説明

脱硫重質分解ガソリンの製造方法及び該脱硫重質分解ガソリンを含有するガソリン組成物

【課題】リサーチ法オクタン価の低下を抑制した脱硫重質分解ガソリンの製造方法及び該脱硫重質分解ガソリンを含有する低硫黄ガソリン組成物を提供すること。
【解決手段】接触分解ガソリンを分留して得られる、蒸留流初留点90℃以上、硫黄分20〜50質量ppmの重質分解ガソリンを原料とし、該原料を、多孔質担体に活性金属として少なくとも周期律表第6族金属及び第8族金属を担持させた触媒の存在下、温度150〜245℃、圧力1.0〜2.5MPa、LHSV1〜10h-1、水素/油比50〜200NL/Lの反応条件であって、かつ脱硫重質分解ガソリンの硫黄分が10〜15質量ppmとなる脱硫率であり、オレフィン分の低下及が1容量%以下となるオレフィンの水素化率で水素化脱硫することを特徴とする脱硫重質分解ガソリンの製造方法、及びその脱硫重質分解ガソリンを含有するガソリン組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脱硫重質分解ガソリンの製造方法及び該製造方法によって得られた脱硫重質分解ガソリンを含有するガソリン組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、基材として低硫黄分であり、かつリサーチ法オクタン価(RON)が高い脱硫重質分解ガソリンの製造方法及び該脱硫重質分解ガソリンを含有するガソリン組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷低減を目的として、ガソリンの低硫黄化、例えば硫黄分10質量ppm以下のガソリンへの要望が高まっている。
ガソリンは、通常幾つかのガソリン基材を配合して製造される。その主な基材としては、接触改質ガソリン、接触分解ガソリン、アルキレートガソリン、軽質ナフサなどが挙げられる。これらの中でも、接触分解ガソリンは、オレフィンを多く含むためリサーチ法オクタン価(RON)が高く、安定に入手できるため、ガソリン基材として重要な基材である。
しかしながら、この接触分解ガソリンには、硫黄分が比較的多く、通常30〜60質量ppm程度含まれている。そのため目的とする低硫黄ガソリンの基材としてそのまま使用するのは難しい状況にある。
【0003】
このような状況から、接触分解ガソリンを脱硫する方法について多くの試みがなされている。例えば、特許文献1は、環境に対して低負荷のガソリンとして、重質分解ガソリンを水素化脱硫して得られる、硫黄分が10質量ppm以下の脱硫重質分解ガソリンを用いている。しかしながら、その脱硫重質分解ガソリンは、脱硫によってRONが大幅に低下している。例えば、RONが89.0の重質分解ガソリンが水素化脱硫することにより85.0や81.7に低下している(特許文献1、段落〔0022〕第1表参照)。つまり、重質分解ガソリンを水素化脱硫すれば、硫黄分が低下すると同時に、RONも大幅に低下してしまう。したがって、その脱硫重質分解ガソリンを含有するガソリンの性能は低下することになる。
また、特許文献2は、接触分解ガソリンを利用した低硫黄ガソリンを開示するが、接触分解ガソリンのうち90%留出温度が155℃以下の部分、すなわち硫黄分が比較的少ない軽質分解ガソリンを使用して低硫黄ガソリンを得るものである。したがって硫黄分が多い重質部分(重質分解ガソリン)は、低硫黄ガソリンには利用できないままであり、接触分解ガソリンの問題点を本質的に解決するものではない(特許文献2、請求項1参照)。
以上のことから、接触分解ガソリン、特に重質分解ガソリンをリサーチ法オクタン価の低下を抑制しつつ脱硫し、低硫黄分の脱硫重質分解ガソリン、及びその脱硫重質分解ガソリンを含有する低硫黄ガソリンの出現が期待されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−285347号公報
【特許文献2】特開2001−271076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような状況下で、リサーチ法オクタン価(RON)の低下を抑制した脱硫重質分解ガソリンの製造方法及び当該脱硫重質分解ガソリンを含有する低硫黄ガソリン組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記脱硫重質分解ガソリンと低硫黄ガソリン組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の重質分解ガソリンを特定の条件で水素化脱硫することによってその目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
【0007】
〔1〕接触分解ガソリンを分留して得られる、蒸留初留点90℃以上、硫黄分20〜50質量ppmの重質分解ガソリンを原料とし、該原料を、多孔質担体に活性金属として少なくとも周期律表第6族金属及び第8族金属を担持させた触媒の存在下、温度150〜245℃、圧力1.0〜2.5MPa、LHSV1〜10h-1、水素/油比50〜200NL/Lの反応条件であって、かつ脱硫重質分解ガソリンの硫黄分が10〜15質量ppmとなる脱硫率であり、オレフィン分の低下が1容量%以下となるオレフィンの水素化率で水素化脱硫することを特徴とする脱硫重質分解ガソリンの製造方法、
〔2〕脱硫重質分解ガソリンのリサーチ法オクタン価が86以上である前記〔1〕に記載の脱硫重質分解ガソリンの製造方法、
〔3〕前記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法で得られた脱硫重質分解ガソリンを含有するガソリン組成物、及び
〔4〕下記の(1)〜(5)の条件を満たす前記〔3〕に記載のガソリン組成物、
(1)リサーチ法オクタン価89以上
(2)硫黄分10質量ppm以下
(3)芳香族分10〜50容量%
(4)ベンゼン含有量が1.0容量%以下
(5)オレフィン分3〜25容量%
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リサーチ法オクタン価(RON)の低下を抑制した脱硫重質分解ガソリンの製造方法及び該方法で得られた脱硫重質分解ガソリンを含有する低硫黄ガソリン組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の脱硫重質分解ガソリンの製造方法は、接触分解ガソリンを分留して得られる、蒸留初留点90℃以上、硫黄分20〜50質量ppmの重質分解ガソリンを原料とし、該原料を、特定の条件で水素化脱硫することによって脱硫重質分解ガソリンを製造するものである。
ここで、原料である重質分解ガソリンの初留点が90℃以上であることが必要な理由は、接触分解ガソリンの中で90℃未満の留分は硫黄分が少なく、90℃以上の留分が、脱硫すべき硫黄化合物を多く含むからである。
また、重質分解ガソリンの硫黄分が20〜50質量ppmであるのは、硫黄分が50質量ppmを超えるものであれば、水素化脱硫によって低硫黄化した場合、リサーチ法オクタン価(RON)の低下を抑制することが困難になることがあるからであり、一方、重質分解ガソリンの硫黄分が20質量ppm以下であれば、敢えて脱硫する必要がないからである。したがって重質分解ガソリンの硫黄分は20〜45質量ppmであることがより好ましい。
なお、上記重質分解ガソリンの硫黄分を50質量ppm以下にするには、通常流動接触分解工程に用いる原料油の硫黄分濃度を調整することによって達成することができる。
また、本発明における原料としての重質分解ガソリンは、RONが87以上であることが好ましく、88以上のものがより好ましい。RONが87以上であれば、脱硫重質分解ガソリンのRONを、例えば86以上にすることができ、そのような脱硫重質分解ガソリンは高性能のガソリン基材として好適に使用することが可能になる。
【0010】
本発明における脱硫重質分解ガソリンは、上記重質分解ガソリンを特定の条件で水素化脱硫する。
すなわち、触媒として、多孔質担体に活性金属として少なくとも周期律表第6族金属及び第8族金属を担持させた触媒を用いる。
多孔質担体としては、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ等が使用できる。またこれらに、リン、ホウ素、アルカリ金属、アルカリ土類金属を含んでもよい。これらの担体は単独でも良く、複数を組合せても良い。
また、活性金属としては、第6族の金属としてはMo、Wが挙げられ、第8族の金属としては、Co、Ni等が挙げられる。第6族金属及び第8族金属を担持させた触媒としては、例えば、アルミナ担体にCo−Mo、Ni−Mo、Ni−Co−Moなどを担持した触媒が好ましい。活性金属の担持量としては、金属量として、通常第8族金属を1〜15質量%、第6族金属を2〜30質量%の範囲であることが好ましい。
また、上記活性金属には、さらに周期表第3族金属を担持させた触媒も好適に用いることができる。第3族の金属としては、La、Ceなどが挙げられ、その担持量は、金属量として、0.2〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【0011】
本発明における水素化脱硫は、温度150〜245℃、好ましくは180〜240℃、圧力1.0〜2.5MPa、好ましくは1.3〜2.2MPa、LHSV1〜10h-1、好ましくは2〜8h-1、及び水素/油比50〜200NL/L、好ましくは70〜150NL/L、の反応条件で行う必要がある。これらの条件を満たさない場合は、本願の目的、すなわち、リサーチ法オクタン価(RON)の低下を抑制し、硫黄分を少なくした脱硫重質分解ガソリンを得ることは困難である。
本発明における重質分解ガソリンの水素化脱硫では、さらに脱硫重質分解ガソリンの硫黄分が10〜15質量ppmとなる脱硫率であり、オレフィン分の低下が1容量%以下となるオレフィンの水素化率となるように調整する必要がある。脱硫率及びオレフィンの水素化率が上記範囲外では、本発明の目的を達成することは困難である。このような脱硫率及びオレフィンの水素化率は、温度、圧力、LHSV、水素/油比等の水素化脱硫条件を
適宜選択することによって調整することができる。
【0012】
本発明における脱硫重質分解ガソリンは、上記の水素化脱硫条件により、原料である重質分解ガソリンよりオレフィン分の低下が1容量%以下である。したがって、脱硫重質分解ガソリンのリサーチ法オクタン価(RON)の低下を小さく、例えば1以下に抑制することができる。
また、脱硫重質分解ガソリンの硫黄分は、水素化脱硫によってRONの低下を抑制した状態で、10〜15質量ppmに低減することができる。したがって低硫黄ガソリンに使用する脱硫重質分解ガソリンとして良好な性能を有している。
【0013】
本発明のガソリン組成物は、上記脱硫重質分解ガソリンを含有する低硫黄ガソソリンである。この場合、脱硫重質分解ガソリンの含有量は、組成物基準で20容量%以上であることが好ましく、30〜80容量%であることがより好ましい。脱硫重質分解ガソリンの含有量が20容量%以上であれば、所望のリサーチ法オクタン価を有する低硫黄ガソリンを容易に製造することができる。
上記ガソリン組成物の性状については特に制限はないが、好ましい態様として、以下の性状、組成を満たすガソリン組成が好ましい。
(1)リサーチ法オクタン価(RON)が89以上であることが好ましい。RONが89以上であれば、ノッキングを生ずるなど運転性能が低下する恐れがない。RONの上限値については特に制限はないが、通常およそ102である。但し、脱硫分解ガソリンがレギュラーガソリンの基材として比較的多く使用されることから、RONが89〜95であることが好ましい態様の一つである。
なお、このリサーチ法オクタン価は、JIS K 2280により測定した値である。
(2)硫黄分が、10質量ppm以下であることが好ましく、5質量ppm以下であることがより好ましい。硫黄分が10質量ppm以下であれば、排ガス中のSOxの増加を抑えるとともに、直接噴射式ガソリンエンジンで使用されるNOX触媒のSOX被毒を抑制することができる。
なお、硫黄分の含有量はJIS K 2541の微量電量滴定式酸化法によって測定した値である。
【0014】
(3)芳香族分が50容量%以下であることが好ましく、さらには45容量%以下がより好ましい。芳香族分が50容量%以下であれば、排気ガス中の全炭化水素(THC)や一酸化炭素(CO)が増大する恐れがなく、また点火プラグがくすぶりを生ずる恐れもない。さらに、運転性能を良好に保つことができる。一方、芳香族分の下限については特に制限はないが、燃費が悪化したり、運転性能の低下を防止する観点から、10容量%以上であることが好ましい。なお、芳香族分は、JIS K 2536‐2「石油製品−成分試験方法」のガスクロマトグラフによる全成分分析法によって測定した値である。
【0015】
(4)ベンゼン含有量が1.0容量%以下が好ましく、0.5容量%以下がより好ましい。ベンゼンが1.0容量%以下の場合、排気ガス中のベンゼン含有量が少なくなって環境汚染が問題になる恐れがない。また、ガソリン自体が人体に悪影響を及ぼす恐れもない。
なお、ベンゼン含有量は、JIS K 2536「石油製品成分試験方法」のガスクロマトグラフィーによる全成分試験方法によって測定した値である。
(5)オレフィン分が3〜25容量%であることが好ましく、5〜20容量%であることがさらに好ましい。オレフィン分が3容量%以上であれば、希薄燃焼状態で失火を起こす恐れがなく、直接噴射式エンジン車などの運転性能を確保できる。また、オレフィン分が25容量%以下であれば、排気ガス中の窒素酸化物が増加する恐れがなく、オゾンを生成する恐れもない。さらにガソリン自体の酸化安定性も良好である。なお、オレフィン分は、JIS K 2536「石油製品成分試験方法」の蛍光指示薬吸着法で測定した値である。
【0016】
本発明のガソリン組成物は、上記脱硫重質分解ガソリンとともに、それ以外の公知のガソリン基材を含有することができる。そのようなガソリン基材としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる軽質ナフサ、接触改質法で得られる改質ガソリン中のベンゼンを取り除いた留分(脱ベンゼン改質ガソリン)、オレフィンの重合により得られる重合ガソリン、イソブタンなどの炭化水素に低級オレフィンを付加して得られるアルキレート、直鎖の低級パラフィン系炭化水素の異性化によって得られるアイソメレート、脱n―パラフィン油、及びこれらの特定範囲の留分や芳香族炭化水素、さらにアルコール、エーテルなどの含酸素化合物などが挙げられる。
前記アルコール、エーテルなどの含酸素化合物としては、主にエチルアルコ−ル(EtOH)、エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)、エチルーターシャリーアミルエーテル(ETAE)などが挙げられる。
【0017】
上記各基材の配合量としては、とくに制限はないが、例えば、脱硫重質分解ガソリン20容量%以上(好ましくは20〜60容量%)、脱ベンゼン改質ガソリン0〜90容量%(好ましくは、5〜40容量%)、軽質分解ガソリン0〜50容量%(好ましくは、5〜40容量%)、アルキレート0〜40容量%(好ましくは、0〜10容量%)、軽質ナフサ 0〜40容量%(好ましくは、10〜30容量%)、含酸素化合物0〜15容量%(好ましくは、0〜10容量%)、ブタン0〜10容量%(好ましくは、0〜8容量%)が好ましい態様である。
【0018】
本発明のガソリン組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を適宜配合することができる。このような添加剤としては、フェノール系やアミン系などの酸化防止剤、シッフ型化合物やチオアミド型化合物などの金属不活性剤、有機リン化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄剤、多価アルコール及びエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両面界面活性剤などの帯電防止剤、アルケニルコハク酸のエステルなどのさび止め剤、キリザニン、クマリンなどの識別剤、天然精油、合成香料などの着臭剤、アゾ染料などの着色剤など、公知のガソリン添加剤が挙げられ、これらの添加剤を1種又は2種以上添加することができる。また、これら添加剤の添加量は状況に応じて適宜選定すればよいが、通常は添加剤の合計量としてガソリン組成物に対して0.1質量%以下とすることが好ましい。
【0019】
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。なお、ガソリン組成物の性状及び性能は次の方法に従って求めた。
〔ガソリン組成物の性状〕
・リサーチ法オクタン価
JIS K 2280によって測定した。
・硫黄分
JIS K 2541の微量電量滴定式酸化法によって測定した。
・オレフィン分
JIS K 2536「石油製品成分試験方法」の蛍光指示薬吸着法によって測定した。
・ベンゼン、炭素数5の炭化水素等の成分分析
JIS K 2536「石油製品成分試験方法」のガスクロマトグラフによる全成分試験法によって測定した。
・蒸留性状
JIS K 2254によって測定した。
【0020】
実施例1
接触分解ガソリン〔蒸留初留点30℃、蒸留終点190℃、リサーチ法オクタン価(RON)91.5、硫黄分29質量ppm〕を蒸留分留して、軽質分解ガソリン(蒸留初留点27℃、蒸留終点90℃、RON94.4、硫黄分15質量ppm)40容量%と重質分解ガソリン(蒸留初留点101℃、蒸留終点190℃、オレフィン分22.5容量%、硫黄分38質量ppm、RON89.6)60容量%に蒸留分離した。
次に、得られた重質分解ガソリンを水素化脱硫した。触媒としては、γ−アルミナの担体に酸化物基準でCoを4質量%、Moを15質量%、Ceを0.5質量%担持した触媒を用いた。水素化脱硫条件は、温度210℃、圧力1.5MPa、LHSV6/h-1、水素/原料油比70NL/Lである。
水素化脱硫により得られた脱硫重質分解ガソリンは、蒸留初留点103℃、蒸留終点192℃、芳香族分43容量%、オレフィン分21.7容量%、硫黄分13質量ppm、RON89.2であった。また、水素化脱硫によるオレフィン分の低下は0.8容量%、RONの低下は0.4であった。
【0021】
比較例1
実施例1における水素化脱硫条件の温度を255℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして脱硫重質分解ガソリンを得た。
得られた脱硫重質分解ガソリンは、蒸留初留点103℃、蒸留終点188℃、オレフィン分18.1容量%、硫黄分3質量ppm、RON88.0であった。
水素化脱硫によるオレフィン分の低下は3.8容量%、RONの低下は1.6であった。
比較例2
実施例1における水素化脱硫条件の圧力を3.0MPaにしたこと以外は、実施例1と同様にして脱硫重質分解ガソリンを得た。
得られた脱硫重質分解ガソリンは、蒸留初留点102℃、蒸留終点187℃、オレフィン分10.2容量%、硫黄分2質量ppm、RON87.9であった。
水素化脱硫によるオレフィン分の低下は12.3容量%、RONの低下は1.7であった。
【0022】
実施例2
実施例1で得られた脱硫重質分解ガソリンを25容量%、脱ベンゼン改質ガソリン〔リサーチ法オクタン価(RON)104、硫黄分1質量ppm、芳香族分74容量%、ベンゼン含有量0.2容量%、オレフィン分0.3容量%〕42容量%、脱硫軽質ナフサ(RON65,硫黄分0質量ppm、芳香族分1.7容量%、ベンゼン含有量1.5容量%、オレフィン分0.1容量%〕30容量%及びブタン3.0容量%を配合してガソリン組成物を得た。
ガソリン組成物の性状は、RON89.5、硫黄分4質量ppm、芳香族分42.3容量%、ベンゼン含有量0.5容量%、オレフィン分5.6容量%であった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、リサーチ法オクタン価の低下を抑制した低硫黄脱硫重質分解ガソリン及び該脱硫重質分解ガソリンを含有する低硫黄ガソリン組成物を提供することができる。したがって、環境負荷低減に資する高性能ガソリンの基材及びガソリン組成物として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触分解ガソリンを分留して得られる、蒸留初留点90℃以上、硫黄分20〜50質量ppmの重質分解ガソリンを原料とし、該原料を、多孔質担体に活性金属として少なくとも周期律表第6族金属及び第8族金属を担持させた触媒の存在下、温度150〜245℃、圧力1.0〜2.5MPa、LHSV1〜10h-1、水素/油比50〜200NL/Lの反応条件であって、かつ脱硫重質分解ガソリンの硫黄分が10〜15質量ppmとなる脱硫率であり、オレフィン分の低下が1容量%以下となるオレフィンの水素化率で水素化脱硫することを特徴とする脱硫重質分解ガソリンの製造方法。
【請求項2】
脱硫重質分解ガソリンのリサーチ法オクタン価が86以上である請求項1に記載の脱硫重質分解ガソリンの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製造方法で得られた脱硫重質分解ガソリンを含有するガソリン組成物。
【請求項4】
下記の(1)〜(5)の条件を満たす請求項3に記載のガソリン組成物。
(1)リサーチ法オクタン価89以上
(2)硫黄分10質量ppm以下
(3)芳香族分10〜50容量%
(4)ベンゼン含有量が1.0容量%以下
(5)オレフィン分3〜25容量%

【公開番号】特開2008−303273(P2008−303273A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150541(P2007−150541)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】