胃腸障害の治療のための方法および組成物
【課題】 胃腸障害の治療のための方法および組成物を提供する。
【解決手段】 本発明は、IBSおよび他の胃腸の障害および状態(例えば、胃腸運動障害、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患(GERD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、機能性胸焼け、消化不良(機能性消化不良または非潰瘍性消化不良を含む)、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症(または結腸偽閉塞症))、ならびに便秘に関連する障害および状態(例えば、アヘン鎮痛剤の使用に関連する便秘、術後便秘、およびニューロパシー性障害に関連する便秘)、ならびに他の状態および障害を、グアニル酸シクラーゼC(GC−C)レセプターを活性化するペプチドおよび他の薬剤を使用して治療するための組成物および関連する方法を特徴とする。
【解決手段】 本発明は、IBSおよび他の胃腸の障害および状態(例えば、胃腸運動障害、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患(GERD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、機能性胸焼け、消化不良(機能性消化不良または非潰瘍性消化不良を含む)、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症(または結腸偽閉塞症))、ならびに便秘に関連する障害および状態(例えば、アヘン鎮痛剤の使用に関連する便秘、術後便秘、およびニューロパシー性障害に関連する便秘)、ならびに他の状態および障害を、グアニル酸シクラーゼC(GC−C)レセプターを活性化するペプチドおよび他の薬剤を使用して治療するための組成物および関連する方法を特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃腸障害、肥満、うっ血性心不全、および良性前立腺過形成を含む種々の障害を治療するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
過敏性腸症候群(IBS)は、米国だけでも2000万〜6000万人に発症している一般的な腸の慢性障害である(非特許文献1)。IBSは、胃腸科専門医によって診断される最も一般的な障害であり(検査した患者の28%)、初診の医師への来診例の12%を占める(非特許文献2)。米国では、保健医療上の使用という直接的コストおよび仕事の長期欠勤という間接的コストによって、IBSの経済的影響は年間250億ドルと見積もられている(非特許文献3)。IBS患者は、仕事の長期欠勤が3倍多く、生活の質の低下を訴えている。患者は、社会的行事に出席すること、雇用を維持すること、または短い距離でさえ移動することが不可能であるか、またはそうすることを欲しない可能性がある(非特許文献4)。IBSを治療するための処方の選択肢がほとんどないので、この患者集団においては満たされていない多大な医学的必要性が存在する。
【0003】
IBS患者は、腹痛および腸の乱調に苦しむ。腸の主な傾向に基づき、IBS患者について3種のサブグループ、すなわち便秘優勢型(c−IBS)、下痢優勢型(d−IBS)、または前記2つの間の交互型(a−IBS)、が定義されている。c−IBSに罹患している人はIBS患者の20−50%の範囲であると見積もられ、しばしば30%とされている。他の2つのサブグループが類似の性別比を有するのとは対照的に、c−IBSは女性に多い(3:1の比率)(非特許文献5)。
【0004】
IBSについての定義および診断基準は、「ローマ基準(Rome Criteria )」(非特許文献6)において定式化され、これは、臨床的実務において十分に受容されている。しかし、症状の複雑さは、解剖学的な異常または代謝的な変化によっては説明されていなかった。その結果、ローマ基準ならびに器質性疾患を除外するための一定限度の評価に基づいて診断され、機能性胃腸障害としてIBSが分類されるに至った(非特許文献7)。IBSは、3つの相互作用するメカニズム、すなわち腸の運動性の変化、痛み刺激に対する小腸または結腸の感度(内臓の感度)の増大、および心理社会学的要因、の組み合わせから生じる「生物心理社会的」障害であると見なされている(非特許文献2)。最近、IBSの病因論において炎症の役割についての証拠が増加してきている。IBS患者のサブセットでは、結腸の炎症性細胞およびマスト細胞がわずかであるが有意に増加し、誘導性の一酸化窒素(NO)および合成酵素(iNOS)が増加し、かつ炎症性サイトカインの発現が変化することを示すことが報告されている(非特許文献8に概説)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】リーマンブラザース(Lehman Brothers )、「世界の保健医療‐過敏性腸症候群の最新市場(Global Healthcare-Irritable bowel syndrome industry update)」、1999年9月
【非特許文献2】キャミレリ(Camilleri )、2001年、Gastroenterology 第120巻、p.652−668
【非特許文献3】タリー(Talley)、1995年、Gastroenterology 第109巻、p.1736−1741
【非特許文献4】ドロスマン(Drossman)、1993年、Dig Dis Sci 第38巻、p.1569−1580
【非特許文献5】タリーら(Talley et al. )、1995年、Am J Epidemiol 第142巻、p.76−83
【非特許文献6】ドロスマンら(Drossman et al. )、1999年、Gut 第45巻、補遺II、p.1−81
【非特許文献7】リンゲルら(Ringel et al.)、2001年、Annu Rev Med 第52巻、p.319−338
【非特許文献8】タリー(Talley)、2000年、Medscape Coverage of DDW week
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、胃腸障害、肥満、うっ血性心不全、および良性前立腺過形成を含む種々の障害を治療するための方法および組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、IBSおよびその他の胃腸の障害および状態(例えば、胃腸運動障害、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患(GERD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、機能性胸焼け、消化不良(機能性消化不良または非潰瘍性消化不良を含む)、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症(または結腸偽閉塞症))、ならびに便秘に関連する障害および状態(例えば、アヘン鎮痛剤の使用に関連する便秘、術後の便秘、およびニューロパシー性の障害に関連する便秘)、ならびに他の状態および障害を治療するための組成物および関連する方法を特徴とする。本発明の組成物は、グアニル酸シクラーゼC(GC−C)レセプターを活性化するペプチドを特徴とする。
【0008】
本発明はまた、肥満、うっ血性心不全、および良性前立腺過形成(BPH)を治療するための組成物および関連する方法を特徴とする。
いかなる特定の理論にも束縛されることはないが、IBSおよび他の胃腸障害の場合は本発明のペプチドが有用である。本発明のペプチドは胃腸の運動性を増大させ得るからである。
【0009】
いかなる特定の理論にも束縛されることはないが、IBSおよび他の胃腸障害の場合は本発明のペプチドが有用である。なぜなら、1つには本発明のペプチドは炎症を減少させ得るからである。
【0010】
いかなる特定の理論にも束縛されることはないが、IBSおよび他の胃腸障害の場合は本発明のペプチドがまた有用である。なぜなら、本発明のペプチドは胃腸の痛みまたは内臓痛を減少させ得るからである。
【0011】
本発明は、グアニル酸シクラーゼC(GC−C)レセプターの活性化能を有する特定のペプチドを含んでなる薬学的組成物を特徴とする。本発明のペプチドを含む薬学的組成物、ならびに本発明のペプチドと第2の治療剤、例えば、便秘を治療するための薬剤(例えば、SPI−0211;スカンポファーマシューティカルズ社(Sucampo Pharmaceuticals, Inc. );米国メリーランド州ベゼスダ所在)または何らかの他の胃腸障害を治療
するための薬剤とを含む組み合わせ組成物もまた、本発明の範囲内にある。第2の治療剤の例には、胃酸抑制剤(例えばプロトンポンプ阻害剤およびH2レセプターブロッカー)、運動促進剤(例えば5HTレセプターアゴニスト(例えばZelnorm(登録商標)))、抗炎症剤、鎮痙剤、抗うつ剤、中枢性鎮痛剤(例えばオピオイドレセプターアゴニスト、オピオイドレセプターアンタゴニスト)、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎の治療剤(例えば、Traficet−EN(登録商標))(ケモセントリクス社(ChemoCentryx, Inc.);米国カリフォルニア州サンカルロス所在)、胃腸の痛みまた
は内臓痛を治療する薬剤、ならびにcGMPホスホジエステラーゼ阻害剤(モタピゾン(motapizone)、ザプリナスト(zaprinast )、およびスルジナクスルホン(suldinac sulfone))が含まれる。従って、例えば、本発明の薬学的組成物は、Caチャネルブロッカー(例えば、ジコノチド)、5HTレセプターアンタゴニスト(例えば、5HT3、5HT4、および5HT1レセプターアンタゴニスト)、オピオイドレセプターアゴニスト(例えば、ロペラミド、フェドトジン、およびフェンタニル、ナロキソン、ナルトレキソン、メチルナロゾン(methyl nalozone )、ナルメフェン、シプリジム(cypridime
)、β−フナルトレキサミン、ナロキソナジン、ナルトリンドール、およびノルビナルトルフィミン、モルヒネ、ジフェニルオキシレート、エンケファリンペンタペプチド、およびトリメブチン)、NK1レセプターアンタゴニスト(例えば、エズロピタントおよびSR−14033)、CCKレセプターアゴニスト(例えば、ロキシグルミド)、NK1レセプターアンタゴニスト、NK3レセプターアンタゴニスト(例えば、タルネタント(talnetant )、オサネタント(SR−142801))、ノルエピネフリン−セロトニン
再取り込み阻害剤(NSRI;例えば、ミルナシプラン)、バニロイドおよびカンナバノイドレセプターアゴニスト(例えば、アーバニル(arvanil ))、シアロルフィン(sialorphin)、アミノ酸配列QHNPR(配列番号 )を含むシアロルフィン関連ペプチド
(例えば、VQHNPR(配列番号 );VRQHNPR(配列番号 );VRGQHNPR(配列番号 );VRGPQHNPR(配列番号 );VRGPRQHNPR(配列番号 );VRGPRRQHNPR(配列番号 );およびRQHNPR(配列番号 ))、ネプリリシンの阻害剤である化合物またはペプチド、フラケファミド(frakefamide
)(H−Tyr−D−Ala−Phe(F)−Phe−NH2;国際公開公報第01/019849 A1号)、ロペラミド、Tyr−Arg(キョートルフィン)、CCKレセプターアゴニスト(セルレイン)、コノトキシンペプチド、サイムリンのペプチドアナログ、ロキシグルミド、デキシロキシグルミド(dexloxiglumide)(ロキシグルミドのR異性体)(国際公開公報第88/05774号)からなる群から選択される鎮痛剤を含み得る。そして他の鎮痛剤または化合物は本発明のペプチドとともに使用されてもよいし、または本発明のペプチドに連結されてもよい。
【0012】
本発明は、GC−Cレセプターの部分的または完全なアゴニストとして作用するペプチドを投与することによって種々の胃腸障害を治療するための方法を含む。このペプチドは、3つのジスルフィド結合を形成する少なくとも6個のシステインを含む。特定の実施形態において、ジスルフィド結合は、他の共有結合による架橋によって置き換えられ、ある場合においては、システインは別の共有結合による架橋を提供するために他の残基によって置換される。該ペプチドはまた、少なくとも1つのトリプシンもしくはキモトリプシンの切断部位と、カルボキシ末端の鎮痛ペプチドもしくは低分子(例えばAspPheもしくは何らかの他の鎮痛ペプチド)とのうち少なくともいずれかを含み得る。ペプチド中に存在する場合、鎮痛ペプチドまたは低分子の前に、同鎮痛ペプチドまたは低分子の放出を可能にするキモトリプシンまたはトリプシンの切断部位があってもよい。本発明のペプチドまたは方法は、胃腸障害を含む種々の障害に関連する痛みおよび炎症を治療するためにも有用である。ある種のペプチドは、切断されると同ペプチドが不活性化されうるように配置された機能的なキモトリプシンまたはトリプシンの切断部位を含む。機能的切断部位を有するある種のペプチドは、消化管の中で切断され、かつ漸進的に不活性化されるが、このことはある状況において望ましい。ある種のペプチドにおいては、機能的キモトリプシン部位が改変され、同ペプチドのインビボでの安定性を増加させている。
【0013】
本発明は、GC−Cレセプターのアゴニストとして作用するペプチドまたは低分子を(非経口的または経口的に)投与することによって、うっ血性心不全および良性前立腺過形成などの他の障害を治療するための方法を包含する。このような薬剤は、ナトリウム利尿ペプチド(例えば、心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、C型ナトリウム利尿ペプチド)、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素の阻害剤と組み合わ
せて使用され得る。
【0014】
本発明は、腸の運動性を増大させるための方法および組成物を特徴とする。腸の運動には、消化の過程で胃腸管を通して食物を移動させるための、胃、腸、結腸、および直腸の自発的かつ同調的な拡張および収縮が含まれる。
【0015】
特定の実施形態において、本発明のペプチドは、1つもしくは2つもしくはそれ以上の連続的な負に荷電したアミノ酸(例えば、AspもしくはGlu)、または1つもしくは2つもしくはそれ以上の連続的な正に荷電した残基(例えば、LysもしくはArg)、または1つもしくは2つもしくはそれ以上の連続的な正もしくは負に荷電したアミノ酸、のうちいずれかをそのカルボキシ末端に含む。これらの実施形態においては、カルボキシ末端で隣接するアミノ酸のすべては、正に荷電しているかまたは負に荷電しているかのいずれかである。他の実施形態においては、カルボキシ末端の荷電したアミノ酸の前にLeuが先行する。例えば、以下のアミノ酸配列、すなわち、Asp;AspLys;LysLysLysLysLysLys;AspLysLysLysLysLysLys;LeuLysLys;およびLeuAsp、がペプチドのカルボキシ末端に付加され得る。カルボキシ末端に単にLeuを加えることもまた可能である。
【0016】
第1の態様において、本発明は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含むペプチド、アミノ酸配列が前記配列であるペプチド、または前記配列から本質的に構成されるペプチドを特徴とし、前記配列において、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrもしくは欠失している、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していることを特徴とする。特定の実施形態において、Xaa8、Xaa9、Xaa12、Xaa13、Xaa14、Xaa17、およびXaa19は任意のアミノ酸であり得る。特定の実施形態において、Xaa5はAsn、Trp、Tyr、Asp、またはPheである。他の実施形態において、Xaa5はThrまたはIleでもよい。他の実施形態において、Xaa5はTyr、Asp、またはTrpである。ある実施形態において、Xaa8はGlu、Asp、Gln、Gly、またはProである。他の実施形態において、Xaa8はGluであり;ある実施形態において、Xaa9はLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり、ある実施形態において、Xaa9はLeu、Ile、Val、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheである。
【0017】
特定の実施形態においては、アミノ酸は、天然に存在しないアミノ酸または天然に存在するアミノ酸類似体もしくは天然に存在しないアミノ酸類似体によって置き換えられ得る。例えば、芳香族アミノ酸は、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン、3−ヨード−L−チロシン、トリヨードチロニン、L−チロキシン、フェニルグリシン(Phg)、またはノル−チロシン(norTyr)によって置き換えられ得る。PhgおよびnorTyrならびに他のPheおよびTyrを含むアミノ酸は、例えば、ハロゲン、−CH3、−OH、−CH2NH3、−C(O)H、−CH2CH3、−CN、−CH2CH2CH3、−SH、または別の基によって置換され得る。
【0018】
一部の実施形態において、Xaa12はAsn、Tyr、Asp、またはAlaである。他の実施形態において、Xaa12はAsnである。ある実施形態において、Xaa13はAla、Pro、またはGlyであり、そして他の実施形態においてXaa13はProである。ある実施形態において、Xaa14はAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、またはAspであり、他の実施形態においてXaa14はAlaまたはGlyであり、そしてさらに他の実施形態にお
いてXaa14はAlaである。ある実施形態において、Xaa16はThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17はGly、Pro、もしくはAlaであり;Xaa19はTrp、Tyr、Phe、Asn、およびLeuから選択されるか、またはXaa19はTrp、Tyr、およびPheから選択されるか、またはXaa19はLeu、Ile、およびValから選択されるか;またはXaa19はHisであるか、またはXaa19はTrp、Tyr、Phe、Asn、Ile、Val、His、およびLeuから選択され;ならびにXaa20Xaa21はAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluでありかつXaa21が欠失しているか、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。本発明はまた、前述のペプチドを含む組成物を投与することによって、胃腸障害(例えば、胃腸運動障害、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、結腸偽閉塞症)、肥満、うっ血性心不全、または良性前立腺過形成を治療するための方法を特徴とする。
【0019】
Xaa9がTrp、Tyr、もしくはPheである場合、またはXaa16がTrpである場合、ペプチドは、切断されると同ペプチドによるGC−Cレセプターへの結合性が不活性化される部位に位置する潜在的機能性を備えたキモトリプシン切断部位を有する。Xaa9がLysもしくはArgである場合、またはXaa16がLysもしくはArgである場合、ペプチドは、切断されると同ペプチドによるGC−Cレセプター結合性が不活性化される部位に潜在的機能性を備えたトリプシン切断部位が位置している。
【0020】
Xaa19がTrp、Tyr、もしくはPheである場合、ペプチドは、切断によりXaa19に対してカルボキシ末端側のペプチド部分が遊離する部位にキモトリプシン切断部位が位置している。Xaa19がLeu、Ile、もしくはValである場合、ペプチドは、切断によりXaa19に対してアミノ末端側のペプチド部分が遊離する部位にキモトリプシン切断部位が位置していてもよい。比較的高いpHでは、Xaa19がHisである場合に同じ効果が見られる。Xaa19がLysもしくはArgである場合、ペプチドは、切断によりXaa19に対してカルボキシ末端側のペプチド部分が遊離する部位にトリプシン切断部位が位置している。従って、該ペプチドがXaa19に対してカルボキシ末端側に鎮痛ペプチドを含む場合、鎮痛ペプチドは、適切なプロテアーゼに曝露されると消化管中で遊離される。ペプチドに含まれ得る鎮痛ペプチドの中には、AspPhe(Xaa20Xaa21として)、エンドモルフィン−1、エンドモルフィン−2、ノシスタチン、ダラルギン(dalargin)、ルプロン、およびサブスタンスP、ならびに本明細書中に記載される他の鎮痛ペプチドがある。これらのペプチドは、例えば、Xaa20Xaa21を置き換えるために使用され得る。
【0021】
本発明のペプチドのXaa1またはアミノ末端のアミノ酸(例えば、Xaa2またはXaa3)がTrp、Tyr、またはPheである場合、ペプチドは、切断されるとXaa1(またはXaa2またはXaa3)に対してアミノ末端側のペプチド部分がXaa1、Xaa2、またはXaa3とともに遊離する部位に位置するキモトリプシン切断部位を有する。本発明のペプチドのXaa1またはアミノ末端のアミノ酸(例えば、Xaa2またはXaa3)がLysまたはArgである場合、ペプチドは、切断されるとXaa1に対してアミノ末端側のペプチド部分をXaa1、Xaa2、またはXaa3とともに遊離する部位に位置するトリプシン切断部位を有する。本発明のペプチドのXaa1またはアミノ末端アミノ酸がLeu、Ile、またはValである場合、ペプチドは、切断がXaa1に対してアミノ末端側のペプチド部分を遊離する部位に位置するキモトリプシン切断部位を有し得る。比較的高いpHでは、Xaa1がHisである場合に同じ効果が見られる。従って、例えば、ペプチドが、Xaa1に対してアミノ末端側に鎮痛ペプチドを含む場合、鎮痛ペプチドは、適切なプロテアーゼに曝露されると消化管中で遊離される。ペプチドに含まれ得る鎮痛ペプチドの中には、AspPhe、エンドモルフィン−1、エンドモ
ルフィン−2、ノシスタチン、ダラルギン、ルプロン、およびサブスタンスP、ならびに本明細書中に記載される他の鎮痛ペプチドがある。
【0022】
完全にフォールディングしたとき、ジスルフィド結合はCys6とCys11との間;Cys7とCys15との間;およびCys10とCys18との間に存在する。本発明のペプチドは、STペプチドに対するある程度の配列類似性を有するが、機能性を改善するアミノ酸の改変および/または付加を含む。これらの改変は、例えば、活性を増加もしくは減少させることができ(例えば、腸の運動を刺激するペプチドの能力を増加もしくは減少させることができ)、ペプチドの正確にフォールディングする能力、ペプチドの安定性、ペプチドのGC−Cレセプターに結合する能力を変化させることができ、かつ/または毒性を減少させることができる。ある場合において、本発明のペプチドは野生型STペプチドよりも望ましく機能し得る。例えば、本発明のペプチドは下痢および脱水などの望ましくない副作用を制限し得る。
【0023】
ある実施形態においては、通常ジスルフィド結合を形成する1またはそれ以上のCys残基対の一方または両方のメンバーが、ホモシステイン、3−メルカプトプロリン(コロジッジら(Kolodziej et al.)、1996年、Int J Pept Protein
Res 第48巻、p.274);β,βジメチルシステイン(ハントら(Hunt et al. )、1993年、Int J Pept Protein Res 第42巻、p
.249)、またはジアミノプロピオン酸(スミスら(Smith et al.)、1978年、J Med Chem 第21巻、p.117)によって置き換えられて、通常のジスルフィド結合の位置に代替的な内部架橋を形成し得る。
【0024】
さらに、1つまたはそれ以上のジスルフィド結合は、代替の共有結合による架橋、例えば、アミド結合、エステル結合、アルキル結合、チオエステル結合、ラクタム架橋、カルバモイル結合、尿素結合、チオ尿素結合、ホスホン酸エステル結合、アルキル結合、およびアルケニル結合、エーテル、チオエーテル結合、またはアミノ結合によって置き換えられ得る。例えば、レジュら(Ledu et al. )(Proceedings Nat’l
Acad Sci.第100巻、p.11263−78,2003年)は、ラクタムおよびアミドの架橋を作製するための方法を記載している。シャフマイスターら(Schafmeister
et al. )(J.Am.Chem.Soc.第122巻、p.5891、2000年)
は、安定なあらゆる炭素架橋について記載している。ある場合において、このような代替的な架橋の生成には、Cys残基を他の残基、例えば、LysもしくはGlu、または天然に存在しないアミノ酸で置き換えることが必要である。
【0025】
配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21(配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失している、かつ/または配列Xaa19Xaa20Xaa21が欠失している)を含んでなるペプチドの場合、このペプチドはさらに、カルボキシ末端もしくはアミノ末端またはその両方の追加のアミノ酸を含み得る。例えば、本発明のペプチドは、ペプチドの組換え産生を容易にし、該ペプチドを患者へ投与する前に切断されるアミノ末端配列を含み得る。本発明のペプチドはまた、他のアミノ末端またはカルボキシ末端のアミノ酸を含み得る。ある場合において、追加のアミノ酸は、ペプチドを保護し、ペプチドを安定化し、またはペプチドの活性を変化させる。ある場合において、これらの追加のアミノ酸の一部またはすべてが、該ペプチドを患者へ投与する前に除去される。本発明のペプチドは、そのアミノ末端もしくはカルボキシ末端、またはその両方に、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれより多いアミノ酸を含み得る。隣接するアミノ酸の数は同じである必要
はない。例えば、本発明のペプチドのアミノ末端に10個の追加のアミノ酸が存在し、カルボキシ末端には追加のアミノ酸が存在しなくてもよい。
【0026】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなり、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;およびXaa20Xaa21がAspPheであるか、または欠失している。Xaa20Xaa21および/またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失している場合、一部の実施形態では、追加の隣接アミノ酸が存在してもよい。
【0027】
第2の態様において、本発明はまた、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなるペプチドを投与する工程を包含する治療的方法または予防的方法を特徴とし、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5はAsnSerSerAsnTyrであるか欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、またはPheであり;Xaa8はGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9はLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12はAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13はProまたはGlyであり;Xaa14はAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16はThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17はGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19はTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;ならびにXaa20Xaa21がAspPheもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0028】
治療的方法または予防的方法の特定の実施形態において:本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなり、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8はGluであり;Xaa9はLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12はAsnであり;Xaa13はProであり;Xaa14はAlaであり;Xaa16はThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり、またはXaa16は任意のアミノ酸であり、またはXaa16はThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり、またはXaa16は任意の非芳香族アミノ酸であり;Xaa17はGlyであり;Xaa19はTryまたはLeuであり;およびXaa20Xaa21はAspPheであるかまたは欠失している。
【0029】
特定の実施形態において、本発明は、アミノ酸配列(II)、
Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Asn12Pro13Ala14Cys15Xaa16Gly17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21
を含んでなる精製ポリペプチドを特徴とし、前記配列中、
Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5はAsnSerSerAsnTyrであるかもしくは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsnであり; Xaa8はGluまたはAspであり;
Xaa9はLeu、Ile、Val、Trp、Tyr、またはPheであり;
Xaa16はThr、Ala、Trpであり;
Xaa19はTrp、Tyr、Phe、もしくはLeuであるかまたは欠失しており;ならびにXaa20Xaa21がAspPheである。
【0030】
種々の好ましい実施形態において、本発明は、アミノ酸配列(II):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Asn12Pro13Ala14Cys15Xaa16Gly17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを特徴とし、前記配列中、Xaa9はLeu、Ile、またはValでありかつXaa16はTrp、Tyr、またはPheであり;Xaa9はTrp、Tyr、またはPheでありかつXaa16はThrまたはAlaであり;Xaa19はTrp、Tyr、PheでありかつXaa20Xaa21がAspPheであり;ならびにXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsnであり;このペプチドは50、40、30、または25未満のアミノ酸を含み;Cys6の前にあるアミノ酸は5未満である。
【0031】
本発明のペプチドは、鎮痛ペプチドまたは鎮痛化合物を含む種々の他の任意のペプチドと同時投与されてもよいし、または連結(例えば、共有結合)されてもよい。例えば、本発明の治療用ペプチドは、以下の:Caチャンネルブロッカー(例えば、ジコノチド)、完全または部分的な5HTレセプターアンタゴニスト(例えば、5HT3レセプターアンタゴニスト、5HT4レセプターアンタゴニスト、および5HT1レセプターアンタゴニスト)、完全または部分的な5HTレセプターアゴニスト(5HT3レセプターアゴニスト、5HT4レセプターアゴニスト(例えばテガセロッド(tegaserod )、モサプリド
、およびレンザプリド)、および5HT1レセプターアゴニストを含む)、CRFレセプターアゴニスト(NBI−34041)、β−3アドレナリンレセプターアゴニスト、オピオイドレセプターアゴニスト(例えば、ロペラミド、フェドトジン、およびフェンタニル、ナロキソン、ナルトレキソン、メチルナロゾン、ナルメフェン、シプリジム、β−フナルトレキサミン、ナロキソナジン、ナルトリンドール、およびノルビナルトルフィミン、モルヒネ、ジフェニルオキシレート、エンケファリンペンタペプチド、アシマドリン(asimadoline )およびトリメブチン)、NK1レセプターアンタゴニスト(例えば、エ
ズロピタントおよびSR−14033)、CCKレセプターアゴニスト(例えば、ロキシグルミド)、NK1レセプターアンタゴニスト、NK3レセプターアンタゴニスト(例えば、タルネタント、オサネタント(SR−142801))、ノルエピネフリン−セロトニン再取り込み阻害剤(NSRI;例えば、ミルナシプラン)、バニロイドおよびカンナバノイドレセプターアゴニスト(例えば、アーバニル)、シアロルフィン、アミノ酸配列QHNPR(配列番号)を含むシアロルフィン関連ペプチド(例えば、VQHNPR(配列番号 );VRQHNPR(配列番号 );VRGQHNPR(配列番号 );VRGPQHNPR(配列番号 );VRGPRQHNPR(配列番号 );VRGPRRQHNPR(配列番号 );およびRQHNPR(配列番号 ))、ネプリリシンの阻害剤である化合物またはペプチド、フラケファミド(H−Tyr−D−Ala−Phe(F)−Phe−NH2;国際公開公報第01/019849 A1号)、ロペラミド、Tyr−Arg(キョートルフィン)、CCKレセプターアゴニスト(セルレイン)、コノトキシンペプチド、サイムリンのペプチド類似体、ロキシグルミド、デキシロキシグルミド(ロキシグルミドのR異性体)(国際公開公報第88/05774号)、からなる群から選択される鎮痛剤に連結可能であり、その他の鎮痛ペプチドまたは鎮痛化合物が本発明のペプチドとともに使用されてもよいし本発明のペプチドに連結されてもよい。
【0032】
アミノ酸、非アミノ酸、ペプチド、および非ペプチドのスペーサーが、GC−Cレセプターアゴニストであるペプチドと、何らかの他の生物学的機能を有するペプチド(例えば鎮痛ペプチドまたは肥満を治療するために使用されるペプチド)との間に挿入され得る。該リンカーは、インビボで隣接するペプチドから切断され得るものでもよいし、またはインビボで隣接するペプチドに連結されたままのものでもよい。例えば、グリシン、β−アラニン、グリシルグリシン、グリシル−β−アラニン、γ−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、L−フェニルアラニン、L−トリプトファン、およびグリシル−L−バリル−L−フェニルアラニンがスペーサーとして使用され得るが(チャルチンら(Chaltin et al.)、2003 Helvetica Chimica Acta 86:533-547;カリセチら(Caliceti et al.
)、1993
FARMCO 48:919-32 )、このことはポリエチレングリコール(バターワースら(Butterworth et al.)、1987 J.Med.Chem 30:1295-302 )およびマレイミド誘導体(キングら(King et al. )、2002 Tetrahedron Lett.43:1987-1990)がスペーサーとして
使用され得るのと同様である。種々の他のリンカーが文献に記載されている(ネストラー(Nestler )、1996 Molecular Diversity 2:35-42;フィンら(Finn et al. )
、1984 Biochemistry 23:2554-8 ;クックら(Cook et al. )、1994 Tetrahedron Lett.35:6777-80;ブロックスら(Brokx et al.)、2002 Journal of Controlled Release 78:115-123 ;グリフィンら(Griffin et al.)、2003 J.Am.Chem.Soc.125:6517-6531;ロビンソンら(Robinson et al. )、1998 Proc.Natl.Acad.Sci.USA
95:5929-5934)。
【0033】
本発明のペプチドは、脊椎動物(例えば、哺乳動物)の生物種または細菌種において天然に存在するペプチドのアミノ酸配列を含み得る。さらに、本発明のペプチドは、部分的または完全に天然には存在しないペプチドでもよい。本発明のペプチドに対応するペプチド模倣物もまた、本発明に含まれる。種々の実施形態において、患者は胃腸障害を患っており;該患者は以下、すなわち胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、結腸偽閉塞症、肥満、うっ血性心不全、または良性前立腺過形成、からなる群から選択される障害を患っており;本発明の組成物は経口的に投与され;本発明のペプチドは30以下のアミノ酸を含み、本発明のペプチドは20以下のアミノ酸を含み、そしてこのペプチドはCys6の前に5個以下のアミノ酸を含み;本発明のペプチドは、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、または30、あるいはそれより少ないアミノ酸を含む。他の実施形態において、本発明のペプチドは20以下のアミノ酸を含む。他の実施形態において、本発明のペプチドは、Cys18の後に20、15、10、または5個以下のペプチドを含む。特定の実施形態において、Xaa19はキモトリプシンまたはトリプシンの切断部位であり、Xaa19の直後に鎮痛ペプチドが存在する。
【0034】
第3の態様において、本発明は、便秘の患者を治療するための方法を特徴とする。臨床的に受容されている便秘を規定する判断基準は、便通の頻度から、糞便の軟度、および便通の容易さの範囲にわたる。便秘の1つの一般的な定義は、便通が週に3回未満であることである。他の定義には、異常に固い大便または排便に過度のいきみを必要とすることが含まれる(シラー(Schiller)、2001, Aliment Pharmacol Ther 15:749-763 )。
便秘は、特発性のもの(機能性便秘もしくは通過の遅延による便秘)もあれば、他の原因(神経障害、代謝障害、または内分泌障害を含む)に伴って二次的に生じるものもある。これらの障害には、真正糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、低カルシウム血症、多発性硬化症、パーキンソン病、脊髄損傷、神経線維腫症、自律性ニューロパシー、シャーガス病、ヒルシュスプルング病、および嚢胞性線維症が含まれる。便秘はまた、外
科手術の結果(術後イレウス)の場合もあるし、または薬物(例えば鎮痛剤(オピオイドなど)、降圧剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、鎮痙剤、および抗精神病剤など)の使用が原因の場合もある。
【0035】
本発明の方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を投与する工程を包含し、前記配列中Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5はAsnSerSerAsnTyrであるかまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、またはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16はThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17はGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19はTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19はLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluでXaa21が欠失しているか、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0036】
本発明の方法の1つの実施形態において、ペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16はThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17はGlyであり;Xaa19はTyrまたはLeuであり;Xaa19はLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0037】
種々の好ましい実施形態において、便秘は治療剤の使用に関連するものであり;便秘は神経障害と関連し;便秘は手術後の便秘(術後イレウス)であり;便秘は胃腸障害と関連し;便秘は特発性(機能性便秘もしくは通過の遅延による便秘)であり;便秘は神経障害、代謝障害、または内分泌障害(例えば、真正糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、低カルシウム血症、多発性硬化症、パーキンソン病、脊髄損傷、神経線維腫症、自律性ニューロパシー、シャーガス病、ヒルシュスプルング病、または嚢胞性線維症)と関連する。便秘はまた、外科手術の結果(術後イレウス)の場合もあるし、または薬物(例えば鎮痛剤(例えばオピオイド)、降圧剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、鎮痙剤、および抗精神病剤など)の使用が原因の場合もある。
【0038】
第4の態様において、本発明は、胃腸障害の患者を治療するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を患者に投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5はAsnSerSerAsnTyrであるかまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp
、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0039】
本発明の方法の1つの実施形態において、このペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0040】
種々の実施形態において、患者は胃腸障害を患っており;患者は、胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、結腸偽閉塞症、肥満、うっ血性心不全、または良性前立腺過形成、からなる群から選択される障害を患っている。
【0041】
種々の好ましい実施形態において、Xaa9がLeu、Ile、またはValであってXaa16はTrp、Tyr、またはPheであり;Xaa9はTrp、TyrまたはPheであってXaa16はThrまたはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Pheであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであり;Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsnである。
【0042】
第5の態様において、本発明は、患者における胃腸の運動性を増大させるための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を患者に投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrであるかまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa1
9がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0043】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0044】
第6の態様において、本発明は、患者における腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターの活性を増大させるための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を患者に投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrであるかまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0045】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0046】
第7の態様において、本発明は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子
を特徴とし、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrであるかもしくは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0047】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0048】
第8の態様において、本発明は、便秘を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターのアゴニストを投与する工程を包含する。種々の実施形態において、このアゴニストはペプチドであり、同ペプチドは2つのジスルフィド結合を形成する4つのシステインを含み、同ペプチドは3つのジスルフィド結合を形成する6つのシステインを含む。
【0049】
第9の態様において、本発明は、胃腸障害、胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、結腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、肥満、うっ血性心不全、または良性前立腺過形成を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターのアゴニストを、経口投与、または直腸坐薬による投与、または非経口的投与のいずれかによって投与する工程を包含する。種々の実施形態において、このアゴニストはペプチドであり、このペプチドは2つのジスルフィド結合を形成する4つのシステインを含み、このペプチドは3つのジスルフィド結合を形成する6つのシステインを含む。
【0050】
第10の態様において、本発明は、胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、結腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患からなる群から選択される胃腸障害を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸グアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターのアゴニストを投与する工程を包含する。種々の実施形態において、本発明の組成物は経口的に投与され、ペプチドは30以下のアミノ酸を含み、ペプチドは20以下のアミノ酸を含み、またペプチドはCys5の前に5以下のアミノ酸を含む。
【0051】
種々の実施形態において、アゴニストはペプチドであり、該ペプチドは2つのジスルフィド結合を形成する4つのシステインを含み、また該ペプチドは3つのジスルフィド結合を形成する6つのシステインを含む。
【0052】
第11の態様において、本発明は肥満を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターのアゴニストを投与する工程を包含する。種々の実施形態において、アゴニストはペプチドであり、該ペプチドは2つのジスルフィド結合を形成する4つのシステインを含み、また該ペプチドは3つのジスルフィド結合を形成する6つのシステインを含む。
【0053】
第12の態様において、本発明は肥満を治療するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含むポリペプチドを投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrまたは欠失しているか、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;あるいはXaa20Xaa21がAspPheもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluでありかつXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。このペプチドは単独で投与されてもよいし、または肥満の治療のための別の薬剤(例えば、シブトラミンまたは別の薬剤(例えば本明細書中に記載される薬剤))と組み合わせて投与されてもよい。
【0054】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;およびXaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0055】
第13の態様において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチドを含んでなる薬学的組成物を特徴とする。
第14の態様において、本発明は、うっ血性心不全を治療するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を患者に投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gl
n、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;ならびにXaa20Xaa21がAspPheもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。このペプチドは、うっ血性心不全の治療のための別の薬剤、例えば、ナトリウム利尿ペプチド(例えば心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、またはC型ナトリウム利尿ペプチド)、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤と組み合わせて投与され得る。
【0056】
1つの実施形態において、このペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheまたは欠失している。
【0057】
第15の態様において、本発明は、良性前立腺過形成を治療するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を患者に投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheまたは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0058】
このペプチドは、BPHの治療のための別の薬剤、例えば5−αレダクターゼ阻害剤(例えば、フィナステリド)またはαアドレナリン作動遮断剤(例えば、ドキサゾシン)と組み合わせて投与され得る。
【0059】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19X
aa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;およびXaa20Xaa21がAspPheまたは欠失している。
【0060】
第16の態様において、本発明は、内臓の痛み、胃腸障害に関連する痛み、または何らかの他の障害に関連する痛みなどの痛みを治療または低減するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチド(例えば、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を含む精製ポリペプチド)を含む組成物を患者に投与する工程を包含する。
【0061】
第17の態様において、本発明は、胃腸管の炎症(例えば、胃腸障害または感染または何らかの他の障害と関連する炎症)などの炎症を治療するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチド(例えば、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を含む精製ポリペプチド)を含む組成物を患者に投与する工程を包含する。
【0062】
特定の実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列:Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5CysCysGluXaa9CysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyrXaa20Xaa21(II)(配列番号_)を含むペプチド、またはアミノ酸配列が前記配列であるペプチドを含み、前記配列中、Xaa9は任意のアミノ酸であり、Xaa9はLeu以外の任意のアミノ酸であり、Xaa9はPhe、Trp、およびTyrから選択され;Xaa9は任意の他の天然または非天然の芳香族アミノ酸から選択され、Xaa9はTyrであり;Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrであり;Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4およびXaa5が欠失しており;Xaa1Xaa2Xaa3およびXaa4が欠失しており;Xaa1Xaa2およびXaa3が欠失しており;Xaa1およびXaa2が欠失しており;Xaa1が欠失しており;Xaa20Xaa21がAspPheまたは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含むペプチドであって、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失している、および/または配列Xaa19Xaa20Xaa21が欠失しているペプチドの場合、該ペプチドはなお追加のカルボキシ末端アミノ酸またはアミノ末端アミノ酸またはその両方を含み得る。
【0063】
有用なペプチドの中には、アミノ酸配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5CysCysGluXaa9CysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyrXaa20Xaa21(II)(配列番号_)を含むペプチド、アミノ酸配列が前記配列であるペプチド、または前記配列のみから実質的になるペプチドは、以下のペプチド、すなわち
【0064】
【化1】
【0065】
【0066】
(ここで、SEQ ID NOは配列番号を意味する)である。
第18の態様において、本発明は、うっ血性心不全を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターの完全アゴニストまたは部分的アゴニストを投与する工程を包含する。このアゴニストは、うっ血性心不全の治療のための別の薬剤、例えば、ナトリウム利尿ペプチド(例えば心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、またはC型ナトリウム利尿ペプチド)、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤と組み合わせて投与され得る。
【0067】
第19の態様において、本発明は、BPHを治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターの完全アゴニストまたは部分的アゴニストを投与する工程を包含する。該アゴニストは、BPHの治療のための別の薬剤、例えば5−αレダクターゼ阻害剤(例えば、フィナステリド)またはαアドレナリン作動遮断剤(例えば、ドキサゾシン)と組み合わせて投与され得る。
【0068】
第20の態様において、本発明は、肥満を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターの完全アゴニストまたは部分的アゴニストを投与する工程を包含する。該アゴニストは、肥満の治療のための別の薬剤、例えば、腸ホルモンの断片ペプチドYY3−36(PYY3−36)、glp−1(グルカゴン様ペプチド−1)、エキセンディン4(glp−1の阻害剤)、シブトラミン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、塩酸ベンズフェタミン(Didrex、登録商標)、オーリスタット(Xenical、登録商標)、塩酸ジエチルプロピオン(Tenuate、登録商標)、フルオキセチン(Prozac、登録商標)、ブプロピオン、エフェドラ、クロム、ガルシニアカンボジア、ベンゾカイン、ブラダーラック(学名Fucus vesiculosus )、キトサン、ノマメハーバ(nomame herba)、ガレガソウ(英名ゴーツルー(Goat's Rue)、フレンチライラック(French Lilac))、共役リノール酸、L−カルニ
チン、繊維(アメリカオオバコの繊維、シャゼンソウの繊維、グアー豆の繊維)、カフェイン、デヒドロエピアンドロステロン、ジャーマンダー(学名Teucrium chamaedrys )、B−ヒドロキシ−β−メチル酪酸、またはピルビン酸と組み合わせて投与され得る。肥満を治療するために有用なペプチドは、別個の分子として、または本発明のペプチドとの融合タンパク質の一部として、本発明のペプチドとの同時治療として投与され得る。従って、例えば、PYY3−36を本発明のペプチドのカルボキシ末端またはアミノ末端に融合させることができる。このような融合タンパク質は、2つのペプチドを分離するための切断を可能にし得るキモトリプシンまたはトリプシンの切断部位を含み得る。
【0069】
本発明のペプチドまたは腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターのアゴニストは、便秘もしくは腸運動の低下、消化の遅延、または胃内容排出の遅延を治療するために使用され得る。本発明のペプチドは、IBS(鼓脹、疼痛、便秘)、GERD(食道への酸の逆流)、機能性消化不良、または胃不全麻痺(吐き気、嘔吐、鼓脹、胃排出遅延)および本明細書中に記載される他の障害の症状のうち1つまたはそれ以上を軽減するために使用され得る。
【0070】
本発明の1つまたはそれ以上の実施形態の詳細は、付随する記載において示される。すべての刊行物、特許文献、および特許出願を本願明細書に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1a】組換えMM−416776ペプチドおよびMD−915ペプチドのLCMS分析の結果を示す図。
【図1b】合成MD−1100ペプチドのLCMS分析の結果を示す図。
【図1c】合成MD−1100ペプチド分析時のブランクのLCMS分析の結果を示す図。
【図2】合成MM−416776ペプチド、MD−915ペプチド、および2つの異なるMD−1100ペプチドの、腸のGC−Cレセプター活性アッセイの結果を示す図。
【図3a】マウスの胃腸内輸送モデルにおける組換えMM−416776ペプチドおよびZelnorm(登録商標)の効果を示す図。
【図3b】マウスの短時間胃腸内輸送モデルにおける合成MD−1100ペプチドおよびZelnorm(登録商標)の効果を示す図。マウスの長時間胃腸内輸送モデルにおける合成MD−1100ペプチドおよびZelnorm(登録商標)の効果を示す図。
【図4a】マウスの短時間胃腸内輸送モデルにおけるペプチドMD−915およびMM−416776の効果を示す図。
【図4b】マウスの短時間胃腸内輸送モデルにおけるペプチドMD−1100およびMM−416776の効果を示す図。
【図4c】マウスの長時間胃腸内輸送モデルにおけるMD−1100ペプチドの効果を示す図。
【図5a】乳飲みマウス腸分泌モデルにおけるMM−416776ペプチドおよびZelnorm(登録商標)の効果を示す図。
【図5b】マウス腸分泌モデルにおけるMD−1100およびZelnorm(登録商標)の効果を示す図。
【図6a】マウス腸管分泌モデルにおけるMM−416776ペプチドおよびMD915ペプチドの効果を示す図。
【図6b】マウス腸管分泌モデルにおけるMM−416776ペプチド、MD−1100ペプチド、およびMD−915ペプチドの効果を示す図。
【図7】MD−1100活性をTNBS結腸拡張モデルにおいて分析した実験の結果を示す図。
【図8a】PBQライジングアッセイにおける種々の用量のMD−915の効果を示す図。
【図8b】PBQライジングアッセイにおける種々の用量のMD−1100の効果を示す図。
【図9】競合的放射性リガンド結合アッセイにおけるMD−1100を用いたKd測定分析の結果を示す図。
【図10a】静脈内投与および経口投与されたMD−1100についての生物学的利用率(ELISAアッセイによって検出)を示す図。
【図10b】静脈内投与および経口投与されたMD−1100についての生物学的利用率(LCMSによって検出)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明のペプチドは、腸における水分および電解質のバランスの鍵となる制御因子である腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターに結合する。腸上皮表面の頂端膜上に存在するこのレセプターは、刺激を受けると、腸上皮のサイクリックGMP(cGMP)の増加を引き起こす。このcGMPの増加は、水およびナトリウムの吸収の減少、ならびに塩素およびカリウムイオンの分泌の増加を引き起こし、腸の水分輸送および電解質輸送の変化、および腸運動の増加をもたらすと考えられている。腸GC−Cレセプターは細胞外リガンド結合領域、膜貫通領域、細胞内プロテインキナーゼ様領域、およびシクラーゼ触媒ドメインを有する。GC−Cレセプターについて提案されている機能は、水分および電解質のホメオスタシス、上皮細胞の増殖の調節、ならびにアポトーシスの誘導である(シャルバイ(Shalubhai )、2002 Curr Opin Drug Dis Devel 5:261-268 )。
【0073】
胃腸上皮細胞によって腸において発現されることに加えて、GC−Cは、腸外の組織(腎臓、肺、膵臓、下垂体、副腎、発生中の肝臓を含む)において発現され(バンドラジャー(Vaandrager)、2002 Mol Cell Biochem 230:73-83 において概説されている)
、ならびに雄性および雌性の生殖組織において発現される(バンドラジャー(Vaandrager)、2002 Mol Cell Biochem 230:73-83 において概説されている)。このことは、
GC−Cレセプターアゴニストが胃腸(GI)管の外側の障害(例えば、うっ血性心不全および良性前立腺過形成)の治療において使用され得ることを示唆している。
【0074】
グレリンは、胃から分泌されるペプチドホルモンであり、ヒトにおける食欲の鍵となる制御因子である。グレリンの発現レベルは、絶食および胃が空になることによって調節される(キムら(Kim et al.)、2003 Neuroreprt 14:1317-20;グアリロら(Gualillo
et al. )、2003 FEBS Letts 552:105-9 )。従って、胃腸運動を増大させるこ
とによって、GC−Cレセプターのアゴニストは肥満を調節するためにも使用され得る。
【0075】
ヒトにおいて、GC−Cレセプターはグアニリン(Gn)(米国特許第5,96,097号)、ウログアニリン(Ugn)(米国特許第5,140,102号)およびリンホグアニリン(lymphoguanylin)(フォルトら(Forte et al.)、1999, Endocrinology 140:1800-1806 )によって活性化される。興味深いことに、これらの物質は、STと呼
ばれる細菌由来の一群のペプチド(ジアネラ(Gianella)1995, J Lab Cli n Med 125:173-181において概説されている)よりも10−100倍作用が弱い。STペプチドはGC−Cのスーパーアゴニストとみなされており、またタンパク質分解に対して非常に抵抗性が高い。
【0076】
STペプチドは腸神経系を刺激することができる(ロルフェら(Rolfe et al.)、1994
J.Physiolo 475:531-537 ;ロルフェら(Rolfe et al.)、1999 Gut 44:615-619 ;ゼッグら(Nzegwu et al. )、1996 Exp Physiol 81:313-315 )。また、cG
MPは痛みについての複数の動物モデルにおいて抗侵害受容性の効果を有することが報告されてきた(レザロ イバネズら(Lezaro Ibanez et al.)、2001 Eur J Pharmacol 426:39-44;ソアレスら(Soares et al. )、2001 British J Pharmacol 134:127-131;ジャインら(Jain et al. )、2001 Brain Res 909:170-178;アマランテら(Amarante et a l. )、2002 Eur
J Pharmacol 454:19-23)。従って、GC−Cアゴニストは、鎮痛効果ならびに抗炎症
効果の両方を有し得る。
【0077】
細菌においては、STペプチドは、一般的に少なくとも70アミノ酸を有するプレプロタンパク質に由来する。プレ領域およびプロ領域は、分泌過程の一部として切断され、その結果得られる通常20未満のアミノ酸を含む成熟タンパク質は、生物学的に活性である。
【0078】
既知の細菌STペプチドの中には以下のものがある:成熟アミノ酸配列AsnSerSerAsnTyrCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号_)を有する大腸菌(E.coli)のST Ib(モズリーら(Moseley et al.)、1983 Infect.Immun.39:1167 );成熟アミノ酸配列AsnThrPheTyrCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysAlaGlyCysTyr(配列番号_)を有する大腸菌(E.coli)のST Ia(ソーおよびマッカーシー(So and McCarthy )、1980 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4011 );成熟アミノ酸配列AsnThrPheTyrCysCysGluLeuCysCysTyrProAlaCysAlaGlyCysAsn(配列番号_)を有する大腸菌(E.coli)のSTI*(チャンおよびジアネラ(Chan and Giannella)、1981 J.Biol.Chem.256:7744 );成熟アミノ酸配列AsnThrPheTyrCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysAlaGlyCysTyr(配列番号_)を有するシトロバクター・フロインディ(C.freundii)のSTペプチド(ガリーノら(Guarino et al.)、1989 Infect.Immun.57:649);エルシニア・エンテロコリティカ(Y.enterocolitica)のSTペプチドであるY−ST(Y−STa)、Y−STb、およびY−ST
c(ホワンら(Huang et al.)、1997 Microb.Pathog.22:89において概説されている
)であってそれぞれ以下のプロ型アミノ酸配列、すなわちGlnAlaCysAspProProSerProProAlaGluValSerSerAspTrpAspCysCysAspValCysCysAsnProAlaCysAlaGlyCys(配列番号_)(ならびにY−STaのSer−7からLeu−7への改変体(配列番号_)(タカオら(Takao et al.)、1985 Eur.J.Biochem.152:199));LysAlaCysA
spThrGlnThrProSerProSerGluGluAsnAspAspTrpCysCysGluValCysCysAsnProAlaCysAlaGlyCys(配列番号_);GlnGluThrAlaSerGlyGlnValGlyAspValSerSerSerThrIleAlaThrGluValSerGluAlaGluCysGlyThrGlnSerAlaThrThrGlnGlyGluAsnAspTrpAspTrpCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysPheGlyCys(配列番号_)を有するペプチド;成熟アミノ酸配列SerAspTrpCysCysGluValCysCysAsnProAlaCysAlaGlyCys(配列番号_)を有するエルシニア・クリステンセニ(Y.kristensenii)のSTペプチド;成熟アミノ酸配列IleAspCysCysGluIleCysCysAsnProAlaCysPheGlyCysLeuAsn(配列番号_)を有するコレラ菌(V.cholerae)の非O1 STペプチド(タカオら(Takao et al.)、1985 FEBS Lett.193:250);および成熟アミノ酸配列IleAspCysCysGluIleCysCysAsnProAlaCysPheGlyCysLeuAsn(配列番号_)を有するビブリオ・ミミカス(V.mimicus )のSTペプチド(アリタら(Arita et al.)、1991 FEMS Microbiol.Lett.79:105 )。以下の表は多数の成熟STペプチドの全体または一部の配列を提供する。
【0079】
【表1】
【0080】
(表中、SEQ ID NOは配列番号を表す)。
未成熟型の(プレ領域およびプロ領域を含む)大腸菌ST−1A(ST−P)タンパク質は、配列:
mkklmlaifisvlsfpsfsqstesldsskekitletkkcdvvknnsekksenmnntfyccelccnpacagcy(配列番号_;GenBank(登録商標)受入番号P01559(gi:123711)を参照のこと)を有する。プレ配列は、アミノ酸1−19にわたる。プロ配列はアミノ酸20−54にわたる。成熟タンパク質はアミノ酸55−72にわたる。未成熟型の(プレ領域およびプロ領域を含む)大腸菌ST−1B(ST−H)タンパク質は、配列:
mkksilfiflsvlsfspfaqdakpvesskekitleskkcniakksnksgpesmnssnyccelccnpactgcy(配列番号_;GenBank(登録商標)受入番号P07965(gi:3915589)を参照のこと)
を有する。未成熟型の(プレ領域およびプロ領域を含む)エルシニア・エンテロコリティカSTタンパク質は、配列:mkkivfvlvlmlssfgafgqetvsgqfsdalstpitaevykqacdpplppaevssdwdccdvccnpa
cagc(配列番号_;GenBank(登録商標)受入番号S25659(gi:282047)を参照のこと)
を有する。
【0081】
本発明のペプチドは、細菌のSTペプチドと同様に、6個のシステイン残基を有する。これらの6個のシステイン残基は、活性型の成熟ペプチドにおいて3つのジスルフィド結合を形成する。6個のシステイン残基を、ペプチドのアミノ末端からカルボキシ末端に向かってA、B、C、D、E、およびFとすると、ジスルフィド結合は次のように、すなわち:A−D、B−E、およびC−Fとして形成される。これらの結合の形成は、GC−Cレセプターへの結合のために重要であると考えられている。本発明の特定のペプチドは、機能的キモトリプシン切断部位となりうる部位、例えばCys(B)とCys(D)との間、またはCys(E)とCys(F)との間のいずれかに位置するTrp、Tyr、またはPheを含む。いずれかのキモトリプシン切断部位で切断されると、GC−Cレセプターに結合する該ペプチドの能力は低下または喪失する。
【0082】
ヒトの体内では、不活性型のキモトリプシンであるキモトリプシノーゲンが膵臓において産生される。この不活性酵素は小腸に到達すると、2つのジペプチドが切除されて活性なキモトリプシンに変換される。活性なキモトリプシンは、ペプチドのTrp、Tyr、またはPheのカルボキシ末端側のペプチド結合を切断することができる。腸管に活性なキモトリプシンが存在すると、適切に配置された機能的キモトリプシン切断部位を有する本発明の特定のペプチドの切断をもたらす可能性がある。キモトリプシンによる切断は、ペプチドが腸管を通過するにつれて、適切に配置されたキモトリプシン切断部位を有する本発明のペプチドの作用を和らげることが予測される。
【0083】
トリプシノーゲンは、キモトリプシンと同様に、膵臓で産生されかつ消化管中に存在するセリンプロテアーゼである。その活性型であるトリプシンは、LysまたはArgを有するペプチドを切断する。腸管における活性型トリプシンの存在は、適切に配置された機能的トリプシン切断部位を有する特定の本発明のペプチドの切断をもたらし得る。キモトリプシンによる切断は、ペプチドが腸管を通過するにつれて、適切に配置されたトリプシン切断部位を有する本発明のペプチドの作用を和らげることが予測される。
【0084】
多くの胃腸障害(IBSを含む)は、腹部または内臓の痛みを伴う。特定の本発明のペプチドには、鎮痛性または抗侵害受容性のタグ(例えば、機能的キモトリプシン切断部位を創出するTrp、Tyr、もしくはPheの直後、または機能的トリプシン切断部位を創出するLysもしくはArgの直後のカルボキシ末端配列AspPheなど)が含まれる。腸管内のキモトリプシンは、そのようなペプチドのTrp残基、Phe残基、またはTyr残基に対してすぐカルボキシ末端側を切断してジペプチドAspPheを遊離する可能性がある。このジペプチドは、動物モデルにおいて鎮痛活性を有することが示されてきた(アブジッカイら(Abdikkahi et al.)、2001 Fundam Cli n Pharmacol 15:117-23;ニクファーら(Nikfar et al. )、1997 29:583-6 ;エドマンドソンら(Edmundson et al.)、1998 Clin Pharmacol Ther 63:580-93)。こうして、上記ペプチドは痛みと炎症の両方を治療し得る。他の鎮痛性ペプチドをペプチドのカルボキシ末端(機能的切断部位の後)に存在させることも可能であり、エンドモルフィン−1、エンドモルフィン−2、ノシスタチン、ダラルギン、ルプロン、およびサブスタンスPが挙げられる。多数の有用なペプチドは、コア配列:CysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyrに基づいている。ペプチドを不活性化することが可能な潜在的な機能的キモトリプシン切断部位を有する改変体を作製するために、Leu(下線部)またはThr(下線部)のいずれかをTrp、Phe、またはTyrによって置き換えてもよいし、あるいはこのLeuおよびThrの両方を(独立して)Trp、Phe、またはTyrによって置き換えてもよい。鎮痛性ジペプチドを有する改変
体を作製するために、コア配列の後にAspPheを配する。コア配列中のカルボキシ末端にTyrがあれば、AspPheジペプチドが消化管内でキモトリプシンによって遊離されることが可能となる。コア配列の前には、任意選択で、AsnSerSerAsnTyrまたはAsnが先行し得る。
【0085】
従って、有用な改変体は以下を含むコア配列に基づく:
【0086】
【化2】
【0087】
【0088】
【0089】
(ここで、SEQ ID NOは配列番号を表す)。
ある場合において、本発明のペプチドは、アミノ末端リーダー配列:
mkksilfiflsvlsfspfaqdakpvesskekitleskkcniakksnksgpesmn
を含むプレプロタンパク質として作製される。ペプチドが細菌細胞(例えば、大腸菌)で生産される場合、先行するリーダー配列は切断されて成熟ペプチドが細菌細胞から効率的に分泌される。米国特許第5,395,490号は、細菌細胞中でのSTペプチドの効率的な生産のためのベクター、発現系、および方法と、成熟STペプチドの効率的な分泌を達成するための方法とを記載している。米国特許第5,395,490号に記載されているベクター、発現系、および方法は、本発明のSTペプチドおよび改変体STペプチドを生産するために使用され得る。
【0090】
(改変体ペプチド) 本発明は、配列番号_〜_と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個(一部の実施形態においては、5未満または3未満または2以下)のアミノ酸置換を含み得る改変体ペプチドを含む。置換は保存的でも非保存的でもよい。天然型のアミノ酸は、任意のアミノ酸のD−異性体、非天然型のアミノ酸、および他の基によって置換され得る。保存的アミノ酸置換により、アミノ酸は同様の作用を有するアミノ酸、または同様の電荷、極性、または疎水性のアミノ酸へと変更される。部位によっては、保存的アミノ酸置換であってもペプチドの活性を低下する可能性がある。一般的に保存的であると見なされている天然に存在するアミノ酸置換には以下の:
【0091】
【表2】
【0092】
がある。
状況によっては、腸のGC−Cレセプターに結合して同レセプターを活性化する改変体ペプチドであって、非改変型のペプチドよりも活性が低い改変体ペプチドを用いて患者を治療することが望ましいことがあり得る。このような活性の低下は、レセプターに対するアフィニティの低下、結合したときのレセプターを活性化する能力の低下またはペプチドの安定性の低下から生じ得る。
【0093】
一部のペプチドでは、通常ジスルフィド結合を形成するCys残基対のうち一方または両方のCysが、ホモシステイン、3−メルカプトプロリン(コロジッジら(Kolodziej
et al.)、1996 Int J Pept Protein Res 48:274);β,βジメチルシステイ
ン(ハントら(Hunt et al. )、1993 Int J Pept Protein R es 42:249)、またはジアミノプロピオン酸(スミスら(Smith et al.)、1978 J Med Chem 21:117)によって置き換えられて、通常のジスルフィド結合の位置に代替的な内部架橋を形成し得る。
【0094】
(ペプチドの産生) 有用なペプチドは、細菌(大腸菌を含むがこれに限定されない)、またはペプチドもしくはタンパク質の生産のための他の既存の系(例えば、枯草菌(Bacillus subtilis )、ショウジョウバエ(Drosophila)Sf9細胞を使用するバキュロウィルス発現系、酵母または糸状菌の発現系、哺乳動物細胞発現系)のいずれかにおいて生産されてもよいし、あるいは該ペプチドが化学合成されてもよい。
【0095】
ペプチドまたは改変体ペプチドが細菌(例えば、大腸菌)中で生産される場合、ペプチドをコードする核酸分子は、細胞からの成熟ペプチドの分泌を可能にするリーダー配列もコードすることが好ましいであろう。従って、ペプチドをコードする配列は、例えば、天然に存在する細菌STペプチドの、プレ配列およびプロ配列を含み得る。分泌された成熟ペプチドは、培養培地から精製され得る。
【0096】
本発明のペプチドをコードする配列は、好ましくは、核酸分子を細菌細胞内に送達し維持することが可能であるベクター中に挿入される。DNA分子は、自律的に複製するベクター(適切なベクターには、例えば、pGEM3ZおよびpcDNA3、ならびにそれらの誘導体)内に挿入され得る。ベクター核酸は、細菌またはバクテリオファージのDNA(例えばバクテリオファージλまたはM13およびそれらの誘導体)であり得る。本明細書中に記載された核酸を含むベクターを構築した後に、宿主細胞(例えば、細菌)を形質転換する。適切な細菌宿主には、大腸菌(E.coli)、枯草菌(B.subtilis)、シュードモナス(Pseudomonas )、サルモネラ(Salmonella)が含まれるがこれらに限定されない
。遺伝子構築物はまた、本発明のペプチドをコードする核酸分子に加えて、発現を可能にするエレメント(例えばプロモーター配列および調節配列など)を含む。発現ベクターは、転写開始を制御する転写制御配列(例えばプロモーター配列、エンハンサー配列、オペレーター配列、およびリプレッサー配列など)を含み得る。種々の転写制御配列が当業者に周知である。発現ベクターはまた、翻訳調節配列(例えば、5’非翻訳配列、3’非翻訳配列、または内部リボソーム進入部位)を含み得る。ベクターは自律的に複製可能でもよいし、またはペプチド生産の間確実に安定であるように宿主DNAに組み込まれてもよい。
【0097】
本発明のペプチドを含むタンパク質コード配列はまた、精製を容易にするために、ポリペプチドのアフィニティタグ(例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、プロテインA、FLAGタグ、ヘキサ−ヒスチジン、mycタグまたはインフルエンザHAタグ)をコードする核酸に融合されてもよい。アフィニティタグまたはレポーターの融合によって、目的のペプチドのリーディングフレームがアフィニティタグをコードする遺伝子のリーディングフレームに結合され、その結果翻訳融合物が生成される。融合遺伝子が発現すると、目的のペプチドとアフィニティタグの両方を含む単一のポリペプチドが翻訳される。アフィニティタグが利用される一部の例では、プロテアーゼ認識部位をコードするDNA配列が、アフィニティタグのリーディングフレームと、目的のペプチドのリーディングフレームとの間に融合される。
【0098】
当業者に周知の細菌以外のタンパク質発現系において本発明のペプチドおよび改変体を未成熟型および成熟型で生産するために適切な遺伝子構築物および方法もまた、生物学的系においてペプチドを生産するために使用され得る。
【0099】
成熟ペプチドおよびその改変体は、自動ペプチドシンセサイザーを使用する固相法によって合成され得る。例えば、ペプチドは、ダブルカップリングプログラムを使用して、Cyc(4−CH2 Bxl)−OCH2−4−(オキシメチル)−フェニルアセトアミドメチル樹脂上で合成され得る。保護基は、正確なジスルフィド結合パターンが作製されるように適切に使用されなければならない。例えば、以下の保護基:t−ブチルオキシカルボニル(α−アミノ基);アセトアミドメチル(Cys残基(B)および(E)のチオール基);4−メチルベンジル(Cys残基(C)および(F)のチオール基);ベンジル(グルタミン酸のy−カルボキシルおよびスレオニンのヒドロキシル基(存在する場合));およびブロモベンジル(チロシンのフェノール基、存在する場合)が使用され得る。カップリングは、t−ブトキシルカルボニルアミノ酸の対称無水物またはヒドロキシベンゾトリアゾールエステル(アスパラギン残基またはグルタミン酸残基について)を用いて実施し、そしてペプチドを脱保護され、フッ化水素、硫化ジメチル、アニソール、およびp−チオクレゾールの8/1/1/0.5比(v/v/v/w)の中、0℃で60分間処理して固相支持体から切断する。減圧によるフッ化水素および硫化ジメチルの除去、ならびにエチルエーテルおよび酢酸エチルを連続して用いる抽出によるアニソールおよびp−チオクレゾールの除去後、粗精製ペプチドを、0.5Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)およびN,N−ジメチルホルムアミドの1/1(v/v)混合物で抽出する。Cy
s残基(B)および(E)のジスルフィド結合はジメチルスルホキシドを使用して形成させる(タムら(Tam et al.)、1991 J.Am.Chem.Soc.113:6657-62)。得られるペプチ
ドを逆相クロマトグラフィーによって精製する。Cys残基(C)および(F)の間のジスルフィド結合は、ペプチドを50%酢酸水溶液中に最初に溶解することによって形成させる。氷酢酸中の飽和ヨード溶液を加える(100ml溶液あたり1mlヨード溶液)。密封したガラス容器中、室温で2日間インキュベートした後、該溶液を脱イオン水で5倍希釈し、未反応のヨードを除去するためエチルエーテルで4回抽出する。遠心濃縮により残存するエチルエーテルを除去した後、粗生成物の溶液を凍結乾燥し、続いて逆相クロマトグラフィーにより精製する。
【0100】
(腸のGC−Cレセプター結合アッセイ) ペプチドおよびその他の薬剤の、腸のGC−Cレセプターへの結合能力は、以下のように試験され得る。T84ヒト結腸がん腫細胞株(アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Ty pe Culture Collection)(米国メリーランド州ベデスダ所在))の細胞を、5%胎仔ウシ血清を補充した、ハムF12培地およびダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の1:1混合物を用いて24ウェル培養プレート中でコンフルエントになるまで増殖させる。アッセイにおいて使用される細胞は、典型的には継代数54−60の間の細胞である。手短に述べると、24ウェルプレート中のT84細胞の単層を、1mlの結合緩衝液(0.05%ウシ血清アルブミンおよび25mM HEPES、pH 7.2を含むDMEM)で2回洗浄し、次いで、放射活性物質で標識された大腸菌の成熟STペプチドおよび種々の濃度の試験物質の存在下で37℃にて30分間インキュベートする。次いで、この細胞を1mlDMEMで4回洗浄し、0.5ml/ウェルの1N NaOHで可溶化する。次いで、可溶化された物質中の放射活性のレベルを、標準的な方法を使用して決定する。
【実施例1】
【0101】
[改変体STペプチドおよび野生型STペプチドの調製]
(1a:組換えによる改変体STペプチドおよび野生型STペプチドの調製)
MD−915と呼ばれる改変体STペプチドを組換えにより再生産し、動物モデルにおいて試験した。MD−915は以下の配列:AsnSerSerAsnTyrCysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−−−)を有する。野生型STペプチドの配列を有するペプチドも作製した(MM−416776)。
【0102】
MD−915ペプチドおよびMM−416776ペプチドを、以下のように作製したベクターを使用してプレプロタンパク質として生産した。熱安定性エンテロトキシンのプレプロ配列コードする配列を、オリゴヌクレオチドMO3514(5’CACACCATATGAAGAAATCAATATTATTTATTTTTCTTTCTG 3’(配列番号 ))およびオリゴヌクレオチドMO3515(5’CACACCTCGAGTTAGGTCTCCATGCTTTCAGGACCACTTTTATTAC 3’(配列番号 ))を使用して、pGK51/pGSK51(ATCC67728)から増幅した。増幅生成物であるフラグメントをNdeI/XhoIで消化し、NdeI/XhoIで消化したT7発現ベクターpET26b(+)(ノバゲン(Novagen ))にライゲーションす
ることによってプラスミドMB3976を作製した。プレプロタンパク質をコードする領域を配列決定し、アミノ酸配列:mkksilfiflsvlsfspfaqdakpagsskekitleskkcnivkksnksgpesm(配列番号 )をコードすることが見出されたが、この配列は、熱安定性エンテロトキシンa2前駆体のアミノ酸配列(sta2:mkksilfiflsvlsfspfaqdakpagsskekitleskkcnivkknnesspesm(配列番号_)GenBank(登録商標)受入番号Q47185、GI:3913876)のアミノ酸配列とは、C末端近くの3つの部位(下線部)で異なっている。プレプロ配列を有する発現ベクターを作製するために
、各々STペプチド改変体または野生型STペプチドをコードする相補性オリゴをアニーリングし、そしてMB3976発現ベクターにクローニングした。プレプロ配列の下流に融合されたアミノ酸配列NSSNYCCELCCNPACTGCY(配列番号_)を含むMB3984(プレプロタンパク質としてMM−416776ペプチド(完全長の野生型STペプチド)をコードする)を作製するために、MB3976をBsaI/XhoIで消化し、アニーリングしたオリゴMO3621(5’GCATGAATAGTAGCAATTACTGCTGTGAATTGTGTTGTAATCCTGCTTGTACCGGGTGCTATTAATAAC 3’(配列番号_))およびMO3622(5’TCGAGTTATTAATAGCACCCGGTACAAGCAGGATTACAACACAATTCACAGCAGTAATTGCTACTATTC3’(配列番号_))にライゲーションした。プレプロ配列の下流に融合された以下のアミノ酸配列、NSSNYCCEYCCNPACTGCYを含むMB3985(プレプロタンパク質としてMD−915をコードする)を作製するために、MB3976をBsaI/XhoIで消化し、アニーリングしたオリゴMO3529(5’GCATGAATAGTAGCAATTACTGCTGTGAATATTGTTGTAATCCTGCTTGTACCGGGTGCTATTAATAAC 3’(配列番号_))およびMO3530(5’TCGAGTTATTAATAGCACCCGGTACAAGCAGGATTACAACAATATTCACAGCAGTAATTGCTACTATTC3’(配列番号_))にライゲーションした。
【0103】
MD−915ペプチドおよびMM−416776ペプチドを以下のように産生させた。発現ベクターで大腸菌宿主BL21λDE3(インビトロジェン(Invitrogen))を形質転換した。単一コロニーをLブロス+25mg/lカナマイシン中に接種し、振盪しながら30℃で一晩増殖させた。一晩培養物を、3.2Lのバッチ培地(グルコース25g/l、カザミノ酸5g/l、酵母抽出物5g/l、KH2PO4 13.3g/l、(NH4)2HPO4 4g/l、MgSO4−7H2O 1.2g/l、クエン酸1.7g/l、EDTA 8.4mg/l、CoCl2−6H2O 2.5mg/l、MnCl2−4H2O 15mg/l、CuCl2−4H2O 1.5mg/l、H3BO3 3mg/l、Na2MoO4−2H2O 2.5mg/l、酢酸亜鉛二水和物13mg/l、クエン酸酸化鉄100mg/l、カナマイシン25mg/l、消泡剤DF2O4 1mg/l)に加え、以下の処理パラメーター:pH 6.7−塩基(28% NH4OH)のみを用いて制御、30℃、曝気処理:5リットル/分、を使用して発酵させた。バッチ培地のグルコースを最初に消費(溶存酸素(DO)レベルをモニタして判断)した後、1.5Lの供給培地(グルコース700g/l、カザミノ酸10g/l、酵母抽出物10g/l、MgSO4−7H2O 4g/l、EDTA 13mg/l、CoCl2−6H2O 4mg/l、MnCl2−4H2O 23.5mg/l、CuCl2−4H2O 2.5mg/l、H3BO3 5mg/l、Na2MoO4−2H2O 4mg/l、酢酸亜鉛二水和物16mg/l、クエン酸酸化鉄40mg/l、消泡剤DF2O4 1mg/l)を、20%DOを維持するように制御された供給速度で加えた。IPTGを、供給開始から2時間後に0.2mMまで加えた。全体の実行時間は約40−45時間であった(供給培地を消費するまで)。
【0104】
細胞を5,000gで10分間の遠心分離によって収集した。細胞ペレットを廃棄し、上清を、50Kd限外濾過ユニットに通した。50Kd濾過物(0.6リットル)を110ml Q‐Sepharose(登録商標)ファストフローカラム(アマシャム ファルマシア(Amersham Pharmacia)、20mM Tris−HCl(pH7.5)で平衡
化)に、400ml/時間の流速でロードした。このカラムを、6倍容量の20mM Tris−HCl(pH7.5)で洗浄し、タンパク質を50mM酢酸で溶出させて50ml画分を収集した。STペプチド改変体または野生型STペプチドを含む画分をプールし、遠心濃縮処理によって溶媒を除去した。乾燥した同タンパク質を10mlの8%酢酸、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)中に再懸濁し、Varian Polaris(登
録商標)C18−Aカラム(250×21.2mm 10μm、同じ緩衝液中で平衡化)に、20ml/分の流速でロードした。カラムを、100mlの8%メタノール、0.1%
TFAで洗浄し、そして24〜48%グラジエントのメタノール、0.1% TFA(300ml)で展開し、5ml画分を収集した。ペプチドを含む画分をプールし、溶媒を遠心濃縮処理によって除去した。ペプチドを0.1%TFA中に溶解し、凍結乾燥した。
【0105】
MD−915ペプチドおよびMM−416776ペプチドの画分を標準的なLCMSおよびHPLCによって分析した。LCMS分析から、MD−915がMM−416776よりも均質であることが示された(図1aを参照のこと;MD−915ペプチド(パネルB)がMM−416776(パネルA)よりもピークが少ないことに注意されたい)。
【0106】
(1b:合成による改変体STペプチドおよび野生型STペプチドの調製)
ペプチドは、商業的なペプチド合成会社によって化学合成された。化学合成の効率に依存して様々な収量のペプチドが得られた。これら4種のペプチドは、収量の多い順番に、CysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−−;MD−1100)、収量10−20%;CysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−−;MM416774);AsnSerSerAsnTyrCysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−−;MD−915);AsnSerSerAsnTyrCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−−;MM−416776)、収量<5%であった。従って、ペプチドに導入された特定のアミノ酸変化により、製造上の特性を改善しうる。
【0107】
図1bは、合成により製造されたMD−1100の全イオンクロマトグラフのプロファイルを示す。図1cは対照のブランク試料の全イオンクロマトグラフのプロファイルを示す。MD−1100試料中には1つの主要なピークが存在し、このピークは対照試料には存在しない。定量的分析は、MD−1100が98%をこえる純度であることを示唆している。
【実施例2】
【0108】
[改変体STペプチドおよびSTペプチドによる腸のGC−Cレセプターの活性化]
MD−915、MM−416776、およびMD−1100が腸のGC−Cレセプターを活性化する能力について、T84ヒト結腸がん腫細胞株(アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(米国メリーランド州ベデスダ
所在))を用いたアッセイにおいて評価した。このアッセイのために、細胞を、5%胎仔ウシ血清を補充したハムF12培地およびダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の1:1混合物を用いて24ウェル培養プレート中でコンフルエントになるまで増殖させ、継代数54−60の間で使用した。
【0109】
手短に述べると、24ウェルプレート中のT84細胞の単層を、1ml/ウェルのDMEMで2回洗浄し、次いで、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤である1mMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含む0.45mlのDMEMとともに37℃で10分間インキュベートした。次いで、試験ペプチド(50μl)を加え、37℃で30分間インキュベートした。培地を吸引除去した後、氷冷した0.5mlの0.1N HClの付加によって反応を終結させた。試料を氷上に20分間保ち、次いで、ヒートガンまたは真空遠心分離を使用して蒸発乾固させた。この乾燥試料を、ケイマンケミカル社のサイクリックGMP EIAキット(ケイマンケミカル(Cayman Chemical )、米国ミシガン州アナーバー所在)のリン酸緩衝液0.5ml中に再懸濁した。サイクリックGM
Pを、ケイマンケミカル サイクリックGMP EIAキットにおいて概説された手順に従いEIAによって測定した。
図2は、このGC−Cレセプター活性アッセイにおける、化学合成されたペプチド改変体の活性を示す。本アッセイにおいて、MM−416776および2つの異なるMD−1100ペプチド(2つの異なる方法によって合成された、MD−1100(a)およびMD−1100(b))は、MM−416776に匹敵する活性を有した。MD−915およびMM−416776ペプチドは、MD−1100(b)と同一の様式で化学合成されたものである。
【実施例3】
【0110】
[MD−915およびMM−416776はマウスにおける腸内輸送を増大させる]
ペプチドが胃腸内輸送速度を増大させるか否かを決定するために、ペプチドおよび対照を、マウス胃腸内輸送(GIT)アッセイ(ムーンら(Moon et al. )Infect
ion and Immunity 25:127,1979年)を使用して試験した。このアッセイにおいて、胃腸管内で視覚的な認識が容易な木炭を、試験化合物の投与後にマウスに投与する。木炭が移動した距離を測定し、結腸の全長に対する割合(%)として表現する。
【0111】
ペプチドまたは対照の緩衝液で処理する前に、水を自由摂取としてマウスを12〜16時間絶食させた。緩衝液(20mM Tris、pH7.5)中のペプチドを、1μg/kg−1mg/kg経口投与し、その7分後に5%活性炭(アルドリッチ(Aldrich )
242276−250G))を経口投与した。対照マウスには、活性炭の投与の前に緩衝液のみを投与した。15分後にマウスを屠殺し、その胃から盲腸までの腸管を解剖した。腸の全長ならびに胃から木炭が移動した最前部までの距離を各動物について測定し、その結果を、木炭が腸を移動した最前部までの腸の全長に対する割合(%)として表現する。すべての結果を、マウス10匹の平均±標準偏差として報告する。ペプチドで処理したマウスとビヒクル単独で処理したマウスとの間の木炭が移動した距離の比較を、スチューデントのt検定を使用して実施し、統計学的に有意な差をp<0.05とした。P値は、分散が等しくないと仮定して両側T検定を使用して計算する。
【0112】
図3a、bにおいて見られるように、野生型STペプチド(MM−416776、(シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich )、米国ミズーリ州セントルイス所在));0.
1mg/kg)、合成により製造されたMD−1100、ならびにZelnorm(登録商標)(0.1mg/kg)(セロトニンレセプター5HT4のアゴニストである、IBSに対して認可された薬物)は、このモデルにおいて胃腸管輸送速度を増大させる。図4aは、腸内輸送速度が、組換え合成されたMM−416776またはMD−915のいずれにおいても投薬量の増加に伴って増大することを実証する研究の結果を示す。図4bは、化学合成されたMM−416776またはMD−1100ペプチドのいずれも、Tris緩衝液単独または等用量のZelnorm(登録商標)よりも腸内輸送速度を増大させることを実証する研究の結果を示す。
【0113】
同一の実験を、MD−1100が長期投与治療計画において有効であるか否かを決定するために実施した。手短に述べると、8週齢の雌のCD1マウスに、MD−1100(20mM Tris(pH7.5)中、0.06mg/kgまたは0.25mg/kg)またはビヒクル単独(20mM Tris、pH7.5)のいずれかを、1日1回5日間、経口的に投薬する。5日目に、200μlの10%木炭溶液が投与される以外は上記と同じようにGITアッセイを実施した。図4cは、化学合成されたMD−1100またはZelnorm(登録商標)のいずれも長期投与(5日間毎日)の場合にマウスの胃腸運動アッセイにおいて有効であることを実証する研究の結果を示す。これらの結果は、短期投与(1日)と並列に示されている。
【実施例4】
【0114】
[MD−915ペプチドおよびMM−416776ペプチドは乳飲みマウスにおける腸分泌を増加させる(SuMiアッセイ)]
MM−416776ペプチドおよびMD−915を、腸分泌を増加させるその能力について、乳飲みマウスの腸分泌モデルを使用して試験した。このモデルでは、7〜9日齢の乳飲みマウスに試験化合物を投与する。マウスの屠殺後、胃から盲腸までの胃腸管を切除する(「腸」)。その残り(「屠体」)ならびに腸を重量測定し、腸の屠体に対する重量比を計算する。この比が0.09を上回る場合、試験化合物が腸分泌を増加させると結論付けられ得る。図5aは、このモデルにおける野生型STペプチド(MM−416776)についての用量応答曲線を示す。図5bは、このモデルにおけるMD−1100ペプチドについての用量応答曲線を示す。これらのデータは、野生型STペプチド(米国ペンシルベニア州ウェストチェスター所在のTDT社から購入)およびMD−1100ペプチドが腸分泌を増加させることを示している。Zelnorm(登録商標)の効果についても研究した。図5からわかるように、0.2mg/kgのZelnorm(登録商標)はこのモデルにおいて腸分泌を増加させない。図6aは、上記の組換えMM−416776ペプチドおよび上記の組換えMD−915ペプチドについての用量応答曲線を示す。図6aからわかるように、いずれのペプチドもこのモデルにおいて腸分泌を増加させる。同様に、図6bは、化学合成されたMD−915、MD−1100、およびMM−416776、ならびに野生型STペプチド(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ−アルドリッチから購入)についての用量応答曲線を示す。
【0115】
(慢性痛覚過敏の動物モデル) 結腸直腸の拡張に対する痛覚過敏は、IBS患者において一般的であり、主要な痛みの症状の原因であり得る。IBSにおける内臓の痛みに対する化合物の効果を研究するために、拡張に対する内臓痛覚過敏の炎症性動物モデルおよび非炎症性動物モデルの両方が開発されている。
【0116】
I.トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)誘発性直腸異痛症モデル
雄のウィスター(Wistar)ラット(220−250g)に、0.5mg/kgのアセプロマジンをあらかじめ腹腔内(IP)投与し、そして100mg/kgのケタミンの筋肉内投与によって麻酔した。ニクロム線の電極対(長さ60cm、直径80μm)を、腹部横紋筋に、白線から2cm側方に埋め込んだ。電極の遊離端を首の後ろ側に露出させ、皮膚に取り付けたプラスチック管で保護した。筋電図(EMG)の記録を手術の5日後に開始した。腹部横紋筋の電気的活性を、脳波計(Mini VIII、フランス国パリ所在のアルバー(Alvar ))を用いて、低周波数シグナル(<3Hz)を除去するために短
い時定数(0.03秒)を使用して記録した。
【0117】
外科的埋め込みの10日後、直腸の炎症を誘発するためにトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を投与した。TNBS(0.3mlの50%エタノール中80mg/kg)を、報告されているように(モルトら(Morteau et al.)、1994 Dig Dis Sci 39:1239)、軽度のジエチルエーテル麻酔下で肛門から3cmの位置に導入されたシリコンラバーカテーテルを通して直腸内投与した。TNBS投与後、ラットをプラスチックトンネル内に入れ、結腸直腸拡張(CRD)の前の数日間、ラットの動きを厳しく制限した。実験化合物をCRDの1時間前に投与したが、投与はラテックス製コンドームから作られた4cm長のバルーンを直腸内の肛門から1cmの位置へ挿入することによって実行された(グエら(Gue et al.)、1997 Neurogastroenterol.Motil.9:271 )。このバルーンを、塞栓除去プローブ(フォガルティー(Fogarty ))から取り外した強固なカテー
テル上に固定した。このカテーテル装着バルーンを、尾の基部に固定した。バロスタットに接続したバルーンを、2000Pa(15mmHg)ごとに0から8000Pa(0から60mmHg)まで漸進的に膨張させ、各々の膨張状態を5分間維持した。EMGによ
って測定される直腸感受性の評価は、TNBSの直腸滴注の前(1−2日間)および3日後に実行した。
【0118】
腹部の収縮に対応する5分間あたりのスパイクの突発(バースト)数を測定した。腹部収縮の数および用量−効果の相関の評価を、一元分散分析(ANOVA)に続くポストホック(スチューデント検定またはダネット検定)、ならびに適切な場合はED50について回帰分析を実施することによって統計学的に分析した。
【0119】
図7は、MD−1100活性をTNBS結腸直腸モデルにおいて分析した実験の結果を示す。腹部の応答の有意な減少が0.3μg/kgおよび3μg/kgのMD−1100において観察される。これらの結果は、MD−1100がこの動物モデルにおいて結腸直腸の拡張に関連した痛みを減少することを実証している。
【0120】
II.ストレス誘発性の痛覚過敏モデル
TNBSモデルと同様に、雄のウィスターラット(200−250g)にニクロム線の電極を外科的に埋め込む。外科的埋め込みの10日後、部分的な拘束ストレス(PRS)を、ウィリアムスら(W illiams et al. )によって報告されているように2時間実行する(ウィリアムスら、1988 Gastroenterology 64:611)。手短に述べると、軽度のエチルエーテル麻酔下で、前肩、上前肢、および胸部体幹を、身体の動きを制限するが妨害しないように紙テープ製の収容装具で包む。対照の偽ストレス動物は麻酔するが包まない。PRS時間の終わりの30分前に、動物に試験化合物またはビヒクルを投与する。PRS完了の30分〜1時間後に、TNBSモデルについて上記に記載したように、バロスタットを用いて2000、4000、6000、および8000Pa(15、30、45、および60mmHg)の圧力でCRD拡張処置を実行する。バーストの数についての統計学的分析を、上記のTNBSモデルと同様に決定および分析する。
【0121】
(フェニルベンゾキノン誘発性ライジングモデル) 本発明のペプチドおよびGC−Cレセプターアゴニストの痛み制御活性を評価するために、PBQ誘発性ライジングモデルを使用可能である。このモデルは、ジークムントら(Siegmunt et al. )(1957
年、Proc.Soc.Exp.Bio.Med.95:729-731 )によって報告されている。手短に述べると、
試験化合物、例えば、ペプチド、モルヒネ、またはビヒクルを経口投薬した1時間後に、0.02%フェニルベンゾキノン(PBQ)溶液(12.5mL/kg)を、腹腔内径路によってマウスに注射する。伸張反応およびライジングの数を、PBQ注射の5分後から10分後まで記録するが、動態学的に評価するために35分後〜40分後および60分後〜65分後に計数してもよい。結果を、伸張反応およびライジングの数(平均±SEM)として表現し、侵害受容反応の閾値の変動率をビヒクル処理群の平均値から計算する。処理群と対照群との間の全ての差異の統計学的有意性を、SigmaStat(登録商標)ソフトウェアを使用して、一元分散分析(P<0.05)後の残差分散を使用するダネット検定によって決定する。
【0122】
図8aおよび8bは、PBQライジングアッセイにおける、異なる用量のMD−915およびMD−1100の効果を示す。疼痛制御活性を有することが知られているNSAID(非ステロイド性抗炎症剤)であるインドメタシンを、アッセイにおける陽性対照として使用した。ビヒクル対照と比較して、MD−915(1mg/kg用量)およびMD−1100(2.5mg/kg用量)についてはライジングの有意な減少が観察された。類似の方法で試験された多数の他の化合物(例えば5HT−3アンタゴニスト)についても、試験した最大用量での効力の損失が観察されている。この研究の結果は、MD−915とMD−1100のいずれも、この内臓の疼痛モデルにおいて、中程度の用量のインドメタシンに匹敵する抗侵害受容性効果を有することを示唆している。
【実施例5】
【0123】
[MD−1100のKd決定]
ラット腸粘膜において見出されたGC−Cレセプターに対するMD−1100のアフィニティを決定するために、ラット腸上皮細胞を使用して競合的結合アッセイを実施した。ラットの小腸の上皮細胞を、ケスラーら(Kessler et al.)(J.Biol.Chem.245:5281-5288 (1970年))に記載されているようにして得た。手短に述べると、動物を屠殺
して腹腔を露出させ、小腸を300mlの氷冷生理食塩水またはPBSですすいだ。幽門から測定して10cmの位置で小腸10cmを取り出し、2.54センチメートル(1インチ)の断片に切断した。この腸を、1枚のpalafilm(登録商標)とP−1000ピペットチップとの間で穏やかに加圧することによって腸粘膜を押し出した。腸上皮細胞を2mlのPBS中に入れ、5mlピペットを用いて上下にピペッティングして細胞の懸濁液を作製した。この懸濁液中のタンパク質濃度を、ブラッドフォード法を使用して測定した(Anal.Biochem.72.248-254 (1976年))。 競合的結合アッセイを、ジェ
ネラら(Giannella et al.)(Am. J.Physiol.245:G492-G498)の方法に基づいて、[125I
]標識したMM−416776とMD−1100との間で実施した。アッセイ混合液には、20mM HEPES−KOH(pH7.0)を含む0.5mlのDME、上記に列挙した細胞懸濁液0.9mg、21.4fmol[125I]−MM−416776(42.8pM)、および様々な濃度の競合物MD−1100(0.01〜1000nM)を含めた。この混合液を室温で1時間インキュベートし、混合物をガラス繊維フィルターGF/B(ワットマン(Whatman ))で処理することによって反応を停止させた。フィルタ
ーを5ml氷冷PBSで洗浄し、放射活性を測定した。図9は、このアッセイにおけるMD−1100のKdが4.5nMであることを示している。%B/Boは、各試料中で捕捉された放射活性(B)を、非放射性の競合物を含まない対照試料中の放射活性(Bo)に対して比較した割合(%)である。ジェネラら(Giannella et al.)(Am.J.Physiol.245:G492-G498)は、このアッセイにおける野生型STペプチドについてのKdが約13nMであることを観察している。
【実施例6】
【0124】
[MD−1100の薬物動態学的特性]
MD−1100を薬物動態学的に検討するために、マウスにおける吸収性試験を実施した。吸収性試験は、8週齢のCD1マウスに、尾静脈注射を介して静脈内に、または胃管栄養法によって経口的にMD−1100を投与することによって実施した。種々の時点で動物から血清を収集してMD−1100の存在について試験したが、この試験には競合的ELISA法(オキソイド(Oxoid )のST EIAキット、カタログ番号TD070
0)を使用した。このアッセイでは、STペプチドに対するモノクローナル抗体(抗体はオキソイドキット内に供給されている)および合成により製造されたMD−1100を使用した。図10aは、ELISA法によって検出された、静脈内投与および経口投与されたMD−1100についての吸収データを示す。MD−1100は、全身的に吸収されるのはごくわずかのようであり、生物学的利用率は<2.2%である。
【0125】
同様の生物学的利用率の検討を実施したが、この検討においては、MD−1100を検出するためにELISAではなくLCMSを使用した。最初に、曝露マウスおよび対照マウスの全血から血清試料を抽出し、次いで、さらに処理はせずに、インラインの固相抽出(SPE)カラム(ウォーターズ(Waters)Oasis(登録商標)HLB 25mmカラム、2.0×15mm直接接続)に直接注入した(10mL)。SPEカラム上の試料を、5%メタノール、95% dH2O溶液で洗浄し(2.1mL/分、1.0分間)、次いで、SPEカラムの流路を反転させて分析カラム(ウォーターズXterra(登録商標)MS C8 5mm ISカラム、2.1×20mm)へ配置するバルブスイッチを使用して分析カラムにロードした。逆相グラジエント(移動相A:dH2O中10mM
水酸化アンモニウム、移動相B:80%アセトニトリル+20%メタノール中10mM水酸化アンモニウム;最初の3分間を20%Bとし、次いで4分間かけて95%Bまで上昇させ、2分間保持する。流速はすべて0.4mL/分)を用いて、分析カラムから試料を溶出させた。9.1分の時点では、グラジエントは最初の20%Bの条件に1分間で戻る。MD−1100は1.45分で分析カラムから溶出し、三連四重極質量スペクトル分析によって検出した(MRM、764(+2電荷状態)>182(+1電荷状態)Da;コーン電圧=30V;コリジョンエネルギー=20eV;親イオンの質量幅=2Da(ベースピーク);子イオンの質量幅=2Da(ベースピーク))。同じ手順を使用して調製しマウス血清に注入した既知量の化学合成MD−1100を用いた標準曲線との比較によって、機器の応答を濃度単位に変換した。
【0126】
図10bは、LCMSによって検出された、IV投与または経口投与されたMD−1100についての吸収データを示す。このアッセイにおいても同様に、MD−1100は、全身的に吸収されるのはごくわずかのようであり、生物学的利用率は<0.11%である。
【0127】
(ペプチドおよびGC−Cレセプターアゴニストの投与) 胃腸障害の治療のために、本発明のペプチドおよびアゴニストが、経口的に(例えば、錠剤、ゲル、ペースト、スラリー、リキッド、散剤、または何らかの他の形態で)投与されることが好ましい。経口投与される組成物は、結合剤、香料、および湿潤剤を含み得る。ペプチドおよびアゴニストは、胃腸障害を治療するために使用される他の薬剤(例えばヒスタミンH2レセプターアゴニスト(H2A)およびプロトンポンプ阻害剤(PPI)などの制酸剤を含むがこれらに限定されない)と同時投与され得る。ペプチドおよびアゴニストはまた、直腸坐剤によっても投与され得る。胃腸管の外の障害(例えばうっ血性心不全および良性前立腺過形成)の治療のためには、ペプチドおよびアゴニストを非経口的に投与することも経口的に投与することも好ましい。 本明細書中に記載されるペプチドは、単独で使用されても他の薬剤と組み合わせて使用されてもよい。例えば、本発明のペプチドは、鎮痛ペプチドまたは鎮痛性化合物と一緒に投与され得る。鎮痛ペプチドまたは鎮痛性化合物は、本明細書中に記載されるペプチドに共有結合されてもよいし、または併用療法において本明細書中に記載されるペプチドと同時もしくは連続的に投与される別個の薬剤であってもよい。
【0128】
併用療法は、2つまたはそれ以上の薬剤(例えば、本明細書中に記載されるペプチドと鎮痛ペプチドまたは鎮痛性化合物)をそれぞれ別々に製剤化および投与することによって行われてもよいし、2つまたはそれ以上の薬剤を単一の製剤として投与することによって行われてもよい。他の組み合わせもまた併用療法に含まれる。例えば、2つの薬剤を一緒に製剤化し、第3の薬剤を含む別個の製剤と組み合わせて投与されてもよい。併用療法において2つまたはそれ以上の薬剤が同時に投与されてもよいが、必須ではない。例えば、第1の薬剤(または薬剤の組み合わせ)が、第2の薬剤(または薬剤の組み合わせ)の投与よりも数分間、数時間、数日間、または数週間先に投与されてもよい。従って、2つまたはそれ以上の薬剤は、互いに数分間以内に投与されてもよいし、互いに1、2、3、6、9、12、15、18、もしくは24時間以内、または互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14日以内、または互いに2、3、4、5、6、7、8、9または10週間以内に投与されてもよい。場合によっては、より長い間隔とすることさえ可能である。多くの場合において、併用療法において使用される2つまたはそれ以上の薬剤は患者の身体中に同時に存在することが望ましいが、このことは必須ではない。
【0129】
併用療法はまた、組み合わせて使用される薬剤のうち1つまたは複数を2回以上投与することを含み得る。例えば、薬剤Xおよび薬剤Yが組み合わせて使用される場合、これらを任意の組み合わせで1回またはそれ以上、例えば、X−Y−X、X−X−Y、Y−X−Y、Y−Y−X、X−X−Y−Yなどの順番で連続的に投与し得る。
【0130】
薬剤は、単独であっても組み合わせであっても、任意の薬学的に許容可能な担体または媒体と組み合わせ得る。従って、薬剤は、患者に投与された場合に、有害な反応、アレルギー性の反応、またはその他の望ましくない反応を生じない材料と組み合わせ得る。使用されるこれらの担体または媒体には、溶媒、分散剤、被覆剤、吸収促進剤、放出制御剤などが含まれ得る。
【0131】
遊離の形態または塩のいずれかの薬剤を、持続放出製剤を作製するために、ポリマー、例えば、ポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)、ポリ−(I)−乳酸−グリコール酸−酒石酸(P(I)LGT)(国際公開公報第01/12233号)、ポリグリコール酸(米国特許第3,773,919号)、ポリ乳酸(米国特許第4,767,628号);ポリ(ε−カプロラクトン)と組み合わせることが可能である。このような製剤はインプラントにおいて使用可能であり、該インプラントは、ポリマー、ポリマーの粒子サイズ、およびインプラントのサイズに依存して、数日間、数週間、または数ヶ月間の期間にわたってペプチドまたは別の薬剤を放出する(例えば、米国特許第6,620,422号を参照のこと)。その他の持続放出製剤は、欧州特許出願公開第0 467 389 A2号、国際公開公報第93/241150号、米国特許第5,612,052号;国際公開公報第97/40085号、国際公開公報第94/155587号、米国特許第5,672,659号、米国特許第5,893,985号、米国特許第5,134,122号、米国特許第5,192,741号、米国特許第5,192,741号、および米国特許第5,445,832号に記載されている。このような持続放出製剤においては、ペプチドの微粒子がポリマーの微粒子と組み合わされる。1つまたはそれ以上の持続放出インプラントが、大腸、小腸または両方に配置され得る。
【0132】
本発明の薬剤は、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、または他の経路によって投与され得る。薬剤は、経口的に、例えば、錠剤、ゲル、ペースト、スラリー、リキッド、散剤、または何らかの他の形態で投与され得る。経口投与される組成物は、結合剤、香料、および湿潤剤を含み得る。本発明の薬剤は歯磨剤または口腔洗浄剤に含まれ得る。従って、経口製剤は研磨剤および発泡剤を含み得る。本発明の薬剤はまた、経皮的にまたは坐剤の形態で投与され得る。
【0133】
本発明の薬剤は、遊離の酸もしくは塩基、または薬学的に許容可能なそれらの塩であり得る。固体は、投与の直前またはそれより前に溶解または分散されてもよい。状況によっては、調製物は、微生物の増殖を防ぐための保存剤を含む。注射に適した薬学的形態には、滅菌水または有機溶剤の溶液または分散液(例えば、水、アルコール、有機溶媒、オイル、または他の溶媒もしくは分散剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および植物性オイル)を含む)が挙げられる。薬学的薬剤は、フィルター滅菌または他の適切な手段によって滅菌され得る。
【0134】
本発明に従う適切な薬学的組成物は一般的に、一定量の活性化合物を、許容可能な薬学的な希釈剤または賦形剤(例えば、滅菌水溶液など)とともに、意図される用途に応じて一定の範囲の最終濃度となるように含むであろう。調製の技術は、レミントンの薬剤科学(Remington's Pharmaceutical Sciences )第18版、マックパブリッシング社(Mack Publishing Company )、1995年によって例示されるように、当該分野において一般に知られている。
【0135】
本明細書中に記載される薬剤および併用療法薬剤は、各々個別に包装または製剤化された2以上の薬剤の単一または複数の投与単位形態、あるいは組み合わせて包装または製剤化された2以上の薬剤の単一または複数の投与単位形態を含むキットとして包装され得る。従って、第1の容器内に1種またはそれ以上の薬剤が存在していてもよいし、任意選択
で、このキットが第2の容器内に1種またはそれ以上の薬剤を含んでいてもよい。この1または複数の容器は1つの包装内に入っており、この包装は任意選択で投与または調剤の指示書を含み得る。キットは、薬剤を投与するためのシリンジまたは他の手段、ならびに製剤化のための希釈剤または他の手段など、さらなる構成要素を含み得る。
【0136】
(鎮痛剤) 本明細書中に記載されるペプチドは、鎮痛剤(例えば、鎮痛性化合物または鎮痛ペプチド)との併用療法において使用され得る。鎮痛剤は、任意選択で、本明細書中に記載されるペプチドに共有結合させることができる。有用な鎮痛剤の中には、Caチャンネルブロッカー、5HTレセプターアンタゴニスト(例えば、5HT3、5HT4、および5HT1レセプターアンタゴニスト)、オピオイドレセプターアゴニスト(例えば、ロペラミド、フェドトジン、およびフェンタニル)、NK1レセプターアンタゴニスト、CCKレセプターアゴニスト(例えば、ロキシグルミド)、NK1レセプターアンタゴニスト、NK3レセプターアンタゴニスト、ノルエピネフリン−セロトニン再取り込み阻害剤(NSRI)、バニロイドおよびカンナバノイドレセプターアゴニスト、ならびにシアロルフィンがある。様々な種類の鎮痛剤が文献に記載されている。 有用な鎮痛ペプチドの中にはシアロルフィン関連ペプチドがあり、これらにはアミノ酸配列QHNPR(配列番号 )を含むペプチド、例えばVQHNPR(配列番号 );VRQHNPR(配列番号 );VRGQHNPR(配列番号 );VRGPQHNPR(配列番号 );VRGPRQHNPR(配列番号 );VRGPRRQHNPR(配列番号 );およびRQHNPR(配列番号)が含まれる。シアロルフィン関連ペプチドはネプリリシンに結合し、ネプリリシンの介在によるサブスタンスPおよびMet−エンケファリンの分解を阻害する。従って、ネプリリシンの阻害剤である化合物またはペプチドは、同時治療において本発明のペプチドとともに投与することも、本発明のペプチドに(例えば、共有結合によって)連結させることもできる、有用な鎮痛剤である。シアロルフィンおよび関連ペプチドは米国特許第6,589,750号;U.S.20030078200A1;および国際公開公報第02/051435 A2号において記載されている。
【0137】
オピオイドレセプターのアンタゴニストまたはアゴニストは、同時治療において本発明のペプチドとともに投与することも、本発明のペプチドに(例えば、共有結合によって)連結させることもできる。例えば、オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えばナロキソン、ナルトレキソン、メチルナロゾン、ナルメフェン、シプリジム、β−フナルトレキサミン、ナロキソナジン、ナルトリンドール、およびノルビナルトルフィミンなど)はIBSの治療において有用であると考えられている。この型のオピオイドアンタゴニストを遅延放出製剤および持続放出製剤として、該アンタゴニストが小腸の中央から末端および/または結腸で最初に放出されるようにすることは有用であり得る。このようなアンタゴニストは国際公開公報第01/32180A2号に記載されている。エンケファリンペンタペプチド(HOE825;Tyr−D−Lys−Gly−Phe−L−ホモセリン)はオピオイドレセプターであるミューおよびデルタのアゴニストであり、腸の運動性を増大させるために有用であると考えられており(Eur.J.Pharm.219:445 、1992年)、こ
のペプチドは本発明のペプチドと組み合わせて使用され得る。トリメブチンもまた有用であり、トリメブチンは、ミュー/デルタ/カッパオピオイドレセプターに結合し、モチリンの放出を活性化し、ガストリン、血管作用性腸ペプチド、ガストリンおよびグルカゴンの放出を調節すると考えられている。カッパオピオイドレセプターアゴニスト(例えば、フェドトジン、ケトシクラゾシン、および国際公開公報第03/097051 A2号に記載される化合物)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。さらに、ミューオピオイドレセプターアゴニスト(例えば、モルヒネ、ジフェニルオキシレート、フラケファミド(H−Tyr−D−Ala−Phe(F)−Phe−NH2;国際公開公報第01/019849 A1号)およびロペラミド)が使用され得る。
【0138】
Tyr−Arg(キョートルフィン)は、met−エンケファリンの放出を刺激することによって作用して鎮痛効果を誘発するジペプチドである(J.B iol.Chem.262:8165,
1987年)。キョートルフィンは本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0139】
CCKレセプターアゴニスト(例えば、両生類および他の生物種由来のセルレインなど)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる有用な鎮痛剤である。
【0140】
コノトキシンペプチドは、電位依存性Caチャンネル、NMDAレセプター、またはニコチン性レセプターに作用する多種類の鎮痛ペプチドを表す。これらのペプチドは、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0141】
サイムリンのペプチドアナログ(仏国特許出願2830451号)は鎮痛活性を有する可能性があり、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0142】
ロキシグルミドおよびデキシロキシグルミド(ロキシグルミドのR異性体)を含むCCK(CCKaまたはCCKb)レセプターアンタゴニスト(国際公開公報第88/05774号)は鎮痛活性を有する可能性があり、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0143】
他の有用な鎮痛剤には、テガセロッド(tegaserod )/zelnorm(登録商標)
、およびリレキサプリドなどの5−HT4アゴニストが含まれる。このようなアゴニストは、欧州特許出願公開第1321142 A1号、国際公開公報第03/053432A1号、欧州特許出願公開第505322 A1号、欧州特許第505322 B1号、米国特許第5,510,353号、欧州特許出願公開第507672 A1号、欧州特許第507672 B1号、および米国特許第5,273,983号において記載されている。
【0144】
ジコノチドおよび関連化合物などのカルシウムチャンネルブロッカーは、例えば、欧州特許第625162B1号、米国特許第5,364,842号、米国特許第5,587,454号、米国特許第5,824,645号、米国特許第5,859,186号、米国特許第5,994,305号、米国特許第6,087,091号、米国特許第6,136,786号、国際公開公報第93/13128 A1号、欧州特許出願公開第1336409 A1号、欧州特許出願公開第835126 A1号、欧州特許第835126 B1号、米国特許第5,795,864号、米国特許第5,891,849号、米国特許第6,054,429号、国際公開公報第97/01351 A1号に記載されており、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0145】
NK−1レセプター、NK−2レセプター、およびNK−3レセプターの種々のアンタゴニスト(概説については、ジャルディーナら(Giardina et al. )、2003 Drugs 6:758を参照のこと)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチド
に結合させることもできる。
【0146】
NK1レセプターアンタゴニスト(例えば:アプレピタント(メルクアンドカンパニー社(Merck & Co Inc))、ボホピタント(Vofopitant)、エズロピタント(ファイザ
ー社)、R−673(ホフマンラロッシュ社(Hoffmann-La Roche Ltd ))、SR−
14033、および例えば、欧州特許出願公開第873753 A1号、US 20010006972 A1、US 20030109417 A1、国際公開公報第01/5
2844
A1号に記載の関連化合物)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0147】
NK−2レセプターアンタゴニスト(例えば、ネパズタント(メナリーニ・リケルチェ・ソシエタ・ペル・アチオニ(Menarini Ricerche SpA ))、サレズタント(サノフ
ィ−シンセラボ(Sanofi-Synthelabo ))、SR−144190(サノフィ−シンセラ
ボ)、およびUK−290795(ファイザー・インコーポレイテッド(Pfizer Inc)
)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0148】
NK3レセプターアンタゴニスト(例えば、オサネタント(サノフィ−シンセラボ)、タルネタントおよび例えば国際公開公報第02/094187 A2号、欧州特許出願公開第876347 A1号、国際公開公報第97/21680 A1号、米国特許第6,277,862号、国際公開公報第98/11090号、国際公開公報第95/28418号、国際公開公報第97/19927号、およびボーデンら(Boden et al.)(J Med Chem.39:1664-75, 1996年)に記載の関連化合物)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0149】
ノルエピネフリン−セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、ミルナシプランおよび国際公開公報第03/077897 A1号に記載の関連化合物)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0150】
バニロイドレセプターアンタゴニスト(例えば、アーバニルおよび国際公開公報第01/64212 A1号に記載の関連化合物)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0151】
鎮痛剤がペプチドであり、かつ本明細書中に記載されるペプチドに共有結合させる場合、得られるペプチドに、少なくとも1つのトリプシンまたはキモトリプシン切断部位を含めることも可能である。本発明のペプチド中に存在する場合は、鎮痛ペプチドの前(鎮痛ペプチドがカルボキシ末端にある場合)、または鎮痛ペプチドの後(ペプチドがアミノ末端にある場合)に鎮痛ペプチドの遊離を可能にするキモトリプシンまたはトリプシン切断部位があればよい。
【0152】
シアロルフィン関連ペプチドに加えて、鎮痛ペプチドには、AspPhe、エンドモルフィン−1、エンドモルフィン−2、ノシスタチン、ダラルギン、ルプロン、ジコノチド、およびサブスタンスPが含まれる。
【0153】
(治療の方法) 本発明のペプチドは、がん、前がん性増殖、または転移性増殖の治療または予防のために使用され得る。例えば、本発明のペプチドは、結腸直腸または局所のうち少なくともいずれかに転移した結腸直腸がん、胃腸管がん、肺がん、上皮細胞のがんまたは前がん性増殖または転移性増殖、ポリープ、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、膀胱癌、肝臓癌、食道癌、および精巣癌、癌腫(例えば、基底細胞癌、基底有棘細胞癌、ブラウン−ピアス癌、腺管癌、エールリッヒ腫瘍、クレブス、メルケル細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、オート細胞癌、乳頭状癌、細気管支癌、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、ウォーカー癌種)、白血病(例えば、B細胞白血病、T細胞白血病、HTLVによる白血病、急性または慢性リンパ性白血病、マスト細胞性白血病、骨髄性白血病)、組織球腫、組織球増殖症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、プラスマ細胞腫、細網内皮症、腺腫、腺癌、腺線維腫、腺リンパ腫、エナメル上皮腫、角化血管腫、好酸球随伴性血管類リンパ組織増殖症、硬化性血管腫、血管腫症、アプドーマ、
鰓腫、悪性カルチノイド症候群、カルチノイド心疾患、がん肉腫、セメント質腫、胆管腫、コレステリン腫、軟骨肉腫、軟骨芽細胞腫、軟骨肉腫、脊索腫、分離腫、頭蓋咽頭腫、軟骨腫、円柱腫、嚢胞腺癌、嚢胞腺腫、葉状嚢肉腫、未分化胚細胞腫、上衣細胞腫、ユーイング肉腫、線維腫、線維肉腫、巨細胞腫、神経節細胞腫、神経膠芽細胞腫、グロムス血管腫、顆粒膜細胞腫、ギナンドロブラストーマ、過誤腫、血管内皮腫、血管腫、血管周囲細胞腫、血管肉腫、肝細胞がん、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、白血肉腫(leukosarcoma)、ライディッヒ細胞腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、リンパ管腫、リンパ管筋腫、リンパ管肉腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、間葉腫、中腎腫、中皮腫、筋原細胞腫、筋腫、筋肉腫、粘液腫、粘液肉腫、神経鞘腫、神経腫、神経芽細胞腫、神経上皮腫、神経線維腫、神経線維腫症、歯牙腫、骨腫、骨肉腫、乳頭腫、傍神経節腫、非クロム親和性傍神経節腫、松果体腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、セルトリ細胞腫瘍、奇形腫、卵胞膜細胞腫、ならびに細胞が形成異常、不死化、または形質転換されているその他の疾患、の治療または予防のために使用され得る。
【0154】
本発明のペプチドは、結腸がんの前段階である家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)(常染色体優性症候群)、遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(HNPCC)、および遺伝性常染色体優性症候群の治療および予防のために使用され得る。
【0155】
がん、前がん性増殖、および転移性増殖の治療または予防のために、本発明のペプチドは、放射線照射または化学療法剤、cGMP依存性ホスホジエステラーゼ阻害剤または選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤(多数の選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤が国際公開公報第02062369号(本願明細書に援用する)に記載されている)を用いる併用療法において使用され得る。
【0156】
本発明のペプチドは、炎症の治療または予防を目的とするものであり得る。従って、本発明のペプチドを、臓器の炎症、IBD(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)、喘息、腎炎、肝炎、膵炎、気管支炎、嚢胞性線維症、虚血性腸疾患、腸の炎症/アレルギー、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、および他の炎症性障害の治療のために、単独で、またはcGMP依存性ホスホジエステラーゼ阻害剤もしくは選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0157】
本発明のペプチドはまた、インスリン関連障害、例えば、2型糖尿病、高血糖症、肥満、細胞におけるグルコースもしくは電解質の輸送およびインスリン分泌の異常と関連する障害、または内分泌障害を、治療または予防するために使用され得る。該ペプチドは、インスリン耐性の治療ならびに手術後および非手術後のインスリン応答性の減少においても使用され得る。
【0158】
本発明のペプチドは、吸気障害、換気障害、粘膜分泌障害、肺高血圧症、気管および気道の慢性閉塞、ならびに気管および気管支の不可逆的閉塞を含む呼吸器障害を予防または治療するために使用され得る。
【0159】
本発明のペプチドは、ホスホジエステラーゼ阻害剤(当該阻害剤の例は、米国特許第6,333,354号(本願明細書に援用する)において見出され得る)との併用療法において使用され得る。
【0160】
本発明のペプチドはまた、網膜症、腎症、糖尿病性血管症、および浮腫形成を予防または治療するために使用され得る。
本発明のペプチドはまた、神経障害、例えば、頭痛、不安、運動障害、攻撃性、精神病、痙攣、パニック発作、ヒステリー、睡眠障害、うつ病、分裂感情障害、睡眠時無呼吸、注意欠陥障害、記憶喪失、およびナルコレプシーを予防または治療するために使用され得
る。該ペプチドはまた、鎮静剤としても使用され得る。
【0161】
本発明のペプチドおよび検出可能なように標識されたペプチドは、小腸の疾患および状態を同定、検出、段階付け、または診断するためのマーカーとして使用可能であり、小腸の疾患および状態には、クローン病、大腸炎、炎症性腸疾患、腫瘍、良性腫瘍(例えば良性間質腫瘍)、腺腫、血管腫、腺腫性(有茎性および無茎性)ポリープ、悪性カルチノイド腫瘍、内分泌細胞の腫瘍、リンパ腫、腺癌、前腸の癌、中腸の癌、後腸の癌、胃腸管間質腫瘍(GIST)(例えば平滑筋腫、細胞平滑筋腫、平滑筋芽細胞腫、および平滑筋肉腫)、胃腸自律神経腫瘍、吸収不良症候群、セリアック病、憩室症、メッケル憩室、大腸憩室、巨大結腸、ヒルシュスプルング病、過敏性腸症候群、腸間膜虚血、虚血性大腸炎、結腸大腸がん、結腸性ポリポーシス、ポリープ症候群、腸の腺癌、リドル症候群、ブロディーミオパシー、乳児痙攣、および舞踏病アテトーシスが含まれる。
【0162】
本発明のペプチドは、GCCレセプターを有する細胞、例えば、嚢胞性線維症病巣および腸管を裏打ちする特定の細胞を標的とするために、別の分子(例えば、診断用分子および治療用分子)と結合体化してもよい。従って、本発明のペプチドは、放射活性を有する部分または治療のための部分が腸を標的とし、結腸直腸がん/転移がん、または局所的結腸直腸がんを画像化および診断する、または治療する際の補助となり、そしてp53サプレッサー遺伝子の正常なコピーを腸管に送達するために使用することができる。
【0163】
本発明のペプチドは、勃起障害を治療するために、単独でまたは併用療法において使用され得る。
本発明のペプチドは、内耳障害を治療するため、例えば、メニエール病(めまい、聴覚障害、耳鳴、耳の閉塞感などの同疾患の徴候を含む)を治療するため、および内耳の体液ホメオスタシスを維持するために、単独でまたは併用療法において使用され得る。
【0164】
本発明のペプチドは、体液またはナトリウムの保持に関連した障害、例えば、腎臓、腸、および泌尿生殖器系における電解質−水/電解質輸送系の疾患、うっ血性心不全、高血圧、低血圧、肝硬変、およびネフローゼ症候群を治療するために単独でまたは併用療法において使用され得る。さらに、本発明のペプチドは、利尿を容易にするため、または腸液を制御するために使用され得る。
【0165】
本発明のペプチドは、重炭酸分泌と関連した障害、例えば、嚢胞性線維症を治療するために、単独でまたは併用療法において使用され得る。
本発明のペプチドは、肝細胞の再生と関連した障害を治療するために、単独でまたは併用療法において使用され得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃腸障害、肥満、うっ血性心不全、および良性前立腺過形成を含む種々の障害を治療するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
過敏性腸症候群(IBS)は、米国だけでも2000万〜6000万人に発症している一般的な腸の慢性障害である(非特許文献1)。IBSは、胃腸科専門医によって診断される最も一般的な障害であり(検査した患者の28%)、初診の医師への来診例の12%を占める(非特許文献2)。米国では、保健医療上の使用という直接的コストおよび仕事の長期欠勤という間接的コストによって、IBSの経済的影響は年間250億ドルと見積もられている(非特許文献3)。IBS患者は、仕事の長期欠勤が3倍多く、生活の質の低下を訴えている。患者は、社会的行事に出席すること、雇用を維持すること、または短い距離でさえ移動することが不可能であるか、またはそうすることを欲しない可能性がある(非特許文献4)。IBSを治療するための処方の選択肢がほとんどないので、この患者集団においては満たされていない多大な医学的必要性が存在する。
【0003】
IBS患者は、腹痛および腸の乱調に苦しむ。腸の主な傾向に基づき、IBS患者について3種のサブグループ、すなわち便秘優勢型(c−IBS)、下痢優勢型(d−IBS)、または前記2つの間の交互型(a−IBS)、が定義されている。c−IBSに罹患している人はIBS患者の20−50%の範囲であると見積もられ、しばしば30%とされている。他の2つのサブグループが類似の性別比を有するのとは対照的に、c−IBSは女性に多い(3:1の比率)(非特許文献5)。
【0004】
IBSについての定義および診断基準は、「ローマ基準(Rome Criteria )」(非特許文献6)において定式化され、これは、臨床的実務において十分に受容されている。しかし、症状の複雑さは、解剖学的な異常または代謝的な変化によっては説明されていなかった。その結果、ローマ基準ならびに器質性疾患を除外するための一定限度の評価に基づいて診断され、機能性胃腸障害としてIBSが分類されるに至った(非特許文献7)。IBSは、3つの相互作用するメカニズム、すなわち腸の運動性の変化、痛み刺激に対する小腸または結腸の感度(内臓の感度)の増大、および心理社会学的要因、の組み合わせから生じる「生物心理社会的」障害であると見なされている(非特許文献2)。最近、IBSの病因論において炎症の役割についての証拠が増加してきている。IBS患者のサブセットでは、結腸の炎症性細胞およびマスト細胞がわずかであるが有意に増加し、誘導性の一酸化窒素(NO)および合成酵素(iNOS)が増加し、かつ炎症性サイトカインの発現が変化することを示すことが報告されている(非特許文献8に概説)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】リーマンブラザース(Lehman Brothers )、「世界の保健医療‐過敏性腸症候群の最新市場(Global Healthcare-Irritable bowel syndrome industry update)」、1999年9月
【非特許文献2】キャミレリ(Camilleri )、2001年、Gastroenterology 第120巻、p.652−668
【非特許文献3】タリー(Talley)、1995年、Gastroenterology 第109巻、p.1736−1741
【非特許文献4】ドロスマン(Drossman)、1993年、Dig Dis Sci 第38巻、p.1569−1580
【非特許文献5】タリーら(Talley et al. )、1995年、Am J Epidemiol 第142巻、p.76−83
【非特許文献6】ドロスマンら(Drossman et al. )、1999年、Gut 第45巻、補遺II、p.1−81
【非特許文献7】リンゲルら(Ringel et al.)、2001年、Annu Rev Med 第52巻、p.319−338
【非特許文献8】タリー(Talley)、2000年、Medscape Coverage of DDW week
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、胃腸障害、肥満、うっ血性心不全、および良性前立腺過形成を含む種々の障害を治療するための方法および組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、IBSおよびその他の胃腸の障害および状態(例えば、胃腸運動障害、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患(GERD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、機能性胸焼け、消化不良(機能性消化不良または非潰瘍性消化不良を含む)、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症(または結腸偽閉塞症))、ならびに便秘に関連する障害および状態(例えば、アヘン鎮痛剤の使用に関連する便秘、術後の便秘、およびニューロパシー性の障害に関連する便秘)、ならびに他の状態および障害を治療するための組成物および関連する方法を特徴とする。本発明の組成物は、グアニル酸シクラーゼC(GC−C)レセプターを活性化するペプチドを特徴とする。
【0008】
本発明はまた、肥満、うっ血性心不全、および良性前立腺過形成(BPH)を治療するための組成物および関連する方法を特徴とする。
いかなる特定の理論にも束縛されることはないが、IBSおよび他の胃腸障害の場合は本発明のペプチドが有用である。本発明のペプチドは胃腸の運動性を増大させ得るからである。
【0009】
いかなる特定の理論にも束縛されることはないが、IBSおよび他の胃腸障害の場合は本発明のペプチドが有用である。なぜなら、1つには本発明のペプチドは炎症を減少させ得るからである。
【0010】
いかなる特定の理論にも束縛されることはないが、IBSおよび他の胃腸障害の場合は本発明のペプチドがまた有用である。なぜなら、本発明のペプチドは胃腸の痛みまたは内臓痛を減少させ得るからである。
【0011】
本発明は、グアニル酸シクラーゼC(GC−C)レセプターの活性化能を有する特定のペプチドを含んでなる薬学的組成物を特徴とする。本発明のペプチドを含む薬学的組成物、ならびに本発明のペプチドと第2の治療剤、例えば、便秘を治療するための薬剤(例えば、SPI−0211;スカンポファーマシューティカルズ社(Sucampo Pharmaceuticals, Inc. );米国メリーランド州ベゼスダ所在)または何らかの他の胃腸障害を治療
するための薬剤とを含む組み合わせ組成物もまた、本発明の範囲内にある。第2の治療剤の例には、胃酸抑制剤(例えばプロトンポンプ阻害剤およびH2レセプターブロッカー)、運動促進剤(例えば5HTレセプターアゴニスト(例えばZelnorm(登録商標)))、抗炎症剤、鎮痙剤、抗うつ剤、中枢性鎮痛剤(例えばオピオイドレセプターアゴニスト、オピオイドレセプターアンタゴニスト)、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎の治療剤(例えば、Traficet−EN(登録商標))(ケモセントリクス社(ChemoCentryx, Inc.);米国カリフォルニア州サンカルロス所在)、胃腸の痛みまた
は内臓痛を治療する薬剤、ならびにcGMPホスホジエステラーゼ阻害剤(モタピゾン(motapizone)、ザプリナスト(zaprinast )、およびスルジナクスルホン(suldinac sulfone))が含まれる。従って、例えば、本発明の薬学的組成物は、Caチャネルブロッカー(例えば、ジコノチド)、5HTレセプターアンタゴニスト(例えば、5HT3、5HT4、および5HT1レセプターアンタゴニスト)、オピオイドレセプターアゴニスト(例えば、ロペラミド、フェドトジン、およびフェンタニル、ナロキソン、ナルトレキソン、メチルナロゾン(methyl nalozone )、ナルメフェン、シプリジム(cypridime
)、β−フナルトレキサミン、ナロキソナジン、ナルトリンドール、およびノルビナルトルフィミン、モルヒネ、ジフェニルオキシレート、エンケファリンペンタペプチド、およびトリメブチン)、NK1レセプターアンタゴニスト(例えば、エズロピタントおよびSR−14033)、CCKレセプターアゴニスト(例えば、ロキシグルミド)、NK1レセプターアンタゴニスト、NK3レセプターアンタゴニスト(例えば、タルネタント(talnetant )、オサネタント(SR−142801))、ノルエピネフリン−セロトニン
再取り込み阻害剤(NSRI;例えば、ミルナシプラン)、バニロイドおよびカンナバノイドレセプターアゴニスト(例えば、アーバニル(arvanil ))、シアロルフィン(sialorphin)、アミノ酸配列QHNPR(配列番号 )を含むシアロルフィン関連ペプチド
(例えば、VQHNPR(配列番号 );VRQHNPR(配列番号 );VRGQHNPR(配列番号 );VRGPQHNPR(配列番号 );VRGPRQHNPR(配列番号 );VRGPRRQHNPR(配列番号 );およびRQHNPR(配列番号 ))、ネプリリシンの阻害剤である化合物またはペプチド、フラケファミド(frakefamide
)(H−Tyr−D−Ala−Phe(F)−Phe−NH2;国際公開公報第01/019849 A1号)、ロペラミド、Tyr−Arg(キョートルフィン)、CCKレセプターアゴニスト(セルレイン)、コノトキシンペプチド、サイムリンのペプチドアナログ、ロキシグルミド、デキシロキシグルミド(dexloxiglumide)(ロキシグルミドのR異性体)(国際公開公報第88/05774号)からなる群から選択される鎮痛剤を含み得る。そして他の鎮痛剤または化合物は本発明のペプチドとともに使用されてもよいし、または本発明のペプチドに連結されてもよい。
【0012】
本発明は、GC−Cレセプターの部分的または完全なアゴニストとして作用するペプチドを投与することによって種々の胃腸障害を治療するための方法を含む。このペプチドは、3つのジスルフィド結合を形成する少なくとも6個のシステインを含む。特定の実施形態において、ジスルフィド結合は、他の共有結合による架橋によって置き換えられ、ある場合においては、システインは別の共有結合による架橋を提供するために他の残基によって置換される。該ペプチドはまた、少なくとも1つのトリプシンもしくはキモトリプシンの切断部位と、カルボキシ末端の鎮痛ペプチドもしくは低分子(例えばAspPheもしくは何らかの他の鎮痛ペプチド)とのうち少なくともいずれかを含み得る。ペプチド中に存在する場合、鎮痛ペプチドまたは低分子の前に、同鎮痛ペプチドまたは低分子の放出を可能にするキモトリプシンまたはトリプシンの切断部位があってもよい。本発明のペプチドまたは方法は、胃腸障害を含む種々の障害に関連する痛みおよび炎症を治療するためにも有用である。ある種のペプチドは、切断されると同ペプチドが不活性化されうるように配置された機能的なキモトリプシンまたはトリプシンの切断部位を含む。機能的切断部位を有するある種のペプチドは、消化管の中で切断され、かつ漸進的に不活性化されるが、このことはある状況において望ましい。ある種のペプチドにおいては、機能的キモトリプシン部位が改変され、同ペプチドのインビボでの安定性を増加させている。
【0013】
本発明は、GC−Cレセプターのアゴニストとして作用するペプチドまたは低分子を(非経口的または経口的に)投与することによって、うっ血性心不全および良性前立腺過形成などの他の障害を治療するための方法を包含する。このような薬剤は、ナトリウム利尿ペプチド(例えば、心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、C型ナトリウム利尿ペプチド)、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素の阻害剤と組み合わ
せて使用され得る。
【0014】
本発明は、腸の運動性を増大させるための方法および組成物を特徴とする。腸の運動には、消化の過程で胃腸管を通して食物を移動させるための、胃、腸、結腸、および直腸の自発的かつ同調的な拡張および収縮が含まれる。
【0015】
特定の実施形態において、本発明のペプチドは、1つもしくは2つもしくはそれ以上の連続的な負に荷電したアミノ酸(例えば、AspもしくはGlu)、または1つもしくは2つもしくはそれ以上の連続的な正に荷電した残基(例えば、LysもしくはArg)、または1つもしくは2つもしくはそれ以上の連続的な正もしくは負に荷電したアミノ酸、のうちいずれかをそのカルボキシ末端に含む。これらの実施形態においては、カルボキシ末端で隣接するアミノ酸のすべては、正に荷電しているかまたは負に荷電しているかのいずれかである。他の実施形態においては、カルボキシ末端の荷電したアミノ酸の前にLeuが先行する。例えば、以下のアミノ酸配列、すなわち、Asp;AspLys;LysLysLysLysLysLys;AspLysLysLysLysLysLys;LeuLysLys;およびLeuAsp、がペプチドのカルボキシ末端に付加され得る。カルボキシ末端に単にLeuを加えることもまた可能である。
【0016】
第1の態様において、本発明は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含むペプチド、アミノ酸配列が前記配列であるペプチド、または前記配列から本質的に構成されるペプチドを特徴とし、前記配列において、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrもしくは欠失している、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していることを特徴とする。特定の実施形態において、Xaa8、Xaa9、Xaa12、Xaa13、Xaa14、Xaa17、およびXaa19は任意のアミノ酸であり得る。特定の実施形態において、Xaa5はAsn、Trp、Tyr、Asp、またはPheである。他の実施形態において、Xaa5はThrまたはIleでもよい。他の実施形態において、Xaa5はTyr、Asp、またはTrpである。ある実施形態において、Xaa8はGlu、Asp、Gln、Gly、またはProである。他の実施形態において、Xaa8はGluであり;ある実施形態において、Xaa9はLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり、ある実施形態において、Xaa9はLeu、Ile、Val、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheである。
【0017】
特定の実施形態においては、アミノ酸は、天然に存在しないアミノ酸または天然に存在するアミノ酸類似体もしくは天然に存在しないアミノ酸類似体によって置き換えられ得る。例えば、芳香族アミノ酸は、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン、3−ヨード−L−チロシン、トリヨードチロニン、L−チロキシン、フェニルグリシン(Phg)、またはノル−チロシン(norTyr)によって置き換えられ得る。PhgおよびnorTyrならびに他のPheおよびTyrを含むアミノ酸は、例えば、ハロゲン、−CH3、−OH、−CH2NH3、−C(O)H、−CH2CH3、−CN、−CH2CH2CH3、−SH、または別の基によって置換され得る。
【0018】
一部の実施形態において、Xaa12はAsn、Tyr、Asp、またはAlaである。他の実施形態において、Xaa12はAsnである。ある実施形態において、Xaa13はAla、Pro、またはGlyであり、そして他の実施形態においてXaa13はProである。ある実施形態において、Xaa14はAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、またはAspであり、他の実施形態においてXaa14はAlaまたはGlyであり、そしてさらに他の実施形態にお
いてXaa14はAlaである。ある実施形態において、Xaa16はThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17はGly、Pro、もしくはAlaであり;Xaa19はTrp、Tyr、Phe、Asn、およびLeuから選択されるか、またはXaa19はTrp、Tyr、およびPheから選択されるか、またはXaa19はLeu、Ile、およびValから選択されるか;またはXaa19はHisであるか、またはXaa19はTrp、Tyr、Phe、Asn、Ile、Val、His、およびLeuから選択され;ならびにXaa20Xaa21はAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluでありかつXaa21が欠失しているか、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。本発明はまた、前述のペプチドを含む組成物を投与することによって、胃腸障害(例えば、胃腸運動障害、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、結腸偽閉塞症)、肥満、うっ血性心不全、または良性前立腺過形成を治療するための方法を特徴とする。
【0019】
Xaa9がTrp、Tyr、もしくはPheである場合、またはXaa16がTrpである場合、ペプチドは、切断されると同ペプチドによるGC−Cレセプターへの結合性が不活性化される部位に位置する潜在的機能性を備えたキモトリプシン切断部位を有する。Xaa9がLysもしくはArgである場合、またはXaa16がLysもしくはArgである場合、ペプチドは、切断されると同ペプチドによるGC−Cレセプター結合性が不活性化される部位に潜在的機能性を備えたトリプシン切断部位が位置している。
【0020】
Xaa19がTrp、Tyr、もしくはPheである場合、ペプチドは、切断によりXaa19に対してカルボキシ末端側のペプチド部分が遊離する部位にキモトリプシン切断部位が位置している。Xaa19がLeu、Ile、もしくはValである場合、ペプチドは、切断によりXaa19に対してアミノ末端側のペプチド部分が遊離する部位にキモトリプシン切断部位が位置していてもよい。比較的高いpHでは、Xaa19がHisである場合に同じ効果が見られる。Xaa19がLysもしくはArgである場合、ペプチドは、切断によりXaa19に対してカルボキシ末端側のペプチド部分が遊離する部位にトリプシン切断部位が位置している。従って、該ペプチドがXaa19に対してカルボキシ末端側に鎮痛ペプチドを含む場合、鎮痛ペプチドは、適切なプロテアーゼに曝露されると消化管中で遊離される。ペプチドに含まれ得る鎮痛ペプチドの中には、AspPhe(Xaa20Xaa21として)、エンドモルフィン−1、エンドモルフィン−2、ノシスタチン、ダラルギン(dalargin)、ルプロン、およびサブスタンスP、ならびに本明細書中に記載される他の鎮痛ペプチドがある。これらのペプチドは、例えば、Xaa20Xaa21を置き換えるために使用され得る。
【0021】
本発明のペプチドのXaa1またはアミノ末端のアミノ酸(例えば、Xaa2またはXaa3)がTrp、Tyr、またはPheである場合、ペプチドは、切断されるとXaa1(またはXaa2またはXaa3)に対してアミノ末端側のペプチド部分がXaa1、Xaa2、またはXaa3とともに遊離する部位に位置するキモトリプシン切断部位を有する。本発明のペプチドのXaa1またはアミノ末端のアミノ酸(例えば、Xaa2またはXaa3)がLysまたはArgである場合、ペプチドは、切断されるとXaa1に対してアミノ末端側のペプチド部分をXaa1、Xaa2、またはXaa3とともに遊離する部位に位置するトリプシン切断部位を有する。本発明のペプチドのXaa1またはアミノ末端アミノ酸がLeu、Ile、またはValである場合、ペプチドは、切断がXaa1に対してアミノ末端側のペプチド部分を遊離する部位に位置するキモトリプシン切断部位を有し得る。比較的高いpHでは、Xaa1がHisである場合に同じ効果が見られる。従って、例えば、ペプチドが、Xaa1に対してアミノ末端側に鎮痛ペプチドを含む場合、鎮痛ペプチドは、適切なプロテアーゼに曝露されると消化管中で遊離される。ペプチドに含まれ得る鎮痛ペプチドの中には、AspPhe、エンドモルフィン−1、エンドモ
ルフィン−2、ノシスタチン、ダラルギン、ルプロン、およびサブスタンスP、ならびに本明細書中に記載される他の鎮痛ペプチドがある。
【0022】
完全にフォールディングしたとき、ジスルフィド結合はCys6とCys11との間;Cys7とCys15との間;およびCys10とCys18との間に存在する。本発明のペプチドは、STペプチドに対するある程度の配列類似性を有するが、機能性を改善するアミノ酸の改変および/または付加を含む。これらの改変は、例えば、活性を増加もしくは減少させることができ(例えば、腸の運動を刺激するペプチドの能力を増加もしくは減少させることができ)、ペプチドの正確にフォールディングする能力、ペプチドの安定性、ペプチドのGC−Cレセプターに結合する能力を変化させることができ、かつ/または毒性を減少させることができる。ある場合において、本発明のペプチドは野生型STペプチドよりも望ましく機能し得る。例えば、本発明のペプチドは下痢および脱水などの望ましくない副作用を制限し得る。
【0023】
ある実施形態においては、通常ジスルフィド結合を形成する1またはそれ以上のCys残基対の一方または両方のメンバーが、ホモシステイン、3−メルカプトプロリン(コロジッジら(Kolodziej et al.)、1996年、Int J Pept Protein
Res 第48巻、p.274);β,βジメチルシステイン(ハントら(Hunt et al. )、1993年、Int J Pept Protein Res 第42巻、p
.249)、またはジアミノプロピオン酸(スミスら(Smith et al.)、1978年、J Med Chem 第21巻、p.117)によって置き換えられて、通常のジスルフィド結合の位置に代替的な内部架橋を形成し得る。
【0024】
さらに、1つまたはそれ以上のジスルフィド結合は、代替の共有結合による架橋、例えば、アミド結合、エステル結合、アルキル結合、チオエステル結合、ラクタム架橋、カルバモイル結合、尿素結合、チオ尿素結合、ホスホン酸エステル結合、アルキル結合、およびアルケニル結合、エーテル、チオエーテル結合、またはアミノ結合によって置き換えられ得る。例えば、レジュら(Ledu et al. )(Proceedings Nat’l
Acad Sci.第100巻、p.11263−78,2003年)は、ラクタムおよびアミドの架橋を作製するための方法を記載している。シャフマイスターら(Schafmeister
et al. )(J.Am.Chem.Soc.第122巻、p.5891、2000年)
は、安定なあらゆる炭素架橋について記載している。ある場合において、このような代替的な架橋の生成には、Cys残基を他の残基、例えば、LysもしくはGlu、または天然に存在しないアミノ酸で置き換えることが必要である。
【0025】
配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21(配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失している、かつ/または配列Xaa19Xaa20Xaa21が欠失している)を含んでなるペプチドの場合、このペプチドはさらに、カルボキシ末端もしくはアミノ末端またはその両方の追加のアミノ酸を含み得る。例えば、本発明のペプチドは、ペプチドの組換え産生を容易にし、該ペプチドを患者へ投与する前に切断されるアミノ末端配列を含み得る。本発明のペプチドはまた、他のアミノ末端またはカルボキシ末端のアミノ酸を含み得る。ある場合において、追加のアミノ酸は、ペプチドを保護し、ペプチドを安定化し、またはペプチドの活性を変化させる。ある場合において、これらの追加のアミノ酸の一部またはすべてが、該ペプチドを患者へ投与する前に除去される。本発明のペプチドは、そのアミノ末端もしくはカルボキシ末端、またはその両方に、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれより多いアミノ酸を含み得る。隣接するアミノ酸の数は同じである必要
はない。例えば、本発明のペプチドのアミノ末端に10個の追加のアミノ酸が存在し、カルボキシ末端には追加のアミノ酸が存在しなくてもよい。
【0026】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなり、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;およびXaa20Xaa21がAspPheであるか、または欠失している。Xaa20Xaa21および/またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失している場合、一部の実施形態では、追加の隣接アミノ酸が存在してもよい。
【0027】
第2の態様において、本発明はまた、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなるペプチドを投与する工程を包含する治療的方法または予防的方法を特徴とし、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5はAsnSerSerAsnTyrであるか欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、またはPheであり;Xaa8はGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9はLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12はAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13はProまたはGlyであり;Xaa14はAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16はThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17はGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19はTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;ならびにXaa20Xaa21がAspPheもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0028】
治療的方法または予防的方法の特定の実施形態において:本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなり、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8はGluであり;Xaa9はLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12はAsnであり;Xaa13はProであり;Xaa14はAlaであり;Xaa16はThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり、またはXaa16は任意のアミノ酸であり、またはXaa16はThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり、またはXaa16は任意の非芳香族アミノ酸であり;Xaa17はGlyであり;Xaa19はTryまたはLeuであり;およびXaa20Xaa21はAspPheであるかまたは欠失している。
【0029】
特定の実施形態において、本発明は、アミノ酸配列(II)、
Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Asn12Pro13Ala14Cys15Xaa16Gly17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21
を含んでなる精製ポリペプチドを特徴とし、前記配列中、
Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5はAsnSerSerAsnTyrであるかもしくは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsnであり; Xaa8はGluまたはAspであり;
Xaa9はLeu、Ile、Val、Trp、Tyr、またはPheであり;
Xaa16はThr、Ala、Trpであり;
Xaa19はTrp、Tyr、Phe、もしくはLeuであるかまたは欠失しており;ならびにXaa20Xaa21がAspPheである。
【0030】
種々の好ましい実施形態において、本発明は、アミノ酸配列(II):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Asn12Pro13Ala14Cys15Xaa16Gly17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを特徴とし、前記配列中、Xaa9はLeu、Ile、またはValでありかつXaa16はTrp、Tyr、またはPheであり;Xaa9はTrp、Tyr、またはPheでありかつXaa16はThrまたはAlaであり;Xaa19はTrp、Tyr、PheでありかつXaa20Xaa21がAspPheであり;ならびにXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsnであり;このペプチドは50、40、30、または25未満のアミノ酸を含み;Cys6の前にあるアミノ酸は5未満である。
【0031】
本発明のペプチドは、鎮痛ペプチドまたは鎮痛化合物を含む種々の他の任意のペプチドと同時投与されてもよいし、または連結(例えば、共有結合)されてもよい。例えば、本発明の治療用ペプチドは、以下の:Caチャンネルブロッカー(例えば、ジコノチド)、完全または部分的な5HTレセプターアンタゴニスト(例えば、5HT3レセプターアンタゴニスト、5HT4レセプターアンタゴニスト、および5HT1レセプターアンタゴニスト)、完全または部分的な5HTレセプターアゴニスト(5HT3レセプターアゴニスト、5HT4レセプターアゴニスト(例えばテガセロッド(tegaserod )、モサプリド
、およびレンザプリド)、および5HT1レセプターアゴニストを含む)、CRFレセプターアゴニスト(NBI−34041)、β−3アドレナリンレセプターアゴニスト、オピオイドレセプターアゴニスト(例えば、ロペラミド、フェドトジン、およびフェンタニル、ナロキソン、ナルトレキソン、メチルナロゾン、ナルメフェン、シプリジム、β−フナルトレキサミン、ナロキソナジン、ナルトリンドール、およびノルビナルトルフィミン、モルヒネ、ジフェニルオキシレート、エンケファリンペンタペプチド、アシマドリン(asimadoline )およびトリメブチン)、NK1レセプターアンタゴニスト(例えば、エ
ズロピタントおよびSR−14033)、CCKレセプターアゴニスト(例えば、ロキシグルミド)、NK1レセプターアンタゴニスト、NK3レセプターアンタゴニスト(例えば、タルネタント、オサネタント(SR−142801))、ノルエピネフリン−セロトニン再取り込み阻害剤(NSRI;例えば、ミルナシプラン)、バニロイドおよびカンナバノイドレセプターアゴニスト(例えば、アーバニル)、シアロルフィン、アミノ酸配列QHNPR(配列番号)を含むシアロルフィン関連ペプチド(例えば、VQHNPR(配列番号 );VRQHNPR(配列番号 );VRGQHNPR(配列番号 );VRGPQHNPR(配列番号 );VRGPRQHNPR(配列番号 );VRGPRRQHNPR(配列番号 );およびRQHNPR(配列番号 ))、ネプリリシンの阻害剤である化合物またはペプチド、フラケファミド(H−Tyr−D−Ala−Phe(F)−Phe−NH2;国際公開公報第01/019849 A1号)、ロペラミド、Tyr−Arg(キョートルフィン)、CCKレセプターアゴニスト(セルレイン)、コノトキシンペプチド、サイムリンのペプチド類似体、ロキシグルミド、デキシロキシグルミド(ロキシグルミドのR異性体)(国際公開公報第88/05774号)、からなる群から選択される鎮痛剤に連結可能であり、その他の鎮痛ペプチドまたは鎮痛化合物が本発明のペプチドとともに使用されてもよいし本発明のペプチドに連結されてもよい。
【0032】
アミノ酸、非アミノ酸、ペプチド、および非ペプチドのスペーサーが、GC−Cレセプターアゴニストであるペプチドと、何らかの他の生物学的機能を有するペプチド(例えば鎮痛ペプチドまたは肥満を治療するために使用されるペプチド)との間に挿入され得る。該リンカーは、インビボで隣接するペプチドから切断され得るものでもよいし、またはインビボで隣接するペプチドに連結されたままのものでもよい。例えば、グリシン、β−アラニン、グリシルグリシン、グリシル−β−アラニン、γ−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、L−フェニルアラニン、L−トリプトファン、およびグリシル−L−バリル−L−フェニルアラニンがスペーサーとして使用され得るが(チャルチンら(Chaltin et al.)、2003 Helvetica Chimica Acta 86:533-547;カリセチら(Caliceti et al.
)、1993
FARMCO 48:919-32 )、このことはポリエチレングリコール(バターワースら(Butterworth et al.)、1987 J.Med.Chem 30:1295-302 )およびマレイミド誘導体(キングら(King et al. )、2002 Tetrahedron Lett.43:1987-1990)がスペーサーとして
使用され得るのと同様である。種々の他のリンカーが文献に記載されている(ネストラー(Nestler )、1996 Molecular Diversity 2:35-42;フィンら(Finn et al. )
、1984 Biochemistry 23:2554-8 ;クックら(Cook et al. )、1994 Tetrahedron Lett.35:6777-80;ブロックスら(Brokx et al.)、2002 Journal of Controlled Release 78:115-123 ;グリフィンら(Griffin et al.)、2003 J.Am.Chem.Soc.125:6517-6531;ロビンソンら(Robinson et al. )、1998 Proc.Natl.Acad.Sci.USA
95:5929-5934)。
【0033】
本発明のペプチドは、脊椎動物(例えば、哺乳動物)の生物種または細菌種において天然に存在するペプチドのアミノ酸配列を含み得る。さらに、本発明のペプチドは、部分的または完全に天然には存在しないペプチドでもよい。本発明のペプチドに対応するペプチド模倣物もまた、本発明に含まれる。種々の実施形態において、患者は胃腸障害を患っており;該患者は以下、すなわち胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、結腸偽閉塞症、肥満、うっ血性心不全、または良性前立腺過形成、からなる群から選択される障害を患っており;本発明の組成物は経口的に投与され;本発明のペプチドは30以下のアミノ酸を含み、本発明のペプチドは20以下のアミノ酸を含み、そしてこのペプチドはCys6の前に5個以下のアミノ酸を含み;本発明のペプチドは、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、または30、あるいはそれより少ないアミノ酸を含む。他の実施形態において、本発明のペプチドは20以下のアミノ酸を含む。他の実施形態において、本発明のペプチドは、Cys18の後に20、15、10、または5個以下のペプチドを含む。特定の実施形態において、Xaa19はキモトリプシンまたはトリプシンの切断部位であり、Xaa19の直後に鎮痛ペプチドが存在する。
【0034】
第3の態様において、本発明は、便秘の患者を治療するための方法を特徴とする。臨床的に受容されている便秘を規定する判断基準は、便通の頻度から、糞便の軟度、および便通の容易さの範囲にわたる。便秘の1つの一般的な定義は、便通が週に3回未満であることである。他の定義には、異常に固い大便または排便に過度のいきみを必要とすることが含まれる(シラー(Schiller)、2001, Aliment Pharmacol Ther 15:749-763 )。
便秘は、特発性のもの(機能性便秘もしくは通過の遅延による便秘)もあれば、他の原因(神経障害、代謝障害、または内分泌障害を含む)に伴って二次的に生じるものもある。これらの障害には、真正糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、低カルシウム血症、多発性硬化症、パーキンソン病、脊髄損傷、神経線維腫症、自律性ニューロパシー、シャーガス病、ヒルシュスプルング病、および嚢胞性線維症が含まれる。便秘はまた、外
科手術の結果(術後イレウス)の場合もあるし、または薬物(例えば鎮痛剤(オピオイドなど)、降圧剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、鎮痙剤、および抗精神病剤など)の使用が原因の場合もある。
【0035】
本発明の方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を投与する工程を包含し、前記配列中Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5はAsnSerSerAsnTyrであるかまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、またはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16はThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17はGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19はTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19はLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluでXaa21が欠失しているか、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0036】
本発明の方法の1つの実施形態において、ペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16はThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17はGlyであり;Xaa19はTyrまたはLeuであり;Xaa19はLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0037】
種々の好ましい実施形態において、便秘は治療剤の使用に関連するものであり;便秘は神経障害と関連し;便秘は手術後の便秘(術後イレウス)であり;便秘は胃腸障害と関連し;便秘は特発性(機能性便秘もしくは通過の遅延による便秘)であり;便秘は神経障害、代謝障害、または内分泌障害(例えば、真正糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、低カルシウム血症、多発性硬化症、パーキンソン病、脊髄損傷、神経線維腫症、自律性ニューロパシー、シャーガス病、ヒルシュスプルング病、または嚢胞性線維症)と関連する。便秘はまた、外科手術の結果(術後イレウス)の場合もあるし、または薬物(例えば鎮痛剤(例えばオピオイド)、降圧剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、鎮痙剤、および抗精神病剤など)の使用が原因の場合もある。
【0038】
第4の態様において、本発明は、胃腸障害の患者を治療するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を患者に投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5はAsnSerSerAsnTyrであるかまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp
、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0039】
本発明の方法の1つの実施形態において、このペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0040】
種々の実施形態において、患者は胃腸障害を患っており;患者は、胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、結腸偽閉塞症、肥満、うっ血性心不全、または良性前立腺過形成、からなる群から選択される障害を患っている。
【0041】
種々の好ましい実施形態において、Xaa9がLeu、Ile、またはValであってXaa16はTrp、Tyr、またはPheであり;Xaa9はTrp、TyrまたはPheであってXaa16はThrまたはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Pheであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであり;Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsnである。
【0042】
第5の態様において、本発明は、患者における胃腸の運動性を増大させるための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を患者に投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrであるかまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa1
9がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0043】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0044】
第6の態様において、本発明は、患者における腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターの活性を増大させるための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を患者に投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrであるかまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0045】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0046】
第7の態様において、本発明は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子
を特徴とし、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrであるかもしくは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0047】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0048】
第8の態様において、本発明は、便秘を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターのアゴニストを投与する工程を包含する。種々の実施形態において、このアゴニストはペプチドであり、同ペプチドは2つのジスルフィド結合を形成する4つのシステインを含み、同ペプチドは3つのジスルフィド結合を形成する6つのシステインを含む。
【0049】
第9の態様において、本発明は、胃腸障害、胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、結腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、肥満、うっ血性心不全、または良性前立腺過形成を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターのアゴニストを、経口投与、または直腸坐薬による投与、または非経口的投与のいずれかによって投与する工程を包含する。種々の実施形態において、このアゴニストはペプチドであり、このペプチドは2つのジスルフィド結合を形成する4つのシステインを含み、このペプチドは3つのジスルフィド結合を形成する6つのシステインを含む。
【0050】
第10の態様において、本発明は、胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、結腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患からなる群から選択される胃腸障害を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸グアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターのアゴニストを投与する工程を包含する。種々の実施形態において、本発明の組成物は経口的に投与され、ペプチドは30以下のアミノ酸を含み、ペプチドは20以下のアミノ酸を含み、またペプチドはCys5の前に5以下のアミノ酸を含む。
【0051】
種々の実施形態において、アゴニストはペプチドであり、該ペプチドは2つのジスルフィド結合を形成する4つのシステインを含み、また該ペプチドは3つのジスルフィド結合を形成する6つのシステインを含む。
【0052】
第11の態様において、本発明は肥満を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターのアゴニストを投与する工程を包含する。種々の実施形態において、アゴニストはペプチドであり、該ペプチドは2つのジスルフィド結合を形成する4つのシステインを含み、また該ペプチドは3つのジスルフィド結合を形成する6つのシステインを含む。
【0053】
第12の態様において、本発明は肥満を治療するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含むポリペプチドを投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrまたは欠失しているか、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;あるいはXaa20Xaa21がAspPheもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluでありかつXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。このペプチドは単独で投与されてもよいし、または肥満の治療のための別の薬剤(例えば、シブトラミンまたは別の薬剤(例えば本明細書中に記載される薬剤))と組み合わせて投与されてもよい。
【0054】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;およびXaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している。
【0055】
第13の態様において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチドを含んでなる薬学的組成物を特徴とする。
第14の態様において、本発明は、うっ血性心不全を治療するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を患者に投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gl
n、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;ならびにXaa20Xaa21がAspPheもしくは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。このペプチドは、うっ血性心不全の治療のための別の薬剤、例えば、ナトリウム利尿ペプチド(例えば心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、またはC型ナトリウム利尿ペプチド)、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤と組み合わせて投与され得る。
【0056】
1つの実施形態において、このペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheまたは欠失している。
【0057】
第15の態様において、本発明は、良性前立腺過形成を治療するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチドを含む組成物を患者に投与する工程を包含し、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrまたは欠失しており、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失していてXaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、Ile、Thr、もしくはPheであり;Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProであり;Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaであり;Xaa13がProまたはGlyであり;Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、およびAspであり;Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGly、Pro、またはAlaであり;Xaa19がTrp、Tyr、Phe、またはLeuであり;Xaa19がLysまたはArgであり;Xaa20Xaa21がAspPheまたは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。
【0058】
このペプチドは、BPHの治療のための別の薬剤、例えば5−αレダクターゼ阻害剤(例えば、フィナステリド)またはαアドレナリン作動遮断剤(例えば、ドキサゾシン)と組み合わせて投与され得る。
【0059】
1つの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19X
aa20Xaa21を含み、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;およびXaa20Xaa21がAspPheまたは欠失している。
【0060】
第16の態様において、本発明は、内臓の痛み、胃腸障害に関連する痛み、または何らかの他の障害に関連する痛みなどの痛みを治療または低減するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチド(例えば、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を含む精製ポリペプチド)を含む組成物を患者に投与する工程を包含する。
【0061】
第17の態様において、本発明は、胃腸管の炎症(例えば、胃腸障害または感染または何らかの他の障害と関連する炎症)などの炎症を治療するための方法を特徴とし、この方法は、アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含んでなる精製ポリペプチド(例えば、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を含む精製ポリペプチド)を含む組成物を患者に投与する工程を包含する。
【0062】
特定の実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列:Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5CysCysGluXaa9CysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyrXaa20Xaa21(II)(配列番号_)を含むペプチド、またはアミノ酸配列が前記配列であるペプチドを含み、前記配列中、Xaa9は任意のアミノ酸であり、Xaa9はLeu以外の任意のアミノ酸であり、Xaa9はPhe、Trp、およびTyrから選択され;Xaa9は任意の他の天然または非天然の芳香族アミノ酸から選択され、Xaa9はTyrであり;Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrであり;Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4およびXaa5が欠失しており;Xaa1Xaa2Xaa3およびXaa4が欠失しており;Xaa1Xaa2およびXaa3が欠失しており;Xaa1およびXaa2が欠失しており;Xaa1が欠失しており;Xaa20Xaa21がAspPheまたは欠失しており、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失しており、またはXaa19Xaa20Xaa21が欠失している。配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含むペプチドであって、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失している、および/または配列Xaa19Xaa20Xaa21が欠失しているペプチドの場合、該ペプチドはなお追加のカルボキシ末端アミノ酸またはアミノ末端アミノ酸またはその両方を含み得る。
【0063】
有用なペプチドの中には、アミノ酸配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5CysCysGluXaa9CysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyrXaa20Xaa21(II)(配列番号_)を含むペプチド、アミノ酸配列が前記配列であるペプチド、または前記配列のみから実質的になるペプチドは、以下のペプチド、すなわち
【0064】
【化1】
【0065】
【0066】
(ここで、SEQ ID NOは配列番号を意味する)である。
第18の態様において、本発明は、うっ血性心不全を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターの完全アゴニストまたは部分的アゴニストを投与する工程を包含する。このアゴニストは、うっ血性心不全の治療のための別の薬剤、例えば、ナトリウム利尿ペプチド(例えば心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、またはC型ナトリウム利尿ペプチド)、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤と組み合わせて投与され得る。
【0067】
第19の態様において、本発明は、BPHを治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターの完全アゴニストまたは部分的アゴニストを投与する工程を包含する。該アゴニストは、BPHの治療のための別の薬剤、例えば5−αレダクターゼ阻害剤(例えば、フィナステリド)またはαアドレナリン作動遮断剤(例えば、ドキサゾシン)と組み合わせて投与され得る。
【0068】
第20の態様において、本発明は、肥満を治療するための方法を特徴とし、この方法は、腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターの完全アゴニストまたは部分的アゴニストを投与する工程を包含する。該アゴニストは、肥満の治療のための別の薬剤、例えば、腸ホルモンの断片ペプチドYY3−36(PYY3−36)、glp−1(グルカゴン様ペプチド−1)、エキセンディン4(glp−1の阻害剤)、シブトラミン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、塩酸ベンズフェタミン(Didrex、登録商標)、オーリスタット(Xenical、登録商標)、塩酸ジエチルプロピオン(Tenuate、登録商標)、フルオキセチン(Prozac、登録商標)、ブプロピオン、エフェドラ、クロム、ガルシニアカンボジア、ベンゾカイン、ブラダーラック(学名Fucus vesiculosus )、キトサン、ノマメハーバ(nomame herba)、ガレガソウ(英名ゴーツルー(Goat's Rue)、フレンチライラック(French Lilac))、共役リノール酸、L−カルニ
チン、繊維(アメリカオオバコの繊維、シャゼンソウの繊維、グアー豆の繊維)、カフェイン、デヒドロエピアンドロステロン、ジャーマンダー(学名Teucrium chamaedrys )、B−ヒドロキシ−β−メチル酪酸、またはピルビン酸と組み合わせて投与され得る。肥満を治療するために有用なペプチドは、別個の分子として、または本発明のペプチドとの融合タンパク質の一部として、本発明のペプチドとの同時治療として投与され得る。従って、例えば、PYY3−36を本発明のペプチドのカルボキシ末端またはアミノ末端に融合させることができる。このような融合タンパク質は、2つのペプチドを分離するための切断を可能にし得るキモトリプシンまたはトリプシンの切断部位を含み得る。
【0069】
本発明のペプチドまたは腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターのアゴニストは、便秘もしくは腸運動の低下、消化の遅延、または胃内容排出の遅延を治療するために使用され得る。本発明のペプチドは、IBS(鼓脹、疼痛、便秘)、GERD(食道への酸の逆流)、機能性消化不良、または胃不全麻痺(吐き気、嘔吐、鼓脹、胃排出遅延)および本明細書中に記載される他の障害の症状のうち1つまたはそれ以上を軽減するために使用され得る。
【0070】
本発明の1つまたはそれ以上の実施形態の詳細は、付随する記載において示される。すべての刊行物、特許文献、および特許出願を本願明細書に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1a】組換えMM−416776ペプチドおよびMD−915ペプチドのLCMS分析の結果を示す図。
【図1b】合成MD−1100ペプチドのLCMS分析の結果を示す図。
【図1c】合成MD−1100ペプチド分析時のブランクのLCMS分析の結果を示す図。
【図2】合成MM−416776ペプチド、MD−915ペプチド、および2つの異なるMD−1100ペプチドの、腸のGC−Cレセプター活性アッセイの結果を示す図。
【図3a】マウスの胃腸内輸送モデルにおける組換えMM−416776ペプチドおよびZelnorm(登録商標)の効果を示す図。
【図3b】マウスの短時間胃腸内輸送モデルにおける合成MD−1100ペプチドおよびZelnorm(登録商標)の効果を示す図。マウスの長時間胃腸内輸送モデルにおける合成MD−1100ペプチドおよびZelnorm(登録商標)の効果を示す図。
【図4a】マウスの短時間胃腸内輸送モデルにおけるペプチドMD−915およびMM−416776の効果を示す図。
【図4b】マウスの短時間胃腸内輸送モデルにおけるペプチドMD−1100およびMM−416776の効果を示す図。
【図4c】マウスの長時間胃腸内輸送モデルにおけるMD−1100ペプチドの効果を示す図。
【図5a】乳飲みマウス腸分泌モデルにおけるMM−416776ペプチドおよびZelnorm(登録商標)の効果を示す図。
【図5b】マウス腸分泌モデルにおけるMD−1100およびZelnorm(登録商標)の効果を示す図。
【図6a】マウス腸管分泌モデルにおけるMM−416776ペプチドおよびMD915ペプチドの効果を示す図。
【図6b】マウス腸管分泌モデルにおけるMM−416776ペプチド、MD−1100ペプチド、およびMD−915ペプチドの効果を示す図。
【図7】MD−1100活性をTNBS結腸拡張モデルにおいて分析した実験の結果を示す図。
【図8a】PBQライジングアッセイにおける種々の用量のMD−915の効果を示す図。
【図8b】PBQライジングアッセイにおける種々の用量のMD−1100の効果を示す図。
【図9】競合的放射性リガンド結合アッセイにおけるMD−1100を用いたKd測定分析の結果を示す図。
【図10a】静脈内投与および経口投与されたMD−1100についての生物学的利用率(ELISAアッセイによって検出)を示す図。
【図10b】静脈内投与および経口投与されたMD−1100についての生物学的利用率(LCMSによって検出)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明のペプチドは、腸における水分および電解質のバランスの鍵となる制御因子である腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターに結合する。腸上皮表面の頂端膜上に存在するこのレセプターは、刺激を受けると、腸上皮のサイクリックGMP(cGMP)の増加を引き起こす。このcGMPの増加は、水およびナトリウムの吸収の減少、ならびに塩素およびカリウムイオンの分泌の増加を引き起こし、腸の水分輸送および電解質輸送の変化、および腸運動の増加をもたらすと考えられている。腸GC−Cレセプターは細胞外リガンド結合領域、膜貫通領域、細胞内プロテインキナーゼ様領域、およびシクラーゼ触媒ドメインを有する。GC−Cレセプターについて提案されている機能は、水分および電解質のホメオスタシス、上皮細胞の増殖の調節、ならびにアポトーシスの誘導である(シャルバイ(Shalubhai )、2002 Curr Opin Drug Dis Devel 5:261-268 )。
【0073】
胃腸上皮細胞によって腸において発現されることに加えて、GC−Cは、腸外の組織(腎臓、肺、膵臓、下垂体、副腎、発生中の肝臓を含む)において発現され(バンドラジャー(Vaandrager)、2002 Mol Cell Biochem 230:73-83 において概説されている)
、ならびに雄性および雌性の生殖組織において発現される(バンドラジャー(Vaandrager)、2002 Mol Cell Biochem 230:73-83 において概説されている)。このことは、
GC−Cレセプターアゴニストが胃腸(GI)管の外側の障害(例えば、うっ血性心不全および良性前立腺過形成)の治療において使用され得ることを示唆している。
【0074】
グレリンは、胃から分泌されるペプチドホルモンであり、ヒトにおける食欲の鍵となる制御因子である。グレリンの発現レベルは、絶食および胃が空になることによって調節される(キムら(Kim et al.)、2003 Neuroreprt 14:1317-20;グアリロら(Gualillo
et al. )、2003 FEBS Letts 552:105-9 )。従って、胃腸運動を増大させるこ
とによって、GC−Cレセプターのアゴニストは肥満を調節するためにも使用され得る。
【0075】
ヒトにおいて、GC−Cレセプターはグアニリン(Gn)(米国特許第5,96,097号)、ウログアニリン(Ugn)(米国特許第5,140,102号)およびリンホグアニリン(lymphoguanylin)(フォルトら(Forte et al.)、1999, Endocrinology 140:1800-1806 )によって活性化される。興味深いことに、これらの物質は、STと呼
ばれる細菌由来の一群のペプチド(ジアネラ(Gianella)1995, J Lab Cli n Med 125:173-181において概説されている)よりも10−100倍作用が弱い。STペプチドはGC−Cのスーパーアゴニストとみなされており、またタンパク質分解に対して非常に抵抗性が高い。
【0076】
STペプチドは腸神経系を刺激することができる(ロルフェら(Rolfe et al.)、1994
J.Physiolo 475:531-537 ;ロルフェら(Rolfe et al.)、1999 Gut 44:615-619 ;ゼッグら(Nzegwu et al. )、1996 Exp Physiol 81:313-315 )。また、cG
MPは痛みについての複数の動物モデルにおいて抗侵害受容性の効果を有することが報告されてきた(レザロ イバネズら(Lezaro Ibanez et al.)、2001 Eur J Pharmacol 426:39-44;ソアレスら(Soares et al. )、2001 British J Pharmacol 134:127-131;ジャインら(Jain et al. )、2001 Brain Res 909:170-178;アマランテら(Amarante et a l. )、2002 Eur
J Pharmacol 454:19-23)。従って、GC−Cアゴニストは、鎮痛効果ならびに抗炎症
効果の両方を有し得る。
【0077】
細菌においては、STペプチドは、一般的に少なくとも70アミノ酸を有するプレプロタンパク質に由来する。プレ領域およびプロ領域は、分泌過程の一部として切断され、その結果得られる通常20未満のアミノ酸を含む成熟タンパク質は、生物学的に活性である。
【0078】
既知の細菌STペプチドの中には以下のものがある:成熟アミノ酸配列AsnSerSerAsnTyrCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号_)を有する大腸菌(E.coli)のST Ib(モズリーら(Moseley et al.)、1983 Infect.Immun.39:1167 );成熟アミノ酸配列AsnThrPheTyrCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysAlaGlyCysTyr(配列番号_)を有する大腸菌(E.coli)のST Ia(ソーおよびマッカーシー(So and McCarthy )、1980 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4011 );成熟アミノ酸配列AsnThrPheTyrCysCysGluLeuCysCysTyrProAlaCysAlaGlyCysAsn(配列番号_)を有する大腸菌(E.coli)のSTI*(チャンおよびジアネラ(Chan and Giannella)、1981 J.Biol.Chem.256:7744 );成熟アミノ酸配列AsnThrPheTyrCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysAlaGlyCysTyr(配列番号_)を有するシトロバクター・フロインディ(C.freundii)のSTペプチド(ガリーノら(Guarino et al.)、1989 Infect.Immun.57:649);エルシニア・エンテロコリティカ(Y.enterocolitica)のSTペプチドであるY−ST(Y−STa)、Y−STb、およびY−ST
c(ホワンら(Huang et al.)、1997 Microb.Pathog.22:89において概説されている
)であってそれぞれ以下のプロ型アミノ酸配列、すなわちGlnAlaCysAspProProSerProProAlaGluValSerSerAspTrpAspCysCysAspValCysCysAsnProAlaCysAlaGlyCys(配列番号_)(ならびにY−STaのSer−7からLeu−7への改変体(配列番号_)(タカオら(Takao et al.)、1985 Eur.J.Biochem.152:199));LysAlaCysA
spThrGlnThrProSerProSerGluGluAsnAspAspTrpCysCysGluValCysCysAsnProAlaCysAlaGlyCys(配列番号_);GlnGluThrAlaSerGlyGlnValGlyAspValSerSerSerThrIleAlaThrGluValSerGluAlaGluCysGlyThrGlnSerAlaThrThrGlnGlyGluAsnAspTrpAspTrpCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysPheGlyCys(配列番号_)を有するペプチド;成熟アミノ酸配列SerAspTrpCysCysGluValCysCysAsnProAlaCysAlaGlyCys(配列番号_)を有するエルシニア・クリステンセニ(Y.kristensenii)のSTペプチド;成熟アミノ酸配列IleAspCysCysGluIleCysCysAsnProAlaCysPheGlyCysLeuAsn(配列番号_)を有するコレラ菌(V.cholerae)の非O1 STペプチド(タカオら(Takao et al.)、1985 FEBS Lett.193:250);および成熟アミノ酸配列IleAspCysCysGluIleCysCysAsnProAlaCysPheGlyCysLeuAsn(配列番号_)を有するビブリオ・ミミカス(V.mimicus )のSTペプチド(アリタら(Arita et al.)、1991 FEMS Microbiol.Lett.79:105 )。以下の表は多数の成熟STペプチドの全体または一部の配列を提供する。
【0079】
【表1】
【0080】
(表中、SEQ ID NOは配列番号を表す)。
未成熟型の(プレ領域およびプロ領域を含む)大腸菌ST−1A(ST−P)タンパク質は、配列:
mkklmlaifisvlsfpsfsqstesldsskekitletkkcdvvknnsekksenmnntfyccelccnpacagcy(配列番号_;GenBank(登録商標)受入番号P01559(gi:123711)を参照のこと)を有する。プレ配列は、アミノ酸1−19にわたる。プロ配列はアミノ酸20−54にわたる。成熟タンパク質はアミノ酸55−72にわたる。未成熟型の(プレ領域およびプロ領域を含む)大腸菌ST−1B(ST−H)タンパク質は、配列:
mkksilfiflsvlsfspfaqdakpvesskekitleskkcniakksnksgpesmnssnyccelccnpactgcy(配列番号_;GenBank(登録商標)受入番号P07965(gi:3915589)を参照のこと)
を有する。未成熟型の(プレ領域およびプロ領域を含む)エルシニア・エンテロコリティカSTタンパク質は、配列:mkkivfvlvlmlssfgafgqetvsgqfsdalstpitaevykqacdpplppaevssdwdccdvccnpa
cagc(配列番号_;GenBank(登録商標)受入番号S25659(gi:282047)を参照のこと)
を有する。
【0081】
本発明のペプチドは、細菌のSTペプチドと同様に、6個のシステイン残基を有する。これらの6個のシステイン残基は、活性型の成熟ペプチドにおいて3つのジスルフィド結合を形成する。6個のシステイン残基を、ペプチドのアミノ末端からカルボキシ末端に向かってA、B、C、D、E、およびFとすると、ジスルフィド結合は次のように、すなわち:A−D、B−E、およびC−Fとして形成される。これらの結合の形成は、GC−Cレセプターへの結合のために重要であると考えられている。本発明の特定のペプチドは、機能的キモトリプシン切断部位となりうる部位、例えばCys(B)とCys(D)との間、またはCys(E)とCys(F)との間のいずれかに位置するTrp、Tyr、またはPheを含む。いずれかのキモトリプシン切断部位で切断されると、GC−Cレセプターに結合する該ペプチドの能力は低下または喪失する。
【0082】
ヒトの体内では、不活性型のキモトリプシンであるキモトリプシノーゲンが膵臓において産生される。この不活性酵素は小腸に到達すると、2つのジペプチドが切除されて活性なキモトリプシンに変換される。活性なキモトリプシンは、ペプチドのTrp、Tyr、またはPheのカルボキシ末端側のペプチド結合を切断することができる。腸管に活性なキモトリプシンが存在すると、適切に配置された機能的キモトリプシン切断部位を有する本発明の特定のペプチドの切断をもたらす可能性がある。キモトリプシンによる切断は、ペプチドが腸管を通過するにつれて、適切に配置されたキモトリプシン切断部位を有する本発明のペプチドの作用を和らげることが予測される。
【0083】
トリプシノーゲンは、キモトリプシンと同様に、膵臓で産生されかつ消化管中に存在するセリンプロテアーゼである。その活性型であるトリプシンは、LysまたはArgを有するペプチドを切断する。腸管における活性型トリプシンの存在は、適切に配置された機能的トリプシン切断部位を有する特定の本発明のペプチドの切断をもたらし得る。キモトリプシンによる切断は、ペプチドが腸管を通過するにつれて、適切に配置されたトリプシン切断部位を有する本発明のペプチドの作用を和らげることが予測される。
【0084】
多くの胃腸障害(IBSを含む)は、腹部または内臓の痛みを伴う。特定の本発明のペプチドには、鎮痛性または抗侵害受容性のタグ(例えば、機能的キモトリプシン切断部位を創出するTrp、Tyr、もしくはPheの直後、または機能的トリプシン切断部位を創出するLysもしくはArgの直後のカルボキシ末端配列AspPheなど)が含まれる。腸管内のキモトリプシンは、そのようなペプチドのTrp残基、Phe残基、またはTyr残基に対してすぐカルボキシ末端側を切断してジペプチドAspPheを遊離する可能性がある。このジペプチドは、動物モデルにおいて鎮痛活性を有することが示されてきた(アブジッカイら(Abdikkahi et al.)、2001 Fundam Cli n Pharmacol 15:117-23;ニクファーら(Nikfar et al. )、1997 29:583-6 ;エドマンドソンら(Edmundson et al.)、1998 Clin Pharmacol Ther 63:580-93)。こうして、上記ペプチドは痛みと炎症の両方を治療し得る。他の鎮痛性ペプチドをペプチドのカルボキシ末端(機能的切断部位の後)に存在させることも可能であり、エンドモルフィン−1、エンドモルフィン−2、ノシスタチン、ダラルギン、ルプロン、およびサブスタンスPが挙げられる。多数の有用なペプチドは、コア配列:CysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyrに基づいている。ペプチドを不活性化することが可能な潜在的な機能的キモトリプシン切断部位を有する改変体を作製するために、Leu(下線部)またはThr(下線部)のいずれかをTrp、Phe、またはTyrによって置き換えてもよいし、あるいはこのLeuおよびThrの両方を(独立して)Trp、Phe、またはTyrによって置き換えてもよい。鎮痛性ジペプチドを有する改変
体を作製するために、コア配列の後にAspPheを配する。コア配列中のカルボキシ末端にTyrがあれば、AspPheジペプチドが消化管内でキモトリプシンによって遊離されることが可能となる。コア配列の前には、任意選択で、AsnSerSerAsnTyrまたはAsnが先行し得る。
【0085】
従って、有用な改変体は以下を含むコア配列に基づく:
【0086】
【化2】
【0087】
【0088】
【0089】
(ここで、SEQ ID NOは配列番号を表す)。
ある場合において、本発明のペプチドは、アミノ末端リーダー配列:
mkksilfiflsvlsfspfaqdakpvesskekitleskkcniakksnksgpesmn
を含むプレプロタンパク質として作製される。ペプチドが細菌細胞(例えば、大腸菌)で生産される場合、先行するリーダー配列は切断されて成熟ペプチドが細菌細胞から効率的に分泌される。米国特許第5,395,490号は、細菌細胞中でのSTペプチドの効率的な生産のためのベクター、発現系、および方法と、成熟STペプチドの効率的な分泌を達成するための方法とを記載している。米国特許第5,395,490号に記載されているベクター、発現系、および方法は、本発明のSTペプチドおよび改変体STペプチドを生産するために使用され得る。
【0090】
(改変体ペプチド) 本発明は、配列番号_〜_と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個(一部の実施形態においては、5未満または3未満または2以下)のアミノ酸置換を含み得る改変体ペプチドを含む。置換は保存的でも非保存的でもよい。天然型のアミノ酸は、任意のアミノ酸のD−異性体、非天然型のアミノ酸、および他の基によって置換され得る。保存的アミノ酸置換により、アミノ酸は同様の作用を有するアミノ酸、または同様の電荷、極性、または疎水性のアミノ酸へと変更される。部位によっては、保存的アミノ酸置換であってもペプチドの活性を低下する可能性がある。一般的に保存的であると見なされている天然に存在するアミノ酸置換には以下の:
【0091】
【表2】
【0092】
がある。
状況によっては、腸のGC−Cレセプターに結合して同レセプターを活性化する改変体ペプチドであって、非改変型のペプチドよりも活性が低い改変体ペプチドを用いて患者を治療することが望ましいことがあり得る。このような活性の低下は、レセプターに対するアフィニティの低下、結合したときのレセプターを活性化する能力の低下またはペプチドの安定性の低下から生じ得る。
【0093】
一部のペプチドでは、通常ジスルフィド結合を形成するCys残基対のうち一方または両方のCysが、ホモシステイン、3−メルカプトプロリン(コロジッジら(Kolodziej
et al.)、1996 Int J Pept Protein Res 48:274);β,βジメチルシステイ
ン(ハントら(Hunt et al. )、1993 Int J Pept Protein R es 42:249)、またはジアミノプロピオン酸(スミスら(Smith et al.)、1978 J Med Chem 21:117)によって置き換えられて、通常のジスルフィド結合の位置に代替的な内部架橋を形成し得る。
【0094】
(ペプチドの産生) 有用なペプチドは、細菌(大腸菌を含むがこれに限定されない)、またはペプチドもしくはタンパク質の生産のための他の既存の系(例えば、枯草菌(Bacillus subtilis )、ショウジョウバエ(Drosophila)Sf9細胞を使用するバキュロウィルス発現系、酵母または糸状菌の発現系、哺乳動物細胞発現系)のいずれかにおいて生産されてもよいし、あるいは該ペプチドが化学合成されてもよい。
【0095】
ペプチドまたは改変体ペプチドが細菌(例えば、大腸菌)中で生産される場合、ペプチドをコードする核酸分子は、細胞からの成熟ペプチドの分泌を可能にするリーダー配列もコードすることが好ましいであろう。従って、ペプチドをコードする配列は、例えば、天然に存在する細菌STペプチドの、プレ配列およびプロ配列を含み得る。分泌された成熟ペプチドは、培養培地から精製され得る。
【0096】
本発明のペプチドをコードする配列は、好ましくは、核酸分子を細菌細胞内に送達し維持することが可能であるベクター中に挿入される。DNA分子は、自律的に複製するベクター(適切なベクターには、例えば、pGEM3ZおよびpcDNA3、ならびにそれらの誘導体)内に挿入され得る。ベクター核酸は、細菌またはバクテリオファージのDNA(例えばバクテリオファージλまたはM13およびそれらの誘導体)であり得る。本明細書中に記載された核酸を含むベクターを構築した後に、宿主細胞(例えば、細菌)を形質転換する。適切な細菌宿主には、大腸菌(E.coli)、枯草菌(B.subtilis)、シュードモナス(Pseudomonas )、サルモネラ(Salmonella)が含まれるがこれらに限定されない
。遺伝子構築物はまた、本発明のペプチドをコードする核酸分子に加えて、発現を可能にするエレメント(例えばプロモーター配列および調節配列など)を含む。発現ベクターは、転写開始を制御する転写制御配列(例えばプロモーター配列、エンハンサー配列、オペレーター配列、およびリプレッサー配列など)を含み得る。種々の転写制御配列が当業者に周知である。発現ベクターはまた、翻訳調節配列(例えば、5’非翻訳配列、3’非翻訳配列、または内部リボソーム進入部位)を含み得る。ベクターは自律的に複製可能でもよいし、またはペプチド生産の間確実に安定であるように宿主DNAに組み込まれてもよい。
【0097】
本発明のペプチドを含むタンパク質コード配列はまた、精製を容易にするために、ポリペプチドのアフィニティタグ(例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、プロテインA、FLAGタグ、ヘキサ−ヒスチジン、mycタグまたはインフルエンザHAタグ)をコードする核酸に融合されてもよい。アフィニティタグまたはレポーターの融合によって、目的のペプチドのリーディングフレームがアフィニティタグをコードする遺伝子のリーディングフレームに結合され、その結果翻訳融合物が生成される。融合遺伝子が発現すると、目的のペプチドとアフィニティタグの両方を含む単一のポリペプチドが翻訳される。アフィニティタグが利用される一部の例では、プロテアーゼ認識部位をコードするDNA配列が、アフィニティタグのリーディングフレームと、目的のペプチドのリーディングフレームとの間に融合される。
【0098】
当業者に周知の細菌以外のタンパク質発現系において本発明のペプチドおよび改変体を未成熟型および成熟型で生産するために適切な遺伝子構築物および方法もまた、生物学的系においてペプチドを生産するために使用され得る。
【0099】
成熟ペプチドおよびその改変体は、自動ペプチドシンセサイザーを使用する固相法によって合成され得る。例えば、ペプチドは、ダブルカップリングプログラムを使用して、Cyc(4−CH2 Bxl)−OCH2−4−(オキシメチル)−フェニルアセトアミドメチル樹脂上で合成され得る。保護基は、正確なジスルフィド結合パターンが作製されるように適切に使用されなければならない。例えば、以下の保護基:t−ブチルオキシカルボニル(α−アミノ基);アセトアミドメチル(Cys残基(B)および(E)のチオール基);4−メチルベンジル(Cys残基(C)および(F)のチオール基);ベンジル(グルタミン酸のy−カルボキシルおよびスレオニンのヒドロキシル基(存在する場合));およびブロモベンジル(チロシンのフェノール基、存在する場合)が使用され得る。カップリングは、t−ブトキシルカルボニルアミノ酸の対称無水物またはヒドロキシベンゾトリアゾールエステル(アスパラギン残基またはグルタミン酸残基について)を用いて実施し、そしてペプチドを脱保護され、フッ化水素、硫化ジメチル、アニソール、およびp−チオクレゾールの8/1/1/0.5比(v/v/v/w)の中、0℃で60分間処理して固相支持体から切断する。減圧によるフッ化水素および硫化ジメチルの除去、ならびにエチルエーテルおよび酢酸エチルを連続して用いる抽出によるアニソールおよびp−チオクレゾールの除去後、粗精製ペプチドを、0.5Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)およびN,N−ジメチルホルムアミドの1/1(v/v)混合物で抽出する。Cy
s残基(B)および(E)のジスルフィド結合はジメチルスルホキシドを使用して形成させる(タムら(Tam et al.)、1991 J.Am.Chem.Soc.113:6657-62)。得られるペプチ
ドを逆相クロマトグラフィーによって精製する。Cys残基(C)および(F)の間のジスルフィド結合は、ペプチドを50%酢酸水溶液中に最初に溶解することによって形成させる。氷酢酸中の飽和ヨード溶液を加える(100ml溶液あたり1mlヨード溶液)。密封したガラス容器中、室温で2日間インキュベートした後、該溶液を脱イオン水で5倍希釈し、未反応のヨードを除去するためエチルエーテルで4回抽出する。遠心濃縮により残存するエチルエーテルを除去した後、粗生成物の溶液を凍結乾燥し、続いて逆相クロマトグラフィーにより精製する。
【0100】
(腸のGC−Cレセプター結合アッセイ) ペプチドおよびその他の薬剤の、腸のGC−Cレセプターへの結合能力は、以下のように試験され得る。T84ヒト結腸がん腫細胞株(アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Ty pe Culture Collection)(米国メリーランド州ベデスダ所在))の細胞を、5%胎仔ウシ血清を補充した、ハムF12培地およびダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の1:1混合物を用いて24ウェル培養プレート中でコンフルエントになるまで増殖させる。アッセイにおいて使用される細胞は、典型的には継代数54−60の間の細胞である。手短に述べると、24ウェルプレート中のT84細胞の単層を、1mlの結合緩衝液(0.05%ウシ血清アルブミンおよび25mM HEPES、pH 7.2を含むDMEM)で2回洗浄し、次いで、放射活性物質で標識された大腸菌の成熟STペプチドおよび種々の濃度の試験物質の存在下で37℃にて30分間インキュベートする。次いで、この細胞を1mlDMEMで4回洗浄し、0.5ml/ウェルの1N NaOHで可溶化する。次いで、可溶化された物質中の放射活性のレベルを、標準的な方法を使用して決定する。
【実施例1】
【0101】
[改変体STペプチドおよび野生型STペプチドの調製]
(1a:組換えによる改変体STペプチドおよび野生型STペプチドの調製)
MD−915と呼ばれる改変体STペプチドを組換えにより再生産し、動物モデルにおいて試験した。MD−915は以下の配列:AsnSerSerAsnTyrCysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−−−)を有する。野生型STペプチドの配列を有するペプチドも作製した(MM−416776)。
【0102】
MD−915ペプチドおよびMM−416776ペプチドを、以下のように作製したベクターを使用してプレプロタンパク質として生産した。熱安定性エンテロトキシンのプレプロ配列コードする配列を、オリゴヌクレオチドMO3514(5’CACACCATATGAAGAAATCAATATTATTTATTTTTCTTTCTG 3’(配列番号 ))およびオリゴヌクレオチドMO3515(5’CACACCTCGAGTTAGGTCTCCATGCTTTCAGGACCACTTTTATTAC 3’(配列番号 ))を使用して、pGK51/pGSK51(ATCC67728)から増幅した。増幅生成物であるフラグメントをNdeI/XhoIで消化し、NdeI/XhoIで消化したT7発現ベクターpET26b(+)(ノバゲン(Novagen ))にライゲーションす
ることによってプラスミドMB3976を作製した。プレプロタンパク質をコードする領域を配列決定し、アミノ酸配列:mkksilfiflsvlsfspfaqdakpagsskekitleskkcnivkksnksgpesm(配列番号 )をコードすることが見出されたが、この配列は、熱安定性エンテロトキシンa2前駆体のアミノ酸配列(sta2:mkksilfiflsvlsfspfaqdakpagsskekitleskkcnivkknnesspesm(配列番号_)GenBank(登録商標)受入番号Q47185、GI:3913876)のアミノ酸配列とは、C末端近くの3つの部位(下線部)で異なっている。プレプロ配列を有する発現ベクターを作製するために
、各々STペプチド改変体または野生型STペプチドをコードする相補性オリゴをアニーリングし、そしてMB3976発現ベクターにクローニングした。プレプロ配列の下流に融合されたアミノ酸配列NSSNYCCELCCNPACTGCY(配列番号_)を含むMB3984(プレプロタンパク質としてMM−416776ペプチド(完全長の野生型STペプチド)をコードする)を作製するために、MB3976をBsaI/XhoIで消化し、アニーリングしたオリゴMO3621(5’GCATGAATAGTAGCAATTACTGCTGTGAATTGTGTTGTAATCCTGCTTGTACCGGGTGCTATTAATAAC 3’(配列番号_))およびMO3622(5’TCGAGTTATTAATAGCACCCGGTACAAGCAGGATTACAACACAATTCACAGCAGTAATTGCTACTATTC3’(配列番号_))にライゲーションした。プレプロ配列の下流に融合された以下のアミノ酸配列、NSSNYCCEYCCNPACTGCYを含むMB3985(プレプロタンパク質としてMD−915をコードする)を作製するために、MB3976をBsaI/XhoIで消化し、アニーリングしたオリゴMO3529(5’GCATGAATAGTAGCAATTACTGCTGTGAATATTGTTGTAATCCTGCTTGTACCGGGTGCTATTAATAAC 3’(配列番号_))およびMO3530(5’TCGAGTTATTAATAGCACCCGGTACAAGCAGGATTACAACAATATTCACAGCAGTAATTGCTACTATTC3’(配列番号_))にライゲーションした。
【0103】
MD−915ペプチドおよびMM−416776ペプチドを以下のように産生させた。発現ベクターで大腸菌宿主BL21λDE3(インビトロジェン(Invitrogen))を形質転換した。単一コロニーをLブロス+25mg/lカナマイシン中に接種し、振盪しながら30℃で一晩増殖させた。一晩培養物を、3.2Lのバッチ培地(グルコース25g/l、カザミノ酸5g/l、酵母抽出物5g/l、KH2PO4 13.3g/l、(NH4)2HPO4 4g/l、MgSO4−7H2O 1.2g/l、クエン酸1.7g/l、EDTA 8.4mg/l、CoCl2−6H2O 2.5mg/l、MnCl2−4H2O 15mg/l、CuCl2−4H2O 1.5mg/l、H3BO3 3mg/l、Na2MoO4−2H2O 2.5mg/l、酢酸亜鉛二水和物13mg/l、クエン酸酸化鉄100mg/l、カナマイシン25mg/l、消泡剤DF2O4 1mg/l)に加え、以下の処理パラメーター:pH 6.7−塩基(28% NH4OH)のみを用いて制御、30℃、曝気処理:5リットル/分、を使用して発酵させた。バッチ培地のグルコースを最初に消費(溶存酸素(DO)レベルをモニタして判断)した後、1.5Lの供給培地(グルコース700g/l、カザミノ酸10g/l、酵母抽出物10g/l、MgSO4−7H2O 4g/l、EDTA 13mg/l、CoCl2−6H2O 4mg/l、MnCl2−4H2O 23.5mg/l、CuCl2−4H2O 2.5mg/l、H3BO3 5mg/l、Na2MoO4−2H2O 4mg/l、酢酸亜鉛二水和物16mg/l、クエン酸酸化鉄40mg/l、消泡剤DF2O4 1mg/l)を、20%DOを維持するように制御された供給速度で加えた。IPTGを、供給開始から2時間後に0.2mMまで加えた。全体の実行時間は約40−45時間であった(供給培地を消費するまで)。
【0104】
細胞を5,000gで10分間の遠心分離によって収集した。細胞ペレットを廃棄し、上清を、50Kd限外濾過ユニットに通した。50Kd濾過物(0.6リットル)を110ml Q‐Sepharose(登録商標)ファストフローカラム(アマシャム ファルマシア(Amersham Pharmacia)、20mM Tris−HCl(pH7.5)で平衡
化)に、400ml/時間の流速でロードした。このカラムを、6倍容量の20mM Tris−HCl(pH7.5)で洗浄し、タンパク質を50mM酢酸で溶出させて50ml画分を収集した。STペプチド改変体または野生型STペプチドを含む画分をプールし、遠心濃縮処理によって溶媒を除去した。乾燥した同タンパク質を10mlの8%酢酸、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)中に再懸濁し、Varian Polaris(登
録商標)C18−Aカラム(250×21.2mm 10μm、同じ緩衝液中で平衡化)に、20ml/分の流速でロードした。カラムを、100mlの8%メタノール、0.1%
TFAで洗浄し、そして24〜48%グラジエントのメタノール、0.1% TFA(300ml)で展開し、5ml画分を収集した。ペプチドを含む画分をプールし、溶媒を遠心濃縮処理によって除去した。ペプチドを0.1%TFA中に溶解し、凍結乾燥した。
【0105】
MD−915ペプチドおよびMM−416776ペプチドの画分を標準的なLCMSおよびHPLCによって分析した。LCMS分析から、MD−915がMM−416776よりも均質であることが示された(図1aを参照のこと;MD−915ペプチド(パネルB)がMM−416776(パネルA)よりもピークが少ないことに注意されたい)。
【0106】
(1b:合成による改変体STペプチドおよび野生型STペプチドの調製)
ペプチドは、商業的なペプチド合成会社によって化学合成された。化学合成の効率に依存して様々な収量のペプチドが得られた。これら4種のペプチドは、収量の多い順番に、CysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−−;MD−1100)、収量10−20%;CysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−−;MM416774);AsnSerSerAsnTyrCysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−−;MD−915);AsnSerSerAsnTyrCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−−;MM−416776)、収量<5%であった。従って、ペプチドに導入された特定のアミノ酸変化により、製造上の特性を改善しうる。
【0107】
図1bは、合成により製造されたMD−1100の全イオンクロマトグラフのプロファイルを示す。図1cは対照のブランク試料の全イオンクロマトグラフのプロファイルを示す。MD−1100試料中には1つの主要なピークが存在し、このピークは対照試料には存在しない。定量的分析は、MD−1100が98%をこえる純度であることを示唆している。
【実施例2】
【0108】
[改変体STペプチドおよびSTペプチドによる腸のGC−Cレセプターの活性化]
MD−915、MM−416776、およびMD−1100が腸のGC−Cレセプターを活性化する能力について、T84ヒト結腸がん腫細胞株(アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(米国メリーランド州ベデスダ
所在))を用いたアッセイにおいて評価した。このアッセイのために、細胞を、5%胎仔ウシ血清を補充したハムF12培地およびダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の1:1混合物を用いて24ウェル培養プレート中でコンフルエントになるまで増殖させ、継代数54−60の間で使用した。
【0109】
手短に述べると、24ウェルプレート中のT84細胞の単層を、1ml/ウェルのDMEMで2回洗浄し、次いで、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ阻害剤である1mMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含む0.45mlのDMEMとともに37℃で10分間インキュベートした。次いで、試験ペプチド(50μl)を加え、37℃で30分間インキュベートした。培地を吸引除去した後、氷冷した0.5mlの0.1N HClの付加によって反応を終結させた。試料を氷上に20分間保ち、次いで、ヒートガンまたは真空遠心分離を使用して蒸発乾固させた。この乾燥試料を、ケイマンケミカル社のサイクリックGMP EIAキット(ケイマンケミカル(Cayman Chemical )、米国ミシガン州アナーバー所在)のリン酸緩衝液0.5ml中に再懸濁した。サイクリックGM
Pを、ケイマンケミカル サイクリックGMP EIAキットにおいて概説された手順に従いEIAによって測定した。
図2は、このGC−Cレセプター活性アッセイにおける、化学合成されたペプチド改変体の活性を示す。本アッセイにおいて、MM−416776および2つの異なるMD−1100ペプチド(2つの異なる方法によって合成された、MD−1100(a)およびMD−1100(b))は、MM−416776に匹敵する活性を有した。MD−915およびMM−416776ペプチドは、MD−1100(b)と同一の様式で化学合成されたものである。
【実施例3】
【0110】
[MD−915およびMM−416776はマウスにおける腸内輸送を増大させる]
ペプチドが胃腸内輸送速度を増大させるか否かを決定するために、ペプチドおよび対照を、マウス胃腸内輸送(GIT)アッセイ(ムーンら(Moon et al. )Infect
ion and Immunity 25:127,1979年)を使用して試験した。このアッセイにおいて、胃腸管内で視覚的な認識が容易な木炭を、試験化合物の投与後にマウスに投与する。木炭が移動した距離を測定し、結腸の全長に対する割合(%)として表現する。
【0111】
ペプチドまたは対照の緩衝液で処理する前に、水を自由摂取としてマウスを12〜16時間絶食させた。緩衝液(20mM Tris、pH7.5)中のペプチドを、1μg/kg−1mg/kg経口投与し、その7分後に5%活性炭(アルドリッチ(Aldrich )
242276−250G))を経口投与した。対照マウスには、活性炭の投与の前に緩衝液のみを投与した。15分後にマウスを屠殺し、その胃から盲腸までの腸管を解剖した。腸の全長ならびに胃から木炭が移動した最前部までの距離を各動物について測定し、その結果を、木炭が腸を移動した最前部までの腸の全長に対する割合(%)として表現する。すべての結果を、マウス10匹の平均±標準偏差として報告する。ペプチドで処理したマウスとビヒクル単独で処理したマウスとの間の木炭が移動した距離の比較を、スチューデントのt検定を使用して実施し、統計学的に有意な差をp<0.05とした。P値は、分散が等しくないと仮定して両側T検定を使用して計算する。
【0112】
図3a、bにおいて見られるように、野生型STペプチド(MM−416776、(シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich )、米国ミズーリ州セントルイス所在));0.
1mg/kg)、合成により製造されたMD−1100、ならびにZelnorm(登録商標)(0.1mg/kg)(セロトニンレセプター5HT4のアゴニストである、IBSに対して認可された薬物)は、このモデルにおいて胃腸管輸送速度を増大させる。図4aは、腸内輸送速度が、組換え合成されたMM−416776またはMD−915のいずれにおいても投薬量の増加に伴って増大することを実証する研究の結果を示す。図4bは、化学合成されたMM−416776またはMD−1100ペプチドのいずれも、Tris緩衝液単独または等用量のZelnorm(登録商標)よりも腸内輸送速度を増大させることを実証する研究の結果を示す。
【0113】
同一の実験を、MD−1100が長期投与治療計画において有効であるか否かを決定するために実施した。手短に述べると、8週齢の雌のCD1マウスに、MD−1100(20mM Tris(pH7.5)中、0.06mg/kgまたは0.25mg/kg)またはビヒクル単独(20mM Tris、pH7.5)のいずれかを、1日1回5日間、経口的に投薬する。5日目に、200μlの10%木炭溶液が投与される以外は上記と同じようにGITアッセイを実施した。図4cは、化学合成されたMD−1100またはZelnorm(登録商標)のいずれも長期投与(5日間毎日)の場合にマウスの胃腸運動アッセイにおいて有効であることを実証する研究の結果を示す。これらの結果は、短期投与(1日)と並列に示されている。
【実施例4】
【0114】
[MD−915ペプチドおよびMM−416776ペプチドは乳飲みマウスにおける腸分泌を増加させる(SuMiアッセイ)]
MM−416776ペプチドおよびMD−915を、腸分泌を増加させるその能力について、乳飲みマウスの腸分泌モデルを使用して試験した。このモデルでは、7〜9日齢の乳飲みマウスに試験化合物を投与する。マウスの屠殺後、胃から盲腸までの胃腸管を切除する(「腸」)。その残り(「屠体」)ならびに腸を重量測定し、腸の屠体に対する重量比を計算する。この比が0.09を上回る場合、試験化合物が腸分泌を増加させると結論付けられ得る。図5aは、このモデルにおける野生型STペプチド(MM−416776)についての用量応答曲線を示す。図5bは、このモデルにおけるMD−1100ペプチドについての用量応答曲線を示す。これらのデータは、野生型STペプチド(米国ペンシルベニア州ウェストチェスター所在のTDT社から購入)およびMD−1100ペプチドが腸分泌を増加させることを示している。Zelnorm(登録商標)の効果についても研究した。図5からわかるように、0.2mg/kgのZelnorm(登録商標)はこのモデルにおいて腸分泌を増加させない。図6aは、上記の組換えMM−416776ペプチドおよび上記の組換えMD−915ペプチドについての用量応答曲線を示す。図6aからわかるように、いずれのペプチドもこのモデルにおいて腸分泌を増加させる。同様に、図6bは、化学合成されたMD−915、MD−1100、およびMM−416776、ならびに野生型STペプチド(米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマ−アルドリッチから購入)についての用量応答曲線を示す。
【0115】
(慢性痛覚過敏の動物モデル) 結腸直腸の拡張に対する痛覚過敏は、IBS患者において一般的であり、主要な痛みの症状の原因であり得る。IBSにおける内臓の痛みに対する化合物の効果を研究するために、拡張に対する内臓痛覚過敏の炎症性動物モデルおよび非炎症性動物モデルの両方が開発されている。
【0116】
I.トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)誘発性直腸異痛症モデル
雄のウィスター(Wistar)ラット(220−250g)に、0.5mg/kgのアセプロマジンをあらかじめ腹腔内(IP)投与し、そして100mg/kgのケタミンの筋肉内投与によって麻酔した。ニクロム線の電極対(長さ60cm、直径80μm)を、腹部横紋筋に、白線から2cm側方に埋め込んだ。電極の遊離端を首の後ろ側に露出させ、皮膚に取り付けたプラスチック管で保護した。筋電図(EMG)の記録を手術の5日後に開始した。腹部横紋筋の電気的活性を、脳波計(Mini VIII、フランス国パリ所在のアルバー(Alvar ))を用いて、低周波数シグナル(<3Hz)を除去するために短
い時定数(0.03秒)を使用して記録した。
【0117】
外科的埋め込みの10日後、直腸の炎症を誘発するためにトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を投与した。TNBS(0.3mlの50%エタノール中80mg/kg)を、報告されているように(モルトら(Morteau et al.)、1994 Dig Dis Sci 39:1239)、軽度のジエチルエーテル麻酔下で肛門から3cmの位置に導入されたシリコンラバーカテーテルを通して直腸内投与した。TNBS投与後、ラットをプラスチックトンネル内に入れ、結腸直腸拡張(CRD)の前の数日間、ラットの動きを厳しく制限した。実験化合物をCRDの1時間前に投与したが、投与はラテックス製コンドームから作られた4cm長のバルーンを直腸内の肛門から1cmの位置へ挿入することによって実行された(グエら(Gue et al.)、1997 Neurogastroenterol.Motil.9:271 )。このバルーンを、塞栓除去プローブ(フォガルティー(Fogarty ))から取り外した強固なカテー
テル上に固定した。このカテーテル装着バルーンを、尾の基部に固定した。バロスタットに接続したバルーンを、2000Pa(15mmHg)ごとに0から8000Pa(0から60mmHg)まで漸進的に膨張させ、各々の膨張状態を5分間維持した。EMGによ
って測定される直腸感受性の評価は、TNBSの直腸滴注の前(1−2日間)および3日後に実行した。
【0118】
腹部の収縮に対応する5分間あたりのスパイクの突発(バースト)数を測定した。腹部収縮の数および用量−効果の相関の評価を、一元分散分析(ANOVA)に続くポストホック(スチューデント検定またはダネット検定)、ならびに適切な場合はED50について回帰分析を実施することによって統計学的に分析した。
【0119】
図7は、MD−1100活性をTNBS結腸直腸モデルにおいて分析した実験の結果を示す。腹部の応答の有意な減少が0.3μg/kgおよび3μg/kgのMD−1100において観察される。これらの結果は、MD−1100がこの動物モデルにおいて結腸直腸の拡張に関連した痛みを減少することを実証している。
【0120】
II.ストレス誘発性の痛覚過敏モデル
TNBSモデルと同様に、雄のウィスターラット(200−250g)にニクロム線の電極を外科的に埋め込む。外科的埋め込みの10日後、部分的な拘束ストレス(PRS)を、ウィリアムスら(W illiams et al. )によって報告されているように2時間実行する(ウィリアムスら、1988 Gastroenterology 64:611)。手短に述べると、軽度のエチルエーテル麻酔下で、前肩、上前肢、および胸部体幹を、身体の動きを制限するが妨害しないように紙テープ製の収容装具で包む。対照の偽ストレス動物は麻酔するが包まない。PRS時間の終わりの30分前に、動物に試験化合物またはビヒクルを投与する。PRS完了の30分〜1時間後に、TNBSモデルについて上記に記載したように、バロスタットを用いて2000、4000、6000、および8000Pa(15、30、45、および60mmHg)の圧力でCRD拡張処置を実行する。バーストの数についての統計学的分析を、上記のTNBSモデルと同様に決定および分析する。
【0121】
(フェニルベンゾキノン誘発性ライジングモデル) 本発明のペプチドおよびGC−Cレセプターアゴニストの痛み制御活性を評価するために、PBQ誘発性ライジングモデルを使用可能である。このモデルは、ジークムントら(Siegmunt et al. )(1957
年、Proc.Soc.Exp.Bio.Med.95:729-731 )によって報告されている。手短に述べると、
試験化合物、例えば、ペプチド、モルヒネ、またはビヒクルを経口投薬した1時間後に、0.02%フェニルベンゾキノン(PBQ)溶液(12.5mL/kg)を、腹腔内径路によってマウスに注射する。伸張反応およびライジングの数を、PBQ注射の5分後から10分後まで記録するが、動態学的に評価するために35分後〜40分後および60分後〜65分後に計数してもよい。結果を、伸張反応およびライジングの数(平均±SEM)として表現し、侵害受容反応の閾値の変動率をビヒクル処理群の平均値から計算する。処理群と対照群との間の全ての差異の統計学的有意性を、SigmaStat(登録商標)ソフトウェアを使用して、一元分散分析(P<0.05)後の残差分散を使用するダネット検定によって決定する。
【0122】
図8aおよび8bは、PBQライジングアッセイにおける、異なる用量のMD−915およびMD−1100の効果を示す。疼痛制御活性を有することが知られているNSAID(非ステロイド性抗炎症剤)であるインドメタシンを、アッセイにおける陽性対照として使用した。ビヒクル対照と比較して、MD−915(1mg/kg用量)およびMD−1100(2.5mg/kg用量)についてはライジングの有意な減少が観察された。類似の方法で試験された多数の他の化合物(例えば5HT−3アンタゴニスト)についても、試験した最大用量での効力の損失が観察されている。この研究の結果は、MD−915とMD−1100のいずれも、この内臓の疼痛モデルにおいて、中程度の用量のインドメタシンに匹敵する抗侵害受容性効果を有することを示唆している。
【実施例5】
【0123】
[MD−1100のKd決定]
ラット腸粘膜において見出されたGC−Cレセプターに対するMD−1100のアフィニティを決定するために、ラット腸上皮細胞を使用して競合的結合アッセイを実施した。ラットの小腸の上皮細胞を、ケスラーら(Kessler et al.)(J.Biol.Chem.245:5281-5288 (1970年))に記載されているようにして得た。手短に述べると、動物を屠殺
して腹腔を露出させ、小腸を300mlの氷冷生理食塩水またはPBSですすいだ。幽門から測定して10cmの位置で小腸10cmを取り出し、2.54センチメートル(1インチ)の断片に切断した。この腸を、1枚のpalafilm(登録商標)とP−1000ピペットチップとの間で穏やかに加圧することによって腸粘膜を押し出した。腸上皮細胞を2mlのPBS中に入れ、5mlピペットを用いて上下にピペッティングして細胞の懸濁液を作製した。この懸濁液中のタンパク質濃度を、ブラッドフォード法を使用して測定した(Anal.Biochem.72.248-254 (1976年))。 競合的結合アッセイを、ジェ
ネラら(Giannella et al.)(Am. J.Physiol.245:G492-G498)の方法に基づいて、[125I
]標識したMM−416776とMD−1100との間で実施した。アッセイ混合液には、20mM HEPES−KOH(pH7.0)を含む0.5mlのDME、上記に列挙した細胞懸濁液0.9mg、21.4fmol[125I]−MM−416776(42.8pM)、および様々な濃度の競合物MD−1100(0.01〜1000nM)を含めた。この混合液を室温で1時間インキュベートし、混合物をガラス繊維フィルターGF/B(ワットマン(Whatman ))で処理することによって反応を停止させた。フィルタ
ーを5ml氷冷PBSで洗浄し、放射活性を測定した。図9は、このアッセイにおけるMD−1100のKdが4.5nMであることを示している。%B/Boは、各試料中で捕捉された放射活性(B)を、非放射性の競合物を含まない対照試料中の放射活性(Bo)に対して比較した割合(%)である。ジェネラら(Giannella et al.)(Am.J.Physiol.245:G492-G498)は、このアッセイにおける野生型STペプチドについてのKdが約13nMであることを観察している。
【実施例6】
【0124】
[MD−1100の薬物動態学的特性]
MD−1100を薬物動態学的に検討するために、マウスにおける吸収性試験を実施した。吸収性試験は、8週齢のCD1マウスに、尾静脈注射を介して静脈内に、または胃管栄養法によって経口的にMD−1100を投与することによって実施した。種々の時点で動物から血清を収集してMD−1100の存在について試験したが、この試験には競合的ELISA法(オキソイド(Oxoid )のST EIAキット、カタログ番号TD070
0)を使用した。このアッセイでは、STペプチドに対するモノクローナル抗体(抗体はオキソイドキット内に供給されている)および合成により製造されたMD−1100を使用した。図10aは、ELISA法によって検出された、静脈内投与および経口投与されたMD−1100についての吸収データを示す。MD−1100は、全身的に吸収されるのはごくわずかのようであり、生物学的利用率は<2.2%である。
【0125】
同様の生物学的利用率の検討を実施したが、この検討においては、MD−1100を検出するためにELISAではなくLCMSを使用した。最初に、曝露マウスおよび対照マウスの全血から血清試料を抽出し、次いで、さらに処理はせずに、インラインの固相抽出(SPE)カラム(ウォーターズ(Waters)Oasis(登録商標)HLB 25mmカラム、2.0×15mm直接接続)に直接注入した(10mL)。SPEカラム上の試料を、5%メタノール、95% dH2O溶液で洗浄し(2.1mL/分、1.0分間)、次いで、SPEカラムの流路を反転させて分析カラム(ウォーターズXterra(登録商標)MS C8 5mm ISカラム、2.1×20mm)へ配置するバルブスイッチを使用して分析カラムにロードした。逆相グラジエント(移動相A:dH2O中10mM
水酸化アンモニウム、移動相B:80%アセトニトリル+20%メタノール中10mM水酸化アンモニウム;最初の3分間を20%Bとし、次いで4分間かけて95%Bまで上昇させ、2分間保持する。流速はすべて0.4mL/分)を用いて、分析カラムから試料を溶出させた。9.1分の時点では、グラジエントは最初の20%Bの条件に1分間で戻る。MD−1100は1.45分で分析カラムから溶出し、三連四重極質量スペクトル分析によって検出した(MRM、764(+2電荷状態)>182(+1電荷状態)Da;コーン電圧=30V;コリジョンエネルギー=20eV;親イオンの質量幅=2Da(ベースピーク);子イオンの質量幅=2Da(ベースピーク))。同じ手順を使用して調製しマウス血清に注入した既知量の化学合成MD−1100を用いた標準曲線との比較によって、機器の応答を濃度単位に変換した。
【0126】
図10bは、LCMSによって検出された、IV投与または経口投与されたMD−1100についての吸収データを示す。このアッセイにおいても同様に、MD−1100は、全身的に吸収されるのはごくわずかのようであり、生物学的利用率は<0.11%である。
【0127】
(ペプチドおよびGC−Cレセプターアゴニストの投与) 胃腸障害の治療のために、本発明のペプチドおよびアゴニストが、経口的に(例えば、錠剤、ゲル、ペースト、スラリー、リキッド、散剤、または何らかの他の形態で)投与されることが好ましい。経口投与される組成物は、結合剤、香料、および湿潤剤を含み得る。ペプチドおよびアゴニストは、胃腸障害を治療するために使用される他の薬剤(例えばヒスタミンH2レセプターアゴニスト(H2A)およびプロトンポンプ阻害剤(PPI)などの制酸剤を含むがこれらに限定されない)と同時投与され得る。ペプチドおよびアゴニストはまた、直腸坐剤によっても投与され得る。胃腸管の外の障害(例えばうっ血性心不全および良性前立腺過形成)の治療のためには、ペプチドおよびアゴニストを非経口的に投与することも経口的に投与することも好ましい。 本明細書中に記載されるペプチドは、単独で使用されても他の薬剤と組み合わせて使用されてもよい。例えば、本発明のペプチドは、鎮痛ペプチドまたは鎮痛性化合物と一緒に投与され得る。鎮痛ペプチドまたは鎮痛性化合物は、本明細書中に記載されるペプチドに共有結合されてもよいし、または併用療法において本明細書中に記載されるペプチドと同時もしくは連続的に投与される別個の薬剤であってもよい。
【0128】
併用療法は、2つまたはそれ以上の薬剤(例えば、本明細書中に記載されるペプチドと鎮痛ペプチドまたは鎮痛性化合物)をそれぞれ別々に製剤化および投与することによって行われてもよいし、2つまたはそれ以上の薬剤を単一の製剤として投与することによって行われてもよい。他の組み合わせもまた併用療法に含まれる。例えば、2つの薬剤を一緒に製剤化し、第3の薬剤を含む別個の製剤と組み合わせて投与されてもよい。併用療法において2つまたはそれ以上の薬剤が同時に投与されてもよいが、必須ではない。例えば、第1の薬剤(または薬剤の組み合わせ)が、第2の薬剤(または薬剤の組み合わせ)の投与よりも数分間、数時間、数日間、または数週間先に投与されてもよい。従って、2つまたはそれ以上の薬剤は、互いに数分間以内に投与されてもよいし、互いに1、2、3、6、9、12、15、18、もしくは24時間以内、または互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14日以内、または互いに2、3、4、5、6、7、8、9または10週間以内に投与されてもよい。場合によっては、より長い間隔とすることさえ可能である。多くの場合において、併用療法において使用される2つまたはそれ以上の薬剤は患者の身体中に同時に存在することが望ましいが、このことは必須ではない。
【0129】
併用療法はまた、組み合わせて使用される薬剤のうち1つまたは複数を2回以上投与することを含み得る。例えば、薬剤Xおよび薬剤Yが組み合わせて使用される場合、これらを任意の組み合わせで1回またはそれ以上、例えば、X−Y−X、X−X−Y、Y−X−Y、Y−Y−X、X−X−Y−Yなどの順番で連続的に投与し得る。
【0130】
薬剤は、単独であっても組み合わせであっても、任意の薬学的に許容可能な担体または媒体と組み合わせ得る。従って、薬剤は、患者に投与された場合に、有害な反応、アレルギー性の反応、またはその他の望ましくない反応を生じない材料と組み合わせ得る。使用されるこれらの担体または媒体には、溶媒、分散剤、被覆剤、吸収促進剤、放出制御剤などが含まれ得る。
【0131】
遊離の形態または塩のいずれかの薬剤を、持続放出製剤を作製するために、ポリマー、例えば、ポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)、ポリ−(I)−乳酸−グリコール酸−酒石酸(P(I)LGT)(国際公開公報第01/12233号)、ポリグリコール酸(米国特許第3,773,919号)、ポリ乳酸(米国特許第4,767,628号);ポリ(ε−カプロラクトン)と組み合わせることが可能である。このような製剤はインプラントにおいて使用可能であり、該インプラントは、ポリマー、ポリマーの粒子サイズ、およびインプラントのサイズに依存して、数日間、数週間、または数ヶ月間の期間にわたってペプチドまたは別の薬剤を放出する(例えば、米国特許第6,620,422号を参照のこと)。その他の持続放出製剤は、欧州特許出願公開第0 467 389 A2号、国際公開公報第93/241150号、米国特許第5,612,052号;国際公開公報第97/40085号、国際公開公報第94/155587号、米国特許第5,672,659号、米国特許第5,893,985号、米国特許第5,134,122号、米国特許第5,192,741号、米国特許第5,192,741号、および米国特許第5,445,832号に記載されている。このような持続放出製剤においては、ペプチドの微粒子がポリマーの微粒子と組み合わされる。1つまたはそれ以上の持続放出インプラントが、大腸、小腸または両方に配置され得る。
【0132】
本発明の薬剤は、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、または他の経路によって投与され得る。薬剤は、経口的に、例えば、錠剤、ゲル、ペースト、スラリー、リキッド、散剤、または何らかの他の形態で投与され得る。経口投与される組成物は、結合剤、香料、および湿潤剤を含み得る。本発明の薬剤は歯磨剤または口腔洗浄剤に含まれ得る。従って、経口製剤は研磨剤および発泡剤を含み得る。本発明の薬剤はまた、経皮的にまたは坐剤の形態で投与され得る。
【0133】
本発明の薬剤は、遊離の酸もしくは塩基、または薬学的に許容可能なそれらの塩であり得る。固体は、投与の直前またはそれより前に溶解または分散されてもよい。状況によっては、調製物は、微生物の増殖を防ぐための保存剤を含む。注射に適した薬学的形態には、滅菌水または有機溶剤の溶液または分散液(例えば、水、アルコール、有機溶媒、オイル、または他の溶媒もしくは分散剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および植物性オイル)を含む)が挙げられる。薬学的薬剤は、フィルター滅菌または他の適切な手段によって滅菌され得る。
【0134】
本発明に従う適切な薬学的組成物は一般的に、一定量の活性化合物を、許容可能な薬学的な希釈剤または賦形剤(例えば、滅菌水溶液など)とともに、意図される用途に応じて一定の範囲の最終濃度となるように含むであろう。調製の技術は、レミントンの薬剤科学(Remington's Pharmaceutical Sciences )第18版、マックパブリッシング社(Mack Publishing Company )、1995年によって例示されるように、当該分野において一般に知られている。
【0135】
本明細書中に記載される薬剤および併用療法薬剤は、各々個別に包装または製剤化された2以上の薬剤の単一または複数の投与単位形態、あるいは組み合わせて包装または製剤化された2以上の薬剤の単一または複数の投与単位形態を含むキットとして包装され得る。従って、第1の容器内に1種またはそれ以上の薬剤が存在していてもよいし、任意選択
で、このキットが第2の容器内に1種またはそれ以上の薬剤を含んでいてもよい。この1または複数の容器は1つの包装内に入っており、この包装は任意選択で投与または調剤の指示書を含み得る。キットは、薬剤を投与するためのシリンジまたは他の手段、ならびに製剤化のための希釈剤または他の手段など、さらなる構成要素を含み得る。
【0136】
(鎮痛剤) 本明細書中に記載されるペプチドは、鎮痛剤(例えば、鎮痛性化合物または鎮痛ペプチド)との併用療法において使用され得る。鎮痛剤は、任意選択で、本明細書中に記載されるペプチドに共有結合させることができる。有用な鎮痛剤の中には、Caチャンネルブロッカー、5HTレセプターアンタゴニスト(例えば、5HT3、5HT4、および5HT1レセプターアンタゴニスト)、オピオイドレセプターアゴニスト(例えば、ロペラミド、フェドトジン、およびフェンタニル)、NK1レセプターアンタゴニスト、CCKレセプターアゴニスト(例えば、ロキシグルミド)、NK1レセプターアンタゴニスト、NK3レセプターアンタゴニスト、ノルエピネフリン−セロトニン再取り込み阻害剤(NSRI)、バニロイドおよびカンナバノイドレセプターアゴニスト、ならびにシアロルフィンがある。様々な種類の鎮痛剤が文献に記載されている。 有用な鎮痛ペプチドの中にはシアロルフィン関連ペプチドがあり、これらにはアミノ酸配列QHNPR(配列番号 )を含むペプチド、例えばVQHNPR(配列番号 );VRQHNPR(配列番号 );VRGQHNPR(配列番号 );VRGPQHNPR(配列番号 );VRGPRQHNPR(配列番号 );VRGPRRQHNPR(配列番号 );およびRQHNPR(配列番号)が含まれる。シアロルフィン関連ペプチドはネプリリシンに結合し、ネプリリシンの介在によるサブスタンスPおよびMet−エンケファリンの分解を阻害する。従って、ネプリリシンの阻害剤である化合物またはペプチドは、同時治療において本発明のペプチドとともに投与することも、本発明のペプチドに(例えば、共有結合によって)連結させることもできる、有用な鎮痛剤である。シアロルフィンおよび関連ペプチドは米国特許第6,589,750号;U.S.20030078200A1;および国際公開公報第02/051435 A2号において記載されている。
【0137】
オピオイドレセプターのアンタゴニストまたはアゴニストは、同時治療において本発明のペプチドとともに投与することも、本発明のペプチドに(例えば、共有結合によって)連結させることもできる。例えば、オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えばナロキソン、ナルトレキソン、メチルナロゾン、ナルメフェン、シプリジム、β−フナルトレキサミン、ナロキソナジン、ナルトリンドール、およびノルビナルトルフィミンなど)はIBSの治療において有用であると考えられている。この型のオピオイドアンタゴニストを遅延放出製剤および持続放出製剤として、該アンタゴニストが小腸の中央から末端および/または結腸で最初に放出されるようにすることは有用であり得る。このようなアンタゴニストは国際公開公報第01/32180A2号に記載されている。エンケファリンペンタペプチド(HOE825;Tyr−D−Lys−Gly−Phe−L−ホモセリン)はオピオイドレセプターであるミューおよびデルタのアゴニストであり、腸の運動性を増大させるために有用であると考えられており(Eur.J.Pharm.219:445 、1992年)、こ
のペプチドは本発明のペプチドと組み合わせて使用され得る。トリメブチンもまた有用であり、トリメブチンは、ミュー/デルタ/カッパオピオイドレセプターに結合し、モチリンの放出を活性化し、ガストリン、血管作用性腸ペプチド、ガストリンおよびグルカゴンの放出を調節すると考えられている。カッパオピオイドレセプターアゴニスト(例えば、フェドトジン、ケトシクラゾシン、および国際公開公報第03/097051 A2号に記載される化合物)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。さらに、ミューオピオイドレセプターアゴニスト(例えば、モルヒネ、ジフェニルオキシレート、フラケファミド(H−Tyr−D−Ala−Phe(F)−Phe−NH2;国際公開公報第01/019849 A1号)およびロペラミド)が使用され得る。
【0138】
Tyr−Arg(キョートルフィン)は、met−エンケファリンの放出を刺激することによって作用して鎮痛効果を誘発するジペプチドである(J.B iol.Chem.262:8165,
1987年)。キョートルフィンは本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0139】
CCKレセプターアゴニスト(例えば、両生類および他の生物種由来のセルレインなど)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる有用な鎮痛剤である。
【0140】
コノトキシンペプチドは、電位依存性Caチャンネル、NMDAレセプター、またはニコチン性レセプターに作用する多種類の鎮痛ペプチドを表す。これらのペプチドは、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0141】
サイムリンのペプチドアナログ(仏国特許出願2830451号)は鎮痛活性を有する可能性があり、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0142】
ロキシグルミドおよびデキシロキシグルミド(ロキシグルミドのR異性体)を含むCCK(CCKaまたはCCKb)レセプターアンタゴニスト(国際公開公報第88/05774号)は鎮痛活性を有する可能性があり、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0143】
他の有用な鎮痛剤には、テガセロッド(tegaserod )/zelnorm(登録商標)
、およびリレキサプリドなどの5−HT4アゴニストが含まれる。このようなアゴニストは、欧州特許出願公開第1321142 A1号、国際公開公報第03/053432A1号、欧州特許出願公開第505322 A1号、欧州特許第505322 B1号、米国特許第5,510,353号、欧州特許出願公開第507672 A1号、欧州特許第507672 B1号、および米国特許第5,273,983号において記載されている。
【0144】
ジコノチドおよび関連化合物などのカルシウムチャンネルブロッカーは、例えば、欧州特許第625162B1号、米国特許第5,364,842号、米国特許第5,587,454号、米国特許第5,824,645号、米国特許第5,859,186号、米国特許第5,994,305号、米国特許第6,087,091号、米国特許第6,136,786号、国際公開公報第93/13128 A1号、欧州特許出願公開第1336409 A1号、欧州特許出願公開第835126 A1号、欧州特許第835126 B1号、米国特許第5,795,864号、米国特許第5,891,849号、米国特許第6,054,429号、国際公開公報第97/01351 A1号に記載されており、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0145】
NK−1レセプター、NK−2レセプター、およびNK−3レセプターの種々のアンタゴニスト(概説については、ジャルディーナら(Giardina et al. )、2003 Drugs 6:758を参照のこと)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチド
に結合させることもできる。
【0146】
NK1レセプターアンタゴニスト(例えば:アプレピタント(メルクアンドカンパニー社(Merck & Co Inc))、ボホピタント(Vofopitant)、エズロピタント(ファイザ
ー社)、R−673(ホフマンラロッシュ社(Hoffmann-La Roche Ltd ))、SR−
14033、および例えば、欧州特許出願公開第873753 A1号、US 20010006972 A1、US 20030109417 A1、国際公開公報第01/5
2844
A1号に記載の関連化合物)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0147】
NK−2レセプターアンタゴニスト(例えば、ネパズタント(メナリーニ・リケルチェ・ソシエタ・ペル・アチオニ(Menarini Ricerche SpA ))、サレズタント(サノフ
ィ−シンセラボ(Sanofi-Synthelabo ))、SR−144190(サノフィ−シンセラ
ボ)、およびUK−290795(ファイザー・インコーポレイテッド(Pfizer Inc)
)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0148】
NK3レセプターアンタゴニスト(例えば、オサネタント(サノフィ−シンセラボ)、タルネタントおよび例えば国際公開公報第02/094187 A2号、欧州特許出願公開第876347 A1号、国際公開公報第97/21680 A1号、米国特許第6,277,862号、国際公開公報第98/11090号、国際公開公報第95/28418号、国際公開公報第97/19927号、およびボーデンら(Boden et al.)(J Med Chem.39:1664-75, 1996年)に記載の関連化合物)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0149】
ノルエピネフリン−セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、ミルナシプランおよび国際公開公報第03/077897 A1号に記載の関連化合物)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0150】
バニロイドレセプターアンタゴニスト(例えば、アーバニルおよび国際公開公報第01/64212 A1号に記載の関連化合物)は、本発明のペプチドとともに使用することも、本発明のペプチドに結合させることもできる。
【0151】
鎮痛剤がペプチドであり、かつ本明細書中に記載されるペプチドに共有結合させる場合、得られるペプチドに、少なくとも1つのトリプシンまたはキモトリプシン切断部位を含めることも可能である。本発明のペプチド中に存在する場合は、鎮痛ペプチドの前(鎮痛ペプチドがカルボキシ末端にある場合)、または鎮痛ペプチドの後(ペプチドがアミノ末端にある場合)に鎮痛ペプチドの遊離を可能にするキモトリプシンまたはトリプシン切断部位があればよい。
【0152】
シアロルフィン関連ペプチドに加えて、鎮痛ペプチドには、AspPhe、エンドモルフィン−1、エンドモルフィン−2、ノシスタチン、ダラルギン、ルプロン、ジコノチド、およびサブスタンスPが含まれる。
【0153】
(治療の方法) 本発明のペプチドは、がん、前がん性増殖、または転移性増殖の治療または予防のために使用され得る。例えば、本発明のペプチドは、結腸直腸または局所のうち少なくともいずれかに転移した結腸直腸がん、胃腸管がん、肺がん、上皮細胞のがんまたは前がん性増殖または転移性増殖、ポリープ、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、膀胱癌、肝臓癌、食道癌、および精巣癌、癌腫(例えば、基底細胞癌、基底有棘細胞癌、ブラウン−ピアス癌、腺管癌、エールリッヒ腫瘍、クレブス、メルケル細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、オート細胞癌、乳頭状癌、細気管支癌、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、ウォーカー癌種)、白血病(例えば、B細胞白血病、T細胞白血病、HTLVによる白血病、急性または慢性リンパ性白血病、マスト細胞性白血病、骨髄性白血病)、組織球腫、組織球増殖症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、プラスマ細胞腫、細網内皮症、腺腫、腺癌、腺線維腫、腺リンパ腫、エナメル上皮腫、角化血管腫、好酸球随伴性血管類リンパ組織増殖症、硬化性血管腫、血管腫症、アプドーマ、
鰓腫、悪性カルチノイド症候群、カルチノイド心疾患、がん肉腫、セメント質腫、胆管腫、コレステリン腫、軟骨肉腫、軟骨芽細胞腫、軟骨肉腫、脊索腫、分離腫、頭蓋咽頭腫、軟骨腫、円柱腫、嚢胞腺癌、嚢胞腺腫、葉状嚢肉腫、未分化胚細胞腫、上衣細胞腫、ユーイング肉腫、線維腫、線維肉腫、巨細胞腫、神経節細胞腫、神経膠芽細胞腫、グロムス血管腫、顆粒膜細胞腫、ギナンドロブラストーマ、過誤腫、血管内皮腫、血管腫、血管周囲細胞腫、血管肉腫、肝細胞がん、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、白血肉腫(leukosarcoma)、ライディッヒ細胞腫瘍、脂肪腫、脂肪肉腫、リンパ管腫、リンパ管筋腫、リンパ管肉腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、間葉腫、中腎腫、中皮腫、筋原細胞腫、筋腫、筋肉腫、粘液腫、粘液肉腫、神経鞘腫、神経腫、神経芽細胞腫、神経上皮腫、神経線維腫、神経線維腫症、歯牙腫、骨腫、骨肉腫、乳頭腫、傍神経節腫、非クロム親和性傍神経節腫、松果体腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、セルトリ細胞腫瘍、奇形腫、卵胞膜細胞腫、ならびに細胞が形成異常、不死化、または形質転換されているその他の疾患、の治療または予防のために使用され得る。
【0154】
本発明のペプチドは、結腸がんの前段階である家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)(常染色体優性症候群)、遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(HNPCC)、および遺伝性常染色体優性症候群の治療および予防のために使用され得る。
【0155】
がん、前がん性増殖、および転移性増殖の治療または予防のために、本発明のペプチドは、放射線照射または化学療法剤、cGMP依存性ホスホジエステラーゼ阻害剤または選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤(多数の選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤が国際公開公報第02062369号(本願明細書に援用する)に記載されている)を用いる併用療法において使用され得る。
【0156】
本発明のペプチドは、炎症の治療または予防を目的とするものであり得る。従って、本発明のペプチドを、臓器の炎症、IBD(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)、喘息、腎炎、肝炎、膵炎、気管支炎、嚢胞性線維症、虚血性腸疾患、腸の炎症/アレルギー、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、および他の炎症性障害の治療のために、単独で、またはcGMP依存性ホスホジエステラーゼ阻害剤もしくは選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0157】
本発明のペプチドはまた、インスリン関連障害、例えば、2型糖尿病、高血糖症、肥満、細胞におけるグルコースもしくは電解質の輸送およびインスリン分泌の異常と関連する障害、または内分泌障害を、治療または予防するために使用され得る。該ペプチドは、インスリン耐性の治療ならびに手術後および非手術後のインスリン応答性の減少においても使用され得る。
【0158】
本発明のペプチドは、吸気障害、換気障害、粘膜分泌障害、肺高血圧症、気管および気道の慢性閉塞、ならびに気管および気管支の不可逆的閉塞を含む呼吸器障害を予防または治療するために使用され得る。
【0159】
本発明のペプチドは、ホスホジエステラーゼ阻害剤(当該阻害剤の例は、米国特許第6,333,354号(本願明細書に援用する)において見出され得る)との併用療法において使用され得る。
【0160】
本発明のペプチドはまた、網膜症、腎症、糖尿病性血管症、および浮腫形成を予防または治療するために使用され得る。
本発明のペプチドはまた、神経障害、例えば、頭痛、不安、運動障害、攻撃性、精神病、痙攣、パニック発作、ヒステリー、睡眠障害、うつ病、分裂感情障害、睡眠時無呼吸、注意欠陥障害、記憶喪失、およびナルコレプシーを予防または治療するために使用され得
る。該ペプチドはまた、鎮静剤としても使用され得る。
【0161】
本発明のペプチドおよび検出可能なように標識されたペプチドは、小腸の疾患および状態を同定、検出、段階付け、または診断するためのマーカーとして使用可能であり、小腸の疾患および状態には、クローン病、大腸炎、炎症性腸疾患、腫瘍、良性腫瘍(例えば良性間質腫瘍)、腺腫、血管腫、腺腫性(有茎性および無茎性)ポリープ、悪性カルチノイド腫瘍、内分泌細胞の腫瘍、リンパ腫、腺癌、前腸の癌、中腸の癌、後腸の癌、胃腸管間質腫瘍(GIST)(例えば平滑筋腫、細胞平滑筋腫、平滑筋芽細胞腫、および平滑筋肉腫)、胃腸自律神経腫瘍、吸収不良症候群、セリアック病、憩室症、メッケル憩室、大腸憩室、巨大結腸、ヒルシュスプルング病、過敏性腸症候群、腸間膜虚血、虚血性大腸炎、結腸大腸がん、結腸性ポリポーシス、ポリープ症候群、腸の腺癌、リドル症候群、ブロディーミオパシー、乳児痙攣、および舞踏病アテトーシスが含まれる。
【0162】
本発明のペプチドは、GCCレセプターを有する細胞、例えば、嚢胞性線維症病巣および腸管を裏打ちする特定の細胞を標的とするために、別の分子(例えば、診断用分子および治療用分子)と結合体化してもよい。従って、本発明のペプチドは、放射活性を有する部分または治療のための部分が腸を標的とし、結腸直腸がん/転移がん、または局所的結腸直腸がんを画像化および診断する、または治療する際の補助となり、そしてp53サプレッサー遺伝子の正常なコピーを腸管に送達するために使用することができる。
【0163】
本発明のペプチドは、勃起障害を治療するために、単独でまたは併用療法において使用され得る。
本発明のペプチドは、内耳障害を治療するため、例えば、メニエール病(めまい、聴覚障害、耳鳴、耳の閉塞感などの同疾患の徴候を含む)を治療するため、および内耳の体液ホメオスタシスを維持するために、単独でまたは併用療法において使用され得る。
【0164】
本発明のペプチドは、体液またはナトリウムの保持に関連した障害、例えば、腎臓、腸、および泌尿生殖器系における電解質−水/電解質輸送系の疾患、うっ血性心不全、高血圧、低血圧、肝硬変、およびネフローゼ症候群を治療するために単独でまたは併用療法において使用され得る。さらに、本発明のペプチドは、利尿を容易にするため、または腸液を制御するために使用され得る。
【0165】
本発明のペプチドは、重炭酸分泌と関連した障害、例えば、嚢胞性線維症を治療するために、単独でまたは併用療法において使用され得る。
本発明のペプチドは、肝細胞の再生と関連した障害を治療するために、単独でまたは併用療法において使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含む精製ペプチドであって、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrもしくは欠失している、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失しているペプチド。
【請求項2】
Xaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、またはPheである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項3】
Xaa5がThrまたはIleである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項4】
Xaa5がTyr、Asp、またはTrpである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項5】
Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項6】
Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項7】
Xaa9がLeu、Ile、Val、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項8】
Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項9】
Xaa13がAla、Pro、またはGlyである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項10】
Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、またはAspである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項11】
Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項12】
Xaa17がGly、Pro、またはAlaである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項13】
Xaa19がTrp、Tyr、Phe、Asn、またはLeuである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項14】
Xaa19がLysまたはArgである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項15】
Xaa20Xaa21がAspPheであるか、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失している、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項16】
アミノ酸配列:AsnSerSerAsnTyrCysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−915)を含む精製ペプチド。
【請求項17】
アミノ酸配列:CysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−1100)を含む精製ペプチド。
【請求項18】
アミノ酸配列が、AsnSerSerAsnTyrCysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−915)である精製ペプチド。
【請求項19】
アミノ酸配列が、CysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−1100)である精製ペプチド。
【請求項20】
アミノ酸配列:AsnSerSerAsnTyrCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MM−416776)を含む精製ペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項21】
アミノ酸配列:AsnSerSerAsnTyrCysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−915)を含む精製ペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項22】
アミノ酸配列:CysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MM416774)を含む精製ペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項23】
アミノ酸配列:CysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−1100)を含む精製ペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項24】
精製ポリペプチドであって、
【化1】
(ここで、SEQ ID NOは配列番号を意味する)
のいずれかのアミノ酸配列を含む精製ポリペプチド。
【請求項25】
請求項1に記載のペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項26】
請求項24に記載のペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項27】
前記胃腸障害が胃腸運動障害である、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記胃腸障害が、胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、結腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、および炎症性腸疾患からなる群から選択される、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドを投与する工程を包含する、肥満を治療するための方法。
【請求項30】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドを投与する工程を包含する、うっ血性心不全を治療するための方法。
【請求項31】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドを投与する工程を包含する、良性前立腺過形成を治療するための方法。
【請求項32】
アミノ酸配列DF;QHNPR(配列番号 );VQHNPR(配列番号 );VRQ
HNPR(配列番号 );VRGQHNPR(配列番号 );VRGPQHNPR(配列番号 );VRGPRQHNPR(配列番号 );VRGPRRQHNPR(配列番号 );またはRQHNPR(配列番号 )がアミノ末端またはカルボキシ末端に融合されている、請求項1、16、17、および24のいずれか1項に記載の精製ペプチド。
【請求項33】
エンドモルフィン−1、エンドモルフィン−2、ノシスタチン、ダラルギン、ルプロン、およびサブスタンスPからなる群から選択される鎮痛ペプチドのアミノ酸配列がアミノ末端またはカルボキシ末端に融合されている、請求項1、16、17、および24のいずれか1項に記載の精製ペプチド。
【請求項34】
アミノ末端またはカルボキシ末端またはその両方に10アミノ酸以下のさらなるアミノ酸を含み、かつグアニル酸シクラーゼレセプターアゴニストである、請求項1、16、17、および24のいずれか1項に記載の精製ペプチド。
【請求項35】
Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項36】
請求項1、16〜23、および28のいずれか1項に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、便秘に罹患した患者を治療するための方法。
【請求項37】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、患者における腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターの活性を増大させるための方法。
【請求項38】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項39】
前記胃腸障害が胃腸運動障害である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記胃腸障害が、胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、結腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、および炎症性腸疾患からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、肥満を治療するための方法。
【請求項42】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、うっ血性心不全を治療するための方法。
【請求項43】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、良性前立腺過形成を治療するための方法。
【請求項44】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、内臓痛を治療するための方法。
【請求項45】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、炎症を治療するための方法。
【請求項46】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、便秘を治療するための方法。
【請求項47】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、内臓痛を治療するための方法。
【請求項48】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、炎症を治療するための方法。
【請求項49】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、嚢胞性線維症を治療するための方法。
【請求項50】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、嚢胞性線維症を治療するための方法。
【請求項51】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物。
【請求項52】
腸溶性コーティングで覆われた、請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドを含む薬学的組成物。
【請求項53】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドならびに生分解性のポリマーマトリックスを含む制御放出性薬学的組成物。
【請求項54】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、鎮痛剤、ならびに薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物。
【請求項55】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、ならびに薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物。
【請求項56】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドを投与する工程を包含する、がん、呼吸器障害、神経障害、水分とナトリウムの保持に関連した障害、炭酸塩の不均衡に関連した障害、勃起障害、インスリン関連障害、または内耳障害を治療するための方法。
【請求項57】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、がん、呼吸器障害、神経障害、水分とナトリウムの保持に関連した障害、炭酸塩の不均衡に関連した障害、勃起障害、インスリン関連障害、または内耳障害を治療するための方法。
【請求項58】
請求項16〜19および24のいずれか1項に記載のペプチドを製造する方法であって、該ペプチドをコードする核酸分子を有する細胞を供給する工程、該ペプチドが発現される条件下で細胞を培養する工程、および発現されたペプチドを単離する工程を包含する方法。
【請求項59】
請求項16〜19および24のいずれか1項に記載のペプチドを製造する方法であって、ペプチドを化学合成する工程、次いで合成されたペプチドを精製する工程を包含する方法。
【請求項60】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに、心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、C型ナトリウム利尿ペプチドなどのナトリウム利尿ペプチド、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤を含む薬学的組成物。
【請求項61】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに5−αレダクターゼ阻害剤またはαアドレナリン作動遮断剤を含む薬学的組成物。
【請求項62】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに腸ホルモンの断片ペプチドYY3−36、glp−1(グルカゴン様ペプチド−1)、エキセンディン4(glp−1の阻害剤)、シブトラミン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、塩酸ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、オーリスタット(Xenical(登録商標))、塩酸ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、ブプロピオン、エフェドラ、クロム、ガルシニアカンボジア、ベンゾカイン、ブラダーラック(学名Fucus vesiculosus )、キトサン、ノマメハーバ、ガレガソウ(英名ゴーツルー(Goat's Rue)、フレンチライラック(French
Lilac))、共役リノール酸、L−カルニチン、繊維(アメリカオオバコの繊維、シャゼ
ンソウの繊維、グアー豆の繊維)、カフェイン、デヒドロエピアンドロステロン、ジャーマンダー(学名Teucrium c hamaedrys )、B−ヒドロキシ−β−メチル酪酸、または
ピルビン酸を含む薬学的組成物。
【請求項63】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに、心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、C型ナトリウム利尿ペプチドなどのナトリウム利尿ペプチド、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤を含む薬学的組成物。
【請求項64】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに5−αレダクターゼ阻害剤またはαアドレナリン作動遮断剤を含む薬学的組成物。
【請求項65】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに腸ホルモンの断片ペプチドYY3−36、glp−1(グルカゴン様ペプチド−1)、エキセンディン4(glp−1の阻害剤)、シブトラミン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、塩酸ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、オーリスタット(Xenical(登録商標))、塩酸ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、ブプロピオン、エフェドラ、クロム、ガルシニアカンボジア、ベンゾカイン、ブラダーラック(学名Fucus vesiculosus )、キトサン、ノマメハーバ、ガレガソウ(英名ゴーツルー(Goat's Rue)、フレンチライラック(French Lilac))、共役リノール酸、L−カルニチン、繊維(アメリカオオバコの繊維、シャゼンソウの繊維、グアー豆の繊維)、カフェイン、デヒドロエピアンドロステロン、ジャーマンダー(学名Teucrium chamaedrys )、B−ヒドロキシ−β−メチル酪酸、またはピルビン酸を含む薬学的組成物。
【請求項66】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、C型ナトリウム利尿ペプチドなどのナトリウム利尿ペプチド、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤を投与する工程を包含する、うっ血性心不全を治療するための方法。
【請求項67】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに5−αレダクターゼ阻害剤またはαアドレナリン作動遮断剤を投与する工程を包含する、良性前立腺過形成を治療するための方法。
【請求項68】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに腸ホルモンの断片ペプチドYY3−36、glp−1(グルカゴン様ペプチド−1)、エキセンディン4(glp−1の阻害剤)、シブトラミン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、塩酸ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、オーリスタット(Xenical(登録商標))、塩酸ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、ブプロピオン、エフェドラ、クロム、ガルシニアカンボジア、ベンゾカイン、ブラダーラック(学名Fucus vesiculosus )、キトサン、ノマメハーバ、ガレガソウ(英名ゴーツルー(Goat's Rue)、フレンチライラック(French
Lilac))、共役リノール酸、L−カルニチン、繊維(アメリカオオバコの繊維、シャゼ
ンソウの繊維、グアー豆の繊維)、カフェイン、デヒドロエピアンドロステロン、ジャーマンダー(学名Teucrium chamaedrys )、B−ヒドロキシ−β−メチル酪酸、またはピルビン酸を投与する工程を包含する、肥満を治療するための方法。
【請求項69】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、C型ナトリウム利尿ペプチドなどのナトリウム利尿ペプチド、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤を投与する工程を包含する、うっ血性心不全を治療するための方法。
【請求項70】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに5−αレダクターゼ阻害剤またはαアドレナリン作動遮断剤を含む、良性前立腺過形成を治療するための方法。
【請求項71】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに腸ホルモンの断片ペプチドYY3−36、glp−1(グルカゴン様ペプチド−1)、エキセンディン4(glp−1の阻害剤)、シブトラミン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、塩酸ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、オーリスタット(Xenical(登録商標))、塩酸ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、ブプロピオン、エフェドラ、クロム、ガルシニアカンボジア、ベンゾカイン、ブラダーラック(学名Fucus vesiculosus )、キトサン、ノマメハーバ、ガレガソウ(英名ゴーツルー(Goat's Rue)、フレンチライラック(French Lilac))、共役リノール酸、L−カルニチン、繊維(アメリカオオバコの繊維、シャゼンソウの繊維、グアー豆の繊維)、カフェイン、デヒドロエピアンドロステロン、ジャーマンダー(学名Teucrium chamaedrys )、B−ヒドロキシ−β−メチル酪酸、またはピルビン酸を投与する工程を包含する、肥満を治療するための方法。
【請求項1】
アミノ酸配列(I):Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5Cys6Cys7Xaa8Xaa9Cys10Cys11Xaa12Xaa13Xaa14Cys15Xaa16Xaa17Cys18Xaa19Xaa20Xaa21を含む精製ペプチドであって、前記配列中、Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5がAsnSerSerAsnTyrもしくは欠失している、またはXaa1Xaa2Xaa3Xaa4が欠失しているペプチド。
【請求項2】
Xaa5がAsn、Trp、Tyr、Asp、またはPheである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項3】
Xaa5がThrまたはIleである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項4】
Xaa5がTyr、Asp、またはTrpである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項5】
Xaa8がGlu、Asp、Gln、Gly、またはProである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項6】
Xaa9がLeu、Ile、Val、Ala、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項7】
Xaa9がLeu、Ile、Val、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項8】
Xaa12がAsn、Tyr、Asp、またはAlaである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項9】
Xaa13がAla、Pro、またはGlyである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項10】
Xaa14がAla、Leu、Ser、Gly、Val、Glu、Gln、Ile、Leu、Lys、Arg、またはAspである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項11】
Xaa16がThr、Ala、Asn、Lys、Arg、Trpである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項12】
Xaa17がGly、Pro、またはAlaである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項13】
Xaa19がTrp、Tyr、Phe、Asn、またはLeuである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項14】
Xaa19がLysまたはArgである、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項15】
Xaa20Xaa21がAspPheであるか、またはXaa20がAsnもしくはGluであってXaa21が欠失している、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項16】
アミノ酸配列:AsnSerSerAsnTyrCysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−915)を含む精製ペプチド。
【請求項17】
アミノ酸配列:CysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−1100)を含む精製ペプチド。
【請求項18】
アミノ酸配列が、AsnSerSerAsnTyrCysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−915)である精製ペプチド。
【請求項19】
アミノ酸配列が、CysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−1100)である精製ペプチド。
【請求項20】
アミノ酸配列:AsnSerSerAsnTyrCysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MM−416776)を含む精製ペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項21】
アミノ酸配列:AsnSerSerAsnTyrCysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−915)を含む精製ペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項22】
アミノ酸配列:CysCysGluLeuCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MM416774)を含む精製ペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項23】
アミノ酸配列:CysCysGluTyrCysCysAsnProAlaCysThrGlyCysTyr(配列番号−;MD−1100)を含む精製ペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項24】
精製ポリペプチドであって、
【化1】
(ここで、SEQ ID NOは配列番号を意味する)
のいずれかのアミノ酸配列を含む精製ポリペプチド。
【請求項25】
請求項1に記載のペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項26】
請求項24に記載のペプチドを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項27】
前記胃腸障害が胃腸運動障害である、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記胃腸障害が、胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、結腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、および炎症性腸疾患からなる群から選択される、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドを投与する工程を包含する、肥満を治療するための方法。
【請求項30】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドを投与する工程を包含する、うっ血性心不全を治療するための方法。
【請求項31】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドを投与する工程を包含する、良性前立腺過形成を治療するための方法。
【請求項32】
アミノ酸配列DF;QHNPR(配列番号 );VQHNPR(配列番号 );VRQ
HNPR(配列番号 );VRGQHNPR(配列番号 );VRGPQHNPR(配列番号 );VRGPRQHNPR(配列番号 );VRGPRRQHNPR(配列番号 );またはRQHNPR(配列番号 )がアミノ末端またはカルボキシ末端に融合されている、請求項1、16、17、および24のいずれか1項に記載の精製ペプチド。
【請求項33】
エンドモルフィン−1、エンドモルフィン−2、ノシスタチン、ダラルギン、ルプロン、およびサブスタンスPからなる群から選択される鎮痛ペプチドのアミノ酸配列がアミノ末端またはカルボキシ末端に融合されている、請求項1、16、17、および24のいずれか1項に記載の精製ペプチド。
【請求項34】
アミノ末端またはカルボキシ末端またはその両方に10アミノ酸以下のさらなるアミノ酸を含み、かつグアニル酸シクラーゼレセプターアゴニストである、請求項1、16、17、および24のいずれか1項に記載の精製ペプチド。
【請求項35】
Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4Xaa5が欠失しており;Xaa8がGluであり;Xaa9がLeu、Ile、Lys、Arg、Trp、Tyr、またはPheであり;Xaa12がAsnであり;Xaa13がProであり;Xaa14がAlaであり;Xaa16がThr、Ala、Lys、Arg、Trpであり;Xaa17がGlyであり;Xaa19がTyrまたはLeuであり;Xaa20Xaa21がAspPheであるかまたは欠失している、請求項1に記載の精製ペプチド。
【請求項36】
請求項1、16〜23、および28のいずれか1項に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、便秘に罹患した患者を治療するための方法。
【請求項37】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、患者における腸のグアニル酸シクラーゼ(GC−C)レセプターの活性を増大させるための方法。
【請求項38】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、患者における胃腸障害を治療するための方法。
【請求項39】
前記胃腸障害が胃腸運動障害である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記胃腸障害が、胃腸運動障害、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流性疾患、機能性胸焼け、消化不良、機能性消化不良、非潰瘍性消化不良、胃不全麻痺、慢性的な腸偽閉塞症、結腸偽閉塞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、および炎症性腸疾患からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、肥満を治療するための方法。
【請求項42】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、うっ血性心不全を治療するための方法。
【請求項43】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、良性前立腺過形成を治療するための方法。
【請求項44】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、内臓痛を治療するための方法。
【請求項45】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、炎症を治療するための方法。
【請求項46】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、便秘を治療するための方法。
【請求項47】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、内臓痛を治療するための方法。
【請求項48】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、炎症を治療するための方法。
【請求項49】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、嚢胞性線維症を治療するための方法。
【請求項50】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、嚢胞性線維症を治療するための方法。
【請求項51】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物。
【請求項52】
腸溶性コーティングで覆われた、請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドを含む薬学的組成物。
【請求項53】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドならびに生分解性のポリマーマトリックスを含む制御放出性薬学的組成物。
【請求項54】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、鎮痛剤、ならびに薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物。
【請求項55】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、ならびに薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物。
【請求項56】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチドを投与する工程を包含する、がん、呼吸器障害、神経障害、水分とナトリウムの保持に関連した障害、炭酸塩の不均衡に関連した障害、勃起障害、インスリン関連障害、または内耳障害を治療するための方法。
【請求項57】
GC−Cレセプターアゴニストを投与する工程を包含する、がん、呼吸器障害、神経障害、水分とナトリウムの保持に関連した障害、炭酸塩の不均衡に関連した障害、勃起障害、インスリン関連障害、または内耳障害を治療するための方法。
【請求項58】
請求項16〜19および24のいずれか1項に記載のペプチドを製造する方法であって、該ペプチドをコードする核酸分子を有する細胞を供給する工程、該ペプチドが発現される条件下で細胞を培養する工程、および発現されたペプチドを単離する工程を包含する方法。
【請求項59】
請求項16〜19および24のいずれか1項に記載のペプチドを製造する方法であって、ペプチドを化学合成する工程、次いで合成されたペプチドを精製する工程を包含する方法。
【請求項60】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに、心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、C型ナトリウム利尿ペプチドなどのナトリウム利尿ペプチド、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤を含む薬学的組成物。
【請求項61】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに5−αレダクターゼ阻害剤またはαアドレナリン作動遮断剤を含む薬学的組成物。
【請求項62】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに腸ホルモンの断片ペプチドYY3−36、glp−1(グルカゴン様ペプチド−1)、エキセンディン4(glp−1の阻害剤)、シブトラミン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、塩酸ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、オーリスタット(Xenical(登録商標))、塩酸ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、ブプロピオン、エフェドラ、クロム、ガルシニアカンボジア、ベンゾカイン、ブラダーラック(学名Fucus vesiculosus )、キトサン、ノマメハーバ、ガレガソウ(英名ゴーツルー(Goat's Rue)、フレンチライラック(French
Lilac))、共役リノール酸、L−カルニチン、繊維(アメリカオオバコの繊維、シャゼ
ンソウの繊維、グアー豆の繊維)、カフェイン、デヒドロエピアンドロステロン、ジャーマンダー(学名Teucrium c hamaedrys )、B−ヒドロキシ−β−メチル酪酸、または
ピルビン酸を含む薬学的組成物。
【請求項63】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに、心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、C型ナトリウム利尿ペプチドなどのナトリウム利尿ペプチド、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤を含む薬学的組成物。
【請求項64】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに5−αレダクターゼ阻害剤またはαアドレナリン作動遮断剤を含む薬学的組成物。
【請求項65】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに腸ホルモンの断片ペプチドYY3−36、glp−1(グルカゴン様ペプチド−1)、エキセンディン4(glp−1の阻害剤)、シブトラミン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、塩酸ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、オーリスタット(Xenical(登録商標))、塩酸ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、ブプロピオン、エフェドラ、クロム、ガルシニアカンボジア、ベンゾカイン、ブラダーラック(学名Fucus vesiculosus )、キトサン、ノマメハーバ、ガレガソウ(英名ゴーツルー(Goat's Rue)、フレンチライラック(French Lilac))、共役リノール酸、L−カルニチン、繊維(アメリカオオバコの繊維、シャゼンソウの繊維、グアー豆の繊維)、カフェイン、デヒドロエピアンドロステロン、ジャーマンダー(学名Teucrium chamaedrys )、B−ヒドロキシ−β−メチル酪酸、またはピルビン酸を含む薬学的組成物。
【請求項66】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、C型ナトリウム利尿ペプチドなどのナトリウム利尿ペプチド、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤を投与する工程を包含する、うっ血性心不全を治療するための方法。
【請求項67】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに5−αレダクターゼ阻害剤またはαアドレナリン作動遮断剤を投与する工程を包含する、良性前立腺過形成を治療するための方法。
【請求項68】
請求項1、16〜19、および24のいずれか1項に記載のペプチド、ならびに腸ホルモンの断片ペプチドYY3−36、glp−1(グルカゴン様ペプチド−1)、エキセンディン4(glp−1の阻害剤)、シブトラミン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、塩酸ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、オーリスタット(Xenical(登録商標))、塩酸ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、ブプロピオン、エフェドラ、クロム、ガルシニアカンボジア、ベンゾカイン、ブラダーラック(学名Fucus vesiculosus )、キトサン、ノマメハーバ、ガレガソウ(英名ゴーツルー(Goat's Rue)、フレンチライラック(French
Lilac))、共役リノール酸、L−カルニチン、繊維(アメリカオオバコの繊維、シャゼ
ンソウの繊維、グアー豆の繊維)、カフェイン、デヒドロエピアンドロステロン、ジャーマンダー(学名Teucrium chamaedrys )、B−ヒドロキシ−β−メチル酪酸、またはピルビン酸を投与する工程を包含する、肥満を治療するための方法。
【請求項69】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに心房性ナトリウム利尿ペプチド、脳ナトリウム利尿ペプチド、C型ナトリウム利尿ペプチドなどのナトリウム利尿ペプチド、利尿剤、またはアンギオテンシン変換酵素阻害剤を投与する工程を包含する、うっ血性心不全を治療するための方法。
【請求項70】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに5−αレダクターゼ阻害剤またはαアドレナリン作動遮断剤を含む、良性前立腺過形成を治療するための方法。
【請求項71】
GC−Cレセプターアゴニスト、ならびに腸ホルモンの断片ペプチドYY3−36、glp−1(グルカゴン様ペプチド−1)、エキセンディン4(glp−1の阻害剤)、シブトラミン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、塩酸ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、オーリスタット(Xenical(登録商標))、塩酸ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、ブプロピオン、エフェドラ、クロム、ガルシニアカンボジア、ベンゾカイン、ブラダーラック(学名Fucus vesiculosus )、キトサン、ノマメハーバ、ガレガソウ(英名ゴーツルー(Goat's Rue)、フレンチライラック(French Lilac))、共役リノール酸、L−カルニチン、繊維(アメリカオオバコの繊維、シャゼンソウの繊維、グアー豆の繊維)、カフェイン、デヒドロエピアンドロステロン、ジャーマンダー(学名Teucrium chamaedrys )、B−ヒドロキシ−β−メチル酪酸、またはピルビン酸を投与する工程を包含する、肥満を治療するための方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【公開番号】特開2010−222377(P2010−222377A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141519(P2010−141519)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【分割の表示】特願2006−503109(P2006−503109)の分割
【原出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【出願人】(503226338)アイアンウッド ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】IRONWOOD PHARMACEUTICALS,INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【分割の表示】特願2006−503109(P2006−503109)の分割
【原出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【出願人】(503226338)アイアンウッド ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】IRONWOOD PHARMACEUTICALS,INC.
【Fターム(参考)】
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