説明

肝細胞増殖因子(HGF)に対する天然アンチセンス転写物の阻害によるHGF関連性疾患の治療

本発明は、特に、肝細胞増殖因子(HGF)の内因性アンチセンスポリヌクレオチドを標的とすることで、肝細胞増殖因子(HGF)の発現および/または機能を調節するアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。また、本発明は、これらのアンチセンスオリゴヌクレオチドの同定およびHGFの発現と関連した疾患および障害の治療におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年12月23日に提出された米国仮特許出願第61/289,647号の優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書において組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、HGFおよび関連分子の発現および/または機能を調整するオリゴヌクレオチドを含む。
【背景技術】
【0003】
DNA−RNAおよびRNA−RNAハイブリダイゼーションは、DNA複製、転写、および翻訳を含む核酸機能の多くの側面にとって重要である。ハイブリダイゼーションはまた、特定の核酸を検出するまたはその発現を改変する様々な技術の中心にもなる。アンチセンスヌクレオチドは、例えば、標的RNAにハイブリダイズすることによって遺伝子発現を破壊し、それによって、RNAスプライシング、転写、翻訳、および複製に干渉する。アンチセンスDNAは、DNA−RNAハイブリッドが、ほとんどの細胞型中に存在する活性である、リボヌクレアーゼHによる消化のために基質として果たすという付加的な特徴を有する。アンチセンス分子は、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の場合のように、細胞に送達することができるまたはそれらは、RNA分子として内因性遺伝子から発現させることができる。FDAは、最近、アンチセンス薬、VITRAVENE(商標)(サイトメガロウイルス網膜炎の治療用)を承認しており、アンチセンスが治療上の有用性を有することを反映している。
【発明の概要】
【0004】
本概要は、本発明の特徴および要旨を簡潔に示すために、本発明の要約を示すために提供される。それは、それが、請求項の範囲または意味を解釈するまたは限定するように使用されないという条件を伴って提出される。
【0005】
一実施形態では、本発明は、天然アンチセンス転写物の任意の領域を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチド(複数可)を使用することによって、天然アンチセンス転写物の作用を阻害し、対応するセンス遺伝子のアップレギュレーションをもたらすための方法を提供する。本発明の範囲内にあると考えられるsiRNA、リボザイム、および小分子によって天然アンチセンス転写物の阻害を達成することができることもまた、本明細書において企図される。
【0006】
一実施形態は、in vivoまたはin vitroにおいて、患者の細胞または組織におけるHGFポリヌクレオチドの機能および/または発現を調整するための方法であって、当該細胞または組織を、長さが5〜30のヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含み、当該オリゴヌクレオチドは、配列番号2のヌクレオチド1〜514、配列番号3のヌクレオチド1〜936、または配列番号4の1〜1075のヌクレオチド内の5〜30の連続ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの逆相補体に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、それによって、in vivoまたはin vitroにおいて、患者の細胞または組織におけるHGFポリヌクレオチドの機能および/または発現を調整する方法を提供する。
【0007】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、HGFポリヌクレオチドの天然アンチセンス配列、例えば配列番号2〜4において記載されるヌクレオチドならびに任意の変異体、対立遺伝子、相同体、突然変異体、誘導体、断片、およびそれに対する相補配列を標的にする。アンチセンスオリゴヌクレオチドの例は、配列番号5〜12として記載される。
【0008】
他の実施形態は、in vivoまたはin vitroにおいて、患者の細胞または組織におけるHGFポリヌクレオチドの機能および/または発現を調整するための方法であって、当該細胞または組織を、長さが5〜30のヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含み、当該オリゴヌクレオチドは、HGFポリヌクレオチドのアンチセンスの逆相補体に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、それによって、in vivoまたはin vitroにおいて、患者の細胞または組織におけるHGFポリヌクレオチドの機能および/または発現を調整する方法を提供する。
【0009】
他の実施形態は、in vivoまたはin vitroにおいて、患者の細胞または組織におけるHGFポリヌクレオチドの機能および/または発現を調整するための方法であって、当該細胞または組織を、長さが5〜30のヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含み、当該オリゴヌクレオチドは、HGFアンチセンスポリヌクレオチドに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドに対して少なくとも50%の配列同一性を有し、それによって、in vivoまたはin vitroにおいて、患者の細胞または組織におけるHGFポリヌクレオチドの機能および/または発現を調整する方法を提供する。
【0010】
一実施形態では、組成物は、センスおよび/またはアンチセンスHGFポリヌクレオチドに結合する1つまたは複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0011】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオチドまたは置換ヌクレオチドを含む。
【0012】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾結合を含む。
【0013】
他の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ペプチド核酸、2’−O−メチル、フルオロ−もしくは炭素、メチレン、または他のロックド核酸(LNA)分子を含む修飾塩基を含む。好ましくは、修飾ヌクレオチドは、α−L−LNAを含むロックド核酸分子である。
【0014】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、患者に、皮下、筋肉内、静脈内、または腹腔内投与される。
【0015】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、医薬組成物で投与される。治療レジメンは、患者に、少なくとも1回、アンチセンス化合物を投与することを含むが、この治療は、ある期間にわたって複数回の用量を含むように修飾されてもよい。治療は、1つまたは複数の他のタイプの療法と組み合わせることができる。
【0016】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、リポソーム中に封入されるまたはキャリヤー分子(例えばコレステロール、TATペプチド)に付加される。
【0017】
他の態様は、以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】対照と比較した、Lipofectamine 2000を使用して導入されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを用いるCHP212細胞の処理後のHGF mRNAにおける倍数変化+標準偏差を示すリアルタイムPCR結果を示す図である。リアルタイムPCR結果は、HGFアンチセンスに対して設計されたオリゴのうちの1つを用いる処理の48時間後に、CHP212細胞におけるHGF mRNAのレベルが有意に増加することを示す。CUR−0679、CUR−0680、CUR−0673〜CUR−0678と示されるバーは、それぞれ、配列番号5〜12を用いて処理された試料に対応する。
【0019】
配列表の説明
配列番号1:ホモサピエンス肝細胞増殖因子(ヘパトポエチンA;散乱係数)、転写変異体5(HGF)、mRNA(NCBI受託番号NM_001010934);配列番号2:天然HGFアンチセンス配列Hs.677861;配列番号3:天然HGFアンチセンス配列AL546825;配列番号4:天然HGFアンチセンス配列BX356413;配列番号:5〜12:アンチセンスオリゴヌクレオチド。*は、ホスホロチオエート結合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のいくつかの態様は、例証のために、実施例の適用に関連して下記に記載される。多数の特定の細部、関係、および方法は、本発明についての十分な理解を提供するために記載されることが理解されたい。しかしながら、当業者は、1つもしくは複数の特定の細部なしでまたは他の方法を用いて本発明を実施することができることを容易に認識するであろう。本発明は、いくつかの作用が異なる順序でおよび/または他の作用もしくは事象と同時に行われてもよいように、作用または事象の順序によって限定されない。さらに、すべての示される作用または事象が、本発明に従う方法を実行するために必要とされるとは限らない。
【0021】
本明細書において開示される遺伝子、遺伝子名、および遺伝子産物はすべて、本明細書において開示される組成物および方法が、適用可能である任意の種由来の相同体に対応するように意図される。したがって、これらの用語は、ヒトおよびマウス由来の遺伝子および遺伝子産物を含むが、これらに限定されない。特定の種由来の遺伝子または遺伝子産物が開示される場合、本開示は、例示的となるように意図されるのみであり、それが現われる文脈が明確に示さない限り、限定として解釈されないことが理解される。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、哺乳動物の核酸配列およびアミノ酸配列に関係する、本明細書において開示される遺伝子は、相同および/またはオルソロガス遺伝子ならびに他の哺乳動物、魚、両生動物、爬虫類動物、および鳥を含むが、これらに限定されない他の動物由来の遺伝子産物を包含するように意図される。一実施形態では、遺伝子または核酸配列は、ヒトである。
定義
【0022】
本明細書において使用される術語は、特定の実施形態を説明する目的のみのものであり、本発明を限定するようには意図されない。本明細書において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が他に明確に示さない限り、同様に、複数形を含むように意図される。さらに、用語「含むこと(including)」、「含む(includes)」、「有すること(having)」、「有する(has)」、「を有する(with)」、またはその変形が、発明を実施するための形態および/または請求項において使用される場合、そのような用語は、用語「含むこと(comprising)」に類似して、包括的となるように意図される。
【0023】
用語「約」または「およそ」は、当業者によって決定されるように、特定の値について許容される誤差範囲の範囲内にあることを意味し、これは、値が測定されるまたは決定される方法、つまり、測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」は、当技術分野における実施当たり、1または1を超える標準偏差の範囲内にあることを意味することができる。その代わりに、「約」は、所与の値の20%までの、好ましくは10%までの、より好ましくは5%までの、より好ましくは1%までの範囲を意味することができる。その代わりに、特に生物系またはプロセスに関して、用語は、値の、1桁の範囲内に、好ましくは5倍の範囲内に、より好ましくは2倍の範囲内にあることを意味することができる。特定の値が出願および請求項において記載される場合、他に述べられない限り、特定の値について許容される誤差範囲の範囲内を意味する用語「約」が、想定されたい。
【0024】
本明細書において使用されるように、用語「mRNA」は、標的遺伝子の現在知られているmRNA転写物(複数可)および解明されるかもしれない任意のさらなる転写物を意味する。
【0025】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「アンチセンス化合物」によって、他のRNAまたはDNA(標的RNA、DNA)に結合するRNAまたはDNA分子が意味される。例えば、それがRNAオリゴヌクレオチドである場合、それは、RNA−RNA相互作用の手段によって他のRNA標的に結合し、標的RNAの活性を改変する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定のポリヌクレオチドの発現および/または機能をアップレギュレートするまたはダウンレギュレートすることができる。定義は、治療上、診断上、または他の見解から有用である任意の外来RNA分子または外来DNA分子を含むように意味される。そのような分子は、例えばアンチセンスRNA分子またはアンチセンスDNA分子、干渉RNA(RNAi)、マイクロRNA、デコイRNA分子、siRNA、酵素RNA、治療用エディティングRNAならびにアゴニストRNAおよびアンタゴニストRNA、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、代替スプライサー、プライマー、プローブ、ならびに標的核酸の少なくとも一部にハイブリダイズする他のオリゴマー化合物を含む。そのため、これらの化合物は、一本鎖、二本鎖、部分的に一本鎖、環状オリゴマー化合物の形態で導入されてもよい。
【0026】
本発明の文脈において、用語「オリゴヌクレオチド」は、リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)またはそのミメティックのオリゴマーまたはポリマーを指す。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、その置換形態およびアルファ−アノマー形態、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ならびにその他同種のものを含む、天然のおよび/または修飾されたモノマーまたは連結の直鎖状または環状オリゴマーを含む。オリゴヌクレオチドは、ワトソンクリック型の塩基対形成、フーグスティーンもしくは逆フーグスティーン型の塩基対形成などのような、規則的なパターンのモノマー間相互作用を通して、標的ポリヌクレオチドに特異的に結合することができる。
【0027】
オリゴヌクレオチドは、異なる領域から構成される「キメラ」であってもよい。本発明の文脈において、「キメラ」化合物は、2つ以上の化学的な領域、例えばDNA領域(複数可)、RNA領域(複数可)、PNA領域(複数可)などを含有するオリゴヌクレオチドである。化学的な領域はそれぞれ、少なくとも1つのモノマー単位、つまり、オリゴヌクレオチド化合物の場合にはヌクレオチドから構成される。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的に、オリゴヌクレオチドが1つまたは複数の所望の特性を示すように修飾されている少なくとも1つの領域を含む。オリゴヌクレオチドの所望の特性は、例えば、ヌクレアーゼ分解に対する抵抗性の増加、細胞の取り込みの増加、および/または標的核酸に対する結合親和性の増加を含むが、これらに限定されない。したがって、オリゴヌクレオチドの異なる領域は、異なる特性を有していてもよい。本発明のキメラオリゴヌクレオチドは、上記に記載される2つ以上のオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、および/またはオリゴヌクレオチドアナログの混合構造物として形成することができる。
【0028】
オリゴヌクレオチドは、「正確な位置合わせ」で、すなわち、天然DNAでのように、モノマーが連続して連結される場合に、連結することができるまたはスペーサーを介して連結することができる領域から構成することができる。スペーサーは、領域の間の共有結合「ブリッジ」を構成するように意図され、好ましい場合では、約100炭素原子を超過しない長さを有する。スペーサーは、異なる機能性を保持してもよく、例えば正または負電荷を有し、特有の核酸結合特性(干渉物質、溝結合剤、毒素、蛍光体など)を保持し、親油性であり、例えば、アルファヘリックスを誘発するアラニン含有ペプチドのように、特有の二次構造を誘発する。
【0029】
本明細書において使用されるように、「HGF」および「肝細胞増殖因子」は、すべてのファミリーメンバー、突然変異体、対立遺伝子、断片、種、コードおよび非コード化配列、センスおよびアンチセンスポリヌクレオチド鎖などを含む。
【0030】
本明細書において使用されるように、肝細胞増殖因子、HGF、F−TCF、ヘパトポエチン−A、HGFB、HPTA、散乱係数、SFという語は、文献において同じであると考えられ、本出願において区別なく使用される。
【0031】
本明細書において使用されるように、用語「〜に特異的なオリゴヌクレオチド」または「〜を標的にするオリゴヌクレオチド」は、(i)標的遺伝子の一部と安定した複合体を形成することができるまたは(ii)標的遺伝子のmRNAの転写物の一部と安定した二重鎖を形成することができる配列を有するオリゴヌクレオチドを指す。複合体および二重鎖の安定性は、理論的な計算および/またはin vitroアッセイによって決定することができる。ハイブリダイゼーション複合体および二重鎖の安定性を決定するための例示的なアッセイは、下記の実施例において記載される。
【0032】
本明細書において使用されるように、用語「標的核酸」は、DNA、そのようなDNAから転写されるRNA(プレmRNAおよびmRNAを含む)、ならびにさらに、そのようなRNAに由来するcDNA、コード配列、非コード化配列、センスポリヌクレオチド、またはアンチセンスポリヌクレオチドを包含する。その標的核酸とのオリゴマー化合物の特異的なハイブリダイゼーションは、核酸の正常な機能に干渉する。それに特異的にハイブリダイズする化合物による標的核酸の機能のこの調整は、一般に、「アンチセンス」と呼ばれる。干渉されることとなるDNAの機能は、例えば、複製および転写を含む。干渉されることとなるRNAの機能は、例えば、タンパク質翻訳の部位へのRNAの移動、RNAからのタンパク質の翻訳、1つまたは複数のmRNA種を得るためのRNAのスプライシング、およびRNAが携わるまたはそれによって促進されるかもしれない触媒活性などのような、すべての生体機能を含む。標的核酸機能へのそのような干渉の全体的な効果は、コード産物またはオリゴヌクレオチドの発現の調整である。
【0033】
RNA干渉「RNAi」は、それらの「標的」核酸配列に対して配列特異的な相同性を有する二本鎖RNA(dsRNA)分子によって媒介される。本発明のある実施形態では、媒介物質は、5〜25ヌクレオチドの「低分子干渉」RNA二重鎖(siRNA)である。siRNAは、ダイサーとして知られているRNアーゼ酵素によってdsRNAの処理から誘導される。siRNA二重鎖産物は、RISC(RNA誘導サイレンシング複合体)と称される多重タンパク質siRNA複合体の中に入る。あらゆる特定の理論によって束縛されることを望むものではないが、次いで、RISCは、標的核酸(適宜、mRNA)に導かれると考えられ、siRNA二重鎖は、触媒作用的な方法において、切断を媒介するために、配列特異的な方法で相互作用する。本発明に従って使用することができる低分子干渉RNAは、合成することができ、当技術分野において周知であり、当業者によく知られている手順に従って使用することができる。本発明の方法において使用される低分子干渉RNAは、適宜、約1〜約50のヌクレオチド(nt)を含む。非限定的な実施形態の例では、siRNAは、約5〜約40nt、約5〜約30nt、約10〜約30nt、約15〜約25nt、または約20〜25のヌクレオチドを含むことができる。
【0034】
適切なオリゴヌクレオチドの選択は、核酸配列を自動的にアライメントし、同一性または相同性の領域を示すコンピュータプログラムを使用することによって容易となる。そのようなプログラムは、例えば、GenBankなどのようなデータベースを検索することによってまたはPCR産物を配列決定することによって得られる核酸配列を比較するために使用される。一連の種由来の核酸配列の比較は、種の間の、適正な程度の同一性を示す核酸配列の選択を可能にする。配列決定されていない遺伝子の場合には、サザンブロットは、標的種および他の種における遺伝子の間の同一性の程度の決定を可能にするために実行される。当技術分野において周知のように、様々な程度のストリンジェンシーでサザンブロットを実行することによって、同一性のおよその測定値を得ることが可能である。これらの手順は、制御されることとなる対象における標的核酸配列に対して高度の相補性および他の種における対応する核酸配列に対する低度の相補性を示すオリゴヌクレオチドの選択を可能にする。当業者は、本発明において使用するための遺伝子の適切な領域を選択する際に相当な許容範囲があることを理解するであろう。
【0035】
「酵素RNA」によって、酵素活性を有するRNA分子を意味する(Cech, (1988) J. American. Med. Assoc. 260, 3030−3035)。酵素核酸(リボザイム)は、最初に標的RNAに結合することによって作用する。そのような結合は、標的RNAを切断するように作用する分子の酵素部分の近くに保持される、酵素核酸の標的結合部分を通して生じる。したがって、酵素核酸は、最初に、標的RNAを認識し、次いで、塩基対形成を通してそれに結合し、一度、正確な部位に結合したら、酵素的に作用して、標的RNAを切断する。
【0036】
「デコイRNA」によって、リガンドに対する天然結合ドメインを模倣するRNA分子を意味する。そのため、デコイRNAは、特異的なリガンドの結合について天然結合標的と競合する。例えば、過剰発現したHIVトランス活性化応答(TAR)RNAは、「デコイ」として作用することができ、HIV tatタンパク質に効率的に結合し、それによって、それが、HIV RNAにおいてコードされるTAR配列に結合するのを予防することが示されている。これは、特定の例であると意図される。当業者らは、これが、ほんの1つの例であり、他の実施形態は、当技術分野において一般に知られている技術を使用して、容易に得ることができることを認識するであろう。
【0037】
本明細書において使用される、用語「モノマー」は、ホスホジエステル結合またはそのアナログによって連結され、サイズが、少数のモノマー単位から、例えば、約3〜4から約数百のモノマー単位の範囲のオリゴヌクレオチドを形成するモノマーを典型的に示す。ホスホジエステル連結のアナログは、より十分に下記に記載されるように、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホロセレノエート、ホスホロアミデート、およびその他同種のものを含む。
【0038】
用語「ヌクレオチド」は、天然に存在するヌクレオチドおよび天然に存在しないヌクレオチドを包含する。「天然に存在しない」と以前に考えられていた様々なヌクレオチドが、後に、自然界において見つけられていることは、当業者に明らかであるはずである。したがって、「ヌクレオチド」は、知られているプリンおよびピリミジンヘテロ環含有分子だけではなく、そのヘテロ環式類似体および互変異性体をも含む。他のタイプのヌクレオチドの例証となる例は、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、プリン、キサンチン、ジアミノプリン、8−オキソ−N6−メチルアデニン、7−デアザキサンチン、7−デアザグアニン、N4,N4−エタノシトシン、N6,N6−エタノ−2,6−ジアミノプリン、5−メチルシトシン、5−(C3−C6)−アルキニルシトシン、5−フルオロウラシル、5−ブロムウラシル、プソイドイソシトシン、2−ヒドロキシ−5−メチル−4−トリアゾロピリジン、イソシトシン、イソグアニン、イノシン、およびBenner et al.、米国特許第5,432,272号において記載される「天然に存在しない」ヌクレオチドを含有する分子である。用語「ヌクレオチド」は、ありとあらゆるこれらの例ならびにその類似体および互変異性体を包含するように意図される。とりわけ興味あるヌクレオチドは、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、およびウラシルを含有するものであり、これらは、ヒトにおいて治療上および診断上の適用に関して、天然に存在するヌクレオチドと見なされる。ヌクレオチドは、例えば、Kornberg and Baker, DNA Replication, 2nd Ed. (Freeman, San Francisco, 1992)において記載される天然2’−デオキシおよび2’−ヒドロキシル糖ならびにそれらのアナログを含む。
【0039】
ヌクレオチドに関する「アナログ」は、修飾塩基部分および/または修飾糖部分(例えば、一般に、Scheit, Nucleotide Analogs, John Wiley, New York, 1980; Freier & Altmann, (1997) Nucl. Acid. Res., 25(22), 4429− 4443, Toulme, J.J., (2001) Nature Biotechnology 19:17−18; Manoharan M., (1999) Biochemica et Biophysica Acta 1489:117−139; Freier S. M., (1997) Nucleic Acid Research, 25:4429−4443, Uhlman, E., (2000) Drug Discovery & Development, 3: 203−213, Herdewin P., (2000) Antisense & Nucleic Acid Drug Dev., 10:297−310によって記載され、これらを参照されたい);2’−O,3’−C−連結[3.2.0]ビシクロアラビノヌクレオシドを有する合成ヌクレオチドを含む。そのようなアナログは、結合特性、例えば二重鎖もしくは三重鎖安定性、特異性などを増強するために設計された合成ヌクレオチドを含む。
【0040】
本明細書において使用されるように、「ハイブリダイゼーション」は、オリゴマー化合物の実質的に相補的な鎖の対形成を意味する。対形成の1つのメカニズムは、オリゴマー化合物の鎖の相補的なヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基(ヌクレオチド)の間の、ワトソンクリック、フーグスティーン、または逆フーグスティーン水素結合であってもよい水素結合を含む。例えば、アデニンおよびチミンは、水素結合の形成を通して対になる相補的なヌクレオチドである。ハイブリダイゼーションは、様々な環境下で生じ得る。
【0041】
アンチセンス化合物は、標的核酸への化合物の結合が、標的核酸の正常な機能に干渉して、機能および/または活性の調整を引き起こす場合、「特異的にハイブリダイズすることができる」、また、特異的な結合が所望される条件下で、つまり、in vivoアッセイまたは治療上の処理の場合には生理学的条件下でおよびin vitroアッセイの場合にはアッセイが実行される条件下で、非標的核酸配列へのアンチセンス化合物の非特異的な結合を回避するのに十分な程度の相補性がある。
【0042】
本明細書において使用される、語句「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」は、本発明の化合物が、最小限の数の他の配列にハイブリダイズするが、その標的配列にハイブリダイズする条件を指す。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、様々な環境において異なるであろう、また、本発明との関連において、オリゴマー化合物が標的配列にハイブリダイズする「ストリンジェントな条件」は、オリゴマー化合物の特徴および組成ならびにそれらが調査されているアッセイによって決定される。一般に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、Na++またはK++などのような低濃度(<0.15M)の無機陽イオンとの塩(つまり低イオン強度)、オリゴマー化合物:標的配列複合体のTm未満の、20℃〜25℃よりも高い温度、およびホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、または硫酸ドデシルナトリウム(SDS)界面活性剤などのような変性剤の存在を含む。例えば、ハイブリダイゼーション率は、1%ホルムアミド毎に1.1%減少する。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例は、30分間、60℃での、0.1×塩化ナトリウム−クエン酸ナトリウム緩衝液(SSC)/0.1%(w/v)SDSである。
【0043】
本明細書において使用される「相補的な」は、1つまたは2つのオリゴマー鎖上での、2つのヌクレオチドの間の正確な対形成についての能力を指す。例えば、アンチセンス化合物のある位置の核酸塩基が、標的核酸のある位置の核酸塩基と水素結合することができる場合、当該標的核酸は、DNA、RNA、またはオリゴヌクレオチド分子であるが、オリゴヌクレオチドおよび標的核酸の間の水素結合の位置は、相補的な位置であると考えられる。それぞれの分子における、十分な数の相補的な位置が、互いに水素結合するヌクレオチドによって占められる場合、オリゴマー化合物およびさらなるDNA、RNAmまたはオリゴヌクレオチド分子は、互いに相補的である。したがって、「特異的にハイブリダイズすることができる」および「相補的な」は、オリゴマー化合物および標的核酸の間に安定した特異的な結合が生じるような、十分な数のヌクレオチドにわたる、十分な程度の正確な対形成または相補性を示すために使用される用語である。
【0044】
オリゴマー化合物の配列は、特異的にハイブリダイズすることができるものとなるように、その標的核酸に対して100%相補的である必要がないことが、当技術分野において理解される。さらに、オリゴヌクレオチドは、介在または隣接セグメントがハイブリダイゼーション事象に関与しないように、1つまたは複数のセグメントに対してハイブリダイズしてもよい(例えばループ構造、ミスマッチ、またはヘアピン構造)。本発明のオリゴマー化合物は、それらが標的にする標的核酸配列内の標的部位に対して、少なくとも約70%または少なくとも約75%または少なくとも約80%または少なくとも約85%または少なくとも約90%または少なくとも約95%または少なくとも約99%の配列相補性を含む。例えば、アンチセンス化合物の20ヌクレオチドのうちの18が標的部位に対して相補的であり、そのため、特異的にハイブリダイズするであろうアンチセンス化合物は、90パーセントの相補性を示すであろう。この例において、残りの非相補的ヌクレオチドは、密集していてもよくまたは相補的なヌクレオチドが点在していてもよく、互いにまたは相補的なヌクレオチドに隣接している必要がない。そのため、標的核酸と完全に相補性の2つの領域が側面に位置する4つの(4)非相補的ヌクレオチドを有する長さが18のヌクレオチドであるアンチセンス化合物は、標的核酸との77.8%の全体的な相補性を有し、したがって、本発明の範囲内にあるであろう。標的核酸の領域とのアンチセンス化合物の相補性パーセントは、当技術分野において知られているBLASTプログラム(基本的なローカルアライメント検索ツール)およびPowerBLASTプログラムを使用してルーチン的に決定することができる。相同性、配列同一性、または相補性パーセントは、例えば、デフォルト設定を使用し、Gapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Version 8 for Unix(登録商標)、Genetics Computer Group、University Research Park、Madison Wis.)によって決定することができ、これは、Smith and Waterman (Adv. Appl. Math., (1981) 2, 482−489)のアルゴリズムを使用している。
【0045】
本明細書において使用される、用語「熱融点(Tm)」は、標的配列に相補的な50%のオリゴヌクレオチドが、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする、定義されるイオン強度、pH、および核酸濃度下の温度を指す。典型的に、ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0〜8.3で、少なくとも約0.01〜1.0M Naイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いオリゴヌクレオチド(例えば10〜50のヌクレオチド)について少なくとも約30℃である条件である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどのような不安定化剤の追加により達成されてもよい。
【0046】
本明細書において使用されるように、「修飾」は、遺伝子の発現における増加(刺激)または減少(阻害)のいずれかを意味する。
【0047】
用語「変異体」は、ポリヌクレオチド配列との関連において使用される場合、野生型遺伝子と関係するポリヌクレオチド配列を包含してもよい。この定義はまた、例えば、「対立遺伝子」、「スプライス」、「種」、または「多型」変異体を含んでいてもよい。スプライス変異体は、参照分子に対して著しい同一性を有していてもよいが、一般に、mRNAの処理の間のエクソンの選択的スプライシングにより、ポリヌクレオチドの数が多いまたは少ないであろう。対応するポリペプチドは、追加の機能的なドメインを有していてもよいまたはドメインが不在であってもよい。種変異体は、種によって変化するポリヌクレオチド配列である。野生型遺伝子産物の変異体は、本発明において特に有用である。変異体は、核酸配列における少なくとも1つの突然変異に起因してもよく、改変されたmRNAまたは構造もしくは機能が改変されてもよいもしくは改変されなくてもよいポリペプチドをもたらしてもよい。所与の天然または組換え遺伝子は、対立形質を有していなくてもよい、1つ、または多くの対立形質を有していてもよい。変異体を生じる一般的な突然変異による変化は、一般に、ヌクレオチドの天然の欠失、追加、または置換に基づく。それぞれのこれらのタイプの変化は、所与の配列において、1回または複数回、単独でまたは他と組み合わせて生じてもよい。
【0048】
得られるポリペプチドは、一般に、互いに関して、著しいアミノ酸同一性を有するであろう。多型変異体は、所与の種の個体の間の特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列における変異である。多型変異体はまた、ポリヌクレオチド配列が1つの塩基によって異なる「一塩基変異多型」(SNP)または一塩基突然変異を包含していてもよい。SNPの存在は、例えば、感受性対抵抗性とする、疾患状態に対する傾向を有するある種の集団を示してもよい。
【0049】
誘導体ポリヌクレオチドは、化学的修飾、例えば、アルキル、アシル、またはアミノ基による水素の置換にさらされた核酸を含む。誘導体、例えば誘導体オリゴヌクレオチドは、改変された糖部分または糖間連結などのような天然に存在しない部分を含んでいてもよい。これらの中で例示的なものは、ホスホロチオエートおよび当技術分野において知られている他の硫黄含有種である。誘導体核酸はまた、放射性ヌクレオチド、酵素、蛍光剤、化学発光剤、発色剤、基質、補助因子、阻害剤、磁気微粒子、およびその他同種のものを含む標識を含有していてもよい。
【0050】
「誘導体」ポリペプチドまたはペプチドは、例えば、グリコシル化、ペグ化、リン酸化、硫酸化、還元/アルキル化、アシル化、化学的カップリング、または穏やかなホルマリン処理によって修飾されたポリペプチドまたはペプチドである。誘導体はまた、放射性同位体、蛍光、および酵素標識を含むが、これらに限定されない、検出可能な標識を直接または間接的に含有するように修飾されてもよい。
【0051】
本明細書において使用されるように、用語「動物」または「患者」は、例えば、ヒト、ヒツジ、オオシカ、シカ、ミュールジカ、ミンク、哺乳動物、サル、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、鳥、ニワトリ、爬虫類動物、魚、昆虫、およびクモ形類動物を含むように意味する。
【0052】
「哺乳動物」は、典型的に、診療下にある温血哺乳動物(例えばヒトおよび飼育動物)を包含する。例として、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、およびヒトならびに単にヒトを含む。
【0053】
「治療すること」または「治療」は、哺乳動物における疾患状態の治療を包含し、(a)特に、そのような哺乳動物が、疾患状態に罹患しやすいが、それを有するとしてまだ診断されていない場合に、疾患状態が哺乳動物において生じるのを予防すること;(b)疾患状態を阻害すること、例えば、それの発症を阻止すること;および/または(c)疾患状態を軽減すること、例えば、所望のエンドポイントに到達するまで、疾患状態の後退を引き起こすことを含む。治療はまた、疾患の症状の回復をも含み(例えば、痛みまたは不快感を和らげる)、そのような回復は、疾患(例えば原因、伝染、発現など)に直接影響してもよいまたは影響しなくてもよい。
【0054】
本明細書において使用されるように、「癌」は、白血病、リンパ腫、黒色腫、癌腫、および肉腫を含むが、これらに限定されない、哺乳動物において見つけられる、すべてのタイプの癌または新生物または悪性腫瘍を指す。癌は、それ自体、「腫瘍」または癌の悪性細胞を含む組織として現われる。腫瘍の例として、これらに限定されないが、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛膜癌、セミノーマ、胎児性癌、ヴィルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、希突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽細胞腫などのような、肉腫および癌腫を含む。本発明に従って開示される組成物によって治療することができる追加の癌は、例えばホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、結腸癌、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱癌、胃癌、前癌皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽腫、食道癌、尿生殖路癌、悪性高カルシウム血症、子宮頚癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、および前立腺癌を含むが、これらに限定されない。
【0055】
「神経系疾患または障害」は、神経系および/または視覚系の任意の疾患または障害を指す。「神経系疾患または障害」は、中枢神経系(脳、脳幹、および小脳)、末梢神経系(脳神経を含む)、ならびに自律神経系(それらの一部は中枢および末梢神経系の両方に位置する)を含む疾患または障害を含む。神経系障害の例は、頭痛、昏迷および昏睡、認知症、発作、睡眠障害、外傷、感染、新生物、神経眼科学、運動障害、脱髄症、脊髄障害、ならびに末梢神経、筋肉、および神経筋接合部の障害を含むが、これらに限定されない。中毒および精神病は、双極性障害および統合失調症を含むが、これらに限定されず、また、神経系障害の定義においても含まれる。以下は、本発明による組成物および方法を使用して治療することができる、いくつかの神経系障害、症状、徴候、および症候群のリストである:後天性てんかん様失語症;急性播種性脳脊髄炎;副腎脳白質ジストロフィー;加齢黄斑変性;脳梁欠損症;認知不能症;アイカルディ症候群;アレキサンダー病;アルパーズ病;交代性片麻痺;血管性認知症;筋萎縮性側索硬化症;無脳症;アンゲルマン症候群;血管腫症;酸素欠乏;失語症;失行症;クモ膜嚢胞;くも膜炎;アーノルド−キアリ奇形;動静脈奇形;アスペルガー症候群;毛細血管拡張性運動失調;注意欠乏運動亢進障害;自閉症;自律神経機能異常;背部痛;バッテン病;ベーチェット病;ベル麻痺;良性特発性眼瞼痙攣;良性局所性;筋萎縮;良性頭蓋内圧亢進;ビンスワンゲル病;眼瞼痙攣;ブロッホサルズバーガー症候群;腕神経叢損傷;脳膿瘍;脳外傷;脳腫瘍(多形性神経膠芽腫を含む);脊椎腫瘍;ブラウン−セカール症候群;カナバン病;手根管症候群;カウザルギー;中枢痛症候群;橋中央ミエリン溶解;頭部障害;脳動脈瘤;脳動脈硬化;大脳萎縮;脳性巨人症;脳性小児麻痺;シャルコー−マリー−ツース病;化学療法誘発性のニューロパシーおよび神経因性疼痛;キアリ奇形;舞踏病;慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー;慢性的疼痛;慢性限局性疼痛症候群;コフィンローリー症候群;遷延性植物状態を含む昏睡;先天性両側顔面神経麻痺;大脳皮質基底核変性症;頭部動脈炎;頭蓋骨癒合症;クロイツフェルト−ヤコブ病;蓄積外傷疾患;クッシング症候群;巨大細胞性封入体症;サイトメガロウイルス感染症;ダンシングアイズ−ダンス足症候群;ダンディーウォーカー症候群;ドーソン疾患;ドモルシア症候群;デジェリン−クルムプケ麻痺;認知症;皮膚筋炎;糖尿病性神経障害;広汎性硬化症;自律神経異常症;書字障害;失読症;ジストニー;早期幼児癲癇性脳症;エンプティセラ症候群;脳炎;脳瘤;脳3叉神経領域血管腫;てんかん;エルプ麻痺;本態性振戦;ファブリー病;ファール症候群;失神;家族性痙性麻痺;熱性痙攣;フィッシャー症候群;フリードライヒ運動失調;前頭側頭型認知症および他の「タウオパチー」;ゴーシェ病;ゲルストマン症候群;巨細胞性動脈炎;巨大細胞封入病;グロボイド細胞性ロイコジストロフィー;ギラン−バレー症候群;ヒトT細胞性脊髄麻痺;ハレルフォルデン−スパッツ病;頭部損傷;頭痛;片側顔面痙攣;遺伝性痙性対麻痺;遺伝性多発神経炎性失調;耳性帯状ヘルペス;帯状疱疹;ヒラヤマ症候群;HIV関連認知症およびニューロパシー(またAIDSの神経症状);全前脳胞症;ハンチントン舞踏病および他のポリグルタミンリピート疾患;無水脳;水頭症;コルチゾン過剰症;低酸素;免疫媒介性脳脊髄炎;封入体筋炎;色素失調症;幼児フィタン酸蓄積症;幼児レフサム病;点頭てんかん;炎症性ミオパシー;頭蓋内包嚢;頭蓋内圧亢進;ジュベール症候群;カーンズ−セイヤ症候群;ケネディ疾患 キンズボーン症候群;クリペルフェーユ症候群;クラッベ病;クーゲルバーグ−ヴェランダー病;クールー;ラフォラ病;ランバート−イートン筋無力症候群;ランドウ−クレフナー症候群;延髄外側(バレンベリー)症候群;学習不全;リー病;レノックス−ガストー症候群;レッシュ‐ナイハン症候群;白質ジストロフィー;レビー小体型認知症;脳回欠損;閉込め症候群;ルーゲーリッグ病(つまり運動ニューロン疾患または筋萎縮性側索硬化症);腰部椎間板疾患;ライム病−−神経学的後遺症;マカド−ジョゼフ病;巨大頭蓋症;巨脳;メルカーソン−ローゼンタール症候群;メニエール病;髄膜炎;メンケス病;異染性ロイコジストロフィー;小頭症;片頭痛;ミラーフィッシャー症候群;小発作;ミトコンドリアミオパチー;メービウス症候群;平山病;運動ニューロン疾患;もやもや病;ムコ多糖沈着;多発梗塞性痴呆;多巣性運動ニューロパシー;多発性硬化症および他の脱髄疾患;起立性低血圧症を有する多系統萎縮症;p筋ジストロフィー;重症筋無力症;ミエリン破壊性広汎性硬化症;乳児期ミオクロニー脳症;ミオクローヌス;ミオパシー;先天性筋緊張症;ナルコレプシー;神経線維腫症;向精神薬悪性症候群;AIDSの神経症状;狼瘡の神経学的後遺症;神経ミオトニー;ニューロンセロイド脂褐素沈着症;神経細胞遊走障害;ニーマン‐ピック病;オサリバン−マクラウド症候群;後頭神経痛;不顕性脊椎癒合不全続発;大田原症候群;オリーブ橋小脳萎縮;眼球クローヌスミオクローヌス;視神経炎;起立性低血圧;濫用症候群;錯感覚;神経変性疾患または障害(パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知症、多発性硬化症、ならびにニューロン細胞死と関連する他の疾患および障害);パラミオトニア先天性;腫瘍随伴性疾患;発作性のアタック;パリーロンベルグ症候群;ペリツェウス−メルツバッハー病;周期的経口検査;末梢性ニューロパシー;有痛性ニューロパシーおよび神経障害性疼痛;せん延性植物状態;広汎性発達障害;光くしゃみ反射;フィタン酸蓄積症;ピック病;はさまれた神経;下垂体腫瘍;多発性筋炎;孔脳症;ポリオ後症候群;ヘルペス後神経痛;後感染性脳脊髄炎;起立性低血圧症;プラダー−ウィリ症候群;原発性側索硬化症;プリオン病;進行性顔面片側萎縮症;進行性多病巣性白質脳症;進行性硬化性ポリオジストロフィー;進行性核上性麻痺;偽性脳腫瘍;ラムゼーハント症候群(IおよびII型);ラスムッセン脳炎;反射性交感神経性ジストロフィー症候群;レフサム病;反復運動障害;反復運動過多損傷;不隠下肢症候群;レトロウイルス関連性ミエロパシー;レット症候群;ライエ症候群;舞踏病;サンドホフ病;シルダー病;脳裂;透明中隔視神経異形成;揺さぶられっ子症候群;帯状疱疹;シャイ−ドレーガー症候群;シェーグレン症候群;睡眠無呼吸;ソートー症候群;痙直;二分脊椎;脊髄損傷;脊髄腫瘍;脊髄性筋萎縮症;全身硬直症候群;発作;スタージ−ウェーバー症候群;亜急性硬化性全脳炎;皮質下動脈硬化性脳症;シデナム舞踏病;失神;脊髄空洞症;遅発性ジスキネジア;テイ−ザックス病;側頭動脈炎;脊髄係留症候群;トムソン病;胸郭出口症候群;疼痛性チック;トッド麻痺;トゥーレット症候群;一過性脳乏血発作;伝達性海綿状脳症;横断脊髄炎;外傷性脳損傷;ふるえ;三叉神経痛;熱帯痙性不全対麻痺;結節硬化症;血管性認知症(多発脳梗塞性認知症);側頭動脈炎を含む血管炎;フォンヒッペル−リンダウ病;ワレンベルグ症候群;ウェルトニッヒ−ホフマン病;ウェスト症候群;むち打ち;ウィリアムズ症候群;ウィルソン病;ならびにツェルウェガー症候群。
【0056】
心血管疾患または障害は、虚血を引き起こし得るまたは心臓の再灌流によって引き起こされる障害を含む。例として、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、肉芽腫性心筋炎、慢性心筋炎(非肉芽性炎)、原発性の肥大型心筋症、末梢動脈疾患(PAD)、末梢血管疾患、静脈血栓塞栓症、肺塞栓症、卒中、狭心症、心筋梗塞、心拍停止によって引き起こされる心血管組織損傷、心臓バイパスによって引き起こされる心血管組織損傷、心原性ショック、GH活性化に関係する組織損傷に限定されないが、とりわけ、当業者らによって知られているまたは心臓もしくは血管系の機能不全または組織損傷を含む関連する状態を含むが、これらに限定されない。CVS疾患は、アテローム性動脈硬化症、肉芽腫性心筋炎、心筋梗塞、弁膜性心疾患に次ぐ心筋線維症、梗塞形成を伴わない心筋線維症、原発性の肥大型心筋症、および慢性心筋炎(非肉芽性炎)を含むが、これらに限定されない。
ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドの組成物および分子
【0057】
標的:
一実施形態では、標的は、限定を伴うことなく、HGFと関連するセンスおよび/またはアンチセンス非コードおよび/またはコード配列を含む、肝細胞増殖因子(HGF)の核酸配列を含む。
【0058】
肝細胞増殖因子(HGF)は、細胞増殖、細胞運動、形態形成、および血管新生を調節する間葉系由来因子として最初に記載された多機能性サイトカインである。肝細胞増殖因子は、6つのドメイン(finger、Kringle 1、Kringle 2、Kringle 3、Kringle 4、およびセリンプロテアーゼドメイン)を有する構造を有する増殖因子を指す。HGFの断片は、より少ないドメインを有するHGFを構成し、HGFの変異体は、繰り返されるHGFのドメインのうちのいくつかを有していてもよく、それらがなおHGF受容体に結合するそれらのそれぞれの能力を保持する場合、両方が含まれる。用語「肝細胞増殖因子」および「HGF」は、ヒト(「huHGF」)および任意の非ヒト哺乳動物種、特にラットHGF由来の肝細胞増殖因子を含む。本明細書において使用される用語は、天然源から精製された、化学的に合成された、または組換えで産生された成熟、プレ、プレプロ、およびプロ形態を含む。ヒトHGFは、cDNA配列によってコードされる。
【0059】
一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、HGFファミリーメンバーと関連する疾患または障害を予防するまたは治療するために使用される。アンチセンス化合物を使用して得られた幹細胞から再生された細胞/組織を用いて治療することができる、例示的な肝細胞増殖因子(HGF)媒介性の疾患および障害は、虚血性疾患(例えば虚血性心疾患および末梢血管疾患)、動脈疾患または障害、血管平滑筋細胞の異常な増殖を主として伴う障害によって引き起こされる疾患または障害(例えば、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)後の再狭窄、動脈硬化症、末梢循環の不全症など)、心血管疾患または障害(例えば心筋梗塞、心臓収縮、末梢血管狭窄症、心不全など)、神経系疾患または障害(例えば神経変性、末梢性ニューロパシー、糖尿病性神経障害、神経毒誘発性病変、外科手術による神経細胞の傷害、感染による神経細胞の病変、てんかん、頭部外傷、認知症、アルツハイマー型老年痴呆、脳卒中、脳梗塞、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病 ハンチントン舞踏病、および神経細胞の腫瘍、ならびにその他同種のもの)、癌、腫瘍、細胞増殖性障害、免疫(自己免疫性など)障害、血管新生関連性障害、肝硬変、非アルコール性脂肪肝疾患、腎疾患または障害、腎線維症、横紋筋融解、不十分な上皮細胞増殖に関係する疾患または障害、肺疾患または障害、胃腸損傷、脳神経障害、軟骨障害、動脈疾患、肺線維症、軟骨損傷、肝臓病もしくは障害、血液凝固障害、血漿低蛋白症、または創傷(アデノシンデアミナーゼ欠損症)、炎症性腸感染(例えば潰瘍性大腸炎、クローン病、壊死性小腸大腸炎、重症急性胃腸炎、慢性胃腸炎、コレラ、腸の慢性感染症)、腸に影響する免疫疾患または障害、腸に影響する免疫不全症候群、AIDS、膿疱性線維症、線維症、コラゲナーゼ活性の低下に関係する疾患または障害(例えば大理石骨病など)、線維芽細胞由来結合組織マトリックスの生産過剰によって特徴付けられる線維症障害(例えば動脈硬化症、慢性糸球体腎炎、真皮ケロイド形成、進行性全身性硬化症(PSS)、肝臓線維症、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性移植片対宿主疾患、強皮症(局所性および全身性)、ペーロニー病、陰茎線維症、膀胱鏡を使用する試験後の尿道狭窄症、手術後の内部癒着、骨髄線維症、特発性後腹膜線維化症)、血友病、皮膚病または障害(例えば創傷および脱毛(禿頭症)、皮膚潰瘍、褥創(褥瘡)、瘢痕(ケロイド)、アトピー性皮膚炎、または自家移植および交差移植を含む皮膚移植に続く皮膚損傷)を含む。
【0060】
本発明の実施形態では、治療上のおよび/または美容のための治療法ならびに関係する特化した治療は、皮膚治療を必要とするまたは対象が皮膚治療を必要とするであろう状態を発症する危険性にある対象に提供される。診断は、例えば対象のHGFステータスに基づいて成すことができる。皮膚などのような所与の組織における患者のHGF発現レベルは、当業者らに知られているおよび本明細書において別記される方法によって、例えば、PCRまたは抗体ベースの検出方法を使用して組織を分析することによって決定することができる。
【0061】
本発明の好ましい実施形態は、例えば、皮膚におけるHGFの発現をアップレギュレートするために、HGFアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、皮膚治療および/または美容のための適用のための組成物を提供する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号3〜6として記載される。参照によって本明細書において組み込まれる米国特許第7,544,497号、「Compositions for manipulating the lifespan and stress response of cells and organisms」は、その基質に対するHGFタンパク質のKを低下させることによって、HGF活性を調整する作用物質についての潜在的な美容のための使用を記載する。実施形態では、細胞は、細胞寿命を増加させるまたはアポトーシスを予防するために本発明のオリゴヌクレオチドを用いてin vivoにおいて処理される。例えば、皮膚は、本明細書において記載されるように、皮膚、例えば上皮細胞を治療することによって、老化、例えばしわの発生を防ぐことができる。例示的な実施形態では、皮膚は、本明細書において記載されるHGFアンチセンス化合物を含む医薬組成物または美容のための組成物と接触させる。例示的な皮膚の病気または皮膚の状態は、炎症、太陽によるダメージ、または自然老化と関連するまたはそれによって引き起こされる障害または疾患を含む。例えば、組成物は、接触皮膚炎(刺激性接触皮膚炎およびアレルギー性接触皮膚炎を含む)、アトピー性皮膚炎(アレルギー性湿疹としても知られている)、紫外線角化症、角質化障害(湿疹を含む)、水疱性表皮剥離症疾患(天疱瘡を含む)、剥脱性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、紅斑(多形性紅斑および結節性紅斑を含む)、太陽または他の光源によって引き起こされるダメージ、円板状紅斑性狼瘡、皮膚筋炎、皮膚癌、ならびに自然老化の影響の予防または治療において有用性を見出す。
【0062】
本発明の実施形態では、例えば、頭皮におけるHGFの発現をアップレギュレートし、かつアンドロゲン受容体シグナル伝達を阻害し、それによって男性型脱毛症(脱毛)を予防する、HGFアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物。実施形態では、脱毛症に苦しむ患者は、局所的なまたは全身性の製剤を投与される。
【0063】
一実施形態では、本明細書において記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、一般に、局所的な薬剤投与に適した局所的なキャリヤーを含有し、当技術分野において知られている任意のそのような物質を含む局所的な製剤の中に組み込まれる。局所的なキャリヤーは、所望の形態で、例えば軟膏剤、ローション剤、クリーム、マイクロエマルジョン、ゲル剤、油、水剤などとして、組成物を提供するように選択されてもよく、天然に存在するまたは合成起原の物質から構成されてもよい。選択されたキャリヤーは、局所的な製剤の活性作用物質または他の成分に悪影響を及ぼさないことが好ましい。本明細書において使用するのに適している局所的なキャリヤーの例は、水、アルコールおよび他の無毒有機溶媒、グリセリン、鉱油、シリコーン、ワセリン、ラノリン、脂肪酸、植物油、パラベン、ろう、ならびにその他同種のものを含む。製剤は、無色無臭の軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、マイクロエマルジョン、およびゲル剤であってもよい。
【0064】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、軟膏剤の中に組み込まれてもよく、これは、一般に、ペトロラタムまたは他の石油誘導体を典型的にベースとする半固体調製物である。当業者らによって十分に理解される、使用されることとなる特定の軟膏基剤は、最適な薬剤送達を提供する、好ましくは、同様に、他の所望の特徴、例えば軟化などを提供するものである。他のキャリヤーまたはビヒクルでのように、軟膏基剤は、不活性で、安定しており、非刺激性で、かつ非感作性であるべきである。Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Pub. Co.)において説明されるように、軟膏基剤は、4つのクラスに分類されてもよい:油脂性基剤;乳化可能な基剤;乳剤性基剤;および水溶性基剤。油脂性軟膏基剤は、例えば、植物油、動物から得られる脂肪、および石油から得られる半固体炭化水素を含む。吸収性の軟膏基剤としても知られている乳化可能な軟膏基剤は、水をほとんどまたはまったく含有しておらず、例えば、ヒドロキシステアリンスルフェート、脱水ラノリン、および親水性ワセリンを含む。乳剤性軟膏基剤は、油中水型(W/O)乳剤または水中油型(O/W)乳剤のいずれかであり、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラノリン、およびステアリン酸を含む。例示的な水溶性軟膏基剤は、様々な分子量のポリエチレングリコール(PEG)から調製される(例えばRemington、前掲を参照されたい)。
【0065】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ローション剤の中に組み込まれてもよく、これは、一般に、摩擦を伴わないで肌表面に適用されることとなる調製物であり、典型的に、活性剤を含む固形微粒子が水またはアルコールベース中に存在する、液体または半流動体の調製物である。ローション剤は、通常、固体の懸濁液であり、水中油型タイプの液体油性乳剤を含んでいてもよい。ローション剤は、より多くの流体組成物を適用する容易さのために、大きな体面積を治療するのに好ましい製剤である。ローション剤中の不溶物が細かく分離されることが一般に必要である。ローション剤は、典型的に、よりよい分散をもたらすための懸濁化剤および皮膚に接する活性剤を局在化させ、かつ保持するのに有用な化合物、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどを含有するであろう。本発明の方法に関連して使用するための例示的なローション製剤は、Beiersdorf, Inc.(Norwalk、Conn.)から商標AquaphorRTMの下で得られてもよいものなどのような、親水性ワセリンと混合されたプロピレングリコールを含有する。
【0066】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、クリーム剤の中に組み込まれてもよく、これは、一般に、水中油型または油中水型の強粘液または半固体乳剤である。クリーム基材は、水洗い可能であり、油相、乳化剤、および水相を含有する。油相は、一般に、ペトロラタムおよびセチルまたはステアリルアルコールなどのような脂肪族アルコールから構成される;水相は、通常、必ずではないが、容量の点で油相を上回り、一般に、湿潤剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、Remington、前掲において説明されるように、一般に、非イオン、陰イオン、陽イオン、または両性界面活性剤である。
【0067】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、マイクロエマルジョンの中に組み込まれてもよく、これは、一般に、界面活性剤分子の界面膜によって安定化された、油および水などのような2つの不混和性の液体の熱力学的に安定しており、等方に透明な分散液である(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology (New York: Marcel Dekker, 1992), volume 9)。マイクロエマルジョンの調製については、界面活性剤(乳化剤)、コサーファクタント(共乳化剤)、油相、および水相が必要である。適切な界面活性剤は、乳剤の調製において有用な任意の界面活性剤、例えば、クリーム剤の調製において典型的に使用される乳化剤を含む。コサーファクタント(または「共乳化剤」)は、一般に、ポリングリセリン誘導体、グリセリン誘導体、および脂肪族アルコールの群から選択される。好ましい乳化剤/共乳化剤の組み合わせは、一般に、必ずではないが、モノステアリン酸グリセリンおよびステアリン酸ポリオキシエチレン;ポリエチレングリコールおよびエチレングリコールパルミトステアレート;ならびにカプリル酸およびカプリン酸トリグリセリドならびにオレオイルマクロゴールグリセリドから成る群から選択される。水相は、水だけでなく、典型的に、緩衝液、グルコース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、好ましくは低分子量ポリエチレングリコール(例えばPEG 300およびPEG 400)、ならびに/またはグリセロールならびにその他同種のものを含み、一方、油相は、一般に、例えば脂肪酸エステル、修飾植物油、シリコーン油、モノ、ジ、およびトリグリセリドの混合物、PEGのモノおよびジエステル(例えばオレオイルマクロゴールグリセリド)などを含む。
【0068】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ゲル製剤の中に組み込まれてもよく、これは、一般に、小さな無機粒子から構成される懸濁液(二相系)またはキャリヤー液体の全体にわたって実質的に均一に分布する大きな有機分子(単相ゲル剤)から成る半固体系である。単相ゲル剤は、例えば、活性剤、キャリヤー液体、およびトラガント(2〜5%の)、アルギン酸ナトリウム(2〜10%の)、ゼラチン(2〜15%の)、メチルセルロース(3〜5%の)、カルボキシメチルセルロース(2〜5%の)、カルボマー(0.3から5%〜)、またはポリビニルアルコール(10〜20%の)などのような、適切なゲル化剤を組み合わせ、特徴的な半固体産物が産生されるまで混合することによって作製することができる。他の適切なゲル化剤は、メチルヒドロキシセルロース、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン、ヒドロキシエチルセルロース、およびゼラチンを含む。ゲル剤は、一般に、水性キャリヤー液体を用いるが、アルコールおよび油は、キャリヤー液体として同様に使用することができる。
【0069】
当業者らに知られている様々な添加剤は、製剤、例えば局所的な製剤中に含まれてもよい。添加剤の例は、可溶化剤、皮膚浸透促進剤、乳白剤、保存剤(例えば酸化防止剤)、ゲル化剤、緩衝剤、界面活性剤(特に非イオンおよび両性界面活性剤)、乳化剤、皮膚軟化薬、増粘剤、安定剤、湿潤剤、着色剤、芳香剤、ならびにその他同種のものを含むが、これらに限定されない。可溶化剤および/または皮膚浸透促進剤の包含は、乳化剤、皮膚軟化薬、および保存剤に加えて、特に好ましい。最適な局所的製剤は、製剤の残りを構成する活性剤およびキャリヤー(例えば水)と共に、およそ2重量%〜60重量%、好ましくは2重量%〜50重量%の可溶化剤および/または皮膚浸透促進剤;2重量%〜50重量%、好ましくは2重量%〜20重量%の乳化剤;2重量%〜20重量%の皮膚軟化薬;ならびに0.01〜0.2重量%の防腐剤を含む。
【0070】
皮膚浸透促進剤は、無傷の皮膚の適度なサイズのエリアを通過するように、治療レベルの活性剤の通過を促進するように果たす。適切な促進剤は、当技術分野において周知であり、例えば、メタノール、エタノール、および2−プロパノールなどのような低アルカノール;ジメチルスルホキシド(DMSO)、デシルメチルスルホキシド(C10 MSO)、およびテトラデシルメチルスルホキシドなどのようなアルキルメチルスルホキシド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、およびN−(−ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのようなピロリドン;尿素;N,N−ジエチル−m−トルアミド;C〜Cアルカンジオール;ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、およびテトラヒドロフルフリルアルコールなどのような種々の溶剤;ならびに1−置換アザシクロヘプタン−2−オン、特に1−n−ドデシルシクルアザシクロヘプタン−2−オン(ラウロカプラム;Whitby Research Incorporated、Richmond、Va.からAzoneRTMの下で入手可能)を含む。
【0071】
可溶化剤の例は、以下を含むが、これらに限定されない:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール、TranscutolRTMとして市販で入手可能)およびジエチレングリコールモノエチルエーテルオレエート(SoficutolRTMとして市販で入手可能)などのような親水性エーテル;ポリオキシ35ヒマシ油、ポリオキシ40硬化ヒマシ油などのようなポリエチレンヒマシ油誘導体;ポリエチレングリコール、特にPEG 300およびPEG 400などのような低分子量ポリエチレングリコールならびにPEG−8カプリル酸/カプリン酸グリセリドなどのようなポリエチレングリコール誘導体(LabrasolRTMとして市販で入手可能);DMSOなどのようなアルキルメチルスルホキシド;2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロリドンなどのようなピロリドン;ならびにDMA。多くの可溶化剤はまた、吸収促進剤としても作用することができる。単一の可溶化剤が、製剤の中に組み込まれてもよいまたは可溶化剤の混合物が、その中に組み込まれてもよい。
【0072】
適切な乳化剤および共乳化剤は、限定を伴うことなく、マイクロエマルジョン製剤に関して記載される乳化剤および共乳化剤を含む。皮膚軟化薬は、例えば、プロピレングリコール、グリセロール、イソプロピルミリステート、ポリプロピレングリコール−2(PPG−2) ミリスチルエーテルプロピオネート、およびその他同種のものを含む。
【0073】
他の活性剤、例えば他の抗炎症剤、鎮痛薬、抗菌剤、抗真菌剤、抗生物質、ビタミン、酸化防止剤、ならびに一般に、アントラニレート、ベンゾフェノン(特にベンゾフェノン−3)、カンファー誘導体、シンナメート(例えばオクチルメトキシシンナメート)、ジベンゾイルメタン(例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン)、p−アミノ安息香酸(PABA)およびその誘導体、ならびにサリチレート(例えばオクチルサリチレート)を含むが、これらに限定されない、日焼け止め製剤中に見つけられる日焼け止め剤もまた、製剤中に含まれてもよい。
【0074】
一実施形態では、1つまたは複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドによるHGFの修飾は、運動増強およびボディービルのために、その必要性のある患者に投与される。
【0075】
一実施形態では、1つまたは複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドによるHGFの修飾は、正常な対照と比較した、HGFの異常な発現、機能、活性に関係する任意の疾患または障害を予防するまたは治療するために、その必要性のある患者に投与される。
【0076】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、HGFのポリヌクレオチドに対して特異的であり、これは、限定を伴うことなく、非コード領域を含む。HGF標的は、HGFの変異体;SNPを含むHGFの突然変異体;HGFの非コード化配列;対立遺伝子、断片、およびその他同種のものを含む。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、アンチセンスRNA分子である。
【0077】
本発明の実施形態に従って、標的核酸分子は、HGFポリヌクレオチドのみに限定されず、HGFのアイソフォーム、受容体、相同体、非コード領域、およびその他同種のもののいずれにも及ぶ。
【0078】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、限定を伴うことなく、変異体、対立遺伝子、相同体、突然変異体、誘導体、断片、およびそれに対する相補配列を含むHGF標的の天然アンチセンス配列(コードおよび非コード領域に対する天然アンチセンス)を標的にする。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、アンチセンスRNA分子またはアンチセンスDNA分子である。
【0079】
一実施形態では、本発明のオリゴマー化合物はまた、異なる塩基が化合物中の1つまたは複数のヌクレオチド位置に存在する変異体を含む。例えば、第1のヌクレオチドがアデニンである場合、この位置にチミジン、グアノシン、シチジン、または他の天然もしくは非天然ヌクレオチドを含有する変異体が、産生されてもよい。これは、アンチセンス化合物の位置のいずれにおいてももたらされてもよい。次いで、これらの化合物は、標的核酸の発現を阻害するそれらの能力を決定するために本明細書において記載される方法を使用して試験される。
【0080】
いくつかの実施形態では、アンチセンス化合物および標的の間の相同性、配列同一性、または相補性は、約50%〜約60%である。いくつかの実施形態では、相同性、配列同一性、または相補性は、約60%〜約70%である。いくつかの実施形態では、相同性、配列同一性、または相補性は、約70%〜約80%である。いくつかの実施形態では、相同性、配列同一性、または相補性は、約80%〜約90%である。いくつかの実施形態では、相同性、配列同一性、または相補性は、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%である。
【0081】
アンチセンス化合物は、標的核酸への化合物の結合が、標的核酸の正常な機能に干渉して、活性の損失を引き起こす場合、特異的にハイブリダイズすることができ、特異的な結合が所望される条件下で、非標的核酸配列へのアンチセンス化合物の非特異的な結合を回避するための十分な程度の相補性がある。そのような条件は、つまり、in vivoアッセイまたは治療上の処置の場合には、生理学的条件およびin vitroアッセイの場合にはアッセイが実行される条件を含む。
【0082】
アンチセンス化合物は、DNA、RNA、キメラ、置換などかどうかに関わらず、標的DNA分子または標的RNA分子への化合物の結合が標的DNAまたは標的RNAの正常な機能に干渉して、有用性の損失を引き起こす場合、特異的にハイブリダイズすることができ、特異的な結合が所望される条件下で、つまり、in vivoアッセイまたは治療上の処置の場合には、生理学的条件下でおよびin vitroアッセイの場合にはアッセイが実行される条件下で、非標的配列へのアンチセンス化合物の非特異的結合を回避するのに十分な程度に相補的である。
【0083】
一実施形態では、限定を伴うことなく、例えばPCR、ハイブリダイゼーションなどを使用して、同定され、伸長するアンチセンス配列、1つまたは複数の配列番号2〜4として記載される配列、およびその他同種のものを含むHGFのターゲティングは、HGFの発現または機能を調整する。一実施形態では、発現または機能は、対照と比較してアップレギュレートされる。一実施形態では、発現または機能は、対照と比較してダウンレギュレートされる。
【0084】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えばPCR、ハイブリダイゼーションなどを使用して、同定され、伸長するアンチセンス配列を含む、配列番号5〜12として記載される核酸配列を含む。これらのオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオチド、より短いまたはより長い断片、修飾結合、およびその他同種のものを含むことができる。修飾結合または修飾ヌクレオチド間連結の例は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなどを含む。一実施形態では、ヌクレオチドは、リン誘導体を含む。本発明の修飾オリゴヌクレオチドにおける糖または糖アナログ部分に付加されてもよいリン誘導体(または修飾リン酸基)は、モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、アルキルホスフェート、アルカンホスフェート、ホスホロチオエート、およびその他同種のものであってもよい。上記に述べられるホスフェートアナログの調製ならびにヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドの中へのそれらの組み込みもまた、それ自体、知られており、本明細書に記載する必要はない。
【0085】
アンチセンスの特異性および感受性もまた、治療上の使用のために当業者らによって利用される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、動物および人における疾患状態の治療において治療成分として用いられてきた。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、安全で有効にヒトに投与されており、多数の臨床試験が現在進行中である。したがって、オリゴヌクレオチドが、細胞、組織、および動物、とりわけヒトの治療のための治療プログラムにおいて有用となるように設計することができる有用な治療手段となり得ることが立証される。
【0086】
本発明の実施形態では、オリゴマーアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドは、標的核酸分子に結合し、かつ標的遺伝子によってコードされる分子の発現および/または機能を調整する。干渉されることとなるDNAの機能は、例えば、複製および転写を含む。干渉されることとなるRNAの機能は、例えば、タンパク質翻訳の部位へのRNAの移動、RNAからのタンパク質の翻訳、1つまたは複数のmRNA種を得るためのRNAのスプライシング、およびRNAに関与してもよいまたはそれによって促進されてもよい触媒活性などのような、すべての生体機能を含む。機能は、所望の機能に依存して、アップレギュレートされてもよいまたは阻害されてもよい。
【0087】
アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、代替スプライサー、プライマー、プローブ、ならびに標的核酸の少なくとも一部にハイブリダイズする他のオリゴマー化合物を含む。そのため、これらの化合物は、一本鎖、二本鎖、部分的に一本鎖、環状オリゴマー化合物の形態で導入されてもよい。
【0088】
本発明との関連における、特定の核酸分子へのアンチセンス化合物のターゲティングは、多段階のプロセスとすることができる。プロセスは、通常、その機能が調整されることとなる標的核酸の同定から始まる。この標的核酸は、例えば、その発現が特定の障害または疾患状態と関連する細胞遺伝子(もしくは遺伝子から転写されるmRNA)または感染病原体由来の核酸分子であってもよい。本発明では、標的核酸は、肝細胞増殖因子(HGF)をコードする。
【0089】
ターゲティングプロセスはまた、通常、所望の効果、例えば発現の修飾が得られるように、アンチセンス相互作用が起こるように、標的核酸内の少なくとも1つの標的部位、セグメント、または部位の決定を含む。本発明の文脈内では、用語「領域」は、少なくとも1つの同定可能な構造、機能、または特徴を有する標的核酸の一部として定義される。セグメントは、標的核酸の領域内にある。「セグメント」は、標的核酸内の領域のより小さな部分または下位部分として定義される。本発明において使用される「部位」は、標的核酸内の位置として定義される。
【0090】
一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、肝細胞増殖因子(HGF)の天然アンチセンス配列に結合し、HGF(配列番号1)の発現および/または機能を調整する。アンチセンス配列の例は、配列番号2〜12を含む。
【0091】
一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの1つまたは複数のセグメントに結合し、HGFの発現および/または機能を調整する。セグメントは、HGFセンスポリヌクレオチドまたはHGFアンチセンスポリヌクレオチドの少なくとも5つの連続ヌクレオチドを含む。
【0092】
一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、HGFの天然アンチセンス配列に対して特異的であり、HGFの天然アンチセンス配列へのオリゴヌクレオチドの結合は、HGFの発現および/または機能を調整する。
【0093】
一実施形態では、オリゴヌクレオチド化合物は、配列番号5〜12として記載される配列、例えばPCR、ハイブリダイゼーションなどを使用して、同定され、伸長するアンチセンス配列を含む。これらのオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオチド、より短いまたはより長い断片、修飾結合、およびその他同種のものを含むことができる。修飾結合または修飾ヌクレオチド間連結の例は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、などを含む。一実施形態では、ヌクレオチドはリン誘導体を含む。本発明の修飾オリゴヌクレオチドにおける糖または糖アナログ部分に付加されてもよいリン誘導体(または修飾リン酸基)は、モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、アルキルホスフェート、アルカンホスフェート、ホスホロチオエート、およびその他同種のものであってもよい。上記に述べられるホスフェートアナログの調製ならびにヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドの中へのそれらの組み込みもまた、それ自体、知られており、本明細書に記載する必要はない。
【0094】
以来、当技術分野において知られているように、翻訳開始コドンは、典型的に、5’−AUGであり(転写mRNA分子において;対応するDNA分子において5’−ATG)、翻訳開始コドンはまた、「AUGコドン」、「開始コドン」、または「AUG開始コドン」とも呼ばれる。少数の遺伝子は、RNA配列5’−GUG、5’−UUG、または5’−CUGを有する翻訳開始コドンを有し、5’−AUA、5’−ACG、および5’−CUGは、in vivoにおいて機能することが示されている。したがって、それぞれの実例における開始因子アミノ酸が、典型的に、メチオニン(真核生物において)またはホルミルメチオニン(原核生物において)であるが、用語「翻訳開始コドン」および「開始コドン」は、多くのコドン配列を包含することができる。真核生物および原核生物の遺伝子は、2つ以上の代替の開始コドンを有していてもよく、これらのいずれか1つが、特定の細胞型もしくは組織においてまたは特定のセットの条件下で、翻訳開始のために優先的に利用されてもよい。本発明の文脈において、「開始コドン」および「翻訳開始コドン」は、そのようなコドンの配列(複数可)に関わらず、肝細胞増殖因子(HGF)をコードする遺伝子から転写されたmRNAの翻訳を始めるためにin vivoにおいて使用されるコドン(複数可)を指す。遺伝子の翻訳終止コドン(または「ストップコドン」)は、3つの配列、つまり5’−UAA、5’−UAG、および5’−UGAのうちの1つを有していてもよい(対応するDNA配列は、それぞれ、5’−TAA、5’−TAG、および5’−TGAである)。
【0095】
用語「開始コドン領域」および「翻訳開始コドン領域」は、翻訳開始コドンからいずれかの方向(すなわち5’または3’)で連続する約25〜約50ヌクレオチドを包含するようなmRNAまたは遺伝子の一部分を意味する。同様に、用語「終止コドン領域」および「翻訳終止コドン領域」は、翻訳終止コドンからいずれかの方向(すなわち5’または3’)で連続する約25〜約50ヌクレオチドを包含するようなmRNAまたは遺伝子の一部分を意味する。したがって、「開始コドン領域」(または「翻訳開始コドン領域」)および「終止コドン領域」(または「翻訳終止コドン領域」)は、本発明のアンチセンス化合物で効果的にターゲッティングされうる全領域である。
【0096】
翻訳開始コドンと翻訳終止コドンとの間の領域を意味することが当該技術分野におい周知であるオープンリーディングフレーム(ORF)または「コード領域」も、効果的にターゲッティングされうる領域である。本発明の文脈においてターゲッティングされた領域は、遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始または終止コドンを包含する遺伝子内領域である。
【0097】
他の標的領域には、翻訳開始コドンから5’方向にあるmRNAの一部分を意味することが当該技術分野において周知である5’非翻訳領域(5’UTR)を含み、ひいては5’キャップ部位とmRNA(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)の翻訳開始コドンとの間のヌクレオチドを含む。さらに他の標的領域には、翻訳終止コドンから3’方向にあるmRNAの一部分を意味することが当該技術分野において周知である3’非翻訳領域(3’UTR)を含み、ひいては翻訳終止コドンとmRNA(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)の3’末端との間のヌクレオチドを含む。mRNAの5’キャップ部位は、5’−5’トリリン酸結合を介してmRNAの最も5’側の残基に結合したN7−メチル化グアノシン残基を含む。mRNAの5’キャップ領域は、5’キャップ構造それ自体およびキャップ部位に隣接する最初の50ヌクレオチドを含むものと考えられる。本発明の他の標的領域は、5’キャップ領域である。
【0098】
真核生物mRNA転写物には直接翻訳されるものもあるが、大部分はそれが翻訳される前に転写物から切除される「イントロン」として周知である1以上の領域を含有する。残りの(したがって翻訳される)領域は「エクソン」として周知であり、連続的なmRNA配列を形成するように一緒にスプライスされる。一実施形態において標的スプライス部位(すなわちイントロン/エクソン接合部またはエクソン/イントロン接合部)は、異常なスプライシングが疾患に関与する状況または特定のスプライス産物の過剰産生が疾患に関与する状況において特に有用である。再配置または欠失による異常な融合接合は、標的部位の他の実施形態である。異なる遺伝子源由来の2つ(またはそれ以上)のmRNAのスプライシングのプロセスを介して産生されたmRNA転写物は、「融合転写物」として周知である。イントロンは、例えばDNAまたはプレmRNAをターゲッティングするアンチセンス化合物を用いて効果的にターゲッティングされうる。
【0099】
一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは標的ポリヌクレオチドのコード領域および/または非コード領域に結合し、標的分子の発現おび/または機能を調節する。
【0100】
一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは天然アンチセンスポリヌクレオチドに結合し、標的分子の発現および/または機能を調節する。
【0101】
一実施形態においてアンチセンスオリゴヌクレオチドは、センスポリヌクレオチドに結合し、標的分子の発現および/または機能を調節する。
【0102】
選択的RNA転写物は、DNAの同じ遺伝子領域から産生される。これらの選択的転写物は、一般に「変種」として周知である。さらに詳細には、「プレmRNA変種」は同じゲノムDNAから産生される転写物であり、同じゲノムDNAから産生される他の転写物とはそれらの開始または終止位置のいずれかにおいて異なっており、イントロンおよびエクソン配列の両方を含有する。
【0103】
スプライシング中に1以上のエクソンもしくはイントロン領域またはそれらの一部分が切除されると、プレmRNA変種は、より小さな「mRNA変種」を産生する。結果として、mRNA変種はプレmRNA変種にプロセシングされ、それぞれ特有のプレmRNA変種がスプライシングの結果として特有のmRNA変種を常に産生する。このようなmRNA変種は「選択的スプライス変種」としても周知である。プレmRNA変種のスプライシングが生じない場合は、プレmRNA変種はmRNA変種と同一である。
【0104】
変種は転写を開始または終止するための選択的シグナルを使用することにより産生されうる。プレmRNAおよびmRNAは、2つ以上の開始コドンまたは終止コドンを有しうる。選択的開始コドン(alternative start codon)を使用するプレmRNAまたはmRNA由来の変種は、プレmRNAまたはmRNAの「選択的開始変種(alternative start variant)」として周知である。選択的終止コドン(alternative stop codon)を使用するこれらの転写物は、プレmRNAまたはmRNAの「選択的終止変種(alternative stop variant)」として周知である。ある選択的終止変種の1種は、機械的な転写による「ポリA終止シグナル」のうちの1つの代替選択から生じる多数の転写物が産生される「ポリA変種」であり、それにより特有なポリA部位で終結する転写物が産生される。本発明の文脈において、本明細書に記載の種類の変種も標的核酸の実施形態である。
【0105】
アンチセンス化合物がハイブリダイズする標的核酸上の位置は、活性アンチセンス化合物がターゲッティングされる標的領域の少なくとも5ヌクレオチド長部分として定義される。
【0106】
特定の例示的標的セグメントの具体的な配列を本明細書に記載するが、当業者にはこれらが本発明の範囲内の具体的実施形態を例示および記載するために利用できることを理解されよう。追加の標的セグメントは、本開示を考慮して当業者によって容易に特定されうる。
【0107】
例示的な好ましい標的セグメント内から選択される、少なくとも5つの(5)連続ヌクレオチドの範囲を含む、長さが5−100ヌクレオチドの標的セグメントは、同様に、ターゲティングとして適切であると考えられる。
【0108】
標的セグメントは、例示的な好ましい標的セグメントの1つの5’−末端由来の少なくとも5個の連続するヌクレオチドを含むDNAまたはRNA配列を含みうる(残りのヌクレオチドは標的セグメントの5’−末端のすぐ上流から始まり、DNAまたはRNAが約5〜約100ヌクレオチドを含有するまで続く同じDNAまたはRNAの連続的範囲である)。同じく好ましい標的セグメントは、例示的な好ましい標的セグメントの1つの3’−末端由来の少なくとも5個の連続するヌクレオチドを含むDNAまたはRNA配列によって表される(残りのヌクレオチドは標的セグメントの3’−末端のすぐ下流から始まり、DNAまたはRNAが約5〜約100ヌクレオチドを含有するまで続く同じDNAまたはRNAの連続的範囲である)。本明細書において例示の標的セグメントを用いる当業者は、必要以上に実験を行わなくても、さらなる好ましい標的セグメントを同定することができる。
【0109】
一旦1以上の標的領域、セグメントまたは部位が同定されると、所望の効果を得るのに標的に十分に相補的である(すなわち十分にハイブリダイズし、かつ十分な特異性を有する)アンチセンス化合物が選択される。
【0110】
本発明の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、特定の標的のアンチセンス鎖に結合する。オリゴヌクレオチドは長さが少なくとも5ヌクレオチドであり、各オリゴヌクレオチドが重複する配列をターゲッティングするように合成されてよく、オリゴヌクレオチドは標的ポリヌクレオチドの長さ全体に及ぶように合成される。標的はコード領域および非コード領域も含む。
【0111】
一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドによって特定の核酸をターゲッティングすることが好ましい。特定の核酸に対するアンチセンス化合物のターゲッティングは、多段階のプロセスである。このプロセスは通常、その機能が調節される核酸配列の同定で始まる。これは、例えばその発現が特定の障害もしくは病態に関与する細胞遺伝子(または遺伝子から転写されるmRNA)あるいは例えば非翻訳RNA(ncRNA)などの非翻訳ポリヌクレオチドの場合もある。
【0112】
RNAは(1)タンパク質に翻訳されるメッセンジャーRNA(mRNA)および(2)非タンパク質コードRNA(ncRNA)に分類される。ncRNAはマイクロRNA、アンチセンス転写物および高密度の終止コドンを含有しており、いかなる広範な「オープンリーディングフレーム」も欠いている他の転写単位(TU)を含む。ncRNAの多くは、タンパク質コード遺伝子座の3’非翻訳領域(3’UTR)中の開始部位から始まると考えられる。ncRNAは多くの場合まれであり、FANTOMコンソーシアムによって配列決定されているncRNAの少なくとも半分はポリアデニル化されていないと考えられている。研究者は明らかな理由から、プロセシングされ、細胞質に排出されるポリアデニル化されたmRNAに注目している。近年、一連のポリアデニル化されていない核内RNAが非常に大きい場合があり、そのような転写物の多くがいわゆる遺伝子間領域から生じることが明らかとなっている。ncRNAが遺伝子発現を制御し得る機構は、標的転写物との塩基対形成によるものである。塩基対形成によって機能するRNAは、(1)作用するRNAと同じ遺伝子座だが反対の鎖上にコードされ、したがってそれらの標的に対して完全な相補性を示すシスコードの(cis−encoded)RNA、および(2)作用するRNAとは異なる染色体上の位置にコードされ、一般にそれらの標的と完全な塩基対形成可能性を示さないトランスコードの(trans−encoded)RNAに分類される。
【0113】
理論によって拘束されるものではないが、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドによるアンチセンスポリヌクレオチドの変動は、対応するセンスメッセンジャーRNAの発現を変化させうる。しかし、この制御は、不調和性(アンチセンスノックダウンがセンスメッセンジャーRNAの増加を生じる)または調和性(アンチセンスノックダウンが付随するセンスメッセンジャーRNAの減少を生じる)のいずれであってもよい。このような場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、重複しているかまたは重複していないアンチセンス鎖の部分にターゲッティングされてよく、そのノックダウンまたは隔離を生じる。コードアンチセンスおよび非コードアンチセンスは同一の手段でターゲッティングでき、どちらの分類も対応するセンス転写物を調和的または非調和的に制御することができる。標的に対して用いる新規オリゴヌクレオチドを同定することに使用される戦略は、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるアンチセンスRNA転写物のノックダウンまたは所望の標的を調節するための任意の他の手段に基づきうる。
【0114】
戦略1:非調和的調節の場合、アンチセンス転写のノックダウンは通常の(センス)遺伝子の発現を上昇させる。後者の遺伝子が周知または推定上の薬物標的をコードする場合、そのアンチセンス対応物のノックダウンは受容体アゴニストまたは酵素刺激物質の作用をおそらくは模倣できる。
【0115】
戦略2;調和的調節の場合、アンチセンスおよびセンス転写物の両方を同時にノックダウンすることができ、従って通常の(センス)遺伝子発現の相乗的低減を達成する。例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドがノックダウンを達成するために使用される場合、この戦略はセンス転写物にターゲッティングされた1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドと対応するアンチセンス転写物に対する他のアンチセンスオリゴヌクレオチドとに、または重複しているセンスおよびアンチセンス転写物を同時にターゲッティングする単一のエネルギー的に対称なアンチセンスオリゴヌクレオチドに適用するために使用されうる。
【0116】
本発明によれば、アンチセンス化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、siRNA化合物、siRNA化合物などの1本鎖または2本鎖RNA干渉(RNAi)化合物、および標的核酸の少なくとも一部分にハイブリダイズし、その機能を調節する他のオリゴマー化合物を含む。かくして、それらはDNA、RNA、DNA様、RNA様、あるいはそれらの混合物である場合もあるし、これらの1以上の模倣物の場合もある。これらの化合物は、1本鎖、2本鎖、環状またはヘアピンオリゴマー化合物であってよく、内部もしくは末端バルジ、ミスマッチまたはループなどの構造要素を含有することもある。アンチセンス化合物は日常的には直鎖状に調製されるが、環状および/または分枝状に結合されるか、あるいは調製されうる。アンチセンス化合物は、例えば全体的もしくは部分的な2本鎖化合物を形成するようにハイブリダイズした2本の鎖または全体的もしくは部分的な2本鎖化合物のハイブリダイゼーションおよび形成を可能にするために十分な自己相補性を有する1本鎖などの構築物を含みうる。2本鎖は、遊離した3’もしくは5’末端を残すように内部で結合されうるか、連続的ヘアピン構造もしくはループを形成するように結合されうる。ヘアピン構造は、5’または3’末端のいずれかにオーバーハングを含有でき、1本鎖形質の伸長を生じる。場合により2本鎖化合物は、両末端にオーバーハングを含有できる。さらなる修飾は、末端のうちの1つ、選択されたヌクレオチド位置、糖位置またはヌクレオチド間結合のうちの1つに結合した複合基を含みうる。あるいは、2本鎖は、非核酸成分またはリンカー基を介して連結されうる。1本だけの鎖から形成される場合dsRNAは、2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態を取りうる。したがって、dsRNAは完全または部分的に2本鎖でありうる。遺伝子発現の特異的調節は、遺伝子導入細胞系におけるdsRNAヘアピンの安定した発現によって達成されうるが、いくつかの実施形態では、遺伝子の発現または機能は上方制御される。2本鎖または2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態を取る1本鎖から形成される場合、2本鎖(または1本鎖の2重鎖形成領域)は、ワトソン−クリック様に塩基対形成する相補的RNA鎖である。
【0117】
一旦、系に導入されると、本発明の化合物は標的核酸の切断もしくは他の修飾に影響を及ぼす1以上の酵素もしくは構造タンパク質の作用を誘発するか、または占有に基づく機構を介して作用することができる。一般に核酸(オリゴヌクレオチドを含む)は、「DNA様」(すなわち一般に1以上の2’−デオキシ糖を有し、一般にU塩基よりもT塩基を有する)または「RNA様」(すなわち一般に1以上の2’−ヒドロキシ糖または2’−修飾糖を有し、一般にT塩基よりもU塩基を有する)と記載されうる。核酸らせん体は、2以上の構造を、最も一般的にはA−形およびB−形を取りうる。一般に、B−形様構造を有するオリゴヌクレオチドは「DNA様」であり、A−形様構造を有するものは「RNA様」であると考えられる。いくつかの(キメラ)実施形態において、アンチセンス化合物はA−およびB−形の領域の両方を含有できる。
【0118】
一実施形態において、所望のオリゴヌクレオチドまたはアンチセンス化合物は、アンチセンスRNA、アンチセンスDNA、キメラアンチセンスオリゴヌクレオチド、修飾された結合を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド、干渉RNA(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA);マイクロ干渉RNA(miRNA);低分子一過性RNA(stRNA);または低分子ヘアピンRNA(shRNA);低分子RNA誘導遺伝子活性化(RNAa);低分子活性化RNA(saRNA)またはこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0119】
dsRNAは遺伝子発現、「低分子RNA誘導遺伝子活性化」またはRNAaと呼ばれる機構も活性化することができる。遺伝子プロモーターをターゲッティングするdsRNAは、関連する遺伝子の強力な転写活性化を誘導する。RNAaは合成dsRNAを使用してヒト細胞において実証され、「低分子活性化RNA」(saRNA)と呼ばれる。RNAaが他の生体においても保存されているか否かについては現在のところ明らかとなっていない。
【0120】
低分子干渉RNA(siRNA)およびマイクロRNA(miRNA)などの低分子2本鎖RNA(dsRNA)は、RNA干渉(RNAi)として周知の進化的に保存された機構の引き金であることが見出されている。RNAiはクロマチンの再構築を介して一定に遺伝子発現抑制を導き、それにより転写を抑制し、相補的mRNAを分解するか、タンパク質翻訳を遮断する。しかし、以下の実施例の箇所に詳細に記載した例では、オリゴヌクレオチドは、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドおよびそれにコードされる産物の発現および/または機能を増加させることが示されている。dsRNAは低分子活性化RNA(saRNA)としても作用できる。理論によって拘束されるものではないが、遺伝子プロモーター中の配列をターゲッティングすることによって、saRNAはdsRNA誘発転写活性化(RNAa)と呼ばれる現象において標的遺伝子発現を誘導する。
【0121】
さらなる実施形態において、本明細書において同定した「好ましい標的セグメント」は、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの発現を調節する追加的化合物の選別において使用されうる。「調節物質」は、肝細胞増殖因子(HGF)をコードする核酸分子の発現を減少または増加させ、好ましい標的セグメントに相補的である少なくとも5個のヌクレオチド部分を含む化合物である。選別方法は、肝細胞増殖因子(HGF)のセンスまたは天然アンチセンスポリヌクレオチドをコードする核酸分子の好ましい標的セグメントを1以上の候補調節物質に接触させるステップ、および肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチド(例えば配列番号5〜12)をコードする核酸分子の発現を減少または増加させる1以上の候補修飾物質を選択するステップを含む。1以上の候補調節物質が、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドをコードする核酸分子の発現を調節できる(例えば減少または増加させる)ことが一旦わかれば、調節物質は肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの機能のさらなる調査研究において、または本発明による研究、診断もしくは治療剤としての使用のために使用されうる。
【0122】
天然アンチセンス配列のターゲッティングには、標的遺伝子、例えばHGF遺伝子(例えば受託番号NM001010934)の機能を調節する。一実施形態において、標的は肝細胞増殖因子のアンチセンスポリヌクレオチドである。一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドのセンスおよび/または天然アンチセンス配列(受託番号NM001010934)、変種、対立遺伝子、アイソフォーム、相同体、変異体、誘導体、断片およびそれらの相補配列をターゲッティングする。好ましくは、オリゴヌクレオチドはアンチセンス分子であり、標的はアンチセンスおよび/またはセンスEPポリヌクレオチドのコード領域および非コード領域を含む。
【0123】
本発明の好ましい標的セグメントは、本発明のそれぞれの相補的アンチセンス化合物と安定化された2本鎖(2重鎖)オリゴヌクレオチドを形成するように組み合わされうる。
【0124】
そのような2本鎖オリゴヌクレオチド成分は、当該技術分野において標的発現を調節し、アンチセンス機構を介して翻訳およびRNAプロセシングを制御することがわかっている。また、2本鎖成分を化学修飾に供してもよい。例えば、そのような2本鎖成分は、2重鎖アンチセンス鎖の標的への古典的ハイブリダイゼーションによって標的を抑制することがわかっており、それにより標的の酵素的分解が開始される。
【0125】
一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチド(例えば受託番号NM001010934)、変種、対立遺伝子、アイソフォーム、相同体、変異体、誘導体、断片およびそれらの相補配列をターゲッティングする。好ましくは、オリゴヌクレオチドはアンチセンス分子である。
【0126】
本発明の実施形態によれば、標的核酸分子は肝細胞増殖因子(HGF)だけに限定されるものではなく、任意のアイソフォーム、受容体、相同体および肝細胞増殖因子(HGF)様分子に及ぶ。
【0127】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドは肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの天然アンチセンス配列(例えば配列番号2〜4に記載のポリヌクレオチド)および任意の変種、対立遺伝子、相同体、変異体、誘導体、断片およびそれらの相補配列をターゲッティングする。アンチセンスオリゴヌクレオチドの例は、配列番号5〜12として記載されている。
【0128】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、限定するものではないが、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドに関連する非コードセンスおよび/またはアンチセンス配列が挙げられる肝細胞増殖因子(HGF)アンチセンスの核酸配列に相補的であるかまたは結合し、肝細胞増殖因子(HGF)分子の発現および/または機能を調節する。
【0129】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号2〜4に記載のHGF天然アンチセンスの核酸配列に相補的であるか、または結合し、HGF分子の発現および/または機能を調節する。
【0130】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドは配列番号5〜12の少なくとも5個の連続する核酸塩基の配列を含み、肝細胞増殖因子(HGF)分子の発現および/または機能を調節する。
【0131】
ポリヌクレオチド標的は、そのファミリーメンバーを含めたHGF、HGFの変種;SNPを含むHGFの変異体;HGFの非コード配列;HGFの対立遺伝子;種の変種、断片などを含む。好ましくは、オリゴヌクレオチドはアンチセンス分子である。
【0132】
一実施形態において、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドをターゲッティングするオリゴヌクレオチドは、アンチセンスRNA、干渉RNA(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA);マイクロ干渉RNA(miRNA);低分子一過性RNA(stRNA);または低分子ヘアピンRNA(shRNA);低分子RNA誘導遺伝子活性化(RNAa);または低分子活性化RNA(saRNA)を含む。
【0133】
一実施形態において、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチド(例えば配列番号2〜4)のターゲッティングは、これらの標的の発現または機能を調節する。一実施形態において発現または機能は対照と比較して上方制御される。一実施形態において、発現または機能は対照と比較して下方制御される。
【0134】
一実施形態において、アンチセンス化合物は、配列番号5〜12に記載の配列を含む。これらのオリゴヌクレオチドは、1以上の修飾された核酸塩基、より短いまたはより長い断片、修飾された結合などを含みうる。
【0135】
一実施形態において、配列番号5〜12は1以上のLNAヌクレオチドを含む。
【0136】
所望の標的核酸の調節は、当該技術分野において周知のいくつかの方法において実施されうる。例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAなど。酵素的核酸分子(例えばリボザイム)は、ヌクレオチド塩基配列に特異的なやり方で他の別々の核酸分子を繰り返し切断する能力を含む種々の反応の以上を触媒できる核酸分子である。そのような酵素的核酸分子は、例えば実質的にいかなるRNA転写物をターゲッティングするのにも使用されうる。
【0137】
それらの配列特異性により、トランス切断酵素的核酸分子は、ヒト疾患に対する治療剤としての有望さを示す(UsmanおよびMcSwiggen、(1995)Ann.Rep.Med.Chem.30、285〜294;ChristoffersenおよびMarr、1995 J.Med.Chem.38、2023〜2037)。酵素的核酸分子は、細胞性RNA背景中で特定のRNA標的を切断するために設計されうる。そのような切断事象はmRNAを非機能性にし、かつそのRNAからのタンパク質発現を抑制する。このようにして、病態に関与するタンパク質の合成は選択的に抑制されうる。
【0138】
一般に、RNA切断活性を有する酵素的核酸は、最初に標的RNAに結合することによって作用するような結合は、標的RNAを切断するために作用する分子の酵素的部分に近接に保持される酵素的核酸の標的結合部分を通じて生じる。したがって、酵素的核酸分子は、最初に標的RNAを認識し、次いで相補的塩基対形成を通じて結合し、一旦正確な部位に結合すると、標的RNAを切断するために酵素的に作用するような標的RNAの戦略的切断は、コードされているタンパク質の合成を方向付けるその能力を破壊する。酵素的核酸がそのRNA標的に結合および切断した後、RNAから解離し、別の標的を探して繰り返して新たな標的に結合し、切断することができる。
【0139】
In vitro選択(進化的)戦略(Orgel、1979、Proc.R.Soc.London、B205、435)などのいくつかの手法が、ホスホジエステル結合およびアミド結合の切断および連結などの種々の反応を触媒できる新規核酸触媒を発展させるために使用されている。
【0140】
触媒活性のために最適なリボザイムの開発することは、遺伝子発現制御の目的のためにRNA切断リボザイムを用いるいかなる戦略にも大いに有用である。例えばハンマーヘッド型リボザイムは、飽和(10mM)濃度のMg2+補助因子の存在下で触媒速度(kcat)約1分−1で機能する。人工的「RNAリガーゼ」リボザイムは、対応する自己修飾反応を約100分−1の速度で触媒することが示されている。加えてDNAから作られた基質結合腕を有するある種の修飾されたハンマーヘッド型リボザイムは、約100回/分の多重回転率(multiple turn−over rate)でRNA切断を触媒することは周知である。最後にハンマーヘッドの触媒コア中の特定の残基の特定のヌクレオチド類似体での置換は、触媒速度に10倍程度の改善を示す修飾されたリボザイムをもたらす。これらの発見は、リボザイムが、ほとんどの天然の自己切断リボザイムによってin vitroで示されるものより顕著に大きな触媒速度での化学的形質転換を促進できることを示す。それにより、ある種の自己切断リボザイムの構造が最大の触媒活性をもたらすように最適化されるか、RNAホスホジエステル切断について著しく速い速度を示す全く新規のRNAモチーフが作製されうることが可能である。
【0141】
「ハンマーヘッド」モデルに適するRNA触媒によるRNA基質の分子間切断は、1987年に最初に明らかにされた(Uhlenbeck,O.C.(1987)Nature、328:596〜600)。RNA触媒は、回収され、複数のRNA分子と反応し、それが実際に触媒作用的であることを示した。
【0142】
「ハンマーヘッド」モチーフに基づいて設計された触媒RNAは、標的配列に必要な塩基対形成を維持するために触媒RNA中に適切な塩基変更を作製することによって特定の標的配列を切断するために使用されている。これは、特定の標的配列を切断するための触媒RNAの使用を可能にし、「ハンマーヘッド」モデルによって設計された触媒RNAがin vivoで特定の基質RNAを切断できる可能性があることを示している)。
【0143】
RNA干渉(RNAi)は、哺乳動物および哺乳動物細胞における遺伝子発現を調節するための強力な手段になっている。この手法は、発現プラスミドまたはウイルスおよび、siRNAにプロセシングされる低分子ヘアピンRNAのコード配列を使用するRNAそれ自体としてまたはDNAとしてのいずれかでの低分子干渉RNA(siRNA)の送達を必要とする。この系は、プレ−siRNAのそれらが活性である細胞質への効率的な輸送を可能にし、遺伝子発現のために制御された組織特異的なプロモーターの使用を可能にする。
【0144】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドまたはアンチセンス化合物は、リボ核酸(RNA)および/もしくはデオキシリボ核酸(DNA)のオリゴマーもしくはポリマーまたはそれらの模倣物、キメラ、類似体もしくは相同体を含む。この用語は、天然に存在するヌクレオチド、糖およびヌクレオチド間(骨格)共有結合ならびに同様に機能する天然に存在しない部分を含むオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドを含む。そのような修飾されたまたは置換されたオリゴヌクレオチドは、例えば細胞への増強された取り込み、標的核酸に対する増強された親和性およびヌクレアーゼの存在下での増大した安定性などの望ましい特性から天然形態よりも望ましいことが多い。
【0145】
本発明によれば、オリゴヌクレオチドまたは「アンチセンス化合物」は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えばRNA、DNA、それらの模倣物、キメラ、類似体または相同体)、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、siRNA化合物、siRNA化合物などの1本鎖または2本鎖RNA干渉(RNAi)化合物、saRNA、aRNAおよび標的核酸の少なくとも一部分にハイブリダイズしその機能を調節する他のオリゴマー化合物を含む。そのようにそれらは、DNA、RNA、DNA様、RNA様もしくはそれらの混合物でありうるか、またはこれらの1以上の模倣物でありえる。これらの化合物は、1本鎖、2本鎖、環状またはヘアピンオリゴマー化合物であることができ、内部もしくは末端バルジ、ミスマッチまたはループなどの構造要素を含みうる。アンチセンス化合物は、日常的には直鎖状に調製されるが、環状および/または分枝状に結合されるかまたはそうでなければ調製されうる。アンチセンス化合物は、例えば全体的もしくは部分的な2本鎖化合物を形成するようにハイブリダイズした2本の鎖、または全体的もしくは部分的な2本鎖化合物のハイブリダイゼーションおよび形成を可能にするために十分な自己相補性を有する1本鎖などの構築物を含みうる。2本の鎖は、遊離の3’もしくは5’末端を残すように内部で結合されうるか、または連続的ヘアピン構造もしくはループを形成するように結合されうる。ヘアピン構造は、1本鎖形質の伸長を生じさせるために5’または3’末端のいずれかにオーバーハングを含有できる。場合により2本鎖化合物は、両末端にオーバーハングを含みうる。さらなる修飾は、末端のうちの1つ、選択されたヌクレオチド位置、糖位置またはヌクレオチド間結合のうちの1つに結合した複合基を含みうる。代替として2本の鎖は、非核酸成分またはリンカー基を介して結合できる。1本鎖だけから形成される場合dsRNAは、2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態を取りうる。したがってdsRNAは、完全にまたは部分的に2本鎖でありうる。遺伝子発現の特異的な調節は、遺伝子導入細胞系におけるdsRNAヘアピンの安定な発現によって達成されうる。2本鎖、または2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態をとる1本鎖から形成される場合、2本鎖(または1本鎖の2重鎖形成領域)は、ワトソン−クリック様に塩基対形成する自己相補的RNA鎖である。
【0146】
一旦系に導入されると、本発明の化合物は、標的核酸の切断または他の修飾をもたらす1以上の酵素または構造タンパク質の作用を誘発することができるか、または占有に基づく機構を介して作用することができる。一般に核酸(オリゴヌクレオチドを含む)は、「DNA様」(すなわち一般に1以上の2’−デオキシ糖を有し、一般にU塩基よりもT塩基を有する)または「RNA様」(すなわち一般に1以上の2’−ヒドロキシ糖または2’−修飾糖を有し、一般にT塩基よりもU塩基を有する)と記載されうる。核酸ヘリックスは、1つより多い構造を、最も通例ではA−形およびB−形をとりうる。一般にB−形様構造を有するオリゴヌクレオチドは「DNA様」であると、A−形態様構造を有するものは「RNA様」であると考えられる。いくつかの(キメラ)実施形態においてアンチセンス化合物は、A−およびB−形領域の両方を含有できる。
【0147】
本発明のアンチセンス化合物は、長さ約5〜約80ヌクレオチド(すなわち約5〜約80個連結したヌクレオシド)由来のアンチセンス部分を含みうる。これは、アンチセンス化合物のアンチセンス鎖または一部分の長さを意味する。すなわち、本発明の1本鎖アンチセンス化合物は、5〜約80ヌクレオチドを含み、本発明の2本鎖アンチセンス化合物(例えばdsRNAなど)は、長さ5〜約80ヌクレオチドのセンスおよびアンチセンス鎖または一部分を含む。当業者には、これが長さ5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または80ヌクレオチドまたはこれらの範囲内の任意の長さのアンチセンス部分を内包することが理解されよう。
【0148】
一実施形態において本発明のアンチセンス化合物は、長さ10〜50ヌクレオチドのアンチセンス部分を有する。当業者は、これが長さ10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオチドまたはこれらの範囲内の任意の長さのアンチセンス部分を有するオリゴヌクレオチドを具体化することを理解する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは長さ15ヌクレオチドである。
【0149】
一実施形態において本発明のアンチセンスまたはオリゴヌクレオチド化合物は、長さ12または13〜30ヌクレオチドのアンチセンス部分を有する。当業者は、これが長さ12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30ヌクレオチドまたはこれらの範囲内の任意の長さのアンチセンス部分を有するアンチセンス化合物を具体化することを理解する。
【0150】
一実施形態において、本発明のオリゴマー化合物は、化合物中の1以上のヌクレオチド位置に異なる塩基が存在する変種も含む。例えば、最初のヌクレオチドがアデノシンである場合、この位置にチミジン、グアノシンまたはシチジンを含有する変種が産生されうる。これは、アンチセンスまたはdsRNA化合物の任意の位置においてなされうる。次いで、これらの化合物は、標的核酸の発現を抑制するそれらの能力を測定するために本明細書に記載の方法を使用して検査される。
【0151】
いくつかの実施形態において、アンチセンス化合物と標的との間の相同性、配列同一性または相補性は、約40%〜約60%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約60%〜約70%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約70%〜約80%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約80%〜約90%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%である。
【0152】
一実施形態において、例えば配列番号2〜12に記載の核酸分子などのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1以上の置換または修飾を含む。一実施形態においてヌクレオチドはロックド核酸(LNA)で置換される。
【0153】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、HGFに関連するコードおよび/または非コード配列ならびに配列番号1〜4として記載の配列の、核酸分子センスおよび/またはアンチセンスの1以上の領域をターゲッティングする。オリゴヌクレオチドは、配列番号1〜4の重複領域にもターゲッティングされる。
【0154】
本発明の特定の好ましいオリゴヌクレオチドは、キメラオリゴヌクレオチドである。本発明の文脈において「キメラオリゴヌクレオチド」または「キメラ」は、それぞれ少なくとも1つのヌクレオチドからなる2つ以上の化学的に異なる領域を含有するオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、1以上の有益な特性(例えばヌクレアーゼ耐性の増大、細胞への取り込みの増大、標的に対する結合親和性の増大など)を付与する修飾されたヌクレオチドの少なくとも1つの領域、およびRNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断できる酵素のための基質である領域を典型的には含有する。例示の方法により、RNase Hは、RNA:DNA2重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。したがってRNase Hの活性化は、RNA標的の切断を生じ、それにより遺伝子発現のアンチセンス調節の効率を非常に増強する。結果としてキメラオリゴヌクレオチドが使用される場合、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドと比較して低分子オリゴヌクレオチドで同程度の結果がしばしば得られる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動および必要に応じて当該技術分野において周知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって日常的に検出できる。一実施形態において、キメラオリゴヌクレオチドは、標的結合親和性を増大させる少なくとも1つの領域、およびRNase Hの基質として作用する領域を通常含む。オリゴヌクレオチドのその標的(この場合、rasをコードする核酸)に対する親和性は、オリゴヌクレオチド/標的対のTm(オリゴヌクレオチドと標的とが解離する温度であり、解離は分光光度的に検出される)を測定することによって日常的に決定される。Tmが高ければ高いほど、標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性は大きい。
【0155】
本発明のキメラアンチセンス化合物は、2つ以上のオリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、上に記載のオリゴヌクレオシドおよび/またはオリゴヌクレオチド模倣物の複合構造として形成されうる。そのような化合物は、当該技術分野においてハイブリッドまたはギャップマーとも称されている。そのようなハイブリッド構造の調製を説明する代表的な米国特許は、限定するものではないが、米国特許第5,013,830号、第5,149,797号、第5,220,007号、第5,256,775号、第5,366,878号、第5,403,711号、第5,491,133号、第5,565,350号、第5,623,065号、第5,652,355号、第5,652,356号および第5,700,922号明細書を含み、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
【0156】
一実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの領域は、糖の2’位置で修飾された少なくとも1つのヌクレオチド、最も好ましくは2’−O−アルキル、2’−O−アルキル−O−アルキル、または2’−フルオロ修飾ヌクレオチドを含む。他の好ましい実施形態においてRNA修飾は、ピリミジン、脱塩基残基またはRNAの3’末端の反転塩基(inverted base)のリボース上の2’−フルオロ、2’−アミノおよび2’O−メチル修飾を含む。そのような修飾は、日常的にオリゴヌクレオチドに組み込まれ、これらのオリゴヌクレオチドは、所与の標的に対して2’−デオキシオリゴヌクレオチドよりもより高いTm(すなわちより高い標的結合親和性)を有することが示されている。そのような増大した親和性の効果は、遺伝子発現のRNAiオリゴヌクレオチド抑制を非常に増強する。RNAse Hは、RNA:DNA 2重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼであり、したがってこの酵素の活性化は、RNA標的の切断を生じ、それによりRNAi抑制の効率を非常に増強できる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動によって日常的に実証されうる。一実施形態において、キメラオリゴヌクレオチドもヌクレアーゼ耐性を増強するために修飾される。細胞は、核酸を分解できる種々のエキソ−およびエンド−ヌクレアーゼを含有する。多数のヌクレオチドおよびヌクレオシド修飾が、それが組み込まれるオリゴヌクレオチドを天然のオリゴヌクレオチドよりもヌクレアーゼ消化に対してより耐性にすることが示されている。ヌクレアーゼ耐性は、オリゴヌクレオチドを細胞抽出物または単離されたヌクレアーゼ溶液とインキュベートし、一定時間後に残っている未変化オリゴヌクレオチドの量を、通常は電気泳動によって、測定することにより日常的に測定される。ヌクレアーゼ耐性を増強するために修飾されているオリゴヌクレオチドは、未修飾オリゴヌクレオチドよりも長時間未変化で残存する。種々のオリゴヌクレオチド修飾がヌクレアーゼ耐性を増強するまたは付与するために実証されている。現在のところ少なくとも1つのホスホロチオエート修飾を含有するオリゴヌクレオチドはより好ましい。いくつかの場合に標的結合親和性を増強するオリゴヌクレオチド修飾も、単独で、ヌクレアーゼ耐性を増強できる。
【0157】
本発明に想起されるいくつかの好ましいオリゴヌクレオチドの具体的な例は、修飾された骨格、例えばホスホロチオエート、リン酸トリエステル、メチルホスホネート、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖部分間結合または短鎖ヘテロ原子もしくは複素環糖間結合を含むものを含む。最も好ましいのは、ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチドおよびヘテロ原子骨格、詳細にはCH−−NH−−O−−CH、CH、−−N(CH)−−O−−CH [メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として周知]、CH−−O−−N(CH)−−CH、CH−−N(CH)−−N(CH)−−CHおよびO−−N(CH)−−CH−−CH骨格、式中天然のホスホジエステル骨格はO−P−−O−−CHと表される)を有するものである。De Mesmaekerら、(1995)Ace.Chem.Res.、28:366〜374)によって開示されたアミド骨格も好ましい。同様に好ましいのは、モルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドである(SummertonおよびWeller、米国特許第5,034,506号)。他の一実施形態において、ペプチド核酸(PNA)骨格、オリゴヌクレオチドのホスホジエステル骨格などは、ポリアミド骨格で置換され、ヌクレオチドは直接または間接的にポリアミド骨格のアザ窒素原子に結合される。オリゴヌクレオチドは、1以上の置換された糖部分も含みうる。好ましいオリゴヌクレオチドは、以下の:OH、SH、SCH、F、OCN、OCHOCH、OCHO(CH)nCH、O(CH)nNH2またはO(CH)nCH(式中nは1から約10である);C1〜C10低級アルキル、アルコキシアルコキシ、置換された低級アルキル、アルカリルまたはアラルキル;Cl;Br;CN;CF3;OCF3;O−−、S−−、またはN−アルキル;O−−、S−−、またはN−アルケニル;SOCH;SO;CH;ONO;NO;N3;NH2;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルカリル;アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノ;置換されたシリル;RNA切断基;レポーター基;干渉物質;オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善する基;またはオリゴヌクレオチドの薬力学特性を改善する基および同様の特性を有する他の置換基のうちの1つを2’位置に含む。好ましい修飾は、2’−メトキシエトキシ [2’−O−CHCHOCH、2’−O−(2−メトキシエチル)としても周知]を含む。他の好ましい修飾は2’−メトキシ(2’−O−−CH)、2’−プロポキシ(2’−OCHCHCH)および2’−フルオロ(2’−F)を含む。同様に修飾は、オリゴヌクレオチドの他の位置、詳細には3’末端ヌクレオチドの糖の3’位および5’末端ヌクレオチドの5’位でも作製されうる。オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル基の代わりにシクロブチルなどの糖類似体も有しうる。
【0158】
オリゴヌクレオチドは、追加的または代替的に核酸塩基(当該技術分野において単に「塩基」としばしば呼ばれる)修飾または置換も含みうる。本明細書において使用される「未修飾」または「天然」ヌクレオチドは、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾されたヌクレオチドは、天然の核酸においてまれに、または一過的にだけ見出されるヌクレオチド、例えばヒポキサンチン、6−メチルアデニン、5−Meピリミジン、詳細には5−メチルシトシン(5−メチル−2’−デオキシシトシンとも称され、5−Me−Cとも当該技術分野においてしばしば呼ばれる)、5−ヒドロキシメチルシトシン(HMC)、グリコシルHMCおよびゲントビオシルHMCならびに合成ヌクレオチド、例えば2−アミノアデニン、2−(メチルアミノ)アデニン、2−(イミダゾリルアルキル)アデニン、2−(アミノアルキルアミノ)アデニンまたは他のヘテロ置換アルキルアデニン、2−チオウラシル、2−チオチミン、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシメチルウラシル、8−アザグアニン、7−デアザグアニン、N6(6−アミノヘキシル)アデニンおよび2,6−ジアミノプリンを含む。当該技術分野において周知の「ユニバーサル」塩基、例えばイノシン、も含まれうる。5−Me−C置換は、核酸2重鎖の安定性を0.6〜1.2℃増大させることがわかっており、現時点で好ましい塩基置換である。
【0159】
本発明のオリゴヌクレオチドの他の修飾は、オリゴヌクレオチドの活性または細胞への取り込みを増強する1以上の成分または複合体のオリゴヌクレオチドへの化学的結合を含む。そのような部分として、限定するものではないが、コレステロール部分、コレステリル部分、脂肪族鎖、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基、リン脂質、例えばジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら、(1995)Nucleosides&Nucleotides、14、969)、あるいはアダマンタン酢酸などの脂質成分を含む。親油性成分を含むオリゴヌクレオチドおよびそのようなオリゴヌクレオチドを調製する方法は、当該技術分野、例えば米国特許第5,138,045号、第5,218,105号および第5,459,255号において周知である。
【0160】
所与のオリゴヌクレオチドにおけるすべての位置が一律に修飾される必要はなく、実際に前述の修飾のうちの1以上が単一のオリゴヌクレオチド中に、またはオリゴヌクレオチド中の単一のヌクレオシド中にさえも組み込まれうる。本発明は、本明細書前記に定義するキメラオリゴヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドも含む。
【0161】
他の実施形態において本発明の核酸分子は、限定するものではないが、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質またはポリ炭化水素化合物が挙げられる他の成分と複合される。当業者は、これらの分子が、糖、塩基またはリン酸基のいくつかの位置に核酸分子を含む1以上の任意のヌクレオチドに連結されうることを理解する。
【0162】
本発明により使用されるオリゴヌクレオチドは、好都合におよび日常的に固相合成の十分に周知な技術を通じて作製される。そのような合成のための装置は、Applied Biosystemsを含むいくつかの販売者によって販売されている。そのような合成のための任意の他の手段も使用されうる;オリゴヌクレオチドの実際の合成は、十分に当業者の能力の範囲内である。ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体などの他のオリゴヌクレオチドを調製するために類似技術を使用することも十分に周知である。類似技術ならびに商業的に入手可能な修飾されたアミダイトおよび多孔質ガラス(CPG)製品(ビオチン、フルオレセイン、アクリジンもしくはソラレン修飾アミダイトなど)および/または蛍光標識、ビオチン化もしくは、コレステロール修飾オリゴヌクレオチドなどの他の修飾オリゴヌクレオチドを合成するためのCPG(Glen Research、Sterling VAから入手可能)の使用も十分に周知である。
【0163】
本発明によれば、強度、特異性および作用期間の増強のためならびにオリゴヌクレオチドの投与経路を拡げるためのLNA単量体の使用などの修飾の使用は、MOE、ANA、FANA、PSなど現在の化学を含む。これは現在のオリゴヌクレオチド中のいくつかの単量体のLNA単量体による置換によって達成され得る。LNA修飾オリゴヌクレオチドは、親化合物に類似する大きさを有する場合があり、またはより大きくてよく、または好ましくは小さくてよい。そのようなLNA修飾オリゴヌクレオチドが約70%より少ない、より好ましくは約60%より少ない、最も好ましくは約50%より少ないLNA単量体を含有することは好ましく、それらの大きさは約5から25ヌクレオチドの間であることは好ましく、より好ましくは約12から20ヌクレオチドの間である。
【0164】
好ましい修飾されたオリゴヌクレオチド骨格は、限定するものではないが、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、(3’アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含む)メチルホスホネートおよび他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、(3’アミノホスホラミデートおよびアミノアルキルホスホラミデートを含む)ホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステルおよび通常の3’−5’結合を有するボラノホスフェート、これらの2’−5’結合類似体、ならびに逆転した方向性を有する(ヌクレオチド単位の隣接する対が3’−5’から5’−3’にまたは2’−5’から5’−2’に連結している)ものを含む。種々の塩、塩混合物および遊離酸の形態も含まれる。
【0165】
上記のリン含有結合の調製を説明する代表的な米国特許は、限定するものではないが、米国特許第3,687,808号;第4,469,863号;第4,476,301号;第5,023,243号;第5,177,196号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,306号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;および第5,625,050号明細書を含み、これらはそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0166】
好ましい修飾オリゴヌクレオチド骨格はリン原子を含まず、単鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、または1以上の単鎖ヘテロ原子もしくは複素環ヌクレオチド間結合によって形成された骨格を有する。これらは、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホネートおよびスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびに他のN、O、SおよびCHが混合した構成成分部分を有するものを含む。
【0167】
上記のオリゴヌクレオチドの調製を説明する代表的な米国特許は、限定するものではないが、米国特許第5,034,506号;第5,166,315号;第5,185,444号;第5,214,134号;第5,216,141号;第5,235,033号;第5,264,562号;第5,264,564号;第5,405,938号;第5,434,257号;第5,466,677号;第5,470,967号;第5,489,677号;第5,541,307号;第5,561,225号;第5,596,086号;第5,602,240号;第5,610,289号;第5,602,240号;第5,608,046号;第5,610,289号;第5,618,704号;第5,623,070号;第5,663,312号;第5,633,360号;第5,677,437号;および第5,677,439号明細書を含み、これらはそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0168】
他の好ましいオリゴヌクレオチド模倣物において、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオチド間結合(すなわち骨格)の両方は新たな基で置換される。塩基単位は、適切な核酸ターゲッティング合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。そのようなオリゴマー化合物の1つ、優れたハイブリダイゼーション特性を有すると示されているオリゴヌクレオチド模倣物は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖骨格は、アミド含有骨格、詳細にはアミノエチルグリシン骨格で置換される。核酸塩基は、保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接的に結合される。PNA化合物の調製を説明する代表的米国特許は、限定するものではないが、米国特許第5,539,082号、米国特許第5,714,331号および米国特許第5,719,262号明細書を含み、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。PNA化合物のさらなる説明は、Nielsenら(1991)Science 254、1497〜1500に記載されている。
【0169】
一実施形態において、ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチドおよびヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオシド、特に、−CH−NH−O−CH−、−CH−N(CH)−O−CH−(メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として周知)、−CH−O−N(CH)−CH、CHN(CH)−N(CH)CH−および−O−N(CH)−CH−CH−(式中天然のホスホジエステル骨格は上に参照の米国特許第5,489,677号明細書の−O−P−O−CH−として表される)、ならびに上に参照の米国特許第5,602,240号明細書のアミド骨格が好ましい。同様に好ましいのは、上に参照の米国特許第5,034,506号明細書のモルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドである。
【0170】
修飾されたオリゴヌクレオチドは、1以上の置換された糖部分を含みうる。好ましいオリゴヌクレオチドは、以下の:OH;F;O−、S−、もしくはN−アルキル;O−、S−、もしくはN−アルケニル;O−、S−もしくはN−アルキニル;またはOアルキル−O−アルキル(式中アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、CからCOアルキルに、またはC2からCOアルケニルおよびアルキニルに、置換されるまたは置換されない場合がある)のうちの1つを2’位置に含む。特に好ましいのは、O(CH)nOmCH、O(CH)n、OCH、O(CH)nNH2、O(CH)nCH、O(CH)nONH2およびO(CHnON(CH)nCH)2であり、式中nおよびmは1から約10であってよい。他の好ましいオリゴヌクレオチドは、以下:CからCO、(低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルもしくはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH、SOCH、ONO、NO、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、RNA切断基、レポーター基、干渉物質、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善する基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学特性を改善する基および同様の特性を有する他の置換基のうちの1つを2’位置に含む。好ましい修飾は、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CHCHOCH、2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても周知)、すなわちアルコキシアルコキシ基を含む。さらに好ましい修飾は、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわちO(CH)2ON(CH)2基、本明細書の以下の実施例において記載の2’−DMAOEとしても周知,ならびに2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該技術分野において2’−O−ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’−DMAEOEとしても周知)すなわち、2’−O−CH−O−CH−N(CH)2を含む。
【0171】
他の好ましい修飾は、2’−メトキシ(2’−OCH)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCHNH2)および2’−フルオロ(2’−F)を含む。同様の修飾は、オリゴヌクレオチドの他の位置、詳細には3’末端ヌクレオチドの糖の3’位置または2’−5’連結オリゴヌクレオチドおよび5’末端ヌクレオチドの5’位置にも作製されうる。オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル成分などの糖類似体も有しうる。そのような修飾糖構造の調製を説明する代表的米国特許は、限定するものではないが、米国特許第4,981,957号;第5,118,800号;第5,319,080号;第5,359,044号;第5,393,878号;第5,446,137号;第5,466,786号;第5,514,785号;第5,519,134号;第5,567,811号;第5,576,427号;第5,591,722号;第5,597,909号;第5,610,300号;第5,627,053号;第5,639,873号;第5,646,265号;第5,658,873号;第5,670,633号;および5,700,920号明細書を含み、これらはそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0172】
オリゴヌクレオチドは、核酸塩基(当該技術分野において単に「塩基」としばしば呼ばれる)修飾または置換も含みうる。本明細書において使用される「未修飾」または「天然」ヌクレオチドは、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾ヌクレオチドは、5−メチルシトシン(5−Me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ特に5−臭化、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンなどの他の合成および天然ヌクレオチドを含む。
【0173】
さらに、ヌクレオチドは、米国特許第3,687,808号明細書に開示のもの、「The Concise Encyclopedia of Polymer Science And Engineering」、858〜859頁、Kroschwitz、J.I.(編)、John Wiley & Sons、1990に開示のもの、Englischら、「Angewandle Chemie、International Edition」、1991、30、613頁に開示のもの、Sanghvi, Y. S.、15章、「Antisense Research and Applications」、289〜302頁、Crooke, S.T.およびLebleu, B. ea.、CRC Press、1993によって開示されたものを含む。特定のこれらのヌクレオチドは、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増大させるために特に有用である。これらは、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジンならびに、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含むN−2、N−6およびO−6置換プリンを含む。5−メチルシトシン置換物は、0.6〜1.2℃の核酸2重鎖安定性における増大を示しており(Sanghvi, Y.S.、Crooke, S.T.およびLebleu,B.編、「Antisense Research and Applications」、CRC Press、Boca Raton、1993、276〜278頁)、現在のところ好ましい置換であり、2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わされるとより好ましい。
【0174】
上記の修飾ヌクレオチドおよび他の修飾ヌクレオチドの調製を説明する代表的米国特許は、限定するものではないが、米国特許第3,687,808号、第4,845,205号;第5,130,302号;第5,134,066号;第5,175,273号;第5,367,066号;第5,432,272号;第5,457,187号;第5,459,255号;第5,484,908号;第5,502,177号;第5,525,711号;第5,552,540号;第5,587,469号;第5,596,091号;第5,614,617号;第5,750,692号および第5,681,941号明細書を含み、これらはそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0175】
本発明のオリゴヌクレオチドの他の修飾は、活性、細胞性分布またはオリゴヌクレオチドの細胞への取り込みを増強する1以上の部分または複合体のオリゴヌクレオチドへの化学的連結を含む。
【0176】
そのような部分は、限定するものではないが、コレステロール部分、チオエーテル、例えばヘキシル−S−トリチルチオール、チオコレステロール、脂肪族鎖、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基、リン脂質、例えばジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、あるいはアダマンタン酢酸、パルミチル部分またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−tオキシコレステロール成分などの脂質部分を含む。
【0177】
そのようなオリゴヌクレオチド複合体の調製を説明する代表的米国特許は、限定するものではないが、米国特許第4,828,979号;第4,948,882号;第5,218,105号;第5,525,465号;第5,541,313号;第5,545,730号;第5,552,538号;第5,578,717号、第5,580,731号;第5,580,731号;第5,591,584号;第5,109,124号;第5,118,802号;第5,138,045号;第5,414,077号;第5,486,603号;第5,512,439号;第5,578,718号;第5,608,046号;第4,587,044号;第4,605,735号;第4,667,025号;第4,762,779号;第4,789,737号;第4,824,941号;第4,835,263号;第4,876,335号;第4,904,582号;第4,958,013号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,245,022号;第5,254,469号;第5,258,506号;第5,262,536号;第5,272,250号;第5,292,873号;第5,317,098号;第5,371,241号、第5,391,723号;第5,416,203号、第5,451,463号;第5,510,475号;第5,512,667号;第5,514,785号;第5,565,552号;第5,567,810号;第5,574,142号;第5,585,481号;第5,587,371号;第5,595,726号;第5,597,696号;第5,599,923号;第5,599,928号および第5,688,941号明細書を含み、これらは、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
【0178】
創薬:本発明の化合物は、創薬および標的検証の分野にも応用されうる。本発明は、本明細書において同定する化合物および好ましい標的セグメントの、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドと病態、表現型または状態との間に存在する関係性を解明するための創薬努力における使用を包含する。これらの方法は、試料、組織、細胞または生体を本発明の化合物と接触させるステップ、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの核酸またはタンパク質レベルおよび/または関連する表現型もしくは化学的な評価項目を処置後のある時期に測定するステップ、ならびに場合により測定値を未処置試料または本発明のさらなる化合物で処置した試料と比較するステップを含む、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの検出または調節を含む。これらの方法は、標的検証のプロセスのために未知の遺伝子の機能を決定するために、または特定の疾患、状態もしくは表現型の治療もしくは予防のための標的としての特定の遺伝子産物の妥当性を決定するために他の実験と並行でまたは組み合わせて実施されうる。
【0179】
遺伝子発現の上方制御または抑制の評価:外来性核酸の宿主細胞または生体への輸送は、細胞中または生体中の核酸を直接検出するステップによって評価されうる。そのような検出は、当該技術分野において周知のいくつかの方法によって達成されうる。例えば、外来性核酸の存在は、サザンブロットまたは核酸に関連するヌクレオチド配列を特異的に増幅するプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術によって検出されうる。外来性核酸の発現も遺伝子発現分析を含む従来法を使用して測定されうる。例えば外来性核酸から産生されるmRNAはノーザンブロットおよび逆転写PCR(RT−PCR)を使用して検出および定量されうる。
【0180】
外来性核酸からのRNAの発現も、酵素活性またはレポータータンパク質活性を測定することによって検出されうる。例えば、アンチセンス調節活性は、外来性核酸がエフェクターRNAを産生していることの指標としての標的核酸発現における減少または増加として間接的に測定されうる。配列保存に基づいてプライマーは設計可能であり、標的遺伝子のコード領域を増幅するために使用されうる。任意の翻訳または非コード領域が使用されうるが、最初に各遺伝子から最も高く発現されるコード領域がモデル制御遺伝子を構築するために使用されうる。各制御遺伝子は、各コード領域をレポーターコード領域とそのポリ(A)シグナルとの間に挿入することによって組み立てられる。これらのプラスミドは、レポーター遺伝子を遺伝子の上流部分に、および潜在的RNAi標的を3’非コード領域に有するmRNAを産生する。個々のアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果は、レポーター遺伝子の調節によって評価される。本発明の方法において有用なレポーター遺伝子は、アセトヒドロキシ酸合成酵素(AHAS)、アルカリホスファターゼ(AP)、ベータガラクトシダーゼ(LacZ)、ベータグルクロニダーゼ(GUS)、クロラムフェニコールアセチル基転移酵素(CAT)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、ルシフェラーゼ(Luc)、ノパリン合成酵素(NOS)、オクトピン合成酵素(OCS)、およびそれらの誘導体を含む。アンピシリン、ブレオマイシン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、ハイグロマイシン、カナマイシン、リンコマイシン、メトトレキサート、ホスフィノトリシン、ピューロマイシンおよびテトラサイクリンに耐性を付与する多重選択マーカー(Multiple selectable markers)は、利用可能である。レポーター遺伝子の調節を測定するための方法は、当該技術分野において十分に周知であり、限定するものではないが、蛍光定量的方法(例えば蛍光分光法、蛍光励起細胞分取(FACS)、蛍光顕微鏡)、抗生物質耐性測定(antibiotic resistance determination)を含む。
【0181】
HGFのタンパク質およびmRNAの発現は、当業者には周知であり本明細書の別の場所に記載の方法を用いて調べることができる。例えば、ELISAのような免疫測定法を用いれば、タンパク質濃度を測定することができる。HGF ELISAアッセイキットが、例えばR&D Systems(ミネソタ州ミネアポリス所在)から市販されている。
【0182】
各種実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドを用いて処理した試料(例えばin vivoまたはin vitroの細胞または組織)におけるHGF発現(例えばmRNAまたはタンパク質)は、対照試料中のHGF発現との比較により評価される。
例えば、タンパク質または核酸の発現は、当業者には周知の方法を用いて、擬処理または未処理の試料と比較される。あるいは、対照のアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば配列が変えられたかまたは異なっているもの)で処理した試料との比較は、所望の情報に応じて行われる。他の実施形態において、処理済の試料と未処理の試料とのHGFのタンパク質または核酸の発現の違いは、処理済の試料と未処理の試料との異なる核酸(研究者が適切とみなした任意の標準(例えばハウスキーピング遺伝子)など)の発現の違いと比較可能である。
【0183】
観察された違いは、対照との比較に用いるために、例えば比または分数の形式で必要に応じて表すことができる。各種実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した試料中のHGFのmRNAまたはタンパク質のレベルは、未処理の試料または対照の核酸で処理した試料と比較して約1.25倍〜約10倍以上増大または低下する。各種実施形態において、HGFのmRNAまたはタンパク質のレベルは、少なくとも約1.25倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9倍、少なくとも約9.5倍、または少なくとも約10倍以上増大または低下する。
【0184】
本発明の化合物は、診断、治療および予防のためにならびに研究用試薬およびキットの構成要素として利用されうる。さらに、精緻な特異性を有して遺伝子発現を抑制できるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、当業者によって特定の遺伝子の機能を解明するため、または生物学的経路の種々のメンバー間の機能を区別するために使用されることが多い。
【0185】
キットおよび診断ならびに種々の生物学的系における使用のために、本発明の化合物は、単独でまたは他の化合物もしくは治療薬との組合せのいずれでも、細胞中および組織中で発現される遺伝子の部分的または全体的な相補体の発現様式を解明するための差次的および/またはコンビナトリアルな分析での手段として有用である。
【0186】
本明細書において使用される用語「生物学的系」または「系」は、肝細胞増殖因子(HGF)の産物を発現するまたは発現できるようにされる任意の生体、細胞、細胞培養物または組織として定義される。これらは、限定するものではないが、ヒト、遺伝子導入動物、細胞、細胞培養物、組織、異種移植片、移植物およびそれらの組合せを含む。
【0187】
非限定的な一例として、1以上のアンチセンス化合物で処置した細胞中または組織中の発現様式は、アンチセンス化合物で処置していない対照細胞または組織と比較され、生じた様式は、それらが例えば検査される遺伝子の疾患関連性、シグナル経路、細胞内局在性、発現レベル、大きさ、構造または機能に関連することから、遺伝子発現の差次的レベルについて分析される。これらの分析は、刺激されたまたは刺激されていない細胞で、発現様式に影響する他の化合物の存在下または非存在下で実施されうる。
【0188】
当該技術分野において周知の遺伝子発現分析方法の例は、DNAアレイまたはマイクロアレイ、SAGE(遺伝子発現の連続的分析)、READS(消化cDNAの制限酵素増幅)、TOGA(総遺伝子発現分析)、タンパク質アレイおよびプロテオミクス、発現された配列タグ(EST)配列決定、サブトラクティブRNAフィンガープリンティング(SuRF)、サブトラクティブクローニング、ディファレンシャルディスプレイ(DD)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)技術および質量分析法を含む。
【0189】
本発明の化合物は、これらの化合物が肝細胞増殖因子(HGF)をコードする核酸にハイブリダイズすることから、研究および診断のために有用である。例えば、本明細書において開示のとおりの効率および条件下で効果的な肝細胞増殖因子(HGF)調節因子としてハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは、遺伝子増幅または検出に好都合な条件下でそれぞれ効果的なプライマーまたはプローブである。これらのプライマーまたはプローブは、肝細胞増殖因子(HGF)をコードする核酸分子の特異的検出を必要とする方法において、および肝細胞増殖因子(HGF)のさらなる研究における検出または使用のための前記核酸分子の増幅において有用である。肝細胞増殖因子(HGF)をコードする核酸と、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、詳細にはプライマーおよびプローブとのハイブリダイゼーションは当該技術分野において周知の手段によって検出されうる。そのような手段は、オリゴヌクレオチドへの酵素の複合、オリゴヌクレオチドの放射標識、または任意の他の適切な検出手段を含みうる。試料中の肝細胞増殖因子(HGF)のレベルを検出するためにそのような検出手段を使用するキットも調製されうる。
【0190】
アンチセンスの特異性および感度は、治療用使用のために当業者によって利用される。アンチセンス化合物は、ヒトを含む動物の病態の治療における治療用成分として使用されている。アンチセンスオリゴヌクレオチド薬は、ヒトに安全かつ効果的に投与されており、多数の臨床試験が現在進行中である。したがって、アンチセンス化合物が細胞、組織および動物、特にヒトの治療用のための治療計画において有用であるように構成されうる有用な治療様式でありうることは確立されている。
【0191】
治療用に、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの発現を調節することによって治療されうる疾患または障害を有すると疑われる動物(好ましくはヒト)は、本発明によるアンチセンス化合物を投与することによって治療される。例えば、非限定的一実施形態において方法は、治療を必要とする動物に治療有効量の肝細胞増殖因子(HGF)調節物質を投与するステップを含む。本発明の肝細胞増殖因子(HGF)調節物質は、肝細胞増殖因子(HGF)の活性を効果的に調節するか、または肝細胞増殖因子(HGF)タンパク質の発現を調節する。一実施形態において動物における肝細胞増殖因子(HGF)の活性または発現は、対照と比較して約10%抑制される。好ましくは動物における肝細胞増殖因子(HGF)の活性または発現は、約30%抑制される。より好ましくは動物における肝細胞増殖因子(HGF)の活性または発現は、50%またはそれを超えて抑制される。したがってオリゴマー化合物は、肝細胞増殖因子(HGF)mRNAの発現を対照と比較して少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%調節する。
【0192】
一実施形態において、肝細胞増殖因子(HGF)の活性または発現および/または動物においては、対照と比較して少なくとも約10%増加する。好ましくは動物における肝細胞増殖因子(HGF)の活性または発現は、約30%増加する。より好ましくは動物における肝細胞増殖因子(HGF)の活性または発現は、約50%またはそれを超えて増加する。したがってオリゴマー化合物は、肝細胞増殖因子(HGF)mRNAの発現を対照と比較して少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%調節する。
【0193】
例えば肝細胞増殖因子(HGF)の発現の低下は、文献に記載され、当業者に公知の方法を使用して、動物の血清、血液、脂肪組織、肝臓または任意の他の体液、組織または器官において測定されうる。好ましくは、分析される前記体液、組織または器官中に含まれる細胞は、肝細胞増殖因子(HGF)ペプチドをコードする核酸分子および/または肝細胞増殖因子(HGF)タンパク質それ自体を含有する。
【0194】
本発明の化合物は、有効量の化合物を適切な薬学的に許容される希釈剤または担体に加えることによって医薬組成物中で利用されうる。本発明の化合物および方法の使用は、予防的にも有用である。
【0195】
複合体
本発明のオリゴヌクレオチドの他の修飾は、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞への取り込みを増強する1以上の成分または複合体のオリゴヌクレオチドへの化学的連結を含む。これらの成分または複合体は、1級または2級ヒドロキシル基などの官能基に共有結合した複合基を含みうる。本発明の複合基は、干渉物質、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学特性を増強する基、およびオリゴマーの薬物動態特性を増強する基を含む。典型的な複合基は、コレステロール、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および色素を含む。本発明の文脈において薬力学特性を増強する基は、取り込みを改善し、分解への耐性を増強し、および/または標的核酸との配列特異的ハイブリダイゼーションを強化する基を含む。本発明の文脈において薬物動態特性を増強する基は、本発明の化合物の取り込み、分布、代謝または排出を改善する基を含む。代表的な複合基は、両方が参照により本明細書に組み込まれる1992年10月23日出願の国際特許出願PCT/US92/09196および米国特許第6,287,860号明細書に開示されている。複合体成分は、限定するものではないが、コレステロール成分、コール酸、チオエーテル、例えばヘキシル−S−トリチルチオール、チオコレステロール、脂肪族鎖、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基、リン脂質、例えばジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、あるいはアダマンタン酢酸、パルミチル成分、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール成分などの脂質成分を含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、活性原薬、例えばアスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)−(+)−プラノプロフェン、カプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5−トリヨード安息香酸、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアセピン、インドメチシン、バルビツール酸、セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病薬、抗菌剤または抗生物質とも複合体化されうる。
【0196】
そのようなオリゴヌクレオチド複合体の調製を説明する代表的米国特許は、限定するものではないが、米国特許第4,828,979号;第4,948,882号;第5,218,105号;第5,525,465号;第5,541,313号;第5,545,730号;第5,552,538号;第5,578,717号、5,580,731号;第5,580,731号;第5,591,584号;第5,109,124号;第5,118,802号;第5,138,045号;第5,414,077号;第5,486,603号;第5,512,439号;第5,578,718号;第5,608,046号;第4,587,044号;第4,605,735号;第4,667,025号;第4,762,779号;第4,789,737号;第4,824,941号;第4,835,263号;第4,876,335号;第4,904,582号;第4,958,013号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,082,830号;第5,112,963号;第5,214,136号;第5,245,022号;第5,254,469号;第5,258,506号;第5,262,536号;第5,272,250号;第5,292,873号;第5,317,098号;第5,371,241号、第5,391,723号;第5,416,203号、第5,451,463号;第5,510,475号;第5,512,667号;第5,514,785号;第5,565,552号;第5,567,810号;第5,574,142号;第5,585,481号;第5,587,371号;第5,595,726号;第5,597,696号;第5,599,923号;第5,599,928号および第5,688,941号明細書を含む。
【0197】
製剤
本発明の化合物は、取り込み、分布および/または吸収の補助ために、例えばリポソーム、受容体−標的分子、経口、直腸、局所または他の製剤として、他の分子、分子構造または化合物と、混合物と混合、封入、複合体化または他の方法で付随されうる。そのような取り込み、分布および/または吸収を補助する製剤の調製を説明する代表的米国特許は、限定するものではないが、それぞれが本明細書に参照として組み込まれる米国特許5,108,921;第5,354,844号;第5,416,016号;第5,459,127号;第5,521,291号;第5,543,165号;第5,547,932号;第5,583,020号;第5,591,721号;第4,426,330号;第4,534,899号;第5,013,556号;第5,108,921号;第5,213,804号;第5,227,170号;第5,264,221号;第5,356,633号;第5,395,619号;第5,416,016号;第5,417,978号;第5,462,854号;第5,469,854号;第5;512,295号;第5,527,528号;第5,534,259号;第5,543,152号;第5,556,948号;第5,580,575号;および第5,595,756号明細書を含む。
【0198】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的発現および/または機能を調節するためにベクターと関連して投与される必要はないが、本発明の実施形態は、プロモーター、ハイブリッドプロモーター遺伝子配列を含み、強い恒常的プロモーター活性または所望の場合に誘導されうるプロモーター活性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの発現のための発現ベクター構築物に関する。
【0199】
実施形態において、本発明の実践は、適切な核酸送達システムを用いて、上記アンチセンスオリゴヌクレオチドの少なくとも1つを投与することを含む。一実施形態においては、そのシステムは、動作可能な状態でポリヌクレオチドに連結された非ウイルスベクターを含む。そのような非ウイルスベクターの例としては、オリゴヌクレオチド単独(配列番号5〜12のいずれか1つまたは複数)、または適切なタンパク質、多糖類もしくは脂質製剤との組み合わせが含まれる。
【0200】
さらに、適切な核酸送達システムは、ウイルスベクター、一般的には、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AVV)、ヘルパー依存性アデノウイルス、レトロウイルスの少なくとも1つからの配列、またはセンダイウイルスーリポソーム(HVJ)複合体を含む。好ましくは、ウイルスベクターは、動作可能な状態でポリヌクレオチドに連結された強力な真核生物プロモーター、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを含む。
【0201】
さらに、好ましいベクターはウイルスベクター、融合タンパク質および化学物質複合体を含む。レトロウイルスベクターには、モロニーマウス白血病ウイルスおよびHIVベースのウイルスが含まれる。1つの好ましいHIVベースのウイルスベクターは、少なくとも2つのベクターを含み、そこでは、gapおよびpol遺伝子がHIVゲノム由来であり、env遺伝子が別のウイルスからの由来である。DNAウイルスベクターが好ましい。これらのベクターには、オルトポックスまたはアビポックスベクター等のポックスベクター、単純ヘルペスウイルス1型(HSV)ベクター等のヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクターが含まれる。
【0202】
本発明のアンチセンス化合物は、任意の薬学的に許容される塩、エステル、もしくはそのようなエステルの塩、またはヒトを含む動物に投与した時に、(直接または間接的に)生物学的に活性な代謝産物もしくはその残留物を提供することができる他の任意の化合物を包含する。
【0203】
用語「薬学的に許容される塩"とは、本発明の化合物の生理学的および薬学的に許容される塩:すなわち、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、親化合物に望ましくない毒性効果を付与しない塩を指す。オリゴヌクレオチドについては、薬学的に許容される塩およびその使用の好ましい例は、さらに、米国特許第6,287,860号明細書に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0204】
本発明はまた、本発明のアンチセンス化合物を含む医薬組成物および製剤を含む。本発明の医薬組成物は、局所的または全身的治療が望まれているかどうかに応じて、あるいは治療する領域に応じて、様々な方法で投与することができる。投与は、局所性(点眼ならびに膣および直腸デリバリーをふくむ粘膜投与)、経肺、例えばネブライザーによるものを含む粉末またはエアロゾルの吸入または吹入による、気管内、鼻腔内、表皮および経皮、経口または非経口であることができる。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内の注射または注入;または頭蓋内、例えば髄腔内または脳室内、投与を含む。
【0205】
中枢神経系の組織を治療するために、例えば、脳脊髄液への注射または注入によって投与を行うことができる。脳脊髄液へのアンチセンスRNAの投与は、例えば、米国特許出願公開第2007/0117772号明細書「家族性ALSの疾患進行を遅らせるための方法」に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0206】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが中枢神経系の細胞に投与することを意図された場合、血液脳関門を越えてその対象となるアンチセンスオリゴヌクレオチドの浸透を促進することができる1つ以上の薬剤と共に投与することができる。注射は、例えば、嗅内皮質または海馬内に行うことができる。
筋肉組織の運動ニューロンへのアデノウイルスベクターの投与による神経栄養因子の送達は、例えば、米国特許第6,632,427号明細書「延髄運動ニューロンへのアデノウイルスベクターによる遺伝子導入」に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。脳、例えば、線条体、視床、海馬、または黒質への直接的なベクターの送達は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第6,756,523号「中枢神経系、特に脳内の細胞へ外来遺伝子を移送するためのアデノウイルスベクター」に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。注射等による投与は急速であるか、一方で、遅い注入もしくは徐放製剤の投与などによって一定の期間行うことができる。
【0207】
対象のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、望ましい医薬特性または薬力学的特性を提供する薬剤と連結したり結合することができる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えばトランスフェリン受容体に対する抗体などのような、血液脳関門を越えて浸透または輸送を促進するための当技術分野で公知の任意の物質に結合し、静脈注射によって投与することができる。アンチセンス化合物は、例えば、アンチセンス化合物をより効果的にし、および/または血液脳関門を越えたアンチセンス化合物の輸送を増加させるウイルスベクターと連結することができる。浸透圧性血液脳関門破綻はまた、例えば、以下に限定されないが、メソエリスリトール、キシリトール、D(+)ガラクトース、D(+)ラクトース、D(+)キシロース、ズルシトール、ミオイノシトール、L(−)フルクトース、D(−)マンニトール、D(+)グルコース、D(+)アラビノース、D(−)アラビノース、セロビオース、D(+)マルトース、D(+)ラフィノース、L(+)ラムノース、D(+)メリビオース、D(−)リボース、アドニトール、D(+)アラビトール、L(−)アラビトール、D(+)フコース、L(−)フコース、D(−)リキソース、L(+)リキソース、およびL(-)リキソースを含む糖、または以下に限定されないが、グルタミン、リジン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、バリン、およびタウリンを含むアミノ酸の注入によって達成することができる。血液脳関門の浸透を促進するための方法および材料は、例えば、米国特許第4,866,042号明細書「血液脳関門を越えて遺伝物質を送達するための方法」、同第6,294,520号明細書「血液脳関門通過のための材料」および同第6,936,589号明細書「非経口デリバリーシステム」に記載されており、その全体が参照によりすべて本明細書に組み込まれる。
【0208】
対象のアンチセンス化合物は、取り込み、分布、および/または吸収を支援するために、例えばリポソーム、受容体を標的とする分子、経口、直腸、局所性または他の製剤のような、他の分子、分子構造体もしくは化合物の混合物と、カプセル化、コンジュゲート化、あるいは他の方法で結合させることができる。例えば、カチオン性脂質は、オリゴヌクレオチドの取り込みを促進する目的で製剤に含ませることができる。取り込みを促進することが示されているその中の1組成物は、LIPOFECTIN(GIBCO-BRL、ベセスダ、メリーランド州、から入手可能)である。
【0209】
少なくとも1つの2’−O−メトキシエチル修飾を有するオリゴヌクレオチドは、経口投与に特に有用であると考えられている。局所投与用医薬組成物および製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴剤、坐剤、スプレー剤、液体および粉末を含むことができる。従来の医薬担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤等が、必要であるかまたは所望されうる。コーティングを施したコンドーム、手袋等もまた利用できる。
【0210】
便利な単位投薬形態で提示することができる本発明の医薬製剤は、製薬業界で既知の従来技術に従って調製することができる。そのような技術には、医薬担体または賦形剤と有効成分を組み合わせる工程が含まれる。一般に、製剤は、液体担体または微細に分割された固体担体あるいはその両方と活性成分を、均一かつ密接に組み合わせ、必要に応じ、次に製品を成形することによって調製される。
【0211】
本発明の組成物は、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル、液体シロップ、ソフトゲル、坐剤、および浣腸のような多くの可能な剤形のいずれかに製剤できるが、これらに限定されない。本発明の組成物は、水性、非水性または混合媒体中の懸濁液として製剤化することができる。水性懸濁液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストラン等の懸濁液の粘度を増加させる物質をさらに含むことができる。懸濁液はまた、安定剤を含むことができる。
【0212】
本発明の医薬組成物は、溶液、エマルジョン、発泡体およびリポソーム含有製剤を含むが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物および製剤は、1つ以上の浸透促進剤、担体、賦形剤または他の活性または不活性成分を含んでよい。
【0213】
エマルジョンは、通常、直径が0.1μmを超える液滴の形で1つの液体が他の液体中に分散した不均一系である。エマルジョンは、分散相に加えて追加の成分を含むことができ、活性薬剤は、水相、油相またはそれ自体の独立した相のいずれかで溶液として存在することができる。マイクロエマルジョンは、本発明の実施形態として含まれる。エマルジョンおよびその用途は当技術分野で周知であり、さらに米国特許第6,287,860号明細書に記載されている。
【0214】
本発明の製剤は、リポソーム製剤を含む。本発明で使用される、用語「リポソーム」は、球状の脂質二重層(spherical bilayer or bilayers)に配置された両親媒性脂質から構成される小胞を意味する。リポソームは、親油性物質から形成される膜と送達される組成物を含有する水性内部を有する単層または多層小胞である。カチオン性リポソームは、負に帯電したDNA分子と相互作用し安定な複合体を形成すると考えられている正に帯電したリポソームある。pH感受性または負に帯電しているリポソームは、DNAと複合体を形成するというよりはむしろDNAを捕捉すると考えられている。カチオン性および非カチオン性リポソームの両方とも、細胞にDNAを送達するために使用されてきた。
【0215】
リポソームはまた、「立体的に安定した"リポソームを含み、本明細書中で使用されるその用語は、1つ以上の特殊な脂質を含むリポソームを指す。リポソームに組み込まれた場合、これらの特殊な脂質は、そのような特殊な脂質を欠いているリポソームと比較して、増強された循環寿命を有するリポソームとなる。立体的に安定化されたリポソームの例としては、小胞を形成する脂質部分の一部が、1つ以上の糖脂質を含むか、またはポリエチレングリコール(PEG)部分などの1つ以上の親水性ポリマーで誘導体化されるものがある。リポソームおよびその用途はさらに、米国特許第6,287,860号明細書に記載されている。
【0216】
本発明の医薬製剤および組成物はまた、界面活性剤を含むことができる。医薬品、製剤、およびエマルジョンにおける界面活性剤の使用は当技術分野で周知である。界面活性剤およびその用途はさらに、米国特許第6,287,860号明細書に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0217】
一実施形態において、本発明は、核酸、特にオリゴヌクレオチドの効率的な送達を効果的にするために様々な浸透促進剤を使用する。非親油性薬物の細胞膜を越えての拡散を援助することに加え、浸透促進剤はまた、親油性薬物の透過性をも向上させる。浸透促進剤は、5つの広いカテゴリー、すなわち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、および非キレート非界面活性剤、のいずれかに属するものとして分類できる。浸透促進剤とその用途はさらに、米国特許第6,287,860号明細書に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0218】
当業者は、製剤はその使用目的、すなわち投与経路に応じて日常的に設計されると認識するであろう。
【0219】
局所投与のための好ましい製剤には、本発明のオリゴヌクレオチドが、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド剤、キレート剤および界面活性剤などの局所送達剤との混合物であるものが含まれる。好ましい脂質とリポソームには、中性(例えば、ジオレオイル-ホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)、およびカチオン性(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAPおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)が含まれる。
【0220】
局所または他の投与のために、本発明のオリゴヌクレオチドは、リポソーム内にカプセル化されうるか、またはリポソーム、特にカチオン性リポソームと複合体を形成されうる。あるいは、オリゴヌクレオチドは、脂質、特にカチオン性脂質と複合化することができる。好ましい脂肪酸およびそのエステル、その薬学的に許容される塩、およびそれらの使用はさらに、米国特許第6,287,860号明細書に記載されている。
【0221】
経口投与用の組成物および製剤には、粉末もしくは顆粒、微粒子、ナノ粒子、水もしくは非水性媒体中の懸濁液もしくは溶液、カプセル、ゲルカプセル、サシェ、錠剤または小錠剤が含まれる。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散剤、または結合剤が所望されうる。好ましい経口製剤には、本発明のオリゴヌクレオチドを、1つ以上の浸透促進剤、界面活性剤、およびキレート剤と組み合わせて投与されるものがある。好ましい界面活性剤には、脂肪酸および/またはエステルまたはその塩、胆汁酸および/またはその塩が含まれる。好ましい胆汁酸/塩および脂肪酸ならびにその用途はさらに、米国特許第6,287,860号明細書に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。また、例えば、胆汁酸/塩と脂肪酸/塩の組み合わせのような浸透促進剤の組み合わせが好ましい。特に好ましい組み合わせは、ラウリン酸、カプリン酸、およびUDCAのナトリウム塩である。さらなる浸透促進剤には、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−2−O−セチルエーテルが含まれる。本発明のオリゴヌクレオチドを、噴霧乾燥粒子を含む粒状の形態で、または微小もしくはナノ粒子を形成する複合体として、経口投与することができる。オリゴヌクレオチド錯化剤とその用途はさらに、米国特許第6,287,860号明細書に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0222】
経口、髄腔内または脳室内投与のための組成物および製剤はまた、緩衝剤、希釈剤、および以下に限定されないが、浸透促進剤、担体化合物および他の薬学的に許容される担体または賦形剤などの他の適切な添加剤、を含有することができる滅菌水溶液を含みうる。
【0223】
本発明の特定の実施形態は、1つ以上のオリゴマー化合物および非アンチセンス機序によって機能する1つ以上の他の化学療法剤を含有する医薬組成物を提供する。そのような化学療法剤の例としては、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イホスファミド、シトシンアラビノシド、DMPCクロロエチル−ニトロソウレア、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニゾロン、ヒドロキシ、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロラムブシル、メチルシクロヘキシルメトキシニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4ヒドロキシペロキシシクロ−ホスホルアミド、5−フルオロウラシル(5−FU)、5−フルオロデオキシウリジン(5‐FUdR)、メトトレキサート(MTX)、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP−16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチンおよびジエチルスチルベストロール(DES)等の癌化学療法薬を含むが、これらに限定されない。本発明の化合物と共に使用する場合、そのような化学療法剤は、個別に(例えば、5−FUおよびオリゴヌクレオチド)、連続的に(例えば、5−FUおよびオリゴヌクレオチドを一定期間、次にMTXおよびオリゴヌクレオチド)、または1つ以上の他のそのような化学療法剤(例えば、5−FU、MTXおよびオリゴヌクレオチド、または5−FU、放射線療法およびオリゴヌクレオチド)と組み合わせて用いることができる。以下に限定されないが、非ステロイド性抗炎症薬およびコルチコステロイドを含む抗炎症薬、ならびに以下に限定されないが、リバビリン(ribivirin)、ビダラビン、アシクロビルおよびガンシクロビルを含む抗ウイルス薬もまた、本発明の組成物に組み合わせることができる。アンチセンス化合物と他の非アンチセンス薬の組み合わせもまた、本発明の範囲内である。二つ以上組み合わせた化合物は、一緒にまたは連続的に使用することができる。
【0224】
別の関連の実施形態において、本発明の組成物は、第一の核酸を標的とした1つ以上のアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチド、および第二の核酸ターゲットを標的とした1つ以上の追加のアンチセンス化合物を含むことができる。例えば、第1のターゲットは、肝細胞増殖因子(HGF)の特定のアンチセンス配列とすることができ、第二のターゲットは別のヌクレオチド配列の領域とすることができる。また、本発明の組成物は、同一の肝細胞増殖因子(HGF)核酸ターゲットの異なる領域を標的とした二つ以上のアンチセンス化合物を含むことができる。アンチセンス化合物の多くの例が本明細書に示されているが、他は当技術分野で公知の適切な化合物の中から選択することができる。二つ以上組み合わせた化合物は、一緒にまたは連続的に使用することができる。

投薬
【0225】
治療用組成物の製剤およびその後の投与(投薬)は、当業者の技術の範囲内であると考えられる。投薬は、治療される疾患状態の重症度および反応性に依存し、数日から数ヶ月に及ぶ治療過程、または完治するかもしくは疾患状態の減少が達成されるまでとなる。最適な投薬スケジュールは、患者体内での薬剤蓄積の測定値から計算することができる。当業者は容易に最適な投与量、投与方法と反復率を決定することができる。最適な投与量は個々のオリゴヌクレオチドの相対的な効力に依存して変えることができ、一般的には、in vitroおよびin vivo動物モデルで有効であることが判明した半有効濃度(EC50s)に基づいて推定することができる。一般的に、投薬量は体重kg当たり0.01μgから100gまでであり、毎日1回以上、週毎、月毎または年毎、あるいは2から20年毎に1回与えることができる。当業者は、体液または組織中の薬の滞留時間および濃度に基づいて容易に投薬の繰り返し率を見積もることができる。治療の成功に続いて、疾患状態の再発を防ぐために、患者は維持療法を受けていることが望ましく、そこでは、毎日1回以上から20年毎に1回の範囲で、オリゴヌクレオチドが体重kg当たり0.01μgから100gまでの範囲の維持用量で投与される。
【0226】
実施形態において、患者は、体重kg当たり少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、または少なくとも約100mgの薬物投与量で治療される。アンチセンスオリゴヌクレオチドの特定の注入用量は、例えば米国特許第7,563,884号明細書「PTP1B発現のアンチセンス調節」で記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0227】
本発明の様々な実施形態を上述してきたが、それらは例示として提示されているのみで、制限的ではないことを理解すべきである。開示した実施形態に対する多くの変更が、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書の開示に基づき行いうる。したがって、本発明の幅と範囲は、上述の実施形態のいずれによっても制限されるべきではない。
【0228】
本明細書に記載されているすべての文書は参照により本明細書に組み込まれる。本出願で引用されたすべての刊行物および特許文書は、個々の刊行物または特許文書が個別に表記されているかのように同程度に、すべての目的のために参照により組み込まれる。本明細書における様々な参照文献の引用により、出願人は、任意の特定の参照文献が本発明の「先行技術」であることを認めない。本発明の組成物および方法の実施形態は、次の実施例に例示される。

実施例
【0229】
以下の非限定的実施例は、本発明の選択された実施形態を説明するのに役立つ。示している構成成分の割合の変動および要素の代替は、当業者に明らかであり、本発明の実施形態の範囲内であることが当然のことながら理解されよう。

実施例1
肝細胞増殖因子(HGF)にアンチセンスな(antisense to)核酸分子、および/またはHGFポリヌクレオチドのセンス鎖に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの設計
【0230】
上記に示したように、用語「〜に特異的なオリゴヌクレオチド」または「〜を標的とするオリゴヌクレオチド」とは、(i)標的遺伝子の一部と安定な複合体が形成できる、または(ii)標的遺伝子のmRNA転写物の一部と安定な二重鎖を形成することができる配列を有するオリゴヌクレオチドを指す。適切なオリゴヌクレオチドの選択は、自動的に核酸配列を整列し、同一性または相同性の領域を示すコンピュータプログラムを使用することによって容易となる。このようなプログラムは、例えば、GenBankなどのデータベースを検索することにより、またはPCR産物を配列決定することにより得られた核酸配列を比較するために使用される。様々な種からの核酸配列を比較することにより、種間で適切な度合の同一性を示す核酸配列を選択することが可能である。配列決定されていない遺伝子の場合には、標的となる種と他の種の遺伝子間の同一性の程度を決定するためにサザンブロットが実行される。当技術分野で周知のように、様々な程度のストリンジェンシーでサザンブロットを行うことによって、同一性の概算値を得ることが可能である。これらの手順により、標的核酸配列に対し制御可能な範囲で高い相補性を示し、他の種の対応する核酸配列に対して低い相補性を示すオリゴヌクレオチドの選択が可能である。当業者は、本発明で使用するための適切な遺伝子領域を選択することにおいて、かなりの自由度があることを理解するであろう。
【0231】
アンチセンス化合物は、標的核酸への化合物の結合が標的核酸の正常な機能に干渉し、機能および/または活性の変調を引き起こす場合で、かつ、特異的結合が望まれる条件下、すなわちin vivoアッセイまたは治療的処置での場合には生理的条件下で、およびin vitro試験の場合にはアッセイが実施される条件下で非標的核酸配列に対してアンチセンス化合物の非特異的結合を回避するのに十分な相補性がある場合に「特異的にハイブリッド形成が可能」である。
【0232】
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション特性は、当技術分野で公知の1つ以上のin vitroアッセイにより決定することができる。例えば、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドの特性は、融解曲線分析を用いて、標的の内因性アンチセンスと潜在的な薬物分子の間の結合強度を決定することによって得ることができる。
【0233】
標的の内因性アンチセンスと潜在的な薬物分子「分子」の間の結合強度は、例えば融解曲線分析のような分子間相互作用の強さを測定する確立された方法のいずれかを使用して推定することができる。
【0234】
融解曲線分析は、内因性アンチセンス/「分子」複合体で、二本鎖から一本鎖構造への迅速な移行が生じる温度を決定する。この温度は、2分子間の相互作用の強さの信頼性の高い尺度として広く受け入れられている。
【0235】
融解曲線分析は、実際の内因性アンチセンスRNA分子のcDNAコピー、または「分子」の結合部位に対応する合成DNAもしくはRNAヌクレオチドを使用して実行することができる。このアッセイを実行するために必要なすべての試薬を含む複数のキット(例えば、アプライドバイオシステムズ社MeltDoctorキット)が利用できる。これらのキットは、二本鎖DNA(dsDNA)結合色素(例えば、ABI HRM色素、SYBRグリーン、SYTO等)のいずれかを含む適切な緩衝液が含まれている。dsDNA色素の性質は、フリーな状態ではほとんど蛍光を発しないが、dsDNAに結合した時に高い蛍光を発するというものである。
【0236】
アッセイを実行するために、特定の製造業者のプロトコールによって定義された濃度で、cDNAまたは対応するオリゴヌクレオチドと「分子」を混合する。混合物を95℃に加熱し、予め形成されたすべてのdsDNA複合体を解離し、次いで室温またはキット製造業者によって規定された他の低温度へとゆっくり冷却しDNA分子をアニールさせる。次に新たに形成された複合体を、反応によって生成される蛍光量に関するデータを同時連続的に収集しながらゆっくりと95℃に加熱する。蛍光強度は、反応中のdsDNAの存在量に反比例する。データは、キット(例えば、ABIのStepOne PlusリアルタイムPCRシステム、またはlightTyper装置、ロシュ・ダイアグノスティックス、ルイス、英国)と適合するリアルタイムPCR装置を使用して収集することができる。
【0237】
融解ピーク温度は、適切なソフトウェア(例えば、lightTyper(ロシュ)またはSDS Dissociation Curve、ABI)を使用して、温度に対する蛍光の負の微分(-d(蛍光)/dT)を(y軸)にとり、温度(x軸)に対してプロットすることにより作図される。データは、dsDNA複合体からの一本鎖分子への迅速な移行の温度を同定するために分析される。この温度はTm値と呼ばれ、2分子間の相互作用の強さに正比例する。通常、Tmは40℃を超える。

実施例2
HGFポリヌクレオチドの調節
アンチセンスオリゴヌクレオチドによるCHP212細胞の処理
【0238】
ATCCから入手したCHP212細胞(カタログ番号CRL−2273)を、増殖培地(MEM/F12(ATCCカタログ番号30−2003およびメディアテックカタログ番号10−080−CV)+10%FBS(メディアテックカタログ番号MT35−011−CV)+ペニシリン/ストレプトマイシン(メディアテックカタログ番号MT30−002−CI))中で、37℃、5%COで成長させた。実験前日、細胞を6ウェルプレートに1.5x10/mlの密度で再播種し、37℃、5%COでインキュベートした。実験当日に6ウェルプレート内の培地を新鮮な増殖培地に変更した。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、20μMの濃度に希釈した。この溶液2μlを400μlのOpti−MEM培地(ギブコ社カタログ番号31985−070)および4μlのリポフェクトアミン2000(インビトロジェン社カタログ番号11668019)とともに20分間室温でインキュベートし、CHP212細胞の培養された6ウェルプレートの各ウェルに添加した。オリゴヌクレオチド溶液の代わりに2μlの水を含む類似の混合液を、偽導入(mock-transfected)対照として使用した。37℃、5%COで、3から18時間インキュベーションの後、培地を新鮮な増殖培地に変更した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加48時間後に培地を除去し、製造業者の指示に従って、プロメガ製SVトータルRNA分離システム(SV
Total RNA Isolation System)(カタログ番号Z3105)またはキアゲン製RNeasy
total RNA抽出キット(RNeasy
Total RNA Isolation kit)(カタログ番号74181)を用いてRNAを細胞から抽出した。RNA600ngをサーモフィッシャーサイエンティフィック製Verso cDNA キット(カタログ番号AB1453B)またはHigh Capacity cDNA Reverse Transcriptionキット(カタログ番号4368813)(取扱仕様書に依る、これが正しいかどうかを確認されたい)を使用して実施する逆転写反応に添加した。我々は製造元のプロトコールに記載されているようにそれらを区別せず交互に使用した。この逆転写反応からのcDNAを、ABIのTaqMan
Gene Expression Mix(カタログ番号4369510)およびABIによって設計されたプライマー/プローブ(アプライドバイオシステムズ社、フォスターシティ、CA、によるアプライドバイオシステムズTaqMan
Gene Expression Assay
Hs00300159_m1)を用いたリアルタイムPCR法により、遺伝子発現をモニターする目的で使用した。以下のPCRサイクルを使用した:StepOne PlusリアルタイムPCR装置(アプライドバイオシステムズ)を用いて、50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル。アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した後の遺伝子発現の倍数変化を、処理サンプルと偽導入サンプル間の18S−標準化dCt値の差に基づいて算出した。
【0239】
結果:
リアルタイムPCRの結果は、CHP212細胞におけるHGF mRNAのレベルがHGFアンチセンスBX356413に対して設計した3つのオリゴによる処理で48時間後に大幅に増加していることを示す(図1)。
【0240】
本発明は1つ以上の実施に関して説明し記載したが、本明細書および添付図面の読解および理解により他の当業者にも同等の変更および修正ができるであろう。さらに、本発明の特定の特長がいくつかの実施の1つのみに関して開示されているが、そのような特長は、任意のまたは特定の応用のために所望されかつ有利である1つ以上の他の実施と組み合わせることができる。
【0241】
本開示の要約により、読者は迅速に本技術的開示の性質を把握することができるであろう。それは、以下の特許請求の範囲または意味を解釈または制限するためには使用されないという理解において提示される。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビボまたはインビトロで患者の細胞または組織における肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、
前記細胞または組織を5〜30ヌクレオチド長の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させるステップであって、前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、配列番号2のヌクレオチド1〜514、配列番号3のヌクレオチド1〜936、または配列番号4の1〜1075ヌクレオチドの中の5〜30の連続したヌクレオチドを含むポリヌクレオチドのリバースコンプリメント(reverse
complement)と少なくとも50%の配列同一性を有し、これによりインビボまたはインビトロで患者の細胞または組織における前記肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節するステップを含む、方法。
【請求項2】
インビボまたはインビトロで患者の細胞または組織における肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、
前記細胞または組織を5〜30ヌクレオチド長の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させるステップであって、前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの内因性アンチセンスのリバースコンプリメントと少なくとも50%の配列同一性を有し、これによりインビボまたはインビトロで患者の細胞または組織における前記肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節するステップを含む、方法。
【請求項3】
インビボまたはインビトロで患者の細胞または組織における肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、
前記細胞または組織を5〜30ヌクレオチド長の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させるステップであって、前記オリゴヌクレオチドは、前記肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドと少なくとも50%の配列同一性を有し、これによりインビボまたはインビトロで患者の細胞または組織における前記肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節するステップを含む、方法。
【請求項4】
インビボまたはインビトロで患者の細胞または組織における肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、
前記細胞または組織を前記肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの内因性アンチセンスオリゴヌクレオチドの領域を標的とする少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させ、これによりインビボまたはインビトロで患者の細胞または組織における前記肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節するステップを含む、方法。
【請求項5】
前記肝細胞増殖因子(HGF)の機能および/または発現が、インビボまたはインビトロで対照に対して増強される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドが、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの内因性アンチセンス配列を標的とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドが、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドのコードおよび/または非コード核酸配列を含む核酸配列を標的とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドが、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドのオーバーラップおよび/または非オーバーラップ配列を標的とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾された糖部分、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチド、およびこれらの組み合わせから選択される1つ以上の修飾を含む請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の修飾が、2’−O−メトキシエチルで修飾された糖部分、2’−メトキシで修飾された糖部分、2’−O−アルキルで修飾された糖部分、二環糖部分、およびこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの修飾された糖部分を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の修飾が、ホスホロチオエート、2’-Oメトキシエチル(MOE)、2’−フルオロ、アルキルホスホネート、ジチオリン酸、アルキルホスホノチオエート、ホスホロアミド酸、カルバミン酸塩、炭酸塩、リン酸トリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステル、およびこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の修飾が、ペプチド核酸(PNA)、ロックト核酸(LNA)、アラビノ−核酸(FANA)、類似体、誘導体、およびこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含む請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、配列番号5〜12に示される少なくとも1つのオリゴヌクレオチド配列を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
インビボまたはインビトロで哺乳類の細胞または組織における肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子の機能および/または発現を調節する方法であって、
前記細胞または組織を5〜30ヌクレオチド長の少なくとも1つの低分子干渉RNA(siRNA)オリゴヌクレオチドと接触させるステップであって、前記少なくとも1つのsiRNAオリゴヌクレオチドが肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドのアンチセンスポリヌクレオチドに特異的であり、前記少なくとも1つのsiRNAオリゴヌクレオチドが前記肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの前記アンチセンスおよび/またはセンス核酸分子の少なくとも約5個の連続した核酸の相補配列と少なくとも50%の配列同一性を有するステップと、
インビボまたはインビトロで哺乳類の細胞または組織における肝細胞増殖因子(HGF)の機能および/または発現を調節するステップとを含む、方法。
【請求項15】
前記オリゴヌクレオチドが前記肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの前記アンチセンスおよび/またはセンス核酸分子に相補的である少なくとも約5個の連続した核酸の配列と少なくとも80%の配列同一性を有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
インビボまたはインビトロで哺乳類の細胞または組織における肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子の機能および/または発現を調節する方法であって、
前記細胞または組織を肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドのセンスおよび/または内因性アンチセンス鎖の非コードおよび/またはコード配列に特異的な5〜30ヌクレオチド長の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させるステップであって、前記少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号1〜4に示されている少なくとも1つの核酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するステップと、
インビボまたはインビトロで哺乳類の細胞または組織における肝細胞増殖因子(HGF)の機能および/または発現を調節するステップとを含む、方法。
【請求項17】
少なくとも1つの修飾を含む、合成され、修飾されたオリゴヌクレオチドであって、前記少なくとも1つの修飾が、少なくとも1つの修飾された糖部分、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチド間結合、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチド、およびこれらの組み合わせから選択され、前記オリゴヌクレオチドが、正常対照と比較して、インビボまたはインビトロで肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子とハイブリッド形成し、機能および/または発現を調節するアンチセンス化合物である、オリゴヌクレオチド。
【請求項18】
前記少なくとも1つの修飾が、ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、ジチオリン酸、アルキルホスホノチオエート、ホスホロアミド酸、カルバミン酸塩、炭酸塩、リン酸トリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステル、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されるヌクレオチド間結合を含む請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項19】
前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホロチオエートのヌクレオチド間結合を含む請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項20】
前記オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエートのヌクレオチド間結合の骨格を含む請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項21】
前記オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含み、前記修飾されたヌクレオチドが、ペプチド核酸、ロックト核酸(LNA)、類似体、誘導体、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチドが複数の修飾を含み、前記修飾が、ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、ジチオリン酸、アルキルホスホノチオエート、ホスホロアミド酸、カルバミン酸塩、炭酸塩、リン酸トリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステル、およびこれらの組み合わせから選択される修飾されたヌクレオチドを含む、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項23】
前記オリゴヌクレオチドが複数の修飾を含み、前記修飾がペプチド核酸(PNA)、ロックト核酸(LNA)、類似体、誘導体、およびこれらの組み合わせから選択される修飾されたヌクレオチドを含む、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項24】
前記オリゴヌクレオチドが、2’−O−メトキシエチルで修飾された糖部分、2'-メトキシで修飾された糖部分、2’−O−アルキルで修飾された糖部分、二環糖部分、およびこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの修飾された糖部分を含む請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項25】
前記オリゴヌクレオチドが複数の修飾を含み、前記修飾が、2’−O−メトキシエチルで修飾された糖部分、2’-メトキシで修飾された糖部分、2’−O−アルキルで修飾された糖部分、二環糖部分、およびこれらの組み合わせから選択される修飾された糖部分を含む、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項26】
前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも約5〜30ヌクレオチド長であり、肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドのアンチセンスおよび/またはセンス鎖とハイブリッド形成し、前記オリゴヌクレオチドが、前記肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドのコードおよび/または非コード核酸配列の少なくとも約5個の連続した核酸の相補配列と少なくとも約20%の配列同一性を有する、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項27】
前記オリゴヌクレオチドが、前記肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドのアンチセンスおよび/またはセンス、コードおよび/または非コード核酸配列の少なくとも約5個の連続した核酸配列の相補配列と少なくとも約80%の配列同一性を有する、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項28】
前記オリゴヌクレオチドが、正常対照と比較して、インビボまたはインビトロで少なくとも1つの肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドにハイブリッド形成し、発現および/または機能を調節する、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項29】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号5〜12に示される配列を含む請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項30】
1つ以上の肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドに特異的な1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む組成物であって、前記ポリヌクレオチドがアンチセンス配列、相補配列、対立遺伝子、相同体、アイソフォーム、変異体、誘導体、変異体、断片、またはこれらの組み合わせを含む、組成物。
【請求項31】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号5〜12に示されるうちの任意の1つと比較して少なくとも約40%の配列同一性を有する請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号5〜12に示されるヌクレオチド配列を含む請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
配列番号5〜12に示される前記オリゴヌクレオチドが、1つ以上の修飾または置換を含む請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記1つ以上の修飾が、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ペプチド核酸、ロックト核酸(LNA)分子、およびこれらの組み合わせから選択される請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
少なくとも1つの肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドおよび/または少なくとも1つのこれらにコードされる産物と関連する疾患を予防するかまたは治療する方法であって、
前記少なくとも1つの肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの内因性アンチセンス配列に結合し、前記少なくとも1つの肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの発現を調節する少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドの治療上の有効量を患者に投与し、これにより、前記少なくとも1つの肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドおよび/または少なくとも1つのこれらにコードされる産物と関連する病気を予防するかまたは治療するステップを含む、方法。
【請求項36】
少なくとも1つの肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドと関連する病気が、HGFの異常な機能および/または発現に関連する疾患または障害、虚血性疾患(例えば、虚血性心疾患および末梢血管疾患)、動脈疾患または障害、主に血管平滑筋細胞の異常増殖を伴う障害によって引き起こされる疾患または障害(例えば、経皮的冠動脈形成術(PTCA)等後の再狭窄、動脈硬化、末梢循環の不全など)、心血管疾患または障害(例えば、心筋梗塞、心筋、末梢血管狭窄、心不全など)、神経疾患または障害(例えば、神経変性、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、神経毒誘発病変、手術による神経細胞の損傷、感染による神経細胞の病変、てんかん、頭部外傷、痴呆、アルツハイマー型老人性痴呆症、脳卒中、脳梗塞、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、および神経細胞の腫瘍など)、癌、腫瘍、細胞増殖性疾患、免疫(例えば自己免疫など)障害、血管新生関連疾患、肝硬変、非アルコール性脂肪肝疾患、腎疾患または障害、腎線維症、横紋筋融解症、欠損上皮細胞増殖に関連する疾患または障害、肺疾患または障害、胃腸障害、脳神経障害、軟骨障害、動脈疾患、肺線維症、軟骨の損傷、肝疾患または障害、血液凝固障害、血漿低蛋白症または創傷、アデノシンデアミナーゼ欠損症、炎症性腸疾患(例えば、慢性潰瘍性大腸炎、クローン病、壊死性腸炎、重篤な急性胃腸炎、慢性胃腸炎、コレラ、腸の慢性感染症)腸に影響を与える免疫疾患または障害、腸に影響を与える免疫不全症候群、エイズ、膿疱の線維症、線維症、減少コラゲナーゼ活性に関連する疾患または障害(例えば、大理石骨病など)、線維芽細胞由来の結合組織マトリックスの過剰生産によって特徴付けられる線維化疾患(例えば、動脈硬化症、慢性糸球体腎炎、皮膚ケロイド形成、進行性の全身性硬化症(PSS)、肝線維症、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性移植片対宿主病、強皮症(局所および全身)、ペイロニー病、陰茎の線維化、膀胱鏡を使用してテストした後の尿道狭窄症、手術後の、内部癒着、骨髄線維症、特発性後腹膜線維症)、血友病、皮膚疾患または障害(例えば、創傷、脱毛症(はげ)、皮膚潰瘍、褥瘡(床ずれ)、瘢痕(ケロイド)、アトピー性皮膚炎、または自家移植および他家移植を含む皮膚移植後の皮膚の損傷)、から選択される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
インビボ投与のための少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを同定し、選択するための方法であって、
病態と関連する標的ポリヌクレオチドを選択するステップと、
前記選択された標的ポリヌクレオチド、あるいは前記選択された標的ポリヌクレオチドにアンチセンスなポリヌクレオチドに相補的な少なくとも5個の連続したヌクレオチドを含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを同定するステップと、
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、アンチセンスオリゴヌクレオチドと、前記標的ポリヌクレオチドまたは前記選択された標的ポリヌクレオチドに対してアンチセンスな前記ポリヌクレオチドのハイブリッドの熱融点を測定するステップと、
得られた情報に基づきインビボ投与のための少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを選択するステップとを含む、方法。
【請求項38】
少なくとも1つの肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドおよび/または少なくとも1つのこれらにコードされる産物と関連する疾患を予防するかまたは治療する方法であって、
前記少なくとも1つの肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの内因性アンチセンス配列に結合し、前記少なくとも1つの肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドの発現を調節する少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドの治療上の有効量を、皮膚疾患または皮膚疾患を発症する危険性を有する患者に投与し、これにより、前記少なくとも1つの肝細胞増殖因子(HGF)ポリヌクレオチドおよび/または少なくとも1つのこれらにコードされる産物と関連する前記皮膚疾患を予防するかまたは治療するステップを含む、方法。
【請求項39】
前記皮膚疾患が、炎症、光損傷、または老化によって起こる請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記皮膚疾患が、しわの進行、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、光線性角化症、角化性疾患、表皮水疱症、剥脱性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、紅斑、円板状エリテマトーデス、皮膚筋炎、皮膚癌、または自然な老化の影響である請求項39に記載の方法。



【図1】
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【公表番号】特表2013−515487(P2013−515487A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546231(P2012−546231)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/061996
【国際公開番号】WO2011/079261
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512156578)カッパーアールエヌエー,インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】