説明

耐アルカリ性ガラス組成物

オートクレーブ中でのセメント系製品の硬化のような、高温の高アルカリ環境に耐えるように、改善された耐久性がある耐アルカリ性ガラス組成物が、経済的かつ豊富な原料から、都合よく形成される。ガラス組成物は他の耐アルカリ性ガラス製品に比べて高濃度のカルシウム及び鉄と、比較的低濃度のアルカリ金属を含み、本質的にWt比で35%以上のSi23、1〜25%のCaO、1〜15%のFe23、1〜10%のR2O、及びSiO2:Al23の比が1より大になるような量のAl23を含む。耐アルカリ性は塩基性の環境で熱水的に製品を処理することによりガラス製品の表面に不動態層を形成することで改善される。耐アルカリ性をさらに改善するために組成物に、追加的にジルコニア及び/又はチタニアを添加してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2005年2月24日に「耐アルカリ性ガラス組成物」の名称で出願された米国特許仮出願番号60/656,579についての35U.S.C.§119(e)に基づく優先権を主張し、該仮出願の記載の全てを参照としてここに組み込む。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、一般にガラス組成物の分野、そしてより詳しくは充填剤及び修飾剤として適切な耐アルカリ性ガラス組成物に関連する。
【背景技術】
【0003】
ガラス繊維を導入することにより、セメント系製品及び様々なポリマーのような多くの材料の機械的性質を改良することはよく知られている。特に、ガラス繊維は複合されたセメント系もしくはポリマー製品の引っ張り強度を改善する。同様に、膨張したガラスの微小粒子はセメント系及びポリマーの複合材料の密度を低くするために用いられる。このような微小粒子は他の有益な効果、例えば水分移動や熱移動の減少、断熱値の改善又は加工性の改善といった効果をも有している。しかし、強アルカリの環境においては、ケイ酸塩ガラスは急速な腐食攻撃を受ける。この現象により、硬化中に強いアルカリ性を示すコンクリートの強化にガラスを用いることは非常に限られてきた。例えば、ポルトランドセメントを水和する間、水酸化カルシウムが反応副産物として形成される。加えて、アルカリ金属不純物は水酸化物の形態で可溶化している。
【0004】
いくつかの試みが、セメント環境下でのアルカリによる攻撃を遅らせるためになされてきた。ある試みにおいては、ガラスをポリマーで被覆したところ、腐食攻撃からガラスを保護するのには多少有効ではあるものの、周囲のセメント材料との機械的な接合が弱くなるという結果になる。
【0005】
もう1つの試みは、化学的組成を変えることでよりアルカリ耐性の優れたガラス(ARガラス)を開発することである。一般的に市販されているガラス組成物でこの目的に使用されてきたものとしては、E−ガラス(通常基本的に、SiO254%、Al23・0.3Fe2314%、CaO17.5%、MgO4.5%、B2310%からなる)及びC−ガラス(基本的に、SiO265.6%、Al23・Fe234%、CaO14%、MgO3%、Na2O−K2O8%、B235.5%及びK2O0.5%からなる)が挙げられる(Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 2nd Edition, Volume 10, 1966)。しかし、これらのガラスは高レベルのpHにおいてアルカリによる溶解を受けやすく、それ故に、多くのセメント系組成物における添加剤としては適切でない。したがって、材料強化用添加剤としてのこれらの使用は主として活性の低いポリマーに限られる。
【0006】
現在のところ、耐アルカリ性ガラスは耐火性酸化物、例えば、ジルコニア及びチタニアを添加することにより製造されている。ある一群の耐アルカリ性ガラスは、かなりの量のジルコニア(ZrO2)を含有する。耐アルカリ性ジルコニア(ZAR)ガラス組成物は、一般に高ジルコニア含有であり、多くの場合15〜20Wt%、又はそれ以上である。このような市販のガラスの一例としては、スペイン国、Alcala de Henares在のVetrotex Cem−Fil S.L.社より商品名CEM−FIL(登録商標)で販売されている、セメント強化繊維として使用されるものがある。しかし、ジルコニアの添加はガラス組成物の溶融温度を上昇させ、加工費を大幅に増大させる。ZrO2の負の効果を弱めるために、通常アルカリ酸化物が添加され、溶融温度をより実用的なレベルに下げている。多くの場合、10Wt%以上のアルカリ酸化物が添加され、ジルコニアシリケート系の溶融温度をより実用的なレベルに下げている。
【0007】
高アルカリ環境におけるZARガラスの性能の良さは、Zr−O−Zr種の溶解度が比較的低いことによると信じられている。使用目的によっては、ガラスの耐久力をさらに改善するためにチタニアが加えられることもある。しかしながら、チタニアの添加は、例えば溶融温度の上昇による加工費を増大させ、さらに結晶化(divitrification)へのガラスの感受性を増大させる。それ故に、チタニアの添加は有利な点もあるけれども、それに伴う代償も材料及び加工の点から見て存在する。
【0008】
市販のZARガラスは繊維セメント製品に使用して成功を収めている例があるが、ジルコニア及びチタニアは他のガラス原料に比べて費用の面で非常に高価であるので、このタイプのガラスのセメント工業における広範な使用は原料コストのために不可能であった。その上、高価なZARガラスでさえも、水和しているセメントのような非常に強いアルカリ溶液環境では腐食ダメージを受ける。
【0009】
実験の示すところでは、ZARガラスは他のタイプのガラスと比較して耐食性が改善されているものの、温度が上がるほどにガラスに対するアルカリ溶液の腐食作用はひどくなっていた。アルカリ環境下でガラス組成物を使用する耐久力加速試験の多くは、100℃付近もしくより低い温度、例えば90℃で、強いアルカリ溶液中で行われる。例えば、ASTM C 1203−91では、10Wt%NaOH水溶液中でのWt損失量によってセラミック−ガラスエナメルの耐アルカリ性を定量する試験方法が指示されている。試験時間は2時間であり、温度は95℃である。国際規格試験ISO 695−1991及びDIN 52322では、いずれも、温度102.5℃で3時間、等容量の1MNaOHと0.5MNa2CO3の混合液を用いる。
【0010】
しかし、あるセメント系製品の急速な硬化は100℃を大きく超える温度である。実際に、高性能の繊維セメント製品の硬化温度は熱水条件下では180℃同等かそれより高温である。ここで注意しなければならないのは、強いアルカリ溶液中では、腐食攻撃速度は一般に温度が10°K上昇するごとに2倍になるということである。
【0011】
過酷な硬化条件は、通常はグリーンセメント製品をオートクレーブ中で硬化させる場合に受けるものであり、セメント含有物は通常pH12.5〜14のレベルで、温度が180℃以上の高温に曝される。このような侵食性のアルカリ環境では、ガラス状物質は、高温のセメント系材料中で過度の溶解に耐えるよう、より高い化学的耐久性を有してしなければならない。溶解が起きることは、単にガラス状物質が含有物を形成する複合材料の機械的完全性を低下させるだけでなく、ガラス状物質のすぐ近傍のセメント系領域の化学的性質を変化させてしまうので望ましくない。こうした結果はいずれもセメント系複合材料の品質を低下させるものである。
【0012】
さらに、ポリマー原料もガラス繊維又はガラス網で強化されてアルカリ環境に曝されることが知られている。ポリマー自体は腐食攻撃に耐えるものの、埋め込まれたガラス原料はやはり腐食攻撃を受けやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、アルカリ環境に限らず、塩基性の環境の腐食作用に対して高度の耐性をもつ改良されたガラスの必要性はなおも残っている。さらに、100℃を超えて高温のアルカリ環境に対しても高度の耐性をもつ改良されたガラスに対する要求がある。さらに、セメント及びポリマーを強化するのに通常用いられる繊維の量はかなり多く、重量基準でセメント又はポリマーの複合材料の20%又はそれ以上に達することさえある。それ故に、セメント又はポリマーに用いられるために製造されるガラスの繊維又は材料を経済的に製造することは非常に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ここに記載されている実施形態は、高温条件下でも優れた耐アルカリ特性を示す新規なガラス組成物を提供する。意外なことに、高濃度のアルカリ土類金属酸化物及び鉄酸化物を含んだ組成物は、アルカリ金属酸化物を低濃度に保った状態において、高いpHレベルにおける非常に優れた耐アルカリ性を高温下でも示す。その上、この組成物に使用される原料は入手が容易であり、したがってこの組成物は典型的なZARガラスに比べてはるかに経済的に製造することができる。
【0015】
一実施形態では、耐アルカリ性ガラスは本質的にWt%で次のような成分からなる:
【0016】
【表1】

【0017】
この耐アルカリ性ガラスは、CaOとFe23の組み合わせ量を約10Wt%以上、好ましくは約20Wt%より多く、また、ある実施形態では約30Wt%より多くすることにより形成されうる。さらに、ある実施形態ではSiO2とAl23の組み合わせを約35〜90Wt%含む。時には、耐アルカリ性ガラスはさらに15Wt%までのZrO2とTiO2の組み合わせをさらに含んでもよい。時には、ある実施形態では、CaOは部分的にあるいは完全にMgOで置換されていてもよい。最後に、ある好ましい実施形態においては、CaO:R2Oの比は1より大である。
【0018】
この耐アルカリ性ガラスから繊維、中空球、中実球、又は他の形状、及びそれらの凝集体を形成することができる。この耐アルカリ性ガラスは発泡させてもよい。この耐アルカリ性ガラスは他のポリマー、セラミック又は無機物の原料と組み合わせて複合材料粒子又は繊維を構成してもよい。ある好ましい実施形態では、不動態層がガラスの表面上に形成される。不動態層は塩基性の環境下で熱水処理により形成してもよい。ある実施形態では、塩基性の環境は高pHの環境であり、そこでのpHは8、9、10、11、12、12.5又は13より大きくてよい。他の実施形態では塩基性の環境は、水酸化カルシウム溶液、セメントペースト又はスラリー、水和セメント中に見出される間隙水、水を含んだセメント系材料からなるか、又はアルカリ金属の水酸化物を含んでいてもよい。ある実施形態では、高温熱水処理は約100℃〜250℃の温度で行われる。
【0019】
ある好ましい実施形態では、不動態層は鉄及び酸化カルシウムに富んでおり、又は酸化マグネシウムあるいはそれらの組み合わせに富んでいる。不動態層は、ガラスの表面上又は付近に形成された連続層又は不連続層のいずれでもよい。他の実施形態では、不動態層は表面層であり、本質的に固体である。
【0020】
他の実施形態によれば、セメント建築用シートを改質したセメント系複合材料製品は、Wt%で次のような成分からなるガラスの添加材料を有する:
【0021】
【表2】

【0022】
ある好ましい実施形態では、Al23含有量は1%より多く、より好ましくは4%より多く、ある実施形態では7%より多い。ある好ましい実施形態では、鉄酸化物含有量のFe23換算で表した総量は1%より多く、より好ましくは3%より多く、より好ましくは6%より多く、最も好ましくは10%より多い。従来の説とは違って、本発明者らは、ガラスに耐久性と耐アルカリ性を持たせるためには組成物中のアルカリ金属酸化物(R2O)の含有量を必ずしも低く抑える必要がないことを見出した。ある実施形態では、アルカリ金属酸化物の含有量は1%より多く、より好ましくは2%より多く、最も好ましくは4%より多い。改質されたセメント建築用シートのある好ましい実施形態によれば、ガラス改質材料は繊維又は微小球(microsphere)である。
【0023】
さらに他の実施形態によれば、セメントを強化する方法は、以下の各工程を含む;
ポートランドセメントと水からなる混合物を供給する工程;
耐アルカリ性ガラス粒子(ガラス粒子は本質的にWt%で下記の成分からなる)をスラリー添加する工程;
【0024】
【表3】

【0025】
及びスラリーを混ぜてガラス粒子をスラリー全体に行き渡らせる工程(ここでガラス粒子は一旦硬化するとセメントに強さを与える)。
【0026】
他の実施形態は、ガラスの耐アルカリ特性を増大させる方法を開示する。この方法は次のようなことを含む:
本質的にWt%で次のような成分からなるガラス製品を提供すること;
【0027】
【表4】

【0028】
該ガラス製品を塩基性の環境に曝すことでその表面に不動態層を形成する処理をし、該ガラス製品の耐アルカリ性を改善すること。ある実施形態では、ガラスの処理工程が高温の熱水条件下で、例えば100℃を超える温度の水性環境下で行われる。他の実施形態では、ガラスの処理工程が低温の熱水条件下で、例えば約100℃未満で行われる。このガラス製品は球、繊維、又は他の所望の形状とすることができる。
【0029】
さらなる実施形態は、合成のほぼ球形の壁を含み、この壁は内表面と外表面とその間の厚み;球形壁の内部の少なくとも1つの空隙;及び球形壁の外側の不動態層を有する。この不動態層は、球形壁の外表面をほぼ覆うものであってよく、ある実施形態では球形壁の厚みより薄い厚みを有している。しかし、多くの好ましい実施形態では、不動態層の厚みは球形壁の厚みに対して約10%、又は5%、又は2%より薄い。この不動態層は、好ましくはpH約12〜14の塩基性の環境において化学的にほぼ不活性であり、したがって高pH環境下における球形壁の耐久力を増している。
【0030】
さらに他の実施形態では、ケイ酸塩ベースのガラスを含む耐アルカリ性ガラスが提供される。この耐アルカリ性ガラスは、さらにケイ酸塩ベースのガラス体の外表面に形成された不動態層を含む。ここでこの不動態層はガラス体の組成とは異なる組成を有する。この不動態層は好ましくはガラス体由来の材料を含む。この材料と、他の材料との組み合わせによってアルカリ環境下で化学的にほぼ不活性な不動態層が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
下記説明により、高温においても優れた耐アルカリ特性を有し、豊富で安価な原料から形成される、改良されたガラス組成物並びに製品について明らかにする。ここで記載されている特性を有するガラス製品は、有機ポリマーマトリックス又は無機バインダーマトリックス、あるいはここで記載されている利点が望まれる他のメディアのいずれかを含む複合材料中に組み入れることができる。この開示されたガラス製品は、繊維、粒子、複合材料凝集体、中身の詰まった又は中空の球、マイクロバルーン、あるいは特定用途のために望ましいと考えられる他のいかなる形状にも形成することができる。ここで開示された組成物は、また、セラミックマトリックス複合材料、金属マトリックス複合材料、ポリマー複合材料、セメント系複合材料、又は粘土ベースの複合材料の耐アルカリ性を改善する充填材料として用いることもできる。したがって、下記議論における、特定のガラス製品、例えば繊維又は球、又はガラスベースの複合材料又はガラスアロイ中の構成要素の使用はあくまで例示のためのものであって、その範囲に制限すると解釈されるべきではない。加えて、本明細書の下記の無機ベースの材料の例としては他のマトリックス原料、例えばセメント系バインダー、ジオポリマー、金属、及び粘土製品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。セメント系という用語は全てのタイプのセメントに適用することができ、例えばポルトランドセメント、ライムセメント、アルミナセメント、ソーレルセメント、ポゾランセメント、ジオポリマー系セメント、石膏、セメントペースト、乾燥セメント混合物、及び他の水硬性バインダーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
ここで開示された実施形態によれば、高濃度のアルカリの土類金属酸化物と鉄酸化物を有する一方、アルカリ金属酸化物が低濃度に維持されたガラス組成物が形成される。これらのタイプの組成物が高pHレベルと熱水条件の下で非常に優れた性能を示すことが見出された。
【0033】
水性環境におけるケイ酸塩ガラスの化学的耐久力はその組成に強く依存すると認められてきた。特に興味深いのは、ある酸化物、例えばAl23の役割であり、これは負に荷電した4面体の[AlO4-基を形成し、アルカリ金属イオン上の正荷電に平衡した負荷電を有している。したがって、このような酸化物の存在下ではアルカリイオンはガラス中に耐久力を減らすことなく組み入れることができる。耐久性のあるガラスを製造する際におけるB23とAl23の役割はこれで説明がつく。他の酸化物、例えばZrO2及びTiO2は、ガラスネットワーク中1対1ベースでSiO2を置換することができる。しかしながら、このメカニズムは耐食性全体におけるガラス構成要素の効果が他の構成要素の含有量に依存することを示している。例えば、過剰量のアルカリ酸化物がB23及びAl23に対して存在しない限り、後2者の酸化物は4面体配位よりもむしろ三角形又は8面体配位をすると想定され、この場合耐久力の改善に寄与することはない。
【0034】
アルカリ金属イオンとアルミノ−ケイ酸塩ネットワークのバランスの変化は、結晶性曹長石(NaAlSi38)について考慮することで理解できる。曹長石は開いたアルミノケイ酸塩ネットワークで、その中にSiとAlの双方が酸素で4重に配位され、三次元的に相互に結合したかご形に配列された4面体を形成している。この結晶性構造中の全ての酸素原子は、Si又はAlカチオンの双方の間を共有結合で「橋渡し」している。陰性の[AlO4-基は、酸素に富んだ場所を占めるNa+イオンによって電荷が補償される。同様の特徴がアルミノケイ酸塩ガラスにおいても期待される。
【0035】
Al23とNa2Oが等しい部で含むガラスにおいては、Na+カチオンは完全に重合した前者のネットワークの酸素に富んだ空洞を埋め、それによって負に荷電した[AlO4-基を固定しているものと説明できる。この場合は、イオン結合がナトリウムイオンと酸素の間に形成され、したがってガラスネットワークが開いている度合いが減り、そのためガラスネットワーク中にアルミナが維持される。
【0036】
全く正反対に、二成分ガラスでは、Na+カチオンが非架橋性酸素(NBO)を介してケイ酸塩ネットワークにつなぎ止められているため、ガラスネットワークが開いてしまい、これは化学的な耐久力にとっては非常に望ましくないことである。
【0037】
水和セメントのバルク中の水性媒質中で見られると予測される、約12.5〜14のpH範囲では、多くのガラスの主構成要素は耐久性がなく、可溶化しているとみられる。具体的に言うと、高pHレベルでは、シリカはケイ酸に変化し、アルミナは反応して水酸化アルミニウムを形成する。つまり、アルミナは中性あるいは弱塩基性の環境において有していたようなガラス耐久力での有益な効果は有さなくなる。
【0038】
同様の挙動は他の多くの一般的なガラス構成要素、例えばZnO、SnO2、PbO、P25、GeO2及び他の良く知られたガラス構成要素においても予測される。したがって、ガラス製造業者は歴史的に、セメント系複合材料中のガラス状物質は、典型的な耐火性酸化物、例えばシリカ、ジルコニア、チタニア及びアルミナを比較的高濃度とし、アルカリ酸化物を低濃度とすることでこれらの耐久力を改善する必要があると信じてきた。耐火性酸化物の量を増やせば、多くの一般的なガラス構成要素にはない耐アルカリが得られるが、耐火性酸化物を高濃度にすると、このタイプの耐アルカリ性ガラスのほとんどは比較的高価となり、そのためこれらを使用するのは繊維強化により達成される高い引っ張り強度に比べコストが度外視できるような特別の用途に限られてきた。
【0039】
多くの酸化物が高pHレベルにおいてアニオン解離のためにより溶解しやすくなるのに対して、アルカリ土類やランタニドはpHが高くなるほど溶解しにくくなる。実際、実験の示すところではカルシウムの最大溶解度は、pH約11.5、12.5、13.5及び14.5では、それぞれ1M、10-2M、10-4M、及び10-6Mの値である。
【0040】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、伝統的なガラス製造では通常見られない濃度のカルシウムを含み、ある実施形態では、カルシウムの濃度は約1〜25Wt%、より好ましくは5〜20Wt%、もっと好ましくは10〜15Wt%である。
【0041】
興味深いことに、アルカリの環境での浸出試験の示すところでは、組成物に他の原料を加えると高カルシウムにした利点がなくなるおそれがある。例えば、Na2O及びK2Oのいずれかあるいはその双方の組み合わせの10Wt%より多いようなアルカリ金属の高濃度は、比較的高濃度のカルシウムの存在であっても、ガラス組成物の耐久力に対し悪影響をもたらす。それ故に、発明者らは単にカルシウム濃度を上げることで所望の耐久性のあるガラスが提供されるのではなく、他の元素の、増した濃度のカルシウムとの相互作用が所望の耐アルカリ性ガラス特性をもたらすものと信じており、ある好ましい実施形態では、CaO/Na2Oモル比が耐アルカリ性において重要であると信じられる。ある好ましい実施形態では、CaO/Na2Oモル比は通常1より大きく、またある好ましい実施形態では、2、3、4、5、10、15、20、25、30、又はそれ以上である。
【0042】
ここでは例としてカルシウムを使用したが、発明者らは理論的に制限を設ける意図はなく、他の原料を使用しても所望の耐アルカリ特性をえることができると信じている。これらの他の原料のあるものとしては、MgO及びZnOが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0043】
加えて、意外なことに、浸出試験の示すところでは、Si及びAlの存在の他に、浸出速度を安定化する重要な要因が、酸化鉄であるように思われることが見出された。統計的な分析の示すところでは、Fe23を増加させると約15Wt%までは浸出速度が低下する。統計データをプロットすると、浸出曲線はFeが約0Wt%〜1Wt%で急に低下し、Feが約15Wt%になるにしたがって徐々に平坦になっている。したがって、理論的に制限を設ける意図はないが、酸化鉄の量は、通常Fe23の形態で約15Wt%までとすることで、前記濃度のカルシウムとCaO/Na2Oモル比との組み合わせで耐アルカリ性が改善される。好ましい実施形態では約1〜15Wt%、及びより好ましくは約5〜12Wt%、及びより好ましくは約7〜10Wt%のFe23を含むものである。
【0044】
図1aは、本発明のいくつかの好ましい実施形態による好ましい組成の範囲の実例となる三元状態図を表現している。しかし、これは本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。図1aは具体的には、本発明の好ましい実施形態において、ジルコニア又はチタニアを含まない組成の範囲内のガラスの三元状態図を示す。
【0045】
図1bは、ジルコニア及びチタニアを合わせて15Wt%まで含む他の好ましい組成範囲の、もう一つの三元状態図を表現する。この場合は図1bで強調表示した原料の85部をジルコニア又はチタニアの15部と組み合わせることで、本発明の好ましい実施形態に一致するガラス処方がもたらされる。
【0046】
実験データを含む下記の表に示されているように、鉄及びカルシウムの酸化物を高濃度での組み合わせは、意外にも、耐火性酸化物単独よりも、過酷な水性アルカリ環境において耐食性により効果があることがわかった。これらの研究結果は、セメント系複合材料の高温熱水硬化の中のアルカリ反応に特有のものであり、ここで硬化温度は通常180℃前後で、約5〜10時間である。
【0047】
ここで開示された実施形態の多くは、繊維、球、又は他の内包物(inclusion)の形態のいずれにおいても、比較的にアルカリ金属酸化物が少なく、約10%未満であり、鉄及びカルシウムの酸化物に富み、Fe23+CaOが約2〜40Wt%である組成物を有する。時には、ZrO2とTiO2をガラス組成物に加えることで、高アルカリ環境でのアルカリ耐久力をさらに改善できる。その上、P25及びZnOのような他の酸化物も、高pH環境におけるガラス製品の耐アルカリ性をさらに改善するために有益である。
【0048】
意外なことに、曝されるガラス上の結晶性層(“不動態層”)は、ガラスを強いアルカリ溶液中で熱水条件に置くことで、本発明の組成の膜の中のあるガラス組成物上に形成される。ガラス製品を約180℃の温度で、pHレベルが約12〜14の、水酸化カルシウムで飽和したアルカリの溶液中で熱水処理することにより、不動態層がガラス製品の外表面に形成される。不動態層は図2bに示されている。ガラス製品が中空球であるいくつかの好ましい実施形態では、不動態層は好ましくは球壁の厚さより薄い。ある実施形態では、不動態層の厚さは球壁の厚さの約10%未満であり、さらにより好ましくは、不動態層の厚さは球壁の厚さの約5%未満であり、さらにある実施形態では、中空球壁の厚さの約2%未満である。
【0049】
不動態層の形成は非常に重要である。なぜならば、ここで開示された好ましい耐アルカリ性ガラス処方は、セメント系もしくは無機ポリマー複合材料にとって特に有利であることが示唆されるからである。セメント系又は無機ポリマー複合材料では一般にこれらの製造プロセスの段階として硬化、水和又は高圧蒸気処理が必要であるため、不動態層は複合材料中のガラス構成要素の表面上に、同時かつ一体的に形成される。例えば強化繊維又は微小球のようなガラス構成要素は、不動態層を有することで、他の従来の耐アルカリ処方で可能であったよりもっと耐久性のある複合材料となる。したがって、本発明の特に好ましい実施形態の一つは、セメント系、セラミック又は無機ポリマー複合材料原料であって、ここで開示された耐アルカリ性ガラス処方から形成された含有物を有し、ここで該含有物は複合材料原料の製造プロセスの間にその場で形成された不動態層を有している。
【0050】
比較的に高濃度の鉄及びカルシウムの酸化物を組み入れることにより、熱水処理の間に不動態層が形成される。わずかな比率のジルコニウム酸化物を、鉄及びカルシウムの酸化物に富んだガラス組成物に添加することで、不動態層の構造や緊張がさらに改善される。エネルギー分散X線(EDX)分析による不動態層の引き続いての試験は、鉄及びカルシウムの酸化物の富化と、アルカリ酸化物の減少を明らかにした。
【0051】
実験及び検査を通じて、発明者らは市販のZARガラスをセメント系環境に曝すと、カルシウム及びジルコニウム含有量の増加と、シリカ及びアルカリ含有量の減少が起きるものの、本発明の組成物と同様の不動態層の形成は起きないことを確認した。
【0052】
本発明のガラス組成物の球形ガラスビーズ上の不動態層構造についてのEDX試験は、ジルコニアが添加されていないガラス製品上の不動態層構造が、鉄及びカルシウムの酸化物に富み、アルカリ酸化物が少ないことを明らかにしている。母材ガラスにジルコニア1〜6Wt%を添加して不動態層形成すると、鉄及びカルシウムの酸化物が富化されるものの、ジルコニアを含んでいない。不動態層は、周囲の水酸化カルシウムで飽和されたセメント系溶液からカルシウムを吸い込む。ジルコニアは不動態層の形成には主要な役割を演じることはなく、ただ単にシリカ固有の溶解度を減少させるのみである。
【0053】
広範な腐食検査に基づいて、発明者らは、本発明の実施形態によって製造されたガラスが、非常に高いジルコニア含有量である市販の最良のガラス、15Wt%以上のジルコニアを含むものと比べても、耐食性において同等に良好であるか、時には優れているということを見出した。市販のジルコニアガラスの電子顕微鏡検査では、同様の熱水条件下においた場合、本発明のガラスと同様の不動態層の形成は見られなかった。
【0054】
この形成された不動態層は、セメント系製品の耐用年数の間、アルカリ腐食に対する保護を行い続ける。この知見は、最初に2つの鉄及びカルシウムの酸化物の量を変えた被検ガラスに対して、同じ熱水処理を行って不動態層を形成することによって確認された。2つの試料、ガラスAとガラスBの耐アルカリ性について比較した。ガラスAは本発明の組成物によって製造されたものである。一方ガラスBは石炭灰由来のセノスフィア(cenosphere)であり、セメントのシステムにおいて耐久性のあるガラスとして頻繁に用いられるものである。ガラスAはガラスBと比較して2倍の酸化鉄含有量と9倍の酸化カルシウムを有していた。しかしながら、ガラスBはガラスAと比較して1.5倍のアルミナを有していた。
【0055】
ガラス試料を熱水処理し、5M水酸化ナトリウム溶液中、90℃で修正された標準加速試験にかけた。ASTM C 1203−91試験が10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて耐アルカリ性を測定するのに対し、ガラスのより高い耐久力の試験を実施するため、より強いアルカリの溶液を選択して加速試験を行った。20%水酸化ナトリウム溶液(5M)を加速腐食試験のために選択した。
【0056】
8時間の試験の後、腐食による質量損失は市販のガラスBの方がほぼ2倍であった。1週間同一条件において試験した後においては、ガラスBの質量損失はガラスAのほぼ3倍に達した。これらの研究結果の示すところでは、鉄及びカルシウムの酸化物の双方が存在する不動態層構造は、高アルミナセノスフィアガラス組成物より高性能である。
【0057】
図2a及び2bは、セノスフィア及び本発明による実施形態のガラス製品の双方を熱水条件の下に置いた後の走査電子顕微鏡写真(SEM顕微鏡写真)である。見られるように、本発明によって製造された図2b及び2cのガラス製品は不動態層構造を示している。不動態層が形成されると、高アルカリ環境において腐食攻撃に耐える能力が未処理のガラスに比較して格段に改善すると信じられている。
【0058】
引き続く試験並びにSEM及びEDS分析の示すところでは、市販のセノスフィア及び他の耐アルカリ性ガラスは同様の条件に置いたとしてもこのようなタイプの不動態層は形成しない。理論的に制限を設ける意図はないが、発明者らは、不動態層が、形成されたガラスからの原料の浸出と表面への再堆積により形成されると信じている。これは、下記第1表に示されているように、SiO2及びAl23の浸出が時間ともに急に減少する、つまり、これらの水準で実際に製品の表面上に再堆積することを示唆している、浸出試験によって支持されている。
【0059】
【表5】

【0060】
上記表1に示すように、Na2Oの浸出が5時間後と19時間後の間で増加するのに対し、SiO2及びAl23の浸出は急に減少していることが、これらの2つの成分がガラス製品の表面に再堆積していることを示している。したがって、予想通りに、不動態層はSi及びAlに富んだ化学的組成をもつ。加えて、不動態層はさらにEDS分析で確認されたようにMg、Fe及びCaを含んでいる。興味深いことに、ここで記載されているガラス組成物を利用するとき、ジルコニアの添加は不動態層の形成にはほとんど影響しないように見えるが、むしろ不動態層の組織と均一性の改善には影響を与えている。
【0061】
95℃の20Wt%水酸化物中での加速腐食試験により、ここで提供されたガラス処方により製造され、不動態層を組み入れた球は、下記に示す実施例においてはるかに強い耐アルカリ特性を立証している。
【0062】
さらなる試験は、ここで記載されているガラス組成物から製造されたガラス製品と、いくつかの市販の耐アルカリ性ガラスから製造された製品との耐アルカリ性を測定するために行われた。溶解した全ガラス量は、水酸化カルシウムで飽和し、水酸化リチウムでpH調整した合成溶液の中で、加圧容器中、180℃で評価された。この環境はオートクレーブ中の水和セメント系混合物に見られる水性環境と類似する。しかしながら、通常、普通のセメントに存在するナトリウム又はカリウムの水酸化物に代えて水酸化リチウムを使用したのは、誘導結合プラズマ分光法(ICP)により測定されるバックグラウンド濃度を最小化するためである。この置換により、得られた浸出液中のナトリウム及びカリウムの濃度が正確に測定される。
【実施例】
【0063】
試験データ
実施例A及びBは、ここに記載した方法によって製造された微小粒子の溶出率を、市販グレードのセノスフィア製品、及びいくつかの市販の微小球と比較しながら例証するものである。
【0064】
実施例A
アルカリ水溶液を、2.343g/LのLiOH、及び0.080g/LのCa(OH)2を用いてpH約13.0になるように調製した。試験原料として用いたのは、市販の石炭灰セノスフィア(4 Corners power plant社製、フェニックスセメントより発売)、市販のソーダライム微小球(商品名SISCORでSpherical Industrial Solutions社(カナダ国トロント市)より発売)、及び本発明の一つの実施形態により合成的に製造された球形微小粒子で、試料Xとして示されるものである。アルカリ溶液は180℃に熱され、試験原料は5時間浸透するために放置された。固体の投入量は3つの原料全てについて溶液15ml中に0.25gとした。浸出試験は180℃で5時間継続した後に行った。第2表に3つの試験用試料の主な酸化物成分をまとめる。
【0065】
【表6】

【0066】
表2(上記)より、3つの試料全てについて比表面積は比較的近いものである。試料Xは本発明の好ましい実施形態の一つである。見られるように、組成は異なり、試料Xはカルシウム及び鉄の酸化物の含有量が最も多い。試料Xはさらに、シリカ含有量が他の試料に比べ格段に少ない。試料Xのアルカリ含有量はセノスフィア試料より多いが、SISCOR試料よりはるかに少ない。
【0067】
第3表(下記)は、主な酸化物についての、ICPにより決定された浸出%と、時間と曝された表面積について標準化された浸出率を示す。
【0068】
【表7】

【0069】
上記第3表より、試料Xは浸出量が最も少なく、セノスフィアがこれに次ぎ、最後にSISCORとなることが明らかである。浸出率は組成物の耐アルカリ特性に直接に関連する。試料Xの組成物によって製造される粒子は、浸出が少ないため、水和セメント中に見られる腐食性環境に対して他の2種の市販の耐アルカリ性ガラスのいずれと比較しても優れた耐性が得られる。
【0070】
実施例B
下記実施例において、さらなる市販の製品、3M−S32:SCOTCHLITE(登録商標)、製造元:3M社、ミネソタ州;PORAVER(登録商標)、製造元:スフェリカル・インダストリアル・ソリューション社、カナダ国トロント市;SPHERIGLASS(登録商標)、製造元:PQ社、米国;及びSIL−CELL(登録商標)、製造元:Silbrico社、米国を試験した。第4表は実施例Bの製品に含まれる主な酸化物の一覧である。
【0071】
【表8】

【0072】
第4表に記載の試料を前記条件で5時間浸出した浸出データを下記第5表に示す。
【0073】
【表9】

【0074】
上記第5表より、シリカのみを多く含む原料(SIL−CELL)及びシリカと酸化カルシウムのみが多いもの(3M−S32)は、オートクレーブ中で水和するセメント中で曝される水性アルカリ環境に強く影響されており、このことからCaO単独では満足な耐アルカリ性が得られないという結論をさらに支持するものとなっている。同様に、PORAVER及びSPHERIGLASSも、CaOの量が適量であるにもかかわらず、高温の水性アルカリ環境下では腐食を非常に受けやすく、所望の耐アルカリ性を提供するためにはCaOと協働する他の成分が必要であるという発明者の意見をさらに強化するものとなっている。
【0075】
実施例C
実施例Cの試験は、少量のジルコニアを本発明の実施形態に添加したときの効果を定量することで耐アルカリ性の改善について測定するものである。下記実施例において、試料1A、1B、1C及び1Dを本発明の実施形態により調製した。これらの耐アルカリ性ガラスの試料は、フライアッシュ、水酸化ナトリウム、ケイ酸ジルコニウム及び砂糖からなる処方から製造された。この試料は第6表に示す処方による原料を混合して調製された。
【0076】
【表10】

【0077】
試料2Aは酸化ジルコニウム含有量が公称0%である市販の耐アルカリ性ガラスの試料である。試料2Bは酸化ジルコニウム含有量が公称15%である市販の耐アルカリ性ガラスの試料である。試料2Cは酸化ジルコニウム含有量が公称16%である市販の耐アルカリ性ガラスの試料である。試料2Dは酸化ジルコニウム含有量が公称17%である市販の耐アルカリ性ガラスの試料である。組成は下記第6表に示す。
【0078】
試料1A、1B、1C及び1Dをそれぞれ混合されて均質なスラリーとし、平らな皿の上に注いで室温で約5分間おいて固化させる。得られた製品をさらに50℃で約20時間乾燥し、その後すりつぶし、ふるいにかけて106〜180μmの範囲のサイズの粉末を得る。次の段階で、粉末を縦型加熱管状炉に約1200〜1400℃で0.14g/分の流量で供給した。得られた粒子は、炉の底の部分に置かれた、細かいメッシュスクリーンで覆われた漏斗状の収集装置に集められる。粒子の収集を助けるため、漏斗の末端で穏やかな吸引が行われる。製品は耐アルカリ性評価の前にそれぞれ形状及び構造について顕微鏡試験を用いて検査を受け、完全な融解を確保した。その後、修正されたローレンス(Lawrence)溶液に180℃、931KPa(135psi)の圧力下で5時間暴露して耐アルカリ性を評価する。
【0079】
それぞれの試料の組成と浸出データを下記第7表に示す。
【0080】
【表11】

【0081】
本発明により製造された試料1A、1B、1C及び1Dは、全て非常に似通った浸出率を有し、少量のジルコニアの添加はこれらの耐アルカリ性を極僅か改善しているに過ぎないように思われる。加えて、試料2B、2C、及び2Dは低い溶出率を示すものの、非常に多量のジルコニアを含むため、原料コストと要求される融解エネルギーの点から製造するにはかなり高価となる。試料2A、すなわちジルコニウムを含まない市販の耐アルカリ性ガラスは本発明によって製造された試料に比べ耐アルカリ性で劣る。
【0082】
ここに含まれる実施例は、ここで示された本発明の概念の限界値を定義するものではないが、非常に興味深い傾向を示しているのは確かである。何百回もの試験と、試験結果の統計的分析の広範囲に及ぶ使用から、一群の非ジルコニアガラスが、豊富な原料から経済的に製造され、非常に優れた耐アルカリ特性を提供することが見出された。これらの非ジルコニアガラスは、比較的低いR2O(R2Oは本質的にK2O、Na2O、及びLi2Oからなる)であるのに、濃度の増したCaOとFeの相互作用によりこれらの耐アルカリ特性が示すと信じられる。具体的には、本発明者らは、高pH環境での耐アルカリ性は、CaO/R2Oモル比の増大、Feの濃度、及び、ある実施形態においては、Zr及び/又はTiのガラス組成物中への添加により改善されると信じている。ある実施形態では、CaO/R2Oモル比は1より大きい。他の好ましい実施形態では2又は3より大きく、あるいはさらに大きくしてもよい。例えば、試験及び分析により、所望の耐アルカリ特性を有するガラスは、下記組成によって経済的に製造できることが決定づけられた:
>35%SiO2
1〜25%CaO
1〜15%Fe23
1〜10%R2O、及び
SiO2:Al23>1となる量のAl23
【0083】
時には、約10Wt%まで、又はさらに約15Wt%までのZrO2+TiO2を添加することができ、それにより記載されているガラスの耐アルカリ特性をさらに改善することができる。典型的な組成の範囲を示す三元状態図を図1a及び1bに示す。ここではそれぞれ0Wt%及び15Wt%のZrO2+TiO2が組み込まれている。記載されている組成物から製造される安価なガラス製品は、特に、セメント系への使用において、セメント系製品がオートクレーブ中で経験されるような高温熱水条件(例えば、100℃より高温)のもとで硬化する場合に適している。上記で議論したように、記載されている組成を有するガラスを形成し、記載されているガラス製品を製造することにより、ガラス製品の外側の表面上に不動態層が形成され、これによりこれらの耐アルカリ性がさらに改善する。
【0084】
前述の説明及び本発明の実施形態によって製造された試料ではZrO2及びTiO2の含有量を限定していたが、これらの成分の適度の量、例えば合わせて約15Wt%までを加えることで試料の耐アルカリ特性がさらに増すために、ある本発明の実施形態では約15Wt%まで、より好ましくは約10Wt%までのZrO2、TiO2のいずれか、又はそれらの組み合わせを含む。
【0085】
発明者らは、高温の熱水処理によってここで記載されている独特のガラス製品上に不動態層が形成されることを確認したが、発明者らはさらに、低温の熱水条件下でも不動態層は同様に形成されると信じている。不動態層はガラス材料から浸出した原料の再堆積により形成され、高温の熱水条件下で加速されると信じられる。しかし、十分の時間を与えれば、低温(例えば、約100℃未満)のアルカリ溶液でも同様の結果が起こると信じられる。具体的には、2.343g/LのLiOH、及び0.080g/LのCa(OH)2により調製されたpH約13.0の水性アルカリ溶液中で、35℃及び95℃の温度で試験を行った。発明者らは、35℃においてさえも、不動態層が形成され始めるのを発見した。もし十分な時間が与えられれば、ほぼ連続した不動態層が形成されガラス製品の表面を覆うと信じられる。実際に、試験の示すところでは約95℃で十分な時間をかければ、連続した不動態層がガラス製品の表面を覆って形成されている。
【0086】
加えて、発明者らは不動態層が他のプロセス、例えば製品の表面からのガラス原料の選択的浸出によっても形成されると信じている。別法として、金属水酸化物又は溶解した無機化合物、例えば硝酸塩、塩化物、硫酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩などとガラス成分の反応によってもガラスの表面に不動態層が形成される。
【0087】
したがって、不動態層を形成しうる一般的方法は、製品の表面から選択的に浸出したガラス原料により、あるいは接触する溶液の溶解した化学種とガラスの化学反応により、浸出と再堆積の両方を通じたものである。
【0088】
発明者らは不動態層がガラス製品をセメント系複合材料中に組み入れる反応の場で形成されることを見出したが、意外なことに不動態層はセメント系複合材料の外でも、適切な溶液で処理することにより形成されることがわかった。したがって、製造されたガラス製品は不動態層形成のために後処理してもよい。ある好ましい実施形態では、ガラス製品を熱水処理条件、例えば100℃〜400℃に保ったアルカリの溶液を入れた加圧容器中などに所定の時間置くことで後処理が行われる。アルカリ溶液は、所定の量のCa(OH)2を含有しており、次のバッチのガラス製品を処理するために取り出して再利用してもよい。ガラス製品自体は粉末の洗浄、乾燥、及び包装についての従来の方法を用いて洗浄、乾燥、及び包装される。
【0089】
発明者らは、また100℃未満の温度でもガラス製品上に不動態層が形成されることを決定づけた。この場合上記プロセスの加圧容器の必要性はなくなる。不動態層の形成されたガラス製品は、耐久力が懸案事項となっている他の用途に組み入れることもできる。別法として、原料基質に適合性のあるガラスを改良するために被覆又は他のタイプの表面層を加えてもよい。
【0090】
したがって、ガラス製品はここで記載されている組成物及び方法によって製造することができるが、続いて不動態層形成処理され、さらに所望の用途に組み込まれる。
【0091】
ここで記載されている組成物及び方法によって製造されたガラス質の製品は様々な形状をとることができる。繊維及び球は主として前述の説明の例において用いられているが、他の形状も可能であり、本発明の開示範囲内で考慮可能である。他の形状としては、制限するものではないが、マイクロバルーン;中身の詰まったあるいは中空の球;布;及び連続した、短く切られた、織られたあるいは吹かれた繊維が挙げられる。ガラス質の製品は発泡ガラスであってもよい。
【0092】
特に注目すべきものとして、ここで開示された独特のガラス処方の他の変形形状として、ガラス薄片が得られている。ここでは他に記載のない限り、薄片とは幅を持ったほぼ均一の厚さの物体を言い、ここで幅は本質的に厚さよりも大きい。多くの実施形態において、薄片は平面図において不規則な外形をもつ。
【0093】
薄片は、例えば薄いガラスシートを形成し、より小さな粒子に分割することによって形成される。ガラスシートを形成するある方法においては、溶融したガラス材料を、逆回転ローラーを通して送る。ある好ましい実施形態では、ガラスシート及び得られた薄片がローラーの隙間に対応した断面の大きさを持ち、ある場合においては約1〜3μmのオーダーとすることができる。
【0094】
他の条件を満たす方法としては、溶融ガラスを適切なサイズの金型から押し出す方法が挙げられる。これらいずれの方法においても、ガラスの厚さはローラーの隙間又は金型の形状によって決定される。これらのガラス薄片の製造方法によれば、薄片の厚さは薄片の最終的な使用要求に合わせてほとんど無限に変化させることができる。しかし、ほとんどの用途で通常要求される薄片は厚さが約1000μm未満のものである。したがって、厚さ約1000μm未満の薄片が製造され、他の実施形態では厚さ約500μm未満、250μm、100μm、50μm、20μm、10μm、5μm、2μm及び1μm未満のものも製造される。
【0095】
ガラス薄片を製造する他の方法は、溶融ガラスを空気中に噴霧することである。例えば、溶融ガラスは、噴霧されたガラスを適切な形状にする、適切な形状のノズルから噴霧され、ガラスは所望の形状に合致するように急冷もしくは他の方法で冷却される。
【0096】
ガラス薄片は、適切であればいかなる方法で製造されたものであっても、所望の大きさになるように加工することができ、いかなる粉砕技術、例えばボールミル粉砕、又は他のガラスをより小さなサイズにする適切な方法でも用いることができる。ある特定の実施形態では、薄片は幅約10〜10,000μm及び厚さ約1〜10μmとなるように形成される。
【0097】
ガラス薄片を製造する他の方法によれば、この明細書の別の箇所に記載されているように球を形成し、得られた球を押しつぶし、あるいは砕いて半球状薄片、例えば図2Cに示されたようなものを得る。もちろん、半球状薄片は、所望の機能性及び美観的特性を示すような大きさにすることができる、しかしながら半球状薄片は必然的に一つ又はそれ以上の方向に曲率を有する。平らな薄片、例えば大きくて平らなガラスシートから製造されたものに似せる方法として、薄片の幅を小さく、最初の球の直径に対して小さなサイズにすることが挙げられる。薄片の幅の球の直径に対する比がゼロに近づくにつれて薄片は平面に近づく。
【0098】
ある好ましい実施形態においては、約30〜1000μmの直径の球を砕いて約5〜200μmのサイズの幅の薄片を形成する。得られた薄片の厚さは球の壁の厚さによって決まり、多くの実施形態では、得られた薄片の厚さは約0.5μm〜約10μmのオーダーにある。
【0099】
ガラス薄片を製造するためのいくつかの方法については関連文献に教示されているが、そのいずれもが、ここで記載されている独特の材料を製造するのに適している。しかし、ここで開示された独特のガラス処方は、今に至るまで達成されなかった非常に望ましい特性を持った独特の薄片をもたらす。
【0100】
形状の変化に加えて、ここで記載されている方法及び組成物は、他の無機物、粘土、ポリマー、セラミックス、金属又はガラスと組み合わせて複合材料原料又はガラスアロイを形成することもできる。
【0101】
ある実施形態では、耐アルカリ性ガラス処方は繊維の形態で製造される。ある好ましい実施形態では、耐アルカリ性ガラス繊維は連続した撚り糸の形態である。他の実施形態では、耐アルカリ性ガラス繊維は短繊維の形態である。ガラス繊維は、ガラス処方を溶融し、複数の穴の開いた外壁を有する「紡績機」に垂らし、ガラスを遠心力で穴から引き出して繊維を形成するために回転プロセスを用いて製造することができる。ある好ましい実施形態では、添加剤を開示された好ましい耐アルカリ性ガラス処方に加えることで、ガラスの軟化及び/又は溶融の起こる温度を下げ、それによりガラス粒子又は製品を特定の形状又は外形に加工するのを容易にしている。
【0102】
ある実施形態では、記載の処方の耐アルカリ性ガラス製品を、出願人の同時係属の米国特許出願番号10/787,894、出願日2004年2月25日、発明の名称「低密度製品を製造するための方法及び処方(METHODS AND FORMULATIONS FOR PRODUCING LOW DENSITY PRODUCTS)」に記載されている方法の1つを用いて製造することができる。その出願の全体は参考文献としてここに組み込む。加えて、他の方法及び製品を用いたり製造したりすることもできる。例えば、出願人の同時係属の米国特許出願番号10/648,184、出願日2003年8月25日、発明の名称「人工微小球及びその製造方法(Synthetic Microspheres and Methods of Making Same)」に開示され記載されている方法及び製品が挙げられる。その出願の全体は参考文献としてここに組み込む。ここで開示したいくつかの好ましい実施形態によれば、微小球を製造するために独特のガラス処方が用いられる。ここで開示された好ましい実施形態は、好ましくは、加熱された落下管の性能をはるかに上回る速度で球を製造する方法により製造される。例えば、加熱された落下管は1時間あたり約1gのオーダーの速度で球を製造するために用いることができる。これに対して、ここで開示された球の実施形態及び実施例の多くは、燃焼炉中で1時間あたり約1kgを上回る速度で製造され、これは落下管状炉の性能をはるかに上回るものである。実際に、発明者らはここで示された新規なガラス処方を使用して耐アルカリ球を約0.5MT/hr(トン毎時(メートル法))を超える速度で製造することができた。他の好ましい実施形態では、製造速度は1MT/hr、2MT/hr、3MT/hr、あるいはそれ以上であった。
【0103】
その上、開示されたガラス組成物は、複数の相、例えばガラス構造中に存在する非晶質と結晶性の相の組み合わせ、を有する人工の凝集体を形成するために使用することができる。これらの相は不完全な原料融解、あるいは冷却中の結晶化のいずれによってもガラス中に存在しうるものである。結晶化度は焼成条件又は冷却条件のいずれによっても調節することができる。その上、他の相、例えばガス相も形成されたガラス状物質中に存在しうる。こうして完全に均質なガラス製品よりも低密度の人工凝集体が得られる。ある好ましい実施形態では、人工凝集体は焼成条件、例えば焼成温度及び炉内の滞留時間を調節することで、結晶相要素及び/又は気泡をガラス原料中に含有する、部分的にガラス化した合成の凝集体を形成し、それによって不均質な材料を製造する。もちろん、記載されている不均質ガラスは薄片、繊維、球、又は他の所望のいかなる形状を形成するために用いてもよい。
【0104】
ある好ましい実施形態では、上記開示内容によって製造されたガラス粒子、凝集体、薄片又は繊維は複合材料の機械的性質を改善するために用いられる。ある好ましい実施形態では、繊維、薄片、凝集体の形態の耐アルカリ性ガラスは複合されたセメント系又はポリマーの製品の引っ張り強度を改善するために用いられる。他の好ましい実施形態では、膨張、発泡した、あるいは中空の耐アルカリ性ガラス粒子がセメント系及びポリマー複合材料を低密度にするために用いられる。他の好ましい実施形態では、耐アルカリ性ガラス粒子は、例えば水分移動や熱移動の減少、断熱値の改善、コスト削減、あるいは、レオロジーもしくは取扱性のような加工性の改善といった他の有益な効果も有する。
【0105】
前述の説明はいくつかの実施例を役立たせるものであるが、これらの実施例は本発明の選択的な実施形態を例証するために与えられたものであって、本発明の範囲を規定するものと解釈されるべきではない。例えば、独特のガラス処方をセメント系複合材料中で使用することが開示されてきたが、独特のガラス処方により製造された製品をポリマー、金属、及びここで記載されているガラスの特性から利益が生まれる他の原料中で用いることも本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1A】ZrO2+TiO2が0%である耐アルカリ性ガラス処方における三角図である。
【図1B】ZrO2+TiO2が15%以下である耐アルカリ性ガラス処方における三角図である。
【図2A】セノスフィアを外表面から見た走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図2B】本発明の実施例により製造されたガラス製品を不動態層側から見た走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図2C】本発明の実施例により製造されたガラス製品を不動態層側から見た走査電子顕微鏡写真(SEM)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸塩ベースのガラス体と;
前記ケイ酸塩ベースのガラス体の外表面に形成された不動態層を含む、
耐アルカリ性ガラスであって、
該不動態層は前記ガラス体の組成と異なる組成を有し、
該不動態層が前記ケイ酸塩ベースのガラス体由来の成分を含ものであり、
該不動態層中の他の材料と組み合わせて該成分は、アルカリ環境下で化学的にほぼ不活性である不動態層となる、
ことを特徴とする耐アルカリ性ガラス。
【請求項2】
前記成分がカルシウムを含む、請求項1に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項3】
前記成分が鉄を含む、請求項1に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項4】
前記不動態層が、前記ケイ酸塩ベースのガラス体に比較して酸化鉄に富んでいる、請求項1に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項5】
前記不動態層が、前記ケイ酸塩ベースのガラス体に比較してマグネシウム及び/又はカルシウムの酸化物に富んでいる、請求項1に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項6】
請求項1に記載の耐アルカリ性ガラスを組み込んだセメント系製品。
【請求項7】
前記ガラス体の組成が本質的にWt%で次のような成分からなる、請求項1に記載の耐アルカリ性ガラス:
【表1】

【請求項8】
本質的にWt%で次のような成分からなる耐アルカリ性ガラス:
【表2】

【請求項9】
Al23の量が約4Wt%以上である、請求項8に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項10】
酸化鉄の全ての組み合わせのFe23換算で表した量が約3Wt%以上である、請求項8に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項11】
CaO及びFe23の組み合わせが約10Wt%以上である、請求項8に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項12】
SiO2及びAl23の組み合わせが約35〜90Wt%である、請求項8に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項13】
さらにZrO2及びTiO2の組み合わせを約15Wt%以下で含む、請求項8に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項14】
繊維として形成されている請求項8に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項15】
1つ以上の中空を有する球として形成されている請求項8に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項16】
前記中空球が1時間あたり1kgを超える速度で製造される請求項15に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項17】
前記ガラスが不動態層を含む請求項8に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項18】
前記不動態層が前記ガラスと比べて酸化鉄に富んでいる請求項17に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項19】
前記不動態層が前記ガラスと比べてマグネシウム及び/又はカルシウムの酸化物に富んでいる請求項17に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項20】
CaO/R2Oのモル比が1より大きい請求項8に記載の耐アルカリ性ガラス。
【請求項21】
本質的にWt%で次のような成分からなるガラス製品を提供すること:
【表3】

該ガラス製品を塩基性の環境に曝すことでその表面に不動態層を形成する処理によって該ガラス製品の耐アルカリ性を改善すること
を含むガラスの耐アルカリ特性を増大させる方法。
【請求項22】
前記ガラスの処理工程が100℃を超える温度で行われる請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ガラスの処理工程が水性環境下で行われる請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ガラスの処理工程が100℃未満の温度で行われる請求項21に記載の方法。
【請求項25】
内表面及び外表面並びにその間の厚みを含む合成のほぼ球形の壁と;
球形壁の外側の不動態層と、
を有する合成微小球。
【請求項26】
前記不動態層が球形壁の外表面をほぼ覆う請求項25に記載の微小球。
【請求項27】
前記不動態層が球形壁厚さの約10%より薄い厚さである請求項25に記載の微小球。
【請求項28】
前記不動態層がpH約12〜14の塩基性の環境において化学的にほぼ不活性である請求項25に記載の微小球。
【請求項29】
前記不動態層が浸出したガラス成分の結晶性再堆積によって形成される請求項25に記載の微小球。
【請求項30】
前記不動態層が球形壁に比べてシリカ及びアルミナに富んでいる請求項25に記載の微小球。
【請求項31】
セメント系原料と;
Wt%で次のような成分からなるガラス添加材料:
【表4】

を含むセメント系複合材料製品。
【請求項32】
前記ガラス添加材料が繊維である、請求項31に記載のセメント系複合材料製品。
【請求項33】
前記ガラス添加材料が球である、請求項31に記載のセメント系複合材料製品。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公表番号】特表2008−531453(P2008−531453A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557220(P2007−557220)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/006799
【国際公開番号】WO2006/091929
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(505018256)ジェイムズ ハーディー インターナショナル ファイナンス ベスローテン フェンノートシャップ (11)
【氏名又は名称原語表記】JAMES HARDIE INTERNATIONAL FINANCE B.V.
【Fターム(参考)】