耐火ダクトの接合構造およびその施工方法
【課題】容易に施工することができ、施工後も容易に保守することができる耐火ダクトの接合構造およびその施工方法を提供すること。
【解決手段】耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部と、耐火断熱材層により覆われていない金属表面部とを有する金属ダクトと、前記金属ダクトの金属表面部を覆う熱膨張性耐火層と、を有し、一方の金属ダクトと他方の金属ダクトが接合されて金属ダクト間の接合部が形成された構造であって、
前記金属ダクト間の接合部が、一方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部と、他方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部とを隙間なく接合してなり、
前記金属ダクト間の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト間の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とが、前記熱膨張性耐火層により覆われていることを特徴とする、耐火ダクトの接合構造とその製造方法。
【解決手段】耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部と、耐火断熱材層により覆われていない金属表面部とを有する金属ダクトと、前記金属ダクトの金属表面部を覆う熱膨張性耐火層と、を有し、一方の金属ダクトと他方の金属ダクトが接合されて金属ダクト間の接合部が形成された構造であって、
前記金属ダクト間の接合部が、一方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部と、他方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部とを隙間なく接合してなり、
前記金属ダクト間の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト間の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とが、前記熱膨張性耐火層により覆われていることを特徴とする、耐火ダクトの接合構造とその製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火ダクトの接合構造およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋やビル等の建築物は不燃性の防火壁、床等を用いた防火区画を備える。家屋やビル等の建築物に防火区画を設置すれば、一つの防火区画に火災が発生した場合でも他の防火区画に火災が広がることを防止することができる。
一方、外部の新鮮な空気を前記建築物の内部に取り入れたり、前記建築物の内部の汚れた空気を前記建築物の外部に排出したりするための換気用ダクト、空調用ダクト等に代表されるダクトが家屋やビル等の建築物に設置される。
前記ダクトにより一方の防火区画と他方の防火区画が連結される。
前記ダクトは複数の防火区画を連結するため、一方の防火区画で火災が発生した場合、火災の炎が前記ダクト内に侵入すると、前記ダクトが火災の炎により加熱される。他方の防火区画に前記ダクトから火災の炎が漏れ出さない場合であっても、ダクト自体に熱が伝わるため、加熱されたダクトの熱により他方の防火区画へ火災が広がる問題がある。
【0003】
この問題に対応するために前記ダクトの周囲をケイ酸カルシウムボード等の不燃ボードにより覆った耐火ダクトや、前記ダクトの周囲にロックウールマット等を螺旋状に巻き付けた耐火ダクト等が通常採用される。
また前記ダクトの外周面や内周面に熱膨張性耐火材を貼着した耐火ダクト等も提案されている(特許文献1および2)。
【0004】
これらの家屋やビル等の建築物に設置する施工方法として、前記建築物にダクトを設置した後に、設置されたダクトの全周囲にケイ酸カルシウムボード等の不燃ボードを配置する方法、前記設置されたダクトの全周囲にロックウールマット等を螺旋状に巻き付ける方法、前記設置されたダクトの外周面や内周面に熱膨張性耐火材を貼着する方法が挙げられる。
【0005】
しかし多くの施工現場では前記建築物の構造が複雑であり、前記ダクトの周囲に施工のための空間が十分に確保されていない場合が多く、施工が容易ではない問題があった。前記建築物の一つの施工現場における作業時間が長くなれば、前記建築物を完成させるための建築期間全体が遅延する。
さらに施工者の経験の程度に依存して施工時間および仕上がり精度に変動が生じる問題があった。
【0006】
また前記ダクトの周囲にケイ酸カルシウムボード等の不燃ボード等を配置するためには、前記不燃ボード等を支持するための吊下装置を壁や天井に配置する必要があり、施工に時間を要する問題もあった。
【0007】
また過去に施工され、施工されてから長時間が経過している耐火ダクトの接合構造の場合、長期間に渡り耐火ダクトが受けた振動、膨張、収縮等の影響により、耐火ダクトの接合構造の接合部に緩みや隙間等が生じる問題がある。
この問題のため耐火ダクトの接合構造の接合部に緩み、隙間等が生じているかどうかを点検する必要がある。また前記点検の結果、不具合が発見された場合に補修が必要となる。しかし従来の前記ダクトは前記不燃ボード等により前記接合部が覆われているため前記接合部の状態を外部から点検することは困難であった。
さらに実際に前記接合部に不具合を発見した場合には、前記接合部の補修のために前記不燃ボードやロックウールマット等を撤去する必要があり、耐火ダクトを保守することが困難になる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−031800号公報
【特許文献2】特開2009−249976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、容易に施工することができ、施工後も容易に保守することができる耐火ダクトの接合構造およびその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明者が鋭意検討した結果、二以上の金属ダクトの接合構造であって、耐火断熱材被覆部と金属表面部とを有する金属ダクトのうち、金属ダクト同士の接合部側にある前記金属ダクトの金属表面部が熱膨張性耐火層により覆われている耐火ダクトの接合構造およびその施工方法が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成することができた。
【0011】
すなわち本発明は、
[1]耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部と、耐火断熱材層により覆われていない金属表面部と、を有する金属ダクトと、
前記金属ダクトの金属表面部を覆う熱膨張性耐火層と、
を有し、
一方の金属ダクトと他方の金属ダクトが接合されて金属ダクト間の接合部が形成された構造であって、
前記金属表面部が、それぞれの金属ダクトの少なくとも一方の端部から前記金属ダクトの外周面に設けられ、
前記金属ダクト間の接合部が、一方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部と、他方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部とを隙間なく接合してなり、
前記金属ダクト間の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト間の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とが、前記熱膨張性耐火層により覆われていることを特徴とする、耐火ダクトの接合構造を提供する。
【0012】
また本発明の一つは、
[2]前記耐火断熱材層が、不燃性発泡体、無機繊維、無機耐火材および熱膨張性耐火材の少なくとも一つを含み、
前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火塗料、熱膨張性耐火吹付材、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートからなる群より選ばれる少なくとも一つから形成される、上記[1]に記載の耐火ダクトの接合構造を提供する。
【0013】
また本発明の一つは、
[3]前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つから形成され、
前記熱膨張性耐火層が、前記金属ダクト側から熱膨張性耐火樹脂層、金属層の順に熱膨張性耐火樹脂層および金属層を少なくとも含み、
前記金属ダクトの金属表面部を覆う熱膨張性耐火層が、前記金属ダクトの金属表面部と前記熱膨張性耐火層との間に空間を設けて設置されている、上記[1]または[2]に記載の耐火ダクトの接合構造を提供する。
【0014】
また本発明の一つは、
[4]前記熱膨張性耐火テープが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔の順に熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層および金属板の順に熱膨張性樹脂層および金属板を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートの内周面の形状が、前記耐火断熱材層の外周面の形状とほぼ一致する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の耐火ダクトの接合構造を提供する。
【0015】
また本発明は、
[5]耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部と、耐火断熱材層により覆われていない金属表面部と、を有する金属ダクトのうち、前記金属表面部が、前記金属ダクトの少なくとも一方の端部から前記金属ダクトの外周面に設けられた二以上の金属ダクトを使用する耐火ダクトの接合構造の施工方法であって、
一方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部と、他方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部とを隙間なく接合して前記金属ダクト間の接合部を得る工程と、
前記金属ダクト間の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト同士の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とを、熱膨張性耐火層により覆う工程と、
を有することを特徴とする、耐火ダクトの接合構造の施工方法を提供する。
【0016】
また本発明の一つは、
[6]前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つから形成され、
前記熱膨張性耐火層が、前記金属ダクト側から熱膨張性耐火樹脂層、金属層の順に、熱膨張性耐火樹脂層および金属層を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火層により覆う工程が、前記金属ダクト同士の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト同士の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とを、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つにより、前記金属ダクトの金属表面部と前記熱膨張性耐火層との間に空間を設けて覆う工程である、
上記[5]に記載の耐火ダクトの接合構造の施工方法を提供する。
【0017】
また本発明の一つは、
[7]前記熱膨張性耐火テープが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔の順に熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層および金属板の順に熱膨張性樹脂層および金属板を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートの内周面の形状が、前記耐火断熱材層の外周面の形状とほぼ一致する、上記[5]または[6]に記載の耐火ダクトの接合構造の施工方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の耐火ダクトの接合構造を施工する際、予め耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部を有する金属ダクトを準備しておき、施工現場において前記耐火断熱材被覆部を有する金属ダクトを使用することができる。
前記耐火断熱材被覆部を有する金属ダクトを使用した場合には、施工現場において金属ダクトの外周面に耐火断熱材層を設置する工程および時間を省略することも可能であるから、施工時間を短縮して容易に施工することができる。
【0019】
また本発明の耐火ダクトの接合構造は、金属ダクトの開口部同士の金属表面部を熱膨張性耐火層により覆うことにより得られるから容易に施工することができる。
また本発明の耐火ダクトの接合構造は、前記金属ダクトの金属表面部と前記熱膨張性耐火層との間に空間を設けた場合には金属ダクト間の接合部近傍の外周面に耐火断熱材層が接していない。このため金属ダクトの開口部同士を接合する際に前記耐火断熱材層が、金属ダクトの開口部同士を接合する作業を妨げることがない。この結果、本発明の耐火ダクトの接合構造を容易に施工することができる。
【0020】
さらに本発明の耐火ダクトの接合構造は容易に施工することができるから、施工者の経験の程度に依存して施工時間が変わることを防止することができ、仕上がり精度が変動することも防止できる。このため得られる耐火ダクトの接合構造の品質を保つことが容易である。
【0021】
また本発明の耐火ダクトの接合構造は、金属ダクト間の接合部外周面に熱膨張性耐火層が設置され、それ以外の場所には耐火断熱材層が配置されていることから金属ダクト間の接合部の位置を従来のダクト構造と比較して外部から容易に判別することができる。
また金属ダクト同士の接合部の修理等の作業の際には金属ダクト間の接合部を覆う熱膨張性耐火層を除去すればよく、施工後の耐火ダクトを容易に保守することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明に使用する金属ダクトの具体例を例示した模式斜視図である。
【図2】図2は金属ダクトにおける耐火断熱材被覆部と金属表面部との関係を説明するための模式断面図である。
【図3】図3は金属ダクト同士を接合させる前の状態を説明するための模式分解断面図である。
【図4】図4は金属ダクト同士を接合させた後の状態を説明するための模式断面図である。
【図5】図5は金属ダクトに熱膨張性耐火層が設置された状態を説明するための模式断面図である。
【図6】図6は実施例1に使用する金属ダクトを示す模式分解断面図である。
【図7】図7は実施例1に使用する金属ダクトを組み合わせた状態を示す模式斜視図である。
【図8】図8は実施例1に使用する金属ダクトに熱膨張性耐火層が設置された状態を説明するための模式断面図である。
【図9】図9は実施例1に係る耐火ダクトの接合構造を示す模式斜視図である。
【図10】図10は実施例2に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式分解断面図である。
【図11】図11は実施例2に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式断面図である。
【図12】図12は実施例2に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式断面図である。
【図13】図12は実施例2に係る耐火ダクト構造を示す模式斜視図である。
【図14】図14は実施例3に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式分解断面図である。
【図15】図15は実施例3に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式断面図である。
【図16】図16は実施例3に係る耐火ダクト構造を示す模式斜視図である。
【図17】図17は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式分解断面図である。
【図18】図18は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式断面図である。
【図19】図19は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造を示す模式斜視図である。
【図20】図20は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式分解断面図である。
【図21】図21は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式断面図である。
【図22】図22は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造を示す模式斜視図である。
【図23】図23は実施例6に使用する熱膨張性耐火層を説明するための模式斜視図である。
【図24】図24は実施例6に係る耐火ダクトの接合構造を示す模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の耐火ダクトの接合構造について説明するが、最初に本発明に使用する金属ダクトについて説明する。
本発明に使用する金属ダクトは、通常アルミニウム、鋼鉄、ステンレス、銅等の金属製の筒形状のものが使用されるが、これに限定されるものではない。
また前記金属ダクトの形状についても前記金属ダクトの使用目的に応じて適宜選択することができる。本発明に使用するものの具体例としては、例えばその断面の外側の形状が正方形、長方形、円形、楕円形、多角形等である一種もしくは二種以上を挙げることができる。
【0024】
図1は本発明に使用する金属ダクトの具体例を例示した模式斜視図である。
図1に例示した金属ダクト1の形状は前記金属ダクト1の長手方向に垂直に前記金属ダクト1を切断した断面の外側の形状が円形である円筒状のものであり、鋼鉄により形成されている。
【0025】
前記金属ダクト1の外径は、実際に使用できる大きさであれば特に限定はない。具体的に一例を挙げるとすれば、3cm〜5mの範囲であれば好ましく、30cm〜2mの範囲であればさらに好ましい。
また前記金属ダクト1が円筒形以外の形状の場合であっても実際に使用できる大きさであればその形状に特に限定はない。具体的に一例を挙げるとすれば前記金属ダクト1の断面の外側同士の距離が、前記断面の重心を通る線上にある前記断面の外側両端の距離のうち最も短い部分を基準として、3cm〜5mの範囲であることが好ましく、30cm〜2mの範囲であればさらに好ましい。
【0026】
また図1に例示される金属ダクト1の両端部には鍔フランジ2が設けられている。
前記鍔フランジ2に、前記鍔フランジ2の外周に沿って所定間隔をおいて、前記金属ダクト1の長手方向に螺子孔3が設けられている。
また耐火断熱材層20により覆われた耐火断熱材被覆部5が図1に例示される金属ダクト1に形成されている。
なお図1において、耐火断熱材層20は説明の便宜上破線で示されている。
【0027】
前記耐火断熱材層20は、例えば、不燃性発泡体、無機繊維、無機耐火材、熱膨張性耐火材等から形成される。
前記不燃性発泡体としては、例えば、焼石膏粉末等の無機粉末とアルミニウム粉末等の金属粉末とを混合した後、フッ化水素酸を用いて反応させた無機金属系発泡体等、フッ化ポリオレフィン等の不燃性樹脂を発泡させてなる不燃性樹脂発泡体等が挙げられる。
前記無機繊維としては、例えば、ロックウール、セラミックウール、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、セラミックブランケット等が挙げられる。
前記無機耐火材としては、例えば、セラミック板、ケイ酸カルシウム板、石膏板、パーライト板等が挙げられる。
前記熱膨張性耐火材としては、例えば、積水化学工業社のフィブロック(エポキシ樹脂やゴムと、熱膨張性黒鉛等を含有する樹脂組成物を含むシート材料)、住友スリーエム社のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料化学社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)等の熱膨張性シート等が挙げられる。
【0028】
前記耐火断熱材層20は、取り扱い性や不燃性発泡体、無機繊維、無機耐火材、熱膨張性耐火材等の飛散防止の観点から金属箔が最外層に配置されていることが好ましい。
本発明に使用する金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、錫箔、鉛箔、錫鉛合金箔、クラッド箔、鉛アンチ箔等が挙げられる。
【0029】
前記耐火断熱材層20の厚みは、本発明の耐火ダクトの接続構造が使用される場所や目的に応じて適宜選択することができるが、一例を挙げるとすれば、例えば、0.5mm〜500mmの範囲であれば好ましく、1mm〜250mmの範囲であればさらに好ましい。
前記範囲が0.5mm以上の場合には熱が金属ダクト1に伝わることを防止することができ、前記範囲が500mm以下の場合には本発明の耐火ダクトの接続構造を容易に施工することができる。
【0030】
また耐火断熱材層20により覆われていない金属表面部4が図1に例示される金属ダクト1の外周面に形成されている。
【0031】
図2は金属ダクト1における耐火断熱材被覆部5と金属表面部4との関係を説明するための模式断面図であり、前記金属ダクト1の長手方向(つまり図2の左右方向)に水平な面により前記金属ダクト1を切断した断面を例示したものである。
図2に例示される通り、前記金属ダクト1は両端に開口部6を有する。
また前記金属表面部4が、前記金属ダクト1の両方の端部から前記金属ダクト1の外周面に設けられている。
【0032】
図2に示される一点破線y−yおよびy’−y’と前記金属ダクト1の外周面と交わる部分がそれぞれ前記金属ダクト1の端部に対応する。
また図2に示される一点破線x−xおよびy−yにより囲まれる前記金属ダクト1の外周面ならびに一点破線x’−x’およびy’−y’により囲まれる前記金属ダクト1の外周面が、それぞれ金属表面部4,4に対応する。図2に示される一点破線x−xおよびx’−x’により囲まれる前記金属ダクト1の外周面が耐火断熱材被覆部5に対応する。
【0033】
前記金属表面部4の長さは、使用する金属ダクト1の用途や使用場所によって適宜変更して選択することができるが、一例を挙げるとすれば、前記金属ダクト1の長手方向(図2の左右方向)に沿って、10〜500mmの範囲であることが好ましく、20〜300mmの範囲であればより好ましく、30〜200mmの範囲であればさらに好ましい。
なお本発明に使用する金属ダクト1は、いずれかの一方の端部から前記金属ダクト1の外周面に前記金属表面部4が設けられていればよい。
【0034】
図1および図2に例示される通り、本発明に使用する金属ダクト1は耐火断熱材層20を備える。
この様に耐火断熱材層20を備えた金属ダクト1を使用した場合には、施工現場において金属ダクト1に耐火断熱材層20を設置する作業を省略することもできる。このため施工現場における本発明の耐火ダクトの接合構造の施工作業性を向上させることができる。
【0035】
次に一方の金属ダクト1aと他方の金属ダクト1bとの接合関係について説明する。
図3は一方の金属ダクト1aと他方の金属ダクト1bとを接合させる前の状態を説明するための模式分解断面図であり、図4は金属ダクト同士を接合させた後の状態を説明するための模式断面図である。
【0036】
図3および図4に例示される様に、一方の金属ダクト1aに設けられた金属表面部4a側の開口部6aと、他方の金属ダクト1bに設けられた金属表面部4b側の開口部6bとを隙間なく接合することにより、前記金属ダクト間の接合部10が形成されている。
この様に一方の金属ダクト1aと他方の金属ダクト1bとは隙間なく接合されているため、火災等の炎が前記金属ダクト1a,1b内部に侵入した場合でも、前記接合部10から火災等の炎が外部に出ることを防ぐことができる。
【0037】
金属ダクト1aと金属ダクト1bとは、金属ダクト1aの鍔フランジ2aに設けられた螺子孔3aと、金属ダクト1bの鍔フランジ2bに設けられた螺子孔3bとを挿通するボルト7とナット8により固定されている。
金属ダクト同士を接合させる固定手段は、前記ボルト7およびナット8を使用する手段に限定されることはなく、例えば、溶接により金属ダクト同士を接合させる固定手段、耐熱接着剤等により金属ダクト同士を接合させる固定手段等を使用してもよい。
金属ダクト同士を接合させる固定手段は、金属ダクトを使用する目的に応じて適宜選択することができる。
また図3および図4では省略されているが、前記金属ダクト間の接合部10に、例えば、環状の耐熱パッキン、金属ワッシャー等を配置することもできる。
【0038】
次に一方の金属ダクト1a,1bと、熱膨張性耐火層との関係について説明する。
図5は金属ダクト1a,1bに熱膨張性耐火層が設置された状態を説明するための模式断面図である。
【0039】
図5に示す通り、前記金属ダクト1a,1b間の接合部10側にある一方の金属ダクト1aに設けられた金属表面部4aと、前記接合部10側にある他方の金属ダクト1bに設けられた金属表面部4bとが、熱膨張性耐火層30により、前記金属ダクトの金属表面部4a,4bと前記熱膨張性耐火層30との間に空間を設けて覆われている。
【0040】
前記金属表面部4a,4bを熱膨張性耐火層30により覆う手段としては、例えば、
(1)熱膨張性耐熱塗料を前記金属表面部4a,4bに塗る手段
(2)熱膨張性耐火吹付材を前記金属表面部4a,4bに吹付ける手段
(3)熱膨張性耐火テープを前記金属表面部4a,4bに巻き付ける手段
(4)熱膨張性耐火シートにより前記金属表面部4a,4bを覆う手段
等の一種もしくは二種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0041】
前記熱膨張性耐火層30は、例えば、前記熱膨張性耐熱塗料を使用する際は熱膨張性樹脂組成物を有機溶剤に縣濁させて得られた有機溶剤縣濁液または水に乳濁させて得られた乳化水溶液等からなる熱膨張性耐熱塗料を前記金属表面部4a,4bに塗布することにより得られる。
【0042】
また前記熱膨張性耐火吹付材を使用する際は、前記熱膨張性樹脂組成物の有機溶剤縣濁液や、乳化水溶液を前記金属表面部4a,4bに吹付けることにより前記熱膨張性耐火層を形成することができる。
【0043】
また熱膨張性耐火テープを使用する際には、テープ状に成形した熱膨張性樹脂組成物を前記金属表面部4a,4bの周囲に巻き付けることにより前記熱膨張性耐火層を形成することができる。
【0044】
また熱膨張性耐火シートを使用する際には、シート状に成形した熱膨張性樹脂組成物により前記金属表面部4a,4bを覆うことにより前記熱膨張性耐火層を形成することができる。
【0045】
なお本発明において熱膨張性耐火テープとは、幅が250mmよりも狭いものをいい、熱膨張性耐火シートとは、幅が250mm以上のものをいう。
【0046】
また熱膨張性耐火層30を形成する際に使用する熱膨張性樹脂組成物を含む材料は市販されていて、これらを適宜選択して使用することができる。
本発明に使用する前記樹脂組成物の具体例としては、先に説明した場合と同様であり、積水化学工業社のフィブロック、住友スリーエム社のファイアバリア、三井金属塗料化学社のメジヒカット等を使用することができる。
また熱膨張性耐火テープは、例えば、市販の熱膨張性耐火シートを適宜テープ状に切断して得ることもできる。
【0047】
本発明に使用する前記熱膨張性耐火層30は、熱膨張性耐火シートや熱膨張性耐火テープ等により形成されることが、施工作業上好ましい。
また本発明に使用する熱膨張性耐火シート、熱膨張性耐火テープ等は、熱膨張性樹脂層、無機繊維層、金属層等が積層されたものを使用することが好ましい。
【0048】
前記熱膨張性樹脂層を前記金属表面部4a,4b側に配置し、前記無機繊維層、金属層等を前記金属表面部4a,4bとは反対側に配置することにより、本発明の耐火ダクトの接合構造が火災の炎等により加熱された場合、前記無機繊維層、金属層等が存在するため、前記熱膨張性樹脂層は前記金属表面部4a,4b側に膨張する。
この結果、前記熱膨張性樹脂層の加熱後の膨張残渣は、前記無機繊維層、金属層等と、前記金属表面部4a,4bとの間に挟まれて保持される。
このため、前記熱膨張性樹脂層の加熱後の膨張残渣が剥離したり落下したりすることを防止することができる。
【0049】
前記熱膨張性樹脂層としては、例えば、前記熱膨張性樹脂組成物を成形したもの等を挙げることができる。
前記無機繊維層に使用する無機繊維としては、例えば、ロックウール、セラミックウール、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、セラミックブランケット等が挙げられる。
【0050】
前記金属層に使用する金属としては、例えば、金属箔、金属板等が挙げられる。
前記金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、錫箔、鉛箔、錫鉛合金箔、クラッド箔、鉛アンチ箔等が挙げられる。
また前記金属板としては、例えば、アルミニウム板、銅板、ステンレス板、錫板、鉛板、錫鉛合金板、クラッド板、鉛アンチ板等が挙げられる。
なお本発明においては前記金属層に使用する金属のうち、実際の施工に使用する大きさを基準として、一端を固定して水平に保持したときに一定の形状を保つ厚みのものを金属板といい、自重により固定した一端から下方向へ折れ曲がる厚みのものを金属箔という。
【0051】
本発明に使用する熱膨張性耐火シートおよび熱膨張性耐火テープは、熱膨張性樹脂層および金属層が、この順に積層されたものを使用することが好ましく、熱膨張性樹脂層、無機繊維層および金属層が、この順に積層されたものを使用することがより好ましい。
上記の説明の通り、これらの熱膨張性耐火シートや熱膨張性耐火テープ等を使用する場合には、熱膨張性樹脂層を前記金属表面部4a,4b側に配置して使用することが好ましい。
【0052】
前記熱膨張性耐火テープを使用することにより、前記金属ダクト1a,1bに設置された耐火断熱層20の外周面の形状や大きさに依存することなく前記熱膨張性耐火テープにより前記耐火断熱層20を覆うことができる。また施工者は円柱状に巻き取られた形状により前記熱膨張性耐火テープを施工現場に運ぶことができる。このため施工者は前記熱膨張性耐火テープを容易に施工現場に運ぶことができ、容易に耐火ダクトの接合構造を施工することができる。
前記熱膨張性耐火テープの具体的な実施形態の一例としては、例えば熱膨張性樹脂層、ガラス繊維、アルミニウム箔がこの順に積層されたものが挙げられる。
また前記熱膨張性耐火シートを使用することにより、施工者は前記金属ダクト1a,1bに設置された耐火断熱層20の外周面に前記熱膨張性耐火シートを容易に設置することができる。
前記熱膨張性耐火シートの具体的な実施形態の一例としては、例えば、金属板および熱膨張性樹脂層がこの順に積層されたものが挙げられる。
【0053】
本発明における前記金属ダクト1a,1bはその外周面が前記耐火断熱材層20および熱膨張性耐火層30により隙間なく覆われているため、火災の炎等が前記金属ダクト1a,1b内部に侵入した場合でも、加熱された前記金属ダクト1a,1bの熱が外部に伝わりにくい。
このため、火災等が発生した場合でも加熱された前記金属ダクト1a,1bによる延焼を軽減することができる。
【0054】
次に本発明に耐火ダクトの接合構造およびその施工方法について図面を参照しつつ実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0055】
図6は実施例1に使用する金属ダクト100a,100bを示す模式分解断面図である。
前記金属ダクト100a,100bはその断面の外側の形状が長方形の筒状構造であり、それぞれの端部に、鍔フランジ200a,200bが設置されている。
また前記鍔フランジ200a,200bに、前記鍔フランジ200a,200bの外周方向に沿って所定間隔をおいて、前記金属ダクト100a,100bの長手方向にそれぞれ螺子孔300a,300bが設けられている。
また前記金属ダクト100a,100bの外周面にそれぞれ耐火断熱材層400a,400bが設置されている。
前記耐火断熱材層400a,400bはマット状のロックウールの最外面にアルミニウム箔ラミネートガラスクロスを配置してなるものであり、アルミニウム箔ラミネートガラスクロスに含まれるアルミニウム箔が最外面となるように、アルミニウム箔ラミネートガラスクロスがマット状のロックウールに貼着されている(図示せず)。
前記耐火断熱材層400aを備えた金属ダクト100aは、例えば、工場等で金属ダクト100a等の外周面に前記耐火断熱材層400aを設置することにより得ることができる。
【0056】
図7は実施例1に使用する金属ダクト100a,100bを組み合わせた状態を示す模式斜視図である。
図7に示される様に、前記金属ダクト100a,100b間の接合部500が、一方の金属ダクト100aに設けられた金属表面部600a側の開口部と、他方の金属ダクト100bに設けられた金属表面部600b側の開口部とを隙間なく接合することにより形成されている。
前記金属ダクト100a,100b同士を接合させるために、前記鍔フランジ200a,200bにそれぞれ設けられた螺子孔300a,300b(図6参照)を挿通したボルト7および、ナット8が固定手段として使用されている。
なお説明の便宜上、図7では耐火断熱材層400a,400bがそれぞれ破線で示されている。
【0057】
図8は実施例1に使用する金属ダクト100a,100bに熱膨張性耐火層800が設置された状態を説明するための模式断面図である。
また図9は実施例1に係る耐火ダクトの接合構造を示す模式斜視図である。なお説明の便宜上図9では熱膨張性耐火層800が破線により示されている。
前記金属ダクト100aの金属表面部600aおよび前記金属ダクト100bの金属表面部600bは、前記熱膨張性耐火層800により空間を設けて覆われている。
前記熱膨張性耐火層800は、金属ダクト100a,100b側から、熱膨張性樹脂層、ガラスクロス層、アルミニウム箔層の順に積層された熱膨張性耐火テープにより形成されている。
また熱膨張性樹脂層に対し粘着成分が添加されているため、前記熱膨張性耐火テープは粘着性を有する。このため前記熱膨張性耐火テープを前記耐火断熱材層400a,400bに貼着することができる。
上記の説明により実施例1の耐火ダクトの接合構造900が形成される。
【0058】
実施例1に示した通り、実施例1の耐火ダクトの接合構造900は、前記耐火断熱材層400aを備えた金属ダクト100aと、前記耐火断熱材層400bを備えた金属ダクト100bとを隙間なく接合した後、前記熱膨張性耐火テープにより、金属表面部600a,600bを空間を設けて覆うことにより得られる。
前記金属表面部600a,600bを熱膨張性耐火テープにより覆う際には、例えば、前記熱膨張性耐火テープを、前記金属ダクト100a,100bの長手方向に対して垂直方向に前記金属表面部600a,600bの周囲に巻く方法、螺旋状に前記金属表面部600a,600bの周囲に巻く方法等を採用することができる。
実施例1の耐火ダクトの接合構造900は容易に施工できることに加え、金属ダクト100a,100bの断面形状に依存することがなく施工することができる。
【0059】
また実施例1の耐火ダクトの接合構造900は、前記耐火断熱材層400a,400bの上に前記熱膨張性耐火層800として前記熱膨張性耐火テープが貼着されている。このため耐火ダクトにおける接合部の位置を外部から容易に判別することができる。
また前記耐火ダクトの接合部500に不具合が生じた場合や前記接合部500を点検する際には、前記耐火ダクトの接合構造900から前記熱膨張性耐火テープを撤去すれば前記接合部500を露出させることができる。これにより実施例1の耐火ダクトの接合構造900を容易に保守することができる。
【実施例2】
【0060】
図10は実施例2の耐火ダクトの接合構造910を説明するための模式分解断面図であり、図11は実施例2の耐火ダクトの接合構造910を説明するための模式断面図である。
また図12は実施例2に係る耐火ダクトの接合構造910を示す模式断面図であり、図13は実施例2に係る耐火ダクト構造910を示す模式斜視図である。
なお説明の便宜上、図13では前記熱膨張性耐火層800は破線で示されている。
【0061】
実施例2と実施例1とを比較すると、実施例1に使用した金属ダクト100a,100bに代えて、実施例2の場合では円筒形状の金属ダクト110a,110bを使用した点が実施例1の場合と異なる。その他は実施例1の場合と同様である。
前記金属ダクト110aは、鍔フランジ200aに突出部210aを有する。
前記突出部210aの外周面と前記金属ダクト110bの内周面とがはめ合わされることにより、金属ダクト110aと金属ダクト110bとを隙間なく接合することができる。
なお、前記金属ダクト110aの様に突出部を有する構造の場合は、前記金属ダクト110aの端部とは、最終的に得られる耐火ダクトの接合構造の外周面に表れる部分をいう。
【0062】
実施例2においても、実施例1と同様の施工方法により耐火ダクトの接合構造910を得ることができる。
実施例2に示される様に、実施例1の場合と比較して金属ダクト110a,110b同士の接合部の構造および前記金属ダクト110a,110bの形状が変化した場合でも耐火ダクトの接合構造910を容易に得ることができる。
【実施例3】
【0063】
図14は実施例3の耐火ダクトの接合構造920を説明するための模式分解断面図であり、図15は実施例3の耐火ダクトの接合構造920を説明するための模式断面図である。
また図16は実施例3の耐火ダクト構造920を示す模式斜視図である。
なお説明の便宜上、図16では前記熱膨張性耐火層800は破線で示されている。
【0064】
実施例3は、実施例1に使用した金属ダクト100a,100bに代えて、鍔フランジのない円筒状の金属ダクト120a,120bを使用したこと、および円筒状スリーブ220を使用したこと以外は実施例1の場合と同様である。
【0065】
実施例3に使用した円筒状スリーブ220は鋼鉄製であるが、前記円筒状スリーブ220に使用する材料は適宜選択することができる。一例を示すとすれば、例えばアルミニウム、鋼鉄、ステンレス、銅等の金属材料、セラミック等の無機材料等が挙げられる。
前記円筒状スリーブ220の内面は金属ダクト120a,120bの外周面と略同一であり、金属ダクト120aおよび120bを前記円筒状スリーブ220内部に挿入することにより、金属ダクト120aと金属ダクト120bとを隙間なく接合することができる。
実施例3においても、実施例1と同様の施工方法により耐火ダクトの接合構造920を得ることができる。
金属ダクト120aおよび120bの形状が変化した場合には、その変化に対応した形状のスリーブを使用することにより、金属ダクト120aおよび120bの形状が変化した場合であっても変化後の金属ダクト120aおよび120bを隙間なく接合できる。
【実施例4】
【0066】
図17は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造930を説明するための模式分解断面図であり、図18は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造930を説明するための模式断面図である。
また図19は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造930を示す模式斜視図である。
【0067】
実施例4と実施例1とを比較すると、実施例1に使用した熱膨張性耐火層800に代えて、実施例4の場合では熱膨張性耐火層701,702を使用した点が異なる。
熱膨張性耐火層701は両端701a,701aに溝を備える。また熱膨張性耐火層702は両端702b,702bに突起を備える。
前記熱膨張性耐火層701の両端701a,701aに設けられた溝に、前記熱膨張性耐火層702の両端702b,702bに設けられた突起をそれぞれ挿入すれば、前記熱膨張性耐火層701および702を互いに組み合わせて固定することができる。
前記熱膨張性耐火層701の両端701a,701aに設けられた溝の形状や前記熱膨張性耐火層702の両端702b,702bに設けられた突起の形状は、前記熱膨張性耐火層701および702を互いに組み合わせて固定することができるものであれば特に限定はない。前記溝および突起の形状の一例を図17〜図19に示す。
前記熱膨張性耐火層701および702を組み合わせた内周面の形状は、耐火断熱材層400aおよび400bの外周面の形状とほぼ一致している(図9参照)。
このため前記耐火断熱材層400aの外周面および400bの外周面に隙間なく前記熱膨張性耐火層701,702を設置することができる。
【0068】
前記熱膨張性耐火層701,702は、耐火断熱材層400aおよび400bの双方に接して設置され、金属表面部600a,600b(図9参照)の双方に空間を設けて設置されている。
また前記熱膨張性耐火層701,702は内側に熱膨張性樹脂層を有し、外側に金属板からなる金属層を有する。
実施例4に係る耐火ダクトの接合構造930が火災等の熱にさらされた場合には、前記熱膨張性耐火層701,702に設置された熱膨張性樹脂層が膨張する。そして膨張した熱膨張性樹脂層が金属表面部600a,600b(図9参照)を覆う。
このため火災等の炎が金属ダクト100a,100b内部に侵入した場合でも前記膨張した熱膨張性樹脂層により前記金属ダクト100a,100bの熱が外部へ伝わることを防ぐことができる。
【実施例5】
【0069】
図20は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造940を説明するための模式分解断面図であり、図21は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造940を説明するための模式断面図である。
また図22は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造940を示す模式斜視図である。
【0070】
実施例5と実施例1と比較すると、実施例1に使用した熱膨張性耐火層800に代えて、実施例5の場合では熱膨張性耐火層711,712を使用した点が異なる。
前記熱膨張性耐火層711は端711bに溝を備え、端711aに突起を備える。
また前記熱膨張性耐火層712は端712bに溝を備え、端712aに突起を備える。
前記熱膨張性耐火層711の端711bの溝に、前記熱膨張性耐火層712の端712aの突起を挿入し、
前記熱膨張性耐火層712の端712bの溝に、前記熱膨張性耐火層711の端711aの突起を挿入して、前記熱膨張性耐火層711および712を互いに組み合わせて固定することができる。
前記熱膨張性耐火層711および712を組み合わせた内周面の形状は、耐火断熱材層400aおよび400bの外周面の形状とほぼ一致している(図9参照)。
前記熱膨張性耐火層711,712は、耐火断熱材層400aおよび400bの双方に接して設置されている。また前記熱膨張性耐火層711,712は、金属表面部600a,600b(図9参照)の双方に空間を設けて設置されている。
また前記熱膨張性耐火層711,712は内側に熱膨張性樹脂層を有し、外側に金属板からなる金属層を有する。
実施例4の場合と同様、実施例5の場合でも前記耐火断熱材層400aの外周面および400bの外周面に隙間なく前記熱膨張性耐火層711,712を設置することができる。
実施例5に使用する前記熱膨張性耐火層711および712は同じ形状である。
このため実施例5に係る耐火ダクトの接合構造940を施工するときに施工者は熱膨張性耐火層を容易に選別することができる。このため実施例5に係る耐火ダクトの接合構造940を容易に施工することができる。
【実施例6】
【0071】
図23は実施例6に使用する熱膨張性耐火層721,722を説明するための模式斜視図であり、図24は実施例6に係る耐火ダクトの接合構造950を示す模式斜視図である。
【0072】
実施例6は、実施例2に使用した熱膨張性耐火層800に代えて、熱膨張性耐火層721,722を使用した点が異なる。
前記熱膨張性耐火層721および722はヒンジにより連結されていて、前記熱膨張性耐火層721および722は互いに開閉できる。
前記熱膨張性耐火層721は端721aに突起を備える。
また前記熱膨張性耐火層722は端722bに溝を備える。
前記熱膨張性耐火層722の端722bの溝に、前記熱膨張性耐火層721の端721aの突起を挿入して、前記熱膨張性耐火層721および722を互いに組み合わせて固定することができる。
【0073】
前記熱膨張性耐火層721および722を組み合わせた内周面の形状は、耐火断熱材層400aおよび400bの外周面の形状とほぼ一致している(図13参照)。
前記熱膨張性耐火層721,722は、耐火断熱材層400aおよび400bの双方に接して設置されている。また前記熱膨張性耐火層711,712は、金属表面部600a,600b(図9参照)の双方に空間を設けて設置されている。
前記熱膨張性耐火層721,722は内側に熱膨張性樹脂層を有し、外側に金属板からなる金属層を有する。
【0074】
実施例4の場合と同様、実施例6の場合でも前記耐火断熱材層400aの外周面および400bの外周面に隙間なく前記熱膨張性耐火層721,722を設置することができる。
また金属表面部600a,600bに対して空間を設けて前記熱膨張性耐火層721,722を設置することができる。
前記熱膨張性耐火層721および722はヒンジにより連結されていて、互いに開閉できることから、施工者は簡単に金属表面部600a,600bに対して空間を設けて前記熱膨張性耐火層721,722を設置することができる。このため実施例6に係る耐火ダクトの接合構造950を容易に施工することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の耐火ダクトの接合構造は構成が簡潔であることから、本発明の耐火ダクトの接合構造を施工者は容易に施工することができ、本発明の耐火ダクトの接合構造を保守することも容易であり、建築物や船舶等の耐火ダクト等に幅広く応用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1、1a、1b、100a、100b、110a、110b、120a、120b
金属ダクト
2、2a、2b、200a、200b 鍔フランジ
3、3a、3b、300a、300b 螺子孔
4、4a、4b、600a、600b 金属表面部
5 耐火断熱材被覆部
6、6a、6b 開口部
7 ボルト
8 ナット
10 接合部
20、400a、400b 耐火断熱材層
30、800 熱膨張性耐火層
210a 突出部
220 円筒状スリーブ
500 接合部
701、702、711、712、721、722 熱膨張性耐火層
701a、702、711b、711a、721a、722b 熱膨張性耐火層端
900、910、920、930、940、950 耐火ダクトの接合構造
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火ダクトの接合構造およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋やビル等の建築物は不燃性の防火壁、床等を用いた防火区画を備える。家屋やビル等の建築物に防火区画を設置すれば、一つの防火区画に火災が発生した場合でも他の防火区画に火災が広がることを防止することができる。
一方、外部の新鮮な空気を前記建築物の内部に取り入れたり、前記建築物の内部の汚れた空気を前記建築物の外部に排出したりするための換気用ダクト、空調用ダクト等に代表されるダクトが家屋やビル等の建築物に設置される。
前記ダクトにより一方の防火区画と他方の防火区画が連結される。
前記ダクトは複数の防火区画を連結するため、一方の防火区画で火災が発生した場合、火災の炎が前記ダクト内に侵入すると、前記ダクトが火災の炎により加熱される。他方の防火区画に前記ダクトから火災の炎が漏れ出さない場合であっても、ダクト自体に熱が伝わるため、加熱されたダクトの熱により他方の防火区画へ火災が広がる問題がある。
【0003】
この問題に対応するために前記ダクトの周囲をケイ酸カルシウムボード等の不燃ボードにより覆った耐火ダクトや、前記ダクトの周囲にロックウールマット等を螺旋状に巻き付けた耐火ダクト等が通常採用される。
また前記ダクトの外周面や内周面に熱膨張性耐火材を貼着した耐火ダクト等も提案されている(特許文献1および2)。
【0004】
これらの家屋やビル等の建築物に設置する施工方法として、前記建築物にダクトを設置した後に、設置されたダクトの全周囲にケイ酸カルシウムボード等の不燃ボードを配置する方法、前記設置されたダクトの全周囲にロックウールマット等を螺旋状に巻き付ける方法、前記設置されたダクトの外周面や内周面に熱膨張性耐火材を貼着する方法が挙げられる。
【0005】
しかし多くの施工現場では前記建築物の構造が複雑であり、前記ダクトの周囲に施工のための空間が十分に確保されていない場合が多く、施工が容易ではない問題があった。前記建築物の一つの施工現場における作業時間が長くなれば、前記建築物を完成させるための建築期間全体が遅延する。
さらに施工者の経験の程度に依存して施工時間および仕上がり精度に変動が生じる問題があった。
【0006】
また前記ダクトの周囲にケイ酸カルシウムボード等の不燃ボード等を配置するためには、前記不燃ボード等を支持するための吊下装置を壁や天井に配置する必要があり、施工に時間を要する問題もあった。
【0007】
また過去に施工され、施工されてから長時間が経過している耐火ダクトの接合構造の場合、長期間に渡り耐火ダクトが受けた振動、膨張、収縮等の影響により、耐火ダクトの接合構造の接合部に緩みや隙間等が生じる問題がある。
この問題のため耐火ダクトの接合構造の接合部に緩み、隙間等が生じているかどうかを点検する必要がある。また前記点検の結果、不具合が発見された場合に補修が必要となる。しかし従来の前記ダクトは前記不燃ボード等により前記接合部が覆われているため前記接合部の状態を外部から点検することは困難であった。
さらに実際に前記接合部に不具合を発見した場合には、前記接合部の補修のために前記不燃ボードやロックウールマット等を撤去する必要があり、耐火ダクトを保守することが困難になる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−031800号公報
【特許文献2】特開2009−249976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、容易に施工することができ、施工後も容易に保守することができる耐火ダクトの接合構造およびその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明者が鋭意検討した結果、二以上の金属ダクトの接合構造であって、耐火断熱材被覆部と金属表面部とを有する金属ダクトのうち、金属ダクト同士の接合部側にある前記金属ダクトの金属表面部が熱膨張性耐火層により覆われている耐火ダクトの接合構造およびその施工方法が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成することができた。
【0011】
すなわち本発明は、
[1]耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部と、耐火断熱材層により覆われていない金属表面部と、を有する金属ダクトと、
前記金属ダクトの金属表面部を覆う熱膨張性耐火層と、
を有し、
一方の金属ダクトと他方の金属ダクトが接合されて金属ダクト間の接合部が形成された構造であって、
前記金属表面部が、それぞれの金属ダクトの少なくとも一方の端部から前記金属ダクトの外周面に設けられ、
前記金属ダクト間の接合部が、一方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部と、他方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部とを隙間なく接合してなり、
前記金属ダクト間の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト間の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とが、前記熱膨張性耐火層により覆われていることを特徴とする、耐火ダクトの接合構造を提供する。
【0012】
また本発明の一つは、
[2]前記耐火断熱材層が、不燃性発泡体、無機繊維、無機耐火材および熱膨張性耐火材の少なくとも一つを含み、
前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火塗料、熱膨張性耐火吹付材、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートからなる群より選ばれる少なくとも一つから形成される、上記[1]に記載の耐火ダクトの接合構造を提供する。
【0013】
また本発明の一つは、
[3]前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つから形成され、
前記熱膨張性耐火層が、前記金属ダクト側から熱膨張性耐火樹脂層、金属層の順に熱膨張性耐火樹脂層および金属層を少なくとも含み、
前記金属ダクトの金属表面部を覆う熱膨張性耐火層が、前記金属ダクトの金属表面部と前記熱膨張性耐火層との間に空間を設けて設置されている、上記[1]または[2]に記載の耐火ダクトの接合構造を提供する。
【0014】
また本発明の一つは、
[4]前記熱膨張性耐火テープが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔の順に熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層および金属板の順に熱膨張性樹脂層および金属板を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートの内周面の形状が、前記耐火断熱材層の外周面の形状とほぼ一致する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の耐火ダクトの接合構造を提供する。
【0015】
また本発明は、
[5]耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部と、耐火断熱材層により覆われていない金属表面部と、を有する金属ダクトのうち、前記金属表面部が、前記金属ダクトの少なくとも一方の端部から前記金属ダクトの外周面に設けられた二以上の金属ダクトを使用する耐火ダクトの接合構造の施工方法であって、
一方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部と、他方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部とを隙間なく接合して前記金属ダクト間の接合部を得る工程と、
前記金属ダクト間の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト同士の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とを、熱膨張性耐火層により覆う工程と、
を有することを特徴とする、耐火ダクトの接合構造の施工方法を提供する。
【0016】
また本発明の一つは、
[6]前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つから形成され、
前記熱膨張性耐火層が、前記金属ダクト側から熱膨張性耐火樹脂層、金属層の順に、熱膨張性耐火樹脂層および金属層を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火層により覆う工程が、前記金属ダクト同士の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト同士の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とを、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つにより、前記金属ダクトの金属表面部と前記熱膨張性耐火層との間に空間を設けて覆う工程である、
上記[5]に記載の耐火ダクトの接合構造の施工方法を提供する。
【0017】
また本発明の一つは、
[7]前記熱膨張性耐火テープが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔の順に熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層および金属板の順に熱膨張性樹脂層および金属板を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートの内周面の形状が、前記耐火断熱材層の外周面の形状とほぼ一致する、上記[5]または[6]に記載の耐火ダクトの接合構造の施工方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の耐火ダクトの接合構造を施工する際、予め耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部を有する金属ダクトを準備しておき、施工現場において前記耐火断熱材被覆部を有する金属ダクトを使用することができる。
前記耐火断熱材被覆部を有する金属ダクトを使用した場合には、施工現場において金属ダクトの外周面に耐火断熱材層を設置する工程および時間を省略することも可能であるから、施工時間を短縮して容易に施工することができる。
【0019】
また本発明の耐火ダクトの接合構造は、金属ダクトの開口部同士の金属表面部を熱膨張性耐火層により覆うことにより得られるから容易に施工することができる。
また本発明の耐火ダクトの接合構造は、前記金属ダクトの金属表面部と前記熱膨張性耐火層との間に空間を設けた場合には金属ダクト間の接合部近傍の外周面に耐火断熱材層が接していない。このため金属ダクトの開口部同士を接合する際に前記耐火断熱材層が、金属ダクトの開口部同士を接合する作業を妨げることがない。この結果、本発明の耐火ダクトの接合構造を容易に施工することができる。
【0020】
さらに本発明の耐火ダクトの接合構造は容易に施工することができるから、施工者の経験の程度に依存して施工時間が変わることを防止することができ、仕上がり精度が変動することも防止できる。このため得られる耐火ダクトの接合構造の品質を保つことが容易である。
【0021】
また本発明の耐火ダクトの接合構造は、金属ダクト間の接合部外周面に熱膨張性耐火層が設置され、それ以外の場所には耐火断熱材層が配置されていることから金属ダクト間の接合部の位置を従来のダクト構造と比較して外部から容易に判別することができる。
また金属ダクト同士の接合部の修理等の作業の際には金属ダクト間の接合部を覆う熱膨張性耐火層を除去すればよく、施工後の耐火ダクトを容易に保守することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明に使用する金属ダクトの具体例を例示した模式斜視図である。
【図2】図2は金属ダクトにおける耐火断熱材被覆部と金属表面部との関係を説明するための模式断面図である。
【図3】図3は金属ダクト同士を接合させる前の状態を説明するための模式分解断面図である。
【図4】図4は金属ダクト同士を接合させた後の状態を説明するための模式断面図である。
【図5】図5は金属ダクトに熱膨張性耐火層が設置された状態を説明するための模式断面図である。
【図6】図6は実施例1に使用する金属ダクトを示す模式分解断面図である。
【図7】図7は実施例1に使用する金属ダクトを組み合わせた状態を示す模式斜視図である。
【図8】図8は実施例1に使用する金属ダクトに熱膨張性耐火層が設置された状態を説明するための模式断面図である。
【図9】図9は実施例1に係る耐火ダクトの接合構造を示す模式斜視図である。
【図10】図10は実施例2に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式分解断面図である。
【図11】図11は実施例2に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式断面図である。
【図12】図12は実施例2に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式断面図である。
【図13】図12は実施例2に係る耐火ダクト構造を示す模式斜視図である。
【図14】図14は実施例3に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式分解断面図である。
【図15】図15は実施例3に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式断面図である。
【図16】図16は実施例3に係る耐火ダクト構造を示す模式斜視図である。
【図17】図17は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式分解断面図である。
【図18】図18は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式断面図である。
【図19】図19は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造を示す模式斜視図である。
【図20】図20は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式分解断面図である。
【図21】図21は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造を説明するための模式断面図である。
【図22】図22は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造を示す模式斜視図である。
【図23】図23は実施例6に使用する熱膨張性耐火層を説明するための模式斜視図である。
【図24】図24は実施例6に係る耐火ダクトの接合構造を示す模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の耐火ダクトの接合構造について説明するが、最初に本発明に使用する金属ダクトについて説明する。
本発明に使用する金属ダクトは、通常アルミニウム、鋼鉄、ステンレス、銅等の金属製の筒形状のものが使用されるが、これに限定されるものではない。
また前記金属ダクトの形状についても前記金属ダクトの使用目的に応じて適宜選択することができる。本発明に使用するものの具体例としては、例えばその断面の外側の形状が正方形、長方形、円形、楕円形、多角形等である一種もしくは二種以上を挙げることができる。
【0024】
図1は本発明に使用する金属ダクトの具体例を例示した模式斜視図である。
図1に例示した金属ダクト1の形状は前記金属ダクト1の長手方向に垂直に前記金属ダクト1を切断した断面の外側の形状が円形である円筒状のものであり、鋼鉄により形成されている。
【0025】
前記金属ダクト1の外径は、実際に使用できる大きさであれば特に限定はない。具体的に一例を挙げるとすれば、3cm〜5mの範囲であれば好ましく、30cm〜2mの範囲であればさらに好ましい。
また前記金属ダクト1が円筒形以外の形状の場合であっても実際に使用できる大きさであればその形状に特に限定はない。具体的に一例を挙げるとすれば前記金属ダクト1の断面の外側同士の距離が、前記断面の重心を通る線上にある前記断面の外側両端の距離のうち最も短い部分を基準として、3cm〜5mの範囲であることが好ましく、30cm〜2mの範囲であればさらに好ましい。
【0026】
また図1に例示される金属ダクト1の両端部には鍔フランジ2が設けられている。
前記鍔フランジ2に、前記鍔フランジ2の外周に沿って所定間隔をおいて、前記金属ダクト1の長手方向に螺子孔3が設けられている。
また耐火断熱材層20により覆われた耐火断熱材被覆部5が図1に例示される金属ダクト1に形成されている。
なお図1において、耐火断熱材層20は説明の便宜上破線で示されている。
【0027】
前記耐火断熱材層20は、例えば、不燃性発泡体、無機繊維、無機耐火材、熱膨張性耐火材等から形成される。
前記不燃性発泡体としては、例えば、焼石膏粉末等の無機粉末とアルミニウム粉末等の金属粉末とを混合した後、フッ化水素酸を用いて反応させた無機金属系発泡体等、フッ化ポリオレフィン等の不燃性樹脂を発泡させてなる不燃性樹脂発泡体等が挙げられる。
前記無機繊維としては、例えば、ロックウール、セラミックウール、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、セラミックブランケット等が挙げられる。
前記無機耐火材としては、例えば、セラミック板、ケイ酸カルシウム板、石膏板、パーライト板等が挙げられる。
前記熱膨張性耐火材としては、例えば、積水化学工業社のフィブロック(エポキシ樹脂やゴムと、熱膨張性黒鉛等を含有する樹脂組成物を含むシート材料)、住友スリーエム社のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料化学社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)等の熱膨張性シート等が挙げられる。
【0028】
前記耐火断熱材層20は、取り扱い性や不燃性発泡体、無機繊維、無機耐火材、熱膨張性耐火材等の飛散防止の観点から金属箔が最外層に配置されていることが好ましい。
本発明に使用する金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、錫箔、鉛箔、錫鉛合金箔、クラッド箔、鉛アンチ箔等が挙げられる。
【0029】
前記耐火断熱材層20の厚みは、本発明の耐火ダクトの接続構造が使用される場所や目的に応じて適宜選択することができるが、一例を挙げるとすれば、例えば、0.5mm〜500mmの範囲であれば好ましく、1mm〜250mmの範囲であればさらに好ましい。
前記範囲が0.5mm以上の場合には熱が金属ダクト1に伝わることを防止することができ、前記範囲が500mm以下の場合には本発明の耐火ダクトの接続構造を容易に施工することができる。
【0030】
また耐火断熱材層20により覆われていない金属表面部4が図1に例示される金属ダクト1の外周面に形成されている。
【0031】
図2は金属ダクト1における耐火断熱材被覆部5と金属表面部4との関係を説明するための模式断面図であり、前記金属ダクト1の長手方向(つまり図2の左右方向)に水平な面により前記金属ダクト1を切断した断面を例示したものである。
図2に例示される通り、前記金属ダクト1は両端に開口部6を有する。
また前記金属表面部4が、前記金属ダクト1の両方の端部から前記金属ダクト1の外周面に設けられている。
【0032】
図2に示される一点破線y−yおよびy’−y’と前記金属ダクト1の外周面と交わる部分がそれぞれ前記金属ダクト1の端部に対応する。
また図2に示される一点破線x−xおよびy−yにより囲まれる前記金属ダクト1の外周面ならびに一点破線x’−x’およびy’−y’により囲まれる前記金属ダクト1の外周面が、それぞれ金属表面部4,4に対応する。図2に示される一点破線x−xおよびx’−x’により囲まれる前記金属ダクト1の外周面が耐火断熱材被覆部5に対応する。
【0033】
前記金属表面部4の長さは、使用する金属ダクト1の用途や使用場所によって適宜変更して選択することができるが、一例を挙げるとすれば、前記金属ダクト1の長手方向(図2の左右方向)に沿って、10〜500mmの範囲であることが好ましく、20〜300mmの範囲であればより好ましく、30〜200mmの範囲であればさらに好ましい。
なお本発明に使用する金属ダクト1は、いずれかの一方の端部から前記金属ダクト1の外周面に前記金属表面部4が設けられていればよい。
【0034】
図1および図2に例示される通り、本発明に使用する金属ダクト1は耐火断熱材層20を備える。
この様に耐火断熱材層20を備えた金属ダクト1を使用した場合には、施工現場において金属ダクト1に耐火断熱材層20を設置する作業を省略することもできる。このため施工現場における本発明の耐火ダクトの接合構造の施工作業性を向上させることができる。
【0035】
次に一方の金属ダクト1aと他方の金属ダクト1bとの接合関係について説明する。
図3は一方の金属ダクト1aと他方の金属ダクト1bとを接合させる前の状態を説明するための模式分解断面図であり、図4は金属ダクト同士を接合させた後の状態を説明するための模式断面図である。
【0036】
図3および図4に例示される様に、一方の金属ダクト1aに設けられた金属表面部4a側の開口部6aと、他方の金属ダクト1bに設けられた金属表面部4b側の開口部6bとを隙間なく接合することにより、前記金属ダクト間の接合部10が形成されている。
この様に一方の金属ダクト1aと他方の金属ダクト1bとは隙間なく接合されているため、火災等の炎が前記金属ダクト1a,1b内部に侵入した場合でも、前記接合部10から火災等の炎が外部に出ることを防ぐことができる。
【0037】
金属ダクト1aと金属ダクト1bとは、金属ダクト1aの鍔フランジ2aに設けられた螺子孔3aと、金属ダクト1bの鍔フランジ2bに設けられた螺子孔3bとを挿通するボルト7とナット8により固定されている。
金属ダクト同士を接合させる固定手段は、前記ボルト7およびナット8を使用する手段に限定されることはなく、例えば、溶接により金属ダクト同士を接合させる固定手段、耐熱接着剤等により金属ダクト同士を接合させる固定手段等を使用してもよい。
金属ダクト同士を接合させる固定手段は、金属ダクトを使用する目的に応じて適宜選択することができる。
また図3および図4では省略されているが、前記金属ダクト間の接合部10に、例えば、環状の耐熱パッキン、金属ワッシャー等を配置することもできる。
【0038】
次に一方の金属ダクト1a,1bと、熱膨張性耐火層との関係について説明する。
図5は金属ダクト1a,1bに熱膨張性耐火層が設置された状態を説明するための模式断面図である。
【0039】
図5に示す通り、前記金属ダクト1a,1b間の接合部10側にある一方の金属ダクト1aに設けられた金属表面部4aと、前記接合部10側にある他方の金属ダクト1bに設けられた金属表面部4bとが、熱膨張性耐火層30により、前記金属ダクトの金属表面部4a,4bと前記熱膨張性耐火層30との間に空間を設けて覆われている。
【0040】
前記金属表面部4a,4bを熱膨張性耐火層30により覆う手段としては、例えば、
(1)熱膨張性耐熱塗料を前記金属表面部4a,4bに塗る手段
(2)熱膨張性耐火吹付材を前記金属表面部4a,4bに吹付ける手段
(3)熱膨張性耐火テープを前記金属表面部4a,4bに巻き付ける手段
(4)熱膨張性耐火シートにより前記金属表面部4a,4bを覆う手段
等の一種もしくは二種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0041】
前記熱膨張性耐火層30は、例えば、前記熱膨張性耐熱塗料を使用する際は熱膨張性樹脂組成物を有機溶剤に縣濁させて得られた有機溶剤縣濁液または水に乳濁させて得られた乳化水溶液等からなる熱膨張性耐熱塗料を前記金属表面部4a,4bに塗布することにより得られる。
【0042】
また前記熱膨張性耐火吹付材を使用する際は、前記熱膨張性樹脂組成物の有機溶剤縣濁液や、乳化水溶液を前記金属表面部4a,4bに吹付けることにより前記熱膨張性耐火層を形成することができる。
【0043】
また熱膨張性耐火テープを使用する際には、テープ状に成形した熱膨張性樹脂組成物を前記金属表面部4a,4bの周囲に巻き付けることにより前記熱膨張性耐火層を形成することができる。
【0044】
また熱膨張性耐火シートを使用する際には、シート状に成形した熱膨張性樹脂組成物により前記金属表面部4a,4bを覆うことにより前記熱膨張性耐火層を形成することができる。
【0045】
なお本発明において熱膨張性耐火テープとは、幅が250mmよりも狭いものをいい、熱膨張性耐火シートとは、幅が250mm以上のものをいう。
【0046】
また熱膨張性耐火層30を形成する際に使用する熱膨張性樹脂組成物を含む材料は市販されていて、これらを適宜選択して使用することができる。
本発明に使用する前記樹脂組成物の具体例としては、先に説明した場合と同様であり、積水化学工業社のフィブロック、住友スリーエム社のファイアバリア、三井金属塗料化学社のメジヒカット等を使用することができる。
また熱膨張性耐火テープは、例えば、市販の熱膨張性耐火シートを適宜テープ状に切断して得ることもできる。
【0047】
本発明に使用する前記熱膨張性耐火層30は、熱膨張性耐火シートや熱膨張性耐火テープ等により形成されることが、施工作業上好ましい。
また本発明に使用する熱膨張性耐火シート、熱膨張性耐火テープ等は、熱膨張性樹脂層、無機繊維層、金属層等が積層されたものを使用することが好ましい。
【0048】
前記熱膨張性樹脂層を前記金属表面部4a,4b側に配置し、前記無機繊維層、金属層等を前記金属表面部4a,4bとは反対側に配置することにより、本発明の耐火ダクトの接合構造が火災の炎等により加熱された場合、前記無機繊維層、金属層等が存在するため、前記熱膨張性樹脂層は前記金属表面部4a,4b側に膨張する。
この結果、前記熱膨張性樹脂層の加熱後の膨張残渣は、前記無機繊維層、金属層等と、前記金属表面部4a,4bとの間に挟まれて保持される。
このため、前記熱膨張性樹脂層の加熱後の膨張残渣が剥離したり落下したりすることを防止することができる。
【0049】
前記熱膨張性樹脂層としては、例えば、前記熱膨張性樹脂組成物を成形したもの等を挙げることができる。
前記無機繊維層に使用する無機繊維としては、例えば、ロックウール、セラミックウール、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、セラミックブランケット等が挙げられる。
【0050】
前記金属層に使用する金属としては、例えば、金属箔、金属板等が挙げられる。
前記金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、錫箔、鉛箔、錫鉛合金箔、クラッド箔、鉛アンチ箔等が挙げられる。
また前記金属板としては、例えば、アルミニウム板、銅板、ステンレス板、錫板、鉛板、錫鉛合金板、クラッド板、鉛アンチ板等が挙げられる。
なお本発明においては前記金属層に使用する金属のうち、実際の施工に使用する大きさを基準として、一端を固定して水平に保持したときに一定の形状を保つ厚みのものを金属板といい、自重により固定した一端から下方向へ折れ曲がる厚みのものを金属箔という。
【0051】
本発明に使用する熱膨張性耐火シートおよび熱膨張性耐火テープは、熱膨張性樹脂層および金属層が、この順に積層されたものを使用することが好ましく、熱膨張性樹脂層、無機繊維層および金属層が、この順に積層されたものを使用することがより好ましい。
上記の説明の通り、これらの熱膨張性耐火シートや熱膨張性耐火テープ等を使用する場合には、熱膨張性樹脂層を前記金属表面部4a,4b側に配置して使用することが好ましい。
【0052】
前記熱膨張性耐火テープを使用することにより、前記金属ダクト1a,1bに設置された耐火断熱層20の外周面の形状や大きさに依存することなく前記熱膨張性耐火テープにより前記耐火断熱層20を覆うことができる。また施工者は円柱状に巻き取られた形状により前記熱膨張性耐火テープを施工現場に運ぶことができる。このため施工者は前記熱膨張性耐火テープを容易に施工現場に運ぶことができ、容易に耐火ダクトの接合構造を施工することができる。
前記熱膨張性耐火テープの具体的な実施形態の一例としては、例えば熱膨張性樹脂層、ガラス繊維、アルミニウム箔がこの順に積層されたものが挙げられる。
また前記熱膨張性耐火シートを使用することにより、施工者は前記金属ダクト1a,1bに設置された耐火断熱層20の外周面に前記熱膨張性耐火シートを容易に設置することができる。
前記熱膨張性耐火シートの具体的な実施形態の一例としては、例えば、金属板および熱膨張性樹脂層がこの順に積層されたものが挙げられる。
【0053】
本発明における前記金属ダクト1a,1bはその外周面が前記耐火断熱材層20および熱膨張性耐火層30により隙間なく覆われているため、火災の炎等が前記金属ダクト1a,1b内部に侵入した場合でも、加熱された前記金属ダクト1a,1bの熱が外部に伝わりにくい。
このため、火災等が発生した場合でも加熱された前記金属ダクト1a,1bによる延焼を軽減することができる。
【0054】
次に本発明に耐火ダクトの接合構造およびその施工方法について図面を参照しつつ実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0055】
図6は実施例1に使用する金属ダクト100a,100bを示す模式分解断面図である。
前記金属ダクト100a,100bはその断面の外側の形状が長方形の筒状構造であり、それぞれの端部に、鍔フランジ200a,200bが設置されている。
また前記鍔フランジ200a,200bに、前記鍔フランジ200a,200bの外周方向に沿って所定間隔をおいて、前記金属ダクト100a,100bの長手方向にそれぞれ螺子孔300a,300bが設けられている。
また前記金属ダクト100a,100bの外周面にそれぞれ耐火断熱材層400a,400bが設置されている。
前記耐火断熱材層400a,400bはマット状のロックウールの最外面にアルミニウム箔ラミネートガラスクロスを配置してなるものであり、アルミニウム箔ラミネートガラスクロスに含まれるアルミニウム箔が最外面となるように、アルミニウム箔ラミネートガラスクロスがマット状のロックウールに貼着されている(図示せず)。
前記耐火断熱材層400aを備えた金属ダクト100aは、例えば、工場等で金属ダクト100a等の外周面に前記耐火断熱材層400aを設置することにより得ることができる。
【0056】
図7は実施例1に使用する金属ダクト100a,100bを組み合わせた状態を示す模式斜視図である。
図7に示される様に、前記金属ダクト100a,100b間の接合部500が、一方の金属ダクト100aに設けられた金属表面部600a側の開口部と、他方の金属ダクト100bに設けられた金属表面部600b側の開口部とを隙間なく接合することにより形成されている。
前記金属ダクト100a,100b同士を接合させるために、前記鍔フランジ200a,200bにそれぞれ設けられた螺子孔300a,300b(図6参照)を挿通したボルト7および、ナット8が固定手段として使用されている。
なお説明の便宜上、図7では耐火断熱材層400a,400bがそれぞれ破線で示されている。
【0057】
図8は実施例1に使用する金属ダクト100a,100bに熱膨張性耐火層800が設置された状態を説明するための模式断面図である。
また図9は実施例1に係る耐火ダクトの接合構造を示す模式斜視図である。なお説明の便宜上図9では熱膨張性耐火層800が破線により示されている。
前記金属ダクト100aの金属表面部600aおよび前記金属ダクト100bの金属表面部600bは、前記熱膨張性耐火層800により空間を設けて覆われている。
前記熱膨張性耐火層800は、金属ダクト100a,100b側から、熱膨張性樹脂層、ガラスクロス層、アルミニウム箔層の順に積層された熱膨張性耐火テープにより形成されている。
また熱膨張性樹脂層に対し粘着成分が添加されているため、前記熱膨張性耐火テープは粘着性を有する。このため前記熱膨張性耐火テープを前記耐火断熱材層400a,400bに貼着することができる。
上記の説明により実施例1の耐火ダクトの接合構造900が形成される。
【0058】
実施例1に示した通り、実施例1の耐火ダクトの接合構造900は、前記耐火断熱材層400aを備えた金属ダクト100aと、前記耐火断熱材層400bを備えた金属ダクト100bとを隙間なく接合した後、前記熱膨張性耐火テープにより、金属表面部600a,600bを空間を設けて覆うことにより得られる。
前記金属表面部600a,600bを熱膨張性耐火テープにより覆う際には、例えば、前記熱膨張性耐火テープを、前記金属ダクト100a,100bの長手方向に対して垂直方向に前記金属表面部600a,600bの周囲に巻く方法、螺旋状に前記金属表面部600a,600bの周囲に巻く方法等を採用することができる。
実施例1の耐火ダクトの接合構造900は容易に施工できることに加え、金属ダクト100a,100bの断面形状に依存することがなく施工することができる。
【0059】
また実施例1の耐火ダクトの接合構造900は、前記耐火断熱材層400a,400bの上に前記熱膨張性耐火層800として前記熱膨張性耐火テープが貼着されている。このため耐火ダクトにおける接合部の位置を外部から容易に判別することができる。
また前記耐火ダクトの接合部500に不具合が生じた場合や前記接合部500を点検する際には、前記耐火ダクトの接合構造900から前記熱膨張性耐火テープを撤去すれば前記接合部500を露出させることができる。これにより実施例1の耐火ダクトの接合構造900を容易に保守することができる。
【実施例2】
【0060】
図10は実施例2の耐火ダクトの接合構造910を説明するための模式分解断面図であり、図11は実施例2の耐火ダクトの接合構造910を説明するための模式断面図である。
また図12は実施例2に係る耐火ダクトの接合構造910を示す模式断面図であり、図13は実施例2に係る耐火ダクト構造910を示す模式斜視図である。
なお説明の便宜上、図13では前記熱膨張性耐火層800は破線で示されている。
【0061】
実施例2と実施例1とを比較すると、実施例1に使用した金属ダクト100a,100bに代えて、実施例2の場合では円筒形状の金属ダクト110a,110bを使用した点が実施例1の場合と異なる。その他は実施例1の場合と同様である。
前記金属ダクト110aは、鍔フランジ200aに突出部210aを有する。
前記突出部210aの外周面と前記金属ダクト110bの内周面とがはめ合わされることにより、金属ダクト110aと金属ダクト110bとを隙間なく接合することができる。
なお、前記金属ダクト110aの様に突出部を有する構造の場合は、前記金属ダクト110aの端部とは、最終的に得られる耐火ダクトの接合構造の外周面に表れる部分をいう。
【0062】
実施例2においても、実施例1と同様の施工方法により耐火ダクトの接合構造910を得ることができる。
実施例2に示される様に、実施例1の場合と比較して金属ダクト110a,110b同士の接合部の構造および前記金属ダクト110a,110bの形状が変化した場合でも耐火ダクトの接合構造910を容易に得ることができる。
【実施例3】
【0063】
図14は実施例3の耐火ダクトの接合構造920を説明するための模式分解断面図であり、図15は実施例3の耐火ダクトの接合構造920を説明するための模式断面図である。
また図16は実施例3の耐火ダクト構造920を示す模式斜視図である。
なお説明の便宜上、図16では前記熱膨張性耐火層800は破線で示されている。
【0064】
実施例3は、実施例1に使用した金属ダクト100a,100bに代えて、鍔フランジのない円筒状の金属ダクト120a,120bを使用したこと、および円筒状スリーブ220を使用したこと以外は実施例1の場合と同様である。
【0065】
実施例3に使用した円筒状スリーブ220は鋼鉄製であるが、前記円筒状スリーブ220に使用する材料は適宜選択することができる。一例を示すとすれば、例えばアルミニウム、鋼鉄、ステンレス、銅等の金属材料、セラミック等の無機材料等が挙げられる。
前記円筒状スリーブ220の内面は金属ダクト120a,120bの外周面と略同一であり、金属ダクト120aおよび120bを前記円筒状スリーブ220内部に挿入することにより、金属ダクト120aと金属ダクト120bとを隙間なく接合することができる。
実施例3においても、実施例1と同様の施工方法により耐火ダクトの接合構造920を得ることができる。
金属ダクト120aおよび120bの形状が変化した場合には、その変化に対応した形状のスリーブを使用することにより、金属ダクト120aおよび120bの形状が変化した場合であっても変化後の金属ダクト120aおよび120bを隙間なく接合できる。
【実施例4】
【0066】
図17は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造930を説明するための模式分解断面図であり、図18は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造930を説明するための模式断面図である。
また図19は実施例4に係る耐火ダクトの接合構造930を示す模式斜視図である。
【0067】
実施例4と実施例1とを比較すると、実施例1に使用した熱膨張性耐火層800に代えて、実施例4の場合では熱膨張性耐火層701,702を使用した点が異なる。
熱膨張性耐火層701は両端701a,701aに溝を備える。また熱膨張性耐火層702は両端702b,702bに突起を備える。
前記熱膨張性耐火層701の両端701a,701aに設けられた溝に、前記熱膨張性耐火層702の両端702b,702bに設けられた突起をそれぞれ挿入すれば、前記熱膨張性耐火層701および702を互いに組み合わせて固定することができる。
前記熱膨張性耐火層701の両端701a,701aに設けられた溝の形状や前記熱膨張性耐火層702の両端702b,702bに設けられた突起の形状は、前記熱膨張性耐火層701および702を互いに組み合わせて固定することができるものであれば特に限定はない。前記溝および突起の形状の一例を図17〜図19に示す。
前記熱膨張性耐火層701および702を組み合わせた内周面の形状は、耐火断熱材層400aおよび400bの外周面の形状とほぼ一致している(図9参照)。
このため前記耐火断熱材層400aの外周面および400bの外周面に隙間なく前記熱膨張性耐火層701,702を設置することができる。
【0068】
前記熱膨張性耐火層701,702は、耐火断熱材層400aおよび400bの双方に接して設置され、金属表面部600a,600b(図9参照)の双方に空間を設けて設置されている。
また前記熱膨張性耐火層701,702は内側に熱膨張性樹脂層を有し、外側に金属板からなる金属層を有する。
実施例4に係る耐火ダクトの接合構造930が火災等の熱にさらされた場合には、前記熱膨張性耐火層701,702に設置された熱膨張性樹脂層が膨張する。そして膨張した熱膨張性樹脂層が金属表面部600a,600b(図9参照)を覆う。
このため火災等の炎が金属ダクト100a,100b内部に侵入した場合でも前記膨張した熱膨張性樹脂層により前記金属ダクト100a,100bの熱が外部へ伝わることを防ぐことができる。
【実施例5】
【0069】
図20は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造940を説明するための模式分解断面図であり、図21は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造940を説明するための模式断面図である。
また図22は実施例5に係る耐火ダクトの接合構造940を示す模式斜視図である。
【0070】
実施例5と実施例1と比較すると、実施例1に使用した熱膨張性耐火層800に代えて、実施例5の場合では熱膨張性耐火層711,712を使用した点が異なる。
前記熱膨張性耐火層711は端711bに溝を備え、端711aに突起を備える。
また前記熱膨張性耐火層712は端712bに溝を備え、端712aに突起を備える。
前記熱膨張性耐火層711の端711bの溝に、前記熱膨張性耐火層712の端712aの突起を挿入し、
前記熱膨張性耐火層712の端712bの溝に、前記熱膨張性耐火層711の端711aの突起を挿入して、前記熱膨張性耐火層711および712を互いに組み合わせて固定することができる。
前記熱膨張性耐火層711および712を組み合わせた内周面の形状は、耐火断熱材層400aおよび400bの外周面の形状とほぼ一致している(図9参照)。
前記熱膨張性耐火層711,712は、耐火断熱材層400aおよび400bの双方に接して設置されている。また前記熱膨張性耐火層711,712は、金属表面部600a,600b(図9参照)の双方に空間を設けて設置されている。
また前記熱膨張性耐火層711,712は内側に熱膨張性樹脂層を有し、外側に金属板からなる金属層を有する。
実施例4の場合と同様、実施例5の場合でも前記耐火断熱材層400aの外周面および400bの外周面に隙間なく前記熱膨張性耐火層711,712を設置することができる。
実施例5に使用する前記熱膨張性耐火層711および712は同じ形状である。
このため実施例5に係る耐火ダクトの接合構造940を施工するときに施工者は熱膨張性耐火層を容易に選別することができる。このため実施例5に係る耐火ダクトの接合構造940を容易に施工することができる。
【実施例6】
【0071】
図23は実施例6に使用する熱膨張性耐火層721,722を説明するための模式斜視図であり、図24は実施例6に係る耐火ダクトの接合構造950を示す模式斜視図である。
【0072】
実施例6は、実施例2に使用した熱膨張性耐火層800に代えて、熱膨張性耐火層721,722を使用した点が異なる。
前記熱膨張性耐火層721および722はヒンジにより連結されていて、前記熱膨張性耐火層721および722は互いに開閉できる。
前記熱膨張性耐火層721は端721aに突起を備える。
また前記熱膨張性耐火層722は端722bに溝を備える。
前記熱膨張性耐火層722の端722bの溝に、前記熱膨張性耐火層721の端721aの突起を挿入して、前記熱膨張性耐火層721および722を互いに組み合わせて固定することができる。
【0073】
前記熱膨張性耐火層721および722を組み合わせた内周面の形状は、耐火断熱材層400aおよび400bの外周面の形状とほぼ一致している(図13参照)。
前記熱膨張性耐火層721,722は、耐火断熱材層400aおよび400bの双方に接して設置されている。また前記熱膨張性耐火層711,712は、金属表面部600a,600b(図9参照)の双方に空間を設けて設置されている。
前記熱膨張性耐火層721,722は内側に熱膨張性樹脂層を有し、外側に金属板からなる金属層を有する。
【0074】
実施例4の場合と同様、実施例6の場合でも前記耐火断熱材層400aの外周面および400bの外周面に隙間なく前記熱膨張性耐火層721,722を設置することができる。
また金属表面部600a,600bに対して空間を設けて前記熱膨張性耐火層721,722を設置することができる。
前記熱膨張性耐火層721および722はヒンジにより連結されていて、互いに開閉できることから、施工者は簡単に金属表面部600a,600bに対して空間を設けて前記熱膨張性耐火層721,722を設置することができる。このため実施例6に係る耐火ダクトの接合構造950を容易に施工することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の耐火ダクトの接合構造は構成が簡潔であることから、本発明の耐火ダクトの接合構造を施工者は容易に施工することができ、本発明の耐火ダクトの接合構造を保守することも容易であり、建築物や船舶等の耐火ダクト等に幅広く応用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1、1a、1b、100a、100b、110a、110b、120a、120b
金属ダクト
2、2a、2b、200a、200b 鍔フランジ
3、3a、3b、300a、300b 螺子孔
4、4a、4b、600a、600b 金属表面部
5 耐火断熱材被覆部
6、6a、6b 開口部
7 ボルト
8 ナット
10 接合部
20、400a、400b 耐火断熱材層
30、800 熱膨張性耐火層
210a 突出部
220 円筒状スリーブ
500 接合部
701、702、711、712、721、722 熱膨張性耐火層
701a、702、711b、711a、721a、722b 熱膨張性耐火層端
900、910、920、930、940、950 耐火ダクトの接合構造
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部と、耐火断熱材層により覆われていない金属表面部と、を有する金属ダクトと、
前記金属ダクトの金属表面部を覆う熱膨張性耐火層と、
を有し、
一方の金属ダクトと他方の金属ダクトが接合されて金属ダクト間の接合部が形成された構造であって、
前記金属表面部が、それぞれの金属ダクトの少なくとも一方の端部から前記金属ダクトの外周面に設けられ、
前記金属ダクト間の接合部が、一方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部と、他方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部とを隙間なく接合してなり、
前記金属ダクト間の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト間の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とが、前記熱膨張性耐火層により覆われていることを特徴とする、耐火ダクトの接合構造。
【請求項2】
前記耐火断熱材層が、不燃性発泡体、無機繊維、無機耐火材および熱膨張性耐火材の少なくとも一つを含み、
前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火塗料、熱膨張性耐火吹付材、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートからなる群より選ばれる少なくとも一つから形成される、請求項1に記載の耐火ダクトの接合構造。
【請求項3】
前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つから形成され、
前記熱膨張性耐火層が、前記金属ダクト側から熱膨張性耐火樹脂層、金属層の順に熱膨張性耐火樹脂層および金属層を少なくとも含み、
前記金属ダクトの金属表面部を覆う熱膨張性耐火層が、前記金属ダクトの金属表面部と前記熱膨張性耐火層との間に空間を設けて設置されている、請求項1または2に記載の耐火ダクトの接合構造。
【請求項4】
前記熱膨張性耐火テープが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔の順に熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層および金属板の順に熱膨張性樹脂層および金属板を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートの内周面の形状が、前記耐火断熱材層の外周面の形状とほぼ一致する、請求項1〜3のいずれかに記載の耐火ダクトの接合構造。
【請求項5】
耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部と、耐火断熱材層により覆われていない金属表面部とを有する金属ダクトのうち、前記金属表面部が、前記金属ダクトの少なくとも一方の端部から前記金属ダクトの外周面に設けられた二以上の金属ダクトを使用する耐火ダクトの接合構造の施工方法であって、
一方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部と、他方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部とを隙間なく接合して前記金属ダクト同士の接合部を得る工程と、
前記金属ダクト同士の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト同士の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とを、熱膨張性耐火層により覆う工程と、
を有することを特徴とする、耐火ダクトの接合構造の施工方法。
【請求項6】
前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つから形成され、
前記熱膨張性耐火層が、前記金属ダクト側から熱膨張性耐火樹脂層、金属層の順に熱膨張性耐火樹脂層および金属層を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火層により覆う工程が、前記金属ダクト同士の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト同士の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とを、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つにより、前記金属ダクトの金属表面部と前記熱膨張性耐火層との間に空間を設けて覆う工程である、請求項5に記載の耐火ダクトの接合構造の施工方法。
【請求項7】
前記熱膨張性耐火テープが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔の順に熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層および金属板の順に熱膨張性樹脂層および金属板を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートの内周面の形状が、前記耐火断熱材層の外周面の形状とほぼ一致する、請求項5または6に記載の耐火ダクトの接合構造の施工方法。
【請求項1】
耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部と、耐火断熱材層により覆われていない金属表面部と、を有する金属ダクトと、
前記金属ダクトの金属表面部を覆う熱膨張性耐火層と、
を有し、
一方の金属ダクトと他方の金属ダクトが接合されて金属ダクト間の接合部が形成された構造であって、
前記金属表面部が、それぞれの金属ダクトの少なくとも一方の端部から前記金属ダクトの外周面に設けられ、
前記金属ダクト間の接合部が、一方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部と、他方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部とを隙間なく接合してなり、
前記金属ダクト間の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト間の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とが、前記熱膨張性耐火層により覆われていることを特徴とする、耐火ダクトの接合構造。
【請求項2】
前記耐火断熱材層が、不燃性発泡体、無機繊維、無機耐火材および熱膨張性耐火材の少なくとも一つを含み、
前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火塗料、熱膨張性耐火吹付材、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートからなる群より選ばれる少なくとも一つから形成される、請求項1に記載の耐火ダクトの接合構造。
【請求項3】
前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つから形成され、
前記熱膨張性耐火層が、前記金属ダクト側から熱膨張性耐火樹脂層、金属層の順に熱膨張性耐火樹脂層および金属層を少なくとも含み、
前記金属ダクトの金属表面部を覆う熱膨張性耐火層が、前記金属ダクトの金属表面部と前記熱膨張性耐火層との間に空間を設けて設置されている、請求項1または2に記載の耐火ダクトの接合構造。
【請求項4】
前記熱膨張性耐火テープが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔の順に熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層および金属板の順に熱膨張性樹脂層および金属板を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートの内周面の形状が、前記耐火断熱材層の外周面の形状とほぼ一致する、請求項1〜3のいずれかに記載の耐火ダクトの接合構造。
【請求項5】
耐火断熱材層により覆われた耐火断熱材被覆部と、耐火断熱材層により覆われていない金属表面部とを有する金属ダクトのうち、前記金属表面部が、前記金属ダクトの少なくとも一方の端部から前記金属ダクトの外周面に設けられた二以上の金属ダクトを使用する耐火ダクトの接合構造の施工方法であって、
一方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部と、他方の金属ダクトに設けられた金属表面部側の開口部とを隙間なく接合して前記金属ダクト同士の接合部を得る工程と、
前記金属ダクト同士の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト同士の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とを、熱膨張性耐火層により覆う工程と、
を有することを特徴とする、耐火ダクトの接合構造の施工方法。
【請求項6】
前記熱膨張性耐火層が、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つから形成され、
前記熱膨張性耐火層が、前記金属ダクト側から熱膨張性耐火樹脂層、金属層の順に熱膨張性耐火樹脂層および金属層を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火層により覆う工程が、前記金属ダクト同士の接合部側の一方の金属ダクトに設けられた金属表面部と、前記金属ダクト同士の接合部側の他方の金属ダクトに設けられた金属表面部とを、熱膨張性耐火テープおよび熱膨張性耐火シートの少なくとも一つにより、前記金属ダクトの金属表面部と前記熱膨張性耐火層との間に空間を設けて覆う工程である、請求項5に記載の耐火ダクトの接合構造の施工方法。
【請求項7】
前記熱膨張性耐火テープが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔の順に熱膨張性樹脂層、ガラス繊維およびアルミニウム箔を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートが、前記金属ダクト側から、熱膨張性樹脂層および金属板の順に熱膨張性樹脂層および金属板を少なくとも含み、
前記熱膨張性耐火シートの内周面の形状が、前記耐火断熱材層の外周面の形状とほぼ一致する、請求項5または6に記載の耐火ダクトの接合構造の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−158964(P2012−158964A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21256(P2011−21256)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]