説明

脱硫吸着剤、その製造及び利用法

【課題】分解ガソリン又はディーゼル燃料から硫黄を除去するための吸着剤であって、大幅に改善された活性を有する吸着剤を提供する。
【解決手段】本発明は、分解ガソリンやディーゼル燃料から硫黄を除去する脱硫吸着剤であって、シリカ源、無機酸化物バインダ、並びに、少なくとも1つの、IIB、VB及びVIB族の中から選択される金属の酸化物、から成る担体と、酸化状態にある硫黄を硫化水素に還元することが可能で、かつ、0.5未満のη値(η<0.5)を有する少なくとも1つの反応促進金属と、を含む脱硫吸着剤を提供する。ここで、η=(結晶相の反応促進金属の量(百分率))/(吸着剤中の反応促進金属の量(百分率))である。吸着剤中の活性成分は単層分散に近い状態で担体上に均一に分散され、これにより吸着剤の活性を大幅に改善する。その調製方法と上記吸着剤の使用法とが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解ガソリンやディーゼル燃料等の液体燃料から硫黄を除去するための吸着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護の認識の高まりとともに、環境規制が徐々に厳格化されてきている。燃料中に含まれる硫黄が自動車及び車両の触媒コンバータの性能に悪影響を与えるため、ガソリン又はディーゼル燃料中の硫黄含有率を下げることが、空気の質を改善するための最も重要な手段の一つであると考えられている。自動車のエンジンからの排ガス中に存在する硫黄酸化物によって、コンバータ中の貴金属触媒の活性が阻害され、触媒が不可逆的に被毒する。無効化され又は被毒したコンバータから放出されるガスは、未燃焼の非メタン炭化水素、窒素酸化物、一酸化炭素を含み、これらはすべて日光による触媒作用を受けて容易に光化学スモッグを形成する。
【0003】
中国では、ガソリン類に含まれる硫黄の大半は、主として触媒分解ガソリンである熱処理ガソリンから発生する。従って、分解ガソリン中の硫黄含有率を下げることにより、これらのガソリンの硫黄含有率を低下させることが容易になるであろう。ガソリン製品に関する現在の基準は、GB17930−2006、「自動車用ガソリン」であり、これは、ガソリンの硫黄含有率を更に制限し、2009年12月31日までに、ガソリンの硫黄含有率を50ppmまで低減することを要請している。この状況は、その環境規制を満たすために、分解ガソリンを大幅に脱硫しなければならないということを意味している。
【0004】
自動車燃料の硫黄含有率を下げるときに、その自動車燃料の燃焼特性を維持するため、オクタン価(Research Octane Number;ROM、及び/又はMotor Octane Number;MON)の低下をもたらすオレフィン含有率の変化は避けなければならない。一般に、オクタン含有率に対する否定的な変化は、チオフェン化合物(チオフェン、ベンゾチオフェン、アルキルチオフェン、アルキルベンゾチオフェン、アルキルジベンゾチオフェンを含む)の除去によって引き起こされる水酸化反応によって引き起こされる。更に、水酸化状態下での飽和による分解ガソリン中の芳香族炭化水素の損失も回避されるべきである。したがって、最も望ましいアプローチは、ガソリンのオクタン価を維持しながらガソリンを脱硫することである。
【0005】
他方、炭化水素の水素化脱硫と水素化は共に水素を消費するものであり、それによって脱硫処理コストが増大する。従って、大量の水素を消費することなく、それによって分解ガソリン又はディーゼル燃料を処理するためのより経済的な脱硫方法を提供することが求められている。
【0006】
従来、液相中での脱硫のため、通常、固定層法が利用されている。しかしながら、この方法は、反応の均質性及び材料の再生の点において不利である。固定層法と比較して、流動層法は、良好な熱伝達と圧力低下のために、将来においてより広範な応用が期待されている点で有利である。この点に関して、流動層反応器は、通常、粒状反応物質が備えられ、使用される触媒粒子には十分な耐摩耗性が必要とされる。従って、極めて優れた耐摩耗性と脱硫性能とを兼ね備えた吸着剤を見出すことが非常に重要である。
【0007】
中国特許CN1110931AとCN1151333Aには、酸化亜鉛と、二酸化ケイ素と、コロイド状酸化物と、反応促進剤とを含む新規な吸着組成物、及びその製造方法が記載されている。この方法においては、圧力形成法によって流動可能粒子が作られ、前記コロイドに加熱されたときに引火する増孔剤を添加することにより、粒子の細孔容積を増大させる。
【0008】
米国特許公報US6150300A、中国特許公報CN1355727A及びCN1382071Aには、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、還元状態のニッケル又はコバルト、の混合物を含む粒状吸着組成物が開示されている。この吸着剤はまず、せん断力を加えながらシリカとアルミナと酸化亜鉛とを混合し、その固形粒子を造粒機によって形成することによって作られる。これらの方法において、活性成分ニッケルが含浸によって導入される。
【0009】
中国特許公報CN1422177A及びCN1627988Aには、酸化亜鉛と膨張パーライトとアルミナとを含む吸着担体を、ニッケルやニッケル酸化物等の反応促進剤、又は、ニッケル酸化物の前駆体によって含浸し、その後、それによって得られる反応促進金属吸着担体組成物中の反応促進金属剤の原子価を下げることによって作られる耐摩耗性の吸着組成物が開示されている。この吸着組成物は、分解ガソリンやディーゼル燃料から、硫黄元素及び硫化物、例えば、硫化水素や有機硫化物、を除去するのに有効である。これらの特許によれば、吸着担体に、前駆物質を含有する反応促進金属を含浸させることによって活性成分を導入することができ、この含浸法は、簡単な製造と実施においては有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】中国特許公報CN1110931A
【特許文献2】中国特許公報CN1151333A
【特許文献3】米国特許公報US6150300A
【特許文献4】中国特許公報CN1355727A
【特許文献5】中国特許公報CN1382071A
【特許文献6】中国特許公報CN1422177A
【特許文献7】中国特許公報CN1627988A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、それによって導入される反応促進金属は、十分な均質性を有していないことがしばしばあり、それにより吸着剤中の脱硫性能が不十分となる可能性がある。このような状況においては、吸着剤の活性を高めるため、通常、反応促進金属の使用量が増量されるが、それによって、吸着剤の製造コストも増大する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、分解ガソリン又はディーゼル燃料から硫黄を除去するための吸着剤であって、大幅に改善された活性を有する吸着剤を提供する。一実施例において、本発明の吸着剤は、その担体中に均一に分散された活性成分を有する。別実施例において、前記活性成分は、実質的に、前記担体上の単層分散物として分散される。
【0013】
本発明は、更に、そのような吸着剤の製造方法も提供する。
【0014】
本発明は、更に、そのような吸着剤の、例えば分解ガソリン及び/又はディーゼル燃料からの硫黄元素及び硫化物の除去への利用法も提供する。
【0015】
一実施例において、本発明による吸着剤は、
1)シリカ源、無機酸化物バインダ、並びに、少なくとも1つの、IIB、VB及びVIB族の中から選択される金属の酸化物、から成る担体と、
2)酸化状態にある硫黄を硫化水素に還元することが可能で、かつ、0.5未満のη値(η<0.5)を有する少なくとも1つの反応促進金属と、
を含む。
ここで、前記パラメータηは、
η=(結晶相の反応促進金属の量(百分率))/(吸着剤中の反応促進金属の量(百分率))
として定義される。
【0016】
ηを計算するための上記百分率を測定する方法については、以下に例示する。
【0017】
ここに提供される吸着剤は、当該吸着剤の総重量を基準として、約1〜約40重量%のシリカ源と、約10〜約80重量%の金属酸化物と、酸化物として約3〜約35重量%の無機酸化物バインダと、酸化物として約3〜約30重量%の反応促進金属と、を含む。好ましくは、前記吸着剤は、当該吸着剤の総重量を基準として、約10〜約25重量%のシリカ源と、約40〜約60重量%の金属酸化物と、酸化物として約10〜約18重量%の無機酸化物バインダと、酸化物として約5〜約20重量%の反応促進金属と、を含む。より好ましくは、前記反応促進金属の含有率は、約8〜約20重量%の範囲である。
【0018】
ここに提供される前記吸着剤によれば、前記シリカ源は、純粋なシリカ、又は、シリカ含有混合物、例えば、クレイ(例えば、カオリン、柱状粘土、等)、珪藻岩、膨張パーライト、珪質岩、加水分解シリカ、マクロポーラスシリカ、及びシリカゲル、のうちの1つ又は複数とすることができる。そのような柱状粘土の具体例には、非限定的に、レクトライト、Yunmengクレイ、ベントナイト、モンモリロナイト、及びスメクタイト、が含まれ、レクトライトが好適である。
【0019】
ここに記載の前記無機酸化物バインダは、シリカ−アルミナ酸化物バインダであって、これは、アルミナ、シリカ及び非結晶質シリカ−アルミナ、のうちの1つ又は複数から選択することができる。アルミナが好適であり、更に好適には、γ−アルミナ、η−アルミナ、θ−アルミナ、及びχ−アルミナのうちの1つ又は複数から選択される。
【0020】
ここに記載の前記金属酸化物は、IIB、VB及びVIB族の中から選択される1つ又は複数の金属の酸化物、又は、硫黄蓄積特性を有するその他の金属酸化物である。バナジウム、亜鉛、又はモリブデンの酸化物が好適であり、最も好適には酸化亜鉛である。
【0021】
前記反応促進金属は、酸化状態にある硫黄を硫化水素に還元することが可能な任意の金属を含むことができる。ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅、銀、モリブデン、クロム、バナジウム、タングステン、及びランタニドから選択される1つ又は複数の金属が好適であり、最も好適には、前記反応促進金属はニッケルを含有する。
【0022】
本発明によるいくつかの実施例において、η<0.5である。また、別の実施例では、η=0であり、すなわち、酸化状態にある硫黄を硫化水素に還元することが可能な少なくとも1つの反応促進金属は、実質的に単層として前記担体の表面上に分散している。
【0023】
なお、本明細書と添付の特許請求の範囲とにおいて、単数形は、特にその前後関係から明らかにそうでないことが明示されない限り、複数も含むものであることが理解されなければならない。
【0024】
ここで使用される「分解ガソリン」という用語は、40℃〜210℃の沸点範囲を有する炭化水素、若しくは、より大きな炭化水素分子を熱分解又は触媒分解によってより小さな分子にすることによって作られる、そのフラクションを意味する。好適な熱分解処理は、非限定的に、熱分解(pyrolysis)、熱分解(thermal cracking)、粘性破壊(ビスブレーキング(visbreaking))、又はこれらの組み合わせを含む。好適な触媒分解処理の例としては、非限定的に、流動層触媒分解、重油触媒分解、及びこれらの組み合わせを含む。従って、好適な触媒分解ガソリンは、非限定的に、コークス化(coked)ガソリン、熱分解ガソリン、粘性破壊ガソリン、流動層触媒分解ガソリン、重油分解ガソリン、及びそれらの組み合わせを含む。本発明の方法によれば、場合によっては、炭化水素含有流体として使用される場合に、脱硫の前に分解ガソリンを分画及び/又は水素化することも可能である。
【0025】
ここで使用される「ディーゼル燃料」という用語は、170℃〜450℃の沸点範囲を有する任意の炭化水素混合物又はそのフラクションを意味する。そのような炭化水素含有流体は、非限定的に、ライトサイクルオイル、ケロシン(灯油)、直留ディーゼルオイル、水素化ディーゼルオイル、及びそれらの組み合わせを含む。
【0026】
ここで使用される「硫黄」という用語は、任意の形態の硫黄元素、例えば、分解ガソリン又はディーゼル燃料等の炭化水素含有液体中に存在する有機硫化物を意味する。本発明に係る炭化水素含有液体中に含有される硫黄は、非限定的に、硫化カルボニル(COS)、二硫化炭素(CS)、メルカプタン、又はその他のチオフェン化合物、及びそれらの組み合わせ、特に、チオフェン、ベンゾチオフェン、アルキルチオフェン、アルキルベンゾチオフェン、及びアルキルジベンゾチオフェン、及びディーゼル燃料中に通常含まれるものよりも大きな分子量を有するチオフェン化合物、を含む。
【0027】
本発明は、更に、吸着剤の製造方法であって、
(1)シリカ源、無機酸化物バインダ前駆体、並びに、IIB、VB及びVIB族の中から選択される1つ又は複数の金属の酸化物、又はその前駆体を接触させ、その混合物を成型及び乾燥させて担体を形成する工程、
(2)前記担体を流動層に投入し、酸化状態にある硫黄を硫化水素に還元することが可能な反応促進金属を含有する有機化合物を、ガスにより搬送して通過させ、吸着剤前駆体を得る工程、
(3)工程(2)で得た前記吸着剤前駆体を乾燥及び焼成して、反応促進金属を含有する前記有機化合物を金属酸化物に変換する工程、
(4)工程(3)で処理された前記吸着剤前駆体を、前記反応促進金属自身が実質的に還元状態となり、かつ、前記吸着剤が0.5未満のη値(η<0.5)を有するように還元雰囲気中で還元する工程、
を有する方法を提供する。
ここで、ηは、
η=(結晶相の反応促進金属の量(百分率))/(吸着剤中の反応促進金属の量(百分率))
である。
【0028】
工程(1)において、前記担体は公知の技術によって調製することができる。例えば、ミクロスフェア担体を、シリカ源、無機酸化物バインダ前駆体、IIB、VB及びVIB族の中から選択される1つ又は複数の金属の酸化物又はその前駆体、並びに、水、を酸性条件下で混合、攪拌し、それによって、約10〜約40重量%の固体を含むスラリを得て、これをスプレー乾燥することによって調製することができる。
【0029】
工程(1)において、前記シリカ源は、クレイ(例えば、カオリン、柱状粘土、等)、珪藻岩、膨張パーライト、珪質岩、加水分解シリカ、マクロポーラスシリカ、及びシリカゲル、のうちの1つ又は複数から選択され、好ましくは、膨張パーライト、珪藻岩、及びクレイのうちの1つ又は複数である。そのような柱状粘土の具体例には、非限定的に、レクトライト、Yunmengクレイ、ベントナイト、モンモリロナイト、スメクタイト、が含まれ、レクトライトが好適である。
【0030】
工程(1)において、IIB、VB及びVIB族の中から選択される1つ又は複数の金属の酸化物又はその前駆体は、それらの酸化物自身、又はその前駆体を含み、ここで、前記酸化物の前駆体は、上記調製条件下で酸化物に変換可能な化合物である。これらの化合物の具体例は、例えば、IIB、VB及びVIB族の金属の1つ又は複数の、硫化物、硫酸塩、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、及び硝酸塩である。好適な金属酸化物は、バナジウム、亜鉛、又はモリブデンの酸化物であり、酸化亜鉛が最も好適である。
【0031】
工程(1)において、無機酸化物バインダ前駆体は、前記吸着剤を製造するプロセス中に、耐熱性無機酸化物を形成することが可能な材料を表しており、例えば、アルミナ、シリカ、及び非結晶質シリカ−アルミナ前駆体、のうちの1つ又は複数を含む。例えば、アルミナの前駆体は、アルミナの水和物及び/又はアルミニウムゾルから選択することができ、前記アルミナの水和物は、ベーマイト、擬似ベーマイト、アルミナ三水和物、非結晶質水酸化アルミナ(アモルファス水酸化アルミナ)、の1つ又は複数から選択される。シリカの前駆体は、シリカゾル、シリカゲル、及び水ガラス、の1つ又は複数から選択することができる。非結晶質シリカ−アルミナ(アモルファスシリカ−アルミナ)の前駆体は、シリカ−アルミナゾル、シリカゾルとアルミナゾルとの混合物、及びシリカ−アルミナゲル、の1つ又は複数から選択することができる。これら耐熱性無機酸化物の前駆体は、当業者に知られている。
【0032】
本発明の前記方法によれば、工程(1)の後に乾燥担体を焼成することが好ましい。その焼成温度は、約350℃〜約700℃、好ましくは、約450℃〜約650℃であり、焼成時間は約1〜10時間、好ましくは、約1〜約4時間である。
【0033】
工程(2)において、前記ガスは非酸化性ガスであり、好ましくは、窒素等の不活性ガスであり、特に、無水不活性ガスが好ましい。当該ガスの圧力は、約1〜約5atm、好ましくは大気圧である。ガスの温度は、約50℃〜約200℃、好ましくは、約50℃〜約130℃である。
【0034】
工程(2)において、反応促進金属は、酸化状態にある硫黄を硫化水素に還元可能な任意の金属とすることができる。ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅、銀、モリブデン、クロム、バナジウム、タングステン、及びランタニド、から選択される1つ又は複数の金属が好適であり、最も好適には、反応促進金属はニッケルを含有する。反応促進金属の有機化合物は、室温(298K)で約0.5〜約100kPaの蒸気圧を有する、ギ酸塩、酢酸塩、金属カルボニル、及びナフテン酸塩、の1つ又は複数から選択される。本発明の一実施例によれば、使用される反応促進金属は、ニッケルカルボニル、特に、ニッケルテトラカルボニルであった。
【0035】
工程(3)において、吸着剤前駆体は、約300℃〜約800℃、好ましくは、約450℃〜約750℃で、約0.5時間〜約4時間、好ましくは、約1時間〜約3時間、酸素雰囲気中又は酸素含有雰囲気中で、揮発性物質が除去され反応促進金属が金属酸化物に変換されるまで焼成される。
【0036】
工程(4)において、吸着剤を使用する前に、反応促進金属を還元雰囲気中で還元して、反応促進金属を実質的に還元された状態(好ましくは、原子価がゼロ)とし、それによって、本発明の吸着剤を製造することが好ましい。還元温度は、約300℃〜約600℃、好ましくは、約400℃〜約500℃である。還元時間は、約0.5時間〜約6時間、好ましくは、約1時間〜約3時間である。還元ガスの量は、還元雰囲気中の体積で約10%〜約100%である。また、好適な還元ガスは水素ガスであり、その残りを不活性ガス、例えば、窒素ガス又はアルゴンガスとすることができる。
【0037】
工程(4)によって得られる吸着剤は、0.5未満のη値(η<0.5)を有し、η=0で、酸化状態の硫黄を硫化水素へと還元可能な少なくとも1つの反応促進金属が、実質的に単層として担体の表面上に分散されている。
【0038】
本発明は、更に、分解ガソリン又はディーゼル燃料を脱硫する方法も提供し、この方法は、硫黄含有物質を本発明の吸着剤に接触させる工程を有し、この工程中において、前記物質に含まれる硫黄は吸着剤によって吸着され、それによって低硫黄含有率の製品が得られる。
【0039】
この点に関する接触条件は以下の通りである。
温度:約350℃〜約500℃、好ましくは、約400℃〜約425℃
重量空間速度:約2〜約8h−1、好ましくは、約4〜約6h−1
圧力:約1000〜約5000kPa、好ましくは、約1500〜約3000kPa
雰囲気:還元雰囲気、好ましくは、水素雰囲気
ここで、吸着剤は、酸化還元再生プロセスを経ることにより、リサイクルすることができる。
【0040】
吸着剤の脱硫特性は、反応促進金属の有効含有率に大きく依存し、これは、吸着剤の表面で硫黄に接触しこれを吸着することができる反応促進金属の量に関係する。吸着剤の脱硫特性は、反応促進金属の有効量が或るη値に達するまでは、反応促進金属の量の増加と共に増大する。しかしながら、反応促進金属の有効量が或るη値に達した後は、たとえ反応促進金属の量を増大させたとしても、吸着剤の脱硫特性を改善することは出来ない。
【0041】
ここで、ηは、
η=(結晶相の反応促進金属の量(百分率))/(吸着剤中の反応促進金属の量(百分率))
と定義される。反応促進金属が吸着剤の表面上に高度に分散されている場合には、結晶相分析における吸着剤中の反応促進金属に対応するピークは無く、結晶相分析における吸着剤中の反応促進金属の量はゼロとなり、それによってηはゼロ(η=0)になる。ηの値が低ければ低いほど、硫黄に接触してそれを吸着するのに利用可能な反応促進金属の量は少なくなる。従って、ηは吸着剤の表面上における反応促進金属の分散を示している。すなわち、ηがゼロ(η=0)の場合には、単層分散又は単層分散に近い分散が起こり、ηがゼロより大きい(η>0)場合には、反応促進金属は凝集し始め、反応促進金属の一部はもはや表面上に存在しなくなる。ηの値が大きければ大きいほど、凝集状態の反応促進金属の量は多くなる。通常、本発明によって製造された吸着剤はηが0.5未満(η<0.5)であり、これに対して従来技術によって製造された吸着剤はηが0.5より大きい(η>0.5)。
【0042】
本発明において使用されるガス流動層法は、担体の流動化表面上における反応促進金属の有機化合物の単層分散を促進することができる。更に、反応促進金属は、焼成されて還元状態(実質的に原子価がゼロ)へ還元された時、単層として担体の表面上に分散することができる。吸着剤は、使用される反応促進金属の量が、当該反応促進金属の分散量が最大単層分散量となるように構成される時に、最大の吸着脱硫活性を示す。本発明の吸着剤中の反応促進金属の含有率は、同等の活性を示す場合には、従来技術における含浸によって吸着剤に取り込まれた場合における反応促進金属の含有率よりも遥かに低く、従って、吸着剤の製造コストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の吸着剤A1及び従来技術の吸着剤B1のX線回折(RXD)パターンである。吸着剤A1において単層分散されている金属Niは、酸化ニッケルの結晶化ピークを示していないのに対して、従来技術の方法によってその中に反応促進金属ニッケルが導入された吸着剤B1は酸化ニッケルの明確な結晶化ピークを示している(特徴的な結晶化ピークは42.9°である)。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の実施例は、上記実施例、並びに対応する文章及び図面を参照して説明されるが、これらの説明において特許請求の範囲を実施例に限定する意図は無い。反対に、本発明の実施例の要旨及び範囲に含まれる全ての代替物、改造構成、及び均等物が含まれるものと意図される。
【0045】
本発明について、以下の実施例を参照して更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
(実施例1)
0.80kgの膨張パーライト(Worldminerals社から入手可能、M27、無水ベースで0.79kg)と、0.71kgのカオリン(Suzhou Kaolin社から入手可能、S1、無水ベースで0.59kg)と、1.15kgのアルミナ(Shandong Aluminum社から入手可能、無水ベースで0.78kg)と、9.0kgの酸性水(脱陽イオン水、pH3)と、を攪拌しながら混合し、その後、30%のHCl(化学的にピュアグレード、Beijin Chemical Works社から入手可能)110mLを、酸性化のために1時間攪拌しながら添加した。その後、酸化亜鉛の粉末3.5kgを添加し、1時間混合及び攪拌して担体スラリを得た。Niro Brown Nozzle Tower(登録商標)スプレードライヤを、8.5〜9.5MPaの圧力、500℃未満の入口温度、約150℃の出口温度の条件で使用して、このスラリをスプレー乾燥させた。このようにして作られたマイクロスフィアを180℃で1時間乾燥させ、その後、635℃で1時間焼成して吸着剤担体を得た。
【0047】
吸着剤担体を流動層に投入し、これにニッケルテトラカルボニルを含む高純度窒素ガス(50℃)を6時間通した。その後、ニッケルが取り込まれた吸着剤担体を取り出し、空気中650℃で1時間焼成し、吸着剤前駆体を作成した。この吸着剤前駆体を、水素雰囲気下425℃で2時間還元して吸着剤を作成した。この吸着剤を吸着剤A1とする。
【0048】
吸着剤A1は、57.9重量%の酸化亜鉛と、12.7重量%のアルミナバインダと、12.8重量%の膨張パーライトと、9.6重量%のカオリンと、8.0重量%のニッケル(ニッケル酸化物として)と、から構成されている。
【0049】
(実施例2)
前記吸着剤担体を吸着剤A1の前駆体と置き換えて、蒸着によるニッケルの導入プロセスを繰り返した。次に、この吸着剤前駆体を空気中635℃で1時間焼成して更に吸着剤前駆体を作成し、この更なる吸着剤前駆体を、水素雰囲気下410℃で4時間還元して吸着剤を作成した。この吸着剤を吸着剤A2とする。
【0050】
吸着剤A2は、54.5重量%の酸化亜鉛と、12.1重量%のアルミナバインダと、12.3重量%の膨張パーライトと、9.2重量%のカオリンと、11.9重量%のニッケル(ニッケル酸化物として)と、から構成されている。
【0051】
(実施例3)
吸着剤を次のようにして作成した。3.5kgの酸化亜鉛の粉末(Beijin Chemical Works社から入手可能)と、4.97kgの脱イオン水とを混合し、その後、30分間攪拌して酸化亜鉛スラリを得た。
【0052】
0.61kgの珪藻岩(Beijin Chemical Works社から入手可能、無水ベースで0.58kg)と、0.96kgのレクトライト(Qulu Petrochemical Catalyst Companyから入手可能、無水ベースで0.80kg)と、アルミナ(Shandong Aluminum Corporationから入手可能、無水ベースで0.82kg)と、5.0kgの酸性水(脱陽イオン水、pH3)とを攪拌しながら混合し、次に、30%のHCl(化学的にピュアグレード、Beijin Chemical Works社から入手可能)115mLを、酸性化のために1時間攪拌しながら添加した。その後、上記酸化亜鉛の粉末を添加し、1時間混合及び攪拌して担体スラリを得た。Niro Brown Nozzle Tower(登録商標)スプレードライヤを、8.5〜9.5MPaの圧力、500℃未満の入口温度、約150℃の出口温度の条件で使用して、このスラリをスプレー乾燥させた。このようにして作られたマイクロスフィアを180℃で1時間乾燥させ、その後、635℃で1時間焼成して吸着剤担体を得た。
【0053】
吸着剤担体を流動層に投入し、これに、ニッケルテトラカルボニルを含む高純度窒素ガス(50℃)を6時間通した。その後、吸着剤担体を空気中630℃で1時間焼成し、吸着剤前駆体を作った。この吸着剤前駆体を、水素雰囲気下425℃で2時間還元して吸着剤を作成した。この吸着剤を吸着剤A3とする。
【0054】
吸着剤A3は、57.9重量%の酸化亜鉛と、12.7重量%のアルミナバインダと、9.5重量%の珪藻岩と、12.9重量%のレクトライトと、8.0重量%のニッケル(ニッケル酸化物として)と、から構成されている。
【0055】
(比較例1)
吸着剤担体を、以下の相違点で、実施例1の方法によって作成した。3.24kgの吸着剤担体(無水ベースで3.0kg)に、1.03kgの硝酸ニッケル六水和物と、0.2kgの脱イオン水と、を含浸させた。このようにして得られた混合物を180℃で4時間乾燥させ、空気中635℃で1時間焼成し、吸着剤前駆体を得た。この吸着剤前駆体を、水素雰囲気下425℃で2時間還元して吸着剤を作成した。この吸着剤を吸着剤B1とする。
【0056】
吸着剤B1は、57.9重量%の酸化亜鉛と、12.7重量%のアルミナバインダと、12.8重量%の膨張パーライトと、9.6重量%のカオリンと、8.0重量%のニッケル(ニッケル酸化物として)と、から構成されている。
【0057】
(比較例2)
吸着剤担体を、以下の相違点で、実施例2の方法によって作成した。3.24kgの吸着剤担体(無水ベースで3.0kg)に、1.03kgの硝酸ニッケル六水和物と、0.2kgの脱イオン水と、を含浸させた。このようにして得られた混合物を180℃で4時間乾燥させ、空気中635℃で1時間焼成し、吸着剤前駆体を得た。この吸着剤前駆体を、水素雰囲気下425℃で2時間還元して吸着剤を作った。この吸着剤を吸着剤B2とする。
【0058】
吸着剤B2は、54.5重量%の酸化亜鉛と、12.1重量%のアルミナバインダと、12.3重量%の膨張パーライトと、9.2重量%のカオリンと、11.9重量%のニッケル(ニッケル酸化物として)と、から構成されている。
【0059】
(比較例3)
吸着剤担体を、以下の相違点で、実施例3の方法によって作成した。3.24kgの吸着剤担体(無水ベースで3.0kg)に、1.61kgの硝酸ニッケル六水和物と、0.3kgの脱イオン水とを含浸させた。このようにして得られた混合物を180℃で4時間乾燥させ、空気中635℃で1時間焼成し、吸着剤前駆体を得た。この吸着剤前駆体を、水素雰囲気下425℃で2時間還元して吸着剤を作成した。この吸着剤を吸着剤B3とする。
【0060】
吸着剤B3は、57.9重量%の酸化亜鉛と、12.7重量%のアルミナバインダと、9.5重量%の珪藻岩と、12.9重量%のレクトライトと、8.0重量%のニッケル(ニッケル酸化物として)と、から構成されている。
【0061】
(実施例4)
上記種々の吸着剤を互いに識別するため、予め還元されたA1〜A3とB1〜B3との結晶相組成を測定し、η値を計算した。結晶相は、X線回折/相フィルタリング(R. V. Siriwardane, J. A. Poston, G. Evans, Jr. Ind. Eng. Chem. Res. 33 (1994) 2810-2818)、改造型リートフェルトモデリング(RIQASリートフェルト分析、Operators Manual, Material Data, Inc., Berkley, CA(1999))、を使用して分析され、フィッティング法により結晶相組成を計算した。X線回折測定はすべて40kV&30mAのパワーの高精度長焦点銅X線源を備えるPhillips XRG3100発生装置、Phillips 3020デジタルゴニオメータとPhillips 3710 MPDコントロールコンピュータ、及びKevex PSI Peltier冷却シリコン検出器、を使用して行われた。Kevex検出器は、Kevex 4601イオンポンプコントローラ、Kevex 4608 Peltier電流供給装置、Kevex 4621検出器バイアス、Kevex 4561Aパルスプロセッサ、及びKevex 4911-Aシングルチャンネルアナライザ、によって操作された。
【0062】
回折パターンは、Phillips APDバージョン4.1cソフトウェアを使用して得られた。全てのリートフェルト計算は、Material Data, Inc, Riqas バージョン3.1c ソフトウェア(Outokumpu HSC Chemistry for Windows: Users Guide, Outokumpo Research Oy, Pori, Finland(1999))を使用して行われた。プログラムは、512MBのRAMを備えるインテル、ペンティアム(登録商標)IV、2.0GHzクラスのパーソナルコンピュータを使用して実行された。異なるサンプルの結晶相組成を表1に示した。
【0063】
(定義)
ηNi=(結晶相のNiの百分率/吸着剤中のNiの百分率)
【0064】
Niの有効含有率を、Micrometrics Co.のAutochem II 2920吸着装置上で測定し、H−TPD法により分析した。吸着剤サンプルを水素ガスによって450℃で1時間還元し、自然放冷で室温にまで冷却して30分間パージした。その後、高純度のNでベースラインが安定するまでパージし、最後に650℃まで加熱した。シグナルを熱伝導率検出器によって記録し、吸着された水素の総量をピーク面積によって計算した。次に、水素原子を吸着したNiの量、すなわち、有効ニッケル含有率を、ニッケル元素によって吸着される水素原子の関係に基づいて計算した。これらの結果を表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
表1は、種々の吸着剤の結晶相組成である。表1から理解されるように、吸着剤A1及びA3中の酸化ニッケルは単層分散の状態にあり、そのため結晶相組成には反映され得ない。すなわち、結晶相として存在するNiの百分率はゼロに等しく、従ってηNi=0である。吸着剤A2は0.42のηNi値を有し、これはその有効ニッケル含有率が従来技術よりも高いことを示している(比較例の吸着剤B1、B2、B3のηNiは1以上である)。また、有効含有率から、本発明によって作成された吸着剤は、約7.5重量%の有効ニッケル含有率を有するのに対して、従来技術によって作成された吸着剤は5.5重量%以下の有効ニッケル含有率であったことも理解される。
【0067】
(実施例5)
異なる方法によって作成された吸着剤の強度を、「石油化学物質の分析、RIPPテスト法」においてRIPP29−20法とも称される垂直管磨耗法によって評価する。その結果を表2に報告する。
【0068】
これらの吸着剤の脱硫性能を評価するために下記の方法を使用した。経年劣化処理として、吸着剤を、この吸着剤中に含まれる全てのNiが原子価ゼロに還元されるまで0.1MPa、420℃の水素雰囲気下で3時間還元した。次に、420℃に維持された吸着剤に、10体積%の硫化水素と10体積%の水素と80体積%の窒素とのガス混合物を、2時間通過させた。システム中の水素を除去するため、窒素で0.5時間パージし、その後、吸着剤上に空気を導入し、再生のため、吸着剤を2時間510℃に維持した。この還元−硫化−酸化の再生プロセスを3回繰り返す。
【0069】
脱硫性能を評価するために固定層ミクロ反応装置を使用した。吸着反応用の材料は、硫黄含有率が800ppmの触媒分解ガソリンである。吸着試験は、窒素雰囲気下において、4h−1の重量空間速度で行われた。反応後のガソリンの硫黄含有率を表2に報告する(表2は、吸着剤の脱硫性能を示す)。
【0070】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ源、無機酸化物バインダ、並びに、少なくとも1つの、IIB、VB及びVIB族の中から選択される金属の酸化物、から成る担体と、
酸化状態にある硫黄を硫化水素に還元することが可能で、かつ、吸着剤中の反応促進金属の百分率量に対する結晶相の反応促進金属の百分率量の割合をηとした場合に、0.5未満のη値を有する少なくとも1つの反応促進金属と、
を含む脱硫吸着剤。
【請求項2】
前記吸着剤は、当該吸着剤の総重量を基準として、約1〜約40重量%のシリカ源と、約10〜約80重量%の金属酸化物と、酸化物として約3〜約35重量%の無機酸化物バインダと、酸化物として約3〜約30重量%の反応促進金属と、を含む請求項1に記載の吸着剤。
【請求項3】
前記吸着剤は、当該吸着剤の総重量を基準として、約10〜約25重量%のシリカ源と、約40〜約60重量%の金属酸化物と、酸化物として約10〜約18重量%の無機酸化物バインダと、酸化物として約5〜約20重量%の反応促進金属と、を含む請求項1に記載の吸着剤。
【請求項4】
酸化状態にある硫黄を硫化水素に還元することが可能な少なくとも1つの反応促進金属が、実質的に単層として前記担体の表面上に分散されている請求項1に記載の吸着剤。
【請求項5】
前記シリカ源は、クレイ、珪藻岩、膨張パーライト、珪質岩、加水分解シリカ、マクロポーラスシリカ、及びシリカゲル、のうちの1つ又は複数から選択される請求項1に記載の吸着剤。
【請求項6】
前記無機酸化物バインダは、シリカ−アルミナ酸化物バインダである請求項1に記載の吸着剤。
【請求項7】
前記無機酸化物バインダは、アルミナ、シリカ、及び非結晶質シリカ−アルミナ、のうちの1つ又は複数から選択される請求項1に記載の吸着剤。
【請求項8】
前記金属の酸化物は、バナジウム、亜鉛、又はモリブデンの酸化物から選択される請求項1に記載の吸着剤。
【請求項9】
前記反応促進金属は、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅、銀、モリブデン、クロム、バナジウム、タングステン、及びランタニド、から選択される1つ又は複数である請求項1に記載の吸着剤。
【請求項10】
前記反応促進金属はニッケルを含む請求項1に記載の吸着剤。
【請求項11】
シリカ源、無機酸化物バインダ前駆体、並びに、IIB、VB及びVIB族の中から選択される1つ又は複数の金属の酸化物、又はその前駆体を接触させ、その混合物を成型及び乾燥させて担体を形成する工程(1)と、
前記担体を流動層に投入し、酸化状態にある硫黄を硫化水素に還元することが可能な反応促進金属を含有する有機化合物を、ガスにより搬送して通過させ、吸着剤前駆体を得る工程(2)と、
工程(2)で得られた前記吸着剤前駆体を乾燥及び焼成して、反応促進金属を含有する前記有機化合物を金属酸化物に変換する工程(3)と、
工程(3)で処理された前記吸着剤前駆体を、前記反応促進金属自身が実質的に還元状態となり、かつ、前記吸着剤が0.5未満のη値を有するように還元雰囲気中で還元する工程(4)と、
を有する請求項1に記載の吸着剤の製造方法。
【請求項12】
前記工程(1)における前記シリカ源は、クレイ、珪藻岩、膨張パーライト、珪質岩、加水分解シリカ、マクロポーラスシリカ、及びシリカゲル、のうちの1つ又は複数から選択される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属酸化物は、バナジウム、亜鉛、又はモリブデンの酸化物から選択され、前記金属酸化物の前駆体は、硫化物、硫酸塩、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、及び硝酸塩、から選択される請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記工程(1)における前記無機酸化物バインダ前駆体は、アルミナ、シリカ、及び非結晶質シリカ−アルミナ前駆体、のうちの1つ又は複数から選択される請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(2)における前記ガスは、無水不活性ガスである請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記ガスの温度は約50℃〜約200℃であり、前記ガスの圧力は約1〜約5atmである請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記反応促進金属を含有する有機化合物は、298Kで約0.5〜約100kPaの蒸気圧を有する有機化合物である請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記反応促進金属を含有する有機化合物は、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅、銀、モリブデン、クロム、バナジウム、タングステン、及びランタニドの、ギ酸塩、酢酸塩、金属カルボニル、及びナフテン酸塩、の1つ又は複数から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記反応促進金属を含有する有機化合物は、ニッケルテトラカルボニルである請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記工程(4)における前記反応促進金属は還元雰囲気中で還元され、それにより、実質的に原子価がゼロの状態の反応促進金属成分が形成される請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記工程(4)において得られる前記吸着剤中に存在する、酸化状態の硫黄を硫化水素に還元可能な少なくとも1つの反応促進金属は、実質的に単層として前記担体の表面上に分散されている請求項11に記載の方法。
【請求項22】
硫黄含有物質を請求項1に記載の吸着剤に接触させる工程を有し、この工程中において前記物質に含まれる硫黄が前記吸着剤に吸着され、それにより低硫黄含有率の製品を得る、分解ガソリン又はディーゼル燃料を脱硫する方法。
【請求項23】
前記接触させる工程における条件は、約350℃〜約500℃の温度、約2〜約8h−1の重量空間速度、及び約1000〜約5000kPaの圧力、を含む請求項22に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−69473(P2010−69473A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−154476(P2009−154476)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(501329404)中國石油化工股▲分▼有限公司 (13)
【出願人】(506149047)中國石油化工股▲分▼有限公司石油化工科学研究院 (2)
【Fターム(参考)】