説明

胃瘻用シース、シース付きダイレータ、挿入補助具付き胃瘻用シース、胃瘻カテーテルキット、胃瘻用シースの分割方法

【課題】胃瘻造設術や胃瘻カテーテルの交換において、ボタン型胃瘻カテーテルを留置する際の挿入抵抗を低減させることが可能で、かつ内視鏡の送気コントロールを容易にし、術中の内視鏡の視野を安定化させることが可能な技術の提供。
【解決手段】胃瘻カテーテル2が挿入されるシース本体11と、持ち手12とを有し、胃瘻カテーテル2を瘻孔に挿入して体内留置する際に、先行して瘻孔に挿入しておくことで、胃瘻カテーテル2の挿入抵抗を低減する胃瘻用シース1、シース付きダイレータ、胃瘻カテーテルキット、胃瘻用シースの分割方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃瘻カテーテルを瘻孔に挿入して留置する胃瘻造設術やカテーテル交換に用いる胃瘻用シース、シース付きダイレータ、挿入補助具付き胃瘻用シース、胃瘻カテーテルキット、胃瘻用シースの分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
口から栄養を摂取できない患者に対する栄養の投与方法としては、一般的に経静脈的栄養投与、鼻からチューブを胃等に挿入して行う経胃管的栄養投与、および胃瘻からの経腸的栄養投与の3通りが行われている。
近年、経腸栄養剤とその投与法の発達により、経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG:Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)による経腸栄養管理が頻繁に行われるようになってきた。
【0003】
このPEGの設置方法には、従来から口腔より胃瘻チューブを挿入するPull法、及び、Push法と、体表からシースを介してチューブを挿入するIntroducer法、の3つの方法が一般的に広く知られている。
【0004】
Pull法及び、Push法においては、咽頭部を胃瘻チューブが通過するために胃瘻チューブを留置する部位の創部感染の可能性がある他、内視鏡を2回挿入する必要がある、といった欠点を有していた。一方、Introducer法は胃瘻チューブが咽頭部を通過しないため、上記創部感染の危険性が低く、また内視鏡も1回の挿入ですむが、ガイドワイヤを用いないで太い穿刺針を穿刺しなければならず、さらにシースを介して細径のバルーンカテーテルしか留置できないため、長期間の留置という面ではバルーンが縮小してしまい、管理が煩雑になるという欠点を有している。
【0005】
最近、太径のボタン型胃瘻カテーテルを、体外から腹壁に通して直接胃内に挿入留置する新たな手法が普及しつつある。
この方法では、腹壁及び胃壁を胃壁腹壁固定具と呼ばれる器具を用いて、縫合糸により固定し、ガイドワイヤ下でダイレータを用いて、腹壁及び胃壁に瘻孔を開け、その瘻孔にガイドワイヤ下でオブチュレータにより体内留置部を伸展した太径のボタン型胃瘻カテーテルを挿入し、カテーテルを留置する。
【0006】
この方法において使用されるボタン型胃瘻カテーテルは、栄養又は薬液を体外から胃内へ経皮的に導入するための導入通路として瘻孔に挿通状態に設置されるチューブ部と、該チューブ部の先端部に付設され弾性変形可能な複数本の帯状部材によって前記チューブ部の径方向外側に張り出すドーム状(より詳しくは籠状)に形成された体内留置部と、前記チューブ部の前記先端部とは反対側の端部(基端部)に付設されてチューブ部の径方向外側に張り出すように突設され体外側から体表面に当接される体外固定部とから構成されており、オブチュレータと呼ばれる伸展具を用いて、前記体内留置部を縮径状態に変形(チューブ部先端側の仮想延長方向に伸展)させて瘻孔への挿入抵抗を低減させるようになっている(例えば、特許文献1)。体内留置部は、胃内にてチューブ部の径方向外側に張り出した形状となることで、胃内に留置される。
【特許文献1】特許公開2006−296794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、瘻孔はチューブ部の外径とほぼ同程度の大きさであることが一般的であり、さらにダイレータによって新規な瘻孔を形成した時には、ダイレータを体内から抜去することで腹壁が瘻孔を埋めようとする方向に働き、胃瘻カテーテル挿入前にはより小さくなることが予測されうる。これに対し、ボタン型胃瘻カテーテルの体内留置部をオブチュレータによって縮径状態にしても、チューブ部よりも外径を小さくすることが現時点では難しい。そのため、ボタン型胃瘻カテーテルの挿入時には、体内留置部が瘻孔を押し拡げるようになり、挿入抵抗が大きくなる。
また、新規瘻孔形成時は内視鏡から充分な送気をして胃を膨らませた状態で行うことが通常の方法である。しかしながら、太径のボタン型胃瘻カテーテルを挿入するためには、ダイレータで大きな瘻孔を開けなければならず、ダイレータを抜いたときには、瘻孔を通じて内視鏡から送気された空気が逃げることがあるため、内視鏡の視野が悪くなる場合があり、しばしば送気コントロールが必要となる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ボタン型胃瘻カテーテルを留置する際の挿入抵抗を低減させることが可能で、かつ内視鏡の送気コントロールを容易にし、術中の内視鏡の視野を安定化させることが可能な胃瘻用シース、シース付きダイレータ、挿入補助具付き胃瘻用シース、胃瘻カテーテルキット、胃瘻用シースの分割方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1発明は、栄養液又は薬液を体外から胃内へ導入する通路を内部に有するチューブ部と、前記チューブ部の先端部に付設され前記チューブ部の径方向外側に張り出すドーム状に形成された体内留置部とを具備し、前記体内留置部が該体内留置部の伸展用のオブチュレータから与えられる伸展力の作用により縮径可能である胃瘻カテーテル、を瘻孔に挿入して留置する胃瘻造設術、胃瘻カテーテルの交換に用いられる胃瘻用シースであって、前記胃瘻カテーテルが挿入される円筒状のシース本体と、このシース本体の長手方向片端に突設された持ち手とを具備することを特徴とする胃瘻用シースを提供する。
第2の発明は、さらに、前記シース本体の前記持ち手側の端部である基端部にヒンジ部を介して回動自在に設けられて前記シース本体内側の貫通孔である内部通路内に配置され、前記ヒンジ部を中心とする回動によって前記シース本体の前記内部通路を開閉する蓋を具備し、前記シース本体には、前記蓋が、前記ヒンジ部を中心とする回動によって、シース本体の前記基端部とは反対側の端部である先端部側から当接される蓋当接部が設けられ、前記蓋は、前記内部通路を塞ぐ閉位置にて前記蓋当接部に当接されるとともに、前記閉位置からシース本体先端部側へ回動されることで前記内部通路を開放することを特徴とする第1の発明の胃瘻用シースを提供する。
第3の発明は、前記蓋当接部は、前記シース本体において前記内部通路を介して前記ヒンジ部と対向する側に設けられ、該蓋当接部に、前記蓋の前記ヒンジ部側とは反対側の端部が当接されることを特徴とする第2の発明の胃瘻用シースを提供する。
第4の発明は、前記持ち手が、前記ヒンジ部を介して前記シース本体の基端部に回動自在に設けられ、前記蓋は、前記持ち手から内部通路内に突出され、前記持ち手との一体的な回動によって前記シース本体の前記内部通路を開閉することを特徴とする第2又は第3の発明の胃瘻用シースを提供する。
第5の発明は、前記ヒンジ部が、前記蓋を、前記閉位置から開方向への回動を許容して前記閉位置に弾性支持する弾性支持部であることを特徴とする第2〜4のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第6の発明は、前記持ち手に付勢力を作用させて、前記蓋を前記閉位置から開方向への回動を許容して前記閉位置に弾性支持するための弾性支持部として機能する弾性部材を具備することを特徴とする第2〜5のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第7の発明は、さらに、前記持ち手に蓋ヒンジ部を介して設けられて前記シース本体内側の貫通孔である内部通路内に配置された蓋を具備し、前記持ち手は、前記シース本体の前記持ち手側の端部である基端部に前記蓋ヒンジ部とは別のヒンジ部を介して回動自在に設けられており、前記蓋は前記内部通路を閉じる閉位置に配置されており、しかも、前記蓋ヒンジ部を中心とする回動によって前記シース本体の前記内部通路を開閉可能とされていることを特徴とする第1の発明の胃瘻用シースを提供する。
第8の発明は、前記シース本体には、前記蓋が、前記蓋ヒンジ部を中心とする回動によってシース本体の前記基端部とは反対側の端部である先端部側から当接される蓋当接部が設けられ、前記蓋は、前記内部通路を塞ぐ閉位置にて前記蓋当接部に当接されるとともに、前記閉位置からシース本体先端部側へ回動されることで前記内部通路を開放することを特徴とする第7の発明の胃瘻用シースを提供する。
第9の発明は、前記ヒンジ部及び前記蓋ヒンジ部は、前記シース本体において前記内部通路を介して前記蓋当接部と対向する側に設けられ、該蓋当接部に、前記蓋の前記蓋ヒンジ部側とは反対側の端部が当接されることを特徴とする第8の発明の胃瘻用シースを提供する。
第10の発明は、前記蓋ヒンジ部が、前記持ち手から突出されて前記シース本体内に挿入され前記内部通路を介して前記蓋当接部と対向する側の内面に沿わせるように配置されたストッパ用突片の先端に設けられ、前記蓋に前記閉位置から開方向へ回動させる力が作用したとき前記ストッパ用突片が前記シース本体内面に押圧されて該ストッパ用突片の前記シース本体に対する回動が規制されることを特徴とする第7〜9のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第11の発明は、前記ストッパ用突片がゴム弾性を有する材質からなることを特徴とする第10の発明の胃瘻用シースを提供する。
第12の発明は、前記蓋ヒンジ部は、ゴム弾性を有する材質からなり、前記蓋を前記閉位置に弾性支持する蓋弾性支持部を構成していることを特徴とする第7〜11のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第13の発明は、前記蓋ヒンジ部と前記蓋とがゴム弾性を有する材質から一体に形成されていることを特徴とする第7〜12のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第14の発明は、前記持ち手の一部を構成する取付部と前記蓋ヒンジ部と前記蓋とが合成樹脂により一体に成形された一部品になっていることを特徴とする第7〜13のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第15の発明は、前記シース本体の前記内部通路の内面に、前記蓋を収納するための蓋収納用凹所が形成されていることを特徴とする第2〜14のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第16の発明は、前記シース本体の前記基端部に、シース本体がその径方向外側に拡張するように賦形された拡張部が形成されており、前記蓋収納用凹所が、前記拡張部の内側に前記内部通路を拡張するように確保された空間であることを特徴とする第15の発明の胃瘻用シースを提供する。
第17の発明は、前記持ち手の一部又は全部を構成する持ち手主片と、前記シース本体と、前記ヒンジ部とが、合成樹脂により一体に成形された一部品になっていることを特徴とする第1〜16のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第18の発明は、前記持ち手の前記ヒンジ部とは反対の側に、使用者が手指を挿入して把持することができる把持用リングが設けられていることを特徴とする第1〜17のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第19の発明は、前記シース本体に、該シース本体の長手方向に沿って延在する縦裂き用の切り欠き部が1本又は複数本形成されていることを特徴とする第1〜18のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第20の発明は、前記切り欠き部が、前記シース本体にその肉厚を非貫通として形成された切り欠き溝であり、前記切り欠き溝の溝底側に、前記シース本体の肉厚を局所的に薄くした非切断部が確保されていることを特徴とする第19の発明の胃瘻用シースを提供する。
第21の発明は、前記シース本体には、その前記基端部側の端面から窪むV字形の端部切り欠き部が形成されており、前記切り欠き溝が前記端部切り欠き部の奥底部から前記シール本体の先端側に向けて延在するように形成されていることを特徴とする第20の発明の胃瘻用シースを提供する。
第22の発明は、前記切り欠き部が、前記シース本体の長手方向に沿って延在形成されたスリットであり、前記スリットは、前記シース本体の長手方向全長よりも短い長さでシース本体の長手方向の一部に形成され、前記シース本体は、前記スリットの仮想延長上に、前記スリットが形成されていない非切断部を有することを特徴とする第19の発明の胃瘻用シースを提供する。
第23の発明は、前記非切断部の少なくとも一つを破壊させるために、前記シース本体内面に作用させる荷重が0.5N以上5N以下であることを特徴とする第20〜22のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第24の発明は、前記切り欠き部は、その断面形状が、前記シース本体の内面側から外面側に行くに従って開口幅が拡大する楔形に形成されていることを特徴とする第19〜23のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第25の発明は、前記切り欠き部が、前記シース本体のレーザ加工によって形成されたものであることを特徴とする第19〜24のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第26の発明は、前記シース本体がFEPを含む材質によって形成され、該シース本体の前記切り欠き部が形成された部位が前記レーザ加工により白化されていることを特徴とする第25の発明の胃瘻用シースを提供する。
第27の発明は、前記持ち手が、前記シース本体の周方向において前記切り欠き部を避けた位置に設けられていることを特徴とする第19〜26のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第28の発明は、前記切り欠き部は、前記シース本体の周方向の1箇所のみに形成され、前記持ち手が1つであることを特徴とする第27の発明の胃瘻用シースを提供する。
第29の発明は、前記シース本体が、長手方向に配向性を有するものであることを特徴とする第1〜28のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第30の発明は、前記シース本体の基端部側の端面が、該シース本体の軸心に対して斜めに形成されていることを特徴とする第1〜29のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第31の発明は、前記シース本体の内径が前記胃瘻カテーテルのチューブ部外径よりも大きいことを特徴とする第1〜30のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第32の発明は、前記シース本体の材質は、フッ素系樹脂を含むものである第1〜31のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第33の発明は、前記フッ素系樹脂は、PTFE、ETFE、FEPのいずれか1つを含むものであることを特徴とする第32の発明の胃瘻用シースを提供する。
第34の発明は、前記シース本体が、瘻孔形成用のダイレータに挿脱可能に外挿できることを特徴とする第1〜33のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第35の発明は、前記ダイレータが、その長手方向に貫通するガイドワイヤ通路を有するものであることを特徴とする第34の発明の胃瘻用シースを提供する。
第36の発明は、前記ダイレータは、その外周面に、胃壁内面と体表面との間の距離を測定するための目盛が設けられていることを特徴とする第34又は35の発明の胃瘻用シースを提供する。
第37の発明は、前記シース本体が、その外側から前記ダイレータの前記目盛を目視可能な透明性を有することを特徴とする第36の発明の胃瘻用シースを提供する。
第38の発明は、前記ダイレータが、前記ガイドワイヤ通路を内部に有する細径ダイレータと、この細径ダイレータに外挿して前記細径ダイレータに組み付けられた太径ダイレータとを一体化したものであることを特徴とする第34〜37のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第39の発明は、前記シース本体の内径が、前記胃瘻カテーテルの体内留置部がオブチュレータから与えられる伸展力によって縮径状態にあるときの最大外径よりも小さいことを特徴とする第1〜38のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第40の発明は、前記シース本体は、前記オブチュレータによって前記体内留置部が縮径状態とされた前記胃瘻カテーテルの挿入によって縦裂き可能であることを特徴とする第39の発明の胃瘻用シースを提供する。
第41の発明は、前記シース本体が伸び変形可能な材質により、径方向に拡径可能に構成されていることを特徴とする第1〜40のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第42の発明は、前記シース本体の内径が、前記胃瘻カテーテルの体内留置部がオブチュレータから与えられる伸展力によって縮径状態にあるときの最大外径よりも大きいことを特徴とする第1〜38のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第43の発明は、前記シース本体は、外観棒状に形成されたシース挿入補助具を挿脱可能に内挿できるように構成されており、前記シース挿入補助具は、棒状本体と、該棒状本体の長手方向の片端に突設された先細り形状のテーパ状先端部とを具備することを特徴とする第1〜42のいずれかの発明の胃瘻用シースを提供する。
第44の発明は、前記シース挿入補助具が、その長手方向に貫通するガイドワイヤ挿通孔を有するものであることを特徴とする第43の発明の胃瘻用シースを提供する。
第45の発明は、前記シース挿入補助具が瘻孔形成用のダイレータとして使用可能なものであることを特徴とする第43又は44の発明の胃瘻用シースを提供する。
第46の発明は、瘻孔形成用のダイレータに、第1〜45のいずれかの発明の胃瘻用シースが外挿されていることを特徴とするシース付きダイレータを提供する。
第47の発明は、第1〜45のいずれかに記載の胃瘻用シースの前記シース本体に、棒状本体の長手方向の片端に先細り形状のテーパ状先端部に突設されてなるシース挿入補助具が内挿されてなることを特徴とする挿入補助具付き胃瘻用シース。
第48の発明は、患者に対し栄養液又は薬液を体外から胃内へ経皮的に補給するための胃瘻カテーテルと、オブチュレータと、第1〜45のいずれかの発明の胃瘻用シースあるいは第46の発明のシース付きダイレータとを備える胃瘻カテーテルキットであって、前記胃瘻カテーテルは、栄養液又は薬液を体外から胃内へ導入する通路を内部に有するチューブ部と、前記チューブ部の先端部に付設され前記チューブ部の径方向外側に張り出すドーム状に形成された体内留置部とを具備し、前記体内留置部が該体内留置部の伸展用のオブチュレータから与えられる伸展力の作用により縮径可能であり、前記第1〜45のいずれかの発明の胃瘻用シース及び第46の発明のシース付きダイレータの胃瘻用シースは、瘻孔に挿入された状態で、前記オブチュレータによって前記体内留置部を縮径状態とした前記胃瘻カテーテルが挿入されることを特徴とする胃瘻カテーテルキットを提供する。
第49の発明は、前記オブチュレータは、外筒と、この外筒に該外筒の長手方向に移動可能として内挿されたロッド本体を有する伸展用押圧棒と、前記胃瘻カテーテルを前記外筒に係止するためのストッパーを具備し、前記胃瘻カテーテルを前記ストッパによって前記外筒に係止した状態で、前記伸展用押圧棒の前記ロッド本体の前記外筒から突出させた先端を、前記胃瘻カテーテルの前記体内留置部内に挿入して前記体内留置部の最先端部を押圧することで前記体内留置部を伸展させることを特徴とする第48の発明の胃瘻カテーテルキットを提供する。
第50の発明は、前記胃瘻カテーテルおよび前記オブチュレータはガイドワイヤ通路を有し、前記オブチュレータは、前記胃瘻カテーテルに内挿されたガイドワイヤに外挿した状態で、前記胃瘻カテーテルの体内留置部を縮径可能に構成されていることを特徴とする第48又は49の発明の胃瘻カテーテルキットを提供する。
第51の発明は、さらに、交換用の胃瘻用シースとして第1〜45のいずれかの発明の胃瘻用シースを具備し、胃瘻用シースは、瘻孔に挿入された状態で、前記オブチュレータによって前記体内留置部を縮径状態とした前記胃瘻カテーテルが挿入されるすることを特徴とする第48〜50のいずれかの発明の胃瘻カテーテルキットを提供する。
第52の発明は、前記交換用の胃瘻用シースを用いて構成された請求項47記載の挿入補助具付き胃瘻用シースを具備することを特徴とする第51の発明の胃瘻カテーテルキットを提供する。
第53の発明は、前記第1〜45のいずれかの発明の胃瘻用シースの前記シース本体に、該シース本体の内径よりも外径が大きい医療器具を挿入することによって、前記シース本体の周方向の1又は複数箇所を該シース本体の長手方向全長にわたって分断することを特徴とする胃瘻用シースの分割方法を提供する。
第54の発明は、前記医療器具が、前記オブチュレータからの伸展力によって前記体内留置部を縮径状態にした前記胃瘻カテーテルであり、縮径状態にした前記体内留置部の最大外径が前記シース本体の内径よりも大きいことを特徴とする第53の発明の胃瘻用シースの分割方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ボタン型胃瘻カテーテルを留置する際の挿入抵抗を低減させることが可能である。
また、シース本体の基端部に着脱可能に嵌合する栓部材を用いてシース本体の内部通路を開閉したり、胃瘻用シース自体を、シース本体の内部通路を開閉する前記栓部材として機能する蓋を具備する構成(第2の発明)とすることにより、内部通路を容易に開閉できるようになる。これにより、内視鏡の送気コントロールを容易にし、術中の内視鏡の視野を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施した胃瘻用シース、シース付きダイレータ、胃瘻カテーテルキット、胃瘻用シースの分割方法の例を挙げ、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて説明する。
なお、以下の説明では上下方向を規定しているが、これは本発明の構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定したものであり、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
また、すべての図面において、共通する構成要素には同一符号を付し、以下の説明において詳細な説明を適宜省略する。また、図中で上側を上端側、下側を下端側とした。
【0012】
図1、図2は、本発明の胃瘻用シース1の蓋13が閉じた状態での一実施例を示すものであり、図1(a)は斜視図、図1(b)は断面図、図2(a)は上面図、図2(b)は正面図、図2(c)は右側面図、図2(d)は背面図、図2(e)は下面図を示す。
【0013】
この胃瘻用シース1は、胃瘻造設術において、ダイレータを用いて形成した瘻孔に内挿される(図21参照)。そして、この内挿状態において、胃瘻カテーテルが挿入される。
図1(a)、(b)、図2(a)〜(e)に示すように、胃瘻用シース1は、円筒状のシース本体11(シースチューブ)、持ち手12、蓋13とから構成される。
【0014】
シース本体11は、内部に胃瘻カテーテル(胃瘻用ボタン。図6(a)等を参照)を挿入するための内部通路113を有する。さらに、この内部通路113は、胃瘻用ボタンを留置するための穴(以下、瘻孔と称する)を形成するために、胃瘻用シース1(詳細にはシース本体11)を図12(a)に示すダイレータに被せるためにも用いられる。
【0015】
持ち手12は、胃瘻用シース1の上端側に設けられている。持ち手12は胃瘻用ボタンを挿入するときに、胃瘻用シース1の把持に利用できる。
この持ち手12は、シース本体11の長手方向片端(シース本体11の持ち手12側の端部。以下、基端部とも言う。図1(a)、(b)における上端部)から延出された舌片状の持ち手主片114に、第1持ち手部材121、第2持ち手部材122を固定した構成になっている。第1持ち手部材121と第2持ち手部材122とは、板状部材であり、両者の間に持ち手主片114を挟み込むようにして、持ち手主片114に固着して、一体化されている。持ち手12は、シース本体11の基端部から延出する舌片状になっている。
【0016】
持ち手主片114は、シース本体11を樹脂製チューブから切り出して製造する際に、シース本体11とともに樹脂製チューブから切り出した部分であり、シース本体11と一体に成形されており、シース本体11から連続している。また、この持ち手主片114を挟み込んだ第1持ち手部材121と第2持ち手部材122との間に接着剤を塗布することにより、持ち手の取り付け強度を確保することができる。
なお、第1持ち手部材121と第2持ち手部材122とは、互いに別々の部材として構成されていても、一体成形により形成されていてもどちらでも構わない。
また、持ち手12は、その全体が、持ち手主片114のみによって構成された構造であっても良い。
【0017】
持ち手12は、シース本体11と該シース本体11から連続する舌片状の延出部分である持ち手主片114との間の境界部を中心として、シース本体11に対して回動させることができる。つまり、前記境界部が、持ち手12のシース本体11に対する回動を可能にするヒンジ部116として機能する。持ち手12は、ヒンジ部116を介して、シース本体11に対して回動自在に設けられている。
【0018】
ヒンジ部116を中心とする持ち手12の回動は、シース本体11の軸心(内部通路113の中心軸線。図1(b)中、符号C1)に対して垂直の方向の回動軸線回りの回動である。持ち手12は、ヒンジ部116を中心として、図1(b)中、矢印Aのように回動する。
【0019】
なお、ヒンジ部116としては、例えば、前記境界部に切り込みを入れる、切削加工による薄肉化、熱板あるいは熱線の押し当てによる薄肉化、等の加工を行って、屈曲しやすくしても良い。
また、シース本体11,ヒンジ部116、持ち手主片114が一体になっている樹脂成形品は、金型成形により得ることも可能である。
【0020】
この持ち手12は、後述のように、シース本体11の内側を貫通する貫通孔である内部通路113を開閉する蓋13と一体的に回動できる。
蓋13について説明する。
図1(a)、(b)、図2(a)〜(e)等に示す図示例の胃瘻用シース1において、蓋13は、具体的には、持ち手主片114に固定された第1持ち手部材121を、持ち手12からシース本体11の内部通路113内に張り出すように延長した舌片状部分である。この蓋13は、シース本体11の内部通路113内に配置されている。
【0021】
前記第1持ち手部材121は、持ち手主片114の上面(図1(a)、(b)の実線で示す状態(蓋閉じ状態)における上面)、すなわち、ヒンジ部116を介して、シース本体11内面と連続する側の面に設けられている。蓋13は、ヒンジ部116から、シース本体11の軸心に垂直の仮想垂直面に対して、シース本体11の先端部(シース本体11の長手方向において持ち手12側の基端部とは反対の側の端部。図1(a)、(b)においては下端部)側に傾斜させて、シース本体11の内部通路113内に延出されている。
【0022】
蓋13は、内部通路113内にて、ヒンジ部116を中心として回動する。蓋13のヒンジ部116による回動軸線は、シース本体11の基端部の口縁部に位置する。
この蓋13のヒンジ部116を中心とする回動半径は、シース本体11の内部通路113の内径D(後述の拡張部115が形成されていない部分の内径)よりも大きい。
【0023】
また、図示例の胃瘻用シース1にあっては、詳細には、シース本体11の基端部の周方向の一部をシース本体11の径方向外側に拡張するように賦形した拡張部115(賦形部)が形成されている。ヒンジ部116は拡張部115に設けられてシース本体11の基端部の口縁部に位置し、内部通路113を拡張するように拡張部115の内側に確保された空間(内側空間115a)の寸法分だけ、シース本体11の軸心(内部通路113の中心軸線C1)からの距離が、内部通路113の半径よりも大きくなっている。
【0024】
拡張部115は、シース本体11の側部に張り出すようにして、断面コ字形(シース本体11の軸心に垂直の断面がコ字形)に形成されており、ヒンジ部116は、シース本体11の軸心(内部通路113の中心軸線C1)から、拡張部115の内側空間115aを介して奥側に位置する奥壁部115bに設けられている。但し、蓋13のヒンジ部116を中心とする回動半径、すなわち、蓋13のヒンジ部116から延出してシース本体11の内部通路113内に挿入されている部分の先端と回動中心との間の距離は、シース本体11の内部通路113の半径と、シース本体11の軸心(中心軸線C1)から拡張部115の奥壁部115bまでの距離L1との合計よりも大きい。
【0025】
図1において、符号117は、蓋13の先端が当接される蓋当接部である。
この蓋当接部117は、シース本体11の基端部において、内部通路113を介してヒンジ部116とは反対の側に位置する部位である。この蓋当接部117には、前記蓋13の先端が、前記ヒンジ部116を中心とする回動によって、シース本体11の先端部側から当接される。蓋13は、その先端が蓋当接部117に当接した位置が、内部通路113を塞ぐ閉位置とされている。蓋当接部117は、蓋13が当接することで、閉位置からシース本体11の先端部とは反対の方向への蓋13の回動を規制するストッパ部として機能する。これにより、蓋13が、シース本体11の基端部における内部通路13の開口部から飛び出ることは無く、蓋13は、胃瘻用シース1内のみで存在する。
【0026】
なお、蓋当接部117は、必ずしも、シース本体11の基端部において、内部通路113を介してヒンジ部116とは反対の側に位置する部位のみとする必要は無く、蓋13の形状によっては、例えば、シース本体の基板部全体が蓋当接部として機能する構成等も採用可能である。
【0027】
前記蓋13は、ヒンジ部116に付与した曲げ癖によって、閉位置に支持されるようになっている。また、蓋13は、ヒンジ部116に付与した曲げ癖によって、蓋当接部117に付勢して当接(つまり、ヒンジ部116の弾性による付勢)されることがより好ましい。
【0028】
すなわち胃瘻用シース1に力のかかっていない自然状態においては、図1に示すように、蓋13が閉まった状態になる。ヒンジ部116は、蓋13を閉位置に弾性支持する弾性支持部として機能しており、蓋13がヒンジ部116を中心とする回動によって蓋当接部117から離隔されたときには、ヒンジ部116の弾性によって、蓋13に、閉位置に復帰させる付勢力が作用することとなる。このように形成することで、胃瘻用シース1の持ち手12を手で把持していないときは、蓋13で内部通路113を塞ぐことが可能となる。
【0029】
このように、蓋13で内部通路113が塞がれる構成であれば、後述のように、術中において、内視鏡から胃内に供給した空気の流出を防ぐことができる。また、シース1内への埃等の異物の浸入を防ぐことができることも言うまでも無い。
【0030】
蓋13を閉位置に弾性支持する弾性支持部として機能するヒンジ部116の構造としては、ヒンジ部116の弾性を高めるために、例えば、ヒンジ部116を円弧状に形成して板ばね状に機能させる、といったことも可能である。
【0031】
また、ヒンジ部116とは別に、例えば、図5(a)、(b)のように、シース本体11基端部の外側に配置されて、持ち手12にシース本体11基端部の外周面に引き寄せる方向の付勢力を作用させる弾性部材14を、蓋13を閉位置に弾性支持する弾性支持部として、別途設けることも可能である。この場合、ヒンジ部116としては、弾性支持部として機能し得るものである必要は無く、シース本体11に対して持ち手12、蓋13を回動自在に設ける機能を持つものであれば足りる。
【0032】
なお、前記弾性部材14としては、例えば、シース本体11基端部からその径方向外側に延出されて持ち手12に連結された伸縮部材(例えば、シリコーンゴム製の伸縮部材、コイルスプリング等)を引きばね的に用いた構成や、シース本体11基端部外面と持ち手12とに固定されて前記持ち手12にシース本体11基端部の外周面に接近させる方向の付勢力を作用させる板ばね等、各種構成を採用可能である。
【0033】
図5(a)、(b)は、弾性部材14としてシリコーンゴム製の伸縮部材を採用し、持ち手12のヒンジ部116側の端部(根元付近)に、板状の該持ち手12に対して傾斜してシース本体11の先端部側に向けて突設した傾斜片123と、シース本体11の基端部とを、前記弾性部材14を用いて連結した構成を例示している。持ち手12の一部である傾斜片123は、蓋13が閉位置にあるときにシース本体11の基端部に近接配置され、蓋13が閉位置から開方向へ回動されると、ヒンジ部116を中心とする持ち手12の回動に伴って、シース本体11の基端部から離隔される。
【0034】
この構成において、傾斜片123が、蓋13が閉位置にあるときの該傾斜片123の位置(以下、再接近位置とも言う)からヒンジ部116を中心とする回動によって移動し、前記再接近位置から離隔すると、弾性部材14が引き延ばされる(伸び変形。伸び方向の弾性変形)。引き延ばされた弾性部材14は、引きばねとして機能し、持ち手12(詳細には傾斜片123)に、前記再接近位置に引き戻す付勢力を作用させる。この付勢力が、蓋13を閉位置に弾性支持するための弾性力として機能する。
【0035】
なお、本発明は、上述のように、蓋13を閉位置に弾性支持する機能を持つヒンジ部116を採用して、胃瘻用シース1に力のかかっていない自然状態において弾性支持部によって蓋13が閉まった状態になる構成であることがより好ましいが、蓋13を閉位置に弾性支持する機能を持たず、蓋13によって内部通路113を閉じた状態を持ち手12の操作によって実現できるようにしたヒンジ部116を採用した構成を排除するものでは無い。この場合、持ち手12の操作によって、蓋13が内部通路113を閉じた状態を実現することで、術中に内視鏡から胃内に供給した空気の圧力自体によって、蓋13が内部通路113を閉じた状態を維持する、ようにしてもよい。
【0036】
蓋13が胃瘻用シース1の内部通路113を塞ぐことにより、ダイレータ5で拡張した瘻孔から、ダイレータを抜去し、胃瘻用ボタン2を挿入するまでの間、経口で胃内に挿入した内視鏡から供給した空気の胃内からの漏れを低減させることが可能となる。
この蓋13の閉じた状態においては、必ずしも先端部側から基端側への空気の流出を完全に阻止する気密性を確保する必要はなく、内視鏡の視野が悪くならない程度に、内視鏡から胃内に送気した空気の漏れ(以下、送気漏れとも言う)を防止できればよい。完全に送気漏れを防止できるように蓋13が形成されていれば、さらに望ましい。
【0037】
図3(a)は、蓋13が開いた状態での胃瘻用シース1の斜視図、図3(b)は同断面図を示す。また、図4(a)は本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の上面図、図4(b)は本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の正面図、図4(c)は本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の右側面図、図4(d)は本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の背面図図4(e)は本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の下面図を示す。
【0038】
蓋13が開いた状態のときは、胃瘻用ボタン2、ダイレータ5を挿入するルートを遮断しないように内部通路113を維持する必要があるために、例えば、シース本体11に拡張部115を設けるなどして、閉位置から回動した蓋13を収納するために、内部通路113内面から窪む蓋収納用凹所を確保することが望ましい。図示例では、拡張部115の内側空間115aを、閉位置から回動された蓋13を収納するための蓋収納用凹所として機能させている。
これにより、胃瘻用ボタン2、ダイレータ5をシース本体11に挿入する際の挿入抵抗を低減できる。
【0039】
図6(a)〜(c)、図7は、本発明の胃瘻用シース1と共に用いられる胃瘻カテーテル2(以下、胃瘻用ボタンとも言う)の一実施例を示す。
図6の(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は下面図、図7は正断面図である。
【0040】
これら図に示したように、胃瘻用ボタン2は、チューブ部21と体内留置部22と体外固定部23とを具備して構成されている。
体内留置部22は、チューブ部21の長手方向一端側(以下、先端側)、体外固定部23はチューブ部21の長手方向他端側(以下、基端側)に設けられている。
【0041】
さらに詳しくは、チューブ部21の内側を貫通する貫通孔は、栄養剤(栄養液)や薬液等を入れるための通路24として機能する。体外固定部23には、この通路24に栄養剤などを入れないときに、体内と体外を遮断するために、この通路24を塞ぐキャップ28が付設されている。キャップ28は、体外固定部23に延設された帯状の可撓片231の先端に設けられており、チューブ部21の通路24の開口部に対して着脱可能に嵌合される。
また、チューブ部21の先端部には、胃内からの逆流を防止するための、弁25が設けられている。
【0042】
体内留置部22は、弾性変形可能な複数本(図示例では4本)の帯状片221を、チューブ部21の中心軸線21C(詳細には、中心軸線21Cを先端側に延長した部分)を取り囲むように、その周囲に配置した構成になっている。
【0043】
各帯状片221は、その長手方向一端が、チューブ部21先端に一体的に設けられた基端側集束部222から延出され、長手方向他端が、基端側集束部222から離隔させて、チューブ部21の中心軸線21C(詳細には、中心軸線21Cを先端側に延長した部分)上に配置された先端側集束部223(体内留置部22の最先端部)にて一体化されている。そして、体内留置部22は、基端側集束部222と先端側集束部223との間にて、それぞれ弓形に湾曲して形成されている複数本の帯状片221によって、全体としてドーム状(丸籠状)に構成されている。
【0044】
基端側集束部222からは、これら複数本の帯状片221の長手方向一端部が放射状に延出され、先端側集束部223からは、これら複数本の帯状片221の長手方向他端部が放射状に延出されている。
また、この体内留置部22の外径は、基端側集束部222と先端側集束部223との間の中間部が最大となっている(最大外径)。
【0045】
胃瘻用ボタン2は、合成樹脂製の一体成形品であることが望ましい。
体内留置部22の基端側集束部222及び先端側集束部223は、それぞれ、複数本の帯状片221の長手方向の端部が集合一体化された構造になっている。
【0046】
図8は、胃瘻用ボタン2の径方向外側に拡径された張り出し状の体内留置部22を伸展させて、縮径状態に変化させるために用いるオブチュレータ3を示す図であって、(a)は側断面図(図8(b)の左側断面図)、(b)は正面図、(c)は側面図((b)の右側面図)である。
なお、図8(a)〜(c)において、上側をオブチュレータ3の基端側、下側をオブチュレータ3の先端側として説明する。
【0047】
図8(a)〜(c)に示すように、オブチュレータ3は、伸展用押圧棒31と外筒32とスプリング312とストッパー33とを具備して構成されている。
【0048】
伸展用押圧棒31は、操作部311、ロッド本体313、ロック片316とからなる。符号317は、ロッド本体313の先端部、314はロッド本体313の先端部317に設けられた補強部材である。また、符号315は、ロッド本体313の長手方向に沿って形成されたワイヤ挿通溝(ガイドワイヤ通路)である。
操作部311は、ロッド本体313に固定して付設されている。
【0049】
外筒32は、筒状部321、指掛け322、嵌合部323、溝324、溝孔325、ロック孔326とを有して構成されている。指掛け322、嵌合部323、溝324、溝孔325、ロック孔326は、筒状部321に設けられている。
【0050】
スプリング312は、伸展用押圧棒31を、該伸展用押圧棒31の先端(詳細にはロッド本体313の先端)の外筒32先端からの突出量を減少する方向に付勢するものである。このスプリング312は具体的にはコイルスプリングであり、ロッド本体313に外挿されている。
【0051】
外筒32の筒状部321の内部には、伸展用押圧棒31のロッド本体313が外筒32の長手方向に摺動可能に設けられており、伸展用押圧棒31は、外筒32に対してその長手方向に移動可能になっている。
【0052】
このオブチュレータ3においては、ロッド本体313の、外筒32の長手方向一端部(基端部)から突出した部分(基端部。伸展用押圧棒31の基端部としても機能する)に固定されている操作部311を、外筒32への押し込み方向に押すことにより、伸展用押圧棒31が外筒32の長手方向に沿って移動して、ロッド本体313先端の外筒32先端からの突出量が増大する。図示例では、ロッド本体313の先端部317は、操作部311の押し込み操作前(初期状態)は、外筒32先端から突出されているが、突出されていなくても良い。
【0053】
操作部311の押し込み操作により外筒32に対して伸展用押圧棒31が移動することに伴い、伸展用押圧棒31のロック片316が外筒32の溝324から外筒32の内部を通って、外筒32のロック孔326へ嵌合して、外筒32に対する伸展用押圧棒31の移動が阻止される(このときの状態を以下、突出状態とも言う)。ロック片316は、ロッド本体313内に組み込まれたスプリングの付勢力によって付勢されて、ロッド本体313の側面に突設されており、ロッド本体313への押し込み操作が可能である。
【0054】
前記突出状態では、伸展用押圧棒31先端(ロッド本体313先端)の外筒32先端からの突出量が維持される。この突出状態で、ロック片316を押して、外筒32のロック孔326と嵌合を解除すると、スプリング312の付勢力によって伸展用押圧棒31が外筒32に対して移動して、前記ロック片316が外筒32のロック孔326から溝324へ移動し、初期状態へ戻る。
初期状態は、突出状態に比べて、ロッド本体313先端の外筒32先端からの突出量が小さい(突出していない状態を含む)状態である。
【0055】
スプリング312は、この突出状態から初期状態への切り替わりをロック片316を押すだけで行うために、伸展用押圧棒31に設けられている。
図示例では、スプリング312はコイルスプリングであり、ロッド本体313の基端部に外挿して操作部311と外筒32の基端部との間に配置されているが、突出状態から初期状態への切り替わりをロック片316を押すだけで行うためのスプリング312の配置、構成は、図示例のものに限定されない。
【0056】
図10(a)、(b)に示すように、オブチュレータ3は、初期状態で胃瘻用ボタン2と嵌合した後、突出状態とする。突出状態とすることで、ロッド本体313の先端部317が、胃瘻用ボタン2の先端側集束部223の体内留置部22内面側に設けられているロッド当接部27(図7参照)を押圧して、基端側集束部222から離隔させる。図7に示すように、ロッド当接部27は、先端側集束部223の体内留置部22内面側、基端側集束部222に対面する位置に、先端側集束部223に一体的に形成された壁部(ロッド当接壁)である。図7において、具体的には、ロッド当接部27は、先端側集束部223の体内留置部22内面側、基端側集束部222に対面する位置を肉盛りした形状になっており、先端側集束部223と連続し先端側集束部223と一体になっている。
このため、胃瘻用ボタン2と嵌合したオブチュレータ3(初期状態のオブチュレータ3)を突出状態とすると、先端側集束部223及びロッド当接部27が基端側集束部222から離隔される。その結果、胃瘻用ボタン2の体内留置部22が、伸展されて縮径状態になる。
伸展用押圧棒31は、前記胃瘻カテーテル2の前記体内留置部22内に挿入して前記体内留置部22のロッド当接部27を押圧することで前記体内留置部22を伸展させるための部材として機能する。
【0057】
ロッド当接壁27は、先端側集束部223を補強する補強壁としても機能する。
図7に示すように、ロッド当接部27は、補強部材272で補強されており、オブチュレータ3によって体外留置部22に伸展力を作用させるとき、オブチュレータ3のロッド本体313の先端部317が先端側集束部223を突き破って突き抜けることがなく、体内留置部22を縮径状態で体内に容易且つ確実に挿入できる点で好ましい。また、補強部材272による補強は、ロッド当接部27及び前記先端側集束部223を貫通する小孔である連絡路26(後述)の形状維持の点でも好ましい。
補強部材272の材質は例えば、金属、強化繊維、強化プラスチック等が挙げられるが、補強部材272はメッシュ状であることが望ましい。この補強部材272は、例えば、図7に例示したようにロッド当接部27中への埋め込み、ロッド当接部27表面(胃瘻用ボタン2のチューブ部21先端に対面する面)への固定(例えば接着固定)等によって、ロッド当接部27に一体化して設けられる。
補強部材272はメッシュ状にすることで伸展しやすくなる。補強部材272を伸展しやすい構成とすることは、体内留置部22の縮径化の点で好ましい。
【0058】
なお、胃瘻用ボタン2の体内留置部22の先端部には、ガイドワイヤ4を体内留置部22の先端部から胃瘻用ボタン2内に引き込むために、前記ロッド当接部27及び前記先端側集束部223を貫通する小孔である連絡路26が形成されている。この連絡路26は、チューブ部21の中心軸線21C(詳細には、中心軸線21Cを先端側に延長した部分)上にて、前記ロッド当接部27及び前記先端側集束部223に貫設されている。
また、図7中、符号271は、前記ロッド当接部27の外周部に環状に突設されたロッド嵌合突起である。このロッド嵌合突起271は、胃瘻用ボタン2のチューブ部21の中心軸線21C(詳細には、中心軸線21Cを先端側に延長した部分)と同軸状に、ロッド当接部27における前記連絡路26の開口部を囲繞するリング状に形成されている。図10(a)に示すように、オブチュレータ3を胃瘻用ボタン2と嵌合したとき、オブチュレータ3のロッド本体313は、その先端部317がロッド嵌合突起271の内側に挿入、嵌合されて、ロッド当接部27に対して位置決め、つまり、連絡路26と同軸上となるように位置決めされる。
【0059】
オブチュレータ3の胃瘻用ボタン2に対する嵌合は、具体的には、胃瘻用ボタン2のチューブ部21の通路24に体外固定部23側から挿入して胃瘻用ボタン2に嵌合する。オブチュレータ3は、その先端側から、チューブ部21に挿入していく。
オブチュレータ3は、胃瘻用ボタン2に嵌合すると、外筒32の外周面がチューブ部21の通路24内面に接して、がたつかないように位置決めされる。また、外筒32の先端から突出されているロッド本体313の先端部が、チューブ部21の体内留置部22側の端部に設けられている弁25(図7参照)を介して、体内留置部22内に挿入され、体内留置部22のロッド当接部27に対して当接あるいは近接配置される。
【0060】
前記弁25は、合成樹脂によって、チューブ部21の体内留置部22側の端部の開口部を塞ぐ弾性変形可能な傘形に形成されており、その頂部にスリット251が設けられている。ロッド本体313の先端は、前記スリット251に割り込ませるようにしてチューブ部21の通路24から体内留置部22内に押し込まれ、胃瘻用ボタン2のチューブ部21の中心軸線21C(図7参照)に同軸に配置される。これにより、突出状態時に、ロッド当接部27を押圧して、体内留置部22を伸展させることができる。
【0061】
図8(b)に示すように、オブチュレータ3のロッド本体313の先端部317は、胃瘻用ボタンを伸展する際に、大きな荷重がかかるために、補強部材314が付設されている。図示例において、補強部材314は、薄肉の補強スリーブである。
【0062】
図11に示すように、ロッド本体313のワイヤ挿通溝315(図8(a)、図9(a)、(b)参照)は、ロッド本体313の先端からロッド本体313の基端部に向かってロッド本体313の長手方向に沿って形成されている。このワイヤ挿通溝315には、ロッド本体313の先端に開口する開口部からガイドワイヤ4を挿入できる。
さらに、このワイヤ挿通溝315は、オブチュレータ3の伸展状態及び収納状態のいずれの状態においても、外筒32に設けられた溝孔325を介して、常時、外筒32の外側から見えるように露呈されている。外筒32の溝孔325は、胃瘻用ボタン2からワイヤ挿通溝315に挿入されたガイドワイヤ4の出口となる。
【0063】
外筒32には、指掛け322が突設されており、オブチュレータ3は、この指掛け322によって、使用者が手指で容易に把持できるように構成されている。
さらに、外筒32の外周部には、後述するストッパー33の嵌合固定用の嵌合部323が設置されている。
【0064】
前記ストッパー33は、オブチュレータ3に対して胃瘻用ボタン2を係止するための係止部材として機能するものである。このストッパー33によってオブチュレータ3に対して胃瘻用ボタン2を係止することで、胃瘻用ボタン2に嵌合したオブチュレータ3を初期状態から突出状態にしたときに、オブチュレータ3に対する胃瘻用ボタン2の移動を阻止して、伸展用押圧棒31のロッド本体313が体内留置部22のロッド当接部27を押圧する押圧力を、体内留置部22の伸展力として体内留置部22に確実に作用させることができる。
【0065】
オブチュレータ3の嵌合部323は、オブチュレータ3の外筒32の両側に、該外筒32の長手方向に沿って一定間隔で複数箇所(3箇所以上)に突設された突起であり、ストッパー33には、隣り合う嵌合部323間に確保された嵌合溝323aに取り出し可能に嵌合される一対の腕部331が設けられている。
【0066】
図9(a)、(b)等に示すように、ストッパー33は、背面板333と、板状の押し込み部334と、それぞれ棒状の一対の腕部331とを具備して四角枠状に形成されている。このストッパー33は、オブチュレータ3の外筒32に外挿して設けられる。両腕部331は、四角枠状のストッパー33の内側空間に通されたオブチュレータ3を介して対向配置された背面板333と押し込み部334とを互いに連結する機能を果たす。
【0067】
ストッパー33は、複数の嵌合溝323aから選択したものに、両腕部331を嵌合することで、オブチュレータ3に対する取り付け位置が決まる。また、ストッパー33は、両腕部331を嵌合する嵌合溝323aを変更することで、オブチュレータ3に対する取り付け位置を変更できる。
【0068】
ストッパー3は、オブチュレータ3に対して外筒32の軸回りに回転させることで、嵌合溝323aに嵌合されていた両腕部331を嵌合溝323aから抜き出すことができる。図9(a)、(b)等に示すように、オブチュレータ3の外筒32の外周には、嵌合部323が突設されている領域(嵌合領域)から、該外筒32の軸回りに90度ずれた所に、嵌合部323が突設されていない領域(非嵌合領域)が存在する。ストッパー3は、外筒32の軸回りの回転によって、オブチュレータ3に対する嵌合状態と嵌合解除状態とを切り換えることができる。ストッパー33の背面板333と押し込み部334との間の距離は、一対の腕部331間の距離よりも大きく、両腕部331が非嵌合領域にあれば、ストッパー3は、背面板333、押し込み部334が嵌合部323に接触することなく、外筒32の長手方向に沿ってスライド移動させることができる。これにより、両腕部331を嵌合する嵌合溝323aの選択、変更が可能である。
【0069】
さらに、オブチュレータ3の嵌合溝323aに嵌合した両腕部331は、嵌合溝323aに入った状態のまま、オブチュレータ3に対して、該両腕部331の長手方向へのスライド移動が可能である。換言すれば、オブチュレータ3は、該オブチュレータ3に取り付けたストッパー33に対して、嵌合溝323aに嵌合した両腕部331を案内として、該両腕部331の長手方向に沿ってスライド移動できる。
【0070】
背面板333、押し込み部334は、オブチュレータ3に取り付けたストッパー33をオブチュレータ3に対してスライド移動(オブチュレータ3の長手方向に対する直交方向のスライド移動)させる操作を容易に行うための操作片として用いることができる。
【0071】
ストッパー33は、このスライド移動操作により、背面板333に突設されている挟持部332を、オブチュレータ3を嵌合した胃瘻用ボタン2の体外固定部23に対する係脱を切り換えることができる。
挟持部332は、背面板333において両腕部331から離隔した位置にて、背面板333の両腕部331が突設されている面から突出する鉤状片であり、図10(a)、(b)図11に示すように、オブチュレータ3に取り付けたストッパー33をオブチュレータ3に対してスライド移動(オブチュレータ3の長手方向に対して直交する方向へのスライド移動)させることによって、オブチュレータ3を嵌合した胃瘻用ボタン2の体外固定部23の体表接触面232側に挿脱されて、体外固定部23に対して係脱される。
【0072】
ストッパー33の押し込み部334がオブチュレータ3の外筒32に当接された状態では、挟持部332は、オブチュレータ3を嵌合した胃瘻用ボタン2の体外固定部23から離れるため、胃瘻用ボタン2を係止しない(係止解除状態。図9(b)の状態)。この係止解除状態においては、胃瘻用ボタン2を、オブチュレータ3の外筒32の長手方向に沿って自由にスライド移動させることができる。
【0073】
この係止解除状態から、背面板333をオブチュレータ3に接近させるように、ストッパー33をオブチュレータ3に対してスライド移動することで、挟持部332が体外固定部23の体表接触面232側に挿入されて、体外固定部23に係合する(図9(a)の状態)。挟持部332は体表接触面232に接触して体外固定部23に係合する。これにより、挟持部332によって、胃瘻用ボタン2がオブチュレータ3の先端側へ移動しないように係止される。その結果、胃瘻用ボタン2に嵌合したオブチュレータ3を初期状態から突出状態にしたときに、伸展用押圧棒31(詳細にはロッド本体313)からの伸展力を体内留置部22に確実に伝達できるとともに、体内留置部22の伸展状態、つまり、縮径状態を安定に維持できる。
【0074】
オブチュレータ3を胃瘻用ボタン2に組み付けるには、図10(a)に示すように、胃瘻用ボタン2の通路24にオブチュレータ3(初期状態にしておいたもの)の外筒32を挿入して嵌合させ、ストッパー33の背面板333を、押し込み部334の方向へ押し込むことにより、胃瘻用ボタン2の体表固定部23をストッパー33の挟持部332で保持(係止)する。ストッパー33の背面板333は、胃瘻用ボタン2の通路24にオブチュレータ3の外筒32を挿入する際には、胃瘻用ボタン2の体外固定部22に接触しないように、外筒32から離隔させて、係止解除状態にしておく。
【0075】
このセット状態で、図10(b)のように、伸展用押圧棒31の操作部311を操作して、オブチュレータ3を突出状態にして、胃瘻用ボタン2の体内留置部22を伸展する。
また、図10(a)の状態にセットした後、図11に示すように、オブチュレータ3を突出状態とする前に、胃瘻カテーテル2の体内留置部22のロッド当接部27及び先端側集束部223に貫通されている連絡路26(図7参照)を介して、ガイドワイヤ4をオブチュレータ3の伸展用押圧棒31に通し(つまり、ロッド本体313のワイヤ挿通溝315に通す)、外筒32の溝孔325よりガイドワイヤ4を引き出しておく。
【0076】
オブチュレータ3を胃瘻用ボタン2に嵌合させると、オブチュレータ3の伸展用押圧棒31先端に開口するワイヤ挿通溝315の開口部と、胃瘻カテーテル2の体内留置部22のロッド当接部27及び先端側集束部223に貫通されている連絡路26とが、互いに連通する位置関係となる。このため、セット状態において、伸展用押圧棒31にガイドワイヤ4を通す作業は楽に行える。
【0077】
図12は、瘻孔を形成するためのダイレータ(拡張器)5の一実施例を示す図であって、(a)は正面図、(b)はダイレータを構成する細径ダイレータ52の正面図、(c)は胃瘻用シース1をダイレータ5に被せた状態(シース付きダイレータ5A)の正面図で、胃瘻用シース1のみ断面図で表した図、(d)は胃瘻用シース1を被せたダイレータ5(シース付きダイレータ5A)の断面図である。
なお、図12(a)〜(d)において、図中左側を先端側、図中右側を後端側として説明する。
【0078】
図12(a)〜(d)に示すように、前記ダイレータ5は、細径ダイレータ52(図10(b)参照)と、この細径ダイレータ52に外挿して前記細径ダイレータ52に組み付けられた筒状体である太径ダイレータ51とを一体化したもの(一体化ダイレータ)である。
細径ダイレータ52は、その先端にテーパー状の先端部522(細径ダイレータ先端部522)を有する棒状部材である。また、細径ダイレータ52の内部には、その長手方向に貫通するガイドワイヤ通路524が設けられている。
【0079】
太径ダイレータ51は、円筒状の太径ダイレータ胴体部511と、この太径ダイレータ胴体部511の先端に突設されたテーパー状の太径ダイレータ先端部512とを具備して構成されている。細径ダイレータ52の細径ダイレータ先端部522は、太径ダイレータ先端部512から突出されている。
【0080】
また、2つのダイレータ51,52のそれぞれの後端側には、コネクタ513、523が設けられており、ルアーテーパーにより互いに嵌合されている。このコネクタ513、523の嵌合により、前記細径ダイレータ52は太径ダイレータ51に組み付けられて一体化されている。
【0081】
図12(a)に示すように、太径ダイレータ胴体部511の外周面には、目盛514が付設されており、太径ダイレータ先端部512側に基点(ゼロ点)5141が設けられている。この目盛は、ダイレータ5を挿入した後に、内視鏡下で基点5141を胃内壁面に合わせて、体表面側の目盛を判読することにより、体表面から胃壁内面までの距離を測定することができる。この測定により、胃瘻用ボタン2のチューブ部21の長さを選択して用いることができる。
【0082】
ダイレータ5に胃瘻用シース1を被せて、シース付きダイレータ5Aを構成した状態は図12(c)に示される。
胃瘻用シース1は、先端部を太径ダイレータ胴体部511の先端に位置合わせして、設置される。胃瘻用シース1には、ダイレータ5に対して位置決め手段は特に設置されていないが、ダイレータ5には胃瘻用シース1の後端側へのスライド移動を規制する移動規制手段(例えば、胃瘻用シース1のシース本体11の基端部が当接される突起等)が設けられていても良い。
【0083】
また、胃瘻用シース1の先端部は、太径ダイレータ胴体部511との段差をなくすように、テーパー部112(図3(b)参照)が設けられていることが好ましい。このテーパー部112を設けることで、胃瘻用シース1を被せたダイレータ5(シース付きダイレータ5A)を腹壁、胃壁に挿入する際の挿入抵抗を低減することが可能となる。このテーパー部112は、チューブの延伸や熱賦形などの方法により設けることができるが、内径を調整する際に太径ダイレータ胴体部511外径に圧接するように、シース本体11内径を調整することにより、胃瘻用シース1の、ダイレータ5の胴体部511に対する位置ずれを規制することができる。
【0084】
図13は、胃瘻用シース1の内部通路113に、オブチュレータ3で体内留置部22を伸展して縮径した胃瘻用ボタン2を挿入する前の状態を示す。
ところで、胃瘻用シース1は、シース本体11内径を、胃瘻用ボタン2のチューブ部21の外径に合わせたサイズとすることが望ましい。
しかしながら、胃瘻用ボタン2の体内留置部22は、体内留置のために、縮径前の初期状態での最大外径がチューブ部21外径よりも大きく、チューブ部21から径方向外側へ大きく張り出すように形成される。このため、大きく張り出した形状の体内留置部22をチューブ部21と同等の外径まで縮径することが技術上、かなり難しい場合が多い。
【0085】
一方、胃瘻用シース1の内部通路113は、ダイレータ5の最大外径とほぼ同等の寸法で形成されていることが望ましく、ダイレータ5の最大外径、すなわち太径ダイレータ胴体部511の外径は、形成する瘻孔サイズを決定する。この瘻孔サイズは、胃瘻用ボタン2のチューブ部21の外径とほぼ同等か、1〜2mm以上大きい寸法が好ましい。
【0086】
そこで、さらに、伸展された体内留置部22の最大外径が、胃瘻用シース1の内部通路113の径よりも大きい場合であっても、シース1を用いて体内留置部22の瘻孔への挿入、通過の抵抗を低減でき、留置作業を効率良く行えるようにするための構成を検討した。シース1のシース本体11の径を伸展された体内留置部22の最大外径よりも小さくできるため、瘻孔サイズの小型化も可能となる。
胃瘻用シース1の内部通路113の内径を、伸展された体内留置部22の最大外径よりも小さくし、胃瘻用ボタン2の体内留置部22の内、内部通路113の径よりも外径が大きい部位が内部通路113を通過しようとしたとき、シース本体11が裂けるように構成する。胃瘻用シース1の内部通路113の径は、体内留置部22の最先端部の外径よりも大きく形成することが望ましい。
【0087】
図13、図14は、前述した寸法関係で構成された胃瘻用シース1であり、オブチュレータ3によって伸展状態(縮径状態)とした胃瘻用ボタン2の体内留置部22の内、内部通路113の径よりも外径が大きい部位が内部通路113を通過しようとしたときにシース本体2が縦裂き可能になっている胃瘻用シース1に、胃瘻用ボタン2を挿入する場合を説明する図である。胃瘻用シース1のシース本体11に挿入する胃瘻用ボタン2は、体内留置部22の縮径状態における最大外径が胃瘻用シース1の内部通路113の径よりも大きいものである。
【0088】
体内留置部22の最先端部(先端側集束部223)の外径は、胃瘻用シース1の内部通路113の径よりも小さいので、内部通路113への挿入、通過は容易であるが、胃瘻用ボタン2の体内留置部22の内、胃瘻用シース1の内部通路113の径よりも外径が大きい部位が内部通路113を通過しようとしたとき、シース本体11が裂ける。
【0089】
図14の場合も、体内留置部22の最先端部が通過する内腔が胃瘻用シース1の内部通路113により形成されているために、挿入抵抗を低減させることが可能となる。
また、シース本体11を構成する材質は特に限定されないが、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などが好ましい。上記の中で、摩擦抵抗が低いフッ素樹脂より構成されることが特に好ましく、胃瘻用ボタン2を挿入する際に、内部通路113を通過する際の摩擦抵抗を低減させ、胃瘻用ボタン2の挿入抵抗を低減させることが可能となる。
【0090】
体内留置部22の内の、胃瘻用シース1の内部通路113の径よりも外径が大きい部位の挿入によってシース本体11が裂けるようにするための構成としては、特に限定されないが、例えばシース本体11として長手方向に配向性を有し縦裂き可能に形成されたPTFEチューブを用いた構成、シース本体11の長手方向に沿って延在形成した切り込み溝(切り欠き部)によってシース本体11の肉厚を局所的に薄くした構成、シース本体11の長手方向に沿って延在するスリット(切り欠き部)によってシース本体11に予め切断済み部分を形成した構成等がある。切り込み溝、スリットといった切り欠き部を形成した場合、体内留置部22の挿入によって、シース本体11が、切り欠き部の形成箇所に沿ってその長手方向全長にわたって分断される。
【0091】
図1(a)、(b)〜図4(a)−(e)、図13、図14は、具体的には、シース本体11に切り欠き部として切り欠き溝111Aを形成した構成を例示する。
図16(a)に示すように、前記切り欠き溝111Aは、前記シース本体11にその肉厚を非貫通として形成されている。シース本体11は、切り欠き溝111Aの溝底側に、該シース本体11の肉厚を局所的に薄くした非切断部111aを有している。
【0092】
非切断部111aは、シース本体11の内側に、縮径状態とされた体内留置部22の内の、胃瘻用シース1の内部通路113の径よりも外径が大きい部位が挿入されたときに破壊されて切断される。
非切断部111aが切断される結果、シース本体11が縦裂きされる。
【0093】
一方、図15(a)、(b)は、シース本体11に切り欠き部としてスリット111Bを形成した構成を例示する。
スリット111Bを形成した構成の場合は、シース本体11の長手方向の一部にスリット111Bを形成して、スリット111Bの仮想延長上に、スリット111Bが形成されていない非切断部118を確保し、シース本体11に胃瘻用ボタン2が挿入されるまで(より詳細には、体内留置部22の内の、胃瘻用シース1の内部通路113の径よりも外径が大きい部位が挿入されるまで)、非切断部118によってシース本体11の形状が維持されるようにする。図15(a)、(b)においては、スリット111Bはシース本体11の長手方向両端面まで形成されてはおらず、シース本体11の長手方向両端に非切断部118を確保している。
【0094】
非切断部118は、シース本体11の内側に、縮径状態とされた体内留置部22の内の、胃瘻用シース1の内部通路113の径よりも外径が大きい部位が挿入されたときに破壊されて切断されるか、あるいは、前記部位が、シース本体11のスリット111Bが形成されている部分を内部通路113側から押し拡げるように押圧して変形させることで、スリット111Bが起点となって切断される。非切断部118が切断される結果、シース本体11が縦裂きされる。
【0095】
スリット111Bの仮想延長上における非切断部118の形成位置は、必ずしも、シース本体11の長手方向両端である必要は無く、シース本体11の長手方向片端だけであっても良い。また、シース本体11の長手方向に沿って間隔を空けて複数のスリット111Bを形成(スリット列の形成)することも可能であり、この場合は、スリット列を構成するスリット111B同士の間に非切断部118が確保されることとなる。
なお、非切断部118の長さ(シース本体11の長手方向に沿った方向の寸法)は、0.5〜10mm、好ましくは、1〜5mmである。
非切断部118は、切り込み溝(切り欠き部)をシース本体11の長手方向に沿って延在形成して、切断しやすくしても良い。
【0096】
シース本体11は、前記非切断部111a、118の少なくとも一つを破壊させるために、該シース本体11内面(内部通路113の内面)に作用させる荷重が0.5N以上5N以下であることが望ましい。この荷重は、0.5N以上3N以下であることがより好ましい。この場合、縮径状態とされた体内留置部22の挿入等によって、シース本体11の縦裂きを無理無く行える。
【0097】
なお、切り欠き部が切り欠き溝111Aである場合は、スリット111Bである場合に比べて、シース本体11の形状安定性が高まり、シース本体11を瘻孔に挿入したときにシース本体11の内部通路113の形状を保ちやすくなる、といった利点がある。
また、図16(b)では、シース本体11において、スリット111Bを介して両側に位置する部位同士が互いに近接配置され、スリット111Bがほぼ閉じ合わされた構成になっているが、スリット111Bが完全に閉じられるようにすること、閉じられた状態を安定に維持することは容易では無い。これに対して、切り欠き溝111Aの場合は、溝底側に非切断部111aを確保して、シース本体11の肉厚に非貫通で形成されているため、スリット111Bの場合に比べて、内視鏡から送気された空気が、シース本体11内側の内部通路113の途中からシース本体11の径方向外側へ漏れ出すことが無い、といった利点がある。
【0098】
図示例のシース1にあっては、シース本体11における切り欠き部の形成位置は、シース本体11の周方向において、1箇所のみである。但し、本発明は、シース本体11の周方向の複数箇所に切り欠き部を形成した構成を含む。
図16(a)、(b)は、シース本体11の周方向1箇所のみに切り欠き部を形成した例を模式的に示す図であり、(a)は切り欠き溝111Aの場合、(b)はスリット111Bの場合を示す。
図16(a)、(b)では、持ち手12は、シース本体11の周方向において前記切り欠き部(切り欠き溝111A、スリット111B)を避けた位置に設けられる。
【0099】
この場合、縮径状態とされた体内留置部22の内の、胃瘻用シース1の内部通路113の径よりも外径が大きい部位がシース本体11内に挿入されることによって、シース本体11が、切り欠き部を切断線として縦裂きされたときに、シース本体11が複数部材に分割されず、1部品である状態が維持される。このため、持ち手12を引っ張り操作することで、瘻孔からシース本体11全体を簡単に抜去することができる、という利点がある。
【0100】
図17は、シース本体11の周方向2箇所に切り欠き部(図示例では、具体的にはスリット111B)を形成した例を模式的に示す。
持ち手12は、切り欠き部を避けた位置に設けられるが、シース本体11を胃瘻用ボタン2の挿入によって縦裂きしたときにシース本体11の分割体となる部分(以下、分割片部119。図17では、2つの分割片部119に分割される)に応じて、個々の分割片部119に設けられている。
図17では、前記シース本体11に、符号11Bを付している。
なお、スリット111Bにかえて、切り欠き溝111Aを採用することも可能であることは言うまでも無い。
【0101】
図16の場合は、図17の構成に比べて、縦裂き後に瘻孔からシース本体11を抜去する作業が簡単で済む。
【0102】
切り欠き部(切り欠き溝111A、スリット111B)は、その断面形状が、前記シース本体11の内面側から外面側に行くに従って開口幅が拡大する楔形に形成されていることが好ましい。
この断面形状の切り欠き部の場合、内部通路113に挿入された体内留置部22によってシース本体11が径方向外側に押し拡げるようにして変形されたときに、切り欠き部の断面も押し拡げられることとなり、切り欠き部を起点とする非切断部111a、118の切断が生じやすくなる。
【0103】
前記切り欠き部は、例えば、シース本体11のレーザ加工、機械加工等によって形成することができる。
特に、レーザ加工の場合は、切り欠き部の開口幅の調整が容易であり、また、レーザの焦点位置の調整によって楔形の断面形状の切り欠き部も容易に形成できる点で好適である。
【0104】
また、FEP製(ここではFEPを主成分として含む材質を意味する)のシース本体11にレーザ加工(特にYAGレーザを用いた加工)によって切り欠き部を形成する場合は、該シース本体11の前記切り欠き部が形成された部位を前記レーザ加工により白化させることができる。
この白化により、目視にて視認容易なマーキングが形成されることになり、使用者に切り欠き部の位置が判りやすくなるため、瘻孔に内挿したシース本体11を縦裂きして体外に抜去する作業を効率良く行える。
【0105】
また、胃瘻用シース1は、前記シース本体11の基端部側の端面が、該シース本体11の軸心(中心軸線C1)に対して斜めに形成されている。
図示例の胃瘻用シース1においては、シース本体11の基端部側の端面は、ヒンジ部116側から、蓋当接部117側に行くにしたがって、シース本体11の先端部側に位置するように傾斜されている。
このように、前記シース本体11の基端部側の端面が、該シース本体11の軸心(中心軸線C1)に対して斜めに形成されている構成であれば、シース本体11の基端部における内部通路113の開口部のサイズが実質的に大きくなった状態となるため、胃瘻用ボタン2の体内留置部22をシース本体11の基端部からシース本体11に挿入する作業を円滑に行うことができる。特に、最大外径がシース本体11内径よりも大きい体内留置部22をシース本体11に押し込む際には、押し込み作業の円滑化に有効に寄与する。
【0106】
次に、本発明の胃瘻用シース、シース付きダイレータ、胃瘻カテーテルキットの使用方法の一実施例について図18から図28を用いて説明する。
胃瘻カテーテルキットは、胃瘻用シース1、胃瘻用ボタン2、オブチュレータ3、ダイレータ5を具備してなるものである。なお、胃瘻カテーテルキットについての説明は、後にも述べる。
【0107】
本発明の胃瘻用シース1を使用する前に、生体である患者の胃内に内視鏡を挿入し、送気を十分行い、腹壁900と胃壁901とを密着させる(密着前は図18に示すように、腹壁900と胃壁901は密着していない状態になっている)。次に、内視鏡からの透過光により胃の位置を確認し、体表部側から腹部触診を行い、胃壁固定部位を決定し、体表である腹部皮膚を消毒、局所麻酔を行う。
【0108】
次いで、胃壁腹壁固定具を用いて腹壁900と胃壁901を縫合糸により固定する(図19)。
腹壁900と胃壁901の縫合糸による固定は、この後の胃瘻カテーテル造設部位を面で形成させるために、通常2箇所を縫合固定することが必要である。
【0109】
胃壁腹壁固定を行った後に、体表面から腹壁及び胃壁にカニューラ針を穿刺してガイドワイヤ4を留置する。
【0110】
留置されたガイドワイヤ4にダイレータ5を通し(ダイレータ5のガイドワイヤ通路524にガイドワイヤ4を通す)、胃瘻用シース1を被せたダイレータ5(シース付きダイレータ5A)を、体表面から腹壁、胃壁に挿入して、一期的に瘻孔を形成する(図21)。このとき、ダイレータは捻りながら挿入していくことで、安全に拡張することが可能となる。
【0111】
また、腹壁、胃壁に挿入して瘻孔を形成したとき、内視鏡下で、太径ダイレータ胴体部511の外周面の目盛514(図12(a))の基点5141を胃壁面(内面)に合わせて、体表面側に表示された目盛を判読することにより、体表面から胃壁内面までの距離を測定する。この測定により、胃瘻用ボタン2のチューブ部21の長さを選択して用いる。また、オブチュレータ3のストッパー33の位置(外筒32の長手方向におけるストッパー33の取り付け位置)を、チューブ21の選択に対応して決める。
胃瘻用ボタン2のチューブ部21の長さに応じて、オブチュレータ3のチューブ部21内に挿入される部分の長さも変わる。外筒32の長手方向におけるストッパー33の取り付け位置の調整は、ストッパー33で係止した胃瘻用ボタン2の体内留置部22に、オブチュレータ3によって伸展力を確実に作用させることを実現するものである。外筒32の長手方向におけるストッパー33の取り付け位置は、外筒32の長手方向の複数箇所に設けられている嵌合部323、嵌合溝323aに対する、ストッパー33の腕部331の選択的な嵌合によって選択される。
【0112】
ダイレータ5の目盛514の読み取りを簡単に行えるようにするために、前記シース本体11は、その外側から前記ダイレータ5の前記目盛514を目視可能な透明性を有するものであることが好ましい。
【0113】
拡張が終了したら、胃瘻用シース1のみを残して、ダイレータ5及びガイドワイヤ4を体外へ抜去する(図22)。
ダイレータ5を胃瘻用シース1から抜くことにより、胃瘻用シース1の蓋13によって、内部通路113を遮断するように閉じる。蓋13は、既述のようにヒンジ部116の弾性によって閉位置となる。また、内視鏡から胃内に供給した空気自体によって内部通路113を閉じるようにしても良い。
これにより、内視鏡から送気した空気が体外へ漏れることを低減させることが可能である。
【0114】
その後、胃瘻用シースの蓋13を開いた状態になるように、持ち手12を持って、オブチュレータ3で体内留置部22を伸展させた胃瘻用ボタン2を胃瘻用シースの内部通路113に挿入する(図23)。
【0115】
胃瘻用シース1には長手方向に裂ける手段が形成されているために、胃瘻用シース1の内径よりも胃瘻用ボタン2の伸展された体内留置部22の外径が大きい部位が挿入されることにより、シース本体11は長手方向に裂けてシース本体11が拡がる。胃瘻用ボタン2は、体内留置部22をシース1に貫通させて胃内に到達させ、胃内に留置される(図24)。
【0116】
また、オブチュレータ3で伸展された胃瘻用ボタン2を挿入する際に、体内留置部22の最先端は、胃瘻用シース1の内部通路113で挿入ルートが確保されているために、スムーズな挿入、且つ挿入抵抗を低減させることが可能となる。
【0117】
胃瘻用ボタン2が胃内に留置された後に、オブチュレータ3で胃瘻用ボタン2を伸展させた状態のまま、胃瘻用シース1を体外へ抜去する(図25)。
【0118】
オブチュレータ3に付設されるストッパー33の押し込み部334を背面板333側へ押し込むことにより、両腕部331をスライドさせて、胃瘻用ボタン2の体内留置部の伸展を解除する(図26)。
【0119】
胃瘻用ボタン2にセットされているオブチュレータ3を抜去し(図27)、胃瘻用ボタン2の体外固定部23に付設されたキャップ28を通路24をふさぐように嵌め込むことにより、胃瘻用ボタン2の留置が終了する(図28)。
【0120】
以上のように、本発明の胃瘻用シース1を用いることにより、胃瘻用ボタン2を挿入する際の挿入抵抗を低減させると共に、造設手技中の内視鏡の送気のコントロールを容易にすることが可能である。
【0121】
また、胃瘻用シースにおけるシース本体11は、伸び変形可能な材質によって、径方向に拡径可能に形成されていてもよい(図29)。胃瘻用ボタンの挿入に伴って、オブチュレータ3で体内留置部22が伸展された胃瘻用ボタン2の体内留置部の外径がシース本体11の内径よりも大きい場合、その形状に合わせて、径方向に拡径する(図30)。
この場合のシース本体11の材質としては、例えば、ポリウレタン樹脂、テトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンなどの、プラスチック材料またはエラストマー材料を挙げることができる。
また、シース本体11を、例えば、ポリアミド繊維、ステンレス鋼などの非弾性フィラメントを用いてメッシュ状に構成した編組物としても良い。この場合、シース本体11を構成する編組物は、例えば、シース本体11の半径方向の拡張が、シース本体11の軸方向の短縮を生じるように構成することも可能である。
【0122】
このように、径方向に拡径可能な材質よりシース本体11を形成することにより、胃瘻用ボタン2は、シース本体11の内部通路113に挿通する際の挿入抵抗を低減させることが可能である。
また、径方向に拡径可能な材質より形成されたシース本体11についても、縦裂き可能な構成を採用することが好ましい。例えば、上述のプラスチック材料またはエラストマー材料によって形成されたシース本体11に、その軸方向全長にわたって延在するようにして、縦裂き用の細い線材(以下、縦裂き用線材。例えば、ポリアミド繊維等の高張力繊維)を埋め込んでおき、シース本体11の基端部側に延出させておいた前記縦裂き用線材の端部を強く引っ張ることで、シース本体11から前記縦裂き用線材が抜け出して、シース本体11に縦裂き用の薄肉部が形成され、シース本体11の縦裂きを容易に行えるようになる構成、などを採用できる。この場合、例えば、瘻孔に内挿されたシース本体11に胃瘻用ボタン2の体内留置部22を体外側から通過させた後に、シース本体11から縦裂き用線材を抜き出してシース本体11を縦裂きすることで、胃瘻用ボタン2の留置状態を維持したまま、瘻孔からのシース本体11の抜去を行う、といったことも可能となる。
【0123】
(胃瘻用シースの別態様)
図31(a)、(b)、図32(a)〜(e)に示すように、本発明に係る胃瘻用シースは、持ち手61にヒンジ116とは別のヒンジ部62(以下、蓋ヒンジ部とも言う)を介して蓋63が回動可能に設けられた構成のものも採用可能である。
図31(a)、(b)に例示した胃瘻用シース6は、シース本体11(シースチューブ)、持ち手61、蓋ヒンジ部62、蓋63、とを具備する概略構成となっている。
【0124】
持ち手61は、胃瘻用シース6のシース本体11の基端部から延出する舌片状に構成されており、胃瘻用シース6に胃瘻用ボタンを挿入するときに、胃瘻用シース6の把持に利用できる。
この持ち手61は、シース本体11の基端部から延出された舌片状の持ち手主片114に、板状の一対の持ち手部材611、612を固定した構成になっている。一対の持ち手部材611、612は、両者の間に持ち手主片114を挟み込むようにして、持ち手主片114に一体的に取り付けられている。
【0125】
また、図示例の胃瘻用シース6は、蓋ヒンジ部62及び蓋63が形成された合成樹脂製の長板状の蓋用長板部材64を具備する。この蓋用長板部材64は、合成樹脂で一体成形された1部品になっている。また、この蓋用長板部材64は、シリコーンゴム、エラストマー等のゴム弾性を有する材質によって形成されている。
【0126】
この蓋用長板部材64は、蓋ヒンジ部62を介して前記蓋63とは反対の側に取付部641を有し、前記取付部641を持ち手61に固定し一体化して設けられている。蓋用長板部材64の前記取付部641から蓋63側の部分は前記持ち手61から延出されてシース本体11内に挿入された舌片状になっている。
前記蓋63はシース本体11の内部通路113内に配置され、蓋用長板部材64自体の弾性によって前記内部通路113を塞ぐ閉位置(図31(b)に示す位置)に弾性支持されている。
【0127】
前記持ち手61は具体的には、一対の持ち手部材611、612の間に、蓋用長板部材64の平板状の取付部641と持ち手主片114とを挟み込むようにして固定して一体化した構成になっている。
一対の持ち手部材611、612(蓋側持ち手部材611と主片側持ち手部材612)の間に、蓋用長板部材64の取付部641と持ち手主片114とを挟み込むようにして固定して一体化するための手法(構成)としては、例えば、一対の持ち手部材611、612の一方又は両方に突設した係合爪によって一方の持ち手部材に対して他方の持ち手部材を係止して一対の持ち手部材の間に蓋用長板部材64の取付部641と持ち手主片114とを挟み込んで固定する構成、一対の持ち手部材611、612と蓋用長板部材64の取付部641と持ち手主片114とを接着剤を用いて接着して一体化する構成などを採用できる。
【0128】
また、一対の持ち手部材611、612と蓋用長板部材64の取付部641と持ち手主片114とを結束する結束部材を別途用いて一対の持ち手部材611、612と蓋用長板部材64の取付部641と持ち手主片114とを結束し、一体化しても良い。結束部材としては、一対の持ち手部材611、612と蓋用長板部材64の取付部641と持ち手主片114とを結束して一体化できる(持ち手部材611、612、蓋用長板部材64の取付部641、持ち手主片114の相互に相対的な位置ずれが生じないように一体化できること)構成であれば良く、特に限定は無いが、例えば熱収縮チューブを用い、この熱収縮チューブの加熱収縮によって、一対の持ち手部材611、612と蓋用長板部材64の取付部641と持ち手主片114とを結束して一体化した構成としても良い。
【0129】
なお、一対の持ち手部材611、612は、互いに別々の部材として構成されていても、一体成形により形成されていてもどちらでも構わない。
また、蓋用長板部材64は、取付部641を持ち手61に固定して一体化することで、前記取付部641から蓋63側の部分が前記持ち手61から延出されてシース本体11内に挿入される舌片状部分を形成するようになっていれば良く、持ち手61における取付部641の固定位置は、一対の持ち手部材611、612の間に限定されない。
また、持ち手は、必ずしも板状の持ち手部材を具備する構成に限定されず、例えば、持ち手部材を具備せず、持ち手主片114と蓋用長板部材64の取付部641とによって構成された構造であっても良い。
【0130】
図31(b)に示すように、蓋63の先端は、シース本体11の内部通路113を介して持ち手61とは反対の側の内壁面に当接あるいは接近配置されている。
前記蓋ヒンジ部62は、蓋63の基端部側に設けられており、前記蓋用長板部材64の前記持ち手61から延出された舌片状部分に形成されている。
蓋63は、前記蓋ヒンジ部62からシース本体11の軸心(中心軸線C1)に対して90度未満の角度で前記シース本体11の先端側へ傾斜して延出されており、蓋ヒンジ部62の弾性によって弾性支持されて、その先端が、シース本体11の内部通路113を介して持ち手61とは反対の側の内壁面に当接あるいは接近配置されている。
【0131】
蓋63は、蓋ヒンジ部62を中心にシース本体11の軸心に垂直の方向の軸線(すなわち、ヒンジ部116の回動軸線と平行な軸線)を以て回動可能に支持されており、図31(b)に示す閉位置から時計回りに回動(開方向に回動)することでシース本体11の内部通路113を開放する。例えば、ダイレータ5等の機器のシース本体11への挿入などによって与えられた外力の作用で閉位置から開方向に回動された蓋63は、シース本体11に挿入されていたダイレータ5のシース本体11からの抜き去りなどによって開方向への変位力として作用する外力が除去されると、蓋ヒンジ部62の弾性によって閉位置に復帰する。
また、蓋63は、閉位置から開方向とは逆向きの方向、すなわち、図31(b)において閉位置から反時計回り方向へは、その先端がシース本体11に当接することで回動が規制されシース本体11の内部通路113を塞いだ状態を維持できる。例えば図31(b)において持ち手61がヒンジ部116を中心に反時計回りに回動操作されて、閉位置にある蓋63に開方向とは逆向きの方向への回動力が作用した場合は、シース本体11に当接した蓋63の回動が規制され、蓋ヒンジ部62が弾性変形されることとなる。このように、この胃瘻用シース6にあっては、閉位置から開方向とは逆向きの方向への回動力が蓋63に作用した場合、蓋63によってシース本体11の内部通路113を塞いだ状態を維持できる。このため、内視鏡から胃内に供給した空気の流出を防ぐことができる、といった利点がある。
【0132】
蓋63の先端は、蓋63が閉位置から開方向とは逆方向に回動されることで、シース本体11に押し付けられる。
シース本体11において、蓋63先端が当接される部位を、以下、蓋当接部(符号117aを使用する)と称することとする。
前記ヒンジ部116及び前記蓋ヒンジ部62は、前記シース本体11の前記内部通路113を介して前記蓋当接部117aと対向する側に設けられている。蓋63の先端は、蓋63が閉位置から開方向とは逆方向に回動されることで、蓋当接部117aにシース本体11の先端側から当接される。
【0133】
前記蓋用長板部材64の前記取付部641と前記蓋63との間には、前記蓋ヒンジ部62とストッパ用突片642とが形成されている。
前記ストッパ用突片642は、前記持ち手61から突出されて前記シース本体11内に挿入された突片状に形成されており、前記内部通路113を介して前記蓋当接部117aと対向する側の内面に沿わせるように配置されている。具体的には、ストッパ用突片642はシース本体11に形成された拡張部115内面に沿わせるように当接あるいは接近配置されている。
前記蓋ヒンジ部62は、ストッパ用突片642の持ち手61からの突出方向先端に設けられている。前記蓋63は、ストッパ用突片642の持ち手61からの突出方向先端からシース本体11の軸心(中心軸線C1)に対して90度未満の角度で前記シース本体11の先端側へ傾斜して延出されており、前記蓋ヒンジ部62は、ストッパ用突片642と蓋63とが連続する連続部に位置しており、蓋用長板部材64が屈曲形成された屈曲部に相当する。
【0134】
前記蓋63に前記閉位置から開方向へ回動させる力が作用したとき、前記ストッパ用突片642は前記シース本体11内面に押圧されることで前記シース本体11に対する回動が規制される。蓋63の前記閉位置から開方向への回動は、蓋ヒンジ部62が弾性変形することによって実現される。
また、このとき、蓋ヒンジ部62の弾性変形によって蓋63が閉位置から開方向に回動しても、ストッパ用突片642が回動しないことにより、持ち手61が蓋63に連動して回動することが規制される。シース本体11に対する持ち手61の位置が安定するため、この胃瘻用シース6の使用者が手指で持ち手61を掴み損ねるといった不都合が生じにくく、良好な作業性を確保できる。また、この胃瘻用シース6の構成は、換言すれば、持ち手61をヒンジ部116を中心に図31(b)中時計回りに回動した場合に、ストッパ用突片642がシース本体11内壁面に押圧されてその回動が規制されることで、蓋63が閉位置から開方向に回動されることが規制され、シース本体11の内部通路113を塞いだ状態を維持できるものである。
【0135】
つまり、この胃瘻用シース6にあっては、蓋63が閉位置に配置された状態が、ヒンジ部116を中心とする持ち手61の回動の影響を受けにくく、しかも、持ち手61や蓋用長板部材64に外力が作用していない状態では蓋ヒンジ部62の弾性によって蓋63が閉位置に弾性支持されることになるため、仮に該胃瘻用シース6の使用者が不用意に持ち手61に触れたとしても蓋63が開方向に回動しにくく、開方向への回動を生じたとしても直ちに閉位置に復帰することになる。このため、蓋63によってシース本体11の内部通路113を塞いだ状態を安定に維持できる。
また、シリコーンゴム、エラストマーといったゴム弾性を有する材質によって形成されたストッパ用突片642が持ち手61と蓋ヒンジ部62との間に介在されており、持ち手61が回動されたときにストッパ用突片642が弾性変形することによって、蓋ヒンジ部62や蓋63に持ち手61に対する追従変位が生じにくいことも、シース本体11の内部通路113を蓋63によって塞いだ状態を維持することに有効に寄与する。
【0136】
なお、蓋用長板部材64の材質は、蓋ヒンジ部62に、蓋63が閉位置(図31(a)、(b)に示す位置)からシース本体11において蓋当接部117aと対向する側の内面に接する位置まで回動することを許容し、かつ、シース本体11において蓋当接部117aと対向する側の内面に接する位置まで回動された蓋63を閉位置に復帰させる弾性を確保できるものであれば良く、上述のシリコーンゴム、エラストマーといったゴム弾性を有する材質に限定されず、合成樹脂材料を広く採用することが可能である。例えば、シース本体11を形成する材質として採用可能なものを用いることも可能である。
また、本発明に係る胃瘻用シースにあっては、例えば、蓋用長板部材において、蓋ヒンジ部と蓋とがシリコーンゴム、エラストマーといったゴム弾性を有する材質によって一体成形されるか、あるいは、蓋ヒンジ部のみがシリコーンゴム、エラストマーといったゴム弾性を有する材質によって形成され、他の部分がゴム弾性を有していない硬質樹脂あるいは金属等の硬質材料で形成されている構成も採用可能である。
【0137】
ここで説明する胃瘻用シース6も、例えば図1(a)、(b)を参照して説明した既述の胃瘻用シースと同様に、瘻孔を形成(造設)し、胃瘻用ボタン2を体内留置する作業に使用することができる。
シース本体11にダイレータ5を内挿することで、シース付きダイレータを構成できる(図39参照)ことも既述の胃瘻用シースと同様である。
また、前記胃瘻用シース6は、既述のように、ダイレータ5をシース本体11に挿入することで蓋63が閉位置から開方向に回動され、シース本体11に挿入されていたダイレータ5をシース本体11から抜き去ることで、閉位置から開方向に回動されていた蓋63が蓋ヒンジ部62の弾性によって閉位置に復帰してシース本体11の内部通路113を塞ぐため、瘻孔に挿入した状態において内視鏡から胃内に供給した空気の流出を防ぐことができ、瘻孔を造設して胃瘻用ボタン2を体内留置する作業や、体内留置済みの胃瘻用ボタン2の交換作業に利用して好適である。
【0138】
ここで、胃瘻用シース6を用いて、体内留置済みの胃瘻用ボタン2を交換する作業について説明する。
図33は、体内留置されている胃瘻用ボタン2を示す。
この胃瘻用ボタン2を交換するには、まず、図34に示すように、胃瘻用ボタン2の通路24の体外固定部23側の開口部に嵌合されていたキャップ28を通路24の開口部から離脱させて通路24の開口部を開放する。次いで、図35に示すように、前記通路24に体外側からオブチュレータ3を挿入して胃瘻用ボタン2にセット(伸展用押圧棒31の先端部317、外筒32の先端側を胃瘻用ボタン2の通路24に挿入し、ストッパー33(具体的には挟持部332)を胃瘻用ボタン2の体外固定部23に係合する)し、図36に示すように、オブチュレータ3のワイヤ挿通溝315を利用して体外側から前記胃瘻用ボタン2のチューブ部21内の通路24にガイドワイヤ4を通して胃内に到達させる。次いで、図37に示すように、オブチュレータ3を操作して胃瘻用ボタン2の体内留置部22を伸展(縮径)させ、オブチュレータ3及び胃瘻用ボタン2を一緒に瘻孔から体外へ抜去する(図38参照)。但し、図38に示すように、ガイドワイヤ4は体内に留置したままとする。
【0139】
次に、図40に示すように胃瘻用シース6を瘻孔に挿入して留置する。
このとき、例えば、図39に示すように、シース本体11に外観棒状のシース挿入補助具7を内挿して挿入補助具付き胃瘻用シース70(以下、挿入補助具付きシースとも言う)を組み立て、この挿入補助具付きシース70を瘻孔に挿入して胃瘻用シース6を瘻孔に挿入し、留置する作業を行うことが好ましい。
【0140】
前記シース挿入補助具7は、棒状本体71と、該棒状本体の長手方向の片端(先端)に突設された先細り形状のテーパ状先端部72とを具備する。このシース挿入補助具7は、棒状本体71の外径がシース本体11の内径と同じかあるいは若干小さく形成されており、前記シース本体11に挿脱可能に内挿できるようになっている。また、このシース挿入補助具7は、その長手方向に貫通するガイドワイヤ挿通孔73を有しており、前記ガイドワイヤ挿通孔73にガイドワイヤ4を通すことでガイドワイヤ4に外挿できる。前記ガイドワイヤ挿通孔73の両端の一方はシース挿入補助具7のテーパ状先端部72の先端に開口され、他方は棒状本体71の前記テーパ状先端部72とは反対側の端部(後端部)に開口されている。
【0141】
図39に示すように、前記挿入補助具付きシース70を用いて胃瘻用シース6を瘻孔に挿入し、留置する作業は、まず、体内留置されたガイドワイヤ4の瘻孔から体外側に延出された部分を前記シース挿入補助具7のガイドワイヤ挿通孔73に通してシース挿入補助具7及び挿入補助具付きシース70全体をガイドワイヤ4に外挿し、ガイドワイヤ4を案内部材として挿入補助具付きシース70を瘻孔に挿入した後、図40に示すように、胃瘻用シース6を瘻孔に留置したままシース挿入補助具7を体外へ抜去する。
【0142】
挿入補助具付きシース70は、シース挿入補助具7をその先端側から胃瘻用シース6のシース本体11の基端部側の開口部に挿入して、シース挿入補助具7のテーパ状先端部72をシース本体11の先端から突出させて組み立てられる。テーパ状先端部72をシース本体11の先端から突出させることで、挿入補助具付きシース70を瘻孔に挿入(テーパ状先端部72側から挿入する)する際の挿入抵抗を低減でき、挿入作業を円滑に行える。また、前記テーパ状先端部72は、挿入補助具付きシース70を瘻孔に挿入する際に瘻孔を拡張する機能も果たす。
なお、前記シース挿入補助具7は、胃瘻用シース6、挿入補助具付きシース70全体を瘻孔に挿入する作業の円滑化、瘻孔の拡張の機能を果たすものであれば良く、新規に瘻孔を形成する機能を有する必要性は無い。但し、シース挿入補助具7としては、瘻孔形成に使用できるものであっても良い。この点、既述のダイレータをシース挿入補助具7として使用しても良い。
【0143】
図39に示すように、胃瘻用シース6にシース挿入補助具7が挿入されてなる挿入補助具付きシース70にあっては、胃瘻用シース6の蓋63がシース本体11に挿入されたシース挿入補助具7によって閉位置から開方向に移動され、シース本体11の基端部の拡張部115内(内側空間115a内)に収納された状態になっている。図40に示すように、胃瘻用シース6からシース挿入補助具7を抜き去ると、蓋ヒンジ部62の弾性によって蓋63が直ちに閉位置に復帰する。つまり、瘻孔に挿入した挿入補助具付きシース70の胃瘻用シース6からシース挿入補助具7を引き抜いたとき、持ち手61を操作しなくても、自動的に、蓋63がシース本体11の内部通路113を塞いだ状態になり、内部通路113に異物が入ることを防ぐことができる。また、内視鏡を使用している場合は、内視鏡から胃内に供給した空気の流出を防ぐことができる、という利点がある。
【0144】
シース挿入補助具7を内挿できるシース本体11を具備する構成、シース本体にシース挿入補助具7を内挿することで挿入補助具付きシース70を組み立てることができる構成は、本発明に係る各実施形態の胃瘻用シースに共通して適用可能である。
【0145】
なお、図31(b)に示すように、胃瘻用シース6のシース本体11の先端部(図31(b)において下端部)は、該シース本体11を先細りに賦形して縮径してなる先端テーパ部11aとされている。この先端テーパ部11aの先端の内径、すなわち先端テーパ部11aにおける最小内径はシース挿入補助具7の外径と略一致するサイズになっている。
この先端テーパ部11aは、シース本体11に内挿されたシース挿入補助具7の外径とシース本体11の内径との差に起因する段差の形成を回避し、胃瘻用シース6のシース本体11の瘻孔への挿入を円滑にする機能を果たす。
シース本体11の先端部に先端テーパ部11aを具備する構成は、本発明に係る各実施形態に共通して適用可能である。
【0146】
次に、図41に示すように、新設する胃瘻用ボタン2にオブチュレータ3を組み付けてセットし、オブチュレータ3の操作部311を操作(押し込み操作)して胃瘻用ボタン2の体内固定部23を伸展(縮径)させたものを用意し、体内固定部23の伸展状態を維持したまま胃瘻用ボタン2を体内固定部23側から、瘻孔に留置されている胃瘻用シース6のシース本体11の内部通路113に挿入して、体内固定部23を胃瘻用シース6よりも体内側に突出させる(図42参照)。
以下、図25〜図28を参照して説明した要領で胃瘻用シース6の体外への抜去、体内固定部23の進展解除(拡張)、オブチュレータ3の体外への抜去を行うことで、新設の胃瘻用ボタン2の体内留置が完了する。
【0147】
この胃瘻用シース6を使用した胃瘻用ボタン2の交換作業においては、上述のように、瘻孔に挿入した挿入補助具付きシース70の胃瘻用シース6からシース挿入補助具7を引き抜いたとき、持ち手61を操作しなくても、自動的に、蓋63によってシース本体11の内部通路113を塞いだ状態を得ることができ、内部通路113を塞ぐ作業の手間を省略できる。
瘻孔に挿入した挿入補助具付きシース70の胃瘻用シース6からシース挿入補助具7を引き抜いたとき、持ち手61を操作しなくても、自動的に、蓋63がシース本体11の内部通路113を塞いだ状態になり、内視鏡から胃内に供給した空気の流出を防ぐことができる利点は、胃瘻用ボタン2の交換に限定されず、新規の胃瘻造設においても得ることができる。胃瘻用シース6を用いた胃瘻造設は、図18〜図28を参照して説明した胃瘻造設術において胃瘻用シース1にかえて胃瘻用シース6を用いることで実現される。
【0148】
なお、図34〜図42を参照して説明した胃瘻用ボタン2の交換作業は、胃瘻用シース6にかえて、図1(a)、(b)にて説明した胃瘻用シース1を適用して行うことも可能である。
胃瘻用ボタン2の交換作業において胃瘻用シース(本発明に係る胃瘻用シース)を用いることは、胃瘻用ボタン2(交換用の胃瘻用シース)の挿入時の挿入抵抗を低減させることができる、といった利点がある。
【0149】
図43に示すように、本発明に係る胃瘻用シースは、既述の蓋用長板部材64からストッパ用突片642を省略した構成の蓋用長板部材64Aを採用した構成としても良い(胃瘻用シース6A)。持ち手61の構成は、既述の胃瘻用シース6と同様のものを採用できる。
この胃瘻用シース6Aは、ヒンジ部116の弾性と蓋ヒンジ部62の弾性とによって、蓋63をシース本体11の内部通路113を塞ぐ閉位置に弾性支持する構成になっている。
【0150】
蓋63は、蓋ヒンジ部62から、シース本体11の中心軸線C1に対して90度未満の角度でシース本体11先端側に傾斜するようにして延在してシース本体11内に挿入された舌片状になっている。
また、蓋63の先端は、蓋63が閉位置から開方向とは逆方向に回動されることで、シース本体11において内部通路113を介してヒンジ部116及び蓋ヒンジ部62とは反対の側に位置する部位にシース本体11先端側から当接されるようになっている。このときの、シース本体11における蓋63の先端が当接される部位を符号117bを付して、以下、蓋当接部とも言う。ヒンジ部116及び蓋ヒンジ部62は、内部通路113を介して蓋当接部117bと反対の側に位置する。
蓋63は、ヒンジ部116及び蓋ヒンジ部62の弾性に抗して開方向に回動(蓋当接部117bから離隔する方向への回動。図43中、時計回り方向への回動)可能であり、また、回動後の位置からヒンジ部116及び蓋ヒンジ部62の弾性によって閉位置へ復帰可能である。
【0151】
この胃瘻用シース6Aの場合も、例えば該胃瘻用シース6Aの使用者が手指で持ち手61を把持しておらず、持ち手61及び蓋63に外力が与えられていない状態であれば、ヒンジ部116及び蓋ヒンジ部62の弾性によって、蓋63は閉位置(図43に示す位置)に弾性支持される。
また、蓋ヒンジ部62はヒンジ部116に比べて弱い力で弾性変形(曲げ変形)されるように構成されている。このため、胃瘻用シース6Aの場合、蓋ヒンジ部62の弾性変形によって、蓋63の位置に関係無く持ち手61の回動操作を自由に行うことができる。仮に、図43において、蓋ヒンジ部62を具備せず蓋63が持ち手61と一体的に回動する構成とした場合は、蓋63が蓋当接部117bに当接された状態にあると持ち手61の図43中反時計回り方向への回動が蓋63によって規制されることになり、シース本体11に対する持ち手61の向きが制約される。これに対して、上述のように蓋ヒンジ部62を具備する構成であれば、蓋63が蓋当接部117bに当接された状態にあっても持ち手61を図43中反時計回り方向に回動させることが可能であり(例えば、図43中、仮想線で示す符号61の位置。以下、この位置を待避位置とも言う)、シース本体11に対する持ち手61の角度(向き)の自由度が大きい。このため、例えば、胃瘻用ボタン2の挿入時に持ち手61を任意の向きで保持することが可能であり、胃瘻用ボタン2の挿入作業性を向上できる。例えば、持ち手61を前記待避位置に配置したときには、持ち手61を把持した手指が、シース本体11に挿入する胃瘻用ボタン2に接触して挿入作業の邪魔になることを回避できる。
【0152】
蓋ヒンジ部の存在によって、シース本体11に対する持ち手61の角度(向き)の自由度を大きく確保できることは、図31等を参照して説明した胃瘻用シース6についても同様である。
【0153】
また、蓋ヒンジ部62の位置はヒンジ部116近傍に配置されているものの、ヒンジ部116とは別体になっており、ヒンジ部116を中心とする持ち手61の回動が生じなくても、蓋ヒンジ部62の弾性変形による蓋63の回動が可能である。このため、例えば胃瘻用シース6Aのシース本体11の内部通路113に挿入されたシース挿入補助具7によって蓋63が開方向に回動されたときに、持ち手61が蓋63に追従回動することを抑えることができる。これにより、蓋63の回動に伴う持ち手61の位置の変動を抑えることができ、胃瘻用シース6Aの使用者にとって持ち手61を手指で掴み損なうといった支障を生じにくく、作業効率を向上できるといった利点がある。
【0154】
図44(a)、(b)に示すように、本発明に係る胃瘻用シースは、前記シース本体11の基端部側の端面から窪むV字形の端部切り欠き部151を形成し、この端部切り欠き部151の奥底部152から前記シール本体11の先端側に向けて延在するようにシース本体11の長手方向(軸心方向)に延在する切り欠き溝111Aを形成した構成のシース本体15を採用したものである。
このシース本体15を採用した胃瘻用シースによれば、シース本体15を縦裂きする際に、端部切り欠き部151の奥底部152を始点として縦裂きを楽に円滑に行える、という利点がある。
【0155】
なお、図44(a)、(b)では、図31(a)、(b)等を参照して説明した胃瘻用シース6のシース本体11に、前記端部切り欠き部151と、この端部切り欠き部151の奥底部152から前記シール本体11の先端側に向けて延在する切り欠き溝111Aとを具備するシース本体15を採用した構成の胃瘻用シース6Bを例示したが、上述のように、前記端部切り欠き部151と、この端部切り欠き部151の奥底部152から前記シール本体11の先端側に向けて延在する切り欠き溝111Aとを具備する構成のシース本体は、本発明に係る各実施形態に適用可能である。
【0156】
本発明に係る胃瘻用シースは、図45(a)、(b)〜図47に示すように、持ち手61の前記ヒンジ部116とは反対の側に、使用者が手指を挿入して把持することができる把持用リング16を設けた構成も採用可能である。
図45(a)、(b)〜図47に示す胃瘻用シース6Cは、図31(a)、(b)等を参照して説明した胃瘻用シース6の持ち手61のヒンジ部116とは反対の側に前記把持用リング16を設けた概略構成になっている。また、この胃瘻用シース6Cにあっては、蓋用長板部材64にかえて、把持用リング16、取付部641、ストッパ用突片642、蓋ヒンジ部62、蓋63が一体に形成されてなるリング付き蓋用長板部材64Bを採用し、このリング付き蓋用長板部材64Bの取付部641を持ち手61に一体化した構成になっている。
【0157】
前記リング付き蓋用長板部材64Bは、蓋用長板部材64の前記取付部641を介して蓋ヒンジ部62とは反対側に把持用リング16を具備する構成になっている。
また、前記リング付き蓋用長板部材64Bは、ここでは、シリコーンゴム、エラストマーといったゴム弾性を有する材質によって全体が一体に形成されたものを採用している。
この前記リング付き蓋用長板部材64Bの取付部641を持ち手61に一体化する手法(構成)は、蓋用長板部材64の前記取付部641を持ち手61に一体化する手法(構成)と同様のものを採用できる。
【0158】
図47に示すように、この胃瘻用シース6Cは、該胃瘻用シース6Cの使用者が手指で把持用リング16を把持することでシース本体11をしっかりと掴むことができるため、例えば、胃瘻用ボタン2をシース本体11に挿入する作業の際などに手から落とすことなく確実に行うことができるといった利点がある。また、シース本体11にシース挿入補助具7を挿入して挿入補助具付きシース70を組み立てる場合などにも、同様に挿入、組み立ての作業を確実に行えるようになる。
手指によって把持用リング16を把持する方式は、図47に例示したように、片手の手指の1本以上(例えば中指、薬指、小指のうちの1又は複数)を把持用リング16の内側に挿入して把持用リング16に引っ掛けることが、把持の確実性の点で好ましい。
但し、これに限定されず、例えば、片手の1本以上の手指(例えば中指、薬指、小指のうちの1又は複数)を把持用リング16の内側に挿入して把持用リング16に引っ掛け、さらに、同じ手の残りの指で持ち手61を把持する把持方式なども採用可能である。
【0159】
なお、把持用リング16としては、必ずしも、ゴム弾性を有する材料からなる可撓性の構成である必要は無く、例えば、硬質樹脂によって形成されたものであっても良い。但し、硬質の材料で形成した把持用リング16は作業の邪魔になる可能性があるため、良好な作業性の確保の点で、ゴム弾性を材料によって形成されて柔軟性、可撓性に優れる構成の把持用リング16を採用することが有利である。
また、把持用リング16は、持ち手61のヒンジ部116とは反対の側に、持ち手61に対してしっかりと固定された状態に設けられれば良く、リング付き蓋用長板部材64Bを採用することは必須ではなく、取付部641、蓋ヒンジ部62、蓋63を構成する部材とは別の部材として持ち手に固定して設置しても良い。
【0160】
また、図45(a)、(b)〜図47では、図31(a)、(b)等を参照して説明した胃瘻用シース6に把持用リング16を適用した構成を例示したが、上述のように、持ち手のヒンジ部116とは反対の側に把持用リング16を設ける構成は、本発明に係る各実施形態に適用可能である。
【0161】
また、本発明は、胃瘻用シース1、胃瘻用ボタン2、オブチュレータ3、ダイレータ5を具備してなる胃瘻カテーテルキットを提供する。胃瘻カテーテルキットとしては、例えば、胃瘻用シース1、胃瘻用ボタン2、オブチュレータ3、ダイレータ5を、収納ケース内に収納して、一括して持ち運び可能にしたものであることがより好ましい。胃瘻用シース1、ダイレータ5は、ダイレータ5の外側に胃瘻用シース1を被せたシース付きダイレータ5Aであっても良い。また、胃瘻カテーテルキットは、さらに、交換用の胃瘻用シース、あるいは、この交換用の胃瘻用シースにシース挿入補助具7が内挿されてなる挿入補助具付きシース70を具備していても良い。挿入補助具付きシース70を構成していない交換用の胃瘻用シースを具備する胃瘻カテーテルキットは、さらに、交換用の胃瘻用シースのシース本体に内挿可能なシース挿入補助具7を具備していても良い。交換用の胃瘻用シース、挿入補助具付きシース70、シース挿入補助具7としては、前記収納ケース内に収納可能なものを採用する。
胃瘻カテーテルキットは、さらにガイドワイヤを備えていても良いことは言うまでも無い。
【0162】
なお、本発明は、蓋が、持ち手と一体回動する構成に限定されない。
例えば、持ち手とは別体の蓋を、ヒンジ部を介してシース本体に回動自在に設けた構成も採用可能である。
また、本発明は、蓋を具備しない構成も含む。この場合、例えば、シース本体の基端部に着脱可能に嵌合する栓部材を用いて、シース本体の内部通路の開閉を行うといったことも可能である。栓部材によって内部通路を塞ぐことで、内視鏡からの送気コントロールを容易にすることができる。
また、本発明は、胃瘻用シースの内部通路の径(内径)を、体内留置部の伸展時の最大外径と同じあるいはそれよりも大きくした構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】(a)本発明の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の斜視図を示す。(b) 本発明の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の左側面の断面図を示す。
【図2】(a) 本発明の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の上面図を示す。(b)本発明の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の正面図を示す。(c)本発明の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の右側面図を示す。(d)本発明の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の背面図を示す。(e)本発明の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の下面図を示す。
【図3】(a)本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の斜視図を示す。(b) 本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の左側面の断面図を示す。
【図4】(a) 本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の上面図を示す。(b)本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の正面図を示す。(c)本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の右側面図を示す。(d)本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の背面図を示す。(e)本発明の胃瘻用シースの蓋が開いた際の下面図を示す。
【図5】本発明の胃瘻用シースに、蓋を閉位置に弾性支持するため弾性支持部として、シース本体基端部の外側に弾性部材を配置した構成を示す断面図であって、(a)は蓋が閉位置にある状態、(b)は蓋が閉位置から移動してシース本体の内部通路が開放された状態を示す。
【図6】(a)本発明に用いる胃瘻用ボタンの斜視図を示す。(b)本発明に用いる胃瘻用ボタンの上面図を示す。(c)本発明に用いる胃瘻用ボタンの下面図を示す。
【図7】本発明に用いる胃瘻用ボタンの構造を示す断面図である。
【図8】(a)本発明に用いるオブチュレータの左側面の断面図、及び、ストッパーの側面図を示す。(b)本発明に用いるオブチュレータの正面図を示す。(c)本発明に用いるオブチュレータの右側面図を示す。
【図9】本発明に用いるオブチュレータと該オブチュレータに取り付けたストッパーとの関係を示す図であって、(a)はストッパーを、胃瘻用ボタンの体外固定部を係止可能としたときの状態、(b)はストッパーを係止解除状態としたときを示す。
【図10】(a)本発明に用いる胃瘻用ボタンとオブチュレータをセットした際の正面図を示す。(b)本発明に用いる胃瘻用ボタンとオブチュレータをセットし、胃瘻用ボタンを伸展させた際の正面図を示す。
【図11】(a)本発明に用いる胃瘻用ボタンとオブチュレータをセットし、さらにガイドワイヤを併用した状態で胃瘻用ボタンを伸展させた際の正面図を示す。
【図12】(a)本発明に用いるダイレータの正面図を示す。(b)本発明に用いる細径ダイレータの正面図を示す。(c)本発明の胃瘻用シースをダイレータに組み合わせたシース付きダイレータを示す正面図である。(d)本発明の胃瘻用シースをダイレータに組み合わせたシース付きダイレータを示す断面図である。
【図13】本発明の胃瘻用シースにオブチュレータで伸展させた胃瘻用ボタンを入れる直前の正面図を示す。
【図14】本発明の胃瘻用シースにオブチュレータで伸展させた胃瘻用ボタンを入れる途中の正面図を示す。
【図15】本発明の胃瘻用シースを示す図であって、シース本体に、切り欠き部としてスリットを形成した構成を示す斜視図であって、(a)は蓋が閉位置にある状態、(b)は蓋が閉位置から移動してシース本体の内部通路が開放された状態を示す。
【図16】本発明の胃瘻用シースのシース本体の断面構造、持ち手の位置を模式的に示す図であり、(a)シース本体に切り欠き部として切り欠き溝を形成した構成、(b)はシース本体に切り欠き部としてスリットを形成した構成を示す。
【図17】シース本体の周方向の2箇所にスリットを形成した構成の胃瘻用シースの構造を示す断面図である。
【図18】腹壁と胃壁とが密着していない状態を示す。
【図19】腹壁と胃壁とを縫合糸により密着させた状態を示す。
【図20】ガイドワイヤが留置された状態を示す。
【図21】ガイドワイヤを併用して胃瘻用シースを被せたダイレータ(シース付きダイレータ)を腹壁、胃壁に挿入する状態を示す。
【図22】胃瘻用シースが留置された状態を示す。
【図23】胃瘻用シースに胃瘻用ボタンを挿入する状態を示す。
【図24】胃瘻用シースの内部通路から胃瘻用ボタンを挿入した状態を示す。
【図25】胃瘻用シースを抜去した後の胃瘻用ボタンのみが挿入された状態を示す。
【図26】オブチュレータの伸展を解除したときの状態を示す。
【図27】オブチュレータを抜去したときの状態を示す。
【図28】胃瘻用ボタンの留置が完了した状態を示す。
【図29】径方向に拡径可能なシース本体にオブチュレータで伸展された胃瘻用ボタンを挿入する前の状態を示す。
【図30】径方向に拡径可能なシース本体にオブチュレータで伸展された胃瘻用ボタンを挿入する過程の状態を示す。
【図31】(a)本発明の胃瘻用シースの他の態様を示す図であって、蓋が閉じた際の斜視図を示す。(b) 上記図31(a)の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の左側面の断面図を示す。
【図32】(a) 図31の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の上面図を示す。(b)図31の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の左側面図を示す。(c)図31の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の正面図を示す。(d)図31の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の右側面図を示す。(e)図31の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の背面図を示す。(f)図31の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の下面図を示す。
【図33】瘻孔に留置されているボタンを示す図である。
【図34】胃瘻用ボタンのキャップをはずした状態を示す図である。
【図35】胃瘻用ボタン内腔にオブチュレータを挿入し、ストッパーでボタンの体外固定部を把持した状態を示す図である。
【図36】オブチュレータのガイドワイヤ挿入孔からガイドワイヤを挿入し、胃瘻用ボタン先端からガイドワイヤを出した状態を示す図である。
【図37】胃瘻用ボタンに組み付けたオブチュレータの操作部を押し、胃瘻用ボタンの体内留置部を伸展状態にした状態を示す図である。
【図38】ガイドワイヤのみ瘻孔に残した状態で、オブチュレータと胃瘻用ボタンとガイドワイヤを抜去した状態を示す図である。
【図39】シース挿入補助具に胃瘻用シースを外挿してなる挿入補助具付きシースを、ガイドワイヤを案内部材として瘻孔に挿入した状態を示す図である。
【図40】シース挿入補助具とガイドワイヤを抜去し、胃瘻用シースのみが留置されている状態を示す図である。
【図41】胃瘻用シースを介して胃瘻用ボタンを瘻孔に挿入した状態を示す図である。
【図42】胃瘻用シースを介して胃瘻用ボタンが胃内に留置された状態を示す図である。
【図43】ヒンジ部とは別の蓋ヒンジ部を介して持ち手に蓋をした構成の胃瘻用シースの他の例を示す断面図である。
【図44】(a)シース本体に、該シース本体の縦裂きの始点(起点)として活用できるV字形の端部切り欠き部を形成した胃瘻用シースの例を示す斜視図である。(b)上記図44(a)のシース本体の端部切り欠き部付近の構成を示す拡大正面図(図44(a)の領域Xの拡大正面図)である。
【図45】(a)持ち手に把持用リングを設けた構成の胃瘻用シースの例を示す斜視図である。(b)図45(a)の胃瘻用シースの構造を示す左側断面図である。
【図46】(a) 図45の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の上面図を示す。(b)図45の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の左側面図を示す。(c)図45の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の正面図を示す。(d)図45の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の右側面図を示す。(e)図45の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の背面図を示す。(f)図45の胃瘻用シースの蓋が閉じた際の下面図を示す。
【図47】図45の胃瘻用シースの把持用リングの手指による把持形式の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0164】
1 胃瘻用シース
11 シース本体
11a 先端テーパ部
11B シース本体
111A 切り欠き部(切り欠き溝)
111a 非切断部
111B 切り欠き部(スリット)
112 テーパー部
113 内部通路
114 持ち手主片(チューブ片)
115 拡張部(賦形部)
115a 内側空間
115b 奥壁部
116 ヒンジ部
117 蓋当接部
117a 蓋当接部
117b 蓋当接部
118 非切断部
119 分割片部
12 持ち手
121 持ち手部材(第1持ち手部材)
122 持ち手部材(第2持ち手部材)
123 傾斜片
13 蓋
14 弾性部材
15 シース本体
151 端部切り欠き部
152 奥底部
16 把持用リング

2 胃瘻用カテーテル(胃瘻用ボタン)
21 チューブ部
21C 中心軸線
22 体内留置部
221 帯状片
222 基端側集束部
223 先端側集束部
23 体外固定部
231 可撓部
232 体表接触面
24 通路
25 弁
251 スリット
26 連絡路
27 ロッド当接部
271 ロッド嵌合突起
272 補強部材
28 キャップ

3 オブチュレータ
31 伸展用押圧棒
311 操作部
312 スプリング
313 ロッド本体
314 補強部材
315 ワイヤ挿通溝
316 ロック片
317 先端部
32 外筒
321 筒状部
322 指掛け
323 嵌合部
323a嵌合溝
324 溝
325 溝孔
326 ロック孔
33 ストッパー
331 腕部
332 挟持部
333 背面板
334 押し込み部

4 ガイドワイヤ

5 ダイレータ(拡張器)
5A シース付きダイレータ
51 太径ダイレータ
511 太径ダイレータ胴体部
512 太径ダイレータ先端部
513 太径ダイレータ側コネクタ
514 目盛
5141 基点(ゼロ点)
52 細径ダイレータ
521 細径ダイレータ胴体部
522 細径ダイレータ先端部
523 細径ダイレータ側コネクタ
524 ガイドワイヤ通路

6 胃瘻用シース
6A 胃瘻用シース
6B 胃瘻用シース
61 持ち手
611 持ち手部材(蓋側持ち手部材)
612 持ち手部材(主片側持ち手部材)
62 蓋ヒンジ部
63 蓋
64 蓋用長板部材
64A 蓋用長板部材
64B リング付き蓋用長板部材
641 取付部
642 ストッパ用突片

7 シース挿入補助具
70 挿入補助具付き胃瘻用シース
71 棒状本体
72 テーパ状先端部
73 ガイドワイヤ挿通孔

900 腹壁
901 胃壁
902 縫合糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養液又は薬液を体外から胃内へ導入する通路を内部に有するチューブ部と、前記チューブ部の先端部に付設され前記チューブ部の径方向外側に張り出すドーム状に形成された体内留置部とを具備し、前記体内留置部が該体内留置部の伸展用のオブチュレータから与えられる伸展力の作用により縮径可能である胃瘻カテーテル、を瘻孔に挿入して留置する胃瘻造設術、胃瘻カテーテルの交換に用いられる胃瘻用シースであって、
前記胃瘻カテーテルが挿入される円筒状のシース本体と、このシース本体の長手方向片端に突設された持ち手とを具備することを特徴とする胃瘻用シース。
【請求項2】
さらに、前記シース本体の前記持ち手側の端部である基端部にヒンジ部を介して回動自在に設けられて前記シース本体内側の貫通孔である内部通路内に配置され、前記ヒンジ部を中心とする回動によって前記シース本体の前記内部通路を開閉する蓋を具備し、
前記シース本体には、前記蓋が、前記ヒンジ部を中心とする回動によって、シース本体の前記基端部とは反対側の端部である先端部側から当接される蓋当接部が設けられ、
前記蓋は、前記内部通路を塞ぐ閉位置にて前記蓋当接部に当接されるとともに、前記閉位置からシース本体先端部側へ回動されることで前記内部通路を開放することを特徴とする請求項1記載の胃瘻用シース。
【請求項3】
前記蓋当接部は、前記シース本体において前記内部通路を介して前記ヒンジ部と対向する側に設けられ、該蓋当接部に、前記蓋の前記ヒンジ部側とは反対側の端部が当接されることを特徴とする請求項2記載の胃瘻用シース。
【請求項4】
前記持ち手が、前記ヒンジ部を介して前記シース本体の基端部に回動自在に設けられ、前記蓋は、前記持ち手から内部通路内に突出され、前記持ち手との一体的な回動によって前記シース本体の前記内部通路を開閉することを特徴とする請求項2又は3記載の胃瘻用シース。
【請求項5】
前記ヒンジ部が、前記蓋を、前記閉位置から開方向への回動を許容して前記閉位置に弾性支持する弾性支持部であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項6】
前記持ち手に付勢力を作用させて、前記蓋を前記閉位置から開方向への回動を許容して前記閉位置に弾性支持するための弾性支持部として機能する弾性部材を具備することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項7】
さらに、前記持ち手に蓋ヒンジ部を介して設けられて前記シース本体内側の貫通孔である内部通路内に配置された蓋を具備し、
前記持ち手は、前記シース本体の前記持ち手側の端部である基端部に前記蓋ヒンジ部とは別のヒンジ部を介して回動自在に設けられており、
前記蓋は前記内部通路を閉じる閉位置に配置されており、しかも、前記蓋ヒンジ部を中心とする回動によって前記シース本体の前記内部通路を開閉可能とされていることを特徴とする請求項1記載の胃瘻用シース。
【請求項8】
前記シース本体には、前記蓋が、前記蓋ヒンジ部を中心とする回動によってシース本体の前記基端部とは反対側の端部である先端部側から当接される蓋当接部が設けられ、
前記蓋は、前記内部通路を塞ぐ閉位置にて前記蓋当接部に当接されるとともに、前記閉位置からシース本体先端部側へ回動されることで前記内部通路を開放することを特徴とする請求項7記載の胃瘻用シース。
【請求項9】
前記ヒンジ部及び前記蓋ヒンジ部は、前記シース本体において前記内部通路を介して前記蓋当接部と対向する側に設けられ、該蓋当接部に、前記蓋の前記蓋ヒンジ部側とは反対側の端部が当接されることを特徴とする請求項8記載の胃瘻用シース。
【請求項10】
前記蓋ヒンジ部が、前記持ち手から突出されて前記シース本体内に挿入され前記内部通路を介して前記蓋当接部と対向する側の内面に沿わせるように配置されたストッパ用突片の先端に設けられ、
前記蓋に前記閉位置から開方向へ回動させる力が作用したとき前記ストッパ用突片が前記シース本体内面に押圧されて該ストッパ用突片の前記シース本体に対する回動が規制されることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項11】
前記ストッパ用突片がゴム弾性を有する材質からなることを特徴とする請求項10記載の胃瘻用シース。
【請求項12】
前記蓋ヒンジ部は、ゴム弾性を有する材質からなり、前記蓋を前記閉位置に弾性支持する蓋弾性支持部を構成していることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項13】
前記蓋ヒンジ部と前記蓋とがゴム弾性を有する材質から一体に形成されていることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項14】
前記持ち手の一部を構成する取付部と前記蓋ヒンジ部と前記蓋とが合成樹脂により一体に成形された一部品になっていることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項15】
前記シース本体の前記内部通路の内面に、前記蓋を収納するための蓋収納用凹所が形成されていることを特徴とする請求項2〜14のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項16】
前記シース本体の前記基端部に、シース本体がその径方向外側に拡張するように賦形された拡張部が形成されており、前記蓋収納用凹所が、前記拡張部の内側に前記内部通路を拡張するように確保された空間であることを特徴とする請求項15記載の胃瘻用シース。
【請求項17】
前記持ち手の一部又は全部を構成する持ち手主片と、前記シース本体と、前記ヒンジ部とが、合成樹脂により一体に成形された一部品になっていることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項18】
前記持ち手の前記ヒンジ部とは反対の側に、使用者が手指を挿入して把持することができる把持用リングが設けられていることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項19】
前記シース本体に、該シース本体の長手方向に沿って延在する縦裂き用の切り欠き部が1本又は複数本形成されていることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項20】
前記切り欠き部が、前記シース本体にその肉厚を非貫通として形成された切り欠き溝であり、前記切り欠き溝の溝底側に、前記シース本体の肉厚を局所的に薄くした非切断部が確保されていることを特徴とする請求項19記載の胃瘻用シース。
【請求項21】
前記シース本体には、その前記基端部側の端面から窪むV字形の端部切り欠き部が形成されており、前記切り欠き溝が前記端部切り欠き部の奥底部から前記シール本体の先端側に向けて延在するように形成されていることを特徴とする請求項20記載の胃瘻用シース。
【請求項22】
前記切り欠き部が、前記シース本体の長手方向に沿って延在形成されたスリットであり、前記スリットは、前記シース本体の長手方向全長よりも短い長さでシース本体の長手方向の一部に形成され、
前記シース本体は、前記スリットの仮想延長上に、前記スリットが形成されていない非切断部を有することを特徴とする請求項19記載の胃瘻用シース。
【請求項23】
前記非切断部の少なくとも一つを破壊させるために、前記シース本体内面に作用させる荷重が0.5N以上5N以下であることを特徴とする請求項20〜22のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項24】
前記切り欠き部は、その断面形状が、前記シース本体の内面側から外面側に行くに従って開口幅が拡大する楔形に形成されていることを特徴とする請求項19〜23のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項25】
前記切り欠き部が、前記シース本体のレーザ加工によって形成されたものであることを特徴とする請求項19〜24のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項26】
前記シース本体がFEPを含む材質によって形成され、該シース本体の前記切り欠き部が形成された部位が前記レーザ加工により白化されていることを特徴とする請求項25に記載の胃瘻用シース。
【請求項27】
前記持ち手が、前記シース本体の周方向において前記切り欠き部を避けた位置に設けられていることを特徴とする請求項19〜26のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項28】
前記切り欠き部は、前記シース本体の周方向の1箇所のみに形成され、前記持ち手が1つであることを特徴とする請求項27記載の胃瘻用シース。
【請求項29】
前記シース本体が、長手方向に配向性を有するものであることを特徴とする請求項1〜28のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項30】
前記シース本体の基端部側の端面が、該シース本体の軸心に対して斜めに形成されていることを特徴とする請求項1〜29のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項31】
前記シース本体の内径が前記胃瘻カテーテルのチューブ部外径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜30のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項32】
前記シース本体の材質は、フッ素系樹脂を含むものである請求項1〜31のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項33】
前記フッ素系樹脂は、PTFE、ETFE、FEPのいずれか1つを含むものであることを特徴とする請求項32に記載の胃瘻用シース。
【請求項34】
前記シース本体が、瘻孔形成用のダイレータに挿脱可能に外挿できることを特徴とする請求項1〜33のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項35】
前記ダイレータが、その長手方向に貫通するガイドワイヤ通路を有するものであることを特徴とする請求項34記載の胃瘻用シース。
【請求項36】
前記ダイレータは、その外周面に、胃壁内面と体表面との間の距離を測定するための目盛が設けられていることを特徴とする請求項34又は35記載の胃瘻用シース。
【請求項37】
前記シース本体が、その外側から前記ダイレータの前記目盛を目視可能な透明性を有することを特徴とする請求項36記載の胃瘻用シース。
【請求項38】
前記ダイレータが、前記ガイドワイヤ通路を内部に有する細径ダイレータと、この細径ダイレータに外挿して前記細径ダイレータに組み付けられた太径ダイレータとを一体化したものであることを特徴とする請求項34〜37のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項39】
前記シース本体の内径が、前記胃瘻カテーテルの体内留置部がオブチュレータから与えられる伸展力によって縮径状態にあるときの最大外径よりも小さいことを特徴とする請求項1〜38のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項40】
前記シース本体は、前記オブチュレータによって前記体内留置部が縮径状態とされた前記胃瘻カテーテルの挿入によって縦裂き可能であることを特徴とする請求項39記載の胃瘻用シース。
【請求項41】
前記シース本体が伸び変形可能な材質により、径方向に拡径可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜40のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項42】
前記シース本体の内径が、前記胃瘻カテーテルの体内留置部がオブチュレータから与えられる伸展力によって縮径状態にあるときの最大外径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜38のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項43】
前記シース本体は、外観棒状に形成されたシース挿入補助具を挿脱可能に内挿できるように構成されており、前記シース挿入補助具は、棒状本体と、該棒状本体の長手方向の片端に突設された先細り形状のテーパ状先端部とを具備することを特徴とする請求項1〜42のいずれかに記載の胃瘻用シース。
【請求項44】
前記シース挿入補助具が、その長手方向に貫通するガイドワイヤ挿通孔を有するものであることを特徴とする請求項43記載の胃瘻用シース。
【請求項45】
前記シース挿入補助具が瘻孔形成用のダイレータとして使用可能なものであることを特徴とする請求項43又は44記載の胃瘻用シース。
【請求項46】
瘻孔形成用のダイレータに、請求項1〜45のいずれかに記載の胃瘻用シースが外挿されていることを特徴とするシース付きダイレータ。
【請求項47】
請求項1〜45のいずれかに記載の胃瘻用シースの前記シース本体に、棒状本体の長手方向の片端に先細り形状のテーパ状先端部に突設されてなるシース挿入補助具が内挿されてなることを特徴とする挿入補助具付き胃瘻用シース。
【請求項48】
患者に対し栄養液又は薬液を体外から胃内へ経皮的に補給するための胃瘻カテーテルと、オブチュレータと、請求項1〜45のいずれかに記載の胃瘻用シースあるいは請求項46記載のシース付きダイレータとを備える胃瘻カテーテルキットであって、
前記胃瘻カテーテルは、栄養液又は薬液を体外から胃内へ導入する通路を内部に有するチューブ部と、前記チューブ部の先端部に付設され前記チューブ部の径方向外側に張り出すドーム状に形成された体内留置部とを具備し、前記体内留置部が該体内留置部の伸展用のオブチュレータから与えられる伸展力の作用により縮径可能であり、
前記請求項1〜45のいずれかに記載の胃瘻用シース及び請求項46記載のシース付きダイレータの胃瘻用シースは、瘻孔に挿入された状態で、前記オブチュレータによって前記体内留置部を縮径状態とした前記胃瘻カテーテルが挿入されることを特徴とする胃瘻カテーテルキット。
【請求項49】
前記オブチュレータは、外筒と、この外筒に該外筒の長手方向に移動可能として内挿されたロッド本体を有する伸展用押圧棒と、前記胃瘻カテーテルを前記外筒に係止するためのストッパーを具備し、
前記胃瘻カテーテルを前記ストッパによって前記外筒に係止した状態で、前記伸展用押圧棒の前記ロッド本体の前記外筒から突出させた先端を、前記胃瘻カテーテルの前記体内留置部内に挿入して前記体内留置部の最先端部を押圧することで前記体内留置部を伸展させることを特徴とする請求項48記載の胃瘻カテーテルキット。
【請求項50】
前記胃瘻カテーテルおよび前記オブチュレータはガイドワイヤ通路を有し、前記オブチュレータは、前記胃瘻カテーテルに内挿されたガイドワイヤに外挿した状態で、前記胃瘻カテーテルの体内留置部を縮径可能に構成されていることを特徴とする請求項48又は49記載の胃瘻カテーテルキット。
【請求項51】
さらに、交換用の胃瘻用シースとして第1〜45のいずれかの発明の胃瘻用シースを具備し、胃瘻用シースは、瘻孔に挿入された状態で、前記オブチュレータによって前記体内留置部を縮径状態とした前記胃瘻カテーテルが挿入されるすることを特徴とする請求項48〜50のいずれかに記載の胃瘻カテーテルキット。
【請求項52】
前記交換用の胃瘻用シースを用いて構成された請求項47記載の挿入補助具付き胃瘻用シースを具備することを特徴とする請求項51記載の胃瘻カテーテルキット。
【請求項53】
前記請求項1〜45のいずれかに記載の胃瘻用シースの前記シース本体に、該シース本体の内径よりも外径が大きい医療器具を挿入することによって、前記シース本体の周方向の1又は複数箇所を該シース本体の長手方向全長にわたって分断することを特徴とする胃瘻用シースの分割方法。
【請求項54】
前記医療器具が、前記オブチュレータからの伸展力によって前記体内留置部を縮径状態にした前記胃瘻カテーテルであり、縮径状態にした前記体内留置部の最大外径が前記シース本体の内径よりも大きいことを特徴とする請求項53記載の胃瘻用シースの分割方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2009−148554(P2009−148554A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305328(P2008−305328)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【出願人】(509011558)
【Fターム(参考)】