説明

脂肪症の、又は肝毒性及びその後遺症の治療及び予防におけるスフィンゴ脂質

本発明は、肝毒性影響、例えば肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変の予防及び/又は治療のための食品、食品サプリメント及び/又は医薬品の調製のためにスフィンゴ脂質を使用する方法に関する。特に、本発明は、肝毒性影響、例えば肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変の予防及び/又は治療のための医薬品の製造のために、一般式(I)
【化1】


(ここで、
Zが、R又は−CH(OH)−Rであり;
Aが、サルフェート、サルフォネート、フォスフェート、フォスフォネート又は−C(O)O−であり;
が、水素、水酸基、アルジトール、グリコシル、アルコール、C−Cアルキル又はアミノ酸であり;
が、水素、又は不飽和若しくは飽和(C−C30)アルキル鎖であり;
が、不飽和又は飽和(C−C30)アルキル鎖であり;
が、第一級アミン基(−NH)、第二級アミン基(−NH−)又はアミド基(−NH−CO−)であり;及び
tが、0又は1である)を有するスフィンゴ脂質又はその医薬的に許容される塩を使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪症、並びにコレステロール及びトリグリセリドの高められた血液レベル、医薬品及びウィルス感染の肝毒性影響の治療及び予防のための調製物に関する。特に本発明は、肝臓の障害、例えば肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変の予防及び/又は治療のための食品又は医薬品の調製のために、スフィンゴ脂質、より好ましくはフィトスフィンゴシン、スフィンゴシン、スフィンガニン、セラミド、グリコシルセラミド及び/又はスフィンゴミエリンを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓は、体において脂肪の代謝に重要な役割を果たす。胆汁液の生産を介して、肝臓は、脂肪の分解に積極的に関与する。さらに、肝臓は、脂肪を取り込み、そして分解することができ及び脂肪、例えばトリグリセリド及びコレステロールのデ ノボ(de novo)生産に関与する。肝臓における脂肪代謝の障害の場合、脂肪は、肝細胞中に蓄積しうる。肝臓における脂質のこの過度の蓄積又は貯蔵は、肝脂肪症(hepatic steatosis)又は肝臓の脂肪症(liver steatosis)と呼ばれる。過剰脂質の単純な貯蔵から、肝脂肪症は、おそらく酸化的ストレス及び脂質過酸化反応により、脂肪肝炎、すなわち炎症性の肝臓脂質貯蔵に進行しうる。最終的に、これは、肝細胞性損傷、進行性の肝繊維症(瘢痕化)及び肝硬変、及び最後に肝不全をもたらすだろう。肝脂肪症は、血液中の肝分泌生産物を検査することによって、肝臓の超音波検査によって、画像技術、例えばMRI及びCTスキャンによって、又は肝穿刺を行なうことによって診断されうる。肝毒性化合物及びウィルス感染は、脂肪症、そして最終的に肝臓の脂質代謝を妨害することによって肝硬変をもたらすだろう。
【0003】
肝細胞のトリグリセリド含量は、肝臓のトリグリセリド取り込み、脂肪酸合成、そして1つの手へのエステル化(「入力」)並びに肝臓の脂肪酸酸化及び他の手へのトリグリセリドエクスポート(「出力」)を容易にする細胞性分子の統合的な活性によって調節される。「入力」が「出力」についての能力を超過する場合に、脂肪症が生じる。肝臓は、臓器間脂肪酸/トリグリセリド・パーテショニング(partitioning)の統合(orchestration)において他の臓器と協力して作用する。肝臓及び脂肪組織のための中心的な役割とともに、特に吸収後段階において、種々の臓器間の酸化されていない脂肪酸の連続的なサイクリング及び再分配、がある。
【0004】
従って、肝臓トリグリセリド含量の量は定められないが、栄養条件によって、さもなければ正常な肝臓において容易に調節されうる。さらに、本質的に正常な肝臓はまた、臓器間トリグリセリド/遊離脂肪酸パーテショニング及びトリグリセリド/遊離脂肪酸代謝の両方を含む代謝的且つ内分泌的相互作用により脂肪症を進展しうる。肝脂肪症についての追加の肝臓原因の次に、脂肪症を誘発する幾つかの肝内機構が存在する。脂肪酸の増加されたデ ノボ(de novo)肝合成、そして引き続きトリグリセリドへのエステル化はまた、脂肪症の重要な原因でありうる。
【0005】
肝脂肪症はしばしば、過去において、アルコール中毒の結果としてもっぱら考えられた。しかしながら、肝脂肪症は現在、はるかに広い発生であると知られている。例えば、肝脂肪症はしばしば、体幹肥満、2型糖尿病、トリグリセリド過剰血症及び所謂メタボリックシンドローム又はシンドロームXの他の特徴を有する個体において診断されうる。また、C型肝炎ウィルスでの慢性感染症及び多くの医薬品は、肝臓に対する毒性影響及び肝脂肪症を例のごとく生じる。ヒトにおける疫学的研究は、内臓肥満と心血管危険因子との間の関連性、例えば異常脂質血症(dyslipidaemia)、インスリン抵抗性及び2型糖尿病を証明した。最近、注目は、このメタボリックシンドロームの一環として肝臓内のトリグリセリド(TG)の過剰蓄積に焦点を合わされてきた。肝臓における脂肪蓄積は、標準体重及びほどほどの太りすぎの対象においてでさえインスリン抵抗性の幾つかの特徴に関連付けられるように見える。それにもかかわらず、ヒトにおけるこれらの観察から、どの程度まで肝脂肪症がメタボリックシンドロームの結果というよりはむしろ原因であるかは不明なままである。それ故に、肝脂肪症は、疾病の観点において良性であり、それ自信無害であると見なされるべきであるという見識は変更されるべきである。むしろ、それは進展した肝臓病にしばしば進行する病前的な状態と見なされうる。血液中の肝酵素 アラニンアミノトランスフェラーゼ(ヒトにおいてALT及びマウスにおいてALATと省略される)濃度は、肝毒性化合物によって生じる肝障害の初期段階及び脂肪症の進展を監視するために使用される。それ故に、低いALTは健康とみなされうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ほぼ1000個の薬剤が肝毒性を生じると認識されており、並びに薬物誘発性肝臓毒性は、ほぼ15〜25%の劇症肝炎事例及び米国での年間ほぼ2000件の死の原因である[H.J. Zimmerman, The spectrum of hepatotoxicity, in: Hepatotoxixity: The Adverse Effects of Drugs and other Chemicals on the Liver, second ed., Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 1999年, 第3〜11頁]。それ故に、脂肪症をもたらす、医薬品、ウィルス感染並びに高コレステロール及びトリグリセリド濃度の肝毒性影響の予防及び/又は治療のための及びそのより有害な結果を防ぐための医薬品又は食品についての必要性が現在あり、特に肝線維症及び肝硬変の予防及び/又は治療のための医薬品又は食品が追求される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
それに関連して、本発明者等は、スフィンゴ脂質を含む食品及び臨床的に安全な医薬品が脂肪症の進展を予防するために、及び/又は脂肪症の重篤度を緩和するために、並びに医薬品及びウィルス感染の肝毒性影響を緩和するために、非常に適切に使用されうることを見つけた。その結果、スフィンゴ脂質を含む食品及び臨床的に安全な医薬品が、肝機能に対する有害な影響のより有害な結果、特に脂肪症の発生を予防するために適切に使用されうる。この能力により、スフィンゴ脂質を含む食品及び医薬品は、肝障害、例えば肝脂肪症、並びにそれから直接的に生じる疾患、例えば肝繊維症及び肝硬変の予防及び/又は治療のために本発明に従い使用されうる。危険な状態にある患者、例えば2型糖尿病患者の幾つかのグループにおいて、脂肪症がまた、心筋において又は他の筋肉において生じることができ、それ故に、スフィンゴ脂質を含む組成物はまた、脂肪症のこれらの形態を予防し及び/又は治療するために使用されうる。好ましくは、肝脂肪症が予防され及び/又は治療される。
【0008】
一つの観点において、本発明は、肝脂肪症及び/又はそれから直接的に生じる疾患、例えば(脂肪症誘発)線維症及び(脂肪症誘発)肝硬変を、より好ましくは肝脂肪症それ自身を予防し及び/又は治療するための医薬品の製造のために、一般式(I)
【化1】

(ここで、
Zが、R又は−CH(OH)−Rであり;
Aが、サルフェート、サルフォネート、フォスフェート、フォスフォネート又は−C(O)O−であり;
が、水素、水酸基、アルジトール、グリコシル、アルコール、C−Cアルキル又はアミノ酸であり;
が、水素、又は不飽和若しくは飽和(C−C30)アルキル鎖であり;
が、不飽和又は飽和(C−C30)アルキル鎖であり;
が、第一級アミン基(−NH)、第二級アミン基(−NH−)又はアミド基(−NH−CO−)、好ましくは第二級アミン基であり;及びtが、0又は1である)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩を使用する方法を今提供する。
【0009】
前記使用の好ましい実施態様では、前記スフィンゴ脂質は、式(I)(ここで、Rが、水素、水酸基、アルジトール、アルコール、C−Cアルキル、アミノ酸又はアセスルファム、アロース、アルトロース、アラビノース、エリトロース、フルクトース、フコース、ガラクトース、グロース、イドース、イソマルトース、ラクトース、リキソース、マルトース、マンノース、メレチトース、プシコース、ラフィノース、ラムノース、リボース、サッカロース、ソルボース、スタキオース、スクロース、タガトース、タロース、トレオース、トレハロース、ツラノース、キシロース及びキシルロースからなる群から選択されるグリコシルである)に従うスフィンゴ脂質である。
【0010】
前記使用の他の実施態様では、前記スフィンゴ脂質は、式(I)(ここで、Rが、水素、水酸基、アルジトール、アルコール、C−Cアルキル又はアミノ酸である)に従うスフィンゴ脂質である。
【0011】
前記使用のさらに他の実施態様では、前記スフィンゴ脂質は、式(I)(ここで、Q-Rが第一級アミン基である場合に、Rが水素であり、Aが、サルフェート、サルフォネート、−C(O)O−及びフォスフォネートから選択される)に従うスフィンゴ脂質である。
【0012】
前記使用のさらに他の実施態様では、前記スフィンゴ脂質は、式(I)(ここで、Rが、水素、水酸基、アルジトール、アルコール、C−Cアルキル又はアミノ酸である)に従うスフィンゴ脂質である。
【0013】
前記使用の他の実施態様では、前記スフィンゴ脂質は、式(II)
【化2】

(ここで、
Zが、R又はCH(OH)−Rであり、及びRが、不飽和又は飽和(C−C30)アルキル鎖である)に従うスフィンゴ脂質である。
【0014】
前記使用のなおさらに好ましい実施態様では、前記スフィンゴ脂質は、式(III)
【化3】

(ここで、
Zが、R又はCH(OH)−R、好ましくはRであり、Rが、不飽和又は飽和(C−C30)アルキル鎖であり、好ましくはRが不飽和(C−C30)アルキル鎖であり;
が、第一級アミン基(−NH)、第二級アミン基(−NH−)又はアミド基(−NH−CO−)、好ましくはアミン基であり、及び
が、水素、又は不飽和若しくは飽和(C−C30)アルキル鎖である)に従うスフィンゴ脂質である。
【0015】
非常に好ましい実施態様では、前記スフィンゴ脂質は式(II)に従うスフィンゴ脂質であり、本発明の観点における使用のためのスフィンゴ脂質は、フィトスフィンゴシン、スフィンガニン又はスフィンゴシンであり、及びなおより好ましい実施態様では、前記スフィンゴ脂質はフィトスフィンゴシンである。
【0016】
他の非常に好ましい実施態様では、前記スフィンゴ脂質は、式(IV)
【化4】

(ここで、
Z、Q及びRが、上に定義された通りであり、及び
が、水素、水酸基、アルジトール、グリコシル、アルコール、C−Cアルキル又はアミノ酸から選択され、但しRが水素である場合、Q-Rは第一級アミン基でない)に従うスフィンゴ脂質である。水酸基、アルジトール、アルコール、C−Cアルキル又はアミノ酸は例えば、上記Rについて名を挙げられたそれら化合物でありうる。Rがグリコシルの場合、それは、アセスルファム、アロース、アルトロース、アラビノース、エリトロース、フルクトース、フコース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、イソマルトース、ラクトース、リキソース、マルトース、マンノース、メレチトース、プシコース、ラフィノース、ラムノース、リボース、サッカロース、ソルボース、スタキオース、スクロース、タガトース、タロース、トレオース、トレハロース、ツラノース、キシロース及びキシルロース並びに他のモノ−、ジ−,又はポリサッカライドからなる残基の群から選択されうる)に従うスフィンゴ脂質である。
【0017】
本発明はまた、肝保護剤、脂肪症予防剤、好ましくは肝脂肪症予防剤として、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質又は前駆体若しくは誘導体の使用を提供する。そのような剤は、その趣旨で食品及び医薬組成物において非常に適切に使用されうる。従って、本発明は、肝保護剤として、及び特に脂肪症、好ましくは肝臓の脂肪症の管理のための抗脂肪症剤として本明細書において定義されたスフィンゴ脂質の使用を提供する。本発明はまた、肝線維症の管理のための抗線維症剤として、及び一般に肝保護のための有効な剤として又は肝臓保護剤として本明細書において定義されたスフィンゴ脂質の使用を提供する。そのような保護効果は、肝臓に対するHIV阻害剤及び他の医薬品の脂肪症の副作用に対する保護を含む。肝保護効果はまた例えば、(過剰の)アルコール消費、ウィルス感染及び肝毒性医薬品の使用の結果としての肝障害に対する保護を含む。事実、本発明に従う肝保護性効果は、脂肪症の何らかの特定の原因に制限されない。それ故に、一般に、基礎となる機構を形成する並びに脂肪の蓄積及び脂肪症の進展を結局のところ生じる代謝不均衡又は他の細胞性疾患がまた、本発明に従う使用及び方法によって予防及び/又は治療されうることは注目されるべきである。本明細書において提供される該使用は、医学的又は非医学的使用の両方を含む。幾つかの例では、例えば食品において及び食品処方において、非医学的用途が好ましい。その場合、該使用は、肝脂肪症を予防する効果を含む肝保護効果の非医学的な食事の使用に向けられる。非常に適切な使用は、非処方的な食品又は栄養補助食品としての使用を含む。
【0018】
他の観点では、本発明は、対象における肝毒性影響及び脂肪症、好ましくは肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変を予防することができる食品又は食品サプリメントの製造のために、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体若しくは誘導体の使用に関する。
【0019】
他の観点では、健康な対象において、肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変の発生を予防する方法であって、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩の強化されたレベルを有する食事を前記対象に与えることを含む方法を提供する。典型的に、そのような食事は、本明細書において定義された、肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変を予防することができる食品又は食品サプリメントを含みうる。
【0020】
他の観点では、本発明は、健康な対象において、肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変を予防する方法であって、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩の強化されたレベルを有する食事を前記対象に与えることを含む方法を提供する。
【0021】
肝脂肪症が危険な状態にある対象において徐々に進展しうる疾病状態であるので、肝脂肪症を進展することの危険並びに肝繊維症及び肝硬変へのその進行は、医学的に当業者でない者によって危険な状態にある対象に非処方医薬品、食品又は食品サプリメントを投与することによって減少されうる。本発明の多くの食品及び食品サプリメント(栄養補助食品を含む)は、健康食品店又は薬局において店頭販売で購入されうる。そういうものとして、1つの好ましい実施態様では、本発明は、非医学的な方法として、危険な状態にある対象において、医薬品、ウィルス感染の肝毒性影響、肝臓の脂肪症、繊維症及び/又は肝硬変を予防する方法に関する。もちろん、そのような予防する方法は代替的に、健康な対象において、肝臓の脂肪症、繊維症及び/又は肝硬変の発生を予防する方法であって、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩並びに医薬的に許容される担体及び任意的に1以上の賦形剤を含む医薬組成物の治療的に有効な量を前記対象に投与することを含む方法を含みうる。
【0022】
本発明の医薬品、医薬組成物及び調製品は好ましくは、経口投与用である。
【0023】
さらに他の観点では、本発明は、肝臓の脂肪症、繊維症及び/又は肝硬変を含む肝障害を病む対象を治療する方法であって、前記方法は治療的に有効な量の医薬組成物を治療を必要とする対象に投与することを含み、前記組成物が式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩及び医薬的に許容される担体、任意的に1以上の賦形剤並びに任意的に1以上の他の医薬的に活性な成分又は医薬品を含むところの方法を提供する。
【0024】
さらに他の観点では、本発明は、肝臓の脂肪症、繊維症及び/又は肝硬変を含む肝障害の予防及び/又は治療のために、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体若しくは誘導体の強化されたレベルを有する食品を使用する方法を提供する。
【0025】
予防及び治療の前記記載された方法のいずれかにおいて、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体若しくは誘導体の強化されたレベルを有する食品(食品サプリメント及び栄養補助食品を含む)の使用が、本発明において企図される。
【0026】
本発明はさらに、肝臓の脂肪症、繊維症及び/又は肝硬変の予防及び/又は治療のために、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体若しくは誘導体若しくは医薬的に許容される塩並びに医薬的に許容される担体及び任意的に1以上の賦形剤を含む医薬組成物を使用する方法に関する。
【0027】
本発明はさらに、上記に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩と、肝臓に有害である又は肝毒性として認識されている又は薬物誘発肝毒性をもたらす医薬品との組み合わされた調製品に関する。
【0028】
本発明はさらに、医薬組成物であって、前記組成物は式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩、並びに肝臓に有害である又は肝毒性として認識されている又は薬物誘発肝毒性をもたらす少なくとも一つの医薬品を含み、前記組成物は肝疾病の予防及び/又は阻害において、好ましくは脂肪症及び/又はそれから直接的に生じる疾患の予防及び/又は阻害において、同時に、個別に又は逐次的使用のために組み合わされた調製品の形を有する医薬組成物に関する。好ましくは、前記脂肪症は肝脂肪症であり、及び前記それから直接的に生じる疾患は肝線維症及び/又は肝硬変である。
【0029】
本発明はさらに、治療において、同時に、個別に又は逐次的に使用するための、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩と、肝臓に有害である又は肝毒性として認識されている又は薬物誘発肝毒性をもたらす医薬品との組み合わされた調製品に関する。
【0030】
本発明はさらに、肝障害の予防及び/又は阻害において、好ましくは、脂肪症及び/又はそれから直接的に生じる疾患の予防及び/又は阻害のために、同時に、個別に又は逐次的に使用するための組み合わされた医薬調製品の製造のために、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩、並びに肝臓に有害である又は肝毒性として認識されている又は薬物誘発肝毒性をもたらす医薬品を使用する方法に関する。好ましくは、前記脂肪症は肝脂肪症であり、及び前記それから直接的に生じる疾患は肝線維症及び/又は肝硬変である。
【0031】
図面の簡単な説明
図1は、実施例2に記載されたように、高脂肪高コレステロール食餌を給餌された対照グループ動物の肝臓(左)及び1%フィトスフィンゴシンを補われた同じ食餌を給餌された処置グループの動物の肝臓(右)を示す。2つの肝臓間の色における顕著な違いは左の肝臓において肝脂肪症を示すことに注意せよ。
【0032】
図2は、高脂肪高コレステロール食餌を給餌された対照グループ動物の肝細胞における脂肪蓄積の顕微鏡画像(ヘマトキシリン-フロキシン-サフラン-染色されたパラフィン切片(A)を示す。図2Bは、実施例2に記載されたように、1%フィトスフィンゴシンを補われた同じ食餌を給餌されたグループからの動物の肝臓におけるそのような脂肪蓄積の不存在を示す。
【0033】
図3は、実施例1に記載されたように、実験完了後のマウスの肝臓重量を示す。
【0034】
図4は、実施例2に記載されたように、食餌W(対照)又は1%フィトスフィンゴシンを補われた食餌W(PS)で4週間給餌され、断食の4時間後のマウスの肝臓における脂質(FC,(肝臓)遊離コレステロール;TG,(肝臓)トリグリセリド;CE,(肝臓)コレステリルエステル)の量を示す。
【0035】
図5は、実施例2に記載されたように、APOE*3Leidenマウスにおける血漿コレステロール(C)及びTGのレベルに対するスフィンゴ脂質の効果を示す。
【0036】
図6は、血漿リポタンパク質のFPLC分離後のコレステロール(A)及びトリグリセリド(B)を示す。対照西洋型食餌(開いた円)又は1%(重量/重量)PSを補われたこの食餌(閉じた円)を5週間給餌され、4時間断食されたAPOE*3Leidenマウスのプールされた血漿が使用された。分離後、コレステロール及びトリグリセリドが個々の画分において決定された。示されたデータは、これらの食餌の使用後に実行された全FPLC分離の典型である。
【0037】
図7は、VLDL様エマルジョン粒子のイン ビボ(in vivo)クリアランスを示す。1%PS含有西洋型食餌(閉じた円)又は対照西洋型食餌(開いた円)の5週間後に、給餌されたマウスが[3H]トリオレイン及び[14C]オレイン酸コレステリルを含むVLDL様エマルジョン粒子で注射された。時間をかけて、血漿(A,B)及び肝臓(C,D)サンプルが、放射能を決定するために採取された。示されたデータは、平均±SD(標準偏差)である。*p<0.05。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
定義
本明細書において使用される場合、「肝毒性」は、肝臓の障害のある機能をもたらす何らかの内部的な又は外部的な影響を記述し、それは酵素ALTの活性の増加によって主に特徴付けられる。この肝毒性は、医薬品によって、ウィルス感染(肝線維症)によって、及び肝臓における脂肪蓄積の有害な影響によって引き起こされることができ、それは語「脂肪症」によって一般的に示される。
【0039】
本明細書において使用される場合、語「脂肪症」は、脂肪が、組織、例えば肝組織、心筋組織又は他の筋組織中に蓄積する状態をいう。語「脂肪症」は、何らかの代謝的な状態又は疾患と何らかの原因となる関係を意味しない。
【0040】
本明細書において使用される場合、語「脂肪症から直接的に生じる肝障害」は、組織的変性、炎症及び肝臓の癌を一般的に含み、特に脂肪肝炎、肝腫脹、肝硬変、肝線維症、肝細胞障害、肝炎症、肝細胞壊死、ドナー肝臓の場合における肝不全又は移植失敗、及び肝癌のような症候群を含む。
【0041】
語「脂肪症の発生を予防し及び/又は治療する」及び等価な語「脂肪症の予防及び/又は治療」は、脂肪症、例えば肝臓及び心筋の組織中、特に肝細胞中のトリグリセリド代謝における乱れた代謝的及び内分泌的相互作用の直接の内在的な代謝的原因、及び代謝的疾患 非アルコール性脂肪肝疾病(NAFLD)及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の予防及び/又は治療を含む使用及び方法をいう。
【0042】
以前に述べたように、語「肝脂肪症」は、脂肪が肝臓中に蓄積する状態をいう。本明細書において使用される場合、語「肝脂肪症」は、何らかの代謝的な状態又は疾患と何らかの原因となる関係を意味しない。
【0043】
本明細書において使用される場合、語「肝繊維症」は、その従来技術で認識された意味において使用され、且つ肝臓の組織への連続的な損傷に応答して開始される臨床的に暗黙の「創傷治癒」工程をいう。全体的に、主な原因は、代謝疾患NAFLD/NASHと一緒に、B型慢性肝炎ウィルス(HBV)及びC型肝炎ウィルス(HCV)感染である。現在まで、繊維症の管理のための認可された抗繊維症剤はない。治療は、HBV/HCVのための抗ウィルス剤の使用及び代謝疾患のためのライフスタイルの変化のような基礎となる条件へ対処することに、より集中されている。慢性肝疾患(CLD)は、しばしば臨床症状を全く無しに、長期間に渡り障害を引き起こし、早期診断及び治療を非常に困難にする。該疾病は、幾つかの別個の段階から成る経路に続く。肝炎として知られている初期肝炎は、感染性及び非感染性起源の両方の様々な損傷によって引き起こされうる。6ヶ月よりも長期で保持される肝炎は、CLDへの進行を特徴付けし、その間、該肝臓は創傷治癒に類似する瘢痕化工程を開始する。肝繊維症として知られているこの工程は、肝臓における病的な線維組織の合成及び蓄積によって特徴付けられる。繊維症の更なる悪化は、肝機能の付随する障害での肝臓の正常な構成の変更にある肝硬変をもたらす。結局、冒された患者は、劇症肝炎に進行する或いは肝細胞癌(HCC)として知られている肝臓癌の特別の形を進展するのいずれかである。
【0044】
本明細書において使用される場合、語「肝硬変」は、その従来技術で認識された意味において使用され、且つ正常な肝細胞が障害を受け、そして瘢痕組織によって置き換えられ、正常な肝臓の組織の量を減少する肝臓の慢性病の一群をいう。瘢痕組織による正常な肝臓構造のひずみは、肝臓を介する血液の流れを妨げる。それはまた、正常な肝臓組織の損失を介して、その非常に重要な機能のうちの幾つか実行するために、肝臓の機能不全をもたらす肝臓の機能にハンディキャップをつける。肝硬変では、正常な微小循環、全体の血管解剖及び肝臓のアーキテクチャは、再生された又は再生する実質性結節を囲む線維中隔で不定に壊され且つ変更された。
【0045】
本明細書で使用される場合、語「スフィンゴ脂質」は、この特定の脂質又は脂質様グループの化合物一般に受け入れられた語を含むが、別な方法で明示的に記載されない限り、それは本発明の式(I)、(II)及び(III)に従う化合物、それらの類似体又は誘導体又は医薬的に許容される塩(すなわち所謂、前駆体化合物を含む)を含む群単独若しくは組み合わせを指すために特に使用される。本発明の観点において使用されるスフィンゴ脂質、錯体でない、結合されていない形で、すなわち他の(生体)分子に共有的に結合されてない遊離形で使用される。
【0046】
語「高められた量(elevated amount)」(又は「増加された量」)は、自然における若しくはヒトの介在の無い組成物における成分の量よりもより高い(従って自然に生じる量も多い量)組成物における成分の量に関する。成分の高められた量は、該成分を通常含んでいない組成物への成分の添加によって、すなわち前記化合物での組成物の富化(enrichment)によってもたらされうる。成分の高められた量はまた、前記成分を既に含む組成物への成分の添加によりもたらされうるが、組成物は、該成分が添加される場合、通常又は天然に生じない成分濃度を有する。また、これは、該成分での該組成物の富化と呼ばれる。
【0047】
種々の食品におけるスフィンゴ脂質(例えば、フィトスフィゴシン、スフィンゴシン、スフィンガニン、スフィンゴミエリン、セラミド、グリコシルセラミド及びリソスフィンゴミエリン)の量における多様性の故に、本発明に従う「高められた量」として示されるだろう量について一般的な値を与えることができない。例えば、ジャガイモ中のスフィンゴミエリンの少量は、「高められた量」と容易に呼ばれるだろう。なぜならば、ジャガイモそれ自身は、スフィンゴミエリンをほとんど含んでいないからである。比較的高い濃度のスフィンゴミエリンを通常含む乳における同じ量は、「高められた量」の呼び方を生じないだろう。
【0048】
語「医薬化合物」、「(医薬的に)活性な化合物」、「(医薬的に)活性な物質」、「治療剤」、「医薬剤」、「医薬品」、及び「薬物」は、本明細書において交換的に使用される。
【0049】
本明細書で使用される場合、語「治療的に有効な量」は、疾病若しくは状態を治療し、改善し若しくは予防するための、又は検出可能な治療的若しくは予防的効果を示すための治療剤の量をいう。対象のために必要とされる正確な有効な量は、対象のサイズ及び健康、状態の性質及び範囲、並びに投与のために選択された治療又は治療の組み合わせに依存するだろう。従って、正確な有効な量を前もって特定することは有用でない。しかしながら、与えられた状況についての有効な量が、ルーチン実験によって決定されうる。
【0050】
「誘導体」、「類似物(analog)」又は「類似物質(analogue)」は、(生)化学変性(例えば、有機化学的又は酵素的)に付されている式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質として本明細書において定義される。誘導体化は、スフィンゴ脂質への或る化学基の置換を含んでよく、それによって化合物のスフィンゴ脂質特徴を維持する。そのような誘導体化は、従来技術で知られている。誘導体及び類似物質は、天然のスフィンゴ脂質の生物学的活性を維持して、同様の様式で作用するが、該分子に有利点、例えば、より長い半減期、分解に対する抵抗性、又は増加された活性を提供してよい。フィトスフィゴシンの非常に適切な誘導体は、例えばテトラアセチルフィトスフィンゴシン(TAPS、以下を参照)である。例えば身体中での、誘導体の加水分解後、転化された化合物がその肝臓治癒効果を発揮するだろう故に、そのような誘導体は、本発明の実施態様において適切に使用されうる。
【0051】
「医薬的に許容される塩」は、スフィンゴ脂質の望ましい生物学的活性が維持され且つ最小の望ましくない毒物学的効果を示すところの塩として本明細書において定義される。そのような塩の制限されない例は、(A)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素、硫酸、リン酸、硝酸など)を用いて形成された酸添加塩、及び有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸など)を用いて形成された塩;(B)金属陽イオン(例えば、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなど)を用いて、又はアンモニアから形成された陽イオン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、D−グルコサミン、テトラエチルアンモニウム又はエチレンジアミンを用いて形成された塩基添加塩;又は(C)(A)及び(B)の組み合わせ、例えば亜鉛タンネートなどである。塩形態はより可溶性であり、従ってスフィンゴ脂質のバイオアベイラビリティを高める故に、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質の医薬的に許容される塩、例えばアンモニウム塩又は塩化物塩の使用が好ましい。好ましくは、塩化水素の塩が使用される。医薬的に許容される塩の使用は医薬調製物に制限されないが、食品又は食品サプリメントにおける使用を含む。
【0052】
「前駆体」は、類似の、より少ない又はゼロの活性を有し、例えば消化管又は体内の他の消化システムによって活性な化合物に転化されうるところの活性な化合物の誘導体として本明細書において定義される。そのような前駆体は、活性な分子の化学的又は酵素的修飾によって得られうる。
【0053】
本明細書において使用される場合、「対象」とは、例えばヒト、非ヒト霊長類、マウス、ブタ、ウシ、ヤギ、ネコ、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター、ウマ、サル、ヒツジ、又は他の非ヒト哺乳動物を含む哺乳動物;及び例えば非哺乳動物の脊椎動物、例えば、鳥(例えば、ニワトリ若しくはアヒル)又は魚を含む非哺乳動物の動物、並びに無脊椎動物を含むがこれらに制限されない。
【0054】
スフィンゴ脂質は、その幾つかが低濃度で食品中に生じ且つ植物、動物及びヒトの細胞の小さいしかし重要な成分を形成するところの脂質である。幾つかのスフィンゴ脂質がヒト及び動物の身体中に自然に生じる故に、それらは、食品及び食品化合物への添加について又は医薬剤として容易に許容されるだろう。
【0055】
スフィンゴ脂質は一般に、分子の中央基または「バックボーン」として長いスフィンゴイド・ベース(スフィンゴシン、スフィンガニン、フィトスフィンゴシン又は関連する化合物)から構築され(なかんずく、Karlsson、1970年、Chem. Phys. Lipids、第5巻:第6〜43頁を参照)、それは、アミド結合された長鎖脂肪酸及び頭部基を含みうる。種々の頭部基(例えば、コリンフォスフェート、グルコース、ガラクトース、多糖)を有する並びに種々の脂肪酸及びスフィンゴイド・ベースを有するスフィンゴ脂質の何百の種々の分子種がある(なかんずく、Merrill & Sweeley、1996年、New Comprehensive Biochemistry:Biochemistry of Lipids, Lipoproteins, and Membranes, (Vance, D.E.& Vance, J. E. 編集)、第309〜338頁、Elsevier Science、アムステルダムを参照)。
【0056】
スフィンゴシン及びスフィンガニンのような最も単純なスフィンゴ脂質が、非常に低濃度で食品中に通常生じる。スフィンゴ脂質の最も豊富な出所は、乳製品、大豆、卵、肉(魚肉、貝肉、及び海洋無脊椎動物例えばヒトデの肉を含む)である。食品において最も豊富なスフィンゴ脂質は、スフィンゴミエリン(乳及び卵)並びにセラミド(肉)である。全乳は、主にスフィンゴミエリを含むだけでなく、グリコシルセラミド、ラクトシルセラミド及びガングリオシドをも含む。ジャガイモ、りんご、トマト、ほうれん草、コショウ及び米が特に、低濃度でグリコシルセラミドを含む(例えば、Stryer L., 1988年、Biochemistry、第287頁[W. H. Freeman and Co., ニューヨーク州、米国]、及びRyu J等、2003年.Arch Pharm Res. Feb;第26(2)巻:第138〜42頁;Kawatake S等、2002年、Chem Pharm Bull (東京);第50(8)巻:第1091〜6頁を参照)。
【0057】
スフィンゴシン及びスフィンゴシン類似物がヒト及び動物の腫瘍細胞の成長及び転移を阻害することが知られている(例えば、欧州公開特許EP 0,381,514号公報を参照)。ラットの食餌へのスフィンゴミエリンの投与が、悪性の、化学的に誘導された結腸癌の発生の機会を有意に減少しうることがまた知られている。
【0058】
スフィンゴ脂質はまた、大気汚染の不利な影響に対して皮膚及び/又は髪を防止するために、医薬組成物において使用される(例えば、米国特許US 5,869,034号明細書を参照)。
【0059】
例えばStaphylococcus aureus、Candida albicans及びPropionibacterium acnesのような細菌に対する皮膚の成分としてのスフィンゴシンの抗菌作用が、皮膚病学(Bibel等、1992年、J. Invest. Dermatol.、第98(3)巻:第269〜73頁;Bibel等、1995年、Clin Exp Dermatol、第20(5)巻:第395〜400頁)で知られ、そしてスフィンゴシンを含む局所軟膏の適用がそれに記載されている。
【0060】
国際公開WO00/50574号パンフレットは、血清コレステロールを調節するための既知の血清コレステロール阻害剤、例えばフラバスチタチン、シンバスタチン、ロバスタチンに(リンクされた)関連付けられたSREBP-Iのエフェクターを含む抗脂血症薬の使用を記載する。スフィンゴミエリン及びセラミドが、適切なエフェクターとして記載されている。しかしながら、遊離形におけるスフィンゴミエリン又はセラミドの抗脂肪症影響は記載されていない。
【0061】
米国公開特許第2002/0182250号公報は、タンパク質/リン脂質複合体を含む脂質代謝改善剤であって、該リン脂質が脂肪肝を含む様々な疾病の治療又は予防において使用するためにタンパク質(加水分解物)に結び付けられる剤を記載する。スフィンゴミエリンは、リン脂質の中で言及される。しかしながら、該剤の成分のどれが何らかの要求される効果について責任があるのかについて記載されていず、及び遊離リン脂質の抗脂肪症効果が記載されていない。
【0062】
米国公開特許第2004/0171557号公報は、C57bIマウス中の肝脂肪含量がグルコセレブロシドの腹腔内注射によって減少されうることを記載する。しかしながら、スフィンゴ脂質の経口投与は、該公報に記載されていない。
【0063】
国際公開WO03/011873号パンフレットは、多種多様の疾患を治療するために、海の若しくは水生の甲殻類、又は動物性プランクトンのリン脂質含有抽出物の使用を記載する。疾患間に、肝臓病、脂肪症及び肝繊維症が示される。しかしながら、抽出物の多くの種々の成分のどれが何らかの要求される効果について責任があるのかについて、この先行技術に記載されていない。
【0064】
欧州公開特許EP1 452 181号公報は、様々な疾病の恐れがある中間代謝物、例えばグルコシルセラミドの適用性を記載する。肝臓の疾病は述べられていない。
【0065】
Kim等(Phytotherapy Res. (2000年) 第14巻:第448-451頁)は、潜在的な肝保護剤として、枸杞(Lycium chinense)から単離されたセレブロシドLCC(1-O-(β-D-グルコピラノシル)-(2S,3R,4E,8Z)-2-N-パルミチルオクタデカスフィンガ-4,8-ジエン)を記載する。この仮定の根拠は、ガラクトサミンで害された原発性ラット肝細胞からのGPT及びSDHの培地内への遊離を減少するための、該化合物の観測された能力である。脂肪症の、すなわち全有機体の肝臓における過剰な脂肪蓄積の治療及び予防における適切な使用は記載されてない。
【0066】
本発明者等は、そのようなスフィンゴ脂質が例えば食品、食品サプリメント又は医薬品として対象に投与される場合、該スフィンゴ脂質が、高められた血漿コレステロール及びトリグリセリド濃度、ウィルス感染及び医薬品によって生じような肝毒性影響(血漿における高められたALAT及びSAAレベルによって示される)、及び肝脂肪症の進展を予防するために、及び/又は対象における肝毒性影響、例えば肝脂肪症の重篤性を緩和するために有効に使用されうることを今見出した。対象における肝毒性、肝脂肪症の進展を予防するための及び/又は肝脂肪症の重篤性を緩和するためのそれらの能力故に、本発明の食品及び医薬品はまた、前記肝脂肪症から生じる肝線維症及び前記肝線維症から生じる肝硬変の治療及び予防において使用されうる。初頭効果として、脂肪症(脂肪蓄積)が予防される。さらに、例えば肝毒性物質(アルコール)又は医薬品の使用、体重超過又は肥満の結果として、肝障害又は疾病を進展する危険な状態にある対象において、健康が本発明に従うスフィンゴ脂質の使用によって相当に改善されることができ、それは、医薬品使用、ウィルス感染、メタボリックシンドローム又はX症候群の臨床影響の発生を予防することが可能である。
【0067】
スフィンゴ脂質摂取の結果として対象における肝脂肪症の重篤性の緩和が、下記実施例において概説されるように、apoE*3-Leidenマウスにおいて観察された。
【0068】
従って、本発明に従えば、スフィンゴ脂質は、医薬品の肝毒性、高コレステロール及びトリグリセリド・レベルによって生じる肝障害、治療又は予防を必要とする対象における肝脂肪症又はアルコール中毒或いは2型糖尿病或いはメタボリックシンドローム或いはX症候群と関連する結果としての若しくは(他の)医薬品、例えばHIV阻害剤の副作用の結果としての肝脂肪症に病む或いは肝脂肪症を進展しそうである対象における肝脂肪症を治療し又は予防するための食品又は医薬品の製造のために使用されうる。しかしながら、この効果がそれによって達成される機構は現在知られていない。初めて、食品及び臨床的に安全な医薬品(該食品及び医薬品は、肝臓における脂肪の過剰な蓄積と戦う能力を有する)がスフィンゴ脂質に基づいて調製されうる故に、該発見は、疾患、例えば肝臓の脂肪症、線維症及び肝硬変の予防及び/又は治療のための大きな影響を有する。したがって、本発明の食品及び医薬品、並びにそれらの使用は、疾病段階の初期、すなわち脂肪の蓄積又は脂肪症のレベルで介在する目的であり、それによって関連する、より下流の疾患、例えば肝硬変及び線維症を予防しうる。脂肪の過剰な蓄積を予防するための本発明の観点において使用される場合、スフィンゴ脂質の能力はこれまで記載されなかった。
【0069】
本発明は、肝臓の脂肪症、線維症及び肝硬変の予防及び/又は治療のための医薬品の製造のために、式(I)
【化5】

(ここで、
Zが、R又は−CH(OH)−Rであり;
Aが、サルフェート、サルフォネート、フォスフェート、フォスフォネート又は−C(O)O−であり;
が、水素、水酸基、アルジトール、グリコシル、アルコール、C−Cアルキル又はアミノ酸であり;
が、水素、又は不飽和若しくは飽和(C−C30)アルキル鎖であり;
が、不飽和又は飽和(C−C30)アルキル鎖であり;
が、第一級アミン基(−NH)、第二級アミン基(−NH−)又はアミド基(−NH−CO−);好ましくは第二級アミン基であり;及びtが、0又は1である)に従うスフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩を使用する方法を第1の観点において今提供する。
【0070】
はグリコシル残基から選択されることができ、好ましくはRは、アセスルファム、アロース、アルトロース、アラビノース、エリトロース、フルクトース、フコース、ガラクトース、グロース、イドース、イソマルトース、ラクトース、リキソース、マルトース、マンノース、メレチトース、プシコース、ラフィノース、ラムノース、リボース、サッカロース、ソルボース、スタキオース、スクロース、タガトース、タロース、トレオース、トレハロース、ツラノース、キシロース及びキシルロースからなる残基の群から選択される。
【0071】
は、アミノ酸残基、例えばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパルテート、カルニチン、シトルリン、システイン、シスチン、GABA、グルタメート、グルタミン、グルタチオン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンの残基、又はそれらの誘導体若しくは組み合わせから好ましくは選択される。
【0072】
は、水素、水酸基若しくは水酸基を含む基(例えば、ヒドロキシアルキル)、アルジトール残基、又はポリオール残基(例えば、アドニトール、アラビトール、ダルシトール、エリスリトール、エチレングリコール、グリセロール、イノシトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、プロピレングリコール、リビトール、ソルビトール、トレイトール及びキシリトールの残基)、並びにメタノール、エタノール、エタンジオール、イソプロパノール、n-プロパノール、1,3-プロパンジオール及び他のポリアルコールからなる群からより好ましくは選択される。
【0073】
さらにより好ましくは、Rは、アルコール(例えば、コリン、エタノールアミン、エタノール、グリセロール、イノシトール、チロシン及びセリン)の残基からなる群から、及びより好ましくはフォスフォグリセリド又はフォスフォグリセリドアルコール(例えば、コリン、セリン、エタノールアミン、グリセロール又はイノシトール)のアルコール残基から選択される。
【0074】
は、最も好ましくは水酸基である。
【0075】
(A)は、式(I)に従うスフィンゴ脂質の塩の形成のために任意の望まれる対イオンを有しうる。
【0076】
式(I)に従うスフィンゴ脂質におけるQの形で存在してよいようなアミノ基は、例えば単一の又は複数のメチル化、アルキル化、アシル化若しくはアセチル化によって、又はギ酸アミドへの修飾によって、修飾されることが可能である。
【0077】
また、式(I)における遊離の水酸基(特に、Rにおける遊離の水酸基)は、当業者に知られている様式で修飾されてよい。
【0078】
さらに、式(I)に従うスフィンゴ脂質の全てのありうるラセミ化合物及び(ジア)ステレオ異性体が、本発明において使用されうる。Qが、例えば水素、水酸基、カルボキシル基又はシアノ基によって置換されているところの式(I)に従う化合物を使用することが可能である。Qが、アミノ基であるところの化合物が好ましい。
【0079】
は、水素、又は不飽和若しくは飽和の(C〜C30)アルキル鎖であり、及びRが、不飽和又は飽和の(C〜C30)アルキル鎖である。
【0080】
本明細書で使用される場合、語「アルキル」とは、C〜C30の飽和若しくは不飽和の直鎖、分岐した若しくは環状の、第一級、第二級又は第三級の炭化水素(任意的に置換されていてよい)を云い、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル及び2,3-ジメチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル及びドコシル、並びにそれらの異性体を含む。
【0081】
〜C30アルキル鎖又は基は、水酸基、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、硫酸、スルフェート、スルフォネート、フォスフォネート又はフォスフェート(望まれるなら保護されていない又は保護されているのいずれか)からなる群から選択される1以上の基で任意的に置換されてよい。これら置換基は、例えばGreene等、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、第2版、1991年において当業者に知られている。C〜C30アルキル鎖の好ましい実施態様は、C〜C24アルキル鎖を構成する。
【0082】
式(I)の化合物は、スフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩である。
【0083】
さらにより好ましくは式(I)に従う化合物、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩において、Rが水酸基であり、tが0であり、Rが水素であり、Rが不飽和又は飽和(C〜C30)アルキルであり、Q−Rが一緒になってアミノ基である。それ故に、より好ましくは、本発明の実施態様において使用されるスフィンゴ脂質は、一般式(II)
【0084】
【化6】

【0085】
(ここで、Zが、R又はCH(OH)−Rであり、及びRが、不飽和又は飽和(C〜C30)アルキル鎖である)を有するスフィンゴ脂質である。
【0086】
本発明のさらにより好ましい実施態様では、フィトスフィゴシン、スフィンゴシン、スフィンガニン、セラミド、グリコシルセラミド及び/又はスフィンゴミエリンが使用される。なぜならば、これら化合物が、動物モデルにおいて肝臓の脂肪蓄積の優れた予防を示すからである。本発明の最も好ましい実施態様では、フィトスフィゴシが使用される。
【0087】
単純なスフィンゴ脂質、すなわちスフィンゴイド・ベース(例えば、フィトスフィンゴシン、スフィンゴシン及びスフィンガニン)は、より複雑なスフィンゴ脂質、例えばセラミドIII、スフィンゴミエリン及びグリコシルセラミドと同じ効果を有するので、本発明の観点において単純なスフィンゴ脂質を使用することが好ましい。
【0088】
スフィンゴミエリン、フィトスフィゴシン、スフィンゴシン、スフィンガニン、セラミド及びグリコシルセラミドの他に、また、これら化合物の誘導体が本発明の観点において使用されうる。例えば、水酸基頭部基の代わりに、コリン、フォスフェート、エタノールアミンフォスフェート、セリンフォスフェート、イノシトールフォスフェート、グリセロールフォスフェート、グルコース又はガラクトース頭部基が、式(I)に従う化合物におけるR基として使用されうる。基本的に、上記Rの定義内の全ての頭部基が、フィトスフィゴシン、スフィンゴシン及びスフィンガニンの誘導体化のために使用されうる。誘導体、例えばリソスフィンゴミエリンがまた、本発明の実施態様において使用されうる。
【0089】
本発明の観点において式(I)及び/又は式(II)及び/又は式(III)に従うスフィンゴ脂質の組み合わせを使用することがまた可能である。
【0090】
原則的に、式(I)及び/又は式(II)及び/又は式(III)に従うスフィンゴ脂質の全てのありうる起源が、本発明の観点及び実施態様における使用のために適切である。例えば、適切なスフィンゴ脂質(例えば、フィトスフィゴシン)は、植物(例えば、トウモロコシ)(Wright等、Arch. Biochem. Biophys.、第415(2)巻、第184〜192頁及びその中の文献)から、動物(皮膚繊維芽細胞)から、又は微生物(例えば、酵母)(例えば、Pichia ciferii)から得られうる。スフィンゴ脂質は、これら有機体から単離されてよく、又は低純度の形態で(すなわち豊化された画分として)、若しくは微生物(例えば、酵母)の場合、完全な有機体又はそれらの画分を採取することによって使用されうる。さらに、スフィンゴ脂質は、他の適切な起源、例えば乳、卵、大豆、酵母、細菌、藻類、植物、肉、脳などから単離されてよく、又は本発明に従う食品、食品サプリメント及び/又は医薬組成物において使用するために、化学的又は酵素的に調製されうる。
【0091】
本発明に従う食品又は食品サプリメントにおける適用について、スフィンゴ脂質が、食品等級出所から好ましくは得られる。適切な食品等級出所の例は、例えば、ベーカリー酵母、醸造用酵母及び卵、並びに或るタイプの細菌、(線維状)真菌、海綿動物及び藻類であるが、特に、一般に安全であると認識されている(GRAS)細菌、酵母及び真菌のそれら種に排他的でない。スフィンゴ脂質の細菌起源は、例えば米国特許US 6,204,006号明細書で知られている。
【0092】
スフィンゴ脂質は、当業者に知られている方法によって、例えば(有機)溶媒を用いた抽出、クロマトグラフ的分離、沈殿、結晶化及び/又は酵素的若しくは化学的加水分解によって上記起源から得られうる。乳からのスフィンゴ脂質を強化された(特に、スフィンゴミエリンを強化された)画分の生産は、例えば国際公開W0 94/18289号パンフレットで知られている。スフィンゴ脂質はまた、米国特許US5,677,472号明細書で知られているような種々の動物生産物、例えば乳生成物、卵生成物及び血液生成物の脂肪濃縮物から得られうる。
【0093】
スフィンゴ脂質及びスフィンゴ脂質誘導体の調製のための方法は、なかんずく欧州公開特許公報EP 0 940 409号、国際公開WO 98/03529号パンフレット、国際公開WO 99/50433号パンフレット及び米国特許US 6,204,006号明細書で知られており、且つ当業者は、これら及び他の方法によって誘導体を調製できるだろう。スフィンゴシンを得るための様々な経路が、D. Shapiro、"Chemistry of Sphingolipids"、Hermann、パリ(1969年)によって記載されている。或るフィトスフィンゴ脂質誘導体を生産するための方法は当業者において知られ、例えば、微生物起源(すなわち、Pichia ciferrii)からのテトラアセチルフィトスフィンゴシン(TAPS)を誘導し、そしてこのTAPSを、フィトスフィンゴシンを生じるために加水分解に付すことが、米国特許US 6,204,006号明細書及び米国特許US 5,618,706号明細書で知られている。
【0094】
式(I)に従うスフィンゴ脂質又はそれらの前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩はまた、例えば米国特許US 5,232,837号明細書及び同5,110,987号明細書で知られているような既知の方法によって、又はこれら方法の標準の変更によって合成されうる。
【0095】
スフィンゴ脂質(それは、食品に又は医薬組成物にある)の投与に関連する既知の問題は、それらが代謝されうることである。これは特に、消化管におけるスフィンゴ脂質の適用に関連する。式(I)に従う、より好ましくは式(II)若しくは式(III)に従うスフィンゴ脂質、又はそれらの誘導体若しくは医薬的に許容される塩を単独で又は組み合わせで、所謂前駆体化合物(該化合物は或る置換基を含み、その結果として該化合物はもはや代謝されない又は減少された割合でのみ代謝されうる)として投与することによって、この問題は解決されうる。これら前駆体は、消化管の上部(例えば、口、胃)での加水分解に抵抗性であることが好ましく、そして例えば、スフィンゴ脂質が特に消化管の下部(例えば、盲腸、結腸)においてその作用を有すべき場合、消化管の下部において比較的容易に開裂される。好ましくは、前駆体の摂取が経口経路を介する場合、そのままの又は代謝された前駆体が血流内に取り込まれ、そして目的の器官、例えば肝臓、筋肉及び脂肪組織に輸送され、そこではそれらは、それらの有益な効果を発揮するために活性されうる。従って、該化合物が、消化管、例えば血液又は肝臓から吸収された場合、活性が生じることが可能である。結果として、該化合物の量は、スフィンゴ脂質がその作用を有するそれらの位置で上昇される。例えば、スフィンゴ脂質が遊離されるように、適切な酵素によってインビボ(in vivo)で開裂されうる又は活性化されうるスフィンゴ脂質前駆体が使用されてよく、これは対象におけるコレステロール及びトリグリセリドのレベルを減少しうる。スフィンゴ脂質前駆体は、国際公開WO 99/41266号パンフレットに記載されている。
【0096】
インシチュー(in situ)酵素的又は化学的転化によって(すなわち体内で)、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質の前駆体を、本発明の実施態様において使用されうる式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質に変更することは可能である。それ故に、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質のそのような前駆体はまた、本発明に従う使用のために適している。条件は、前駆体が、例えば酵素的転化によって、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質に、体内において(例えば、好ましくは腸において)転化されることであり、その場合、インシチュー(in situ)活性がある。それ故に、例えばスフィンゴミエリンとともに、スフィンゴミエリンをリソスフィンゴミエリンに転化しうる酵素 スフィンゴミエリンデアシラーゼを投与することが可能である。他の可能性は、スフィンゴミエリンをセラミドに転化するためにスフィンゴミエリナーゼを使用することである。すると、セラミドは、セラミダーゼによってスフィンゴイド基本構造及び脂肪酸に分解されうる。酵素の他の例は、例えばSueyoshi等(Sueyoshi N, Izu H, Ito M. 1997年. J Lipid Res. 第38(9)巻:第1923-7)において見つけらうる。しかしながら、好ましくは、式(I)、(II)、(III)又は(IV)に従うスフィンゴ脂質は前駆体として使用されるのではなくて、食品若しくは食品サプリメント又は医薬調製物において「活性な」形態で使用される。
【0097】
式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質、又はそれらの前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩は、予防的又は治療的理由のために、治療を必要とする対象に提供されてよい。式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質、又はそれらの前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩は、食品若しくは食品サプリメントの形態で、又は医薬調製物の形態で治療を必要とする対象に提供されてよく、全てのそのような投与形態は、医薬品の肝毒性影響及び/又は肝臓の脂肪症、線維症及び肝硬変の進展を予防すること及び/又は肝臓の脂肪症、線維症及び肝硬変の重篤性の緩解することができる。特に、肝脂肪症の進展及び/又は重篤性が考慮される。
【0098】
式(I)に従う、より好ましくは式(II)に従う、さらにより好ましくは式(III)に従うスフィンゴ脂質、最も好ましくはフィトスフィンゴシン、又はそれらの前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩は、食品又は食品サプリメントにおいて使用されうる。食品サプリメントは、通常の食品摂取に加えて消費されることができ、且つ通常の食品に含まれていない又は小量のみ含まれていてそしてその十分な又は増加された消費が望まれるところの元素又は成分を含む組成物として定義される。食品の組成は、必ずしも食品サプリメントのそれと大きく異ならない。
【0099】
本明細書において記載される場合、食品又は食品サプリメントは、普通に又はヒトの介在の無い前記食品又は食品サプリメントにおいて生じる若しくは見つけられるだろう量よりもより高い式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質の量を含む。式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質のこの高められた量は、該高められた量で前記スフィンゴ脂質を通常含まない食品への前記スフィンゴ脂質の特別の添加を通じて(すなわち、前記スフィンゴ脂質による食品の富化によって)生じうる。代替的に、遺伝子エンジニアリングが、前記スフィンゴ脂質が高められた量で有機体において生成されるような方法で、例えば、食品の生成のために使用される植物又は酵母若しくは他の微生物におけるそのようなスフィンゴ脂質の生産のための生合成経路をエンジニアリングすることによって、高められた量で前記スフィンゴ脂質を含む食品を生産するために使用されうる。
【0100】
スフィンゴ脂質、例えばフィトスフィゴシン、スフィンゴシン、スフィンゴミエリン、リソスフィンゴミエリン又はスフィンガニンの量は様々な食品の間でかなり異なりうる故に、高められた量であると言われている含量又は富化された食品の一般的な値はない。一般に、比較的高い量のスフィンゴミエリンを通常含む乳は、例えばスフィンゴミエリンを含んでない又はほんの微量含むジャガイモよりもより高い絶対的な濃度で高められた量を含むといわれる。
【0101】
上記されるようなスフィンゴ脂質強化食品又は食品サプリメントは、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質の0.01〜99.9重量%を適切に含みうる。好ましい実施態様では、そのような食品又は食品サプリメントは、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質又はそれらの誘導体、前駆体若しくは許容される塩の0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%を含む。
【0102】
ヒト又は動物消費に適している式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質の高められた量を含む食品又は食品サプリメントを作るために、栄養価、テクスチャ、味又は匂いが、前記食品又はサプリメントに様々な化合物を添加することによって改善されうる。当業者は、本発明に従う食品又は食品サプリメントにおいて使用されうるタンパク質、炭水化物及び脂肪、並びにありうる甘味料、ビタミン、ミネラル、電解質、着色剤、着臭剤、香料、香辛料、増量剤、乳化剤、安定剤、保存薬、酸化防止剤、食物繊維、及びその栄養価、味又はテクスチャを改善するために添加されうる食品のための他の成分の種々の起源に十分に気付く。そのような成分の選択は、配合、設計及び嗜好の問題である。添加されうるそのような成分及び物質の量は当業者に知られており、該選択は例えば、子供及び大人並びに動物のために推奨された毎日の許容投与量(RDA(recommended daily allowance) dosages)によって手引きされうる。
【0103】
食品又は食品サプリメントの摂取のための一回分はサイズにおいて異なってよく、且つ推奨された投与量に対応する値に制限されない。語「食品サプリメント」は、特定の重量又は投与量に制限されるように本明細書において意図されない。
【0104】
上記されるような食品又は食品サプリメントの組成物は、原則として、ヒト又は動物による消費に適した任意の形態で摂取してよい。1つの実施態様では、該組成物が、水性液(例えば、水、コーヒー、茶、乳、ヨーグルト、ブイヨン(stock)又は果汁中及びアルコール飲料)中に懸濁され、分散され、乳化され又は溶解されうる乾燥粉末の形態である。この目的のために、該粉末は、単位投与量形態で提供されうる。
【0105】
代替の実施態様では、乾燥粉末の形態における組成物が、錠剤化される。その目的のために、本発明に従う食品サプリメントのための組成物は、増量剤(例えば、微結晶性セルロース(MCC)及びマンニトール)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC))及び潤滑剤(例えば、ステアリン酸)、又は他の賦形剤を非常に適切に備えられうる。
【0106】
上記されるような食品又は食品サプリメントの組成物はまた、該固体が、水性液中に懸濁され、分散され、又は乳化されているところの液状調製物の形態で提供されうる。そのような組成物は、食品を通じて直接的に混合されてよく又は例えば、押し出され、そして粒又は他の形状に処理されてよい。
【0107】
代替の実施態様では、食品又は食品サプリメントは、固体、半固体又は液状食品、例えば、パン、バー(bar)、クッキー若しくはサンドイッチ、又はスプレッド、ソース、バター、マーガリン、乳製品などの形状を採用しうる。好ましくは、本発明に従うスフィンゴ脂質は、例えばバター若しくはマーガリン、カスタード、ヨーグルト、チーズ、スプレッド、飲料又はプディング、或いは他のデザートのような乳製品において適用される。該スフィンゴ脂質はまた、揚げるために又はベーキングするために使用されるバター又は脂肪において使用されうる。なぜならば、それらは比較的安定であり、そして高温によって分解されないだろうからである。この特徴はまた、パスツリゼーション又は殺菌処理を受ける食品又は食品サプリメントにおいてスフィンゴ脂質の使用を可能にする。ダイエット製品はまた、本発明に従う食品又は食品サプリメントの好ましい実施態様を構成する。
【0108】
本発明に従う食品が動物飼料として使用される場合、該食品は、例えば、粉末、粒、ワッフル、ポリッジ、ブロック、パルプ(pulp)、ペースト、フレーク、コック(cook)、懸濁物又はシロップの形態で調製されうる。
【0109】
ヒトへの投与のために、本発明の食品は、食品又は食品サプリメントの形態で非常に適切に調製されうる。
【0110】
本発明に従うスフィンゴ脂質を含む非常に適切な食品はアルコール飲料を構成し、該アルコール飲料は、過剰消費すると、消費者における肝脂肪症の進展を有効に予防する。
【0111】
本発明はさらに、本発明に従う食品又は食品サプリメントの調製のための方法であって、食品又は食品サプリメントを、式(I)及び/又は(II)及び/又は(III)に従うスフィンゴ脂質、又はそれらの前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩に富むようにすることを含む方法に関する。
【0112】
1つの実施態様では、本発明は、スフィンゴ脂質で強化された食品又は食品サプリメントの調製のための方法であって、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質、又はそれらの前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩を、好ましくは0.01〜99.9重量%の量に、より好ましくは0.01〜50重量%の量に、さらにより好ましくは0.01〜10重量%の量に、そして最も好ましくは0.01〜5重量%の量に、食品又は食品サプリメントに加工することを含む方法を提供する。本発明に従い食品中に加工されるスフィンゴ脂質の量は、スフィンゴ脂質のタイプ及びその使用に依存し、そして当業者は、本開示の文脈においてこの量を決定することができる。
【0113】
本発明に従う食品を調製するための方法において、該食品が最初に別途に調製されて、次にスフィンゴ脂質と一緒にされて、前記スフィンゴ脂質が該食品に取り込まれている本発明に従う食品を提供しうる。該食品は、慣用の方法、例えば混合、ベーキング、油で揚げる、クッキング、蒸気処理又は精洗(poaching)によって別途に調製されてよく、そして必要であれば、スフィンゴ脂質と一緒にされる前に、冷却されてよい。他の適切な実施態様によると、スフィンゴ脂質は食品の調製中に、食品中の成分として入れられる。
【0114】
本発明に従う食品又は食品サプリメントは、栄養組成物として非常に適切に定義されうる。栄養組成物は、重要な栄養素の総食事摂取を増加させることによって食事を補うために使用される天然物であると定義されうる。この定義は、栄養サプリメント、例えばビタミン、ミネラル、薬草抽出物、抗酸化剤、アミノ酸及びタンパク質サプリメントを含む。栄養生成物は、1994年の食事サプリメント規則(Dietary Supplement Act)においてFDAによって制定された「食事サプリメント」の新たに生成された生成物カテゴリに適合する。この規則は、総1日摂取量を増加させることによって食事を補強するために使用されるビタミン、ミネラル、薬草抽出物又は他の植物性薬品、抗酸化剤、アミノ酸、又は他の栄養補助物質を含むように栄養補助食品を特に定義した。
【0115】
「栄養組成物」は、健康利点を生み出すことができる成分とともに補強された食品組成物として本明細書において定義される。本発明の文脈におけるそのような組成物はまた、特別のダイエット用使用、医薬食品及びダイエットサプリメントのための食事としてまた示されうる。本発明の食品又は食品サプリメントは、栄養組成物である。なぜならば、それは、医薬品の肝毒性、肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変を治療し又は予防することができるからである。
【0116】
本発明はまた、肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変を病む対象を治療する方法であって、該方法は、治療的に有効な量の医薬組成物を治療を必要とする対象に投与することを含み、該組成物は、式(I)に従う、より好ましくは式(II)に従う、さらにより好ましくは式(III)に従うスフィンゴ脂質、最も好ましくはフィトスフィンゴシン、スフィンゴシン、スフィンガニン、グリコシルセラミド、セラミド若しくはスフィンゴミエリン、又はそれらの前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩、並びに医薬的に許容される担体、及び任意的に1以上の賦形剤を含む方法を提供する。
【0117】
医薬組成物はまた、適切な医薬的に許容される担体を含むことができ、且つカプセル、錠剤、トローチ剤、糖衣錠、ピル、ドロップ剤、座薬、粉末、スプレー、ワクチン、軟膏、ペースト、クリーム、吸入抗原、パッチ、エアロゾルなどの形状でありうる。医薬的に許容される担体として、任意の溶剤、希釈剤若しくは他の液体溶媒、分散剤若しくは懸濁剤、表面活性剤、等張剤、濃厚剤若しくは乳化剤、保存剤、封入剤、固形結合剤又は潤滑剤が使用されることができ、それは特定の投与形態に最も適しており、及びそれはスフィンゴ脂質に相容性である。
【0118】
医薬組成物はまた、医薬的に許容される担体を含みうる。語「医薬的に許容される担体」は、治療剤の投与のための担体をいう。該語は、組成物を受け取る個体に有害な抗体の生産をそれ自体誘導せず且つ不当な毒性なしに投与されうる任意の医薬担体をいう。適切な担体は、大きく、ゆっくりと代謝される巨大分子、例えばタンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸コポリマー、及び不活性ウィルス粒子でありうる。そのような担体は、当業者に周知である。
【0119】
本明細書で使用されうる医薬的に許容される塩例えば、無機酸、例えば塩酸、臭化水素、フォスフェート、サルフェートなど;有機酸の塩、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などが使用されうる。医薬的に許容される担体の全体的な議論は、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Pub. Co.,N. J. 1991年)において利用可能である。
【0120】
治療組成物における医薬的に許容される担体は、液体、例えば水、生理食塩水、グリセロール及びエタノールを含みうる。さらに、補助物質、例えば湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質などが、そのような媒体中に存在しうる。典型的に、治療組成物は、溶液又は懸濁液のいずれかで注射剤として調製される;注射の前に液体媒体中に溶液又は懸濁液に適している固体がまた調製されうる。リポソームが医薬的に許容される塩の定義内に含まれる。
【0121】
治療上の処置のために、該スフィンゴ脂質は、上記されたように製造されることができ且つそれを必要とする対象に適用される。該スフィンゴ脂質は、任意の適切な経路によって、好ましくはそのような経路に適応された医薬組成物の形状において、そして意図された治療のために有効である投与量において、対象に投与されうる。疾患を治療するために、例えばヒト又は動物対象の身体における肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変からなる群から選択される疾患の予防及び/又は治療のために要求されるスフィンゴ脂質の治療的に有効な投与量は、例えば動物モデルを使用することによって当業者によって容易に決定されうる。
【0122】
本明細書において使用される場合、語「治療的に有効な量」とは、肝毒性、肝臓の脂肪症、線維症及び肝硬変を減少させ又は予防するための、或いは検出可能な治療的又は予防的効果を示すための、治療的、すなわち本発明に従うスフィンゴ脂質の量をいう。この効果は、本明細書において述べられる場合、例えば血液ALAT又はALT、血糖、血液血清トリグリセリド及び/又はコレステロールの測定によって、或いは肝毒性、肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変の進行又は重篤性を評価する何らかの他の適切な方法(該方法は当業者にそれ自体知られている)によって検出されうる。対象の正確な有効量は、対象のサイズ及び健康、状態の性質及び程度、並びに投与のために選択される治療又は治療の組み合わせに依存しうるだろう。従って、予め正確な有効量を特定することは有用でない。しかしながら、所与の状況について有効な量は、ルーチン実験によって決定されることができ且つ臨床医又は実験者の判断内である。特に、本発明の組成物は、肝毒性、肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変及び/又は付随する生理学的又は肉体的兆候を減少させ又は予防するために使用されうる。臨床医が初期投与量を確立することを可能にする方法は従来知られている。投与されるべき投与量は、安全且つ有効でなければならない。
【0123】
本発明の目的のために、スフィンゴ脂質が投与される個体におけるスフィンゴ脂質の有効な量は、約0.01μg/kg〜1g/kg、及び好ましくは約0.5μg/kg〜約400 mg/kgであるだろう。
【0124】
さらに他の代替的な実施態様では、本発明のスフィンゴ脂質又は組成物は、対象の体内に挿入された制御された又は持続された放出マトリックスから投与されうる。
【0125】
本明細書において記載された医薬品、医薬組成物、食品又は食品サプリメントの治療的効果を達成するための投与量は、当業者によって容易に決定されうる。本発明の目的のために、有効な投与量は、それが投与される個体において、乾燥食品重量の約0.01〜5%であろう。それは、大人の人間について、一日量は、約0.04〜35グラムのスフィンゴ脂質であろう。食事中のスフィンゴ脂質の非常に好ましい投与量は、乾燥食品の重量に基づきスフィンゴ脂質の0.1〜5重量%、さらにより好ましくは0.2重量%〜1重量%である。
【0126】
好ましくは、上記されるような医薬組成物は、口腔適用について意図されている。静脈内又は筋肉内投与がまた可能であるけれども、口腔適用が好ましい。口腔適用のための組成物は、不活性希釈剤又は可食性担体を通常含むだろう。該組成物は、例えばゼラチンカプセル内に包装されてよく、或いは錠剤の形状に錠剤化されてよい。口腔治療用途のために、該活性化合物が、賦形剤と一緒に投与されてよく且つ例えば粉末、小袋、錠剤、ピル、トローチ、カプセルの形状で使用されてよい。医薬的に許容される結合剤及び/又はアジュバントはまた、医薬組成物の構成要素として含まれうる。
【0127】
粉末、小袋、錠剤、ピル、トローチ、カプセルなどは、下記の成分又は類似の趣旨の化合物のそれぞれを含みうる:増量剤、例えば微結晶性セルロース(MCC)又はマンニトール;結合剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、トラガカントガム又はゼラチン;賦形剤、例えばデンプン又はラクトース;任意成分(desintegrant)、例えばアルギナート又はとうもろこしデンプン;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;甘味料、例えばスクロースすなわちショ糖;又は芳香物質、例えばペパーミント又はサリチル酸メチル。
【0128】
投薬がカプセルの形態である場合、該カプセルは上記された要素とは別に、液状担体(例えば、油)を含みうる。投薬形態はさらに、糖、シェラック又は他の剤のコーティングを備えられうる。医薬組成物の該成分は、それらがスフィンゴ脂質の望ましい作用を減少しないように好ましくは選択される。
【0129】
式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質、又はそれらの医薬的に許容される塩はまた、例えばエリキシル剤、懸濁物、シロップ、ワッフル又はチューインガムの形態で投与されうる。
【0130】
上記されるような医薬組成物では、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質、又はそれらの前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩が、(乾燥)重量で0.01〜99.9重量%、好ましくは0.01〜10重量%、そしてより好ましくは0.01〜5重量%の量で使用される。
【0131】
本発明に従う医薬組成物は、対象における肝毒性、肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変を治療し又は予防するために意図される。
【0132】
本発明はさらに、対象における化合物の肝毒性影響(例えば、アルコール及び医薬品)、肝臓の脂肪症、線維症及び/又は肝硬変からなる群から選択される疾患の予防及び/又は治療のための医薬組成物の調製のための方法であって、医薬組成物において医薬的に許容される担体とともに、活性物質として、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質、又はそれらの前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩を処理すること又は入れることを含む方法に関する。
【0133】
医薬組成物の調製は、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)に従うスフィンゴ脂質、又はそれらの前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩とともに、別途の成分、例えば増量剤、結合剤、滑沢剤、及び任意的に他の賦形剤を全て混合し、そして得られた該混合物を医薬調製物に処理することによって非常に適切に生じうる。
【0134】
本発明に従う1以上のスフィンゴ脂質を含むことに加えて、本発明に従う医薬組成物は、1以上の他の医薬的に活性な化合物を含みうる。非常に適切な医薬的に活性な化合物は、例えば高脂血症治療剤、例えば植物スタンノール(stannol)又はステロールである。追加の薬学的に活性な化合物を含む好ましい医薬組成物は、組み合わされた調製物の形式をとる。
【0135】
本発明は特に、上記に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩と、肝臓に有害である又は肝毒性として認識されている又は薬物誘発肝毒性をもたらす医薬品との組み合わされた調製品に関する。そのような組み合わされた調製品の利点は、医薬品によって(すなわち、医薬化合物によって或いは前記化合物を含む医薬組成物に含まれる賦形剤によって)与えられる肝臓への有害がスフィンゴ脂質の存在、好ましくは前記調製品におけるスフィンゴ脂質の存在の結果、かなり減少されることである。組み合わされた調製品は、少なくとも2つの別個の調製品(スフィンゴ脂質を含む少なくともひとつの調製品及び少なくとも他の肝臓に有害な医薬品)を有することができ、該2つの別個の調製品は、一緒に包装され且つ同時に、個別に又は逐次的使用を意図される。しかしながら、好ましくは、本発明に従う組み合わされた調製品は、単一の調製品の形態で一緒にスフィンゴ脂質及び肝臓に有害な医薬品を含む。
【0136】
従って、本発明は、一般的な語において、好ましくは薬物の急性の又は慢性の使用に関連付けられた脂肪症、線維症及び/又は肝硬変の進展から生じるがそれらに制限されない薬物又は薬物賦形剤誘発性肝毒性又は肝障害の予防又は阻害を企図する。肝毒性に関連付けられた薬物及び賦形剤の例は、アルコール、パラセタモール(アセトアミノフェン)、抗痙攣薬(例えばバルプロ酸)、抗真菌剤(例えばアゾール殺菌剤)、低分子ヘパリン、ハロセン、ビタミンA及び誘導体、アミオダロン、ペルヘキシリン、タモキシフェン、ステロイド、スタチン及びそれらの組み合わせである。
【0137】
本明細書において定義される場合、スフィンゴ脂質を有する組み合わされた調製品において使用される特に好ましい医薬品は、パラセタモール、スタチン及び/又は肝臓障害を引き起こすステロイドホルモンである。
【0138】
特に、本発明は、本発明に従うスフィンゴ脂質と組み合わせてそのような障害を与える医薬化合物を提供することによって、肝毒性医薬化合物から生じる肝臓障害を阻害又は予防するために、スフィンゴ脂質の使用を企図する。それ故に、特に好ましい実施態様では、本発明は、治療において、同時に、個別に又は逐次的に使用するための、上記に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩と、肝臓に有害である又は肝毒性として認識されている又は薬物誘発肝毒性をもたらす医薬品との組み合わされた調製品に関する。
【0139】
他の観点では、本発明は、肝障害、好ましくは肝脂肪症の予防において、同時に、個別に又は逐次的に使用するための組み合わされた調製物を製造するために、上記に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩と、肝臓に有害である又は肝毒性として認識されている又は薬物誘発肝毒性をもたらす医薬品とを使用する方法に関する。
【0140】
組み合わされた調製物及びそれの使用のこれらの観点の好ましい実施態様では、肝臓に有害である又は肝毒性として認識されている又は薬物誘発肝毒性をもたらす医薬品は、脂肪症、好ましくはそれから直接的に生じる脂肪症及び/又は疾患、例えば肝線維症及び/又は肝硬変をもたらす医薬品である。
【0141】
ほぼ1000個の医薬剤が肝毒性を生じると認識されており、並びに薬物誘発肝臓毒性は、ほぼ15〜25%の劇症肝炎事例及び米国での年間ほぼ2000件の死の原因である[H.J. Zimmerman, The spectrum of hepatotoxicity, in: Hepatotoxicity: The Adverse Effects of Drugs and other Chemicals on the Liver, second ed., Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 1999年, 第3-11頁]。医薬品が肝臓に有害かどうかは、当業者の十分手の届く方法(例えば、Zimmerman(上述)の文献を参照)によって決定されうる。例えば、肝脂肪症、肝繊維症及び/又は肝硬変は、そのような医薬品の効能を試験するための動物試験の間で観察されることができ、該観察は、そのような医薬品が肝臓に有害であることを示す。代替的に、肝健全の特異的マーカーが、対象への医薬品の投与の間に監視されうる。例えば、特定の医薬品を受け取った、マウスにおける酵素ALAT又はヒトにおけるALTの増加した血漿レベルは、医薬品が対象の肝臓に障害を与えていることを示す。従って、肝障害の、特に脂肪症及び/又はそれから直接的に生じる疾患、例えば肝線維症及び/又は肝硬変の予防及び/又は阻害における使用はまた、肝障害の予防及び/又は阻害における使用として記載されることができ、例えば対象の血液中の肝臓酵素を監視することを通じて観察されることができ、又は特に、肝臓障害から生じる場合に、肝臓酵素の血漿又は血清レベルの低下における使用として記載されることができる。
【0142】
実施例
【実施例1】
【0143】
45匹のメスの異型接合体APOE*3Leiden(E3L)マウスが、高脂肪及び高コレステロール食餌を4週間(−4〜0週)給餌された。該マウスは、実験の間、清潔な且つ慣用的な動物部屋(相対湿度 50〜60%、温度 〜21℃、光サイクル 午前6時から午後6時)に収容された。マウスは、食物及び酸性化された水道水が随意に供給された。
【0144】
0週で、該マウスは、血漿総トリグリセリド及びコレステロールのレベルに基づいて、15匹の対照グループと、15匹の2つの処置グループとに無作為化された。
該グループは、
1.高脂肪、高コレステロール食餌のみ
2.高脂肪、高コレステロール食餌に加えて、0.7%(重量/重量)フィトスフィンゴシン
3.高脂肪、減少されたコレステロール含量を有する「高」コレステロール食餌(グループ2で得られたほぼ同じ血漿コレステロールレベルを生じる)。
【0145】
該処置は、16週間継続された。処置期間の間、尾血液サンプルが、0、2、4、8、12及び16週で得られ、血漿コレステロール及びトリグリセリドのレベルを測定し、及び血漿リポタンパク質組成を決定した。
【0146】
16週後、マウスは解剖され、肝臓重量が決定された。体重及び食物消費が、4週毎に測定された。
【0147】
食餌
食餌原料は、Hope Farms (ウールデン、オランダ)によって提供された。グループ1(高コレステロール)について、Nishina等(J. Lipid Res. 1990年; 第31巻:第859頁)によって記載された高コレステロール血症西洋型食餌(W食餌)は、コレステロール(0.5%(重量/重量)、最終濃度)で及びコール酸ナトリウム(0.5%(重量/重量)、最終濃度)で補われた。この粉末化された西洋型食餌は2%アガーと一緒に混合され、そしてペレットとして凍結乾燥された。
【0148】
グループ2(処置グループ)のための食餌は、同じ粉末化された西洋型食餌(すなわち、コレステロール(0.5%(重量/重量)、最終濃度)で及びコール酸ナトリウム(0.5%(重量/重量)、最終濃度)でまた補われた)に、0.7%(重量/重量)フィトスフィンゴシンの添加によって調製された。該補われた食餌混合物は、2%アガーと一緒に混合され、そしてペレットとして凍結乾燥された。
【0149】
グループ3(低コレステロール)のための食餌Wは、0.1%コレステロール及び0.05%コール酸ナトリウム(重量/重量、最終濃度)を含んだ。該粉末化された西洋型食餌は、2%アガーと一緒に混合され、そしてペレットとして凍結乾燥された。
【0150】
該食餌は8週毎に調製され、そして−2O℃で、暗所において保存された。食餌は、随意に与えられた。
【0151】
血漿分析
総コレステロールがロッシュ(Roche)からのキット Chol R1を使用して測定された。総トリグリセリドは、ロッシュからのキット トリグリセリドGPO-PAPを使用して測定された。ALATは、Reflotron(ロッシュ)で、ドライケミストリーによって測定された。
【0152】
結果
結果が、表1〜3に示される。
【0153】
【表1】

【0154】
【表2】

【0155】
【表3】

【0156】
肝臓重量(表1)における差は、統計的に有意であった(パラメータANOVA: F = 28.86, p < 0.0001)。フィトスフィンゴシンを給餌されたグループ2及び低コレステロールグループ3の両方における肝臓重量が、高コレステロールグループ1におけるよりも有意に低かった(全てp < 0.001)。体重(表2)及び食餌摂取は、3つのグループ間で差がなかった。
【0157】
ALAT(表3)における差は、統計的に有意であった(パラメータANOVA: F = 24.30, p < 0.0001)。フィトスフィンゴシンを給餌されたグループ2及び低コレステロールグループ3の両方におけるALAT値が、高コレステロールグループにおけるよりも有意に低かった(全てp < 0.001)。
【実施例2】
【0158】
W食餌への補いとして1%フィトスフィンゴシンを使用した以外は実施例1に記載された実験が数回繰り返された。各回、1つのグループ(対照グループ、6又は12匹のapoE*3-Leidenマウスからなる)が、高脂肪高コレステロールW食餌を給餌された。他のグループ(処置グループ、6又は12匹のapoE*3-Leidenマウスからなる)が、1%フィトスフィンゴシンで補われた高脂肪高コレステロールW食餌を給餌された。
【0159】
すべてのマウスにおいて、下記パラメータが4週の食餌期間後に(4時間の断食後)決定された:血漿総コレステロール(PTC)、血漿トリグリセリド(PTG)、血漿遊離脂肪酸(PFFA)、肝臓総コレステロール(LTC)、肝トリグリセリド(LTG)、肝コレステリルエステル(LCE)、血清アミロイドA(SAA)(mg/ml)、フィブリノーゲン(mg/mlで)、体重(gで)、肝臓重量(gで)、心臓重量(gで)、ALAT(U/Lで)。結果が、対照グループと処理グループとの間の肝臓構造、化学組成及び機能における顕著な差(図1〜2を参照)及び血漿パラメータにおける顕著なを示した。
【0160】
1%フィトスフィンゴシンで処置されたマウスは血清アミロイドA(SAA)、肝臓において合成された炎症タンパク質の有意に低いレベルを有し、一方フィブリノーゲン、肝臓によって合成された他のタンパク質の血漿レベルが増加され、それは改善された肝機能を示す。血漿脂質レベル(総コレステロール、トリグリセリド及び遊離脂肪酸)はすべて、1%PSグループにおいてすべて有意に減少した。
【0161】
肝脂質レベルは、食餌Wにおいて1% PSでのマウスの処置によって有意に減少した。ALAT(アラニンアミノトランスフェラーゼ、ヒトにおけるALTのマウス等価物)はまた、食餌において1% PSでの処置によって有意に低下した。
【0162】
実施例2の材料及び方法並びに結果のより長い記載が、今提供される。
【0163】
材料及び方法
スフィンゴ脂質:最も豊富な天然の複雑なスフィンゴ脂質クラスを示す3つのスフィンゴ脂質、及び3つの最も単純な天然のスフィンゴ脂質(複雑なスフィンゴ脂質の腸における酵素的分解によって形成されうるスフィンゴイド・ベース)が使用された。卵からのスフィンゴミエリン(主としてN-パルミトイル-スフィンゴシン-1-フォスフォコリン)は、Larodan Fine Chemicals (ストックホルム、スウェーデン)から入手された。酵母由来の(半)合成セラミドIII(N-ステアロイル-フィトスフィンゴシン)、セレブロシド(N-ステアロイル-フィトスフィンゴシン-1-グルコース)及びフィトスフィンゴシン(PS)は、Cosmoferm BV(デルフト、オランダ)からであった。スフィンガニン及びスフィンゴシンは、Avanti Polar Lipids (アラバスター、アラバマ州)からであった。
【0164】
動物及び食餌:異型接合体のメスのAPOE*3Leiden遺伝子導入マウス (Van Vlijmen等. 1994年. J. Clin. Invest第93巻:第1403-1410頁)(6週齢)が、15%カカオバター、0.25%コレステロール、1%トウモロコシ油、40.5%スクロース、20%酸カゼイン、10%コーンスターチ及び5.95%セルロース(すべて重量/重量)を含む西洋型食餌(Hope Farms、ウールデン、オランダ)を5週間給餌された。該マウスは、食餌及び水への自由なアクセスを許された。体重及び食餌摂取が、毎週監視された。最初の実験(図2)では、該マウスは、この5週後に、血漿コレステロール、トリグリセリド及び体重に基づいて7つのグループ(n=6)に無作為化された。引き続き、該マウスは、0.1%(重量/重量)フィトスフィンゴシン(PS)、スフィンゴシン、スフィンガニン、セレブロシド、セラミドIII又はスフィンゴミエリンを有しない或いは有りの同じ食餌を3週間給餌された。次に、スフィンゴ脂質投与量が、3週間で0.2%(重量/重量)に、そして最終的に3週間で0.4%(重量/重量)に増加された。無作為化時で、及び3、6及び9週で、尾静脈血液サンプルが、4時間絶食後に得られた。全ての後の実験において、メスのAPOE*3Leiden遺伝子導入マウス(6週齢)が西洋型食餌を5週間給餌され、そして上記されたように無作為化された。引き続き、それらは、実験に付される前に、西洋型食餌又は1.0%(重量/重量)のPSで補われたこの食餌を5週間給餌された。
【0165】
血漿パラメータ:尾血液サンプルが、Zambon等. 1993年(Zambon等. 1993年. J. Lipid Res. 第34巻:第1021-1028頁)に記載されているように脂肪分解を防ぐために、EDTAでコーティングされたカップにおいて、又はパラオキソンでコーティングされたキャピラリーにおいて集められた。血漿脂質パラメータは、総コレステロール(Roche Diagnostics、マンハイム、ドイツからの(C) Chol R1)、非エステル化された遊離脂肪酸(FFA)(NEFA-C; Wako chemicals、ノイス、ドイツ)、総トリグリセリド(TG) (Triglyceride GPO-Trinder; Sigma、セイントルイス、ミズリー州)、β-ヒドロキシ酪酸 (β-HB; Sigma)及びALAT (Reflotron GPT; Roche)についての商業キットを使用して決定された。Koopman等, 2005年(Koopman等. 2005年. Fibrinol Proteol第11巻:第19頁)に記載されているように、血清アミロイドA(SAA)はELISA(Biosource、ニベル、ベルギー)によって、及びフィブリノーゲンはサンドイッチELISAによって測定された。リポタンパク質分画について、グループ毎にプールされた血漿が、Superose 6カラム(Akta; Amersham Pharmacia Biotech, ウプサラ、スウェーデン)での、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC;fast protein liquid chromatography)によってサイズ画分化された。画分が、上記されたように、総C及びTGについて分析された。
【0166】
肝臓VLDL-TG生産:肝臓のVLDL-TG生産の速度、デ ノボ(de novo)apoB分泌及びVLDL組成が、一晩断食されたマウスにおいて決定された。マウスは、デ ノボ(de novo)apoB分泌合成を測定するために、ベトランキル(vetranquil)/フェンタニル/ミダゾラムで腹膜麻酔され、そして100μCi Tran35S-ラベル(商標) (ICN Biomedicals、アービン、カルフォルニア州)を含む0.1 ml PBSで静注された。30分後、該動物は、新しく分泌された肝臓のVLDL-TGの全身性脂肪分解を防ぐために、Triton WR1339注射(Tyloxapol, Sigma; 100μl生理食塩水中500 mg/kg体重)を受け取った(Aalto-Setala等. 1992年. J. Clin. Invest 第90巻:第1889-1900頁.27)。血液サンプルが、Triton WR1339注射後、0、15、30、60及び90分で抜かれ、そして血漿TG濃度が決定された。90分後、該動物は犠牲にされ、そして血液がVLDLの分離のために眼縁部後方出血(retro-orbital bleeding)によって集められた。
【0167】
VLDL組成:VLDL粒子(d<1.019)が、Jong等, 1996年(Jong等. 1996年.Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 第16巻:第934-940頁) に記載されているように、密度勾配超遠心分離によって血漿中の他のリポタンパク質から分離された。VLDL画分のタンパク質含量が、Lowry分析 (Lowry等, 1951年. J.Biol. Chem. 第193巻:第265-275頁) によって決定され、そしてTG及び総Cが、上記されたように決定された。リン脂質及び遊離コレステロールは、標準の商業キット(Wako Chemicals、ノイス、ドイツ)を使用して決定された。VLDLの35S-apoB含量は、他のところで記載されたように、イソプロパノールでのapoBの選択的沈殿後に測定された(Li等. 1996年 J. Lipid Res. 第37巻:第210-220頁; Pietzsch等. 1995年.Biochim. Biophys. Acta 第1254巻:第77-88頁)。
【0168】
VLDL様TGに富んだ粒子のイン ビボ(in vivo)クリアランス:1%PSが血漿からのTGに富んだリポタンパク質のクリアランスを加速するかどうか判断するために、我々はツールとして放射性同位体でラベル付けされたエマルジョン粒子を使用した。200μCiの[3H]トリオレイン及び20μCiの[14C]オレイン酸コレステリルを含むVLDL様エマルジョン粒子が調製され、そしてRensen等. 1997年 (Rensen等,1997年. J. Lipid Res. 第38巻:第1070-1084頁) に記載されているように特徴付けられた。断食されたマウスは上記されたように麻酔され、そして開腹が行なわれた。エマルジョン粒子は、マウス当たり300μg TGの投与量で下大静脈内に注射された。2、5、10、20及び30分で、血液サンプル(50μL)が下大静脈から採取され、そして肝臓サンプルが結紮され、切り取られ、そして重さを測られた。3H及び14C-活性が、10μlの血清において求められ、そして総血清容量(ml)について集められ、0.04706*体重(g)として計算された(Jong等、上述)。最後の肝臓及び血液サンプルを採取後に、肝臓の残り、心臓、脾臓、後肢筋肉、及び生殖腺の、腎周囲の及び腸の白色脂肪組織が獲られた。脂質が500μLのSolvable(商標)中、6O℃で一晩抽出され、そして放射能がRensen等、1997年(上述)に記載されたように求められた。
【0169】
RNA分離及びRT-PCR:1%PS含有食餌又は西洋型食餌を5週間給餌され、4時間断食されたマウスからの肝臓が犠牲後直ちに除かれ、冷0.9% NaClで流い流され、そして液体窒素でスナップ冷凍(snap frozen)された。トータルRNAが、RNA-Bee(商標)(Campro Scientific、ベルリン、ドイツ)の使用によってChomczynski and Sacchi (Chomczynski, P. and Sacchi, N. 1987年. Anal. Biochem. 第162巻:第156-159頁)によって記載されているように分離された。cDNA合成が、Bloks等(Bloks等, 2001年. J. Lipid Res. 第42巻:第41-50頁)に従い行われた。リアルタイム定量PCR(Heid等, 1996年. Genome Res. 第6巻:第986-994頁)が、Applied Biosystems 7700配列検出器を使用して行なわれた。プライマーがInvitrogen(ペーズリー、英国)から入手され、及び6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)及び6-カルボキシテトラメチルローダミン(6-TAMRA)でラベル付けされた蛍光プローブがEurogentec (スラン、ベルギー)によって作られた。使用されたプライマー及びプローブは、以前に記載された(Post等, 2004年.Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 第24巻:第768-774頁.;Heijboer等, 2005年. J. Lipid Res.第46巻:第582-588頁; Bandsma等, 2004年.J. Biol. Chem. 第279巻:第8930-8937頁)。引き続き、全ての発現データが、ヒポキサンチングアニンフォスフォリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)mRNAレベルについて標準化された。
【0170】
肝臓脂質レベル:1%PS含有食餌又は対照西洋型食餌を5週間給餌され、4時間断食されたマウスから採取された肝臓サンプルが、リン酸緩衝生理食塩水 (PBS)(10% 湿重量/容量)中でホモジナイズされ、そしてサンプルがLowryアッセイによってタンパク質含量を測定するために採取された。脂質含量はBlighand Dyer方法 (Bligh and Dyer. 1959年. Can.J. Biochem. Physiol第37巻:第911-917頁)を使用して脂質を抽出し、引き続き(Havekes等. 1987年.Biochem. J. 第247巻:第739-746頁) に記載されているように、高性能薄層クロマトグラフィー (HPTLC) を使用してシリカゲルプレート上で脂質分離をし、そしてTINA2.09ソフトウェア (41) (Raytest Isotopen Meβgerate、シュトラウベンハルト、ドイツ) によって分析をすることによって決定された。
【0171】
肝臓組織学:1%PS食餌又は対照西洋型食餌を5週間給餌され、4時間断食されたマウスからの肝臓が分離され、10%ホルマリンに固定され、そしてパラフィンに埋め込まれた。肝臓切片が、形態素解析のためにヘマトキシリン-フロキシン-サフラン(HPS)で染色された。
【0172】
統計:Mann-WhitneyU-検定が、対照グループと他の処置グループとの間の介入期間の間の応答における差を決定するために使用された。有意性の基準が、p<0.05で設定された。全てのデータが、平均±SD(標準偏差)で示される。統計分析が、SPSS 11.0 (SPSS、シカゴ、イリノイ州)を使用して行われた。
【0173】
結果:
スフィンゴ脂質はAPOE*3Leidenマウスにおける血漿C及びTGを低下させる
APOE*3Leidenマウスにおける血漿C及びTGのレベルに対するスフィンゴ脂質の影響を評価するための我々の最初の実験について、我々は3つの単純な及び3つの複雑なスフィンゴ脂質(単純: フィトスフィンゴシン、スフィンゴシン及びスフィンガニン;複雑: セラミドIII、スフィンゴミエリン及びセレブロシド)を使用した。食餌中の0.1%のそれらのスフィンゴ脂質で、血漿C及びTGに対する有意な影響は見られなかった(図5)。0.2%(重量/重量)の投与量で、試験された全てのスフィンゴは血漿レベルを20〜40%だけ有意に減少した(図5)。0.4%で、血漿Cは、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、セラミド及びスフィンゴミエリンによってさらにより減少した。TGの減少は、0.2%及び0.4%の食餌スフィンゴ脂質濃度で全てのスフィンゴ脂質について、約40%だった(図5B)。食餌摂取又は体重における差は、スフィンゴ脂質を給餌されたマウスにおける実験を通じて、対照動物と比較して観察されなかった(データは示されていない)。注目すべきことに、最も単純なスフィンゴ脂質、スフィンゴ塩基が、それらの複雑なスフィンゴ脂質誘導体と同じ効力のC及びTGを低下させる効果を有する。
【0174】
C及びTG低下の基礎となる機構を検討するために、我々は、1%(w/w)PSを有する或いは有しない西洋型食餌を5週間給餌されたマウスにおいて検討した。このスフィンゴ脂質は全ての次の実験について選択された。なぜならば、このスフィンゴ脂質は、スフィンゴ脂質クラスにおいて最も単純なもののひとつであるからである;それは、我々の食餌の一部である植物及び酵母の遍在するスフィンゴ脂質の中央構造要素である;及びこの脂質は、複雑なスフィンゴ脂質の酵素分解によって腸においてイン シチュー(in situ)で形成されうる。体重又は食餌摂取に対する影響は、そもそも観察されなかった(データは示されていない)。表4において見られうるように、1%PS食餌でのマウスは、予想されたように、血漿C及びTGにおいて強い且つ有意な減少を示した(両方ともp<0.01)。血漿FFAのレベルは、同様に強く且つ有意に減少され、一方血漿β-ヒドロキシブチレート(肝臓由来のケトン体)は、有意に変化しなかった(表4)。グループ的にプールされた血漿が、これらのマウスのリポタンパク質特性を決定するために使用された。該リポタンパク質特性は、C及びTGにおける減少がVLDL及びIDL/LDL画分に制限され、一方HDLコレステロールが変化しなかったことを示した(図6)。
【0175】
【表4】

【0176】
フィトスフィンゴシンは肝臓のVLDL-TG生産を増加させる
肝臓のVLDL-TG生産は、Triton WR1339方法を使用し、及び急性実験において血漿TG蓄積を測定することによって、一晩断食されたマウスにおいて検討された。これらの実験において、1%PS含有食餌を給餌されたマウスは、対照西洋型食餌を給餌されたマウスよりも、血漿TGレベルのより速い増加を示した。曲線の傾斜から決定されたように、VLDL-TG生産速度は、対照マウスと比較して、PSを給餌されたマウスにおいて20%だけ増加した(p<0.05)。VLDL粒子(超遠心分離によって分離された)の組成の分析は、TG含量並びにリン脂質含量が、PSを給餌されたマウスから得られたVLDL粒子において、夫々66%及び17%だけ増加した(p<0.05)ことを明らかにした(表5)。対照的に、総Cは、PSを給餌されたマウスからのVLDL粒子において51%だけ減少した(p<0.05)。新たに合成されたVLDL粒子におけるデ ノボ(de novo)総apoB生産速度は、PS含有食餌を給餌されたマウスと対照マウスとの間で異ならなかった(表5)。該データは、肝臓によって分泌されたVLDL粒子の数が影響されないこと、しかしVLDL粒子が、PS処置されたマウスにおいて、より少ないCを含み、より多くのTGを含むことを示す。
【0177】
【表5】

【0178】
フィトスフィンゴシンは、血漿TGではなく血漿Cの肝臓を媒介としたクリアランスを増加させる
血漿C及びTGのレベルは、それらの生産速度によって決定されるだけでなく、クリアランス、すなわちそれらの取り込み及び/又は脂肪溶解によって決定される。[3H]トリオレイン及び[14C]オレイン酸コレステリルを含むVLDL様粒子(それは、以前にTGに富んだリポタンパク質の代謝的振る舞いを模倣することを示されている (Rensen等, 1997年, 上述; Rensen等. 2000年. J. Biol. Chem. 第275巻:第8564-8571頁))は、血漿クリアランスに対する1%PS含有西洋型食餌の影響を決定するために使用された。PSは、[14C]オレイン酸コレステリルの血漿クリアランスを加速した(PS処置されたマウス 対 対照マウスについてのt1/2 夫々39.5±5.3対74.5±9.9分;p<0.05;図6A)。血液からのCの高められた除去は、[14C]オレイン酸コレステリルの増加した肝臓取り込みによって確証される(20分で+60%;p<0.05;図6B)。[3H]TGのLPL依存血清クリアランスは影響されないけれども(PS処置されたマウス 対 対照マウスについてのt1/2 夫々4.7±0.3対4.9±0.3分;図6C)、注射後の10分及び20分での肝臓における[3H]TG取り込みが、PSを給餌されたマウスにおいて有意に増加した(図6D)。様々な周辺筋肉及び脂肪組織による[14C]オレイン酸コレステリル又は[3H]TGからの放射能の取り込みに対する影響は観察されなかった(データは示されていない)。総合すれば、この実験の結果は、肝臓におけるVLDL粒子残物取り込みにおける増加を示す。
【0179】
肝臓のmRNAレベルは増加した脂質合成を示す
幾つかの遺伝子の肝臓発現が、1%PS含有食餌又は対照西洋型食餌を5週間与えら、4時間断食されたマウスの肝臓サンプルでRT-PCRを使用して検討された(表6)。FA/TG合成及び分泌に関与する遺伝子のmRNAレベル(srebp1c、fas、mttp及びdgat2)が増加した。Apob、dgat1、acc1及びaco転写レベルは不変であった。その上、ldlr、srebp2及びhmgcoAredのようなCホメオスタシス遺伝子のmRNAレベルがまた増加した。強い対照では、検討された胆汁塩形成に関与する2つの遺伝子が減少し(cyp7a及びlxrβ)、一方fxr発現が増加し、pparα、pparγ及びabca1発現は変化しなかった(表6)。全体として、これらの変更は、増加した肝臓脂質及びC合成、並びに減少した胆汁形成を示唆する。これは、対照状況と比較して、肝臓のTG及びCホメオスタシスにおける変動を示す。
【0180】
【表6】

【0181】
フィトスフィンゴシンは脂肪症から肝臓を保護する
増加した残余物の取り込み及びFA/TG合成に関与する遺伝子の増加したmRNA発現は、肝内TG及びCのレベルが我々の設定において増加したことを示唆した。しかしながら、これらマウスの解剖では、1%PS含有西洋型食餌を給餌されたマウスの肝臓は通常のサイズであり且つ暗赤外観を有し、一方PSなしの西洋型食餌を給餌された対照マウスの肝臓は拡張し且つ黄色みがかっていた(図1)ことが注目された。これは、PSを給餌されたマウスが、対照マウスと比較して、減少した肝臓の脂質含量を有したことを示す。HPS染色切片の顕微鏡検査は、対照と比較して、PSを給餌されたマウスが肝臓細胞中により低い脂質充満小胞を有したことを示した(図2)。PSを給餌されたマウスの肝臓は、対照マウスのそれよりも有意に低い(−22%, p<0.05)重さだった(表7)。脂質分析は、PSを給餌されたマウスの肝臓が対照マウスよりも低いTG(−56%;p<0.05)を含んだことを明らかにした。その上、肝臓のコレステリルエステルはPSを給餌されたマウスにおいて61%だけ減少し(p<0.05)、フリーCが11%だけ減少した(p<0.05)。
【0182】
フィトスフィンゴシンは血漿炎症マーカーを低下させる
肝臓の脂肪症は肝炎症にしばしば関連付けられる。我々は、肝障害のための尺度として、血漿ALATレベルを決定した。ALATレベルは、PSを給餌すると、79%(p<0.05)だけ減少した。急性期マーカーSAAのレベルにおける74%(p<0.05)が、PSを給餌されたマウスにおいて見つけられた。フィブリノーゲンレベルは、対照と比較してPSを処置されたマウスにおいて42%だけ(p<0.05)増加した(表7)。
【0183】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】高脂肪高コレステロール食餌を給餌された対照グループ動物の肝臓(左)及び1%フィトスフィンゴシンを補われた同じ食餌を給餌された処置グループの動物の肝臓(右)を示す図である。
【図2】図2Aは高脂肪高コレステロール食餌を給餌された対照グループ動物の肝細胞における脂肪蓄積の顕微鏡画像を示す図である。図2Bは、1%フィトスフィンゴシンを補われた同じ食餌を給餌されたグループからの動物の肝臓におけるそのような脂肪蓄積の不存在を示す図である。
【図3】実験完了後のマウスの肝臓重量を示すグラフである。
【図4】肝臓における脂質の量を示すグラフである。
【図5】血漿コレステロール(C)及びTGのレベルに対するスフィンゴ脂質の効果を示すグラフである。
【図6】血漿リポタンパク質のFPLC分離後のコレステロール(A)及びトリグリセリド(B)を示すグラフである。
【図7】VLDL様エマルジョン粒子のイン ビボ(in vivo)クリアランスを示すを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝脂肪症及びそれから直接的に生じる肝障害の予防及び/又は治療のための医薬品の製造のために、一般式(I)
【化1】

(ここで、
Zが、R又は−CH(OH)−Rであり;
Aが、サルフェート、サルフォネート、フォスフェート、フォスフォネート又は−C(O)O−であり;
が、水素、水酸基、アルジトール、グリコシル、アルコール、C−Cアルキル又はアミノ酸であり;
が、水素、又は不飽和若しくは飽和(C−C30)アルキル鎖であり;
が、不飽和又は飽和(C−C30)アルキル鎖であり;
が、第一級アミン基(−NH)、第二級アミン基(−NH−)又はアミド基(−NH−CO−)であり;及び
tが、0又は1である)を有するスフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩を使用する方法。
【請求項2】
肝脂肪症及びそれから直接的に生じる肝障害の予防及び/又は治療のための医薬品の製造のために、一般式(II)
【化2】

(ここで、
Zが、R又はCH(OH)−Rであり、及び
が、不飽和又は飽和(C−C30)アルキル鎖である)を有するスフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩を使用する方法。
【請求項3】
肝脂肪症及びそれから直接的に生じる肝障害の予防及び/又は治療のための医薬品の製造のために、一般式(III)
【化3】

(ここで、
Zが、R又はCH(OH)−R、好ましくはRであり;
が、第一級アミン基(−NH)、第二級アミン基(−NH−)又はアミド基(−NH−CO−)、好ましくはアミド基であり、及び
が、水素、又は不飽和若しくは飽和(C−C30)アルキル鎖であり;
が、不飽和又は飽和(C−C30)アルキル鎖、好ましくは不飽和(C−C30)アルキル鎖である)を有するスフィンゴ脂質又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩を使用する方法。
【請求項4】
前記スフィンゴ脂質が、フィトスフィンゴシン、スフィンゴシン、スフィンガニン、セラミド、グリコシルセラミド、及び/又はスフィンゴミエリンである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記スフィンゴ脂質がフィトスフィンゴシンである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
肝保護剤として請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質又はその前駆体若しくは誘導体を使用する方法。
【請求項7】
肝脂肪症予防剤として請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質又はその前駆体若しくは誘導体を使用する方法。
【請求項8】
肝脂肪症及びそれから直接的に生じる肝障害を予防することができる食品又は食品サプリメントの製造のために、請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質を使用する方法。
【請求項9】
健康な対象において、肝脂肪症及びそれから直接的に生じる肝障害の発生を予防する方法であって、請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩の強化された量を有する食事を前記対象に与えることを含む方法。
【請求項10】
健康な対象において、肝脂肪症及びそれから直接的に生じる肝障害の発生を予防する方法であって、治療的に有効な量の医薬組成物を投与することを含み、前記組成物が請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩、及び任意的に1以上の賦形剤を含む方法。
【請求項11】
肝脂肪症及びそれから直接的に生じる肝障害を病む対象を治療する方法であって、前記方法は、治療的に有効な量の医薬組成物を治療を必要とする対象に投与することを含み、前記組成物が請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩、及び任意的に1以上の賦形剤を含む方法。
【請求項12】
肝脂肪症及びそれから直接的に生じる肝障害の予防及び/又は治療のために、請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体若しくは誘導体の強化されたレベルを有する食品を使用する方法。
【請求項13】
肝脂肪症及びそれから直接的に生じる肝障害の治療及び/又は予防のために、食物中に請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体若しくは誘導体の強化されたレベルを有する食品を使用する方法。
【請求項14】
肝脂肪症及びそれから直接的に生じる肝障害の予防及び/又は治療のために医薬組成物を使用する方法であって、前記組成物が請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩、及び任意的に1以上の賦形剤を含む方法。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩と、肝臓に有害である又は肝毒性として認識されている又は薬物誘発肝毒性をもたらす医薬品との組み合わされた調製品。
【請求項16】
治療において、同時に、個別に又は逐次的に使用するための、請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩と、肝臓に有害である又は肝毒性として認識されている又は薬物誘発肝毒性をもたらす医薬品との組み合わされた調製品。
【請求項17】
肝脂肪症及びそれから直接的に生じる肝障害の予防及び/又は阻止において、同時に、個別に又は逐次的に使用するための組み合わされた調製物を製造するために、請求項1〜5のいずれか一項に定義されたスフィンゴ脂質、又はその前駆体、誘導体若しくは医薬的に許容される塩と、肝臓に有害である又は肝毒性として認識されている又は薬物誘発肝毒性をもたらす医薬品とを使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−521888(P2008−521888A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544288(P2007−544288)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000813
【国際公開番号】WO2006/059897
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(502015784)ネーデルランドセ オルガニサティエ フォール トエゲパストナトールヴェテンシャッペリク オンデルゾエク ティエヌオー (41)
【Fターム(参考)】