説明

背負式動力作業機

【課題】 液体ポンプの吸水口や吐出口を下向きにして残液を効率良く抜くことができ、重心位置を低く抑えることができる、構成が簡単な背負式動力作業機用の液体ポンプ継手構造を提供すること。
【解決手段】 背負式動力作業機10において、液体ポンプ26のケーシング36の下面に形成された吸水口56及び吐出口58にそれぞれ吸水継手68及び吐出継手72が接続される。吐出継手72は、吐出口58に螺合される固定管76と、一端側が固定管76に嵌合されて固定管76により共締めされる継手管74とからなる。継手管74は側方に延び、吐出ホース34を確実に接続するのに十分な長さを確保できる。下方に延びないため、液体ポンプ26の重心位置は上昇しない。吸水継手68及び吐出継手72は螺合という手段だけで固定できるので、構成が簡易なものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液等の液体の噴霧や散布等を行う背負式動力作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液等の液体の噴霧や散布等を行う背負式動力作業機においては、液体が貯留される液体タンク、液体タンク内の液体を吸引し、その液体をノズルに向けて吐出する液体ポンプ、及び、液体ポンプを駆動する内燃エンジン等が背負架台に搭載されている。
【0003】
背負式動力作業機における液体ポンプのケーシングには、液体タンクに連通する吸水ホースが接続される吸水口と、ノズルに連通する吐出ホースが接続される吐出口とが設けられている。吸水口や吐出口は従来、ケーシングの側面に設けられていたため、液体散布終了後に残った液体をケーシング内から抜こうとしても、十分に抜けきらない場合があった。
【0004】
特許文献1や特許文献2には、このような問題を解消するため、液体ポンプのケーシングの下面に吸水口と吐出口を設け、ケーシング内に残った液体を自然流下によって円滑に排出させる背負式動力作業機が記載されている。
【特許文献1】実公平4−37651号公報
【特許文献2】実公昭59−25498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の背負式動力作業機では、液体ポンプの吸水口及び吐出口と吸水ホース及び吐出ホースとを繋ぐ継手が、ナットを用いて固定される構成となっているため、ナットを介在させるスペースの分だけ液体ポンプの位置が高くなる。そのため、重心位置が高くなるが、背負式動力作業機にあっては、作業時の安定のためにも重心位置は可能な限り低く抑えることが望ましい。
【0006】
一方、特許文献2に記載の背負式動力噴霧機では、液体ポンプの吐出口に継手を介して接続されたホースの端部に十字継手が接続されている。更に、この十字継手には、噴霧管に連通するパイプ、リバースパイプ、ドレンコックが接続されている。このような構成では部品点数が多くなり、狭いスペースでの組み付け作業が非常に面倒である。
【0007】
本発明の目的は、前述した従来における技術的課題を解決することのできる背負式動力作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、液体が貯留される液体タンク(22)と、液体タンク(22)内の液体を吸引し吐出する液体ポンプ(26)とが背負架台(12)に搭載されている背負式動力作業機(10)において、液体ポンプ(26)のケーシング(36)の下面に形成された吸水口(56)に取り付けられ、液体タンク(22)の底部の排液口(37)に一端が接続された吸水ホース(32)の他端が接続される吸水継手(64)と、液体ポンプ(26)のケーシング(36)の下面に形成された吐出口(58)に取り付けられ、吐出ホース(34)が接続される吐出継手(72)とを具備し、吸水継手(64)が、吸水口(56)に螺合されて下方に延び、下端側に吸水ホース(32)が接続される管状体であり、吐出継手(72)が、吐出口(58)に螺合されて下方に延び、下端が閉じられている固定管(76)と、一端側が固定管(76)に嵌合され、固定管(76)が吐出口(58)に螺合されることにより吐出口(58)に対して横向きに固定され、他端側に吐出ホース(34)が接続される継手管(74)とを備え、固定状態において固定管(76)の内部の流路(84)及び継手管(74)の内部の流路(98)が連通するようになっていることを特徴としている。
【0009】
この構成では、液体タンク(22)の排液口(37)と吸水継手(64)とを繋ぐ吸水ホース(32)が略U字状となる。この状態は吸水ホース(32)にとり自然な状態であり、捩れや折れを生じることなく吸水ホース(32)をコンパクトに配置することが可能となる。また、吸水継手(64)を固定する手段が螺合によるものであり、ナット等の他の部品が不要であるので、吸水継手(64)が長くなることもない。更に、吐出ホース(34)が接続される吐出継手(72)の継手管(74)を固定管(76)によって吐出口(58)に横向きに、すなわち略水平に固定することができる。この向きでは、継手管(74)への吐出ホース(34)の接続が容易となる。
【0010】
また、継手管(74)は、固定管(76)に回転可能に嵌合されることが好ましい。この構成により、継手管(74)は、取付けに際して他の部品と干渉を起こすことがなく、継手管(74)の長さを十分にとることを可能とするからである。
【0011】
更に、固定管(76)は、その下端から下方に延びるとともに、流路(84)にオリフィス(90)を介して連通する流路(92)を有するホース接続部(88)を備え、液体タンク(22)の底部の余水導入口(39)に一端が接続された余水ホース(38)の他端をホース接続部(88)に接続するようにすることが好適である。この場合も、吸水ホース(32)と同様に、余水ホース(38)を略U字状にして液体タンク(22)と液体ポンプ(26)との間に配置することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
上述したように、本発明によれば、液体タンク(22)の排液口(37)と吸水継手(64)とを繋ぐ吸水ホース(32)が略U字状となり、コンパクトに配置することが可能となり、且つ、吸水継手(64)及び吐出継手(72)をナットで固定するものでないので、液体ポンプ(26)の下側のスペースを小さくすることができる。これにより、背負式動力作業機の重心位置が高くなるのを防止することができ、噴霧等の作業を快適に行うことが可能となる。また、部品数も少ないことから、継手(64,72)やホース類の取付けも容易となる。
【0013】
また、吐出ホース(34)が接続される継手管(74)が横向きとなっているので、その長さを十分に長くすることができ、吐出ホース(34)の接続が容易となるとともに、液体ポンプ(26)の下側のスペースを小さく保ち、重心位置の低下を図ることができる。
【0014】
更に、液体ポンプ(26)の吸水口(56)及び吐出口(58)が下向きであるので、液体ポンプ(26)の残留液体の排出を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明による背負式動力作業機の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、全図を通し、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲における「上」、「下」等の方向を示す語は、本発明による背負式動力作業機を水平面上に適正に設置した状態に基づいた語である。
【0016】
図1は本発明による背負式動力作業機である背負式噴霧機を概略的に示す側面図であり、背負架台内を一部破断して示している。背負式噴霧機10は、作業者に背負われた状態で使用され、農作物等に液状の薬剤を噴霧するための装置である。
【0017】
図示するように、背負式噴霧機10は、背負架台12を備えている。背負架台12は、上部の背当て部14と下部の台座部16とから構成されている。背当て部14は、作業者に背負われた状態で作業者の背中に対向する面を持ち、この面に背当てパッド18と背負いバンド20が設けられている。
【0018】
背当て部14は、その上部に液体タンク22が一体的に設けられており、液体タンク22の下側には、ホースやその他の要素が収納される収納空間部24が形成されている。液体タンク22には、薬液等の液体が貯留される。
【0019】
背当て部14の下端部からは、台座部16が背負い状態で作業者の背中から離れる後方へ向けて略水平状に延びている。台座部16上には、背当て部14に近い方から順に、液体ポンプ26と、液体ポンプ26の駆動源である内燃エンジン28とが配置されている。内燃エンジン28の下方には、内燃エンジン28に燃料を供給する燃料タンク30が配置されている。内燃エンジン28及び燃料タンク30は台座部16に据え付けられており、液体ポンプ26は内燃エンジン28に固定されている。その結果、液体ポンプ26と台座部16との間には若干のスペースが形成されている。
【0020】
液体ポンプ26は、内燃エンジン28によって駆動されると、液体タンク22から吸水ホース32を通して液体を吸引し、噴霧ホース(吐出ホース)34を通してその先端の噴霧ノズル36から液体を噴霧させることができる。吸水ホース32は背当て部14の収納空間部24に配置され、その一端が液体タンク22の底部に設けられた排液口37接続されている。また、収納空間部24には、液体ポンプ26からの余水を液体タンク22に戻す余水ホース38が配置され、余水ホース38の一端も液体タンク22の底部に設けられた余水導入口39に接続されている。
【0021】
本実施形態では、液体ポンプ26は、図2から理解される通り、回転型ポンプの一種であるカスケードポンプとなっている。図2は、液体ポンプ26のケーシング40の内部、すなわちケーシング本体42からケーシング蓋44を取り外した状態を示している。図示するように、ケーシング40の内部には略環状のポンプ室46が形成されている。ポンプ室46には、内燃エンジン28(図1参照)の駆動によって回転するインペラ48が配設されている。インペラ48の駆動軸50は略水平方向を向いて配設されている。駆動軸50の回転によってインペラ48が回転することで、液体ポンプ26が駆動する。
【0022】
ケーシング本体42には、ポンプ室46から下方に向けて延びる吸水流路52及び吐出流路54が形成されている。これらの流路52,54は実質的に鉛直方向に延びている。ケーシング本体42の下面には、下方に向けて突出形成された二つの円筒部分が互いに隣接して設けられている。一方の円筒部分(図2において右側)が吸水流路52に連通する吸水口56を構成し、他方が吐出流路54に連通する吐出口58を構成している。吸水口56と吸水流路52とは中心軸線が共通し、吐出口58と吐出流路54とは中心軸線が共通する。吸水口56の内周面にはめねじ部60が形成されている。吐出口58の内周面にも同様に、めねじ部62が形成されている。
【0023】
吸水口56には、直管状の管状体からなる吸水継手64が螺合される。すなわち、吸水継手64の一端側の外周面におねじ部66が形成されており、このおねじ部66が吸水口56のめねじ部60に螺合されるようになっている。したがって、吸水継手64は、ナット等の他の取付用部品を用いることなく、簡単に吸水口56に取り付けることができる。吸水継手64の他端側は、液体タンク22から延びる吸水ホース32の端部を接続するためのホース接続部68が形成されている。おねじ部66とホース接続部68との間には鍔部70が形成されている。鍔部70は、図3に示すように、角柱形状、好ましくは六角柱形状となっており、レンチ等の適当な治具を用いて、吸水口56への螺合を容易に行い得るようになっている。吸水ホース32はこの鍔部70に達するまでホース接続部68に嵌め込まれる。
【0024】
吸水ホース32は、弾性的なホース、例えばゴムホースであることが好ましい。一方、ホース接続部68の外径は、径方向に伸長していない状態での吸水ホース32の内径よりも大きな寸法にて形成されている。そのため吸水ホース32をホース接続部68に嵌め込めば、弾性作用による摩擦力により吸水ホース32は嵌着される(図2参照)が、更にその上から締付けバンド(図示しない)を締め付けることによって吸水ホース32の抜け止めが施されている。また、液体ポンプ26の駆動時には、吸水ホース32がケーシング40側に引き寄せられる方向に圧力がかかる。そのため、ホース接続部68の軸線方向長さが短くても、吸水ホース32は抜け難く、シール状態が確保される。これは、吸水継手64の全長の短縮化を可能とするものであり、液体ポンプ26の取付位置を上方にすることを防止し、背負式噴霧機10の重心位置の低下に寄与する。
【0025】
このように吸水ホース32をホース接続部68に接続した状態では、ホース接続部68が下方に延びているため、吸水ホース32は、液体タンク22の底部と液体ポンプ26の下面の間で略U字状をなすこととなる。この略U字状という形状は弾性的な吸水ホース32にとり自然な形態である。その結果、収納空間部24が比較的狭く、或いは、液体ポンプ26と台座部16との間のスペースが比較的小さくとも、吸水ホース32を、捩れや折れを起こすことなく、配置することが可能となる。これも背負式噴霧機10の重心位置の低下に寄与することとなる。
【0026】
液体ポンプ26の吐出口58には、吐出継手72が接続される。吐出継手72は、噴霧ホース34が接続される継手管74と、この継手管74を吐出口58に対して固定する固定管76とから構成されている。
【0027】
図3に示すように、固定管76は、その先端部の外周面におねじ部78を備えており、吐出口58のめねじ部62に螺合されるようになっている。また、固定管76の他端側には鍔部80が形成されている。図示実施形態では、鍔部80は、角柱形状、好ましくは六角柱形状となっており、レンチ等を用いて吐出口58に固定管76を容易に螺合させるようになっている。
【0028】
固定管76の中間部、すなわちおねじ部78と鍔部80との間の部分は、おねじ部78と同軸であり、おねじ部78の呼び径と同一、若しくは若干大きいが、鍔部80の外形よりも小さな外径を有する円筒軸部82となっている。おねじ部78から円筒軸部82を経て鍔部80までには、1本の流路84が貫通形成されている。この流路84と連通するよう、円筒軸部82の側壁には、経路穴86が貫通形成されている。
【0029】
更に、固定管76の鍔部80には、おねじ部78とは反対方向に延びる直管状のホース接続部88が一体形成されている。このホース接続部88は、おねじ部78、円筒軸部82及び鍔部80と同軸であり、その内部には、流路84にオリフィス90を介して連通する流路92が形成されている。ホース接続部88は余水ホース38が接続されるものである。
【0030】
余水ホース38も吸水ホース32と同様に、弾性的なホース、例えばゴムホースであることが好ましい。ゴムホースからなる場合、ホース内径をホース接続部88の外径よりも小さくすることで、余水ホース38をホース接続部88に嵌着することが可能となる(図2参照)。余水による圧力は、オリフィス90を介するために小さいので、ホース接続部88の軸線方向長さが短くても、余水ホース38は確実に接続される。これは、重心位置の上昇を抑制ないしは防止するものである。
【0031】
固定管76を液体ポンプ26の吐出口58に螺合した状態では、固定管76のホース接続部88は下方に延び、そこに接続される余水ホース38は液体タンク22の間で略U字状をなす。この略U字状の効果については、吸水ホース32と同様である。
【0032】
継手管74は、固定管76を吐出口58に螺合することで共締めされ、吐出口58に対して横向きに固定される。より詳細には、継手管74は、一端側に形成された、固定管76の円筒軸部82に嵌合される円筒部94と、この円筒部94の外周面から径方向外方に突設されたホース接続部96とから構成されている。円筒部94の内径は円筒軸部82の外径よりも同等若しくは若干大きく、円筒軸部82に対して摺動回転可能となっている。また、円筒部94の軸線方向長さは、円筒軸部82の軸線方向長さよりも若干長い寸法にて形成されている。ホース接続部96は管状であり、その内部の流路98は円筒部94の内面まで貫いている。
【0033】
このような継手管74においては、固定管76の円筒軸部82に嵌合した状態で、固定管76のおねじ部78を吐出口58のめねじ部62にねじ込むと、固定管76の鍔部80と吐出口58の端面99との間で継手管74の円筒部94が挟持されることとなる。したがって、固定管76を締め付けていくと、円筒部94、すなわち継手管74が吐出口58に対して固定される。この固定に際しては、ナット等の取付用部品は不要であり、固定作業を容易に行うことができる。固定状態において、円筒部94と吐出口58との間、及び、円筒部94と鍔部80との間をシールすべく、それぞれの間にOリング100,102等のシール部材を配設することが好ましい。なお、固定状態においては、継手管74におけるホース接続部96の流路98と固定管76の流路84とが連通される必要があるため、完全に固定する前にホース接続部96を左右に若干回して、流路84の内側端部が円筒軸部82の経路穴86に一致するよう位置調整する。このため、経路穴86は、円筒軸部82の周方向に長い長穴形状である方が好ましく、且つ、複数(図示実施形態では1対)形成することが好ましい。
【0034】
継手管74のホース接続部96には噴霧ホース34が接続される。ホース接続部96は、略鉛直方向に延びる固定管76の円筒軸部82に対して略直角となり、略水平方向に向く。特に、このホース接続部96の向きは、背負架台12を背負った作業者側を前方とした場合の右側方とすることが好適である(図1参照)。噴霧作業時、通常、作業者は右手で噴霧ノズル36を操作するためである。
【0035】
噴霧ホース34もその取扱いが容易となるよう、ゴムホースのような弾性的なホースが好ましい。噴霧ホース34の端部には口金具(図示しない)が設置されており、この口金具をホース接続部96の先端部のねじ部104に螺合させることで、噴霧ホース34をホース接続部96に接続することができるようになっている。本実施形態では、ホース接続部96が側方を向いており、ホース接続部96を十分に長くすることができるので、ねじ部104の位置に手を近づけやすく、よって噴霧ホース34の取付けが容易となっている。
【0036】
なお、吐出継手72における継手管74と固定管76とを一体構成とした場合、ホース接続部96を側方に向けた状態で組み付けなければならないので、ナットを用いた組付構造となってしまい、重心位置が上がってしまう。本実施形態の構成では、かかる不具合はない。
【0037】
上記構成の背負式噴霧機10を用いて噴霧作業を行う場合、作業者の操作によって内燃エンジン28が駆動されて液体ポンプ26が駆動されると、薬液等の液体が噴霧ノズル36から噴霧される。この際、噴霧圧が高くなると、余分な液体(余水)は、吐出継手72のオリフィス90から流路92を経て余水ホース38に抜け、液体タンク22に戻される。
【0038】
前述したように、本実施形態では、吸水継手64及び吐出継手72の組付けに対して、余計なナット等を使用していないため、継手64,76自体の長さは比較的短く、且つ、これらの継手64,76と液体タンク22とを繋ぐホース32,38も略U字状にコンパクトに纏まるため、液体ポンプ26の位置は低く抑えられる。このため、噴霧機10の重心が低くなり、噴霧作業中において、これを背負っている作業者は安定に且つ快適に作業を行うことが可能となる。
【0039】
噴霧作業が終了すると、液体ポンプ26の駆動を停止させる。その後、噴霧ホース34を外し、ホース接続部96から液体ポンプ26のケーシング40内の残液を抜く。吸水口56及び吐出口58はポンプ室46の下側にて下方に向けて配置されているため、ポンプ室46内の残液は円滑に且つ完全に排出される。これによって、残液の凍結による不具合等を防止することができる。同時に、噴霧ホース34内の残液も排出することができる。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは云うまでもない。
【0041】
例えば、上記実施形態では背負式動力作業機として背負式噴霧機を例に説明しているが背負式散布機等、他の型式の背負式動力作業機であってもよい。また、背負架台12の一部として液体タンク22が構成されている例にて説明しているが、背負架台12とは別に液体タンクを背負架台に搭載する構成のものでもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、吸水口56と吐出口58の中心軸線が向く上下方向を、鉛直方向となる場合について説明したが、鉛直方向に限定されるものではなく、本発明による動力作業機を水平面上に適正に設置した場合において、液体ポンプのケーシング内から残液が排出され得るならば、傾斜方向も含む。
【0043】
更に、吐出継手72とは別の部位から余水を液体タンク22に戻す場合等には、ホース接続部88は不要となり、流路84は鍔部80の位置で閉じられることとなる。この構成では、更に吐出継手72が短くなり、重心低下を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による背負式動力作業機である背負式噴霧機を概略的に示す側面図であり、背負架台内を一部破断して示している。
【図2】図1の背負式動力作業機における液体ポンプのケーシング本体からケーシング蓋を取り外した状態を示す概略側面図である。
【図3】図2に示す液体ポンプの下部、特に吸水継手及び吐出継手の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
10…背負式噴霧機(背負式動力作業機)、12…背負架台、22…液体タンク、26…液体ポンプ、28…内燃エンジン、32…吸水ホース、34…噴霧ホース(吐出ホース)、38…余水ホース、40…ケーシング、56…吸水口、58…吐出口、64…吸水継手、66…おねじ部、68…ホース接続部、70…鍔部、72…吐出継手、74…継手管、76…固定管、78…おねじ部、80…鍔部、82…円筒軸部、84…流路、86…経路穴、88…ホース接続部、90…オリフィス、92…流路、94…円筒部、96…ホース接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留される液体タンク(22)と、前記液体タンク(22)内の液体を吸引し吐出する液体ポンプ(26)とが背負架台(12)に搭載されている背負式動力作業機(10)において、
前記液体ポンプ(26)のケーシング(36)の下面に形成された吸水口(56)に取り付けられ、前記液体タンク(22)の底部の排液口(37)に一端が接続された吸水ホース(32)の他端が接続される吸水継手(64)と、
前記液体ポンプ(26)のケーシング(36)の下面に形成された吐出口(58)に取り付けられ、吐出ホース(34)が接続される吐出継手(72)と
を具備し、
前記吸水継手(64)が、前記吸水口(56)に螺合されて下方に延び、下端側に前記吸水ホース(32)の前記他端が接続される管状体であり、
前記吐出継手(72)が、前記吐出口(58)に螺合されて下方に延び、下端が閉じられている固定管(76)と、一端側が前記固定管(76)に嵌合され、前記固定管(76)が前記吐出口(58)に螺合されることにより前記吐出口(58)に対して横向きに固定され、他端側に前記吐出ホース(34)が接続される継手管(74)とを備え、固定状態において前記固定管(76)の内部の流路(84)及び前記継手管(74)の内部の流路(98)が連通するようになっている
ことを特徴とする背負式動力作業機。
【請求項2】
前記継手管(74)が前記固定管(76)に回転可能に嵌合されることを特徴とする請求項1記載の背負式動力作業機。
【請求項3】
前記固定管(76)が、当該固定管(76)の下端から下方に延びるとともに、前記流路(84)にオリフィス(90)を介して連通する流路(92)を有するホース接続部(88)を備え、前記液体タンク(22)の底部の余水導入口(39)に一端が接続された余水ホース(38)の他端が前記ホース接続部(88)に接続されるようになっていることを特徴とする請求項1又は2記載の背負式動力作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−742(P2006−742A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178847(P2004−178847)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】