説明

脂肪族−芳香族コポリエステル繊維

【課題】 加工性、環境分散性及び機械的特性の改良された脂肪族−芳香族コポリエステルの繊維の提供。
【解決手段】 フェノール/テトラクロロエタンの60/40(重量比)溶液 100mL中 0.5gの試料について25℃の温度で測定した場合に、 0.5〜 1.8dL/gのインヘレント粘度を有するジオール成分及び酸成分からなる実質的に線状ランダム半結晶性脂肪族−芳香族コポリエステルの繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脂肪族−芳香族ポリエステル、特にセルロースエステルなどとのブレンドが可能な線状ランダム脂肪族−芳香族ポリエステルの繊維に関する。このランダム脂肪族−芳香族コポリエステルは、セルロースエステルとの2成分系ブレンド並びにセルロースエステルとその他の重合体との3成分系ブレンドとすることができ、また種々の添加剤を添加して透湿率又は生物分解性といった特性を強化することができる。
【背景技術】
【0002】
商業用プラスチック及び繊維としてセルロースエステルが重要であることは良く知られている。一般にセルロースエステルは、硬質でしかも透明なプラスチックが必要とされるプラスチック利用分野において用いられている。例えば、工具の取手、眼鏡フレーム、おもちゃ、歯ブラシの取手などに、セルロースエステルが用いられている。これらの利用分野は全て、高い溶融温度と高いガラス転移温度ならびに高いモジュラス及び優れた引張り強度の組合せを必要とする。熱処理を可能にするため充分な溶融温度及びガラス転移温度(Tg)を維持しながら、モジュラスは低いが、優れた引張り強度を有するプラスチックフィルムを提供するセルロースエステルに基づく処方が一般に知られている。繊維の熱押出し加工を可能にするセルロースエステルに基づく製剤も同様に、一般に知られている。
【0003】
多くのセルロースエステルがもつ高い溶融温度及び低い溶融安定性のため、往々にしてアジピン酸ジオクチル又はリン酸トリフェニルといった可塑剤が、重合体の溶融処理中の溶融温度を低下させる目的でセルロースエステルに付加される。この技術は有効であるものの、単量体可塑剤の付加は、セルロースエステルから作られた物体内の長期的寸法安定性(クリープ)又は溶融押出し加工中の染料の滴下といった揮発性又は抽出可能な可塑剤に関連する二次的な問題点を生み出す。
【0004】
重合体−重合体の混和性に対する最も基本的な必要条件は、混合自由エネルギーがマイナスであること(△G<0)である。表面上は重合体−重合体混和性が一般的なことであるように思われるが、実際には、混和性ある2成分ブレンドはわずかしか知られておらず、混和性ある3成分ブレンド系に至ってはさらにわずかしか知られていない(Brannock, G.R., Paul, D.R., Macromolecules(高分子),23, 5240−5250(1990))。混和性の2成分又は3成分ブレンドの発見はきわめてまれである。
【0005】
重合体ブレンドの混和性を測定するための古典的な実験的技術には、ブレンドから作られたフィルムの光学的清澄度の決定、適切な機械的特性の測定及び動的機械的熱分析(DMTA)又は示差走査熱量測定法(DSC)といった適切な熱分析によるガラス転移温度の測定が関与する。ブレンドが混和性を有する場合、ブレンドから作られたフィルムは一般に透明なものとなる。同様にして、引張り強度又は接線弾性率といったようなブレンドの機械的特性は、往々にして、ブレンド成分の機械的特性間の中間である。
【0006】
さらに、混和性ある非晶質のブレンドは、非混和性の又は部分的混和性をもつブレンドが多重なTgを示すことになるのに対して、成分ホモポリマーのものの間の中間の単一のTgを示す。完全に非混和性のブレンドの場合、TgはホモポリマーのTgとなる。部分的に混和性のブレンドについては、Tgは、成分のうちの1つが豊富な部分的混和性をもつ相に相応する中間の値となる。2成分ブレンドのTgの変動はFox-Flory の等式Tg12=Tg1 (W1 )+Tg2 (W2 )によってモデリングできる。なおこの式中、Tg12はブレンドのTgであり、Tg1 及びTg2 はホモポリマーのTgであり、W1 及びW2 は混合物内の各成分の重量百分率である。Fox の等式では、配合物の成分間の特定的相互作用が考慮に入れられていないことから、往々にして、kを一つの定数としたGordon-Taylor の等式Tg12=Tg1 +〔kW2 (Tg2 −Tg12)/W1 〕が配合物分析において好まれる。均質な充分に混合された系については、Tg12とW2 (Tg2 −Tg12)/W1 の関係をプロットすると、kに等しい勾配をもつ直線が得られ、縦座標の切片はTg1 に等しくなる。定数kは往々にして、ブレンドの成分の間の2次的交点の尺度としてとられる。kが1に等しい場合、Gorden-Taylor の等式は、成分のTgの単なる重量平均となる。
【0007】
セルロースエステル及びその他の重合体の混和性ブレンドは一般に知られていない。最も注目すべき例外としては、Koleske et al(米国特許第3,781,381号(1973年))、Bogan及びCombs(米国特許第3,668,157 号(1972年))、Waniczek et al,(米国特許第 4,506,045号(1985年))、及びWingler et al(米国特許第 4,533,397号(1985年))により開示されている研究がある。Koleske et al は、ポリカプロラクトンとセルロースエステルの混合物の溶液注型により形成されたブレンドが混和性を有することを報告した。Hubbell 及びCooperによるその後の研究(J. Appl. Polym. Sci., 1977, 21, 3035)は、ブラル酸酢酸セルロース/ポリカプロラクトンのブレンドが実際に非混和性であることを実証した。Bogan 及びCombs は、ポリエステル−ポリエステルのブロック共重合体がいくつかのセルロースエステルと混和性あるブレンドを形成することを報告した。Bogan とCombs の発明にとって非常に重要なことは、エラストマ−ブロック共重合体の使用であった;彼らは、相応するホモポリマーエラストマがセルロースエステルと相容性が無いことを報告している。Waniczek他は、ポリ炭酸エステル及びポリ炭酸エーテルの共重合体が多くのセルロースエステルと混和性あるブレンドを形成し、熱可塑性樹脂として有効であることを開示した。Wingler 他は、(A)単数又は複数のセルロースエステル97〜70重量%及び、(B)エステル部分、炭酸塩部分又はエステル及び炭酸塩の両方の部分を同じ重合体鎖の中に有する脂肪酸ポリマー化合物3〜30重量%、から成るブレンドからコンタクトレンズを調製することができるということを報告している。Wingler et al の発明は脂肪族重合体化合物に制限されている。すなわち、脂肪族ピロ酸、芳香族ピロ酸及び適当なジオール又はポリオールから成るランダム共重合体には全く言及されていない。Wingler の発明はさらに、 1.2%〜1.95%の重量パーセントヒドロキシルをもつセルロース混合エステルに限られている(DSOH=0.11−0.19、なお「DS」又は「DS/AGU」とは、最大DS/AGUが3である「DS」つまりアンヒドログルコース単位あたりの置換基の数を表わす)。Wingler et al の発明は同様に、2成分混和性ブレンドに、又ブレンドの組成範囲(3〜30%の脂肪族重合体化合物)によって、制限される。透湿率又は生物分解性といった特性を強化するために非混和性成分が有効である非混和性成分を含むブレンドには全く言及されていない。セルロースエステル及び芳香族ポリエステルの非混和性ブレンドは同様に、代用紙といった応用分野において有用であり、Polluck et al(米国特許第 4,770,931号(1988年))により開示されている。
【0008】
一回かぎりの使用つまり使い捨ての品物は一般的なものである。
このような使い捨て用品の例としては、小児用オムツ、失禁用ブリーフ、生理ナプキン、タンポン、ベッドライナー、便器、包帯、食品用ポリ袋、農業用堆肥シートなどがある。その他の使い捨て用品としては、カミソリ刃の柄、ハブラシの取手、使い捨て注射器、つりざお、つり網、包装用品、コップ、クラムシェルなどが含まれる。使い捨て用品のためには、環境非永続性が望まれる。
【0009】
使い捨て用品の典型としては使い捨てオムツが挙げられる。使い捨てオムツは標準的には、薄く可とう性あるポリエチレンフィルムカバー、中間層としての吸収性充てん材、及び標準的に不織ポリプロピレンである多孔質内部ライナーを有する。オムツの構造は同様に、オムツを固定するためのタブ又はテープ(標準的にはポリプロピレン)ならびにさまざまなエラストマ及び接着剤も必要とする。吸収性充てん材は通常生物分解性をもつか又は水性環境内で容易に分散されるが、現在のところ外部ライナ又は内部ライナもタブや接着テープといった外部部品も、微生物の作用により分解することはない。その結果、オムツといった使い捨ての吸収性材料は、埋立地の中に蓄積し、廃棄システムに多大な圧力をかけている。プラスチック袋又はプラスチックの堆肥シートなどのその他の使い捨て用品は類似の問題にさいなまれている。
【0010】
数多くの研究が、低レベルのつまり1未満の置換を伴うセルロース又はセルロース誘導体が生物分解性をもつということを実証してきた。セルロースは、嫌気性又は好気性の両方の微生物によって環境内で分解される。この微生物分解の代表的最終生成物としては、細胞バイオマス、メタン(嫌気性のみ)、二酸化炭素、水及びその他の発酵生成物が含まれる。究極的な最終生成物は、存在する環境のタイプならびに微生物個体群のタイプに左右される。しかしながら、約1よりも大きいDSを有するセルロースエステルが微生物による攻撃に対して完全な抵抗性をもつということが報告されてきた。例えばStutzenberger 及びKahler(J Appl. Bacteriology, 66, 225(1986年))は、酢酸セルロースがThermomonospora curvataによる攻撃に対して極めて強い抵抗力を有することを報告している。
【0011】
ポリヒドロキシブチル酸塩(PHB)などのポリヒドロキシアルカノイン酸塩(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)又はポリヒドロキシブチル酸塩とポリヒドロキシ吉草酸塩(PHBV)の共重合体は、少なくとも20年前から知られている。ポリカプロラクトンを除いて、これらは一般に生物学的に調製され、生物分解性があるものとして報告されてきた(M. Kunioka et al, Appl. Microbiol Biotechnol., 30, 569(1989年))。
【0012】
脂肪族ジ酸又は対応する低級アルコール及びジオールのカルボキシルエステルから調製されたポリエステルも同様に生物分解性があるものとして報告されてきた。例えば、Fields及びRodriguez(「第三回国際生物分解シンポジウム議事録」J.M. Sharpley and A.M. Kaplan, Eds., Applied Science, Barking, England, 1976, p775)はC4 〜C12ジオールとカップリングさせたC2 〜C12ジ酸からポリエステルを調製し、数多くのものが生物分解性をもつことを見出した。
【0013】
脂肪族ポリエステルは、主としてその低い融点と低いガラス転移温度(一般にそれぞれ65℃と−30℃)を理由として、きわめてわずかな利用分野においてしか使用されなかった。室温では、数多くの脂肪族ポリエステルの物理的形状は、濃い粘性液体である。従って、脂肪族ポリエステルは一般に有用であると期待されているものではない。
【0014】
一方、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)及びポリ(エチレンテレフタレート−コ−イソフタレート)といった芳香族ポリエステルは非常に有用な物質であることが立証されてきた。しかしながら芳香族ポリエステルは一般に生物分解に対し非常に高い抵抗力をもつ(J.E. Potts「Kirk-Othmer の化学技術百科辞典」内。Suppl. Vol. Wiley-Interscience, New York, 1984年、p626〜668)。脂肪族及び芳香族の両方の構造を含むブロックコポリエステルが調製され、生物分解性があることが示された。脂肪族−芳香族ブロックコポリエステル−エーテルの例としては、これらのブロック共重合体を研究し生体外で生物分解性をもつことが見出されたポリ(エチレンテレフタレート)/ポリ(酸化エチレン)を用いたReed及び Gilding(Polymer22, 499(1981))の研究が含まれる。Tokiwa及びSuzukiはポリ(カプロラクトン)及びポリ(ブチレンテレフタレート)から誘導されたもののようなブロックコポリエステルについて調査し、それがリパーゼ(脂肪分解酵素)によって分解されることを発見した(J.Appl. Polym. Sci. 26, 441-448(1981)) 。おそらく生物分解は、コポリエステルの脂肪族ブロックにより左右されるのだろう;芳香族ポリエステルから成るブロックはなおも生物分解に対する抵抗力をもつ。この点に関してランダム脂肪族−芳香族コポリエステルは研究されていない。
【0015】
低レベルの脂肪族ジ酸を伴うランダムコポリエステルが知られている(例:Droscher及びHorlheek, Ange, Makromol. Chemie. 128,203-213 (1984)) ものの、高レベル(>30%)の脂肪族ジカルボキシル成分を伴うコポリエステルは一般に未知である。40%もの脂肪族ジカルボキシル酸成分を伴うコポリエステルが、接着剤の利用分野において開示されてきた;しかしながら、これらのコポリエステル接着剤は、望まれる接着特性を達成するべく少なくとも2つのジアルコール成分を含んでいる(Cox, A., Meyer, M.F., 米国特許第4,966,959 号(1990)参照)。
【0016】
ポリヒドロキシブチル酸塩(PHB)といった重合体からのフィルムの調製に対しては数多くの参考文献が存在する。PHB からのフィルムの生成には一般に、温度がPHB の融点以下に下がった後かなりの時間PHB 重合体が粘着性を保ち続ける傾向をもつことを主な理由としてソルベントキャスティングが関与する。この問題を回避するため、Martini et al(米国特許第 4,826,493号及び同第 4,880,592号)は、非粘着性の熱可塑性プラスチックを用いてPHB を同時押出し成形する実践方法を教示している。このような熱可塑性プラスチックは、PHB フィルム上に永久層としてとどまるか或いは又、押出し成形の後に除去される犠牲フィルムであってもよい。
【0017】
PHB は同様に、使い捨て用品の調製にも有用であることが報告されてきた。Potts(米国特許第 4,372,311号及び 4,503,098号) は、ポリ(酸化エチレン)のような水溶性重合体にPHB のような生物分解性のある不溶性重合体のコーティングをほどこすことができるということを開示した。これらの発明においては、水溶性層とは全く異なるPHB 層は分解して水溶性層を露出させ、水溶性層はこのとき水性環境内で分散することになる。
【0018】
使い捨て用品で用いるための生物分解性あるバリヤフィルムの調製について、その他の報告も存在する。Comeford et al(米国特許第 3,952,347号)は、セルロース、でんぷん、炭水化物及び天然ゴム(natural gum)といった細かく分割された生物分解性物質が、水中可溶性に対し抵抗性をもつ非生物分解性のフィルムを形成する物質のマトリクス内に分散されうることを開示した。Wielicki(米国特許第 3,602,225号)は、可塑化された再生セルロースフィルムから作られたバリヤフィルムの使用を教示している。Comerford(米国特許第 3,683,917号)は、撥水材料でコーティングされたセルロース材料の使用を教示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
市場には、成形品、繊維及びフィルムの利用分野において有用なものである熱可塑性プラスチックに対する需要が存在する。これらの利用分野については、熱可塑性プラスチックブレンドが低い溶融温度で加工でき高いガラス転移温度を有することが望まれる。これらの熱可塑性プラスチックは、揮発性又は抽出性の可塑剤を含んでいてはならない。その上市場には、オムツ、カミソリなどの使い捨て用品で使用するための生物分解性材料に対する需要が存在する。一例として、PHB といった重合体から調製されたフィルムとは異なり、この材料はソルベントキャスティング及び溶融押出しの両方に適合しなくてはならない。この材料を溶融押出しする上で、その他の熱可塑性プラスチックとの同時押出し成形が1つの必要条件であってはならない。この新しい生物分解性材料のバリヤ特性は、非水溶性重合体でのコーティングが必要とされないように適切である必要がある。新しい材料は環境内に完全に分散しなければならず、水溶性重合体でのコーティングを必要としてはならない。材料の機械的特性は、モジュラスは低いものの引張り強度の高いフィルムを調製できるようなものでなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に従えば、フェノール/テトラクロロエタンの60/40(重量比)溶液 100mL中 0.5gの試料について25℃の温度で測定した場合に、 0.5〜 1.8dL/gのインヘレント粘度を有するジオール成分と酸成分とから本質的になる線状のランダム半結晶性脂肪族−芳香族コポリエステルの生物分解性繊維が提供される。この脂肪族−芳香族コポリエステルは、好ましくは以下の構造の反覆単位で構成される。
【0021】
【化1】

【0022】
(式中、(a)R11及びR12は同一又は異なっており、それぞれ、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンシオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−へキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロへキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールの1種又はそれ以上から本質的になる物質から誘導され、
(b)R11及びR12はコポリエステルのジオール成分の 100%を構成し、
(c)R13はC0 〜C8アルキレン又はC2 〜C4オキシアルキレン;ハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシからなる群から独立に選ばれた1〜4個の置換基で置換されたC1 〜C12アルキレン又はオキシアルキレン;C5 〜C10シクロアルキレン;並びにハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシからなる群から独立に選ばれた1〜4個の置換基で置換されたC5 〜C10シクロアルキレンからなる1種又はそれ以上の基から選ばれ、そして
(d)R14はC6 〜C10アリール;並びにハロ、C1 〜C4 アルキル及びC1 〜C4 アルコキシからなる群から独立に選ばれた1〜4個の置換基で置換されたC6 〜C10アリールからなる群から選ばれた1種又はそれ以上の基である。)
【0023】
本発明は、一部にはセルロースエステルと脂肪族−芳香族コポリエステル、セルロースエステル及び脂肪族ポリエステルの2成分ブレンドならびにセルロースエステル及び/又は脂肪族ポリエステル及び/又は脂肪族−芳香族コポリエステル及び/又は重合体化合物の3成分ブレンド並びに上述の又は以下で記述する望ましい特性のうちの単数又は複数を有する以上の物質から調製された生物分解性繊維にも関する。更に詳しくは、本発明のコポリエステルは、次のものを含むブレンドに関する:
【0024】
I.(A)フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中 0.5gの試料について25℃の温度で測定した場合に約 0.2〜約 3.0dL/gのインヘレント粘度及び約 1.7〜3.0 のDS/AGUをもつセルロースのC1 〜C10エステルを約5%〜98%、及び(B)フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中 0.5gの試料について25℃の温度で測定した場合に約 0.2〜約 2.0dL/gのインヘレント粘度をもつ脂肪族−芳香族コポリエステルを約2%〜約95%(ただしこれらの百分率は成分(A)と成分(B)の合計重量に基づくものである);
【0025】
II.(A)フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中 0.5gの試料について25℃の温度で測定した場合に約 0.2〜約 3.0dL/gのインヘレント粘度及び約 1.7〜2.75のDS/AGUをもつセルロースのC1 〜C10エステルを約5%〜98%、及び(B)フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中 0.5gの試料について25℃の温度で測定した場合に約 0.2〜約 2.0dL/gのインヘレント粘度をもつ脂肪族ポリエステルを約2%〜約95%、(ただしこれらの百分率は成分(A)と成分(B)の合計重量に基づくものである);
【0026】
III .(A)フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中 0.5gの試料について25℃の温度で測定した場合に約 0.2〜約 3.0dL/gのインヘレント粘度及び約 1.7〜3.0 のDS/AGUをもつセルロースのC1 〜C10エステルを約4%〜97%、及び(B)フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中 0.5gの試料について25℃の温度で測定した場合に約 0.2〜約 2.0dL/gのインヘレント粘度をもつ脂肪族ポリエステル及び/又は脂肪族−芳香族コポリエステルを約2%〜約95%(C)フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中 0.5gの試料 0.5gについて25℃の温度で測定した場合、約0.2 〜約 2.0dL/gのインヘレント粘度を有する不混和性、部分混和性又は混和性の重合体化合物を約1%〜約94%、(ただしこれらの百分率は成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計重量に基づくものである。
【0027】
IV.(A)フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中の 0.5gの試料について25℃の温度で測定した場合に、約0.4〜約 3.0dL/gのインヘレント粘度をもつ(I)又は(II)の2成分ブレンド又は(III )の3成分ブレンドを約50%〜約99%(B)生物分解性ある添加剤を約1%〜約50%(ただしこれらの百分率は、成分(A)と成分(B)の合計重量に基づくものである)
【0028】
V.(A)フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中の 0.5gの試料について25℃の温度で測定した場合約 0.4〜約 3.0dL/gのインヘレント粘度を有する(I)又は(II)の2成分ブレンド又は(III )の3成分ブレンドを約95%〜約 99.95%、(B)非混和性疎水剤を約0.05%〜約5%(ただしこれらの百分率は、成分(A)と成分(B)の合計重量に基づくものである)。
本発明は同様に、次のものにも関する:
【0029】
VI.フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中0.5 gの試料について25℃の温度で測定した場合、約 0.5〜約1.8dL/gのインヘレント粘度を有し、75℃と 160℃の間の融点を有する基本的に線状なランダム半結晶性脂肪族−芳香族コポリエステル。
【0030】
VII .50%〜99%の(VI)と約1%〜約50%の生物分解性添加剤の混合物。なおこの百分率は成分(VI)と生物分解性添加剤の合計重量に基づくものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
我々はセルロースエステルが、脂肪族ポリエステル及び脂肪族−芳香族コポリエステルとの2成分ブレンド、ならびに脂肪族ポリエステル/ポリアクリル酸塩、脂肪族ポリエステル/ポリ酢酸ビニル、脂肪族ポリエステル/ポリビニルアルコール、脂肪族ポリエステル/ポリ塩化ビニル、脂肪族ポリエステル/ポリカーボネート、脂肪族ポリエステル/ポリ酢酸ビニル−ポリエチレン共重合体、脂肪族ポリエステル/セルロースエーテル、脂肪族ポリエステル/ポリアミド、脂肪族−芳香族コポリエステル/ポリアクリレート、脂肪族−芳香族コポリエステル/ポリ酢酸ビニル、脂肪族−芳香族コポリエステル/ポリビニルアルコール、脂肪族−芳香族コポリエステル/ポリ塩化ビニル、脂肪族−芳香族コポリエステル/ポリカーボネート、脂肪族−芳香族コポリエステル/ポリ酢酸ビニル−ポリエチレン共重合体、脂肪族−芳香族コポリエステル/セルロースエーテル、又は脂肪族−芳香族コポリエステル/ポリアミドならびにその他の重合体と3成分ブレンドを形成し、成形又は押出し加工されたプラスチック製品、繊維又はフィルムとして有用な樹脂を生成することができるということを見出した。さらに、このブレンドに対してさまざまな添加剤を付加して透湿率や生物分解性などの特性を高めることも可能である。
【0032】
本発明のセルロースエステルは一般に、次のような構造の反復単位を含んでいる:
【0033】
【化2】

【0034】
なおここで、R1 ,R2 及びR3 は、2〜10個炭素原子をもつ直鎖アルカノイル又は水素から成る群の中から独立して選択される。
【0035】
配合物を処方するのに役立つセルロースエステルは、セルローストリエステルであっても第2セルロースエステルであってもよい。セルローストリエステルの例としては、セルローストリアセテート、トリプロピオン酸セルロース、又はトリ酪酸セルロースが含まれる。第2セルロースエステルの例としては、酢酸セルロース、プロピオン酸酢酸セルロース及び酪酸酢酸セルロースが含まれている。これらのセルロースエステルは、本書に参考としてその全てが内含されている米国特許第 1,698,049号;同第 1,683,347号;同第1,880,808 号;同第 1,880,560号;同第 1,984,147号;同第2,129,052 号;及び同第 3,617,201号に記述されている。
【0036】
本発明において有用なセルロースエステルは、当該技術分野において既知の技術を用いて調製でき、又、Eastman Chemical Company, Inc., Kingsport, TN, U.S.A. などが市販しているものを購入することもできる。
【0037】
本発明において有用なセルロースエステルは少なくとも2つのアンヒドログルコース環を有し、標準的に2〜5000のアンビドログルコースリングを有する。同様に、このような重合体は標準的には、フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中 0.5グラムの試料について25℃の温度で測定した場合約 0.2〜約 3.0dL/g好ましくは約1〜約 1.5dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する。さらに、ここで有用なセルロースエステルのDS/AGUは約 1.7〜約 3.0である。好ましいセルロースエステルとしては、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、プロピオン酸酢酸セルロース(CAP)、酪酸酢酸セルロース(CAB)、酪酸プロピオン酸セルロース(CPB)などが含まれる。CAP及びCAB が比較的好ましいセルロースエステルである。最も好ましいセルロースエステルはCAP である。
【0038】
2成分ブレンドとしては、脂肪族−芳香族コポリエステルとのブレンディングのための好ましいセルロースエステルはCAP とCAB である。好ましいセルロースエステルは、アセチルエステルのDS/AGUが合計エステル含有量の1〜50%である、 2.1〜2.85というDS/AGUを有するCAP である。最も好ましいCAP は、アセチルエステルのDS/AGU が合計エステル含有量の4〜30%である、 2.5〜2.75というDS/AGU を有する。
【0039】
2成分ブレンドについては、脂肪族ポリエステルとのブレンドのための好ましいセルロースエステルは、CA,CAP 及びCAB である。セルロースの好ましいエステルは、 1.7〜2.75のDS/AGUを有するCAである。セルロースのもう1つの好ましいエステルは、アセチルエステルのDS/AGUが合計エステル含有量の1〜50%である 1.7〜2.75というDS/AGUを有するCAP である。最も好ましいCAP は、アセチルエステルのDS/AGUが合計エステル含有量の4〜30%である 2.1〜2.6というDS/AGUを有する。同様に、CAP が約 140℃〜 180℃のガラス転移温度(Tg)を有することも好ましい。
【0040】
3成分ブレンドについては、脂肪族ポリエステル及び/又は脂肪族−芳香族コポリエステル及び/又は重合体化合物、生物分解性添加剤又は疎水剤とのブレンドのための好ましいエステルは、CAP 及びCAB である。好ましいセルロースエステルは、アセチルエステルのDS/AGUが合計エステル含有量の1〜50%である、 1.7〜3.0 というDS/AGUを有するCAP である。最も好ましいCAP は、アセチルエステルのDS/AGUが合計エステル含有量の4〜30%である 2.5〜2.75のDS/AGUを有する。
【0041】
本発明においてブレンド中で有用な脂肪族−芳香族コポリエステルは、ランダム共重合体であり、好ましくは、次のような反復単位を含む:
【0042】
【化3】

【0043】
なおここでR4 及びR7 はC2 〜C12アルキレン又はオキシアルキレン;ハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシから成る群の中から独立して選択された1〜4個の置換基で置換されたC2 〜C12のアルキレン又はオキシアルキレン;C5 〜C10シクロアルキレン;ハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシから成る群の中から独立して選択された1〜4個の置換基で置換されたC5 〜C10シクロアルキレンから成る群のうち1又はそれ以上のものから選択されており、R5 は、C0 〜C12アルキレン又はオキシアルキレン;ハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシから成る群の中から独立して選択された1〜4個の置換基で置換されたC112アルキレン又はオキシアルキレン;C5 〜C10シクロアルキレン;及びハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシから成る群の中から独立して選択された1〜4個の置換基で置換されたC5 〜C10シクロアルキレンから成る群のうちの1個又はそれ以上のものの中から選択され、R6 はC6 〜C10アリール、ハロ、C1 〜C4 アルキル及びC1 〜C4 アルコキシから成る群の中から独立して選択された1〜4個の置換基で置換されたC6 〜C10アリールから成る群のうちの1個又はそれ以上のものの中から選択される。
【0044】
前記脂肪族−芳香族コポリエステルが10〜1000の反復単位を含んでいることが好ましい。最も好ましいのは、この脂肪族−芳香族コポリエステルが15〜600 の反復単位を含んでいる場合である。
【0045】
本発明において、共重合体中のR5 のモル%は、30〜95%であることができ、R6 のモル%は5〜70%でありうる。比較的好ましい範囲は、R5 のモル%が約45〜85%で、R6 のモル%が約15〜55モル%である場合である。最も好ましい範囲は、一般に、セルロースエステルとのコポリエステルの必要混和性レベル及び望ましい物理特性によって左右される。混和性ブレンドのための最も好ましい範囲は、R5 がグルタルであり、コポリエステル内のR5 のモル%が70〜85%でありR6 のモル%が15〜30モル%である場合である。部分混和性をもつブレンドについての最も好ましい範囲は、R5 がグルタルであり、コポリエステル中のR5 のモル%が45〜60%であり、R6 のモル%が40〜55モル%である場合である。当然のことながら、特定のブレンドの混和性の範囲は、ブレンド成分の分子量が変化するにつれて変化できる。一般に、より低い分子量又はインヘレント粘度をもつ脂肪族−芳香族ポリエステルは、より高い分子量のポリエステルとの関係において一定の与えられたセルロースエステルとのより高い混和性をもつ。
【0046】
脂肪族−芳香族コポリエステルは、フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中 0.5グラムの試料について25℃の温度で測定した場合約 0.4〜約 1.2のインヘレント粘度を有することが好ましい。
【0047】
ここで用いられる「アルキル」及び「アルキレン」という語は、−CH2 −CH2 −CH2 −CH2 −及び−CH2 CH(X) −CH2 −といった直鎖又は分枝鎖部分のことを指す。同様に、シクロアルキル及びシクロアルキレン部分の炭素原子の全てが必ずしも環構造ではなく、例えばC8 シクロアルキル基はシクロオクチル又はジメチルシクロヘキシルであってよい。「オキシアルキレン」という語は、1〜4個のエーテル酸素基を含むアルキレン鎖のことである。
【0048】
本発明において有用な脂肪族ポリエステルの1つのタイプは、好ましくは以下のような反復単位を含む:
【0049】
【化4】

【0050】
なおここでR8 は、C2 〜C12アルキレン又はC2 〜C12オキシアルキレン;ハロ、C6 〜C10アリール、及びC1 〜C4 アルコキシから成る群の中から独立して選択された1〜4個の置換基で置換されたC2 〜C12アルキレン又はC2 〜C12オキシアルキレン;C5 〜C10シクロアルキレン;ハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシから成る群から独立して選択された1〜4個の置換基で置換されたC5 〜C10シクロアルキレンから成るグループのうちの1個又はそれ以上のグループの中から選択されるものとし;R9 は、C0 〜C12アルキレン又はオキシアルキレン;ハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシから成る群の中から独立して選択された1〜4個の置換基で置換されたC1 〜C12アルキレン又はオキシアルキレン;C5 〜C10シクロアルキレン;及びハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシから成る群の中から独立して選択された1〜4個の置換基で置換されたC5 〜C10シクロアルキレンから成るグループのうちの1個又はそれ以上のグループの中から選択される。
【0051】
8 がC2 〜C6 アルキレン、C4 〜C8 オキシアルキレン又はC5 〜C10シクロアルキレンであることが好ましい;又R9 は、C0 〜C10アルキレン、C2 オキシアルキレン又はC5 〜C10シクロアルキレンであることが好ましい。
【0052】
さらに、R8 がC2 〜C4 アルキレン、C4 〜C8 オキシアルキレン又はC5 〜C10シクロアルキレンであり;R9 がC2 〜C4 アルキレン、C2 オキシアルキレン又はC5 〜C10シクロアルキレンであることが好ましい。
【0053】
前記脂肪族ポリエステルは10〜1000の反復単位を含んでいることが好ましい。最も好ましいのは、この脂肪族ポリエステルが15〜600の反復単位を含んでいる場合である。「アルキル」及び「アルキレン」という語は、以上で定義づけされた通りである。
【0054】
第2のタイプの脂肪族ポリエステルは、以下の構造をもつ反復単位で構成されているポリヒドロキシアルカノエートである。
【0055】
【化5】

【0056】
なおここでmは0〜10の整数であり、R10は水素;C1 〜C12アルキル;ハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシから成る群の中から独立して選択された1〜4個の置換基で置換されたC1 〜C12アルキル;C5 〜C10シクロアルキル;及びハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシから成る群の中から独立して選択された1〜4個の置換基で置換されたC5 〜C10シクロアルキルから成る群の中から選択さる。
【0057】
本発明において、脂肪族ポリエステルは、有意な量のカーボネート結合を含まない脂肪族ポリエステルとして定義づけされる。さらに、ポリエステルは、綜合プロセス又は生物学的プロセスによって調製されたポリエステルとして定義づけされる。
【0058】
3成分ブレンドのための標準的な重合体化合物としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)といったポリアクリル酸塩又はRohm and Haas から市販されているもののようなそれらの共重合体が含まれる。3成分ブレンドにおいては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル及びポリ酢酸ビニル−ポリエチレン共重合体も同様に有用であり、Air Products and Chemicals, Inc.といった会社から入手可能である一般的な市販の重合体である。G E Plasticsから市販されているポリカーボネートも、3成分ブレンドにおいて有用である。セルロースエステルは、Aqualon Co. などの会社から市販されており、同様に3成分ブレンドにおいて有用である。
【0059】
ポリアミド例えばAshley Polymers, Inc.,から入手できるナイロン6も、3成分ブレンドにおいてきわめて有用である。本発明においては、好ましいポリアクリレートはPMMAである。好ましいポリビニルアルコールは、5〜60%加水分解されて、分子量が1000〜30000のものである。好ましいセルロースエステルは、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。好ましいポリ酢酸ビニルは、1000〜1,000,000 の分子量を有することになる。
【0060】
本発明の2成分及び3成分ブレンドのための標準的な生物分解性添加剤には、巨大結晶性セルロース、セルロースモノアセテート、でんぷん及びその他の炭水化物が含まれる。好ましい物質は、標準的に1〜200 ミクロンの粒度をもつ、FMC から入手可能な巨大結晶性セルロース又はNational Starch Co.,から入手可能なでんぷんである;好ましい粒度は 0.1〜15ミクロンである。同様に好ましいのは、 1.2〜0.4 のDS/AGUをもつセルロースモノアセテートであり、これは水溶性であるか又は水膨潤性をもつ。
【0061】
標準的な非混和性疎水剤としては、パラフィン、モノアシル炭水化物、及びモノグリセリドが含まれる。モノアシル炭水化物の一例は、6−O−ステリル−グルコピラノシドである。好ましい疎水剤は、C12〜C18脂肪酸を含むモノグリセリドである。C12〜C18脂肪酸を含むこれらのモノグリセリドは同様に任意に、5〜95%のアセチル、プロピオニル、ブチリル又はスクシニル基でアシル化することもできる。さらに好ましいモノグリセリドはC16〜C18脂肪酸を含むものである。最も好ましい疎水剤はモノステアリン酸グリセリルである。
【0062】
ポリエステル及びコポリエステルの調製は当該技術分野において周知のものである(本書に参考としてその全てが内含されている米国特許第 2,012,267号)。このような反応は通常、四塩化チタン、2酢酸マンガン、酸化アンチモン、2酢酸ジブチル錫、塩化亜鉛又はそれらの組合せの存在下で 150℃〜 300℃の温度で行なわれる。触媒は標準的には、反応物の合計重量に基づいて、10〜1000ppm の量で使用される。本発明においては、代表的な脂肪族ポリエステルは、グルタル酸ジメチルと 1,6−ヘキサンジオールの重縮合生成物である。このポリエステル、ポリ(グルタル酸ヘキサメチレン)は、グルタル酸ジメチルと 1,6−ヘキサンジオールを100ppmのTiの存在下で真空中で 210℃で4時間、次に 260℃で 1.5時間加熱した場合に生成される。代表的な脂肪族−芳香族コポリエステルは、30モル%のテレフタル酸塩を含むポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート)である。このポリエステルは、グルタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、1,4−ブタンジオールを当初Ti(Oir4 として存在する100ppmのTiの存在下で真空下にて 200℃で一時間、次に 245℃で 0.9時間加熱した場合に生成される。
【0063】
ブレンドに用いるための前記脂肪族−芳香族コポリエステルは、ジカルボン酸又はその誘導体とジオールの任意のポリエステル形成組合せから調製される。前記ジカルボン酸は、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボキシル酸、1−4−シクロヘキサンジカルボキシル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボキシル酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸、2,5−ノルボルナネジカルボキシル酸、1,4−テレフタル酸、1,3−テレフタル酸、2,6−ナフトイン酸、1,5−ナフトイン酸及びそのエステル形成誘導体及びそれらの組合せといったピロ酸から成る群の中から選択されており、前記ジオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びその組合せから成る群の中から選択されている。ブレンドのための好ましい脂肪族−芳香族コポリエステルの特定的な例としては、ポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート−コ−ジグリコ−レート)〔50/45/5〕、ポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート)〔50/50〕、ポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート)〔60/40〕、ポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート)〔70/30〕、ポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート)〔85/15〕、ポリ(エチレングルタレート−コ−テレフタレート)〔70/30〕、ポリ(テトラメチレンアジペート−コ−テレフタレート)〔85/15〕、ポリ(テトラメチレンスクシネート−コ−テレフタレート)〔85/15〕、及びポリ(テトラメチレン−コ−エチレングルタレート−コ−テレフタレート)〔50/50,70/30〕が含まれる。
【0064】
有意な量のもう一つの成分のブレンドを必要とせずに本発明において有用な脂肪族−芳香族コポリエステル(ここではAAPEと呼ぶ)は、基本的に線状でランダム共重合体であり、好ましくは、次のような反復単位を含んでいる:
【0065】
【化6】

【0066】
なおここで、R11及びR12は同じものであり、C2 〜C8 アルキレン又はオキシアルキレンから成る群の中から選択され;R13はC0 〜C8 アルキレン又はC2 〜C4 オキシアルキレンから成る群のうち1個又はそれ以上のものから選択され、R13のモル%は約95〜35%であり;R14はC6 〜C10アリールの群の中から選択され、R14のモル%は約5〜65%である。さらに好ましいAAPEは、R11 及びR12が同一であり、C2 〜C4 アルキレンの中から選択され;R13がC2 〜C6 アルキレン又はC2 オキシアルキレンから成る群のうちの1個又はそれ以上のものの中から選択され、R13のモル%が約95〜40%であり;R14が1,4−ジ置換C6 アリールであり、R14のモル%が約5〜60%であるようなものである。これらのAAPEとして最も好ましい化合物は、以下のモル%で以下のジオール及びジ酸(又はそのポリエステル形成誘導体)から調製されるものである:(1) グルタル酸(30〜65%);ジグリコール酸(0〜10モル%) ;
テレフタル酸(25〜60%);1,4−ブタンジオール(100モル%)。(2) スクシン酸(30〜85%);ジグリコール酸(0〜10%) ;テレ
フタル酸(5〜60%);1,4−ブタンジオール(100モル%)。(3) アジピン酸(30〜65%);ジグリコール酸(0〜10%) ;テレ
フタル酸(25〜60%);1,4−ブタンジオール(100モル%)。
【0067】
ブレンドが必要とされない利用分野のための好ましいAAPEの特定的な例としては、ポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート−コ−ジグリコレート)〔50/45/5〕、ポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート)〔50/50〕、ポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート)〔60/40〕、ポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート)〔40/60〕、ポリ(テトラメチレンスクシネート−コ−テレフタレート)〔85/15〕、ポリ(エチレンスクシネート−コ−テレフタレート)〔70/30〕、ポリ(テトラメチレンアジペート−コ−テレフタレート)〔85/15〕、及びポリ(テトラメチレンスクシネート−コ−テレフタレート)〔70/30〕。
【0068】
前記脂肪族ポリエステルは、以下のもののあらゆるポリエステル形成組合せから調製されることが好ましい。(i) ヒドロキシ酸、(ii) ジカルボキシル酸又はその誘導体、及び(iii ) ジオール、
【0069】
このヒドロキシ酸は、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−カルボキシル酸、ヒドロキシトリメチル酢酸、6−ヒドロキシ−カプロン酸、グリコール酸、乳酸、そのエステル形成誘導体及びその組合せから成るグループの中から選択されており;前記ジカルボキシル酸は、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボキシル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボキシル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボキシル酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸、2,5−ノルボルナネジカルボキシル酸、そのエステル形成誘導体及びその組合せといったジ酸から成る群の中から選択されており;さらに前記ジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサン−ジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタン−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びその組合せから成るグループの中から選択されている。
【0070】
好ましい脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートとポリヒドロキシバレレートの共重合体、ポリ(グルタル酸ヘキサメチレン)、ポリ(アジピン酸ヘキサメチレン)、ポリ(セバシン酸エチレン)、ポリ(グルタル酸テトラメチレン)、ポリ(アジピン酸テトラメチレン)、ポリ(セバシン酸テトラメチレン)、ポリ(グルタル酸エチレン)、ポリ(スクシン酸エチレン)、ポリ(スクシン酸テトラメチレン)又はポリ(アジピン酸エチレン)が含まれる。
【0071】
本発明において有用なその他の脂肪族ポリエステルは、生物学的供給源から誘導されるポリヒドロキシアルカノエートである。数多くの研究所(参考:Makromol. Chem. 191, 1957-1965(1990);J.Bacteriol., 154, 870(1983);Macromole cules 22, 1106(1989))が、微生物例えばPseudomonas oleovarans, Alcaligenes eutrophus, Bacillus megaterium, Rhodospirillam rubrumが、滋養制限条件下でn−アルカン又はn−アルカノイン酸のいずれかの上で増殖されたときアルキル懸垂基を含むポリヒドロキシアルカノイン酸塩を蓄積できるということを実証した。P. oleovoransの場合、フェニル懸垂基を伴うポリヒドロキシアルカノイン酸塩が産生されうる。この重合体は、浸透性面で不活性である形態で脂肪酸の予備を細胞に提供する細胞内顆粒として形成する。微生物がエネルギー又は飢餓条件に直面している時、重合体は食料源として減成される;かくして、細菌性ポリヒドロキシアルカノイン酸塩は生来生物分解性を有する。
【0072】
生物学的供給源から誘導されたポリヒドロキシアルカノエートがホモポリマーであることは稀である。生合成の間、炭素セグメントつまり標準的には2つの炭素フラグメントが、当初のアルカノエートから除去されるかこれに付加され、共重合体を結果として形成することになる(Int. J. Biol. Macromol. 11, 49-55(1989))。例えば、P. oleovoransが唯一の炭素供給源としてn−オクタン又はn−オクタン酸(octanoic acid)の補給を受けたとき、産生される生成物は、たいていC6 及びC8 単位を含む共重合体である。
【0073】
本発明に基づくブレンド、AAPE、フィルム、プラスチック製品及び繊維のいずれも、非重合体可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、酸化促進剤、酸捕集剤、紫外線光安定剤、光分解促進剤、無機質及び着色剤の中から選択された少なくとも1つの付加的な添加剤を化合物の合計重量に基づいて 0.001〜50重量%、任意に付加的に含むことができる。代表的な非重合体可塑剤としては、アジピン酸ジオクチル、リン酸塩及びフタル酸ジエチルが含まれる。代表的な無機質としては、タルク、TiO2,CaCO3, NH4Cl及びシリカが含まれる。着色剤は、単量体、オリゴマーそして当然のことながら重合体であってよい。好ましい重合体着色剤は、発色単量体すなわち染料が重合体内に共有結合により取り込まれている脂肪族ポリエステル、脂肪族−芳香族コポリエステル又は芳香族ポリエステルである。このような代表的重合体着色剤はWeaver et alにより米国特許第 4,892,922号、同第 4,892,923号、同第 4,882,412号、同第 4,845,188号、同第 4,826,903号及び同第 4,749,773号の中で記述されており、これらは全て本書中に参考として内含される。これらの重合体染料は、10%の1,5−ビス(O−カルボキシアニリノ)アントラキノンを含むポリ(テレフタル酸テトラメチレン)によって代表される。
【0074】
当然のことながら、本発明に基づくブレンドならびにこのブレンドから調製されたフィルム、プラスチック製品及び繊維が相容性及び/又は生物分解性を有することも好ましいが、これは必要条件ではない。好ましいブレンド、フィルム、プラスチック製品及び繊維は、単一のTgを有し及び/又は実質的に透明で実質的に曇りがなく、改善された機械特性によって立証される通り、相容性がある。同様に、AAPEならびにAAPEから作られるフィルム、プラスチック製品及び繊維は生物分解性を有することが好ましいが、これは必要条件ではない。
【0075】
これらのブレンドから作られたフィルムは、優れた引張り特性をもち、選択されたセルロースエステル及び脂肪族ポリエステル、脂肪族−芳香族コポリエステル及び/又は重合体化合物のタイプに応じて非常に可撓性がありうる。フィルムの多くは優れた光学特性をもつ。すなわち、好ましくも実質的に透明である;フィルムは同様に、有意な量の着色剤(すなわち顔料又は染料)を含んでいる可能性がある。これらのフィルムは染料又は顔料を含みうることから、細胞物質を除去するためにPHB といったPHA を大規模に精製することは必要とされない。
【0076】
環境的に非永続的な利用分野で用いられるフィルムについては、フィルムを作るのに用いられるブレンドは、(2.1〜2.75)のDS及び高いTg(140-180℃)をもつセルロースエステルで構成されていることが好ましい。本発明のブレンドは、一般にTg12=Tg1 W%1 +Tg2 W%2 という等式から予測することのできるTgを示すことから、より高いTgをもつセルロースエステルを使用することによって、同等のブレンドTgをなおも維持しながらより低いTgをもつセルロースエステルを用いた場合に可能であるよりも多くのポリエステルをブレンド内に取り込むことが可能となる。その上、驚くべきことに、我々は、より低いDSのセルロースエステルが一般により高いモジュラスを有することから、低いDSセルロースエステルを含むブレンド内により多くのポリエステルを取込むことによって、より低いTg及びより低いポリエステル含有量をもつセルロースエステルで構成されたブレンドから作られたフィルムと同等の機械的特性をもつフィルムがもたらされることになる、ということを見出した。ブレンド内のより多くのポリエステルの取込みは、より高いポリエステル含有量をもつブレンドがより急速に生物分解することになるため、非常に望ましいことである。
【0077】
当然のことながら、ブレンドを必要としない本発明のAAPEの多くは、同様にフィルムの利用分野でも有用である。これらのAAPEはポリ(テレフタル酸エチレン)ほど高い融点をもたないものの、AAPEは、脂肪族ポリエステルについて一般に観察され従って数多くの利用分野特に生物分解性を必要とする利用分野において有用である比較的高い融点をもつ。スクシン酸ベースのAAPEは、その比較的高い融点のためこれらの利用分野において特に優れた有用性を示す。これらのコポリエステルは、半結晶性で多大な量の芳香族基を含んでいる場合でさえ生物分解性があることが立証されてきた。さらに、ジグリコール酸は、フィルムの初期崩壊において一助となることから、これらのAAPEにとって有用な共単量体であることがわかった。
【0078】
これらのAAPEは同様に、生物分解性の恩恵を受ける成形部品、押出し加工品、繊維、不織布及び発泡製品において特に有用である。これらのコポリエステルから作られたフィルム及び繊維は、延伸させることができる。これらの共重合体の多く(特に1,4−ブタンジオールを含むもの)における延伸には物理的特性の改善及び不透明から透明への変化が付随する。AAPEフィルムは、一軸延伸又は二軸延伸させることができ、インフレーションフィルム作業中に延伸することが可能である。
【0079】
本発明に基づくブレンド及び/又はAAPEは、薄いフィルムが望まれる包装の利用分野において有用である。本発明に基づくブレンド及び/又はAAPEの多くは、バリヤとして機能しなければならない及び/又は生物分解性をもたなくてはならない薄いバリヤフィルムとして特に役立つ。例えば、これらのブレンドは、保護用バリヤフィルムとして役立ち、小児用オムツ、失禁用ブリーフ、生理ナプキン、タンポン、ベッドライナー、便器用ライナー、包帯などの使い捨て吸収性製品において使用することができる。本発明のフィルムは2.5×105 psi 〜0.01×105 psi の接線弾性率、約 0.5×103 psi 以上の引張り強度、約 7.0g/mil 以上の平均引裂き強さ及び約5%以上の破断時の伸びを有することが好ましい。同様に好ましいのは、このフィルムが約 0.1ミルから約20ミルの厚み及び24時間あたり約500 g mil/m2 未満の透湿率をもつ場合である。
【0080】
本発明に基づくブレンド及び/又はAAPEは同様に使い捨てオムツのその他の部品においても使用することができる。保護用バリヤフィルムとして使用されるのに加えて、これらのブレンド及び/又はAAPEは、オムツの構造において必要とされるタブ、不織布、繊維、テープ及びその他の部品として使用することができる。
【0081】
我々は、セルロースエステルのこれらの2成分ブレンド及び3成分ブレンドならびにAAPEから調製されたフィルムが望ましい耐湿バリヤ特性を有することを見出した。これらのブレンドを用いると、ブレンド組成を変えることにより特定の比率を変更することができる。例えば、透湿率は、2成分又は3成分ブレンドの中に存在する脂肪族ポリエステル、脂肪族−芳香族コポリエステル又は重合体化合物の量によって制御可能である。透湿率は同様に、配合物の脂肪族−芳香族コポリエステル成分の中に存在する芳香族ジカルボキシル酸単量体の量によっても制御可能である。当然のことながら、ブレンドの透湿率はさらに非混和性疎水剤の付加によっても制御できる。
【0082】
本発明に基づくブレンド及び/又はAAPEは同様に、成形プラスチック部品又は個体発泡プラスチック製品としても有用である。このような部品の例としては、眼鏡フレーム、歯ブラシの柄、おもちゃ、自動車用トリム、工具の柄、カメラ部品、かみそりの部品、インクペンの軸、使い捨て注射器、ボトル、などが含まれる。本発明に基づくプラスチック部品特に、プラスチック部品に増大した表面積を与える発泡方法により作られた部品は、それが環境的に非永続的であることが望まれる利用分野において特に役に立つ。本発明のブレンド及び/又はAAPEで作られた射出成形棒材は標準的に 5.0×105 psi 〜 0.1×105 psi の曲げ弾性率、13×103 psi 〜 0.1×103psiの曲げ強度及び 1.0〜25ft−lb/inのノッチ付アイゾット強度(23℃)を有する。成形棒材が 3.8×105 psi 〜 1.5×105 psi の曲げ弾性率、11.4×103 psi 〜4×103 psi の曲げ強度及び2×15ft−lb/inのノッチ付アイゾット強度(23℃)を有することが好ましい。
【0083】
本発明のブレンド及び/又はAAPEは、繊維としても同様に有用である。繊維の利用分野の例としては、紙タバコのフィルタ、オムツの上層シート、生理ナプキン、つりざお、つり網、外科手術衣の製作用繊維、衛生用品、吸収性繊維、液体搬送用繊維などが含まれる。我々は、適切な溶剤から紡糸させることに加えて、本発明に基づくブレンド及び/又はAAPEを溶融紡糸して優れた強度の繊維を生産することができるということを見出した。繊維は、紡糸後に繊維を延伸することによって又は紡糸中に延伸することによって(キャビネット延伸)延伸できる。ブレンド及び/又はAAPEから生成された繊維は、複雑な断面形状をもつ繊維についてさえ優れた形状保持を有する。我々は同様に、繊維を容易にケン縮させることもできるということも見出した。ブレンド及び/又はAAPEから生成された繊維は、標準的に30〜0.1 のフィラメント当りのデニール数(DPF)を有する。好ましいデニールは10〜1.5DPFである。流体管理のためには、繊維は、疎水剤を含むこともできるし、或いは又疎水剤のコーティングを受けることもできる。
【0084】
本発明のブレンド及びそれから調製されたフィルム、プラスチック製品及び繊維は、約 120℃から約 280℃の間の溶融温度を有する。好ましい溶融温度は 150℃〜 190℃である。同様に、このようなブレンド、フィルム、プラスチック製品及び繊維は、示差走査熱量測定法(DSC)又は動的機械的熱分析(DMTA)によって測定した場合、約25℃〜約 200℃のガラス転移温度(Tg)を有する。ガラス転移温度の好ましい範囲は50℃〜 100℃である。ブレンド及びフィルムは同様に好ましくは非粘着性である。
【0085】
本発明の好ましいAAPE及びそれから製造された製品は、75℃〜160℃の融点をもつ。さらに好ましい範囲は80℃から 140℃である。セルロースエステル及び脂肪族−芳香族コポリエステルを含む本発明のブレンドについては、ブレンド中のポリエステルの好ましいレベルは、一般にブレンドの望ましい混和性レベル及び必要とされる物理的特性によって左右される。好ましい範囲は、成分I(B)が約5%〜約75%の量で存在し、成分I(A)が約25%〜約95%の量で存在し、成分I(A)が 2.1〜2.75のDSを有する場合である。成形プラスチック製品などでより高い引張り強度、曲げ強さ及び曲げ弾性率を有することが望ましい場合、さらに好ましい範囲は、成分I(B)が約5%〜約25%の量で存在し、成分I(B)が 0.2〜2.0のI.V.を有し、成分I(A)が約75%〜約95%の量で存在し、成分I(A)が 2.1〜2.75のDSを有する場合である。成形プラスチック部品のために用いられるブレンドが混和性を有し光学的に透明であることが望まれる場合、成分I(B)が 0.3〜0.6 のI.V.を有し、5〜25%の量で存在することが好ましい。フィルム、ボトル、繊維などの利用分野のためにより低いモジュラスのブレンドを得ることが望まれる場合、より好ましい範囲は、成分I(B)が約30%〜約75%の量で存在し、成分I(A)が約25%〜約70%の量で存在し、成分I(A)が 2.1〜2.75のDSを有する場合である。フィルム、ボトル、繊維などに役立つ混和性ブレンドを得ることが望ましい場合、さらに好ましい範囲は、成分I(B)が約30%〜約55%の量で存在し、R5 が70〜85%の範囲で存在するグルタルであり、成分I(A)が約45%〜約70%の量で存在し、成分I(A)が 2.5〜2.75のDSを有する場合である。フィルムにおいて役立つ最も好ましい部分的混和性ブレンドは、成分I(B)が約60%〜約75%の量で存在し、R5 が45〜60%の範囲で存在するグルタルであり、成分I(A)が約25%〜約40%の量で存在し、成分I(A)が 2.5〜2.75のDSを有することである。
【0086】
セルロースエステル及び脂肪族ポリエステルを含む本発明のブレンドについては、成分II(B)が約10%〜約60%の量で存在し、成分II(A)が約40%〜約90%の量で存在し、成分II(A)が 2.1〜2.7 のDSを有することが好ましい。最も好ましいのは、成分II(B)が約35%〜約55%の量で存在し、成分II(A)が約45%〜約65%の量で存在し、成分II(A)が 2.1〜2.5 のDSを有する場合である。
【0087】
セルロースエステル及び/又は脂肪族ポリエステル及び/又は脂肪族−芳香族コポリエステル及び/又は重合体化合物を含む本発明のブレンドについては、成分III (B)が約10%〜約50%の量で存在し、成分III (A)が約40%〜約88%の量で存在し、成分III (A)が2.1 〜2.75のDSを有し、成分III (C)が2%〜10%の量で存在することが好ましい。同様に好ましいのは、成分III (B)が約2%〜約10%の量で存在し、成分III (A)が約40%〜約88%の量で存在し、成分III (A)が 2.1〜2.75のDSを有し、成分III (C)が10%〜50%の量で存在する場合である。さらに好ましいのは、成分III (B)が約40%〜約88%の量で存在し、成分III (A)が約2%〜約10%の量で存在し、成分III (A)が 2.1〜2.7 のDSを有し、成分III (C)が10%〜50%の量で存在する場合である。同様に好ましいのは、成分III (B)が約10%〜約50%の量で存在し、成分III (A)が約2%〜約10%の量で存在し、成分III (A)が 2.1〜2.7 のDSを有し、成分III (C)が約40%〜88%の量で存在する場合である。もう1つの好ましい範囲は、成分III (B)が約20%〜約40%の量で存在し、成分III (A)が約20%〜約40%の量で存在し、成分III (A)が 2.1〜2.7のDSを有し、成分III (C)が20%〜40%の量で存在する場合である。
【0088】
生物分解性添加剤を含む2成分及び3成分ブレンドについては、成分IV(B)が約1%〜約10%の量で存在し、成分IV(A)が約90%〜約99%の量で存在することが好ましい。
【0089】
非混和性の疎水剤を含む2成分及び3成分ブレンドについては、成分V(B)が約 0.1%〜約1%の量で存在し、成分V(A)が約99%〜99.9%の量で存在することが好ましい。
【0090】
1つのブレンドを形成するための成分の物理的混合は、適切な溶剤(例えばアセトン、THF, CH2Cl2 /MeOH, CHCl3 、ジオキサン、DMF, DMSO, AcOMe, AcOEt 、ピリジン)中での成分の混合とそれに続くフィルムキャスティング又は繊維押出しといった数多くの方法で達成できる。ブレンドの成分は同様に、熱によるコンパウンディングによっても混合可能である。最も好ましい方法は、トルクレオメータ、単軸押出機又は2軸スクリュ押出機といった装置の中で熱コンパウンディングすることによるものである。熱コンパウンディングによって生成されたブレンドは、当業者にとって周知の数多くの方法によって薄膜フィルムへと変換されうる。例えば、薄膜フィルムは、米国特許第 4,372,311号に記述されているように浸漬塗装によって、米国特許第 4,427,614号中に記述されているように圧縮成形によって、米国特許第 4,880,592号中に記述されているように溶融押出しによって、溶融インフレーションによって、或いは又その他の類似の方法によって形成することができる。配合物は、射出成形ならびに押出し成形によって1枚のシートにそしてそこから1つの物体をカット又はスタンピングすることによって成形プラスチック製品へと変換できる。熱でコンパウディングされたブレンドは、繊維の溶融押出し成形のためにも使用できる。
【0091】
本発明のブレンド及び/又はAAPEから調製された繊維及びフィルムは、保護用バリヤフィルムが望まれる利用分野において有用である。例えば、これらを、小児用オムツ、失禁用ブリーフ(成人用オムツ)、生理ナプキン、タンポン、ベッドライナー、便器、包帯などの吸収性用品において使用することができる。本発明の生物分解性フィルム、繊維、AAPE及びブレンドは、環境上の問題のため使い捨て用品において特に有用である。本発明のブレンド及び/又はフィルムは、包装材料(例えば包装用発泡材シート)、食品用袋、ゴミ袋、農業用堆肥シート、テープ及び写真フィルム用のフィルムベースなどの非吸収性用品ならびに注射器及びカメラケースなどの固体プラスチック用品を作るためにも使用できる。
【0092】
本発明の好ましいバリヤフィルムなどの生物分解性材料は、微生物を触媒とした分解(減成)によって、後に微生物により同化されることになる単量体又は短連鎖への重合体サイズの縮小によるフィルム又は繊維の強度の低下を受ける成分で構成された材料である。好気性環境において、これらの単量体又は短連鎖は究極的にCO2 ,H2 O及び新しい細胞バイオマスへと酸化される。嫌気性環境においては、単量体又は短連鎖は究極的に、CO2 ,H2 、酢酸塩、メタン及び細胞バイオマスへと酸化される。生物分解が成功するためには、生物分解性材料と活性微生物個体群又は活性微生物個体群により産生された酵素の間に直接的物理的接触が樹立される必要がある。本発明に基づくフィルム及びブレンドを分解(減成)させるのに役立つ活性微生物個体群は一般に、流入水(廃液流)のセルロース材料が高いあらゆる都市又は工業廃水処理施設から得ることができる。さらに、生物分解が成功するためには、pH、温度、酸素濃度、固有栄養及び含水率レベルといったいくつかの最低物理・化学必要条件が満たされていることが必要である。我々は或る種のセルロースエステルが従来の廃水処理施設及びインビトロ環境システムにおいて生物分解性をもち、従って、使い捨て用品におけるバリヤフィルム及び繊維のために用いられるべきブレンドの調整において特に有用であることを見出した。我々は又堆肥化環境内でブレンド及びAAPEの多くが分解し、従って環境的に非永続的な材料として用いるべき材料の調製において有用であることも見出した。
【実施例】
【0093】
以下の例は、本発明を例示することを目的とするものであり、本発明を制限するものと解釈されるべきものではない。
【0094】
以下の例においては、ブレンドは、次の3つの一般的方法によって調製した。(i)レオメータ機械式スペクトロメータ内で適切な温度でコンパウンディングの前にブレンド成分を振とうさせる。結果として得られた樹脂を標準的に5mmの粒度まで摩砕し、一部分を2枚の金属板の間で樹脂の溶融温度よりも高い温度で圧縮して、溶融圧縮成形フィルムを形成させる;(ii)セルロースエステル及びポリエステルのブレンドは、30mmのWerner-Pfleiderer 2軸スクリュー押出機上でのコンパウンディングにより調製した。標準的な手順は以下のとおりである:すなわち、セルロース用及びポリエステル用のそれぞれ1つずつ計2つの別々のフィードシステムを、この溶融ブレンディング方法のために利用した。ゾーン1内に乾燥粉末としてセルロースエステルを付加し、ゾーン3内に粘性液体としてポリエステルを付加した。押出機のバレル内へホッパーを通してAccuRateフィーダを用いて望ましい速度でセルロースエステルを付加した。ポリエステルを、窒素下で予め加熱し、加熱されたフィードタンク内に注ぎ込んだ。ポリエステルを窒素雰囲気下に維持し、ギヤポンプまでステンレス鋼製管路を通して重力供給させ、このギヤポンプは溶融材料をステンレス鋼管路(外径1/2インチ)を通して押出機のバレル内へ移送した。このフィードシステムのための全ての管路は加熱され、断熱された。押出機の生産速度は10〜50ポンド/時の範囲である。ゾーン温度は、ポリエステルとセルロースエステルの正確な性質に応じて設定され、一般に約 100℃〜 250℃の範囲内で変動する。その後、押出機から出る材料の2本のストランドを水中で急冷し、CONAIR JETROペレタイザでチョッピングした。(iii )セルロースエステル及びポリエステルの配合物を、30mmのWerner-Pfleiderer 2軸スクリュー押出機上でコンパウンディングによって調製した。標準的な手順は、以下の通りである:この溶融ブレンディング方法のためには単一フィードシステムを利用した。セルロースエステル及びポリエステルを乾燥ブレンディングし、ゾーン1内に固体として付加した。乾燥配合物をAccuRateフィーダを用いて望ましい速度でホッパーを通し押出機のバレル内に付加した。押出機の生産速度は10〜50ポンド/時である。ポリエステル及びセルロースエステルの正確な性質に応じてゾーン温度は設定され、これは一般に約 100℃〜 250℃の範囲内で変動する。その後、押出機から出る材料の2本のストランドを水中で急冷し、CONAIR JETROペレタイザでチョッピングした。
【0095】
フィルムの引張り強度、破断時の伸び及び接線弾性率はASTM方法D882によって測定される;引裂強度はASTM方法D1938 によって測定される;酸素透過率及び透湿率はASTMの方法D3985 及びF372によってそれぞれ測定される。成形部品についての引張り強度及び破断時の伸びはASTM方法D638により測定される;曲げ強度及び曲げ弾性率はASTM方法D790によって測定される;アイゾット衝撃強度はASTM方法D256により測定される;熱膨張温度はASTM方法D648によって測定される。インヘレント粘度は、フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量比溶液 100mL中 0.5グラムの試料について25℃の温度で測定される。動的機械的熱分析(DMTA)スペクトルは、Polymer Laboratories MK IIを用いて、4℃/分及び1Hzで収集された。
【0096】
本明細書中で使用した略号は以下のとおりである:「I.V.」はインヘレント粘度;「g」はグラム;「psi 」は平方インチあたりのポンド数;「cc」は立方センチメートル;「m」はメートル;「rpm 」は1分当りの回転数;「DSPr」はプロピオニルに対するアンヒドログルコース単位あたりの置換度;「DSAc」はアセチルに対するアンヒドログルコース単位あたりの置換度;「DSBu」はブチリルに対するアンヒドログルコース単位あたりの置換度;「BOD 」は生化学的酸素要求量;「vol.」又は「v.」は体積;「wt. 」は重量;「mm」はマイクロメートル;「NaOAc 」は酢酸ナトリウム;「nm」は、未測定;「CE」はセルロースエステル;「PE」はポリエステル;「DOA 」は、アジピン酸ジオクチル;「HDT 」は熱たわみ温度;「WVTR」は、透湿率;「mil 」は0.001 インチである。フィルムの透明度に関しては、「t 」は混和性配合物の透明フィルム特性を表わし;「±」は、部分的混和性フィルムの曇ったフィルム特性を表わし;「−」は非混和性配合物の不透明なフィルム特性を表わす;「AAPE」は、脂肪族−芳香族コポリエステルであり、ここで用いられているように、ブレンディングを必要としないコポリエステルのことを指す。セルロースエステルの呼称に関しては、「CAP 」はプロピオン酸酢酸セルロース;「CA」は酢酸セルロース;「CAB 」は酪酸酢酸セルロースである。ポリエステルの呼称に関しては、代表的例は、次のとおりである:「PTS(T)〔85/15〕」は、スクシネートとテレフタレートのモルパーセントが85/15であるポリ(テトラメチレン スクシネート−コ−テレフタレート)である;「PTA(T)〔85/15〕」は、アジペートとテレフタレートのモルパーセントが85/15であるポリ(テトラメチレンアジペート−コ−テレフタレート)である;「PTG(T)〔85/15〕」は、グルタレートとテレフタレートのモルパーセントが85/15であるポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート)である;「PTG(T)(D) 〔60/35/5〕」は、グルタレート対テレフタレート対ジグリコレートのモルパーセントが60/35/5であるポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート−コ−ジグリコレート)である;「PTG(N)〔85/15〕」は、グルタレート対ナフタレートのモルパーセントが85/15であるポリ(テトラメチレングルタレート−コ−ナフタレート)である;「PES 」はポリ(スクシン酸エチレン)である;「PHS 」はポリ(スクシン酸ヘキサメチレン)である;「PEG 」は、ポリ(グルタル酸エチレン)である;「PTG 」は、ポリ(グルタル酸テトラメチレン)である;「PHG 」は、ポリ(グルタル酸ヘキサメチレン)である;「PT(E)G〔50/50〕」は、テトラメチレン対エチレンのモル%が50/50であるポリ(テトラメチレン−コ−エチレングルタレート)である;「PEA 」はポリ(アジピン酸エチレン)である;「PDEA」はポリ(アジピン酸ジエチレン)である;「PHA 」は、ポリ(アジピン酸ヘキサメチレン)である。その他の略号は以下の通りである:「TEGDA 」はトリエチレングリコールジアセテートである;「PVA 」はポリ(酢酸ビニル)である;「PMMA」はポリ(メタクリル酸メチル)である;「PEMA」はポリ(メタクリル酸エチル)である。MYVAPLEX 600は、濃縮モノステアリン酸グリセリルの商品名であり、Eastman Chemical Companyから入手可能である。MYVAPLEX濃縮モノステアリン酸グリセリルは、主としてステアリン酸エステルで構成されている硬化大豆油から生成された90%最低精製モノグリセリドである。MYVACET は、変性脂肪の精製アセチル化モノグリセリドに対する商品名である。MYVACET507のアセチル化パーセントは48.5〜51.5である。MYVACET707のアセチル化パーセントは66.5〜69.5である;MYVACET908のアセチル化パーセントは最低96である。MYVEROL は、濃縮モノステアリン酸グリセリルに対する商品名であり、Eastman Chemical Companyから入手可能である。MYVEROL は、精製モノグリセリドが異なる脂肪供給源から生成されているという点を除きMYVAPLEXに非常に類似している。
【0097】
例1.
プロピオン酸酢酸セルロース(DSAC=0.10,DSpr=2.64, I.V.=1.3)と脂肪族−芳香族コポリエステルのブレンド及びこのブレンドから作られたフィルムは、標準的な手順を用いて測定した。ガラス転移温度をDMTAにより測定し、Fox-Flory 等式を用いて計算した。結果は、表I及び表IIに示されている。
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
表IからのI.V.データは、ブレンド成分の分子量がブレンディングプロセスにおいて保たれることを例示している。透明度が示しているように、フィルムは透明であった。これは混和性ブレンドの特徴である。
【0101】
表Iは、20%の脂肪族−芳香族コポリエステルに関与するブレンド(項目1,3,5,8,14, 17, 20, 22, 27及び29)の各々が、各ブレンドについて計算上のTg12よりも14〜37℃高いものである実験上のTg12を有していたことを立証している。C4 ピロ酸(項目2),C6 ピロ酸(項目4)又はC10芳香族ピロ酸(項目30)が関与する40%の脂肪族−芳香族コポリエステルブレンドも又、理論上のTg12からの実験上のTg12のそれぞれ18℃, 11℃及び25℃の正の偏差を示した。C5 脂肪酸ピロ酸が関与する40%の脂肪族−芳香族コポリエステルの一族の中では、項目6,10, 16, 19及び21の実験上のTg12(15〜30%のC6 芳香族ピロ酸)は理論上のTg12と優れた一致を示していた(±10℃)。これとは対照的に、5,10及び40%のC6 芳香族ピロ酸を含む40%のPTG(T)ブレンドの実験上のTg12は、それぞれ計算上の値から27, 23及び52℃の正の偏差を示していた。10〜70%のPEG(T)〔70/30〕のシリーズ(項目7−12)のうち、10〜30%のブレンドは、計算上の値からの実験上のT12の正の偏差を示し、40〜55%のブレンドは、計算上のTg12と優れた一致を示すTg12を有しており、70%のブレンドは、部分的混和性配合物の特徴である多数のTgを示した。これとは対照的に、20〜70%のPTG(T)〔60/40〕配合物のシリーズ(項目22−25)は、理論上のものとはかなり異なるTg12又は多数のTg12を有していた。脂肪族−芳香族コポリエステルのきわめて高いレベル(項目26参照)では、単一のTgが観察された。このタイプの分析は、C5 脂肪族ピロ酸が関与する脂肪族−芳香族コポリエステルとセルロースエステルの配合物が一般に、コポリエステルの芳香族部分が約15〜30%である場合およそ30〜55%の範囲内で混和性を有するということを示唆している30〜55%の範囲外のC5 脂肪族ピロ酸が関与する脂肪族−芳香族コポリエステルブレンドは、可変的な混和性レベルを示す。その他の脂肪族ピロ酸が関与するブレンドは、さらに広い範囲にわたり、可変的な混和性レベルを示す。
【0102】
配合物混和性は、ポリエステルの分子量によっても強く左右される。一般に、低いI.V.のポリエステルは、より広い混和性ウィンドウを示すことになる。
【0103】
セルロースエステルは、標準的には高いWVTR(24時間あたり 500g mil/100in2以上)を有する。表IIが示すように、 CAP/脂肪族/芳香族コポリエステルブレンドは全て、24時間で 500g mil/100in2未満のWVTRを有する。表IIは、同様に、ブレンドから調製された材料についての広範な物理的特性が、ブレンドの成分及び組成に応じて可能であることも立証している。脂肪族−芳香族コポリエステルブレンドの多くは予想外の普通でない物理的特性を示した。例えば、20%のブレンドについての接線弾性率(表III )は、ほとんどの部分についてCAP との関係において驚くほどに高い(2.1×105 psi)ものであった。PTG(T)〔70/30〕及びPTG(T)〔60/40〕が関与するブレンドを除いて、接線弾性率は全て 1.5×105 psi 以上にとどまった。さらに驚くべきは、20%のブレンドについての引張り強度であった。PTG(T)〔60/40〕ブレンドを除いて、これらのブレンドの引張り強度は全て 5.0×103 psi であった;いくつかのケースにおいて、引張り強度は、CAP との関係において改善した(5.5×103)。一般に、PTG(T)〔60/40〕配合物を除いて、20%の脂肪族−芳香族コポリエステルが関与する全てのブレンドは、ブレンドの主要成分であるプロピオン酸酢酸セルロースに対してきわめて類似の要領で挙動した。実際、我々は、プロピオン酸セルロースに固有の機械的特性を低下させることなく、又いくつかのケースではこれを改善させながら、セルロースエステルの代りにセルロースエステルブレンドの成分とは一般にかなり異なる物理的特性をもつコポリエステルの20%を置換することができた。
【0104】
例2.
セルロースエステルとスクシン酸塩ポリエステルおよびそれからのフィルムを標準的な手順を用いて調製した。結果は表III 及びIVに示されている。
【0105】
【表3】

【0106】
【表4】

【0107】
表III からのI.V.データは、ブレンド成分の分子量がブレンディングプロセスにおいて保たれることを例示している。透明度が表わしているように、フィルムは透明であった。これは、混和性ブレンドの特徴である。さらに、ブレンドのTgは代表的試料について測定された。項目34及び36は、それぞれ80℃と70℃の単一のTgを有していた。単一のTgも又混和性ブレンドの特徴である。表IVが実証しているように、ブレンドから調製された材料についてのきわめて広範囲の物理的特性は、ブレンド組成の適切な選択によって可能である。
【0108】
例3.
セルロースエステルとグルタル酸塩ポリエステルのブレンド及びそれからのフィルムは、標準的なプロセスを用いて調製された。結果は表V及びVIに示されている。
【0109】
【表5】

【0110】
【表6】

【0111】
【表7】

【0112】
【表8】

【0113】
表VからのI.V.データは、ブレンド成分の分子量がブレンディングプロセスにおいて保たれることを例示している。透明度が表わしているように、フィルムは透明であった。これは混和性ブレンドの特徴である。さらに、ブレンドのTgは代表的試料について測定された。項目37, 49, 51, 54, 55, 59及び74は、それぞれ 120, 70, 125, 72, 66, 108 の単一のTgを有していた。単一のTgも又混和性ブレンドの特徴である。表VIが実証しているように、ブレンドから調製された材料についてのきわめて広範囲の物理的特性は、ブレンド組成の適切な選択によって可能である。
【0114】
例4.
セルロースエステルとアジピン酸塩ポリエステルのブレンド及びそれからのフィルムは、標準的なプロセスを用いて調製された。結果は表VII 及びVIIIに示されている。
【0115】
【表9】

【0116】
【表10】

【0117】
表VII からのI.V.データは、ブレンド成分の分子量がブレンディングプロセスにおいて保たれることを例示している。透明度が表わしているように、フィルムは透明であった。これは、混和性ブレンドの特徴である。さらに、ブレンドのTgは代表的試料について測定された。項目80及び84は、それぞれ78℃と 130℃の単一のTgを有していた。単一のTgも又混和性ブレンドの特徴である。表VIIIが実証しているように、ブレンドから調製された材料についてのきわめて広範囲の物理的特性は、ブレンド組成の適切な選択によって可能である。
【0118】
例5.
異なる添加剤を含む脂肪族ポリエステルとセルロースエステルのブレンド及びそれからのフィルムを、標準的な方法を用いて調製した。項目96−101, 104及び105 のフィルムは、Tが横方向、Mが縦方向を表わす、インフレーションフィルムである。結果は表IX及びXに示されている。
【0119】
【表11】

【0120】
【表12】

【0121】
【表13】

【0122】
【表14】

【0123】
表IXが立証している通り、本発明のブレンドは、中でも酸化促進剤(項目88−90参照)、無機質(項目91−95,104, 105参照)、生物分解性の高い有機添加剤(96−101, 103参照)、重合体染料及び顔料(104又は105 参照)から単量体可塑剤(102参照)に至るまでの数多くの異なるタイプの添加剤を含むことができる。項目88−90, 102 は透明であったが、一方項目91−99, 103 は透明ではあるものの予想どおりブレンドに付加された無機物又は有機物のため曇っていた。項目99及び 100はTiO2のため白色であり、一方 104及び 105はTiO2と染料のため青色であった;これらの例はブレンドの着色又は染色が容易であることを示している。表Xを見るとわかるように、これらの添加剤は、ブレンドから調製されたフィルムの機械的特性又は引裂強度に対してほとんど又は全く影響を与えない(表X及びVI参照)。従って、生物分解を促進するCaCO3 又は微晶質セルロースといった添加剤をブレンドに付加しながらしかもブレンド組成の適切な選択によりブレンドから調製された材料のための広範囲な物理的特性を維持することが可能である。
【0124】
例6.
2.74というDS/AGUを有するプロピオン酸酢酸セルロース、脂肪族ポリエステル及び第3の重合体成分の3成分ブレンドを、標準的な手順を用いて調製した。表XIは、これらのブレンドから作られたフィルムの機械的特性、引裂強度及び透明度を示している。
【0125】
【表15】

【0126】
【表16】

【0127】
【表17】

【0128】
【表18】

【0129】
表XIが示すように、セルロースエステル及び脂肪族ポリエステル又は脂肪族−芳香族コポリエステルは、優れた物理的特性を有する混和性又は部分的混和性のいずれかの3成分ブレンドを形成するべくその他の重合体とブレンドさせることが可能である。項目112, 116, 117, 119-130, 132, 133, 135及び 136は、混和性3成分ブレンドの例であるが、一方残りの例は、部分的に混和性ある3成分ブレンドである。当然のことながらこらのブレンドは、例5又は例7で実証されている非混和性の添加剤を含むことができる(下を見よ)。
【0130】
例7.
セルロースエステル及び脂肪族ポリエステル又は脂肪族−芳香族コポリエステル及び疎水性添加剤の3成分ブレンドを、標準的な手順を用いて調製した。表XII 及びXIIIは、ブレンドのDS/AGU, I.V.及びブレンドから作られたフィルムの透明度ならびに機械的特性、引裂強度及び透湿率を示している。
【0131】
【表19】

【0132】
【表20】

【0133】
表XII 及びXIIIの例は、機械的特性又は引裂強度の損失無くブレンドから調製された材料の透湿率を制御するべく、セルロースエステル及び脂肪族ポリエステル又は脂肪族−芳香族コポリエステルのブレンドに対して疎水性添加剤を付加できることを例示している。例えば、0.25〜1%のMYVAPLEX 600を含むCAP/PTG ブレンドから調製されたフィルムのWVTRは、24時間で 244〜103 g mil/100in2の間で制御された(項目 143-146参照)。疎水性添加剤の増大に伴って、WVTRは、1%前後の添加剤で横ばい状態に至るまで減少した。
【0134】
例8.
30mmのW−P2軸のスクリュー押出機上で65/35のCAP(DSAC=0.10, DSpr=2.64)/ポリ(グルタル酸テトラメチレン)のブレンドの調製を、一般的な手順に従って以下の条件の下で行なった。
ポリ(グルタル酸テトラメチレン)の供給速度=15.0ポンド/時
CAP 供給速度=28.0ポンド/時
押出機からの合計出力=43ポンド/時
供給管路温度= 190℃
スクリューの RPM=207
トルク=30%
押出機ゾーン温度: ゾーン1= 180℃;
ゾーン2−7= 230℃。
【0135】
例9.
CAP(DSAC=0.10, DSpr=2.64)と共に 10.20及び40重量%のポリグルタル酸テトラメチレンを含むその他のブレンドも同様にW−P押出機上で一般的手順に従って調製された。ただしこの場合、固体のポリ(グルタル酸テトラメチレン)をCAP(DSAC=0.10, DSpr=2.64)と混合して両方の材料をその他の点では類似の条件の下で押出機のゾーン1内に供給することによって、ポリエステルを付加した。
【0136】
例10.
例8及び9の場合と同様に調製されたブレンドを、以下の条件下でToyo90射出成形機上で成形した。これらの条件は、理想的な条件として見なされるべきではなく、このタイプのブレンドについて用いることのできる条件の代表的なものである。
ノズル温度= 200℃
ゾーン1の温度= 210℃
ゾーン2の温度= 210℃
ゾーン3の温度= 190℃
ゾーン4の温度= 180℃
溶融温度= 215℃
射出及び保持圧力= 750psig
金型温度=14℃
スクリュー速度=75rpm.
【0137】
例11.
例10の場合と同様に調製されたブレンドの物理的特性が、12%の単量体可塑剤を含むCAP の物理的特性と共に表XIV 中に示されている。
【0138】
【表21】

【0139】
この例は、脂肪族ポリエステルブレンドが非常に有効な非揮発性で抽出不可能な重合体添加剤であることを実証している。これらのブレンドは、単量体可塑剤を含むCAP との関係において多くのより優れた物理的特性を提供する。例えば、12%のDOA を含むCAP との関係において、10%のPTG は、より優れた引張り強度、曲げ弾性率及びより高い熱たわみ温度を有する。
【0140】
例12.
例10の場合と同様にして調製されたブレンドの物理的特性が表XV中に示されている。
【0141】
【表22】

【0142】
この例は、脂肪族−芳香族ポリエステルブレンドの成分が非常に有効な非揮発性で抽出不可能な重合体添加剤であることを例示している。これらのブレンドは、単量体可塑剤を含むCAP との関係において数多くのより優れた物理的特性を提供する。例えば、12%のDOAを含むCAP に比べて、類似の重合体含有量をもつ上述のブレンドは全て、より優れた引張り強度、曲げ弾性率及び曲げ強度ならびにより高い熱たわみ温度を有する。この例は同様に、混和性のすなわちPEG(T)〔70/30〕;セルロースエステル/脂肪族−芳香族ブレンド成分と、部分的混和性のあるすなわちPEG(T)〔60/40〕;セルロースエステル/脂肪族−芳香族ブレンドの間の物理的特性の相異もいくつか教示している。一般に、部分的混和性のあるブレンドは、特に−40℃においてより優れたIzod衝撃強度を提供する。
【0143】
例13.
【0144】
【表23】

【0145】
これらの例は、脂肪族−芳香族コポリエステルから調製されたフィルムがきわめて高い伸び、高い引裂強度、低いWVTR及び低いモジュラスを有すること、従ってフィルムの利用分野において有用であることを示している。
【0146】
例14.−AAPE成形棒材の物理的特性
【0147】
【表24】

【0148】
この例は、AAPEが非常に高い破断時の伸び、低い曲げ弾性率及び優れたアイゾット衝撃を有することを実証している。
【0149】
例15.
本発明のブレンドから溶融インフレーションフィルムを生成するためには、さまざまな条件を利用することができる。押出し機についての温度設定点は、添加剤がある場合そのレベルに応じて変動することができる。この例については、全てのヒーターゾーンは、25〜30のスクリューr.p.m.で 190℃から 200℃の間に設定された。これは、 183℃という測定上の溶融温度を生み出した。ダイの詰まりを防ぐためより高いTiO2レベル(又はタルク又は珪藻土などのブロック防止剤)が用いられる場合ヒータの温度を特にダイ地域において5〜10℃だけ増大させなくてはならない。温度設定値は同様に、使用されるスクリューのタイプ及び押出機のタイプによっても変動することになる。好ましい温度は 175℃〜215 ℃である。ブロー成形条件は、ブローアップ比(BUR)、フープ方向又は横方向(TD)のストレッチを表わす気泡直径対ダイ直径の比;又は、軸方向又は縦方向(MD)のストレッチを表わす引落し比(DDR)によって特徴づけすることができる。BUR とDDR が等しい場合、MD及びTD内のストレッチの量はほぼ同じであり、その結果「バランスのとれた」フィルムが得られる。
【0150】
インフレーションフィルムは、プロピオン酸酢酸セルロース(DSAC=0.10, DSpr=2.64)とポリ(グルタル酸テトラメチレン)の60/40の配合物98%と2%のTiO2から成るブレンドから生成された。(20%のレベルでブレンディングされペレット化された)マスターバッチの形で付加されたTiO2を付加して、不透明のフィルムを得た。15:1の歯車減速機を伴うKillion 1.25インチ押出機から成る実験室規模のインフレーションフィルムラインを用いて、インフレーションフィルムを生成した。スクリューは、L/Dが40対1であるMaddock ミキシングタイプであったが、汎用スクリューも同様に使用された。ミキシングスクリューの圧縮比は 3.5:1であった。5ミルのダイギャップを伴う1.21インチのダイを用いた。エア・リングはKillion シングルリップNo.2タイプであった。処理に先立って、ブレンドを、除湿した空気乾燥器内で50℃で一晩乾燥させた。
【0151】
この例の場合、BUR は2.20であり、DDR は1.13であり、その結果2ミルの平均厚みをもつフィルムが得られた。こうして、平均引裂強度がMD(縦方向)及びTD(横方向)でそれぞれ 8.9及び 7.5g/mil であるフィルムが生成された。さらに、これらの方向に対する破断時の伸びの値は 101及び79%、接線弾性率は30及び24ksi であり、破断応力は 3.9及び3.6ksiである。 BUR値は2〜3.9 の範囲で、又 DDR値は 0.5〜20の範囲で、ブロー条件を変えると同時により厚いダイギャップへと移行することによって、試されてきた。これらのパラメータを増加させると、一般に特性の改善という結果がもたらされるが、但し伸び率は減少する。例えば、2.76のBUR 及び3.89のDDR を伴う 0.5ミルのフィルムは、それぞれMD及びTDについて31.3及び29.7g/mil の平均引裂強度、74%及び37%の破断時の伸びの値、57及び86ksi のモジュラス、及び 3.2及び 4.9ksi の破断応力を有していた。
【0152】
例16.
プロピオン酸酢酸セルロース(DSAC=0.10, DSpr=2.64)とポリ(テトラメチレングルタレート−コ−テレフタレート)から成る配合物から、インフレーションフィルムを生成した。インフレーションフィルムは、15:1の歯車減速機を伴うKillion 1.25インチ押出機から成る実験室規模のインフレーションフィルムラインを用いて生成した。スクリューは、L/Dが24対1であるMaddock ミキシングタイプであったが、汎用スクリューも用いられてきた。ミキシングスクリューの圧縮比は、 3.5:1であった。25ミルのダイギャップを伴う1.21インチのダイを用いた。エアリングはKillion シングルリップNo.2タイプであった。処理に先立って、ブレンドを、除湿した空気乾燥器内で50℃で一晩乾燥させた。結果は表XVIII に示されている。
【0153】
【表25】

【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】水/アセトンの50/50(体積比)の混合物中の20重量%の酢酸セルロース溶液からフィルムを絞り成形することによって形成された酢酸セルロース(DS=1.7)フィルムの外部の平滑表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真。倍率は 200X。
【図2】インビトロ微生物富化システム内での4日間のインキュベーションの後、水/アセトンの50/50(体積比)混合物内の20重量%の酢酸セルロース溶液からフィルムを絞り成形することによって形成された酢酸セルロース(DS=1.7)フィルムの外部平滑面のSEM写真である。倍率は 200Xである。
【図3】水/アセトンの50/50(体積比)混合物内の20重量%の酢酸セルロース溶液からフィルムを絞り成形することによって形成された酢酸セルロース(DS=1.7)の内部粗表面のSEM 写真である。倍率は 300X。
【図4】インビトロ微生物富化システム内での4日間のインキュベーションの後、水/アセトンの50/50(体積比)混合物内の20重量%の酢酸セルロース溶液からフィルムを絞り成形することによって形成された酢酸セルロース(DS=1.7)の内部粗表面のSEM 写真である。倍率は 300Xである。
【図5】細菌を洗浄しなかったインビトロ微生物富化システム内での4日間のインキュベーションの後、水/アセトンの50/50(体積比)混合物内の20重量%の酢酸セルロース溶液からフィルムを絞り成形することによって形成された酢酸セルロース(DS=1.7)フィルムの外部平滑面のSEM 写真。倍率は4000Xである。
【図6】細菌を洗浄しなかったインビトロ微生物富化システム内での4日間のインキュベーションの後、水/アセトンの50/50(体積比)混合物内の20重量%の酢酸セルロース溶液からフィルムを絞り成形することによって形成された酢酸セルロース(DS=1.7)フィルムの内部粗表面のSEM 写真。倍率は4000Xである。
【図7】廃水槽の中でフィルムストリップを吊り下げるのに用いられるシリンダのタイプ。重量及び厚みがわかっている長さ6インチ幅 0.5インチのフィルムストリップを、銅ケーブルに取りつけられたシリンダ内に入れ、廃水槽内に浸漬させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール/テトラクロロエタンの60/40(重量比)溶液 100mL中 0.5gの試料について25℃の温度で測定した場合に、 0.5〜 1.8dL/gのインヘレント粘度を有するジオール成分及び酸成分から本質的になる線状ランダム脂肪族−芳香族コポリエステルであって、以下の構造:
【化1】

(式中、(a)R11及びR12は同一又は異なっており、それぞれ、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−へキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロへキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールの少なくとも1種から本質的になる物質から誘導され、
(b)R11及びR12はコポリエステルのジオール成分の 100%を構成し、
(c)R13はC0 〜C8アルキレン又はC2 〜C4オキシアルキレン;ハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシからなる群から独立に選ばれた1〜4個の置換基で置換されたC1 〜C12アルキレン又はオキシアルキレン;C5 〜C10シクロアルキレン;並びにハロ、C6 〜C10アリール及びC1 〜C4 アルコキシからなる群から独立に選ばれた1〜4個の置換基で置換されたC5 〜C10シクロアルキレンからなる1種又はそれ以上の基から選ばれ、そして
(d)R14はC6 〜C10アリール;並びにハロ、C1 〜C4 アルキル及びC1 〜C4 アルコキシからなる群から独立に選ばれた1〜4個の置換基で置換されたC6 〜C10アリールからなる群から選ばれた1種又はそれ以上の基である)の反覆単位を含んでなり、繊維が生物分解性である脂肪族−芳香族コポリエステルの生物分解性繊維。
【請求項2】
(A)請求項1に記載の脂肪族−芳香族ポリエステル50〜99%及び(B)生物分解性添加剤1〜50%(%は成分(A)及び(B)の合計重量基準)のブレンドの繊維。

【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−22472(P2006−22472A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243219(P2005−243219)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【分割の表示】特願2003−208697(P2003−208697)の分割
【原出願日】平成3年11月26日(1991.11.26)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】