説明

胃液抵抗性の作用物質−マトリックスを有しているペレット

本発明は、1種以上の水不溶性ポリマーからなるポリマーマトリックス中に埋包された薬剤学的に有効な物質を含有している、300〜1100μmの範囲の平均粒径を有するペレットであって、このポリマーマトリックスは、付加的に、陰イオンポリマー10〜90質量%を含有しており、かつこのペレットは、USPによる放出試験において、pH1.2の人工胃液中で120分後には、含有作用物質の10%を上回らない量を放出し、かつpH6.8及び/又はpH7.5では、更なる合計300分の後に、含有作用物質の少なくとも50%を放出することを条件としていることを特徴としている、ペレットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
WO01/68058は、胃液抵抗性処方の剤形を記載している。この剤形は、実質的に、薬剤学的作用物質を有する核、アクリル−又はメタクリル酸のラジカル重合されたC〜C−アルキルエステル85〜98質量%とアルキル基中に1個の第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート−モノマー15〜2質量%とから構成されているコポリマー1種又はコポリマーの混合物からの内被及びアクリル−又はメタクリル酸のラジカル重合されたC〜C−アルキルエステル75〜95質量%とアルキル基中に1個の陰イオン基を有する(メタ)アクリレート−モノマー5〜25質量%とから構成されているコポリマー1種からの外被から構成されている。
【0002】
US2005/0191352は、溶融押出しを用いる、コントロールされた作用物質放出性を有する薬剤学的作用物質含有押出物の製造を記載している。押出すべき混合物は、作用物質と並んでポリマー、例えばEudragit(R)RS、Eudragit(R)NE又はこれらポリマーの混合物を含有することができる。この押出しは、好ましくは二軸スクリュウ押出機中で行われる。コーティングされた押出物を、熱い状態下に回転ナイフを用いて粉砕して、シリンダー状又は球形、楕円形又はレンズ形の粒子にし、かつ成形することができる。こうして得られた作用物質含有粒子を、例えばカプセル中に充填することによって、更に多粒子剤形まで加工することができる。
【0003】
EP1563897A1は、丸められたペレットを製造するための装置(ペレタイザー)を記載している。この装置は、殊に押出機から供給される成形可能な材料用の前接続された供給装置及び材料を切断して材料断片にするための回転切断ユニットを有するケーシング並びにこのケーシング中でガス流を得るための手段(その作用により、材料断片は、ケーシング壁に衝突して、この際に、それらは丸くなる)から成っている。材料損害を減少するために、このケーシング壁を冷却することが好ましい。この装置は、殊に薬剤分野のペレットを製造するために好適であり、ここでは、押出機中で、薬剤学的助剤、例えばポリマーが薬剤学的作用物質少なくとも1種と混合され、切断ケーシング中の押出物はノズルを通って排出され、かつガス冷却下での熱細断によって切断されてペレットにされ、かつ丸められる。
【0004】
WO96/14058は、溶融押出された経口オピオイド−処方物を記載している。例えば、作用物質オキシコドンHCl、Eudragit(R)RS、Eudragit(R)L及びステアリン酸からなる混合物が提案されている。実施例13によれば、4種の物質の相応する量割合は25.0/48.75/3.75及び22.5%であることができる。これら物質は、差し当たり混合され、引き続き押出機中で約83℃で押出され、ペレタイザーに供給され、粉砕されて約1.5mmのペレットにされ、その後カプセル中に充填されている。実施例13による処方物は、人工胃液中では2時間後に既に、含有作用物質の20%を放出しており、従って胃液抵抗性ではない。人工腸液中では、作用物質は連続的に遅延して放出され、pH7.5で8時間後には、作用物質の約44%が放出されている。
【0005】
課題及び解決
本発明は、例えばWO01/68058から公知であるような胃液抵抗性の被覆を有する剤形から出発している。WO01/68058中に記載の剤形は、その層構造により、その製造に経費がかかっている。容易にかつコスト的に好適に製造可能である工業的選択を提供する、胃液抵抗性の剤形又はその前駆物質が提供されるべきである。
【0006】
殊にこの課題は、1種以上の水不溶性ポリマーからのポリマーマトリックス中に埋包された薬剤学的に有効な物質を含有している、300〜1100μmの範囲の平均粒径を有するペレットによって解決され、このポリマーマトリックスは、付加的に陰イオンポリマー10〜90質量%を含有し、かつこのペレットは、USPによる放出試験において、pH1.2の人工胃液中で120分後には、含有作用物質の10%以下の量を放出し、かつpH6.8及び/又はpH7.5での更なる合計300分(全合計420分)後には、含有作用物質の少なくとも50%を放出することを条件としていることを特徴としている。
【0007】
発明の実施
ペレット
本発明は殊に、水不溶性のポリマー1種以上からなるポリマーマトリックス中に埋包された薬剤学的に有効な物質を含有している、300〜1100μm、好ましくは400〜1000μm、特別好ましくは500〜900μmの範囲の平均粒径を有するペレットに関し、このポリマーマトリックスは付加的に、陰イオンポリマー10〜90、好ましくは20〜90、殊に50〜90質量%を含有していることを特徴としている。
【0008】
作用物質割合は、ペレット質量に対して0.1〜70、好ましくは1〜60、殊に5〜50質量%であることができる。
【0009】
ポリマーマトリックスの割合は、ペレット質量に対して20〜99.9、好ましくは30〜90、殊に40〜80質量%であることができる。
【0010】
このペレットは更に、薬剤学的に慣用の助剤を含有することができる。
【0011】
水不溶性ポリマー
水不溶性ポリマーとは、1〜14の全pH−範囲にわたり水不溶性であるか又は水中で膨潤性であるだけのようなポリマーであると理解される。通常、この薬剤組成物中には、水不溶性ポリマー1種のみが含有されている。しかしながら、場合によっては2種以上の水不溶性ポリマー並置して又は混合して存在することもできる。
【0012】
水不溶性ポリマーは、おそらく、水中に劣悪に溶ける作用物質を、それからの放出後に、長時間に渡り高い溶解性の状態で安定化させて、溶解度低下性の凝集、再結晶又は沈殿を遅延化させるか又は阻止する機能を有していると思われる。本発明における水不溶性ポリマーは、遅延化性ポリマーと同じ意味である。
【0013】
好適な水不溶性ポリマーの例は、殊に次のものである:
中性の(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(R)NE型)
中性の又は実質的に中性のメタクリレート−コポリマーは、殊に、中性基、殊にC〜C−アルキル基を有するラジカル重合された(メタ)アクリレート−モノマー少なくとも95、殊に少なくとも98、好ましくは少なくとも99、殊に少なくとも99、特別好ましくは100質量%からなっていることができる。
【0014】
好適な中性基を有する(メタ)アクリレート−モノマーは、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートである。メチルメタクリレート、エチルアクリレート及びメチルアクリレートが好ましい。
【0015】
5を下回る、好ましくは高々2、特に好ましくは高々1又は0.05〜1質量%のわずかな割合で、陰イオン基を有するメタクリレートモノマー、例えばアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有することができる。
【0016】
例えば、エチルアクリレート20〜40質量%、メチルメタクリレート60〜80質量%からの中性又はほぼ中性の(メタ)アクリレートコポリマーが、かつ(EUDRAGIT(R)NE型)0〜5、好ましくは0〜2又は0.05〜1質量%が好適である。
【0017】
EUDRAGIT(R)NEは、エチルアクリレート30質量%とメチルメタクリレート70質量%とからのコポリマーである。
【0018】
WO01/68767により、15.2〜17.3のHLB−値を有する非イオン乳化剤1〜10質量%の使用下に分散液として製造された、中性の又は実質的に中性のメチルアクリレートコポリマーが好ましい。後者は、結晶構造の形成下での相分離を、乳化剤(EUDRAGIT(R)NM型)によって抑制する利点を提供する。
【0019】
しかしながらEP1571164A2によれば、0.05〜1質量%の小割合のモノオレフィン系不飽和C〜C−カルボン酸を有する、相応するほぼ中性の(メタ)アクリレートコポリマーは、比較的少量の陰イオン乳化剤、例えば0.001〜1質量%の存在下における乳化重合によっても製造されうる。
【0020】
第4級アミノ基を有する(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(R)RS/RL型)
他の好適な水不溶性(メタ)アクリレート−コポリマーは、例えばEP−A181515又はDE−PS1617751から公知である。これは、医薬品被覆のために好適である、pH−値とは無関係に可溶性の又は膨潤可能な重合体である。可能な製造法としては、モノマー混合物中に溶かされたラジカル形成開始剤の存在下における塊状重合が挙げられる。同様にこの重合体は、溶液−又は沈殿重合を用いて製造することもできる。こうしてこの重合体は、微細粉末の形で得ることができ、これは、塊状重合の場合には粉砕により、溶液−及び沈殿重合の場合には例えばスプレー乾燥によって達成可能である。
【0021】
水不溶性ポリマーは、アクリル−又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステル98〜85質量%と第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマー2〜15質量%とからの重合体であるか又はこれら物質群の複数のポリマーの混合物であることができる。
【0022】
水不溶性ポリマーは、アクリル−又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステル97〜93質量%と第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマー3〜7質量%とからの重合体(Eudragit(R)RS型)であることができる。
【0023】
好ましいアクリル−又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステルは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレートである。
【0024】
第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート−クロリドが特別好ましい。
【0025】
具体的に好適なコポリマーは、メチルメタクリレート65質量%、エチルアクリレート30質量%及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート−クロリド5質量%を含有して構成されている(EUDRAGIT(R)RS)。
【0026】
この水不溶性ポリマーは、アクリル−又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステル93〜88質量%と第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマー7〜12質量%とからの重合体(Eudragit(R)RL型)であることができる。
【0027】
具体的に好適なコポリマーは、例えばメチルメタクリレート60質量%、エチルアクリレート30質量%及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート−クロリド10質量%を含有している(EUDRAGIT(R)RL)。
【0028】
この水不溶性ポリマーは、EUDRAGIT(R)RS型のポリマーとEudragit(R)RL型のポリマーとの20対1〜1対20の割合の混合物であることができる。
【0029】
殊に、EUDRAGIT(R)RSとEDRAGIT(R)RLとからの20:1〜1:20の質量割合での混合物も好適である。
【0030】
ポリ酢酸ビニル/ポリ酢酸ビニル−コポリマー、エチル−及びメチルセルロース
薬剤学的組成物は、水不溶性ポリマーとして、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル−コポリマー(例えばKollicoat(R)SR30D又はKollidon(R)SR型)、エチルセルロース又はメチルセルロースを含有することができる。
【0031】
陰イオンポリマー
陰イオンポリマーとは、好ましくは、陰イオン基を有するモノマー基少なくとも5%、特別好ましくは5〜75%を有するポリマーであると理解される。陰イオン(メタ)アクリレート−コポリマーが好ましい。
【0032】
陰イオン基を有する(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(R)L、L100−55、S及びFS型)
好適な陰イオン(メタ)アクリレートコポリマーは、例えばアクリル−又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステル25〜95質量%と陰イオン基を有する(メタ)アクリレート−モノマー5〜75質量%とからの重合体である。相応するポリマーは、陰イオン基の含有率及び他のモノマーの特性に応じて、pH5.0を上回るpH−値で水溶性であり、従って腸液可溶性でもある。
【0033】
通常は、記載の割合を加算すると100質量%になる。しかしながら、付加的に、それが重要な特性の損害又は変動をもたらすことなしに、0〜10、例えば1〜5質量%の範囲の少量の他のビニル系共重合可能なモノマー、例えばヒドロキシエチルメタクリレート又はヒドロキシエチルアクリレートを含有することができる。
【0034】
アクリル−メタクリル酸のC〜C−アルキルエステルは、殊にメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びブチルアクリレートである。
【0035】
陰イオン基を有する(メタ)アクリレート−モノマーは、例えばアクリル酸、好ましくはメタクリル酸であることができる。
【0036】
更にメタクリル酸40〜60質量%とメチルメタクリレート60〜40質量%又はエチルアクリレート60〜40質量%とからの陰イオン(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(R)L又はEUDRAGIT(R)L100−55型)が好適である。
【0037】
EUDRAGIT(R)Lは、メチルメタクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とからのコポリマーである。
【0038】
EUDRAGIT(R)L100−55は、エチルアクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とからのコポリマーである。EUDRAGIT(R)L30D−55は、EUDRAGIT(R)L100−55 30質量%を含有している分散液である。
【0039】
同様に、メタクリル酸20〜40質量%とメチルメタクリレート80〜60質量%とからの陰イオン(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(R)S型)が好適である。
【0040】
更に例えばメチルメタクリレート10〜30質量%、メチルアクリレート50〜70質量%及びメタクリル酸5〜15質量%からの陰イオン(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(R)FS型)が好適である。
【0041】
EUDRAGIT(R)FSは、メチルメタクリレート25質量%、メチルアクリレート65質量%及びメタクリル酸10質量%からのコポリマーである。EUDRAGIT(R)FS30Dは、EUDRAGIT(R)FS 30質量%を含有している分散液である。
【0042】
更に本発明の目的のために、
メタクリル酸及び/又はアクリル酸 20〜34質量%、
メチルアクリレート 20〜69質量%及び
エチルアクリレート 0〜40質量% 及び/又は場合により
他のビニル系共重合可能なモノマー 0〜10質量%
から構成されている陰イオン(メタ)アクリレート−コポリマー(WO2003/072087参照)が、このコポリマーのISO 11357−2、ポイント3.3.3によるガラス化温度が高々60℃であることを条件として、好適である。
【0043】
このコポリマーは、殊に
メタクリル酸又はアクリル酸、好ましくはメタクリル酸
20〜34、好ましくは25〜33、特別好ましくは28〜32質量%、
メチルアクリレート
20〜69、好ましくは35〜65、特別好ましくは35〜55質量%
及び場合により
エチルアクリレート
0〜40、好ましくは5〜35、特別好ましくは15〜35質量%
のラジカル重合された単位から構成されていることができる、
但し、ISO11357−2、ポイント3.3.3によるこのコポリマーのガラス化温度(可塑剤添加なしに、100ppmを下回る残留モノマー含分(REMO)、加熱速度10℃/min、窒素雰囲気下で測定)(Tmg)は、高々60、好ましくは40〜60、特別好ましくは45〜55℃であることを条件としている。
【0044】
このコポリマーは、好ましくは実質的にもっぱら、前記の量割合でのモノマー メタクリル酸、メチルアクリレート及びエチルアクリレートから成っている。
【0045】
しかしながら付加的に、主要な特性を損なうことなしに、0〜10、例えば1〜5質量%の範囲の少量の他のビニル系共重合可能なモノマー、例えばメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート又はヒドロキシエチルメタクリレートを含有することができる。
【0046】
ここでガラス化温度とは、殊にISO11357−2、ポイント3.3.3による中点温度Tmgであると理解される。この測定は、可塑剤添加なしに、100ppmを下回る残留モノマー含分(REMO)、10℃/minの加熱速度で、かつ窒素雰囲気下に行われる。
【0047】
このコポリマーは、自体公知の方法で、ラジカル塊状−、溶液−、パール−又は乳化重合によって得られる。これらは、その加工処理の前に、適当な粉砕−、乾燥−又はスプレー処理によって、本発明による粒径範囲にされるべきである。このことは、押出され、かつ冷却された顆粒ストランドの単純な破断により又は熱細断(Heissabschlag)によって行うことができる。
【0048】
殊に他の粉末又は液体との混合の際には、粉末の使用が有利であり得る。粉末の製造のための好適な装置は、当業者に慣用であり、例えば空気流ミル、ピンミル、ファンミルである。場合によっては相応する篩別工程を考慮に入れることができる。工業的な多量のために好適なミルは、例えば約6バール過圧で作動される対向流ミル(Gegenstrahl-muehle:Multi Nr.4200)である。
【0049】
更に、本発明の目的のために、次のものからの陰イオン(メタ)アクリレート−コポリマー(WO2004/096185参照)が好適である:
メタクリル酸及び/又はアクリル酸 20〜33質量%、
メチルアクリレート 5〜30質量%及び
エチルアクリレート 20〜40質量%及び
ブチルメタクリレート 10質量%より多く30質量%まで、及び
場合により
他のビニル系共重合可能なモノマー 0〜10質量%
(この際、モノマーの割合を加算すると100質量%となる)、
但し、ISO 11357−2、ポイント3.3.3によるコポリマーのガラス化温度(ガラス転移温度)(中点温度Tmg)は55〜70℃であることを条件としている。
【0050】
前記のコポリマーは、殊に、
メタクリル酸又はアクリル酸、好ましくはメタクリル酸
20〜33、好ましくは25〜32、特別好ましくは28〜31質量%、
メチルアクリレート
5〜30、好ましくは10〜28、特別好ましくは15〜25質量%、
エチルアクリレート
20〜40、好ましくは25〜35、特別好ましくは28〜32質量%
並びに
ブチルメタクリレート
10〜30、好ましくは15〜25、特別好ましくは18〜22質量%
(この際、モノマー組成は、コポリマーのガラス化温度が55〜70℃、好ましくは59〜66、特別好ましくは60〜65℃になるように選択される)
からのラジカル重合された単位から構成されている。
【0051】
特別な放出プロフィル又は放出位置の調節のために、記載のコポリマーの混合物を使用することもできる。
【0052】
ここでガラス化温度とは、殊にISO 11357−2、ポイント3.3.3による中点温度Tmgであると理解される。この測定は、可塑剤添加なしに、100ppmを下回る残留モノマー含分(REMO)、10℃/minの加熱速度で、かつ窒素雰囲気下に行われる。
【0053】
このコポリマーは、実質的にもっぱら90、95又は99〜100質量%が、前記の量範囲内でのモノマー メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びブチルメタクリレートから成っていることが好ましい。
【0054】
しかしながら付加的に、主要な特性を損なうことなしに、0〜10、例えば1〜5質量%の範囲の少量の他のビニル系共重合可能なモノマー、例えばメチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルマロン酸、スチレン、ビニルアルコール、酢酸ビニル及び/又はこれらの誘導体を含有することができる。
【0055】
前記の陰イオン(メタ)アクリレート−コポリマーは、好ましくは、自体公知の方法で、ラジカル塊状−、溶液−、パール−又は乳化重合によって得られる。これらは、その加工の前に、適当な粉砕−、乾燥−又はスプレー処理によって、本発明による粒径範囲内にされるべきである。このことは、押出されかつ冷却された顆粒ストランドの簡単な破断又は熱細断によって行うことができる。
【0056】
ポリマー中に5質量%を上回る割合で陰イオンモノマーを有している陰イオン(メタ)アクリレートコポリマーの製造は、自体公知の方法で、モノマーのラジカル重合によって行うことができる(例えば、EP0704207 A2、EP0704208 A2、WO2003/072087、WO2004/096185参照)。これらのコポリマーは、自体公知の方法で、特に陰イオン乳化剤の存在下における水相中でのラジカル乳化重合によって、例えばDE−C2135073中に記載の方法によって製造可能である。
【0057】
殊に他の粉末又は液体との混合の際には、粉末の使用が有利でありうる。粉末の製造のための好適な装置は、当業者に慣用であり、例えば空気流ミル、ピンミル、ファンミルである。場合によっては適当な篩別工程を考慮に入れることができる。工業的な多量のために好適なミルは、例えば約6バールの過圧で作動される対向流ミル(Multi Nr.4200)である。
【0058】
共重合体は、ラジカル重合の慣用方法により連続的又は非連続的に(バッチ−法)、ラジカル形成開始剤及び場合によっては分子量調節のための調節剤の存在下における、塊状で、溶液中で、パール重合によって又は乳液中で製造することができる。平均分子量M(重量平均、例えば溶液粘度の測定により測定)は、例えば80000〜1000000(g/モル)の範囲内にあることができる。水に溶かされた開始剤及び(特に陰イオン性)乳化剤の存在下における、水相中での乳化重合が好ましい。塊状重合の場合には、固体形のコポリマーが破断、押出し、造粒又は熱細断により得ることができる。
【0059】
薬剤学的に有効な物質
ペレット中に含有されている薬剤学的に有効な物質は、薬剤学的作用物質又は広い意味での栄養補助剤であることができる。
【0060】
好ましくは、次の薬剤学的に有効な物質の1種以上を含有している:アカムプロサート、アセトクロフェナク、アセメタシン、アセチルシステイン、アセチルサリチル酸、アセチルチロシン、アシピモックス、アシトレチン、アラニン、アレンドロン酸、アメトプテリン、アミノ酸、アモキシシリン、アンピシリン、アスコルビン酸、アトルバスタチン、アジドシリン、アズトレオナム、バカムピシリン、バクロフェン、ベナゼプリル、ベンダムスチン、ベンジルペニシリン、ベザフィブラート、ビオチン、ボルナプリン、ブメタニド、カバスチン、カンレノイン酸、カルバモイルフェノキシ酢酸、カルビドーパ、カルビマゾル、カルボシステイン、カリソプロドール、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファゾリン、セフェピム、セフェタメート、セフィキシム、セフォタキシム、セフォチアム、セフォキシチン、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフトリアキソン、セフロキシム、セチリジン、ケノデオキシコール酸、クロラムブシル、シドフォヴィル、シラスタチン、シラザプリル、シノキサシン、シプロフロキサシン、シサトラクリウム ベシラート、クラブラン酸、クロドロン酸、クロラゼパート、クロモグリシン酸、デスメニノール、ジクロフェナク、ジクロキサシリン、エノキサシン、エプロサルタン、エタクリン酸、エチドロン酸、エトフィリン、エトミダート、フェルビナク、フェロジピン、フェノフィブラート、フェキソフェナジン、フラボキサート、フレロキサシン、フルクロキサシリン、フルフェナミン酸、フルマゼニル、フルピルチン、フルビポロフェン、フルバスタチン、フォスフォマイシン、フォシノプリル、フロセミド、フシジン酸、ガバペンチン、ゲムフィブロジル、イバンドロン酸、イブプロフェン、イロプロスト、イミダプリル、イミペネム、インドメタシン、イリノテカン、イスラジピン、ケトプロフェン、レルカニジピン、レヴォドーパ、レボヴォロキサシン、リオチロニン、リポン酸、リシノプリル、ロドキサミド、ロメフロキサシン、ロナゾラック、ロラカルベフ、ロラタジン、ロヴァスタチン、メフェナミン酸、メロペネム、メサラジン、メタミゾール、メトトレキサート、メチルドーパ、メズロシリン、モエキシプリル、モンテルカスト、モキシフロキサシン、ムピロシン、ナプロキセン、ナタマイシン、ナテグリニド、ネドクロミル、ニコチン酸、ニフェジピン、ニルヴァジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オルサラジン、オロト酸、オキサシリン、パミドロン酸、パンガム酸、ペニシラミン、フェノキシメチルペニシリン、ペントサンポリスルファート、ペリドプリル、ペチジン、ピペミド酸、ピペラシリン、ピレノキシン、ピレタニド、プロベネシド、プログルミド、プロピシリン、プロスタグランジン、キナプリル、キナプリラート、ラミプリル、レパグリニド、レセルピン、リセドロン酸、サリチル酸、スルファサラジン、スピラプリル、スルバクタム、スルファサラジン、スルタミシリン、タザロテン、タザロバクタム、テルミサルタン、チアガビン、チアプロフェン酸、チリジン、チルドロン酸、トランドラプリル、トラネキサム酸、ヴァルプロイン酸、ヴィガバトリン、ヴィンカミン、ヴィンプロセチン、ザナミヴィル、ゾレドロン酸、ゾピクロン並びにそれらの塩、異性体及び組合わせ物。
【0061】
遅延化性被覆
このペレットは付加的に、遅延化性ポリマーからの被覆を有していることができる。ペレットの比較的高い密度及びその極めて低い脆砕性は、非常に薄いポリマー被覆で上塗りすることを可能とする。従って遅延化性ポリマー被覆は、好ましくは、例えばペレット質量に対して1〜10、好ましくは2〜7質量%であることができる。
【0062】
遅延−剤形
遅延−剤形又は遅延化性被覆で被覆された剤形とは、経口投与のための、遅らされた作用物質放出(持続−放出型)、延長された作用物質放出(延長−放出型)、段階的作用物質放出(繰り返し作用−又は段階−時間−作用型)又は遅延化された作用物質放出(遅延−放出型)性を有する一般的な剤形であると理解される。作用物質放出は、通常は長時間にわたりコントロールされるべきであり、こうして治療上最適な範囲内での作用物質の長時間持続性の血中濃度が生ぜしめられる。
【0063】
多粒子剤形
本発明によるペレットは、殊に多粒子剤形の製造のための前駆体として好適である。従ってこのペレットを、多粒子剤形の製造のために使用することができる。
【0064】
従ってこのペレットは、全ての種類の多粒子剤形、殊にペレット含有錠剤、ミニ錠剤、カプセル、小袋(Sachets)又は乾燥ジュース中に含有されていることができる。
【0065】
作用物質含有粒子と一緒の薬剤学的に慣用の結合剤の圧縮による多粒子剤形の製造は、例えば、Beckert et.al.(1996),"Compression of enteric-coated pellets to disintegrating tablets",International Journal of Pharmaceutics 143,S.13-23及びWO96/01624中に詳細に記載されている。
【0066】
被覆された粒子からの錠剤を製造するための混合物は、ペレットを錠剤形成用の好適な結合剤と一緒に、必要な場合には崩壊促進物質の添加物及び必要な場合には滑剤の添加物と一緒に混合することによって調製することができる。この混合は、適当な装置中で行うことができる。ペレットと滑剤又は離型剤ステアリン酸マグネシウムとの前混合によって、その表面を疎水性化し、これにより接着を避けることができる。
【0067】
打錠のために好適な混合物は、通常は、崩壊助剤、例えばKollidon CL 3〜15質量%及び例えば滑剤及び離型剤、例えばステアリン酸マグネシウム0.1〜1質量%を含有することができる。この結合剤割合は、被覆される粒子の要求割合によって決まる。
【0068】
多粒子剤形用の典型的な結合剤は、例えばCellactose(R)、マイクロ結晶セルロース、燐酸カルシウム、Ludipress(R)、ラクトース又は他の好適な糖類、硫酸カルシウム又は澱粉誘導体である。低いみかけの密度を有する物質を使用することが好ましい。
【0069】
典型的な崩壊助剤(砕解剤)は、架橋された澱粉−又はセルロース誘導体、並びに架橋されたポリビニルピロリドンである。同様にセルロース誘導体が好適である。好適な結合剤の選択によって、崩壊助剤の使用を省略することができる。
【0070】
典型的な滑剤及び離型剤は、ステアリン酸マグネシウム又は脂肪酸の他の好適な塩又は文献中にこの目的のために挙げられている物質(例えばラウリン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク等)である。好適な装置(例えば外潤滑部を有する錠剤機:Tabletten-presse mit externer Schmierung)又は好適な処方物の使用の場合には、混合物中の滑剤及び離型剤の使用を省略することができる。
【0071】
場合によってはこの混合物に、流動性改良のための助剤(例えば高分散性の珪酸誘導体、タルク等)を添加することができる。
【0072】
打錠は、慣用の錠剤機、偏心−又はロータリ−錠剤機上で、5〜40kN、好ましくは10〜20kNの範囲の押圧力で行うことができる。この錠剤機は、外潤滑のためのシステムを備えていることができる。場合によっては、撹拌翼を用いるマトリックス充填を避ける、マトリックス充填のための特別なシステムが使用される。
【0073】
本発明によるペレットの製造法
更に本発明は、本発明によるペレットの製造法に関し、この際、薬剤学的に有効な物質、水不溶性のポリマー及び陰イオンポリマーを混合させ、少なくとも10秒間、好ましくは少なくとも20秒間、最大のガラス転移温度を有するポリマーのガラス化温度よりも少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃上回る温度を作用させ、混合物を押出機、好ましくは二軸スクリュウ押出機中で押出し、排出させ、かつ熱細断及び引き続く丸味付けによって、300〜1100μmの範囲の平均粒径を有するペレットに丸める。
【0074】
この熱細断のため及びペレットまで丸味付けるために、当業者にとって例えばEP1563897A1から公知であるような、丸められたペレットを製造するための装置(ペレタイザー)を使用することが有利である。好適な装置は、例えば前接続された供給装置(押出機から供給される材料のための)及び材料断片まで材料を切断するための回転切断ユニットを有するケーシング並びにケーシング中のガス流を得るための手段(その作用によって、材料断片はケーシング壁に衝突し、この際にそれらは丸くなる)から成っている。材料損傷を減少させるために、このケーシング壁を冷却することが有利である。
【0075】
このポリマーマトリックスに、ペレットの製造時に、薬剤学的に慣用の助剤を添加することができる。
【0076】
加工すべき混合物上に、最低必要条件として、最大のガラス転移温度を有するポリマーのガラス化温度よりも少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃上回る温度を、少なくとも10秒間、好ましくは少なくとも20秒間作用させるべきである。このことは、単一の融液相の形成に作用することができる。屡々(但し常にではなく)、陰イオンポリマーは、水不溶性ポリマーよりも高いガラス化温度を有するので、この陰イオンポリマーは、加工温度の最低必要条件の基準点として利用することができる。
【0077】
ここでガラス化温度とは、殊にISO 11357−2、ポイント3.3.3による中点温度Tmgであると理解される。この測定は、可塑剤添加なしに、100ppmを下回る残留モノマー含分(REMO)、10℃/minの加熱速度で、かつ窒素雰囲気下に行われる。
【0078】
本発明によるペレットの製造のための混合物は、例えば、水不溶性のポリマーEudragit(R)RS 75質量%と陰イオンポリマーEudragit(R)L 5質量%とからのマトリックス中に埋包された、薬剤学的に有効な物質20質量%から構成されていることができる。Eudragit(R)RSのガラス化温度は約50℃であり、Eudragit(R)Lのそれは約150℃である。この場合にこの混合物上に、低くとも155℃の温度を少なくとも5秒間作用させるべきである。
【0079】
本発明によるペレットの製造のための混合物は、例えば水不溶性のポリマーEudragit(R)RS 75質量%と陰イオンポリマーEudragit(R)FS 5質量%とからのマトリックス中に埋包された、薬剤学的に有効な物質20質量%から構成されていることができる。Eudragit(R)RSのガラス化温度は約50℃であり、Eudragit(R)FSのそれは約48℃である。この場合に、この混合物上に、低くとも55℃の温度を少なくとも5秒間作用させるべきである。
【0080】
実際の条件下で多くの場合に相応する最低温度は、大抵、容易に達成されるか又は越えられ、長時間に渡っても保持され、薬剤学的に有効な物質又は含有ポリマーにとって、この温度は厳密ではないようである。押出機中の典型的な加工温度は、混合物のポリマー組成に応じて、例えば50〜200、好ましくは100〜180℃であることができる。
【0081】
しかしながら、混合物成分、殊に含有される薬剤学的に有効な物質に応じて、温度及び滞留時間を、熱的損傷又は損害をできるだけ避けるような値にすることに注意すべきである。通常は、加工温度及び滞留時間をむしろできるだけ低く調節することが試みられている。当業者は、このことを、本発明の知識内で容易に個々の場合に適合させ、相応して実施することができる。
【0082】
USPによる作用物質放出
作用物質放出は、USP、殊にUSP28−NF23、General Chapter<711>、Dissolution,Apparatus 2(Paddle)、Method<724>"Delayed Release (Enteric Coated)Articles−General General Drug Release Standard",Method B (100 Upm,37℃)に従がい、次の変更を伴って測定することができる:ペレットを差し当たり、人工胃液(USP)中、pH1.2で120分間の胃液抵抗性を試験し、引き続き、燐酸塩緩衝液を用いてpH6.8又は7.5(これは、人工腸環境に相当する)まで緩衝値変更を行った。試験媒体中の作用物質濃度は、作用物質に依存して、例えば光度測定法により測定することができる。
【0083】
実施例
全ての実施例で、40Dの処理部の機能長さを有する、同方向18mm二軸スクリュウ押出機上で押出した。押出し温度は、入口範囲内で10〜100℃であり、押出機の引き続く円筒内の温度を160℃まで高めた。溶融物を160℃で排出させ、空冷熱細断プロセスで切断してペレットにした。この熱細断プロセスのために、溶融物を、押出処理部の端部から、円錐形の溶融物通路(これはその端部に、脚部がリング形の複数の排出オリフィスを有する)中に供給する。このリングの上で、溶融物を熱い状態で切断する1個以上のナイフが回転する。ペレットを空気流中で冷却させ、かつ搬送させる。このペレットの丸味付けは、溶融物中になお存在している表面張力によって行われ、細断プロセス直後のペレットの搬送の間には行われないか又は非常に僅かな程度でのみ行われる。作用物質又はポリマーを押出機に、質量計測配量によって供給した。
【0084】
例V1〜V9、V11〜V15及びV19は比較例である
例V1のペレットは、水不溶性ポリマーEudragit(R)RSを含有し、水溶性ポリマーを含有していない。この処方物は、遅延された作用物質放出性を示すが、pH1.2で120分後には、当初含有作用物質の19.8%が既に放出されるので、胃液抵抗性ではない。
【0085】
例V2、V3、V4及びV6のペレットは、水不溶性ポリマーEudragit(R)RS及び本発明によらない水溶性ポリマーEudragit(R)EPOを含有している。例V5中のペレットは水不溶性ポリマーを含有せず、本発明によらない水溶性ポリマーEudragit(R)EPOのみを含有している。全ての場合に作用物質は、pH1.2で30分後に既に40%以上も放出されるので、胃液抵抗性ではない。
【0086】
例V7〜V9は、水不溶性ポリマーEudragit(R)RL及び本発明による陰イオンポリマーEudragit(R)FSを含有しているが、V9中では充分な量ではなく、最大30質量%であり、それらはpH1.2で120分後に、明らかに当初含有作用物質の10%を上回って放出しているので、充分な胃液抵抗性を有していない。例V11のペレットは、比較のために陰イオンポリマーEudragit(R)FSのみを含有している。この処方物は、遅延された作用物質放出性を示しているが、pH1.2で120分後に既に当初含有作用物質の14.4%が放出されているので、胃液抵抗性ではない。
【0087】
例V12〜15は、水不溶性ポリマーEudragit(R)RS及び本発明による陰イオンポリマーEudragit(R)FSを種々異なる混合量で含有している。例V12中のポリマー混合物に対して4質量%未満のEudragit(R)FSの割合で、既に9.1%のみの作用物質放出性で、胃液抵抗性、即ち10%以下の放出性が得られている。ともかく、この処方物は、420分後に含有作用物質の最大20.3%が放出される(V13)程度に著しく遅延化されてはいる。しかしながら、これは低すぎ、作用物質の大部分は、身体に吸収されることなく、再び排泄されているはずである。
【0088】
例10、16〜18、20は本発明の実施例である:
例10は、水不溶性ポリマーEudragit(R)RL及び本発明による水溶性陰イオンポリマーEudragit(R)FSを40質量%又は80質量%の割合で、ポリマー混合物中に含有している。この処方物は、pH1.2で120分後に、当初含有作用物質の9.1%のみを放出しているので、胃液抵抗性である。pH6.8では、240分の時点までに、実際に更なる作用物質放出が行われない(11.1%)。pH7.5までの緩衝値変更の後に、作用物質は360分の時点までに迅速に100%まで放出されている。
【0089】
例16〜18は、水不溶性ポリマーEudragit(R)RS及び本発明による水溶性陰イオンポリマーEudragit(R)FSを種々異なる混合量で含有している。例16中のポリマー混合物に対する処方物のEudragit(R)FS20質量%又は40質量%の割合から、pH7.5までの緩衝値変更の後に、明らかに促進された作用物質の放出の開始が明らかである。
【0090】
例20は、水不溶性ポリマーEudrgit(R)NE及び本発明による水溶性ポリマーEudragit(R)FSを含有している。この処方物は、pH1.2で120分後に、当初含有作用物質の8.1%のみが放出されているので、胃液抵抗性である。pH6.8までの緩衝値変更の後に、作用物質は300分の時点までに、迅速に100%まで放出されている。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の水不溶性ポリマーからのポリマーマトリックス中に埋包された薬剤学的に有効な物質を含有している、300〜1100μmの範囲の平均粒径を有するペレットであって、前記ポリマーマトリックスは付加的に陰イオンポリマー10〜90質量%を含有している、但し、このペレットは、USPによる放出試験において、pH1.2の人工胃液中で120分後には、含有作用物質の10%以下の量を放出し、pH6.8及び/又はpH7.5で更なる合計300分の後には、含有作用物質の少なくとも50%を放出することを条件としていることを特徴とする、ペレット。
【請求項2】
ペレット質量に対する作用物質割合は、0.1〜70質量%であることを特徴とする、請求項1に記載のペレット。
【請求項3】
ペレット質量に対するポリマーマトリックスの割合は、20〜99.9質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のペレット。
【請求項4】
ペレットは薬剤学的に慣用の助剤を含有していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のペレット。
【請求項5】
水不溶性ポリマーは、アクリル−又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステル98〜85質量%及び第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマー2〜15質量%からの重合体であるか又はこれら物質群の複数のポリマーの混合物であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のペレット。
【請求項6】
水不溶性ポリマーは、アクリル−又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステル93〜88質量%及び第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマー7〜12質量%からの重合体であることを特徴とする、請求項5に記載のペレット。
【請求項7】
水不溶性ポリマーは、アクリル−又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステル97〜93質量%及び第4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマー3〜7質量%からの重合体であることを特徴とする、請求項5に記載のペレット。
【請求項8】
水不溶性ポリマーは、請求項7のポリマー及び請求項8に記載のポリマーの比20対1〜1対20での混合物であることを特徴とする、請求項6又は7のいずれか1項に記載のペレット。
【請求項9】
水不溶性ポリマーは、エチルアクリレート20〜40質量%及びメチルメタクリレート60〜80質量%及びアクリル酸及び/又はメタクリル酸0〜5質量%からのコポリマーであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のペレット。
【請求項10】
水不溶性ポリマーは、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル−コポリマー、エチルセルロース又はメチルセルロースであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のペレット。
【請求項11】
陰イオンポリマーは、アクリル−又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステル25〜95質量%及び陰イオン基を有する(メタ)アクリレート−モノマー5〜75質量%からの重合体であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のペレット。
【請求項12】
陰イオンポリマー (メタ)アクリレートコポリマーは、メタクリル酸40〜60質量%及びメチルメタクリレート60〜40質量%又はエチルアクリレート60〜40質量%からの重合体であることを特徴とする、請求項11に記載のペレット。
【請求項13】
陰イオンポリマー (メタ)アクリレートコポリマーは、メタクリル酸20〜40質量%及びメチルメタクリレート80〜60質量%からの重合体であることを特徴とする、請求項11に記載のペレット。
【請求項14】
陰イオンポリマー (メタ)アクリレートコポリマーは、メチルメタクリレート10〜30質量%、メチルアクリレート50〜70質量%及びメタクリル酸5〜15質量%からの重合体であることを特徴とする、請求項11に記載のペレット。
【請求項15】
含有される薬剤学的に有効な物質は、薬剤学的作用物質又は栄養補助剤であることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載のペレット。
【請求項16】
次の薬剤学的に有効な物質1種:アカムプロサート、アセクロフェナク、アセメタシン、アセチルシステイン、アセチルサリチル酸、アセチルチロシン、アシピモックス、アシトレチン、アラニン、アレンドロン酸、アメトプテリン、アミノ酸、アモキシシリン、アンピシリン、アスコルビン酸、アトルバスタチン、アジドシリン、アズトレオナム、バカムピシリン、バクロフェン、ベナゼプリル、ベンダムスチン、ベンジルペニシリン、ベザフィブラート、ビオチン、ボルナプリン、ブメタニド、カバスチン、カンレノイン酸、カルバモイルフェノキシ酢酸、カルビドーパ、カルビマゾル、カルボシステイン、カリソプロドール、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファゾリン、セフェピム、セフェタメート、セフィキシム、セフォタキシム、セフォチアム、セフォキシチン、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフトリアキソン、セフロキシム、セチリジン、ケノデオキシコール酸、クロラムブシル、シドフォヴィル、シラスタチン、シラザプリル、シノキサシン、シプロフロキサシン、シサトラクリウム ベシラート、クラブラン酸、クロドロン酸、クロラゼパート、クロモグリシン酸、デスメニノール、ジクロフェナク、ジクロキサシリン、エノキサシン、エプロサルタン、エタクリン酸、エチドロン酸、エトフィリン、エトミダート、フェルビナク、フェロジピン、フェノフィブラート、フェキソフェナジン、フラボキサート、フレロキサシン、フルクロキサシリン、フルフェナミン酸、フルマゼニル、フルピルチン、フルビプロフェン、フルバスタチン、フォスフォマイシン、フォシノプリル、フロセミド、フシジン酸、ガバペンチン、ゲムフィブロジル、イバンドロン酸、イブプロフェン、イロプロスト、イミダプリル、イミペネム、インドメタシン、イリノテカン、イスラジピン、ケトプロフェン、レルカニジピン、レヴォドーパ、レヴォフロキサシン、リオチロニン、リポン酸、リシノプリル、リドキサミド、ロメフロキサシン、ロナゾラック、ロラカルベフ、ロラタジン、ロヴァスタチン、メフェナミン酸、メロペネム、メサラジン、メタミゾール、メトトレキサート、メチルドーパ、メズロシリン、モエキシプリル、モンテルカスト、モキシフロキサシン、ムピロシン、ナプロキセン、ナタマイシン、ナテグリニド、ネドクロミル、ニコチン酸、ニフェジピン、ニルヴァジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オルサラジン、オロト酸、オキサシリン、パミドロン酸、パンガム酸、ペニシラミン、フェノキシメチルペニシリン、ペントサンポリスルファート、ペリンドプリル、ペチジン、ピペミド酸、ピペラシリン、ピレノキシン、ピレタニド、プロベネシド、プログルミド、プロピシリン、プロスタグランジン、キナプリル、キナプリラート、ラミプリル、レパグリニド、レセルピン、リセドロン酸、サリチル酸、スルファサラジン、スピラプリル、スルバクタム、スルファサラジン、スルタミシリン、タザロテン、タゾバクタム、テルミサルタン、チアガビン、チアプロフェン酸、チリジン、チルドロン酸、トランドラプリル、トラネキサム酸、ヴァルプロイン酸、ヴィガバトリン、ヴィンカミン、ヴィンポセチン、ザナミヴィル、ゾレドロン酸、ゾピクロン並びにそれらの塩、異性体及び組合わせ物を含有していることを特徴とする、請求項15に記載のペレット。
【請求項17】
遅延化性ポリマーからの被覆を備えていることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載のペレット。
【請求項18】
ポリマー被覆は、ペレット質量に対して1〜10質量%であることを特徴とする、請求項17に記載のペレット。
【請求項19】
ペレットが多粒子剤形中に、殊にペレット含有錠剤、ミニ錠剤、カプセル、小袋又は乾燥ジュース中に含有されていることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項に記載のペレット。
【請求項20】
請求項1から18までのいずれか1項に記載のペレットを製造する方法において、薬剤学的に有効な物質、水不溶性ポリマー及び陰イオンポリマーを混合させ、ポリマーの、又はポリマー混合物の場合には、最大のガラス転移温度を有するポリマーのガラス化温度よりも少なくとも5℃上回る温度を、少なくとも10秒間作用させ、混合物を押出機中で押出し、排出させ、かつ熱細断及び引き続く丸味付けによって、300〜1100μmの範囲の平均粒径を有するペレットに丸めることを特徴とする、ペレットを製造する方法。
【請求項21】
ペレットの製造時に、ポリマーマトリックスに薬剤学的に慣用の助剤を添加することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
押出機中の加工処理温度は50〜200℃であることを特徴とする、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1から18までのいずれか1項に記載のペレットを含有している、多粒子剤形。
【請求項24】
多粒子剤形の製造のために使用する、請求項1から18までのいずれか1項に記載のペレットの使用。

【公表番号】特表2010−519236(P2010−519236A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550250(P2009−550250)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050124
【国際公開番号】WO2008/101743
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】