説明

脊柱外科手術中に神経を監視するための器具および方法

システムおよび方法は、椎骨に係合可能なアンカ(30、330)と、アンカ(30、330)に脱着可能に取り付けられたエキステンダ(10、110、310)とを含む。エキステンダ(10、110、310)は、エキステンダ(10、110、310)を電気的に絶縁するために、その周りに少なくとも部分的に延在し、エキステンダ(10、110、310)を通してアンカ(30、330)に送られる電気信号が、エキステンダ(10、110、310)に隣接する構造物に分路するのを阻止する絶縁部材(26、126、226、326)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、外科手術用器具、およびその使用方法に関し、より詳細には、脊柱外科手術中に神経の近接を監視するための器具および方法に関するが、それに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
神経を監視するための外科手術用装置が、装置に対する神経の近接を検出するために使用されている。そのような装置は、信号強度および神経の近接に基づいて神経反応を測定するために、装置を通して送られる電気信号を使用する。そのような装置は、通常、標的とする組織または移植片に接触するように配置可能な遠位端と、手術中に必要に応じて遠位端を配置し直すように操作可能な近位端とを有するプローブまたは針を使用する。外科手術中に、体内組織、器具、および他の構造物が、標的とする組織または移植片へのアクセスを妨げる場合には、電気信号がこれらの構造物に分路するのを阻止するために、これらの構造物を配置し直すか、または除去しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気信号が隣接する構造物に分路する影響を最小限に抑え、または排除しつつ、手術中に体内組織、外科手術用の器具、および他の構造物を除去するまたは配置し直す必要を低減するあるいはなくする、脊柱外科手術中に神経を監視するための外科手術用の器具および方法が、今なお必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このシステムおよび方法は、椎骨に係合可能なアンカと、アンカに脱着可能に取り付けられたエキステンダとを含む。エキステンダは、エキステンダを通してアンカに送られる電気信号から隣接する組織を絶縁し、エキステンダに隣接する組織、器具、および他の構造物に電気信号が分路するのを阻止するための絶縁部材を含む。エキステンダがアンカに取り付けられた状態でアンカが椎骨に係合されたときに、神経素子の電気信号に対する反応を測定することにより椎骨内の神経素子に対するアンカの近接を監視することができる。アンカとエキステンダの互いに対する脱着可能な係合を維持したまま、必要に応じてアンカを配置し直す、またはアンカの向きを変えることができる。
【0005】
これらの態様およびその他の態様は、以下でさらに説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の原理の理解を促進する目的で、図面に例示された実施形態に言及し、それを説明するために具体的な用語を使用する。しかし、それにより本発明の範囲を限定する意図はないことを理解されたい。本発明の当業者には通常想起されるであろう、例示の装置の変更形態およびさらなる変形形態、ならびに本明細書で説明される発明の原理のさらなる適用例が考えられる。
【0007】
本発明は、脊柱外科手術中に神経の近接を監視するシステムおよび方法に関する。一形態では、このシステムおよび方法は、椎体の骨組織に係合可能なアンカと、アンカに脱着可能に取り付けられたエキステンダとを含む。エキステンダは、導電性材料から作成された本体を含む。本体は、エキステンダに脱着可能に結合されたアンカにエキステンダの本体を通して電気信号を送るための電気信号源に、電気的に結合されることができる。アンカが椎体に係合されたときに、神経素子のアンカに対する近接を監視することができる。エキステンダは、エキステンダの本体を絶縁し、隣接するエキステンダに隣接する体内組織、器具、および他の構造物に電気信号が分路するのを阻止する、本体の周りに延在する絶縁部材を含む。
【0008】
エキステンダは、アンカに脱着可能に取り付けることができる任意のタイプの構造物であればよい。エキステンダは、エキステンダの遠位端に取り付けられたアンカが患者に配置されたときに、体内組織を通ってアンカに至る通路を提供してもよい。通路は、エキステンダによって囲まれていてもよく、あるいは、エキステンダの長さの全体または一部分に沿って開放していてもよい。エキステンダは、例えば、アンカが椎骨に係合されたときにアンカの係合を維持し、患者内でアンカの一部分を侵襲を最低限に抑えた手順で配置し直すのを容易にすることによって、患者の体内でのアンカの操作をさらに容易にすることができる。エキステンダはまた、例えば椎骨間の位置ずれを低減する、あるいは椎骨を圧迫するまたはそらすために、アンカおよび/またはアンカが係合された骨組織に力を加えることができる。
【0009】
一実施形態では、エキステンダの絶縁部材は、エキステンダの本体上の被膜剤である。別の実施形態では、絶縁部材は、エキステンダの本体の周りで互いに脱着可能に係合することができる第1の部分および第2の部分を少なくとも含む。さらなる実施形態では、絶縁部材は、エキステンダの本体の周りに配置されたスリーブである。スリーブは、エキステンダに脱着可能に係合されてもよいし、脱着不可能に係合されてもよい。絶縁部材は、エキステンダの遠位端から、エキステンダの近位端から遠位側に間隔を空けた場所まで延在する。電気リード線がエキステンダの近位端から延出することができ、その場所で、電気リード線は、電気信号を発生するように動作可能な電源に電気的に結合されることができる。絶縁部材は、再利用のために加圧滅菌が可能であってもよいし、1度だけの使用のために使い捨てにしてもよい。
【0010】
一実施形態では、エキステンダは、エキステンダに脱着可能に係合したアンカと連通するようにエキステンダに沿って延在する通路を画定する。駆動器具が通路を通して配置され、アンカに係合されて、アンカにエキステンダを通して電気信号が送られる間、アンカを椎骨の中へ進ませることができる。絶縁部材がエキステンダに隣接する組織、器具、および他の構造物から電気信号を絶縁するので、エキステンダは、アンカが椎骨に係合される間に、隣接する組織または器具と接触する侵襲を最低限に抑えたアクセスポータルに使用されることができる。
【0011】
本明細書で論じられるアンカは、多軸のアンカでも単軸のアンカでもよい。アンカは、椎体に係合可能な遠位側下部と、移植片を係合することができる近位側レシーバとを含む。一実施形態では、下部は、ねじ付シャフトとレシーバに枢動式に捉えられた近位側ヘッドとを有する骨ねじの形をとることができる。別の実施形態では、レシーバは、単軸の構成の、下部を有する1つの部片として形成される。他の実施形態では、下部は、フック、ステープル、ケーブル、つなぎケーブル、縫合アンカ、体内融合移植片、人工ディスク移植片、ボルト、または骨組織に係合可能な他の構造物の形をとることができる。レシーバは、1つまたは複数の追加の椎骨に固定された1つまたは複数の追加のアンカの間に延在するロッドまたは他の細長い連結部材を受けるレセプタクルを有する形状とすることができる。レシーバは、脊柱プレートなどの連結要素が周りに配置された、細長いステム、シャフト、または拡大頭部の形で提供されることができる。
【0012】
エキステンダは、エキステンダをアンカに解除可能に取り付けることができる任意のやり方でアンカに結合することができる。エキステンダは、アンカのレシーバの対応する雄ねじまたは雌ねじに係合するための雌ねじまたは雄ねじを含むことができる。エキステンダは、アンカのレシーバを締め金で固定する1つまたは複数の構成要素を含むことができる。エキステンダは、アンカのレシーバの1つまたは複数のレセプタクルに係合する、エキステンダの本体に沿って延在する1つまたは複数の部材を含むことができる。アンカのレシーバにスナップ嵌め、摩擦係合、締まり嵌め、または他のやり方で解除可能に係合するエキステンダが考えられる。さらに別の実施形態では、エキステンダは、レシーバではなく、またはレシーバに加えて、アンカの下部に係合する1つまたは複数の部材を含む。
【0013】
次に図1および図2を参照すると、遠位端14と近位端16の間に延在する本体12を含むエキステンダ10が示されている。絶縁部材26が、本体12の長さの少なくとも一部分に沿って、本体12の周りに延在する。通路18が、本体12を貫通して延在し、遠位端14および近位端16で開口する。本体12は、近位端16に隣接し本体12から延出するリード線20を含む。リード線20は、電気信号源24に電気的に結合することができる。信号源24は、本体12にリード線20を通して送ることができる電気信号を少なくとも発生するように動作可能である。信号源24は、制御部、表示部、記憶部、実行可能なプログラム、あるいは、電気信号を発生させ、アンカ30への近接を測定または表示するのに望ましい、その他の任意の構成要素またはシステムを含んでもよい。一実施形態では、信号源24は、メドトロニック社 (Medtronic, Inc)によって販売されているNIM―Spine(商標)システムの一部である。システム10もまた、他の神経監視システムでの適用例がある。
【0014】
別の実施形態では、エキステンダ10は、リード線20を備えていない。そのかわりに、プローブまたはその他の器具など、電気信号を送るように動作可能な器具が、本体12の絶縁部材26で保護されていない部分に接触するように配置されている。例えば、プローブを近位端16に接触するように配置することができ、プローブからの電気信号は、本体12を通して本体12に結合されたアンカ30に送られる。
【0015】
絶縁部材26は、本体12の外周部の全体または一部分の周りに塗布された被膜剤の形をとることができ、あるいは、本体12の外周部の全体または一部分の周りに嵌合したスリーブの形をとることができる。一実施形態では、絶縁部材26は、本体12の周りにぴったりと嵌合する可撓性のあるスリーブの形をとることができる。さらなる実施形態では、絶縁部材26は、堅い本体構造を有し、本体12の全体または一部分の周りに取り付けられる。別の実施形態では、絶縁部材26は、本体12の全体または一部分の周りに固定することができる2つ以上の構成要素を備える。いずれの実施形態においても、絶縁部材26は、任意の適切な電気的絶縁材料から成ればよい。
【0016】
アンカ30は、エキステンダ10の遠位端14に解除可能に係合される。アンカ30は、骨組織に係合可能な下部32と、移植片またはその他の装置と係合するためのレシーバ34とを含む。一実施形態では、アンカ30の下部32は、骨組織とねじ係合されるねじ付シャフトである。ねじ付シャフトは、骨組織への挿入が容易になるように、セルフドリリングおよび/またはセルフタッピングねじのプロフィールを備えることができる。別の実施形態では、ねじ付シャフトは、椎体にあらかじめドリルしあらかじめタップした穴に挿入するように構成される。
【0017】
一実施形態では、アンカ30は有茎ねじである。レシーバ34は、脊柱に沿って配置可能なロッド40などの移植片を受けるレセプタクルを有するU字形のサドルの形をとることができる。一実施形態では、サドルは、下部32に対して枢動自在であり、下部32は、レシーバ34に枢動式に捉えられる。例えば、下部32は、近位端または上端部に、レシーバ34の遠位側に開口したレセプタクルを形成するボウルに枢動式に捉えられた拡大頭部を備えることができる。下部32が骨組織に係合すると、レシーバ34は、枢動式に調整することができ、ロッド40との係合のために必要に応じて配置し直すことができる。他の実施形態では、レシーバ34は、下部32と一体になり単一の部片として形成されて、単軸のアンカ30を提供する。さらに、ロッド40をレシーバ34に固定するために、レシーバ34の内部および/または周りに係合するために、止めねじ、ワッシャ、クラウン、キャップ、またはその他の装置が提供されてもよい。
【0018】
一手順では、エキステンダ10は、アンカ30に解除可能に取り付けられており、アセンブリは、アンカ30を椎弓根などの椎骨の骨組織に係合するために、侵襲を最低限に抑えたアクセスポータルを通して挿入されることができる。侵襲を最低限に抑えたアクセスポータルは、微小切開、スリーブ、拡張可能な作業チャネルを有するスリーブ、開創刃、または開創器システムの2つ以上の開創刃によって提供されることができる。
【0019】
アセンブリは、蛍光透視画像、内視鏡観察、またはその他の適切な観察システムまたは画像システムを使用して、アンカ30を所望の軌道または経路に配置して椎骨の中に入れるように案内されることができる。下部32は、駆動器具を、通路18を通してアンカ30に係合するように配置することにより、椎骨に係合することができる。下部32が進められて椎骨と係合されたときに、下部32への神経素子の近接を監視することができる。本体12から下部32に送られる電気信号が、神経構造物に十分に近接すると、電気信号に対する神経の反応が示され、神経構造物との衝突を防ぐために、下部32の係合の向きを変える、あるいは停止することができる。
【0020】
一実施形態では、エキステンダ10は、レシーバ34をその間で選択的に把持および解放するように互いに近づく方向、および離れる方向に動かすことができる遠位側腕部28を含む。図2に示すように、本体12は、外側スリーブ13および外側スリーブ13内に受けられる内側スリーブ15を含む。絶縁部材26は、外側スリーブ13の周りに延在する。腕部28は、内側スリーブ15の遠位端の一部分を含み、外側スリーブ13を内側スリーブ15に対して遠位側および近位側に移動させることにより互いに近づく方向、および離れる方向に動かすことができ、それにより腕部28の間でアンカ30を選択的に把持および解放する。内側スリーブおよび外側スリーブを含むエキステンダの構成の例は、米国特許第6,530,929号、2004年1月30日出願の米国特許出願第10/769,569号、および2003年9月29日出願の米国特許出願第10/674,036号に示されており、前記各特許の全体は参照により本明細書に援用される。
【0021】
図3〜図5には、第1の構成要素228および第2の構成要素230を含む別の実施形態の絶縁部材226が示されている。第1の構成要素228および第2の構成要素230はそれぞれ、エキステンダ10の本体12の外周部の一部分の周りに延在するように構成されている。構成部品228、230は、本体12を絶縁し、本体12を通して送られる電気信号が、体内組織、外科手術用の器具、およびエキステンダ10の本体12に隣接する他の構造物に分路するのを阻止するように、エキステンダ10の本体12の周りで互いに脱着可能に係合することができる。
【0022】
図示の実施形態では、第1の構成要素228および第2の構成要素230は、本体12の外側延出腕部28に沿って延在しそれを受ける外側延出足部236、238を含む。足部236、238は、エキステンダ10の本体12が患者の体内に配置可能な非絶縁部分を含まないように、アンカ30に係合した本体12の遠位部14に沿って延在する絶縁部材を提供する。
【0023】
第1の構成要素228および第2の構成要素230は、突起部232および凹部234を含むことができる。突起部232は、それと位置が合う凹部234に受けられることができ、それにより第1の構成要素228および第2の構成要素230をエキステンダ10の本体12の周りで互いに固定する。その他の結合の構成も考えられる。例えば、第1の構成要素228と第2の構成要素230を、クリップ、バンド、接着剤、ピン、またはその他の適切な結合の構成により、本体12の周りで係合することができる。
【0024】
図6〜図7は、遠位端114と近位端116の間に延在する本体112を含む別の実施形態のエキステンダ110を示している。絶縁部材126が、本体112の周りに少なくとも部分的に延在する。本体112は、本体112と電気的に連絡したリード線またはプローブから、遠位端114に結合されたアンカに電気信号を送る導電性材料から作成される。絶縁部材126は、体内組織、外科手術用の器具、および本体112に隣接する他の構造物を、本体112を通して送られる電気信号から絶縁するのに十分な絶縁特性を有する材料から作成される。
【0025】
図6〜図7の実施形態では、本体112は、本体112を貫通する通路118を画定するC字形の断面を含む。固定部材128、130が本体112を貫通してまたはそれに沿って設けられ、アンカを遠位端114に隣接して解除可能に係合し、本体112をアンカに固定する。図示の実施形態では、固定部材128、130は細長いピンであり、そのそれぞれの遠位端をアンカのレシーバのねじの切られた穴にねじ係合するように、本体112に対して回転可能である。エキステンダ110をアンカに締め金で固定する、摩擦係合する、あるいはその他の方法で解除可能に取り付ける、その他の取付け構造も考えられる。
【0026】
本体112は、体内組織をエキステンダ110に沿って後退させるように、また、遠位端114に隣接するアンカまたは手術部位への通路118を提供するように配置可能であり、それにより、アンカを椎骨に係合すること、および移植片をアンカに隣接して配置することが容易になる。絶縁部材126もまた、本体112のC字形の断面に適合するC字形の断面を含むことができる。C字形の断面は、遠位端114に隣接するアンカへのアクセスを提供する通路118を形成する。
【0027】
絶縁部材126は、本体112の、通路118とは反対側の外側後退表面の少なくとも一部分の周りに延在する、被膜剤、シース、分離可能な構成要素、または他の構造物の形をとることができる。図示の実施形態では、絶縁部材126は、本体112と脱着可能に係合するように、本体112に沿って縦方向に配置することができる。外側後退表面が体内組織を内側凹形壁面と接触させないように保つので、通路118を画定する本体112の内側凹形壁面は、絶縁部材で覆われる必要がない。別の実施形態では、絶縁部材126は、本体112の表面全体を覆う。
【0028】
次に図8を参照すると、別の実施形態のアンカ330および絶縁されたエキステンダ310が示されている。アンカ330は、椎体の骨組織に係合可能であり、椎骨をねじ係合するためにねじのプロフィールをもつシャフトを有する下部332を含んでもよい。アンカ30の下部32に関して上記で説明したように、下部332には、他の任意の適切な骨係合構造も考えられる。レシーバ部材334が、下部332の近位端に設けられ、それに対して固定または枢動可能である。レシーバ部材334は、レシーバ部材334から近位側に延出する上部336を含む。上部は、移植片を受け、移植片をアンカ330に結合するための任意の適切な構造を含んでよい。
【0029】
図示の実施形態では、上部336は、取付部338から延出する脱着可能に取り付けられたエキステンダ310を含む。 エキステンダ310は、隣接する体内組織および/または外科手術用の器具を、エキステンダ310を通してアンカ330に送られる電気信号から絶縁するための、エキステンダ310の周りに延在する絶縁部材326を含む。絶縁部材は、上記で説明した任意の適切な構成を含んでもよい。アンカ330は、レシーバ部334に係合された駆動工具を用いて、駆動工具がエキステンダ310の周りでアンカ330に係合することによって、または、駆動工具が本体312の通路(図示せず)を貫通して配置されることによって、椎骨に係合可能である。下部332の配置、および下部の神経素子への近接は、下部332にエキステンダ310を通して電気信号を送ることにより監視される。プレートなどの移植片340が、エキステンダ310の周りに配置可能であり、また、エキステンダ310に沿って移動可能であり、それにより、移植片340をレシーバ部334に隣接して配置するのが容易になる。そのようなアンカおよび移植片のアセンブリのさらなる例が、2004年10月5日出願の米国特許出願第10/959,668号に示されており、前記特許の全体は参照により本明細書に援用される。
【0030】
一実施形態では、エキステンダ310は、上部336の下側取付部338と一体形成され、エキステンダ310に十分なトルクを加えると脱着可能である。上部336は、エキステンダ310と取付部338の間に離脱部を備えることができる。移植片340は、止めねじ、ナット、または他の固定用装置を用いて下側取付部338の周りに固定可能である。エキステンダ310は、移植片340を固定する前に取り外すこともできるし、移植片340が取付部338に固定されるまで取り付けられた状態を保つこともできる。
【0031】
本発明を、図面および上記の説明で詳細に図示および説明してきたが、図面および上記の説明は例示的なものであり、限定的な性格はないものと考慮されたく、好適な実施形態を図示し説明しただけであり、本発明の趣旨に沿ったすべての変更形態および変形形態を保護することが望まれることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】アンカおよびアンカから延出する絶縁されたエキステンダを含む神経監視システム、ならびにアンカを通して延在するロッドの斜視図である。
【図2】図1の線2−2に沿う断面図である。
【図3】別の実施形態の絶縁部材の組み立てられていない状態の立面図である。
【図4】図3の絶縁部材の組み立てられた状態の図である。
【図5】図4の組み立てられた絶縁部材の右手側の端面図である。
【図6】別の実施形態の絶縁されたエキステンダの斜視図である。
【図7】図6の線7−7に沿う断面図である。
【図8】絶縁されたエキステンダを有する別の実施形態のアンカ、およびアンカに隣接するプレート部材を部分的に断面で示した立面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脊柱外科手術中に神経の近接を監視するためのシステムであって、
椎体に係合可能なアンカと、
前記アンカに脱着可能に取り付けることができる遠位端と近位端の間に延在する細長い本体を含むエキステンダと、を備え、
前記本体は、導電性材料から成るとともに、前記エキステンダの前記本体の少なくとも一部分の周りに絶縁部材をさらに含み、
前記絶縁部材は、前記エキステンダが前記患者内で前記アンカに取り付けられたときに、前記本体の前記一部分に隣接する構造物を、前記エキステンダの前記本体を通して前記アンカに送られる電気信号から絶縁する特性を有する材料から成る、システム。
【請求項2】
前記エキステンダの前記本体は、前記エキステンダの前記遠位端と前記近位端の間に延在する通路を含み、
前記通路は、前記アンカを椎骨に係合させるために前記アンカに係合することができる外科手術用器具を受ける寸法である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記通路は前記本体によって囲まれている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記通路は前記本体の長さの少なくとも一部分に沿って開口している、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記アンカは、椎体に係合するための下部と、前記下部が前記椎体に係合されたときに、前記椎体に沿って配置可能な移植片に係合するためのレシーバとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記移植片は、ロッドおよびプレートからなる群から選択される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記レシーバは、前記移植片を受けるための取付部を備える近位側延出部を含み、
前記エキステンダは、前記取付部に脱着可能に取り付けられる、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記レシーバは、前記下部に対して枢動自在である、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記レシーバおよび前記下部は単軸である、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記レシーバは、ロッドを受けるためのU字形の通路を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記レシーバは、プレートを取り付けるための取付部を含む近位側延出部を含み、
前記エキステンダは、前記取付部と一体的かつ取り外し可能に形成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項12】
前記絶縁部材は、前記エキステンダの前記本体上のコーティングから成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記絶縁部材は、前記エキステンダの前記本体の周りに配置されたスリーブである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記絶縁部材は、第1の構成要素と前記第1の構成要素に取り外し可能に結合された第2の構成要素とを少なくとも含み、
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、互いに結合されたときに、前記エキステンダの前記本体のほぼ周りに延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、互いに長手方向で結合される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、それに沿っていくつかのピンおよびレセプタクルを含み、
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素を前記エキステンダの前記本体の周りで互いに結合するために、前記ピンが前記レセプタクルのうちの対応するレセプタクルに取り外し可能に受けられる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、前記本体部に結合されたときに、前記本体部の周りに完全に延在する、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記エキステンダは、前記エキステンダの遠位端に1対の腕部を含み、
前記腕部は、前記アンカをその間に取り付けるために互いに近づく方向に移動可能であるとともに、前記アンカを解放するために互いに離れる方向に移動可能であり、
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、それぞれ、前記腕部のそれぞれに沿って延出するようになされた外側延出足部を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記エキステンダは、前記絶縁部材の近位側に延出する近位側端部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記エキステンダは、前記近位側端部から延出する電気リード線を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
患者の脊柱外科手術中に神経の近接を監視するためのシステムであって、
脊柱移植片を係合するためのレシーバ、および椎骨に係合可能な下部を含む、椎体に係合可能なアンカと、
遠位端と近位端との間に延在する細長い本体を含むエキステンダと、
を備え、
前記本体は、前記近位端から前記遠位端までの通路を画定し、
前記本体は、前記アンカが前記エキステンダに取り外し可能に取り付けられたときに、前記アンカまでの導電性の経路を提供し、
前記エキステンダは、前記エキステンダの前記本体の少なくとも一部分の周りに絶縁部材をさらに備え、それにより、前記エキステンダが前記アンカに取り付けられたときに、前記本体の前記一部分に隣接する構造物が、前記エキステンダの前記本体を通して前記アンカに送られる電気信号から絶縁される、システム。
【請求項22】
前記通路は、前記本体によって囲まれている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記通路は、前記本体の少なくとも一部分に沿って開口している、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記レシーバは、脊柱移植片を受けるための取付部を備える近位側延出部を含み、
前記エキステンダは、前記取付部に取り外し可能に取り付けられる、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記レシーバは、前記下部に対して枢動自在である、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記レシーバおよび前記下部は単軸である、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記絶縁部材は、前記本体部上のコーティングから成る、請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
前記絶縁部材は、第1の構成要素と前記第1の構成要素に取り外し可能に結合された第2の構成要素とを少なくとも含み、
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、細長く、かつ前記エキステンダの前記本体のほぼ周りに延在する、請求項21に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、前記本体部に結合されたときに、前記本体部の周りに完全に延在する、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記エキステンダは、前記エキステンダの遠位端に1対の腕部を含み、
前記腕部は、前記アンカをその間に取り付けるために互いに近づく方向に移動可能であるとともに、前記アンカを解放するために互いに離れる方向に移動可能であり、
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、それぞれ、前記腕部のそれぞれに沿って延出するようになされた外側延出足部を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記エキステンダは、前記近位端に隣接して前記エキステンダから延出する電気リード線を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項32】
エキステンダをアンカの近位側レシーバに脱着可能に係合させるステップと、
前記アンカの下側遠位部を椎骨の中へ前進させるステップと、
前記エキステンダを通して前記アンカに電気信号を送るステップと、
前記エキステンダの周りに延在する絶縁部材を用いて、前記エキステンダに隣接する構造物から電気信号が分路するのを阻止するステップと、
前記電気信号に対する神経素子の応答に基づいて、椎骨内の前記アンカの位置に対する神経素子の近接を判定するステップと、
を含む、患者内にアンカを係合する方法。
【請求項33】
前記アンカの前記下部に対する前記神経素子の前記近接に応答して、前記椎骨内の前記アンカの位置を調整するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記構造物は体内組織を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
電気信号を送る前に、前記エキステンダの周りで絶縁部材の第1の構成要素と第2の構成要素とを係合させるステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記エキステンダの通路に駆動器具を配置するステップと、
前記駆動器具を用いて前記アンカの前記下部を椎骨内へ前進させるステップと、
をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
電気信号を送るステップは、前記駆動器具を用いて前記アンカの前記下部を前記椎骨内へ前進させながら電気信号を送るステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
電気信号が分路するのを阻止するステップは、前記エキステンダの周りに絶縁されたコーティングを提供するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
電気信号を送るステップは、前記エキステンダから延出するリード線を電気信号源に結合するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
電気信号を送るステップは、前記エキステンダに電気信号を送るように動作可能な器具を、前記エキステンダの絶縁されていない部分に接触させるステップを含む、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−531228(P2008−531228A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558354(P2007−558354)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/009368
【国際公開番号】WO2006/094314
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】