説明

胃腸障害の処置のための方法および組成物

本発明は、IBSならびに他の胃腸障害および状態(例えば、胃腸運動障害、機能性胃腸障害、胃食道逆流症(GERD)、十二指腸胃逆流、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、機能性胸やけ、消化不良(機能性消化不良または非潰瘍性消化不良など)、胃不全麻痺)を処置するための組成物および関連の方法を特徴とする。該方法および組成物は、グアノシン−3’,5’−環状一リン酸および薬学的に許容されるその塩を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下痢、過敏性腸症候群、特に下痢型過敏性腸症候群および胃腸運動障害をはじめとする種々の障害を処置する方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
過敏性腸症候群(IBS)は、米国のみで2〜6千万人の患者に影響を及ぼす腸の一般的慢性障害である(非特許文献1参照)。IBSは胃腸科専門医により診断される最も一般的な障害であり(検査された患者の28%)、プライマリーケア専門医を訪問した患者の12%を占める(非特許文献2参照)。米国では、IBSの経済的影響は、ヘルスケアで使用される直接の経費および仕事の欠勤による間接的経費により、年間250億ドルと推定される(非特許文献3参照)。IBSの患者は仕事の欠勤が3倍になり、生活の質の低下を報告する。患者は、社会活動の参加、雇用の維持、または短距離などの旅行が可能でないか、またはそれを望まない場合がある(非特許文献4参照)。IBSを処置するための処方選択はほとんど存在しないため、この集団には巨大な満たされない医療ニーズがある。
【0003】
IBSの患者は、腹痛に見舞われ、腸のパターンが乱れている。主な腸習慣に基づいて、IBS患者の3つの部分集合、便秘型(c−IBS);下痢型(d−IBS)または2つの型の交互型(a−IBS)が定義された。c−IBSに罹患する患者の推定数はIBS患者の20〜50%であり、多くの場合30%とされる。c−IBSは、性別比が類似する他の2群と対比すると、女性においてより一般的である(3:1の比)(非特許文献5参照)。
【0004】
IBSの定義および診断基準は、「ローマ基準(Rome Criteria)」で正式に承認され(非特許文献6参照)、臨床現場において認知されている。簡単に説明すると、その基準では、前の12ヶ月のうちの少なくとも12週間(連続または非連続)で、対象者が腹部の不快感または腹痛に見舞われ、次の3つの特徴:(1)排便が軽くなる、(2)便の回数の変化に関連して発症する、(3)便の形態(外観)の変化に関連して発症する、のうちの少なくとも2つが生じなければならないことが明記されている。ローマII基準でも、過敏性腸症候群の診断を累積的に支持する症状として、異常な便回数(「異常」は腸の運動が1日あたり3回を超えること、または1週間あたり3回未満であることと定義してもよい)、異常な便形態(ごつごつした便/固い便または柔らかい便/水っぽい便)、異常な便通(いきみ、切迫している、または不十分な排出感)、便の粘液の排出、および膨張または腹部膨満感が挙げられると述べている。しかし、症候の複雑さは、解剖学的異常または代謝変化では説明されなかった。このため、IBSを機能的胃腸障害として分類し、ローマ基準および数少ない評価に基づいて診断し、器質性疾患を除外した(非特許文献7参照)。IBSは、3つの相互作用するメカニズム:腸運動の変化、刺激痛に対する腸または結腸の感受性上昇、および心理社会的要因が組合わされたことによる「生物心理社会的」疾患と見なされている(非特許文献2参照)。近年になり、IBSの病因において炎症の役割を示す証拠が増加した。IBS患者の部分集合が、結腸の炎症性肥満細胞の小さいが有意な増加、誘導型一酸化窒素(NO)およびシンターゼ(iNOS)の増加、ならびに炎症性サイトカインの発現の変化を有することが、複数の報告から示された(非特許文献8参照)。
【非特許文献1】レーマン・ブラザーズ、グローバル・ヘルスケア−イリタブル・ボーウェル・シンドローム・インダストリー・アプデート、1999年9月(Lehman Brothers, Global Healthcare−Irritable bowel syndrome industry update,Sepember 1999)
【非特許文献2】カミレリ 2001、ガストロエンテロロジー 120:652−668(Camilleri 2001, Gastroenterology 120:652−668)
【非特許文献3】タレー 1995、ガストロエンテロロジー 109:1736−1741(Talley 1995, Gastroenterology 109:1736−1741)
【非特許文献4】ドロスマン 1993、ダイジェスティブ・ディジーズ・アンド・サイエンス 38:1569−1580(Dig Dis Sci 38:1569−1580)
【非特許文献5】タレー他 1995、アメリカン・ジャーナル・オブ・エピデミオロジー 142:76−83(Talley et al. 1995, Am J Epidemiol 142:76−83)
【非特許文献6】ドロスマン他 1999、ガット 45:サプリメントII:1−81(Drossman et al.1999, Gut 45:Suppl II:1−81)
【非特許文献7】リンゲル他、201、アニュアル・レビュー・オブ・メディスン 52:319−338(Ringel etnal. 2001 Annu Rev Med 52:319−338)。
【非特許文献8】タレー 2000、メドスケープ・カバレッジ・オブ・DDW・ウィーク(Talley 2000, Medscape Coverage of DDW week)によるレビュー
【発明の開示】
【0005】
本発明は、IBSおよび他の障害および状態(例えば、特定の胃腸運動障害、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、十二指腸胃逆流、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、機能性胃腸障害、機能性胸やけ、胃食道逆流症(GERD)、胃不全麻痺、潰瘍性大腸炎、慢性下痢)、ならびに下痢に関連する障害および状態(例えば、動物の下痢、ヒトの下痢、機能性消化障害に関連する下痢、滲出性下痢、非滲出性下痢、吸収低下性下痢、非吸収性下性下痢、炎症性下痢、非炎症性下痢、分泌性下痢、非分泌性下痢、初期化学療法関連の下痢、後期化学療法関連の下痢、薬物性下痢、細菌性下痢、ウイルス性下痢、原虫性下痢、HIV関連の下痢、高活性抗レトロウイルス療法関連の下痢、抗生物質関連の下痢、経鼻胃管摂食関連の下痢、急速な麻薬中毒の解毒に関連する下痢、および神経内分泌腫瘍関連の下痢)、ならびに本明細書に記載された他の状態および障害を処置する組成物および関連の方法を特徴とする。
【0006】
本明細書に記載された方法は、例えば、3’,5’−GMP;3’,5’−環状GMP;環状GMP;グアノシン3’,5’−環状一リン酸;グアノシン3’,5’−(リン酸水素);環状グアノシン3’,5’−環状リン酸;グアノシン3’,5’−一リン酸;およびグアノシン環状一リン酸などの種々の他の名前で知られる、グアノシン3’,5’−環状一リン酸(cGMP;CAS登録番号7665−99−8)の投与を伴う。cGMPの構造を、以下の式Iに示す。
【0007】
【化1】

【0008】
本明細書で議論されるcGMPとしては、例えば、cGMPを消化管内に存在する酵素1種以上に暴露することにより生成される生成物、例えば脱リン酸化cGMP(例えば、リボグアノシンまたはグアノシンまたはデオキシリボグアノシンまたはデオキシグアノシン)、GMPおよびGMP誘導体のリン酸化形態(例えば、5’−一リン酸、2’−一リン酸、3’−一リン酸または2’,3’−一リン酸中間体のいずれかとしてのグアニラート一リン酸またはリボグアニラート一リン酸またはリボデオキシグアニラート一リン酸またはデオキシリボグアニラート一リン酸);ヌクレオチドのリボース糖の水酸化またはデオキシ形態(例えば、リボース、デオキシリボース、リボース一リン酸、またはデオキシリボース一リン酸);グアニン;ならびにメチル化グアニンおよびcGMP、例えばN2−メチルグアニン、N7−メチルグアニン、N2でメチル化されたcGMP、またはN7でメチル化されたcGMPも挙げられる。つまりcGMPの類似体としては、非限定的に、プリン環系への修飾、リボースへの修飾、またはリン酸基への修飾を有するものが挙げられる。場合により、cGMPの代謝産物、例えばキサンチンおよび尿酸は、本明細書に記載された方法および組成物において有用となろう。cGMPの類似体は、細胞膜透過性であってもよい。
【0009】
本明細書に記載された方法および組成物において有用なcGMPおよびその類似体としては、非限定的に、8−(4−クロロフェニルチオ)グアノシン3’,5’−環状一リン酸(メンシコフ他、1993年 ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー、245:281−4(Menshikov et al. 1993 Eur J Pharmacol.245:281−4))、ジブチリルグアノシン3’,5’−環状一リン酸(dbcGMP)、8−ブロモグアノシン3’,5’−環状一リン酸(8−ブロモcGMP)、8−(4−クロロフェニルチオ)グアノシン3’,5’−環状一リン酸(8−(4−クロロフェニルチオ)cGMP)、Rpグアノシン3’,5’−環状一リン酸(Rp−cGMP)、Spグアノシン3’,5’−環状一リン酸(Sp−cGMP)(cGMPのS異性体)、環状グアノシン3’,5’−三リン酸、環状グアノシン3’,5’−二リン酸、環状デオキシグアノシン3’,5’−一リン酸、環状デオキシグアノシン3’,5’−二リン酸、環状デオキシグアノシン3’,5’−三リン酸、環状グアノシン2’,3’−一リン酸、環状グアノシン2’,3’−二リン酸、環状グアノシン2’,3’−三リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−一リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−二リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−三リン酸、環状2−(N−メチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−一リン酸、環状2−(N−メチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−二リン酸、環状2−(N−メチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−三リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−2’,3’−一リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−2’,
3’−二リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−2’,3’−三リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−一リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−二リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−三リン酸、環状7−(N−メチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−一リン酸、環状7−(N−メチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−二リン酸、環状7−(N−メチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−三リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン2’,3’−一リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン−2’,3’−二リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン−2’,3’−三リン酸、環状2,7−(N,N’−ジメチル)−グアノシン−3’,5’−一リン酸、環状2,7−(N,N’−ジチル)−グアノシン−3’,5’−二リン酸、環状2,7−(N,N’−ジメチル)−グアノシン−3’,5’−三リン酸、環状2,7−(N,N’−ジメチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−一リン酸、環状2,7−(N,N’−ジチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−二リン酸、環状2,7−(N,N’−ジメチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−三リン酸、環状2,7−(N,N’−ジメチル)−グアノシン−2’,3’−一リン酸、環状2,7−(N,N’−ジチル)−グアノシン−2’,3’−二リン酸、および環状2,7−(N,N’−ジメチル)−グアノシン−2’,3’−三リン酸;非限定的に、Rp−8−pCPT−cGMP(CN−206)、Sp−8−pCPT−cGMPS(CN−207)、8−ブロモグアノシン−3’,5’−環状一リン酸ナトリウム塩(CN−205)、Rp−8−ブロモグアノシン−3’,5’−環状一チオリン酸ナトリウム塩(CN−216)、SP−8−ブロモグアノシン−3’,5’−環状一チオリン酸ナトリウム塩(CN−217)、およびN2,2’−O−ジブチリルグアノシン−3’,5’−環状一リン酸ナトリウム塩(CN−215)など、TWCバイオサーチ・インターナショナル(TWC Biosearch International)(中国、香港)から入手できるcGMP類似体;非限定的に、5’−NH−cGMP、3’−NH−cGMP、cGMPS(Rp)、cGMPS(Sp)、cGMP−N(CH(Sp)、cGMP−N(CH(Rp)、8−BR−cGMP、β−H−1−N−エテノ−cGMP、8−S(4−Cl)−C−cGMP、7−デアザ−cGMP、8−HCS−cGMP、6−HS−cGMP、1−HC−cGMP、8−HS−cGMP、N13−cGMP、8−H(O)C−cGMP、8−HO−cGMP、N−nH(O)C−cGMP、8−H(2−HO−iH)cGMP、8−HC(O)C−cGMP、8−(H)N−cGMP、N−[2,4−(ON)−H]cGMP、8−HN−cIMP、および2’−デオキシ−cGMPなど、コービン他、1986年 ジャーナル・オブ・バイトロジカル・ケミストリー261:1208に開示されたcGMP類似体;非限定的に、N−MB−cGMP(cIMP)、3−デアザcGMP、2−アミノプリンリボシド−3’,5’−環状一リン酸(2−NH2−cPuMP)、2’−デオキシグアノシン−3’,5’−環状一リン酸(2’−cdGMP)、2’−O−(N−メチルアントラニロイル)グアノシン−3’,5’−環状一リン酸(MANT−cGMP)、2’−O−Me−cGMP、およびcGMP−AMなど、バイオログ・ライフ・サイエンス・インスティチュート(Biolog Life Science Institute)(カリフォルニア州ヘイワード)から入手できるcGMP類似体;8−ブロモアデノシン−cGMP、環状N2,2’−O−ジブチリルグアノシン−3’,5’−一リン酸ナトリウム塩(ペンシルバニア州プリマウスのバイオモル(Biomol)から入手)、ならびにシグマ(Sigma)、アルドリッチ(Aldrich)およびベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)などの他の商業的供給業者から入手できるcGMP類似体などが挙げられる。
【0010】
特定の例において、患者に投与される組成物は、コハク酸(スクシナートまたはブタン酸とも呼ばれる)またはコハク酸誘導体、例えばコハク酸の薬学的に許容される塩およびエステル、例えばコハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、コハク酸一カリウム、
コハク酸二カリウム、ならびにモノ−およびジ−C1〜6アルキルコハク酸が挙げられる。つまり該組成物は、以下の式II
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、RおよびRは、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択される。種々の実施形態において、RおよびRは、いずれもH、いずれもメチル、またはいずれもエチルである)を有する化合物を包含する。
【0013】
本発明は、悪質液、例えばAIDまたは癌に関連する悪質液を処置する組成物および関連の方法も特徴とする。
本発明は、肥満を処置する組成物および関連の方法も特徴とする。
【0014】
理論に束縛されるものではないが、IBS(例えばd−IBS)、IBD、胃腸関連の潰瘍、および他の胃腸障害の場合、該組成物は、例えば胃腸の運動を低下させることにより、胃腸運動を変化させ得るため有用である。
【0015】
理論に束縛されるものではないが、IBSおよび他の特定の胃腸障害の場合、該組成物は、胃腸痛、内臓痛、慢性内臓過敏、消化不良、または結腸直腸拡張に対する過敏症を低減させることでも有用である。
【0016】
cGMPおよびその類似体を含む医薬組成物を投与する(例えば経口投与する)ことにより種々の障害を処置する方法は、コハク酸またはその誘導体を用いながら、または用いずに本明細書に記載されている。同じく、cGMPまたはその類似体と、非限定的に本明細書に記載された薬剤をはじめとする1種以上の更なる医薬剤とを含む医薬組成物も記載されている。同じく、cGMPと、非限定的に本明細書に記載された薬剤をはじめとする1種以上の更なる医薬剤とを投与することを含む方法も記載されている。他の薬剤を、cGMPまたはcGMP類似体と共に投与することができる(同時にまたは連続して)。
【0017】
同じく、消化管の全てまたは一部において腸の運動を変化させる方法および組成物も記載されている。腸運動は、消化過程で胃腸管を通して食物を運搬するための、胃、腸、結腸および直腸の一時的な協調的拡張および収縮を含む。
【0018】
特定の実施形態において、患者は、ローマ基準によりIBSに罹患していることを診断された。特定の実施形態において、IBSはd−IBSである。特定の実施形態において、IBSは交互型IBSである。特定の実施形態において、患者は、女性である。
【0019】
同じく、下痢に見舞われた患者を処置する方法も記載されている。一般に下痢は、分泌の失調による障害である。下痢は、液体便または液様便の頻繁な排便を特徴とする。下痢は、痙攣、鼓腸、胃痛および衰弱を伴う場合がある。下痢の主な医療結果としては、脱水、腎不全、電解質失調、アシドーシス、成長障害、栄養失調、および死亡が挙げられる。継続的な下痢または重度の下痢で生命を脅かす態様では、攻撃的な処置が必要となる可能
性があり、入院する場合もある。継続的で重度の下痢は、患者の生活の質に負の影響を有し、役割および責務を妨害し、人間関係に影響を及ぼし、社会的孤立感が増す可能性もある。特定の実施形態において、患者はヒトであり、患者は青年であり、患者は18歳未満であり、患者は幼児であり、患者は女性であり、患者は男性である。一つの実施形態において、下痢は、塩素イオンおよび水分泌の増加により引き起こされる。
【0020】
本発明は、ヒトの処置に有用である他に、哺乳動物、げっ歯類をはじめとする伴侶哺乳動物、外来動物および家畜の獣医学的処置にも有用である。一つの実施形態において、哺乳動物としては、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコおよびイヌが挙げられる。scours(下痢)としても知られる、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコおよびイヌなどの動物およびペットにおける下痢は、これらの動物の主な死因である。下痢は、大がかりな変化、例えば離乳または物理的移動により起こる可能性がある。下痢の一つの形態は、細菌またはウイルス感染による下痢を特徴とし、一般に、動物の一生の最初の数時間内に起こる。ロタウイルス(Rotavirus)およびコロナウイルス(Coronavirus)への感染は、新生仔のウシおよびブタでは一般的である。ロタウイルス感染は、多くの場合、生後12時間以内に起こる。ロタウイルス感染の症状としては、水っぽい便の排泄、脱水および衰弱が挙げられる。新生仔の動物においてより重度の疾病を引き起こすコロナウイルスは、ロタウイルス感染よりも死亡率が高い。しかし多くの場合、若い動物は、2種以上のウイルス、またはウイルスと細菌微生物との組合せに一度に感染する可能性がある。これにより、疾患の重度が劇的に上昇する。
【0021】
下痢は、滲出性下痢、非滲出性下痢、吸収低下性下痢、非吸収低下性下痢、炎症性下痢、非炎症性下痢、分泌性下痢、および非分泌性下痢に分類することができる。
滲出性下痢は、疾患のダメージからくる機能的腸粘膜の喪失により起こる。炎症過程による結腸吸収の障害、および非限定的に、潰瘍性大腸炎、細菌性赤痢およびアメーバ症などの障害による細胞およびコロイドの流出が、滲出性下痢につながる可能性がある。
【0022】
吸収低下性下痢に関連する障害としては、浸透圧性の乱れ、解剖学的乱れ、および運動障害が挙げられる。浸透圧性下痢は、吸収性の低い物質を消化して、液体の吸収が遅延することによる。つまり浸透圧性下痢は、消化異常、例えば乳糖不耐性の結果生じる可能性がある。解剖学的障害(切除後障害とも呼ばれる)に関連する下痢は、結腸亜全摘および胃結腸フィステルなどの手順に関連する一部の機能的粘膜の外科的除去での吸収面の減少によるものである。運動性下痢は、異常に急速な移動時間(管腔内容物の腸壁への暴露が減少することによる)から生じる可能性がある。つまり甲状腺機能亢進および過敏性腸症候群などの疾患により、接触時間が低下すれば、運動性下痢を起こす可能性がある。
【0023】
分泌性下痢は、粘膜吸収の阻害、または腸壁の細胞からの液体および電解質の分泌亢進のいずれかにより起こり得る。腸内では、幼弱な腺窩細胞が管腔に液体を分泌し、柔突起細胞が管腔から液体を吸収する。分泌性下痢は、これらの工程のいずれかが破壊され、管腔へ液体が実質的に流れた時に起こる可能性がある。腺窩細胞および柔突起細胞を通した液体の移動は、主に上皮のイオン輸送および平滑筋の収縮に関与する膜関連蛋白質により制御される。これらの蛋白質は、ホスホイノシチド−ジアシルグリセリン経路の要素である環状ヌクレオチド、および遊離細胞内カルシウムなどの二次伝達物質によっても調節される。古典的な形態では、分泌亢進に関連する分泌性下痢は、透過性、吸収容量および外部生成された腸内浸透圧成分とは別の変化によるものである。しかし、下痢の形態は全て、分泌成分を判明することができる。
【0024】
分泌性下痢は、炎症性腸疾患などの胃腸障害を伴う可能性がある。分泌性下痢は、不健康な対象、特に後天性免疫不全症候群(AIDS)および慢性炎症性腸疾患の患者では、危険な状態である。AIDS患者の下痢は、消耗を起こす可能性があり、これらの患者が
衰弱する重要な要因である。AIDS患者は、多くの場合、免疫系で撃退できない腸感染により下痢を発症するが、AIDS患者は、AIDS腸症により下痢を発症する場合もある。AIDS腸症は、下痢を特徴とする障害であるが、二次感染を伴わない。それは、小腸粘膜細胞および結腸粘膜細胞のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染により引き起こされる。
【0025】
下痢は、胃腸炎、細菌、ウイルスおよび寄生虫感染、超粘膜の損傷(重度の慢性潰瘍、大腸炎または放射線照射による損傷)、ならびに肝臓、副腎などの臓器の疾患または衰弱など、種々の病理生理学的障害から生じる可能性がある。それは、他の治療またはダイエットの結果生じる可能性もある。下痢は、全ての例で、一般に器質性胃腸障害の症状であり、それ自体は障害ではない。慢性下痢は、一般に(1)胃、小腸および結腸の液体および電解質の分泌亢進;(2)特定の栄養素の吸収不能(吸収不良);ならびに(3)腸の運動亢進および急速な移動によるものである。これらは、別々に、または一緒に起こる場合がある。特定の障害は、疾患/症状の顕著な特徴として下痢を示す場合があるが、具体的な病因は不明である。この後者の群では、感情的な緊張および心理学的要因が、症状の頻度に悪影響を及ぼす場合がある。
【0026】
下痢は薬物誘導性の場合があり、例えば下痢は、癌(例えば、脳、扁平細胞、膀胱、胃、膵臓、乳房、頭部、頚部、食道、前立腺、結腸直腸、肺、腎臓、卵巣、婦人科系または甲状腺の癌)の治療の副作用の場合があり、多くの場合化学療法剤での臨床処置の際に発症する。化学療法は、初期および/または後期下痢に関連する可能性がある。初期の下痢は、多くの場合軽度であり、化学療法剤の投与時または24時間後までに起こる場合がある。後期下痢は、化学療法後24時間を超えた時に起こり、多くの場合より重度で、生命の脅威となる可能性がある。下痢に関連する化学療法剤としては、非限定的に、メトロキサート、メトトレキサート、フロオロピリミジン(例えば5−フルオロウラシル)、プラチナ誘導体(例えば、シスプラスチン、オキサリプラチン)、チミジラート合成酵素阻害剤(例えば、ラルチトレキシド)、およびカンプトテシン誘導体(例えばイリノテカン(例えば、カンプトスター(Camptostar)(商標)、カンプト(Campto)(商標))、塩酸イリノテカン、SN−38(10−エチル7−ヒドロキシカンプトテシン)、ルビテカンおよびトポテカンが挙げられる。
【0027】
薬物性の下痢は、HAARTまたは高活性抗レトロウイルス薬療法で知られる抗レトロウイルス薬を注意深く計画された併用で投与されるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者に観察される下痢も包含する。HAART療法は、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、および非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えば硫酸インジナビル、アンプレナビル、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル・メシラート、メシル酸サキナビル、エルファビレンツ(Elfavirenz)、ネビラピン、硫酸アバカビル、メシル酸デラビルジン、ザルシタビン、スタブジン、ジドブジン、ラミブジン、ラミブジン・ジドブジン混合剤およびジダノシンを含んでいてもよい。
【0028】
AIDS患者における下痢は、消耗を起す非常に重篤な状態であり、これらの患者の衰弱における重要な要因であろう。AIDS患者は、多くの場合、免疫系では撃退できない腸感染により下痢を発症するが、AIDS患者は、AIDS腸症により下痢を発症する場合もある。AIDS腸症は、下痢を特徴とする障害であるが、二次感染を伴わない。それは、小腸粘膜細胞および結腸粘膜細胞のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染により引き起こされる。AIDS患者が腸感染により下痢を引き起こす最も一般的な感染源は、クリプトスポリジウム(cryptosporidium)である。AIDS患者の下痢を処置する方法としては、抗生物質の投与、および免疫グロブリンまたはウシ初乳の免疫グロブリン濃縮分画の投与が挙げられる。
【0029】
薬物性の下痢は、アドレナリン作動性ニューロン遮断薬、例えばレセルピンおよびグアネチジン;抗菌剤、例えばスルホンアミド、テトラサイクリンおよびほとんどの広域薬;胆汁酸;カルチノイド腫瘍分泌物(例えば、5−ヒドロキシトリプトアミンおよび血管作動性腸ペプチド);コリン作動性アゴニストおよびコリンエステラーゼ阻害剤;脂肪酸;浸透圧下剤、例えばソルビトールおよび生理食塩水下剤;消化管運動賦活剤、例えばメトクロプラミドおよびドムペリドン;プロスタグランジン;キニジン;および刺激性緩下剤の投与にも関連した。
【0030】
下痢は、ウイルス(例えばロタウイルス、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus)、腸内アデノウイルス(enteric adenovirus)、ノーウォークウイルス(Norwalk virus)、ピコルナウイルス(picornavirus)、アデノウィルコロナウイルス(adenoviruscoronavirus)、カリシウイルス(Calicivirus)(カリシウイルス科)、およびウシウイルス性下痢ウイルス);細菌(例えば、毒素原性および侵入性の大腸菌(Escherichia coli)(例えば、K99線毛抗原を有する毒素原性大腸菌)、赤痢菌(shigella)、サルモネラ菌(salmonella)、ビブリオ(Vibrio)菌(例えばビブリオ・コレラ菌(Vibrio cholerae))、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、およびカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni));原生動物(例えば、ミクロスポリジア類(Microsporridia spp)、クリプトスポルジア類(Cryptospordia spp)(例えばクリプトスポリジウム・パルブム(Cryptosporidium parvum))、イソスポラ・ベリ(Isospora belli)、ブラストシスチス・ホミニス(Blastocystis hominis)、ジエンタモエバ・フラギリス(Dientamoeba fragilis)、バランチニウム・コリ(Balantinium coli)、イソポラ・ベリ(Isopora belli)、シルクロスポラ・カイエタネンシス(Cylclospora cayetanensis)、エンテロシトゾオン・ビエネウシ(Enterocytozoon bieneusi)、エンタモエバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、ギアルジア・ランブリア(Giardia lamblia)(ランブリア・インテスチナリス(Lamblia intestinalis)とも呼ばれる)、およびエンセファリトゾオン・インテスチトナリス(Encephalitozoon intestinalis));ならびに蠕虫(例えば、ストロンギロイデス・ステルコラリス(Strongyloides stercoralis))などの種々の微生物により誘導され得る。加えて、下痢の原因となる他の微生物としては、感染性大腸炎および菌血を起すものが挙げられる。
【0031】
下痢は、抗生物質関連の下痢(AAD)として分類することができる。AADは、入院患者の下痢の最も一般的な原因であり、罹患率、致死率、および経費の重要な要因を表す。ADDのほとんどの症例で、感染源が見出されていないが、クロストリジウム・ジフィシル(Clostridium difficile)は、大腸炎の兆候および症状のある患者で頻繁に同定される。全てのタイプの抗菌剤が関連しており、無症候性のキャリア状態から重度の偽膜性結腸炎まで広範囲の臨床発現を示す。ADDのほとんどの例が、支持療法および抗生物質の中止に反応する。重度で継続的な症状のある患者では、効果的な抗生物質療法を利用できるが、再発が一般的である。
【0032】
下痢は、経鼻胃管経腸栄養製品を摂取する患者の約10〜40%が経験する。下痢は、間歇的経管栄養の最も一般的な原因として挙げられ、経管栄養患者が最も頻繁に経験する。経管栄養患者が、吐気および腹部膨満に見舞われることも、少ない程度であるが知られている。
【0033】
急性および/または重度の下痢は、急速な麻薬中毒解毒によっても起こる場合がある。
下痢は、特定の神経内分泌腫瘍にも関連する。例えば、消化管ホルモン産生腫瘍、胃腫瘍、ソマトスタチノーマなどの膵臓内分泌腫瘍は、下痢になる場合がある。消化管ホルモン産生腫瘍は、分泌性下痢に関連する。
【0034】
本発明の1種以上の実施形態の詳細を付随の説明に示す。刊行物、特許および特許明細書は全て、本明細書に参照として援用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
腸通過アッセイ
組成物が、胃腸通過の速度を低下させるか、または上昇させるかを決定するために、マウス胃腸通過(GIT)アッセイを用いて該組成物をテストすることができる(ムーン他、インフェクション・アンド・イムニティ 25:127、1979(Moon et al. Infection and Immunity 25:127,1979))。このアッセイでは、マウスにテスト化合物を投与した後、胃腸管内で容易に視覚化できる活性炭を投与する。活性炭が移動した距離を測定し、結腸の全長に対する割合で表す。
【0036】
マウスをテスト化合物または対照緩衝液で処置する前に、12〜16時間絶食し、水には自由に近づかせる。該組成物を1μg/kg〜1mg/kg緩衝液(20mMトリス pH7.5)
で経口投与し、7分後に5%活性炭(アルドリッチ 242276−250G)を経口投与する。対照マウスには、緩衝液のみを投与した後、活性炭を投与する。15分後にマウスを屠殺して、胃から盲腸までの腸を切除する。腸の全長および胃から活性炭の先頭までの移動距離を各動物について測定し、結果は活性炭の先頭が移動した距離を腸の全長に対する割合として表した。
【0037】
組成物が慢性投与処置レジメンで効果的であるかを決定するために、類似のテストを実施することができる。簡単に説明すると、8週齢雌CD1マウスに、テスト化合物および賦形剤のみ(20mMトリス pH7.5)を1日1回5日間経口投与する。5日目に、10%活性炭溶液200μlを投与したこと以外は同じように、GITアッセイを実施する。
腸分泌のほ乳マウスモデル(SuMiアッセイ)
腸分泌物のほ乳マウスモデルを用いて、本発明の薬剤が腸分泌を増加させる能力についてテストすることができる。このモデルでは、テスト化合物を7〜9日齢のほ乳マウスに投与する。マウスを屠殺した後、胃から盲腸までの胃腸管を切除する(消化管)。残り部分(カーカス)および消化管を重量測定し、カーカスに対する消化管の比を計算する。その比が0.09を超えていれば、テスト化合物が腸分泌物を増加させると結論づけられる。このアッセイの対照は、細菌性STペプチドおよびゼルノーム(Zelnorm)(登録商標)を含んでいてもよい。
便の形成および軟度アッセイ
本発明の薬剤を、便の軟度および/または容積を変化させる能力についてテストすることができる。便の軟度および/または容積を、マウスまたはラットへのテスト化合物投与の存在下および非存在下で測定する。特定の例では、下痢は、テスト化合物を投与する前に、細菌性STペプチドを投与することにより下痢が誘発される。便の水分量に加え、便の重量/容積/塊の数を測定することができる。
結腸痛覚過敏の動物モデル
結腸直腸拡張に対する過敏性は、IBSの患者では一般的であり、痛みの主な症状の原因であろう。内臓痛覚過敏の炎症動物モデルおよび非炎症性動物モデルの両方を開発して、IBSの内臓痛に対する化合物の効果を研究した。
I.トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)−誘導性結腸異痛モデル
雄ウィスターラット(220〜250g)に、アセプロマジン0.5mg/kgを静脈内注
入(IP)で前投薬し、ケタミン100mg/kgの筋肉内投与により麻酔する。ニクロム線
電極対(長さ60cm、口径80μm)を、白線から側方に2cmの腹部横紋筋に埋め込む
。電極の空いた先端を首の後ろに外置し、皮膚に付けたプラスチック管で保護する。手術の5日後に、筋電図(EMG)の記録を開始する。腹部横紋筋の電気活性を、脳波記録機(ミニVIII(Mini VIII)、フランス、パリのアルバル(Alvar))で、短時間一定にして(0.03秒)記録し、低周波数シグナル(<3Hz)を除去する。
【0038】
手術の10日後に、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を投与して、結腸の炎症を誘発する。記載されたとおり(モルトー他、1994 ダイジェスティブ・ディジーズ・アンド・サイエンス 39:1239(Morteau et al. 1994 Dig Dis Sci 39:1239))、軽いジエチルエーテル麻酔の下で、肛門から3cmのところに導入されたシリコーンゴムカテーテルにより、TNBS(50%エタノール0.3ml中の80mg/kg)を直腸内投与する。TNBSの投与後は、結腸直腸拡張
(CRD)前の数日間、運動が厳しく制限されるプラスチックのトンネルにラットを入れる。実験化合物をCRDの1時間前に投与し、CRDでは、肛門から1cmの直腸に4cm長のラテックスコンドーム製バルーンを挿入する(グー他、1997 ニューロガストロエンテロロジー・アンド・モーティリティー、9:271(Neurogastroenterol. motil. 9:271))。塞栓摘出プローブ(フォガティ(Fogarty))から取り出した硬質のカテーテルにバルーンを固定する。バルーンを取り付けたカテーテルを、尾の付け根に固定する。バルーンを圧力調節機に接続して0〜60mmHgまで15mmHg段階で、各段階を5分間継続しながら、徐々に膨張させる。TNBSの注入前(1〜2日)および注入3日後に、直腸の感受性をEMGによる測定で評価する。
【0039】
腹部の収縮に対応するスパイクバーストの数を、5分間間隔で測定する。腹部収縮の数の統計解析および用量−効果相関性の評価を、一元配置分散分析法(ANOVA)と、その後の事後分析(スチューデントまたはダネット検定)、そして適宜、ED50に関する回帰分析により実施することができる。
II ストレス性痛覚過敏モデル
cGMPまたはその類似体を含む組成物の、結腸直腸感受性に対する影響を、ストレス性痛覚過敏モデルでテストすることができる(モルトー他、1994 ダイジェスティブ・ディジーズ・アンド・サイエンス 39:1239−48)。比較的軽度のストレスである部分拘束ストレス(PRS)を、過去に記載されたとおり誘導する(モルトー他、1994 ダイジェスティブ・ディジーズ・アンド・サイエンス 39:1239−48)。雌ラットをジエチルエーテルで軽く麻酔して、肩、前肢上部および胸部大動脈(thoracic trank)を紙テープの拘束ハーネスで覆って拘束するが、体の運動は妨害しない。対照の偽ストレス動物に麻酔をかけるが覆いは施さない。2時間の部分拘束によるストレスの直前(対照CRD)および15分後に、動物に等圧の結腸直腸拡張(CRD)を施す。CRDの1時間前に、ラットにテスト化合物または賦形剤(蒸留水1mL)のみを経口処置する。CRD手順では、記録のアーチファクトを最小限に抑えるために、CRD前の数日間は定期的に、ラットをポリプロピレントンネル(口径7cm、長さ20cm)に拘束して順化する。拡張に用いられるバルーンは、4cm長で、ラテックスコンドーム製である。それを塞栓摘出プローブ(フォガティ)から取り出した硬質のカテーテルに固定する。肛門から1cmの位置に直腸にバルーンを挿入して、CRDを実施する。管を尾の付け根に固定する。0〜60mmHgで各拡張段階を5分間継続しながら、等圧拡張を実施する。最初の拡張は15mmHgの圧力で実施し、最大圧力の60mmHgに達するまで、続く各段階で15mmHgずつ加えていく。筋電図記録を手術の5日後に開始する。電気活性を脳波記録(ミニVII、フランス、パリのアルバル)で、短時間一定にして(0.03秒)記録し、
低周波数シグナル(<3Hz)を除去する。バルーンをコンピュータ化された圧力調節機に接続して、結腸の等圧拡張を再度実施する。結腸圧およびバルーン容積は、電位差記録計(例えば、L6514、ドイツ、セルブのリンシーズ(Linseis))で連続してモニタリングする。腹部収縮に対応するスパイクバーストの数を、5分間隔で評価する。電
位差記録計を用いて、結腸直腸容積を、拡張の各段階で得られた最大容積として測定する。これらの2種のパラメータの統計解析を、一元配置分散分析法(ANOVA)と、次のグラフパッド・プリズム4.0(GraphPad Prism4.0)を用いた非対両側スチューデントt検定で実施することができる。
フェニルベンゾキノンによる苦悶動作モデル
PBQによる苦悶動作モデルを用いて、cGMPまたはその類似体を含む組成物の疼痛抑制活性を評価することができる。このモデルは、シーグムンド(Siegmund)他により記載されている(1957 プロシーディングズ・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・エクスペリメンタル・バイオロジー・アンド・メディスン 95:729−731(1957 Proc. Soc. Exp. Bio. Med. 95:729−731))。簡単に説明すると、テスト化合物、例えばcGMP、モルヒネまたは賦形剤の経口投与の1時間後に、0.02%フェニルベンゾキノン(PBQ)溶液(12.5mL/kg
)をマウスに筋肉内経路で注入する。PBQ注入の5〜10分後から緊張および苦悶動作の数を記録して、35〜40分後、および60〜65分後にカウントすれば、運動の評価を得ることができる。結果は、緊張および苦悶動作の数(平均±SEM)、ならびに賦形剤処置群の平均値から計算された侵害受容閾値のばらつきの割合で表す。処置群と対照群の間の統計学的有意差を、シグマスタット・ソフトウェア(SigmaStat Software)を用いた一元配置分散分析法(P<0.05)の後、残差分散を用いたダネット検定により決定する。
【0040】
cGMPおよびその類似体の影響は、下痢の標準的動物モデル、例えば、げっ歯類のプロスタグランジンE2性の下痢モデル(例えば、リビエル他、ジャーナル・オブ・ファーマコロジー 1991 256:547−52(Riviere et al. J Parmacol. 1991 256:547−52)参照)およびひまし油による下痢モデルで評価することができる。
腸運動に関連するアッセイ
少なくとも10時間絶食した後、テスト化合物を患者(例えば、ヒトまたはヒト以外)に投与することにより、腸運動に対するテスト化合物の影響を評価することができる。投与の48時間前、および投与後約48時間までに、腸習慣(ブリストル大便スケール、便の頻度、および便重量など)を、それぞれ得られた腸の運動ごとに評価する。
【0041】
7種の一日用量のテスト化合物を患者に投与すれば、腸運動の頻度に対するテスト化合物の影響を評価することができる。簡単に説明すると、少なくとも10時間絶食した後、連日投与を開始する。平均便頻度および通過の容易さの平均を計算する。
【0042】
腸運動の緊急性を、US20040197321に記載されたとおり測定することもできる。例えば、腸運動の緊急性は、患者が経験する改善(減少)の割合として、そして「緊急率」の「重症度」の低下として定量することができる。cGMP療法の非存在下および存在下の両方で、データを回収する。例えば、腸運動の緊急性を、緊急でない、軽度に緊急、重度に緊急、最大に緊急として、評価することができる。cGMP療法から所定時間前および後に、腸運動の「緊急率」の「重症度」の低下を測定するために、前と後の患者間の差の加重平均を実施する。
【0043】
下痢エピソードの期間を、cGMP投与の非存在下および存在下で定量することもできる。最初に記録された水様便または軟便と最後に記録された水様便または軟便の間の日数により、下痢の期間を決定する。
cGMPおよびその類似体の投与
胃腸障害の処置については、cGMPまたはその類似体を、好ましくは経口投与する。経口投与組成物は、例えば本明細書に記載されたとおり、結合剤、滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤もしくは分散剤、着香剤、保湿剤、または他の賦形剤が挙げられる。経口投与
製剤、例えば錠剤は、任意にコーティングしたり、または切れ目を入れたりしてもよく、有効成分の徐放性、遅延放出性または制御放出性を与えるよう配合させてもよい。cGMPまたはその類似体は、非限定的に本明細書に記載された薬剤などの胃腸障害を処置するために用いられる他の薬剤と共に投与することができる。cGMPまたはその類似体は、肛門坐剤により投与することもできる。
【0044】
cGMPまたはその類似体は、単独で、または他の薬剤と共に投与することができる。例えばそれらを、鎮痛性ペプチドまたは化合物と共に投与することができる。
薬剤、例えば1種以上cGMPおよび鎮痛性ペプチドもしくは化合物をそれぞれ別個に配合および投与することにより、または一つの製剤中の薬剤2種以上を投与することにより、併用療法を実行することができる。他の組合せも、併用療法に含まれる。例えば、2種の薬剤を共に配合して、第3の薬剤を含む別個の製剤と共に投与してもよい。併用療法で2種以上の薬剤を同時に投与することができるが、必要ではない。例えば、第1の薬剤(または薬剤の混合物)の投与を、第2の薬剤(または薬剤の混合物)投与の数分、数時間、数日または数週間前に行ってもよい。つまり2種以上の薬剤を、互いに数分以内、または互いに1、2、3、6、9、12、15、18もしくは24時間以内、または互いに1、2、3、4、5、6、8、9、10、12、14日以内、または互いに2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10週間以内に投与してもよい。場合により、更に長い間隔も可能である。多くの場合、併用療法で用いられる2種以上の薬剤が、患者の体内に同時に存在することが望ましいが、これはそれほど必要でない。
【0045】
併用療法は、一緒に用いられる1種以上の薬剤を2回以上投与することを含む場合もある。例えば、薬剤Xおよび薬剤Yが、一緒に用いられる場合、例えば、X−Y−X、X−X−Y、Y−X−Y、Y−Y−X、X−X−Y−Yなどの順序で、いずれかの組合せで1回以上連続して投与してもよい。
【0046】
併用療法は、2種以上の薬剤を異なる経路で、または異なる部位に投与することを含んでいてもよい。例えば(a)一方の薬剤を経口投与して、他方の薬剤を静脈内投与するか、または(b)一方の薬剤を経口投与して、他方を局所投与する。それぞれの場合に、薬剤は、同時または連続のいずれか一方で投与してもよい。本明細書に記載された併用療法の薬剤の適切な投与量の幾つかは、WO01/76632のp11−17の表の「BNF・リコメンディッド・ドーズ(BNF Recommended Dose)」の欄に見出され(表のデータは、2000年3月のブリティッシュ・ナショナル・フォーミュラリー(British National Formulary)に属する)、他の標準的薬品集および他の薬物処方要覧にも見出される。一部の薬物では、適応症に関する慣例的処方用量が、国により若干変動するようである。
【0047】
単独または併用での薬剤は、薬学的に許容される担体または媒体と混合してもよい。つまりそれらを、患者に投与する際、有害反応、アレルギー反応または他の望まない反応を生じない材料と混合することができる。用いられる担体または媒体は、溶媒、分散剤、コーティング、吸収促進剤、制御的放出剤、および1種以上の不活性の賦形剤(デンプン、ポリオール、造粒剤、微結晶セルロース(例えば、セルフィア(Celphere)ビーズ(登録商標))、希釈剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などを含んでいてもよい。所望なら、開示された組成物の錠剤用量を、標準的な水性または非水性技術によりコーティングしてもよい。
【0048】
医薬組成物は、任意に、他の治療成分、固結防止剤、防腐剤、甘味剤、着色剤、着香剤、乾燥剤、可塑化剤、染料、グリダント、付着防止剤、静電防止剤、界面活性剤(湿潤剤)、酸化防止剤、フィルムコーティング剤などを含んでいてもよい。そのような任意の成分はいずれも、他の成分と適合性があるもので、製剤の安定性を確保しなければならない

【0049】
該組成物は、必要に応じて、他の添加剤、例えばラクトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、トレハロース、スクロース、マルトース、ラフィノース、マルチトール、メレジトース、スタチオース、ラクチトール、パラチナイト、デンプン、キシリトール、マンニトール、ミオイノシトールなど、およびそれらの水和物、アミノ酸、例えばアラニンおよびグリシン、ベタイン、ペプチドならびに蛋白質、例えばアルブミンを含んでいてもよい。
【0050】
薬学的に許容される担体および薬学的に許容される不活性担体および前述の更なる成分として用いられる賦形剤の例としては、非限定的に、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑剤、抗菌剤およびコーティング剤など、例えば、
結合剤:コーンスターチ、ジャガイモデンプン、他のデンプン、ゼラチン、天然および合成ゴム、例えばアカシア、キサンタン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガカント、グアーゴム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセタート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン(例えば、ポビドン、クロスポビドン、コポビドンなど)、メチルセルロース、α化デンプン(例えば、コロルコン社(Colorcon Ltd)から販売されるスターチ(STARCH)1500(登録商標)およびスターチ1500LM(登録商標))ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース(例えば、米国ペンシルバニア州マーカスフックのFMCコーポレーション(FMC Corporation)から販売されるアビセル(AVICEL)(商標)、例えばアビセル−PH−101(商標)、−103(商標)、および−105(商標))またはその混合物、
充填剤:タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒または粉末)、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム(例えば顆粒または粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストラート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストロース、フルクトース、蜂蜜、ラクトース無水物、ラクトース一水和物、ラクトースおよびアスパルテーム、ラクトースおよびセルロース、ラクトースおよび微結晶セルロース、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、微結晶セルロース&グアーゴム、糖蜜、スクロース、またはそれらの混合物、
崩壊剤:アガー・アガー、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、他のデンプン、α化デンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム(ジェランなど)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、またはそれらの混合物、
滑剤:ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽質性鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、植物性脂肪酸滑剤、タルク、水添植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ごま油、オリーブ油、コーン油および大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリル硫酸エチル、寒天、シロイドシリカゲル(エアロシル200(AEROSIL 200)、米国メリーランド州バルチモアのW.R.グレース社((W.R.Grace Co.,))、合成シリカの凝固エアロゾル(米国テキサス州プラノのDeaussa社((Deaussa Co.,))、発熱性二酸化ケイ素(CAB−O−SIL、米国メリーランド州ボストンのキャボット社(Cabot Co.,))、またはそれらの混合物、
固結防止剤:ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、またはそれらの混合物、
抗菌剤:塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、クレゾール、クロロブタノール、デヒドロ酢
酸、エチルパラベン、メチルパラベン、フェノール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメルゾル、チモール(thymo)、またはそれらの混合物、ならびに
コーティング剤:カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースアセタートフタラート、エチルセルロース、ゼラチン、医薬級グレーズ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセタートフタラート、シェラック、スクロース、二酸化チタン、カルナウバロウ、微結晶ロウ、ゲランゴム、マルトデキストリン、メタクリラート、微結晶セルロースおよびカラギーナン、またはそれらの混合物、
が挙げられる。
【0051】
製剤は、非限定的に、L−ヒスチジン、プルロニック(登録商標)、ポロクサマー(Poloxamer)(例えばルトロール(Lutrol)(登録商標)およびポロクサマー188)、アスコルビン酸、グルタチオン、透過性増加剤(例えば、脂質、コール酸ナトリウム、アシルカルニチン、サリチラート、混合胆汁酸塩、脂肪酸ミセル、キレート化剤、脂肪酸、界面活性剤、中鎖グリセリド)、プロテアーゼ阻害剤(例えば、大豆トリプシン阻害剤、有機酸)、生物学的利用度を促進するのに効果的なpH低下剤および吸収促進剤(非限定的に、US6086918および同5912014に記載されたものなど)、クリームおよびローション(マルトデキストリンおよびカラギーナンなど);チュワブル錠の材料(デキストロース、フルクトース、ラクトース一水和物、ラクトースおよびアスパルテーム、ラクトースおよびセルロース、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、微結晶セルロースおよびグアーゴム、ソルビトール結晶など);非経口剤(マンニトールおよびポビドンなど);可塑化剤(セバシン酸ジブチル、コーティング用可塑化剤、ポリビニルアセタートフタラートなど);粉末滑剤(ベヘン酸グリセリルなど);ソフトゼラチンカプセル(ソルビトールの特殊溶液(special−solution)など);コーティング用の球体(糖球など);球状化剤(ベヘン酸グリセリルおよび微結晶セルロースなど);懸濁/ゲル化剤(カラギーナン、ゲランゴム、マンニトール、微結晶セルロース、ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、キサンタンゴムなど);甘味剤(アスパルテーム、アスパルテームおよびラクトース、デキストロース、フルクトース、蜂蜜、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、糖蜜、ソルビトール結晶、ソルビトール特殊溶液、スクロースなど);湿式造粒剤(炭酸カルシウム、ラクトース無水物、ラクトース一水和物、マルトデキストリン、マンニトール、微結晶セルロース、ポビドン、デンプンなど);カラメル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、チェリークリーム香料およびチェリー香料、クエン酸無水物、クエン酸、製菓用砂糖、D&C赤33番、D&C黄色10番アルミニウムレーキ、エデト酸二ナトリウム、エチルアルコール15%、FD%C黄色6番アルミニウムレーキ、FD&C青色1番アルミニウムレーキ、FD&C青色1番、FD&C青色2番アルミにウムレーキ、FD&C緑色3番、FD&C赤色40番、FD&C黄色6番アルミニウムレーキ、FD&C黄色6番、FD&C黄色10番、パルミトステアリン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセリル、インジゴカルミン、レシチン、マンニトール、メチルおよびプロピルパラベン、グリチルリチン酸モノアンモニウム、天然および人工オレンジ香料、医薬級グレーズ、ポロクサマー188、ポリデキストロース、ポリソルバート20、ポリボルバート80、ポリビドン、α化コーンスターチ、α化デンプン、赤色酸化鉄、サッカリンナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルエーテル、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、イチゴ香料、合成黒色酸化鉄、合成赤色酸化鉄、二酸化チタン、および白色ワックスなどの他の賦形剤およびその分類を含んでいてもよい。
【0052】
固形経口投与形態は、任意に、コーティングシステム(例えば、オパドライ(Opad
ry)(登録商標)fxフィルムコーティングシステム、例えばオパドライ(登録商標)青色(OY−LS−20921)、オパドライ(登録商標)白色(YS−2−7063)、オパドライ(登録商標)白色(YS−1−7040)、および黒色インキ(S−1−8106))で処理してもよい。
【0053】
遊離形態または塩のいずれか一方の薬剤を、ポリマー、例えば、ポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)、ポリ−(I)−乳酸−グリコール酸−酒石酸(P(I)LGT)(WO01/12233)、ポリグリコール酸(US3,773,919)、ポリ乳酸(US4,767,628)、ポリ(ε−カプロラクトン)およびポリ(アルキレンオキシド)(US20030068384)と混合して、持続放出製剤を製造してもよい。そのような製剤は、ポリマー、ポリマーの粒度、および埋込み物の寸法に応じて、薬剤を数日、数週間または数ヶ月かけて放出する埋込み物に用いてもよい(例えば、US6,620,422参照)。使用される他の持続放出製剤およびポリマーは、EP0467389A2、WO93/24150、US5,612,052、WO97/40085、同03/075887、同01/01964A2、US5,922,356、WO94/155587、同02/074247A2.同98/25642、US5,968,859、同6,180,608、同20030171296、同20020176841、同5,672,659、同5,893,985、同5,134,122、同5,192,741、同5,192,741、同4,668,506、同4,713,244、同5,445,832、同4,931,279、同5,980,945、WO02/058672、同9726015、同97/04744、およびUS20020019446に記載されている。そのような持続放出製剤では、ペプチドの微粒子(デリーおよびブランコ・プリート2005
モレキュール 10:65−80(Delie and Blanco−Prieto
2005 Molecule 10:65−80))を、ポリマーの微粒子と混合する。1種以上の持続放出性の埋込み物を、大腸、小腸またはその両方に入れてもよい。US6,011,011およびWO94/06452には、ポリエチレングリコール(即ち、PEG300およびPEG400)またはトリアセチンのいずれかを提供する持続放出製剤が記載されている。WO03/053401には、生物学的利用度を上昇させること、および胃腸管内の薬剤を制御放出することの両方が可能な製剤が記載されている。更なる制御放出製剤は、WO02/38129、EP326151、US5,236,704、WO02/30398、同98/13029、US20030064105、同20030138488A1、同20030216307A1、同6,667,060、WO01/49249、同01/49311、同01/49249、同01/49311、およびUS5,877,224に記載されている。
【0054】
該薬剤は、例えば、静脈内注入、筋肉内注入、皮下注入、腹腔内注入、局所、舌下、関節内(関節の内部)、皮内、口腔内、眼科(眼内など)、鼻腔(カニューレを用いるなど)、脊髄内、または他の経路で投与することができる。該薬剤は、経口投与することができるが(例えば、錠剤またはカシェとして、ゲル、ペレット、ペースト、シロップ、ボーラス、舐剤、スラリー、カプセル、粉末、凍結乾燥粉末、顆粒、サシェ(sachet)、水性液または非水性液中の溶液または懸濁液として、水中油液体エマルションまたは油中水液体エマルションとして、ミセル製剤により(例えば、WO97/11682参照)、リポソーム製剤により(例えばEP736299、WO99/59550および同97/13500参照)、WO03/094886に記載された製剤により、ビロゾーム(bilosome)(胆汁酸塩をベースとした有孔質系)により、デンドリマーにより)、または所定量の有効成分を含む他の形態で投与することができる。該薬剤は、経皮投与することができる(即ち、容器型もしくはマトリックス型のパッチ、顕微針、サーマルポレーション、注射針、イオン導入、電気穿孔法、超音波もしくは他の形態のソノフォレシス、ジェット注入、または先行の方法のいずれかを組み合わせたもの)(プロウスニッツ他
2004、ネイチャー・レビューズ・ドラッグ・ディスカバリー 3:115−124
(Prausnitz et al. 2004, Nature Reviews Drug Discovery 3:115−124))。US20020061336に記載されたヒドロゲル粒子製剤を使用し、高粘度経皮粒子注入法を用いて、該薬剤を投与することができる。更なる粒子製剤は、WO00/45792、同00/53160、および同02/19989に記載されている。膏薬および吸収促進剤ジメチルイソソルビドを含む経皮製剤の例は、WO89/04179に見出すことができる。WO96/11705には、経皮投与に適した製剤が示されている。該薬剤は、坐剤の形態、または他の膣もしくは直腸的手段で投与することができる。該薬剤は、WO90/07923に記載された膜通過製剤中で投与することができる。該薬剤は、US6,485,706に記載された脱水粒子を介して、非観血的に投与することができる。該薬剤は、WO02/49621に記載された腸溶性コーティングされた薬物製剤中で、投与することができる。該薬剤は、US5,179,079に記載された製剤を用いて、鼻腔内投与することができる。非経口注入に適した製剤は、WO0062759に記載されている。該薬剤は、US20030206939およびWO00/06108に記載されたカゼイン製剤を用いて投与することができる。該薬剤は、US20020034536に記載された微粒子製剤を用いて投与することができる。
【0055】
該薬剤は、マイクロエマルションに配合させることができ、それは、一般に界面活性剤分子の界面膜によって安定化された、2種類の非混和性液体、例えば油および水の、熱力学的に安定で等方的に透明な分散液である(エンサイクロピディア・オブ・ファーマシューティカル・テクノロジー(ニューヨーク、マルセル・デッカー 1992)9巻(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology(New York: Marcel Dekker,1992)、volume 9)。マイクロエマルジョン、界面活性剤(乳化剤)、共界面活性剤(共乳化剤)の調製には、油相および水相が必要である。適切な界面活性剤としては、エマルション、例えばクリームの調製に通常用いられるエマルションの調製に有用ないずれかの界面活性剤が挙げられる。共界面活性剤(または共乳化剤)は、一般にポリグリセロール誘導体、グリセロール誘導体、および脂肪アルコールからなる群から選択される。好ましい乳化剤/共乳化剤混合物は、必ずではないが、一般にモノステアリン酸グリセリルとステアリン酸ポリオキシエチレン;ポリエチレングリコールとパルミトステアリン酸エチレングリコール;ならびにカプリル酸トリグリセリドとカプリン酸トリグリセリドとオレイルマクロゴールグリセリドからなる群から選択される。水相は、水だけでなく、通常は、緩衝剤、グルコース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、好ましくは低分子量ポリエチレングリコール(例えば、PEG300およびPEG400)、および/またはグリセロールなどを含み、油相は、一般に、例えば脂肪酸エステル、変性植物油、シリコーン油、モノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとの混合物、PEGのモノ−およびジ−エステル(例えば、オレイルマクロゴールグリセリド)を含む。
【0056】
本発明の薬剤は、薬学的に許容されるナノ粒子、ナノスフェア、およびナノカプセル製剤に配合させることができる(デリーおよびブランコ・プリート 2005 モレキュール 10:65−80)。ナノカプセルは、一般に、安定で再生可能な方法での封入化合物であってもよい(ヘンリ−ミケランド他(Henry−Michelland et al) 1987;クインタナ−ゲレロ他(Quintanar−Guerrero et al) 1998;ダウグラス他(Douglas et al) 1987)。細胞内にポリマーを過剰添加することによる副作用を回避するために、生体内で分解可能なポリマーを用いて超微粒子(粒度約0.1μm)を設計してもよい(例えば、生分解性ポリアルキル−シアノアクリラートナノ粒子)。そのような粒子は、先行技術に記載されている(クーブロイル他(Couvreur et al) 1980;ズル・ミューレン他(zur Muhlen et al) 1998;ザンボークス他(Zambaux
et al) 1998年;ピント−アルファンドリー他(Pinto−Alphan
dry et al) 1995および米国特許第5,145,684)。
【0057】
本発明の薬剤は、WO04041195に記載されたものを含むpH感受性材料(本明細書に記載されたシールおよび腸溶性コーティングなど)およびUS4910021およびWO9001329に記載されたものなど結腸に送達させるpH感受性コーティングと共に配合することができる。US4910021には、pH感受性材料を用いてカプセルをコーティングすることが記載されている。WO9001329には、酸を含有するビーズでpH感受性コーティングを利用すると、ビーズコア中の酸がpH感受性コーティングの溶解を延長させることが記載されている。米国特許第5,175,003には、薬物送達系で用いらるための、pH感受性腸溶性材料と、腸溶性材料に透過性を付与し得る皮膜形成可塑化剤とで構成された二重機構ポリマー混合物と;薬物に透過され、場合により薬学的に中性の核を覆う二重機構ポリマー混合物で構成されたマトリックスペレットと;同一または異なる組成の二重メカニズムポリマーエンベロープでコーティングされたマトリクスペレットを含む膜コーティングペレットと;マトリックスペレットを含む医薬投与形態と、が開示されている。マトリックスペレットは、酸性pHでの拡散により、そして通常は約5.0以上のpHレベルでの崩壊により、酸溶解性薬物を放出する。本発明の薬剤は、WO04052339に記載されたpHで惹起されるターゲット制御放出性システム(pH triggered targeted control release systems)中に配合されていてもよい。本発明の薬剤は、WO03105812(押出し水和性ポリマー);同0243767(酵素開裂性膜トランスロケーション);同03007913および同03086297(粘膜付着性システム);同02072075(pH低下剤および吸収増加剤を含む二層積層製剤);同04064769(アミド化ペプチド);同05063156(融解時がシュードトロピックおよび/またはチクソトロピック性である固形脂質懸濁物);同03035029および同0303541(浸蝕性で胃内滞留性の投与形態);US5007790および同5972389(持続放出投与形態);WO04112711(経口延長放出組成物);同05027878、同02072033、および同02072034(天然または合成ゴムを含む遅延放出組成物);同05030182(放出速度が上昇する制御放出製剤);同05048998(マクロカプセル化システム);US5,952,314(バイオポリマー);同5108758(ガラス状アミロースマトリックスの送達);同5840860(加工デンプンをベースとする送達);JP10324642(キトサンおよび胃液抵抗性材料、例えば小麦グリアジンまたはゼインを含む送達系);US5866619および同6368629(ポリマーを含む糖類);同6531152(水溶性コア(ペクチン酸カルシウムまたは他の水不溶性ポリマー)と、破裂する外部コート(例えば、疎水性ポリマー−オードラグリット(Eudragrit))を含む薬物送達システムが記載される);US6234464;同6403130(カゼインおよび高メトキシペクチンを含むポリマーでのコーティング);WO0174175(メイラード反応生成物);同05063206(溶解度上昇製剤);同04019872(融合蛋白質の移動)のいずれかに記載された方法論により配合させてもよい。本発明の薬剤は、胃腸内滞留システムの技術(GIRES:メリオン・ファーマシューティカルズ(Merrion Pharmaceuticals))を用いて配合させてもよい。GIRESは、経口投与用薬物カプセル内に入れられた膨張性パウチの内部に制御放出投与形態を含む。カプセルの溶解時に、ガス発生システムにより胃でパウチが膨張して、16〜24時間滞留し、その全時間を通して本発明の薬物が放出される。
【0058】
本発明の薬剤は、US4503030、同5609590および同5358502に開示されたものなど、浸透デバイス内に配合されることができる。US4503030には、胃腸管の特定のpH領域で薬物を分配させる浸透デバイスが開示されている。より詳細には本発明は、半透過性pH感受性組成物で形成された壁を含み、その壁が薬物を含むコンパートメントを取り囲み、壁を通る通路がデバイスの外部とコンパートメントとをつなぐ浸透デバイスに関する。該デバイスは、pHが3.5未満の胃腸管領域において制御的速度で
薬物を送達し、pHが3.5を超える胃腸管の領域ではデバイスが自動破壊して薬物を全て放出することで、薬物吸収のための全面的利用性が提供される。米国特許第5,609,590号および同5,358,502には、有利な薬剤を水性環境に分配させる浸透破裂デバイスが開示されている。該デバイスは、有利な薬剤と、少なくとも一部が半透過性膜に取り囲まれた浸透剤とを含む。有利な薬剤が、浸透剤として作用してもよい。半透過性膜は、水には透過性で、有利な薬剤および透過剤には実質的に不透過性である。開始手段が、半透過性膜に結合している(例えば、2個のカプセル片をつなぐ)。開始手段は、3〜9のpHで活性化され、有利な薬剤の来るべき突然の送達が開始される。これらのデバイスは、有利な薬剤のコアを、浸透破裂により、ボーラスとしてのpHをきっかけとして放出させる。
【0059】
ポリマー粒子マトリックスを含み、各粒子が内部細孔網を画定する活性物質を制御的に放出する組成物が開示された、米国特許第5,316,774に記載の本発明に基づき、本発明の薬剤が配合されてもよい。活性物質は、内部細孔網からの活性化物質の放出速度が改良されるよう、選択された物理的および化学的性質を有するブロッキング剤と共に、細孔網の内部に封入されている。一つの実施形態において、薬物は、腸溶性材料をブロッキング剤として用いて、腸に選択的に送達してもよい。腸溶性材料は、胃では不変のままであるが、腸のpH条件で分解する。別の実施形態において、持続放出製剤は、ブロッキング剤を用いており、活性物質が放出される予測環境の条件下では依然として安定である。pH感受性材料を単独で用いて部位特異的な送達を実現するのは、放出部位または所望の送達時間の前に有利な薬剤が漏出されるため困難で、高いpHに暴露された後、有効成分の放出前のタイムラグを長く保つことは困難である(pH感受性材料が急速に溶解または分解するため)。
【0060】
該薬剤は、pH感受性材料および浸透送達システムを混和したハイブリッドシステム中に配合されていてもよい。これらのハイブリッドデバイスは、有利な薬剤の持続放出の開始を遅らせる。一つのデバイスにおいて、pH感受性マトリックスまたはコーティングが溶解されて浸透デバイスを放出し、有利な薬剤の持続放出を提供する。米国特許第4,578,075、同4,681,583、および同4,851,231を参照されたい。第2のデバイスは、不溶性pH感受性材料のポリマーブレンドで製造された半透過性コーティングからなる。pHが上昇すると、コーティングの透過性が上昇して、有利な薬剤の放出速度が増加する。米国特許第4,096,238、同4,503,030、同4,522,625および同4,587,117を参照されたい。
【0061】
pHおよび温度への感受性があり、保護形態の生物活性剤を胃液で輸送する有用な担体であるターポリマーが開示された米国特許第5,484,610により、本発明の薬剤がターポリマー中に配合されていてもよい。そのターポリマーは、腸管の高い生理学的pHでは膨潤して、生物活性剤を腸に放出する。該ターポリマーは直鎖状であり、体温未満ではターポリマーにLCST(下限臨界溶液温度)特性を付与する温度感受性成分35〜99重量%と、2〜8の範囲のpKaを有し、カルボン酸基のイオン化または脱イオン化を通して
、低pHでは生物活性剤の損失を防御するが、約7.4の生理学的pHでは生物活性剤を放出する作用のあるpH感受性成分1〜30重量%と、体温未満ではLCSTを安定化させ、ターポリマーに対する生物活性剤の影響を補う疎水性成分とで製造される。ターポリマーは、生物活性剤の安全な添加と、投与形態を成形する簡便な手順を提供し、ターポリマーは、胃の酸性環境で保護担体として機能し、生物活性剤が腸管内に放出されるまで生物活性剤を消化酵素から守る。
【0062】
本発明の薬剤は、米国特許第6,103,865に記載されたものによりpH感受性ポリマー中に配合されていてもよい。米国特許第6,103,865には、pHに応じて物理的性質、例えば膨潤性および溶解度を変化させ得、薬物送達系、バイオ材料、センサーなど
に適用され得るスルホンアミド基を含むpH感受性ポリマー、およびその製造方法が開示されている。pH感受性ポリマーは、ポリマーの親水性基、例えばアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミドなどへの結合、または他の重合性モノマーとの共重合のいずれかを通して、種々のpKaのスルホンアミド
基を、ポリマーの親水性基に導入することにより製造される。これらのpH感受性ポリマーは、直鎖状ポリマー、グラフト共重合体、ヒドロゲルまたは相互貫通網目状ポリマーの構造を有していてもよい。
【0063】
本発明の薬剤は、有効成分、特に薬物のpH依存性またはpH調節性制御放出のための組成物が開示された米国特許第5,656,292にしたがって配合されていてもよい。その組成物は、有効成分と、アセタートおよびジカルボキシラート残基で置換されたデンプン分子との圧縮性混合物からなる。好ましいジカルボキシラートは、スクシナートである。アセタート残基の平均置換度は、ジカルボキシラート残基あたり少なくとも1および0.2〜1.2である。デンプン分子は、同じデンプン分子バックボーンに結合した、または別のデンプン分子バックボーンに結合したアセタートおよびジカルボキシラート残基を有していてもよい。本発明は、デンプンアセタートおよびデンプンカルボキシラートをそれぞれエステル交換または混合することにより前記デンプンアセタートジカルボキシラートを製造する方法も開示する。
【0064】
本発明の薬剤は、疎水性pH感受性ポリマーマトリックスから放出される生物活性剤を制御放出する方法が開示された米国特許第5,554,147、同5,788,587および同6,306,422に記載された方法に従って配合されていてもよい。ポリマーマトリックスは、環境がpH8.5に達すると膨潤して、活性剤を放出する。疎水性弱酸性コモノマーのポリマーは、制御放出システム中での使用に関して開示されている。制御放出システムが用いられ得る特別な実施形態も開示されている。pH感受性ポリマーは、尿管カテーテルで用いられるラテックスカテーテルにコーティングされる。マトリックス内に抗生物質またはウレアーゼ阻害剤が封入されたpH感受性ポリマーでコーティングされた尿管カテーテルが、高pHの尿に暴露されると、活性剤を放出する。
【0065】
本発明の薬剤は、米国特許第6,365,187による生体付着性ポリマーの中で、またはそのポリマーと共に配合されていてもよい。胃腸管の疾患を治療または診断する目的で用いられ得る薬物または生物活性物質を含むマイクロカプセルの形態の生体付着性ポリマー、またはそのマイクロカプセルをコーティングする生体付着性ポリマーが、米国特許第6,365,187に記載されている。ポリマー性ミクロスフェアは全て、少なくとも11mN/cm(110N/m)の生体付着力を有する。生体付着性ミクロスフェアを構成するための技術、およびミクロスフェアと胃腸管の選択された区間の間の生体付着力のインビトロでの測定方法も記載されている。この定量法は、化学的性質と、表面形態学と、一方では薬物を添加したミクロスフェア、他方では生体付着力との相関を得る手段を提供して、理論的判断から生体付着性ミクロスフェアの製造に使用すべき天然および合成ポリマーの比較的大きな群から最も有望な材料をスクリーニングさせる。一般に緩衝生理食塩水および類似の賦形剤中の薬剤の溶液を用いて、ネブライザでエアロゾルを発生させる。簡単なネブライザは、ベルヌーイ原理で操作して、空気または酸素の流れを用いてスプレー粒子を発生させる。より複雑なネブライザは、超音波を利用して、スプレー粒子を生成させる。両方のタイプとも当該技術分野で周知であり、スプロール(Sprowl)のアメリカン・ファーマシー(American Pharmacy)およびレミントン(Remington)のザ・サイエンス・アンド・プラクティス・オブ・ファーマシー(The Science and Practice of Pharmacy)などの医薬品の標準的テキストに記載されている。エアロゾルを発生させる他のデバイスは、圧縮ガス、通常はヒドロフルオロカーボンおよびクロロフルオロカーボンを用い、それらを医薬品および必要な賦形剤と圧縮容器内で混合するが、これらのデバイスは、同様にスプロウ
ルズ・アンド・レミントンなどの標準的テキストに記載されている。
【0066】
該薬剤は、遊離酸もしくは塩基、または薬学的に許容されるその塩であってもよい。固体は投与の直前またはより以前に溶解または分散してもよい。状況により、調製物は、微生物の増殖を防ぐ防腐剤を含む。注入に適した医薬形態は、例えば水、アルコール、有機溶媒、油または他の溶媒もしくは分散剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および植物油)を含む滅菌水または有機性溶液または分散液を含んでいてもよい。該製剤は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、配合剤を予定のレシピエントの血液と等張にする溶質、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤および防腐剤を含んでいてもよい水性および非水性滅菌懸濁液を含んでいてもよい。医薬剤は、フィルター滅菌または他の適切な手段により滅菌することができる。該薬剤は、免疫グロブリンまたはアルブミンと融合するか、またはリポソームに組入れて半減期を改善することができる。該薬剤は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖にコンジュゲートすることもできる。PEG付加の方法およびPEGコンジュゲートを含む更なる製剤(即ち、PEGを基にしたヒドロゲル、PEG修飾リポソーム)は、ハリス・アンド・チェス、ネイチャー・レビュー・ドラッグ・ディスカバリー2:214−221(Harris and Chess、Nature Review Drug Discovery 2:214−221)およびその参考文献に見出すことができる。薬剤は、アルキル基(例えば、C1〜C20直鎖状または分枝状アルキル基);脂肪酸基;およびPEGとアルキル基と脂肪酸基との組合せで修飾してもよい(米国特許第6,309,633;ソルテロ他、2001 イノベーション・イン・ファーマシューティカル・テクノロジー 106−110(Soltero et al., 2001 Innovations in Pharmaceutical Technology 106−110))。該薬剤をナノ蝸牛状物または蝸牛状物送達賦形剤により投与することができる(バイオデリバリー・サイエンシーズ・インターナショナル(BioDelivery Sciences International))。薬剤は、US5,204,108に記載されたものなどの製剤を用いて、経粘膜的に(即ち、膣、目または鼻などの粘膜表面を通して)送達することができる。該薬剤は、WO88/01165に記載されたマイクロカプセル中に配合されていてもよい。薬剤は、US20020055496、WO00/47203、および米国特許第6,495,120に記載された製剤を用いて、経口投与することができる。該薬剤は、WO01/91728A2に記載されたナノエマルジョン製剤を用いて送達させることができる。
制御放出製剤
一般に、種々の種類の高分子担体および制御放出システム、例えば浸蝕性および非浸蝕性マトリックス、浸透性制御デバイス、種々の貯蔵デバイス、腸溶性コーティイングおよびマルチパーティキュレート制御デバイス(multiparticulate control devices)の使用により、本明細書に記載された薬剤の制御放出を提供することができる。
【0067】
マトリックスデバイスは、種々の薬剤の放出を制御する一般的デバイスである。そのようなデバイスでは、本明細書に記載された薬剤は、一般に、ポリマーマトリックス内の分散液として存在し、通常は、ポリマー/薬物混合物の圧縮により、または溶解もしくは融解により形成される。これらのデバイスの用量放出性は、ポリマーマトリックス中の薬剤の溶解度、または多孔質マトリックスの場合には、多孔質網内のシンク溶液(sink solution)への溶解度および網目の屈曲度に依存し得る。一例では、浸蝕性ポリマーマトリックスを使用する場合、マトリックスが水を吸収し、水膨潤ゲルを形成して薬剤を封入する。その後、マトリックスは徐々に腐食して膨潤し、胃腸管内で崩壊または溶解することにより、本明細書に記載された薬剤1種以上の放出を制御する。非浸蝕性デバイスでは、薬剤は、不活性マトリックスを通した拡散により放出される。
【0068】
本明細書に記載された薬剤は、浸蝕性または非浸蝕性ポリマーマトリックス制御放出デバイスに組入れることができる。浸蝕性マトリックスとは、純水に浸蝕性、膨潤性、もしくは溶解性であるという意味で水浸蝕性または水膨潤性または水溶性であること、またはポリマーマトリックスを十分にイオン化させて腐食もしくは溶解させるために、酸もしくは塩基の存在を必要とすることを意味する。水性の使用環境に接触すると、浸蝕性ポリマーマトリックスが水を吸収し、水膨潤性ゲルまたはマトリクスを形成して、本明細書に記載された薬剤を封入する。水膨潤性マトリックスは、使用環境で徐々に腐食、膨潤、崩壊または溶解することで、本明細書に記載された化合物が使用環境に放出されるのを制御する。
【0069】
本明細書に記載された薬剤を組入れることができる浸蝕性ポリマーマトリックスは、一般に、薬物と混合する賦形剤とセットにして記載してもよく、それが形成された後、水性の使用環境と接触すると水を吸収して水膨潤性ゲルまたはマトリックスを形成して薬物を封入する。薬物の放出は、種々の機構により起こる可能性があり、例えばマトリックスは、薬剤の粒子もしくは顆粒の周囲から崩壊または溶解するか、または薬剤が吸収された水溶液に溶解して、デバイスの錠剤、ビーズもしくは顆粒から拡散してもよい。この水膨潤マトリックスの一つの成分が、水膨潤性、浸蝕性または溶解性ポリマーであり、それは、一般にオスモポリマー、ヒドロゲルまたは水膨潤性ポリマーとして記載されていてもよい。そのようなポリマーは、直鎖状、分枝状または架橋であってもよい。該ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。特定の実施形態において、それらは、ビニル、アクリラート、メタクリラート、ウレタン、エステルおよびオキシドモノマーから誘導される合成ポリマーであってもよい。他の実施形態において、それらは、天然ポリマーの誘導体、例えば多糖類(例えば、キチン、キトサン、デキストランおよびプルラン;アガーゴム、アラビアゴム、カラヤゴム、ローカストビーンゴム、トラガカントゴム、カラギーナン、ガティゴム、グアーゴム、キサンタンゴムおよびスクレオグルカン)、デンプン(例えば、デキストリンおよびマルトデキストリン)、親水性コロイド(例えばペクチン)、ホスファチド(例えばレシチン)、アルギナート(例えば、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、プロピレングリコールアルギナート)、ゼラチン、コラーゲン、およびセルロース系誘導体であってもよい。セルロシックは、糖反復単位上のヒドロキシル基の少なくとも一部を化合物と反応させて、エステル結合置換基またはエーテル結合置換基を形成することにより修飾されたセルロースポリマーである。例えば、セルロシックエチルセルロースは、糖反復単位に結合したエーテル結合のエチル置換基を有し、セルロシックセルロースアセタートは、エステル結合のアセタート置換基を有する。特定の実施形態において、浸蝕性マトリックスのためのセルロシックは、水溶性および水浸蝕性のセルロシックを含み、それは、例えばエチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロール(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、セルロースアセタート(CA)、セルロースプロピオナート(CP)、セルロースブチラート(CB)、セルロースアセタートブチラート(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートトリメリタート(HPMCAT)、およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)を含んでいてもよい。特定の実施形態において、セルロシックは、種々の級の低粘度(MW50,000ダルトン以下、例えばダウ・メトセル(Dow Methocel)(商標)シリーズE5、E15LV、E50LVおよびL100LY)および高粘度(MW50,000ダルトン超、例えば、E4MCR、E10MCR、K4M、K15MおよびK100M、ならびにメトセル(商標)Kシリーズ)HPMCを含む。他の市販されるタイプのHPMCとしては、信越メトローズ(Shin Etsu Metrose)90SHが挙げられる。
【0070】
マトリックス材料の選択は、デバイスが保持する最大薬物濃度および高い薬物濃度の保
持に対して大きな影響を有する可能性がある。マトリックス材料は、例えばWO05/011634に記載された、濃度上昇ポリマー(concentration−enhancing polymer)であってもよい。
【0071】
浸蝕性マトリックス材料として有用な他の材料としては、非限定的に、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ポリビニル、グリセロール脂肪酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、エタクリル酸またはメタクリル酸のコポリマー(ユードラジト(EUDRAGITO)、ニュージャージー州ピスカタウェイのローム・アメリカ社(Rohm America Inc.))、および他のアクリル酸誘導体、例えばブチルメタクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、エチルアクリラート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリラート、および(トリメチルアミノエチル)メタクリラートクロリドのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0072】
浸蝕性マトリックスポリマーは、製薬業界で公知の非常に種々の同一種の添加剤および賦形剤、例えばオスモポリマー、オスマゲン(osmagen)、溶解増強剤(solubility−enhancing−agents)または減速剤(solubility−retarding−agents)、ならびにデバイスの安定性または加工処理を促進する賦形剤を含有してもよい。
【0073】
あるいは本発明の薬剤は、非浸蝕性マトリックスデバイスにより投与されても、またはそのデバイスに組入れられてもよい。そのようなデバイス中では、本明細書に記載された薬剤は、不活性マトリックス中に分配される。該薬剤は、不活性マトリックスを通した拡散により放出される。不活性マトリックスに適した物質の例としては、不溶性プラスチック(例えば、メチルアクリラート−メチルメタクリラートコポリマー、ポリ塩化ビニルおよびポリエチレン)、親水性ポリマー(例えば、エチルセルロース、セルロースアセタートおよび架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドンとしても公知である));および脂肪化合物(例えば、カルナウバロウ、微結晶ロウおよびトリグリセリド)が挙げられる。そのようなデバイスは、レミントン:ザ・サイエンス・アンド・プラクティス・オブ・ファーマシー、20版(2000)(Remington: The Science a
nd Practice of Pharmacy, 20th edition (2000))に更に記載されている。
【0074】
マトリックス制御放出デバイスは本明細書に記載された薬剤と、他の賦形剤を一緒に配合し、その後、配合物を錠剤、カプレット、ピル、または圧縮力により形成される他のデバイスに形成させることにより製造してもよい。そのような圧縮デバイスは、医薬デバイスの構成で用いられる種々の圧縮を利用して形成させてもよい。例としては、単一打抜きプレス、回転錠剤プレスおよび多層回転錠剤プレスが挙げられ、全て当該技術分野で周知である。例えば、レミントン:ザ・サイエンス・アンド・プラクティス・オブ・ファーマシー、20版(2000)を参照されたい。圧縮デバイスは、任意の形状、例えば円形、卵形、長方形、円筒形または三角形であってもよい。圧縮デバイスの上および下面は、扁平、球面、凹面または凸面であってもよい。
【0075】
特定の実施形態において、圧縮により形成される場合、デバイスは、少なくとも約5キロポンド(Kp)/cm(約2.268トン/cm)、例えば少なくとも7Kp/cm(3.175
トン/cm)の「強度」を有する。強度とは、該材料から形成される錠剤を破壊するために必要とされる錠剤硬度としても知られる破壊力を、その力と直角を成す錠剤の最大横断面積で割った値である。破壊力は、シュロイニゲル錠剤硬度テスターモデル6D(Schleuniger Tablet Hardness Tester、Model 6D)を用いて測定することができる。この強度を達成するために必要とされる圧縮力は、錠剤の寸法によるが、一般に約5kP/cmより大きい。脆砕性は、表面磨耗に対するデバイ
スの耐性の周知の測定値であり、デバイスに標準化撹拌手順を施した後に重量損失%を測定したものである。0.8〜1.0%の脆砕性値は、許容性の上限を構成するとみなされる。5 kP /cmより大きい強度を有するデバイスは、一般に非常に強固で、0.5%未
満の脆砕性を有する。マトリックス制御放出デバイスを形成させるための他の方法は、医薬品業界で周知である。例えばレミントン:ザ・サイエンス・アンド・プラクティス・オブ・ファーマシー、20版(2000)を参照されたい。
【0076】
先に記載されたとおり、本明細書に記載された薬剤を、浸透性制御デバイスに組込んでもよい。そのようなデバイスは、一般に、本明細書に記載された薬剤を1種以上含むコアと、コア周囲の水透過性非溶解性および非浸蝕性コーティングと、を含み、そのコーティングは、水性の使用環境からコアへの水の流入を制御して、使用環境への幾つかまたは全てのコアを押出すことにより薬剤を放出させる。特定の実施形態において、コーティングは、ポリマーで水透過性であり、少なくとも1つの送達口を有する。浸透デバイスのコアは、任意に、そのような半透過性膜を通して環境の周りから水を吸収する作用のある浸透剤を含む。このデバイスのコアに含まれる浸透剤は、水膨潤性親水性ポリマーであってもよく、またはそれはオスマゲント(osmagent)としても知られるオスモゲン(osmogen)であってもよい。圧力が、装置内で発生し、開口部(静水圧ヘッドの構築を防ぎながら、溶質の拡散を最小限に抑えるよう設定された寸法のもの)を通してデバイスから薬剤を押出す。
【0077】
浸透剤とは、使用環境からデバイスのコアに水を輸送する駆動力を作る。浸透剤としては、水膨潤性親水性ポリマー、およびオスモゲン(またはオスマゲン)が挙げられる。つまりコアは、しばしばオスモポリマーおよびヒドロゲルと呼ばれるイオン性および非イオン性両方の水膨潤性親水性ポリマーを含んでいてもよい。コア中に存在する水膨潤性親水性ポリマーの量は、約5〜約80重量%(10〜50重量%など)の範囲であってもよい。コア材料の非限定的例としては、親水性ビニルおよびアクリル系ポリマー、多糖、例えばアルギン酸カルシウム、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)および架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、および疎水性モノマー、例えばメチルメタクリラート、ビニルアセタートなどとのPVA/PVPコポリマー、大型PEOブロックを含有する親水性ポリウレタン、クロスカルメロースナトリウム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびカルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンゴムおよびデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。他の材料としては、付加により、または縮合重合により形成され得るポリマーの相互貫通網目構造を含むヒドロゲルが挙げられ、その構成成分は、親水性および疎水性モノマー、例えば直前に挙げたものを含んでいてもよい。水膨潤性親水性ポリマーとして用いるための好ましいポリマーとしては、非限定的に、PEO、PEG、PVP、クロスカルメロースナトリウム、HPMC、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ならびにその架橋体または混合物が挙げられる。
【0078】
コアは、オスモゲン(またはオスマゲント)を含んでいてもよい。コア中に存在するオスモゲンの量は、約2〜約70重量%(10〜50重量%など)の範囲であってもよい。適切なオスモゲンの典型的な分類は、水を吸収し、それにより周囲コーティングのバリヤーを横断する浸透圧勾配をもたらす水溶性有機酸、塩および糖である。典型的で有用なオスモゲンとしては、非限定的に、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、マンニトール、キシリトール、尿素、ソ
ルビトール、イノシトール、ラフィノース、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、クエン酸、コハク酸、酒石酸およびそれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態において、オスモゲンは、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、キシリトールおよび塩化ナトリウム、ならびにそれらの混合物である。
【0079】
コアは、投与形態の性能を増強する、または安定性、錠剤成形または加工処理を促す非常に種々の添加剤および賦形剤を含んでいてもよい。そのような添加剤および賦形剤としては、錠剤成形助剤、界面活性剤、水溶性ポリマー、pH調節剤、充填剤、結合剤、色素、崩壊剤、酸化防止剤、滑剤および着香剤が挙げられる。添加剤および賦形剤の非限定的な例としては、本明細書の他に記載されたものに限らず、微結晶セルロース;酸の金属塩(例えばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウムおよびステアリン酸亜鉛);pH制御剤(例えば緩衝剤、有機酸および有機酸塩ならびに有機および無機塩基);脂肪酸、炭化水素および脂肪アルコール(例えばステアリン酸、パルミチン酸、液体パラフィン、ステアリルアルコールおよびパルミトール);脂肪酸エステル(例えば(モノ−およびジ−)ステアリン酸グリセリル、トリグリセリド、グリセリル(パルミチン酸ステアリン酸)エステル、ソルビタンエステル、例えばモノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸サッカロース、モノパルミチン酸サッカロースおよびステアリルフマル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンエステル);界面活性剤(例えばアルキル硫酸塩、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸マグネシウム);ポリマー(例えばポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンエーテルならびにそれらのコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン);および無機物質(例えばタルクおよびリン酸カルシウム);シクロデキストリン;糖(例えばラクトース、キシリトール);デンプングリコール酸ナトリウムである。崩壊剤の非限定的例は、デンプングリコール酸ナトリウム(例えばエクスプロタブ(Explotab)(商標))、微結晶セルロース(例えばアビセル(Avicel)(商標))、微結晶ケイ化セルロース(例えばプロソルブ(ProSolv)(商標))、クロスカルメロースナトリウム(例えばAc−Di−Sol(商標))である。本明細書に記載された薬剤が、溶媒法により形成された固体非晶質分散体である場合、本明細書に記載された薬剤/濃度増強ポリマー分散体を形成する際に添加剤が溶液中にスラリーとして溶解または懸濁されるよう、そのような添加剤を噴霧乾燥溶液に直接添加してもよい。あるいはそのような添加剤は、噴霧乾燥工程後に添加して、最終的な制御放出デバイスの形成を補助してもよい。
【0080】
浸透デバイスの非限定的例は、本明細書に記載された薬剤を含む1つ以上の薬剤層、例えば固体非晶質薬物/ポリマー分散体と、水膨潤性ポリマーを含む膨潤剤層とからなり、コーティングが、薬物層および膨潤剤層を取り囲む。各層は、他の賦形剤、例えば錠剤成形助剤、オスマゲント、界面活性剤、水溶性ポリマーおよび水膨潤性ポリマーを含有していてもよい。
【0081】
そのような浸透送達デバイスは、種々の形状、例えば二重層(この場合、コアは、互いに隣接する薬物層および膨潤剤層を含む)、三重層(この場合、コアは、2つの薬物層に「挟まれた」膨潤剤層を含む)、および同心性形状(この場合、コアは、薬物層により取り囲まれた中心膨潤剤を含む)で二次加工されてもよい。そのような錠剤のコーティングは、水に透過性であるが、その中に含入される薬物および賦形剤に実質的に不透性である膜を含む。コーティングは、薬剤を送達するために薬物含有層と連絡する1つまたは複数の出口通路または出口を含む。コアの薬物含有層は薬剤(例えば任意のオスマゲントおよび親水性水溶性ポリマー)を含有するが、膨潤剤層は更なる浸透剤と共にまたはそれを含まずに、膨張性ヒドロゲルからなる。
【0082】
錠剤は、水性媒質中に入ると、膜を通して水を吸収し、組成物に分配性水性剤を形成さ
せ、そしてヒドロゲル層を膨張させ、薬物含有組成物を押して、出口通路から組成物を押出す。組成物は、膨潤して、通路からの薬物の押出しを補助する。薬物は、この型の送達系から送達され、組成物中に溶解または分散されて、出口通路から押出さてもよい。
【0083】
薬物送達の速度は、コーティングの透過性および厚さ、薬物含有層の浸透圧、ヒドロゲル層の親水性の度合い、ならびにデバイスの表面積などの因子により制御される。コーティングの厚さが増大すれば放出速度が低減するが、以下の事柄:コーティングの透過性増大;ヒドロゲル層の親水性増大;薬物含有層の浸透圧増大;またはデバイスの表面積増大の、いずれかにより放出速度が増大することは、当業者には理解されよう。
【0084】
本明細書に記載された薬剤に加えて、薬物含有剤を形成させるのに有用な他の材料としては、HPMC、PEOおよびPVPならびに他の薬学的に許容される担体が挙げられる。加えてオスマゲント、例えば糖または塩、非限定的に、スクロース、ラクトース、キシリトール、マンニトールまたは塩化ナトリウムが添加されてもよい。ヒドロゲル層を形成するのに有用な材料としては、ナトリウムCMC、PEO(例えば約5,000,000〜約7,500,000ダルトンの平均分子量を有するPEOポリマー)、ポリ(アクリル酸)、ナトリウム(ポリアクリラート)、ナトリウムクロスカルメロース、デンプングリコール酸ナトリウム、PVP、架橋PVP、および他の高分子量親水性材料が挙げられる。
【0085】
二重層形状の場合、薬物層および膨潤剤層の両方をデバイスの外側と連結するために、送達口または出口通路は、薬剤を含有する錠剤の側面に配置してもよく、または錠剤の両側面もしくは錠剤の縁に存在してもよい。出口通路は、機械的手段により、またはレーザー穿孔により、または錠剤圧縮時に特定の型押しを用いて錠剤上に被覆困難な領域を作ることにより、または他の手段により、作られてもよい。
【0086】
浸透デバイスはまた、US3845770と同様に、半透過性膜コーティングにより取り囲まれた均質コアで作製することもできる。本明細書に記載された薬剤は、錠剤コア中に組入れられ、半透過性膜コーティングが、従来の錠剤被覆技法により、例えばパン・コーターを用いて適用することができる。その後、レーザーまたは機械的手段の使用によりコーティングに穴を開けることにより、薬物送達通路がこのコーティング中に形成させることができる。あるいは、コーティングの一部分を開裂することにより、または上記のように被覆するのが難しい錠剤上の領域を作ることにより、通路を形成させてもよい。一つの実施形態において、浸透デバイスは、(a)(i)本明細書に記載された薬剤のCETP阻害剤、(ii)ヒドロキシエチルセルロース、および(iii)オスマゲント、を含む単一層圧縮コア(ここで、ヒドロキシエチルセルロースは、約2.0重量%〜約35重量%でコア中に存在し、そしてオスマゲントは、約15重量%〜約70重量%存在する);(b)コアを取り囲む水透過性層;ならびに(c)錠剤を取り囲む流体環境に薬物を送達するための水透過性層(b)内の少なくとも1つの通路、を含む。特定の実施形態にお
いて、デバイスは、(水膨潤性錠剤の)表面積対容積比が0.6 mm-1より大きくなるよ
うに(例えば1.0 mm-1より大きくなるように)造形される。コアを流体環境と連結す
る通路を、錠剤帯域に沿って置くことができる。特定の実施形態において、デバイスは、錠剤型押し軸、即ち錠剤の形状を限定する主軸および副軸の比が1.3〜3(例えば1.5〜2.5など)の細長い形状である。一つの実施形態において、本明細書に記載された薬剤およびオスマゲントの組合せは、平均延性 約100〜約200Mpa、平均引張強さ
約0.8〜約2.0Mpa、平均脆性破壊 約0.2未満を有する。単一層コアは任意に
、崩壊剤、生物学的利用度増強添加剤および/または薬学的に許容される賦形剤、担体もしくは希釈剤を含んでいてもよい。
【0087】
特定の実施形態において、そのような浸透デバイスの操作時に液体を押出す際、本明細
書に記載された薬剤の粒子を飛沫同伴することが望ましい。粒子が十分に飛沫同伴されるためには、粒子が錠剤コア中に沈殿する機会を有する前に、薬物形態を流体中に十分に分散させる。これを実行する一手段は、圧縮コアをその粒子状成分に分断するのに役立つ崩壊剤を添加することである。標準崩壊剤の非限定的例としては、デンプングリコール酸ナトリウム(例えばエクスプロタブ(商標)CLV)、微結晶セルロース(例えばアビセル(商標))、微結晶ケイ化セルロース(例えばプロソルブ(商標))、クロスカルメロースナトリウム(例えばAc−Di−Sol(商標))および当業者に公知の他の崩壊剤などの材料が挙げられる。特定の製剤に応じて、他の崩壊剤より良好に働く崩壊剤もある。幾つかの崩壊剤は、水で膨潤するとゲルを形成する傾向があり、こうしてデバイスからの薬物送達を妨害する。非ゲル化、非膨潤化崩壊剤は、水がコアに浸入すると、コア中で薬物粒子をより迅速に分散させる。特定の実施形態において、非ゲル化、非膨潤化崩壊剤は、樹脂、例えばイオン交換樹脂である。一つの実施形態において、樹脂は、アンバーライト(Amberlite)(商標)IRP88(ペンシルバニア州フィラディルフィアのローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)から入手可能)である。崩壊剤は、用いられる場合、コア組成物の約1〜25%の範囲の量で存在する。
【0088】
水溶性ポリマーを添加して、通路(例えば開口部)を通して送達され得る前に、デバイスの内側に懸濁された薬剤の粒子を保持してもよい。高粘度ポリマーは、沈殿を防止するのに有用である。しかし薬剤と組合せたポリマーは、比較的低い圧力下で通路から押出される。所定の押出し圧では、押出し速度は、典型的には粘度増大に伴って遅くなる。本明細書に記載された薬剤の粒子と組合せた特定のポリマーは、水と高粘度粒子を形成するが、依然として比較的低い力で錠剤から押出すことができる。これに対して、平均重量分子量の低い(<約300,000)ポリマーは、粒子沈殿のため、完全送達を可能にするのに十分に粘性の溶液を錠剤コア内部に形成しない。ポリマーを添加せずにそのようなデバイスが調製される場合には、粒子の沈殿が問題となり、つまり錠剤を絶えず撹拌して、コア内部に粒子を沈殿させない限り、不十分な薬物送達になる。粒子が大きく、そして/または高密度で、沈殿速度が増大する場合も、沈殿が問題となる。
【0089】
特定の実施形態において、そのような浸透デバイスのための水溶性ポリマーは、薬物と相互作用しない。特定の実施形態において、水溶性ポリマーは、非イオン性ポリマーである。高粘度を有していても低圧で押出し可能な非イオン性ポリマー形成溶液の非限定的例は、ナトロゾル(Natrosol)250H(商標)(デラウエア州ウィルミントンのハーキュールズ社アクアロン部門(Hercules Incorporated,Aqualon Division)から入手できる高分子量ヒドロキシエチルセルロース;MW約100万ダルトン、重合度約3,700)である。ナトロゾル250H(商標)は、オスマゲントと組合された場合、コアの約3重量%という低い濃度で効果的な薬物送達を提供する。ナトロゾル250H(商標)NFは、熱水または冷水中で可溶性である高粘度等級の非イオン性セルロースエーテルである。25℃でブルックフィールドLVT(Brookfield LVT)(30rpm)を用いたナトロゾル250Hの1%溶液の粘
度は、約1,500〜約2,500cpsである。
【0090】
特定の実施形態において、これらの単一層浸透錠剤中に用いられるヒドロキシエチルセルロースポリマーは、約300,000〜約150万の重量平均分子量を有する。ヒドロキシエチルセルロースポリマーは、典型的には約2.0重量%〜約35重量%の量でコア中に存在する。
【0091】
浸透デバイスの別の例は、浸透カプセルである。カプセル殻またはカプセル殻の一部分は、半透過性であってもよい。カプセルは、本明細書に記載された薬剤、水を吸収して浸透可能性を提供する賦形剤、および/または水膨潤性ポリマー、または任意に可溶性賦形剤からなる粉末または液体のいずれか一方を充填することができる。カプセルコアは、そ
れが上記の二重層、三重層または同心円形状と類似の二重層または多層剤を有するように製造することもできる。
【0092】
本発明に有用な浸透デバイス別の分類は、例えばEP378404に記載された被覆膨潤性錠剤を含む。被覆膨潤性錠剤は、本明細書に記載された薬剤および膨潤物質、好ましくは親水性ポリマーを含む錠剤コアを含み、それは、穴または孔を含有する膜でコーティングされ、水性使用環境中では、その穴または孔を通して、親水性ポリマーが薬剤を押出し、運搬することができる。あるいは膜は、高分子または低分子量水溶性ポロシゲン(porosigen)を含有していてもよい。ポロシゲンは、水性使用環境中に溶解して、親水性ポリマーおよび薬剤が押出され得る孔を提供する。ポロシゲンの例は、水溶性ポリマー、例えばHPMC、PEGおよび低分子量化合物、例えばグリセロール、スクロース、グルコースおよび塩化ナトリウムである。更に、レーザーまたは他の機械的手段を用いてコーティングに孔を開けることにより、コーティング中に孔を形成してもよい。この分類の浸透デバイスでは、膜材料は、皮膜形成ポリマー、例えば水透過性または不透性のポリマーを含むが、但し、錠剤コア上に付着される膜は、多孔性であるか、または水溶性ポロシゲンを含有するか、または水進入および薬剤放出のための肉眼的穴を保有する。この分類の持続放出デバイスの実施形態は、例えばEP378404に記載されたとおり、多層化されていてもよい。
【0093】
本明細書に記載された薬剤が、例えばWO05/011634に記載されたとおり、液体または油、例えば脂質ビヒクル製剤である場合、浸透性制御放出デバイスは、複合壁を用いて形成され、液体製剤を含むソフトゲルまたはゼラチンカプセルを含んでいてもよいが、この場合、壁はカプセルの外表面に形成されるバリヤー層と、バリヤー層上に形成される膨張性層と、膨張性層上に形成される半透過性層とを含む。送達口は、液体製剤を水性使用環境と連結する。そのようなデバイスは、US6419952、同6342249、同5324280、同4672580、同4627850、同4203440および同3995631に記載されている。
【0094】
本発明の浸透性制御放出デバイスは、コーティングを含むこともできる。特定の実施形態において、浸透性制御放出デバイスのコーティングは、以下の特徴、つまり水透過性であること、薬剤の送達のための少なくとも1つの開口を有すること、そして薬物製剤の放
出時に非溶解性および非浸蝕性であること、を一つ以上示し、そのため薬物が、主にコーティング材料そのものを透過して送達するのとは対照的に、送達口または孔により実質的に完全に送達される。「送達口」は、機械的に作るか、またはレーザー穿孔により作るか、またはコーティング工程中もしくは使用中にその場で孔を形成させるか、または使用中の開裂により作られる、いずれかの通路、開口部または孔を包含する。特定の実施形態において、コーティングは、コア重量に対して約5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%の範囲内の量で存在する。
【0095】
コーティング一つの形態は、使用前または使用中に内部に形成された開口を有する半透過性高分子膜である。そのような高分子膜の厚さは、約20〜800μm(例えば、約1
00〜500μmなど)で変動してもよい。送達口の口径は、一般に直径0.1〜300
0μmまたはそれ以上(例えば、50〜3000 μm)の寸法の範囲内であってもよい。
そのような開口は、機械的もしくはレーザー穿孔によりコーティング後に形成させてもよく、またはコーティングの開裂によりその場で形成させてもよく;そのような開裂は、比較的小さく弱い部分をコーティングに意図的に組入れることにより制御してもよい。送達口は、水溶性物質の栓を浸蝕させることにより、またはコア中の切れ込み上のコーティングのより薄い部分を開裂することにより、その場で形成させてもよい。加えて送達口は、US5612059および同5698220に開示された種類の非対称膜コーティングの場合と同様に、コーティング中に形成させてもよい。例えば、本質的に同一であるか、ま
たは異なる薬剤であり得るビーズの集合体が利用される場合、送達口は、コーティングの開裂によりその場で形成させてもよい。薬剤は、主に、コーティングの開裂後にそのようなビーズから放出され、そして開裂後、そのような放出が、徐々に、または比較的突然起こってもよい。ビーズの集合体が異なる薬剤を有する場合、投与後種々の時間でビーズが開裂して、薬物の全体的放出が所望の期間に持続されるように、該薬剤を選択してもよい。
【0096】
コーティングは、高密度、微小孔性または非対称性で、例えばUS5612059および同5698220に開示されるもののように、厚い多孔性領域により支持される高密度領域を有していてもよい。コーティングが高密度である場合、コーティングは水透過性材料で構成されていてもよい。コーティングが多孔性である場合、それは水透過性または水不透性材料で構成されていてもよい。コーティングが多孔性水不透性材料で構成される場合、水は、液体または蒸気としてコーティングの孔を透過する。高密度コーティングを利用する浸透デバイスの非限定的例としては、US3995631および同3845770が挙げられる。そのような高密度コーティングは、外部流体、例えば水に透過性であり、これらの特許に挙げられた材料のいずれか、および当該技術分野で公知の他の水透過性ポリマーで構成されていてもよい。
【0097】
膜は、US5654005および同5458887に開示されるように多孔性でもあるか、または耐水性ポリマーから形成されてもてよい。US5120548には、水不溶性ポリマーおよび浸出性水溶性添加剤の混合物からコーティングを形成するための別の適切な方法が記載されている。多孔性膜は、US4612008に開示されるように、孔形成剤の添加により形成されてもよい。加えて、蒸気透過性コーティングは、多孔性である限り、高密度では本質的に水不透過性の極めて疎水性の物質、例えば二フッ化ポリエチレンまたはポリビニリデンから形成されていてもよい。コーティングを形成させるのに有用な材料としては、非限的に、生理学的関連pHで水透過性もしくは水不溶性であるか、または化学的変化、例えば架橋により水不溶性にされやすい種々の等級のアクリル、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステルおよびセルロース誘導体が挙げられる。コーティングを形成するのに有用な適切なポリマー(または架橋されたもの)の非限定的例としては、可塑化、非可塑化および補強セルロースアセタート(CA)、セルロースジアセタート、セルローストリアセタート、CAプロピオナート、セルロースニトラート、セルロースアセタートブチラート(CAB)、CAエチルカルバマート、CAP、CAメチルカルバマート、CAスクシナート、セルロースアセタートトリメリタート(CAT)、CAジメチルアミノアセタート、CAエチルカルボナート、CAクロロアセタート、CAエチルオキサラート、CAメチルスルホナート、CAブチルスルホナート、CA p−トルエンスルホナート、寒天アセタート、アミローストリアセタート、βグルカンアセタート、βグルカントリアセタート、アセトアルデヒドジメチルアセタート、ローカストビーンゴムのトリアセタート、ヒドロキシル化エチレンビニルアセタート、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸およびエステル、ならびにポリ(メタクリル)酸およびエステルならびにそのコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ロウおよび合成ロウが挙げられる。種々の実施形態において、コーティング剤は、セルロース系ポリマー、特にセルロースエーテル、セルロースエステルおよびセルロースエステル−エーテル、即ちエステル置換基とエーテル置換基との混合物を有するセルロース誘導体を含み、コーティング材料は、ポリ(アクリル)酸およびエステル、ポリ(メタクリル)酸およびエステル、ならびにそれらのコポリマーから製造または誘導され、コーティング剤は、セルロースアセタートを含み、コーティングは、セルロース系ポリマーおよびPEGを含み、コーティングは、セルロースアセタートおよびPE
Gを含む。
【0098】
コーティングは、従来の方式で、典型的には溶媒にコーティング材料を溶解または懸濁させ、その後、浸漬、噴霧コーティングまたはパンコーティングでコーティングすることにより実行される。特定の実施形態において、コーティング溶液は、ポリマーを5〜15重量%を含有する。上述のセルロース系ポリマーに関して有用な典型的溶媒としては、非限定的に、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチル、二塩化メチレン、二塩化エチレン、二塩化プロピレン、ニトロエタン、ニトロプロパン、テトラクロロエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水およびそれらの混合物が挙げられる。ポリマーが噴霧温度で依然として可溶性である限りは、孔形成剤および非溶媒(例えば水、グリセロールおよびエタノール)または可塑剤(例えばフタル酸ジエチル)を、いずれの量で付加してもよい。孔形成剤およびコーティングの二次加工におけるそれらの使用は、例えばUS5612059に記載されている。例えばUS5798119に開示されるとおり、コーティングは疎水性微小孔層であってもよく、この場合、孔は実質的には気体が充填され、水性媒体により湿潤されていないが、水蒸気に透過性である。そのような疎水性であるが水蒸気透過性のコーティングは典型的には、疎水性ポリマー、例えばポリアルケン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ロウおよび合成ロウが挙げられる。疎水性微小孔コーティング材料としては、非限定的に、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデンおよびポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。そのような疎水性コーティングは、蒸気クエンチ、液体クエンチ、熱処理、コーティングからの可溶性物質の浸出のいずれかを用いた公知の転相法により、またはコーティング粒子を焼結することにより製造することができる。熱処理では、潜伏性溶剤中のポリマーの溶液は、冷却過程で液体−液体相分離を起こす。溶媒の蒸発が防止されない場合、得られた膜は、典型的には多孔性である。そのようなコーティング法は、例えばUS4247498、同4490431および同4744906に開示された方法により実行してもよい。浸透性制御放出デバイスは、製薬業界で公知の手順を用いて調製してもよい。例えば、レミントン:ザ・サイエンス・アンド・プラクティス・オブ・ファーマシー、20版(2000)を参照されたい。
【0099】
先に更に記載されたとおり、本明細書に記載された薬剤は、一般に約10μm〜約mm(
例えば、口径 約100μm〜1mm)の寸法の範囲で、微粒子の形態で提供されてもよい
。そのようなマルチパーティキュレートは、例えばゼラチンカプセル、または水性可溶性ポリマー、例えばHPMCA、HPMCもしくはデンプンから形成されるカプセルのようなカプセル中に包装され;懸濁液または液体中のスラリーとして投与してもよく:あるいはそれらは、圧縮または当該技術分野で公知の他の製法により錠剤、カプレットまたはピルに成形してもよい。そのようなマルチパーティキュレートは、いずれかの公知の方法により、例えば湿式および乾式造粒法、押出し/球状化、ローラー圧縮、溶融−凝固により、またはシードコアの噴霧コーティングにより製造してもよい。例えば湿式および乾式造粒製法で、本明細書に記載された薬剤および任意の賦形剤を造粒して、所望サイズのマルチパーティキュレートを形成してもよい。他の賦形剤、例えば結合剤(例えば微結晶セルロース)を該薬剤に配合して、マルチパーティキュレートの加工および形成を補助してもよい。湿式造粒の場合、結合剤、例えば微結晶セルロースを造粒液に含ませて、適切なマルチパーティキュレートの形成を補助してもよい。例えば、レミントン:ザ・サイエンス・アンド・プラクティス・オブ・ファーマシー、20版(2000)を参照されたい。いずれの場合でも、得られた粒子は、それ自体が治療組成物を構成していてもよく、あるいはそれらは種々の皮膜形成材料、例えば腸溶性ポリマー、または水膨潤性もしくは水溶性
ポリマーによりコーティングされていてもよく、あるいはそれらを他の賦形剤もしくはビヒクルと混合して、患者への投与を補助してもよい。
【0100】
本発明の適切な医薬組成物は、一般に、一定量の活性化合物を、許容される薬学的希釈剤または賦形剤、例えば滅菌水溶液と共に含み、予定の使用に応じて一定範囲の最終濃度を提供する。調製技術は、一般に、レミントンズ・ファーマシューティカル・サイエンシーズ(18版、マクパブリッシング・カンパニー、1995)(Remington’s
Pharmaceutical Sciences(18th Edition, Mack Publishing Company, 1995))に例示されるとおり、当該技術分野で周知である。
キット
本明細書の薬剤および併用療法剤は、2種以上の薬剤を単回用量または多回用量含むキットとして包装されていてもよく、その場合それぞれは、個別に包装もしくは配合されているか、または2種以上の薬剤の単一もしくは複数用量が組み合わせて配合されている。つまり1種以上の薬剤が、第1の容器に存在してもよく、そのキットが、任意に1種以上の薬剤を第2の容器に含んでいてもよい。容器は、包装に入れられており、包装は、任意に投与または投与量の使用説明書を含んでいてもよい。キットは、更なる成分、例えばシリンジまたは薬剤を投与する別の手段、および希釈剤または配合の別の手段を含んでいてもよい。
【0101】
つまりキットは、a)本明細書に記載された化合物および薬学的に許容され得る担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物、およびb)容器または包装、を含んでいてもよい。そのキットは、任意に、本明細書に記載された方法1種以上で医薬組成物を使用する方法を記載する使用説明書を含んでいてもよい(例えば、胃腸運動障害、IBS(例えばd−IBS)、IBD、クローン病、十二指腸胃逆流、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、機能性胃腸障害、機能性胸やけ、胃食道逆流症(GERD)、胃不全麻痺、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、下痢、ならびに下痢に関連する障害および状態)。該キットは、任意に、非限定的に、鎮痛性ペプチドおよび化合物、ホスホジエステラーゼ阻害剤、胃腸および他の障害(本明細書に記載されたものなど)を処置するのに用いられる薬剤、下痢止め剤、抗肥満薬、可溶性グアニラートシクラーゼを活性化する薬剤など更なる薬剤、および薬学的に許容される担体、ビヒクルまたは希釈剤を1種以上含む第2の医薬組成物を含んでいてもよい。本明細書に記載された化合物を含む医薬組成物、およびキットに含まれる第2の医薬組成物が、任意に、同じ医薬組成物中に混合されていてもよい。
【0102】
キットは、医薬組成物を含む容器または包装を含むが、小分けされた容器、例えば小分けされたビンまたは小分けされたホイルパケットを含んでいてもよい。容器は、例えば、紙もしくは厚紙の箱、ガラスもしくはプラスチックのビンもしくはジャー、最密閉可能なバッグ(例えば、異なる容器に入れ替えるための錠剤の「レフィル」を収めるためのもの)、または治療スケジュールに応じてパックから押出す個別用量のブリスタパックであってもよい。2個以上の容器を単一包装内で一緒に用いて、単回投与形態で販売することが実行可能である。例えば、錠剤がビンに含まれ、そのビンも箱に含まれていてもよい。
【0103】
キットの例は、いわゆるブリスタパックである。ブリスタパックは、包装業界で周知であり、医薬の単位投与形態(錠剤、カプセルなど)の包装に広く用いられている。ブリスタパックは、一般に、好ましくは透明プラスチック材料のホイルで覆われた比較的剛性の材料のシートからなる。包装工程で、プラスチックホイルに陥凹が形成される。陥凹は、包装される各錠剤またはカプセルの寸法および形状を有しているが、包装される複数の錠剤および/またはカプセルを収容する寸法および形状を有していてもよい。次に、錠剤またはカプセルを合わせて陥凹に入れ、陥凹が形成された方向と反対側にあるプラスチックホイルの表面で、比較的剛性の材料のシートを密閉する。その結果、錠剤またはカプセル
は、プラスチックホイルとシールの間の陥凹に、個別で密閉されるか、または所望なら集合的に密閉されてもよい。好ましくはシートの強度は、手で陥凹に圧力を加えると、陥凹の代わりにシートに開口部が形成されて、錠剤またはカプセルをブリスタパックから取り出せるようになる。その後、錠剤またはカプセルを、前記開口部から取り出すことができる。
【0104】
投薬が行われる際に、関わる医師、薬剤師または患者のために、情報および/または使用説明書を含む記載されたメモリーエイドを提供することが望ましい場合がある。「日用量」は、所定の日に摂取される単一の錠剤もしくはカプセル、または複数の錠剤もしくはカプセルであってもよい。キットが別個の組成物を含む場合、キットの別の1種以上の組成物の日用量は、錠剤またはカプセル1個からなっていてもよいが、キットの1種以上の組成物の日用量が、複数の錠剤またはカプセルからなっていてもよい。キットは、予定の使用順序で、一度に日用量を分配するように設計されたディスペンサの形態であってもよい。ディスペンサは、メモリーエイドを備えていてもよく、そうすればそのレジメンでのコンプライアンスが更に促進される。そのようなメモリーエイドの例は、分配された日用量の数を示す機械的カウンタである。そのようなメモリーエイドの別の例は、液晶表示器に連結した電池式マイクロチップメモリー、または可聴合図信号(audible reminder signal)であり、その可聴合図信号は、例えば、前回1日量を摂取した日付けを読み取り、
そして/または次回の投与をいつ実行すべきかを患者に思い出させるものである。
【0105】
本明細書に記載された薬剤の化学的および/または物理的安定性を上昇させる方法は、US6,541,606、同6,068,850、同6,124,261、同5,904,935、およびWO00/15224、US20030069182(ニコチンアミドの添加による)、同20030175230A1、同20030175239A1、同20020045582、US20010031726、WO02/26248、同03/014304、同98/00152A1、同98/00157A1、同90/12029、同00/04880、および同91/04743、同97/04796およびそれらに引用された参考文献に見出される。
【0106】
本明細書に記載された薬剤の生物学的利用度(バイオアベイラビリティ)を上昇させる方法は、US6,008,187、同5,424,289、同20030198619、WO90/01329、同01/49268、同00/32172、および同02/064166に見出される。グリチルリチン酸塩を吸収促進剤として用いることもできる(例えばEP397447参照)。WO03/004062には、本発明の薬剤を胃腸管に送達するために用いられ得るハリエニシダI(UEAI)およびUEAI擬似物質が議論されている。
【0107】
本明細書に記載された薬剤は、血清蛋白質トランスフェリンの変性体に融合することができる。US20030221204、同20040023334、同20030226155、WO04/020454、および同04/019872には、トランスフェリン融合蛋白質の製造および使用が議論されている。トランスフェリン融合蛋白質により、循環半減期および有効性を改善し、望ましくない副作用を低減して、低用量を実現してもよい。
投与量
成人の用量範囲は、一般に経口で0.005mg〜10g/日である。錠剤、または個別単位で提供される別の提供形態が、簡便に、そのような投与で効果的な一定量の本発明の化合物を含んでいてもよく、または同剤の複数回投与では、単位は、例えば5〜500mg、通常は約10mg〜200mg含んでいてもよい。患者に投与される化合物の正確な量は、担当の医師に任せられる。しかし、用いられる用量は、患者の年齢および性別、処置される正確な障害、ならびに重症度など多数の因子に依存する。
【0108】
投与単位中の2種以上の有効成分それぞれの正確な量は、各成分の所望の用量に依存する。つまり個々の投与スケジュール(例えば、単位の特定の数および投与の各タイミングを具体化する投与スケジュール)に従って投与される場合、患者が単一成分のみで処置される場合と同じ投与量で、各成分を送達する投与単位を確立することが有用となろう。他の状況では、患者が単一成分のみで処置される場合よりも少ない投与量で、成分1種以上を送達する投与単位を確立することが望ましいであろう。最後に、患者が単一成分のみで処置される場合よりも多い投与量で、1種以上の成分を送達する投与単位を確立することが望ましいであろう。医薬組成物は、非限定的に、本明細書に記載された賦形剤など、更なる成分を含んでいてもよい。特定の実施形態において、投与単位の1種以上の治療薬が、延長放出または制御放出製剤に存在してもよく、更なる治療薬が、延長放出製剤に存在しなくてもよい。例えば、本明細書に記載された薬剤が、別の薬剤を含む同じ投与単位中で、制御放出または延長放出製剤に存在してもよく、その別の薬剤が、制御放出または延長放出製剤のいずれかで存在しても、または存在しなくてもよい。つまり特定の実施形態において、本明細書に記載された薬剤1種以上の即時放出と、別の薬剤1種以上の制御放出を提供することが望ましいであろう。
【0109】
特定の実施形態において、投与単位と日用量とが同一である。特定の実施形態において、投与単位と日用量とが同一ではない。種々の実施形態において、投与単位は、食事の20分前に投与され、食事の20分後に投与され、その日のいずれかの時間に食事と一緒に投与され、その日のいずれかの時間に食事を摂らずに投与され、一晩絶食した後食事と一緒に投与され(例えば朝食で)、低脂肪の軽食の後の就寝時に投与される。種々の実施形態において、投与単位が、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回投与される。
【0110】
2種以上の有効成分を単一の投与形態に混合される場合、有効成分間に化学的相互作用が生じる場合がある。例えば、酸性有効成分と塩基性有効成分とが互いに反応する可能性があり、酸性有効成分が酸性で不安定な物質の分解を促進する可能性がある。つまり特定の投与形態において、酸性物質と塩基性物質とを、圧縮錠中、または加圧コーティング錠のコアもしくは殻中で、2つの別れた層または離れた層として物理的に分離されていてもよい。酸性および塩基性物質と適合性の更なる薬剤は、いずれの層に入れても柔軟性を有する。特定の多層組成物において、少なくとも1種の有効成分が、腸溶性コーティングされていてもよい。その特定の実施形態において、少なくとも1種の有効成分が、制御放出形態中で存在してもよい。3種以上の有効成分の混合物が用いられる特定の実施形態において、それらが、圧縮された多層錠の物理的に分離した区分として存在してもよく、その錠剤が任意にフィルムコーティングされていてもよい。
【0111】
本明細書に記載された治療混合物は、複数のビーズ、顆粒、またはペレットを含む錠剤またはカプセルとして配合されていてもよい。その混合物のビタミンなどの有効成分全てが、顆粒またはビーズまたはペレット中に配合されており、それらを保護コーティング、腸溶性コーティング、またはフィルムコーティングで更に覆えば、可能な化学的相互作用が回避される。顆粒またはビーズの造粒およびコーティングが、当業者に周知の技術を利用して実行される。少なくとも1種の有効成分が、制御放出形態で存在してもよい。最後に、これらのコーティング顆粒またはビーズを、ハードゼラチンカプセルに充填するか、または圧縮して錠剤を形成させる。
【0112】
本明細書に記載された治療混合物は、有効成分全てのマイクロタブレットまたはミニタブレットを含むカプセルとして配合されてもよい。直打、乾式造粒または湿式造粒のような錠剤製造の周知の医薬手順を利用して、各薬剤のマイクロタブレットを製造してもよい。各マイクロタブレットが、ハードゼラチンカプセルに充填されていてもよい。最終的な
投与形態が、各成分のマイクロタブレットを1種以上含んでいてもよい。マイクロタブレットは、フィルムコーティングまたは腸溶性コーティングされていてもよい。
【0113】
本明細書に記載された治療混合物は、1種以上のマイクロタブレットおよび粉末、または1種以上のマイクロタブレットおよび顆粒もしくはビーズを含むカプセルとして配合されていてもよい。薬物間の相互作用を回避するために、前記混合物の有効成分の一部が、ミクロカプセルとして製剤され、他の有効成分が、粉末、顆粒またはビーズとしてカプセルに充填されていてもよい。マイクロタブレットは、フィルムコーティングまたは腸溶性コーティングされていてもよい。少なくとも1種の有効成分が、制御放出形態で存在してもよい。
【0114】
本明細書に記載された治療混合物は、有効成分が錠剤の内層および外層に分布するように配合されていてもよい。提示された混合物の化学的に不適合な成分を分別する試みにおいて、先行技術で周知の医薬手順を用いると、相互作用する成分はほとんど顆粒またはビーズに変換されない。その後、製造された顆粒またはビーズ(内層)を、残りの有効成分および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む外層と混合する。つまり内層および外層を含む混合物を、錠剤に圧縮するか、または錠剤に成形する。顆粒またはビーズは、制御放出または即時放出のビーズまたは顆粒であってもよく、当該技術分野で公知の方法および材料を用い、水性または非水性系で腸溶性ポリマーを用いて更にコーティングされてもよい。
【0115】
本明細書に記載された治療混合物は、適切な緩衝剤を含む単一投与単位として配合されていてもよい。前記混合物の粉末成分全てを混合し、適量の緩衝剤1種以上を配合物に添加して混和し、可能な相互作用を最小限に抑える。
【0116】
本明細書に記載された単独または混合物の薬剤が、いずれかの薬学的に許容される担体または媒体と混合されていてもよい。つまりそれらは、患者に投与すると有害反応、アレルギー反応または他の望まない反応を生じない材料と混合することができる。用いられる担体または媒体は、溶媒、分散剤、コーティング、吸収促進剤、制御放出剤、および不活性賦形剤1種以上(例えば、デンプン、ポリオール、造粒剤、微結晶セルロース、希釈剤、滑剤、結合剤、崩壊剤など)を含んでいてもよい。所望なら、開示された組成物の錠剤用量が、標準の水性または非水性技術によりコーティングされていてもよい。
併用療法での鎮痛剤
本明細書に記載された薬剤は、鎮痛剤、例えば鎮痛性化合物または鎮痛性ペプチドと併用療法で用いることができる。これらのペプチドおよび化合物は、本発明の薬剤と共に投与することができる(同時または連続で)。それらは、任意に、本明細書に記載された薬剤と共有結合または結合していて、治療コンジュゲート(therapeutic conjugates)を生成してもよい。とりわけ有用な鎮痛剤は、Caチャネルブロッカー、5HT受容体アンタゴニスト(例えば、5HT3、5HT4および5HT1受容体アンタゴニスト)、オピオイド受容体アゴニスト(ロペラミド、フェドトジン、およびフェンタニル)、NK1受容体アンタゴニスト、CCK受容体アゴニスト(例えば、ロキシグルミド)、NK1受容体アンタゴニスト、NK3受容アンタゴニスト、ノルエピネフリン−セロトニン再取込み阻害薬(NSRI)、バニロイドおよびカンナビノイド受容体アゴニスト、ならびにシアロルフィン(sialorphin)である。種々の分類の鎮痛剤が、文献に記載されている。
【0117】
とりわけ有用な鎮痛性ペプチドは、シアロルフィン関連のペプチド、例えばアミノ酸配列QHNPR(配列番号)、VQHNPR(配列番号)、VRQHNPR(配列番号)、VRGQHNPR(配列番号)、VRGPQHNPR(配列番号)、VRGPRQHNPR(配列番号)、VRGPRRQHNPR(配列番号)、およびRQHNPR(配列番号
)を含むものなどである。シアロルフィン関連のペプチドは、ネプリリシンと結合して、ネプリリシンを介した、サブスタンスPおよびメチオニン−エンケファリンの分解を阻害する。つまりネプリリシンの阻害剤である化合物またはペプチドは、本発明の薬剤と併用療法として投与し得る、または本発明の薬剤と、例えば共有結合により結合させて投与し得る、有用な鎮痛剤である。シアロルフィンおよび関連のペプチドは、米国特許6,589,750、US20030078200A1、およびWO02/051435A2に記載されている。
【0118】
オピオイド受容体アンタゴニストおよびアゴニストは、本発明の薬剤と併用療法で、または本発明の薬剤と、例えば共有結合により結合させて投与することができる。例えば、オピオイド受容体アンタゴニスト、例えばナロキソン、ナルトレキソン、メチルナロゾン(methyl nalozone)、ナルメフェン、シプリジム(cypridime)、β−フナルトレキサミン、ナロキソナジン、ナルトリンドール、およびノルビナルトルフィミンが、IBSの処置に有用と考えられる。この種のオピオイドアンタゴニストを、遅延および持続放出製剤に配合して、例えばアンタゴニストの初期放出が中位〜遠位小腸および/または上行結腸で行われるようにすることが有用となり得る。そのようなアンタゴニストは、WO01/32180A2に記載されている。エンケファリンペンタペプチド(HOE825:Tyr−D−Lys−Gly−Phe−L−ホモセリン)は、μおよびδ−オピオイド受容体のアゴニストであり、腸の運動を増進させるのに有用と考えられ(ヨーロッパ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー、219−445、1992(Eur. J. Pharm. 219:445,1992))、このペプチドは、本発明の薬剤と共に用いることができる。μ/δ/κ−オピオイド受容体と結合してモチリンの放出を活性化し、ガストリン、血管作動性の腸ペプチド、ならびにガストリンおよびグルカゴンの放出を調節すると考えられるトリメブチンも、有用である。κ−オピオイド受容体アゴニスト、例えばフェドトジン、アシマドリンおよびケトシクラゾシン、ならびにWO03/097051A2に記載された化合物は、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。加えて、μ−オピオイド受容体アゴニスト、例えばモルヒネ、ジフェニルオキシラート、フラケファミド(frakefamide)(H-Tyr
−D−Ala−Phe(F)−Phe−NH;WO01/019849A1)およびロペラミドを用いることができる。
【0119】
Try−Arg(キオトルフィン)は、メチオニン−エンケファリンの放出を刺激して、鎮痛効果を呈する作用のあるジペプチドである(ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー 262:8165、1987(J. Bio. Chem 262:81
65, 1987))。キオトルフィンは、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
【0120】
クロモグラニン誘導性ペプチドは(CgA 47−66;ギア他、2004 レギュレートリー・ペプチド 119:199(Ghia et al. 2004 Regulatory Peptides 119:199)参照)。
【0121】
CCK受容体アゴニスト、例えば両生類および他の種由来のセルレインは、有用な鎮痛剤であり、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
コノトキシンペプチドは、鎮痛性ペプチドの大きな分類を表し、電位依存性Caチャネル、NMDA受容体またはニコチン性受容体で作用する。これらのペプチドは、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
【0122】
チムリンのペプチド類似体(FR2830451)は、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
CCK(CCKaまたはCCKb)受容体アンタゴニスト、例えばロキシグルミドおよ
びデキスロキシグルミド(ロキシグルミドのR異性体)(WO88/05774)は、鎮痛活性を有する可能性があり、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
【0123】
他の有用な鎮痛剤としては、5−HT4アゴニスト、例えば、テガセロド(ゼルノーム(Zelnorm)(登録商標))、モサプリド、メトクロプラミド、ザコプリド、シサプリド、レンザプリド、ベンズイミダゾロン誘導体、例えばBIMU1およびBIMU8、ならびにリレキサプリドが挙げられる。そのようなアゴニストは、EP1321142A1、WO03/053432A1、EP505322A1、同505322B1、US5,510,353、EP507672A1、同507672B1、およびUS5,273,983に記載されている。
【0124】
ジコノチドなどのカルシウムチャネルブロッカー、および例えばEP625162B1、US5,364,842、同5,587,454、同5,824,645、同5,859,186、同5,994,305、同6,087,091、同6,136,786、WO93/13128A1、EP1336409A1、同835126A1、同835126B1、US5,795,864、同5,891,849、同6,054,429、WO97/01351A1に記載された関連の化合物は、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
【0125】
NK−1、NK−2、およびNK−3受容体の種々のアンタゴニスト(レビューとして、ギアルジナ他 2003 ドラッグズ 6:758(Giardina et al.
2003 Drugs 6:758)を参照)は、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
【0126】
アプレピタント(メルク社(Merk & Co Inc))、ボホピタント、エズロピタント(ファイザー社(Pfizer, Inc.))、R−673(ホフマン・ラ・ロッシュ(Hoffman La Roche Ltd))、SR−48968(サノフィ・シンセラボ(Sanofi−Synthelabo))、CP−122,721(ファイザー社)、GW679769(グラクソ・スミスクライン社)、TAK−637(タケダ/アボット(Takeda/Abbot))、SR−14033などのNK1受容体アンタゴニスト、および例えばEP873753、US20010006972A1、同20030109417A1、WO01/52844A1に記載された関連の化合物は、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
【0127】
ネパデュタント(メナリーニ・リセルチェ SpA(Menarini Ricerche SpA))、サレデュタント(サノフィ・シンセラボ社)、GW597599(グラクソ・スミスクライン(Glaxo Smith Kline))、SR−144190(サノフィ・シンセラボ社)およびUK−290795(ファイザー社)などのNK−2受容体アンタゴニストは、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
【0128】
オサネタント(SR−142801;サノフィ・シンセラボ社)、SSR−241581、タルネタントなどのNK3受容体アンタゴニスト、および例えばWO02/094187A2、EP876347A1、WO97/21680A1、US6,277,862、WO98/11090、同95/28418、同97/19927、およびボーデン他(ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー 39:1664−75、1996)(Boden et al(J Med Chem. 39:1664−75,1996))に記載された関連の化合物は、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
【0129】
ミルナシプランなどのノルエピネフリン−セロトニン再取込み阻害薬(NSRI)およびWO03/077897A1に記載された関連の化合物は、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
【0130】
アルバニルなどのバニロイド受容体アンタゴニスト、およびWO01/64212A1に記載された関連の化合物は、本発明の薬剤と共に、またはそれと結合させて用いることができる。
【0131】
鎮痛性ペプチドおよび化合物は、cGMPおよびその類似体と共に投与することができる(同時または連続して)。鎮痛剤は、cGMPおよびその類似体と共有結合させて、治療コンジュゲートを生成することもできる。鎮痛剤がペプチドであり、本明細書に記載された薬剤と共有結合している場合、得られた薬剤は、少なくとも1箇所の開裂部位を含んでいてもよい。
【0132】
鎮痛性ペプチドとしては、シアロルフィン関連のペプチドに加えて、AspPhe、エンドモルフィン−1、エンドモルフィン−2、ノシスタチン、ダラルギン、ルプロン、ジコノチド、およびサブスタンスPが挙げられる。
併用療法に用いられる他の薬剤
同じくcGMPまたはその類似体および第2の治療薬を含む医薬組成物も、本明細書に含まれる。第2の治療薬で処置される主な適応症と見なされない状態を含む、第2の治療薬が有用な状態のいずれかを処置するのに、第2の治療薬を投与してもよい。第2の治療薬は、同時または連続して投与してもよい。第2の治療薬は、cGMPおよびその類似体に共有結合して、例えばリンカーを介して、治療コンジュゲートを生成することができる。
【0133】
胃腸および他の障害を処置する更なる治療薬の例としては:
下痢の処置に用いられる薬剤、例えば非限定的に、オクトレオチド、蠕動抑制剤(例えばイモジウム(Imodium)、ペプト・ダイアリア(Pepto Diarrhea))、タモキシフェン、バルク剤、抗エストロゲン(例えば、ドロロキシフェン、TAT−59およびラロキシフェン)、バラ科のトルメンチラ根エキス(トルメンチラ)、次サリチル酸ビスマス(例えば、ペプト・ビスモル(Pepto−Bismol)(商標))、ジフェノキシラート、ジフェノキシラートとアトロピン(ロモチル(Lomotil)、ロモコット(Lomocot))、オートブラン、サリウム、炭酸カルシウム、アストリンゼン(例えばタンニン)、コレスチラミン(クエストラン(Questran)、コリバー(Cholybar))、抗コリン薬(例えば、アストロピン(コフェノトロープ(Co−phenotrope)、ジアルセド(Diarsed)、ジフェノキシラート)、ローフェン(Lofene)、ローゲン(Logen)、ロノクス(Lonox)、ビ−アトロ(Vi−Atro)、硫酸アトロピン注射液)、ヒオスチアミン、およびメトクロプラミド)、リーセック(Reasec)(商標)(ヤンセン(Janssen))などの鎮痙薬、クロニジン(カタプレサン(Catapresan)(商標))などのα2−アドレナリン作動性アゴニスト、ソマトスタチン、エンセファリン、モルヒネ類似体、リダミジン、キシファクサン(Xifaxan)(登録商標)(リファクシミン;サリックス・ファーマシューティカルズ社(Salix Pharmaceuticals Ltd)、TZP−201(トランザイム・ファーマ社(Tranzyme Pharma
Inc))、神経性アセチルコリン受容体(nAChR)ブロッカーAGI−004(アギ・セラピューティクス(AGI Therapeutics))、オピウム誘導体およびアストリンゼン、
酸還元剤、例えばプロトンポンプ阻害薬(例えば、オメプラゾール(プリロセク(Prilosec)(登録商標))、エソメプラゾール(ネキシウム(Nexium)(登録商
標))、ランソプラゾール(プレバシド(Prevacid)(登録商標))、パントプラゾール(プロトニクス(Protonix)(登録商標))、およびラベプラゾール(アシフェックス(Aciphex)(登録商標)))、およびヒスタミンH2−受容体アンタゴニスト(シメチジン、ラニチジン、ファモチジンおよびニザチジンなどのH2受容体ブロッカーとしても知られる)、
完全または部分5HT(例えば、5HT1、5HT2、5HT3、5HT4)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(5HT1Aアンタゴニスト(例えば、AGI−0015、アギ・セラピューティクス))、5HT2Bアンタゴニスト(例えば、PGN1091およびPGN1164(ファーマジーン・ラボラトリーズ・リミテッド(Pharmagene Laboratories Limited)))、5HT4受容体アゴニスト(例えばテガセロド(ゼルノーム(ZELNORM)(登録商標))、プルカロプリド、モサプリド、メトクロプラミド、ザコプリド、シサプリド、レンザプリド、ベンズイミダゾロン誘導体、例えばBIMU1およびBIMU8、ならびにリレキサプリド);5HT3受容体アゴニスト、例えば、MKC−733;および5HT3受容体アンタゴニスト、例えばDDP−225(MCI−225;ダイノジェン・ファーマシューティカルズ社(Dynogen Pharmaceuticls Inc))、シランセトロン(カルマクチン(Calmactin)(登録商標))、アロセトロン(ロトロネクス(Lotronex)(登録商標))、塩酸オンダンセトロン(ゾフラン(Zofram)(登録商標))、ドラセトロン(アンゼンメット(ANZEMET)(登録商標))、パロノセトロン(アロキシ(Aloxi)(登録商標))、グラニセトロン(キトリル(Kitril)(登録商標))、YM060(ラモセトロン;アステラス・ファーマ社(Astellas Pharma Inc))およびATI−7000(カリフォルニア州サンタクララのアリックス・セラピューティクス(Aryx Therapeutics))(5HTアゴニストおよびアンタゴニストは、例えばEP1321142A1、WO03/053432A1、EP505322A1、EP505322B1、US5,510,353、同507672A1、同507672B1、およびUS5,273,983に記載されるもの)、
ムスカリン受容体アゴニスト、
抗炎症剤、
鎮痙薬、例えば抗コリン薬(例えば、ジサイクロミン(例えば、コリメックス(Colimex)(登録商標)、フォームレックス(Formulex)(登録商標)、ロミン(Lomine)(登録商標)、プロチロール(Protylol)(登録商標)、ビスセロール(Viscerol)(登録商標)、スパスモバン(Spasmoban)(登録商標)、ベンチル(Bentyl)(登録商標)、ベンチロール(Bentylol)(登録商標))、ヒオスチアミン(例えば、IB−スタット(IB−Stat)(登録商標)、ニュレブ(Nulev)(登録商標)、レブシン(Levsin)(登録商標)、レブビド(Levbid)(登録商標)、レブシネックス・チメキャプス(Levsinex Timecaps)(登録商標)、レブシン/SL(登録商標)、アナスパズ(Anaspaz)(登録商標)、A−スパス S/L(A−Spas S/L)(登録商標)、シストスパズ(Cyctospaz)(登録商標)、シストスバズ−M(登録商標)、ドナマル(Donnamar)(登録商標)、コリドロプス・リキッド・ペディアトリック(Colidrops Liquid Pediatric)(登録商標)、ガストロセド(Gastrosed)(登録商標)、ヒコ・エリキシル(Hyco Elixir)(登録商標)、ヒオソール(Hyosol)(登録商標)、ヒオスパズ(Hyospaz)(登録商標)、ヒオサイン(Hyosyne)(登録商標)、ロサミン(Losamine)(登録商標)、メディスパズ(Medispaz)(登録商標)、ネオソール(Neosol)(登録商標)、スパコール(Spacol)(登録商標)、スパスデル(spasdel)(登録商標)、シマックス(Symax)(登録商標)、シマックスSL(登録商標))、ドナタル(例えばソナタル・エクステンタブズ(Donnatal Extentabs)(登録商標))、クリジニウム(例えば、リブリウム=リブラック
ス(Librax)と併用されるクオルザン(Quarzan)、メタンテリン(例えばバンサイン(Banthine))、メペンゾラート(例えばカンチル(Cantil))、ホマトロピン(例えば、ヒコダン(Hycodan)、ホマピン(Homapin))、臭化プロパンテリン(例えば、プロ・バンチン(Pro−Banthine))、グリコピロラート(例えば、ロビヌル(Robinul)(登録商標)、ロビヌル・フォルテ(Robinul Forte)(登録商標))、スコポラミン(例えばトランスダーム・スコップ(Transderm−Scop)(登録商標)、トランスダーム−V(Transderm−V)(登録商標))、ヒヨスチン−N−ブチルブロミド(例えば、ブスコパン(Buscopan)(登録商標))、ピレンゼピン(例えばガストロゼピン(Gastrozepin)(登録商標))、ジシクロベリン(例えば、メルベンチル(Merbentyl)(登録商標))、臭化グリコピロニウム(例えば、グリコピロラート(Glycopyrrolate)(登録商標))臭化水素酸ヒヨスチン、ヒヨスチンメトブロミド、メタンテリニウム、およびオクタトロピンなど);ペパーミント油;および平滑筋直接弛緩薬、例えば臭化シメトロピウム、メベベリン(ドゥスパタル(DUSPATAL)(登録商標)、ドゥスパタリン(DUSPATALIN)(登録商標)、コロファックMR(COLOFAC MR)(登録商標)、コロタル(COLOTAL)(登録商標))、臭化オチロニウム(オクチロニウム(octilonium))、ピナベリウム(例えば、ジセテル(Dicetel)(登録商標)(臭化ピナベリウム;ソルベイ・S.A.(Solvay S.A.)))、スパスフォン(Spasfon)(登録商標)(フロログルシノール水和物およびトリメチルフロログルシノール)およびトリメブチン(マレイン酸トリメブチン、モジュロン(Modulon)(登録商標)など)、
抗うつ剤、例えば非限定的に、本明細書に列挙されたもの、および三環系抗うつ剤、例えば、アミトリプチリン(エラビル(Elavil)(登録商標))、デシプラミン(ノルプラミン(Norpramin)(登録商標))、イミプラミン(トフラニル(Tfranil)(登録商標))、アモキサピン(アセンジン(Asendin)(登録商標))、ノルトリプチリン;選択性セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)、例えば、パロキセチン(パキシル(Paxil)(登録商標))、フルオキセチン(プロザック(Prozac)(登録商標))、セルトラリン(ゾロフト(Zoloft)(登録商標))、およびシタロプラム(セレキサ(Celexa)(登録商標));ならびにドキセピン(シネクアン(Sinequan)(登録商標))、およびトラゾドン(デシレル(Desyrel)(登録商標)のような他の薬剤)、
中枢作用性鎮痛剤、例えば、オピオイド受容体アゴニスト、オピオイド受容体アンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン)、
炎症性腸疾患の処置用の薬剤、
クローン病および/または潰瘍性大腸炎の処置用の薬剤(例えば、アレクエル(Alequel)、ニューヨーク州ファーミングデールのエンゾ・バイオケム社(Enzo Biochem, Inc);抗炎症性ペプチドRDP58、マサチューセッツ州ケンブリッジのゲンザイム社(Genzyme);およびトラフィセット−EN(TRAFICET−EN)(商標)、カリフォルニア州サンカルロスのケモ・セントリクス社(ChemoCentryx, Inc)、
胃腸または内臓痛を処置する薬剤、
PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害剤、例えば非限定的に本明細書に開示されたもの、コルチコロトピン放出因子(CRF)受容体アンタゴニスト(例えば、NBI−34041(カリフォルニア州サンディエゴのニューロクラインバイオサイエンシーズ(Neurocrine Biociences))、CRH9−41、アストレシン、R121919(ヤンセン・ファーマシューティカ(Janssen Pharmaceutica))、CP154,526、NBI−27914、アンタラルミン(Antalarmin)、DMP696(ブリストル・マイヤーズスクイブ(Bristol−Myers Squibb))、CP−316,311(ファイザー社)、SB723620(GSK)、GW876008(ニューロクライン/グラクソ・スミスクライン)、ONO−23
33Ms(小野薬品工業(Ono−Parmaceuticals))、TS−041(ヤンセン)、AAG561(ノバルティス(Novartis))、ならびにUS5,063,245、同5,861,398、同20040224964、同20040198726、同20040176400、同20040171607、同20040110815、および同20040006066に開示されたもの)、
グルカゴン様ペプチド(glp−1)およびその類似体(エキセンディン−4およびGTP−010(ガストロテック・ファーマA(Gastrotech Parma A)))ならびにDPP−IVの阻害剤(DPP−IVはglp−1の不活性化を仲介する)、トフィソパム、鏡像異性的に純粋なR−トフィソパム、および薬学的に許容されるその塩(US20040229867)、
ジベンゾチアゼピン類の三環系抗うつ剤(例えば、デクストフィソパム(Dextofisopam)(登録商標)(ベラ・ファーマシューティカルズ(Vela Pharmaceuticals))、チアネプチン(スタブロン(Stablon)(登録商標))、およびUS6,683,072に記載された他の薬剤)、
(E)−4(1,3−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−2,6−ジオノ−9H−プリン−8−イル)桂皮酸ノナエチレングリコールメチルエーテルエステルおよびWO02/067942に記載された関連の化合物、
胃腸障害の処置に有用な微生物を含むブロバイオティック・プロバクトリックス(PROBACTRIX)(登録商標)(ニューヨーク州ニューヨークのバイオバランス・コーポレーション(BioBalance Corporation))、
抗不安薬、例えば非限定的に、アチバン(Ativan)(ロラゼパム)、アルプラゾラム(キサナックス(Xanax)(登録商標))、クロルジアゼポキシド/クリジニウム(リブリウム(Librium)(登録商標)、リブラックス(Librax)(登録商標))、クロナゼパム(クロノピン(Klonopin)(登録商標))、クロラゼパート(トランキセン(Tranxene)(登録商標))、ジアゼパン(バリウム(Valium)(登録商標))、エスタゾラム(プロソム(ProSom)(登録商標))、フルラゼパム(ダルメーン(Dalmane)(登録商標))、オキサゼパム(セラックス(Serax)(登録商標))、プラゼパム(セントラックス(Centrax)(登録商標))、テマゼパム(レストリル(Restoril)(登録商標))、トリアゾラム(ハルシオン(Halcion)(登録商標))、
ベデリックス(Bedelix)(登録商標)(モンモリロナイト・ベイデライティック(Montmorillonite Beidellitic);イプセン社(Ipsen Ltd))、ソルベイSLV332(Slovay SLV332)(アーキュール社(ArQule Inc)、YKP(SKファーマ(SK Parma))、アシマドリン(タイオガ・ファーマシューティカルズ/メルク(Tioga Pharmaceuticals/Merk))、AGI−003(アギ・セラピューティクス)、
セロトニンモジュレータ AZD7371(アウトラゼネカ社(AstraZeneca
Plc))、
M3ムスカリン受容体アンタゴニスト、例えばダリフェナシン(エナブレックス;ノバルティスAG)、およびザミフェナシン(ファイザー)、ならびに
ハーブおよび自然療法、例えば非限定的に、アシドフィルス、カモミール茶、月見草オイル、フェンネルシード、ワームウッド、およびコンフリー、
が挙げられる。
【0134】
本明細書に記載された薬剤は、抗肥満薬との併用療法で用いることができる。適切なそのような薬剤としては、非限定的に、
11βHSD−1(11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型)阻害剤、例えば、BVT3498、BVT2733、3−(1−アダマンチル)−4−エチル−5−(エチルチオ)−4H−1,2,4−トリアゾール、3−(1−アダマンチル)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、
3−アダマンチル−4,5,6,7,8,9,10,11,12,3a−デカヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a][11]アンヌレン、ならびにWO01/90091、同01/90090、同01/90092および同02/072084に開示されたそれらの化合物、
5HTアンタゴニスト、例えばWO03/037871、同03/037887などのもの、
5HT1aモジュレータ、例えばカルビドパ、ベンセラジド、ベンセラジド、およびUS6207699、WO03/031439などに開示されたもの、
5HT2c(セロトニン受容体2c)アゴニスト、例えば、BVT933、DPCA37215、IK264、PNU22394、WAY161503、R−1065、SB243213(グラクソ・スミスクライン)およびYM348、ならびにUS3914250、WO00/77010、同02/36596、同02/48124、同02/10169、同01/66548、同02/44152、同02/51844、同02/40456、および同02/40457に開示されたもの、
5HT6受容体モジュレータ、例えばWO03/030901、同03/035061、同03/039547などのもの、
アシル−エストロゲン、例えばデル・マー−グラサ,M他、オベシティ・レサーチ、9:202−9(2001)(del Mar−Grasa, M et al., Obesity Research, 9:202−9(2001))および日本特許出願番号JP2000−256190に開示されたオレイル−エストロンなど、
食欲抑制性二環式化合物、例えば1426(アベンティス(Aventis))および1954(アベンティス)、ならびにWO0018749、同01/32638、同01/62746、同01/62747および同03/015769に開示された化合物、
CB1(カンナビノイド−1受容体)アンタゴニスト/インバースアゴニスト、例えば、リモナバント(アコンプリア(Acomplia);サノフィ)、SR−147778(サノフィ)、SR−141716(サノフィ)、BAY65−2520(バイエル(Bayer))およびSLV319(ソルベイ)、ならびに特許公開のUS4973587、同5013837、同5081122、同5112820、同5292736、同5532237、同5624941、同6028084、同6509367、WO96/33159、同97/29079、同98/31227、同98/33765、同98/37061、同98/41519、同98/43635、同98/43636、同99/02499、同00/10967、同00/10968、同01/09120、同01/58869、同01/64632、同01/64633、同01/64634、同01/70700、同01/96330、同02/076949、同03/06007、同03/007887、同03/020217、同03/026647、同03/026648、同03/027069、同03/027076、同03/027114、同03/037332、同03/040107、同03/086940、同03/084943、およびEP658546に開示されたもの、
CCK−A(コレシストキニン−A)アゴニスト、例えばAR−R15849、GI181771(GSK)、JMV−180、A−71378、A−71623、およびSR146131(サノフィ)ならびにUS5739106に記載されたもの、
CNTF(毛様体神経栄養因子)、例えば、GI−181771(グラクソ・スミスクライン)、SR−146131(サノフィ・シンセラボ)、ブタビンジド、PD170,292、およびPD149164(ファイザー)、
CNTF誘導体、例えばアキソカイン(Axokine)(登録商標)(レジェネロン(Regeneron))、ならびにWO94/09134、同98/22128、および同99/43813に開示されたもの、
ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤、例えば、イソロイシンチアゾリジド、バリンピロリジド、NVP−DPP728、LAF237、P93/01、P3298、TSL225(ヤマダ他、バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー・
レターズ、8(1998) 1537−1540(Bioorg. & Med. Chem. Lett.8(1998)1537−1540)に開示されたトリプトフィル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸)、TMC−2A/2C、CD26阻害剤、FE999011、P310/K364、VIP0177、SDZ274−444、およびアシュワース他 バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー・レターズ 6巻、No.22、p1163−1166および2745−2748(Ashwaorth et al, Bioorg. & Med. Chem. Lett., Vol 6, No. 22, pp1163−1166 and 2745−2748)に開示された2−シアノピロリジドおよび4−シアノピロリジド、ならびに特許公開のWO99/38501、同99/46272、同99/67279(プロバイオドラッグ(Prbiodrug))、同99/67278(プロバイオドラッグ)、同99/61431(プロバイオドラッグ)、同02/083128、同02/062764、同03/000180、同03/000181、同03/000250、同03/002530、同03/002531、同03/002553、同03/002593、同03/004498、同03/004496、同03/017936、同03/024942、同03/024965、同03/033524、同03/037327、およびEP1258476に開示された化合物、
成長ホルモン分泌促進物質受容体アゴニスト/アンタゴニスト、例えば、NN703、ヘキサレリン、MK−0677(メルク)、SM−130686、CP−424391(ファイザー)、LY444711(イーライ・リリー(Eli Lilly))、L−692,429およびL−163,255、ならびにUSSN09/662448、US仮出願60/203335、US6358951、同2002049196、同2002/0022637、WO01/56592、および同02/32888に開示されたもの、
H3(ヒスタミンH3)アンタゴニスト/インバースアゴニトス、例えばチオペラミド、3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロピル、N−(4−ペンテニル)カルバマート)、クロベンプロピット、ヨードフェンプロピット、イモプロキシファン、GT2394(グリアテック(Gliatech))およびA331440、O−[3−(1H−イミ
ダゾール−4−イル)プロパノール]カルバマート(キエク−コノノウィクツ,K.他、
ファーマジー、55:349−55(2000)(Kiec−Kononowicz, K. et al., Parmazie, 55:349−55(2000)))、ピペリジン含有ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト(ラゼウスカ、D他、ファーマジー、56:927−32(2001)(Lazewska、D. et al., Pharmazie, 56:927−32(2001)))、ベンゾフェノン誘導体および関連化合物(サッセ、A.他、アーカイブ・デル・ファーマジー(バインハイム)334:45−52(2001)Sasse、A.et al., Arch. Pharm.(Weinheim)334:45−52(2001)))置換N−フェニルカルバマート(ライデマイスター,S.他、ファーマジー、55:83−6(2000)(Reidemeister, S. et al., Pharmazie, 55:83−6(2000)))、プロキシファン誘導体(サッセ,A.他、ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー、43:3335−43(2000)(Sasse, A. et al., J. Med. Chem., 43:3335−43(2000)))、およびヒスタミンH3受容体モジュレータ、例えばWO02/15905、同03/024928、および同03/024929に開示されたもの、
レプチン誘導体、例えばUS5552524、同5552523、同5552522、同5521283、WO96/23513、同96/23514、同96/23515、同96/23516、同96/23517、同96/23518、同96/23519、および同96/23520に開示されたもの、
レプチン、例えば組換えヒトレプチン(PEG−OB、ホフマン・ラ・ロッシュ)および組換えメチオニルヒトレプチン(アムゲン(Amgen))、
リパーゼ阻害剤、例えばテトラヒドロリプスタチン(オルリスタット/キセニカル(登録
商標))、トリトンWR1339、RHC80267、リプスタチン、ティーサポニン、ジエチルウンベリフェリルホスファート、FL−386、WAY−121898、Bay−N−3176、バリラクトン、エステラシン、エベラクトンA、エベラクトンB、およびRHC80267、ならびに特許公開WO01/77094、US4598089、同4452813、同5512565、同5391571、同5602151、同4405644、同4189438、および同4242453に開示されたもの、
脂質代謝モジュレータ、例えばマスリン酸、エリスロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンなど、およびWO03/011267に開示された化合物、
Mc4r(メラノコルチン4受容体)アゴニスト、例えば、CHIR86036(カイロン(Chiron))、ME−10142、ME−10145、およびHS−131(メラキュア(Melacure))、ならびにPCT公開番号WO99/64002、同00/74679、同01/991752、同01/25192、同01/52880、同01/74844、同01/70708、同01/70337、同01/91752、同02/059095、同02/059107、同02/059108、同02/059117、同02/06276、同02/12166、同02/11715、同02/12178、同02/15909、同02/38544、同02/068387、同02/068388、同02/067869、同02/081430、同03/06604、同03/007949、同03/009847、同03/009850、同03/013509、および同03/031410に開示されたもの、
Mc5r(メラノコルチン5受容体)モジュレータ、例えばWO97/19952、同00/15826、同00/15790、US2003009241に開示されたもの、
メラニン濃縮ホルモン1受容体(MCHR)アンタゴニスト、例えばT−226296(タケダ(Takeda))、SB568849、SNP−7941(シナプチック(Synaptic))、ならびに特許公開WO01/21169、同01/82925、同01/87834、同02/051809、同02/06245、同02/076929、同02/076947、同02/04433、同02/51809、同02/083134、同02/094799、同03/004027、同03/13574、同03/15769、同03/028641、同03/035624、同03/033476、同03/033480、JP13226269、および同1437059に開示されたもの、
mGluR5モジュレータ、例えばWO03/029210、同03/047581、同03/048137、同03/051315、同03/051833、同03/053922、同03/059904などに開示されたもの、
セロトニン作動薬、例えばフェンフルラミン(例えばポンジミン(Pondimin)(登録商標)(N−エチル−α−メチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンエタナミン塩酸塩、ロビンス(Robbins))、デクスフェンフラミン(例えば、リダックス(Redux)(登録商標)(N−エチル−α−メチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンエタナミン塩酸塩、インターニューロン(Interneuron))およびシブトラミン(メリジア(Meridia)(登録商標)、ノール(knoll)/リダクチル(Reductil)(商標))、ならびに光学的に純粋な異性体(+)および(−)としてのラセミ混合物、その薬学的に許容される塩、溶媒、水和物、抱接体およびプロドラッグ、例えばそのシブトラミン塩酸一水和物塩、ならびにUS4746680、同4806570、同5436272、同20020006964、WO01/27068、および同01/62341に開示されたそれらの化合物、
NE(ノルエピネフリン)輸送阻害剤、例えばGW320659、デスピラミン、タルスプラム、およびノミフェンシン、
NPY1アンタゴニスト、例えばBIBP3226、J−115814、BIBO3304、LY−357897、CP−671906、GI−264879A、ならびにUS6001836、WO96/14307、同01/23387、同99/51600、同01/85690、85098、同96/14307、同01/23387、同99/51600、同01/85690、同01/85098、同01/85173、および同01
/89528に開示されたもの、
NPY5(ニューロペプチドYY5)アンタゴニスト、例えば、152,804、GW−569180A、GW−594884A、GW−587081X、GW−548118X、FR235208、同226928、同240662、同252384、1229U91、GI−264879A、CGP71683A、LY−377897、LY−366377、PD−160170、SR−120562A、SR−120819A、JCF−104、およびH409/22、ならびに特許公開US6140354、同6191160、同6218408、同6258837、同6313298、同6326375、同6329395、同6335345、同6337332、同6329395、同6340683、欧州特許01010691、同01044970、WO97/19682、同97/20820、同97/20821、同97/20822、同97/20823、同98/27063、同00/107409、同00/185714、同00/185730、同00/64880、同00/68197、同00/69849、同/0113917、同01/09120、同01/14376、同01/85714、同01/85730、WO01/07409、同01/02379、同01/23388、同01/23389、同01/44201、同01/62737、同01/62738、同01/09120、同02/20488、同02/22592、同02/48152、同02/49648、同02/051806、同02/094789、同03/009845、同03/014083、同03/022849、同03/028726、およびノルマン他、ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー43:4288−4312(2000)(Norman et al., J. Med. Chem. 43:4288−4312(2000))に開示されたそれらの化合物、
オピオイドアンタゴニスト、例えばナルメフェン(レベックス(REVEX)(登録商標))、3−メトキシナルトレキソン、ナロキソンおよびナルトレキソン(例えば、PT901;ペイン・セラピューティクス社(Pain Therapeutics、Inc))およびWO00/21509に開示されたもの、
オレキシン拮抗薬、例えばSB−334867−Aならびに特許公開WO01/96302、WO01/68609、同02/44172、同02/51232、同02/51838、同02/089800、同02/090355、同03/023561、同03/032991、同03/037847に開示されたもの、
PDE阻害剤(例えばホスホジエステラーゼの阻害によりサイクリックAMP(cAMP)および/またはサイクリックGMP(cGMP)の分解を緩やかにして、cAMPおよびcGMPの細胞内濃度を相対的に上昇させ得る化合物であり、可能なPDE阻害剤は、主としてPDE3阻害剤からなる分類、PDE4阻害剤からなる分類、および/またはPDE5阻害剤からなる分類に含まれるそれらの物質、特にPDE3/4阻害剤の混合型またはPDE3/4/5阻害剤の混合型として設計され得るそれらの物質である)、例えば、特許公開DE1470341、同2108438、同2123328、同2305339、同2305575、同2315801、同2402908、同2413935、同2451417、同2459090、同2646469、同2727481、同2825048、同2837161、同2845220、同2847621、同2934747、同3021792、同3038166、同3044568、EP000718、同0008408、同0010759、同0059948、同0075436、同0096517、同0112987、同0116948、同0150937、同0158380、同0161632、同0161918、同0167121、同0199127、同0220044、同0247725、同0258191、同0272910、同0272914、同0294647、同0300726、同0335386、同0357788、同0389282、同0406958、同0426180、同0428302、同0435811、同0470805、同0482208、同490823、同0506194、同0511865、同0527117、同0626939、同0664289、同0671389、同0685474、同0685475、同0685479、JP92234389、同943
29652、同95010875、US4963561、同5141931、WO9117991、同9200968、同9212961、同9307146、同9315044、同9315045、同9318024、同9319068、同9319720、同9319747、同9319749、同9319751、同9325517、同9402465、同9406423、同9412461、同9420455、同9422852、同9425437、同9427947、同9500516、同9501980、同9503794、同9504045、同9504046、同9505386、同9508534、同9509623、同9509624、同9509627、同9509836、同9514667、同9514680、同9514681、同9517392、同9517399、同9519362、同9522520、同9524381、同9527692、同9528926、同9535281、同9535282、同9600218、同9601825、同9602541、同9611917、DE3142982、同1116676、同2162096、EP0293063、同0463756、同0482208、同0579496、同0667345、US6331543、同20050004222(式I〜XIII、ならびに段落番号37〜39、85〜545および557〜577に開示されたものなど)、WO9307124、EP0163965、同0393500、同0510562、同0553174、WO9501338、および同9603399に開示されたもの、ならびにPDE5阻害剤(例えばRX−RA−69、SCH−51866、KT−734、ベスナリノン、ザプリナスト、SKF−96231、ER−21355、BF/GP−385、NM−702、およびシルデナフィル(バイアグラ(商標)))、PDE4阻害剤(例えばエタゾラート、ICI63197、RP73401、イマゾリジノン(imazolidinone)(RO−20−1724)、MEM1414(R1533/R1500;ファルマシア・ロッシュ(Pharmacia Roche))、デンブフィリン、ロリプラム、オキサグレラート、ニトラクァゾン、Y−590、DH−6471、SKF−94120、モタピゾン、リキサジノン、インドリダン、オルプリノン、アチゾラム、KS−506−G、ジパムフィリン(dipamfylline)、BMY−43351、アチゾラム、アロフィリン、フィラミナスト、PDB−093、UCB−29646、CDP−840、SKF−107806、ピクラミラスト、RS−17597、RS−25344−000、SB−207499、チベネラスト、SB−210667、SB−211572、SB−211600、SB−212066、SB−212179、GW−3600、CDP−840、モピダモール、アナグレリド、イブジラスト、アモリノン、ピモベンダン、シロスタゾール、クアジノンおよびN−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシベンズアミド)、PDE3阻害剤(例えばICI153、100、ベモランダン(RWJ22867)、MCI−154、UD−CG212、スルマゾール、アムピゾーン、シロスタミド、カルバゼラン、ピロキシモン、イマゾダン、CI−930、シグアゾダン、アジベンダン、サテリノン、SKF−95654、SDZ−MKS−492、349−U−85、エモラダン(emoradan)、EMD−53998、EMD−57033、NSP−306、NSP−307、レビジノン、NM−702、WIN−62582、WIN−63291、エノキシモンおよびミルリノン)、PDE3/4阻害剤(例えばベナフェントリン、トレキンシン、ORG−30029、ザルダベリン、L−686398、SDZ−ISQ−844、ORG−20241、EMD−54622、およびトラフェントリン)、および他のPDE阻害剤(例えばビンポセチン、パパベリン、エンプロフィリン、シロミラスト、フェノキシモン(fenoximone)、ペントキシフィリン、ロフルミラスト、タダラフィル(シアリス(Cialis)(登録商標))、テオフィリン、およびバルデナフィル(レビトラ(Levitra)(登録商標))、
ニューロペプチドY2(NPY2)アゴニスト(非限定的に、ペプチドYY、ならびにそのフラグメントおよび変異体(例えば、YY3−36(PYY3−36)(ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン、349:941、2003(N.Eng. J. Med. 349:941,2003));IKPEAPGE DASPEELN
RY YASLRHYLNL VTRQRY(配列番号XXX))およびPYYアゴニスト、例えばWO03/026591、同03/057235、および同03/027637に開示されたものが挙げられる)
セロトニン再取込み阻害薬、例えばパロキセチン、フルオキセチン(プロザック(Prozac)(商標))、フルボキサミン、セルトラリン、シタロプラム、およびイミプラミン、ならびにUS6162805、同6365633、WO03/00663、同01/27060、および同01/162341に開示されたもの、
甲状腺ホルモンβアゴニスト、例えばKB−2611(カロバイオBMS(KaroBioBMS))、ならびにWO02/15845、同97/21993、同99/00353、同98/284425、米国特許仮出願60/183,223、および日本特許出願番号JP2000256190に開示されたもの、
UCP−1(非共役蛋白質−1)、2または3活性化剤、例えばフィタン酸、4−[(E
)−2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸(TTNPB)、レチノイン酸、およびWO99/
00123に開示されたもの、
β3(β−アドレナリン作動性受容体3)アゴニスト、例えばAJ9677/TAK677(ダイニッポン/タケダ(Dainippon/Takeda))、L750355(メルク)、CP331648(ファイザー)、CL−316,243、SB418790、BRL−37344、L−796568、BMS−196085、BRL−35135A、CGP12177A、BTA−243、GW427353、トレカドリン、ゼネカD7114、N−5984(ニッシン・キョーリン(Nisshin Kyorin))、LY−377604(リリー(Lilly))、SR59119A、ならびにUS5541204、同5770615、同5491134、同5776983、同488064、同5705515、同5451677、WO94/18161、同95/29159、同97/46556、同98/04526、同98/32753、同01/74782、同02/32897、同03/014113、同03/016276、同03/16307、同03/024948、同03/024953、および同03/037881に開示されたもの、
ノルアドレナリン作動薬、例えば非限定的に、ジエチルプロピオン(例えばテヌエイト(Tenuate)(登録商標)、(2−(ジエチルアミノ−1−フェニル−1−プロパノン塩酸)、メレル(Merrell))、デキストロアンフェタミン(硫酸デキストロアンフェタミン、デクスアンフェタミン、デキセドリン、デクスアンペックス(Dexampex)、ファーンデックス(Ferndex)、オキシデスII(Oxydess II)、ロベセ(Robese)、スパンキャップ1番(Spancap #1)としても公知)、マジンドール(または5−(p−クロロフェニル)−2,5−ジヒドロ−3H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−5−オール、例えばサノレックス(Sanorex)(登録商標)、ノバルティスまたはマザノール(Mazanor)(登録商標)、ワイス・エアスト(Wyeth Ayerst))、フェニルプロパノールアミン(またはα−(1−アミノエチル)−ベンゼンメタノール塩酸)、フェンテルミン(または3−[[4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル−エチル](4−メチルフェニル−1)アミノ]−フェノール一塩酸)、例えばアジペックス−P(Adipex−P)(登録商標)、レモン(Lemmon)、ファスチン(FASTIN)(登録商標)、スミスクライン・ビーチャム、およびイオナミン(Ionamin)(登録商標)、メデバ(Medeva))、フェンジメトラジン((または(2S,3S)−3,4−ジメチル−2−フェニルモルホリンL−(+)−酒石酸塩)、例えばメトラ(Metra)(登録商標)(フォレスト(Forest))、プレギン(Plegine)(登録商標)(ワイス・エアスト)、プレルー−2(Prelu−2)(登録商標)(ベーリンガー・インゲルハム(Boehringer Ingelheim))、およびスタトベックス(Statobex)(登録商標)(レモン)、酒石酸フェンダミン(例えばテホリン(Thephorin)(登録商標)(2,3,4,9−テトラヒドロ−2−メチル−9−フェニル−1
H−インデノール[2,1−c]ピリジン L−(+)−酒石酸塩(1:1))、ホフマン・ラ・ロッシュ)、メタンフェタミン(例えばデソキシン(Desoxyn)(登録商標)、アボット((S)−N,(α)−ジメチルベンゼンエタンアミン塩酸))、ならびに酒石酸フェンジメトラジン(例えばボントリル(Bontril)(登録商標)スロー・リリース・カプセルズ(Slow−Release Capsules)、アマリン(Amarin)(酒石酸−3,4−ジメチル−2−フェニルモルホリン))、
脂肪酸酸化上方制御剤(upregulator)/誘導剤、例えばファモキシン(Famoxin)(登録商標)(ジェンセット(Geneset))、
モナミンオキシダーゼ阻害剤、例えば非限定的に、ベフロキサトン、モクロベミド、ブロファロミン、フェノキサチン、エスプロン、ベフォール(befol)、トロキサトン、ピルリンドール、アミフラミン、セルクロレミン、バジナプリン、ラザベミド、ミラセミド、カロキサゾン、およびWO01/12176に開示された他の特定の化合物、
他の抗肥満薬、例えば5HT−2アゴニスト、ACC(アセチルCoAカルボキシラーゼ)阻害剤、例えばWO03/072197に記載されたもの、α−リポ酸(α−LA)、AOD9604、食欲抑制剤、例えばWO03/40107のもの、ATL−962(アリザイムPLC(Alizyme PLC))、ベンゾカイン、ベンズフェタミン塩酸(ジドレックス(Didrex))、ブラダーラック(フォーカス・ベシキュロサス)、BRS3(ボンベシン受容体サブタイプ3)アゴニスト、ブプロピオン、カフェイン、CCKアゴニスト、キトサン、クロム、共役リノレン酸、コルチコトロピン放出ホルモンアゴニスト、デヒドロエピアンドロステロン、DGAT1(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1)阻害剤、DGAT2(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2)阻害剤、ジカルボキシラートトランスポータ阻害剤、エファドラ、エキセンジン−4(glp−1の阻害剤)、FAS(脂肪酸シンターゼ)阻害剤(例えばセルレニン(Cerulenin)およびC75)、脂肪吸収阻害剤(例えばWO03/053451などの)、脂肪酸トランスポータ阻害剤、天然水溶性線維(例えばサイリウム、プランタゴ、グアー、オーツ、ペクチン)、ガラニンアンタゴニスト、ガレガ(コーツルー、フレンチライラック)、ガルシニア・カンボジア、ゲルマンダー(ウォール・ジャーマンダー)、グレリン抗体およびグレリンアンタゴニスト(例えばWO01/87335およびWO02/08250に開示されたもの)、膵島細胞分泌に影響を及ぼすペプチドホルモンおよびその変種、例えばセクレチン/胃抑制ペプチド(GIP)/血管作動性腸ペプチド(VIP)/下垂体アデニラートシクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)/グルカゴン様ペプチドII(GLP−II)/グリセンチン/グルカゴン遺伝子ファミリーのホルモン、および/またはアドレノメヅリン/アミリン/カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)遺伝子ファミリーのもの、例えばGLP−1(グルカゴン様ペプチド1)アゴニスト(例えば(1)エキセンジン−4)、(2)C末端がカルボキシル化もしくはアミド化された形態のGLP−1(7−34)、GLP−1(7−35)、GLP−1(7−36)もしくはGLP−1(7−37)などUS20050130891に記載されたそれらのGLP−1分子、または変性GLP−1ペプチドとしてのそれら、およびUS20050130891の段落番号17〜44に記載されたものなどそれらの変性体、およびGLP−1−(7−34)COOHから誘導された誘導体、および以下の一般式:
R−NH−HAEGTFTSDVSYLEGQAAKEFIAWLVK−CONH
(式中、Rは、Hまたは炭素原子を1〜10個有する有機化合物である)を有する対応する酸アミドが、用いられる。
好ましくはRはカルボン酸の残基である。特に好ましいのは、以下のカルボン酸残基である:ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)、およびglp−1(グルカゴン様ペプチド−1)、グルココルチコイドアンタゴニスト、グルコーストランスポータ阻害剤、成長ホルモン分泌促進物質(例えばUS5536716に開示されたもの、および詳細に記載されたもの)、インターロイキン−6(IL−6)およびそのモジュレータ(WO03/057237などに記載されたものなど)、L−カルニチン、Mc
3r(メラノコルチン3受容体)アゴニスト、MCH2R(メラニン濃縮ホルモン2R)アゴニスト/アンタゴニスト、メラニン濃縮ホルモンアンタゴニスト、メラノコルチンアゴニスト(例えばメラノタンIIまたはWO99/64002および同00/74679に記載されたもの)、ノマメ・ハーバ(nomame herba)、ホスファートトランスポータ阻害剤、フィトファーム(phytopharm)化合物57(CP644,673)、ピルバート、SCD−1(ステアロイル−CoAデサチュラーゼ−1)阻害薬、T71(コロラド州ボルダーのチュラリック社(Tukarik, Inc.,))、トピラマ
ート(抗けいれん薬として示され、体重の減少量を増加させることが示されたトピマックス(Topimax)(登録商標))、転写因子モジュレータ(例えばWO03/026576に開示されたもの)、β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害剤(β−HSD−1)、β−ヒドロキシ−β−メチルブチラート、p57(ファイザー)、ゾニサミド(抗てんかん薬として知られ、体重減少をもたらすことが示されたゾネグラン(Zonegran)(商標))、およびUS20030119428段落番号20〜26に開示された薬剤、
が挙げられる。
【0135】
肥満の処置に有用な本明細書に記載された薬剤は、電気刺激との併用薬として投与することができる(US20040015201)。
本明細書に記載された薬剤は、可溶性グアニラートシクラーゼを活性化させる薬剤、例えばUS20040192680に記載されたものとの併用療法で用いることができる。
【0136】
本明細書に記載された薬剤は、ホスホジエステラーゼ阻害剤との併用療法で用いることができる。PDE阻害剤は、ホスホジエステラーゼの阻害によりサイクリックAMP(cAMP)および/またはサイクリックGMP(cGMP)の分解を緩やかにして、cAMPおよび/またはcGMPの細胞内濃度を相対的に上昇させ得るそれらの化合物である。可能なPDE阻害剤は、主としてPDE3阻害剤からなる分類、PDE4阻害剤からなる分類、および/またはPDE5阻害剤からなる分類に含まれるそれらの物質、特にPDE3/4阻害剤の混合型またはPDE3/4/5阻害剤の混合型として設計され得るそれらの物質である。例として、それらのPDE阻害剤には、例えば、以下の特許出願および特許に記載および/または開示されたものが挙げられる:特許公開DE1470341、同2108438、同2123328、同2305339、同2305575、同2315801、同2402908、同2413935、同2451417、同2459090、同2646469、同2727481、同2825048、同2837161、同2845220、同2847621、同2934747、同3021792、同3038166、同3044568、EP000718、同0008408、同0010759、同0059948、同0075436、同0096517、同0112987、同0116948、同0150937、同0158380、同0161632、同0161918、同0167121、同0199127、同0220044、同0247725、同0258191、同0272910、同0272914、同0294647、同0300726、同0335386、同0357788、同0389282、同0406958、同0426180、同0428302、同0435811、同0470805、同0482208、同490823、同0506194、同0511865、同0527117、同0626939、同0664289、同0671389、同0685474、同0685475、同0685479、JP92234389、同94329652、同95010875、米国特許第4963561、同5141931、WO9117991、同9200968、同9212961、同9307146、同9315044、同9315045、同9318024、同9319068、同9319720、同9319747、同9319749、同9319751、同9325517、同9402465、同9406423、同9412461、同9420455、同9422852、同9425437、同9427947、同9500516、同9501980、同9503794、同9504045、同
9504046、同9505386、同9508534、同9509623、同9509624、同9509627、同9509836、同9514667、同9514680、同9514681、同9517392、同9517399、同9519362、同9522520、同9524381、同9527692、同9528926、同9535281、同9535282、同9600218、同9601825、同9602541、同9611917、DE3142982、同1116676、同2162096、EP0293063、同0463756、同0482208、同0579496、同0667345、US6331543、同20050004222(式I〜XIII、ならびに段落番号37〜39、85〜545および557〜577に開示されたものなど)、WO9307124、EP0163965、同0393500、同0510562、同0553174、WO9501338、および同9603399。例として挙げられるPDE5阻害剤は、RX−RA−69、SCH−51866、KT−734、ベスナリノン、ザプリナスト、SKF−96231、ER−21355、BF/GP−385、NM−702、およびシルデナフィル(バイアグラ(商標))である。例として挙げられるPDE4阻害剤は、RO−20−1724、MEM1414(R1533/R1500;ファルマシア・ロッシュ)、デンブフィリン、ロリプラム、オキサグレラート、ニトラクァゾン、Y−590、DH−6471、SKF−94120、モタピゾン、リキサジノン、インドリダン、オルプリノン、アチゾラム、KS−506−G、ジパムフィリン、BMY−43351、アチゾラム、アロフィリン、フィラミナスト、PDB−093、UCB−29646、CDP−840、SKF−107806、ピクラミラスト、RS−17597、RS−25344−000、SB−207499、チベネラスト、SB−210667、SB−211572、SB−211600、SB−212066、SB−212179、GW−3600、CDP−840、モピダモール、アナグレリド、イブジラスト、アモリノン、ピモベンダン、シロスタゾール、クアジノンおよびN−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシベンズアミドである。例として挙げられるPDE3阻害剤は、スルマゾール、アムピゾーン、シロスタミド、カルバゼラン、ピロキシモン、イマゾダン、CI−930、シグアゾダン、アジベンダン、サテリノン、SKF−95654、SDZ−MKS−492、349−U−85、エモラダン、EMD−53998、EMD−57033、NSP−306、NSP−307、レビジノン、NM−702、WIN−62582、WIN−63291、エノキシモンおよびミルリノンである。例として挙げられるPDE3/4阻害剤は、ベナフェントリン、トレキンシン、ORG−30029、ザルダベリン、L−686398、SDZ−ISQ−844、ORG−20241、EMD−54622、およびトラフェントリンである。他のPDE阻害剤としては、シロミラスト、ペントキシフィリン、ロフルミラスト、タダラフィル(シアリス(登録商標))、テオフィリン、バルデナフィル(レビトラ(登録商標))、ザプリナスト(PDE5特異性)が挙げられる。
【0137】
アデノシン−3’,5’−環状一リン酸(cAMP)およびその類似体は、本発明の薬剤と併用療法で投与することができる。cAMPの類似体としては、非限定的に、プリン環系への修飾、リボースへの修飾、またはホスファート基への修飾を有するものが挙げられる。つまり、本発明に有用なcAMPの類似体としては、非限定的に、ジブチリルアデノシン3’,5’−環状一リン酸(db cAMP)、8−ブロモアデノシン3’,5’−環状一リン酸(8−ブロモ cAMP)、Rpアデノシン3’,5’−環状一リン酸(Rp−cAMP)およびSpアデノシン3’,5’−環状一リン酸(Sp−cAMP)(cAMPのS異性体)が挙げられる。プリン環系は、環状ヌクレオチド依存性キナーゼによる環状ヌクレオチド認識に重要であるため、一般に修飾に関して研究される部位である。オグレイド他、1985、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー、150:219−227(Ogreid et al. 1993 Eur J Biochem.150:219−227)、コルビン他、1986、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー,261:1208−1214(Corbin et al.,
1986, J. Biol. Chem. 261:1208−1214);オグレイド他、1989、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー、181:19−31(Ogreid et al. 1989 Eur J Biochem.181:19−31)。プリン環系への修飾は、ピリミジン部分またはイミダゾール部分のいずれかにおいて実行することができる。例えば、環系のピリミジン部分(1、2または6位)への修飾は、直接の相関において結合親和力を変化させて、第3級構造または親水性相互作用を変化させるが、これに対して、系のイミダゾール部分(8位)を修飾すると、電子的、立体的および疎水的な力が組み合わさり、結合を調節すると思われる。コルビン他、1986、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー,261:1208−1214。8位の置換基のほとんどが、各キナーゼの類似体の親和力を低下させるが、少数の注目すべき8−Br cAMPは、逆の効果を有する。オグレイド他、1989、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー、181:19−31。これは、電子吸引基の場合には電子的効果、または結合部位での置換基の直接相互作用のいずれかによるものと思われる。コルビン他、1986、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー,261:1208−1214。cAMPの類似体は、プリン環系への、リボースへの、またはホスファート基への一時的な修飾を含んでいてもよい。例えばプリン環系またはリボースへの修飾は、多くの場合、ホスファート基の環外酸素の一方を硫黄で置換することを伴う。赤道部分または軸部分(それぞれSpまたはRp異性体)のいずれかでの硫黄置換は、化合物の脂肪親和性を高めるだけでなく、ホスホジエステラーゼによる加水分解への抵抗性も低下させる。ブラウマン他、1985、ジャーナル・オブ・クロマトグラフィー、350:105−108(Braumann et al., 1985,
J. Chromatography. 350:105−108);エクスタイン、1985年、アニューアル・レビュー・オブ・バイオケミストリー、54:367−402(Eckstein, 1985, Ann. Rev.Biochem. 54:367−402);スチャープ他、1993、ジャーナル・オブ・バイオケミストリー、268:6323−6331(Schaap et al., 1993, J. Biol. Chem.268:6323−6331)。cAMPの類似体は、ドイツ、ブレーメンのバイオログ・ライフ・サイエンス・インスチュート(BIOLOG Life Science Institute)のウェブサイト(アドレス:BIOLOG.de)のカタログに列挙されている。cAMPの類似体は、細胞膜透過性であってもよい。
処置の方法
cGMPおよびその類似体は、胃腸関連障害、例えばクローン病、消化不良(機能性消化不良または非潰瘍性消化不良など)、十二指腸胃逆流、機能性腸疾患、過敏性腸疾患(IBD)、機能性胃腸障害、機能性胸やけ、胃食道逆流症(GERD)、胃腸運動障害、胃不全麻痺(例えば特発性胃不全麻痺)、肥厚性幽門狭窄、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群(IBS、例えばd−IBSまたは交互型IBS)、および潰瘍性大腸炎などの治療または予防のために、単独または併用療法で用いることができる。cGMPおよびその類似体は、衝撃または外科的介入によって生じた胃腸管の損傷に関連する胃腸障害に罹った患者または罹りやすい患者を処置するために、単独または併用療法で用いることができる。cGMPおよびその類似体は、過剰運動性に関連する特有の疾患のリスクのある患者、またはそれを有する患者を処置するために、単独または併用療法で用いることができる。cGMPおよびその類似体は、吐気、嘔吐、胸やけ、食後不快感、下痢、消化不良または関連の症状の少なくとも1種により特徴づけられる胃腸障害を予防および/または治療するために、単独または併用療法で用いることができる。cGMPおよびその類似体は、糖尿病、神経性食欲不振、大食、無酸欠乏症、アカラシア、肛門裂傷、過敏性腸症候群、腸偽閉塞、硬皮症および胃腸障害の少なくとも1種に関連する胃腸障害を予防および/または治療するために、単独または併用療法で用いることができる。
【0138】
cGMPおよびその類似体は、胃腸障害に関連する内臓痛、または別の障害に関連する疼痛を治療、予防または軽減するために、単独または併用療法で用いることができる。
cGMPおよびその類似体は、肥満関連の障害(例えば、肥満に関連する障害、肥満によって引き起こされる障害、または肥満の結果生じた障害)を治療または予防するために、単独または併用療法で用いることができる。肥満関連の障害の例としては、過食および大食、高血圧、糖尿病、血漿インスリン濃度上昇およびインスリン抵抗性上昇、脂質代謝異常、高脂血症、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌、骨関節炎、閉塞性睡眠時無呼吸、胆石症、胆石、心臓疾患、異常心臓リズムおよび不整脈、心筋梗塞、鬱血性心不全、冠動脈性心疾患、突然死、卒中、多嚢胞性卵巣疾患、頭蓋咽頭腫、プラダー−ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、GH欠乏患者、ノーマルバリアント低身長、ターナー症候群、ならびに代謝活性低下または総非脂肪重量のパーセントとしての休止時エネルギー消費の低下を示す他の病的状態、例えば急性リンパ芽球性白血病の小児などが挙げられる。本発明の薬剤を用いて、体重(もしくは脂肪)を低下もしくは抑制するか、または肥満もしくは食事、エタノールおよび他の食欲増進物質の過剰な摂取に関連する他の食欲関連障害を予防および/もしくは治療してもよい。該薬剤を用いて、脂質代謝を調節してもよく、体脂肪を低下させてもよく(例えば、脂肪の利用性を高めることにより)、または食欲を低下(または抑制)させてもよい(例えば満腹を誘導することにより)。肥満関連の障害の更なる例は、シンドロームXとしても知られる代謝症候群、インスリン抵抗性症候群、不妊などの性機能および生殖機能不全、男性における性腺機能低下症および女性における男性型多毛症、肥満関連胃食道逆流などの胃腸管運動障害、肥満性低換気症候群(ピックウィック症候群)などの呼吸器障害、心血管障害、血管系の全身炎症などの炎症、アテローム性動脈硬化、高コレステロール血症、高尿酸血症、腰痛、胆嚢疾患、痛風および腎臓癌である。本発明の薬剤は、肥満の二次的結果のリスクの低下、例えば左心室肥大のリスク低下にも有用である。
【0139】
cGMPおよびその類似体は、下痢(例えば、慢性下痢、ならびに下痢に関連する障害および状態、例えば、動物の下痢、機能性消化障害に関連するヒトの下痢、滲出性下痢、非滲出性下痢、吸収低下性下痢、非吸収低下性下痢、炎症性下痢、非炎症性下痢、分泌性下痢、非分泌性下痢、初期化学療法関連の下痢、後期化学療法関連の下痢、薬物性下痢、細菌性下痢、ウイルス性下痢、原虫性下痢、HIV関連の下痢、高活性抗レトロウイルス療法関連の下痢、抗生物質関連の下痢、経鼻胃管摂食関連の下痢、急速な麻薬中毒の解毒に関連する下痢、および神経内分泌腫瘍関連の下痢)を予防および/または治療するために、単独または併用療法で用いることができる。
【0140】
cGMPおよびその類似体は、食欲不振、甲状腺機能亢進、他の体重減少障害を治療または予防するため、そして例えば、高活性抗レトロウイルス薬療法(HAART)で処置されたHIV陽性患者における、吸収不良(脂肪性下痢)および体重減少の改善のために、単独または併用療法で用いることができる。
【0141】
cGMPおよびその類似体は、癌、前癌増殖、または転移増殖の治療または予防のために、単独または併用療法で用いることができる。例えばそれらを:結腸直腸/転移した結腸直腸癌、腸ポリープ、胃腸管癌、肺癌、上皮細胞の癌または前癌増殖または転移増殖、ポリープ、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、膀胱癌、肝臓癌、食道癌および精巣癌、癌(例えば、基底細胞癌、基底有棘細胞癌、ブラウン・ピアース癌、腺管癌、エールリッヒ腫瘍、クレブス癌、メルケル細胞癌、小細胞肺癌または非小細胞肺癌、燕麦細胞癌、乳頭状癌、細気管支癌、扁平上皮細胞癌、移行上皮癌)、(ウォーカー(Walker))、白血病(例えば、B細胞、T細胞、HTLV、急性または慢性リンパ球、肥満細胞、骨髄)、組織球腫(histiocytonia)、組織球増殖症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、形質細胞腫、網膜内皮症、アデノーマ、腺腫、悪性腺腫、腺リンパ腫、エナメル上皮腫、角化血管腫、好酸球性血管リンパ球増殖症、硬化性血管腫、血管腫症、アプドーマ、鰓腫(branchionia)、悪性カルチノイド症候群、カルチノイド心疾患、癌肉腫、セメント質腫、胆管腫、コレステリン腫、
軟骨肉腫、軟骨芽細胞腫、脊索腫、分離腫、頭蓋咽頭腫、クロンドローマ(chrondroma)、円柱腫、嚢胞腺癌、嚢腺腫、嚢肉腫(cystosarconia)、葉上嚢肉腫、未分化胚細胞腫、上衣細胞腫、ユーイング腫、線維腫、線維肉腫、巨細胞腫、神経節細胞腫、神経節芽細胞腫、グロムス血管腫、顆粒膜細胞腫、男性胚細胞腫、過誤腫、血管内皮腫、血管腫、血管外皮細胞腫、血管肉腫、肝癌、膵島細胞腫、カポジ肉腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、白血肉腫、ライディヒ細胞腫、脂肪腫、脂肪肉腫、リンパ管腫、リンパ管筋腫、リンパ管肉腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、間葉腫、中腎腫、中皮腫、筋芽細胞腫、筋腫、筋肉腫、粘液腫、粘液肉腫、神経鞘、神経腫、神経芽細胞腫、神経上皮腫、神経線維腫、神経線維腫症、歯芽腫、骨腫、骨肉腫、乳頭腫、パラガングリオーマ、傍神経節腫(paraganlionia)、非クロム親和性傍神経節腫
(nonchroinaffin)、松果体腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、セルトール細胞腫、奇形腫、卵胞膜細胞腫、および細胞が異形成、不朽化、または形質転換された他の疾患、の予防または治療に用いることができる。
【0142】
cGMPおよびその類似体は、大腸癌、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)、および遺伝性常染色体優性症候群の前に起こる家族性大腸ポリポーシス(FAP)(常染色体優性症候群)の治療または予防のために単独または併用療法で用いることができる。
【0143】
cGMPおよびその類似体は、癌、前癌増殖および転移増殖の治療または予防のために、放射線、化学療法剤、cGMP依存性ホスホジエステラーゼの阻害剤または選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤と併用療法で用いることができる。多数の選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤が、US20010024664、米国特許第5,380,738、同5,344,991、同5,393,790、同5,434,178、同5,474,995、同5,510,368、WO02/062369、同96/06840、同96/03388、同96/03387、同96/19469、同96/25405、同95/15316、同94/15932、同94/27980、同95/00501、同94/13635、同94/20480、および同94/26731号に記載されており、それらの開示は、本明細書に参照として援用される。[ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミドは、シクロオキシゲナーゼ−2の阻害剤としても記載されている。
【0144】
cGMPおよびその類似体は、炎症の治療または予防において、単独または併用療法で用いることができる。つまりそれらは、器官の炎症、IBD(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)、ぜん息、腎炎、肝炎、膵炎、気管支炎、嚢胞性線維症、虚血性腸炎、腸炎症/アレルギー、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、および他の炎症性疾患の処置のために、単独で、またはcGMP依存性ホスホジエステラーゼの阻害剤もしくは選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤と併用で用いることができる。cGMPおよびその類似体は、胃腸管の炎症(例えば、胃腸障害、胃腸管感染または別の障害に関連する炎症)の治療または予防において、単独または併用療法で用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のグアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を含む組成物を該患者に投与することを含む、ヒト患者の胃腸障害を処置する方法。
【請求項2】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該組成物が、本質的に、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該胃腸障害が、過敏性腸症候群、過敏性腸疾患、胃腸運動障害、クローン病、十二指腸胃逆流、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、機能性胃腸障害、機能性胸やけ、胃食道逆流症、胃不全麻痺、および潰瘍性大腸炎から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
以下の式II
【化1】

(式中、RおよびRは、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択される。種々の実施形態において、RおよびRは、いずれもH、いずれもメチル、またはいずれもエチルである)で示される化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを更に含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
およびRがいずれもHである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
有効量のグアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を含む組成物をヒト患者に投与することを含む、排便回数を減少させる方法。
【請求項9】
該組成物を経口投与する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
該組成物を直腸投与する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
該患者が過敏性腸症候群に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
該患者が下痢型過敏性腸症候群に罹患している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該患者が胃腸運動障害に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
該患者がクローン病に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
該患者が十二指腸胃逆流に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
該患者が、消化不良に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
該患者が機能性消化不良に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
該患者が非潰瘍性消化不良に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
該患者が機能性胃腸障害に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
該患者が機能性胸やけに罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
該患者が胃食道逆流症に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
該患者が胃不全麻痺に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
該患者が術後下痢症に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
該患者が潰瘍性大腸炎に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
該患者が下痢症に罹患している、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
該患者が、下痢、機能性消化障害に関連する下痢、滲出性下痢、非滲出性下痢、吸収低下性下痢(decreased absorption diarrhea)、非吸収低下性下痢(non−decreased absorption diarrhea)、炎症性下痢、非炎症性下痢、分泌性下痢、非分泌性下痢、初期化学療法関連の下痢、後期化学療法関連の下痢、薬物性下痢、細菌性下痢、ウイルス性下痢、原虫性下痢、HIV関連の下痢、高活性抗レトロウイルス療法関連の下痢、抗生物質関連の下痢、経鼻胃管摂食関連の下痢、急速な麻薬中毒の解毒に関連する下痢、および神経内分泌腫瘍関連の下痢から選択される障害に罹患している、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
該下痢が感染源により引き起こされる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも1重量%含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも5重量%含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも10重量%含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも50重量%含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
有効量のグアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を含む組成物を患者に投与することを含む、大腸癌に罹患した患者を処置する方法。
【請求項33】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
該組成物が、本質的に、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とからなる、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とからなる、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも1重量%含有する、請求項32〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも5重量%含有する、請求項32〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも10重量%含有する、請求項32〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも50重量%含有する、請求項32〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
i)グアノシン3’,5’−環状一リン酸もしくは薬学的に許容されるその塩、またはii)グアノシン3’,5’−環状一リン酸類似体もしくは薬学的に許容されるその塩、から選択される薬剤を有効量含む組成物を患者に投与することを含む、ヒト患者の胃腸障害を処置する方法であって、
(a)胃腸障害に罹患した患者を同定すること、および
(b)ある量の該薬剤を投与すること、
を含む方法。
【請求項41】
有効量のグアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩を含む組成物を患者に投与することを含む、ヒト患者の胃腸障害を処置する方法。
【請求項42】
該グアノシン3’,5’−環状一リン酸類似体が、8−(4−クロロフェニルチオ)グアノシン3’,5’−環状一リン酸、ジブチリルグアノシン3’,5’−環状一リン酸(dbcGMP)、8−ブロモグアノシン3’,5’−環状一リン酸(8−ブロモcGMP)、8−(4−クロロフェニルチオ)グアノシン3’,5’−環状一リン酸(8−(4−クロロフェニルチオ)cGMP)、Rpグアノシン3’,5’−環状一リン酸(Rp−cGMP)、Spグアノシン3’,5’−環状一リン酸(Sp−cGMP)、環状グアノシン3’,5’−三リン酸、環状グアノシン3’,5’−二リン酸、環状デオキシグアノシン3’,5’−一リン酸、環状デオキシグアノシン3’,5’−二リン酸、環状デオキシグアノシン3’,5’−三リン酸、環状グアノシン2’,3’−一リン酸、環状グアノシン2’,3’−二リン酸、環状グアノシン2’,3’−三リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−一リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−二リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−三リン酸、環状2−(N−メチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−一リン酸、環状2−(N−メチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−二リン酸、環状2−(N−メチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−三リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−2’,3’−一リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−2’,3’−二リン酸、環状2−(N−メチル)−グアノシン−2’,3’−三リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−一リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−二リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン−3’,5’−三リン酸、環状7−(N−メチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−一リン酸、環状7−(N−メチル)−デオキシグア
ノシン−3’,5’−二リン酸、環状7−(N−メチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−三リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン2’,3’−一リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン−2’,3’−二リン酸、環状7−(N−メチル)−グアノシン−2’,3’−三リン酸、環状2,7−(N,N’−ジメチル)−グアノシン−3’,5’−一リン酸、環状2,7−(N,N’−ジチル)−グアノシン−3’,5’−二リン酸、環状2,7−(N,N’−ジメチル)−グアノシン−3’,5’−三リン酸、環状2,7−(N,N’−ジメチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−一リン酸、環状2,7−(N,N’−ジチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−二リン酸、環状2,7−(N,N’−ジメチル)−デオキシグアノシン−3’,5’−三リン酸、環状2,7−(N,N’−ジメチル)−グアノシン−2’,3’−一リン酸、環状2,7−(N,N’−ジチル)−グアノシン−2’,3’−二リン酸、および環状2,7−(N,N’−ジメチル)−グアノシン−2’,3’−三リン酸から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
該組成物が、グアノシン3,5−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
該組成物が、本質的に、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とからなる、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とからなる、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
該胃腸障害が、過敏性腸症候群、過敏性腸疾患、胃腸運動障害、クローン病、十二指腸胃逆流、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、機能性胃腸障害、機能性胸やけ、胃食道逆流症、胃不全麻痺、および潰瘍性大腸炎から選択される、請求項40〜45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
第2の治療薬を投与することを更に含む、請求項40〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
i)グアノシン3’,5’−環状一リン酸もしくは薬学的に許容されるその塩、またはii)グアノシン3’,5’−環状一リン酸類似体もしくは薬学的に許容されるその塩、から選択される薬剤を有効量含む組成物を患者に投与することを含む、ヒト患者の胃腸痛、内臓痛、慢性内臓過敏、消化不良、または結腸直腸拡張に対する過敏症から選択される胃腸障害を処置する方法であって、
(a)胃腸痛、内臓痛、慢性内臓過敏、消化不良、または結腸直腸拡張に対する過敏症に罹患した患者を同定すること、および
(b)ある量の該薬剤を投与すること、
を含む方法。
【請求項49】
i)グアノシン3’,5’−環状一リン酸もしくは薬学的に許容されるその塩、またはii)グアノシン3’,5’−環状一リン酸類似体もしくは薬学的に許容されるその塩、から選択される薬剤を有効量含む組成物を患者に投与することを含む、ヒト患者の胃腸痛、内臓痛、慢性内臓過敏、消化不良、または結腸直腸拡張に対する過敏症から選択される胃腸障害を処置する方法。
【請求項50】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
該組成物が、本質的に、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とからなる、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
該組成物が、グアノシン3’,5’−環状一リン酸または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体または希釈剤とからなる、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
以下の式II
【化2】

(式中、RおよびRは、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択される。種々の実施形態において、RおよびRは、いずれもH、いずれもメチル、またはいずれもエチルである)で示される化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを更に含む、請求項49〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
i)グアノシン3’,5’−環状一リン酸もしくは薬学的に許容されるその塩、またはii)グアノシン3’,5’−環状一リン酸類似体もしくは薬学的に許容されるその塩、から選択される薬剤を有効量含む組成物が、いずれかの有効成分または医薬剤と一緒に投与されない、請求項1〜53のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2009−517391(P2009−517391A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542452(P2008−542452)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045289
【国際公開番号】WO2007/062168
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(503226338)アイアンウッド ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】IRONWOOD PHARMACEUTICALS,INC.
【Fターム(参考)】