説明

耐溶剤性を有する一体的にスキンで覆われた非対称膜

本発明は、非対称の一体的にスキンで覆われた膜であって、ポリイミドと;ポリビニルピロリドン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトンおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもう1つのポリマーとを含む膜に関する。有機溶剤に実質的に不溶性であり、かつ、実質的に傷を有しない膜は、蒸気分離膜として有用である。非対称の一体的にスキンで覆われたポリイミド膜を製造するための方法もまた開示されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、分離膜の領域における改良に関する。特に、本発明は、耐溶剤性を有する、非対称の一体的にスキンで覆われた膜(solvent resistant asymmetric integrally skinned membrane)に関する。
【0002】
発明の背景
傷を有しないスキン(skin)を有する、非対称の一体的にスキンで覆われた膜の製造は、複雑で、かつ、厄介な作業である。スキン層における径約1.0mmを有する孔または傷の存在は、膜の選択性を急激に低下させる。非対称膜は、通常、U.S.特許No.3,133,132に記載されているように、相反転プロセス(phase inversion process)によって製造される。一体的にスキンで覆われた非対称膜の浸透または容量は、高度に多孔質の内側からの耐久性が最小である時、スキン厚さに反比例する。したがって、スキン層は、可能な限り薄く、好ましくは、妥当な透過性または膜容量を達成するためには、100nmのオーダーを有する必要がある。しかし、スキン厚さが薄い場合、傷孔を除くことは、益々、困難である。かくして、現在使用されている市販のガス分離膜の大部分は、複合膜であり、すなわち、それらは、表面の孔または傷をシールするために、非対称支持膜に塗布された薄い塗膜層を有し、適当な容量と適当な選択性とを達成している。傷を有さない一体的にスキンで覆われた膜を製造するために、なお、改善の余地が存在する。
【0003】
一体的にスキンで覆われた非対称膜を製造するための強制蒸発法は、U.S.特許No.4,902,422に記載されている。この方法では、初期の膜を凝固浴に浸漬する前に、注型溶液(casting solution)中の揮発性溶剤の蒸発が膜表面で必要とされる。この工程は、ポリマー濃度を膜表面で増加させ、傷を有しないスキンの形成を導く。必要な蒸発期間は、長く、すなわち、15〜30秒であり、空隙(air gap)中の滞留時間が極めて短い平坦膜および中空繊維の連続的な製造では、使用は制限される。この方法のもう1つの欠点は、作業者の健康および環境面での懸念材料となる揮発性有機化合物を使用する点である。また、塩素化された炭化水素が揮発性溶剤として一般に使用されるので、水は、相互の不混和性により凝固媒体(coagulating medium)として使用することができない。
【0004】
一般的な非揮発性溶剤を使用する傷を有しない非対称の一体的にスキンで覆われた膜を製造するもう1つの方法は、遅延分離(delayed demixing)法に基づく。この方法については、拡散誘導相分離が、凝固浴中で生ずるが、遅延される。非溶剤浴に初期の膜の浸漬後、溶剤の流出は、非溶剤の流入より大きく、膜の表面に濃度増加が存在する。この方法は、デユアルバス(dual bath)凝固法(J.A. Van’t Hof et al.,J.Membrane Sci.70,17-30,1992)を使用して、平坦膜および中空繊維の製造に使用されている。この方法は、2つの不混和層または2つの別個の浴によって構成される1つの単一浴で使用することができる。不混和層については、1つの液体層の他方への浸透による制限が存在する。2浴法については、膜が、第1の浴を離れる前に凝固しないという事実により制限が存在する。膜を損傷させることなく、第2の浴に膜を移すこともまた困難である。この方法も、また、緻密なスキン領域を連続注型のために形成するには滞留時間が不十分であることを考慮すれば、制限される。
【0005】
U.S.特許No.5,141,642は、また、良好なガス透過性および選択性を有する非対称の一体的にスキンで覆われた膜も記載している。特に、この特許は、このような膜を製造するための遅延分離法を記載しており、スキン形成および凝固が同一の非溶剤浴で起こるので、前述した方法のいくつかの制限を克服する。スキン形成の詳細は、この特許では明らかにされていない。しかし、このような方法は、U.S.特許No.4,460,526に示されているように、凝固速度に非常に敏感である。ポリマー/溶剤/非溶剤システムは、注意深く選択することが必要であり、凝固は、注意深く制御される必要がある。ポリイミドポリマーをクロロフェノール溶剤とともに使用し、エタノール/水混合物65:35の重量比で凝固させる乾-湿式中空繊維紡糸法についての例が示されている。この方法に固有のもう1つの欠点は、スキン層より下の遷移層(transition layer)の崩壊を防止するために、この方法では、溶剤交換乾燥法を必要とすることである。膜は、最初に、エタノール浴に入れられ、凝固液体は完全に除去され、ついで、それは、ヘキサン浴に入れられ、エタノールを抽出してから、風乾される。後者の工程は、コストおよび膜製造の複雑さを増大させる。
【0006】
ポリイミドは、2つの主要な群に分割することができる:ある種の有機溶剤によって溶解することができるもの、および、溶解できないもの、である。非対称膜は、両方の群より製造することができる。第1の群の膜は、直接注型によって製造することができる。第2の群の膜は、有機溶剤に溶解させて、膜を注型可能にしたポリアミド酸と称されるポリイミド前駆体から製造することができる。注型に続いて、ポリアミド酸膜は、熱処理または化学的処理のいずれかによってポリイミド膜に変換される。
【0007】
U.S.特許No.4,113,628は、ポリアミド酸注型溶液から、非対称の一体的にスキンで覆われた膜を製造するための方法を記載している。注型は、ポリアミド酸をポリイミドに化学的にも変換することのできる非溶剤浴において行われる。スキンは、遅い凝固速度で遅延分離することによって形成される。これら膜は、CH4に優るH2についての良好なガス透過選択性を示す。しかし、H2浸透は、低く、このことは、このような方法を使用することによって、比較的厚いスキンが得られることを示す。このような欠点は、これらの膜の有用性をかなり制限する。小さな平坦シート膜を製造するための方法もまたこの特許に記載されている。この方法を使用する大きな膜量の連続製造は、コスト、非溶剤反応浴の再生の複雑さおよび遅延分離法に伴う通常の問題によって制限される。
【0008】
Cranford et al.は、Journal of Membrane Science 155,(1999),231-240において、ポリエーテルイミド/ポリビニルピロリドン蒸気透過膜を開示している。これら膜は、湿潤相反転技術に従い、ポリエーテルイミド(PEI)とポリビニルピロリドン(PVP)との混合物から製造される。ポリエーテルイミドは、事実、有機溶剤、例えば、N-メチルピロリドン(NMP)に可溶化される。しかし、この文書に記載された膜は、耐溶剤性ではない。
【0009】
Huang et al.は、Journal of Applied Polymer Science 85,(2002),139-152において、水/有機混合物からの水の除去に有用となり得るポリイミド膜を開示している。これら膜は、有機溶剤に溶解されたポリアミド酸を含む溶液から得られる毛管をイミド化することによって製造される。しかし、これらの膜は、酢酸/水について低い選択性を示した。さらに、これら膜の機械的性質は、膜が実際的な使用のために過度に脆性かつ壊れやすいので適当ではない。
【0010】
耐溶剤性非対称微孔質(microporous)膜を製造するための方法は、U.S.特許Nos.5,725,769および5,753,008に記載されている。これら2つの特許に従い製造される非対称膜は、ガスまたは蒸気用途について適当な選択性を与える塗膜層を必要とする。あいにく、このような塗膜層は、コストを増大させ、これら膜の製造をさらに厄介にする。また、種々の理由、例えば、吸収特性および2層の熱膨張の違いのために、非対称支持膜からの塗膜層の表層剥離により操作上の不具合を生ずるかもしれない。多くの場合、塗膜層は、膜の操作条件の範囲を制限する。
【0011】
ポリアミド酸およびそれらの塩から製造される平坦で緻密な耐溶剤性ポリイミド膜は、U.S.特許6,497,747に記載されている。しかし、この特許は、非対称の一体的にスキンで覆われた膜の製造方法を何等教示も示唆もしていない。
【0012】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、非対称の一体的にスキンで覆われた膜およびそれを製造する方法を提供することであり、これらは、上記欠点を克服する。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、傷を有せず、かつ、工業的用途で使用することができる非対称の一体的にスキンで覆われた膜;および、それを製造する方法を提供することである。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、耐溶剤性、傷を有せず、壊れにくく非脆性である非対称の一体的にスキンで覆われた膜;および、それを製造する方法を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、単純で、かつ、高価でない、傷を有せず、耐溶剤性の非対称の一体的にスキンで覆われた膜を製造するための方法を提供することである。
【0015】
本発明の第1の態様に従えば、非対称の一体的にスキンで覆われた膜であって、ポリイミドと;ポリビニルピロリドン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトンおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもう1つのポリマーとを含み、前記膜が、有機溶剤に実質的に不溶性であり、かつ、実質的に傷を有しない膜が提供される。
【0016】
本発明の第2の態様に従えば、非対称の一体的にスキンで覆われた膜であって、
ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物とジアミンモノマーとを反応させることによって得られるポリアミド酸の硬化によって得られるポリイミド;および、
ポリビニルピロリドン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトンおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもう1つのポリマー;
を含み、
前記膜が、有機溶剤に実質的に不溶性であり、かつ、実質的に傷を有しない膜が提供される。
【0017】
本発明の第3の態様に従えば、非対称の一体的にスキンで覆われた膜であって、
ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物とジアミンモノマーとを反応させることによって得られるポリアミド酸の硬化によって得られるポリイミド;および、
ポリビニルピロリドン、ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン、スルホン化されたポリフェニレンオキシド、スルホン化されたポリスルホン、スルホン化されたポリエーテルスルホン、スルホン化されたポリフェニルキノキサリンおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもう1つのポリマー;
を含み、
前記膜が、有機溶剤に実質的に不溶性であり、かつ、実質的に傷を有しない膜が提供される。
【0018】
出願人は、前述の膜が、傷を有せず、かつ、耐溶剤性であり、それらが脆性でもなく壊れにくいので、興味深い特性を有することを見出した。さらに、これら膜は、優れた蒸気分離選択性を有する。これらの特性に照らし、本発明の膜は、幾つかの工業的用途のために使用することができる。
【0019】
本発明の第4の態様に従えば、非対称の一体的にスキンで覆われたポリイミド膜を製造する方法であって、
a) ポリアミド酸と;ポリビニルピロリドン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトンおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもう1つのポリマーと;第1の有機溶剤とを含む注型溶液を、水を含む内腔凝固剤(bore coagulant)を使用して、予め決められた速度で紡糸口金の環状開口部(annulus)を通して押出し、前記ポリアミド酸を含有する非対称の一体的にスキンで覆われた膜を形成する工程;
b) 予め決められた温度を有する水浴中で、工程(a)で得られた非対称の一体的にスキンで覆われた膜を凝固させる工程;
c) 凝固した膜を水で濯ぎ、該膜から前記第1の有機溶剤を除去する工程;
d) 濯いだ膜を乾燥させる工程;および、
e) 乾燥した膜を硬化させて、前記ポリイミド膜を得る工程;
を含み、
それによって、前記ポリイミド膜が、第2の有機溶剤に実質的に不溶性であり、かつ、実質的に傷を有しないことを特徴とする方法を提供する。
【0020】
本発明の第5の態様に従えば、非対称の一体的にスキンで覆われたポリイミド膜を製造する方法であって、
a) ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物とジアミンモノマーとを反応させることによって得られるポリアミド酸および第1の有機溶剤を含む注型溶液を、水を含む内腔凝固剤を使用して、予め決められた速度で紡糸口金の環を通して押出し、前記ポリアミド酸を含有する非対称の一体的にスキンで覆われた膜を形成する工程;
b) 予め決められた温度を有する水浴中で、工程(a)で得られた非対称の一体的にスキンで覆われた膜を凝固させる工程;
c) 凝固した膜を水で濯ぎ、該膜から前記第1の有機溶剤を除去する工程;
d) 濯いだ膜を乾燥させる工程;および、
e) 乾燥した膜を硬化させて、前記ポリイミド膜を得る工程;
を含み、
それによって、前記ポリイミド膜が、第2の有機溶剤に実質的に不溶性であり、かつ、実質的に傷を有しないことを特徴とする方法が提供される。
【0021】
出願人は、前述した方法を使用することによって、実質的に傷を有することなく、かつ、耐溶剤性である非対称の一体的にスキンで覆われた膜を得ることが可能であることを見出した。これら方法は、それらが非脆性または壊れにくくないので、工業的用途で使用することのできる膜を得ることを可能とする。さらに、これらの方法では、得られる中間体ポリアミド酸膜は、水で濯がれる。これら方法は、スキン層における孔の崩壊を防止するために、1つ以上の有機溶剤で濯ぐ後続工程を含む溶剤交換プロセスの使用を回避する。事実、これら方法を使用することによって、水で濯ぐことにより、有機溶剤で濯ぎの必要がなく、膜上に薄いスキン層を達成することが可能である。出願人は、また、ポリアミド酸膜の機械的特性を低下させることなく、濯ぎ溶剤として水を使用することが可能であることも見出した。
【0022】
本発明の膜に関して本明細書で使用する場合、“有機溶剤に実質的に不溶性”という表現は、有機溶剤に溶解されない膜を称す。好ましくは、このような膜は、有機溶剤中で、少なくとも100時間、さらに好ましくは、少なくとも1000時間、耐久性である。好ましくは、膜は、少なくとも140℃の温度で100時間、さらに好ましくは、1000時間使用した後でさえその性質を失わない。
【0023】
本発明の膜では、その他のポリマーは、好ましくは、ポリビニルピロリドンである。同様に、本発明の方法では、その他のポリマーが存在する時、これは、好ましくは、ポリビニルピロリドンである。ポリビニルピロリドンは、平均分子量範囲約5,000〜約500,000g/mol、好ましくは、約10,000〜約100,000g/molを有するのがよい。平均分子量約40,000g/molが好ましい。
【0024】
本発明のまたは本発明の方法に従い製造される膜は、内表面と外表面とを有する毛管(または中空繊維)の形であるのがよい。かくして、膜は、少なくとも1つの毛管を含む。あるいは、膜は、毛管の束を含んでよく、各管は、内表面と外表面とを有する。管は、0.4mmより大きな外径を有し得る。好ましくは、外径は、約1.0〜約3.0mmの範囲である。管の内径は、約0.2〜約3.5mmの範囲、好ましくは、約0.8〜約2.5mmの範囲である。管は、また、約0.04〜約0.80mmの範囲、好ましくは、約0.15〜0.50mmの範囲の壁の厚さを有し得る。
【0025】
さらに、管は、ポリイミドとその他のポリマーとからなる緻密なフィルムの密度の約10〜約60%の範囲の密度を有する壁を有するのがよい。好ましくは、壁の密度は、フィルムの密度の約20〜約40%の範囲である。フィルムの密度は、好ましくは、約1.3〜約1.5g/cm3の範囲である。管は、内表面上のスキン層および/または外表面上のスキン層とを有するのがよい。スキンは、好ましくは、対応する緻密なフィルムの密度と同等の密度を有し、フィルムの密度は、好ましくは、約1.3〜約1.5g/cm3の範囲である。スキンは、好ましくは、実質的に傷を有しない。管は、約0.001〜約0.01mmの径を有するマクロ孔(macrovoids)を含む壁を有してもよい。好ましくは、壁は、約500nmの径を有する孔を含むレースのような構造を有する。
【0026】
スキンは、表面に結合した第1の単分子層と第1の単分子層に結合した第2の層とを含むのがよい。好ましくは、第1の層は、約70〜約200nmの範囲の厚さを有する小塊の凝集体を含む。第2の層は、約10〜約20nmの範囲の厚さを有し得る。好ましくは、第2の層は、融合した小塊または薄いポリマーマトリックスを含む。小塊は、約10〜約100nmの範囲の径を有するのがよい。小塊の凝集体は、約5〜20の融合した小塊を含み得る。
【0027】
本発明の膜または本発明の方法に従い製造される膜は、約30〜約200℃の温度で、水についての蒸気透過性として少なくとも1×10-7mol/mm2sPaを有し得る。好ましくは、水についての蒸気透過性は、約80℃の温度で、4×10-7mol/m2秒Paより大きい。膜は、約140℃の温度で、水/エタノールまたは水/エタノールおよびフーゼル油について、蒸気透過選択性として少なくとも50、好ましくは、少なくとも250、さらに好ましくは、少なくとも260、なおさらに好ましくは、少なくとも290の値を有し得る。あるいは、このような選択性は、約140℃の温度で、水/エタノールまたは水/エタノールおよびフーゼル油について、250〜500の範囲、好ましくは、300〜450の範囲となり得る。本明細書で使用する場合、“フーゼル油”という表現は、発酵酒の蒸留より形成されるアミルアルコール、プロパノールおよびブタノールの混合物を称す。膜は、約85℃の温度で、水/酢酸について、蒸気透過選択性として少なくとも50、好ましくは、少なくとも250、さらに好ましくは、少なくとも290、なおさらに好ましくは、少なくとも330の値を有し得る。あるいは、このような選択性は、約85℃の温度で、水/酢酸について、250〜500の範囲、好ましくは、300〜450の範囲になり得る。
【0028】
本発明のまたは本発明の方法に従い製造される膜は、約135℃の温度で、木材樹皮熱分解水相に存在する水/化合物について、蒸気透過選択性として少なくとも50、好ましくは、少なくとも250、さらに好ましくは、少なくとも290を有するのがよい。あるいは、このような選択性は、約135℃の温度で、木材樹皮熱分解水相に存在する水/化合物について、250〜550の範囲、好ましくは、300〜500の範囲になり得る。膜は、約20℃の温度で、O2/N2について、ガス透過選択性として少なくとも5.0、好ましくは、少なくとも6.0の値を有し得る。膜は、乾燥した時、25℃で、引張力として少なくとも1.5kg/mm2、好ましくは、少なくとも1.8kg/mm2を有し得る。膜は、水で飽和した時、25℃で、引張力として少なくとも1.5kg/mm2、好ましくは、少なくとも1.7kg/mm2を有し得る。膜は、エタノールで飽和した時、25℃で、引張力として少なくとも1.0kg/mm2、好ましくは、少なくとも1.35kg/mm2を有し得る。膜は、NMPで飽和した時、25℃で、引張力として少なくとも0.5kg/mm2、好ましくは、少なくとも0.95kg/mm2を有し得る。
【0029】
本発明の膜または本発明の方法に従い製造される膜は、乾燥した時、25℃で、破断点伸び少なくとも15%、好ましくは、少なくとも30%を有するのがよい。膜は、水で飽和した時、25℃で、破断点伸びとして約20%を有し得る。膜は、エタノールで飽和した時、25℃で、破断点伸びとして約25%を有し得る。膜は、NMPで飽和した時、25℃で、破断点伸びとして約30%を有し得る。膜は、250℃までの温度、さらに好ましくは、350℃までの温度で、熱的に安定である得る。膜は、ポリイミドの連鎖切断を防止するために、適当な加水分解安定性を有し得る。
【0030】
本発明の膜が不溶性である有機溶剤は、N-メチルピロリドン;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;C1-C6アルコール、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノールまたはブタノール;C1-C6カルボン酸、好ましくは、蟻酸、酢酸、プロピオン酸または酪酸;C1-C7アルデヒド、好ましくは、ホルムアルデヒドまたはフルフラール;C3-C8ケトン、好ましくは、アセトン、プロパノンまたはブタノン;C6-C8フェノール、好ましくは、クレゾールまたはグアイヤコール;C3-C10エステル、好ましくは、酢酸メチルまたはプロピオン酸メチル;C5-C12アルカン、好ましくは、オクタン;C1-C4アミン、好ましくは、メチルアミン;C2-C6アミド、好ましくは、アセトアミド;および、それらの混合物からなる群より選択することができる。N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドが特に好ましい。N-メチルピロリドンが、好ましい溶剤である。
【0031】
本発明の第1の態様に従う膜では、ポリイミドは、ポリアミド酸を硬化させることによって得ることができる。ポリアミド酸は、他方、二無水物モノマーとジアミンモノマーとを反応させることによって得ることができる。本発明の第4の態様に従う方法において使用されるポリアミド酸は、二無水物モノマーとジアミンモノマーとを一緒に反応させることによって製造することができる。
【0032】
本発明の膜または方法ては、ポリイミドがジアミンモノマーと二無水物とを反応させることによって製造されるポリアミド酸の硬化により得られる時、二無水物は、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物(BTDA)、二無水ピロメリット酸(PMDA)、ビフェニル四カルボン酸二無水物(BPDA)、ジカルボキシフェニル二無水ヘキサフルオロプロパン酸(6FDA)、ジフェニルスルホン四カルボン酸二無水物(DSDA)、オキシ二無水フタル酸(ODPA)およびそれらの混合物からなる群より選択することができる。好ましくは、二無水物モノマーは、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物、二無水ピロメリット酸およびそれらの混合物からなる群より選択される。さらに好ましくは、二無水物モノマーは、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物である。ジアミンモノマーは、オキシジアニリン(ODA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis-A-AF)、ビス(4-[4-アミノフェノキシ]フェニル)スルホン(BAPS)、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE)およびそれらの混合物からなる群より選択することができる。好ましくは、ジアミンモノマーは、オキシジアニリン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼンおよびそれらの混合物からなる群より選択される。二無水物モノマー/ジアミンモノマーの好ましい組み合わせの例は、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物/オキシジアニリン;二無水ピロメリット酸/ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン;二無水ピロメリット酸/オキシジアニリン;および、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物/ジアミノジフェニルスルホンである。
【0033】
本発明の方法では、第1の有機溶剤は、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびそれらの混合物からなる群より選択することができる。好ましくは、有機溶剤は、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドおよびそれらの混合物からなる群より選択される。N-メチルピロリドンが好ましい。第1の有機溶剤は、溶液中に、溶液の合計重量に基づき、約50〜約90重量%の範囲の量存在し得る。好ましくは、有機溶剤の量は、60〜80wt%の範囲、さらに好ましくは、65〜75wt%の範囲である。これら方法では、ポリアミド酸は、溶液中に、溶液の合計重量に基づき、約8〜約30重量%の範囲の量存在し得る。好ましくは、ポリアミド酸の量は、約10〜約25%、さらに好ましくは、約12〜約20%の範囲である。
【0034】
本発明の方法では、膜が紡糸される時、予め決められた速度は、約1〜約100cm/秒の範囲、好ましくは、約6〜約14cm/秒の範囲であり得る。好ましくは、約1〜約100mL/分の範囲、さらに好ましくは、約6〜約18mL/分の範囲の流速を有する内腔凝固剤が使用される。内腔凝固剤は、0〜80℃の温度、好ましくは、約20℃であるのがよい。好ましい内腔凝固剤は、水からなる。膜は、好ましくは、約0〜約80℃の範囲の予め決められた温度を有する水浴中で凝固される。好ましくは、浴の予め決められた温度は、約20〜約40℃の範囲である。あるいは、水浴は、室温でよい。
【0035】
前述した方法の工程(c)において、膜は、少なくとも0.1時間、好ましくは、少なくとも0.5時間、さらに好ましくは、少なくとも1.0時間、なおさらに好ましくは、少なくとも4.0時間、水で濯がれ、かつ、浸軟(soak)するのがよい。工程(c)における水の温度は、約0〜約50℃、好ましくは、約15〜約25℃、さらに好ましくは、約20℃であるのがよい。あるいは、水は、室温でよい。有利には、膜の内部および外部は、水で濯がれる。さらに、膜は、好ましくは、乾燥前に、水抜きされる。工程(c)において、有機溶剤は、回収することができる。工程(e)は、膜をオーブン内に置き、膜を加熱し、不活性ガスで膜をパージすることによって行うのがよい。好ましくは、膜は、約250℃〜約400℃の温度に到達するまで徐々に加熱される。さらに好ましくは、膜は、
i) 約0.5〜約2℃/分の範囲の速度で、室温から約80℃〜約160℃の範囲の温度まで、膜を加熱し;
ii) 約80〜約160℃の範囲の一定温度で、約0.5〜約2時間の範囲の間、膜をさらに加熱し;
iii) 約0.5〜約2℃/分の範囲の速度で、約250℃〜約300℃の温度に到達するまで、膜をさらに加熱し;
iv) 約250℃〜約300℃の範囲の一定温度で、約0.5〜約4時間の範囲の間、膜をさらに加熱し;かつ、
v) 約0.5時間〜約8時間の範囲の期間かけて、室温まで、膜を冷却する;
ことによって加熱される:
本発明の方法では、注型溶液は、また、非溶剤を含有してもよい。好ましくは、非溶剤は、溶液中に、溶液の合計重量に基づき、約0〜約30.0重量%の範囲の量存在する。約15〜約20%の範囲の非溶剤量が好ましい。好ましくは、非溶剤は、エチレングリコール、エタノール、グリセロール、水、メタノール、酢酸、プロピオン酸およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0036】
本発明の方法において使用される第2の有機溶剤は、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、C1-C6アルコール、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノールまたはブタノール;C1-C6カルボン酸、好ましくは、蟻酸、酢酸、プロピオン酸または酪酸;C1-C7アルデヒド、好ましくは、ホルムアルデヒドまたはフルフラール;C3-C8ケトン、好ましくは、アセトン、プロパノンまたはブタノン;C6-C8フェノール、好ましくは、クレゾールまたはグアイヤコール;C3-C10エステル、好ましくは、酢酸メチルまたはプロピオン酸メチル;C5-C12アルカン、好ましくは、オクタン;C1-C4アミン、好ましくは、メチルアミン;C2-C6アミド、好ましくは、アセトアミド;および、それらの混合物からなる群より選択することができる。
【0037】
本発明の第5の態様に従う方法において、注型溶液は、さらに、ポリビニルピロリドン、ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン、スルホン化されたポリフェニレンオキシド、スルホン化されたポリスルホン、スルホン化されたポリエーテルスルホン、スルホン化されたポリフェニレンキノキサリンおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもう1つのポリマーを含有してもよい。その他のポリマーは、溶液中に、溶液の合計重量に基づき、約0.1〜約60.0重量%の範囲、好ましくは、0.5〜約25.0重量%の量存在するのがよい。1.0〜約2.0%の範囲の量が好ましい。好ましくは、その他のポリマーは、ポリビニルピロリドンである。
【0038】
本発明のまたは本発明の方法に従い製造される膜は、水と有機化合物とを含む溶液を脱水するのに有用である。幾つかの例としては、有機酸、例えば、酢酸;アルコール、例えば、エタノールまたはプロパノール;酢酸エチル;複合混合物、例えば、数百の有機化合物を含有する熱分解水相;および、それらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましくは、有機溶剤は、酢酸またはエタノールである。溶液は、溶液の合計重量に基づき、水が1〜99重量%、好ましくは、10〜96重量%を占める。溶液は、溶液の合計重量に基づき、有機溶剤が1〜99重量%、好ましくは、4〜90重量%を占める。
【0039】
本発明のまたは本発明の方法に従い製造される膜は、また、有機化合物と水とを含む溶液を濃縮するため、水性蒸気流から有機化合物を回収するため、水処理のため、反応が行われる容器から水蒸気を除去することにより化学反応の推進力を増加させるため、有機化合物の放出を減少させるため、エネルギー消費を減少させるため、または、木材乾燥機の性能を改善するためにも使用することができる。これらは、また、フィシャー-トロプシュ・プロセスまたは合成ガス製造のためのプロセスにおいても有用で有りうる。
【0040】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面における実施例によって例示される以下の好ましい実施態様の説明からさらに容易に明らかとなるであろう。
好ましい実施態様の説明
本発明は、以下の例を参考とすることによってさらに容易に理解されるであろうが、これらの例は、本発明を何等限定するものではない。
【0041】
図1に示すように、スキン層は、厚さ70〜200nmを有する小塊凝集体の単分子層によって構成される。厚さ10〜20nmを有する緻密な層が小塊凝集体の単分子層を覆う。この緻密な層は、融合した小塊または薄くて緻密なポリマーマトリックスによって構成されるのがよい。この層および小塊は、緻密であり、それらが構成されるポリマー材料の緻密なフィルムと本質的に同等の浸透性を有する。小塊は、径10〜100nmを有する。小塊凝集体は、5〜20の融合した小塊によって構成される。膜の基本的な構築単位は、小塊凝集体である。膜の高度に多孔質の内部は、三次元ウェッブ様の構造を有するのがよい。小塊凝集体は、一緒に線状に融合して、ウエッブ用の構造のための撚り(threading)を形成する。スキン層の下の領域は、小塊凝集体のゆるく充填された領域であるのがよい。スキン層の下の領域の小塊凝集体は、一部、一緒に融合される。膜内部は、0.01mm径を有するマクロ孔と孔径500nmを有するレース状の構造とによって構成され得る。
【0042】
実施例
以下の実施例は、本発明のポリアミド酸注型溶液、毛管および膜の製造の仕方を記載する。
【0043】
注型溶液
注型溶液A
N-メチルピロリドン(NMP)溶剤中の4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)およびベンゾフェノン四カルボン酸二無水物(BTDA)から、ポリアミド酸(PAA)の19重量%溶液を調製した。NMP中50重量%のポリビニルピロリドン(PVP)を含有する溶液をPAA溶液に加えた。ついで、その溶液に、グリセロールとNMPとを加えた。最終溶液は、PAA/PVP/GLY/NMPの重量組成13/1/17/69を有した。注型前に、溶液を約12時間混合した。
【0044】
注型溶液B
この溶液は、PAA/PVP/GLY/NMPの重量組成12/1/20/67を有する最終組成物を生ずるように、量比が異なる以外は、注型溶液Aについて上記したと同様のプロトコルに従い調製した。
【0045】
注型溶液C
N-メチルピロリドン(NMP)溶剤中の4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)およびベンゾフェノン四カルボン酸二無水物(BTDA)から、ポリアミド酸(PAA)の20重量%溶液を調製した。
【0046】
注型溶液D
N-メチルピロリドン(NMP)溶剤中の4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)およびベンゾフェノン四カルボン酸二無水物(BTDA)から、ポリアミド酸(PAA)の22重量%溶液を調製した。SPEEKの19重量%溶液、つまり、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトンをNMP溶剤中で調製した。2つの溶液と水とを一緒に混合すると、以下の重量組成PAA/SPEEK/H2O/NMP16.0/3.9/5.9/74.2を有する最終均質溶液を生じた。
【0047】
注型溶液E
N-メチルピロリドン(NMP)溶剤中の4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)およびベンゾフェノン四カルボン酸二無水物(BTDA)から、ポリアミド酸(PAA)の20重量%溶液を調製した。SPEEKの25重量%溶液をNMP溶剤中で調製した。2つの溶液を一緒に混合すると、以下の重量組成PAA/SPEEK/NMP4.9/18.6/76.5を有する最終均質溶液を生じた。
【0048】
注型溶液F
SPEEKの25重量%溶液をN-メチルピロリドン(NMP)溶剤中で調製した。約48時間混合後、均質透明な溶液が得られた。
【0049】
注型溶液G
N-メチルピロリドン(NMP)溶剤中の4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)およびベンゾフェノン四カルボン酸二無水物(BTDA)から、ポリアミド酸(PAA)の20重量%溶液を調製した。SPEEKポリマーをNaOH溶液中で中和すると、水素イオンがナトリウムイオンで置換された。中和したポリマー(SPEEK-Na+)を乾燥するまで60℃のオーブンに入れた。それを、ついで、NMPに溶解させると、SPEEK-Na+の15重量%溶液を形成した。この溶液をPAA溶液およびNMPと混合すると、以下の重量組成PAA/SEEK-Na+/NMP7.8/7.5/84.7を有する最終均質溶液を生じた。
【0050】
注型溶液H
この溶液は、PAA/PVP/GLY/NMP重量組成15/1/16/68を有する最終的組成物を生じるように、量比が異なる以外は、注型溶液Aについて上記したのと同様のプロトコルに従い調製した。
【0051】
注型溶液I
N-メチルピロリドン(NMP)溶剤中の4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)およびベンゾフェノン四カルボン酸二無水物(BTDA)から、ポリアミド酸(PAA)の22重量%溶液を調製した。SPEEKの19重量%溶液をNMP溶剤中で調製した。2つの溶液と水とを一緒に混合すると、以下の重量組成PAA/SPEEK/H2O/NMP16/1/5/78を有する最終均質溶液を生じた。
【0052】
注型溶液J
N-メチルピロリドン(NMP)溶剤中の二無水ピロメリット酸(PMDA)とオキシジアニリン(ODA)とジアミノジフェニルスルホン(DDS)とから、ポリアミド酸(PAA)の20重量%溶液を調製した。PMDA:ODA:DDSのモル比は、1.005:0.8:0.2であった。NMP中にポリビニルピロリドン(PVP)50重量%を含有する溶液をPAA溶液に加えた。ついで、グリセロールおよびNMPを溶液に加えた。最終溶液は、重量組成PAA/PVP/GLY/NMP16/2/18/64を有した。溶液は、注型する前に、12時間混合した。
【0053】
注型溶液K
N-メチルピロリドン(NMP)溶剤中ビフェニル四カルボン酸二無水物(BPDA)およびオキシジアニリン(ODA)から、ポリアミド酸(PAA)の18重量%溶液を調製した。NMP中ポリビニルピロリドン(PVP)50重量%を含有する溶液をPAA溶液に加えた。ついで、グリセロールおよびNMPを溶液に加えた。最終溶液は、重量組成PAA/PVP/GLY/NMP13/1/13/73を有した。溶液は、注型前、約12時間混合した。
【0054】
注型溶液L
N-メチルピロリドン(NMP)中二無水ピロメリット酸(PMDA)および1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)から、ポリアミド酸(PAA)の24重量%溶液を調製した。NMP中ポリビニルピロリドン(PVP)の50重量%含有溶液をPAA溶液に加えた。ついで、グリセロールおよびNMPを溶液に加えた。最終溶液は、重量組成PAA/PVP/GLY/NMP21/2/14/63を有した。溶液は、12時間混合した。
【0055】
注型溶液M
N-メチルピロリドン(NMP)溶剤中4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)および二無水ピロメリット酸(PMDA)から、ポリアミド酸(PAA)の21重量%溶液を調製した。ついで、グリセロールを溶液に加えた。最終溶液は、重量組成PAA/GLY/NMP17/20/63を有した。溶液は、12時間混合した。
【0056】
注型溶液N
PAA/PVP/GLY/NMPの重量組成17/1/16/68を有する最終組成物を生じるように、量比が異なる以外は、注型溶液Aについての処理法に従い注型溶液を調製した。
【0057】
注型溶液O
PAA/PVP/GLY/NMPの重量組成15/1/17/67を有する最終組成物を生じるように、量比が異なる以外は、注型溶液Aについての処理法に従い注型溶液を調製した。
【0058】
毛管
上記した注型溶液で、以下の毛管を製造した。単独で採用される本発明の毛管は、膜と考えられることに留意する必要がある。換言すれば、数個の毛管が一緒に結合されて、膜(膜A、BおよびH〜Nを参照)を形成する。
【0059】
毛管A
内部凝固剤として20℃で100%水の溶液を使用して、チューブ−イン-オリフィス紡糸口金(tube-in-orifice spinneret)を通して、注型溶液Aを押出した。内部凝固剤の流速は、12ml/分で制御した。毛管は、空隙における滞留時間が6秒となるように速度4cm/秒で紡糸した。膜は、30℃、100%水浴中で凝固した。膜は、ついで、残留溶剤およびグリセロールの抽出が実質的に完了するまで室温で水により2〜4時間濯いだ。膜は、ついで、風乾した。その後、毛管をオーブン内に置き、窒素パージすることによって、膜をイミド化した。温度サイクルは、以下の通りであった:3時間かけて150℃まで徐々に加熱し、150℃で1時間加熱し、2時間かけて250℃まで徐々に加熱し、250℃で1時間加熱し、4時間かけて室温まで徐々に冷却した。生ずるポリイミド/PVP膜は、外径2.2mmおよび壁の厚さ0.3mmを有した。
【0060】
毛管B
内部凝固剤として20℃で100%水の溶液を使用して、チューブ−イン-オリフィス紡糸口金を通して、注型溶液Bを押出した。内部凝固剤の流速は、14ml/分で制御した。毛管は、空隙における滞留時間が3秒となるように速度6cm/秒で紡糸した。膜は、30℃、100%水浴中で凝固した。膜は、ついで、残留溶剤およびグリセロールの抽出が実質的に完了するまで室温で水により2〜4時間濯いだ。膜は、ついで、風乾した。その後、毛管をオーブン内に置き、窒素パージすることによって、膜をイミド化した。温度サイクルは、以下の通りであった:3時間かけて150℃まで徐々に加熱し、150℃で1時間加熱し、2時間かけて250℃まで徐々に加熱し、250℃で1時間加熱し、4時間かけて室温まで徐々に冷却した。生ずるポリイミド/PVP膜は、外径2.4mmおよび壁の厚さ0.4mmを有した。
【0061】
毛管C
内部凝固剤として20℃で100%水の溶液を使用して、チューブ−イン-オリフィス紡糸口金を通して、注型溶液Hを押出した。内部凝固剤の流速は、10ml/分で制御した。毛管は、空隙における滞留時間が7秒となるように速度4cm/秒で紡糸した。膜は、30℃、100%水浴中で凝固した。膜は、ついで、残留溶剤およびグリセロールの抽出が実質的に完了するまで室温で水により2〜4時間濯いだ。膜は、ついで、風乾した。その後、毛管をオーブン内に置き、窒素パージすることによって、膜をイミド化した。温度サイクルは、以下の通りであった:3時間かけて150℃まで徐々に加熱し、150℃で1時間加熱し、2時間かけて250℃まで徐々に加熱し、250℃で1時間加熱し、4時間かけて室温まで徐々に冷却した。生ずるポリイミド/PVP膜は、外径2.1mmおよび壁の厚さ0.4mmを有した。
【0062】
毛管D
内部凝固剤として20℃で100%水の溶液を使用して、チューブ−イン-オリフィス紡糸口金を通して、注型溶液Iを押出した。内部凝固剤の流速は、7ml/分で制御した。毛管は、空隙における滞留時間が3秒となるように速度6cm/秒で紡糸した。膜は、40℃、100%水浴中で凝固した。膜は、ついで、残留溶剤およびグリセロールの抽出が実質的に完了するまで室温で水により2〜4時間濯いだ。膜は、ついで、風乾した。その後、毛管をオーブン内に置き、窒素パージすることによって、膜をイミド化した。温度サイクルは、以下の通りであった:3時間かけて150℃まで徐々に加熱し、150℃で1時間加熱し、2時間かけて250℃まで徐々に加熱し、250℃で1時間加熱し、4時間かけて室温まで徐々に冷却した。生ずるポリイミド/SPEEK膜は、外径2.0mmおよび壁の厚さ0.3mmを有した。
【0063】
毛管E
内部凝固剤として20℃で75重量%の水と25重量%のグリセロール溶液を使用して、チューブ−イン-オリフィス紡糸口金を通して、注型溶液Jを押出した。内部凝固剤の流速は、12ml/分で制御した。毛管は、空隙における滞留時間が7秒となるように速度4cm/秒で紡糸した。膜は、19℃、100%水浴中で凝固した。膜は、ついで、残留溶剤およびグリセロールの抽出が実質的に完了するまで室温で水により2〜4時間濯いだ。膜は、ついで、風乾した。その後、毛管をオーブン内に置き、窒素パージすることによって、膜をイミド化した。温度サイクルは、以下の通りであった:3時間かけて150℃まで徐々に加熱し、150℃で1時間加熱し、2時間かけて385℃まで徐々に加熱し、385℃で1時間加熱し、4時間かけて室温まで徐々に冷却した。生ずるポリイミド/PVP膜は、外径1.8mmおよび壁の厚さ0.2mmを有した。
【0064】
毛管F
内部凝固剤として20℃で100%水の溶液を使用して、チューブ−イン-オリフィス紡糸口金を通して、注型溶液Kを押出した。内部凝固剤の流速は、18ml/分で制御した。毛管は、空隙における滞留時間が7秒となるように速度4cm/秒で紡糸した。膜は、20℃、100%水浴中で凝固した。膜は、ついで、残留溶剤およびグリセロールの抽出が実質的に完了するまで室温で水により2〜4時間濯いだ。膜は、ついで、風乾した。その後、毛管をオーブン内に置き、窒素パージすることによって、膜をイミド化した。温度サイクルは、以下の通りであった:3時間かけて150℃まで徐々に加熱し、150℃で1時間加熱し、2時間かけて250℃まで徐々に加熱し、250℃で1時間加熱し、4時間かけて室温まで徐々に冷却した。生ずるポリイミド/PVP膜は、外径2.0mmおよび壁の厚さ0.2mmを有した。
【0065】
毛管G
内部凝固剤として20℃で100%水の溶液を使用して、チューブ−イン-オリフィス紡糸口金を通して、注型溶液Lを押出した。内部凝固剤の流速は、6ml/分で制御した。毛管は、空隙における滞留時間が13秒となるように速度5cm/秒で紡糸した。膜は、20℃、100%水浴中で凝固した。膜は、ついで、残留溶剤およびグリセロールの抽出が実質的に完了するまで室温で水により2〜4時間濯いだ。膜は、ついで、風乾した。その後、毛管をオーブン内に置き、窒素パージすることによって、膜をイミド化した。温度サイクルは、以下の通りであった:3時間かけて150℃まで徐々に加熱し、150℃で1時間加熱し、2時間かけて250℃まで徐々に加熱し、250℃で1時間加熱し、4時間かけて室温まで徐々に冷却した。生ずるポリイミド/PVP膜は、外径1.5mmおよび壁の厚さ0.3mmを有した。
【0066】
毛管H
内部凝固剤として20℃で100%水の溶液を使用して、チューブ−イン-オリフィス紡糸口金を通して、注型溶液Mを押出した。内部凝固剤の流速は、9ml/分で制御した。毛管は、空隙における滞留時間が6秒となるように速度5cm/秒で紡糸した。膜は、20℃、100%水浴中で凝固した。膜は、ついで、残留溶剤およびグリセロールの抽出が実質的に完了するまで室温で水により2〜4時間濯いだ。膜は、ついで、風乾した。その後、毛管をオーブン内に置き、窒素パージすることによって、膜をイミド化した。温度サイクルは、以下の通りであった:3時間かけて150℃まで徐々に加熱し、150℃で1時間加熱し、2時間かけて310℃まで徐々に加熱し、310℃で1時間加熱し、4時間かけて室温まで徐々に冷却した。生ずるポリイミド膜は、外径1.9mmおよび壁の厚さ0.25mmを有した。
【0067】
毛管I
注型溶液Aの代わりに、注型溶液Nを使用した以外は、毛管Aについての処理法に従い、毛管を製造した。毛管Iは、外径2.0mmおよび壁の厚さ0.21mmを有した。
【0068】
毛管J
以下の点を除き、毛管Aについての処理法に従い、毛管Jを製造した。使用した注型溶液は、注型溶液Oであり、紡糸温度は、35℃であった。内部凝固剤流速は、8ml/分で制御した。毛管紡糸速度は、7.0cm/秒であった。空隙の滞留時間は、4sであった。毛管Jは、外径1.60mmおよび壁の厚さ0.28mmを有した。
【0069】

上記した毛管および注型溶液を用いて、以下の膜を製造した。表1に、膜および毛管の組成をまとめる。
【0070】
膜A
31本の毛管Aの束をエポキシ樹脂と一緒にポットに入れ(potted)、膜表面積0.26m2を有する、長さ1.4mの毛管束を形成した。
【0071】
膜B
58本の毛管Bの束をエポキシ樹脂と一緒にポットに入れ、膜表面積0.40m2を有する、長さ1.1mの毛管束を形成した。
【0072】
膜C、D、E、FおよびG
注型溶液C、D、E、FおよびGを、それぞれ、ガラス板上にスピン・キャスト(spun-cast)して、膜C、D、E、FおよびGを生じさせた。ガラス板上の緻密な膜を大気下60℃で一晩乾燥させた。ついで、それらをオーブン内に入れ、N2ガスでパージした。温度サイクルは、以下の通りであった:3時間かけて150℃まで徐々に加熱し、150℃で1時間加熱し、2時間かけて250℃まで徐々に加熱し、250℃で1時間加熱し、4時間かけて室温まで徐々に冷却した。膜を水浴に浸軟させることによって、ガラス板から取り外した。乾燥した緻密な膜の厚さは、0.022〜0.035mmであった。
【0073】
膜H
5本の毛管Cの束をエポキシ樹脂と一緒にポットに入れ、膜表面積61cm2を有する、長さ23cmの毛管束を形成した。
【0074】
膜I
35本の毛管Dの束をエポキシ樹脂と一緒にポットに入れ、膜表面積0.25m2を有する、長さ1.3mの毛管束を形成した。
【0075】
膜J
9本の毛管Eの束をエポキシ樹脂と一緒にポットに入れ、膜表面積98cm2を有する、長さ21cmの毛管束を形成した。
【0076】
膜K
20本の毛管Fの束をエポキシ樹脂と一緒にポットに入れ、膜表面積66cm2を有する、長さ20cmの毛管束を形成した。
【0077】
膜L
10本の毛管Gの束をエポキシ樹脂と一緒にポットに入れ、膜表面積71cm2を有する、長さ19cmの毛管束を形成した。
【0078】
膜M
7本の毛管Hの束をエポキシ樹脂と一緒にポットに入れ、膜表面積74cm2を有する、長さ21.5cmの毛管束を形成した。
【0079】
膜N
52本の毛管Iの束から、膜Nを形成し、これらを一緒にポットに入れ、膜表面積0.43m2を有する、長さ1.52mの毛管束を形成した。
【0080】
【表1】

【0081】
実験
上記の膜と毛管とを使用することによって、以下の実験を行った。
実験1
ついで、140℃の22wt%の水、68wt%のエタノールおよび10wt%のフーゼル油の蒸気供給流で膜Aを試験した。供給は、毛管の内腔側に行った。透過液圧(permeate pressure)は、水冷浸透凝縮器の下流の減圧ポンプによって4.5kPaに維持した。供給圧は、200kPaに維持し、膜モジュールを横切る圧力降下は、無視可能であった。結果は、表2および3に示す。
【0082】
実験2
ついで、95℃の95wt%水および5wt%の酢酸の蒸気供給流で、膜Bを試験した。供給は、毛管の内腔側に行った。透過液圧は、水冷凝縮器の下流の減圧ポンプによって7.5kPaに維持した。供給圧は、水冷濃縮液(water cooled retentate)の下流の減圧ポンプによって24kPaに維持した。結果は、表2、3および5に示す。
【0083】
実験3
ついで、135℃の90wt%の水および10wt%の有機化合物の蒸気供給流で、膜Bを試験した。この供給流は、木材の樹皮熱分解プロセスからの水性副生物流(aqueous by-product stream)であった。それは、数百もの有機化合物を含有していた。高濃度での有機化合物は、酢酸、ヒドロキシプロパノンおよびフルフラールであった。供給は、毛管の内腔側に行った。透過液圧は、水冷凝縮器の下流の減圧ポンプによって7.1kPaに維持した。供給圧は、水冷保持の下流の減圧ポンプによって29kPaに維持した。実験は、定常状態の条件が達成され、かつ、透過性および選択性のデータが6〜10時間で一定となるまで、連続的に実施した。結果は、表2および3に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
実験4、5、6、7および8
実験4、5、6、7および8では、膜C、D、E、FおよびGを、それぞれ、試験セルに入れた。暴露される膜表面積は、27cm2であった。これらの膜は、ついで、85℃で90wt%および10wt%の酢酸の蒸気供給流によって試験した。透過液圧は、水冷凝縮器の下流の減圧ポンプによって4kPaに維持した。供給圧は、水冷濃縮液の下流の減圧ポンプによって35kPaに維持した。実験は、定常状態の条件が達成され、かつ、透過性および選択性のデータが3〜8日で一定となるまで、連続的に実施した。これら実験の結果は、表4に示す。
【0087】
【表4】

【0088】
実験9
85℃で95wt%の水および5wt%の酢酸の蒸気供給流によって、膜Hを試験した。供給は、毛管の内腔側であった。透過液圧は、水冷凝縮器の下流の減圧ポンプによって5kPaに維持した。供給圧は、水冷濃縮液の下流の減圧ポンプによって37kPaに維持した。結果は、表5に示す。
【0089】
実験10
95℃で95wt%の水および5wt%の酢酸の蒸気供給流によって、膜Iを試験した。供給は、毛管の内腔側であった。透過液圧は、水冷凝縮器の下流の減圧ポンプによって8kPaに維持した。供給圧は、水冷濃縮液の下流の減圧ポンプによって34kPaに維持した。結果は、表5に示す。
【0090】
実験11
85℃で95wt%の水および5wt%の酢酸の蒸気供給流で、膜Jを試験した。供給は、毛管の内腔側であった。透過液圧は、水冷凝縮器の下流の減圧ポンプによって7.5kPaに維持した。供給圧は、水冷濃縮液の下流の減圧ポンプによって40kPaに維持した。結果は、表5に示す。
【0091】
実験12
85℃で95wt%の水および5wt%の酢酸の蒸気供給流で、膜Kを試験した。供給は、毛管の内腔側であった。透過液圧は、水冷凝縮器の下流の減圧ポンプによって7kPaに維持した。供給圧は、水冷濃縮液の下流の減圧ポンプによって36kPaに維持した。結果は、表5に示す。
【0092】
実験13
85℃で95wt%の水および5wt%の酢酸の蒸気供給流で、膜Lを試験した。供給は、毛管の内腔側であった。透過液圧は、水冷凝縮器の下流の減圧ポンプによって7kPaに維持した。供給圧は、水冷濃縮液の下流の減圧ポンプによって36kPaに維持した。結果は、表5に示す。
【0093】
実験14
85℃で90wt%の水および10wt%の酢酸の蒸気供給流で、膜Mを試験した。供給は、毛管の内腔側であった。透過液圧は、水冷凝縮器の下流の減圧ポンプによって5kPaに維持した。供給圧は、水冷濃縮液の下流の減圧ポンプによって39kPaに維持した。結果は、表5に示す。
【0094】
【表5】

【0095】
実験15
ついで、20、85および140℃で表6に列挙した純粋な乾燥ガスおよび純粋な水蒸気で、膜Aを試験した。供給圧は、204kPaであり、濃縮液圧は、85℃での水蒸気以外は、全ての場合について101kPaであった。この場合について、供給圧は、43kPaであり、透過液圧は、10kPaであった。結果は、表6に示す。
【0096】
【表6】

【0097】
実験16
水/エタノール/フーゼル油、それぞれ、40/53/7重量%によって構成される蒸気供給流で6日間、膜Nを連続的に試験した。供給は、毛管の内腔側であった。水冷浸透凝縮器の下流の減圧ポンプによって透過液圧を8kPaに維持した。供給圧を410kPaに維持し、供給物導入口〜濃縮液排出口(retentate outlet)のモジュールを横切る圧力降下は、無視可能であった。実験は、145℃の温度で行った。
【0098】
実験16で得られた結果は、図6〜図8に示す。これらの図から、試験期間を通して膜の性能における損失は存在しなかったことがわかる。濃縮液流(図7参照)は、試験期間を通して、平均水濃度0.66wt%であった。濃度における変動は、主として、試料収集における誤差に起因する。透過液流(図8参照)は、平均約92.8wt%水であり、供給流(図6参照)は、平均で39.8wt%水であった。結果においてエタノールとして示される濃度は、フーゼル油を含む。したがって、これらの膜は、また、エタノール/水混合物を分離しうると推測することができる。
【0099】
実験17
毛管Jを25℃で3日間浸軟させ、それらの特性を飽和された管として測定した。特に、管Jは、室温で3日間、水、エタノールおよび強有機溶剤(NMP)で飽和させた。これらの管は、良好な機械的強さを維持した。得られた結果は、表7に見ることができる。
【0100】
【表7】

【0101】
本発明の膜は、連続操作モードで、水蒸気を有機蒸気および永久気体から分離するのに有用である。大表面積は、多数の毛管を一緒にポットに入れて、束を形成することによって得ることができる。連続供給流は、内腔側(bore side)または殻側(shell side)上で膜に入る。膜を横切る水蒸気分圧の差が透過のための推進力となる。分圧におけるこの差は、大気圧より高い圧力で蒸気を供給することによって得られる。それは、また、減圧を透過液側に適用することによるか、または、掃き出し(sweep)用蒸気またはガスを使用することによっても得られる。水蒸気についての膜透過性は、有機化合物および永久気体についてよりも高い。膜を横切って透過する供給液の一部は、連続透過液流中に出る。膜を横切って浸透されない一部は、連続保存液流中に出る。
【0102】
アルコールを経済的に脱水するための方法を示す。アルコール脱水のための装置の例は、図5に示す。エタノール/フーゼル油/水を相対的な重量パーセントで55/5/40含有する400kPaおよび140℃での蒸気供給流を、毛管モジュールに供給する。毛管モジュールまたは膜は、両方とも、140℃に維持した。モジュール1の透過液側圧は、冷却水温度によって決定される。大部分の工業的プロセスでは、冷却水温は、30℃未満に確実に保ちえない。かくして、実際に、減圧ポンプの前に、浸透水を凝縮可能とし、関連するポンプコストを抑えるために、透過液圧は、約5kPa未満でないのがよい。この圧力は、減圧ポンプで制御される。ポンプは、好ましくは、凝縮器前に散逸する水蒸気の比較的少量の濃縮を処理できるように、油ベース(oil-based)よりもむしろ水ベース(water-based)である。水蒸気の膨大な量がポンプ前に凝縮されるので、減圧ポンプに比較的軽い負荷が存在することに注意する必要がある。これら圧力条件下、第1モジュールの導出口での水濃度は、適当な膜面積が使用される場合、ほぼ0.5wt%であろう。残る少量の水は、所望される場合に、第1の毛管と直列の第2の毛管の透過液側により低い減圧を適用することによって除去される。圧力は、例えば、減圧ブロアーによって1kPaとなるように制御される。これら圧力条件下、アルコールは、脱水されて、最終水濃度0.1wt%未満を有することができる。
【0103】
本発明の膜は、非常に薄く、かつ、傷を有さないスキンを有し、有機化合物およびガスよりも、水について、高い水蒸気透過性と優れた浸透選択性を有する膜を製造するために使用することができる。これら方法は、傷を有しないスキンを製造する強制蒸発法および遅延分解法の限界を克服する。本発明の方法は、また、際立った化学的安定性および加水分解安定性を有する耐溶剤性膜の製造に適している。加水分解抵抗は、これら膜が使用され、高温で長時間水蒸気に暴露されるので、非常に重要である。加水分解抵抗が十分でない場合、ポリマーは、鎖切断を受けることもある。これは、膜の機械的特性を低下させ、膜を脆性とする。したがって、膜を横切る圧力の差の下で膜の破裂により、破損が生ずるであろう。表7に示したように、本発明の膜は、非常に興味深い機械的特性を有し、それらは、非脆性であり、かつ、破壊されにくい。
【0104】
得られる膜の熱安定性は、また、例外的であり、すなわち、それらは、300℃ほどの高温で使用することができる。実験16(図6〜図8)において、膜は、6日間、145℃の温度および透過液圧8kPaにさらすが、性能のロスは全くなかった。
【0105】
有利なことに、本発明の方法は、溶剤交換乾燥プロセスを必要とせず、水は、膜注型のための非溶剤として使用される。さらに、水が非溶剤として使用されるので、運転コストが削減され、溶剤回収が簡単であり、紡糸操作が、凝固剤として有機溶剤を使用する方法と比較して簡単である。この方法は、大きな膜容量を生ずるために必要とされる連続モードの操作によって製造するのに適している。
【0106】
水が、鎖切断により、ポリアミド酸ポリマーの機械的特性を低下させることが多いことは公知であった。しかし、本発明では、水を使用でき、また、適当な濯ぎまたは溶剤抽出を行いながら同時に、良好な機械的特性を維持することが可能であることが示された。好ましくは、これは、濯ぎ処理(濯ぎの時間および度合い)を正確に制御することによってなされうる。本発明の方法は、標準的な方法(溶剤交換プロセスと称される)とは異なり、続いて、1つ以上の有機溶剤での濯ぎを有する。溶剤交換法は、スキン層での孔崩壊を防止するために使用される。孔崩壊は、透過を減少させる過度に厚いスキンを与える。本発明の方法では、好ましくは、有機溶剤で濯ぐ必要がなく、水のみで濯ぐことによって薄いスキン層膜を製造することが可能である。有利なことには、水でのみ濯ぐことによって、有機溶剤での濯ぎの必要性がなく、これにより、製造コストをかなり削減することができる。このような長所は、その他の技術に関しても、注目に値する。
【0107】
本発明の膜または本発明の方法に従い製造される膜は、傷を有しないことが示された。事実、表3、4および6において得られた高い選択性は、明らかに、これら膜が傷を有しないことを示す。
【0108】
濯ぎ後の残留溶剤が膜の最終の機械的特性において重要な有益的役割を演ずることが見出された。例として、PVPおよびグリセロールは、水溶性であり、紡糸および濯ぎのプロセスの間に抽出される。しかし、若干の残留PVPは、膜内に残り得る。残留PVPは、選択性を高め得る。それは、また、破断点伸びおよび引張力の両方とも高めることができる。しかし、過剰の残留溶剤は、透過性にマイナスの効果を有し得る。
【0109】
ポリビニルピロリドン(PVP)をポリアミド酸(PAA)注型溶液に加える時、それは、生ずる膜の選択性を高め、それは、紡糸パラメータにより大きな柔軟性を与える。PVPがスキン層の傷孔の発生を防止するように作用することもまた見出された。PVPの使用は、膜紡糸により大きな柔軟性を提供し、品質を改善する。PVPは、水溶性ポリマーであり、凝固工程の間に水により一部抽出することができる。この工程後に残るPVPは、ポリイミド膜において固定化され、膨潤剤として作用して、スキン層の傷孔を介しての透過を減少させ、それによって、選択性を高める。
【0110】
PVPの付加は、幾つかの手段によって、選択性を高めるように作用することができる。特に、ポリイミド/PVPブレンドによって構成される膜は、水吸収を高める。水吸収が高まると、膜表面で傷孔をブロックする膨潤の増加を生ずる。第2に、PVPは、表面での小塊のからみの度合いを増加する。かくして、種(species)が膜スキンを横切って透過するためには、それが溶液拡散機構を受けなければならない。該種は、スキンで緻密なポリマーに吸収され、緻密なポリマー材料を介して拡散しなければならない。膜スキンの選択性は、かくして、高分子材料の固有選択性またはポリマー材料の緻密なフィルムの選択性と同等である。したがって、膜は、傷を有しない膜と考えられ得る。
【0111】
スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)の緻密な膜フィルムは、好ましくは、窒素パージしつつ250℃で硬化させる時、架橋が耐溶剤性である。このような硬化の間、それらは、それらの硫黄含量のほぼ50%を失う。このタイプの膜のもう1つの応用は、例えば、燃料電池用のプロトン交換膜である。硬化されたSPEEK膜は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)より高い水吸収を有する。SPEEKは、PAAと均質な注型溶液を形成し、ポリイミドとのブレンド膜を製造するために使用することができる。
【0112】
SPEEKは、水素イオンをその他のカチオンと交換するスルホン部分を有するポリマーであり、PAAと均質な注型溶液を形成し、ポリイミドとブレンド膜を製造するために使用することができる。これらの膜は、好ましくは、250℃で硬化させる時に硫黄を失わない。PAAの熱的変換前に、それを中和することによって、スルホン酸基を保護することもまた可能である。スルホン酸基は、イオン交換法によって塩から回収して、耐溶剤性のPI/SPEEK膜を得ることができる。これらの膜は、PI/PEEK架橋膜よりも高い水吸収を有する。それらは、また、高い水蒸気透過性を有する。好ましくは、SPEEKは、スルホン化度70%以上を有する。これらポリマーの塩は、また、ポリアミド酸と均質なブレンドを形成するために使用することができる。これらポリマーは、PAAと優れた混和性を有し、毛管膜を製造するために使用することのできる均質な注型溶液を形成することが見出された。
【0113】
幾つかの場合では、PI/SPEEKブレンド膜を製造するために、架橋および硫黄の喪失を防止することが望ましいかもしれない。これは、低温でより長い時間の熱変換によるか、または、ポリアミド酸の化学的変換によりなすことができる。あるいは、スルホン化されたポリマーの塩形を、250℃での硬化後に酸形に戻すことによる。このタイプのブレンド膜は、SPEEK膜よりも高い熱および化学抵抗と選択性とを有するプロトン交換膜として使用することができる。
【0114】
本発明の膜は、ゆるく充填された小塊凝集体の遷移層に支持された薄くて緻密なスキンを有することもできる。好ましくは、スキンと膜内側との間の遷移域は、なだらかというよりもむしろはっきりと画定される。スキン層が従来技術によって記載した方法よりも本発明の方法でよりよく画定される理由の1つは、より速い凝固速度によって説明することができる。このような速い凝固速度は、本発明の種々の実施態様の依存する数個の因子によることができる。ある種の好ましい実施態様に従えば、このような因子は、内部(内腔凝固体)および外部流体としてのみでの水の使用、PVPまたはSPEEKの存在、低いポリマー濃度、および、内側管径等である:
好ましくは、崩壊を受けるスキン層の下に小さな孔は存在しない。かくして、遷移域のゆるく充填された小塊凝集体は、水で浸軟した膜の乾燥に際し、有意に崩壊しない。ゆるく充填された小塊凝集体は、徐々に、さらに融合され、膜内部に高度に多孔質の格子構造を形成する。
【0115】
例示した実施態様を特に参考としつつ、本発明を説明したが、当業者であれば、その数多くの変形例が明らかであろう。したがって、上記説明および添付の図面は、本発明を例示するものと考えるべきで、本発明を何等限定する意味を有しない。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様に従う膜の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明のもう1つの好ましい実施態様に従う膜のSEM写真(走査電子顕微鏡)である。
【図3】図3は、本発明のなおもう1つの好ましい実施態様に従う膜のSEM写真(走査電子顕微鏡)である。
【図4】図4は、本発明のさらになおもう1つの好ましい実施態様に従う膜のSEM写真(走査電子顕微鏡)である。
【図5】図5は、本発明のさらに好ましい実施態様に従う膜を使用する装置の概略図である。
【図6】図6は、本発明の好ましい実施態様に従う膜で行われた性能試験から得られるグラフであり、ここで、試験は、連続時間で行った。
【図7】図7は、グラフ図6で試験した膜で行った試験から得られるもう1つのグラフである。
【図8】図8は、グラフ図6で試験した膜で行った試験から得られるなおもう1つのグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤に実質的に不溶性であり、かつ、実質的に傷を有しない、非対称の一体的にスキンで覆われた膜であって、ポリイミド並びにポリビニルピロリドン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトンおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもう1つのポリマーとを含むことを特徴とする前記膜。
【請求項2】
前記ポリイミドが、ポリアミド酸を硬化させることによって得られ、前記ポリアミド酸が、二無水物モノマーとジアミンモノマーとを反応させることによって得られる、請求項1に記載の膜。
【請求項3】
前記二無水物モノマーが、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物、二無水ピロメリット酸、ビフェニル四カルボン酸二無水物、ジカルボキシフェニルヘキサフルオロプロパン二無水物、ジフェニルスルホン四カルボン酸二無水物、オキシ二無水フタル酸およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項2に記載の膜。
【請求項4】
前記二無水物モノマーが、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物または二無水ピロメリット酸である、請求項2に記載の膜。
【請求項5】
前記二無水物モノマーが、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物である、請求項2に記載の膜。
【請求項6】
前記二無水物モノマーが、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物であり、前記ジアミンモノマーが、オキシジアニリンである、請求項2に記載の膜。
【請求項7】
前記二無水物モノマーが、二無水ピロメリット酸であり、前記ジアミンモノマーが、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼンである、請求項2に記載の膜。
【請求項8】
前記二無水物モノマーが、二無水ピロメリット酸であり、前記ジアミンモノマーが、オキシジアニリンである、請求項2に記載の膜。
【請求項9】
前記二無水物モノマーが、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物であり、前記ジアミンモノマーが、ジアミノジフェニルスルホンである、請求項2に記載の膜。
【請求項10】
有機溶剤に実質的に不溶性であり、かつ、実質的に傷を有しない、非対称の一体的にスキンで覆われた膜であって、
ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物とジアミンモノマーとを反応させることによって得られるポリアミド酸の硬化によって得られるポリイミド、並びに、
ポリビニルピロリドン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトンおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもう1つのポリマー
を含むことを特徴とする前記膜。
【請求項11】
前記ジアミンモノマーが、オキシジアニリン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-[4-アミノフェノキシ]フェニル)スルホン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼンおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項2〜5および10のいずれか1項に記載の膜。
【請求項12】
前記ジアミンモノマーが、オキシジアニリン、ジアミノジフェニルスルホンおよびビス(アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群より選択される、請求項2〜11のいずれか1項に記載の膜。
【請求項13】
前記ジアミンモノマーが、オキシジアニリンである、請求項2〜11のいずれか1項に記載の膜。
【請求項14】
前記膜が、約85℃の温度で、水/酢酸についての蒸気透過選択性として少なくとも250の値を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の膜。
【請求項15】
前記膜が、約85℃の温度で、水/酢酸についての蒸気透過選択性として少なくとも290の値を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の膜。
【請求項16】
前記蒸気透過選択性が250〜500の範囲にある、請求項14に記載の膜。
【請求項17】
前記その他のポリマーが、ポリビニルピロリドンである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の膜。
【請求項18】
前記有機溶剤が、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、C1-C6アルコール、C1-C6カルボン酸、C1-C7アルデヒド、C3-C8ケトン、C6-C8フェノール、C3-C10エステル、C5-C12アルカン、C1-C4アミン、C2-C6アミドおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の膜。
【請求項19】
前記有機溶剤が、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドからなる群より選択される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の膜。
【請求項20】
前記有機溶剤が、N-メチルピロリドンである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の膜。
【請求項21】
前記ポリビニルピロリドンが、平均分子量として約5,000〜約500,000g/molを有する、請求項1〜20のいずれか1項に記載の膜。
【請求項22】
前記膜が、内表面と外表面とを有する少なくとも1つの毛管を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の膜。
【請求項23】
前記管が、0.4mmより大きい外径を有する、請求項22に記載の膜。
【請求項24】
前記管が、前記内表面上にスキン層を有する、請求項22または23に記載の膜。
【請求項25】
前記管が、前記外表面上にスキン層を有する、請求項22または24に記載の膜。
【請求項26】
前記スキンが、実質的に傷を有しない、請求項24または25に記載の膜。
【請求項27】
前記膜が、約30〜約200℃の温度で、水についての蒸気透過性として少なくとも1×10-7mol/m2秒Paを有する、請求項1〜26のいずれか1項に記載の膜。
【請求項28】
前記膜が、約80℃の温度で、水についての蒸気透過性として少なくとも4×10-7mol/m2秒Paを有する、請求項1〜26のいずれか1項に記載の膜。
【請求項29】
前記膜が、約140℃の温度で、水/エタノールについての蒸気透過選択性として少なくとも250の値を有する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の膜。
【請求項30】
前記膜が、約140℃の温度で、水/エタノールについての蒸気透過選択性として少なくとも290の値を有する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の膜。
【請求項31】
前記膜が、約20℃の温度で、O2/N2についてのガス浸透選択性として少なくとも5.0の値を有する、請求項1〜30のいずれか1項に記載の膜。
【請求項32】
前記膜が、約20℃の温度で、O2/N2についてのガス浸透選択性として少なくとも6.0の値を有する、請求項1〜30のいずれか1項に記載の膜。
【請求項33】
前記膜が、250℃までの温度で、熱的に安定である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の膜。
【請求項34】
有機溶剤に実質的に不溶性であり、かつ、実質的に傷を有しない、非対称の一体的にスキンで覆われた膜であって、
ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物とジアミンモノマーとを反応させることによって得られるポリアミド酸の硬化によって得られるポリイミド、並びに、
ポリビニルピロリドン、ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン、スルホン化されたポリフェニレンオキシド、スルホン化されたポリスルホン、スルホン化されたポリエーテルスルホン、スルホン化されたポリフェニルキノキサリンおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもう1つのポリマー
を含むことを特徴とする前記膜。
【請求項35】
前記膜が、乾燥した時、25℃で、引張力として少なくとも1.5kg/mm2を有する、請求項1〜34のいずれか1項に記載の膜。
【請求項36】
前記膜が、乾燥した時、25℃で、引張力として少なくとも1.8kg/mm2を有する、請求項1〜34のいずれか1項に記載の膜。
【請求項37】
前記膜が、乾燥した時、25℃で、破断点伸びとして少なくとも15%を有する、請求項1〜36のいずれか1項に記載の膜。
【請求項38】
前記膜が、乾燥した時、25℃で、破断点伸びとして少なくとも30%を有する、請求項1〜36のいずれか1項に記載の膜。
【請求項39】
水と有機化合物とを含む溶液を脱水するための、請求項1〜38のいずれか1項に記載の膜の使用。
【請求項40】
前記有機化合物が、酢酸、エタノール、酢酸エチルおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項39の使用。
【請求項41】
有機化合物と水とを含む溶液を濃縮するための、請求項1〜38のいずれか1項に記載の膜の使用。
【請求項42】
水性蒸気流から有機化合物を回収するための、請求項1〜38のいずれか1項に記載の膜の使用。
【請求項43】
水処理のための、請求項1〜38のいずれか1項に記載の膜の使用。
【請求項44】
反応が行われる容器から水蒸気を除去することによって化学反応推進力を増加するための、請求項1〜38のいずれか1項に記載の膜の使用。
【請求項45】
フィッシャー-トロップシュ・プロセスまたは合成ガスの製造のためのプロセスにおける、請求項1〜38のいずれか1項に記載の膜の使用。
【請求項46】
有機化合物の放出を減少させるか、エネルギー消費を減少させるか、または、木材乾燥機の性能を改善するための、請求項1〜38のいずれか1項に記載の膜の使用。
【請求項47】
非対称の一体的にスキンで覆われたポリイミド膜を製造する方法であって、
a) ポリアミド酸並びにポリビニルピロリドン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトンおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもう1つのポリマー並びに第1の有機溶剤とを含む注型溶液を、水を含む内腔凝固剤を使用して、予め決められた速度で紡糸口金の環状開口部を通して押出し、前記ポリアミド酸を含有する非対称の一体的にスキンで覆われた膜を形成する工程、
b) 予め決められた温度を有する水浴中で、工程(a)で得られた非対称の一体的にスキンで覆われた膜を凝固させる工程、
c) 凝固した膜を水で濯ぎ、該膜から前記第1の有機溶剤を除去する工程、
d) 濯いだ膜を乾燥させる工程、および、
e) 乾燥した膜を硬化させて、前記ポリイミド膜を得る工程
を含み、
それによって、前記ポリイミド膜が、第2の有機溶剤に実質的に不溶性であり、かつ、実質的に傷を有しないことを特徴とする前記方法。
【請求項48】
前記その他のポリマーが、ポリビニルピロリドンである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリアミド酸が、二無水物モノマーとジアミンモノマーとを一緒に反応させることによって製造される、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記二無水物モノマーが、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物、二無水ピロメリット酸、ビフェニル四カルボン酸二無水物、ジカルボキシフェニルヘキサフルオロプロパン二無水物、ジフェニルスルホン四カルボン酸二無水物、オキシ二無水フタル酸およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記二無水物モノマーが、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物および二無水ピロメリット酸からなる群より選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記二無水物モノマーが、ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物である、請求項49に記載の膜。
【請求項53】
非対称の一体的にスキンで覆われたポリイミド膜を製造する方法であって、
a) ベンゾフェノン四カルボン酸二無水物とジアミンモノマーとを反応させることによって得られるポリアミド酸および第1の有機溶剤を含む注型溶液を、水を含む内腔凝固剤を使用して、予め決められた速度で紡糸口金の環状開口部を通して押出し、前記ポリアミド酸を含有する非対称の一体的にスキンで覆われた膜を形成する工程、
b) 予め決められた温度を有する水浴中で、工程(a)で得られた非対称の一体的にスキンで覆われた膜を凝固させる工程、
c) 凝固した膜を水で濯ぎ、該膜から前記第1の有機溶剤を除去する工程、
d) 濯いだ膜を乾燥させる工程、および、
e) 乾燥した膜を硬化させて、前記ポリイミド膜を得る工程
を含み、
それによって、前記ポリイミド膜が、第2の有機溶剤に実質的に不溶性であり、かつ、実質的に傷を有しないことを特徴とする前記方法。
【請求項54】
前記注型溶液が、さらに、もう1つのポリマーを含有し、前記その他のポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン、スルホン化されたポリフェニレンオキシド、スルホン化されたポリスルホン、スルホン化されたポリエーテルスルホン、スルホン化されたポリフェニルキノキサリンおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記注型溶液が、さらに、もう1つのポリマーを含有し、前記その他のポリマーが、ポリビニルピロリドンである、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記ジアミンモノマーが、オキシジアニリン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-[アミノフェノキシ]フェニル)スルホンおよびビス(アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群より選択される、請求項49〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記ジアミンモノマーが、オキシジアニリン、ジアミノジフェニルスルホンおよびビス(アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群より選択される、請求項49〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記ポリアミド酸が、前記溶液中に、溶液の合計重量に基づき、約8〜約30重量%の範囲の量存在する、請求項47〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の有機溶剤が、前記溶液中に、溶液の合計重量に基づき、約50〜約90重量%の範囲の量存在する、請求項47〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記予め決められた速度が、約1〜約100cm/秒の範囲にある、請求項47〜59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記予め決められた速度が、約6〜約14cm/秒の範囲にある、請求項47〜59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記内腔凝固剤が、約1〜約100mL/分の範囲の流速を有する、請求項47〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記内腔凝固剤の流速が、約6〜約18ml/分の範囲にある、請求項47〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記内腔凝固剤が、水である、請求項47〜63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
工程(c)において、膜が、少なくとも0.1時間、水で濯がれ、かつ、水で浸軟される、請求項47〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
膜が、少なくとも1.0時間、水で濯がれ、かつ、水で浸軟される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
工程(c)において、水が、約0〜約50℃の温度である、請求項47〜66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
工程(c)において、水が、約15〜約25℃の温度である、請求項47〜66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
工程(e)が、前記膜をオーブン内に置き、前記膜を加熱し、前記膜を不活性ガスでパージすることによって行われる、請求項47〜68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記その他のポリマーが、前記溶液中に、溶液の合計重量に基づき、約0.1〜約60.0重量%の範囲の量存在する、請求項47〜52、54および55ののいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記ポリビニルピロリドンが、平均分子量として約5000〜約500,000g/molを有する、請求項47、54および55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
注型溶液が、さらに、非溶剤を含有する、請求項47〜71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記非溶剤が、前記溶液中に、溶液の合計重量に基づき、0〜約30.0重量%の範囲の量存在する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記非溶剤が、エチレングリコール、エタノール、グリセロール、水、メタノール、酢酸、プロピオン酸およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
前記非溶剤が、グリセロールである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
第2の有機溶剤が、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、C1-C6アルコール、C1-C6カルボン酸、C1-C7アルデヒド、C3-C8ケトン、C6-C8フェノール、C3-C10エステル、C5-C12アルカン、C1-C4アミン、C2-C6アミドおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項47〜75のいずれか1項に記載の膜。
【請求項77】
第2の有機溶剤が、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドからなる群より選択される、請求項76に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−528057(P2006−528057A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520637(P2006−520637)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001047
【国際公開番号】WO2005/007277
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(506294417)ヴェイパーマ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】