説明

耐溶媒性ポリウレタン接着組成物

【課題】新規な耐溶媒性接着組成物、及びその調製方法の提供。
【解決手段】当該耐溶媒性接着剤は、水酸基又は尿素又は炭化水素末端を有する不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素と、有機過酸化物又は水素化シリコーンとを架橋することによって得られる。接着組成物は例えば、感圧接着剤の成分として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
耐溶媒性が接着剤に求められる用途が幾つか存在する。かかる具体例としては自動車産業、航空宇宙産業及び消費者ラベルなどが挙げられ、そこでは芳香族若しくは脂肪族溶媒、及び油に対する曝露が生じるのが特徴である。耐溶媒性接着剤は、環境中若しくは医学研究室などの分析を行う研究所で使用するラベルが重要なサンプルの識別情報である場合に、その機能の損失を防止するためにも必要となるものである。更なる用途としては、更なる処理を行おうとする電子ラベル又はマスク領域への用途、衣類用のドライクリーニングラベルへの用途、脱脂工程(識別ラベル又はマスク領域の剥離を必要とする場合)への用途が挙げられる。現在の多くの圧力感受性接着剤又は熱活性化接着剤の接着特性は、様々な基板へのラベルの用途に適しているが、これらは耐溶媒性を有さず、ゆえに耐溶媒性接着剤の提供が切に求められている。
【0003】
特許文献1(Chao、H)には、二官能基鎖伸長剤で鎖延長されたポリイソシアネートと反応する、水酸基末端官能基を有する非分岐状及び分岐ポリブタジエン組成物が開示されている。但し、アルコール、モノイソシアネートなどの単官能基組成物による鎖伸長の停止、又は過酸化物による架橋若しくはシリコーンヒドロシリル化などに関しては何ら記載されていない。
【0004】
特許文献2(Mori、M)にはポリオレフィン用の水分架橋プライマー組成物が開示されており、当該組成物は水素化ポリブタジエン、0.1〜10重量%のイソシアネート含量のポリイソシアネートプレポリマー、更にはアミノシランとの反応生成物を含有する。但し、過酸化物による架橋に関する開示は存在せず、また開示されている水素化ポリブタジエン組成物では、シリコーンのヒドロシリル化が生じるため、更なる架橋反応の反応性に乏しくなる。
【0005】
幾つかの耐溶媒性接着剤については、従来技術において既に開示されている。例えば特許文献3(Sadamitsu、Kら)は、熱可塑性ポリスチレン−ポリブタジエンブロックコポリマー、又は、アクリル修飾ポリブタジエンと結合したエチレン−酢酸ビニル共重合体などの他の熱可塑性ゴムとのその混合物に関して教示している。
【0006】
特許文献4(Ueno、H)はエチレンイオノマ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、合成樹脂の熱硬化剤及び増粘剤を含有する化合物を開示している。
【0007】
特許文献5(Mishima、Mら)は、アミノアルキルアルコキシシラン化合物と、末端イソシアネート反応性基を有するポリエステル−アミドとを反応させることにより調製される、末端アルコキシル基を有するポリエステルアミドポリウレタンを含有する、耐溶媒性ホットメルト接着剤を開示している。
【0008】
特許文献6(Mishima、Mら)は、ビニル化合物(例えばメチルアクリレート、イソブチルメタクリレートなど)と、ビニルジオキサゾロン化合物との反応生成物を含有する耐溶媒性アクリル接着剤を開示している。
【0009】
特許文献7(Okada、Cら)は、がイソシアネート基含有アルコキシシラン(すなわち例えばヘキサメチレンジイソシアネートの付加生成物)と、3−アミノプロピルトリエトキシ−シランとの反応により得られるアミノ基末端ポリアミド樹脂を含有する耐溶媒性接着剤を開示している。
【0010】
特許文献8(Okada、Cら)は、水酸基を含有するポリエステル樹脂と、イソシアネート基含有加水分解性有機シリコン化合物との反応によって得た、シラン修飾ポリエステル樹脂を含有する耐溶媒性接着剤を開示している。
【0011】
特許文献9(Mishima、Mら)は、末端エチレン基を有する不飽和ポリエステル樹脂を含有する耐溶媒性アクリル接着剤(イソシアネート反応性基を有するエチレン化合物と、不飽和反応生成物ポリエステル樹脂の末端ヒドロキシル基又はカルボキシル基との反応物質)を開示している。
【0012】
特許文献10(Mishima、Mら)は更に、エポキシ(メタ)アクリレートと、分子中にエチレン二重結合を有する不飽和ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基との反応によって得られた、末端エチレン二重結合を有する不飽和ポリエステル樹脂を含有する耐溶媒性アクリル接着剤を開示している。
【0013】
特許文献11(Yamazaki、Hら)は、アジリジニル基及びエチレン基を有する化合物と、ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基とを反応させることによって得られる、末端エチレン二重結合を有するポリアミド樹脂を含有する耐溶媒性接着剤を開示している。
【0014】
特許文献12(Yamazaki、Hら)は、鎖の両末端及び鎖内部のエチレン二重結合を有する不飽和ポリエステル樹脂(アジリジニル基及びエチレン基を有する化合物と不飽和ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基とを反応させることによって得られる)を含有する耐溶媒性接着剤を開示している。
【0015】
特許文献13(Yamazaki、Hら)は、鎖の両末端及び鎖内部のエチレン二重結合を有する不飽和ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂の末端水酸基とエポキシ(メタ)アクリレートとを反応させることによって得られる)を含有する耐溶媒性接着剤を開示している。
【0016】
特許文献14(Ooguro、Kら)は、高分子量ジオール(好ましくはポリエチレン−ブチレン−アジペートのポリエステルジオール、二価イソシアネート化合物、鎖伸長剤)と、ピペリジン環などの窒素原子含有化合物との反応によって得られる耐溶媒性接着剤を開示している。
【0017】
特許文献15(Okada、Cら)には、ポリアミド樹脂を含有する耐溶媒性接着剤が開示されており、末端アミノ基と、イソシアネート修飾(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル単量体とを反応させることにより、(メタ)アクリロイル基を有するポリアミド樹脂を得ることを特徴とする。過酸化物などのラジカル発生剤を用いて前記組成物を硬化させる。
【0018】
特許文献16(Nishikawa、Aら)は、ブロックコポリマーとイソシアネートプレポリマーとを化合させることにより調製される組成物を含有する耐溶媒性接着剤を開示している。ブロックコポリマーは少なくとも2種類の芳香族ビニル単量体からなるブロック、及び少なくとも1つの種類の共役ジエン単量体からなるブロックを含んでなり、ジエン単量体からなるブロックの少なくとも50%の炭素=炭素二重結合が水素化されている(例えば水素化スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体)。イソシアネートプレポリマーは、イソシアネート化合物と液体ポリマーとを反応させることによって得られ、イソプレンのポリマー又はイソプレン−ブタジエン混合物を含有し、分子内に1.5〜5.0個の水酸基を有し、少なくとも50%の炭素=炭素二重結合が水素化されている。
【0019】
特許文献17(Nishikawa、Aら)は、ベースポリマーを、粘着性樹脂及び任意に軟化剤又はワックス、ブロックコポリマー(1つ以上の水素化されたブタジエンポリマーブロックを含有する)、1つ以上の芳香族のビニル化合物のポリマーブロック、並びに実質的にオレフィンポリマー構造を有する1つ以上のポリマーブロックを含有する耐溶媒性接着剤を開示している。
【特許文献1】米国特許出願公開第20040122176号公報
【特許文献2】米国特許第5223575号公報
【特許文献3】特開昭56−082863号公報
【特許文献4】特開昭57−207663号公報
【特許文献5】特開昭59−172575号公報
【特許文献6】特開昭59−174672号公報
【特許文献7】特開昭61−047774号公報
【特許文献8】特開昭61−218631号公報
【特許文献9】特開昭61−218672号公報
【特許文献10】特開昭61−218673号公報
【特許文献11】特開昭62−057480号公報
【特許文献12】特開昭62−057479号公報
【特許文献13】特開昭62−057478号公報
【特許文献14】特開昭62−089782号公報
【特許文献15】特開昭61−218631号公報
【特許文献16】特開平03−259981号公報
【特許文献17】特開平09−165565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、耐溶媒性接着組成物の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
当該耐溶媒性接着剤は、水酸基又は尿素又は炭化水素末端を有する不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素と、有機過酸化物又は水素化シリコーンとを架橋することによって得られる。接着組成物は例えば、感圧接着剤の成分として有用である。
【0022】
本発明のポリウレタンポリマーは、不飽和ポリオール(例えば水酸基末端ビニル含有ポリマー)に由来し、それはポリイソシアネートと反応して、不飽和水酸基末端ポリウレタン若しくはポリウレタン尿素、尿素末端ポリウレタン若しくはポリウレタン尿素、又は炭化水素末端ポリウレタン又はポリウレタン尿素を形成する。当該水酸基末端ビニル含有ポリマーは、好ましくはポリブタジエンである。但し、本願明細書に記載の目的に適する他のいかなるビニル含有ポリマーも使用できる。他の不飽和ポリオールとしては、ポリエステル及びアクリル系ポリマーが挙げられる。本発明は特に、ポリブタジエンの例を参照しながら以下に説明する。不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素は更に、過酸化物、好ましくは水素化シリコーンによって以下のように架橋され、感圧接着組成物の成分として供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
A.ヒドロキシ−末端を有するポリブタジエンポリウレタン又はポリウレタン尿素:
水酸基末端ポリブタジエンベースのポリウレタン又はポリウレタン尿素ポリマーは、1つ以上の水酸基末端を有する、任意に水素化された、直鎖状若しくは分岐状のポリブタジエンホモポリマー又は共重合体と、有機ポリイソシアネート(例えば有機ジイソシアネート、又は有機ジイソシアネートと有機ポリイソシアネートとのブレンドであって、分子あたり、2個超のNCO基が存在する)と、並びに任意に1つ以上の他の二官能基化合物及び/又は水酸基末端ポリマーとを反応させ、水酸基末端ポリウレタン又はポリウレタン尿素ポリマー形成させることにより得られる(但し水酸基の全当量が、イソシアネート基の全当量を上回る場合である)。ポリウレタン尿素組成物の場合には、1つ以上のアミン系の鎖伸長剤を添加して水酸基末端ポリマーを調製する。適切なアミン鎖伸長剤に関しては後述する。
【0024】
本発明に有用な水酸基末端ポリウレタン又はポリウレタン尿素ポリマーは、有機ポリイソシアネート(例えば上記のようなジイソシアネート、好適にはイソホロンジイソシアネート、又は有機ジイソシアネートと有機ポリイソシアネートのブレンドであって、分子あたり2つ超のNCO基が存在する)と、化学量論過剰量の、適当な水酸基末端を有する1つ以上のポリブタジエンホモポリマー及び/又は1つ以上の共重合体との反応により調製できる。それぞれの反応物質の反応性に応じて、後述するような触媒を適宜使用してもよい。反応温度は通常約60℃〜約90℃の範囲である。反応時間は通常約2時間〜約16時間のオーダーである。反応混合物には、上記したような1つ以上の鎖伸長剤及び/又は他のポリオールを含有させてもよい。任意に溶媒又は溶媒混合物を用いてもよい。
【0025】
水酸基末端ポリウレタンポリマーの調製に関しては、NCOイソシアネート(NCO基)当量に対するヒドロキシ基(OH基)当量を少なくともわずかにモル過剰として、水酸基末端を有するポリブタジエン鎖を調製する。好適には、OHに対するNCOのモル比は、使用する具体的な水酸基末端ポリブタジエンにより約0.3〜約0.99、より好ましくは約0.5〜約0.95で適宜変化させる。
【0026】
B.尿素末端を有するポリブタジエンポリウレタン又はポリウレタン尿素:
尿素末端ポリブタジエンベースのポリウレタン又はポリウレタン尿素ポリマーは、1つ以上の水酸基末端を有する、任意に水素化された、直鎖状若しくは分岐状のポリブタジエンホモポリマー又は共重合体と、有機ポリイソシアネート(例えば有機ジイソシアネート、又は有機ジイソシアネートと有機ポリイソシアネートとのブレンドであって、分子あたり、2個超のNCO基が存在する)と、並びに任意に1つ以上の他の二官能基化合物及び/又は水酸基末端ポリマーとを反応させ、水酸基末端ポリウレタン又はポリウレタン尿素ポリマー形成させることにより得られる(但しイソシアネート基の全当量が、水酸基の全当量を上回る場合である)。ポリウレタン尿素組成物の場合には、1つ以上のアミン系の鎖伸長剤を添加してイソシアネート基末端ポリマーを調製する。適切なアミン鎖伸長剤に関しては後述する。
【0027】
本発明に有用な尿素末端ポリウレタン又はポリウレタン尿素ポリマーは、有機ポリイソシアネート(例えば上記のようなジイソシアネート、好適にはイソホロンジイソシアネート、又は有機ジイソシアネートと有機ポリイソシアネートのブレンドであって、分子あたり2つ超のNCO基が存在する)と、化学量論的に少ない量の、適当な水酸基末端を有する1つ以上のポリブタジエンホモポリマー及び/又は1つ以上の共重合体との反応により調製できる。反応は、所定のNCO濃度(NCO重量%として正確に測定)となった時点(その時点に第1級若しくは第2級有機アミンが添加される)に行われる。アミンは残留するイソシアネート反応性基と反応し、尿素末端基を形成する。尿素末端ポリブタジエンポリウレタンの場合、適切な第1級若しくは第2の有機アミンとしては、限定されないがエチルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、エチルブチルアミンなどが挙げられる。それぞれの反応物質の反応性に応じて、後述するような触媒を適宜使用してもよい。反応温度は通常約60℃〜約90℃の範囲である。反応時間は通常約2時間〜約16時間のオーダーである。反応混合物には、上記したような1つ以上の鎖伸長剤及び/又は他のポリオールを含有させてもよい。任意に溶媒又は溶媒混合物を用いてもよい。
【0028】
尿素末端ポリウレタンポリマーの調製に関しては、水酸基(OH基)当量に対するNCOイソシアネート(NCO基)当量を少なくともわずかにモル過剰として、尿素末端を有するポリブタジエン鎖を調製する。好適には、OHに対するNCOのモル比は、使用する具体的な尿素末端ポリブタジエンにより約1.02〜約2、より好ましくは約1.05〜約1.5で適宜変化させる。
【0029】
B.炭化水素末端を有するポリブタジエンポリウレタン又はポリウレタン尿素:
上記した水酸基末端ポリブタジエンポリウレタン又はポリウレタン尿素ポリマーは、モノイソシアネート(すなわちトルエンイソシアネート)を使用して、上記の水酸基末端不飽和ポリウレタンの水酸基と反応させて炭化水素末端としてもよい。モノイソシアネートは、好ましくはわずかな過剰の化学量論量(すなわち約1.02のNCO/OH)で反応させ、炭化水素ポリブタジエンポリウレタンを得る。
【0030】
更に、上記のイソシアネート末端ポリウレタン又はポリウレタン尿素ポリマーは、メタノール、エタノールなどの一価アルコールと反応させて、イソシアネート官能基フリーの炭化水素末端不飽和ポリブタジエンポリウレタン又はポリウレタン尿素を調製することができる。
【0031】
水酸基末端ポリウレタンポリマーの調製に有用な水酸基末端ポリブタジエンは、約500〜約10,000、好適には約800〜約5,000の数平均分子量(Mn)を有し、約0.1〜約2.0meq/g、好適には約0.3〜約1.8meq/gの第1級水酸基含有量であり、存在するオレフィン部位における0〜100%の水素化度であり、及び0〜約50重量%の1つ以上の更なる共重合単量体の平均含量である。
【0032】
上記のタイプの水酸基末端ポリブタジエンは、分子あたり平均で複数の、主に第1級酸基、例えば分子あたり平均で約1.5〜約3若しくはそれ以上の第1級水酸基を有する場合に、本発明に最適に使用される。分岐状の水酸基末端ポリブタジエンは、1分子あたり平均少なくとも約2の、好適には約2.4〜約2.8の水酸基端末を有し、主に主鎖に位置する水酸基(すなわちポリマーの末端ヒドロキシル基)は、二重結合した炭素原子に隣接する炭素原子に結合している。
【0033】
本発明において、使用されるポリブタジエンポリマーで生じるcis−1,4、trans−1,4及び1,2−ビニル不飽和の比率は本発明にとり重要ではないが、シリコーンのヒドロシリル化のためには、1,2−ビニル不飽和が好適であり、水酸基の数及び位置、並びにポリブタジエンポリマーの分子量は、それらの製造の際に採用される方法により変化する。この詳細については公知であり、例えば米国特許第5376745号、第5391663号、第5393843号、第5405911号、第5416168号、第5391637号、第5393843号、第5418296号に記載されており、これらの内容を本願明細書に援用する。
【0034】
これらの特徴を有する水酸基末端ポリブタジエンは幾つか市販されており、本発明においてそれらを簡便に使用することができる。
【0035】
本願明細書に有用な水酸基末端ポリブタジエンに、1つ以上の他の共重合性単量体を添加することにより、本発明に係るポリマー及びそれを用いて調製される感圧接着組成物に、特に望ましい特性を付与することもできる。共重合性単量体の総量は、水酸基末端ポリブタジエン共重合体の平均50重量%を越えないのが好ましい。当該共重合性単量体としては、モノオレフィン及びジエン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソプレン、クロロプレン、2,3−メチル−1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエンなど)、及びエチレン含有不飽和単量体(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルスチレン、メチルアクリレート、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルなど)が挙げられる。それらの代わりに、又はそれらに加えて、水酸基末端ポリブタジエンと1つ以上の他の単量体とを反応させ、水酸基末端ブロックコポリマーを調製してもよい。かかる単量体としては、1,2−エポキシド、例えばポリエーテル部分を提供するエチレンオキシド及びプロピレンオキシド、ポリエステル部分を提供するe−カプロラクトンなどが挙げられる。
【0036】
水酸基末端ブタジエンベースのポリマーに加えて、反応混合物中に、1つ以上の鎖伸長剤及び/又は1つ以上の他のポリオールを含有させてもよい。適切な鎖伸長剤の例としては、多価アルコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、メチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、メチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール)、又はジアミン(例えば1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、3−(2−プロピルアミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル−(2−プロピルアミン)などが挙げられる。
【0037】
更なるポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリブタジエンジオール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール及びトリオールなどが挙げられ、それらの全ては少なくとも2つの第1級水酸基を有する。
【0038】
好適な有機ポリイソシアネートとしては、ポリウレタンポリマーの調製に通常用いられる、いかなる周知の有機ポリイソシアネート(特に有機ジイソシアネート)であってもよい。好適なジイソシアネートとしては、例えば2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−及び4,4’異性体の混合物を含有する様々な液体ジフェニルメタン−ジイソシアネート、Desmodur N(バイエル社製)など、並びにそれらの混合物が挙げられる。特にイソホロンジイソシアネートが、本発明のポリウレタンポリマーの調製への使用に適している。
【0039】
ポリウレタンポリマーの調製に有用な適切な触媒としては、ジブチルスズジラウレートなどのジアルキルスズジカルボネート、ジブチルスズアセテート及びジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スズ、第3級アミン、スズカルボン酸塩(例えばオクタン酸スズ及び酢酸スズ)などが挙げられる。
【0040】
C.架橋ポリウレタン
本発明の一実施形態では、不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、架橋剤(例えば有機パーオキシド)又は、好ましくは水素化シリコーン(下記参照)との反応によって架橋される。
【0041】
適切な有機パーオキシドとしては、ジアルキルパーオキシド(例えばジtert−ブチルパーオキシド又はジクミルパーオキシド)、ヒドロパーオキシド(例えばクメンヒドロパーオキシド又はtert−ブチルヒドロパーオキシド)、パーエステル(例えばtert−ブチルパーベンゾアート、tert−ブチルパー3,5,5−トリメチルヘキサノエート又はtert−ブチルパー−2−エチルヘキサノエート)などが挙げられる。ベンゾイルパーオキシドが好ましいパーオキシドである。
【0042】
本発明の他の一実施形態では、水素化シリコーンは、以下の群から選択される式で表される、実質的に直鎖状の水素シロキサンである:
MDD’M、
MD’M、
MDD’M’、
M’DD’M’及び
M’DM’
(式中、MはRSiO1/2として定義され、M’はH3−gSiO1/2として定義され、D=RRSiO2/2であり、D’=RHSiO2/2であり、各Rは独立に約1〜40の炭素原子数の一価の炭化水素であり、添字e及びfはゼロ又は正の数であってもよく、e及びfの合計は約10〜約100であり、f及びgの合計は少なくとも2である)。
【0043】
本発明の他の実施形態では、Rは置換若しくは非置換のアリール、アルカリル又はアルキル基である。
【0044】
本発明の他の実施形態では、M’はジメチルスチリルシロキシ基であり、Rはスチリル基である。
【0045】
架橋はシリコーンヒドロシリル化条件下で実施され、上記の水素化シリコーンに加えて、ヒドロシリル化触媒及び任意にヒドロシリル化阻害剤を使用する。調製された接着剤コーティングは基材(すなわちポリエステル、ポリアミドなどのフィルム)上へ塗布され、次いで溶媒が存在する場合にはそれを除去し、更に高温で硬化させる。
【0046】
ヒドロシリル化触媒としては、ニッケル、パラジウム、プラチナ、ロジウム、インジウム、ルテニウム及びオスミウムなどからなる群から選択される金属、又は(本発明に援用する)米国特許3159601号、第3159662号、第3419593号、第3715334号、第3775452号及び第3814730号において教示される触媒が挙げられる。
【0047】
本発明の組成物を本発明のコーティング方法に用いる場合、使用するヒドロシリル化触媒成分の量は好ましくは、100重量%の固体において、100万重量部の接着剤に対して10〜500重量部の金属を提供するのに十分な量である。ヒドロシリル化金属触媒の阻害剤は、有機シリコンの分野では周知である。かかる金属触媒阻害剤の様々な種類の例としては、エチレン含有若しくは芳香族含有不飽和アミドなどの不飽和有機化合物(米国特許第4337332号)、アセチレン化合物(米国特許第3445420号、第4347346号及び第5506289号)、エチレン含有不飽和イソシアネート(米国特許第3882083号)、オレフィン含有シロキサン(米国特許第3989667号)、不飽和炭化水素ジエステル(米国特許第4256870号、第4476166号及び第4562096号)及び共役エン−イエン(ene−ynes)(米国特許第4465818号及び第4472563号)、並びにヒドロパーオキシド(米国特許第4061609号)、ケトン(米国特許第3418731号)、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ニトリル(米国特許第3344111号)、ジアジリジン(米国特許第4043977号)、半エステル及び半アミド(米国特許第4533575号)などの他の有機化合物、並びに様々な塩(例えば米国特許第3461185号)などが挙げられる。本発明の組成物には、これらの種類の阻害剤のうち、いずれの阻害剤を含有させてもよい。
【0048】
当該阻害剤は、エチレン含有不飽和アミド、芳香族含有不飽和アミド、アセチレン化合物、エチレン含有不飽和イソシアネート、オレフィン含有シロキサン、不飽和炭化水素含有ジエステル、不飽和酸含有不飽和炭化水素モノエステル、共役エン−イエン、ヒドロパーオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ニトリル及びジアジリジンからなる群から選択してもよい。
【0049】
D.耐溶媒性接着組成物:
優れた耐溶媒性の感圧接着組成物は、上記のポリウレタン又はポリウレタン尿素組成物によって調製できる。ポリウレタン又はポリウレタン尿素に加えて、本発明に係る耐溶媒性感圧接着組成物は通常、1つ以上の添加剤(例えば充填材、粘性性付与剤、シラン付着促進剤、可塑剤、溶媒、チキソトロピー剤、UV安定化剤、酸化防止剤、硬化触媒など)を、一般的に用いられる量で添加する。
【0050】
本発明の感圧接着組成物への添加に適する典型的充填材としては、フュームドシリカ、沈殿シリカ及び炭酸カルシウムが挙げられる。約0.07Φm〜約4Φmの粒径を有する処理済炭酸カルシウムは特に有用であり、以下の市販品を適宜用いてもよい:
Ultra Pflex、Super Pflex、Specialty in MineralsからのHi Pflex、Winnofil SPM、Zeneca ResinsからのSPT、HuberからのHubercarb lat、Hubercarb 3Qt及びHubercarb W、並びにECCからのKotomite。充填材は単独で用いてもよく、又は組合せで用いてもよい。充填材は、多くの接着性用途に用いる場合、100重量部のポリマーに対し最高約200重量部で含有させてもよく、好適には1つ以上のポリマー成分100重量部に対して約80〜約150重量部で充填材を添加する。
【0051】
当該感圧接着組成物は、100重量部のポリマーに対して、従来公知の1つ以上の粘着性付与剤を、約20〜約60重量部、好適には約30〜約50重量部で含有させてもよい。適切な粘着性付与剤の例としては、MQシリコーン樹脂(通常過酸化ベンゾイルのような硬化触媒を含有させる)、テルペンオリゴマー、クマロン/インデン樹脂、脂肪族化合物、石油化学樹脂、修飾フェノール樹脂などが挙げられる。
【0052】
付着促進剤は、ポリマー組成物100重量部あたり約0.5〜5重量部の量で添加することができ、特に好適にはポリマー100重量部あたり約0.8〜約1.5重量部である。適切な付着促進剤としてはSilquest A−1120シラン、Silquest A−2120シラン、Silquest A−1170シラン及びSilquest A−187シランなどが挙げられ、全てGE Silicones社から市販されている。
【0053】
典型的な可塑剤としてはフタレート、ジプロピレン及びジエチレングリコールジ安息香酸及びそれらの混合物、エポキシ化大豆油などが挙げられる。ジオクチル及びジイソデシルフタレートは例えば、Exxon Chemical社製の商品名「Jayfiex DOP」及び「JayFlex DIDP」として市販されている。ジ安息香酸は例えば、Velsicol Chemical社製のBenzoflex 9−88、Benzoflex 50及びBenzoflex 400として市販されている。エポキシ化大豆油は例えば、Flexol EPOとしてHoughton Chemical社から市販されている。可塑剤はポリウレタンポリマーに対して最高約100重量部で含有させることができ、好適にはポリマー100重量部に対して約40〜約80重量部で含有させる。
【0054】
有用な溶媒としては、芳香族化合物、脂肪族化合物及びエステルが挙げられ、ポリウレタンポリマー100重量部に対して約25〜約75重量部で存在させる。
【0055】
有用なチキソトロピー剤としては、様々なキャスタワックス、フュームドシリカ、処理済クレイ及びポリアミドが挙げられる。これらの添加剤は通常、ポリウレタン若しくはポリウレタン尿素ポリマー100重量部に対して約1〜約10重量部で含有させ、大部分の用途では約1〜約6重量部が有用である。本発明に利用できるチキソロピー剤としては、Degussa社製のAerosil、Cabot社製のCabo−Sil TS 720、CasChem社製のCastorwax、Rheox社製のThixatrol及びThixcin、並びにKing Industries社製のDislonなどが挙げられる。上記チキソロピー剤がシラン(例えばシリカ)との反応性を有する場合、それを補償するだけの余分の添加量が必要となると考えられる。
【0056】
UV安定化剤及び/又は酸化防止剤は、ポリウレタンポリマー100重量部に対して0〜約5重量部で本発明の感圧接着組成物に添加することができ、通常約0.5〜約2重量部で良好な結果が得られる。これらの材料は、Tinuvin 770、Tinuvin 327、Tinuvin 213、Tinuvin 622及びIrganox 1010の商品名でCiba−Geigy社から市販されている。
【0057】
以下の実施例において、本発明のポリマー及びそれを含有する耐溶媒性感圧接着組成物を例示する。特定のポリウレタン又はポリウレタン尿素接着組成物が優れた耐溶媒性を提供することが分かっている。下記の実施例で例示される組成物は単官能基末端ポリウレタン組成物に関するものであり、それはパーオキシド又はシリコーンによるヒドロシリル化を介して更に架橋される。
【実施例】
【0058】
<実施例1>
混合装置、コンデンサを装着した樹脂反応容器に、窒素雰囲気下で加熱しながら、48.0gの水酸基末端ポリブタジエンであるKrasol LBH−P 2000樹脂(含有水酸基数:46)、52.0gの水酸基末端ポリブタジエンであるKrasol LBH−P 5000樹脂(含有水酸基数:21.4)、及び100.0gの酢酸エチルを添加した。1時間還流させ、40℃以下に冷却し、更に混合物を乾燥させた。次に13.0gのイソホロンジイソシアネートを1.85のNCO/OH等量比率で添加し、60分間撹拌した。これに、15分間撹拌しながらジブチルスズジラウレート10重量%/トルエン溶液0.05gを添加した。反応物質を、NCOの重量%が標準的な滴定により1.09重量%となるまで60〜70℃で加熱した。この時点で、5.9gのN−エチルブチルアミンを添加し、この温度で1時間撹拌を継続させ、更に室温に冷却させた。約15gの反応生成物のサンプルを、0.02gのベンゾイルパーオキシドを予め溶解せた3.75gのトルエン中に溶解させた。これを2milポリエステルフィルム上へバー状にコーティングし、1milの乾燥した接着厚を得、更に10分空気乾燥させ、150℃で5分間硬化させた。100gの平滑な表層デルリンプラーク及びガラススライド上へ、0.25インチ×1.0インチでオーバーラップさせ、剪断サンプルを調製した。ラップ剪断サンプルをキシレン中に懸濁させ、マグネチックスターラーを使用して撹拌した。試験は2回実施し、落第時間をそれぞれ>5時間及び>24時間とした。
【0059】
<実施例2>
NCO/OH等量比率1.35で、実施例1を繰り返した。平滑なポリオキシメチレンプラークの落第時間は>5時間、ガラススライドでは2.6時間であった。
【0060】
<実施例3>
混合装置、コンデンサを装着した樹脂反応容器に、窒素雰囲気下で加熱しながら、38.4gの水酸基末端ポリブタジエンであるKrasol LBH−P 2000樹脂(含有水酸基数:47.1)、41.6gの水酸基末端ポリブタジエンであるKrasol LBH−P 5000樹脂(含有水酸基数:21.4)、20.0gの水酸基末端ポリブタジエンであるPoly bd R45HTLO樹脂(含有水酸基数:45.4)、及び107.9gの酢酸エチルを添加した。1時間還流させ、40℃以下に冷却し、更に混合物を乾燥させた。これに、15分間撹拌しながらジブチルスズジラウレート10重量%/トルエン溶液0.05gを添加した。次に7.9gのイソホロンジイソシアネートを1.1のNCO/OH等量比率で添加し、60分間撹拌した。反応物質を、NCOの重量%が標準的な滴定により0.15重量%となるまで70〜80℃で加熱した。この時点で、0.8gのN−エチルブチルアミンを添加し、この温度で1時間撹拌を継続させ、更に室温に冷却させた。約15gの反応生成物のサンプルを4.8gのトルエン中に溶解させ、0.02gのM’0.92.87.20.2(式中、M’はジメチルスチリルオキシ基である)、ヒドロシリル化触媒として、1.4重量%のロジウムを、トリス(ジブチルスルフィド)ロジウム(III)三塩化物のエタノール中溶液中に含有する溶液を使用して、25ppmのロジウム存在下で架橋反応させた。得られる生成物を、2milポリエステルフィルム上へバーコーティングし、約1.7milの乾燥した接着厚を得た。接着剤を10分空気乾燥し、次に75℃で5分間、更に150℃で10分間硬化させた。対向面に10gの重量を取り付けた織物表面デルリン(ポリオキシメチレン)カセット上へ0.25インチ×1.0インチでオーバーラップさせ、剪断サンプルを調製した。デルリンカセットを150℃で1分間予熱した。落第時間は4時間10分であった。
【0061】
<実施例4>
混合装置、コンデンサを装着した樹脂反応容器に、窒素雰囲気下で加熱しながら、72.5gの水酸基末端ポリブタジエンであるKrasol LBH−P 2000樹脂(含有水酸基数:46)、145.0gの水酸基末端ポリブタジエンであるKrasol LBH−P 5000樹脂(含有水酸基数:21.7)、32.5gの水酸基末端ポリブタジエンであるPoly bd R20LM樹脂(含有水酸基数:101)、及び398.2gの酢酸エチルを添加した。混合物を2時間還流し、乾燥させ、更に75〜80℃に冷却した。これに、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナンのトルエン中10重量%溶液0.05gを、撹拌しながら15分間撹拌した。次に、18.5gのイソホロンジイソシアネートを、0.945のNCO/OH等量比率で添加した。反応物質を、NCOの重量%が標準的な滴定により0.0重量%となるまで75〜80℃で加熱し、更に室温に冷却した。約10gの反応生成物のサンプルを2.5gの酢酸エチルに溶解させ、M1713の1重量%酢酸エチル中溶液1.0g(式中、Mはトリメチルシロキシ基)、ジアリルマレエート阻害剤の酢酸エチル中1重量%溶液0.08gを用い、ヒドロシリル化触媒として1重量%のプラチナを含有するプラチナジビニルテトラメチルジシロキサン0.04gの存在下で架橋させた。得られる生成物を、2milポリエステルフィルム上へバーコーティングし、約1.5milの乾燥した接着厚を得た。接着剤を10分空気乾燥し、更に120℃で3分間硬化させた。対向面に10gの重量を取り付けたガラススライド上へ1.0インチ×1.0インチでオーバーラップさせ、剪断サンプルを調製した。落第時間は24時間であり、接着剤は溶解しなかった。不飽和ポリウレタンのコントロールサンプル(ヒドロシリル化架橋なし)を調製し、同じ方法に従って試験した。落第時間5時間であり、接着剤が溶解した。架橋不飽和ポリウレタンを、1.0インチ×1.0インチ、1Kgの重量で試験し、剪断粘着力の落第温度を解析した。落第温度は119℃であった。架橋しなかったポリウレタンによるコントロールサンプルを、同じ試験条件下で試験した結果、59℃の落第温度であった。すなわちヒドロシリル化架橋により、組成物の剪断特性が改良されることが示された。
【0062】
<実施例5>
混合装置、コンデンサを装着した樹脂反応容器に、窒素雰囲気下で加熱しながら、72.5gの水酸基末端ポリブタジエンであるKrasol LBH−P 2000樹脂(含有水酸基数:46)、145.0gの水酸基末端ポリブタジエンであるKrasol LBH−P 5000樹脂(含有水酸基数:21.7)、32.5gの水酸基末端ポリブタジエンであるPoly bd R20LM樹脂(含有水酸基数:101)、及び398.2gの酢酸エチルを添加した。混合物を2時間還流し、乾燥させ、更に75〜80℃に冷却した。これに、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナンのトルエン中10重量%溶液0.05gを、撹拌しながら15分間撹拌した。次に、18.5gのイソホロンジイソシアネートを、0.945のNCO/OH等量比率で添加した。反応物質を、NCOの重量%が標準的な滴定により0.0重量%となるまで75〜80℃で加熱し、更に室温に冷却した。約10gの反応生成物のサンプルを2.5gの酢酸エチルに溶解させ、M’0.92.87.20.2の1重量%酢酸エチル中溶液1.0g(式中、M’はジメチルスチリルオキシ基である)、ジアリルマレエート阻害剤の酢酸エチル中1重量%溶液0.08gを用い、ヒドロシリル化触媒として1重量%のプラチナを含有するプラチナジビニルテトラメチルジシロキサン0.04gの存在下で架橋させた。得られる生成物を、2milポリエステルフィルム上へバーコーティングし、約1.5milの乾燥した接着厚を得た。接着剤を10分空気乾燥し、更に120℃で3分間硬化させた。対向面に10gの重量を取り付けたガラススライド上へ1.0インチ×1.0インチでオーバーラップさせ、剪断サンプルを調製した。落第時間は2.5〜3時間であり、接着剤は溶解しなかった。架橋不飽和ポリウレタンを、1.0インチ×1.0インチ、1Kgの重量で試験し、剪断粘着力の落第温度を解析した。落第温度は120℃であった。架橋しなかったポリウレタンによるコントロールサンプルを、同じ試験条件下で試験した結果、59℃の落第温度であった。すなわちヒドロシリル化架橋により、組成物の剪断特性が改良されることが示された。
【0063】
上記で詳細な例を幾つか説明したが、それらは単にその好ましい実施態様を例示するものであり、これらの詳細な実施態様に本発明の範囲が限定されるものと解釈すべきでない。当業者であれば、本願明細書に添付の請求項に記載された本発明の技術的範囲内で、他の多くの変形態様を想起できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基末端又は尿素末端又は炭化水素末端を有する不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素を、パーオキシド又は水素化シリコーンで架橋することによって得られる成分を含有する、耐溶媒性接着組成物。
【請求項2】
前記不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素が水酸基末端を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素が尿素末端を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素が炭化水素末端を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素がパーオキシドによって架橋される、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素が、ヒドロシリル化触媒の存在下で水素化シリコーンによって架橋される、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素が、ヒドロシリル化触媒及びヒドロシリル化阻害剤の存在下で、水素化シリコーンによって架橋される、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素がポリイソシアネートと不飽和ポリオールとの反応によって得られる、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記不飽和ポリオールが水酸基末端ポリブタジエンである、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記不飽和ポリオールが、分子あたり平均少なくとも1.5の第1級水酸基を有する、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記水酸基末端ポリブタジエンがコモノマーと共重合されている、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
前記コモノマーがエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソプレン、クロロプレン、2,3−メチル−1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルスチレン、メチルアクリレート、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、1,2−エポキシド及びe−カプロラクトンからなる群から選択される、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリイソシアネートが2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−及び4,4’異性体の混合物を含有する液体ジフェニルメタン−ジイソシアネートからなる群から選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項14】
前記水素化シリコーンが、
MDD’M、
MD’M、
MDD’M’、
M’DD’M’及び
M’DM’
からなる群から選択される式で表される、実質的に直鎖状の水素シロキサンである、請求項6記載の組成物。
(式中、MはRSiO1/2として定義され、M’はH3−gSiO1/2として定義され、D=RRSiO2/2であり、D’=RHSiO2/2であり、各Rは独立に約1〜40の炭素原子数の一価の炭化水素であり、添字e及びfはゼロ又は正の数であってもよく、e及びfの合計は約10〜約100であり、f及びgの合計は少なくとも2である)。
【請求項15】
Rが置換若しくは非置換アリール、アルカリル又はアルキル基を含む、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
M’がジメチルスチリルシロキシ基である、請求項14記載の組成物。
【請求項17】
Rがスチリル基である、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
更に充填材、粘着性付与剤、付着促進剤、可塑剤、溶媒、チキソトロピー剤、UV安定化剤及び酸化防止剤からなる群から選択される1つ以上の成分を含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
MQシリコーン樹脂、テルペンオリゴマー、クマロン/インデン樹脂、脂肪族化合物、石油化学樹脂及び修飾フェノール樹脂からなる群から選択される1つ以上の化合物を含有する粘着性付与剤を更に含んでなる、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
フュームドシリカ、沈殿シリカ及び炭酸カルシウムからなる群から選択される1つ以上の化合物を含有する充填材を更に含んでなる、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
耐溶媒性接着組成物の調製方法であって、
a)水酸基末端、尿素末端又は炭化水素末端を含有する不飽和ポリウレタンを準備する工程と、
b)工程(a)の不飽和ポリウレタンを、パーオキシド又は水素化シリコーンにより架橋する工程
を含んでなる方法。
【請求項22】
前記不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素が、水酸基末端を有し、化学量論過剰の水酸基末端ブタジエンポリマーと、ポリイソシアネートとの反応により調製される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素が、尿素末端を有し、化学量論過剰のポリイソシアネートと、水酸基末端ブタジエンポリマーとの反応により調製される、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素が、炭化水素末端を融資、化学量論過剰のモノイソシアネートと、水酸基末端ブタジエンポリマーとの反応により調製される、請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記不飽和ポリウレタン又はポリウレタン尿素がパーオキシドによって架橋される、請求項21記載の方法。
【請求項26】
前記パーオキシドがジtert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルパーベンゾアート、tert−ブチルパー3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパー−2−エチルヘキサノエート、及びベンゾイルパーオキシドからなる群から選択される1つ以上の化合物である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記水素化シリコーンが、
MDD’M、
MD’M、
MDD’M’、
M’DD’M’及び
M’DM’からなる群から選択される式で表される、実質的に直鎖状の水素シロキサンである、請求項21記載の方法。
(式中、MはRSiO1/2として定義され、M’はH3−gSiO1/2として定義され、D=RRSiO2/2であり、D’=RHSiO2/2であり、各Rは独立に約1〜40の炭素原子数の一価の炭化水素であり、添字e及びfはゼロ又は正の数であってもよく、e及びfの合計は約10〜約100であり、f及びgの合計は少なくとも2である)。
【請求項28】
M’がジメチルスチリルシロキシ基であり、Rがスチリル基である、請求項27記載の方法。

【公表番号】特表2009−512758(P2009−512758A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536727(P2008−536727)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/040441
【国際公開番号】WO2007/050355
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】