説明

脱酸素分子、脱酸素分子を含む物品およびこれらの使用方法

本発明は、式IおよびIIの構造の化合物に関する。式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、R、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基からなる群から選ばれる。他の実施態様では、これらの化合物は、脱酸素剤として、ならびにバリヤー組成物および物品中に用いられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2007年5月10日に出願した米国仮特許出願第60/928,533号の利益を主張し、この仮特許出願の全体は、本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、脱酸素にとって有用な化合物に関する。本発明は、高分子基材(base polymer)、被酸化性有機成分および遷移金属を含む実質的に透明な組成物にも関する。本発明は、酸素感受性材料のための包装品の構築におけるそのような組成物の使用も目的とする。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
酸素感受性材料の保護のために包装構造中に脱酸素剤を組み込むことが当分野において知られている。そのような除去剤は、包装品の中に閉じ込められている酸素または包装品の外側から浸透してくる酸素と反応し、従って包装内容物の寿命を長くすると考えられている。これらの包装材は、フィルム、ビン、容器および類似物を含む。酸素暴露に対して食品、飲料(ビールおよび果物ジュースなど)、化粧品、医薬品および類似物が特に感受性が高く、包装内容物の鮮度を保ち、風味、質感および色の変化を避けるために酸素に対する高いバリヤー特性が必要である。
【0004】
遷移金属と組み合わされた特定のポリアミドの使用が脱酸素材料として有用であることが知られている。1つの特に有用なポリアミドは、高分子鎖中にメタ−キシレン残基を含むMXD6である。例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3を参照。
【0005】
他の脱酸素剤は、亜硫酸カリウム(特許文献4)、不飽和炭化水素(特許文献5)およびアスコルビン酸誘導体(特許文献6)を含む。
【0006】
脱酸素材料と、PETなどの高分子樹脂基材とのブレンドから作られている包装壁のバリヤー層中では、除去用材料と高分子樹脂基材との非相溶性、および内部の光の通過と干渉しない程度に小さな分散相分域を機械的ブレンド手段によって作り出すことに対する非力さなどの要因、ならびにPET樹脂基材の結晶化挙動に対する除去用材料の悪影響によって、曇りが生じる結果となり得る。そのような曇りをできるだけ小さくする1つの手法は、除去用材料の分散性を改善し、従って、曇りを軽減するものの実質的に根絶するものではない、および有害な結晶化効果を最小限にする樹脂基材の細心の選択である。この手法は、高分子樹脂基材の選択を望ましくなく狭めて制限しかねない。別の手法は、曇りを軽減する相容化剤として働く組成物を用いることである。これらの手法は層にコストを追加し、相容化剤は食品との接触に関する適性が評価されなければならない追加の材料を加える。従って、当分野において、高い脱酸素能力を提供し、実質的に透明な改善された材料への求めがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,639,815号明細書
【特許文献2】米国特許第5,049,624号明細書
【特許文献3】米国特許第5,021,515号明細書
【特許文献4】米国特許第4,536,409号明細書
【特許文献5】米国特許第5,211,875号明細書
【特許文献6】米国特許第5,075,362号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、
(a)高分子基材、
(b)式IまたはIIの化合物
【0009】
【化1】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、記号−−−−は、結合線とともに用いられているとき、単結合または二重結合を表し、R、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基、ならびに遷移金属からなる群から選ばれる、の少なくとも1つ、および(c)正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって、組成物中に10から400ppm量存在する金属、を含み、前記化合物は、前記組成物の約0.10から10重量パーセント量存在する組成物を目的とする。本発明の組成物を調製する方法ならびに実体化する方法も記載される。
【0010】
式IおよびIIの化合物も本発明の範囲内にある。式IおよびIIの化合物を調製する方法および用いる方法も記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好ましい実施態様であるMXBPを含むバイアルビン中の18日間にわたるパーセント酸素を示している。
【図2】本発明の好ましい実施態様であるMXBPを用いて作られているPET系プラークが閉じ込められた環境中で25日後に酸素の約14%を除去することを示している。
【図3】本発明の好ましい実施態様である化合物306に関する脱酸素データである。■=QC(1.5%MXD6、2%コバルトマスターバッチ(PET中のネオデカン酸コバルト)を含む基準試料)、▲=2%化合物306+2%コバルトマスターバッチ+Vitiva、◆=空気。
【図4】本発明の好ましい実施態様である化合物310に関する脱酸素データである。■=QC(1.5%MXD6、2%コバルトマスターバッチ(PET中のネオデカン酸コバルト)を含む基準試料)、▲=2.5%化合物310+2%コバルトマスターバッチ+Vitiva、◆=空気。
【図5】本発明の好ましい実施態様である化合物307に関する脱酸素データである。■=QC(1.5%MXD6、2%コバルトマスターバッチ(PET中のネオデカン酸コバルト)を含む基準試料)、▲=4%化合物307+2%コバルトマスターバッチ+Vitiva、◆=空気。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(例示的な実施態様の詳細な説明)
実施態様によっては、本発明は、式IおよびII
【0013】
【化2】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、
Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、
D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、
記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、
、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基からなる群から選ばれる
の化合物に関する。
【0014】
態様によっては、本発明は、式
【0015】
【化3】

式中、Xは、O、SまたはNHであり、Y、AおよびBは、独立に、NまたはCHであり、D、EおよびFは、独立に、CH、N、OまたはSであり、実線に加えられた記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、R、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基または電子放出基である、
を有する化合物に関する。
【0016】
組成物によっては、XはOであり、Y、AおよびBはすべてCHであり、D、EおよびFはすべてCHであり、−−−−は二重結合であり、R、RおよびRはすべて水素である。特定の組成物は、式
【0017】
【化4】

を有する。
【0018】
他の組成物は、式
【0019】
【化5】

を有する。
【0020】
他の好ましい実施態様では、XはOであり、YはNである、AおよびBはCHであり、D、EおよびFはすべてCHであり、−−−−は二重結合であり、R、RおよびRはすべて水素である。本発明の特定の組成物は、式
【0021】
【化6】

を有する。
【0022】
さらに別の実施態様では、RおよびRは電子放出基である。電子供与基としても知られる電子放出基は、当分野において既知である。好ましい電子放出基は、分岐および直鎖アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルを含む。本発明の特定の好ましい組成物は、式
【0023】
【化7】

を有する。
【0024】
他の好ましい電子放出基は、アルコキシ、例えばメトキシおよびエトキシを含む。さらに別の好ましい電子放出基は、アミン、例えば−NHおよびN(低級アルキル)を含む。
【0025】
さらに別の実施態様では、RおよびRは、電子吸引基である。電子吸引基は、当分野において既知である。好ましい電子吸引基は、ニトロ、カルボン酸、エステル、例えば低級アルキルエステル、およびシアノを含む。本発明の特定の好ましい組成物は、式
【0026】
【化8】

を有する。
【0027】
本発明の他の特定の好ましい組成物は、式
【0028】
【化9】

を有する。
【0029】
本発明のさらに別の組成物は、式
【0030】
【化10】

のものである。式中、Xは、O、SまたはNHであり、Y、AおよびBは、独立に、NまたはCHであり、D、EおよびFは、独立に、CH、N、OまたはSであり、実線に加えられた記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、R、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基または電子放出基である。これらの組成物の特定のものでは、XはOであり、Y,AおよびBはすべてCHであり、D,EおよびFはすべてCHであり、−−−−は二重結合であり、R、RおよびRはすべて水素である。
【0031】
本発明の他の組成物は、式
【0032】
【化11】

を有する。
【0033】
態様によっては、本発明は、本明細書に開示されている化合物の酸化防止剤、または脱酸素、有効な量を含む、長期間にわたる使用の間に酸素の存在下で普通は段階的な劣化を受けやすい有機材料に関する。
【0034】
本発明のいくつかの態様は、本明細書に開示されている化合物を含む脱酸素組成物の有効な量を含む少なくとも1つの壁を有する、フィルム形成性高分子を含む容器に関する。
【0035】
他の態様は、本明細書に開示されている化合物の有効な量を含む、遷移金属および遷移金属の塩の存在下で酸素と反応する脱酸素組成物に関する。本発明は、(a)式IまたはIIの化合物を含む脱酸素組成物、(b)遷移金属触媒の有効な量、および(b)酸素に対して透過性の機能性バリヤーを含む脱酸素システムにも関する。
【0036】
本発明は、組成物であって、(a)高分子基材、(b)式IまたはIIの化合物少なくとも1つ、および(c)正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって組成物中に10から400ppm量存在する金属を含み、化合物は、組成物の約0.10から10重量パーセント量存在する組成物にも関する。1つの好ましい遷移金属は、コバルトである。実施態様によっては、少なくとも1つの遷移金属は、亜鉛をさらに含む。他の実施態様では、遷移金属は、亜鉛およびコバルトを含む。
【0037】
組成物によっては、高分子基材は、ポリエステル高分子を含む。1つの好ましいポリエステル高分子は、ポリエチレンテレフタレートである。
【0038】
実施態様によっては、本明細書に記載されている化合物(単数または複数)は、組成物の重量を基準として約1から約10重量パーセント量存在する。他の実施態様では、脱酸素化合物は、組成物の重量を基準として約1から約5重量パーセント量存在する。さらに別の実施態様では、化合物は、組成物の重量を基準として約1から約3重量パーセント量存在する。本明細書に記載されている化合物(単数または複数)が組成物の重量を基準として約0.1から約10重量パーセント量存在する実施態様も本発明の範囲内にある。
【0039】
本発明のいくつかの好ましい実施態様は、全組成物重量の30から150ppmの遷移金属の濃度を有する。
【0040】
本発明の他の態様は、少なくとも1つの層を含む包装壁に関し、層は、組成物を含み、組成物は、(a)高分子基材、(b)式IまたはIIの化合物の少なくとも1つ、および(c)正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって、組成物中に10から400ppm量存在する金属を含み、化合物は、組成物の約0.10から10重量パーセント量存在する。
【0041】
本発明のさらに別の態様は、組成物を含む包装壁に関し、組成物は、(a)1つ以上の外層、および(b)1つ以上の内層を含み、内の少なくとも1つまたは外層の少なくとも一つは、(1)高分子基材、(2)式IまたはIIの化合物の少なくとも1つおよび(3)正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって、組成物中に10から400ppm量存在する金属を含む組成物を含み、化合物は、組成物の約0.10から10重量パーセント量存在する。実施態様によっては、第1の層は、第2の層から放射状に外へ向かって配置される。
【0042】
本発明は、
(a)少なくとも1つの層を含む壁を有する包装体を調製するステップであって、層の少なくとも1つは組成物を含み、組成物は、
高分子基材、
式IまたはIIの化合物の少なくとも1つ、および
正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって、組成物中に10から400ppm量存在する金属
を含み、化合物は、組成物の約0.10から10重量パーセント量存在するステップ、
(b)酸素感受性材料を包装体の中に導入するステップ、および
(c)包装体を閉じるステップ
を含む、酸素感受性材料を包装するための方法にも関する。
【0043】
本発明のさらに別の実施態様は、
(a)高分子基材を式IまたはIIの化合物の少なくとも1つと組み合わせて組成物を形成させるステップであって、組成物は正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属を有し、金属は組成物中に10から400ppm量存在し、化合物は組成物中に約0.10から10重量パーセント量存在するステップ、
(b)ステップ(a)の生成物を壁に成形するステップ、および
(c)壁を含む容器を成形するステップ
を含む、酸素バリヤー特性を有する壁を有する包装材料を製造するための方法に関する。
【0044】
本発明の別の態様は、
(a)溶融加工区域の中で
高分子基材、
式IまたはIIの化合物の少なくとも1つ、および
正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって、組成物中に10から400ppm量存在する金属を一緒にすることによって溶融物を形成させるステップであって、化合物は、組成物の約0.10から10重量プレゼント量存在するステップ、
(b)溶融物から物品を成形するステップ
を含む、物品を作るためのプロセスに関する。
【0045】
実施態様によっては、物品は、プリフォーム、シート、ビン、カップまたはジャーである。
【0046】
用語「電子吸引」または「電子供与」は、分子の中の同じ位置を水素が占めていたら水素が示すものに対しての、電子を引き付けるかまたは供与する置換基の能力を指す。これらの用語は、当業者によって十分に理解されており、例えば、Advanced Organic Chemistry by J.March,1985,pp.16〜18において考察されている。
【0047】
電子吸引基は、とりわけ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ニトロ、アシル、シアノ、カルボキシル、低級アルケニル、低級アルキニル、カルボキシアルデヒド、カルボキシアミド、アリール、第四アンモニウム、トリフルオロメチル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノカルボニル、スルホン酸、アルカンスルホニル、アリールスルホニル、ペルフルオロアルカンスルホニル、ペルフルオロアリールスルホニル、ホスホリル、第三アミンカチオン、およびそれらの組み合わせを含む。
【0048】
電子供与基は、とりわけ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アリールオキシ、メルカプト、低級アルキルチオ、低級アルキルメルカプトおよびジスルフィドのような基を含む。前述の置換基が異なる化学条件下で電子供与性または電子吸引性特性を有することがあることは、当業者に自明である。さらに、本発明は、上記で特定された基から選ばれた置換基の任意の組み合わせも意図する。
【0049】
実施態様によっては、最も好ましい電子供与置換基または電子吸引置換基は、ハロ、ニトロ、アルカノイル、カルボキシアルデヒド、アリールアルカノイル、アリールオキシ、カルボキシル、カルボキシアミド、シアノ、スルホニル、スルホキシド、ヘテロシクリル、グアニジン、第四アンモニウム、低級アルケニル、低級アルキニル、スルホニウム塩、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキルアミノ)、アミン低級メルカプト、メルカプトアルキル、アルキルチオおよびアルキルジチオである。
【0050】
本発明の酸化防止剤/脱酸素剤は、長期間にわたる使用の間に酸素の存在下で普通は段階的な劣化を受けやすい広い範囲の有機製品において用いられてよい。実施態様によっては、本酸化防止剤によって保護されている有機組成物は、本分野が酸化防止剤保護の必要を認識し、通例として、延長された耐用年数を得るためにある種類の酸化防止剤が加えられる種類のものである。保護される相手となる酸化分解は、例えば燃焼ではなく、有機組成物の遅い段階的な劣化である。言い換えれば、本添加剤は、必ずしも難燃添加剤ではなく、火炎抑制剤でもない。
【0051】
実施態様によっては、酸化防止剤/脱酸素剤は、高温で利用されてよい。1つのそのような使用は、溶融加工操作の間であろう。
【0052】
実施態様によっては、本発明は、本発明の化合物の合成に関する。第1の合成スキームにおいては、約2モルの式
【0053】
【化12】

の化合物が水を放出させる反応条件下で1モルの式
【0054】
【化13】

の化合物と反応し、水は、Dean−Starkトラップ中に捕集され、式
【0055】
【化14】

を有する所望の生成物を作り出す。式中、すべての基は、上記で定義されているとおりである。
【0056】
1つの好ましい実施態様では、2モルのフタリド(o−ヒドロキシメチル安息香酸ラクトン、1,3−ジヒドロベンゾ[c]フラン−1−オン、オキソフタランまたは1(3H)−イソベンゾ−フラノンとしても知られている)が下記に示されるようにメタ−キシリレンジアミンと反応する。
【0057】
【化15】

別の合成実施態様では、無水フタル酸がメタキシリレンジアミンと反応してジイミド生成物を作り出し、次に、以下に示すように:
【0058】
【化16】

以下のスキームに従う、一般に当分野において知られている方法を用いて、本発明のさらに別の実施態様が調製されてよい。
【0059】
【化17】

【0060】
【化18】

下記のスキームに従ってさらにまた別の実施態様が調製されてよい。
【0061】
【化19】

【0062】
【化20】

当分野において知られている修飾形が用いられて本発明のさらに別の実施態様を作り出してよい。
【0063】
添加剤が有用である有機材料の例は、オレフィン系不飽和モノマーの単独重合体と共重合体との両方の重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンおよび類似物などのポリオレフィンを含む。ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフルオロオレフィンおよび類似物などのポリハロ炭化水素も安定化が付与されている。添加剤は、天然ゴム、およびスチレン−ブタジエンゴム(SBRゴム)、エチレンプロピレン共重合体エチレン、プロピレンおよびシクロペンタジエンまたは1,4−シクロオクタジエンの三元重合体などのエチレン−プロピレンジエン三元重合体を含むオレフィン系不飽和モノマーの共重合体などの合成ゴムにおいて酸化防止剤保護を提供する。cis−ポリブタジエンゴムなどのブタジエンゴムが保護される。本添加剤によってポリ−2−クロロ−1,3−ブタジエン(ネオプレン)およびポリ−2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレンゴム)が安定化される。同様に、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂が効果的に安定化される。ブテン−アクリル酸メチル共重合体が保護されるように、エチレン酢酸ビニル共重合体が保護される。ポリウレタン、ニトリルゴムおよびアクリル酸ラウリル−ビニル−ピロリドン共重合体などの窒素含有重合体が効果的に安定化される。トルエン中のポリクロロプレン(ネオプレン)の溶液などの接着性組成物が保護される。
【0064】
溶剤精製された、大陸中央部(Midcontinent)潤滑油およびメキシコ湾岸(Gulfcoast)潤滑油などの石油系の油が効果的に安定化される。炭化水素潤滑油の場合、鉱物系および合成系の両方で、本添加剤は、亜鉛ジチオリン酸ジヒドロカルビル、例えば亜鉛ジチオリン酸ジアルキルまたは亜鉛ジチオリン酸ジアルカリールと組み合わされて用いられると特に有効である。
【0065】
タービンおよびターボジェットエンジン中で用いられるものなどの合成エステル潤滑剤が高度の安定化を付与される。典型的な合成エステル潤滑剤は、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、トリペラルゴン酸トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのC5〜9脂肪族モノカルボン酸エステル、ポリオール、ポリカルボン酸、および脂肪族モノカルボン酸および/または1価アルカノールの混合物をエステル化条件下で縮合することによって形成される複雑なエステルを含む。これらの複雑なエステルの例は、アジピン酸、エチレングリコール、およびC5〜9脂肪族モノカルボン酸の混合物から形成される縮合生成物である。フタル酸ジオクチルなどの可塑剤が効果的に保護される。必要があれば、タールおよびアスファルトなどの石油重質留分も保護され得る。
【0066】
アジピン酸−1,6−ジアミノヘキサン縮合物およびポリ−6−アミノヘキサン酸などのポリアミド(ナイロン)が効果的に安定化される。フェノールとエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとの共重合体などのポリアルキレンオキシドが安定化される。銅−ピリジン触媒を用いて2,6−ジメチルフェノールの重合によって形成されるポリ−2,6−ジメチルフェニルエーテルなどのポリフェニルエーテルが安定化される。ポリカーボネートプラスチックおよび他のポリホルムアルデヒドも保護される。
【0067】
無水フタル酸−グリコール縮合物などの直鎖ポリエステルが高度の保護を付与される。テレフタル酸とアルキレングリコールとから誘導されるものなどのポリエステルが高度な保護を付与される。トリメリット酸−グリセロール縮合物などの他のポリエステルが保護される。ポリアクリル酸メチルおよびポリメタクリル酸メチルなどのポリアクリレートが効果的に安定化される。ポリアクリロニトリル、およびアクリロニトリルとメタクリル酸メチルなどの他のオレフィン系不飽和モノマーとの共重合体も効果的に安定化される。
【0068】
添加剤は、酸化防止剤が通常加えられる多くの有機基質のいずれを保護するために用いられてもよい。経済性が許す場合には、アスファルト、紙、テフロン(登録商標)などのフルオロカーボン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、クマロン−インデン樹脂、ポリビニルエーテル、ポリ臭化ビニリデン、ポリ臭化ビニル、アクリロニトリル、臭化ビニル共重合体、ビニルブチラール樹脂、ジメチルシリコーン潤滑剤などのシリコーン、リン酸トリクレシルなどのリン酸エステル潤滑剤および類似物のような基質を保護するために用いられてよい。
【0069】
本発明の好ましい実施態様は、遷移金属触媒をさらに含むポリエチレンテレフタレート調合物中への脱酸素剤の組み込みである。脱酸素剤は、遷移金属触媒の存在下で特に良好に働く。
【0070】
高分子成分とともに、本発明の式IまたはIIの化合物を含む脱酸素組成物は、遷移金属塩、化合物または錯体を脱酸素剤触媒として含んでよい。遷移金属は、周期律表の第1、第2、または第3遷移系列から選ばれてよい。金属は、Rh、Ru、またはScからZnまでの系列の元素(すなわち、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZn)の1つであってよい。塩のための適当なアニオンは、塩化物、酢酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、ネオデカン酸塩およびナフテン酸塩を含むがそれらに限定されない。代表的な塩は、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、オレイン酸コバルトおよびネオデカン酸コバルト(II)を含む。金属塩は、イオノマーであってもよく、この場合、高分子対イオンが使用されてよい。
【0071】
本発明の脱酸素調合物中に用いられる成分の量は、本組成物の使用法および有効性に影響を及ぼし得る。従って、高分子、遷移金属触媒、酸化防止剤、高分子希釈剤、添加剤等の量は、所望の物品およびその最終用途に応じて変化してよい。例えば、上記に記載されている高分子の主な機能の1つは、除去プロセスの間に酸素と不可逆的に反応することであり、一方、遷移金属触媒の主な機能は、このプロセスを容易にすることである。従って、存在する高分子の量は、組成物の脱酸素容量、すなわち組成物が消費し得る酸素の量に高度に影響を及ぼし、一方、遷移金属触媒の量は、酸素が消費される速度ならびに誘導期に影響を及ぼす。
【0072】
添加剤を基質中に組み込む方法が公知である。例えば、基質が液体なら、添加剤は基質中に単に混合されるだけでよい。しばしば、有機基質は溶液中にあり、添加剤が溶液に加えられ、溶媒が除去される。固体有機基質は、単に揮発性溶媒中の添加剤の溶液をスプレーされるだけでよい。例えば、添加剤のトルエン溶液を粒子にスプレーした結果として、安定化された粒子製品が得られる。ゴム状高分子の場合、添加剤は、重合段階の後でそれを最終的な乳化重合混合物または溶液重合混合物と混合することによって加えられ、次に凝固させるかまたは溶媒を除去して安定化された重合体を回収してよい。それは、添加剤を単にBanburyブレンド装置などの市販の混合装置中でゴム状ポリマーと混合することによって、コンパウンド化段階で加えられてもよい。このようにして、スチレン−ブタジエンゴム、cisポリブタジエンまたはイソプレン重合体などのゴム状重合体がカーボンブラック、油、硫黄、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫促進剤および類似物などの通常加えられる他の成分と共に、酸化防止剤とブレンドされる。素練りの後、得られた混合物は完成形に作製され、成形され、加硫される。
【0073】
本発明の脱酸素組成物は、さまざまな形を有する包装物品中に組み込まれ得る。適当な物品は、可撓性シートフィルム、可撓性バッグ、パウチ、ビン(例えばPETボトル)または金属缶などの半剛性および剛性容器、またはそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。
【0074】
典型的な可撓性フィルムおよびバッグは、さまざまな食品品目を包装するために用いられるものを含み、全体としてのフィルムまたはバッグ状包装材料を形成する1層または多層で作られてよい。本発明の脱酸素組成物は、そのような包装材料の層の1つ、いくつか、またはすべての中に用いられてよい。
【0075】
典型的な剛性または半剛性物品は、ジュース、ソフトドリンクのために利用されるものなどのプラスチック、紙、またはボール紙容器、ならびに通常、100から1000マイクロメートルの範囲の厚さを有する熱成形されたトレイまたはカップを含む。そのような物品の壁は、単層または多層の材料を含んでよい。物品は、ビンまたは金属缶、あるいはクラウン、キャップ、クラウンまたはキャップの内張り、プラスチゾルまたはガスケットの形であってもよい。本発明の脱酸素組成物は、成形された半剛性または剛性包装物品の一体層または一部として、外部または内部の被覆物あるいは内張りとして用いられてよい。内張りとして、脱酸素組成物は、物品生産時に内張りをインサイチュ成形するように例えば共押し出し法、押し出し被覆法、または押し出し積層プロセスにおいて、フィルムとして剛性物品それ自体と一緒に押し出されてよく、あるいは、物品が製造された後、熱および/または圧力によって、接着剤によって、または他の任意の適当な方法によって物品の外部表面に接着させられてよい。
【0076】
包装の便宜および/または除去有効性の立場からは、本発明を包装壁の一体部分または個別部分として使用する方が好ましいことがあるが、本発明は、例えば、ビンのフタの内張り、接着性または非接着性シートインサート、封止剤、小さな袋、繊維マットインサートまたは類似物などの包装物品の非一体部品として用いられてもよい。
【0077】
食品および飲料を包装するために利用可能な物品の他に、他の酸素感受性製品を包装するための物品も本発明の利点を享受することができる。そのような製品は、医薬品、酸素感受性医療製品、腐食性金属または製品、電子デバイスおよび類似品を含む。
【0078】
本発明のいくつかの実施態様では、組成物中の高分子基材はポリエステルである。特定の実施態様では、本発明のポリエステル高分子は熱可塑性であり、従って、組成物の形は限定されず、非晶質ペレットとして、固相高分子として、半結晶粒子として、溶融加工区域中の物質の組成物として、ビンのプリフォームとして、または延伸ブロー成形ボトルまたは他の物品の形で、溶融相重合における組成物を含んでよい。特定の好ましい実施態様では、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0079】
適当なポリエステル高分子の例は、約15モル%より少ない、または約10モル%以下、または約8モル%以下の累積量の1つ以上のポリカルボン酸改質剤、または約60モル%未満、または約50モル%未満、または約40モル%未満、または約15モル%未満、または約10モル%以下、または約8モル%以下の量の1つ以上のヒドロキシル化合物改質剤で改質されたポリエチレンテレフタレート単独重合体および共重合体(簡潔さのためにまとめて「PET」と呼ばれる)、および約15モル%未満、または約10モル%以下、または約8モル%以下の累積量の1つ以上のポリカルボン酸改質剤で改質された、または約60モル%未満、または約50モル%未満、または約40モル%未満、または約15モル%未満、または約10モル%以下、または約8モル%以下の1つ以上のヒドロキシル化合物改質剤改質されたポリエチレンナフタレート単独重合体および共重合体(簡潔さのためにまとめて「PEN」と呼ばれる)、およびPETとPENとのブレンドを含む。改質剤ポリカルボン酸化合物またはヒドロキシル化合物は、少なくとも約85モル%量含まれる化合物以外の化合物である。好ましいポリエステル高分子はポリアルキレンテレフタレートであり、PETが最も好ましい。
【0080】
実施態様によっては、ポリエステル高分子は、ポリエステル高分子中のすべての繰り返し単位のモル数を基準として、少なくとも約90モル%、他の実施態様では少なくとも約92モル%、さらに別の実施態様では少なくとも約94モル%のエチレンテレフタレート繰り返し単位を含む。
【0081】
テレフタル酸、テレフタル酸の誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸の誘導体、またはそれらの混合物の二酸成分に加えて、本ポリエステルのポリカルボン酸成分(単数または複数)は、1つ以上の追加の改質剤ポリカルボン酸を含んでよい。そのような追加の改質剤ポリカルボン酸は、好ましくは約8から約14の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸、好ましくは約4から約12の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、または好ましくは約8から約12の炭素原子を有する脂環式ジカルボン酸を含む。酸成分(単数または複数)として有用な改質剤ジカルボン酸の例は、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸および類似酸であり、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸が最も好ましい。これらの酸の対応する酸無水物、エステルおよび酸塩化物の使用が用語「ポリカルボン酸」に含まれると理解されるべきである。3官能以上のポリカルボン酸がポリエステルを改質することも可能である。
【0082】
ヒドロキシル成分は、カルボン酸基と反応することができる2つ以上のヒドロキシル基を含む化合物から作られる。いくつかの好ましい実施態様では、好ましいヒドロキシル化合物は、2または3のヒドロキシル基を含む。特定の好ましい実施態様は、2つのヒドロキシル基を有する。これらのヒドロキシル化合物は、エチレングリコール、プロパンジオールおよびブタンジオールなどのC〜Cアルカンジオールを含み、それらの中でエチレングリコールが容器用途に最も好ましい。これらのジオールに加えて、他の改質剤ヒドロキシル化合物成分(単数または複数)は、好ましくは6から20の炭素原子を有する脂環式ジオールおよび/または好ましくは約3から約20の炭素原子を有する脂肪族ジオールなどのジオールを含んでよい。そのようなジオールの例は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロパン−1,3−ジオールおよびブタン−1,4−ジオール(すべてのヒドロキシル化合物残基のモル数を基準としてエチレングリコール残基が高分子中に少なくとも85モル%量存在するなら改質剤ジオールとみなされる)、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、3−メチルペンタンジオール−(2,4)、ネオペンチルグリコール、2−メチルペンタンジオール−(1,4)、2,2,4−トリメチルペンタン−ジオール−(1,3)、2,5−エチルヘキサンジオール−(1,3)、2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3)、ヘキサンジオール−(1,3)、1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン、および2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパンを含む。通常、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルは、グリコールを遊離酸またはそのジメチルエステルとしてのジカルボン酸と反応させてエステルモノマーおよび/またはオリゴマーを生成させ、これらが次に重縮合されてポリエステルを作り出すことによって作られる。
【0083】
いくつかの好ましい実施態様では、改質剤は、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸二無水物、1,4−シクロヘキサンジメタノール、およびジエチレングリコールを含む。調合されたポリエステル高分子組成物中のポリエステル高分子の量は、すべてのポリエステル高分子およびすべてのポリアミド高分子の合計重量を基準として、約50.0重量%を超える量から、または約80.0重量%から、または約90.0重量%から、または約95.0重量%から、または約96.0重量%から、または約97重量%から、最大約99.90重量%の範囲にある。調合されたポリエステル高分子組成物は、調合されたポリエステル高分子組成物とポリカーボネートなどの他の熱可塑性重合体とのブレンドも含んでよい。いくつかの好ましい組成物では、ポリエステルは、本発明の組成物の主成分を含み、実施態様によっては、ポリエステルは、組成物の重量(充填材、無機化合物または粒子、繊維、衝撃改質剤、または衝撃改質剤として働くかまたは低温貯蔵食品トレイに見いだされることがあるような不連続相を形成する他の高分子を除く)を基準として少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%量存在する。
【0084】
ポリエステル組成物は、エステル化および重縮合を行わせるのに十分な、当分野において既知の重合手順によって調製されてよい。ポリエステル溶融相製造プロセスは、任意選択としてエステル化触媒存在下の、エステル化区域中のジカルボン酸とジオールとの直接縮合とそれに続く重縮合触媒存在下のプレポリマーおよび仕上げ区域中での重縮合とを含むか、または通常エステル交換触媒の存在下のエステル交換区域でのエステル交換とそれに続く重縮合触媒存在下の予備重合および仕上げを含み、それぞれが、任意選択として、既知の方法によって固相化されてよい。
【0085】
本組成物中に用いられる遷移金属は、正の酸化状態にある金属である。1つ以上のそのような金属が用いられてよいとみなされる点に注意すべきである。実施態様によっては、+2または+3酸化状態にあるコバルトが加えられる。実施態様によっては、+2酸化状態にあるコバルトを用いることが好ましい。特定の実施態様では、+2の酸化状態にある銅が利用される。実施態様によっては、+2の酸化状態にあるロジウムが用いられる。特定の実施態様では、亜鉛も組成物に加えられてよい。好ましい亜鉛化合物は、正の酸化状態にあるものを含む。
【0086】
遷移金属カチオンに対する適当な対イオンは、とりわけ、ネオデカン酸塩、オクタン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、ナフタレート、リンゴ酸塩、ステアリン酸塩、アセチルアセトナート、リノール酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、2−エチルへキサン酸塩、またはエチレングリコラートなどのカルボン酸塩;またはそれらの酸化物として、ホウ酸塩、炭酸塩、塩化物、二酸化物、水酸化物、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、またはケイ酸塩を含む。
【0087】
実施態様によっては、少なくとも約10ppm、または少なくとも約50ppm、または少なくとも約100ppmのレベルの金属が適当な脱酸素レベルを実現し得る。利用時に用いられる遷移金属の正確な量は、十分に当業者の技術水準内にある試行によって決定されてよい。壁の利用(より多くの触媒が用いられるマスターバッチ利用と対比して)を含むいくつかの実施態様では、金属のレベルを約300ppm未満に、他の実施態様では、好ましくは約250ppm未満に保持することが好ましい。
【0088】
遷移金属または金属は、単味でまたはキャリア(液体またはワックスなど)中で物品を作るための押し出し機または他の装置に加えられるか、または金属は、被酸化性有機成分とともに濃縮物またはキャリア中に、高分子基材とともに濃縮物またはキャリア中に、または高分子基材/被酸化性有機成分ブレンドとともに濃縮物またはキャリア中に、存在してよい。あるいは、高分子基材(実施態様によってはポリエステル高分子)を作るための溶融相反応に遷移金属の少なくとも一部が重合触媒として加えられ、高分子がプリフォームまたはシートなどの物品を作るための溶融区域(例えば押し出しまたは射出成形区域)に供給されるとき残留金属として存在してよい。遷移金属の添加が溶融加工区域中の溶融物の固有粘度(It.V)を実質的に増加させないことが望ましい。従って、遷移金属または金属が、ポリエステル高分子の製造のための溶融相の間に1度、物品を作るための溶融区域にもう一度のように2段階以上で加えられてよい。
【0089】
組成物は、顔料、充填材、結晶化補助剤、衝撃改質剤、表面潤滑剤、嵌め外し(denesting)剤、安定剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどの核形成剤、リン酸塩安定剤および染料などの他の成分も含んでよい。他の追加成分は当業者に公知であり、組成物の性能に悪影響を及ぼさない限り、既存の組成物に加えられてよい。通常、そのような成分の総量は、組成物全体に対して約10重量%未満である。実施態様によっては、これらの任意選択の成分の量は、組成物全体に対して約5重量%未満である。
【0090】
延伸ブロー成形ビンを作るために用いられるポリエステル高分子組成物の製造において用いられる普通の添加剤は、組成物から作られたプリフォームはビンに延伸ブローするための型に入る前に再加熱されなければならないので、再加熱添加剤である。通常の再加熱添加剤のいずれが用いられてもよく、そのような添加剤は、さまざまな形の黒色粒子、例えばカーボンブラック、活性炭、黒色酸化鉄、ガラス状炭素、および炭化ケイ素;アンチモンなどの灰色粒子、およびシリカ、弁柄、その他などの他の再加熱添加剤を含む。
【0091】
他の通常の添加剤は、用途に応じて、衝撃改質剤である。当分野において公知であり、本発明において有用な通常の市販の衝撃改質剤の例は、アクリル酸エステルがアクリル酸メチルもしくはエチル、またはメタクリル酸メチルもしくはエチル、または対応するアクリル酸ブチルであるエチレン/アクリル酸エステル/グリシジル三元重合体およびエチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン系ブロック共重合体、およびさまざまなアクリルコア/シェル型衝撃改質剤を含む。衝撃改質剤は、組成物全体の約0.1から約25重量パーセントの通常量、実施態様によっては、好ましくは組成物の約0.1から約10重量パーセント量用いられてよい。
【0092】
多くの用途において、包装内容物は酸素の進入に対して敏感であるばかりでなく、内容物は紫外線によっても影響を受けることがある。果物ジュースおよび医薬品がそのような内容物の2つの例である。従って、実施態様によっては、包装された内容物を保護するのに有効な量の既知のUV吸収化合物のいずれか1つをポリエステル組成物中に組み込むことが望ましい。
【0093】
本組成物は、高分子基材(例えばPET)を被酸化性有機成分および遷移金属組成物と混合することによって作られてよい。そのような組成物は、当業者に既知の任意の方法によって作られてよい。特定の実施態様では、遷移金属のいくらかまたは一部が混合の前に高分子基材中に存在してよい。例えば、この残留金属は、高分子基材の製造プロセスに由来して存在してよい。実施態様によっては、高分子基材、被酸化性有機成分および遷移金属は、ホッパー中で回転することによって混合される。他の任意選択の成分がこの混合プロセスの間に加えられるかまたは前述の混合の後に混合物に、または前述の混合ステップの前に個々の成分に加えられてよい。
【0094】
本組成物は、組成物を溶融加工して物品を成形する前に、各成分を別々に加え、成分を混合することによって作られてもよい。実施態様によっては、混合は、溶融加工区域の直前であってよい。他の実施態様では、成分のすべてを一緒にする前に、1つ以上の成分が個別のステップにおいて予備混合されてよい。
【0095】
実施態様によっては、本発明は、酸素感受性材料のための包装体中に用いられる壁の成分としての本明細書に記載されている組成物の使用に関する。一般に、包装品の必要な除去容量は、除去用添加剤非存在下で大きな透過性を有する壁ほど大きくなければならない。従って、固有に高い透過性の材料ほど、良好な効果は実現し難い。
【0096】
壁は、剛性の壁、可撓性のシート、または粘着性のフィルムであってよい。壁は、均一、またはラミネート、または他の重合体で被覆されていてよい。壁がラミネートされているかまたは被覆されているなら、除去する性質は、除去がない場合に透過性が比較的高く、単独ではあまり良好に機能しないが、比較的低い透過性を有するものの無視してよいかまたは不十分な脱酸素特性を有する1つ以上の他の層と組み合わされると満足できる性能を有する、壁の層の中にあってよい。単一のそのような層が包装品の外側に用いられることができるであろう。なぜならば、外側は、包装品に内容物が入れられ、封じられたとき酸素が主としてやって来る側であるからである。しかし、そのような層が除去層のどちらの側にあっても、内容物を入れ、封止する前の除去容量の消費を減少させるであろう。
【0097】
本組成物が壁の中に、または壁の層として用いられるとき、酸素に対する組成物の透過率は、約3.0、または約1.7、または約0.7、または約0.2、または約0.03cm mm/(matm・日)より大きくないと有利である。本発明によって提供される組成物の透過率は、脱酸素特性のない場合のそれの約4分の3より多くないと有利である。実施態様によっては、透過率は、脱酸素特性がない場合の約半分、特定の実施態様では10分の1、他の実施態様では25分の1、さらに別の実施態様では100分の1を超えない。脱酸素特性がない場合の透過率は、約17cm mm/(matm・日)、または約10、およびまたは約6より多くないと有利である。約0.5、または約1.0から約6.0、または10cm mm/(matm・日)の範囲内のような透過率の場合に特に良好な効果が実現され得る。例えば、内容が全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第5,639,815号明細書に記載されている方法によって、酸素透過率の測定が行われてよい。
【0098】
別の態様では、本組成物は、高分子または高分子含有成分とブレンドするためのマスターバッチとして用いられてよい。そのような組成物においては、被酸化性有機成分および遷移金属の濃度は、最終的なブレンドされた製品がこれらの成分の適当な量を有することを可能にするように高くされる。マスターバッチは、マスターバッチがブレンドされる相手の高分子のある量も含んでよい。他の実施態様では、マスターバッチは、マスターバッチがブレンドされる相手の高分子と適合性のある高分子を含んでよい。
【0099】
さらに別の態様では、本発明の組成物は、主として脱酸素を提供する壁の層(高分子を含む別の層が除去はあまりしないがガスバリヤーを提供する)を形成するために、またはヘッド−スペース除去剤(包装内容物とともに包装壁によって完全に閉じ込められる)として用いられてよい。そのような技法は、当業者に公知である。脱酸素技術および製品を熟知している者なら、どのようにして本節に開示されている構造体を実現するか理解する。
【0100】
透過性が維持される期間は、酸素感受性材料と一緒の使用の前に密封された容器中または窒素などの不活性雰囲気下に物品を貯蔵することによって引き延ばすことができる。
【0101】
別の態様では、本発明は、剛性、半剛性、折りたたみ可能、フタ付き、または可撓性、あるいはこれらの組み合わせを問わず、本明細書に記載されている組成物から形成される壁を含む包装品を提供する。そのような包装品は、当業者に公知の方法によって形成されてよい。
【0102】
成形法、一般に、射出成形法、延伸ブロー成形法、押し出し法、熱成形法、押し出しブロー成形法、および(特に多層構造体の場合)共押し出し法および接着専用層を用いる積層法が物品を作るために用いられてよい技法の中にある。例えば、延伸ブロー成形法による重合体の配向は、得られる既知の機械的利点のため、フタレートポリエステルの場合に特に魅力的である。
【0103】
物品を作るための溶融加工区域は、プリフォーム、ビン、トレイおよび下記に言及される他の物品などの意図される物品を作るのに有効な慣習的な条件下で動作することができる。一実施態様では、そのような条件は、溶融のIt.Vを実質的に増加させないで溶融を加工するのに効果的であり、エステル交換反応を促進するには効果的でない。いくつかの好ましい実施態様では、ポリエステル高分子、被酸化性有機成分、および遷移金属の物理的ブレンドを確立するのに効果的な適当な動作条件は、約6分間より少ない全サイクル時間において、約250℃から約300℃の範囲内の溶融加工区域内の温度であり、通常は真空を利用せず、約0psigから約900psigの範囲の陽圧下である。実施態様によっては、スクリュー上の溶融物の滞留時間は、約1から約4分間の範囲であってよい。
【0104】
特定の物品は、高い酸素バリヤーが必要な食品、飲料、化粧品、医薬品およびパーソナルケア製品の包装のためのプリフォーム、容器およびフィルムを含む。飲料容器の例は、水および炭酸入りソフトドリンクを保持するためのビンであり、本発明は、酸素が飲料の風味、香味、性能(ビタミンの分解を防ぐ)または色に悪影響を及ぼすジュース、スポーツ飲料、ビールまたは任意の他の飲料を含むビン用途において特に有用である。本発明の組成物は、剛性包装材料および可撓性構造体のためのフィルムに熱成形するためのシートとして特に有用である。剛性包装材料は、食品トレイおよびフタを含む。食品トレイ用途の例は、食品内容物の鮮度が酸素の進入によって劣化し得る基部容器中とフタ部分(熱成形フタであれフィルムであれ)との両方での二層オーブン調理可能食品トレイまたは低温貯蔵食品トレイを含む。本発明の組成物は、化粧品容器および医薬品または医療用具のための容器の製造においても使用を見いだす。
【0105】
本発明の包装壁は、単層または多層の構造体であってよい。多層の壁を用いるいくつかの実施態様では、外層および内層は、それらの層の間に脱酸素材料を含む1つ以上の保護層が間に配置されている構造層であってよい。実施態様によっては、外層および内層は、ポリオレフィンまたはポリエステルを含む。特定の実施態様では、単層設計が好ましい。そのような層は、製造の単純さおよびコストに利点を有することがある。
【0106】
特に明記しない限り、本発明は、特定の分子構造、置換基、合成方法、反応条件またはそのように変化する類似項目に限定されない。本明細書中で用いられる用語法は特定の実施態様を記載するためでしかなく、限定する意図がないことも理解されるべきである。
【0107】
本明細書において、および後続の請求項において、複数の用語への参照が行われるが、それらの用語は以下の意味を有するものと定義される。
【0108】
本明細書中で用いられる句「式を有する」または「構造式を有する」は、限定するものではなく、用語「含む」が普通に用いられると同じ様に用いられる。本明細書中では、用語「独立に、から選ばれる」は、挙げられた要素、例えばR基または類似物が同じであっても異なっていてもよいことを示すために用いられる。
【0109】
本明細書中で用いられる用語「a」、「an」、「the」および類似の語は、状況が明白に異ならない限り、単数と複数との両方を指す。例えば、「A bottle」は、単一のビン、または2つ以上のビンを指す。
【0110】
本明細書中で用いられる1つ以上の方法ステップの記載も、挙げられたステップの組み合わせの前か後の追加の方法ステップの存在を妨げない。追加のステップは、記載されているステップの間に入るステップであってもよい。さらに、プロセスステップまたは成分の文字表記は、個別の活動または成分を特定するための便利な手段であり、挙げられた文字表記は任意の順番に並べられてよいと理解される。
【0111】
ある範囲の数が本出願中に示される場合、この範囲は、述べられた範囲限界値の間のすべての整数およびそれらの端数を含むと理解される。数の範囲は、述べられた端点未満の数および述べられた範囲の間にあるものを明示的に含む。例えば、1〜3の範囲は、整数1、2および3、ならびにこれらの整数の間の任意の端数を含む。
【0112】
本明細書中で用いられる「マスターバッチ」は、物品を成形する前に、通常、少なくとも追加の高分子基材で希釈される、高分子基材、被酸化性有機成分および遷移金属の混合物を指す。よって、被酸化性有機成分および遷移金属の濃度は、成形された物品中より高い。
【0113】
以下の実施例は、分子の合成、および酸素を除去する分子の使用、ならびにそのような除去剤を含む製品に関する本発明の好ましい実施態様を示すために含まれている。以下の実施例中に開示されている技法は、本発明の実施において良好に機能し、従って本発明の実施にとって好ましいモードを構成するとみなされ得ることが本発明者らによって発見された技法を表すことが当業者に理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示に鑑み、開示した特定の実施態様において多くの変化を施してもなお本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく同様な類似の結果を得ることができることを理解するべきである。
【実施例】
【0114】
(実施例1)
バイアルビンの側壁上に酸素感受性のoxydotを有する、22ccのバイアルビンの中に2gのMXBPが入れられる。バイアルビンは、外部環境との交換がないように密封される。密封された空の空気バイアルビンが対照として用いられた。
【0115】
【化21】

Oxysense計測器(Oxysense,Inc.,Las Vegas,NV)を用いて室温(約22℃)でバイアルビン中の初期パーセント酸素レベルが測定される。次に、バイアルビンは、75℃の空気循環式オーブン中に置かれる。オーブン中で1日後、バイアルビンは取り出され、室温に冷却され、パーセント酸素レベルが測定される。5つの酸素レベルの測定後、バイアルビンは75℃のオーブンに戻される。この手順が18日間繰り返される。図1にこれらの測定から得られたデータが示されている。
【0116】
図1に見られるように、MXBPは、18日後に酸素の約4%を除去する。
【0117】
(実施例2)
PET樹脂(Vitiva(商標)、Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)が、射出成形機に供給される前に、Piovan乾燥装置(#DSN520HE型、Piovan Canada、Mississauga、Ontario)中170℃で4時間乾燥される(用いられた空気の露点=−50℃)。Mark 2 HP水分分析装置(Sartorious Omnimark Instrument Corp.,Temp,AZ)によって樹脂の水分含有率が測定される(4時間/170℃後)。乾燥されたPETの水分含有率は、約33ppmである。
【0118】
Dri Air RH15型乾燥装置(Dri−Air Industries,Inc.,East Windsor,CT)中でコバルト含有ポリエステル(マスターバッチ)(コバルト4000ppm)が291°F、3時間乾燥される。
【0119】
MXBP粉体2.5重量%、コバルトマスターバッチ2重量%、およびVitiva95.5重量%の混合物がバケツの中でブレンドされる。混合物は、プリフォームを製造するためにHusky LX160射出成形機(2孔式、160トン型締め圧、Husky Injection Molding Systems Ltd.,Novi,MI)の原料ホッパーに投入される。この混合物から作られたプリフォームは、16オンスのストックホットフィル(プリフォーム重量36グラム)ビン用である。プリフォームは、Sidel SBO 2/3ブロー成型機(Sidel Inc.,Norcross、GA)上でビンにブローされる。
【0120】
Gas Technology Institute,Des Plaines,ILにおいてモノマーMXBPビン側壁の一部のコバルトおよび窒素含有率が分析された。コバルトレベルは約67ppmと測定され、窒素含有率は約0.11ppmである。これは、ビン壁中約1.45重量パーセントのMXBPに相当する。
【0121】
(実施例3)
QC(対照)の調製
PET中にナイロンMXD6(プリフォームの総重量を基準として1.5%)、コバルトマスターバッチ(プリフォームの総重量を基準として2%)を含むプリフォームが調製される。次に、プリフォームは粉砕され、脱酸素試験時に対照として用いられる。
【0122】
(実施例4)
ブローされた約2週間後に、実施例2に従って調製された6本のビンが酸素透過速度を測定するためにIlliop酸素透過測定機械(Constar International,Inc.,Philadelphia,PA)上に置かれる。すべてのビンの定常状態酸素透過速度が約0.0005cc/pkg/日(表1参照)であることが見いだされた。
【0123】
【表1】

(実施例5)
PET樹脂(Vitiva(商標),Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)が使用の前にNissei乾燥装置中170℃で4時間乾燥される。コバルト含有ポリエステル(マスターバッチ)(コバルト4000ppm)が使用の前に350°Fで約2時間乾燥される。
【0124】
30トンBOY 22S射出成形機上で以下の設定を用いてプラーク(約33.5グラム重)が成型される。
【0125】
バレル温度 264℃
ノズルヒーター設定 バレルを加熱するために用いられる電力の35%
スプルーヒーター設定温度 約215℃
射出圧力 600psi(固定圧力20秒、冷却時間15秒)

型は、約0.5LPMのプロセス水流速で水冷される。
【0126】
バケツの中でMXBP粉体(25.09g)が乾燥されたマスターバッチ(20.09g)および乾燥されたPET(958.4g)と手で混合される。この混合物がBOY 22S機械の原料ホッパーに投入される。
【0127】
最初の10のプラークは、切り換えプラークとして廃棄される。最初の10のプラークが廃棄された後、8つのプラークが脱酸素評価用に集められる。図2に脱酸素評価から生成したデータが示される。
【0128】
図2に見られるように、MXBPを含むPETプラークは、25日後に酸素の約14%を除去する。
【0129】
(実施例6)
MXBPの調製
【0130】
【化22】

115℃に加熱されたフタリド674.1g(5.026モル)にm−キシリレンジアミン325.9g(2.393モル)が窒素を吹き込みながら加えられた。溶液は190℃に加熱され、1.5時間保持され、その時間の間に20mLの水蒸留物がDean−Starkトラップに回収された。次に、熱は200℃に増加され、3.5時間保持され、その時間の間にさらに23mLの水が回収された。次に、熱は210℃に増加され、12時間保持され、その時間の間にさらに15mLの水が回収された。氷酢酸中0.1N過塩素酸を用いる滴定によるアミン値は、28.1mgKOH/グラム試料であった。反応は、さらに215℃で7時間保持され、その時間の間にさらに2mLの水が回収され、アミン値は18.1mgKOH/グラム試料へ低下した。この溶液は125℃に冷却され、1−メチル−2−ピロリジノン500グラムが加えられた。溶液は90℃に冷却され、氷酢酸40gを含む水4L中に混合しながら投入されてスラリーを生成した。これがろ過されて1000gのプレスケーキが得られた。これがイソプロパノール(IPA)1000gおよび水2000gに加えられ、得られたスラリーがろ過されて1000gのプレスケーキが得られた。これがIPA2200gに加えられ、得られたスラリーがろ過されて1600gのプレスケーキが得られた。これがIPA1500gに加えられ、得られたスラリーがろ過されて1350gのプレスケーキが得られた。これがIPA1300gに加えられ、得られたスラリーがろ過されて1240gのプレスケーキが得られた。これが60℃で乾燥されて671g(73.4%収率)の生成物が得られた。その融点は、154〜157℃であった。アミン値は、0.5mgKOH/グラム試料より少なかった。赤外スペクトルは、所望の生成物と矛盾しなかった。
【0131】
(実施例7)
MXBPの代替調製
【0132】
【化23】

115℃に加熱されたフタリド505.6g(3.769モル)にm−キシリレンジアミン244.4g(1.795モル)が窒素を吹き込みながら加えられた。溶液は180℃に加熱され、3.5時間保持され、その時間の間に14mLの水蒸留物がDean−Starkトラップに回収された。次に、熱は190℃に増加され、20時間保持され、その時間の間にさらに15mLの水が回収された。アミン値は47mgKOH/試料グラムであった。次に、熱は205℃に増加され、7時間保持され、その時間の間にさらに22mLの水が回収された。アミン値は30mgKOH/試料グラムであった。次に、熱は210℃に増加され、15時間保持され、その時間の間にさらに5mLの水が回収された。アミン値は11.7mgKOH/グラム試料であった。溶液は185℃に冷却され、アルミニウムトレイにキャストされて661.7gの透明なコハク色の固体が得られた。これは以下の実施例に示されるように精製された。
【0133】
(実施例8)
MXBPのための精製方法
方法A
IPA450gおよび1−メチル−2−ピロリジノン180gに実施例6の生成物330gが加えられ、混合物は90℃に加熱されて透明な溶液が得られた。これが水2000mLおよびIPA500gに投入されてスラリーが得られた。これがろ過され、IPA300gで洗浄されて495gのプレスケーキが得られた。これがIPA2500gに加えられ、ろ過されて495gのプレスケーキが得られた。これがIPA1500gに加えられ、ろ過されて455gのプレスケーキが得られた。これが60℃で乾燥されて219g(収率66.4%)の所望の生成物が得られた。
【0134】
方法B
キシレン247gに実施例6の生成物165gが加えられ、混合物は140℃に加熱されて透明な溶液が得られた。溶液は50℃に冷却され、キシレン100gが加えられた。得られたスラリーは30℃に冷却された。これがろ過され、キシレン200gで洗浄されて203gのプレスケーキが得られた。これがIPA800gに加えられ、80℃に加熱されて透明な溶液が得られた。溶液は36℃に冷却され、IPA200gが加えられた。得られたスラリーは30℃に冷却され、0.5時間保持された。これがろ過され、IPA200gで洗浄されて232gのプレスケーキが得られた。これが常温で風乾されて110g(収率66.7%)の所望の生成物が得られた。
【0135】
方法C
IPA700gに実施例6の生成物140gが加えられ、混合物は80℃に加熱されて透明な溶液が得られた。溶液は32℃に冷却され、IPA200gが加えられた。得られたスラリーは30℃に冷却され、0.5時間保持された。これがろ過され、IPA200gで洗浄されて220gのプレスケーキが得られた。これがIPA600gに加えられ、80℃に加熱されて透明な溶液が得られた。これが39℃に冷却され、IPA200gが加えられた。得られたスラリーは30℃に冷却され、0.5時間保持された。これがろ過され、IPA200gで洗浄されて232gのプレスケーキが得られた。これが常温で風乾されて105g(収率75.0%)の所望の生成物が得られた。
【0136】
(実施例9)
【0137】
【化24】

120℃に加熱された1−メチル−2−ピロリジノン280g、キシレン420gおよび無水フタル酸487.2g(3.289モル)の溶液にm−キシリレンジアミン213.3g(1.566モル)が10分間にわたって加えられ、その時間の間に温度は145℃に増加した。溶液は140℃に1時間保持され、その時間の間に55.0mLの水蒸留物がDean−Starkトラップに回収された。溶液は150℃に加熱され、その時間の間にさらに5.0mLの水が回収され、アミン値は1.4mgKOH/試料グラムであった。得られたスラリーはアルミニウムトレイに投入された。冷却された生成物がIPA1000gに加えられ、得られたスラリーがろ過され、IPA200gで洗浄された。プレスケーキはIPA1000gに加えられ、得られたスラリーがろ過され、IPA200gで洗浄された。プレスケーキは常温で風乾されて601.1g(収率97.0%)の所望の生成物が得られた。その融点は243〜248℃であった。赤外スペクトルは所望の生成物と矛盾しなかった。
【0138】
(実施例10)
化合物306
【0139】
【化25】

ステップ1 (2,5−ジメチル)安息香酸メチル
【0140】
【化26−1】

500mLのDMF中の2,5−ジメチル安息香酸75g(499ミリモル)、炭酸カリウム103g(748ミリモル)の懸濁液に77.9g(549ミリモル)のヨードメタンが常温で撹拌しながら滴下して加えられた。添加後、懸濁液はさらに5時間撹拌された。次に、反応混合物は水中に投入され、酢酸エチルで抽出された。有機層が水および食塩水で洗浄され、無水硫酸ナトリウム上で乾燥された。ろ過によってすべての固体が除かれ、ろ液が濃縮され、97.6%収率で生成物として80gの無色の油となった。
【0141】
【化26−2】

ステップ2 ジ(2,5−ブロモメチル)安息香酸メチル
【0142】
【化27−1】

500mLの四塩化炭素中の80g(487ミリモル)の(2,5−ジメチル)ニトロ安息香酸メチル、95.4g(503ミリモル)のN−ブロモスクシンイミドの混合物の中に121mg(0.5ミリモル)の過酸化ベンゾイルが80℃で加えられた。16時間加熱が続けられ、常温に冷却された。次に、反応混合物は飽和重炭酸ナトリウムおよび食塩水で洗浄された。有機層は無水硫酸ナトリウム上で乾燥された。すべての固体がろ過によって除かれ、ろ液が濃縮されて合計152gの黄色がかった固体が96.9%収率で得られた。
【0143】
【化27−2】

ステップ3 6−ブロモメチルフタリド
【0144】
【化28−1】

152g(472ミリモル)のジ(2,5−ブロモメチル)安息香酸メチルの単味試料が軽い減圧中で120℃に加熱された。この黄色がかった固体は80℃で融解した。16時間の加熱後、反応混合物は常温に冷却された。冷却後、合計107gの淡褐色の固体が定量的収率で生成物として得られた。
【0145】
【化28−2】

ステップ4 6−メチルフタリド
【0146】
【化29−1】

合計107g(472ミリモル)の6−ブロモメチルフタリドが50mLのメタノール(別の実験ではジオキサンも用いられた)中に溶解された。溶液は40g(540ミリモル)の水酸化カルシウムおよび2gの10% Pd/Cとともに耐圧ビンに加えられた。懸濁液は水素吸収が記録されなくなるまで40psiで水素化された。すべての固体がろ別され、ろ液が濃縮されて合計67gの褐色の固体が96%収率で得られた。
【0147】
【化29−2】

ステップ5 1,3−ビス[(6−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン−2−イル)メチル]ベンゼン
短路蒸留装置を用いて67g(452ミリモル)の6−メチルフタリドおよびキシリルジアミン30.7g(226ミリモル)の混合物が180℃に加熱されて水が除去された。170〜180℃で水が回収された。180℃で16時間の加熱後、加熱が停止され、反応混合物は200mLのジメチルホルムアミドに溶解された。次に、DMF溶液が1.5Lの水の中に撹拌しながら滴下されて合計73gの褐色がかった固体が沈殿した。次に、固体はメタノールで再結晶されて55gの生成物が61%収率で得られた。
【0148】
【化29−3】

プラークの調製
PET樹脂(Vitiva(商標)、Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)が使用の前に170℃で4時間乾燥された。コバルト含有ポリエステル(マスターバッチ)(コバルト4000ppm)が使用の前に350°Fで約2時間乾燥された。
【0149】
以下の設定を用いて30トンBOY 22S射出成型機上でプラーク(重量約33.5グラム)が成型された。
【0150】
バレル温度 264℃
ノズルヒーター設定 バレルを加熱するのに用いられた電力の35%
スプルーヒーター設定温度 約215℃
射出圧力 600psi(固定圧力20秒、冷却時間15秒)

型は、約0.5LPMのプロセス水流速で冷却される。
【0151】
バケツの中で化合物306(19g)が乾燥されたマスターバッチ(19g)および乾燥されたPET(912g)と手でブレンドされる。この混合物はBOY 22S機械の原料ホッパーに投入される。
【0152】
最初の10のプラークは、切り換えプラークとして廃棄される。最初の10のプラークが廃棄された後、8つのプラークが脱酸素評価用に集められる。図3に脱酸素評価から生成したデータが示される。
【0153】
図3に見られるように、化合物306を含むPETプラークは、5.5日後に酸素の約3.9%を除去する。
【0154】
(実施例11)
化合物307
1,3−ビス[(イソインドール−1,3−ジオン−2−イル)メチル]ベンゼン
【0155】
【化30−1】

100g(675ミリモル)の無水フタル酸、46g(338ミリモル)のキシリレンジアミンおよび500mLの氷酢酸の懸濁液の中に100℃に加熱された。2時間の加熱後、反応混合物は透明な溶液であった。さらに22時間加熱が続けられた。冷却後、白色の懸濁物が観測された。白色の固体はろ過され、酢酸で再結晶されて126.6gの白色の生成物が94.5%収率で得られた。
【0156】
【化30−2】

プラークの調製
PET樹脂(Vitiva(商標)、Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)が使用の前に170℃で4時間乾燥された。コバルト含有ポリエステル(マスターバッチ)(コバルト4000ppm)が使用の前に350°Fで約2時間乾燥された。
【0157】
以下の設定を用いて30トンBOY 22S射出成型機上でプラーク(重量約33.5グラム)が成型された。
【0158】
バレル温度 264℃
ノズルヒーター設定 バレルを加熱するのに用いられた電力の35%
スプルーヒーター設定温度 約215℃
射出圧力 600psi(固定圧力20秒、冷却時間15秒)

型は、約0.5LPMのプロセス水流速で冷却される。
【0159】
バケツの中で化合物307(38g)が乾燥されたマスターバッチ(19g)および乾燥されたPET(893g)と手でブレンドされる。この混合物はBOY 22S機械の原料ホッパーに投入される。
【0160】
最初の10のプラークは、切り換えプラークとして廃棄される。最初の10のプラークが廃棄された後、脱酸素評価のために8つのプラークが集められる。図5に脱酸素評価から生成したデータが示される。
【0161】
図5に見られるように、化合物307を含むPETプラークは、25日後に酸素の約4%を除去する。
【0162】
(実施例12)
化合物310
【0163】
【化31】

ステップ1 (2−メチル−6−ニトロ)安息香酸メチル
【0164】
【化32−1】

500mLのジメチルホルムアミド中の100g(552ミリモル)の2−メチル−6−ニトロ安息香酸、114.4g(828ミリモル)の炭酸カリウムの懸濁液に86g(606ミリモル)のヨードメタンが常温で撹拌しながら滴下して加えられた。添加後、懸濁液はさらに5時間撹拌された。次に、反応混合物は水中に投入され、酢酸エチルで抽出された。有機層は水および食塩水で洗浄され、無水硫酸ナトリウム上で乾燥された。固体がすべてろ過によって除去され、ろ液が濃縮されて105.6gの無色の油が98%収率で生成物として得られた。
【0165】
【化32−2】

ステップ2 (2−ブロモメチル−6−ニトロ)安息香酸メチル
【0166】
【化33−1】

500mLの四塩化炭素中の100g(512ミリモル)の(2−メチル−6−ニトロ)安息香酸メチル、100.2g(563ミリモル)のN−ブロモスクシンイミドの混合物の中に121mg(0.5ミリモル)の過酸化ベンゾイルが80℃で加えられた。16時間加熱が続けられ、常温に冷却された。次に、反応混合物は飽和重炭酸ナトリウムおよび食塩水で洗浄された。有機層は無水硫酸ナトリウム上で乾燥された。すべての固体がろ別によって除かれ、ろ液が濃縮されて合計137.5gの黄色がかった油が98%収率で得られた。
【0167】
【化33−2】

ステップ3 1,3−ビス[(7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン−2−イル)メチル]ベンゼン
80g(292ミリモル)の(2−ブロモメチル−6−ニトロ)安息香酸メチル、19.9g(146ミリモル)のキシリルジアミン、トリエチルアミン32.4g(320ミリモル)および300mLのメタノールの溶液中に加熱されて24時間還流された。冷却後、混合物は酢酸エチルで希釈され、希塩酸および食塩水で洗浄された。有機層は無水硫酸ナトリウム上で乾燥された。すべての固体がろ別によって除かれ、ろ液が濃縮されて61gの黄色がかった固体が得られた。黄色がかった固体を再結晶するためにメタノールが用いられて合計87gの生成物が65%収率で得られた。
【0168】
【化33−3】

プラークの調製
PET樹脂(Vitiva(商標)、Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)が使用の前に170℃で4時間乾燥された。コバルト含有ポリエステル(マスターバッチ)(コバルト4000ppm)が使用の前に350°Fで約2時間乾燥された。
【0169】
以下の設定を用いて30トンBOY 22S射出成型機上でプラーク(重量約33.5グラム)が成型された。
【0170】
バレル温度 264℃
ノズルヒーター設定 バレルを加熱するのに用いられた電力の35%
スプルーヒーター設定温度 約215℃
射出圧力 600psi(固定圧力20秒、冷却時間15秒)

型は、約0.5LPMのプロセス水流速で冷却される。
【0171】
バケツの中で化合物310(23.8g)が乾燥されたマスターバッチ(19g)および乾燥されたPET(908g)と手でブレンドされる。この混合物はBOY 22S機械の原料ホッパーに投入される。
【0172】
最初の10のプラークは、切り換えプラークとして廃棄される。最初の10のプラークが廃棄された後、脱酸素評価のために8つのプラークが集められる。図4に脱酸素評価から生成したデータが示される。
【0173】
図4に見られるように、化合物310を含むPETプラークは、25日後に酸素の約5%を除去する。
【0174】
当業者には自明であるように、上記教示に鑑みて本発明の多数の変更形および変化形が可能である。従って、添付の請求項の範囲内で、本発明は、本明細書中に具体的に記載されているものとは異なって実施されることがあり、本発明の範囲はすべてのそのような変化形を包含するものとされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)高分子基材、
(b)式IまたはIIの化合物
【化34】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、Y
Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、
D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、
記号−−−−は、結合線とともに用いられるとき、単結合または2重結合を表し、
、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基、ならびに遷移金属からなる群から選ばれる、
の少なくとも1つ、および
(c)正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって、前記組成物中に10から400ppmの量存在する金属
を含む組成物であって、
前記化合物は、前記組成物の約0.10から10重量パーセント量存在する
組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの遷移金属は、コバルトである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの遷移金属は、亜鉛をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記高分子基材は、ポリエステル高分子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリエステル高分子は、ポリエチレンテレフタレートである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約10重量パーセント量存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約5重量パーセント量存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約3重量パーセント量存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
遷移金属の濃度は、30から150ppmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記化合物は、
【化35】

【化36】

である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記化合物は、
【化37】

である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの層を含む包装壁であって、前記層は、組成物を含み、前記組成物は、
(a)高分子基材、
(b)式IまたはIIの化合物
【化38】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、
Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、
D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、
記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、
、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基、ならびに遷移金属からなる群から選ばれる、
の少なくとも1つ、および
(c)正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって、前記組成物中に10から400ppm量存在する金属、
を含み、
前記化合物は、前記組成物の約0.10から10重量パーセント量存在する
壁。
【請求項13】
前記少なくとも1つの遷移金属は、コバルトを含む、請求項12に記載の壁。
【請求項14】
前記少なくとも1つの遷移金属は、亜鉛をさらに含む、請求項13に記載の壁。
【請求項15】
前記高分子基材は、ポリエステル高分子を含む、請求項12に記載の壁。
【請求項16】
前記ポリエステル高分子は、ポリエチレンテレフタレートである、請求項15に記載の壁。
【請求項17】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約10重量パーセント量存在する、請求項12に記載の壁。
【請求項18】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約5重量パーセント量存在する、請求項12に記載の壁。
【請求項19】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約3重量パーセント量存在する、請求項12に記載の壁。
【請求項20】
遷移金属の濃度は、30から150ppmである、請求項12に記載の壁。
【請求項21】
前記化合物は、
【化39】

である、請求項12に記載の壁。
【請求項22】
前記化合物は、
【化40】

である、請求項12に記載の壁。
【請求項23】
組成物を含む包装のための壁であって、前記壁は、
(a)1つ以上の外層、および
(b)1つ以上の内層
を含み、前記内層の少なくとも1つ、または前記外層の少なくとも1つは、
(1)高分子基材、
(2)式IまたはIIの化合物
【化41】

【化42】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、
Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、
D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、
記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、
、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基、ならびに遷移金属からなる群から選ばれる、
の少なくとも1つ、および
(3)正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって、前記組成物中に10から400ppm量存在する金属
を含む組成物を含み、
前記化合物は、前記組成物の約0.10から10重量パーセント量存在する
壁。
【請求項24】
前記少なくとも1つの遷移金属は、コバルトを含む、請求項23に記載の壁。
【請求項25】
前記少なくとも1つの遷移金属は、亜鉛をさらに含む、請求項24に記載の壁。
【請求項26】
前記高分子基材は、ポリエステル高分子を含む、請求項23に記載の壁。
【請求項27】
前記ポリエステル高分子は、ポリエチレンテレフタレートである、請求項26に記載の壁。
【請求項28】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約10重量パーセント量存在する、請求項23に記載の壁。
【請求項29】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約5重量パーセント量存在する、請求項23に記載の壁。
【請求項30】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約3重量パーセント量存在する、請求項23に記載の壁。
【請求項31】
前記第1の層は、前記第2の層から放射状に外に向かって配置されている、請求項23に記載の壁。
【請求項32】
前記化合物は、
【化43】

である、請求項23に記載の壁。
【請求項33】
前記化合物は、
【化44】

である、請求項23に記載の壁。
【請求項34】
酸素感受性材料を包装するための方法であって、
(a)少なくとも1つの層を含む壁を有する包装材を調製するステップであって、前記層の少なくとも1つは、組成物を含み、前記組成物は、
高分子基材、
化合物式IまたはIIの化合物
【化45】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、
Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、
D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、
記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、
、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基、ならびに遷移金属からなる群から選ばれる、
の少なくとも1つ、および
正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって、前記組成物中に10から400ppm量存在する金属
を含み、前記化合物は、前記組成物の約0.10から10重量パーセント量存在する、ステップ、
(b)前記酸素感受性材料を前記包装材中に導入するステップ、および
(c)前記包装材を閉じるステップ
を含む方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つの遷移金属は、コバルトを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つの遷移金属は、亜鉛をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記高分子基材は、ポリエステル高分子を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記ポリエステル高分子は、ポリエチレンテレフタレートである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約10重量パーセント量存在する、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約5重量パーセント量存在する、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約3重量パーセント量存在する、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
遷移金属の濃度は、30から150ppmである、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記化合物は、
【化46】

である、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物は、
【化47】

である、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
酸素バリヤー特性を有する壁を有する包装材料を製造するための方法であって、
(a)高分子基材を、式IまたはIIの化合物
【化48】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、
Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、
D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、
記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、
、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基、ならびに遷移金属からなる群から選ばれる、
の少なくとも1つと組み合わせて組成物を形成させるステップであって、前記組成物は、正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって、前記組成物中に10から400ppm量存在する金属を有し、前記化合物は、前記組成物の約0.10から10重量パーセント量存在する、ステップ、
(b)ステップ(a)の生成物を壁に成形するステップ、および
(c)前記壁を含む容器を成形するステップ
を含む方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つの遷移金属は、コバルトを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの遷移金属は、さらに亜鉛、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記高分子基材は、ポリエステル高分子を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリエステル高分子は、ポリエチレンテレフタレートである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約10重量パーセント量存在する、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約5重量パーセント量存在する、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約3重量パーセント量存在する、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
遷移金属の濃度は、30から150ppmである、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記化合物は、
【化49】

である、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
前記化合物は、
【化50】

である、請求項45に記載の方法。
【請求項56】
物品を作るためのプロセスであって、
(a)高分子基材、
式IまたはIIの化合物
【化51】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、
Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、
D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、
記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、
、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基、ならびに遷移金属からなる群から選ばれる、
の少なくとも1つ、および
正の酸化状態にある少なくとも1つの遷移金属であって、前記組成物中に10から400ppm量存在する前記金属
を溶融加工区域の中で一緒にすることによって溶融物を形成させるステップであって、前記化合物は、前記組成物の約0,10から10重量パーセント量存在するステップ、
(b)前記溶融物から物品を成形するステップ
を含むプロセス。
【請求項57】
前記少なくとも1つの遷移金属は、コバルトを含む、請求項56に記載のプロセス。
【請求項58】
前記少なくとも1つの遷移金属は、亜鉛をさらに含む、請求項57に記載のプロセス。
【請求項59】
前記高分子基材は、ポリエステル高分子を含む、請求項56に記載のプロセス。
【請求項60】
前記ポリエステル高分子は、ポリエチレンテレフタレートである、請求項59に記載のプロセス。
【請求項61】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約10重量パーセント量存在する、請求項56に記載のプロセス。
【請求項62】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約5重量パーセント量存在する、請求項56に記載のプロセス。
【請求項63】
前記化合物は、前記組成物の重量を基準として約1から約3重量パーセント量存在する、請求項56に記載のプロセス。
【請求項64】
遷移金属の濃度は、30から150ppmである、請求項56に記載の方法。
【請求項65】
前記物品は、プリフォームである、請求項56に記載のプロセス。
【請求項66】
前記物品は、シートである、請求項56に記載のプロセス。
【請求項67】
前記物品は、ビン、カップまたはジャーである、請求項66に記載のプロセス。
【請求項68】
前記化合物は、
【化52】

【化53】

である、請求項56に記載のプロセス。
【請求項69】
前記化合物は、
【化54】

である、請求項56に記載のプロセス。
【請求項70】
下式
【化55】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、
Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、
D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、
記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、
、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基からなる群から選ばれる、
を有する化合物。
【請求項71】
XはOであり、Y、AおよびBはすべてCHであり、D、EおよびFはすべてCHであり、−−−−は二重結合であり、R、RおよびRはすべて水素である、請求項70に記載の化合物。
【請求項72】
下式
【化56】

を有する、請求項70に記載の化合物。
【請求項73】
【化57】

である、請求項70に記載の化合物。
【請求項74】
下式
【化58】

を有する、請求項70に記載の化合物。
【請求項75】
下式
【化59】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、
Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、
D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、
記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、
、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基からなる群から選ばれる、
を有する化合物。
【請求項76】
XはOであり、Y、AおよびBはすべてCHであり、D、EおよびFはすべてCHであり、−−−−は二重結合であり、R、RおよびRはすべて水素である、請求項75に記載の化合物。
【請求項77】
下式
【化60】

を有する、請求項75に記載の化合物。
【請求項78】
下式
【化61】

を有する、請求項75に記載の化合物。
【請求項79】
下式IまたはIIの化合物
【化62】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、
Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、
D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、
記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、
、RおよびRは、独立に、H、電子吸引基および電子放出基からなる群から選ばれる、
の抗酸化性効力のある量を含む、酸素存在下の長期にわたる使用時に通常は段階的な劣化を受けやすい有機物質を含む組成物。
【請求項80】
下記式IまたはIIの化合物
【化63】

式中、Xは、O、SおよびNHからなる群から選ばれ、
Y、AおよびBは、独立に、NおよびCHからなる群から選ばれ、
D、EおよびFは、独立に、CH、N、OおよびSからなる群から選ばれ、
記号−−−−は、単結合または二重結合を表し、
、RおよびRは、独立に、H、電子吸引性基および電子放出基、ならびに遷移金属からなる群から選ばれる、
を含む脱酸素組成物の有効な量を含む少なくとも1つの壁を有する、フィルム形成重合体からの容器。
【請求項81】
請求項70または75に記載の化合物の有効な量を含む、遷移金属および遷移金属の塩の存在下で酸素と反応する脱酸素組成物。
【請求項82】
(a)請求項70または75に記載の化合物を含む脱酸素組成物、(b)遷移金属触媒の有効な量、および(b)酸素に対して透過性の機能性バリヤー、を含む脱酸素システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−527389(P2010−527389A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507697(P2010−507697)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/063250
【国際公開番号】WO2008/141185
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(503423546)コンスター インターナショナル, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】