説明

胃酸分泌

【課題】胃におけるH/K−ATPアーゼプロトンポンプ阻害剤(PPI)の抗酸活性を増強することが可能であり、哺乳類における胃酸分泌を減少するための組成物の提供。
【解決手段】不可逆的なPPI(例えばパントプラゾール)を胃酸分泌阻害剤として、3から6の炭素原子を有する飽和または不飽和モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸分子などの一以上の小型カルボン酸分子を胃管腔における壁細胞活性化剤として含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のデータ
本出願は、米国仮出願60/679,664(2005年5月11日出願)を基礎とし、その優先権を主張するものであり、そこにおける開示はこの引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、胃酸分泌を阻害する新規経口組成物であって、一以上の小型モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸の壁細胞を活性化するのに十分な量をプロトンポンプ阻害剤と共に含む組成物に関する。本発明は更に、そのような組成物を哺乳類における胃酸分泌を減少させるために使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
非常に多くの病理学的状態は、胃酸分泌を抑制することを必要とすることにより特徴付けられる。そのような状態は、しかしながらこれらに限定するものではないが、ゾリンガー−エリソン症候群(ZES)、胃−食道逆流性疾患(GERD)、消化性潰瘍性疾患、十二指腸潰瘍、食道炎などを含む。消化性潰瘍などの症状は、重篤な合併症を有し、先進国において最も一般的な疾患の幾つかを代表するものである。
【0004】
現在、GERDおよび消化性潰瘍性疾患の治療において使用される主な治療法は、胃の酸性度を減らすための薬剤を含み、例えば、ヒスタミンH2受容体アンタゴニストまたはプロトンポンプ阻害剤(PPI)の使用により行われている。PPIは、壁細胞からの酸分泌のための壁細胞H+/K+ ATPase プロトンポンプ応答性の阻害により作用する。PPI、例えば、オメプラゾールおよびその薬学的に許容される塩は、例えば、EP 05129、EP 124495および米国特許 4,255,431に開示される。
【0005】
PPI剤は、酸に不安定なプロドラッグであり、これは、通常、腸溶コーティング顆粒の形で投与され、塩基に弱い。小腸での吸収に続いて、PPIは優先的に酸分泌する壁細胞の酸環境に蓄積する。壁細胞の酸環境における酸環境は、当該プロドラッグから活性なスルフェンアミドへの変換を引き起こし、これは当該壁細胞 H+/K+ ATPase ポンプに結合してこれを阻害する活性剤である。従って、壁細胞のプレアクチベーションが、PPIからその活性なプロトネート形態への変換のための必要とされる。壁細胞のプレアクチベーションは、通常、ガストリン依存性の壁細胞活性化を開始する食物摂取により達成される。実際、患者は、当該PPIが血流を介して壁細胞に到達したときに壁細胞が活性化されることを確実にするために食事を取る一時間前にPPIを服用するよう指導される。
【0006】
それらの良好な文献に記載された効果にもかかわらず、PPIは、注目するに値する制限を有している。PPIからその活性型形態への変換は、壁細胞のプレアクチベーションを必要とする。壁細胞のプレアクチベーションは、通常、食べ物の摂取により達成される。従って、当該PPIは、壁細胞のプレアクチベーションとPPIの血中への吸収との間の同調のために食べ物の摂取の前に服用されなくてはならない。なおその上、PPIは薬理学的活性の生じるのが比較的にゆっくりとしており、最高の酸抑制に達し、症状が軽減されるまでには数日を要し、要求に応じたGERD療法におけるそれらの有用性を制限してしまう(Sachs G、Eur J Gastroenterol Hepatol. 2001;13 Suppl 1:S35-41)。
【0007】
その上更に、PPIは24時間の胃酸およびGERD患者における胸焼け痛みを引き起こし、PPIの2倍の一日量投与量で生じる夜間の酸のブレークスルーの抑制を提供することに失敗している。(Tytgat GN、Eur J Gastroenterol Hepatol. 2001;13 Suppl 1:S29-33; Shaker R. et al.、Am. J. of Gastroenterology、98(7)、2003)。最後に、これらの薬物は、薬物動態において実質的に患者間での変動を示し、他の薬物との重大な相互作用を引き起こす(Hatlebakk et al.、Clin Pharmacokinet. 1996; 31(5):386-406)。従って、PPI仲介活性の改善は胃腸病学においてよく理解されているチャレンジである。
【0008】
マレイン酸酸およびコハク酸は4炭素のジカルボン酸を化学的特徴とし、強力な胃酸分泌刺激剤として公知である(Teyssen et al.、J. Clin Invest. 1999 103(5): 707-713)。テイセン(Teyssen)らは、発酵により製造される発酵アルコール性飲料(例えば、ビールおよびワインなど)における胃酸分泌の刺激を研究した。興味深いのは、ビール、シャンパン、ワインおよびペンタガストリン(強力な外因性の酸分泌の誘導を刺激する)により産生された場合、それらの作用のメディエーターであるガストリンを伴わずに、マレイン酸およびコハク酸は、ヒトにおける胃酸排出を刺激することが明らかにされたことである。
【0009】
米国特許 5,559,152 は、3.5mg/kgの用量におけるコハク酸およびクエン酸の混合物が、薬物投与後の40分の空の胃部において測定された胃液のpHにおいて顕著な減少により示される通り、イヌにおける胃酸分泌を誘導することが可能であることを開示する。更にこの特許は、コハク酸およびクエン酸が健康なヒトボランティアにおいて酸分泌を刺激することも開示している。
【0010】
ポクロヴスキー(Pokrovskiy)らはまた、ミトコンドリア呼吸鎖(クレブス回路)に関連する分子、例えば、ピルベート、スクシネート、α−ケトグルタレート、マレートまたはグルコースなどがカエル粘膜の ex vivo モデルにおいてプロトン分泌を刺激することも開示した(Physiologicheskiy Z'urnal 10:1567-1573、1973)。
【0011】
米国特許6,489,346; 6,645,988;および6,699,885(Phillipsに対する特許(合わせて「フィリップス特許(Phillips patents)」と称す)は、医薬組成物、およびPPI、少なくとも一の緩衝剤および特異的壁細胞活性化剤からなる経口組成物を使用して酸を原因とする胃腸間疾患の治療方法を開示する。当該フィリップス特許に開示される当該壁細胞活性化剤は、例えば、チョコレート、重炭酸ナトリウム、カルシウム、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、コーヒー、紅茶、コーラおよびカフェイン、テオフィリン、テオブロミンおよびアミノ酸残基を含む。フィリップス特許において示される通り、壁細胞活性化剤として提案されたこれらの全ては、内因性のガストリンの放出を誘導し、酸分泌における刺激作用を引き起こす。
【0012】
PPI活性を促進する従来技術により教示される全ての壁細胞刺激剤は、ガストリン類似体または内因性ガストリンの放出を誘導する壁細胞刺激剤の何れかである。出願人は、驚くべきことに、ガストリン−ヒスタミン経路の活性化を伴わない、ガストリン非依存性の方法でPPIの阻害活性化を効果的に促進する組成物および方法を見出した。従来技術は、ガストリン非依存性の方法でPPIの阻害効果を促進することを教示することも、または示唆することもしていない。
【0013】
胃酸分泌を阻害することが望まれる病理のための効果的なガストリン非依存性療法の開発という長い間に亘り感じられていた必要性が満たされるであろう。PPIの広範な使用にもかかわらず、当該PPI効果を増強するための必要性、例えば、夜間の酸ブレークスルーを制御するための延長された効果、少ない用量でのより強い効果および食事非依存性投与などの必要性が未だに存在する。本明細書に開示される出願人らの発明は、これらの長い間に亘り感じられていた必要性の多くを満足する。
【発明の概要】
【0014】
発明の概要
本発明の目的は、胃酸分泌を阻害する増強された活性を有するPPIを基礎とする組成物を提供することである。
【0015】
一つの態様において、本発明は、組成物であって、胃酸分泌阻害剤としての置換されたベンズイミダゾール H+/K+−ATPase プロトンポンプ阻害剤(PPI)、壁細胞活性化剤としての一以上の飽和または不飽和の小型モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸、これらの塩またはこれらの誘導体を含む組成物に関する。壁細胞活性化剤として使用されるべき好ましい酸は、ミトコンドリア呼吸回路(クレブス回路)に関連する小型モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸である。意外なことに、本発明の組成物は、胃部におけるPPIの抗酸活性を高めることが可能である。本発明の組成物は、胃部における酸分泌の抑制を必要とする慢性または急性疾患に罹患する対象を治療するために使用することが可能である。
【0016】
本発明に従う当該置換されたベンズイミダゾールプロトンポンプ阻害剤は、胃壁細胞におけるH+/K+−アデノシントリホスファターゼ(ATPase)プロトンポンプの活性を阻害する化合物である。そのプロドラッグ形態において、当該PPIは非イオン化の状態にあり、そのために、壁細胞の細胞膜を介して通過することが可能である。一旦、壁細胞に到達すると、当該非イオン化のPPIは活性化された壁細胞の酸分泌部分、分泌小管に移動する。当該小管に捕らえられたPPIはプロトン化され、それによって活性化スルフェンアミド型に変換され、当該プロトンポンプのアルファサブユニットにおけるシステイン残基とジスルフィド共有結合を形成し、それにより、当該プロトンポンプを不可逆的に阻害する。
【0017】
本発明は、本発明者たちの驚くべき発見であるミトコンドリア呼吸回路(クレブス回路)に関連する小型モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸分子、例えば、マレイン酸およびコハク酸が、胃酸分泌阻害におけるプロトンポンプ阻害剤の活性を高めることが可能であることを基礎としている。そのような小型の飽和または不飽和のジカルボン酸は、壁細胞を活性化する。活性壁細胞は、酸性のpHを有し、これはPPIを活性化されたプロトン化スルフィンアミド型に変換するために必要とされる。従って、本発明の当該小型分子による壁細胞の同調化された活性化がPPIによる当該ポンプの阻害を最大化する。
【0018】
本発明の組成物は、胃酸分泌を減少することを目的とする公知のPPIを基礎とする組成物を上回る以下のような有利な点を示す。本組成物は、食物摂取に代わり本発明の壁細胞活性化分子により壁細胞をプレアクチベーションを可能にする。これらの分子による壁細胞のプレアクチベーションは、PPIの活性化フルフェンアミド型への変換を促進する。なおその上、本発明の組成物は、壁細胞のプレアクチベーションのためにもはや食事を必要としないために、食事非依存性の方法で胃における抗酸活性を示す。従って、本発明の組成物の組み合わされた活性化剤は、就寝時に食べ物を摂取しないことを指導するGERDの患者における就寝時のPPI投与のために有効な解決法を提供する。
【0019】
本発明に従う組成物は、何れの小型モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸、これらの塩または誘導体を胃管腔における壁細胞を活性化するために十分な量で含んでいてもよい。好ましいカルボン酸は、クレブス回路に関連する小型の飽和または不飽和のモノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸である。最も好ましい小型ジカルボン酸は飽和または不飽和のジカルボン酸またはトリカルボン酸、例えば、マレイン酸、コハク酸またはクエン酸またはこれらの何れの誘導体または塩である。また、本発明の範囲に含まれる他のクレブス回路に関連する小型カルボン酸分子は、例えば、ピルベート、α−ケトグタレート、スクシンイル−CoA、フマレートまたはオキサロアセテートである。
【0020】
本発明に従う組成物は、好ましくは経口組成物であるが、しかしながら、非経口の組成物もまた本発明の範囲に含まれる。本発明の活性化成分は、単回経口投与形態で製剤化されてもよく、好ましくは、固体の投与形態であってよい。この場合、PPIおよび小型カルボン酸の放出は、壁細胞の活性化とPPIの血中への吸収との間の同調が達成されるように調節される。従って、一つの態様において、本発明に従うPPIおよび壁細胞活性化剤は、多層錠、懸濁錠、発泡錠、粉末、ペレット、顆粒、多数のビーズを含む硬ゼラチンカプセルまたは脂質を基礎とするベヒクルを含む軟ゼラチンカプセルとして製剤化されてもよい。液体投与量形態、例えば、懸濁液なども同様に使用されてよい。
【0021】
一つの態様に従うと、本発明の固体投与量形態は、腸溶pH依存性放出ポリマーまたは非腸溶時間依存性放出ポリマーの何れかでコーティングされたPPI粒子および本発明に従う壁細胞活性化剤の粒子を含むカプセルまたは多層錠であってよい。当該小型カルボン酸により活性化された壁細胞が小腸の近位部分におけるPPIの吸収と同調することを確実にするために、当該単回経口投与形態は、胃における放出時間を延長する時間依存性放出ポリマーでコーティングされた小型カルボン酸ビーズを含んでいてもよい。特に、胃における小型カルボン酸の放出を遅らせることが、壁細胞の活性化剤としてのカルボン酸の活性化と活性化された壁細胞におけるPPIからそのプロトン化形態への変換に繋がる全身循環におけるPPIの吸収の間の同調を可能にする。
【0022】
本発明の活性成分はまた、分離された投与形態で製剤化されてもよい。例えば、本発明に従う小型カルボン酸を、経口懸濁剤、または固体の投与量形態、例えば、カプセル、錠剤、懸濁剤、または発泡錠に製剤化してもよく、当該PPIを分離した固体投与量形態、好ましくは、腸溶pH依存性放出ポリマーまたは非腸溶時間依存性放出ポリマーを伴うビーズを含むカプセルまたは錠剤に製剤化してもよい。当該分離した投与量形態は、一投与量形態にある小型カルボン酸のビーズと、分離された投与量形態にあるPPIのビーズを具備するキットとして提供されてもよい。この場合、当該小型カルボン酸は当該PPIと組み合わされて投与され、それにより、少なくとも幾らかの経時的なオーバーラップがそれらの生理的活性において存在する。当該PPIおよび小型カルボン酸は、同時におよび/または経時的に投与されてもよい。
【0023】
本発明の活性成分はまた、非経口投与に適切な投与量形態、例えば、静脈投与および皮下注射などのための投与形態に製剤化されてもよい。活性化成分の一つが経口投与(錠剤またはカプセルなどで)投与され、第ニの活性成分が静脈または皮下注射により非経口で投与されてることも可能である。
【0024】
もう一つの態様において、本発明は、胃酸分泌の抑制が必要な疾患に罹患する対象または胃酸分泌の抑制により正常に治療される疾患を治療するための方法に向けられる。当該方法は、胃酸分泌抑制剤としてのPPIと壁細胞の活性化剤としての一以上の小型カルボン酸を具備する医薬組成物を当該対象に投与することを具備する。
【0025】
本発明の組成物は、胃酸分泌の阻害が必要な哺乳類における病理を防止または治療するために使用されてよい。好ましくは、当該哺乳類はヒトである。本発明の当該組成物は、当該病理を治療することにおける、および症状の出現前にそのような病理が進展する危険性を最小限にすることにおいて有効である。
【0026】
本発明の医薬組成物は、胃酸分泌の抑制により治療される非常に多くの病理状態において使用されてもよい。そのような状態は、しかしながらこれに限定されるものではないが、ゾリンガー−エリソン症候群(ZES)、胃−食道逆流性疾患(GERD)、食道炎、消化性潰瘍性疾患、十二指腸潰瘍、胃炎および胃侵食、消化不良、NSAID−誘発胃疾患などを含む。
【0027】
本発明はまた、医薬キット、好ましくは経口医薬キットを含む。当該キットは典型的には、活性成分として、薬学的に有効量の(i)本発明に従う一以上の小型カルボン酸;(ii)置換されたベンズイミダゾール H+/K+−ATPase プロトンポンプ阻害剤を含む。一つの態様において、当該活性成分は、分離された投与量単位形態で製剤化される。当該キットは、対象に活性成分を投与することにより、胃酸分泌の抑制を必要とする対象における疾患を治療または予防するために使用されてよい。一以上の小型カルボン酸は、典型的には、PPIと同時に、PPIに先駆けて、またはPPIの投与に続いて投与される。
【0028】
本発明は、また、活性成分として、薬学的に有効な量の(i)遅延放出処方の一以上の壁細胞活性化剤;(ii)遅延放出処方の置換されたベンズイミダゾール H+/K+−ATPaseプロトンポンプ阻害剤を含む経口医薬組成物を含み、ここで、当該組成物からの壁細胞活性化剤の放出は遅延され、それにより壁細胞における壁細胞活性化剤の活性化とPPIの血中への吸収との間の同調を可能にする。好ましくは、当該壁細胞活性化剤は、当該組成物からPPIを放出する前に放出され、それによって、壁細胞活性化剤によりすでに活性化されたときに、PPIが血流を介して壁細胞に到達することを可能にする。しかしながら他の態様に従うと、当該壁細胞活性化剤の活性とオーバーラップを確実にするために、より長い期間に亘ってPPIが血中に残存している場合には、当該PPIが壁細胞活性化剤の放出に先駆けて放出されてもよい。当該同調は、PPIによるH+/K+−ATPaseプロトンポンプの阻害を最大にするために必要である。PPIと当該壁細胞活性化剤の両方の粒子が、腸溶コーティングポリマー(pH依存性放出ポリマー)または非腸溶コーティングポリマー(時間依存性放出ポリマー)の何れかでコーティングされてもよい。
【0029】
これらの態様および更なる態様は、以下の詳細な説明および例から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、コハク酸がラットにおける胃酸分泌を誘導することを示す。
【図2】図2は、パントプラゾール(パント)とコハク酸(ScA)の投与が、パントプラゾール単独に比べて胃液サンプルにおいてより高いpH値を招いたことを示す。
【図3】図3は、パントプラゾールとコハク酸(パント−ScA)の投与が、パントプラゾール(パント)単独に比べて、胃における胃酸排出量の値がより低い結果となったことを示す。
【図4】図4は、コハク酸およびマレイン酸の両方が、胃酸分泌においてパントプラゾールの効果を促進することを示す。
【図5】図5は、幽門部結紮ラットに対して投与された場合に、コハク酸が、胃酸分泌を誘引できたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
壁細胞の活性化は、PPIプロドラッグから、胃H+/K+−ATPaseプロトンポンプの不可逆的阻害剤として作用する活性型への変換のために必要である。本発明の組成物は食物摂取の必要性を伴わない胃酸分泌の阻害におけるPPIの有効性を増加する活性剤の独特な組み合わせを提供する。
【0032】
本発明の組成物は、胃酸分泌の阻害を必要とする哺乳類における病態を予防または治療するために使用されてよい。本発明の組成物は、病態を治療すること、および発症する前にそのような病態が進展する危険性を最小限にすることの両方において効果的である。そのような病態は、例えば、: 逆流性食道炎、胃炎、十二指腸炎、胃潰瘍および十二指腸潰瘍を含む。更に、本発明の組成物は、例えば、非ステロイド系抗炎症薬剤(NSAID)治療(低用量アスピリンを含む)中の患者、非潰瘍性消化不良を有する患者、症候性の胃−食堂逆流性疾患(GERD)を有する患者、およびガストリノーマを有する患者における、胃酸阻害効果が望ましい胃腸管系疾患の治療または予防のために使用されてよい。それらはまた、集中ケアの状況にある患者において、急性上流胃腸管出血を有する患者において、胃酸の吸引を防ぐための術前および術後の状態において、ストレス性潰瘍の予防および治療のために使用されてもよい。更に、それらはヘリコバクター感染およびこれに関連する疾患の治療において有用であってもよい。治療のために非常に適した他の状態は、これらに限定されるものではないが、ゾリンガー−エリソン症候群(ZES)、ウェルナー症候群,および全身性肥満細胞症が含まれる。
【0033】
本発明に従う壁細胞活性化剤は、好ましくは一以上の小型モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸またはこれらの誘導体または塩である。好ましくは酸分子は、クレブス回路に関連する小型カルボン酸である。特に好ましい酸分子は、飽和した脂肪族および不飽和のジカルボン酸であり、これらは本発明に従う壁細胞活性化剤として使用されてよい。小型脂肪族ジカルボン酸は、一般的: HO2C−(CH2n−CO2H(ここで、n = 0 から 5)で表される。特異的な小型の飽和脂肪族ジカルボン酸は、シュウ酸(n=0)、マロン酸(n=1)、コハク酸(n=2)、グルタル酸(n=3)、アジピン酸(n=4)およびピメリン酸(n=5)である。本発明に従う壁細胞活性化剤として使用されるべき好ましい脂肪族ジカルボン酸は、2から6炭素原子、より好ましくは4炭素原子の脂肪族ジカルボン酸、例えば、コハク酸である。本発明に従う壁細胞活性化剤として使用されるべき好ましい不飽和ジカルボン酸は、4炭素マレイン酸およびフマル酸である。遊離ジカルボン酸の代わりに、対応するジカルボン酸誘導体を使用してよく、例えば、ジカルボン酸エステル、アミド、ハライドまたはジカルボン酸の水素化物を使用してよい。また、本発明の範囲に含まれるものは、ミトコンドリア呼吸鎖(クレブス回路)に関連する小型カルボン酸分子は、例えば、ピルベート、シトラート、フマレート、α−ケトグルタレート、スクシンイル−CoAまたはオキサロアセテートである。
【0034】
本発明の組成物は、酷い有害な副作用を伴わない壁細胞において薬学的効果を達成するために有効な量の一以上の小型カルボン酸またはこれらの類似体を含む。当該組成物に存在させる当該小型カルボン酸の標準的な凡その量は、好ましくは1−2500mg、より好ましくは10−1000mgおよび最も好ましくは50−400mgである。
【0035】
一つの好ましい態様において、本発明の組成物は、一以上の脂肪酸トリカルボン酸、好ましくはクエン酸を一以上のジカルボン酸と組み合わせて含む。当該組成物において存在する一以上のトリカルボン酸の標準的な凡その量は、好ましくは1−1000mg、より好ましくは10−1000mgおよび最も好ましくは50−200mgである。
【0036】
本発明の組成物は、更に、胃H+/K+−ATPaseプロトンポンプの可逆的阻害剤として作用するPPIを含む。本発明において使用されるPPIは、H+/K+−ATPase阻害活性を有する何れかの置換されたベンズイミダゾール化合物であればよい。本発明の目的のために、用語「PPI」は、H+/K+−ATPaseの阻害剤としての薬理活性を有する何れかの置換されたベンズイミダゾールを意味するべきであり、これらに限定するものではないが、中性形態または塩形態のオメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール(dontoprazol)、ペルプラゾール(perprazol)(s−オメプラゾールマグネシウム)、ハベプラゾール、ランソプラゾール、パリプラゾール、テナトプラゾールおよびレミノプラゾール、これらの単一鏡像異性体または異性体または他の誘導体またはこれらの鏡像異性体のアルカリ塩を含む。
【0037】
本発明において使用されてよい胃H+/K+−ATPaseプロトンポンプ阻害剤の例は、米国特許6,093,738に開示され、これはプトトンポンプ阻害剤として有効な新規チアジアゾール化合物を記載する。 欧州特許322133および404322 は、キナゾリン誘導体を記載し、欧州特許259174 はキノリン誘導体を記載し、WO 91/13337および米国特許5,750,531 はプロトンポンプ阻害剤としてピリミジン誘導体を開示する。適切なプロトンポンプ阻害剤は、例えば、EP−A1−174726、EP−A1−166287、GB 2 163 747およびW090/06925、W091/19711、W091/19712、W094/27988およびW095/01977にも開示される。
【0038】
非限定的な態様において、小型カルボン酸分子またはこれらの塩と当該PPIの比は約20:1から約1:5である。
【0039】
本発明の組成物は、好ましくは適切な経口投与のためのものである。本発明に従う経口組成物におけるPPI粒子は、コーティングされていても、コーティングされていなくともよい。PPI、例えば、オメプラゾールなどを含む腸溶コーティング粒子の製造は、例えば、米国特許4,786,505および4,853,230に開示される。
【0040】
本発明の組成物は、過度の有害な副作用を伴わずに、薬理効果を達成するために、または治療学的改善を達成するために有効な量でPPIを含む。治療学的改善は、これらに限定するものではないが以下を含む:胃pHを上昇する、胃腸管の出血を減少する、症状の改善または除去。好ましい態様に従うと、PPIの典型的な一日あたりの投与量は、変更されてもよく、種々の因子、例えば、患者の個々の必要性および治療されるべき疾患など依存するであろう。一般的に、PPIの一日投与量は1から400mgの範囲にあるであろう。当該組成物に含まれる好ましい標準的な凡そのPPIの量は、典型的には約20から40mgのオメプラゾール、約30mgのランソプラゾール、約40mgのパントプラゾール、約20mgのラベプラゾールおよびであり、以下のPPIの薬理学的に同等な用量である:ハベプラゾール、パリプラゾール、ドントプラゾール、ランソプラゾール、ペルプラゾール(s−オメプラゾールマグネシウム)、テナトプラゾールおよびレミノプラゾール。
【0041】
本発明の活性成分は、好ましくは、全ての活性成分を含む単回経口投与量形態に製剤化される。本発明の組成物は固体であっても液体形態であってもいずれに製剤化されてもよい。固体製剤は、液体製剤に比べて固体製剤の安定性の改善の観点から、および患者のよりよいコンプライアンスの観点から好ましい。
【0042】
一つの態様において、当該PPI粒子および一以上の小型カルボン酸は、単回固体投与量形態、例えば、多層錠、懸濁錠、発泡錠、粉末、ペレット、多数のビーズを含む顆粒またはカプセルに製剤化される。もう一つの態様において、当該活性剤は、単回液体投与量形態、例えば、全ての活性成分を含む懸濁液、または使用に先駆けて再構成されるべき乾燥懸濁剤などに製剤化されてもよい。
【0043】
本組成の酸不安定なPPI粒子は、胃液との接触を避けるために好ましくは腸溶コーティング遅延放出顆粒として製剤化される。しかしながら、本発明の壁細胞活性化剤は、早急な壁細胞活性化を容易にするために即時放出製剤中に、または壁細胞における当該壁細胞活性化剤とPPIの生物学的活性の間の同調化をよりよくするために遅延放出製剤中の何れかに製剤化されてもよい。この場合、PPIおよび壁細胞活性化剤の両方の粒子が、腸溶コーティングポリマー(pH依存性放出ポリマー)または非腸溶コーティング(時間依存性放出ポリマー)の何れかでコーティングされる。例えば、コーティングされたPPI粒子が使用されて、血中に遅れて吸収される場合、当該壁細胞活性化剤粒子はその放出および吸収の遅延が良好となるようにコーティングされることが望ましい。一つの特異的な態様において、当該PPI粒子は、厚く非腸溶コーティング層でコーティングされ、それによりPPIの放出は、好ましくは40から100分、より好ましくは40から80分、最も好ましくは60から80分遅延され、当該壁細胞活性化剤は薄い非腸溶コーティングポリマー層でコーティングされ、それにより当該壁細胞活性化剤の放出は、当該PPIの放出に同調され、好ましくは20から80分、最も好ましくは30から60分遅延する。これらの状態は、薬理学的なPPI血症濃度の到達に先駆けて壁細胞活性化剤による壁細胞のプレアクチベーションを可能にする。
【0044】
本発明において使用されるべきpH依存性腸溶コーティングポリマーの非限定的な例は、以下の通りである: セルロースアセテートホスフェート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマー、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、および先の何れかの混合物。適切な商業的に入手可能な腸溶物質は、例えば、登録商標ユードラジット(Eudragit) L 100-55で販売されている。このコーティング剤は基質にスプレーコーティングされる。
【0045】
非腸溶コーティング時間依存性放出ポリマーは、例えば、胃液からの水の吸収を介して胃において膨張し、それによって厚いコーティング層を作り粒子サイズを増す一以上のポリマーを含む。時間依存性放出コーティングは、一般的に、外部の水性媒体のpHに依存する侵食および/または拡散特性を有する。従って、当該活性成分は、拡散により粒子からゆっくりと放出され、または胃における当該粒子のゆっくりとした侵食に続いて放出される。
【0046】
流体と当該投与量形態の表面との相互作用から生じる当該ポリマーの胃における侵食特性は、主にポリマー分子量および薬物/ポリマー比により決定される。当該壁細胞活性化剤とPPIの放出における約10分から約60分の遅延を確実にするために、ポリマーの分子量が約10から約10グラム/molであることを推奨する。更に、壁細胞活性化剤とポリマーまたはPPIとポリマーとの間の比率が約2:3から約9:1、好ましくは約3:2から9:1、最も好ましくは約4:1から9:1の範囲であることを推奨する。
【0047】
適切な非腸溶時間依存性放出コーティングは、例えば、フィルム形成化合物、例えば、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、および/またはアクリルポリマーであり、ユードラジット(登録商標)ブランドのポリマーの非腸溶形態を含む。他のフィルム形成物質も単体でまたは互いに組み合わせて、または上述で列記した一つと組み合わせて使用されてよい。これらの他のフィルム形成物質は、一般的に、ポリ(ビニルピロリドン)、ゼイン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテート)、およびエチルセルロース、並びに他の薬学的に許容される親水性のおよび疎水性のフィルム形成物質を含む。これらのフィルム形成物質は、水、或いは溶媒系をベヒクルとして使用して当該基質コアに適用されてよい。ヒドロアルコール系をフィルム形成のためのベヒクルとして用いるために使用されてもよい。
【0048】
本発明の時間依存性放出コーティングを作るために適切な他の物質は、例として挙げると、これに限定するものではないが、水可溶性ポリサッカライドガム、例えば、カラゲーナン、フコイダン(fucoidan)、ガッチゴム、トラガカントガム、アラビノガラクタン、ペクチンおよびキサンタン;ポリサッカライドガムの水可溶性塩、例えば、ナトリウムアルギナート、ナトリウムトラガカンチンン(tragacanthin)およびナトリウムガッテートゴム(sodium gum ghattate);水可溶性のヒドロキシアルキルセルロース、ここで、当該アルキル部分は直鎖状のまたは分枝の 1 から 7 の炭素であり、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースである;合成水可溶性のセルロースベースのラミナ形成剤、例えば、メチルセルロースおよびそのヒドロキシアルキルメチルセルロースセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシブチル メチルセルロースからなる群より選択されるもの;他のセルロースポリマー、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース;および当業者に公知の他の物質;である。この目的のために使用できる他のラミナ形成物質は、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ゼラチンおよびポリビニルピロリドンの混合物、ゼラチン、グルコース、サッカライド、ポビドン、コポビドン、ポリ(ビニルピロリドン)ポリ(ビニルアセテート)コポリマーを含む。
【0049】
特異的な例において、本発明の組成物は、硬ゼラチンカプセル中に多数のビーズを含む単回投与量形態として製剤化される。当該カプセルは、以下から選択されるビーズの混合された集団を含む:腸溶コーティングPPIを含むビーズまたは時間依存性放出ポリマーでコーティングされたPPIを含むビーズおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはアルギナートのいずれかでコーティングされた一以上の小型カルボン酸を含むビーズを具備するビーズ。カルボン酸放出の速度は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの厚さおよび侵食速度により決定される。
【0050】
更なるもう一つの例において、本発明の組成物は、一つの層に腸溶コーティングPPIを含み、第ニの層にヒドロキシプロピルメチルセルロースでコーティングされた小型カルボン酸を含む加圧コーティングまたは二重コーティング剤として製剤化される。
【0051】
更なる例において、本発明の組成物は、室温以上で液体であり冷却下で半固体を形成し、それにより硬ゼラチンカプセルに充填される、そこにおいて当該PPIが脂質ベース(非水性、迅速放出)に溶解されている、硬ゼラチンカプセル中に充填された非水性半固体の二層として製剤化されてもよい。
【0052】
本発明の活性成分は、当該壁細胞活性化剤を分離した投与量形態であって、PPIと一緒に投与される複式経口投与量形態に製剤化されてもよい。例えば、当該壁細胞活性化剤は、経口懸濁剤、または固体投与量形態、例えば、カプセル、錠剤、懸濁錠または発泡錠で製剤化されてもよく、当該PPIは、別の固体投与量形態、好ましくは、カプセルまたは錠剤に含まれる腸溶コーティングビーズまたは時間依存性放出ビーズに製剤化されてもよい。
【0053】
複式経口投与量形態を使用する場合、当該壁細胞活性化剤は、PPIの前に、PPIと同時にまたはPPIの後に投与できる。連続した投与において、PPIが投与または活性化されるときに、壁細胞活性化剤が、幾らかの生理学的な効果を働かせる長さで、幾らかの実質的な(例えば、分または数時間の)遅延が、壁細胞活性化剤およびPPIの投与の間にあってもよい。好ましい態様において、投与されたPPIは、腸溶コーティングまたは時間依存性放出形態にある。この態様に従って、壁細胞活性化剤が壁細胞においてすでに活性である間に、小腸の近位部位で吸収されたPPIがH+/K+−ATPaseを阻害することが得られることを確実にするために、PPI投与が、壁細胞活性化剤の投与に先んじることが好ましい。
【0054】
腸溶コーティングペレットからのPPIの放出を容易にするために当該製剤に緩衝剤を添加し、それによりPPIの血中への吸収を増すことも可能である。特に、緩衝剤、例えば、重炭酸ナトリウムが、胃のpHが5以上になるのに十分な量を添加されてよい。例えば、300から2000mgの重炭酸ナトリウムが当該製剤に添加されてよい。血中へのPPIの急速な吸収が必要である場合には、非腸溶性のPPIペレットが本製剤において使用されることも可能である。この場合において、胃におけるPPIの安定性は、胃のpHを5以上にする緩衝剤のために保護されるであろう。血中におけるPPIの急速な吸収は、壁細胞活性化剤が胃管腔を介して壁細胞における直接的な活性を有する場合に、または壁細胞活性化剤が胃を介して全身還流に吸収される場合に特に重要である。この場合、局所活性を可能にするため、または胃を介する吸収のために胃における壁細胞活性化剤の保持が延長されることが推奨される。
胃における壁細胞活性化剤の保持時間の延長することは、例えば、胃が空になることに抵抗する大きさに胃において急速に展開する投与量形態を使用することにより可能である。そのような系は、それらの完全性を延長された期間に亘り維持し、小さい部分への分解が生じるまで全く胃から空にしないであろう。コールドウェル(Caldwell、L. J.、Gardener、C. R.、Cargill、R. C. (1988)、U.S. Pat. No. 4,767,627)は、侵食性ポリマーで作られ、折りたたまれて硬ゼラチンカプセルに挿入された薬物を投入されたクロス形状のデバイスを記載する。経口投与に続き、ゼラチンシェルが崩壊し、折りたたまれたデバイスが開き出る。最小のサイズが1.6cmで最大サイズが5cmであれば、当該系が胃から通過できるのに十分に小さくなる時点までに当該ポリマーが侵食されるまで、幽門部を介して胃を通過しない。
【0055】
胃における壁細胞活性化剤の延長された保持時間のための代替的なアプローチは、親油性の侵食性ポリマー系、例えば、ポリ(エチレンオキシド)(ポリオキシ)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を使用することであり、それはヒトに投与されるために都合のよい大きさである。液体を摂取することにおいて、当該系は短時間のうちに胃保持間を延長することを促進する大きさに膨張し、上位胃腸管の吸収部位に対して含まれる薬物を持続してデリバリーすることを可能にする。これらの系が侵食性および親水性のポリマーまたはポリマー混合物から製造されることから、それらは胃を通過するための妥当な時間を越えて容易に侵食される。延長した時間は食道においては発生しないような時間であり、当該系が、部分的に膨張する状態で腸に達する場合には、当該水和されたポリマーの当該侵食性および弾性の性質が当該系による腸障害の機会をなくすであろう。
【0056】
本発明の活性成分は、不活性な薬学的に許容されるビーズに組み込まれてよい。この場合、当該薬物(単数または複数)は、当該ビーズにコーティングすることに先駆けて更なる成分と混合されてよい。成分は、これ限定するものではないが、結合剤、界面活性化剤、充填剤、崩壊剤、アルカリ添加物または他の薬学的に許容される成分を単独でまたは混合物として含む。結合剤は、例えば、セルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、糖、デンプンおよび他の薬学的に許容される結合特性を有する物質を含む。適切な界面活性剤は、薬学的に許容される非イオン性またはイオン性界面活性剤を含む。適切な界面活性剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0057】
当該粒子は、従来の技術により摂取されるためにパックされた塊体に形成されてもよい。例えば、当該粒子は公知のカプセル化方法および材料を用いて「硬充填カプセル(hard-filled capsul)」としてカプセル化されてもよい。カプセル化の材料は、胃液に高可溶性であるべきであり、それにより当該粒子はカプセルが摂取された後に胃において迅速に分散する。
【0058】
もう一つの態様において、本発明の当該活性成分は加圧錠剤にパッケージングされる。「加圧錠剤」は一般的に経口摂取のための平らな、未コートの錠剤をいい、一回の加圧または前圧縮タッピングとそれに続く最終的な加圧により調製される。そのような固体形態は、当該技術分野において周知の通りに製造される。錠剤形態は、例えば、一以上のラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド状ケイ素ジオキシド、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸および他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、加湿剤、保存剤、香味剤および薬学的に適合した担体を含む。製造方法は、以下の4つの確立された方法うちの一つまたはそれらを組み合わせて使用されてよい:(1)乾燥混合;(2)直接加圧;(3)混練:および(4)非水性顆粒化。Lachmanら、The theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986))。そのような錠剤はまたフィルムコーティングを含んでもよく、これは好ましくは経口摂取においてまたは希釈剤に接触したときに溶解する。
【0059】
もう一つの代替的な態様においては、本発明の組成物は、圧縮形態、例えば、懸濁錠および発泡錠で製剤化され、水または他の希釈剤と反応した上で、当該組成物の水性形態が経口投与のために作成されるように製剤化される。これらの形態は、特に、小児および年配者および錠剤を飲み込むまたは咀嚼することよりもより許容できるような他の者に投薬するために有用である。本医薬錠剤または他の固体投与量形態は、アルカリ剤に最小の振盪または拡散で崩壊する。
【0060】
本明細書に使用される用語「懸濁錠」は、それらが水中に置かれた後に迅速に崩壊し、正確な投与量のPPIと当該壁細胞活性化剤を含む懸濁液を形成するために容易に分散する圧縮剤をいう。当該錠剤の迅速な崩壊を達成するために、崩壊剤、例えば、クロスカルメロースナトリウムを当該製剤に添加してもよい。崩壊剤は、加圧錠製剤に単独で、または錠剤物質を圧縮することが困難な圧縮性を改善するその能力が周知の微結晶セルロースと組み合わせて混ぜ合わせてもよい。単独または他の成分と共加工処理された微結晶セルロースも、加圧錠のための一般的な添加剤であり、錠剤物質を圧縮することが困難な圧縮性を改善するその能力が周知である。それはアビセル(Avicel、登録商標)として商業的に入手できる。
【0061】
懸濁錠組成物は、上述の成分に加えて、医薬錠剤において多くの場合に使用される他の成分、調味剤、甘味剤、流動補助剤、滑沢剤または他の通常の錠剤補助剤を含む成分を含んでよく、このことは当業者に明白であろう。他の崩壊剤、例えば、クロスピビドン(crospividone)およびナトリウムデンプングリコレートを使用してもよいが、クロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium)が好ましい。
【0062】
上記の成分に加えて、上述の経口投与量形態は、適切な量の他の物質、例えば、当該薬学的技術分野において慣習的な希釈剤、滑沢剤、結合剤、顆粒化補助剤、着色剤、芳香剤およびグライダンツを含んでもよい。これらの追加の物質の量は、所望の製剤のために望ましい効果を与えるのに十分な量であるであろう。製剤化される経口投与量形態のために使用され得る薬学的に許容される担体および賦形剤は、ハンドブック・オブ・ファーマシューティカル・エクシピエンツ(the Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association(1986))に記載され、これは本明細書に引用されることにより組み込まれる。
【0063】
非経口投与のために、当該活性成分は、薬学的に許容されるベヒクルまたは担体を含む組成物において、静脈内、皮下または筋肉内注射の何れかにより投与される。注射による投与のためには、好ましくは、滅菌水性ベヒクルにおける溶液中の活性成分を使用し、当該滅菌水性ベヒクルは、他の溶質、例えば、緩衝剤または保存剤、並びに血液に関して等張性の溶液を調製するために十分な量の薬学的に許容される塩またはグルコースを含んでもよい。当該医薬組成物を溶液または懸濁液の形態に製剤化することにおいて、当該技術分野において習慣的に使用される全ての希釈剤が使用できる。適切な希釈剤の例は、水、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステルである。塩化ナトリウム、グルコースまたはグリセロールを、等張溶液を製造するために十分な量で治療剤に組み合わせてもよい。当該治療剤は更に、通常の溶解補助剤、緩衝剤および保存剤、および任意に着色剤、芳香剤、香味剤、甘味剤、および従来公知の他の薬理活性剤を含んでもよい。
【0064】
本発明の小型カルボン酸分子の用量は、疾患の種類、治療されるべき症状の重症度などに依存し、一日当たり複数回投与で非経口投与によりヒト成人当たり約1から100mgであってよい。
【0065】
以下の例は、本発明のある態様を更により十分に説明するために示す。それらは、本発明の広い範囲を制限するものであると解釈されるものでは決してない。当業者は、本明細書において開示される原理の多くのバリエーションおよび修飾を本発明の範囲から逸脱することなく容易に考案することが可能である。
【0066】

[例1]ラットにおけるコハク酸ナトリウムの経口投与に続く胃酸分泌の刺激
ラットに15mg/kgのコハク酸ナトリウムを胃管栄養法を用いて投与した。30分後、そのラットをケタミン/ドミター(ketamin/domitor)で麻酔し、幽門部を結紮した。更に60分後に、胃液を胃管腔から採取した。酸排出をNaOHでの滴定により測定した。mEq HClで表した総酸排出を、サンプルの体積に酸濃度を掛けることにより算出した。結果は、各実験群からの12匹の動物の平均値±SEMで表した。図1に示すとおり、コハク酸ナトリウムの経口投与は幽門部結紮ラットにおける胃酸分泌を有意に促進した。
【0067】
[例2]コハク酸は胃酸分泌におけるパントプラゾールの阻害効果を促進する
パントプラゾールによる胃酸分泌阻害におけるコハク酸の効果を検討するために、意識のある幽門部結紮ラットの実験モデルを使用した。この実験モデルは、意識のある動物における胃酸分泌における薬物の効果を解析することを可能にし、胃酸分泌における麻酔の効果を避けることが可能である。パントプラゾール単独(10mg/ml)およびコハク酸(15mg/ml)と併用した場合を経口胃管栄養法により解析した。プラセボとして水を投与した。15分後、幽門部結紮処置の実行および閉腹に十分な短時間(5分)麻酔ガス器を用いて当該動物を麻酔した。次に動物を更に90分間それのケージに戻し、屠殺した。結紮を食道あたりに行い、胃を摘出し、胃内容物を採取した。遠心に続き、胃排出および胃液サンプルのpHを測定した。データは胃排出およびpH値の平均値±SDで表した。動物数は、各実験群で4から8である。
【0068】
図2に示す通り、コハク酸とパントプラゾール(パント)の投与は、パントプラゾール単独に比べて胃液サンプルにおいて高いpH値を招いた。図3は更に、パントプラゾールとコハク酸の投与がパントプラゾール単独に比べて胃における胃排出の低値を導いたことを示す。これらの結果は、コハク酸が胃酸分泌の阻害におけるパントプラゾールの効果を増強することを示す。図4に示すように、マレイン酸(14.7mg/kg)も、胃酸分泌におけるパントプラゾール(3mg/kg)の阻害効果を促進する。
【0069】
コハク酸が、胃管腔における局所効果を介する胃酸分泌を誘導する可能性をコハク酸ナトリウムを幽門部結紮後の動物に投与した動物において試験した。これらの条件では、コハク酸ナトリウムは、胃内の局所作用を発揮する。図5に示すとおり、コハク酸ナトリウムは結紮後に投与した場合に胃管腔における局所作用を介して酸分泌を誘導する。しかしながら、コハク酸は胃管腔を介した全身循環に吸収された可能性がある。
【0070】
[例3]プロトンポンプ阻害剤(PPI)およびコハク酸を含む経口製剤
[硬ゼラチンカプセル]
硬ゼラチンカプセルは、コハク酸(ScA)とPPIの混合された顆粒集団を含んでよい。ScA顆粒は、即時放出または遅延放出製剤であり、PPIは、腸溶コーティング顆粒または時間依存性放出コーティング(遅延放出)である。顆粒は、硬ゼラチンカプセルに、カプセル当たり40mgのPPIおよび200mgのScAに相当する量でパッケージされてよい。
【0071】
A)即時放出ScA製剤:
40mg腸溶コーティング(Eudragit)または時間依存性放出コーティング(HPMC)PPI顆粒;
200mgScA顆粒;
希釈剤。
【0072】
B)遅延放出ScA製剤:
40mg腸溶コーティングまたは時間依存性放出コーティングPPI顆粒200mgScA顆粒(HPMCコーティング);
希釈剤。
【0073】
遅延放出ScA製剤のために、ScA溶液は、不活性ビーズに流動床装置上でスプレーされる。乾燥後、当該ScAビーズを更にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)でコーティングされ、最終顆粒を形成する。ScA放出速度は、HPMCの厚さおよび侵食速度により決定される。ScAは、投与から10分で当該コーティングビーズから放出されることを目的とされる。
【0074】
[錠剤またはカプセル]
当該医薬組成物は、錠剤またはより好ましくはカプセルの形態であってよい。当該カプセルは、混合された顆粒集団としてScA(上述したとおりの即時放出または遅延放出)、腸溶コーティングまたは時間依存放出コーティングPPI(加圧圧力下で安定)およびカプセル製剤に加圧されるべき広範な慣習的な錠剤補助剤を含む。
【0075】
[硬ゼラチンカプセル中のミニタブ(胃維持投与量形態)]
ScAはポリオックス WSR N60 およびHPMC K100Mの組み合わせと顆粒化される。これらの顆粒は、さらにラクトースおよびHPMCと組み合わされ、後に、胃での保留が可能な十分なだけの大きさのサイズに急速に膨張することが可能なミニタブに加圧される。当該ポリマーマトリックスは、胃部へのScA放出を制御する。
【0076】
当該ScAミニタブは、腸溶コーティングPPIペレットと混合され、硬ゼラチンカプセルに充填される。カプセルゼラチン状体の分解に続いて、当該PPIペレットは胃部を介して十二指腸を通過し、腸溶コーティングが溶解する。当該ScAミニタブは胃部に残り、制御された放出の胃保持様式でゆっくりとそれらの内容物を放出する。
【0077】
[プレスコーティング錠]
当該錠剤の内部コアは制御された放出を助け、投与量形態の膨張を促すヒドロゲルの混合物と組み合わされたScAで構成される。膨張したコアは胃保留特性を有する。ゴム状の混合物:キサンタンゴム、ゲランゴム(gellan gum):がセルロース誘導体、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたはHPMCと共に適用されてもよい。
【0078】
当該コアは、更に、(加圧の圧力下で安定な)腸溶コーティングPPIペレットとそれに伴う適切な充填剤で構成される外側層でコーティングされ、消化後に迅速に崩壊され、当該PPIを迅速に放出する。最終産物は、内部の制御された放出のScAのコアと、腸溶コーティングまたは時間依存性放出コーティングPPIを伴う即効性放出型の外層で構成される。
【0079】
[パルス放出投与量形態]
硬ゼラチンカプセルは以下を充填される:
a)HPMC K100MとビタミンE−TPGSと組み合わされ、塩化ナトリウム(当該カプセルに水を誘引するための浸透圧剤)と併用されるScA顆粒
b)ヒドロゲル様ポリオックス WSR N60、カルボキシメチルセルロースの混合物を伴う膨張層
c)腸溶コーティングまたは時間依存性放出コーティングPPIペレット
d)任意に、300から2000mgの重炭酸ナトリウムの顆粒が添加されてもよい。
【0080】
当該カプセル体は、非可溶性のコーティング層、例えば、エチルセルロースまたはセルロースアセテートなどでコーティングされる。消化の後、当該中央層は、水和し、膨張し、胃部へのPPIペレットの放出を促進する。当該ScAは当該カプセル体に残り、胃に保留される制御された放出の投与量形態として作用し、同時に、当該放出はヒドロゲル層により制御される。
【0081】
[経口懸濁剤のための粉末]
経口懸濁剤のための粉末は、ScAおよび腸溶コーティングまたは時間依存性放出コーティングPPI顆粒を含む。ScA顆粒は、迅速放出または遅延放出製剤であってもよい(上述した通り)。PPIは、腸溶コーティングまたは時間依存性放出コーティング顆粒(遅延放出)として製剤化される。当該組成物は、水と共に構成するように個々にパックされる。水と混合された場合に、粉末は一様な懸濁液になる。
【0082】
[注射可能製剤]
PPIおよびコハク酸溶液は、リン酸緩衝化生食にコハク酸を溶解することにより調製される。PPIおよびコハク酸の溶液のための生理学的リン酸緩衝化生食溶液の調製のために、リン酸緩衝化生食(PBS)の濃縮(20倍)溶液を希釈し、1倍の溶液を得る。20倍のPBS溶液は、以下の試薬を十分な水に溶解し、溶液1000mLを作ることにより調製する:塩化ナトリウム、160グラム;塩化カリウム、4.0グラム;リン酸水素ナトリウム、23グラム;リン酸二水素カリウム、4.0グラム;および任意のフェノールレッドパウダー、0.4グラム。当該PBS溶液を次に、オートクレーブで15分間15ポンドの圧力で滅菌し、滅菌水で希釈し、PPIおよびコハク酸の溶解に先駆けて1倍の濃度にする。静脈投与のための投与量形態を調製するために、PPIおよびコハク酸を1倍のPBSにそれぞれ0.2mgおよび1mg/mLの濃度で溶解し、得られた溶液(200mL)を、当該化合物の静脈投与における使用のための封可能な半透明なプラスチックバッグに分配する。これらの工程は滅菌条件下で行う。
【0083】
当業者は、本発明が特に上記の本明細書において示され、記載された範囲に限定されるものではないことが認められるであろう。むしろ、特許請求の範囲により本発明の範囲は特定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としての薬学的に有効な量の、(i)壁細胞を活性化する一以上の小型カルボン酸分子またはその塩;および(ii)不可逆性の胃H/K−ATPaseプロトンポンプインヒビター(PPI)を具備する医薬組成物であって、当該小型カルボン酸分子が胃管腔に位置する壁細胞を活性化するために十分な量である医薬組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の医薬組成物であって、前記小型カルボン酸分子が、3から6の炭素原子を有する飽和または不飽和モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸分子である医薬組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記小型カルボン酸分子が、以下からの一以上である医薬組成物;マレイン酸、コハク酸、ピルベート、シトレート、フマレート、α−グルタレート、スクシニルCoAおよびオキザロアセテート、またはその何れかの誘導体またはその塩。
【請求項4】
請求項1に記載の医薬組成物であって、当該活性成分の放出が、当該PPIの活性が当該壁細胞活性化剤の活性と同調するように制御される医薬組成物。
【請求項5】
請求項4の医薬組成物であって、経口投与に適切な形態にある医薬組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の医薬組成物であって、一以上の小型酸分子の量が50から300mgである医薬組成物。
【請求項7】
請求項5に記載の医薬組成物であって、当該活性成分は、以下から選択される単回単位経口投与量形態に製剤化される医薬組成物:二層錠、プレスコーティング錠、多粒子カプセル、発泡錠、懸濁錠、溶液および懸濁液。
【請求項8】
請求項7に記載の医薬組成物であって、当該活性成分は、当該カルボン酸分子とPPIの活性の間に同調するように、腸溶コーティングでコートされたビーズに粒状化される、または時間依存性放出性ポリマーである医薬組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の医薬組成物であって、当該時間依存性放出ポリマーが水環境において膨張する少なくとも一のポリマーを含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の医薬組成物であって、少なくとも一つのポリマーが以下を具備する群から選択される医薬組成物:合成ポリマーおよびセルロースベースポリマー、またはこれらの置換された誘導体。
【請求項11】
請求項1の医薬組成物であって、一以上の小型カルボン酸分子とPPIとの比が約20:1から約1:50である医薬組成物。
【請求項12】
請求項1の医薬組成物であって、当該PPIが以下からなる群より選択される医薬組成物:ラベプラゾール、オメプラゾール、イソメウラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、レミノプラゾール、テナトプラゾール、これらの単一鏡像異性体、これらのアルカリ塩およびこれらの混合物。
【請求項13】
請求項1に記載の医薬組成物であって、当該組成物が更に、胃における塩基性pHを提供するために十分な量の緩衝剤、または胃において細菌存在に対して有効な量の抗性物質を含む医薬組成物。
【請求項14】
活性成分として薬学的に有効な量の(i)一以上の小型カルボン酸分子またはその何れかの塩;および(ii)不可逆的胃H/K−ATPアーゼプロトンポンプ阻害剤(PPI)を含む薬学的キットであって、ここで、当該小型カルボン酸分子は、胃管腔に位置する壁細胞を活性化するのに有効な量にある薬学的キット。
【請求項15】
請求項14に記載のキットであって、当該活性成分は、分離された単位投与量形態で製剤されるキット。
【請求項16】
請求項15に記載のキットであって、当該活性成分が分離された単位投与量形態にあるキット。
【請求項17】
哺乳類における胃酸分泌を減少する方法であって、前記方法が、一以上の小型カルボン酸分子またはこれらの何れかの塩の有効量を、有効量のプロトンポンプ阻害剤(PPI)と共に投与することを含み、ここで、当該小型カルボン酸分子は、PPIと共に胃管腔に位置する壁細胞を活性化する量であり、それにより哺乳類の胃酸分泌を減少する方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、当該疾患が以下からなる群より選択される方法; 逆流性食道炎、胃炎、十二指腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)関連の病態、非潰瘍性消化不良、胃−食道逆流性疾患、ガストリノーマ、急性上流胃腸管出血、ストレス性潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ感染、ゾリンガー−エリソン症候群(ZES)、ウェルナー症候群,および全身性肥満細胞症。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、当該哺乳類がヒト対象である方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、当該一以上の小型カルボン酸分子が、PPIの投与と同時に、予めまたはそれに続いて投与される方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法であって、当該一以上の小型カルボン酸分子が以下から選択される方法;マレイン酸、コハク酸、ピルビン酸、クエン酸、フマル酸、α−ケトグルタミン酸、コハク酸、スクシニルCoAおよびオキサロ酢酸またはこれらの誘導体または塩である方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法であって、当該一以上の小型カルボン酸分子が有効量のPPIと共に経口投与を経て投与される方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法であって、当該一以上の小型カルボン酸分子とPPIとの比が約20:1から1:5である方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−6843(P2013−6843A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−173123(P2012−173123)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2008−510651(P2008−510651)の分割
【原出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(506068070)ベクタ・リミテッド (6)
【Fターム(参考)】