説明

育毛養毛剤組成物

【課題】育毛有効成分と、アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質とを併用する育毛養毛剤組成物において、低温安定性を向上させる。
【解決手段】(A)育毛有効成分(但し、(B)成分を除く)、(B)アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質、(C)トリ脂肪酸グリセリル、(D)ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、及び(E)エタノール50質量%以上を含有する育毛養毛剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温安定性に優れた育毛養毛剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酢酸トコフェロール、ピロクトンオラミン等の育毛有効成分はエタノールに溶解し易いものが多く、エタノール高配合の組成物に配合することにより、保存安定性を向上させることができる。一方、椿皮(チンヒ)等の抽出物には、アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害効果があるものの(特許文献1:特開2006−232828号公報参照)、植物抽出物には、水が抽出物中に重量の半分以上を占めている場合が多く、その他の溶媒としてはエタノール、1,3−ブチレングリコール等の溶媒で構成されている。この抽出物をエタノール高配合の組成物に配合した場合、抽出物中の例えば、糖類、タンパク質、塩類等が経時又は瞬時に析出することがある。以上のことから、エタノールに溶解し易い育毛有効成分と、アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質とを併用する育毛養毛剤組成物において、これらの沈殿・析出を抑制し、低温安定性を向上させることが望まれていた。
【0003】
【特許文献1】特開2006−232828号公報
【特許文献2】特開平10−265349号公報
【特許文献3】特開平8−73325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、エタノールに溶解し易い育毛有効成分と、アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質とを併用する育毛養毛剤組成物において、これらの沈殿・析出を抑制し、低温安定性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、エタノールに溶解し易い(A)育毛有効成分と、(B)アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質とを併用する育毛養毛剤組成物に、(C)トリ脂肪酸グリセリル、(D)ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル及び(E)エタノールを配合し、(E)エタノールの含有量を組成物中50質量%以上とすることにより、(A)育毛有効成分及び(B)アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質の両方を組成物中に可溶化させ、低温安定性が向上することを知見した。
【0006】
従って、本発明は、
[1].(A)育毛有効成分(但し、(B)成分を除く)、(B)アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質、(C)トリ脂肪酸グリセリル、(D)ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、及び(E)エタノール50質量%以上を含有する育毛養毛剤組成物、
[2].(A)成分が、酢酸トコフェロール、ピロクトンオラミン、β−グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、ペンタデカン酸モノグリセリド、ミノキシジル、塩化カルプロニウム、フォルスコリン、スウェルチアマリン、アデノシン及びt−フラバノンからなる群から選ばれる1種又は2種以上の育毛有効成分である[1]記載の育毛養毛剤組成物、
[3].(B)成分が、フィトコラージュ、アサクー、オキナワモズク及びダルスからなる群から選ばれる植物又は海藻の抽出物である[1]又は[2]記載の育毛養毛剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、(A)育毛有効成分(但し、(B)成分を除く)と、(B)アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質とを併用する育毛養毛剤組成物の低温安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の育毛養毛剤組成物は、(A)育毛有効成分(但し、(B)成分を除く)、(B)アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質、(C)トリ脂肪酸グリセリル、(D)ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、及び(E)エタノール50質量%以上を含有する育毛養毛剤組成物である。
【0009】
(A)育毛有効成分
本発明の育毛有効成分としては、育毛有効成分として公知の成分が挙げられる。但し、後述する(B)成分を除く成分である。育毛有効成分としては、エタノールに溶解し易いものが好ましい。エタノールに溶解し易い育毛有効成分としては、酢酸トコフェロール、ピロクトンオラミン、β−グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、ペンタデカン酸モノグリセリド、ミノキシジル、塩化カルプロニウム、フォルスコリン、スウェルチアマリン、アデノシン及びt−フラバノン等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。この中でも、ペンタデカン酸モノグリセリド、ミノキシジル、塩化カルプロニウム、酢酸トコフェロール、ピロクトンオラミン、アデノシン、t−フラバノンが好ましい。
【0010】
(A)育毛有効成分の育毛養毛剤組成物中の含有量は、通常0.001〜10.0質量%であり、0.01〜7.0質量%が好ましく、0.05〜3.0質量%がより好ましい。含有量が0.001質量%未満では、十分な育毛効果が得られない場合があり、10.0質量%を超えると、育毛有効成分が低温で析出する場合がある。
【0011】
(B)アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質
本発明のアポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質を配合することにより、脱毛因子を抑制することができ、(A)育毛有効成分との併用により、育毛養毛における相乗効果を得ることができる。(B)成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0012】
本発明におけるアポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質とは、アポトーシス誘導促進蛋白質(Neurotrophin−4、以下「NT−4」と略する。)による、アポトーシスの誘導を阻害する物質をいう。詳細には、後述する試験例に基づき、NT−4のみの添加に比べて50%以上抑制する物質をいう。
【0013】
上記阻害物質としては、椿皮(チンヒ)、九節菖蒲(キュウセツショウブ)、酒薬花(シュヤクカ)、レンゲソウ、フィトコラージュ(pea(大豆)由来)、重陽木(ジュウヨウボク)、橘絡(キツラク)、広西瓜馥木、アサクー、エクロニア、ダルス、ダービリア、オカクサ、ツヅレグサ、トチャカ、カロフィリス、オキナワモズク、ギンナンソウ、ドラグサ、フルセラリア、ヤナギモク及びモズクからなる群から選ばれる植物又は海草の抽出物(エキス)が挙げられる。この中でも、フィトコラージュ、アサクー、オキナワモズク又はダルスの抽出物が好ましい。
【0014】
上記植物又は海藻の抽出物の抽出に用いられる植物又は海藻は、その用部に特に限定はないが、有効性を発揮させる点から、アサクーについては材、エクロニア、ダルス、オカクサ、ツヅレグサ、トチャカ、カロフィリス、オキナワモズク、ギンナンソウ、ドラグサ、フルセラリア、ヤナギモク、及びモズクについては植物体又は海藻全体を用いることが好適である。なお、「材」とは、木本植物の茎の木質の部分を意味する。
【0015】
上記抽出物は、市販品あるいは公知の抽出方法よって得られたものを使用することができる。上記抽出方法に用いる溶媒(以下、「抽出溶媒」という。)としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0016】
上記抽出方法における各種条件は、特に制限されるものではないが、通常、抽出原料と上記抽出溶媒との比率は、質量比で抽出原料:抽出溶媒=1:2〜1:50程度の範囲が好ましい。また、抽出温度は、5〜80℃の範囲が好ましく、1時間〜1週間、抽出溶媒に浸漬したり、攪拌したりすることによって行うことが好ましい。なお、抽出pHは、極端な酸性又はアルカリ性でなければ、特に制限はない。
【0017】
上記抽出溶媒が、水、エタノール、水/エタノール(含水エタノール)等の非毒性の溶媒である場合は、抽出物を育毛養毛剤としてそのまま用いてもよく、あるいは希釈液として用いてもよい。また、上記抽出物を濃縮エキスとしてもよく、凍結乾燥等により乾燥粉末物にしたり、ペースト状に調製したりしてもよい。なお、他の溶媒を用いた場合は、溶媒を留去後、乾燥分を非毒性の溶媒で希釈して用いることが好ましい。
【0018】
(B)成分の育毛養毛剤組成物中における含有量は、通常0.01〜10質量%であり、0.1〜5質量%が好ましい。0.01質量%未満だとアポトーシス抑制効果が発揮できず、10質量%を超えて配合すると、不経済となり、低温安定性が悪くなる場合がある。
【0019】
(C)トリ脂肪酸グリセリル
トリ脂肪酸グリセリルとしては、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル等の炭素数6〜20の脂肪酸を3つ有するトリ脂肪酸グリセリル等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。この中でも、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルが好ましい。
【0020】
(C)トリ脂肪酸グリセリルの育毛養毛剤組成物中における含有量は、通常0.05〜20質量%であり、0.1〜10質量%が好ましい。0.05質量%未満だと低温での安定化が困難となるおそれがあり、20質量%を超えると使用感(べたつき)が悪くなる場合がある。
【0021】
(D)ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル
ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルとしては、イソステアリン酸ポリエチレン(3)グリセリル(イソステアリン酸PEG−3グリセリルと表記する場合がある。)、イソステアリン酸ポリエチレン(5)グリセリル(イソステアリン酸PEG−5グリセリル、イソステアリン酸ポリエチレン(10)グリセリル(イソステアリン酸PEG−10グリセリル)、イソステアリン酸ポリエチレン(15)グリセリル(イソステアリン酸PEG−15グリセリル)、イソステアリン酸ポリエチレン(20)グリセリル(イソステアリン酸PEG−20グリセリル)、イソステアリン酸ポリエチレン(30)グリセリル(イソステアリン酸PEG−30グリセリル)、イソステアリン酸ポリエチレン(40)グリセリル(イソステアリン酸PEG−40グリセリル)、イソステアリン酸ポリエチレン(50)グリセリル(イソステアリン酸PEG−50グリセリル)、イソステアリン酸ポリエチレン(60)グリセリル(イソステアリン酸PEG−60グリセリル)等のイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリエチレン(10)グリセリル(ジイソステアリン酸PEG−10グリセリル)、ジイソステアリン酸ポリエチレン(20)グリセリル(ジイソステアリン酸PEG−20グリセリル)、ジイソステアリン酸ポリエチレン(30)グリセリル(ジイソステアリン酸PEG−30グリセリル)等のジイソステアリン酸ポリエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリエチレン(3)グリセリル(トリイソステアリン酸PEG−3グリセリル)、トリイソステアリン酸ポリエチレン(5)グリセリル(トリイソステアリン酸PEG−5グリセリル)、トリイソステアリン酸ポリエチレン(10)グリセリル(トリイソステアリン酸PEG−10グリセリル)、トリイソステアリン酸ポリエチレン(15)グリセリル(トリイソステアリン酸PEG−15グリセリル)、トリイソステアリン酸ポリエチレン(20)グリセリル(トリイソステアリン酸PEG−20グリセリル)、トリイソステアリン酸ポリエチレン(30)グリセリル(トリイソステアリン酸PEG−30グリセリル)、トリイソステアリン酸ポリエチレン(40)グリセリル(トリイソステアリン酸PEG−40グリセリル)等のトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。この中でも、イソステアリン酸ポリエチレン(15)グリセリル(イソステアリン酸PEG−15グリセリル)、ジイソステアリン酸ポリエチレン(30)グリセリル(ジイソステアリン酸PEG−30グリセリル)、トリイソステアリン酸ポリエチレン(30)グリセリル(トリイソステアリン酸PEG−30グリセリル)が好ましい。
【0022】
(D)ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルの育毛養毛剤組成物中における含有量は、通常0.05〜20質量%であり、0.1〜10質量%が好ましい。0.05質量%未満だと低温での安定化が困難となるおそれがあり、20質量%を超えて配合すると、使用感(べたつき)が悪くなる場合がある。
【0023】
(E)エタノール
本発明の育毛養毛剤組成物中における(E)エタノール含有量は、50質量%以上であり、50〜85質量%が好ましく、より好ましくは50〜70質量%である。(E)エタノール含有量が50質量%未満では、(B)成分は溶解しやすいが、(A)育毛有効成分が析出する。
【0024】
本発明の育毛養毛剤組成物には、任意成分を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合することができる。このような成分としては、例えば、(A)成分以外の育毛有効成分、抗男性ホルモン剤、保湿剤、(A)成分以外のビタミン剤、アミノ酸類、セルロース類、界面活性剤、油脂類、液状エステル油(25℃)、高分子樹脂、色材、香料、紫外線吸収剤等を配合することができる。
【0025】
育毛養毛剤組成物の剤型は特に限定されず、常法に従って均一溶液、ローション、ジェル等の形態で外用により使用することができる。また、本発明の育毛養毛剤組成物は、エアゾールスプレーの形態をとることができ、その場合には、上記成分以外に、n−プロピルアルコール又はイソプロピルアルコール等の低級アルコール、ブタン、プロパン、イソブタン、液化石油ガス、ジメチルエーテル等の可燃性ガス、窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等の圧縮ガスを含有することができる。また、本発明の育毛養毛剤組成物は、上記必須成分及び任意成分を混合して、常法に基づいて得ることができる。
【0026】
本発明は、(A)育毛有効成分(但し、(B)成分を除く)と、(B)アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質とを含有する育毛養毛剤組成物に、(C)トリ脂肪酸グリセリル、(D)ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル及び(E)エタノールを配合し、(E)エタノールの含有量を組成物中50質量%以上とすることを特徴とする、上記育毛養毛剤組成物の低温安定化方法を提供する。
【実施例】
【0027】
以下、調製例、試験例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示す。
【0028】
[試験例1〜21]
被験試料として表1に示す植物を70%エタノールで、海藻については水で抽出し、得られた抽出液を乾固して固形物を得た。この固形物を100mg/mLの濃度になるようエタノールに溶解した。このように調製したエキスを、予め20,000個/ウエルとなるように培養したケラチノサイトに終濃度が100μg/mLとなるように添加した。これと同時にアポトーシス誘導促進蛋白質(Neurotrophin−4、以下「NT−4」と略する。)を終濃度が1ng/mL濃度となるよう上記ウエルに添加した。24時間後にTUNEL法を用いてアポトーシス誘導率を測定した。なお、上記アポトーシス誘導率は、TUNEL染色キット「TACSTM2 TdT DAB」(TREVIGEN社製)を用いてアポトーシスを引き起こしている細胞を染色し、その割合を求めることにより求めた。アポトーシス誘導抑制試験の結果を、NT−4のみ添加の場合をアポトーシス誘導率100%とし、誘導抑制率(%)を算出し、結果を下記基準で示した。
<基準>
◎:NT−4のみ添加の場合に比べ80%以上抑制
○:NT−4のみ添加の場合に比べ50%以上80%未満抑制
×:NT−4のみ添加の場合に比べ50%未満抑制
【0029】
表1にアポトーシス誘導抑制試験結果を示す。表1に示すように抽出物が、アポトーシスの誘導を抑制することが認められた。特に、椿皮、アサクー、エクロニア、ダルス、オカクサで、アポトーシスの誘導抑制が優れていることが明らかになった。従って、上記抽出物はアポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質であることが認められた。
【0030】
[比較試験例1]
予め20,000個/ウエルとなるように培養したケラチノサイトにエタノールが終濃度0.1%となるように添加した。これと同時にアポトーシス誘導促進蛋白質(NT−4)を終濃度が1ng/mL濃度となるよう上記ウエルに添加した。上記試験例と同様にしてアポトーシス誘導率を求めた。その結果、アポトーシス誘導促進蛋白質の作用は抑制されず、アポトーシスが誘導された。
【0031】
【表1】

【0032】
[実施例1〜48、比較例1〜4]
表3〜23に示す組成の育毛養毛剤組成物を調製し、下記方法で安定性評価を行った。結果を表中に記載する。各エキスについては調製例1〜3で得られたものを用いた。下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、エタノール配合量は純分で示した。
【0033】
<低温安定性>
被試験試料約20mLを50mLの透明ガラスびん(但し、エアゾールは100mLの透明耐圧びんに50g)に取り−10℃の恒温槽に保存後、目視で結晶析出の観察を行った。析出日から1日引いた日数を低温安定化日数とし、最大60日まで評価した。
【0034】
実施例1、28、30、31及び32の育毛養毛剤組成物について、下記方法で育毛養毛効果を評価した。
雄のC57BL/6マウス(7週齢)を用い、小川らの方法(フレグランスジャーナル,Vol.17,No.5,p20−29,1989.参照)、及び特開2006−256994号公報に記載の方法を参考に行った。
雄のC57BL/6マウス(7週齢)の背部体毛を約2×4cmの大きさに電気バリカン及び電気シェーバーにて除毛し、毛髪成長期を誘導した。除毛後、男性型脱毛の原因物質のひとつであるジヒドロテストステロン(DHT)約30mgを皮下に投与した。DHTを投与しない比較対照として、偽手術群を設定した(DHT非投与群)。各サンプル(被験物質)投与群、エタノール70質量%投与群、DHT非投与群ともマウス8匹ずつを用い、除毛、DHT皮下投与の翌日より、1匹当たり1日1回100μL週5回サンプル塗布を行った。除毛から18日後に、除毛部分に対し毛再生が始まった発毛面積を目視にて観察し、発毛スコアとして0〜10点で評価した。結果を8匹のスコア合計と、スコア平均値で示す。
<発毛スコアの評価基準>
スコア0点:発毛が全くなし
スコア1点:発毛面積の割合が、0〜10%未満
スコア2点:発毛面積の割合が、10〜20%未満
スコア3点:発毛面積の割合が、20〜30%未満
スコア4点:発毛面積の割合が、30〜40%未満
スコア5点:発毛面積の割合が、40〜50%未満
スコア6点:発毛面積の割合が、50〜60%未満
スコア7点:発毛面積の割合が、60〜70%未満
スコア8点:発毛面積の割合が、70〜80%未満
スコア9点:発毛面積の割合が、80〜90%未満
スコア10点:発毛面積の割合が、90〜100%
【0035】
【表2】

【0036】
[調製例1]
フィトコラージュエキス
ダイズの種子をナットウ菌で発酵して得た納豆の20%エタノール溶液エキスに99%エタノールを加えて塊状粘質物を析出させた。この塊状粘質物0.3%になるように10%エタノール溶液に分散させ、フィトコラージュエキスを得た。
【0037】
[調製例2]
アサクーエキス
アサクーを破砕後、50%エタノールで一昼夜振とうし、得られた抽出液をエバポレータで乾固して固形物を得た。この固形物を1%になるように20%エタノール溶液に分散させ、アサクーエキスを得た。
【0038】
[調製例3]
ダルスエキス、オキナワモズクエキス(海藻)
ダルス,オキナワモズクを破砕後、水で2時間抽出し、得られた抽出液を凍結乾燥法により乾固して固形物を得た。この固形物を1%になるように20%エタノール溶液に分散させ、ダルスエキス、オキナワモズクエキスを得た。
【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

【0041】
【表5】

【0042】
【表6】

【0043】
【表7】

【0044】
【表8】

【0045】
【表9】

【0046】
【表10】

【0047】
【表11】

【0048】
【表12】

【0049】
【表13】

【0050】
【表14】

【0051】
【表15】

【0052】
【表16】

【0053】
【表17】

【0054】
【表18】

【0055】
【表19】

【0056】
【表20】

【0057】
【表21】

【0058】
【表22】

【0059】
【表23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)育毛有効成分(但し、(B)成分を除く)、(B)アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質、(C)トリ脂肪酸グリセリル、(D)ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、及び(E)エタノール50質量%以上を含有する育毛養毛剤組成物。
【請求項2】
(A)成分が、酢酸トコフェロール、ピロクトンオラミン、β−グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、ペンタデカン酸モノグリセリド、ミノキシジル、塩化カルプロニウム、フォルスコリン、スウェルチアマリン、アデノシン及びt−フラバノンからなる群から選ばれる1種又は2種以上の育毛有効成分である請求項1記載の育毛養毛剤組成物。
【請求項3】
(B)成分が、フィトコラージュ、アサクー、オキナワモズク及びダルスからなる群から選ばれる植物又は海藻の抽出物である請求項1又は2記載の育毛養毛剤組成物。

【公開番号】特開2009−96777(P2009−96777A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272243(P2007−272243)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】