説明

脂質代謝改善物、飲食品、および医薬品

【課題】長崎市周辺と特定地域に分布するが、これまで有効利用されていなかった、香酸カンキツ類の一種、ゆうこうを用いた脂質代謝改善物を提供する。
【解決手段】ゆうこうの果肉、果皮、および種子の少なくとも一つに、凍結乾燥処理および粉砕加工処理を施して得る脂質代謝改善物、及びそれを含有する飲食品、医薬品。ゆうこうの果皮や果肉には、ヘスペリジン、ナリルチン等のフラボノイドが多量に含まれ、それら成分の持つ抗酸化機能による、脂質代謝改善効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゆうこうを用いて構成された脂質代謝改善物、およびこれを用いて構成された飲食品(健康飲食品等)、ならびに医薬品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の欧米化や運動不足などによる生活習慣病の発症が増加している。とりわけ、血清コレステロール濃度や中性脂肪濃度の上昇に起因する脂質代謝異常を示す人の数が大幅に増えている。
【0003】
上述したように血清コレステロール濃度等が上昇して脂質代謝異常を起こすと、動脈硬化症等の種々の問題が生ずる。そこで、従来技術においては、これらの問題の予防方法・改善方法として、血清コレステロール濃度等の低下を促す脂質代謝改善物についての提案が行われている。ここで、「脂質代謝」とは、食物に含まれる脂肪を生体内で分解・蓄積する過程を示し、脂肪酸の合成、脂質のエネルギー化反応、リン脂質の代謝、およびコレステロールの代謝等を含む概念である。
【0004】
従来技術にかかる脂質代謝改善物としては、例えば、乳酸菌を豆乳に作用させて得られる発酵豆乳を含有するものが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、現在においても、安全性および高い効果を有する新たな脂質代謝改善物が模索されているところである。
【0005】
ところで、長崎市およびその周辺の特定一部地域(長崎市大籠町、竿浦町、三和町、鹿の尾町、外海町出津など)には、「ゆうこう」と称されるカンキツ類の古木が分布している。「ゆうこう」は樹勢が強く豊産性で、果実は多汁で甘い香りがある。長崎県果樹試験場で品種鑑定した結果、「ゆうこう」は他のカンキツ類とは形質や性質に違いがあり、上述の地域で独自に増殖されてきたオリジナルの香酸カンキツの品種であることが判明した。しかし、「ゆうこう」については、地元の人々の間でもあまり知られておらず、一部の人において果汁をそのまま摂取したり、食酢として利用されたりしているにすぎない。
【0006】
【特許文献1】特開平10−229841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような状況の中、本発明者らは、新たな脂質代謝改善物を求めて日々研究を重ねていた。一方では、長崎市周辺に独自に増殖されてきた「ゆうこう」についても、その有効的な活用方法について日々研究を重ねていた。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来技術にかかる問題を解決するためになされたものであって、これまで有効利用されていなかった天然の植物である「ゆうこう」を用いて構成された脂質代謝改善物を提供することを課題とする。より具体的には、「ゆうこう」の果肉、果皮および種子の少なくとも一つを用いて構成された脂質代謝改善作用を発揮する組成物(脂質代謝改善物)を提供することを課題とする。また、本発明は、この脂質代謝改善物を含有する飲食品を提供することを課題とする。さらに、本発明は、この脂質代謝改善物を含有する医薬品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされた脂質代謝改善物であって、ゆうこうを用いて構成されたことを特徴としている。
【0010】
ゆうこうの果肉や果皮には、ヘスペリジンやナリルチンなどのフラボノイド類が他のカンキツ類に比較して多く含まれている。また、種子にもフラボノイド類が含まれている。そして、このフラボノイドには抗酸化機能による脂質代謝改善作用がある。したがって、このような構成によれば(「ゆうこう」を用いれば)、安全性および高い効果を有する脂質代謝改善物を得ることができる。すなわち、このような構成によれば、これまで有効利用されていなかった天然の植物である「ゆうこう」を用いることによって、副作用がなく長期にわたって摂取できる、安全な脂質代謝改善物を得ることができる。なお、このゆうこうには、ビタミンCや食物繊維も含まれているため、健康促進等にも効果がある。
【0011】
また、本発明は、上記課題を解決するためになされた脂質代謝改善物であって、ゆうこうの果肉、果皮、および種子の少なくとも一つを用いて構成されたことを特徴としている。つまり、本発明は、ゆうこうのすべてあるいは一部を用いて構成された脂質代謝改善物であることを特徴としている。本発明にかかる脂質代謝改善物において、これらを混合する場合、果肉と果皮と種子の混合割合は、どのような割合でも構わない。なお、必要に応じて、これらの中の二つを選択的に混合してもよい。
【0012】
また、本発明は、上記課題を解決するためになされた脂質代謝改善物であって、ゆうこうの果肉に対して、凍結乾燥処理および粉砕加工処理を施して得られたことを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、上記課題を解決するためになされた脂質代謝改善物であって、ゆうこうの果皮に対して、凍結乾燥処理および粉砕加工処理を施して得られたことを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、上記課題を解決するためになされた脂質代謝改善物であって、ゆうこうの種子に対して、凍結乾燥処理および粉砕加工処理を施して得られたことを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、上記課題を解決するためになされた脂質代謝改善物であって、凍結乾燥処理および粉砕加工処理が施された、ゆうこうの果肉、果皮、および種子の少なくとも一つを用いて構成されたことを特徴としている。つまり、本発明にかかる脂質代謝改善物は、ゆうこうそのもの、ゆうこうの果肉、果皮および種子を凍結乾燥して粉砕処理した粉末状のものであることを特徴としている。本発明にかかる脂質代謝改善物において、これらを混合する場合、果肉と果皮と種子の混合割合(粉末状に構成されたそれぞれの混合割合)は、どのような割合でも構わない。なお、必要に応じて、これらの中の二つを選択的に混合してもよい。
【0016】
さらに、本発明は、上記課題を解決するためになされた飲食品であって、上述したいずれかの構成を有する脂質代謝改善物を含有することを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、これまで有効利用されていなかった天然の植物である「ゆうこう」を用いることによって、副作用がなく長期にわたって摂取できる、安全な脂質代謝改善作用を有する飲食品(健康飲食品)を得ることができる。
【0018】
さらに、本発明は、上記課題を解決するためになされた医薬品であって、上述したいずれかの構成を有する脂質代謝改善物を含有することを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、これまで有効利用されていなかった天然の植物である「ゆうこう」を用いることによって、副作用がなく長期にわたって摂取できる、安全な脂質代謝改善作用を有する医薬品を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、「ゆうこう」を用いて構成された脂質代謝改善物を得ることができる。より具体的には、「ゆうこう」の果肉、果皮および種子の少なくとも一つを用いて構成された脂質代謝改善作用を発揮する組成物(脂質代謝改善物)を得ることができる。また、本発明によれば、この脂質代謝改善物を含有する飲食品を得ることができる。さらに、本発明によれば、この脂質代謝改善物を含有する医薬品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の脂質代謝改善物は、原料としてゆうこうを用いるもので、ゆうこうの果肉、果皮、および種子の少なくとも一つを用いて構成されたことを特徴としている。すなわち、果肉、果皮、種子のいずれか一つを用いても良く、いずれか二つの組み合わせでも良く、さらにすべてを用いても良い。
【0022】
本発明にかかる脂質代謝改善物は、前記ゆうこう果肉、果皮および種子を凍結乾燥して、粉砕加工処理を施して得られた構成であることが好ましい。さらに、前記粉砕加工処理を施されて粉末状態にある前記ゆうこう果肉、果皮および種子の大きさは、食べやすさや消化吸収効率向上のために、60メッシュ〜100メッシュであることが望ましい。但し、果肉については、凍結乾燥せずに搾汁することで果汁が得られるので、果肉を凍結乾燥して粉末状にしたものの代わりに果汁を用いても良い。
【0023】
以下、より具体的に、本発明にかかる脂質代謝改善物、およびこの脂質代謝改善物を含有する飲食品、同様にこの脂質代謝改善物を含有する医薬品について説明する。
【0024】
本発明において、原料として用いられるゆうこうは、長崎市およびその近郊に樹生するゆうこうと称される香酸カンキツとするが、その他の地域に樹生するゆうこうと同じ品種のものも含むものとする。
【0025】
本発明にかかる脂質代謝改善物は、次のようにして製造される。
【0026】
まず、ゆうこうの果実をゆうこう樹木より採取し、果肉、果皮および種子に分画した。
【0027】
次に、それぞれ(果肉、果皮および種子)について、約4週間凍結乾燥処理を施した。この凍結乾燥処理は、以下の条件にて行った。
装置:真空凍結乾燥機 NRD−150型(新日本製鉄株式会社製:東京)
温度条件:−45℃
圧力条件:10Pa以下
【0028】
次に、凍結乾燥処理が施された果肉、果皮および種子に対して、粉砕加工処理を施した。この粉砕加工処理は、以下の条件にて行った。
装置:パワーミル P−3型(株式会社ダルトン製:東京)
条件:孔径1.5mm目合
具体的には、果肉、果皮および種子が、60メッシュ〜100メッシュの大きさの粉末状態になるまで、粉砕加工処理を行った。
【0029】
本実施形態においては、上述した凍結乾燥処理と粉砕加工処理を施して得られた粉末状態の果肉、果皮および種子を「脂質代謝改善物」という。また、果肉については、果肉を搾汁した果汁を「脂質代謝改善物」としてもよい。さらに、ゆうこうそのもの、あるいは前述の果肉、果皮および種子の凍結乾燥粉末を二種類以上含むものを「脂質代謝改善物」としてもよい。
【0030】
なお、凍結乾燥処理と粉砕加工処理を施して得られた粉末状態の果肉、果皮および種子の化学組成は、次の通りであった。
果肉 果皮 種子
・タンパク質 5.03% 3.53% 10.86%
・脂肪 0.63% 1.40% 32.04%
・灰分 3.72% 3.34% 3.54%
・水分 15.43% 14.25% 4.80%
・糖質 75.19% 77.48% 48.76%
【0031】
本実施形態にかかる脂質代謝改善物は、各種飲食品の素材として使用することができる。飲食品としては、例えば、食用油(サラダ油、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(うどん、そば、ラーメン等)、乳製品(ヨーグルト、アイスクリーム、ミルク等)、調味料(醤油、味噌等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、茶、紅茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。これらの飲食品に本実施形態にかかる脂質代謝改善物であるゆうこう凍結乾燥粉末、ゆうこう果肉凍結乾燥粉末、ゆうこう果皮凍結乾燥粉末、ゆうこう種子凍結乾燥粉末、あるいはこれらを二種類以上組み合わせたものを適宜配合すると良い。なお、果肉については、凍結乾燥せずに搾汁することで果汁が得られるので、果肉を凍結乾燥して粉末状にしたものの代わりに果汁を用いても良い。
【0032】
これらの飲食品には、その必要に応じて種々の成分を配合することができる。
【0033】
飲食品の製法としては、本実施形態にかかる脂質代謝改善物の凍結乾燥粉末を、粉末のまま、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また、本実施形態にかかる脂質代謝改善物を、例えば、油脂、エタノール、グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし、飲料に添加するか、固形食品に添加することが可能である。必要に応じて、アラビアガム、デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし、飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
【0034】
本実施形態にかかる脂質代謝改善物を飲食品に適用する場合の添加量としては、病気予防や健康の維持増進等が主な目的であるので、飲食品に対して含有量が20%以下であることが望ましい。しかし、果肉粉末の代わりに果汁を用いる場合には、水分が果汁の大部分を占めることから0%より多く100%以下の含有量で使用しても良い。
【0035】
本実施形態にかかる脂質代謝改善物は、薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いても良い。本実施形態にかかる脂質代謝改善物に配合しうる製剤原料としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、吸着剤、滑沢剤などが挙げられる。これらの薬品に、本実施形態にかかる脂質代謝改善物であるゆうこう凍結乾燥粉末、ゆうこう果肉凍結乾燥粉末、ゆうこう果皮凍結乾燥粉末、ゆうこう種子凍結乾燥粉末、あるいはこれらを二種類以上組み合わせたものを適宜配合すると良い。
【0036】
本実施形態にかかる脂質代謝改善物の投与方法は、一般的には、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤、液剤等の形態で経口投与することができるが、非経口投与であっても良い。非経口剤として投与する場合は、溶液の状態、または分散剤、懸濁剤、安定剤等を添加した状態で、ハップ剤、ローション剤、軟膏剤、チンキ剤、クリーム剤等の剤形で適用することができる。
【0037】
投与量は、投与方法、症状、患者の年齢等によって変化しうるが、大人では、通常1日当たり機能成分として0.5〜5000mg、子供では、通常0.5〜3000mg程度投与することができる。
【0038】
脂質代謝改善物の配合比は、剤形によって適宜変更することが可能であるが、通常、経口または粘膜吸収により投与される場合は約0.3〜15.0%、非経口投与による場合は、0.01〜10%程度にすると良い。なお、投与量は種々の条件で異なるので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【0039】
<試験例1>
上記ゆうこうの脂質代謝改善物の効果を検討するために以下の動物実験を行った。
(1)試験物質の調製方法
試験食は、コントロール食として、AIN−76組成に基づいた純化食を用いた。すなわち、飼料の重量組成(g/kg)は、カゼイン200、コーン油100、コーンスターチ150、セルロース50、ミネラル混合(AIN−76−MX)35、ビタミン混合(AIN−76−VX)10、DL−メチオニン3、重酒石酸コリン2およびショ糖450とした。
【0040】
果肉群には、ゆうこう果肉凍結乾燥粉末を上記コントロール食に飼料総重量のそれぞれ5%添加し、その添加量分のショ糖量を減じた。
果皮群には、ゆうこう果皮凍結乾燥粉末を上記コントロール食に飼料総重量のそれぞれ5%添加し、その添加量分のショ糖量を減じた。
種子群には、ゆうこう種子凍結乾燥粉末を上記コントロール食に飼料総重量のそれぞれ5%添加し、その添加量分のショ糖量を減じた。
【0041】
(2)使用動物および飼育条件
4週齢の雄性Sprague−Dawleyラットを室温22±1℃、湿度55±5%、8:00(午前8時)〜20:00(午後8時)点灯のライトサイクルの動物飼育室で飼育した。最初の1週間はMF固形飼料を与えて予備飼育を行った。その後、ラットの体重に差がないように4群に分け、上述した試験食を4週間自由摂食させた。水も自由に摂取させた。飼育期間中、体重、摂食量を毎日測定した。
【0042】
【表1】

【0043】
血清中性脂肪濃度および肝臓中性脂肪濃度の測定を行った。その結果を上記表1に示す。
【0044】
この表1によれば、上記ゆうこう果肉凍結乾燥粉末、果皮凍結乾燥粉末および種子凍結乾燥粉末を摂取させた群では、血清と肝臓の中性脂肪濃度がコントロール食を摂取させた群より明らかに低かった。このことから、ゆうこう果肉、果皮および種子には血清と肝臓の中性脂肪濃度を低下させる効果のあることが認められた。
【0045】
【表2】

【0046】
血清コレステロール濃度および高密度リポタンパク質(HDL)−コレステロール濃度の測定を行った。その結果を上記表2に示す。
【0047】
この表2によれば、上記果肉凍結乾燥粉末を摂取した群では、血清コレステロール濃度がコントロール食を摂取した群より低かった。また、上記果皮凍結乾燥粉末を摂取した群では、血清HDL−コレステロール濃度がコントロール食を摂取した群より高かった。このことから、ゆうこう果肉には血清コレステロール濃度を低下させる効果があることが認められた。また、血清HDL−コレステロールは動脈硬化発症を抑制する効果のあることが知られており、ゆうこう果皮が血清HDL−コレステロール濃度を上昇させたことから、ゆうこう果皮には動脈硬化発症抑制効果を有することが認められた。
【0048】
【表3】

【0049】
血清過酸化脂質濃度および血清スーパーオキシドジスムターゼ阻害活性の測定を行った。その結果を上記表3に示す。
【0050】
この表3によれば、ゆうこう果肉凍結乾燥粉末および果皮凍結乾燥粉末を摂取した群では、血清過酸化脂質濃度がコントロール食を摂取した群より低かった。また、体内での過酸化脂質の生成に影響する活性酸素の生成を抑制する指標である血清スーパーオキシドジスムターゼ阻害活性は、ゆうこう果肉凍結乾燥粉末、果皮凍結乾燥粉末および種子凍結乾燥粉末を摂取した群で、コントロール食を摂取した群より高かった。このことから、ゆうこう果肉と果皮には体内での活性酸素の生成を抑制することで過酸化脂質濃度を低下させることが認められた。また、ゆうこう種子は活性酸素の生成を抑制する働きのあることが認められた。
【0051】
<まとめ>
以上の結果から、ゆうこう果肉凍結乾燥粉末、ゆうこう果皮凍結乾燥粉末、ゆうこう種子凍結乾燥粉末が、優れた脂質代謝改善作用を有することが明らかとなった。ゆうこうは、果肉、果皮および種子から構成されることから、ゆうこうそのものおよびゆうこうの凍結乾燥粉末どちらも脂質代謝改善作用を有することは明らかである。
【0052】
ゆうこうを採取する地域では、100年近くに亘りゆうこうの果汁をそのまま摂取したり、食酢として利用するなどの長い食経験があり、さらにゆうこう摂取による有害事象はまったく報告されていない。したがって、「ゆうこう」の安全性はかなり高いと判断される。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、本発明の脂質代謝改善物は、脂質代謝改善作用を有し、天然の食用植物(ゆうこう)に由来する組成物であるため、副作用が無く長期にわたって摂取できるものである。また、本発明にかかる「ゆうこう」を用いた脂質代謝改善物を用いれば、脂質代謝改善作用を有し、且つ、安全性の高い、飲食品や医薬品を提供することができる。
しかも本発明の素材である「ゆうこう」は、これまでほとんど利用されていなかった植物であることから、未利用資源の有効活用という利点も有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゆうこうを用いて構成されたことを特徴とする脂質代謝改善物。
【請求項2】
ゆうこうの果肉、果皮、および種子の少なくとも一つを用いて構成されたことを特徴とする脂質代謝改善物。
【請求項3】
ゆうこうの果肉に対して、凍結乾燥処理および粉砕加工処理を施して得られたことを特徴とする脂質代謝改善物。
【請求項4】
ゆうこうの果皮に対して、凍結乾燥処理および粉砕加工処理を施して得られたことを特徴とする脂質代謝改善物。
【請求項5】
ゆうこうの種子に対して、凍結乾燥処理および粉砕加工処理を施して得られたことを特徴とする脂質代謝改善物。
【請求項6】
凍結乾燥処理および粉砕加工処理が施された、ゆうこうの果肉、果皮、および種子の少なくとも一つを用いて構成されたことを特徴とする脂質代謝改善物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項にかかる脂質代謝改善物を含有することを特徴とする飲食品。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項にかかる脂質代謝改善物を含有することを特徴とする医薬品。

【公開番号】特開2008−231024(P2008−231024A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72562(P2007−72562)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(505225197)長崎県公立大学法人 (31)
【出願人】(596107383)
【Fターム(参考)】