(B)に示すように、タブ500の中心線CL(タブ配置方向と直交する方向における中央部を通る中心線、タブ500の幅方向における中央部を通る中心線)を、対称軸として、タブ500は線対称で形成されている。
【0060】
ここで例えば、図12(タブ500の他の構成例を示した図)に示すように、凸部525が単数であり、且つ、この凸部525が中心線CLから外れた位置に設けられる態様も考えられる。ところでこの場合、タブ500の中心部(幅方向における中心部)から外れた箇所にて、タブ500とパネル400とが強く接触する可能性が生じ、かかる場合、タブ500が捩じられるようになる。そしてこの場合は、タブ500からパネル400へ荷重が伝わりにくくなり、パネル400に開口を形成する際のタブ500の操作荷重が大きくなりやすい。
【0061】
図13は、飲料缶100の他の構成例を示した図である。なお、同図(A)は飲料缶100を上方から眺めた場合の図であり、同図(B)は同図(A)の矢印XIIIB方向からタブ500およびパネル400を眺めた場合の図である。また、同図(C)は同図(A)の矢印XIIIC方向からタブ500を眺めた場合の図である。
【0062】
同図に示す構成例では、タブ500の中央部(タブ配置方向と直交する方向における中央部)に、タブ500に対して曲げ加工を施すことにより形成した折り畳み部527が設けられている。ここで、同図(B)に示すように、折り畳み部527には、タブ配置方向に沿って配置された折り筋の一例である第1曲げ加工部511、同じくタブ配置方向に沿って配置された折り筋の一例である第2曲げ加工部512が設けられている。なお、第1曲げ加工部511は、タブ500の第4の側辺54側に設けられ、第2曲げ加工部512は、タブ500の第3の側辺53側に設けられている。また、第1曲げ加工部511と第2曲げ加工部512との間には間隙が形成されている。
【0063】
また折り畳み部527には、一端が第1曲げ加工部511にて基部510に接続され且つこの基部510に対向配置された第1対向片561と、一端が第2曲げ加工部512にて基部510に接続され且つこの基部510に対向配置された第2対向片562が設けられている。さらに、折り畳み部527には、タブ配置方向に沿って配置された第3曲げ加工部513、同じくタブ配置方向に沿って配置された第4曲げ加工部514が設けられるとともに、第3曲げ加工部513にて第1対向片561の他端部に接続され、第4曲げ加工部514にて第2対向片562の他端部に接続され、且つ、第1対向片561および第2対向片562の両者に対向するように設けられた第3対向片563が設けられている。
【0064】
ここで、本構成例においても、タブ500の他端部56側が持ち上げられタブ500の基部510(タブ500のうち第2突出片58よりも他端部56側に位置する部位)に対して曲げモーメントが作用するが、上記のとおり、本構成例では、折り畳み部527がタブ配置方向に沿って設けられており、基部510におけるタブ500の曲がりが生じにくくなっている。また上記と同様、第2突出片58に対して曲げモーメントが作用するが、本構成例では、折り畳み部527が第2突出片58にも設けられており、第2突出片58の曲がりも生じにくくなっている。
【0065】
なお、図13にて説明した構成例では、曲げ加工により形成された複数の片(第1対向片561〜第3対向片563)が重なるように設けられた態様を説明したが、図14(飲料缶100の他の構成例を示した図)の(A)に示すように、第1曲げ加工部531、第2曲げ加工部532、第3曲げ加工部533により形成される、第1対向片541および第2対向片542を、基部510から起立するように設けることもできる。なおこの場合、缶蓋300(図1参照)の上縁(巻き締め部250)よりも上方に第1対向片541の上端および第2対向片542の上端が突出しないように、第1対向片541および第2対向片542の高さ方向における寸法を設定することが好ましい。
【0066】
また、図13にて説明した構成例では、第1対向片561と基部510とは、互いに接しているのみであり、タブ500の他端部56側が持ち上げられた際に、タブ500からパネル400へ荷重が伝わりにくくなり、パネル400に開口を形成する際のタブ500の操作荷重が大きくなりやすい。また、同様に、第2対向片562と基部510、第1対向片561と第3対向片563、および、第2対向片562と第3対向片563も、互いに接しているのみであり、この場合、タブ500からパネル400へ荷重が伝わりにくくなり、パネル400に開口を形成する際のタブ500の操作荷重が大きくなりやすい。
【0067】
このため、例えば、図14(B)に示すように、タブ500の基部510の縁から突出する突出片550を二つ設けるとともにこの突出片550を折り曲げ、さらに、この突出片550の一部を第3対向片563に対向させることができる。かかる場合、上記離間が生じにくくなり、タブ500からパネル400へ荷重が伝わりやすくなる。そしてこの場合、パネル400に開口を形成する際のタブ500の操作荷重が、上記離間が生じる場合に比べ小さくなる。
【符号の説明】
【0068】
52…第2の側辺、58…第2突出片、100…飲料缶、200…容器本体、260A…第1リベット、260B…第2リベット、300…缶蓋、400…パネル、410…スコア線、420…突出部、500…タブ、520…突出部、530…溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶胴の開口に取り付けられるパネルと、
前記パネルの表面に沿うように且つ一方向に沿うように配置され、当該一方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該第1の側辺と当該第2の側辺との間に位置する領域であって当該一方向に沿う領域が前記パネルから離れる方向あるいは当該パネルに接近する方向に向かって突出して形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルに向かって進出し当該パネルを押圧するタブと
を備える缶蓋。
【請求項2】
前記タブの前記領域は、前記一方向に沿うように設けられているとともに当該一方向と交差する方向における当該タブの中央部に位置することを特徴とする請求項1記載の缶蓋。
【請求項3】
前記タブの前記領域の前記突出は、前記パネルに対向する第1の面及び当該第1の面とは反対側の面である第2の面のいずれか一方の面から他方の面に向けて押圧され当該タブに曲げ加工が施されることで形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の缶蓋。
【請求項4】
缶胴の開口に取り付けられるパネルと、
前記パネルの表面に沿うように配置され、長手方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有するとともに、当該第1の側辺と当該第2の側辺との間に位置する領域に変形加工が施され当該長手方向に沿う折り筋が形成され、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで、当該第2の側辺が当該パネルに向かって進出し当該パネルを押圧するタブと
を備える缶蓋。
【請求項5】
前記タブは、前記第2の側辺から突出する突出片を有し、
前記折り筋は、前記突出片にも形成されていることを特徴とする請求項4記載の缶蓋。
【請求項6】
前記長手方向に沿って形成された前記折り筋は、当該長手方向と交差する方向における異なる箇所に複数設けられていることを特徴とする請求項4または5記載の缶蓋。
【請求項7】
飲料が内部に収容される缶胴と、
前記缶胴の開口に取り付けられるパネルと、
前記パネルの表面に沿うように配置され、長手方向における一方の端部に第1の側辺を有し他方の端部に第2の側辺を有し、当該第1の側辺側がユーザにより持ち上げられることで当該第2の側辺側が当該パネルに向かって進出するタブ本体部と、
前記タブ本体部の前記第2の側辺から突出して設けられるとともにその外周縁にカール加工が施され、当該タブ本体部の前記第1の側辺側がユーザにより持ち上げられた際に前記パネルに接近し当該パネルを押圧する突出片と
を備える飲料缶。
【請求項8】
前記突出片は、前記長手方向に沿って配置されるとともに、当該長手方向と直交する方向における一方の端部に当該長手方向に沿う第1の辺を有し、当該長手方向と直交する方向における他方の端部に当該長手方向に沿う第2の辺を有し、
前記突出片の前記カール加工は、前記第1の辺及び前記第2の辺に少なくとも施されていることを特徴とする請求項7記載の飲料缶。
【請求項9】
前記突出片の前記カール加工は、当該突出片の先端にも施されていることを特徴とする請求項8記載の飲料缶。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−95464(P2013−95464A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238908(P2011−238908)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)
【Fターム(参考)】