説明

置換ナフトピラン類

【課題】新規な光発色性[光互変性(フォトクロミック)]ナフトピラン化合物並びに該ナフトピラン化合物を含有する組成物および物品の提供。
【解決手段】ナフトピランのナフト部分の5−位の炭素原子およびピラン環の2−位に特定の置換基を有する化合物。例えば2−(4−モリホリノフェニル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−ヒドロキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、2−(9−エチルカルバゾール−2−イル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−アセトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン等が挙げられる。該化合物を含有する有機ホスト材料または該化合物で被覆された有機ホスト材料。さらに、このような新規なナフトピラン化合物または該ナフトピラン化合物と相補的光発色性化合物(例えば、スピロ(インドリン)型化合物等)との混合物を配合した物品、例えば、眼科用レンズおよびその他のプラスチック製透明物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の説明
この発明は特定の新規ナフトピラン化合物に関する。特にこの発明は新規な光発色性[光互変性(フォトクロミック)]ナフトピラン化合物並びに該ナフトピラン化合物を含有する組成物および物品に関する。日光に含まれる紫外線照射のような紫外線を含む光照射にさらされると、多くの光発色性化合物は可逆的な変色を示す。紫外線照射を中断すると、この種の光発色性化合物は元の色もしくは無色の状態に戻る。
【背景技術】
【0002】
種々の光発色性化合物が合成され、これらの用途として、日光によって誘発される可逆的な変色もしくは暗色化が望まれる用途が提案されている。米国特許第3,567,605号(ベッカー)明細書(特許文献1)には、特定のベンゾピランとナフトピランを含む一連のピラン誘導体が記載されている。これらの化合物はクロメン誘導体として記載されており、該化合物は約−30℃よりも低温における紫外線照射によって変色(例えば、無色よりイエローオレンジ色への変色)することが報告されている。これらの化合物に可視光を照射するか、または照射温度を約0℃よりも高くすると、無色状態へ可逆的に変色することが報告されている。
【0003】
米国特許第5,066,818号明細書(特許文献2)には、望ましい光発色性特性、即ち、眼科の分野や他の分野における用途にとって望ましい高着色性と許容される消色性を有する種々の3,3−ジアリール−3H−ナフト[2,1−b]ピランが記載されている。該特許明細書の比較例として記載されている2,2−ジアリール−2H−ナフト[1,2−b]ピラン異性体は、活性化後の消色に許容できないほど長い時間を必要とすることが報告されている。
【0004】
米国特許第3,627,690号明細書(特許文献3)には、少量の塩基もしくは弱性から中程度の強さの酸を含有する光発色性2,2−ジ置換−2H−ナフト[1,2−b]ピラン組成物が記載されている。このナフトピラン組成物に酸もしくは塩基を添加することにより着色ナフトピランの消色速度が促進されるので、この種の組成物はサングラスのような目を保護するための用途に有用であることが報告されている。さらに、該特許明細書には、該添加剤を含まないときの2H−ナフト[1,2−b]ピランの消色速度は完全な可逆に達するには数時間〜幾日にわたることが報告されている。米国特許第4,818,096号明細書(特許文献4)には、ピラン環の酸素原子に対してα−位に、オルトもしくはパラの位置に含窒素置換基を有するフェニル基を保有する青色に変色する光発色性ベンゾピランもしくはナフトピランが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,567,605号明細書
【特許文献2】米国特許第5,066,818号明細書
【特許文献3】米国特許第3,627,690号明細書
【特許文献4】米国特許第4,818,096号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光発色性プラスチック材料、特に光学的用途のための光発色性プラスチク材料の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
式(I)の特定の新規な2H−ナフト[1,2−b]ピラン化合物。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、高活性化強度と高着色速度のほかに許容可能な消色速度を示すという予想外の特性を有する。新規な置換2H−ナフト[1,2−b]ピラン化合物に関する。特に、このナフトピラン化合物のナフト部分の5−位に特定の置換基が存在すると、酸もしくは塩基を添加することなく消色速度を高めることができる。特定の置換基はナフトピランのナフト部分の6−位、7−位、8−位、9−位もしくは10−位の炭素原子に結合していてもよい。
【0009】
本発明によれば、光発色性プラスチック材料、特に光学的用途のための光発色性プラスチク材料を提供することができる。本発明によれば、許容される消色速度、高活性化強度および高着色速度を有する特定の新規な2H−ナフト[1,2−b]ピラン化合物が調製される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、高活性化強度と高着色速度のほかに許容可能な消色速度を示すという予想外の特性を有する。新規な置換2H−ナフト[1,2−b]ピラン化合物に関する。特に、このナフトピラン化合物のナフト部分の5−位に特定の置換基が存在すると、酸もしくは塩基を添加することなく消色速度を高めることができる。特定の置換基はナフトピランのナフト部分の6−位、7−位、8−位、9−位もしくは10−位の炭素原子に結合していてもよい。
【0011】
発明の詳細な説明
最近、光発色性プラスチック材料、特に光学的用途のための光発色性プラスチク材料は注目をあつめるようになっている。特に、光発色性の眼科用プラスチック製レンズはガラス製レンズに比べて軽量であるために研究されるようになっている。さらに、乗物、例えば、自動車や航空機等における光発色性を伴う透明性は、これによってもたらされる潜在的な安全上の特徴を有するので重要である。
【0012】
本発明によれば、許容される消色速度、高活性化強度および高着色速度を有する特定の新規な2H−ナフト[1,2−b]ピラン化合物が調製されることが判明した。このような化合物は、ピラン環の2−位とナフトピラン環のナフト部分の5−位炭素原子に特定の置換基を有するナフトピラン類として記載されてもよい。特定の置換基はナフトピラン環の6−位、7−位、8−位、9−位もしくは10−位の炭素原子に結合していてもよい。これらの化合物は次式(I)で表される:
【0013】
【化1】

【0014】
上式(I)において、R1は−C(O)Wを示し、Wは−OR4もしくは−N(R5)R6を示し、R4は水素原子、アリル、C1−C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)、フェニル、モノ(C1−C6)アルキル、置換フェニル、モノ(C1−C6)アルコキシ−置換フェニル、フェニル(C1−C3)アルキル、モノ(C1−C6)アルキル置換フェニル(C1−C3)アルキル、モノ(C1−C6)アルコキシ置換フェニル(C1−C3)アルキル、C1−C6アルコキシ(C2−C4)アルキルまたはC1−C6ハロアルキルを示し、R5およびR6の各々は水素原子、C1−C6アルキル、C5−C7シクロアルキル、フェニルおよびモノ−もしくはジ−置換フェニルから成る群から選択される基を示す。フェニル基はC1−C6アルキルおよびC1−C6アルコキシによって置換されていてもよく、また、ハロ置換基は塩基原子またはフッ素原子であってもよい。
【0015】
好ましくは、R1は−C(O)Wを示し、Wは−OR4もしくは−N(R5)R6を示し、R4は水素原子、C1−C4アルキル、フェニル、モノ(C1−C4)アルキル置換フェニル、モノ(C1−C4)アルコキシ置換フェニル、フェニル(C1−C2)アルキル、モノ(C1−C4)アルキル置換フェニル(C1−C2)アルキル、モノ(C1−C4)アルコキシ置換フェニル(C1−C2)アルキル、モノ(C1−C4)アルコキシ(C2−C3)アルキルまたはC1−C4ハロアルキルを示し、R5およびR6の各々は水素原子、C1−C4アルキル、C5−C7シクロアルキル、フェニルおよびモノ−もしくはジ−置換フェニルから成る群から選択される基を示す。フェニル置換基はC1−C4アルキルおよびC1−C4アルコキシから選択されてもよく、また、ハロ置換基は塩素原子またはフッ素原子であってもよい。
【0016】
より好ましくは、R1は−C(O)Wを示し、Wは−OR4もしくは−N(R5)R6を示し、R4は水素原子、C1−C3アルキル、フェニル、モノ(C1−C3)アルキル置換フェニル、モノ(C1−C3)アルコキシ置換フェニル、モノ(C1−C3)アルコキシ(C2−C3)アルキルまたはC1−C3ハロアルキルを示し、R5およびR6の各々は、水素原子、C1−C3アルキル、C5−C7シクロアルキル、フェニルおよびモノ置換フェニルから成る群から選択される基を示す。フェニル置換基はC1−C3アルキルおよびC1−C3アルコキシから成る群から選択されてもよく、また、ハロ置換基はフッ素原子である。もっとも好ましくは、R1は−C(O)Wを示し、Wは−OR4もしくは−N(R5)R6を示し、R4は水素原子もしくはC1−C3アルキルを示し、R5およびR6は各々水素原子、C1−C3アルキルもしくはフェニルを示す。
【0017】
式(I)におけるR2およびR3の各々は水素原子、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、置換もしくは非置換フェニル、−OR7を示し、R7は水素原子、C1−C6アルキル、フェニル(C1−C3)アルキル、モノ(C1−C6)アルキル置換フェニル(C1−C3)アルキル、モノ(C1−C6)アルコキシ置換フェニル(C1−C3)アルキル、C1−C6アルコキシ(C2−C4)アルキル、C3−C7シクロアルキル、モノ(C1−C4)アルキル置換C3−C7シクロアルキル、C1−C6ハロアルキル、アリルまたは−CH(R8)Xを示し、Xは−CN、−CF3、ハロゲン原子もしくは−C(O)Wを示し、R8は水素原子もしくはC1−C6アルキルを示す。または、R7は−C(O)Yを示し、Yは水素原子、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、置換もしくは非置換アリール(フェニルもしくはナフチル)、フェノキシ、C1−C6モノ−もしくはジ−アルキル置換フェノキシ、C1−C6モノ−もしくはジ−アルコキシ置換フェノキシ、C1−C6アルキルアミノ、フェニルアミノ、C1−C6モノ−もしくはジ−アルキル置換フェニルアミノまたはC1−C6モノ−もしくはジ−アルコキシ置換フェニルアミノを示し、フェニル置換基およびナフチル置換基の各々はC1−C6アルキルまたはC1−C6アルコキシから選択され、ハロゲン原子もしくはハロ置換基は塩素原子もしくはフッ素原子であり、nは0、1、2および3から選択される数を示す。
【0018】
好ましくは、R2およびR3の各々は水素原子、C1−C3アルキル、C3−C5シクロアルキル、置換もしくは非置換フェニルもしくは−OR7を示し、R7は水素原子、C1−C3アルキルもしくは−CH(R8)Xを示し、Xは−CNもしくは−C(O)Wを示し、R8は水素原子もしくはメチルを示す。または、R7は−C(O)Yを示し、YはC1−C3アルキルもしくはC1−C3アルコキシを示し、フェニル置換基はC1−C3アルキルもしくはC1−C3アルコキシを示し、nは0もしくは1の数を示す。
【0019】
より好ましくは、R2およびR3の各々は、水素原子、C1−C3アルキル、フェニルおよび−OR7から成る群から選択される基を示し、R7は水素原子もしくはC1−C3アルキルを示すか、または−C(O)Yを示し、YはC1−C3アルキルもしくはC1−C3アルコキシを示し、nは0または1の数を示す。最も好ましくは、R2およびR3の各々は水素原子もしくはC1−C3アルキルを示す。式(I)におけるR1、R2およびR3の定義において、同じ文字は特に言及しない限り同じ意義を有する。
【0020】
式(I)中のBは非置換であってもよく、あるいはモノ−、ジ−もしくはトリ−置換されたアリール基(フェニルおよびナフチル)であってもよく、アリール置換基は、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、ハロゲン原子、アミノ、C1−C6モノアルキルアミノ、C1−C6ジアルキルアミノ、即ち、ジ(C1−C6)アルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、インドリニル、1−イミダゾリジル、2−イミダゾリン−1−イル、2−ピラゾリジル、ピラゾリニル、1−ピペラジニルおよびピロリジルから成る群から選択されてもよく、ハロゲン原子はフッ素原子もしくは塩素原子である。
【0021】
好ましくは、Bは非置換であるか、またはモノ−もしくはジ−置換フェニルであり、フェニル置換基はC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、ハロゲン原子、アミノ、C1−C4モノアルキルアミノ、C1−C4ジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、インドリニルおよびピロリジルから成る群から選択され、ハロゲン原子はフッ素原子もしくは塩素原子である。
【0022】
より好ましくは、Bは非置換であるか、またはモノ−もしくはジ−置換フェニルであり、フェニル置換基はC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、フッ素原子、アミノ、C1−C3モノアルキルアミノ、C1−C3ジアルキルアミノ、モルホリノおよびピペリジノから成る群から選択される。
【0023】
最も好ましくは、Bは非置換であるか、またはモノ−もしくはジ−置換フェニルであり、フェニル置換基はC1−C2アルキル、C1−C2アルコキシ、フッ素原子、C1−C2モノアルキルアミノ、C1−C2ジアルキルアミノ、モルホリノおよびピペリジノから成る群から選択される。
【0024】
式(I)におけるB’は下記の(i)〜(iii)から成る群から選択されてもよい。
【0025】
(i)モノ−置換アリール基(フェニルおよびナフチル)。アリール置換基はアミノ、C1−C6モノアルキルアミノ、C1−C6ジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、インドリニル、1−イミダゾリジル、2−イミダゾリン−1−イル、2−ピラゾリジル、ピラゾリニル、1−ピペラジニルおよびピロリジルから成る群から選択されてもよい。
(ii)(IIA)で表される基:
【0026】
【化2】

【0027】
式中、Uは水素原子もしくはC1−C4アルキルであってもよく、Vは非置換であってもよく、あるいはモノ−もしくはジ−置換されたナフチル、フェニル、フラニルおよびチエニルから成る群から選択される基であってもよく、該基の各々の置換基はC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、フッ素原子もしくは塩基原子である。
【0028】
(iii)次式(IIB)で表される基:
【0029】
【化3】

【0030】
式中、MはCH2、O、SもしくはN−R14であってもよく、R14は水素原子、C1−C6アルキル、C5−C7シクロアルキル、フェニル並びにモノ−およびジ−置換フェニルから成る群から選択されてもよく、フェニル置換基はC1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、塩素原子およびフッ素原子から選択され、R9はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、塩素原子もしくはフッ素原子であり、aは0,1,2、および3から選択される数を示す。
【0031】
BおよびB’は一体となって非置換、モノ−置換もしくはジ−置換のフルオレン−9−イリデンを形成してもよく、あるいは下記の群から選択される環を形成してもよい:飽和C3−C12スピロ−単環状炭化水素環(例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン、シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン、シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン)、飽和C7−C12スピロ−二環状炭化水素環(例えばビシクロ[3.2.1]オクチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イリデン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン)および飽和C7−C12スピロ−三環状炭化水素環(例えば、トリシクロ[2.2.1.02,6])ヘプチリデン、トリシクロ[5.3.1.12,6]ドデシリデン)。但し、上記の環状炭化水素環にはトリシクロ[3.3.1.13,7]デシリデン(即ち、アダマンチリデン)、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン(即ち、ボルニリデン)およびビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン(即ち、ノルボルニリデン)は含まれない。フルオレン−9−イリデン置換基はC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、フッ素原子および塩素原子から成る群から選択されてもよい。
【0032】
BおよびB’の各々は上記(ii)および(iii)で定義される基から選択されてもよい。
【0033】
好ましくは、B’は下記の(i)〜(iii)から成る群から選択される。
【0034】
(i)モノ−置換フェニル。フェニル置換基はアミノ、C1−C4モノアルキルアミノ、C1−C4ジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、インドリニルおよびピロリジルから成る群から選択される。
【0035】
(ii)式(IIA)で表される基。Uは水素原子もしくはメチルであってもよく、Vはフェニルもしくはモノ−置換フェニルであってもよい。フェニル置換基はC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、フッ素原子もしくは塩基原子である。
【0036】
(iii)式(IIB)で表される基。MはCH2、OもしくはN−R14であってもよく、R14は水素原子、C1−C4アルキル、フェニルおよびモノ−置換フェニルから成る群から選択されてもよく、フェニル置換基はC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、塩素原子およびフッ素原子から選択され、R。はC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、塩素原子もしくはフッ素原子であってもよく、aは0.1および2から選択される。
【0037】
BおよびB’は一体となって非置換もしくはモノ−置換フルオレン−9−イリデンを形成してもよく、あるいは飽和C3−Cスピロ−単環状炭化水素環、飽和C7−C10スピロ−二環状炭化水素環および飽和C7−C10スピロ−三環状炭化水素環から成る群から選択される環を形成してもよく、該フルオレン−9−イリデンの置換基はC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、フッ素原子および塩素原子から成る群から選択される。
【0038】
より好ましくは、B’は下記の(i)および(ii)から成る群から選択される。
【0039】
(i)モノ−置換フェニル。フェニル置換基はアミノ、C1−C3モノアルキルアミノ、C1−C3ジアルキルアミノ、モルホリノおよびピペリジノから成る群から選択される。
【0040】
(ii)式(IIB)で表される基。MはCH2、OもしくはN−R14を示し、R14は水素原子、C1−C4アルキルもしくはフェニルを示し、R9はC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシおよびフッ素原子から成る群から選択され、aは0、1および2から選択される数を示す。
【0041】
あるいは、BおよびB’は一体となってフルオレン−9−イリデンもしくはビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イリデンを形成してもよい。
【0042】
最も好ましくは、B’はモノ−置換フェニル、9−エチルカルバゾリルもしくは9−フェニルカルバゾリルを示し、フェニル置換基はC1−C2モノアルキルアミノ、C1−C2ジアルキルアミノ、モルホリノもしくはピペリジノである。
【0043】
式Iにより表される化合物は、以下に記述された方法により調製され得る。反応A1において、カルバゾール、ジベンゾチオフェン又はジベンゾフランのベンゾイル誘導体がフリーデル‐クラフツ法により調製される。刊行物:フリーデル‐クラフツおよび関連反応、ジョージ.エイ.オラー(George A.Olah)、インターサイエンス パブリッシャーズ(Interscience Publishers)、1964年、第3巻、XXXI章(芳香族ケトン合成(Aromatic Ketone Synthesis))、および「1,2,3,4−テトラヒドロキノリンおよび関連窒素複素環の位置選択的なフリーデル‐クラフツ アシル化:NH保護基と環のサイズに対する効果」(イシハラ、ユギら、ジェイ.ケム.ソク.(J.Chem.Soc.)、パーキン トランス.(Perkin Trans.)1、3401−3406頁、1992年)、複素環化合物、ロバートシー.(Robert C.)エルダーフィールド(Elderfield)、1951年、第2巻、3章(ジベンゾフラン)および5章(ジベンゾチオフェン);複素環化合物の化学、エイチ.ディー.ハートウ(H.D.Hartough)とエス.エル.メイゼル(S.L.Meisel)、1954年、第7巻、IV章(ジベンゾチオフェンとその誘導体);複素環化学の進歩、エイ.アール.カトリツキー(A.R.Katritzky)とエイ.ジェイ.バウルトン(A.J.Boulton)、1974年、第16巻、V章(ジベンゾチオフェンの化学における最近の進歩);および複素環化合物、ロバート シー.エルダーフィールド、1952年、第3巻、3章(カルバゾールの化学)を参照されたい。
【0044】
反応A1において、式IIIおよびIVで表される化合物を、塩化アルミニウムのようなルイス酸の存在下、二硫化炭素又はメチレンクロライドのような溶媒中に溶解され、式Vで表される対応する置換ベンゾイル誘導体が生成する。Rは潜在的なフェニル置換基を表す。
【0045】
【化4】

【0046】
式VBにより表される化合物は、反応A2に示すように、エチルアミン、モルフォリン、ピペリジンなどの第1又は第2アミン化合物を用いて、式VAにより表される市販のフルオロ置換ベンゾフェノンを直接的にアミノ化することにより得られるか、又は調製される。刊行物:「芳香族化合物における活性化フッ素の求核置換」(ベイダー(Bader)、ヘンリー(Henry)ら、ジェイ.オーグ.ケム.(J.Org.Chem.)、第31巻、2319−2321頁、1966年を参照されたい。
【0047】
反応A2において、式VAで表される化合物とアミノ化合物をジメチルスルフォキシド(DMS)のような溶媒中に溶解して還流すると、式VBで表される対応するアミノ置換ベンゾフェノンが生成する。Rは潜在的なフェニル置換基を表す。
【0048】
【化5】

【0049】
反応Bにおいて、式V、VB、またはより一般的な式VCで表されるケトンを無水テトラヒドロフラン(THF)のような適当な溶媒中でナトリウムアセチリドと反応させると、式VIで表される対応するプロパルギルアルコールが生成する。式IIAで表されるB’基を有するプロパルギルアルコールは、米国特許5,274,132、2蘭、40行から68行に記載されている方法により調製され得る。
【0050】
【化6】

【0051】
式XIIIAで表されるナフトールは、反応Cまたは反応Dにより調製される。反応Cにおいて、式VIIで表される置換または非置換1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸を、無水ジメチルホルムアミド(DMF)のような適当な溶媒中でエチルジイソプロピルアミンの存在下、ヨウ化メチル(又はヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、臭化ベンジルなど)と反応させると、式VIII(または反応Eにおける式XIIIA)で表される対応するメチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエートが生成する。この反応はジェイ.オブ オーグ.ケム.(J.of Org.Chem.)、第46巻(17号)、3477頁、1981年に更に記載されている。
【0052】
【化7】

【0053】
反応Dにおいて、式IXで表される置換又は非置換のアセトフェノン、ベンゾフェノン又はベンズアルデヒドは、トルエンのような適当な溶媒中の水酸化ナトリウム又はカリウムt−ブトキシドのような塩基の存在下でジメチルサクシネート(式X)と反応して式XIにより表されるアリーリデンコハク酸の適当な置換モノエステルを生成する。式XIで表される化合物の他のエステル置換基は、ジエチルサクシネートのような異なるコハク酸エステルを用いることにより調製され得る。化合物XIを無水酢酸および無水酢酸ナトリウムと共に加熱すると式XIIにより表される対応する酢酸塩誘導体が生成する。化合物XIIを塩酸および無水メタノールのような無水アルコールと反応させると式XIII(又は反応Eにおける式XIIIA)で表される対応するナフトールが生成する。反応Dは更に、テキスト有機反応、第VI巻、1章、1−73頁、ジョン ウィレイ アンド ソンズ インク.(John Wiley & Sons.Inc.)、ニューヨークに記載されている。
【0054】
【化8】

【0055】
反応Eにおいて、式VIで表されるプロパルギルアルコールは、式XIIIAで表されるナフトールと結合して式Iであらわされる化合物を生成する。
【0056】
【化9】

【0057】
反応Fに見られるように、式XIVにより表される化合物(R2が水酸基である式Iの化合物)の水酸基はアシル化剤又はアルキル化剤を用いた反応により、種々の異なる基と置き換え可能である。例えば、式XIVで表される化合物を無水アセトンのような適当な溶媒中で無水炭酸カリウムの存在下でヨウ化メチル(又は他のアルキル化剤)と反応させるとR2がメトキシ置換基である式XVにより表される化合物が生成する。アルキル化反応は、「有機合成」、第31巻、90−93頁、ジョン ウィレイ アンド ソンズ、インク.、ニューヨーク、NYに更に記載されている。これとは別に、化合物XIVを塩化メチレンのような適当な溶媒中でトリエチルアミン(NEt3)の存在下でアセチルクロライド(又は他のアシル化剤)と反応させると、R2がアセトキシ(AcO)置換基である式XVIにより表される化合物が生成する。アシル化反応は、「有機合成」、第32巻、72−77頁、ジョン ウィレイ アンド ソンズ、インク.、ニューヨーク、NYに更に記載されている。
【0058】
【化10】

【0059】
式Iで表される化合物は有機光互変性(フォトクロミック)物質が使用され得る別の用途に使用してもよい。例えば視力矯正眼科用レンズおよび平面レンズのような眼科用レンズ、顔面保護具、ゴーグル、遮光板、カメラのレンズ、窓、自動車のフロントガラス、航空機や自動車のT−ルーフ、サイドライトおよびバックライト用の透明部材、プラスチックフィルムやシート、織物および、例えばペンキなどのコーティング組成物のようなコーティング、例えば真正性の認証又は照合が要求される銀行券、パスポート又は運転免許証のような証書などの秘密証書上の照合マークなど。式Iにより表されるナフトピランは、無色から、橙色から青色の範囲までの、色の変化を呈する。
【0060】
本発明の範囲内に包含されるナフトピランの例を以下に記載する:
(a)2−(4−モルフォリノフェニル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−ヒドロキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(b)2−(4−モルフォリノフェニル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−メトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(c)2−(4−モルフォリノフェニル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−アセトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(d)2−(9−エチルカルバゾール−2−イル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−アセトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(e)2−(9−フェニルカルバゾール−2−イル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−アセトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(f)2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−アセトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;
(g)2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン;および
(h)2,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−5−メトキシカルボニル−6−アセトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン。
【0061】
光互変性物質を含むプラスチックレンズが紫外線にさらされた時、近中間色グレー又は茶色への暗色化をもたらすように、式Iの有機光互変性ナフトピランは、他の適当な相補的有機光互変性物質と共に用いられてもよい。例えば、黄色に呈色する化合物を適当な紫色に呈色する化合物と混合することによって、茶色への暗色化をもたらしてもよい。同様に、呈色状態が橙色である化合物は、適当な青色呈色化合物と混ぜて用いられた時、グレーの色調を生み出す。前記の光互変性物質の組み合わせは、眼科用レンズ以外の用途にも用いられ得る。
【0062】
これまでに記載された本発明の新規ナフトピラン化合物は、単独で使用してもよく、又は相補的光互変性化合物、即ち、約400から700ナノメートルの範囲内に少なくとも一つの活性化吸収極大を有する有機光互変性化合物またはこれを含有する物質と共に用いてもよい。また、該新規化合物は、活性化された時に適当な色調に変色する光互変性物品を調製するのに用いられる有機ホストポリマー材料中に溶解されるか分散されるなどして配合してもよい。
【0063】
本発明の有機光互変性ナフトピランと併用される相補的有機光互変性物質の第1グループは、570ナノメートル以上、例えば、約570〜700ナノメートルまでの間の可視範囲内に活性化吸収極大を有するものである。これらの物質は適当な溶媒若しくはマトリックス内で紫外線にさらされた時、典型的には、青、青緑又は青紫色を呈する。このような化合物の多くは、公開文献に記載されている。例えば、他のものの中で、スピロ(インドリン)ナフトキサジンが米国特許3,562,172;3,578,602;4,215,010;および4,342,668中に記載されており、分子のナフトキサジン部分の8’および9’部位上に特定の置換基を有するスピロ(インドリン)ナフトキサジンが米国特許5,405,958に記載され、スピロ(インドリン)ピリドベンゾキサジンが米国特許4,637,698に記載され、スピロ(ベンズインドリン)ピリドベンゾキサジンおよびスピロ(ベンズインドリン)ナフトキサジンが米国特許4,931,219に記載され、スピロ(ベンズインドリン)ナフトピランが日本特許公開62/195383に記載され、スピロ(インドリン)ベンズゾキサジンが米国特許4,816,584に記載され、スピロ(インドリン)ベンゾピラン、スピロ(インドリン)ナフトピランおよびスピロ(インドリン)キノピランが例えば、米国4,880,667に記載され、ピラン環の2−位に窒素含有置換基を有するベンゾピランおよびナフトピランが米国特許4,818,096に記載されている。スピロ(インドリン)ピランもまたテキスト、化学における技術、III巻、「光互変」、3章、グレン エイチ.ブラウン(Glenn H.Brown)、編集者、ジョンウィレイ アンド ソンズ、インク.、ニューヨーク、1971年に記載されている。
【0064】
本発明の有機光互変性ナフトピランと併用される相補的有機光互変性物質の第2のグループは、約400から500ナノメートルの間の可視範囲内に少なくとも一つの吸収極大を有するものである。適当な溶媒やマトリックス内で紫外線にさらされた時、これらの物質は典型的には黄‐橙色を呈する。このような化合物は、特定のクロメン類、即ちベンゾピランやナフトピランを含む。このようなクロメン類の多くは公開文献、例えば、米国特許3,567,605、4,826,977および5,066,818に記載されている。本発明のナフトピランと共に用いられ得る相補的ベンゾピランおよびナフトピランの他の例は、ピラン環の酸素原子に対してα−位にスピロアダマンタン基を有するもの(米国特許4,826,977に記載されている);ナフトピランのナフト部分の第5および第6炭素原子およびピランの第2位に特定の置換基を有する2H−ナフト−[1,2−b]ピラン化合物(共係属中の米国特許出願No.08/164,187(1993年12月9日出願)の対象である);ピラン環の3−位に少なくとも一つのオルト置換フェニル置換基を有する3H−ナフト[2,1−b]ピラン(米国特許5,066,818に記載されている);ナフトピランのナフト部分の第8炭素原子に特定の置換基をを有すると共に第7又は第9炭素原子に特定の置換基を有する3H−ナフト[2,1−b]ピラン化合物(共係属中の米国特許出願No.08/080,246(1993年6月21日出願)の対象である);ピラン環の第3位が(i)アリール置換基および(ii)フェニル置換基の第3および第4炭素原子で縮合した5−又は6−員の複素環を有するフェニル置換基で置換された3H−ナフト[2,1−b]ピランが米国特許5,384,077に記載されている;ナフトピランのg、i、またはl側に縮合した置換または非置換の5または6員複素環を有するジアリール−3H−ナフト[2,1−b]ピラン化合物(共係属中の米国特許出願No.08/225,022(1994年4月8日出願)の対象である);ナフトピラン環のナフト部分の第8炭素原子が、例えばメトキシ基で置換された米国特許5,238,931の対象であるナフトピラン化合物;3−アリール−3−アリールアルケニル ナフトピランのようなナフトピラン化合物(米国特許5,274,132に記載されている);第5炭素原子において、例えばアセトキシ基で置換されているナフト[2,1−b]ピラン(米国特許5,244,602の対象である)。
【0065】
本発明の有機光互変性ナフトピランと併用される相補的有機光互変性物質の第3のグループは、約400から500ナノメートルの間の可視範囲内に吸収極大を有すると共に約500から700ナノメートルの間の可視範囲内に他の吸収極大を有するものである。これらの物質は適当な溶媒又はマトリックス中で紫外線にさらされた時に黄色から紫までの範囲および黄/茶色から紫/グレーの範囲にわたる色を呈する。これらの化合物の例には、特定の置換2H−フェナントロ[4,3−b]ピラン、置換3H−フェナントロ[1,2−b]ピランおよびピラン環の2位に置換基を有すると共にベンゾピランのベンズ部分に縮合したベンゾチエノ又はベンゾフラノ環のような置換または非置換複素環を有するベンゾピランのようなベンゾピラン化合物が含まれる。該ベンゾピラン化合物は共係属中の米国特許出願No.08/286,039(1994年8月4日出願)および米国特許5,411,679の対象である。
【0066】
本発明の光互変性物品は、必要に応じて1種の光互変性化合物又は光互変性化合物の混合物を含んでいてもよい。各々の光互変性化合物若しくは光互変性化合物の混合物は、淡いグレーや茶色のようなある種の活性色を得るのに用いてもよい。
本発明の化合物(該化合物はこれ以下では第2グループの光互変性化合物に含まれるものとして言及される)は第1グループの相補的有機光互変性物質、即ち、青、青緑又は青紫に変色する光互変性物質と併用してもよく、または前述の第2グループ中の他の有機光互変性物質と併用してもよい。光互変性化合物の第1または第2グループのどちらかの化合物、またはこのような化合物の混合物は、黄色から紫色、または黄/茶色から紫/グレーまでの範囲の色を呈する前述の第3グループの光互変性化合物と併用してもよい。
【0067】
ここに記載されている光互変性物質のそれぞれは、光互変性物質または該化合物の混合物が塗布または配合される有機ホスト材料が所望の合成色、例えば直射日光で活性化された時に実質的な中間色を呈するような量、即ち、活性化された光互変性化合物の呈色によってできるだけ中間色に近いような発色がもたらされるような量(又は比率)で用いてもよい。
【0068】
淡いグレーは400から700ナノメートルの間の可視範囲内に相対的に等量の吸収を有するスペクトルを呈する。淡い茶色は400〜550ナノメートルの範囲の吸収が550〜700ナノメートル範囲におけるものよりやや大きいスペクトルを呈する。色を記述するこれとは別の方法は、色度座標による表示法であり、これは輝度因子即ちその色度に加えて色の質を表示する。CIEシステムにおいては、色度座標は総数値に対する三刺激値の割合、例えば、x=X/(X+Y+Z)およびy=Y/(X+Y+Z)をとることにより得られる。CIEシステムにおいて表示される色は色度図表上にプロットされ、通常は色度座標xおよびyがプロットされる。色彩技術の原理の47−52頁(エフ.ダブリュ.ビルメイアー ジュニア(F.W.Billmeyer、Jr.)、およびマックス ザルツマン(Max Saltzman)、第2巻、ジョン ウィレイ アンド ソンズ、ニューヨーク(1981年)を参照されたい。ここで用いられているように、近中間色は、該色に関する「x」および「y」の色度座標値[太陽光照射(空気量:1又は2)により光透過率が40%まで活性化された後の値]が以下の範囲内にあるものである(D65光源):x=0.260〜0.400、y=0.280〜0.400 活性化において裸眼で識別可能な光互変性効果をもたらすのに十分な量が用いられるのであれば、ホスト材料に塗布または配合される光互変性物質又は該物質を含有する組成物の量は臨界的ではない。一般に、そのような量は光互変性量(光発色量)として記載される。用いられる特定の量は、照射によって所望される色の強度および光互変性物質を配合又は塗布するのに用いられる方法にしばしば依存する。一般的には、光互変性物質が多く塗布あるいは配合されるほど、色強度は一定の限界値まで増大する。
【0069】
用いる上記ホトクロミック化合物の相対的な量は、ある程度これら化合物の活性化種の相対的色強度および必要とする最終の色に依存して異変動する。一般にホトクロミックオプティカルホスト材料に組み込みまたは塗布するホトクロミック物質の全量は、ホトクロミック物質を組み込みまたは塗布する表面の1cm2当たり約0.05〜1.0mg、好ましくは0.1〜0.45mgである。上記の有機ホトクロミック補足基を使用する場合は、その重量比は、即ち、(第2のものに対する第1のもの)、(第3のものに対する第2のもの)、および(他の第2のグループに対する本発明のナフトピラン)は、約1:3〜約3:1、好ましくは約0.75:1〜約2:1まで変動する。上記第1、第2および第3の有機ホトクロミック補足基の組み合わせは、重量比で約1:3:1〜3:1:3の範囲で変動してもよい。
【0070】
本発明のホトクロミック物質は当業界で記載されている種々の方法によって有機ホスト材料重合体のようなホスト化合物に塗布してもよいし、組み込んでもよい。このような方法として、ホトクロミック物質をホスト材料の中に溶解または分散する方法が含まれる、例えば、重合前のモノマー状態のホスト材料にホトクロミック材料を加えてその場でキャストする方法;ホスト材料をホトクロミック物質の熱溶液中に浸漬するか、熱移行によってホスト材料中へ吸収する方法;ホトクロミック物質をホスト材料の隣接する層間に単離層として、例えば重合した薄層として導入すること;およびホトクロミック物質をホスト物質の表面に皮膜として塗布することが列挙できる。「浸漬」または「浸漬する」という用語はホトクロミック物質のみがホスト材料中へ浸透すること、溶媒の助けによりホトクロミック物質が多孔質ポリマー中へ移行すること、蒸気相としての移行、およびこのような他の移行機構を意味し、且つ含んでいる。
【0071】
より美的効果を得るために、医学的な理由でまたは流行の面で(化学的および色の面で)相溶性のある着色剤、例えば染料、をホスト物質へ塗布してもよい。
【0072】
選ばれるべき特定の染料は、上記理由および得られる結果によって変動するであろう。ひとつの態様では、染料は活性化したホトクロミック物質による色を補足するために、例えばより中庸な色を出し、または特定の入射波長を吸収するために選択することができる。もうひとつの態様では、染料は、ホトクロミック物質が非活性化状態にある場合にホストマトリックスに好ましい色相を提供するために選択することができる。
【0073】
ホスト材料中にホトクロミック物質を塗布または組み込むに、先だって、同時にまたはそれに続いて、ホスト材料中に、ホトクロミック物質とともに補助材料を組み込んでもよい。例えば、ホスト材料に塗布する前にホトクロミック物質とともに紫外線吸収剤を混合してもよいし、またはこのような吸収剤を、例えばホトクロミック物質と入射光線との間に層として重ね合わせてもよい。更に、ホトクロミック物質の光疲労抵抗性を改善するためにホスト材料に塗布するに先だって、安定剤をホトクロミック物質と混合してもよい。ヒンダードアミン光安定剤およびシングレット酸素クエンチャー、例えばニッケルイオンと有機リガンドとのコンプレックス、のような安定剤が考えられる。これらは単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。これらの安定剤は米国特許第4,720,356号明細書に記載されている。最後に、適当な保護皮膜をホスト物質の表面に塗布してもよい。保護皮膜は摩耗抵抗性塗膜であっても、酸素バリアーとして働く塗膜であってもよい。このような皮膜は当業界で周知である。
【0074】
ホスト物質は通常透明であるが、半透明または不透明でさえあってもよい。ホスト物質は、ホトクロミック物質を活性化する電磁スペクトルの該当部分、即ち物質のオープンフォームを生じさせる紫外線の波長、および紫外線により活性化された形、即ちオープンフォーム、の物質の吸収最大波長を含む可視光線の該当部分に対してだけ透明であればよい。好ましくは、ホストの色はホトクロミック物質の活性化された形の色を遮蔽するものであってはならない。したがって色の変化は観察者に容易にわかるものでなくてはならない。更に好ましくは、ホスト物質は固体の、透明すなわち光学的に透明な物質、例えば平面レンズおよび眼科レンズ、窓、自動車透明部品、例えば防風ガラス、航空機の透明部品、プラスチックシート、重合体フィルム類等である。
【0075】
ホトクロミック物質および本明細書で記載している組成物とともに使用してもよい重合体有機ホスト物質の例としては:ポリマー類、即ち、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー類、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー類、ジイソプロペニルベンゼンモノマー類、およびエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー類のようなアルコキシ化多価アルコールアクリレートモノマー類、のホモポリマー類およびコポリマー類;ポリマー類、即ち、多官能、即ちモノ-、ジ-、トリ-、テトラ-または多官能のアクリレートおよび/またはメタクリレートモノマー類のホモポリマー類およびコポリマー類、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ポリ(メチルメタクリレート)のようなポリ(C1−C12アルキルメタクリレート類)、ポリ(エチレングリコールビスメタクリレート類)のようなボリオキシ(アルキレンメタクリレート類)、ポリ(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)のようなポリ(アルコキシ化フェノールメタクリレート類)、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルクロライド)、ポリ(ビニリデンクロライド)、ポリウレタン類、熱可塑性ポリカーボネート類、ポリエステル類、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、コポリ(スチレン-メチルメタクリレート)、コポリ(スチレン-アクリロニトリル)、ポリビニルブチラール;およびポリマー類、即ち、ジアリリデンペンタエリスリトールのホモポリマー類およびコポリマー類、特にポリオール(アリルカーボネート)モノマー類、例えばジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)およびアクリレートモノマー類とのコポリマー類。
【0076】
透明コポリマー類および透明ポリマー類のブレンド物もホスト物質として好適である。好ましくは、ホスト物質は、光学的に透明な重合有機材料であって、それらは商品名「レクサン(LEXAN)」として市販されているビスフェノールAとホスゲンから得られるカーボネート結合を有する樹脂のような熱可塑性ポリカーボネート樹脂;商品名「マイラー(MYLAR)」として市販されているポリエステル;商品名「プレイキシグラス(PLEXIGLAS)」として市販されているポリ(メチルケタクリレート);ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、特に商品名「CR−39」として市販されているジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)の重合体類、およびポリオール(アリルカーボネート)のコボリマー類、例えばジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)と他の共重合可能なモノマー類との共重合体、例えばビニルアセテートとの共重合体、例えばジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)80〜90%とビニルアセテート10〜20%、特にビス(アリルカーボネート)80〜85%とビニルアセテート15〜20%の共重合体、米国特許第4,360,653号明細書および米国特許第4,994,208号明細書に記載されている末端にジアクリレート官能基を有するポリウレタンとのコポリマー類;および米国特許第5,200,483号明細書に記載されているその末端がアリルまたはアクリリル官能基を含む脂肪族ウレタンとのコポリマー類、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー類、ジイソプロペニルベンゼンモノマー類、およびエトキシ化トリメチロールプロパンモノマー類からなる群のポリマー類;セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、ポリスチレンおよびスチレンとメチルメタクリレート、ビニルアセテートおよびアクリロニトリルとのコポリマー。より好ましくは、本発明のホトクロミックナフタロピランは光学的に透明な重合体、即ち光学用途に好適な材料、例えば平面および眼科用レンズ、窓および自動車用透明体、を生成するために用いられる光学的有機樹脂用モノマーとともに使用することが考えられる。このように光学的に透明な重合体は約1.48〜1.75、好ましくは約1.495〜1.66の範囲であってもよい屈折率を持っていてもよい。
本発明は、より詳しくは、以下の実施例に記載されているが、これは単に例として挙げられているのであって、これに多くの修飾や変形が含まれることは当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0077】
実施例1
ステップ1
4-フルオロベンゾフェノン(25g、0.12モル)およびモルホリン(15g)を100mlの無水ジメチルスルホキシドの入った反応フラスコに加え、撹拌し、アルゴン雰囲気下で8時間還流した。その後フラスコ内の混合物を500mlの氷-水混合物に加え、2時間撹拌した。得られた固体生成物を濾過し、水、次いでヘキサンで連続して洗浄し、風乾した。単離した生成物の収量は30gであった。核磁気共鳴(NMR)スペクトルによる分析の結果、4-モルホリノベンゾフェノンと一致する構造を有する生成物の存在が示された。これは生成をせずに直接次のステップで使用した。
【0078】
ステップ2
4-モルホリノベンゾフェノン(10mg、0.037モル)をアセチレンを飽和した50mlの無水ジメチルホルムアミドの入った反応フラスコに入れて溶解し、室温で撹拌した。スチレン/鉱油中に分散した18重量%のナトリウムアセチライドの懸濁液(ナトリウムアセチライド0.3モル)を反応フラスコに加え、混合物を撹拌した。室温窒素雰囲気下で3時間撹拌した後、反応フラスコ中の混合物を250mlの氷−水混合物に加え1時間撹拌した。得られた固体生成物を濾過し、水、次いでヘキサンで洗浄し、風乾した。単離した生成物の収量は8gであった。核磁気共鳴(NMR)スペクトルによる分析の結果、1-(4-モルホリノフェニル)-1-フェニル-2-プロピン-1-オールと一致する構造を有する生成物の存在が示された。これは生成をせずに直接次のステップで使用した。
【0079】
ステップ3
ステップ1で得られた1-(4-モルホリノフェニル)-1-フェニル-2-プロピン-1-オール(約0.025モル)とメチル-1,4−ジヒドロキシ-2-ナフトエート(5g、0.022モル)を200mlのトルエンの入った反応フラスコに加え撹拌した。触媒量のp−トルエンスルホン酸(約100mg)を加え、混合物を4時間撹拌した。その後、反応混合物を10重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液に注いだ。有機層を分離し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。残留溶媒、トルエンを真空下で除去した。得られた油状物をシリカゲルカラムを用い溶離液としてクロロホルム:ヘキサンの1:3混合物を用いて精製した。ホトクロミックフラクションを合一し、溶離液を真空で除去した。得られた生成物をヘキサン溶液から結晶化した。回収した生成物は178〜179℃の融点を持っていた。核磁気共鳴(NMR)スペクトルによる分析の結果、2-(4-モルホリノフェニル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-ヒドロキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランと一致する構造を有する生成物の存在が示された。
【0080】
実施例2
実施例1に記載されたように調製した2-(4-モルホリノフェニル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-ヒドロキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピラン(2g)、無水炭酸カリウム(2g)およびメチルアイオダイド(2g)を40mlの無水アセトンの入った反応フラスコに加え、撹拌し、アルゴン雰囲気下で還流した。その後、アセトンを真空下で除き、水およびメチレンクロライド各25mlを反応混合物に加えた。混合物を30分間撹拌し、有機相を分離し、洗浄し、乾燥した。残留溶媒メチレンクロライドを真空下で除去した。得られた濃厚油状物を1:1ヘキサン:ジエチルエーテル混合物から結晶化した。得られた固体を吸引濾過し、へキサンで洗浄し、風乾した。得られた生成物は融点175〜176℃を持っていた。核磁気共鳴(NMR)スペクトルによる分析の結果、2-(4-モルホリノフェニル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-メトキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランと一致する構造を有する生成物の存在が示された。
【0081】
実施例3
実施例1のように調製した2-(4-モルホリノフェニル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-ヒドロキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピラン(2g)およびトリエチルアミン(2g)を50mlの無水メチレンクロライドの入つた反応フラスコに加え、撹拌した。反応フラスコにアセチルクロライド(2g)を加え反応混合物を1時間撹拌した。反応フラスコに蒸留水(50ml)を加え反応混合物をもう半時間撹拌した。その後、有機相を分離し、洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を蒸発することにより油状残留物を得、1:1ヘキサン:ジエチルエーテル混合物から結晶化した。固体を吸引濾過し、ヘキサンで洗浄し、風乾した。得られた生成物は融点143〜145℃を持っていた。核磁気共鳴(NMR)スペクトルによる分析の結果、2-(4-モルホリノフェニル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-アセトキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランと一致する構造を有する生成物の存在が示された。
【0082】
実施例4
ステップ1
N-エチルカルバゾール(50g、0.25モル)およびベンゾイルクロライド(0.28モル)を500mlの無水メチレンクロライドの入った反応フラスコに入れ、室温で撹拌した。無水塩化アルミニウム(0.30モル)を混合物にゆっくり加えた。反応混合物を1時間撹拌し、それから5重量%の塩酸水溶液と氷の混合物中へ注いだ。得られた混合物を15分間撹拌しメチレンクロライドで抽出した。有機相を分離し、有機相を分離し、先ず10重量%の水酸化ナトリウム水溶液、次いで蒸留水で洗浄した。有機相を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。メチレンクロライド溶媒を真空で除去した。得られた油状生成物をヘキサンから結晶化した。回収生成物(35g)を濾過し、風乾した。核磁気共鳴(NMR)スペクトルによる分析の結果、2-ベンゾイル-9-エチルカルバゾールと一致する構造を有する必要とする生成物の存在が示された。
【0083】
ステップ2
4-モルホリノベンゾフェノンの代わりに2-ベンゾイル-9-エチルカルバゾールを用いた以外は実施例1のステップ2の方法と同様にして、1-(9-エチルカルバゾール-2-イル)-1-フェニル-2-プロピン-1-オールを得た。
【0084】
ステップ3
1-(4-モルホリノフェニル)-1-フェニル-2-プロピン-1-オールの代わりに1-(9-エチルカルバゾール-2-イル)-1-フェニル-2-プロピン-1-オールを用いた以外は、実施例1のステップ3と同様にして、2-(9-エチルカルバゾール-2-イル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-ヒドロキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランを得た。
【0085】
ステップ4
2-(4-モルホリノフェニル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-ヒドロキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランの代わりに2-(9-エチルカルバゾール-2-イル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-ヒドロキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランを用いた以外は実施例3と同じ方法を行った。得られた生成物は油状であった。核磁気共鳴(NMR)スペクトルによる分析の結果、2-(9-エチルカルバゾール-2-イル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-アセトキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランと一致する構造を有する必要とする生成物の存在が示された。
【0086】
実施例5
ステップ1でN-エチルカルバゾールの代わりにN-フェニルカルバゾールを用いた以外は実施例4と同じ方法を行った。得られた生成物は188〜189℃の融点を持っていた。核磁気共鳴(NMR)スペクトルによる分析の結果、2-(9-エフェニルカルバゾール-2-イル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-アセトキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランと一致する構造を有する必要とする生成物の存在が示された。
【0087】
実施例6
ステップ1
ステップ2で1-(4-ジメチルアミノフェニル)-1-フェニル-2-プロピン-1-オールを得るために、またステップ3で2-(4-ジメチルアミノフェニル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-ヒドロキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランを得るために、4-モルホリノベンゾフェノンの代わりに2,4-ジメチルアミノベンゾフェノンを用いた以外は実施例1のステップ2および3を繰り返した。
【0088】
ステップ2
2-(4-モルホリノフェニル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-ヒドロキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランの代わりに2-(4-ジメチルアミノフェニル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-ヒドロキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランを用いて実施例3と同様の方法を行った。得られた生成物は156℃の融点を持っていた。核磁気共鳴(NMR)スペクトルによる分析の結果、2-(4-ジメチルアミノフェニル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-アセトキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランと一致する構造を有する必要とする生成物の存在が示された。
【0089】
実施例7
ステップ1
1-(4-モルホリノフェニル)-1-フェニル-2-プロピン-1-オールの代わりに1-(4-ジメチルアミノフェニル)-1-フェニル-2-プロピン-1-オールを用い、メチル-1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエートの代わりにメチル-4-ヒドロキシ-1-メチル-2-ナフトエートを用いた以外は実施例1のステップ3と同様に行った。得られた生成物は182〜184℃の融点を持っていた。核磁気共鳴(NMR)スペクトルによる分析の結果、2-(4-ジメチルアミノフェニル)-2-フェニル-5-メトキシカルボニル-6-メチル-2H-ナフト[1,2-b]ピランと一致する構造を有する必要とする生成物の存在が示された。
【0090】
実施例8
ステップ1で4-ジメチルアミノベンゾフェノンの代わりに4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンを用いた以外は実施例6と同様の方法を実施した。
得られた生成物は222〜224℃の融点を持っていた。核磁気共鳴(NMR)
スペクトルによる分析の結果、2,2-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-5-メトキシカルボニル-6-アセトキシ-2H-ナフト[1,2-b]ピランと一致する構造を有する必要とする生成物の存在が示された。
【0091】
実施例9
パートA
方形の試験重合体中へ組み込みまたは浸漬した実施例のホトクロミックナフトピランに関して二通りの異なる方法のひとつを用いて試験を行った。方法Iでは,実施例のホトクロミックナフトピランを重合試料に組み込んだ。1.5×10-3モル溶液が得られるように計算した量のナフトピランを、4部のエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(BPA2EO DMA)、1部のポリ(エチレングリコール)600ジメタクリレートのモノマー混合物50g、および0.033重量%の2,2'-アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)を含むフラスコに加えた。必要なら穏やかな加熱を行いながら撹拌することによってナフトピランをモノマー混合物中へ溶解した。透明な溶液が得られた後、それを、内寸2.2mm×6インチ(15.24cm)×6インチ(15.24cm)の平坦シート用金型へ注いだ。金型をシールし、それを水平な空気流のある温度が40℃から95℃へ5時間かけて上昇し、95℃で3時間保持され、それから60℃へ降下するようにセットできるプログラム可能な乾燥機中に硬化サイクルが終了する前の少なくとも2時間置いた。金型を開いた後、ポリマーシートをダイアモンドブレードソーを用いて2インチ(5.1cm)角の試験片に断裁した。
方法IIでは、ホトクロミックナフトピランを、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)組成物から調製した方形の試験重合体中に浸透させた。試験片の寸法を1/8インチ(0.3cm)×2インチ(5.1cm)×2インチ(5.lcm)とした。浸漬工程では、ホトクロミックナフトピランをエチルセルロース:トルエンの1:9混合物に溶解して10重量%の溶液を調製した。次いで溶液を方形試験片にスピンコートし、乾燥した。次に試料を135〜155℃の熱風乾燥機中で、ホトクロミックが方形試験体中に熱移動するに十分な時間加熱した。方形試験片を乾燥機中に保持する時間は、ナフトピラン化合物がかなりの量浸透するように調節した。これは、近紫外での化合物のλmaxでの紫外吸収がかなりの量になるようにするためである。塗布後、エチルセルロース/トルエン樹脂フィルムをアセトンで洗浄して方形試験片から取り除いた。
【0092】
パートB
方形のホトクロミック試験片のホトクロミック応答速度を光学装置台上で試験した。光学装置台上で試験するに先だって、ホトクロミック化合物を活性化させるために方形のホトクロミック試験片を約15分間365nmの紫外線に曝し、それからホトクロミック化合物を漂白または不活性化するために約15分間76度の乾燥機中に置いた。それから方形試験片を室温に冷却し、蛍光室の光に少なくとも2時間暴露して、次に75°F(23.9℃)に保持した光学装置台上で試験するに先だって少なくとも2時間カバーをかけておいた。光学装置台に150ワットキセノンアークランプ、リモートコントロールシャッター、アークランプ用熱浴として作用する硫酸銅浴、短波長放射を除去するスコット(Schott)WG-320nmカットオフフィルター、中密度フィルターおよび方形試験片を挿入するためのサンプルホルダーを取り付けた。タングステンランプからの光を集光した光線を試験片に対して垂直な小さい角度で試験片に当てた。タングステンランプからの光は、試験片に当てた後、検出器に取り付けたホトピック(photopic)フィルターに通した。ホトピックフィルターは検出器がひとの目の応答に類似するような波長を通過させる。検出器からの出力シグナルはラジオメータによって処理される。
光学密度(ΔOD)の変化は漂白状態にある方形試験片をサンプルホルダーに挿入し、透過率スケールを100%に調整し、方形試験片を漂白状態から活性化(即ち、暗くした)状態に変化するために紫外線を放射するキセノンランプのシャッターを開き、活性化状態で透過率を測定し、式ΔOD=log(100/%Ta)にしたがって光学密度の変化を計算する。ここで%Taは活性化状態のパーセント透過率であり、対数は底が10である。
紫外線に対するホトクロミック化合物の応答感度を表すΔOD/Minは紫外線に暴露した最初の5秒間にわたって測定し、それから分ベースで表した。飽和光学密度(OD)は、紫外線暴露を表1の試料に対して20分間継続した以外はΔOD/Minと同一条件で採った。表1で報告しているλmaxは可視スペクトルの波長であり、そこではジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)組成物中のホトクロミック化合物の活性化(色が発生している)形の最大吸収が生じている。漂白速度(T1/2)は、方形試験片中のナフトピランの活性化形の吸収が活性化光源を除いた後、室温(75°F、23.9℃)での最大吸収の半分となるまでの時間を秒で表したものである。実施例の化合物についての結果を表1に示している。
【0093】
【表1】

【0094】
*の方形試験片は方法IIによって調製した。
それ以外は方法Iによって調製した。
【0095】
表1は、漂白速度、飽和でのΔODおよび感度の値の範囲が本発明の実施例1〜8の化合物では置換基R1、R2、R3、およびBおよびB'の性質に依存していることを示している。
【0096】
本発明は特定の実施態様のものについて記載してきたが、このような詳細は発明の範囲を限定することを意図したものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式で表されるナフトピラン化合物:
【化1】

上式において、R、R、R、B、B’およびnは下記の意義を有する。
(a)Rは−C(O)Wを示し、Wは−ORもしくは−N(R)Rを示し、Rは水素原子、アリル、C−Cアルキル、フェニル、モノ(C−C)アルキル置換フェニル、モノ(C−C)アルコキシ−置換フェニル、フェニル(C−C)アルキル、モノ(C−C)アルキル置換フェニル(C−C)アルキル、モノ(C−C)アルコキシ置換フェニル(C−C)アルキル、C−Cアルコキシ(C−C)アルキルまたはC−Cハロアルキルを示し、RおよびRの各々は水素原子、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニルおよびモノ−もしくはジ−置換フェニルから成る群から選択される基を示す。フェニル基置換基はC−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択され、また、ハロ置換基は塩素原子またはフッ素原子である。
(b)RおよびRの各々は水素原子、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、置換もしくは非置換フェニル、−ORを示し、Rは水素原子、C−Cアルキル、フェニル(C−C)アルキル、モノ(C−C)アルキル置換フェニル(C−C)アルキル、モノ(C−C)アルコキシ置換フェニル(C−C)アルキル、C−Cアルコキシ(C−C)アルキル、C−Cシクロアルキル、モノ(C−C)アルキル置換C−Cシクロアルキル、C−Cハロアルキル、アリルまたは−CH(R)Xを示し、Xは−CN、−CF、ハロゲン原子もしくは−C(O)Wを示し、Rは水素原子もしくはC−Cアルキルを示す。または、Rは−C(O)Yを示し、Yは水素原子、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、置換もしくは非置換アリール(フェニルもしくはナフチル)、フェノキシ、C−Cモノ−もしくはジ−アルキル置換フェノキシ、C−Cモノ−もしくはジ−アルコキシ置換フェノキシ、C−Cアルキルアミノ、フェニルアミノ、C−Cモノ−もしくはジ−アルキル置換フェニルアミノまたはC−Cモノ−もしくはジ−アルコキシ置換フェニルアミノを示し、フェニル置換基およびナフチル置換基の各々はC−CアルキルまたはC−Cアルコキシから選択され、ハロゲン原子もしくはハロ置換基は塩素原子もしくはフッ素原子であり、nは0、1、2および3から選択される数を示す。
(c)Bは非置換、あるいはモノ−、ジ−もしくはトリ−置換されたアリール基(フェニルおよびナフチル)であり、アリール置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン原子、アミノ、C−Cモノアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、インドリニル、1−イミダゾリジル、2−イミダゾリン−1−イル、2−ピラゾリジル、ピラゾリニル、1−ピペラジニルおよびピロリジルから成る群から選択され、ハロゲン原子はフッ素原子もしくは塩素原子である。
(d)B’は下記の(i)〜(iii)から成る群から選択される。
(i)モノ−置換アリール基(フェニルおよびナフチル)。アリール置換基はアミノ、C−Cモノアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、インドリニル、1−イミダゾリジル、2−イミダゾリン−1−イル、2−ピラゾリジル、ピラゾリニル、1−ピペラジニルおよびピロリジルから成る群から選択される。
(ii)次式で表される基:
【化2】


式中、Uは水素原子もしくはC−Cアルキルであり、Vは非置換あるいはモノ−もしくはジ−置換されたナフチル、フェニル、フラニルおよびチエニルから成る群から選択される基であり、該基の各々の置換基はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フッ素原子もしくは塩素原子である。
(iii)次式で表される基:
【化3】


式中、MはCH、O、SもしくはN−R14であり、R14は水素原子、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル並びにモノ−およびジ−置換フェニルから成る群から選択され、フェニル置換基はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、塩素原子およびフッ素原子から選択され、RはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、塩素原子もしくはフッ素原子であり、aは0、1、2、および3から選択される数を示す。
(e)BおよびB’は一体となって非置換、モノ−置換もしくはジ−置換のフルオレン−9−イリデンを形成してもよく、あるいは下記の群から選択される環を形成してもよい:飽和C−C12スピロ−単環状炭化水素環、飽和C−C12スピロ−二環状炭化水素環および飽和C−C12スピロ−三環状炭化水素環。但し、上記の二環状および三環状炭化水素環にはアダマンチリデン、ボルニリデンおよびノルボルニリデンは含まれない。フルオレン−9−イリデン置換基はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フッ素原子および塩素原子から成る群から選択される。
(f)BおよびB’の各々は上記の(d)(ii)および(d)(iii)で定義される基から選択される。
【請求項2】
、R、R、BおよびB’が下記の意義を有する請求項1記載のナフトピラン:
(a)Rは−C(O)Wを示し、Wは−ORもしくは−N(R)Rを示し、Rは水素原子、C−Cアルキル、フェニル、モノ(C−C)アルキル置換フェニル、モノ(C−C)アルコキシ置換フェニル、フェニル(C−C)アルキル、モノ(C−C)アルキル置換フェニル(C−C)アルキル、モノ(C−C)アルコキシ置換フェニル(C−C)アルキル、モノ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルまたはC−Cハロアルキルを示し、RおよびRの各々は水素原子、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニルおよびモノ−もしくはジ−置換フェニルから成る群から選択される基を示す。
フェニル置換基はC−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択され、また、ハロ置換基は塩素原子またはフッ素原子である。
(b)RおよびRの各々は水素原子、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、置換もしくは非置換フェニル、または−ORを示し、Rは水素原子、C−Cアルキルまたは−CH(R)Xを示し、Xは−CNまたは−C(O)Wを示しRは水素原子またはメチルを示す。あるいはRは−C(O)Yを示し、YはC−CアルキルまたはC−Cアルコキシを示す。フェニル置換基はC−CアルキルまたはC−Cアルコキシを示し、nは0または1の数を示す。
(c)Bは非置換またはモノ−もしくはジ−置換フェニルであり、フェニル置換基はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン原子、アミノ、C−Cモノアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、インドリニルおよびピロリジルから成る群から選択され、ハロゲン原子はフッ素原子もしくは塩素原子である。
(d)B’は下記の(i)〜(iii)から成る群から選択される。
(i)モノ−置換フェニル。フェニル置換基はアミノ、C−Cモノアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、インドリニルおよびピロリジルから成る群から選択される。
(ii)次式で表される基。
【化4】


式中、Uは水素原子もしくはメチルであってもよく、Vはフェニルもしくはモノ−置換フェニルであり、フェニル置換基はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フッ素原子もしくは塩基原子である。
(iii)次式で表される基:
【化5】


式中、MはCH、OもしくはN−R14であり、R14は水素原子、C−Cアルキル、フェニルおよびモノ−置換フェニルから成る群から選択され、フェニル置換基はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、塩素原子およびフッ素原子から選択され、RはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、塩素原子もしくはフッ素原子であり、aは0、1および2から選択される。
(e)BおよびB’は一体となって非置換もしくはモノ−置換フルオレン−9−イリデンを形成してもよく、あるいは飽和C−Cスピロ−単環状炭化水素環、飽和C−C10スピロ−二環状炭化水素環および飽和C−C10スピロ−三環状炭化水素環から成る群から選択される環を形成してもよく、該フルオレン−9−イリデンの置換基はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フッ素原子および塩素原子から成る群から選択される。
【請求項3】
(a)Rが−C(O)W基であって、Wが−ORあるいは−N(R)Rであって、Rが水素原子、C−Cアルキル、フェニル、モノ(C−C)アルキル置換フェニル、モノ(C−C)アルコキシ置換フェニル、モノ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルあるいはC−Cハロアルキルであって、RおよびRはそれぞれ、水素原子、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニルおよびモノ置換フェニルからなる群から選択され、該フェニル置換基は、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから選択され、該ハロ置換基はフッ素原子であり、
(b)RおよびRはそれぞれ、水素原子、C−Cアルキル、フェニル、および−ORからなる群から選択され、Rは水素原子あるいはC−Cアルキルであり、あるいは、Rは−C(O)Y基であり、YはC−CアルキルあるいはC−Cアルコキシであり、nは整数0および1から選択され、
(c)Bは未置換フェニル、モノ置換フェニルおよびジ置換フェニルからなる群から選択され、該フェニル置換基はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フッ素原子、アミノ、C−Cモノアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、モルホリノおよびピペリジノからなる群から選択され、
(d)B’は、以下の(i)および(ii)からなる群から選択され、
(i) モノ置換フェニル(該フェニル置換基は、アミノ、C−Cモノアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、モルホリノおよびピペリジノからなる群から選択されたフェニル置換基)、
(ii)下記の化学式によって表される基
【化6】


(ここで、MはCH、0あるいはN−R14であって、R14は水素原子、C−Cアルキルあるいはフェニルであり、RはC−Cアルキル、C−Cアルコキシおよびフッ素原子からなる群から選択され、aは整数0、1および2から選択される)、あるいは、
(e)BおよびB’は一体となってフルオレン−9−イリデンあるいはビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イリデンを形成する、
請求項2に記載のナフトピラン。
【請求項4】
が−C(O)W基であり、Wが−ORあるいは−N(R)Rであり、Rが水素原子あるいはC−Cアルキル、RおよびRはそれぞれ水素原子、C−Cアルキルあるいはフェニルであり、RおよびRはそれぞれ水素原子あるいはC−Cアルキルであり、Bは未置換フェニル、モノ置換フェニルあるいはジ置換フェニルであり、該フェニル置換基はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フッ素原子、C−Cモノアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、モルホリノあるいはピペリジノであり、B’はモノ置換フェニル、9−エチルカルバゾリルあるいは9−フェニルカルバゾリルであり、該フェニル置換基はC−Cモノアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、モリホリノあるいはピペリジノである、請求項3に記載のナフトピラン。
【請求項5】
(a)2−(4−モリホリノフェニル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−ヒドロキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、
(b)2−(4−モリホリノフェニル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−メトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、
(c)2−(4−モリホリノフェニル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−アセトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、
(d)2−(9−エチルカルバゾール−2−イル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−アセトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、
(e)2−(9−フェニルカルバゾール−2−イル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−アセトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、
(f)2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−アセトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、
(g)2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−フェニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、および
(h)2,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−5−メトキシカルボニル−6−アセトキシ−2H−ナフト[1,2−b]ピラン、
からなる群から選択される、ナフトピラン化合物。
【請求項6】
ポリマー有機ホスト材料および光互変量の請求項1に記載のナフトピラン化合物を含有するフォトクロミック物品。
【請求項7】
ポリマー有機ホスト材料が、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(C−C12アルキルメタクリレート)、ポリオキシ(アルキレンメタクリレート)、ポリ(アルコキシル化フェノールメタクリレート)、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、熱可塑性ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(アルファメチルスチレン)、コポリ(スチレン−メチルメタクリレート)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、ポリビニルブチラールおよびポリオ−ル(アリルカルボネート)モノマー、多官能アクリレートモノマー、多官能メタクリレートモノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマー、アルコキシル化多価アルコールアクリレートモノマーおよびジアリリデンペンタエリスリトールモノマーからなる群の要素のポリマーからなる群から選択される、請求項6に記載のフォトクロミック物品。
【請求項8】
ポリマー有機ホスト材料および光互変量の請求項2に記載のナフトピラン化合物を含有するフォトクロミック物品。
【請求項9】
ポリマー有機ホスト材料が、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(C−C12アルキルメタクリレート)、ポリオキシ(アルキレンメタクリレート)、ポリ(アルコキシル化フェノールメタクリレート)、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、熱可塑性ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(アルファメチルスチレン)、コポリ(スチレン−メチルメタクリレート)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、ポリビニルブチラールおよびポリオール(アリルカルボネート)モノマー、多官能アクリレートモノマー、多官能メタクリレートモノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマー、アルコキシル化された多価アルコールアクリレートモノマーおよびジアリリデンペンタエリスリトールモノマーからなる群の要素のポリマーからなる群から選択される、請求項8に記載のフォトクロミック物品。
【請求項10】
ポリマー有機ホスト材料が、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコールビスメタクリレート)、ポリ(エトキシル化されたビスフェノールAジメタクリレート)、熱可塑性ポリカーボネート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、およびジエチレングリコールビス(アリルカルボネート)モノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマーおよびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーからなる群の要素のポリマーから選択される固体状透明ホモポリマーあるいはコポリマーである、請求項9に記載のフォトクロミック物品。
【請求項11】
フォトクロミック物質が混合もしくは塗布される有機ホスト材料表面の1平方センチメートルあたり約0.05から1.0ミリグラムの量のフォトクロミック化合物が存在する、請求項10に記載のフォトクロミック物品。
【請求項12】
物品がレンズである請求項11に記載のフォトクロミック物品。
【請求項13】
光互変量の請求項3に記載のナフトピラン化合物並びにポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコールビスメタクリレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート)、熱可塑性ポリカーボネート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、およびジエチレングリコールビス(アリルカルボネート)モノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマーおよびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーからなる群の要素のポリマーからなる群から選択されるポリマー有機ホスト材料を含有するフォトクロミック物品。
【請求項14】
光互変量の請求項4に記載のナフトピラン化合物並びにポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコールビスメタクリレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート)、熱可塑性ポリカーボネート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、およびジエチレングリコールビス(アリルカルボネート)モノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマーおよびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーからなる群の要素のポリマーからなる群から選択されるポリマー有機ホスト材料を含有するフォトクロミック物品。
【請求項15】
固体状透明ポリマー有機ホスト材料並びに光互変量の(a)請求項1に記載の少なくとも1種のナフトピラン化合物および(b)約400〜700ナノメートルの範囲内において少なくとも1つの活性化吸収極大を有する少なくとも1種のほかの有機フォトクロミック化合物を含有するフォトクロミック物品。
【請求項16】
ポリマー有機ホスト材料が、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(C−C12アルキルメタクリレート)、ポリオキシ(アルキレンメタクリレート)、ポリ(アルコキシル化フェノールメタクリレート)、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、熱可塑性ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(アルファメチルスチレン)、コポリ(スチレン−メチルメタクリレート)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、ポリビニルブチラールおよびポリオール(アリルカルボネート)モノマー、多官能アクリレートモノマー、多官能メタクリレートモノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマー、アルコキシル化多価アルコールアクリレートモノマーおよびジアリリデンペンタエリスリトールモノマーからなる群の要素のポリマーからなる群から選択される、請求項15に記載のフォトクロミック物品。
【請求項17】
前記有機フォトクロミック化合物(b)が、
(a)400と500ナノメートル以下の間の可視領域内において少なくとも1つの吸収極大を有する有機フォトクロミック物質、
(b)約400と500ナノメートルとの間の可視領域内における吸収極大と500と700ナノメートルとの間の可視領域内における吸収極大とを有する有機フォトクロミック物質、
(c)570ナノメートルを超える可視領域において活性化吸収極大を有する有機フォトクロミック物質、および
(d)該有機フォトクロミック物質の混合物からなる群から選択される、請求項15に記載のフォトクロミック物品。
【請求項18】
有機フォトクロミック化合物(b)が570ナノメートルを超える可視領域において活性化吸収極大を有する有機フォトクロミック物質である、請求項17に記載のフォトクロミック物品。
【請求項19】
ポリマー有機ホスト材料が、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコールビスメタクリレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート)、熱可塑性ポリカーボネート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、およびジエチレングリコールビス(アリルカルボネート)モノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマーおよびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーからなる群の要素のポリマーから選択される固体状透明ホモポリマーあるいはコポリマーである、請求項16に記載のポリマー有機ホスト材料。
【請求項20】
有機フォトクロミック化合物(b)が、スピロ(インドリン)ナフトキサジン、スピロ(インドリン)−ピリドベンゾキサジン、スピロ(ベンズインドリン)−ピリドベンゾキサジン、スピロ(ベンズインドリン)−ナフトキサジン、スピロ(ベンズインドリン)−ナフトピラン、スピロ(インドリン)−ベンゾキサジン、スピロ(インドリン)−ベンゾピラン、スピロ(インドリン)−ナフトピラン、スピロ(インドリン)−キノピラン、スピロ(インドリン)ピラン、3H−ナフト[2,1−b]ピラン、2H−フェナントロ[4,3−b]ピラン、3H−フェナントロ[1,2−b]ピラン、ベンゾピラン化合物およびこれらの該フォトクロミック物質の混合物からなる群から選択される、請求項17に記載のフォトクロミック物品。

【公開番号】特開2010−1297(P2010−1297A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179098(P2009−179098)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【分割の表示】特願平11−502317の分割
【原出願日】平成9年6月4日(1997.6.4)
【出願人】(500189713)トランジションズ・オプティカル・インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】