説明

脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法

本発明は、脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法、およびかかる方法により製造される脂肪族ジアミンを提供する。この脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法は、(1)1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、場合によって水、および場合によって1つまたは複数の溶媒の混合物を用意するステップであって、前記1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドが、1,3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択されるステップと、(2)前記混合物を、金属炭酸塩に基づく固体床または弱塩基性アニオン交換樹脂床と、15〜40℃の範囲の温度で少なくとも1分間以上、例えば5分間以上接触させるステップと、(3)それによって前記混合物を処理し、前記処理された混合物が、6〜9の範囲のpHを有するステップと、(4)前記処理された混合物、水素、およびアンモニアを、連続還元的アミノ化反応装置系に供給するステップと、(6)前記処理された混合物、水素、およびアンモニアを、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの存在下で80℃から約160℃の範囲の温度および700から3500psigの範囲の圧力で互いに接触させるステップと、(7)それによって1つまたは複数の脂環式ジアミンを生成させるステップであって、前記1つまたは複数の脂環式ジアミンが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、それらの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジアミンであるステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、名称が「脂環式シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法(PROCESS FOR REDUCTIVE AMINATION OF CYCLO ALIPHATIC CYANOALDEHYDES TO ALIPHATIC DIAMINES)」であり、その教示が全体として以下に再現されているかのように本明細書に参照により組み込まれている2009年7月31日に出願された米国仮特許出願第61/230,380号からの優先権を主張する正規の出願である。
【0002】
本発明は、脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化方法、およびかかる方法により製造された脂肪族ジアミンに関する。
【背景技術】
【0003】
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、脂肪族ジイソシアネート(ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)の前駆物質としての用途を有するジアミンである。これは、ある一定のポリウレタン系における鎖延長剤として有用であり、エポキシ硬化剤として用いることができる。ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、いくつかの異性体として存在し、そのうち1,3−および1,4−異性体が、第一に重要なものである。1,3−および1,4−異性体はまた、アミノメチル基が、それぞれシクロヘキサン環の平面の上または下に存在し得るために、いくつかのジアステレオマー形態で存在することもできる。
【0004】
1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン混合物は、いくつかの合成経路を経て調製することができる。米国特許第3,143,570号は、水中での中間体の固体のイミノメチルシクロヘキサンカルボニトリルの調製および単離を必要とする2段階の方法を記載している。
【0005】
別の例として、経路は、ディールス−アルダー反応で1,2,3,6−テトラヒドロベンズアルデヒドを形成するブタジエンおよびアクロレインから始めることができる。この中間体は、その後、ヒドロホルミル化されて、第二アルデヒド基が付加され、還元的にアミノ化されて所望のジアミンを形成する。このジアミンの異性体形態の混合物が、例えば米国特許第6,252,121号に記載されているようにして得られる。
【0006】
米国特許第6,252,121号におけるような、シリカゲル/アルミナ上のスポンジ金属触媒またはニッケルを用いた、ヒドロホルミル化1,2,3,6−テトラヒドロベンズアルデヒドの還元的アミノ化は、しかしながら、ジアミン生成物を低収率で生成する傾向がある。出発原料のかなりの部分が、望まれない副生成物およびポリマー種を形成する。結果として、原料費は高く、粗生成物の精製は、困難で費用がかかり得る。ポリマー副生成物は、反応装置および終了段階の浄化装置の運転をつまらせることが多い。
【0007】
アルキルアミンを用いてアルデヒド基を「保護する」(または「ブロックする」)ことによって、還元的アミノ化反応において副生成物形成を抑制することが、例えば、米国特許第5,041,675号および同第5,055,618号に記載されているように時には可能である。このブロックされた基は、重合および他の望まれない副反応に対してより高い耐性を示す。しかしながらこのやり方は、追加原料の使用を必要とし、追加の化学種を反応中に導入し、これはその後、粗生成物から除去し、再循環させなければならない。プロセス収率は、非常に経済的なプロセスを有することが必要とされるものに依然としてはるかに及ばない。
【0008】
さらに、ジアルデヒド中間体を経由する1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造は、急激な収率の低下につながる触媒の失活のために困難であり得る。より安定な触媒の存在が確認されてはいるが、これらの触媒は、作業の極めて当初から低い収率を与える。加えて、このジアルデヒド中間体の経路は、アクロレインの信頼性がありかつ十分な供給を必要とする。
【0009】
これらの触媒性能の問題を克服し、起こり得る将来のアクロレインの供給問題を避けるために、本発明は、1,3−および1,4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド(CCA)の還元的アミノ化を提供する。この中間体は、アクロレインよりずっと入手し易いアクリロニトリル原料に基づいている。同時に起こるニトリル基の還元およびアルデヒド官能性の還元的アミノ化には、特殊化した触媒を必要とする。従来のニトリル還元条件および触媒は、アルデヒドの還元的アミノ化条件および触媒よりずっと攻撃的である。したがって、ニトリル基を完全に還元するために有効である触媒および条件は、アルデヒドを還元して対応するアルコールにする傾向も有しており、収率損失をもたらし得る。他方で、アルデヒドの還元的アミノ化のために一般的に選択される触媒および条件は、ニトリル基の完全な還元を提供するには一般的に効果がなく、中間体のアミノニトリルに対する収率損失をもたらす。さらに、現在の触媒の比較的短い寿命が他の難題を取り込んでいる。ジアミン生成物(1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)に良好な収率を提供する触媒は、ニトリルの水素化ステップに対するそれらの活性を250時間未満の稼動時間のうちに一貫して失う。この方法に対して経済的に存立できる触媒は、はるかに高い時間数の寿命、または、同じく、1ポンドの触媒当り製造される1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのポンド数を必要とする。
【0010】
したがって、脂環式ビス(アミノメチル)化合物が経済的にかつ高い収率で調製されることが可能な方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法、およびかかる方法により製造される脂肪族ジアミンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態において、本発明は、脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法であって:(1)1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、場合によって水および場合によって1つまたは複数の溶媒の混合物を用意するステップであって、前記1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドが、1,3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択されるステップと、(2)前記混合物を、金属炭酸塩に基づく固体床または弱塩基性アニオン交換樹脂床と、15〜40℃の範囲の温度で少なくとも1分間以上、例えば5分間以上接触させるステップと、(3)それによって前記混合物を処理し、前記処理された混合物が、6〜9の範囲のpHを有するステップと、(4)前記処理された混合物、水素、およびアンモニアを、連続還元的アミノ化反応装置系に供給するステップと、(6)前記処理された混合物、水素、およびアンモニアを、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの存在下で80℃から約160℃の範囲の温度および700から3500psigの範囲の圧力で互いに接触させるステップと、(7)それによって1つまたは複数の脂環式ジアミンを生成させるステップであって、前記1つまたは複数の脂環式ジアミンが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、それらの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジアミンであるステップとを含む方法を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法であって:(1)1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、場合によって水および場合によって1つまたは複数の溶媒の混合物を用意するステップであって、前記1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドが、1,3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択されるステップと、(2)前記混合物を、金属炭酸塩に基づく固体床または弱塩基性アニオン交換樹脂床と、15〜40℃の範囲の温度で少なくとも1分間以上、例えば5分間以上接触させるステップと、(3)それによって前記混合物を処理するステップと、(4)前記処理した混合物を中和するステップであって、前記中和した処理混合物が、6〜9の範囲のpHを有するステップと、(5)前記中和した処理混合物、水素、およびアンモニアを、連続還元的アミノ化反応装置系に供給するステップと、(6)前記中和した処理混合物、水素、およびアンモニアを、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの存在下で80℃から約160℃の範囲の温度および700から3500psigの範囲の圧力で互いに接触させるステップと、(7)それによって1つまたは複数の脂環式ジアミンを生成させるステップであって、前記1つまたは複数の脂環式ジアミンが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、それらの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジアミンであるステップとを含む方法を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、先の方法に従って製造された脂環式ジアミンをさらにまた提供する。
【0015】
発明を説明することを目的として、添付図面中には典型的な形態が示されているが、この発明は、示されているとおりのその手筈および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】比較例Aのジアミン生成物の収率と稼動時間(TOS)の間の関係を示し、同様にグラムでのジアミン生成物収量と反応器中のグラムでの触媒の量の間の関係を示しているグラフである。
【図2】本発明の実施例1のジアミン生成物の収率と稼動時間(TOS)の間の関係を示し、同様にグラムでのジアミン生成物収量と反応器中のグラムでの触媒の量の間の関係を示しているグラフである。
【図3】本発明の実施例2のジアミン生成物の収率と稼動時間(TOS)の間の関係を示し、同様にグラムでのジアミン生成物収量と反応器中のグラムでの触媒の量の間の関係を示しているグラフである。
【図4】本発明の実施例3のジアミン生成物の収率と稼動時間(TOS)の間の関係を示し、同様にグラムでのジアミン生成物収量と反応器中のグラムでの触媒の量の間の関係を示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法、およびかかる方法によって製造される脂肪族ジアミンを提供する。
【0018】
一実施形態において、本発明は、脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法であって:(1)1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、場合によって水および場合によって1つまたは複数の溶媒の混合物を用意するステップであって、前記1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドが、1,3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択されるステップと、(2)前記混合物を、金属炭酸塩に基づく固体床または弱塩基性アニオン交換樹脂床と、15〜40℃の範囲の温度で少なくとも1分間以上、例えば5分間以上接触させるステップと、(3)それによって前記混合物を処理し、前記処理された混合物が、6〜9の範囲のpHを有するステップと、(4)前記処理された混合物、水素、およびアンモニアを、連続還元的アミノ化反応装置系に供給するステップと、(6)前記処理された混合物、水素、およびアンモニアを、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの存在下で80℃から約160℃の範囲の温度および700から3500psigの範囲の圧力で互いに接触させるステップと、(7)それによって1つまたは複数の脂環式ジアミンを生成させるステップであって、前記1つまたは複数の脂環式ジアミンが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、それらの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジアミンであるステップとを含む方法を提供する。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法であって:(1)1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、場合によって水および場合によって1つまたは複数の溶媒の混合物を用意するステップであって、前記1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドが、1,3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択されるステップと、(2)前記混合物を、金属炭酸塩に基づく固体床または弱塩基性アニオン交換樹脂床と、15〜40℃の範囲の温度で少なくとも1分間以上接触させるステップと、(3)それによって前記混合物を処理するステップと、(4)前記処理した混合物を中和するステップであって、前記中和した処理混合物が、6〜9の範囲のpHを有するステップと、(5)前記中和した処理混合物、水素、およびアンモニアを、還元的アミノ化反応装置系に供給するステップと、(6)前記中和した処理混合物、水素、およびアンモニアを、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの存在下で80℃から約160℃の範囲の温度および700から3500psigの範囲の圧力で互いに接触させるステップと、(7)それによって1つまたは複数の脂環式ジアミンを生成させるステップであって、前記1つまたは複数の脂環式ジアミンが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、それらの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジアミンであるステップとを含む方法を提供する。
【0020】
本発明は、さらにまた、脂環式ジアミンを提供する。本発明によるこの脂環式ジアミンは、還元的アミノ化反応装置系、例えば、1つまたは複数の連続反応装置、1つまたは複数のバッチ式反応装置、1つまたは複数の半バッチ式反応装置、あるいはそれらの組合せに供給される3−シアノシクロヘキサン−l−カルボキシアルデヒド、4−シアノシクロヘキサン−l−カルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択される脂環式シアノアルデヒド、水素、ならびにアンモニアを含む上記のような場合によってさらに中和されていてもよい処理された供給材料の還元的アミノ化反応生成物を含み、ただし、場合によってさらに中和されていてもよい前記処理された供給材料は、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムと、80℃から約160℃の範囲の温度および700から3500psigの範囲の圧力で互いに接触させられ、ここで1つまたは複数の脂環式ジアミンが形成され、ここで前記1つまたは複数の脂環式ジアミンは、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、それらの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
この1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドは、3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0022】
3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、CAS No.50738−61−9は、次の構造および式を有し得る:
【0023】
【化1】

【0024】
4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、CAS No.18214−33−0は、次の構造および式を有し得る:
【0025】
【化2】

【0026】
1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、場合によって水および場合によって1つまたは複数の溶媒の混合物であって、前記1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドが、1,3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択される混合物は、金属炭酸塩に基づく固体床または弱塩基性アニオン交換樹脂床と、10℃より高い例えば15〜40℃の範囲の温度で少なくとも1分間以上接触させることができる。上記の金属炭酸塩に基づく固体床は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セリウム、炭酸マグネシウム、それらの混合物、およびそれらの組合せであり得る。上記の弱塩基性アニオン交換樹脂床は、DOWEX66、DOWEX MONOSPHERE77、DOWEX MARATHON WBA、DOWEX MARATHON WBA−2、DOWEX UPCORE Mono WB−500、XUS 43594.00、DOWEX M−43、XUS43568.00、AMBERLITE IRA92RF、AMBERLITE IRA92、またはその他の弱塩基性アニオン交換樹脂、ならびにそれらの混合物およびそれらの組合せであり得る。1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、場合によって水および場合によって1つまたは複数の溶媒の処理された混合物であって、前記1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドが、1,3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択される混合物は、さらに中和して、6〜12、例えば6〜9の範囲のpHを得ることができる。
【0027】
1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、水素、およびアンモニアの間の反応は、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの存在下で60℃から200℃、例えば80℃から約160℃または90℃から約130℃の範囲の温度、および500から5000psig、例えば700から3500psigまたは1400から2500psigの範囲の圧力で行なうことができる。上記の1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムは、Co、Ni、Ru、Fe、Cu、Re、Pd、それらの酸化物、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択される金属を含むことができる。上記の1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムは、バルク金属触媒系、スポンジ金属触媒系、担持金属触媒系、それらの混合物、またはそれらの組合せであり得る。上記の1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムは、バルクCoに基づく触媒系であり得る。連続プロセスにおいて、その触媒寿命は、1つまたは複数の脂環式ジアミン対1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの重量比が、300を超え、例えば500を超える、あるいは、別の方法では900を超え、あるいは別の方法では1000を超えることを促進する。この1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムは、スポンジ金属触媒をさらに含むことができる。この1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムは、1つまたは複数の促進剤または1つまたは複数の結合剤または1つまたは複数の触媒担体をさらに含むことができる。上記の1つまたは複数の促進剤は、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属からなる群から選択することができる。上記の1つまたは複数の結合剤は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、それらの混合物、またはそれらの組合せであり得る。上記の1つまたは複数の触媒担体は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、それらの混合物、またはそれらの組合せであり得る。上記の1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムは、Grace Davison Catalyst Companyからのラネーコバルト触媒、BASFからのCo−0179Tコバルト触媒、BASFからのCo−138Eコバルト触媒、およびSud−ChemieからのG−103コバルト触媒のように市販されている。
【0028】
この1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムは、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、水素、およびアンモニアの間の反応に触媒作用を及ぼすのに十分な量で存在させることができる。例えば、この触媒寿命は、脂環式ジアミン対1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの重量比が、300を超え、例えば500を超える、あるいは、別の方法では900を超え、あるいは別の方法では1000を超えることを促進する。一実施形態において、この1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムは、例えば、連続固定床触媒システムを含むことができる。
【0029】
1時間当りの触媒の質量当りの1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド混合物の質量として定義される空間速度は、1時間当り0.1から10.0、例えば1時間当り0.1から5.0、または別の方法では、1時間当り0.1から3.0、または別の方法では1時間当り0.1から2.0、または別の方法では1時間当り0.1から1.0、または別の方法では1時間当り0.3から0.8の範囲内である。
【0030】
アンモニアは、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドに対して過剰量で存在する。アンモニアは、例えば、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドの1モル当り2〜50モルの範囲で、または別の方法では、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドの1モル当り5〜40モルの範囲で、または別の方法では、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドの1モル当り8〜30モルの範囲で存在させることができる。水素は、例えば、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドの1モル当り3〜30モルの範囲で、または別の方法では、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドの1モル当り3〜10モルの範囲で、または別の方法では、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドの1モル当り3〜6モルの範囲で存在させることができる。
【0031】
1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、水素、およびアンモニアの間の反応は、1つまたは複数の溶媒の存在下で場合によっては行なうことができる。そのような溶媒としては、水、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、CAS No.67−63−0、メタノール、CAS No.67−56−1、t−ブタノール、CAS No.75−65−0、およびテトラヒドロフラン(THF)、CAS No.109−99−9が挙げられるがこれらに限定されない。反応器中への供給材料は、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドおよび1つまたは複数の溶媒を組み合わせた重量に基づいて0〜90重量パーセントの1つまたは複数の溶媒、または別の方法では、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドおよび1つまたは複数の溶媒を組み合わせた重量に基づいて0〜30重量パーセントの1つまたは複数の溶媒、または別の方法では、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドおよび1つまたは複数の溶媒を組み合わせた重量に基づいて0〜10重量パーセントの1つまたは複数の溶媒を含むことができる。
【0032】
1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、水素、およびアンモニアの間の反応は、連続還元的アミノ化反応装置系で行なうことができ、または別の方法では、それはバッチ式反応装置系で行なうことができ、または別の方法では、それは半バッチ式反応装置系で行なうことができる。かかる反応装置系は、当該技術における通常の技量の人には一般に知られている。この連続還元的アミノ化反応装置系、半バッチ式還元的アミノ化反応装置系、またはバッチ式還元的アミノ化反応装置系は、1つまたは複数の反応器を、連続して、並行して、またはそれらの組合せで含むことができる。
【0033】
本発明に従って製造される1つまたは複数の脂環式ジアミンは、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、それらの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0034】
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、CAS No.2579−20−6は、次の構造または式:
【0035】
【化3】

を有することができる。
【0036】
1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、CAS No.2549−93−1は、次の構造または式:
【0037】
【化4】

を有することができる。
【0038】
付加的な副生成物としては、3−(アミノメチル)−シクロヘキサンカルボニトリル、CAS No.23083−50−3;4−(アミノメチル)−シクロヘキサンカルボニトリル、CAS No.54898−73−6;3−アザビシクロ[3.3.1]ノナン、CAS No.280−70−6;3−アザビシクロ[3.3.1]ノン−2−エン、CAS No.7129−32−0;7−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−l−メタンアミン;3−(アミノメチル)−シクロヘキサンメタノール、CAS No.925921−54−6;4−(アミノメチル)−シクロヘキサンメタノール、CAS No.1074−62−0を挙げることができる。
【0039】
本発明による脂環式ジアミンを製造するための方法において、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドおよび場合によって1つまたは複数の溶媒は、上記のように、中和された処理供給材料を生成するために処理および中和される。この中和された処理供給材料は、水素およびアンモニアと共に還元的アミノ化反応装置系に導入され、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの存在下で80℃から約160℃の範囲の温度および700から3500psigの範囲の圧力で反応して1つまたは複数の脂環式ジアミンを産する。
【0040】
一実施形態において、この中和された処理供給材料は、アンモニアと最初に接触させ、その後1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドのアンモニアとの反応の生成物を含んでいる生成物の混合物を、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの存在下で水素と接触させる。
【0041】
1つまたは複数の脂肪族ジアミン、場合によって1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドのアンモニアとの反応の生成物の一部、場合によってアンモニアの一部、場合によって水素の一部、場合によって1つまたは複数の副生成物の一部、場合によって水の一部、および場合によって1つまたは複数の溶媒の一部を含んでいる生成物の混合物が、上で記載した1つまたは複数の反応装置系内に形成される。この生成物の混合物は、次に1つまたは複数の反応装置系から除去され、順番に配置されている1つまたは複数の蒸留塔に移される。反応物の混合物が、順番に配置されている1つまたは複数の蒸留塔に移された後、少なくともアンモニアの一部、水素の一部、またはそれらの混合物が、1つまたは複数の蒸留ステップによって生成物の混合物から除去される。その後、場合によって存在する場合は、1つまたは複数の溶媒および/または水の少なくとも一部が、1つまたは複数の蒸留ステップによって除去される。その後、1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドのアンモニアとの反応の生成物または1つまたは複数の副生成物の少なくとも一部が1つまたは複数の蒸留ステップによって除去され、このようにして1つまたは複数の脂肪族ジアミンを該反応物の混合物から分離して1つまたは複数のシアノアルデヒドを1つまたは複数の脂肪族ジアミンに転化する。この蒸留プロセスは、全体として参照により本明細書に組み込まれている米国仮特許出願第61/230,300号にさらに記載されている。
【0042】
本発明による脂環式ジアミンの製造における触媒寿命を改善する方法は、(1)1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、場合によって水および場合によって1つまたは複数の溶媒の混合物を用意するステップであって、前記1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドが、1,3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択されるステップと、(2)前記混合物を、金属炭酸塩に基づく固体床または弱塩基性アニオン交換樹脂床と、15〜40℃の範囲の温度で少なくとも1分間以上接触させるステップと、(3)それによって前記混合物を処理するステップと、(4)前記処理した混合物を中和するステップであって、前記中和した処理混合物が、6〜9の範囲のpHを有するステップと、(5)前記中和した処理混合物、水素、およびアンモニアを、還元的アミノ化反応装置系に供給するステップと、(6)前記中和した処理混合物、水素、およびアンモニアを、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの存在下で80℃から約160℃の範囲の温度および700から3500psigの範囲の圧力で互いに接触させるステップと、(7)それによって1つまたは複数の脂環式ジアミンを生成させるステップであって、前記1つまたは複数の脂環式ジアミンが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、それらの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジアミンであるステップと、(8)それによって脂環式ジアミンの製造における触媒寿命を改善するステップとを含む。
【0043】
本発明により製造されたこの1つまたは複数の脂環式ジアミンは、特定のポリウレタン系における鎖延長剤、またはエポキシ硬化剤としての脂肪族ジイソシアネート(ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)に対する前駆物質として使用することができる。
【実施例】
【0044】
以下の実施例は、この発明を説明するが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0045】
比較例A
反応装置供給材料混合物を、粗製シアノアルデヒドであって、約85〜90重量パーセントのシアノアルデヒドを含む該粗製シアノアルデヒドを、溶媒としてのターシャリーブタノール(t−ブタノール)と組み合わせることによって約22重量パーセントのシアノアルデヒド濃度を与えるように準備した。反応管に6.7gのBASF Co−0179T触媒を仕込み、100グリット(150μm)のSiC(炭化ケイ素)微粉で希釈した。反応器の温度を225℃に上げ、触媒を活性化した。その反応器の温度を14時間にわたって225℃で維持し、その後それを、連続した水素流のもとでのおよそ80℃未満の範囲の温度に下げた。反応器の温度が80℃より下に到達するとすぐに、アンモニアの過剰流(以下に記載されている望ましい設定点の約3〜5倍)をその反応器に導入した。温度と圧力を、次に、望ましい設定点の約100℃と約1000psigに変えた。少なくとも1時間後、アンモニアの反応器中への導入の速度を、0.12mL/分の有機物の供給速度、水素対シアノアルデヒドが7のモル比での2.0mL/g/時間の液時空間速度(LHSV、有機物およびアンモニアが組み合わされた容積での供給速度(供給物mL/触媒g/時間)に基づく)により、約0.11mL/分の望ましい設定点に低下させた。試料を定期的に反応器から取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。流速を、260時間の稼動時間(TOS)で倍にした。図1に示されているように、最初の850時間のTOSの間に、生成物のジアミンに対する収率は下降線をたどり(86.4パーセントから62.0パーセントに)、一方、アミノニトリルの収率は(0.07パーセントから24.5パーセントに)増加した。図1中の2番目の軸は、反応器に仕込まれた触媒1グラム当り生成したBAMC(生成物ジアミン)のグラム数をプロットしている。表1は、稼動時間の関数としての反応器留出液中のppmでのコバルト濃度を記録している。
【0046】
【表1】

【0047】
発明の実施例1
反応装置供給材料混合物を、粗製シアノアルデヒドであって、約85〜90重量パーセントのシアノアルデヒドを含む該粗製シアノアルデヒドを、ターシャリーブタノール(t−ブタノール)と組み合わせることによって約70重量パーセントのシアノアルデヒド濃度を与えるように準備した。その混合物を炭酸ナトリウムの床を通過させた。反応管に7.0gのBASF Co−0179T触媒を仕込み、100グリット(150μm)のSiC(炭化ケイ素)微粉で希釈した。反応器の温度を250℃に上げ、触媒を活性化した。その反応器の温度を14時間にわたって250℃で維持し、その後それを、連続した水素流のもとでのおよそ80℃未満の範囲の温度に下げた。反応器の温度が80℃より下に到達するとすぐに、アンモニアの過剰流(以下に記載されている望ましい設定点の約3〜5倍)をその反応器に導入した。温度と圧力を、次に、望ましい設定点の約100℃と約1400psigに変えた。少なくとも1時間後、アンモニアの反応器中への導入の速度を、0.06mL/分の有機物の供給速度、水素対シアノアルデヒドが5のモル比での2.3mL/g/時間の液時空間速度(LHSV、有機物およびアンモニアが組み合わされた容積での供給速度(供給物mL/触媒g/時間)に基づく)により0.21mL/分の望ましい設定点に低下させた。試料を定期的に反応器から取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。その反応器を100℃で500時間運転した。生成物ジアミン(1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)の収率は、90.3パーセントから78.2パーセントまで低減され、アミノニトリルの収率は、0.06パーセントから11.3パーセントまで増加した。反応器の温度は、ニトリルの水素化を維持するために120℃に上げた。960時間のTOS(120℃)での生成物ジアミンの収率は図2に示されているように79.7パーセントであった。二環式アミン(3−アザビシクロ[3.3.1]ノナン)の収率は、温度と共に増加した。図2中の2番目の軸は、反応器に仕込まれた触媒1グラム当り生成したBAMC(生成物ジアミン)のグラム数をTOSに対してプロットしている。表2は、稼動時間の関数としての反応装置留出液中のppmでのコバルト濃度を記録している。
【0048】
【表2】

【0049】
発明の実施例2
反応装置供給材料混合物を、粗製シアノアルデヒドであって、約85〜90重量パーセントのシアノアルデヒドを含む該粗製シアノアルデヒドを、ターシャリーブタノール(t−ブタノール)と組み合わせることによって約70重量パーセントのシアノアルデヒド濃度を与えるように準備した。その反応装置供給材料混合物を、次に、炭酸ナトリウムの床を通過させた。その供給材料を、炭酸リチウム床を通過させた後、水をその処理した供給材料に加えた。6.5〜7.0のpHを有する供給材料の溶液が得られた。反応管に6.6gのBASF Co−0179T触媒を仕込み、100グリット(150μm)のSiC(炭化ケイ素)微粉で希釈した。反応器の温度を250℃に上げ、触媒を活性化した。その反応器の温度を14時間にわたって250℃で維持し、その後それを、連続した水素流のもとでのおよそ80℃未満の範囲の温度に下げた。反応器の温度が80℃より下に到達するとすぐに、アンモニアの過剰流(以下に記載されている望ましい設定点の約3〜5倍)をその反応器に導入した。温度と圧力を、次に、望ましい設定点の約100℃と約1400psigに変えた。少なくとも1時間後、アンモニアの速度を、0.06mL/分の有機物の供給速度、水素対シアノアルデヒドが6のモル比での2.4mL/g/時間の液時空間速度(LHSV、有機物およびアンモニアが組み合わされた容積での供給速度(供給物mL/触媒g/時間)に基づく)により0.21mL/分の望ましい設定点に低下させた。試料を定期的に反応器から取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。これらの条件を維持した(すなわち、反応器の温度、圧力、または流速に変化無し)。図3に示されているように、800時間の稼動時間(TOS)を通して、生成物ジアミン(1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)の収率は、91.1パーセントから87.4パーセントまで低減され、アミノニトリルの収率は、0.13パーセントから1.51パーセントまで増加した。図3中の2番目の軸は、反応器に仕込まれた触媒1グラム当り生成したBAMC(生成物ジアミン)のグラム数をTOSに対してプロットしている。表3は、稼動時間の関数としての反応装置留出液中のppmでのコバルト濃度を記録している。
【0050】
【表3】

【0051】
発明の実施例3
反応装置供給材料混合物を、粗製シアノアルデヒドであって、約85〜90重量パーセントのシアノアルデヒドを含む該粗製シアノアルデヒドを、ターシャリーブタノール(t−ブタノール)、およびIsonox132、酸化防止剤、と組み合わせることによって約70重量パーセントのシアノアルデヒド濃度を与えるように準備した。その反応装置供給材料混合物を、次に、DOWEX MONOSPHERE66の床を通過させた。その供給材料を、アニオン交換樹脂を通過させた後、6.6のpHが得られた。反応管に5.8gのBASF Co−0179T触媒を仕込み、100グリット(150μm)のSiC(炭化ケイ素)微粉で希釈した。反応器の温度を250℃に上げ、触媒を活性化した。その反応器の温度を15時間にわたって250℃で維持し、その後それを、連続した水素流のもとでのおよそ80℃未満の範囲の温度に下げた。反応器の温度が80℃より下に到達するとすぐに、アンモニアの過剰流(以下に記載されている望ましい設定点の少なくとも3倍)をその反応器に導入した。温度と圧力を、次に、望ましい設定点の約100℃と約1400psigに変えた。少なくとも1時間後、アンモニアの速度を、0.06mL/分の有機物の供給速度、水素対シアノアルデヒドが4のモル比での2.3mL/g/時間の液時空間速度(LHSV、有機物およびアンモニアが組み合わされた容積での供給速度(供給物mL/触媒g/時間)に基づく)により0.17mL/分の望ましい設定点に低下させた。試料を定期的に反応器から取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。これらの条件を維持した(すなわち、反応器の温度、圧力、または流速に変化無し)。図4に示されているように、389時間の稼動時間(TOS)を通して、生成物ジアミン(1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)の収率は、91.5パーセントから86.2パーセントまで低減され、アミノニトリルの収率は、0.2パーセントから1.3パーセントまで増加した。図4中の2番目の軸は、反応器に仕込まれた触媒1グラム当り生成したBAMC(生成物ジアミン)のグラム数をTOSに対してプロットしている。表4は、稼動時間の関数としての反応装置留出液中のppmでのコバルト濃度を記録している。
【0052】
【表4】

【0053】
この発明は、その精神および本質的な特性から逸脱しないその他の形態で具体化することが可能であり、したがって、本発明の範囲を示すものとしては、先の明細書よりはむしろ添付されている特許請求の範囲を参照すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法であって、
1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、場合によって水、および場合によって1つまたは複数の溶媒の混合物を用意するステップであって、前記1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドが、1,3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択されるステップと、
前記混合物を、金属炭酸塩に基づく固体床または弱塩基性アニオン交換樹脂床と、15〜40℃の範囲の温度で少なくとも1分間以上接触させるステップと、
それによって前記混合物を処理するステップと、
前記処理した混合物を中和するステップであって、前記中和した処理混合物が、6〜9の範囲のpHを有するステップと、
前記中和した処理混合物、水素、およびアンモニアを、連続還元的アミノ化反応装置系に供給するステップと、
前記中和した処理混合物、水素、およびアンモニアを、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの存在下で80℃から約160℃の範囲の温度および700から3500psigの範囲の圧力で互いに接触させるステップと、
それによって1つまたは複数の脂環式ジアミンを生成させるステップであって、前記1つまたは複数の脂環式ジアミンが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、それらの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジアミンであるステップと
を含む方法。
【請求項2】
脂肪族シアノアルデヒドの脂肪族ジアミンへの還元的アミノ化のための方法であって、
1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒド、場合によって水、および場合によって1つまたは複数の溶媒の混合物を用意するステップであって、前記1つまたは複数の脂環式シアノアルデヒドが、1,3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,4−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、それらの混合物、およびそれらの組合せからなる群から選択されるステップと、
前記混合物を、金属炭酸塩に基づく固体床または弱塩基性アニオン交換樹脂床と、15〜40℃の範囲の温度で少なくとも1分間以上接触させるステップと、
それによって前記混合物を処理し、前記処理された混合物が、6〜9の範囲のpHを有するステップと、
前記処理された混合物、水素、およびアンモニアを、連続還元的アミノ化反応装置系に供給するステップと、
前記処理された混合物、水素、およびアンモニアを、1つまたは複数の不均一系の金属系触媒システムの存在下で80℃から約160℃の範囲の温度および700から3500psigの範囲の圧力で互いに接触させるステップと、
それによって1つまたは複数の脂環式ジアミンを生成させるステップであって、前記1つまたは複数の脂環式ジアミンが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、それらの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から選択されるジアミンであるステップと
を含む方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法に従って製造された脂環式ジアミン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−500999(P2013−500999A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523095(P2012−523095)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/043932
【国際公開番号】WO2011/014787
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】