説明

美白剤

【課題】 本発明は安全かつ美白効果に優れた内用剤および外用剤を提供しようとするものである。
【解決手段】 ガックを用いた美白剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美白効果を持つガックを含有する美白剤に関する。
【背景技術】
【0002】
東南アジア原産のウリ科植物であるガック(和名:ナンバンカラスウリ)は、その種衣の色に注目され長い間着色料として使用されてきた。しかしながら近年の研究により、ガックはその種衣部分にリコペンを豊富に含有することが明らかになった。
【0003】
現在までにリコペンは糖尿病の進行を抑制する効果や、肝臓ガンへの抗ガン作用などを持つことが明らかになっており、リコペンを豊富に含むガックにも同様の効果が期待されている。
【非特許文献1】日経ヘルス2006年8月号p.129−133 構成・取材・文:パラダイス・ロスト、高岡昌江発売日:2006年7月1日、出版社:日経BP社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は安全かつ美白効果に優れた内用剤および外用剤を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はガックを用いた美白剤に関するものであり、好ましくはガック種衣を用いる美白剤であり、更に好ましくはガック種衣の溶媒抽出物を用いる美白剤に関する。また本発明は美白効果がチロシナーゼ阻害効果によるものであり、上記の美白剤を含有することを特徴とする内用剤および外用剤に関する。
【発明の効果】
【0006】
今回ガックの更なる有効利用を目的とし鋭意研究を行ったところ、本発明者らはガック種衣の抽出物が、これまで有効成分と考えられてきたリコペンよりも高い美白効果を有することを見出した。
【0007】
本発明によると、ガック内の美白効果を有する成分としてリコペン以外の成分の存在が明らかになり、通常考えられていた美白効果を上回る効果を持つ美白剤を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記実施形態の記載により限定して解釈するべきでなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0009】
本発明で用いられるガックの産地については特に制限はなく、適宜入手が可能なものを使用することが出来る。
【0010】
本発明の美白剤はその形状、剤型などを制限されず、適宜化粧品などのような外用剤、食品および飲料などの内用剤としても提供することが可能である。
【0011】
本発明において、美白効果を発揮させるためのガックの形状としては特に制限はないが、好ましくは摂取量を少なくし効果を発揮させるためにガック種衣の抽出物を用いるのが望ましい。
【0012】
本発明で用いられるガックの種衣は、ガック果実の種を覆う赤色の果肉部分である。
【0013】
本発明でガック種衣から有効成分を抽出するために用いられる抽出溶媒としては、繊維から色素成分を抽出出来るものであれば特段の制限はないが、好ましくはエタノール、アセトンを用いて行うのが望ましい。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0015】
ガックの果実を割り開き、種子を取り囲む赤い種衣部分を種子と取り分ける。該種衣部分をミキサーにて粉砕、篩過しガック種衣部の原液(以下「ガック種衣エキス」という)を得る。
【0016】
ガック種衣エキス150mlに対しエタノール300mlを添加した後、綿栓濾過にて抽出を行う。ガック種衣エキスに適宜溶媒を添加しながらガック種衣抽出エキスの回収を行う。ガック種衣エキスに含まれる繊維層の脱色の度合いを見ながら、適宜溶媒の追加および溶媒の変更を行う。本実施例においては、抽出溶媒をエタノールからアセトンへ変更し繊維層が白色になるまで抽出を行った。
【0017】
得られたガック種衣抽出エキスを全て集め、減圧溶媒留去法にて乾燥させガック種衣抽出エキス乾燥物を得る。
【0018】
(実施例:チロシナーゼ阻害活性試験)
本発明の美白効果を、以下の方法でチロシナーゼの阻害活性をみることにより評価した。
【0019】
(サンプル溶液群の調製)
10%エタノール/水を用いて、ガック種衣抽出エキス乾燥物をその濃度が0.333mg/ml、0.1mg/ml、0.033mg/ml、0.01mg/ml、0.003mg/mlとなるように希釈を行い、それぞれをサンプル溶液群とした。
【0020】
(比較例群;リコペンの調製)
10%エタノール/水を用いて、標品リコペン(和光純薬工業製)をその濃度が0.333mg/ml、0.1mg/ml、0.033mg/ml、0.01mg/ml、0.003mg/mlとなるように希釈を行い、それぞれを比較例群とした。
【0021】
(酵素溶液の調製)
チロシナーゼ(マッシュルーム由来、シグマ社製)を1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて550U/mlとなるように調製し、酵素溶液とした。
【0022】
(基質溶液の調製)
L−DOPA溶液(シグマ社製)を1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて0.03%となるように調製し、基質溶液とした。
【0023】
(被験溶液の調製)
96ウェルプレートにサンプル溶液群、比較例群を100μl/wellで添加を行った。その後酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに基質溶液を100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、480nmにおける吸光度を分光光度計で測定した。
【0024】
(被験溶液blankの調製)
96ウェルプレートにサンプル溶液群、比較例群を100μl/wellで添加を行った。その後、酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液に代えて1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、480nmにおける吸光度を分光光度計で測定した。
【0025】
(対照溶液の調製)
96ウェルプレートに10%エタノール/水を100μl/wellで添加を行った。その後、酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液を100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、480nmにおける吸光度を分光光度計で測定した。
【0026】
(対照溶液blankの調製)
96ウェルプレートに10%エタノール/水を100μl/wellで添加を行った。その後、酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、480nmにおける吸光度を分光光度計で測定した。
【0027】
(チロシナーゼ活性の測定)
チロシナーゼ阻害活性は次の式から求められる阻害率で表した。
阻害率(%)={100−[(A−B)/(C−D)]×100}
A:被験溶液の480nmにおける吸光度。
B:被験溶液blankの480nmにおける吸光度。
C:対照溶液の480nmにおける吸光度。
D:対照溶液blankの480nmにおける吸光度。
上記の計算方法でチロシナーゼ活性阻害率を求めた。結果を表1に示す。
【表1】

【0028】
表1に示す結果のように、ガック種衣抽出エキス末は通常ガックの有効成分と考えられてきたリコペンと異なり、用量依存的にチロシナーゼ阻害を示すことが明らかになった。
【0029】
このことから、通常ガックの有効成分と考えられてきたリコペン以外に美白効果を示す成分をガックが有することが明らかになり、ガックが非常に有用な美白効果を有する素材であることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の美白剤は、ガック中のチロシナーゼ阻害活性を示す成分を含有し、内用および外用により美白効果を発揮し得る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガックを用いた美白剤。
【請求項2】
ガック種衣を用いる請求項1に記載の美白剤。
【請求項3】
ガック種衣の溶媒抽出物を用いる請求項1および2に記載の美白剤。
【請求項4】
美白効果がチロシナーゼ阻害効果による請求項1から3に記載の美白剤。
【請求項5】
請求項1から4に記載の美白剤を含有することを特徴とする内用剤および外用剤。


【公開番号】特開2009−40691(P2009−40691A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204649(P2007−204649)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】