説明

脂環式テトラカルボン酸二無水物、その製造法およびポリイミド

【課題】紫外線領域に吸収がなく光透過性に優れるとともに絶縁性も高く、さらに加工性が改善され、有機溶媒に対する溶解性に優れたポリイミドの原料モノマーとなり得る脂環式テトラカルボン酸二無水物を提供すること。
【解決手段】式[1]で表されるシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−1:2,3:4−二無水物化合物、または式[2]で表されるシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物。


(R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20アルキル基、炭素数1〜20ハロアルキル基、炭素数2〜20アルケニル基、炭素数2〜10アルキニル基、または炭素数2〜10アルコキシアルキル基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂環式テトラカルボン酸二無水物、その製造法およびポリイミドに関し、さらに詳述すると、脂環式構造を有し、例えば、電子材料用として好適なポリイミドおよびその原料モノマーである脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリイミドは、高い機械的強度、耐熱性、絶縁性、耐溶剤性を有しているため、液晶表示素子や半導体における保護材料、絶縁材料、カラーフィルタなどの電子材料として広く用いられている。また、最近では光導波路用材料等の光通信用材料や携帯電話の基板としての用途も期待されている。
近年、この分野の発展は目覚ましく、それに対応して、用いられる材料に対しても益々高度な特性が要求されるようになってきている。すなわち、単に耐熱性、耐溶剤性に優れるだけでなく、透明性など用途に応じた性能を多数併せ持つポリイミドが望まれている。
【0003】
従来汎用されている、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重縮合反応により得られる全芳香族ポリイミドは、濃い琥珀色を呈して着色するため、高い透明性が要求される用途においては問題が生じる。また、全芳香族ポリイミドは、有機溶剤に不溶であるため、実際にはその前駆体であるポリアミック酸を熱による脱水閉環して製膜する必要がある。
透明性を実現する一つの方法として、脂環式テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重縮合反応によりポリイミド前駆体を得て、当該前駆体をイミド化することで、比較的着色が少なく、高透明性のポリイミドが得られることが知られている(特許文献1、2参照)。
【0004】
また、最近、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−1:2,3:4−二無水物を脂環式テトラカルボン酸二無水物としたポリイミドを有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)素子のガスバリア膜として利用することが検討されている(特許文献3参照)。
しかし、無置換脂環式テトラカルボン酸二無水物を原料としたポリアミック酸およびポリイミドは、一般的な有機溶媒に対する溶解性が低く、沸点の高い極性有機溶媒のみに溶解する。この溶媒除去のため、製膜焼成時に高温を要し、各種の有機EL素子有機組成物に好ましくない影響を与える。
【0005】
一方、置換シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸としては、下記のエチル置換体が知られている(非特許文献1参照)。
【0006】
【化1】

【0007】
この反応では、エチルシクロペンタジエンと無水マレイン酸のディールス・アルダー反応からエチル置換5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を得るため、中間体が異性体の混合物となり、その精製に難がある。
【0008】
【特許文献1】特開昭60−188427号公報
【特許文献2】特開昭58−208322号公報
【特許文献3】特開2006−232960号公報
【非特許文献1】Monatshefte fuer. Chemie, 91, 812-823 (1960)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、紫外線領域に吸収がなく光透過性に優れるとともに絶縁性も高く、さらに加工性が改善され、有機溶媒に対する溶解性に優れたポリイミドの原料モノマーとなり得る脂環式テトラカルボン酸二無水物、その効率的かつ経済的な製造法、およびそのポリイミドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−1:2,3:4−二無水物化合物の2位炭素原子上にアルキル基等の置換基を導入した原料モノマーを用いることで、透明性や絶縁性に優れるとともに、有機溶媒に対する溶解性に優れたポリイミドが得られることを見出すとともに、その原料モノマーの効率的かつ経済的な製造法を見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、
1. 式[1]で表されることを特徴とするシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−1:2,3:4−二無水物化合物、
【化2】


(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、または炭素数2〜10のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表す。)
2. 式[2]で表されることを特徴とするシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物、
【化3】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は上記と同じ。)
3. 式[3]で表される1のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−1:2,3:4−二無水物化合物、
【化4】


4. 式[4]で表される2のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物、
【化5】


5. 式[5]
【化6】


(式中、R1、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表す。)
で表される5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸二無水物化合物、または式[6]
【化7】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、前記と同じ意味を表す。)
で表される5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸を、無機窒素酸化物で酸化することを特徴とする、式[2]
【化8】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、上記と同じ。)
で表されるシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法、
6. 式[7]
【化9】


で表される5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸二無水物化合物、または式[8]
【化10】


で表される5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸化合物を、無機窒素酸化物で酸化することを特徴とする式[4]
【化11】


で表される5のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法、
7. 前記無機窒素酸化物が、HNO3、HNO2、NO2、およびN24から選ばれる少なくとも1種である5または6のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法、
8. 前記無機窒素酸化物が、HNO3である7のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法、
9. さらに、開始剤として、発煙硝酸、亜硝酸塩、バナジン酸アンモニウムおよび酸化バナジウム(V)から選ばれる少なくとも1種を用いる8のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法、
10. 前記開始剤が、発煙硝酸である9のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法、
11. さらに、有機溶媒として、ハロゲン化炭化水素化合物、酢酸、ニトロメタン、および炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種を用いる5〜10のいずれかのシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法、
12. 前記有機溶媒が、ハロゲン化炭化水素化合物である11のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法、
13. 前記式[5]、[6]、[7]または[8]で表される化合物を前記有機溶媒に溶解させて調製した溶液を、HNO3水溶液中に滴下しつつ発熱を制御しながら反応させる11または12のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法、
14. 式[2]
【化12】


(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表す。)
で表されるシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物を、脂肪族カルボン酸無水物および芳香族炭化水素の存在下で脱水することを特徴とする
式[1]
【化13】


(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、前記と同じ意味を表す。)
で表されるシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−1:2,3:4−二無水物化合物の製造法、
15. 式[9]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリアミック酸、
【化14】

(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表し、R9は2価の有機基を表し、nは整数を表す。)
16. 式[10]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリイミド、
【化15】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびnは、上記と同じ。)
17. 式[11]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリアミック酸、
【化16】

(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表し、R10、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、ニトリル基、またはカルボキシル基を表し、nは整数を表す。)
18. 式[12]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリイミド、
【化17】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、R12およびnは上記と同じ。)
19. 式[13]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有する17のポリアミック酸、
【化18】


(式中、nは整数を表す。)
20. 式[14]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有する18のポリイミド、
【化19】

(式中、nは整数を表す。)
21. 式[15]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリアミック酸、
【化20】

(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表し、R10およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、ニトリル基、またはカルボキシル基を表し、nおよびmは整数を表す。)
22. 式[16]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリイミド、
【化21】


(式中、R1、R3、R4、R5、R6、R10、R12、nおよびmは上記と同じ。)
23. 式[17]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有する21のポリアミック酸、
【化22】


(式中、nは整数を表す。)
24. 式[18]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有する22のポリイミド
【化23】

(式中、nは整数を表す。)
を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、紫外線領域に吸収がなく光透過性に優れるとともに、有機溶媒に対する溶解性の良好であり、加工性が改善された光学材料用ポリイミドの原料モノマーとなり得る脂環式テトラカルボン酸二無水物を提供できる。
この脂環式テトラカルボン酸二無水物を一原料として得られる本発明のポリイミドは、例えば、液晶表示素子や半導体における保護材料、絶縁材料などの電子材料、さらに光導波路等の光通信用材料として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
なお、以下において、nはノルマルを、iはイソを、sはセカンダリーを、tはターシャリーを、cはシクロをそれぞれ表す。
上記各式において、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、c−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、c−ブチル、n−ペンチル、1−メチル−n−ブチル、2−メチル−n−ブチル、3−メチル−n−ブチル、1,1−ジメチル−n−プロピル、c−ペンチル、2−メチル−c−ブチル、n−ヘキシル、1−メチル−n−ペンチル、2−メチル−n−ペンチル、1,1−ジメチル−n−ブチル、1−エチル−n−ブチル、1,1,2−トリメチル−n−プロピル、c−ヘキシル、1−メチル−c−ペンチル、1−エチル−c−ブチル、1,2−ジメチル−c−ブチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル基等が挙げられる。
【0014】
炭素数2〜10または炭素数2〜5のアルケニル基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、その具体例としては、CH=CH2、CH=CHMe、CH=CHEt、CH=CMe2、CH=CEt2、CMe=CH2、CMe=CHMe、CMe=CMe2、CH2CH=CH2、CH2CH=CHMe、CH2CH=CHEt、CH2CMe=CH2、CH2CH2CH=CH2、CH2CH2CH=CHMe、CH2CH=CMe2、CHMeCH=CH2、CH2CMe=CHMe、CHMeCH=CHMe、CH2CMe=CHEt、CH2CH2CH=CMe2、CH2CMe=CMe2、CH=C=CH2基等が挙げられる。
炭素数2〜10または炭素数2〜5のアルキニル基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、その具体例としては、C≡CMe、C≡CEt、CH2C≡CH、CH2C≡CMe、CH2C≡CEt、CH2CH2C≡CH、CH2CH2C≡CMe、CHMeC≡CH、CHMeC≡CMe基等が挙げられる。
【0015】
炭素数1〜10のハロアルキル基としては、上記アルキル基の少なくとも1つの水素原子をハロゲン原子で置換したものが挙げられ、その具体例としては、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH2F、CH2CHF2、CH2CF3、CH2CH2CH2F、CH2CH2CHF2、CH2CH2CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2CH2Cl、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2CH2Br基等が挙げられる。
炭素数2〜10または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基としては、上記アルキル基の少なくとも1つの水素原子をアルコキシ基で置換したものが挙げられ、その具体例としては、CH2OMe、CH2OEt、CH2OPr−n、CH2OPr−i、CH2CH2OMe、CH2CH2OEt、CH2CH2OPr−n、CH2CH2OPr−i、CH2CH2CH2OMe、CH2CH2CH2OEt、CH2CH2CH2OPr−n、CH2CH2CH2OPr−i基等が挙げられる。
【0016】
炭素数1〜5のアルコキシル基または炭素数1〜10アルコキシル基の具体例としては、OMe、OEt、OPr−n、OPr−i、OBu−n、OBu−i、OBu−s、OBu−t、OPen−n、OCHEt2、OHex−n、OCHMe(Pr−n)、OCHMe(Bu−n)、OCHEt(Pr−n)、OCH2CH2CHMe2等が挙げられる。
炭素数3〜7のシクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基等が挙げられる。
【0017】
本発明のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−1,2:3,4−二無水物化合物[1](CPDA化合物と略す)の製造法は、下記の3工程からなる反応スキームで表される。
すなわち、第1工程では、シクロペンタジエン化合物(以下CPD化合物と略記する)と無水マレイン酸化合物(以下MA化合物と略記する)とのディールス・アルダー反応による付加反応により、置換ビシクロ[2.2.1]ヘプテ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物[5](以下BHDA化合物と略記する)を製造し、第2工程では、このBHDA化合物を酸化して置換シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸[2](以下CPTC化合物と略記する)を製造し、第3工程では、このCPTC化合物を脱水して目的のCPDA化合物を製造する。
【0018】
【化24】

(式中、R1〜R8は、上記と同じ意味を表す。)
【0019】
[1]第1工程:付加反応
原料であるCPD化合物としては、例えば、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、トリメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、ジエチルシクロペンタジエン、トリエチルシクロペンタジエン、テトラエチルシクロペンタジエン、ペンタエチルシクロペンタジエン、n−プロピルシクロペンタジエン、i−プロピルシクロペンタジエン、n−ブチルシクロペンタジエン、i−ブチルシクロペンタジエン、s−ブチルシクロペンタジエン、t−ブチルシクロペンタジエン、n−ペンチルシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、クロロシクロペンタジエン、ジクロロシクロペンタジエン、トリクロロシクロペンタジエン、テトラクロロシクロペンタジエン、ペンタクロロシクロペンタジエン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、トリフルオロメチルシクロペンタジエン、ビニルシクロペンタジエン、アリルシクロペンタジエン、シクロペンタジエニルアセチレン、メトキシシクロペンタジエン、エトキシシクロペンタジエン等を用いることができる。
【0020】
もう一方の原料であるMA化合物としては、例えば、無水イタコン酸、無水ジメチルマレイン酸、無水エチルマレイン酸、無水ジエチルマレイン酸、無水n−プロピルマレイン酸、無水i−プロピルマレイン酸、無水n−ブチルマレイン酸、無水i−ブチルマレイン酸、無水s−ブチルマレイン酸、無水t−ブチルマレイン酸、無水n−ペンチルマレイン酸、無水n−ヘキシルマレイン酸、無水n−ヘプチルマレイン酸、無水n−オクチルマレイン酸、無水n−ノニルマレイン酸、無水n−デシルマレイン酸、無水ビニルマレイン酸、無水アリルマレイン酸、無水アセチレンマレイン酸、無水メトキシマレイン酸、無水トリフルオロメトキシマレイン酸、無水フルオロマレイン酸、無水ジフルオロマレイン酸、無水クロロマレイン酸、無水ジクロロマレイン酸等を用いることができる。
【0021】
CPD化合物とMA化合物との反応仕込み比は、等モルが好ましい。
本工程の反応は、溶媒を使用しなくとも進行するが、無溶媒の場合、反応の進行に伴って高粘稠になることから、溶媒を使用することが好ましい。
溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、キュメン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略記する)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと略記する)、N−メチルピロリドン(以下NMPと略記する)等のアミド類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、12−クラウン−4−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類等が好適であるが、その他の溶媒、例えば、ヘキサンやヘプタン等の脂肪族炭化水素類でも反応は進行する。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒の使用量は、少なすぎると上述のように高粘稠になる一方、多すぎると反応の進行が遅くなるため、そのバランスを考慮すると、MA化合物に対し1〜20質量倍が好ましく、経済性をも考慮すると、1〜5質量倍がより好ましい。
反応温度は、0〜200℃程度とすることがきるが、20〜150℃が好ましい。
反応後は、溶媒を留去し、粗生成物のまま、あるいは精製して次工程に用いる。精製法は任意であり、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィ等公知の手法から適宜選択すればよい。
【0022】
[2]第2工程:酸化反応
酸化剤としては、(1)無機窒素酸化物、(2)オゾン・過酸、(3)過マンガン酸カリウム、(4)過酸・ヘテロポリ酸、(5)酸素・ルテニウム酸化物、(6)過ヨウ素酸ナトリウム・塩化ルテニウム、(7)クロム酸化物等を用いることができる。
これらの中で、最適条件を確立して反応を制御できれば、(1)無機窒素酸化物法が最も経済的で操業上も簡便な酸化法である。そこで、本発明では、種々の反応条件を検討し、安定してCPTC化合物を製造できる条件を見出した。
無機窒素酸化物としては、HNO3、HNO2、NO2、N24等が挙げられるが、入手性という点からHNO3が好適である。なお、HNO3は、反応速度および目的生成物の選択性の観点から50〜90質量%水溶液を用いることが好ましい。
無機窒素酸化物の使用量は、原料BHDA化合物に対して2〜20モル倍が好ましく、4〜10モル倍がより好ましい。
【0023】
通常の硝酸酸化反応では、初期に誘導期があり、しばらく攪拌後に急激な発熱を伴ったNOxガス発生が起き、極めて危険であるため、開始剤(触媒)を用いて穏やかに反応を進行させる。
この開始剤としては、従来、亜硝酸塩、バナジン酸アンモニウム、酸化バナジウム(V)の硝酸水溶液が用いられているが、これらは、生成物中へ金属が混入するため、その除去精製という点で実用上問題がある。
【0024】
本工程の反応でも、これら従来の開始剤を使用することは可能であるが、本発明者らは、開始剤として発煙硝酸を用いると、誘導期がほとんど無く酸化反応が始まり、反応温度の制御が容易に行えることを見出した。また、発煙硝酸は、それ自体酸化試剤となって有効に消費されるため、上述した精製上の問題も解消される。
発煙硝酸としては、硝酸濃度90〜98質量%の市販品を使用することができる。
発煙硝酸の添加量は、原料BHDA化合物に対して0.1〜5モル倍が好ましく、0.5〜3モル倍がより好ましい。
【0025】
本工程の反応は、溶媒を使用しなくとも進行するが、発熱に伴う反応温度の急激な上昇を緩和するとともに、NOxガスの系外への流出を抑制するために、溶媒を用いること好ましい。
有機溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水素化合物、酢酸、ニトロメタン、炭化水素化合物等を用いることができる。
中でも、ハロゲン化炭化水素が好ましく、その具体例としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、2,2−ジクロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1,4−ジクロロブタン等が挙げられ、汎用的な1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパンが好適である。
溶媒の使用量は、反応を円滑に進めることを考慮すると、原料BHDA化合物に対して1〜10質量倍が好ましく、経済性をも考慮すると、1〜5質量倍がより好ましい。
【0026】
各試剤の仕込み方法として、従来は、原料BHDA化合物および触媒を反応槽に仕込み、硝酸を滴下する方法が用いられていたが、この手法では、所定の誘導期の後、急激な反応開始による激しい発熱およびNOxガス発生が生じ、反応の制御が不可能であり、極めて危険であった。
そこで、本発明では、反応槽に硝酸および触媒を仕込み、原料BHDA化合物を有機溶媒に溶解させた溶液を、速度を調節しながら反応槽に滴下する手法を採用することで、反応温度制御および安全な操業が可能となることを見出した。なお、原料BHDA化合物は固体であるが、この手法ではBHDA化合物を溶液として用いるため円滑な仕込みが可能になるという利点もある。
【0027】
反応温度は、反応速度向上および副反応抑制のバランスをとって、目的物の収率を向上させることを考慮すると、20〜80℃が好ましく、30〜60℃がより好ましい。なお、低温側では、滴下した原料BHDA化合物が未反応のまま蓄積しないように、滴下に十分な時間をかけることが安全上好ましい。
反応時間は、硝酸量や反応温度等によって変動するものであるため一概に規定することはできないが、安全面を考慮するとゆっくりと時間をかけて反応を行うことが好ましく、5〜30時間程度が好適である。
反応終了後は、有機溶媒および硝酸水溶液を濃縮留去して得られた残渣に、酢酸エチルおよびn−ヘプタンの混合液を添加して残渣を溶解させた後、氷冷静置して析出した結晶をろ取し、乾燥して目的のCPTC化合物が得られる。
得られた粗CPTC化合物は再結晶によって精製することもできる。具体的には、アセトニトリルに粗CPTC化合物を加温溶解させた後、酢酸エチルを添加し、氷冷静置して結晶を析出させ、これをろ取し、乾燥して高純度のCPTC化合物が得られる。
【0028】
[3]第3工程:脱水反応
脱水法としては、(1)脂肪族カルボン酸無水物法、(2)蟻酸およびp−トルエンスルホン酸法、(3)芳香族炭化水素による共沸法等が挙げられ、いずれを用いることもできるが、本発明では、操業上簡便な(1)脂肪族カルボン酸無水物法により、高収率で目的物が得られることを見出した。
脂肪族カルボン酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸等が挙げられるが、経済性の点から無水酢酸が好ましい。
脂肪族カルボン酸の添加量は、原料CPTC化合物に対して2〜20モル倍が好ましく、3〜10モル倍がより好ましい。
【0029】
本工程の反応では、反応の進行に伴って反応液の着色が強くなり、生成物の結晶の着色が避けられなくなる。本発明では、芳香族炭化水素化合物を共存させて反応を行うことで、反応液の着色を軽減できることを見出した。
芳香族炭化水素化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、キュメン等が挙げられるが、経済性の点からトルエンが好適である。
芳香族炭化水素化合物の添加量は、原料CPTC化合物に対して1〜30質量倍が好ましく、3〜20質量倍がより好ましい。
【0030】
反応温度は、通常50〜150℃程度であるが、反応完結までの時間を短縮することを考慮すると、80〜130℃が好適である。
反応時間は、長くなると反応液の着色が強くなることから、15分間〜3時間が好ましく、30分間〜2時間がより好ましい。なお、反応の終了は、昇温後、原料CPTC化合物の完全溶解で判断することができる。
反応後は、氷冷して撹拌すると結晶が析出するため、これをろ取して洗浄し、さらに乾燥して目的のCPDA化合物が得られる。
以上述べた各工程の反応は、いずれも常圧または加圧下で行うことができ、また回分式でも連続式でもよい。
【0031】
以上説明した本発明のテトラカルボン酸二無水物は、ジアミンとの重縮合反応によりポリアミック酸とした後、熱または触媒を用いた脱水閉環反応により対応するポリイミドとすることができる。
本発明で得られるポリイミドは、脂環式構造を有しているため、従来の脂環式ポリイミドと同様、比較的高い耐熱性と良好な透明性と絶縁性を有すると考えられる。さらに、本発明により得られるテトラカルボン酸二無水物は、脂環式構造にアルキル基等の置換基を有しているため、従来の脂環式ポリイミド樹脂よりも有機溶媒に対する溶解性に優れているという特性を有する。
【0032】
ジアミンとしては、特に限定されるものではなく、従来ポリイミド合成に用いられている各種ジアミンを用いることができる。その具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、3,5−ジアミノ−1,6−ジメトキシベンゼン、3,5−ジアミノ−1,6−ジメトキシトルエン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−トリフルオロメチルー4,4’−ジアミノビフェニル等の芳香族ジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、ビス(4−アミノシクロヘキシル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)エーテル、ビス(4−アミノシクロヘキシル)スルフィド、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)スルフィド、ビス(4−アミノシクロヘキシル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)スルホン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)プロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)ジメチルシラン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)ジメチルシラン等の脂環式ジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。
【0033】
特に、本発明においては、下記式[19]で示される置換ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン化合物(以下BAPBと略記する)を好適に用いることができる。
【0034】
【化25】


(式中、R10〜R12は上記と同じ。)
【0035】
BAPBとしては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−メチルベンゼン、3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−デシルベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−エイコシルベンゼン、3−ビス(4−アミノ−3−ドデシルフェノキシ)−5−ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−シアノベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−クロロベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−デシルベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−メトキシベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−ビニルベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−アリルベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−カルボキシベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−シクロプロピルベンゼン、3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−シクロヘキシルベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−メチルフェノキシ)ベンゼン、3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−メチルベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−デシルベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−エイコシルベンゼン、3−ビス(3−アミノ−4−ドデシルフェノキシ)−5−ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−シアノベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−クロロベンゼン、3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−デシルベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−メトキシベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−ビニルベンゼン、1,3−ビス(3−ミノフェノキシ)−5−アリルベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−カルボキシベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−シクロプロピルベンゼン、3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−シクロヘキシルベンゼン等が挙られる。
上記各ジアミンは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、上記式[9]および[10]におけるR9は、使用したジアミンに由来する2価の有機基である。
【0036】
本発明において使用されるテトラカルボン酸二無水物の全モル数のうち、少なくとも10mol%は式[1]のCPDA化合物でなければならない。さらに、本発明の目的である高い透明性および良好な有機溶媒溶解性を達成するためには、テトラカルボン酸二無水物のうち、50mol%以上がCPDA化合物であることが好ましく、70mol%以上がCPDA化合物であることがより好ましく、90mol%以上がCPDA化合物であることが最適である。
【0037】
なお、CPDA化合物が10モル%以上となる限りにおいて、通常のポリイミドの合成に使用されるテトラカルボン酸化合物およびその誘導体を同時に用いることもできる。
その具体例としては、1,2,3,4−テトラカルボン酸、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサン酸、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸などの脂環式テトラカルボン酸およびこれらの酸二無水物、並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物などが挙げられる。
また、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジンなどの芳香族テトラカルボン酸およびこれらの酸二無水物、並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物なども挙げられる。なお、これらのテトラカルボン酸化合物は、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい
【0038】
本発明のポリアミック酸を得る方法は特に限定されるものではなく、テトラカルボン酸二無水物およびその誘導体とジアミンとを公知の手法によって反応、重合させればよい。
ポリアミック酸を合成する際の全テトラカルボン酸二無水物化合物のモル数と全ジアミン化合物のモル数との比は、カルボン酸化合物/ジアミン化合物=0.8〜1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応と同様に、このモル比が1に近いほど生成する重合体の重合度は大きくなる。重合度が小さすぎるとポリイミドを製膜した際の強度が不十分となり、また重合度が大きすぎるとポリイミド塗膜を形成する際の作業性が悪くなる場合がある。
したがって、本反応における生成物の重合度は、ポリアミック酸溶液の還元粘度換算で、0.05〜5.0dl/g(30℃のN−メチル−2−ピロリドン中、濃度0.5g/dl)が好ましい。
【0039】
ポリアミック酸合成に用いられる溶媒としては、例えば、m−クレゾール、NMP、DMF、DMAc、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらは、単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリアミック酸を溶解しない溶媒であっても、均一な溶液が得られる範囲内で上記溶媒に加えて使用してもよい。
重縮合反応の温度は、−20〜150℃、好ましくは−5〜100℃の任意の温度を選択することができる。
【0040】
本発明のポリイミドは、以上のようにして合成したポリアミック酸を、加熱により脱水閉環(熱イミド化)して得ることができる。なお、この際、ポリアミック酸を溶媒中でイミドに転化させ、溶剤可溶性のポリイミドとして用いることも可能である。
また、公知の脱水閉環触媒を使用して化学的に閉環する方法も採用することができる。
加熱による方法は、100〜300℃、好ましくは120〜250℃の任意の温度で行うことができる。
化学的に閉環する方法は、例えば、ピリジンやトリエチルアミンなどと、無水酢酸などとの存在下で行うことができ、この際の温度は、−20〜200℃の任意の温度を選択することができる。
【0041】
このようにして得られたポリイミド溶液は、そのまま使用することもでき、また、メタノール、エタノールなどの貧溶媒を加えてポリイミドを沈殿させ、これを単離してポリイミド粉末として、あるいはそのポリイミド粉末を適当な溶媒に再溶解させて使用することができる。
再溶解用溶媒は、得られたポリイミドを溶解させるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、m−クレゾール、2−ピロリドン、NMP、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、DMAc、DMF、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0042】
また、単独ではポリイミドを溶解しない溶媒であっても、溶解性を損なわない範囲であれば上記溶媒に加えて使用することができる。その具体例としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどが挙げられる。
【0043】
本発明において、ポリイミド(ポリアミック酸)の数平均分子量は、フィルムにした場合の柔軟性などを考慮すると、少なくとも5000が好ましく、6000〜100000がより好ましい。
このため、上記各式におけるnは2以上の整数であるが、ポリイミド(ポリアミック酸)の数平均分子量が5000以上となる整数が好ましく、具体的には、8〜180、特に10〜100が好適である。
【0044】
以上のようにして調製したポリアミック酸(ポリイミド前駆体)溶液を基板に塗布し、加熱により溶媒を蒸発させながら脱水閉環させることで、あるいは、ポリイミド溶液を基板に塗布して加熱により溶媒を蒸発させることで、ポリイミド膜を製造することができる。
この際、加熱温度は、通常100〜300℃程度である。
なお、ポリイミド膜と基板との密着性を更に向上させる目的で、ポリアミック酸溶液やポリイミド溶液に、カップリング剤等の添加剤を加えてもよい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。実施例における各物性の測定装置は以下のとおりである。
[1]質量分析(MASS)
機種:LX−1000(JEOL Ltd.),検出法:FAB法.
[2]1H−NMR
機種:INOVA500(VARIAN Corp.),測定溶媒:DMSO−d6
標準物質:tetramethylsilane(TMS).
[3]融点(m.p.)
機種:微量融点測定装置(MP−S3)(ヤナコ機器開発研究所製)
[4]X線
機種:単結晶X線構造解析装置 DIP2030(マックサイエンス製)
X線:MoKα(40kV,200mA)
測定温度:室温
[5]数平均分子量および重量平均分子量の測定
ポリマーの重量平均分子量(以下Mwと略す)と分子量分布は、日本分光(株)製GPC装置(Shodex(登録商標)カラムKF803LおよびKF805L)を用い、溶出溶媒としてDMFを流量1ml/分、カラム温度50℃の条件で測定した。なお、Mwはポリスチレン換算値とした。
【0046】
[合成例1]第1工程
【化26】

【0047】
300ml四つ口反応フラスコに、シトラコン酸44.8g(400mmol)およびトルエン90gを仕込み、マグネチックスターラーで攪拌下、ジシクロペンタジエンを熱分解蒸留して得られたシクロペンタジエン(常圧沸点50〜60℃の留分)29.1g(440mmol)を22℃で滴下した。滴下後、発熱により30℃まで上昇した。そのまま3時間攪拌し、50℃に昇温して27時間攪拌を続け、反応を終了させた。その後、反応液を濃縮し、ゼリー状物79.4gを得た。
このゼリー状物に、n−ヘプタン/酢酸エチル=3/1(容量比)の混合液40gを加えて70℃で溶解後、氷冷して析出した白色結晶をろ取し、n−ヘプタンで洗浄後、減圧乾燥して白色結晶36.9g(収率51.7%)を得た。
また、二層に分離したろ液の下層を分液し、n−ヘプタンで洗浄後、濃縮して淡黄色結晶15.6g(収率21.9%)を得た。一方、上層のn−ヘプタン層を濃縮して白色結晶16.8g(収率22.9%)を得た。
これらの各結晶は、MASSおよび1H−NMRから、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプテ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(MHEA)であることが確認された。
【0048】
[実施例1]第2工程
【化27】

【0049】
500ml四つ口反応フラスコに、70%HNO3(1.42)90g(1000mmol)および90%HNO3(1.50)14g(200mmol)を仕込み、マグネチックスターラーで攪拌下、MHEA35.6g(200mmol)を1,2−ジクロロエタン36gに溶解した溶液を45〜50℃で50分間かけて滴下した。続いて、57℃で19時間攪拌した。
さらに、70%HNO3(1.42)28g(400mmol)を滴下し、再び57℃で8時間攪拌した後、60℃で濃縮し、ガラス状物56.8gを得た。
このガラス状物にアセトニトリルを添加して加温溶解した後、やや濃縮してから、n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)の混合液30gを加え、再びやや濃縮し、氷冷して析出した白色結晶をろ取し、n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)の混合液で洗浄、減圧乾燥し、白色結晶30.6g(収率59%)を得た。また、ろ液を濃縮すると油状物20.3g(収率36%)が得られた。
上記で得られた白色結晶30.6gに、アセトニトリル50gを添加して加温溶解した後、やや濃縮してから、n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)の混合液20gを加え、再びやや濃縮して氷冷して析出した白色結晶をろ取し、n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)の混合液で洗浄し、減圧乾燥して白色結晶22.4g(収率43%)を得た。
この再結晶物は、MASSおよび1H−NMR分析結果より、2−メチル−シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(MCPTC)であることが確認された。
MASS(ESI-,m/e(%)):259([M−H]-,1),241([M−H2O]-,56),197(100),153(78),112(56),109(82)
m.p.178〜179℃
【0050】
[実施例2]第2工程
300ml四つ口反応フラスコに、70%HNO3(1.42)54g(600mmol)および90%HNO3(1.50)14g(200mmol)を仕込み、マグネチックスターラー攪拌下、MHEA17.8g(100mmol)を1,2−ジクロロエタン36gに溶解した溶液を45〜50℃で20分間かけて滴下した。続いて、55〜57℃で24時間攪拌した後、60℃で濃縮し、ガラス状物27.4gを得た。
このガラス状物にアセトニトリルを添加して加温溶解した後、やや濃縮してから、氷冷して析出した白色結晶をろ取し、n−ヘプタン/酢酸エチル=1/2(容量比)の混合液で洗浄後、減圧乾燥し、白色結晶10.5g(収率40%)を得た。また、ろ液を濃縮して油状物15.0g(収率58%)を得た。
得られた白色結晶10.5gにアセトニトリル11gを添加して加温溶解した後、氷冷して析出した白色結晶をろ取し、n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)の混合液で洗浄後、減圧乾燥し、MCPTC白色結晶7.4g(収率29%)(m.p.180〜181℃)を得た。
さらに、油状物15.0gおよび再結晶ろ液を混合し、濃縮して得られた固化物に、酢酸エチルを加えて溶解後、やや濃縮してから氷冷して析出した白色結晶をろ取し、n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)の混合液で洗浄、減圧乾燥し、MCPTC白色結晶7.8g(収率30%)を得た。また、ろ液を濃縮して油状物8.4g(収率32%)を得た。
【0051】
[実施例3]第2工程
500ml四つ口反応フラスコに、70%HNO3(1.42)90g(1000mmol)および90%HNO3(1.50)14g(200mmol)を仕込み、マグネチックスターラーで攪拌下、MHEA35.6g(200mmol)を1,2−ジクロロエタン36gに溶解した溶液を45〜50℃で50分かけて滴下した。続いて、55〜57℃で28時間攪拌した後、60℃で濃縮し、ガラス状物54.7gを得た。
このガラス状物に、アセトニトリル60gを添加し、加温溶解した後、やや濃縮し、酢酸エチル30gを添加してから氷冷して析出した白色結晶をろ取し、n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)の混合液で洗浄、減圧乾燥して白色結晶22.1g(収率42%)を得た。また、ろ液を濃縮して油状物29.3g(収率56%)を得た。
得られた白色結晶22.1gに、アセトニトリル22gを添加して加温溶解した後、n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)の混合液を少量添加した後、氷冷して析出した白色結晶をろ取し、n−ヘプタン/酢酸エチル=1/1(容量比)の混合液で洗浄後、減圧乾燥してMCPTC白色結晶16.5g(収率32%)(m.p.182〜183℃)を得た。
【0052】
[実施例4]第3工程
【化28】

【0053】
100mL四つ口反応フラスコに、MCPTC24.6g(94.6mmol)、無水酢酸57.9g(567mmol)およびトルエン123gを仕込み、撹拌しながら浴温130℃に加温した。7分間でスラリーから均一溶液になり還流が始まった。30分間還流を続けた後、室温に戻し、氷冷して析出した白色結晶をろ取し、トルエンで洗浄後、減圧乾燥して白色結晶21.2g(収率99%)を得た。
この白色結晶は、1H−NMRおよび単結晶X線測定分析結果より、2−メチル−シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−1,2:3,4−二無水物(MCPDA)であることが確認された。
1H-NMR(DMSO-d6,δppm) :1.52 (s, 3H), 2.47 (d, J=15.2Hz, 1H), 2.62-2.75 (m, 1H), 3.72 (d, J=8.8Hz, 1H), 3.77(d, J=9.2Hz, 1H), 3.94-4.03 (m, 1H).
mp.202〜203℃
アセトニトリル中、自然濃縮により再結晶したMCPDA単結晶のX線測定結果を以下に示す。また、ORTEP図を図1に示す。
【0054】
[MCPDA単結晶X線測定結果]
Formula C10H8O6
Fw 224.17
Crystal color, habit colorless, plate
Crystal dimensions 0.3 × 0.2 × 0.1 mm3
Crystal system Orthorhomic
Lattic type P212121
Lattic parameters a=6.684(1) Å, b=7.209(1) Å, c=20.422(2) Å
α = 90 °, β= 90 °, γ= 90 °
V = 984.0(2) Å3
Z value = 4
Dcalc = 1.513 Mg/m3
Mo K<α> radiation
λ(MoKa)= 0.71072,
Space group = P212121
No. of measured reflections = 7160
No. of observed reflections = 4562
R(gt) = 0.045
WR(gt) = 0.058
Temp. = 297 K
【0055】
[実施例5]第3工程
100mL四つ口反応フラスコに、MCPTC29.6g(113mmol)、無水酢酸69.2g(678mmol)およびトルエン150gを仕込み、撹拌しながら浴温130℃に加温した。15分間でスラリーから均一溶解液になり還流した。20分間還流を続けた後、室温に戻し、氷冷して析出した白色結晶をろ取し、トルエンで洗浄後、減圧乾燥してMCPDA白色結晶23.5g(m.p.204〜206℃)(収率93%)を得た。
【0056】
[実施例6]MCPDA−DDEポリアミック酸およびポリイミドの合成
【化29】

【0057】
25℃の水浴中に設置した攪拌機付き50mL四つ口反応フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下DDEと略記する)2.00g(10mmol)およびNMP16.9gを仕込み、DDEをNMPに溶解させた。
続いて、この溶液を攪拌しつつ、MCPDA2.24g(10mmol)を溶解させながら分割添加した。さらに、25℃で24時間攪拌して重合反応を行い、固形分20質量%のポリアミック酸溶液を得た。この溶液に、DMAcを加えて固形分8質量%に調整し、無水酢酸10.2g(100mmol)を加えて5分間攪拌した後、ピリジン7.9g(100mmol)を加えて100℃で2時間攪拌した。
このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍のメタノール中に滴下し、さらに30分間攪拌して淡紫色粉末を析出させた。この粉末をろ取し、メタノールで洗浄後、80℃で2時間減圧乾燥し、MCPDA−DDEポリイミド1.24g(収率31.9%)を得た。この淡紫色粉末の1H−NMR測定からイミド化率85.9%を算出した。
また、ろ液を2容量倍の水中に滴下し、さらに30分間攪拌して析出した白色粉末をろ取し、水で洗浄してから、80℃で2時間減圧乾燥し、MCPDA−DDEポリイミド1.62g(収率41.7%)を得た。この白色粉末の1H−NMR測定からイミド化率79.2%を算出した。この白色粉末をGPC測定した結果、数平均分子量(Mn)は2,146で、重量平均分子量(Mw)は2,351であり、Mw/Mnは1.10であった。
【0058】
[実施例7]MCPDA−DDMポリアミック酸およびポリイミドの合成
【化30】

【0059】
25℃の水浴中に設置した攪拌機付き50mL四つ口反応フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下DDMと略記する)1.98g(10mmol)およびNMP16.9gを仕込み、DDMをNMPに溶解させた。続いて、この溶液を攪拌しつつ、MCPDA2.24g(10mmol)を溶解させながら分割添加した。さらに、25℃で24時間攪拌して重合反応を行い、固形分20質量%のポリアミック酸溶液を得た。この溶液にDMAcを加えて固形分8質量%に調整し、無水酢酸10.2g(100mmol)を加えて5分間攪拌した後、ピリジン7.9g(100mmol)を加えて100℃で2時間攪拌した。
このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍のメタノール中に滴下し、さらに30分間攪拌して析出した白色粉末をろ取し、メタノールで洗浄後、80℃で2時間減圧乾燥し、MCPDA−DDMポリイミド2.33g(収率60.3%)を得た。この白色粉末の1H−NMR測定からイミド化率93.3%を算出した。この白色粉末をGPC測定した結果、数平均分子量(Mn)は2,177で、重量平均分子量(Mw)は2,436であり、Mw/Mnは1.12であった。
また、ろ液を2容量倍の水中に滴下し、さらに30分間攪拌して析出した白色粉末をろ取し、水で洗浄後、80℃で2時間減圧乾燥し、MCPDA−DDMポリイミド1.37g(収率31.0%)を得た。
【0060】
[実施例8]MCPDA−DA4Pポリアミック酸およびポリイミドの合成
【化31】

【0061】
25℃の水浴中に設置した攪拌機付き50mL四つ口反応フラスコに、1,3−ビス(4,4’−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下DA4Pと略記する)2.79g(10mmol)およびNMP20.1gを仕込み、DA4PをNMPに溶解させた。続いて、この溶液を攪拌しつつ、MCPDA2.24g(10mmol)を溶解させながら分割添加した。さらに、25℃で24時間攪拌して重合反応を行い、固形分20質量%のポリアミック酸溶液を得た。この溶液にDMAcを加えて固形分8質量%に調整し、無水酢酸10.2g(100mmol)を加えて5分間攪拌した後、ピリジン7.9g(100mmol)を加えて100℃で2時間攪拌した。
このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍のメタノール中に滴下し、さらに30分間攪拌して析出した淡紫色粉末をろ取し、メタノールで洗浄後、80℃で2時間減圧乾燥し、MCPDA−DA4Pポリイミド1.00g(収率21.4%)を得た。
また、ろ液を2容量倍の水中に滴下し、さらに30分間攪拌して析出した白色粉末をろ取し、水で洗浄後、80℃で2時間減圧乾燥し、MCPDA−DDEポリイミド3.50g(収率74.8%)を得た。この白色粉末の1H−NMR測定からイミド化率77.1%を算出した。この白色粉末をGPC測定した結果、数平均分子量(Mn)は2,424で、重量平均分子量(Mw)は2,663であり、Mw/Mnは1.10であった。
【0062】
[実施例9]MCPDA−1,4−PDAポリアミック酸およびポリイミドの合成
【化32】

【0063】
25℃の水浴中に設置した攪拌機付き50mL四つ口反応フラスコに、p−フェニレンジアミン(以下PDAと省略する)1.08g(10mmol)およびNMP13.1gを仕込み、PDAをNMPに溶解させた。続いて、この溶液を攪拌しつつ、MCPDA2.24g(10mmol)を溶解させながら分割添加した。さらに、25℃で24時間攪拌して重合反応を行い、固形分20質量%のポリアミック酸溶液を得た。この溶液にDMAcを加えて固形分8質量%に調整し、無水酢酸10.2g(100mmol)を加えて5分間攪拌した後、ピリジン7.9g(100mmol)を加えて100℃で2時間攪拌した。
このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍のメタノール中に滴下し、さらに30分間攪拌して析出した淡紫色粉末をろ取し、メタノールで洗浄後、80℃で2時間減圧乾燥し、白色粉末のMCPDA−1,4−PDAポリイミド1.9g(収率57.2%)を得た。この白色粉末の1H−NMR測定からイミド化率87.7%を算出した。この白色粉末をGPC測定した結果、数平均分子量(Mn)は2,146で、重量平均分子量(Mw)は2,351であり、Mw/Mnは1.10であった。
【0064】
[実施例10]MCPDA−DA5MGポリアミック酸およびポリイミドの合成
【化33】

【0065】
25℃の水浴中に設置した攪拌機付き50mL四つ口反応フラスコに、4,4’−ジアミノ−1,5−フェノキシペンタン(以下DA5MGと略記する)2.86g(10mmol)およびNMP20.4gを仕込み、DA5MGをNMPに溶解させた。続いて、この溶液を攪拌しつつ、MCPDA2.24g(10mmol)を溶解させながら分割添加した。さらに、25℃で24時間攪拌して重合反応を行い、固形分20質量%のポリアミック酸溶液を得た。この溶液にDMAcを加えて固形分8質量%に調整し、無水酢酸10.2g(100mmol)を加えて5分間攪拌した後、ピリジン7.9g(100mmol)を加えて100℃で2時間攪拌した。
このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍のメタノール中に滴下し、さらに30分間攪拌して析出した桃色粉末をろ取し、メタノールで洗浄後、80℃で2時間減圧乾燥し、MCPDA−DA5MGポリイミド3.00g(収率63.2%)を得た。この桃色粉末の1H−NMR測定からイミド化率93.0%を算出した。この桃色粉末をGPC測定した結果、数平均分子量(Mn)は3,293で、重量平均分子量(Mw)は3,883であり、Mw/Mnは1.18であった。
また、ろ液を2容量倍の水中に滴下し、さらに30分間攪拌して析出した白色粉末をろ取し、水で洗浄後、80℃で2時間減圧乾燥し、MCPDA−DA5MGポリイミド1.37g(収率28.9%)を得た。この白色粉末の1H−NMR測定からイミド化率83.2%を算出した。
【0066】
[比較例1]CPDA−DA4Pポリアミック酸およびポリイミドの合成
【化34】

【0067】
25℃の水浴中に設置した攪拌機付き50mL四つ口反応フラスコに、DA4P2.79g(10mmol)およびNMP19.6gを仕込み、DA4PをNMPに溶解させた。続いて、この溶液を攪拌しつつ、CPDA2.10g(10mmol)を溶解させながら分割添加した。さらに、25℃で24時間攪拌して重合反応を行い、固形分20質量%のポリアミック酸溶液を得た。この溶液にDMAcを加えて固形分8質量%に調整し、無水酢酸10.2g(100mmol)を加えて5分間攪拌した後、ピリジン7.9g(100mmol)を加えて100℃で2時間攪拌した。
このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍の水中に滴下し、さらに30分間攪拌して析出した白色粉末をろ取し、水で洗浄後、80℃で2時間減圧乾燥し、CPDA−DA4Pポリイミド3.8g(収率83.8%)を得た。この白色粉末の1H−NMR測定からイミド化率90.1%を算出した。この白色粉末をGPC測定した結果、数平均分子量(Mn)は2,421で、重量平均分子量(Mw)は3,030であり、Mw/Mnは1.25であった。
【0068】
[ポリイミドの溶解性]
上記実施例6〜10および比較例1で得られたポリイミドについて、下記表1に示される各種有機溶媒に対する溶解性を、下記手法により評価した。結果を併せて表1に示す。
〈溶解性評価法〉
各ポリイミド2mgを、各有機溶媒0.2mLに添加して撹拌し、25℃で溶解したものを「○」、60℃に加温して一部溶解したものを「△」、不溶を「×」として評価した。
【0069】
【表1】

【0070】
表1に示されるように、本発明のポリイミドは各種の有機溶媒に溶解する可溶性ポリイミドであることがわかる。
また、実施例8のMCPDA−DA4Pポリイミドと比較例1のCPDA−DA4Pポリイミドとの溶解性を比較すると、実施例8のMCPDA−DA4Pポリイミドの方が高い溶解性を示していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例4で得られたMCPDAの単結晶X線によるORTEP図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[1]で表されることを特徴とするシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−1:2,3:4−二無水物化合物。
【化1】


(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、または炭素数2〜10のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表す。)
【請求項2】
式[2]で表されることを特徴とするシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物。
【化2】


(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、または炭素数2〜10のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表す。)
【請求項3】
式[3]で表される請求項1記載のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−1:2,3:4−二無水物化合物。
【化3】

【請求項4】
式[4]で表される請求項2記載のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物。
【化4】

【請求項5】
式[5]
【化5】


(式中、R1、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表す。)
で表される5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸二無水物化合物、または式[6]
【化6】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、前記と同じ意味を表す。)
で表される5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸を、無機窒素酸化物で酸化することを特徴とする、式[2]
【化7】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、前記と同じ意味を表す。)
で表されるシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法。
【請求項6】
式[7]
【化8】


で表される5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸二無水物化合物、または式[8]
【化9】


で表される5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸化合物を、無機窒素酸化物で酸化することを特徴とする式[4]
【化10】


で表される請求項5記載のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法。
【請求項7】
前記無機窒素酸化物が、HNO3、HNO2、NO2、およびN24から選ばれる少なくとも1種である請求項5または6記載のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法。
【請求項8】
前記無機窒素酸化物が、HNO3である請求項7記載のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法。
【請求項9】
さらに、開始剤として、発煙硝酸、亜硝酸塩、バナジン酸アンモニウムおよび酸化バナジウム(V)から選ばれる少なくとも1種を用いる請求項8記載のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法。
【請求項10】
前記開始剤が、発煙硝酸である請求項9記載のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法。
【請求項11】
さらに、有機溶媒として、ハロゲン化炭化水素化合物、酢酸、ニトロメタン、および炭化水素化合物から選ばれる少なくとも1種を用いる請求項5〜10のいずれか1項記載のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法。
【請求項12】
前記有機溶媒が、ハロゲン化炭化水素化合物である請求項11記載のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法。
【請求項13】
前記式[5]、[6]、[7]または[8]で表される化合物を前記有機溶媒に溶解させて調製した溶液を、HNO3水溶液中に滴下しつつ発熱を制御しながら反応させる請求項11または12記載のシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物の製造法。
【請求項14】
式[2]
【化11】


(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表す。)
で表されるシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸化合物を、脂肪族カルボン酸無水物および芳香族炭化水素の存在下で脱水することを特徴とする
式[1]
【化12】


(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、前記と同じ意味を表す。)
で表されるシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−1:2,3:4−二無水物化合物の製造法。
【請求項15】
式[9]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリアミック酸。
【化13】

(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表し、R9は2価の有機基を表し、nは整数を表す。)
【請求項16】
式[10]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリイミド。
【化14】


(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表し、R9は2価の有機基を表し、nは整数を表す。)
【請求項17】
式[11]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリアミック酸。
【化15】

(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表し、R10、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、ニトリル基、またはカルボキシル基を表し、nは整数を表す。)
【請求項18】
式[12]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリイミド。
【化16】

(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表し、R10、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、ニトリル基、またはカルボキシル基を表し、nは整数を表す。)
【請求項19】
式[13]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有する請求項17記載のポリアミック酸。
【化17】

(式中、nは整数を表す。)
【請求項20】
式[14]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有する請求項18記載のポリイミド。
【化18】

(式中、nは整数を表す。)
【請求項21】
式[15]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリアミック酸。
【化19】

(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表し、R10およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、ニトリル基、またはカルボキシル基を表し、nおよびmは整数を表す。)
【請求項22】
式[16]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有するポリイミド。
【化20】

(式中、R1、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、または炭素数2〜5のアルコキシアルキル基を表し、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、またはハロゲン原子を表し、R10およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、ニトリル基、またはカルボキシル基を表し、nおよびmは整数を表す。)
【請求項23】
式[17]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有する請求項21記載のポリアミック酸。
【化21】

(式中、nは整数を表す。)
【請求項24】
式[18]で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有する請求項22記載のポリイミド。
【化22】

(式中、nは整数を表す。)

【図1】
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【公開番号】特開2010−30972(P2010−30972A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197664(P2008−197664)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】