説明

耐衝撃性が向上した熱可塑性樹脂組成物

本発明に係る耐衝撃性が向上した熱可塑性樹脂組成物は、(A)(A)約0.001〜約5.0mol%のエポキシ化合物を含むエポキシ基含有ビニル共重合体約5〜約100重量%、及び、(A)ゴム強化スチレン系共重合樹脂約0〜約95重量%を含むエポキシ基含有スチレン系高分子約30〜約99重量部と、(B)ポリエステル樹脂約1〜約70重量部と、(C)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して約0.001〜約10重量部のシリコーンオイルと、(D)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して約3〜約20重量部の臭素含有難燃剤と、(E)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して約0.1〜約6重量部の難燃補助剤とを含みうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性が向上した熱可塑性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴム変性スチレン系樹脂は、加工性及び機械的強度が良好であることから、主に電気電子製品及び事務機器などの内外装部品の製造に広く用いられている。
【0003】
しかしながら、ゴム変性スチレン系樹脂は、燃えやすい。このため、米国、欧州などの国において、ゴム変性スチレン系樹脂は、安全性の理由から可燃性に関する種々の法規制の対象となっており、電化製品の外装に用いるための保険業者研究所の基準に適合する高い難燃性を有することが求められている。したがって、ゴム変性スチレン系樹脂の難燃性を改善するための研究が持続的に行われてきた。
【0004】
ゴム変性スチレン系樹脂に難燃性を付与するための広く知られた方法としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤などの難燃剤を添加するというものがある。また、難燃性をより向上させるために難燃補助剤が併用されることもある。
【0005】
最近、電気電子製品及び事務機器の大型化と薄型化が急速に進められている。ゴム変性スチレン系樹脂をかような大型の薄型製品に適用する場合、難燃性を確保するためには多量の難燃剤を添加する必要がある。その結果、ゴム変性スチレン系樹脂の耐衝撃性及び剛性が低下する可能性がある。
【0006】
ポリエステル樹脂は、鎖長が短い構造を有し、これにより容易には曲がらない。したがって、ポリエステル樹脂は、剛性、電気的特性、耐候性、耐熱性に優れ、さらに高温下で長時間曝露しても引張強度の低下が非常に少ないという長所がある。また、結晶性ポリエステル樹脂は、ディーゼル油のような種々の油に対する耐性に優れている。
【0007】
しかしながら、ポリエステル鎖中のエステル結合のために、高温下で長時間、酸やアルカリに接触すると、ポリエステル樹脂の物性は低下しうる。したがって、ポリエステル樹脂を構造材として使用する際には、ガラス繊維などの強化剤がポリエステル樹脂に添加されうる。かような強化材を使用しない場合、ポリエステル樹脂を射出成形により製造される構造材として使用することは困難である。
【0008】
特に、ポリエステル樹脂は、燃焼時に急速に分解して炎が滴下することから、ポリエステル樹脂に難燃性を付与することは困難である。このように、ポリエステル単独では難燃性ではないため、難燃性を達成するためには、ガラス繊維のような強化剤がポリエステル樹脂に添加される。
【0009】
ポリエステル樹脂に難燃性を付与するための最近の試みとして、ポリエステルをゴム変性スチレン系樹脂とアロイ化するというものがある。しかしながら、かようなアロイの耐衝撃性は顕著に低下してしまう。よって、当該アロイを構造材として使用することはできない。
【発明の概要】
【0010】
技術的解決
本発明は、改善された耐衝撃性及び優れた難燃性を有する熱可塑性樹脂組成物を含む。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリエステル樹脂及びエポキシ基含有スチレン系高分子を含む基材樹脂に加えて、シリコーンオイルを含みうる。得られる熱可塑性樹脂は、構造材として用いられることができ、また、電気電子製品の外装材の製造にも用いられうる。
【0011】
上述した樹脂組成物は、(A)(A)約0.001〜約5.0mol%のエポキシ化合物を含むエポキシ基含有ビニル共重合体約5〜約100重量%、及び、(A)ゴム強化スチレン系共重合樹脂約0〜約95重量%を含むエポキシ基含有スチレン系高分子約30〜約99重量部と、(B)ポリエステル樹脂約1〜約70重量部と、(C)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して約0.001〜約10重量部のシリコーンオイルと、(D)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂約100重量部に対して約3〜約20重量部の臭素含有難燃剤と、(E)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して約0.1〜約6重量部の難燃補助剤とを含みうる。
【0012】
本発明の例示的な実施形態において、エポキシ基含有ビニル共重合体(A)は、エポキシ基含有不飽和エポキシ化合物(A11)約0.001〜約5.0mol%及びビニル化合物(A12)約99.999〜約95mol%を含む混合物を重合することにより調製される。
【0013】
本発明の例示的な実施形態において、ビニル化合物(A12)は、芳香族ビニル単量体及び前記芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体を含む。
【0014】
本発明の例示的な実施形態において、ゴム強化スチレン系共重合樹脂(A)は、(A21)グラフト共重合体樹脂約20〜約100重量%及び(A22)共重合体樹脂約0〜約80重量%を含む。
【0015】
本発明の例示的な実施形態において、ポリエステル樹脂(B)は、無機粒子が混合されたポリエステル樹脂であってもよい。
【0016】
本発明の例示的な実施形態において、シリコーンオイル(C)は、約1〜約10000cPs(25℃)の粘度を有する。
【0017】
上記樹脂組成物は、熱安定剤、染料、顔料、滑剤、離型剤、分散剤、滴下防止剤、耐候安定剤、無機充填剤、無機繊維、及びこれらの組み合わせなどの添加剤をさらに含みうる。
【0018】
本発明の他の形態によれば、上記樹脂組成物を押し出したペレットが提供される。
【0019】
本発明は他の形態によれば、上記樹脂組成物を成形した電気電子製品の外装材が提供される。
【0020】
本発明の他の形態によれば、上記組成物を含有する構造材が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、下記の説明によってより詳細に説明される。下記の説明は、本発明のすべての具体例を説明するものではない。実際に、本発明は多様な形態で具体化されることができ、以下で説明される具体例により制限されるものではない。以下で説明される具体例は、適用可能な法的な要件を充足させるために提示されるものである。
【0022】
(A)エポキシ基含有スチレン系高分子
以下で詳細に説明するように、エポキシ基含有スチレン系高分子は、エポキシ基含有スチレン系高分子とポリエステル樹脂とを含む基材樹脂の一部である。このエポキシ基含有スチレン系高分子は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の合計重量に対して、約30〜約99重量部の量で用いられる。
【0023】
本発明のエポキシ基含有スチレン系高分子は、(A)約0.001〜約5.0mol%のエポキシ基を含むエポキシ基含有ビニル共重合体と、(A)ゴム強化スチレン系共重合樹脂とを含む。具体的な実施形態では、エポキシ基含有スチレン系高分子は、(A)約0.001〜約5.0mol%のエポキシ基を含むエポキシ基含有ビニル共重合体約5〜約100重量%と、(A)ゴム強化スチレン系共重合樹脂約0〜約95重量部とを含む。
【0024】
(A)エポキシ基含有ビニル共重合体
本発明のエポキシ基含有ビニル共重合体は、エポキシ基含有不飽和エポキシ化合物(A11)及びビニル化合物(A12)を含む単量体混合物を重合することにより、当該不飽和エポキシ基がスチレン系共重合体中に存在するように調製されうる。この単量体混合物は、エポキシ基含有不飽和エポキシ化合物(A11)約0.001〜約5.0mol%と、ビニル化合物(A12)約99.999〜約95mol%とを含みうる。
【0025】
(A11)エポキシ化合物
エポキシ系化合物は、下記化学式1で表されうる:
【0026】
【化1】

【0027】
式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、飽和または不飽和のC〜C12のアルキル基、C〜C14のアリール基、またはアルキル置換アリール基であり、
Yはエーテル基(−O−)、カルボキシル基(−O−[C=O]−、−[O=C]−O−)、C〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基であり、
前記Yがエーテル(−O−)またはカルボキシル基(−O−[C=O]−、−[O=C]−O−)である場合、R及びRは、それぞれ独立して、C〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基であり、
前記YがC〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基である場合、Yは(R−Y−R)構造を表す。
【0028】
エポキシ化合物の例としては、以下に限定されないが、エポキシアルキルアクリレート、アリルグリシジルエステル、アリールグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、ブタジエンモノオキサイド、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルイタコネートなどが挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独でまたは2種以上が組み合わされて用いられうる。
【0029】
本発明の例示的な実施形態において、エポキシ化合物は、コモノマーとして約0.001〜約5mol%、例えば、約0.1〜約5mol%、他の例では、約1〜約5mol%の量で添加される。エポキシ化合物の量が約0.001mol%未満であると、衝撃強度の向上が難しい。また、エポキシ化合物の量が約5mol%を超えると、押し出し時のゲル化の問題が生じうる。
【0030】
(A12)ビニル化合物
本発明のビニル化合物は、芳香族ビニル単量体及び前記芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体とを含む。
【0031】
芳香族ビニル単量体としては、以下に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらのビニル単量体は、単独でまたは2種以上が組み合わされて用いられうる。
【0032】
芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体は、単独で、または1以上の他の共重合可能な単量体と組み合わせて用いられうる。芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体の例としては、以下に限定されないが、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルのような不飽和ニトリル単量体やその組み合わせが挙げられる。
【0033】
芳香族ビニル単量体及び前記芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体の割合は、ゴム強化スチレン系共重合樹脂(A)の成分中でゴムを除いた単量体の割合及び相溶性により決定される。ビニル化合物は、芳香族ビニル単量体約40〜約90重量%及び前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体約10〜約60重量%を含みうる。他の例として、ビニル化合物は、芳香族ビニル単量体約50〜約80重量%及び前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体約20〜約50重量%を含みうる。芳香族ビニル単量体の含量が約40重量%未満であると、粘度が急激に増加して最終製品の加工性に悪影響を及ぼす可能性がある。芳香族ビニル単量体の含量が約90重量%を超えると、機械的強度を改善することが難しい。
【0034】
加工性及び耐熱性を改善する目的で、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミドなどの他の単量体及びその組み合わせもまた、必要に応じてビニル化合物(A12)に含有されうる。加工性及び耐熱性を付与するための当該単量体は、ビニル化合物(A12)の合計重量に対して、約0〜約30重量%、例えば、約1〜約20重量%、他の例としては約2〜約15重量%の量で用いられうる。
【0035】
(A)ゴム強化スチレン系共重合樹脂
本発明に係るゴム強化スチレン系共重合樹脂は、芳香族ビニル重合体を含むマトリックス(連続相)中にゴム相重合体が粒子の形態でに分散して存在する重合体であってもよい。本発明の例示的な実施形態において、ゴム強化スチレン系共重合樹脂は、芳香族ビニル単量体をゴムと共に重合することによって調製されうる。具体的な実施形態において、芳香族ビニル単量体と一緒に、当該芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体もまた、用いられうる。このようなゴム強化スチレン系共重合樹脂は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合のような方法により、そしてグラフト共重合体樹脂及び共重合体樹脂の押し出しにより、製造されうる。塊状重合では、グラフト共重合体樹脂と共重合体樹脂とが1つのプロセスで一緒に調製される。他の重合方法では、グラフト共重合体樹脂と共重合体樹脂とが別々に調製されうる。用いられる重合技術にかかわらず、最終ゴム強化スチレン系樹脂(A)中のゴム含量は、約5〜約30重量%でありうる。
【0036】
本発明の例示的な実施形態において、ゴム強化スチレン系共重合樹脂とポリエステル樹脂との混合時における所望の特性を得るためには、ゴム強化スチレン系共重合樹脂(A)のゴム粒子のZ平均サイズは、約0.1〜約6.0μmであり、例えば、約0.25〜約3.5μmでありうる。
【0037】
本発明のゴム強化スチレン系共重合樹脂において、グラフト共重合体樹脂は、その相溶性に応じて、単独で、または共重合体樹脂と組み合わせて用いられうる。
【0038】
(A21)グラフト共重合体樹脂
グラフト共重合体樹脂(A21)は、ゴム状重合体、芳香族ビニル単量体、芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体、及び必要に応じて加工性及び耐熱性を付与する単量体をグラフト共重合することにより製造されうる。
【0039】
ゴム状重合体の例としては、例えば、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)などのジエン系ゴム;ジエン系ゴムに水素添加した飽和ゴム;イソプレンゴム;ポリブチルアクリル酸などのアクリル系ゴム;及びエチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)の三元共重合体が挙げられる。グラフト共重合体樹脂中のゴム状重合体の含量は、グラフト共重合体樹脂(A21)の合計重量に対して、約5〜約65重量部、例えば、約20〜約60重量部である。ゴム粒子の平均サイズは、樹脂組成物の衝撃強度及び外観を考慮して、約0.1〜約4μmの範囲でありうる。
【0040】
芳香族ビニル単量体の例としては、以下に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなど、及びこれらの組み合わせが挙げられる。芳香族ビニル単量体は、グラフト共重合体樹脂(A21)の合計重量に対して、約35〜約95重量部の量で用いられうる。
【0041】
グラフト共重合体樹脂(A21)は、少なくとも1つの、芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体を含みうる。芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体の例としては、アクリロニトリルのようなシアン化ビニル含有化合物、または、エタクリロニトリル、メタクリロニトリルのような不飽和ニトリル化合物が挙げられる。これらの単量体は、単独で、または2種以上組み合わされて用いられうる。この芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体は、グラフト共重合体樹脂(A21)の合計重量に対して、約1〜約20重量部の量で用いられうる。
【0042】
加工性及び耐熱性を付与するための単量体としては、以下に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、及びN−置換マレイミドなど、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。加工性及び耐熱性を付与するための単量体は、グラフト共重合体樹脂(A21)の合計重量に対して、約0〜約15重量部の量で用いられうる。
【0043】
(A22)共重合体樹脂
本発明の共重合体樹脂は、芳香族ビニル単量体、芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体、並びに、必要に応じて加工性及び耐熱性を付与する他の単量体を共重合することにより調製されうる。単量体の比率は、グラフト共重合体樹脂(A21)のゴムを除いた割合及び相溶性により調整されうる。
【0044】
芳香族ビニル単量体の例としては、以下に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなど、及びこれらの組み合わせが挙げられる。芳香族ビニル単量体は、共重合体樹脂(A22)の合計重量に対して、約60〜約90重量部の量で用いられうる。
【0045】
芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体の例としては、例えば、アクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物、またはエタクリロニトリル、メタクリロニトリルのような不飽和ニトリル化合物が挙げられ、単独で、または2種以上組み合わせて用いられうる。芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体の量は、共重合体樹脂(A22)の合計重量に対して、約10〜約40重量部でありうる。
【0046】
加工性及び耐熱性を付与するための単量体の例としては、以下に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミドなど、及びこれらの組み合わせが挙げられる。加工性及び耐熱性を付与するための単量体の量は、共重合体樹脂(A22)の合計重量に対して、約0〜約30重量部でありうる。
【0047】
本発明の例示的な実施形態において、ゴム強化スチレン系共重合樹脂は、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体樹脂(AAS樹脂)など、及びこれらの組み合わせでありうる。
【0048】
ゴム強化スチレン系共重合樹脂(A)は、グラフト共重合体樹脂(A21)約20〜約100重量%及び共重合体樹脂(A22)約0〜約80重量%を含みうる。
【0049】
(B)ポリエステル樹脂
本発明に用いられるポリエステルは、固有粘度が約0.3〜約1.0g/dLのポリエステル樹脂、またはこれらの共重合体である。
【0050】
本発明の例示的な実施形態において、ポリエステル樹脂は、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジメチルテレフタレート(DMT)、ジメチルイソフタレートなどの、酸がジメチル基で置換された芳香族ジカルボキシレート、ナフタレンジカルボン酸のアルキルエステル、ジメチル−1,2−ナフタレート、ジメチル−1,5−ナフタレート、ジメチル−1,7−ナフタレート、ジメチル−1,7−ナフタレート、ジメチル−1,8−ナフタレート、ジメチル−2,3−ナフタレート、ジメチル−2,6−ナフタレート、ジメチル−2,7−ナフタレートなど、及びこれらの組み合わせといった酸またはエステルと、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど、及びこれらの組み合わせといった、2〜12個の炭素原子を有するジオールとを重縮合することにより調製されうる。この重縮合反応は、当業者により容易に実施されうる。
【0051】
本発明の例示的な実施形態において、ポリエステル樹脂(B)は、無機粒子が混合されたポリエステル樹脂であってもよい。本発明で用いられうる適当な無機粒子の例としては、例えば、以下に限定されないが、二酸化チタン(TiO)、二酸化ケイ素(SiO)、水酸化アルミニウム(Al(OH))など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
本発明において、ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂とエポキシ基含有スチレン系高分子とを含む基材樹脂の一部であり、熱可塑性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂組成物の合計重量に対して約1〜約70重量部、例えば、約5〜約50重量部、他の例としては約10〜約40重量部の量で用いられる。ポリエステルの量が前記範囲より多いかまたは少ないと、これにより得られる樹脂組成物の衝撃強度及び難燃性が低下する場合がある。
【0053】
(C)シリコーンオイル
本発明において用いられるシリコーンオイルは、下記の化学式2で表すことができる:
【0054】
【化2】

【0055】
式中、R及びRは、それぞれ独立して、C1−6のアルキル基、フェニル基、C6−20のアルキル置換フェニル基、及び水素を表し、mは10〜10000である。
【0056】
例えば、Rは、メチル基またはフェニル基であってもよく、Rは、メチル基、フェニル基または水素でありうる。
【0057】
シリコーンオイルは、当業者にとって自明な従来の手法により調製可能であり、市販されている。
【0058】
本発明において、シリコーンオイルは、約1〜約10000cPs(25oC)の粘度を有する。このシリコーンオイルは、(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して、約0.001〜約10重量部、例えば、0.01〜5重量部、他の例としては約0.1〜約3重量部の量で用いられうる。シリコーンオイルの量が約0.001未満であると、衝撃強度が充分に改善されない。シリコーンオイルの量が10重量部を超えると、衝撃強度及び難燃度が低下する。
【0059】
(D)臭素含有難燃剤
本発明の臭素含有難燃剤は、40〜87重量%の量で臭素を含有する化合物でありうる。
【0060】
臭素含有難燃剤の例としては、以下に限定されないが、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、デカ臭素化ジフェニルエタン、1,2−ビス(トリブロモフェニル)エタン、分子量が600〜8000の臭素化エポキシオリゴマー、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、トリス(トリブロモフェニル)トリアジン、臭素化脂肪族または芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの臭素含有難燃剤は単独で、または2種以上組み合わせて用いられうる。
【0061】
臭素含有難燃剤は、(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して、約3〜約20重量部、例えば、約5〜約17重量部の量で用いられうる。
【0062】
(E)難燃補助剤
本発明の難燃補助剤は、アンチモンを含有する。本発明の例示的な実施形態において、難燃補助剤は、約75〜約87重量%の量でアンチモンを含む。本発明の例示的な実施形態において、難燃補助剤は、酸化アンチモンである。酸化アンチモンの例としては、以下に限定されないが、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
三酸化アンチモンの場合、少なくとも50%の三酸化アンチモン粒子が、約0.01〜約6μm、例えば、約0.02〜約3.0μmのサイズを有しうる。
【0064】
五酸化アンチモンの場合、少なくとも50%の五酸化アンチモン粒子が、約0.01〜約1μm、例えば、約0.02〜約0.5μmのサイズを有しうる。
【0065】
本発明の難燃補助剤は、(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して、約0.1〜約6重量部、例えば、約1〜約4重量部の量で用いられうる。
【0066】
他の添加剤が本発明の樹脂組成物に含まれてもよい。このような添加剤の例としては、以下に限定されないが、熱安定剤、染料、顔料、滑剤、離型剤、分散剤、滴下防止剤、耐候安定剤、無機充填剤、無機繊維、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
本発明に係る樹脂組成物は、従来の方法により製造されうる。例えば、すべての成分及び添加剤を同時に混合し、押出機にて押し出すことにより、ペレットの形態で製造することができる。
【0068】
本発明の樹脂組成物は、従来の難燃性樹脂に比べて、耐衝撃性に極めて優れており、多様な製品の成形に使用することができる。本発明の樹脂組成物は、特に、電気電子製品の外装材、コンピュータまたは事務機器のハウジング、及び構造材などに適用可能である。
【0069】
本発明は、下記の実施例によってさらに容易に理解することができる。下記の実施例は本発明の例示のためのものであって、添付された特許請求の範囲により限定される保護範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0070】
発明の形態
実施例
(A)エポキシ基含有ビニル共重合体
(A1−1)エポキシ基含有ビニル共重合体(GMA1mol%−SAN)
グリシジルメタクリレート1.0mol%と、スチレン70重量部及びアクリロニトリル30重量部を含むビニル化合物99.0mol%とを含む単量体混合物100重量部、及び脱イオン水120重量部を含む混合物に、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、リン酸三カルシウム0.4重量部、及びメルカプタン含有連鎖移動剤0.2重量部を添加した。該混合物の温度を室温から80℃に60分間かけて昇温させた後、この温度で180分間維持して、エポキシ基含有スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂(GMA−SAN)を得た。得られた生成物を洗浄、脱水及び乾燥して、粉末状のエポキシ基含有スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂(GMA−SAN)を得た。
【0071】
(A1−2)エポキシ基含有ビニル共重合体(GMA5mol%−SAN)
グリシジルメタクリレート5.0mol%と、スチレン70重量部及びアクリロニトリル30重量部を含むビニル化合物95.0mol%とを含む単量体混合物を用いたことを除いては、前記GMA1mol%−SAN(A1−1)と同様の方法で製造した。
【0072】
(A)ゴム変性スチレン樹脂
(A21)グラフト共重合体樹脂
ブタジエンゴムラテックス50重量部(固形分)、スチレン36重量部、アクリロニトリル14重量部、及び脱イオン水150重量部を混合した。該混合物に、オレイン酸カリウム1.0重量部、クメンヒドロパーオキサイド0.4重量部、メルカプタン含有連鎖移動剤0.2重量部、グルコース0.4重量部、硫酸第一鉄水和物0.01重量部、及びピロリン酸ナトリウム0.3重量部を添加した。この混合物を75℃で5時間維持してg−ABSラテックスを得た。該g−ABSラテックスに、硫酸を0.4重量部添加し、凝固および乾燥させ、粉末状のグラフトABS共重合体樹脂(g−ABS)を得た。
【0073】
(A22)共重合体樹脂
スチレン75重量部、アクリロニトリル25重量部、脱イオン水120重量部及びアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を混合した。該混合物にリン酸三カルシウム0.4重量部、及びメルカプタン含有連鎖移動剤0.2重量部を添加した。得られた溶液を80℃まで90分間かけて加熱し、180分間維持した。結果物を洗浄、脱水及び乾燥して、粉末状のスチレン/アクリロニトリル共重合体樹脂(SAN)を得た。
【0074】
(B)ポリエステル
固有粘度が0.76g/dLであるエニケム(Anychem)社製のポリエステル樹脂(製品名:A1100)を用いた。
【0075】
(C)シリコーンオイル
(C)粘度が100cPsである日本ユニカー製のジメチルシリコーンオイルを用いた。
【0076】
(C)粘度が300cPsであるKCC製のメチルハイドロジェンシリコーンオイルを用いた。
【0077】
(D)難燃剤
(D)デカブロモジフェニルオキサイド(DBDPO):米国アルベマール社製のSAYTEX102Eを用いた。
【0078】
(D)デカブロモジフェニルエタン(DBDPE):米国アルべマール社製のSAYTEX4010を用いた。
【0079】
(D)トリス(トリブロモフェニル)トリアジン:ICL社製のFR−245を用いた。
【0080】
(E)難燃補助剤
韓国インスン アンチモン(INSUNG ANTIMONY)社製の三酸化アンチモン(製品名:ANTIS−W)を用いた。
【0081】
実施例1〜7及び比較例1〜5
下記表1に記載のとおりに各成分をヘンシェルミキサーにて3〜10分間混合し、混合物を調製した。該混合物を通常の二軸押出機速度30〜60kg/hrで供給し、180〜280℃、スクリュー速度150〜300rpmでペレットに押出加工した。該樹脂ペレットを80℃で2時間乾燥し、180〜280℃の6oz射出成形機を用いて金型温度40〜80℃で射出して、試験片とした。
【0082】
該試験片の物性を、23℃、相対湿度50%で40時間放置した後で測定し、結果を、表1及び表2に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
物性試験方法
(1)衝撃強度:ASTM D−256に準じてIzod衝撃強度(1/4”notch、kgf・cm/cm)を測定した。
【0086】
(2)落球衝撃強度(J):ASTM−D3763に準じて落球衝撃強度を測定した。重さ3.729kg、半球直径12.5mmの球を、厚さ3.2mm、幅80mmの正方形試験片の上に30cm高さから落下させ、最初のクラックが生じる時点までの衝撃吸収エネルギーを測定した。
【0087】
(3)難燃性:UL94VBに準じて難燃性を測定した。試験片の厚さを1.5mmとした。
【0088】
以上の記載で開示された教示の利益をうけた当業者であれば、多くの改良や他の形態を容易に想到することができるだろう。したがって、本発明は開示された特定の形態に制限されるものではなく、添付された特許請求の範囲の技術的範囲に、これらの改良及び他の形態が含まれることを意図していると理解されよう。ここでは具体例を用いたが、これらは一般的かつ説明的な意味で使用されたものであり、特許請求の範囲で規定される発明の技術的範囲を制限するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(A)0.001〜5.0mol%のエポキシ化合物を含むエポキシ基含有ビニル共重合体5〜100重量%、及び、(A)ゴム強化スチレン系共重合樹脂0〜95重量%を含むエポキシ基含有スチレン系高分子30〜99重量部と、
(B)ポリエステル樹脂1〜70重量部と、
(C)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部のシリコーンオイルと、
(D)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して3〜20重量部の臭素含有難燃剤と、
(E)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して0.1〜6重量部の難燃補助剤と、
を含む、耐衝撃性が向上した熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記エポキシ基含有ビニル共重合体(A)が、エポキシ基含有不飽和エポキシ化合物(A11)0.001〜5.0mol%及びビニル化合物(A12)99.999〜95mol%を含む混合物を重合することにより調製される、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記不飽和エポキシ化合物(A11)が、下記化学式1で表される、請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物:
【化1】

式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、飽和または不飽和のC〜C12のアルキル基、C〜C14のアリール基、またはアルキル置換アリール基であり、
Yはエーテル基(−O−)、カルボキシル基(−O−[C=O]−、−[O=C]−O−)、C〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基であり、
前記Yがエーテル(−O−)またはカルボキシル基(−O−[C=O]−、−[O=C]−O−)である場合、R及びRは、それぞれ独立して、C〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基であり、
前記YがC〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基である場合、Yは(R−Y−R)構造を表す。
【請求項4】
前記不飽和エポキシ化合物(A11)が、エポキシアルキルアクリレート、アリルグリシジルエステル、アリールグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、ブタジエンモノオキサイド、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルイタコネート、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ビニル化合物(A12)が、芳香族ビニル単量体40〜90重量%及び前記芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体10〜60重量%を含む、請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体が、不飽和ニトリル単量体である、請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記ゴム強化スチレン系共重合樹脂(A)が、(A21)グラフト共重合体樹脂20〜100重量%及び(A22)共重合体樹脂0〜80重量%を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記ゴム強化スチレン系共重合樹脂(A)が、Z平均で0.1〜6.0μmのゴム粒子サイズを有する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記ポリエステル樹脂(B)が無機粒子を含有する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
前記シリコーンオイル(C)が、下記化学式2で表される、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物:
【化2】

式中、R及びRは、それぞれ独立して、C1−6のアルキル基、フェニル基、C6−20のアルキル置換フェニル基、及び水素を表し、mは10〜10000である。
【請求項11】
前記シリコーンオイル(C)が、1〜10000cPs(25℃)の粘度を有する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
前記臭素含有難燃剤(D)が、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、デカ臭素化ジフェニルエタン、1,2−ビス(トリブロモフェニル)エタン、分子量が600〜8000の臭素化エポキシオリゴマー、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、トリス(トリブロモフェニル)トリアジン、臭素化脂肪族または芳香族炭化水素、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1の熱可組成樹脂組成物。
【請求項13】
前記難燃補助剤(E)が酸化アンチモンである、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項14】
前記酸化アンチモンが三酸化アンチモンであり、少なくとも50%の前記三酸化アンチモンの粒子が0.01〜6μmのサイズを有するか、または、前記酸化アンチモンが五酸化アンチモンであり、少なくとも50%の前記五酸化アンチモンの粒子が0.01〜1μmのサイズを有する、請求項13に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項15】
熱安定剤、染料、顔料、滑剤、離型剤、分散剤、滴下防止剤、耐候安定剤、無機充填剤、無機繊維、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたる添加剤をさらに含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項16】
(A)(A)0.001〜5.0mol%のエポキシ化合物を含むエポキシ基含有ビニル共重合体5〜100重量%、及び、(A)ゴム強化スチレン系共重合樹脂0〜95重量%を含むエポキシ基含有スチレン系高分子30〜99重量部と、
(B)ポリエステル樹脂1〜70重量部と、
(C)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部のシリコーンオイルと、
(D)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して3〜20重量部の臭素含有難燃剤と、
(E)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して0.1〜6重量部の難燃補助剤と、
を含む熱可塑性樹脂組成物を含む、構造材。
【請求項17】
前記エポキシ基含有ビニル共重合体(A)が、エポキシ基が含有されている不飽和エポキシ系化合物(A11)0.001〜5.0mol%及びビニル系化合物(A12)99.999〜95mol%からなる単量体混合物を重合したことを特徴とする、請求項16に記載の構造材。
【請求項18】
前記不飽和エポキシ化合物(A11)が、下記化学式1で表される、請求項17に記載の構造材:
【化3】

式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、飽和または不飽和のC〜C12のアルキル基、C〜C14のアリール基、またはアルキル置換アリール基であり、
Yはエーテル基(−O−)、カルボキシル基(−O−[C=O]−、−[O=C]−O−)、C〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基であり、
前記Yがエーテル(−O−)またはカルボキシル基(−O−[C=O]−、−[O=C]−O−)である場合、R及びRは、それぞれ独立して、C〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基であり、
前記YがC〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基である場合、Yは(R−Y−R)構造を表す。
【請求項19】
前記ポリエステル樹脂(B)が無機粒子を含有する、請求項16に記載の構造材。
【請求項20】
前記シリコーンオイル(C)が、下記化学式2で表される、請求項16に記載の構造材:
【化4】

式中、R及びRは、それぞれ独立して、C1−6のアルキル基、フェニル基、C6−20のアルキル置換フェニル基、及び水素を表し、mは10〜10000である。
【請求項21】
前記難燃補助剤(E)が酸化アンチモンである、請求項16に記載の構造材。
【請求項22】
前記酸化アンチモンが三酸化アンチモンであり、少なくとも50%の前記三酸化アンチモンの粒子が0.01〜6μmのサイズを有するか、または、前記酸化アンチモンが五酸化アンチモンであり、少なくとも50%の前記五酸化アンチモンの粒子が0.01〜1μmのサイズを有する、請求項21に記載の構造材。
【請求項23】
(A)(A)0.001〜5.0mol%のエポキシ化合物を含むエポキシ基含有ビニル共重合体5〜100重量%、及び、(A)ゴム強化スチレン系共重合樹脂0〜95重量%を含むエポキシ基含有スチレン系高分子30〜99重量部と、
(B)ポリエステル樹脂1〜70重量部と、
(C)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部のシリコーンオイルと、
(D)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して3〜20重量部の臭素含有難燃剤と、
(E)前記(A)及び(B)を含む基材樹脂100重量部に対して0.1〜6重量部の難燃補助剤と、
を含む樹脂組成物から成形した、電気電子製品の外装材。
【請求項24】
前記エポキシ基含有ビニル共重合体(A)が、エポキシ基が含有されている不飽和エポキシ系化合物(A11)0.001〜5.0mol%及びビニル系化合物(A12)99.999〜95mol%からなる単量体混合物を重合したことを特徴とする、請求項23に記載の外装材。
【請求項25】
前記不飽和エポキシ化合物(A11)が、下記化学式1で表される、請求項24に記載の外装材:
【化5】

式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、飽和または不飽和のC〜C12のアルキル基、C〜C14のアリール基、またはアルキル置換アリール基であり、
Yはエーテル基(−O−)、カルボキシル基(−O−[C=O]−、−[O=C]−O−)、C〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基であり、
前記Yがエーテル(−O−)またはカルボキシル基(−O−[C=O]−、−[O=C]−O−)である場合、R及びRは、それぞれ独立して、C〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基であり、
前記YがC〜C12のアルキレン基、C〜C14のアリーレン基またはアルキル置換アリーレン基である場合、Yは(R−Y−R)構造を表す。
【請求項26】
前記ポリエステル樹脂(B)が無機粒子を含有する、請求項23に記載の外装材。
【請求項27】
前記シリコーンオイル(C)が、下記化学式2で表される、請求項23に記載の外装材:
【化6】

式中、R及びRは、それぞれ独立して、C1−6のアルキル基、フェニル基、C6−20のアルキル置換フェニル基、及び水素を表し、mは10〜10000である。
【請求項28】
前記難燃補助剤(E)が酸化アンチモンである、請求項23に記載の外装材。
【請求項29】
前記酸化アンチモンが三酸化アンチモンであり、少なくとも50%の前記三酸化アンチモンの粒子が0.01〜6μmのサイズを有するか、または、前記酸化アンチモンが五酸化アンチモンであり、少なくとも50%の前記五酸化アンチモンの粒子が0.01〜1μmのサイズを有する、請求項28に記載の外装材。

【公表番号】特表2010−514887(P2010−514887A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543940(P2009−543940)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006833
【国際公開番号】WO2008/082138
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】