説明

腫瘍性障害または感染症に対する免疫学的予防法または免疫療法のためのポリペプチド−核酸複合体

本発明は、抗体/ペプチド-核酸複合体の特性を利用することにより、標的細胞において免疫媒介性死シグナル伝達および直接的死シグナル伝達の交差活性化を誘導する組成物を開示する。複合体は、腫瘍細胞を含む新生物細胞に特異的に標的化された複数の死シグナル伝達機構を同時に活性化することができる。腫瘍性疾患またはその他の障害を治療または予防するための免疫治療様式として、本発明の複合体を使用する方法もまた開示する。さらに、インビトロにおける新生物細胞間の過融合の誘導を含む、種々の細胞傷害反応に関して試験薬剤をアッセイすることにより、そのような複合体を同定する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的には免疫刺激治療様式に関し、より具体的には、標的細胞において免疫媒介性シグナル伝達および指向性細胞死シグナル伝達を交差活性化する抗体/ペプチド-核酸複合体、ならびにそのような複合体を用いて腫瘍性障害および/またはその他の障害を予防または治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景情報
化学療法は、現在行われている癌の管理の基礎である。化学療法薬による細胞死の誘導は、p53腫瘍抑制遺伝子の機能に依存した、「内因性の」死シグナル伝達経路のDNA損傷誘導性の活性化を含む。p53がアポトーシスを誘導する機構は、Bcl-2相同性3(BH3)ドメイン含有タンパク質であるPUMA(p53上方制御性アポトーシス調節因子)およびNoxaなどの、アポトーシス促進遺伝子の転写活性化を含む。これらの遺伝子は、多ドメインBcl-2ファミリーメンバーであるBAXおよびBAKを介してミトコンドリア外膜透過性を誘発するタンパク質をコードする。シトクロムc(cyto c)のミトコンドリア放出は、カスパーゼ-9のトランス活性化を引き起こし、またSmac/DIABLO(二次ミトコンドリア由来カスパーゼ活性化因子/低pHでの直接的IAP結合タンパク質)の遊離は、X連鎖アポトーシス阻害タンパク質(XIAP)の阻害効果を軽減することにより、エフェクターカスパーゼ(-3および-7)の活性化を促進する。活性化カスパーゼは、細胞骨格およびDNAの完全性を維持する重要な基質の切断を経て、細胞死の最終事象を実行する。したがって、腫瘍細胞の化学療法誘導性アポトーシスに対する感受性は、p53/BAX媒介性のミトコンドリア死シグナル伝達と、ミトコンドリア透過性と対抗する生存タンパク質(Bcl-XL)およびエフェクターカスパーゼの活性化と対抗する生存タンパク質(XIAP)の発現との間の動的バランスによって決まる。ヒト癌の大部分は、アポトーシスに対する細胞感受性を減少させる、および化学療法の抗腫瘍効果を制限する遺伝子異常(死シグナル伝達タンパク質の喪失/不活化、および/または生存シグナルの過剰発現/活性化)を有する。化学療法薬の抗腫瘍効果は、多剤耐性タンパク質を発現する癌細胞からの化学療法薬の排除、および正常組織に対する用量制限細胞毒性によって制限され得る。
【0003】
腫瘍細胞に対する先天性免疫応答および適応免疫応答を誘発するために種々のアプローチが用いられ得るが、免疫細胞傷害性に対する癌細胞の内因性抵抗により、免疫療法の有効性に顕著な制限が課される。癌細胞は、免疫細胞による細胞傷害性の3つの重要なメディエータであるグランザイムB、インターフェロンγ、およびApo2リガンド/腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(Apo2L/TRAIL)により共に誘導される共有のミトコンドリア死シグナル伝達経路を妨げる特定の遺伝子変化を獲得することによって、細胞傷害性免疫エフェクター細胞による攻撃に抵抗する能力を高める。グランザイムBおよびApo2L/TRAILはいずれも、エフェクターカスパーゼ-3/-7のタンパク質分解活性化、ならびにBAXおよびBAKを活性化する切断型へのBIDの切断によるミトコンドリア外膜透過性の誘導により、死シグナルを伝達する。Smac/DIABLOのミトコンドリア放出は、XIAPの阻害効果を軽減することにより、エフェクターカスパーゼ-3/-7の活性化を促進する。腫瘍細胞の免疫細胞傷害性に対する感受性は、XIAPの発現レベル、およびSmacのミトコンドリア放出を介した、エフェクターカスパーゼ(-3/-7)のXIAP媒介阻害と対抗する能力によって決まる。したがって、高レベルのXIAPを発現し、またBcl-XLの同時発現のためにSmacのミトコンドリア放出を誘発できない癌細胞は、免疫細胞によるアポトーシスに必要な閾値までエフェクターカスパーゼ(-3/-7)を活性化することができない。Bcl-XLおよびXIAPの発現/活性化は、受容体誘導性シグナル(NF-κB、Akt、STAT3/5)によって上方制御されるため、癌における受容体シグナル伝達(例えば、上皮増殖因子受容体[EGFR]、HER2/neu、インスリン様増殖因子受容体1「IGF-1R」、サイトカイン、共刺激分子)の過剰発現/活性化は、免疫細胞傷害性に対するその感受性を制限し得る。現在行われている癌免疫療法はまた、腫瘍微小環境内で免疫エフェクターを活性化するおよび動員することができないこと、ならびに/または免疫エフェクターを腫瘍細胞に特異的に標的化することができないことによっても制限され得る。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
本発明は、標的細胞における免疫媒介性死シグナル伝達および直接的死シグナル伝達の交差活性化のための統合アプローチに基づく。本発明は、腫瘍細胞に特異的に標的化された複数の死シグナル伝達機構を同時に活性化する段階、および標準的な治療様式に対する癌細胞の内因性抵抗を克服する段階を含む、抗体/ポリペプチド-核酸複合体の特性を利用する。さらに、本発明は、腫瘍性疾患およびその他の障害の標的免疫療法および免疫学的予防法に用いることができる。
【0005】
1つの態様において、腫瘍細胞、腫瘍血管系、および/または腫瘍微小環境の成分の細胞成分に特異的に結合する抗体またはペプチド、ならびに免疫刺激核酸配列(INAS)の1つまたは複数が病原体関連分子パターン(PAMP)または免疫細胞を活性化し得るその他のモチーフを含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列を含む、単離された抗体-核酸複合体またはペプチド-核酸複合体を開示する。
【0006】
1つの局面において、抗体はキメラ抗体、多重特異性抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、またはFab断片である。
【0007】
別の局面において、細胞成分には、上皮増殖因子受容体(EGFR、ErbB-1、HER1)、ErbB-2(HER2/neu)、ErbB-3/HER3、ErbB-4/HER4、EGFRリガンドファミリー;インスリン様増殖因子受容体(IGFR)ファミリー、IGF結合タンパク質(IGFBP)、IGFRリガンドファミリー;血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)ファミリー、PDGFRリガンドファミリー;線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)ファミリー、FGFRリガンドファミリー、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)ファミリー、VEGFファミリー;HGF受容体ファミリー;TRK受容体ファミリー;エフリン(EPH)受容体ファミリー;AXL受容体ファミリー;白血球チロシンキナーゼ(LTK)受容体ファミリー;TIE受容体ファミリー、アンジオポエチン1、2;受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体(ROR)受容体ファミリー;ジスコイジンドメイン受容体(DDR)ファミリー;RET受容体ファミリー;KLG受容体ファミリー;RYK受容体ファミリー;MuSK受容体ファミリー;トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)受容体、TGF-β;サイトカイン受容体、クラスI(ヘマトポエチンファミリー)およびクラスII(インターフェロン/IL-10ファミリー)受容体、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリー(TNFRSF)、デスレセプターファミリー;癌-精巣(CT)抗原、系統特異的抗原、分化抗原、α-アクチニン-4、ARTCl、切断点クラスター領域-Abelson(Bcr-abl)融合産物、B-RAF、カスパーゼ-5(CASP-5)、カスパーゼ-8(CASP-8)、β-カテニン(CTNNB1)、細胞分裂周期27(CDC27)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、CDKN2A、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD-2、伸長因子2(ELF2)、Ets変種遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS(ETC6-AML1)融合タンパク質、フィブロネクチン(FN)、GPNMB、低密度脂質受容体/GDP-Lフコース:β-Dガラクトース2-α-Lフコシルトランスフェラーゼ(LDLR/FUT)融合タンパク質、HLA-A2、HLA-A2遺伝子中のα2ドメインのαヘリックスの残基170におけるアルギニンからイソロイシンへの交換(HLA-A*201-R170I)、HLA-A11、熱ショックタンパク質70-2変異(HSP70-2M)、KIAA0205、MART2、黒色腫偏在性変異1、2、3(MUM-1、2、3)、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、neo-PAP、ミオシンクラスI、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、K-ras(KRAS2)、N-ras(NRAS)、HRAS、RBAF600、SIRT2、SNRPD1、SYT-SSX1または-SSX2融合タンパク質、トリオースリン酸イソメラーゼ、BAGE、BAGE-1、BAGE-2、3、4、5、GAGE-1、2、3、4、5、6、7、8、GnT-V(異常なN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV、MGAT5)、HERV-K-MEL、KK-LC、KM-HN-1、LAGE、LAGE-1、黒色腫上のCTL認識抗原(CAMEL)、MAGE-A1(MAGE-1)、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-3、MAGE-B1、MAGE-B2、MAGE-B5、MAGE-B6、MAGE-C1、MAGE-C2、ムチン1(MUC1)、MART-1/Melan-A(MLANA)、gp100、gp100/Pmel17(SILV)、チロシナーゼ(TYR)、TRP-1、HAGE、NA-88、NY-ESO-1、NY-ESO-1/LAGE-2、SAGE、Sp17、SSX-1、2、3、4、TRP2-INT2、癌胎児性抗原(CEA)、カリクレイン4、マンマグロビン-A、OA1、前立腺特異抗原(PSA)、TRP-1/gp75、TRP-2、アディポフィリン、黒色腫に存在しないインターフェロン誘導性タンパク質2(AIM-2)、BING-4、CPSF、サイクリンD1、上皮細胞接着分子(Ep-CAM)、EphA3、線維芽細胞増殖因子-5(FGF-5)、糖タンパク質250(gp250)、EGFR(ERBB1)、HER-2/neu(ERBB2)、インターロイキン13受容体α2鎖(IL13Rα2)、IL-6受容体、腸カルボキシルエステラーゼ(iCE)、αフェトプロテイン(AFP)、M-CSF、mdm-2、MUC1、p53(TP53)、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RNF43、RU2AS、SOX10、STEAP1、サバイビン(BIRC5)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、テロメラーゼ、ウィルムス腫瘍遺伝子(WT1)、SYCP1、BRDT、SPANX、XAGE、ADAM2、PAGE-5、LIP1、CTAGE-1、CSAGE、MMA1、CAGE、BORIS、HOM-TES-85、AF15q14、HCA661、LDHC、MORC、SGY-1、SPO11、TPX1、NY-SAR-35、FTHL17、NXF2、TDRD1、TEX15、FATE、TPTE、免疫グロブリンイディオタイプ、ベンス・ジョーンズタンパク質、エストロゲン受容体(ER)、アンドロゲン受容体(AR)、CD40、CD30、CD20、CD19、CD33、癌抗原72-4(CA 72-4)、癌抗原15-3(CA 15-3)、癌抗原27-29(CA 27-29)、癌抗原125(CA 125)、癌抗原19-9(CA 19-9)、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピンン、扁平上皮癌抗原、ニューロン特異的エノラーゼ、熱ショックタンパク質gp96、GM2、サルグラモスチム、CTLA-4、707アラニンプロリン(707-AP)、T細胞によって認識される腺癌抗原4(ART-4)、癌胎児性抗原ペプチド-1(CAP-1)、カルシウム活性化塩素チャネル-2(CLCA2)、シクロフィリンB(Cyp-B)、ヒト印環細胞腫瘍-2(HST-2)、ヒトパピローマウイルス(HPV)タンパク質(HPV-E6、HPV-E7、メジャーまたはマイナーカプシド抗原、その他)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)タンパク質(EBV潜伏感染膜タンパク質‐LMP1、LMP2;その他)、B型またはC型肝炎ウイルスタンパク質、ならびにHIVタンパク質が含まれる。
【0008】
別の局面において、「免疫刺激核酸配列」(INAS)は、病原体関連分子パターン(PAMP)、またはこれらに限定されないが、CpG DNA(CpG)、単純ヘルペスウイルス(HSV) DNA、二本鎖RNA(dsRNA)、および一本鎖RNA(ssRNA)を含む、免疫細胞を活性化し得るその他のモチーフである。さらに、INASには、これらに限定されないが、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、またはマイクロRNAを含む、遺伝子発現をサイレンシングするか、または細胞内死シグナル伝達を誘導する1つまたは複数の核酸配列が含まれ得る。
【0009】
関連局面において、INASはコード配列または非コード配列であってよい。例えば、INASは、例証的な一例としてSEQ ID NO:1であってよい。
【0010】
関連局面において、複合体は、EGFRまたはHER2/neuに特異的に結合する抗体、および免疫刺激核酸配列の1つまたは複数がSEQ ID NO:1に記載のCpG DNA配列を含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列を含む。
【0011】
1つの態様において、標的腫瘍細胞、腫瘍血管系、および/または腫瘍微小環境の成分の細胞成分に結合するペプチド、ならびに病原体関連分子パターン(PAMP)または免疫細胞を活性化し得るその他のモチーフを含む1つまたは複数のINASを含む、単離されたペプチド-核酸複合体を開示する。
【0012】
1つの局面において、核酸配列に複合化させるペプチドは、ファージディスプレイ、またはαvβ1インテグリン(CRRETAWAC(SEQ ID NO:5))、αvβ3インテグリン(CDCRGDCFC(SEQ ID NO:6)/RGD-4C;RGDWXE(SEQ ID NO:7))、αvβ5インテグリン(TRGDTF(SEQ ID NO:8))、αvβ6(RGDLxxL(SEQ ID NO:9)またはxxDLxxL(SEQ ID NO:10))、αIIβ3(SRGDM(SEQ ID NO:11))、αvβ5模倣アネキシンV(VVISYSMPD(SEQ ID NO:12))、E-セレクチン(IELLQAR(SEQ ID NO:13))、内皮細胞ミトコンドリア(CNGRC-GG-(KLAKLAK)2(SEQ ID NO:14))、エフリン-A2およびエフリン-A4(CVSNPRWKC(SEQ ID NO:15)、CHVLWSTRC(SEQ ID NO:16))、フィブロネクチン(CWDDGWLC(SEQ ID NO:17))、ICAM-Iまたはフォンウィルブランド因子(CPCFLLGCC(SEQ ID NO:18)/LLG-4C)、ラミン-1(DFKLFAVY(SEQ ID NO:19))、P-セレクチン(EWVDV(SEQ ID NO:20))、MMP-9:インテグリン複合体(D/E)(D/E)(G/L)W(SEQ ID NO:21)、MMP-9およびMMP-2(ゼラチナーゼ)(CTTHWGFTLC(SEQ ID NO:22))、内皮上のI型カドヘリン(N-Ac-CHAVC-NH2)、VEGFのFlt-1領域 NxxEIExYxxWxxxxxY(SEQ ID NO:23)、VEGFのKDR領域(HTMYYHHYQHHL(SEQ ID NO:24)、ATWLPPR(SEQ ID NO:25))、VEGF受容体(WHSDMEWWYLLG(SEQ ID NO:26)、RRKRRR(SEQ ID NO:27)、アミノペプチダーゼN/CD13(NGR)、NG2プロテオグリカン(TAASGVRSMH(SEQ ID NO:28)、LTLRWVGLMS(SEQ ID NO:29))、副腎由来ペプチド(LMLPRAD(SEQ ID NO:30))、脂肪組織由来ペプチド(CKGGRAKDC SEQ ID NO:31))、脳由来ペプチド(SR1)、脳内皮由来ペプチド(CLSSRLDAC(SEQ ID NO:32))、神経膠腫細胞由来ペプチド(VGLPEHTQ(SEQ ID NO:33))、神経芽細胞腫由来ペプチド(VPWMEPAYQRFL(SEQ ID NO:34))、骨髄由来ペプチド(GGG、GFS、LWS)、乳癌(HER2/neu)由来ペプチド(LTVxPWx(SEQ ID NO:35)、LTVxPWY(SEQ ID NO:36)、HER2 Ab/トラスツズマブミモトープ‐LLGPYELWELSH(SEQ ID NO:37))、結腸由来ペプチド(RPMC(SEQ ID NO:38))、腸由来ペプチド(YSGKWGW(SEQ ID NO:39))、頭頚部扁平上皮癌由来ペプチド(TSPLNIHNGQKL(SEQ ID NO:40))、肺血管系由来ペプチド(CGFELETC(SEQ ID NO:41))、冠動脈内皮由来ペプチド(NSVRDL(G/S)(SEQ ID NO:42)、NSVSSx(S/A)(SEQ ID NO:43))、リンパ管由来ペプチド(CGNKRTRGC(SEQ ID NO:44)/Lyp-1)、多臓器由来ペプチド(GVL、EGRx(SEQ ID NO:45)、xFG(G/V)(SEQ ID NO:46))、膵島由来ペプチド(CVSSNPRWKC(SEQ ID NO:47)、CHVLWSTRC(SEQ ID NO:48))、膵臓由来ペプチド(SWCEPGWCR(SEQ ID NO:49))、前立腺由来ペプチド(AGG、DPRATPGS(SEQ ID NO:50)、SMSIARL(SEQ ID NO:51)、CGRRAGGSC(SEQ ID NO:52)、GVL)、網膜由来ペプチド(RDV、CSCFRDVCC(SEQ ID NO:53))、催奇形物質リガンド由来ペプチド(TPKTSVT(SEQ ID NO:54))、ならびに子宮由来ペプチド(GLSGGRS(SEQ ID NO:55))を含むその他の供給源に由来する。
【0013】
別の態様において、腫瘍細胞、腫瘍血管系、および/または腫瘍環境の成分の細胞成分に特異的に結合するポリペプチド/ペプチド、ならびに免疫刺激核酸配列の1つまたは複数が病原体関連分子パターン(PAMP)を含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列を含むポリペプチド/ペプチド-核酸複合体を含む組成物を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、腫瘍性疾患を予防または治療する方法を開示する。
【0014】
1つの局面において、本方法は、対象から免疫細胞を除去する段階、細胞をエクスビボで複合体と接触させる段階、および細胞を対象に再導入する段階をさらに含む。さらなる局面において、本方法は、化学療法薬、電離放射線、ホルモン療法、細胞免疫療法、ワクチン、モノクローナル抗体、生物学的療法、抗血管新生療法、または小分子標的療法を含むその他の作用因子を施す段階を含む。
【0015】
別の局面において、腫瘍障害には、これらに限定されないが、頭頚部癌、気道・消化器癌、胃腸癌、食道癌、胃癌、膵癌、肝胆道癌/肝癌、結腸直腸癌、肛門癌、小腸癌、泌尿生殖器癌、泌尿器癌、腎癌、尿管癌、精巣癌、尿道癌/陰茎癌、婦人科癌、卵巣癌/卵管癌、腹膜癌、子宮癌/子宮内膜癌、子宮頸癌/膣癌/外陰癌、妊娠性絨毛性疾患、前立腺癌、骨癌、肉腫(軟組織/骨)、肺癌、中皮腫、縦隔癌、乳癌、中枢神経系癌、脳腫瘍、黒色腫、白血病、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキンリンパ腫)、形質細胞腫瘍、骨髄腫、骨髄異形成症候群、内分泌癌、皮膚癌、黒色腫、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎、膵内分泌癌、カルチノイド、多発性内分泌腫瘍症、エイズ関連悪性腫瘍、原発部位不明の癌、および種々の小児癌が含まれる。好ましくは、対象はヒトである。
【0016】
別の態様において、免疫細胞活性化/成熟および標的細胞死を誘導する核酸複合体を同定する方法を開示する。本方法は、腫瘍細胞、腫瘍血管系、および/または腫瘍微小環境の成分の細胞成分に特異的に結合する抗体またはペプチドを含む試験核酸複合体(該抗体または該ペプチドは、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列(INAS)を含む核酸と複合化されており、かつ該刺激核酸配列の1つまたは複数は、病原体関連分子パターン(PAMP)を含む)と、1つまたは複数の細胞とをインビトロで接触させる段階、ならびに免疫細胞の存在下または非存在下で1つまたは複数の細胞におけるマーカーの誘導または表現型の変化を判定する段階を含み、試験抗体/ペプチド-核酸複合体の存在下における誘導または変化の判定によって、免疫細胞活性化/成熟、標的細胞シグナル伝達の調節、および標的細胞死が示される。
【0017】
別の態様において、樹状細胞(DC)などの免疫細胞の細胞成分に結合する抗体、および免疫刺激核酸配列(INAS)の1つまたは複数が病原体関連分子パターン(PAMP)または免疫細胞を活性化し得るその他のモチーフを含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列を含む、単離された抗体-核酸複合体を開示する。
【0018】
1つの局面において、抗体は、これらに限定されないが、DC抗原取り込み受容体、C型レクチン様受容体、樹状細胞特異的ICAM-3捕捉非インテグリン(DC-SIGN、CD209)、マクロファージマンノース受容体(MMR、MRC1)、DEC-205(LY75)、およびFLT3を含む、樹状細胞(DC)の細胞成分に結合する。
【0019】
1つの局面において、本方法は抗体/ペプチド-核酸複合体を投与する段階を含み、核酸配列は遺伝子発現をサイレンシングするか、または細胞内死シグナル伝達を誘導する。
【0020】
別の局面では、抗体-核酸複合体を、腫瘍細胞に由来する抗原とさらに複合化させる。
【0021】
別の局面では、抗体-核酸複合体を、ウイルス、細菌、マイコバクテリア、スピロヘータ、真菌、リケッチア、マイコプラズマ、クラミジア、寄生原虫および後生動物、または蠕虫を含む感染性微生物または病原微生物に由来する抗原とさらに複合化させる。
【0022】
別の態様において、樹状細胞に結合する抗体、腫瘍細胞または微生物/病原生物に由来する抗原性ペプチド、および免疫刺激核酸配列(INAS)の1つまたは複数が病原体関連分子パターン(PAMP)または免疫細胞を活性化し得るその他のモチーフを含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列を含む抗体/ペプチド-核酸複合体を含む組成物を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、腫瘍性疾患または感染症を予防または治療する方法を開示する。
【0023】
本発明による例示的な方法および組成物について詳細に説明する。
【0024】
発明の詳細な説明
本発明の組成物、方法、および方法論について説明する前に、本発明が、記載した特定の組成物、方法、および実験条件に限定されず、したがって組成物、方法、および条件が変更可能であることが理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用する専門用語は特定の態様を説明する目的のためのみのものであって、限定を意図するものではないこともまた理解されるべきである。
【0025】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する単数形「ある(a)」、「ある(an)」、および「その(the)」とは、特記する場合を除き、その対象物の複数形も含む。したがって、例えば「ある核酸」への言及は、本開示を読めば当業者に明らかとなるであろう本明細書に記載する種類などの1つまたは複数の核酸および/または組成物を含む。
【0026】
特記しない限り、本明細書で使用する専門用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。修正および変更が本開示の精神および範囲の範囲内に包含されることが理解される通り、本発明の実施または試験において、本明細書に記載のものと類似のまたは同等の任意の方法および材料を用いることができる。
【0027】
免疫刺激DNA複合化またはRNA複合化抗体/ペプチドの導入により、標的細胞(例えば、新生物細胞)において死シグナル伝達が活性化される(図1および図2)。理論によって縛られることはないが、遺伝毒性の化学療法薬の効果とは対照的に、DNA複合化またはRNA複合化抗体/ペプチドの使用により、標的分子を発現しないか、または新生物細胞と比較して有意に低レベルの分子を発現する正常組織に対して対応する効果を及ぼすことなく、標的細胞において死シグナル伝達を活性化することが可能になる(図3)。
【0028】
加えて、免疫刺激DNA複合化またはRNA複合化抗体は、免疫系を活性化すること、免疫エフェクター細胞を標的細胞に動員すること、および腫瘍細胞を免疫細胞傷害性に対して感作させること(例えば、増殖因子媒介性シグナル伝達の同時遮断による)が、同時にできる。免疫エフェクター細胞は、DNAまたはRNAによって直接誘導される死シグナル伝達と協力して、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する。また、例えば、アポトーシス腫瘍細胞により放出された腫瘍抗原が樹状細胞(DC)によって提示され、持続性の適応抗腫瘍免疫応答が生じる。このアプローチにより、腫瘍細胞において細胞内死シグナル伝達を活性化することによって、正常細胞に毒性をもたらすことなく、腫瘍細胞の選択的標的化および免疫学的排除が可能となる。
【0029】
EGFR発現癌細胞のCpG DNA複合化抗EGFR抗体による処理、またはHER2/neu発現癌細胞のCpG DNA複合化抗HER2/neu抗体による処理により、PBMCの非存在下で、直接的な標的受容体特異的死滅が起こる。ヌクレオチド複合化抗体による処理に応答した標的細胞の調節解除された細胞間融合により、寿命が限定され複製能力が損なわれた合体(ハイブリッドまたは多核)細胞が形成される。標的化細胞死のこの新規な形態(細胞過融合)は、非複合化親抗体(抗EGFR抗体または抗HER2/neu抗体)または遊離CpG DNAによる処理に対する応答では認められない。
【0030】
細胞過融合は、これらに限定されないが、位相差顕微鏡観察、トリパンブルー排除、クリスタルバイオレット染色、合体細胞体の検出、および/または多核細胞体の形成の検出を含む、細胞の生存/増殖に関してアッセイする方法によって観察することができる。
【0031】
1つの局面において、DNA複合化またはRNA複合化ポリペプチド/ペプチドは、同時に、腫瘍細胞の環境において抗腫瘍免疫応答を活性化し、かつ腫瘍血管新生を阻害する。関連局面において、腫瘍細胞、腫瘍血管系、または腫瘍微小環境を標的化するポリペプチド/ペプチドは、免疫刺激DNA/RNAを腫瘍に送達する上で役立ち、かつ腫瘍血管新生も阻害する。
【0032】
1つの局面において、本発明の複合体は、単独で、または化学療法薬、電離放射線、ホルモン療法、サイトカイン、免疫療法、細胞療法、ワクチン、モノクローナル抗体、抗血管新生薬、標的療法(小分子薬物)、または生物学的療法などのその他の抗癌療法と併用して用いられる。例えば、化学療法薬には、これらに限定されないが、抗腫瘍アルキル化剤、例えばマスタード(メクロレタミンHCl、メルファラン、クロラムブシルシクロホスファミド、イホスファミド、ブスルファン)、ニトロソ尿素(BCNU/カルムスチン、CCNU/ロムスチン、MeCCNU/セムスチン、ホテムスチン、ストレプトゾトシン)、テトラジン(ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド)、アジリジン(チオテパ、マイトマイシンC、AZQ/ジアジコン)、プロカルバジンHCl、ヘキサメチルメラミン、アドゼレシン;シスプラチンおよびその類似体、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン;代謝拮抗薬、メトトレキサート、その他の葉酸代謝拮抗薬、5-フルオロピリミジン(5-フルオロウラシル/5-FU)、シタラビン、アザシチジン、ゲムシタビン、6-チオプリン(6-メルカプトプリン、チオグアニン)、ヒドロキシ尿素;トポイソメラーゼ相互作用薬エピポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシド)、カンプトテシ類似体(トポテカンHCl、イリノテカン、9-アミノカンプトテシン)、アントラサイクリンおよび関連化合物(ドキソルビシンHCl、リポソームドキソルビシン、ダウノルビシンHCl、ダウノルビシンHClクエン酸リポソーム、エピルビシン、イダルビシン)、ミトキサントロン、ロソキサントロン、アクチノマイシン-D、アムサクリン、ピラゾロアクリジン;微小管阻害薬ビンカアルカロイド(ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン)、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、エストラムスチン;フルダラビン、2-クロロデオキシアデノシン、2'-デオキシコホルマイシン、ホモハリントニン、スラミン、ブレオマイシン、L-アスパラギナーゼ、フロクスウリジン、カペシタビン、クラドリビン、ロイコボリン、ペントスタチン、レチノイド(オールトランスレチノイン酸、13-シス-レチノイン酸、9-シス-レチノイン酸、イソトレチノイン、トレチノイン)、パミドロ酸、サリドマイド、シクロスポリン;ホルモン療法薬抗エストロゲン剤(タモキシフェン、トレミフェン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害薬(アミノグルテチミド、レトロゾール/フェマーラ、アナストロゾール/アリミデックス、エキセメスタン/アロマシン、ボロゾール)、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体、抗アンドロゲン剤(フルタミド、カソデックス)、フルオキシメテロン、ジエチルスチルベストロール、オクトレオチド、酢酸ロイプロリド、ゾラデックス;ステロイド性および非ステロイド性抗炎症薬(デキサメタゾン、プレドニゾン);これらに限定されないが、抗HER2/neu抗体(ハーセプチン/トラスツズマブ)、抗EGFR抗体(セツキシマブ/エルビタックス、ABX-EGF/パニツムマブ、ニモツズマブ)、抗CD20抗体(リツキサン、リツキシマブ、イブリツモマブ/ゼバリン、トシツモマブ/Bexxar)、抗CD33抗体(ゲムツズマブ/MyloTarg)、アレムツズマブ/Campath、ベバシズマブ/アバスチンを含むモノクローナル抗体;ならびに小分子阻害薬が含まれる。
【0033】
本明細書で使用する「免疫エフェクター細胞」には、T細胞、NK細胞、B細胞、マクロファージ、および樹状細胞(DC)が含まれる。
【0034】
本明細書で使用する「腫瘍標的化ペプチド」には、100未満のアミノ酸を含むポリマーが含まれ、このポリマーは、腫瘍細胞、腫瘍血管系、および/または腫瘍微小環境の成分の細胞成分に特異的に結合する。
【0035】
本明細書で使用する「新生物」とは、その文法上の変化形も含めて、良性または癌性であり得る、組織の新生でかつ異常な増殖を意味する。関連局面において、新生物は、種々の癌を含むがこれらに限定されない腫瘍性疾患または障害を示す。例えば、そのような癌には、前立腺癌、膵癌、胆道癌、結腸癌、黒色腫、肉腫、肝癌、腎癌、肺癌、精巣癌、乳癌、卵巣癌、膵癌、脳腫瘍、頭頚部癌、黒色腫、白血病、リンパ腫癌などが含まれ得る。
【0036】
本明細書で使用する「対象」とは、その文法上の変化形も含めて、ヒト、またはイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、サル、ラット、およびマウスを含む脊椎動物を意味する。
【0037】
本明細書で使用する「複合化」とは、その文法上の変化形も含めて、外来DNAと標的特異的抗体および/またはペプチドとの、化学的な、静電気的な、非共有結合的な、または他の技法による直接的連結、共役、結合などを意味する。例えば、本発明において開示する単離された抗体-核酸複合体またはペプチド-核酸は、この定義に該当する。
【0038】
「免疫刺激核酸配列」(INAS)とは、病原体関連分子パターン(PAMP)、またはこれらに限定されないが、CpG DNA(CpG)、単純ヘルペスウイルス(HSV) DNA、二本鎖RNA(dsRNA)、および一本鎖RNA(ssRNA)を含む、免疫細胞を活性化し得るその他のモチーフを指す。関連局面において、INASはコード配列または非コード配列であってよい。例えば、CpGは、例証的な一例としてSEQ ID NO:1であってよい。
【0039】
1つの局面において、そのような免疫刺激核酸分子はCpG(すなわち、「CpG DNA」、またはリン酸結合によって連結されたシトシンおよびそれに続くグアノシンを含むDNA)であり、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞、B細胞、および樹状細胞(DC))上のToll様受容体(TLR)に結合する。関連局面において、TLRは、侵入生物上に提示された病原体関連分子パターン(PAMP)と称されるモチーフに基づいて病原体を認識する。
【0040】
1つの態様において、本発明は、以下の式によって表されるCpGモチーフを含む免疫刺激核酸配列を提供する:
5'N1X1CGX2N23'
式中、連続したCpGを少なくとも1つのヌクレオチドが分離し;X1はアデニン、グアニン、またはチミンであり;X2はシトシンまたはチミンであり;Nは任意のヌクレオチドであって、N1およびN2が、CCGG四量体も、2つ以上のCCGまたはCGG三量体も含まないという条件で、N1 + N2は約0〜26塩基であり;かつ核酸配列は約8〜30塩基長である。
【0041】
別の態様において、本発明は、以下の式によって表されるCpGモチーフを含む単離された免疫刺激核酸配列を提供する:
5'N1X1X2CGX3X4N23'
式中、連続したCpGを少なくとも1つのヌクレオチドが分離し;X1 X2にはGpT、GpG、GpA、ApT、およびApAが含まれ;X3 X4にはTpTまたはCpTが含まれ;Nは任意のヌクレオチドであって、N1およびN2が、CCGG四量体も、2つ以上のCCGまたはCGG三量体も含まないという条件で、N1 + N2は約0〜26塩基であり;かつ核酸配列は約8〜30塩基長である。
【0042】
関連局面において、本発明の免疫刺激核酸配列は、GpT、GpG、GpA、およびApAから選択されるX1 X2を含み、X3 X4はTpT、CpT、およびGpTから選択される。細胞への取り込みを促進するために、CpG含有免疫刺激核酸分子は8〜30塩基長の範囲内であってよい。しかし、十分な免疫刺激モチーフが存在するのであれば、そのような大きな核酸は細胞内でオリゴヌクレオチドに分解されるため、任意の大きさの核酸(数kb長であっても)も免疫刺激性である。別の局面において、合成オリゴヌクレオチドは、5'および/もしくは3'末端においてもしくはその近傍において、CGG四量体も、2つ以上のCCGもしくはCGG三量体も含まない、および/またはコンセンサスな分裂促進的CpGモチーフはパリンドロームではない。免疫刺激の持続は、リン酸骨格修飾を組み入れた安定化オリゴヌクレオチドを用いて得ることができる。例えば、修飾は、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオチオエート修飾である。より具体的には、リン酸骨格修飾は、核酸の5'末端、例えば核酸の5'末端の最初の2ヌクレオチドで起こる。さらに、リン酸骨格修飾は、核酸の3'末端、例えば核酸の3'末端の最後の5ヌクレオチドで起こり得る。
【0043】
1つの局面において、CpG DNAは、オリゴヌクレオチドである場合、8〜30塩基の大きさの範囲内である。または、CpGジヌクレオチドはプラスミドにおいて大規模に作製することもでき、これは対象に投与された後にオリゴヌクレオチドに分解される。別の局面において、核酸分子は、B細胞、単球、および/またはナチュラルキラー細胞応答(例えば、サイトカイン、増殖、溶解、またはその他の応答)に関して、比較的高い刺激指数を有する。
【0044】
例示的な配列には、

および

が含まれる。
【0045】
「安定化核酸分子」とは、インビボ分解(例えば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼによる)に対して比較的抵抗性である核酸分子を意味する。安定化は、長さまたは二次構造の機能であり得る。数十〜数百kb長である非メチル化CpG含有核酸分子は、インビボ分解に対して比較的抵抗性である。より短い免疫刺激核酸分子に関しては、二次構造によって安定化することができ、その効果を増大させることができる。例えば、核酸分子の3'末端が上流領域に対して自己相補性を有し、結果として折りたたまれて一種のステムループ構造を形成し得る場合、核酸分子は安定化され、そのためより高い活性を示す。
【0046】
1つの局面において、本発明の安定化核酸分子は修飾された骨格を有する。免疫刺激において使用するために、安定化核酸分子は、ホスホロチオエート(すなわち、核酸分子のリン酸酸素の少なくとも1つが硫黄により置換される)またはホスホロジチオエート修飾核酸分子を含み得る。より具体的には、リン酸骨格修飾は、核酸の5'末端、例えば核酸の5'末端の最初の2ヌクレオチドで起こる。さらに、リン酸骨格修飾は、核酸の3'末端、例えば核酸の3'末端の最後の5ヌクレオチドで起こり得る。本明細書においてさらに報告するように、ホスホロチオエート修飾核酸(ホスホロジチオエート修飾も含む)は、核酸分子の安定化に加えて、核酸分子の免疫刺激の程度を増加させ得る。例えば、ホスホロチオエート骨格を有する非メチル化CpG含有核酸分子は、B細胞活性を活性化することが認められているが、ホスホジエステル骨格を有する非メチル化CpG含有核酸分子は、単球細胞(マクロファージ、樹状細胞、および単球)およびNK細胞を活性化することが認められている。ヒトモチーフを有するホスホロチオエートCpGオリゴヌクレオチドもまた、単球細胞およびNK細胞の強力な活性化剤である。
【0047】
その他の安定化核酸分子には、アルキルホスホン酸およびアリールホスホン酸(荷電ホスホン酸酸素がアルキル基またはアリール基により置換されている)、ホスホジエステルおよび荷電酸素部分がアルキル化されたアルキルホスホトリエステルなど、非イオン性DNA類似体が含まれる。一方または両方の末端において、テトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールなどのジオールを含む核酸分子もまた、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に抵抗性であることが示されている。1つの局面において、核酸分子はペプチド結合を含む(すなわち、ペプチド核酸:PNA)。
【0048】
本発明の免疫刺激核酸分子(INAS)に関して、INASは、複合化(連結)を含むがこれに限定されないいくつかの方法で、ペプチドまたはポリペプチドと共役させることができる。ポリヌクレオチド部分は、共有結合および/または非共有結合相互作用を含めて、複合体のペプチドまたはポリペプチド部分と共役させることができる。一般に、INASとペプチドまたはポリペプチドは、腫瘍細胞または標的細胞による複合体の取り込みを増強できるまたは促進できる様式で連結する。
【0049】
ペプチドまたはポリペプチドとINASとの間の連結は、INASの3'もしくは5'末端において、またはINASの内部位置での適切な修飾塩基において、行うことができる。ペプチドまたはポリペプチドが適切な反応基(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)を含む場合には、これをシトシン残基のN4アミノ基と直接反応させることができる。INAS中のシトシン残基の数および位置に応じて、1つまたは複数の残基における特定の共役が達成され得る。
【0050】
複合体のポリペプチド分子は免疫グロブリンであってよい。本明細書で使用する「免疫グロブリン」という用語には、これらに限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、Fab発現ライブラリーによって産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、および上記のいずれかのエピトープ結合断片を含む、天然または人工的な一価または多価抗体が含まれる。本明細書で使用する「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち抗原と免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を指す。本発明の免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスの免疫グロブリン分子のものであってよい。
【0051】
本発明の抗体には、これらに限定されないが、Fab、Fab'およびF(ab')2、Fd、一本鎖Fv(ScFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド連結されたFv(sdFv)、およびVLまたはVHドメインを含む断片を含む抗体断片が含まれる。一本鎖抗体を含む抗原結合抗体断片は、単独で、または以下のものの全体もしくは一部と組み合わせて、可変領域を含み得る:ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメイン。同様に、可変領域とヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの任意の組み合わせを含む抗原結合断片もまた、本発明に含まれる。本発明の抗体は、鳥類および哺乳動物を含む任意の動物起源に由来し得る。1つの局面において、抗体は、ヒト、マウス(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。さらに、そのような抗体は、ヒト化型の動物抗体であってよい。本発明の抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性であるか、またはより高度な多特異性のものであってよい。
【0052】
本発明の抗体は、当技術分野で公知の任意の適切な方法により作製することができる。関心対象の抗原に対するポリクローナル抗体は、当技術分野で周知の様々な手順により作製することができる。例えば、これらに限定されないが、ウサギ、マウス、ラットなどを含む種々の宿主動物に本発明のポリペプチドを投与して、抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の生成を誘導することができる。宿主種に応じて免疫応答を増大させるために種々のアジュバントを用いることができ、このようなアジュバントには、これらに限定されないが、フロイントのアジュバント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)など、潜在的に有用なヒトアジュバントが含まれる。このようなアジュバントもまた、当技術分野で周知である。さらに、抗体および抗体様結合タンパク質は、ファージディプレイにより作製することもできる。
【0053】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当技術分野で公知の多種多様な技法を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野で公知の技法、および例えばHarlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988);Hammerling, et al., Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981)において教示される技法を含むハイブリドーマ技法を用いて作製することができる。本明細書で使用する「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術により作製された抗体に制限されない。「モノクローナル抗体」という用語は、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む単一クローンに由来する抗体を指すものであり、それを作製する方法を指すものではない。
【0054】
1つの態様において、腫瘍細胞、腫瘍血管系、および/または腫瘍微小環境の成分の細胞成分に特異的に結合する抗体を含む、抗体-核酸複合体を開示する。腫瘍微小環境は、腫瘍を囲む上皮細胞、基底膜、線維芽細胞、間質細胞、および/または筋線維芽細胞を含み得る。さらなる関連局面において、腫瘍を囲んでいるそのような細胞は、機能的なCLIC4を発現し得る。さらに、複合体は、腫瘍細胞の細胞成分の結合に続いてインビトロで腫瘍細胞間の細胞過融合を誘発することを含めて、少なくとも1 nM〜20 nMの結合親和性を有する。
【0055】
別の局面において、細胞成分には、これらに限定されないが、上皮増殖因子受容体(EGFR、ErbB-1、HER1)、ErbB-2(HER2/neu)、ErbB-3/HER3、ErbB-4/HER4、EGFRリガンドファミリー;インスリン様増殖因子受容体(IGFR)ファミリー、IGF結合タンパク質(IGFBP)、IGFRリガンドファミリー;血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)ファミリー、PDGFRリガンドファミリー;線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)ファミリー、FGFRリガンドファミリー、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)ファミリー、VEGFファミリー;HGF受容体ファミリー;TRK受容体ファミリー;エフリン(EPH)受容体ファミリー;AXL受容体ファミリー;白血球チロシンキナーゼ(LTK)受容体ファミリー;TIE受容体ファミリー、アンジオポエチン1、2;受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体(ROR)受容体ファミリー;ジスコイジンドメイン受容体(DDR)ファミリー;RET受容体ファミリー;KLG受容体ファミリー;RYK受容体ファミリー;MuSK受容体ファミリー;トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)受容体、TGF-β;サイトカイン受容体、クラスI(ヘマトポエチンファミリー)およびクラスII(インターフェロン/IL-10ファミリー)受容体、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリー(TNFRSF)、デスレセプターファミリー;癌-精巣(CT)抗原、系統特異的抗原、分化抗原、α-アクチニン-4、ARTCl、切断点クラスター領域-Abelson(Bcr-abl)融合産物、B-RAF、カスパーゼ-5(CASP-5)、カスパーゼ-8(CASP-8)、β-カテニン(CTNNB1)、細胞分裂周期27(CDC27)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、CDKN2A、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD-2、伸長因子2(ELF2)、Ets変種遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS(ETC6-AML1)融合タンパク質、フィブロネクチン(FN)、GPNMB、低密度脂質受容体/GDP-Lフコース:β-Dガラクトース2-α-Lフコシルトランスフェラーゼ(LDLR/FUT)融合タンパク質、HLA-A2、HLA-A2遺伝子中のα2ドメインのαヘリックスの残基170におけるアルギニンからイソロイシンへの交換(HLA-A*201-R170I)、HLA-A11、熱ショックタンパク質70-2変異(HSP70-2M)、KIAA0205、MART2、黒色腫偏在性変異1、2、3(MUM-1、2、3)、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、neo-PAP、ミオシンクラスI、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、K-ras(KRAS2)、N-ras(NRAS)、HRAS、RBAF600、SIRT2、SNRPD1、SYT-SSX1または-SSX2融合タンパク質、トリオースリン酸イソメラーゼ、BAGE、BAGE-1、BAGE-2、3、4、5、GAGE-1、2、3、4、5、6、7、8、GnT-V(異常なN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV、MGAT5)、HERV-K-MEL、KK-LC、KM-HN-1、LAGE、LAGE-1、黒色腫上のCTL認識抗原(CAMEL)、MAGE-A1(MAGE-1)、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-3、MAGE-B1、MAGE-B2、MAGE-B5、MAGE-B6、MAGE-C1、MAGE-C2、ムチン1(MUC1)、MART-1/Melan-A(MLANA)、gp100、gp100/Pmel17(SILV)、チロシナーゼ(TYR)、TRP-1、HAGE、NA-88、NY-ESO-1、NY-ESO-1/LAGE-2、SAGE、Sp17、SSX-1、2、3、4、TRP2-INT2、癌胎児性抗原(CEA)、カリクレイン4、マンマグロビン-A、OA1、前立腺特異抗原(PSA)、TRP-1/gp75、TRP-2、アディポフィリン、黒色腫に存在しないインターフェロン誘導性タンパク質2(AIM-2)、BING-4、CPSF、サイクリンD1、上皮細胞接着分子(Ep-CAM)、EphA3、線維芽細胞増殖因子-5(FGF-5)、糖タンパク質250(gp250)、EGFR(ERBB1)、HER-2/neu(ERBB2)、インターロイキン13受容体α2鎖(IL13Rα2)、IL-6受容体、腸カルボキシルエステラーゼ(iCE)、αフェトプロテイン(AFP)、M-CSF、mdm-2、MUC1、p53(TP53)、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RNF43、RU2AS、SOX10、STEAP1、サバイビン(BIRC5)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、テロメラーゼ、ウィルムス腫瘍遺伝子(WT1)、SYCP1、BRDT、SPANX、XAGE、ADAM2、PAGE-5、LIP1、CTAGE-1、CSAGE、MMA1、CAGE、BORIS、HOM-TES-85、AF15q14、HCA661、LDHC、MORC、SGY-1、SPO11、TPX1、NY-SAR-35、FTHL17、NXF2、TDRD1、TEX15、FATE、TPTE、免疫グロブリンイディオタイプ、ベンス・ジョーンズタンパク質、エストロゲン受容体(ER)、アンドロゲン受容体(AR)、CD40、CD30、CD20、CD19、CD33、癌抗原72-4(CA 72-4)、癌抗原15-3(CA 15-3)、癌抗原27-29(CA 27-29)、癌抗原125(CA 125)、癌抗原19-9(CA 19-9)、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピンン、扁平上皮癌抗原、ニューロン特異的エノラーゼ、熱ショックタンパク質gp96、GM2、サルグラモスチム、CTLA-4、707アラニンプロリン(707-AP)、T細胞によって認識される腺癌抗原4(ART-4)、癌胎児性抗原ペプチド-1(CAP-1)、カルシウム活性化塩素チャネル-2(CLCA2)、シクロフィリンB(Cyp-B)、ヒト印環細胞腫瘍-2(HST-2)、ヒトパピローマウイルス(HPV)タンパク質(HPV-E6、HPV-E7、メジャーまたはマイナーカプシド抗原、その他)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)タンパク質(EBV潜伏感染膜タンパク質‐LMP1、LMP2;その他)、B型またはC型肝炎ウイルスタンパク質、ならびにHIVタンパク質が含まれる。
【0056】
1つの態様において、複合体は、これらに限定されないが、腫瘍細胞、腫瘍血管系、および/または腫瘍環境の成分の細胞成分に結合するペプチドを含むペプチドを含む。複合体は、ファージディスプレイ、またはこれらに限定されないが、αvβ1インテグリン(CRRETAWAC(SEQ ID NO:5))、αvβ3インテグリン(CDCRGDCFC(SEQ ID NO:6)/RGD-4C;RGDWXE(SEQ ID NO:7))、αvβ5インテグリン(TRGDTF(SEQ ID NO:8))、αvβ6(RGDLxxL(SEQ ID NO:9)またはxxDLxxL(SEQ ID NO:10))、αIIβ3(SRGDM(SEQ ID NO:11))、αvβ5模倣アネキシンV(VVISYSMPD(SEQ ID NO:12))、E-セレクチン(IELLQAR(SEQ ID NO:13))、内皮細胞ミトコンドリア(CNGRC-GG-(KLAKLAK)2(SEQ ID NO:14))、エフリン-A2およびエフリン-A4(CVSNPRWKC(SEQ ID NO:15)、CHVLWSTRC(SEQ ID NO:16))、フィブロネクチン(CWDDGWLC(SEQ ID NO:17))、ICAM-Iまたはフォンウィルブランド因子(CPCFLLGCC(SEQ ID NO:18)/LLG-4C)、ラミン-1(DFKLFAVY(SEQ ID NO:19))、P-セレクチン(EWVDV(SEQ ID NO:20))、MMP-9:インテグリン複合体(D/E)(D/E)(G/L)W(SEQ ID NO:21)、MMP-9およびMMP-2(ゼラチナーゼ)(CTTHWGFTLC(SEQ ID NO:22))、内皮上のI型カドヘリン(N-Ac-CHAVC-NH2)、VEGFのFlt-1領域 NxxEIExYxxWxxxxxY(SEQ ID NO:23)、VEGFのKDR領域(HTMYYHHYQHHL(SEQ ID NO:24)、ATWLPPR(SEQ ID NO:25))、VEGF受容体(WHSDMEWWYLLG(SEQ ID NO:26)、RRKRRR(SEQ ID NO:27)、アミノペプチダーゼN/CD13(NGR)、NG2プロテオグリカン(TAASGVRSMH(SEQ ID NO:28)、LTLRWVGLMS(SEQ ID NO:29))、副腎由来ペプチド(LMLPRAD(SEQ ID NO:30))、脂肪組織由来ペプチド(CKGGRAKDC SEQ ID NO:31))、脳由来ペプチド(SR1)、脳内皮由来ペプチド(CLSSRLDAC(SEQ ID NO:32))、神経膠腫細胞由来ペプチド(VGLPEHTQ(SEQ ID NO:33))、神経芽細胞腫由来ペプチド(VPWMEPAYQRFL(SEQ ID NO:34))、骨髄由来ペプチド(GGG、GFS、LWS)、乳癌(HER2/neu)由来ペプチド(LTVxPWx(SEQ ID NO:35)、LTVxPWY(SEQ ID NO:36)、HER2 Ab/トラスツズマブミモトープ‐LLGPYELWELSH(SEQ ID NO:37))、結腸由来ペプチド(RPMC(SEQ ID NO:38))、腸由来ペプチド(YSGKWGW(SEQ ID NO:39))、頭頚部扁平上皮癌由来ペプチド(TSPLNIHNGQKL(SEQ ID NO:40))、肺血管系由来ペプチド(CGFELETC(SEQ ID NO:41))、冠動脈内皮由来ペプチド(NSVRDL(G/S)(SEQ ID NO:42)、NSVSSx(S/A)(SEQ ID NO:43))、リンパ管由来ペプチド(CGNKRTRGC(SEQ ID NO:44)/Lyp-1)、多臓器由来ペプチド(GVL、EGRx(SEQ ID NO:45)、xFG(G/V)(SEQ ID NO:46))、膵島由来ペプチド(CVSSNPRWKC(SEQ ID NO:47)、CHVLWSTRC(SEQ ID NO:48))、膵臓由来ペプチド(SWCEPGWCR(SEQ ID NO:49))、前立腺由来ペプチド(AGG、DPRATPGS(SEQ ID NO:50)、SMSIARL(SEQ ID NO:51)、CGRRAGGSC(SEQ ID NO:52)、GVL)、網膜由来ペプチド(RDV、CSCFRDVCC(SEQ ID NO:53))、催奇形物質リガンド由来ペプチド(TPKTSVT(SEQ ID NO:54))、ならびに子宮由来ペプチド(GLSGGRS(SEQ ID NO:55))を含むその他の供給源に由来するペプチドを含み得る。
【0057】
1つの態様において、αvβ3ペプチドは、αvβ3-リガンド相互作用に関与する領域において、αvβ3の天然リガンドまたはαvβ3自体に特徴的な配列を有し得る。1つの局面において、αvβ3ペプチドはRGDトリペプチドを含み、RGD含有領域において配列として天然リガンドに対応する。
【0058】
1つの局面において、RGD含有ペプチドは、フィブリノーゲン、ビトロネクチン、フォンウィルブランド因子、ラミニン、トロンボスポンジン、および同様のリガンドなどの、αvβ3の天然リガンドのRGD含有領域のアミノ酸残基配列に対応する配列を有する。これらのαvβ3リガンドの配列は周知である。したがって、αvβ3ペプチドは、天然リガンドのいずれかに由来し得る。
【0059】
別の局面において、αvβ3ペプチドは、その他のインテグリンと比較した場合に、αvβ3のその天然リガンドへの結合を優先的に阻害する。αvβ3に対する選択性を有するαvβ3ペプチドの同定は、ELISAアッセイ法などの典型的な結合阻害アッセイ法において容易に同定することができる。
【0060】
本発明のペプチドは、典型的に約100アミノ酸残基以下、好ましくは約60残基以下、より好ましくは約30残基以下を含む。本発明のペプチドは、直鎖状または環状であってよい。
【0061】
本ペプチドが、αvβ3天然リガンドのアミノ酸残基配列と同一である必要はないことが理解されるべきである。例示的な配列には、CDCRGDCFC(SEQ ID NO:3)およびGGCDGRCG(SEQ ID NO:4)が含まれる。
【0062】
本発明のペプチドには、そのアミノ酸残基配列が本明細書において示されるペプチドの任意の類似体、断片、または化学的誘導体も含まれる。したがって、本発明のペプチドは、その使用時に特定の利点を提供する種々の変化、置換、挿入、および欠失に供され得る。この点に関して、本発明のαvβ3ペプチドは、記載されたペプチドの配列と同一であるよりもむしろそれに対応するものであり、1つまたは複数の変化が加えられ、1つまたは複数のアッセイ法においてαvβ3ペプチドとして機能する能力を保持する。
【0063】
「類似体」という用語には、1つまたは複数の残基が機能的に類似した残基と保存的に置換されており、かつ本明細書に記載されるαvβ3活性を示す、本明細書に具体的に示される配列と、実質的に同一のアミノ酸残基配列を有する任意のペプチドが含まれる。保存的置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン、もしくはメチオニンなどある非極性(疎水性)残基の、別の残基との置換、アルギニンとリジン間、グルタミンとアスパラギン間、グリシンとセリン間などある極性(親水性)残基の、別の残基との置換、リジン、アルギニン、もしくはヒスチジンなどある塩基性残基の、別の残基との置換、またはアスパラギン酸もしくはグルタミン酸などある酸性残基の、別の残基との置換が含まれる。
【0064】
「断片」という用語は、そのアミノ酸残基配列が本明細書において開示されるポリペプチドのアミノ酸残基配列よりも短いアミノ酸残基配列を有する任意の本ポリペプチドを指す。
【0065】
本発明のペプチドは、組換えDNA技法を含む、ポリペプチドの技術分野における当業者に公知の技法のいずれかによって合成することができる。固相Merrifield型合成のような合成化学技法が、純度、抗原特異性、望ましくない副産物の排除、作製の容易さなどの理由から好ましい。利用可能な多くの技法の優れた要約は、固相ペプチド合成については、Steward et al., 「Solid Phase Peptide Synthesis」, W. H. Freeman Co., San Francisco, 1969;Bodanszky, et al., 「Peptide Synthesis」, John Wiley & Sons, Second Edition, 1976;J. Meienhofer, 「Hormonal Proteins and Peptides」, Vol. 2, p. 46, Academic Press (New York), 1983;Merrifield, Adv. Enzymol., 32:221-96, 1969;Fields et al., Int. J. Peptide Protein Res., 35:161-214, 1990;および米国特許第4,244,946号、ならびに古典的溶液合成については、Schroder et al., 「The Peptides」, Vol. 1, Academic Press (New York), 1965に見出され得る。このような合成において使用可能な適切な保護基は、上記の教科書、およびJ. F. W. McOmie, 「Protective Groups in Organic Chemistry」, Plenum Press, New York, 1973に記載されている。
【0066】
本発明の方法は一般に、ペプチドおよび抗体を含む種々のアミノ酸ポリマーにINASを連結するために使用することができる。
【0067】
そのような方法には、活性化剤の添加によるペプチドまたは抗体上のカルボン酸部分の活性化が含まれるが、これに限定されるわけではない。活性化剤には、HATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N',-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸);HBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N',-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸);TBTU(2-(1H-ベンゾトリアゾ-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸);TFFH(N,N',N'',N''-テトラメチルウロニウム2-フルオロ-ヘキサフルオロリン酸);BOP(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸);PyBOP(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸);EEDQ(2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロ-キノリン);DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド);DIPCDI(ジイソプロピルカルボジイミド);HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール);N-ヒドロキシスクシンイミド;MSNT(1-(メシチレン-2-スルホニル)-3-ニトロ-1H-1,2,4-トリアゾール);アリールスルホニルハロゲン化物、例えば塩化トリイソプロピルベンゼンスルホニルが含まれる。好ましい活性化剤はカルボジイミドである。1つの局面において、活性化剤は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(ECD)および/または1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド(CDC)である。
【0068】
上記の活性化カルボン酸部分は、活性化カルボン酸部分と求核部分との反応を促進するために十分な、当業者に公知の条件下において、INAS上の求核部分と反応する。適切な反応条件下では、比較的低いpH、すなわち約6.5未満のpHが維持される。伝統的な方法では(すなわち、より高いpHレベルでは)、活性化カルボン酸および/または活性化剤は急速に加水分解し、複合化反応の効率が減少すると考えられる。
【0069】
本発明の方法を用いて、種々の複合体を調製することができる。1つの局面において、本発明の複合体には、これらに限定されないが、DNA-抗体複合体、DNA-ペプチド複合体、RNA-抗体複合体、およびRNA-ペプチド複合体が含まれる。
【0070】
複合化反応後に、当業者に周知の種々の方法によって複合体を単離することができる。例えば、反応混合物をカラムクロマトグラフィー系に供し、サイズ排除により分離することができる。
【0071】
1つの態様において、細胞死、細胞成熟、および/またはNKG2Dリガンド依存的シグナル伝達を誘導する本発明の複合体を同定する方法を開示する。本方法は、腫瘍細胞、腫瘍血管系、および/もしくは腫瘍環境の成分の細胞成分に特異的に結合する抗体、またはRGDモチーフもしくはCDGRCモチーフを含むインテグリン由来ペプチドを含む、試験複合体(該抗体または該ペプチドは、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列を含む核酸と複合化されており、該核酸配列の1つまたは複数は、病原体関連分子パターン(PAMP)を含む)と、1つまたは複数の細胞とをインビトロで接触させる段階、ならびに免疫細胞の存在下または非存在下で1つまたは複数の細胞におけるマーカーの誘導または表現型の変化を判定する段階を含み、1つまたは複数の細胞における試験核酸複合体の存在下における誘導または変化の判定によって、細胞死シグナル伝達、細胞成熟、および/またはNKG2Dリガンド依存的シグナル伝達が示される。
【0072】
例えば、接触によって、(a) 細胞が腫瘍細胞である場合に、免疫細胞の非存在下で細胞の融合が起こる、(b) PBMC細胞および腫瘍細胞の混合物において腫瘍細胞の溶解が起こる、ならびに(c) 細胞がPBMCまたは樹状細胞(DC)である場合に、CD86、IFN-γ、および/またはApo2L/TRAILを含むがこれらに限定されない1つまたは複数のマーカーの発現の誘導が起こるならば、試験複合体は、細胞死シグナル伝達、細胞成熟、および/またはNKG2Dリガンド依存的シグナル伝達の誘導と関連している。
【0073】
マーカー発現の誘導は、細胞選別によって達成することができる。さらに、細胞は、ヒト細胞を含むがこれに限定されない非胎児動物の骨髄から得られる。胎児細胞を用いることも可能である。
【0074】
細胞選別は、蛍光活性化細胞選別(FACS)および磁気ビーズ細胞選別(MACS)による選別を含む、細胞を選別するための当技術分野で公知の任意の方法によるものであってよい。MACSによって細胞を選別するためには、細胞を磁気ビーズで標識し、この細胞を常磁性分離カラムに通す。分離カラムを強力な永久磁石中に置き、それによってカラム内に磁場を作り出す。磁気的に標識された細胞はカラム中に捕捉される;標識されていない細胞は通過する。次に、カラムから捕捉細胞を溶出させる。
【0075】
本発明はまた、障害を治療し得る有効量の少なくとも1つの化合物、および薬学的に許容される媒体または希釈剤を含む薬学的組成物を提供する。本発明の組成物は、記載されるその他の治療薬を含んでもよく、例えば、薬学的製剤の技術分野において周知であるような技法に従って、慣習的な固体または液体の媒体または希釈剤、および所望の投与様式に適した種類の薬学的添加剤(例えば、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、香料など)を使用することによって、製剤化することができる。
【0076】
本発明の製品の成分として使用される薬学的組成物は、固体、溶液、乳濁液、分散、ミセル、リポソームなどの形態で用いられてよく、得られた組成物は、腸内または非経口適用に適した有機または無機の担体または賦形剤と混合して、活性成分として上記化合物の1つまたは複数を含む。本発明の製品の成分としての用途のために使用される化合物は、例えば、錠剤、小丸剤、カプセル剤、坐剤、溶液、乳濁液、懸濁液、および使用に適した任意の他の形態のための通常の非毒性の薬学的に許容される担体と、組み合わせることができる。用い得る担体には、固体、半固体、または液体形態の、グルコース、ラクトース、アラビアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプン糊、三ケイ酸マグネシウム、滑石、コーンスターチ、ケラチン、コロイドシリカ、ジャガイモデンプン、尿素、中鎖トリグリセリド、デキストラン、および調製物の製造における使用に適したその他の担体が含まれる。さらに、補助剤、安定剤、増粘剤、ならびに着色剤および香料を用いることも可能である。
【0077】
本発明の薬学的組成物は、任意の適切な手段により、例えば、経口的に、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、もしくは粉末剤の形態で;舌下に;頬側に;非経口的に、例えば皮下、皮内、静脈内、筋肉内、もしくは大槽内の注射もしくは注入技法(例えば、滅菌された注射用の水性または非水性の溶液または懸濁液として)による;経鼻的に、例えば吸入スプレーによる;局所的に、例えばクリーム剤もしくは軟膏剤の形態で;または直腸に、例えば坐剤の形態で、非毒性の薬学的に許容される媒体または希釈剤を含む用量単位製剤として、投与することができる。本発明の化合物は、例えば、即時放出または持続放出に適切な形態で投与することも可能である。即時放出または持続放出は、本発明の化合物を含む適切な薬学的組成物の使用によって、または特に持続放出の場合は、皮下植込錠または浸透圧ポンプのような装置の使用によって達成され得る。本発明の複合体はまた、リポソームで投与することも可能である。1つの局面において、組成物は、全身に、腫瘍内に、または腫瘍周囲に投与することができる。
【0078】
ヒトなどの霊長動物に加えて、その他の種々の哺乳動物を本発明の方法に従って治療することができる。例えば、これらに限定されないが、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット、またはその他のウシ種、ヒツジ種、ウマ種、イヌ種、ネコ種、げっ歯類種もしくはマウス種を含む哺乳動物を治療することができる。しかし、本方法はまた、鳥類(例えば、ニワトリ)などのその他の種においても行うことができる。
【0079】
その細胞において調節に関する標的化が所望される、上記の方法で治療が施される対象は、これらに限定されないが、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット、またはその他のウシ種、ヒツジ種、ウマ種、イヌ種、ネコ種、げっ歯類種もしくはマウス種を含む哺乳動物であり、好ましくはヒト、男性または女性である。
【0080】
「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師、またはその他の医療従事者によって求められている、組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する本化合物の量を意味する。
【0081】
本明細書で使用する「組成物」という用語は、特定量の特定成分を含む生成物、および特定量の特定成分の組み合わせから直接または間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。「薬学的に許容される」とは、製剤のその他の成分と適合性でなければならず、またそのレシピエントに対して有害であってはならない担体、希釈剤、または賦形剤を意味する。
【0082】
化合物の「投与」およびまたは化合物を「投与する」という用語は、治療を必要とする個体に本発明の化合物を提供する段階を意味すると理解されるべきである。
【0083】
本発明の化合物の投与のための薬学的組成物は、単位剤形として存在することが便利であると考えられ、薬学の技術分野において周知の方法のいずれかにより調製することができる。いずれの方法も、活性成分を、1つまたは複数の補助成分を構成する担体と配合する工程を含む。一般的に、薬学的組成物は、活性成分を液体担体もしくは微粉化した固体担体またはその両者と均一かつ緊密に配合し、次に必要に応じて生成物を所望の製剤に成型することによって調製される。薬学的組成物中には、疾患の経過または状態に対して所望の効果をもたらすのに十分な量で、目的の活性化合物を含める。
【0084】
活性成分を含む薬学的組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性または油性懸濁液、分散性粉末剤または顆粒剤、乳濁液、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、またはシロップ剤もしくはエリキシル剤としてなど、経口使用に適した形態であってよい。
【0085】
経口使用を目的とした組成物は、薬学的組成物を製造するための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、薬学的に洗練されかつ口当たりのよい調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、および保存剤からなる群より選択される1つまたは複数の薬剤を含んでもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して、活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、またはアラビアゴム、ならびに潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであってよい。錠剤はコーティングしなくてもよいし、または公知の技法によってコーティングを施して、胃腸管内で崩壊および吸収を遅延させ、それにより長期にわたる持続的な作用を提供することもできる。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの遅延物質を使用することができる。錠剤はまた、制御放出のための浸透性治療用錠剤を形成するようコーティングすることもできる。
【0086】
経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性な固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリンと混合された硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水もしくは油性媒体、例えばラッカセイ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合された軟ゼラチンカプセルとして提示されてもよい。
【0087】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して、活性材料を含む。このような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル-ピロリドン、トラガカントゴム、およびアラビアゴムであり;分散剤または湿潤剤は、天然ホスファチド、例えばレシチン、または酸化アルキレンと脂肪酸との縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと脂肪酸および無水ヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであってよい。水性懸濁液はまた、1つまたは複数の保存剤、例えばエチルまたはn-プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数の香味剤、および1つまたは複数の甘味剤、例えばスクロースまたはサッカリンを含み得る。
【0088】
油性懸濁液は、植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはココナッツ油中に、または鉱油、例えば流動パラフィン中に活性成分を懸濁することによって、製剤化することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜ろう、固形パラフィン、またはセチルアルコールを含み得る。口当たりのよい経口調製物を提供するために、上記のような甘味剤および香味剤を添加してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤の添加により、保存することができる。
【0089】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末剤または顆粒剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1つまたは複数の保存剤と混合して、活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、既に上記したものにより例証される。さらなる賦形剤、例えば甘味剤、香味剤、および着色剤もまた存在してよい。
【0090】
シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、またはスクロースを用いて製剤化することができる。このような製剤はまた、粘滑剤、保存剤、ならびに香味剤および着色剤もまた含んでよい。
【0091】
薬学的組成物は、無菌注射用水性懸濁液または油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、上記の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、公知の技術に従って製剤化することができる。無菌注射用調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオール溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。使用され得る許容可能な媒体および溶媒には、水、リンガー溶液、および等張塩化ナトリウム溶液が含まれる。さらに、無菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として簡便に用いられる。この目的では、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無菌不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射剤の調製において有用である。
【0092】
本発明の化合物はまた、薬物の直腸投与のための坐剤の形態で投与することもできる。通常の温度では固体であるが直腸温度では液体であり、よって直腸内で溶解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と、薬物を混合することによって、これらの組成物を調製することができる。このような物質は、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0093】
局所使用には、本発明の化合物を含むクリーム剤、軟膏剤、ゼリー剤、溶液、または懸濁液などが用いられる。(この適用の目的では、局所適用には洗口剤およびうがい薬も含まれる)。
【0094】
細胞が調節に関して標的化される対象の治療において、適切な投与量レベルは、一般に約0.01〜500 mg/kg患者体重/日であり、これは単回用量または複数回用量として投与することができる。好ましくは、投与量レベルは約0.1〜約250 mg/kg/日であり;より好ましくは約0.5〜約100 mg/kg/日である。適切な投与量レベルは、約0.01〜250 mg/kg/日、約0.05〜100 mg/kg/日、または約0.1〜約50 mg/kg/日であってよい。この範囲内で、投与量は0.05〜0.5、0.5〜5、または5〜50 mg/kg/日であってよい。経口投与に関しては、組成物は好ましくは、治療すべき患者に対して投与量を対症的に調整するよう、1.0〜1000ミリグラムの活性成分、特に約1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、および1000.0ミリグラムの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。化合物は、1日当たり1〜4回、好ましくは1日当たり1回または2回の投与計画で投与することができる。
【0095】
しかし、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルおよび投与頻度は変動する可能性があり、使用する特定化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用期間、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食習慣、投与様式および投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、特定の状態の重症度、ならびに宿主が受けている治療を含む種々の要因に依存することが理解されよう。
【0096】
1つの態様においては、哺乳動物対象、好ましくはヒトから血液のアリコートを抽出し、この血液のアリコートをエクスビボで本発明の複合体により処理する。複合体の効果は、アリコート中に含まれる血液中の免疫エフェクター細胞の活性の調節である。次に、ワクチン接種に適した任意の経路より、調節済みのアリコートを対象の身体中に再導入する。
【0097】
1つの局面においては、対象から免疫細胞を除去する段階、細胞をエクスビボで複合体と接触させる段階、および細胞を対象に再導入する段階を含む方法を開示する。
【0098】
1つの局面において、アリコートの量とは、抗凝固剤(例えば、クエン酸ナトリウム2 ml)と併せて最大で約400 mlであり、約0.1 ml〜約100 ml、約5 ml〜約15 ml、約8 ml〜約12 ml、または約10 mlである。
【0099】
1つの局面において、対象は一連の治療を受け、そのような個々の治療には、血液アリコートの除去、上記のようなその処理、および処理済みアリコートの対象への再投与が含まれる。そのような一連の治療には、何日かの連続した日にわたる処理済み血液アリコートの毎日の投与が含まれてよく、または指定期間にわたる毎日の治療の最初の過程、それに続く一定期間、およびその後の毎日の治療の1回もしくは複数回の追加過程が含まれてもよい。
【0100】
関連局面において、対象は、4〜6アリコートの処理済み血液の投与を含む最初の治療過程を受ける。別の好ましい態様では、対象は、2〜4アリコートの処理済み血液の投与を含む最初の治療過程を受け、任意の対をなす連続したアリコートの投与は、連続した日に行われるか、またはアリコートが対象に投与されない1〜21日間の休息期間によって隔てられ、連続したアリコートの1つの選択された対を隔てる休息期間は約3〜15日である。別の関連局面においては、最初の治療過程の投与量計画は全部で3つのアリコートを含み、第1および第2アリコートは連続した日に投与され、第2アリコートと第3アリコートの投与の間に11日の休息期間が提供される。
【0101】
さらなる関連局面においては、最初の治療過程の後に追加の治療過程を続ける。例えば、その後の治療過程は、最初の治療過程の終了後の少なくとも約3週間目に施す。1つの局面において、対象は、最初の治療過程の終了後に、処理済み血液の1つのアリコートの30日ごとの投与を含む第2治療過程を6カ月の期間にわたり受ける。
【0102】
連続する治療過程の間の間隔は、本発明の治療の好ましい効果が維持されるようなものであるべきであり、個々の対象の応答の観察に基づいて決定され得ることが理解されよう。
【0103】
以下の実施例は本発明を説明することを目的とするものであって、限定を意図するものではない。
【0104】
実施例
実施例1:複合化抗体またはペプチドの作製
抗ヒトEGFR抗体、抗ヒトHER2抗体、および抗ラットneu抗体

【0105】
抗体ペプチド溶液500μlをエッペンドルフチューブに移し、そこに0.1 Mイミダゾール540μlを加えた(すなわち、3MイミダゾールをPBSで0.1 Mに希釈)。別のチューブ中で、1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(ECD) 5 mgをCpG DNA(ODN)と混合し、直ちに抗体イミダゾールまたはペプチドイミダゾール溶液と混合した(Ab:ODNモル比 = 1:30.6)。
【0106】
内容物が溶解するまでチューブをボルテックスし、溶液を短時間遠心分離した。遠心分離後に0.1 Mイミダゾール250μlをさらに加え、得られた溶液を50℃で2時間インキュベートした。
【0107】
未反応のEDC、その副産物、およびイミダゾールを、CENTRICON(登録商標)濾過(Millipore Corporation、マサチューセッツ州、ビルリカ)により除去した。次に、試料をSDS-PAGEゲルおよび質量分析でアッセイして、ヌクレオチドの抗体および/またはペプチドへの複合化を判定した。タンパク質アッセイを行い、抗体またはペプチド濃度を定量した。
【0108】
SDS-PAGE/免疫ブロッティングから、DNA複合化モノクローナル抗体が実際に作製されたことが実証された(図4)。
【0109】
実施例2:CpG DNA複合化抗EGFR抗体によるEGFR活性の阻害
HT-29結腸癌細胞を、抗EGFR抗体またはCpG複合化抗EGFR抗体(抗EGFR Ab-CpG)の存在下で0.5%ウシ胎仔血清中で培養し、次いでEGF(5 ng/ml)により37℃で20分間刺激した。次に1 mMオルトバナジウム酸ナトリウムを含む氷冷PBSで細胞を洗浄し、細胞溶解液を、ホスホ特異的EGFR(チロシン1068)を検出する抗体(Cell Signaling)を使用するウェスタンブロット解析に供した。抗EGFR抗体またはCpG DNA複合化抗体によるHT-29細胞の処理により、EGFRのEGF刺激リン酸化が阻害された(図5)。
【0110】
実施例3:CpG DNA複合化抗EGFR抗体によるナチュラルキラー細胞の活性化
正常末梢血単核細胞(PBMC)(ジョンズ・ホプキンス白血球除去室(Johns Hopkins leucopheresis Unit))を、EGFR Ab-CpG DNAもしくはEGFR Ab-対照DNA複合化抗体(4μg/ml)で3日間処理するか、または未処理のまま置いた。細胞を抗CD56フィコエリトリン(CD56 PE)および抗CD8 FITC(CD8 FITC)で標識し、次にフローサイトメトリーにより解析した。PBMCは、EGFR Ab-CpG複合体による刺激後にCD56+細胞数の増加を示したが、EGFR Ab対照DNA複合体による処理後にはこのような増加を示さなかった(図6)。
【0111】
実施例4:CpG DNA複合化抗EGFR抗体による樹状細胞の成熟
骨髄単核細胞からヒト単球を単離し、AIM5培地(10%ヒトAB血清を添加)および以下のいずれかの中で6日間培養した:(1) 以下のサイトカインの組み合わせ:RANKL 1μg/ml + TNF-α20 ng/ml + GM-CSF 800 U/ml + IL-4 500 U/ml;(20 CpGオリゴヌクレオチド(CpG A ODN)(5μg/ml)(サイトカインなし);(3) CpG ODN複合化抗EGFR抗体(EGFR Ab-CpG ODN)(5μg/ml) (サイトカインなし)。7日目に細胞を回収し、MHCクラスI PE、MHCクラスII FITC、およびCD86-PEに対する抗体で染色した。成熟マーカーCD86の細胞表面発現増加のフローサイトメトリー解析により、樹状細胞(DC)の成熟を評価した。CpG DNA複合化抗EGFR抗体によりCD86発現(すなわち、DCの成熟)が誘導され、これはサイトカインの混合物に対する応答で認められるものと類似していた(図7)。
【0112】
実施例5:EGFR発現腫瘍細胞に及ぼすCpG DNA複合化抗EGFR抗体の効果
HT-29結腸癌細胞を3H-チミジン(2.5μCi/ml)で標識し、トリプシン処理し、PBSで洗浄し、EGFR-Ab、EGFR Ab-CpG DNA、またはEGFR Ab-DNA対照(4μg/ml)で処理し、96ウェルプレート中(5 x 103個細胞/ウェル)で三つ組にて、PBMC(EGFR Ab-CpG DNAもしくはEGFR Ab-DNA対照複合化抗体で前処理したもの、または未処理のもの)と共に様々なE:T比で37℃で4時間同時培養した。細胞を濾紙上に回収し、特異的3H-チミジン放出率によって細胞死/生存を定量した。EGFR-Ab(未処理PBMCの存在下)またはEGFR Ab-DNA対照(EGFR Ab-DNA対照処理PBMCの存在下)による処理とは対照的に、EGFR Ab-CpG DNA(EGFR Ab-CpG DNA刺激PBMCの存在下)によるHT-29細胞の処理によって、HT-29の迅速な死滅が起こった(図8)。
【0113】
HT-29細胞を、(1) EGFR-Ab(4μg/ml)(非刺激PBMCと共に);(2) EGFR-Ab-CpG DNA(4μg/ml)(EGFR Ab-CpG DNAで48時間前処理したPBMCと共に);または(3) CpG DNAで48時間前処理したPBMC(PBMC:腫瘍細胞比 = 25)と共に培養した。EGFR-Ab(非刺激PBMCの存在下)またはCpG DNA刺激PBMC(EGFR Abの非存在下)によるHT-29細胞の処理とは対照的に、EGFR Ab-CpG DNA(EGFR Ab-CpG DNA刺激PBMCの存在下)によるHT-29細胞の培養により、72時間にわたるHT-29細胞の排除が起こった(図9)。
【0114】
実施例6:ヒト末梢血単核細胞(PBMC)によるサイトカインインターフェロンγ(IFN-γ)およびApo2L/TRAILの発現を誘導するCpG DNA複合化抗体[CpG DNA複合化抗EGFR抗体またはCpG DNA複合化抗HER2抗体]
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を抗ヒトEGFR抗体(抗EGFR Ab) 5μg/ml、抗ヒトHER2抗体(抗HER2 Ab) 5μg/ml、CpG A ODN(CpG DNA) 5μg/ml、ヌクレオチド複合化抗体[抗EGFR抗体-CpG DNA(抗EGFR Ab-CPG DNA)または抗HER2抗体-CpG DNA(抗HER2 Ab-CPG DNA) 5μg/ml]で処理した。PBMCの上清中のサイトカイン(IFN-γまたはApo2L/TRAIL)のレベルを、ELISAにより24時間後に評価した(pg/ml)。CpG DNAまたはCpG DNA複合化抗体によるPBMCの処理により、細胞上清中の可溶性IFN-γまたはApo2L/TRAILの発現が増加した(図10)。
【0115】
実施例7:任意の公知のクラスの抗癌剤に対する応答では認められない新規な形態の標的化細胞死である過融合を誘導するDNA複合化抗体
EGFR発現ヒト結腸癌細胞(HT-29)細胞を、抗EGFR抗体(抗EGFR Ab)またはCpG DNA複合化抗EGFR抗体(抗EGFR Ab-CpG)(5μg/ml)の存在下でプレーティングした(5 x 104個細胞/ml)。位相差経時的顕微鏡観察により、96時間にわたり細胞を追跡した。非複合化抗EGFR抗体で処理した細胞と比較して、CpG DNA複合化抗EGFR抗体による処理では、HT-29細胞の融合が誘導され、寿命が短く複製能力が損なわれた合体(ハイブリッドまたは多核)細胞が形成された(過融合)。
【0116】
EGFR発現ヒト乳癌細胞(MCF-7またはMDA-MB-468)を、抗EGFR抗体(抗EGFR Ab)(2〜8μg/ml)またはCpG DNA複合化抗EGFR抗体(抗EGFR Ab-CpG)(2〜4μg/ml)の存在下でプレーティングした(5 x 104個細胞/ml)。親(非複合化)抗EGFR抗体で処理した細胞と比較して、CpG DNA複合化抗EGFR抗体による処理では、乳癌細胞の過融合が誘導され、寿命および複製能力が長くもたない合体細胞体が形成された。
【0117】
HER2/neu発現ヒト乳癌細胞(SKBrまたはMCF-7)を、抗ヒトHER2/neu抗体(抗HER2/neu Ab)またはCpG DNA複合化抗HER2/neu抗体(抗HER2/neu Ab-CpG A DNAまたは抗HER2/neu Ab-CpG C DNA)(5μg/ml)の存在下でプレーティングした(5 x 104個細胞/ml)。位相差顕微観察により、細胞生存/増殖を評価した。CpG DNA複合化抗HER2/neu抗体による処理によって乳癌細胞の過融合が誘導され、寿命および複製能力が長くもたない合体細胞体が形成されたが、これは親抗HER2/neu抗体により処理した細胞では認められなかった。
【0118】
マウスneu発現乳癌細胞(NT2細胞)を、抗neu抗体(抗neu Ab)またはCpG DNA複合化抗neu抗体(抗neu Ab-CpG A DNA)(5μg/ml)の存在下でプレーティングした(5 x 104個細胞/ml)。位相差顕微鏡観察およびトリパンブルー色素排除アッセイ法により、細胞生存/増殖を評価した。CpG DNA複合化抗neu抗体による処理により、マウスneu発現乳癌細胞(NT2)の過融合が誘導され、寿命および複製能力が低下した合体細胞体が形成された。この場合も同様に、そのような過融合および明白な細胞死は、非複合化抗体によって誘導されなかった。
【0119】
実施例8:HER2/neuトランスジェニックマウスにおいて自然発生腫瘍の増殖を阻害するCpG複合化抗neu抗体
自然発生乳癌を有するHER2/neu(neu/N)トランスジェニックマウスに、CpG DNA複合化抗neu抗体を投与するか(100μg、腹腔内、週に2回を2週間、または50μg、腫瘍内、週に2回を2週間)、または未処置のまま置いた。腫瘍の大きさおよび体積の解析から、CpG DNA複合化抗neu抗体の投与後に、腫瘍増殖の顕著な阻害および腫瘍体積の減少が実証された。(図11Aおよび11B)。
【0120】
実施例9:ヌードマウスにおいてヒトEGFR+結腸癌異種移植片の増殖を阻害するCpG DNA複合化抗EGFR抗体
BALB/cヌードマウスに、HT-29ヒト結腸癌細胞(4 x 106個)を皮下注射した。腫瘍接種の5日後に、マウスに、抗EGFR抗体もしくはCpG DNA複合化抗EGFR抗体を投与するか(20μg、腫瘍周囲、週に2回を3週間)、または未処置のまま置いた。腫瘍の大きさおよび体積の解析から、CpG DNA複合化抗EGFR抗体の投与後に、腫瘍増殖の顕著な阻害が実証された(図12)。CpG DNA複合化抗EGFR抗体による処置に応答した腫瘍増殖の阻害は、非複合化親抗EGFR抗体の阻害よりも有意に大きかった。
【0121】
本発明を上記の実施例を参照して説明したが、修正および変更が本発明の精神および範囲の範囲内に包含されることが理解されよう。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】ヌクレオチド(DNA/RNA)複合化抗体を示す。
【図2】ヌクレオチド(DNA/RNA)複合化腫瘍標的化ペプチドを示す。
【図3】DNA-抗体の作用機序を示す。
【図4】CpG DNA複合化抗EGFR抗体および抗HER2抗体を示す免疫ブロットを示す。
【図5】抗EGFR抗体(EGFR Ab)またはCpG DNA複合化抗EGFR抗体(EGFR Ab-CpG A/C)によるEGFRリン酸化(Tyr 1068)の阻害を実証する免疫ブロットである。
【図6】EGFR抗体-CpG DNA複合体(EGFR Ab-CpG A)による処理後にCD56+ PBMCは増殖するが、対照DNAに複合化されたEGFR抗体(対照)では増殖しないというフローサイトメトリー解析の結果である。
【図7】CpG DNA複合化抗EGFR抗体による樹状細胞の成熟を実証するFACS解析の結果である。
【図8】PBMC/腫瘍細胞比に応じた、CpG DNA複合化抗EGFR抗体によるHT-29腫瘍細胞死の誘導を実証するグラフである。
【図9】時間に応じた、CpG DNA複合化抗EGFR抗体によるHT-29腫瘍細胞死の誘導を実証するグラフである。
【図10】PBMCにおけるインターフェロンγ(IFN-γ)およびApo2L/TRAILの発現に及ぼすCpG DNA複合化抗体の効果を実証する棒グラフを示す。A)は、抗EGFR抗体(抗EGFR Ab) 5μg/ml、抗ヒトHER2抗体(抗HER2 Ab) 5μg/ml、CpG A ODN(CpG DNA) 5μg/ml、抗EGFR AB-CpG DNA 5μg/ml、抗HER2 Ab-CpG DNA 5μg/mlで処理するか、または未処理のまま(対照)のPBMCの上清における、ELISAによるIFN-γ(pg/ml)の定量を示す。B)は、抗EGFR抗体(抗EGFR Ab) 5μg/ml、抗ヒトHER2抗体(抗HER2 Ab) 5μg/ml、CpG A ODN(CpG DNA) 5μg/ml、抗EGFR AB-CpG DNA 5μg/ml、抗HER2 Ab-CpG DNA 5μg/mlで処理するか、または未処理のまま(対照)のPBMCの上清における、ELISAによるApo2L/TRAIL(pg/ml)の定量を示す。
【図11】図11Aおよび11Bは、(neu-N)トランスジェニックマウスに対するCpG DNA複合化抗neu抗体の腫瘍内または全身投与に応答した腫瘍増殖の阻害および腫瘍体積の減少を示すグラフである。(A) 未処置対照。(B) CpG DNA複合化抗体処置細胞。
【図12】CpG DNA複合化抗EGFR抗体の投与後のEGFR+ HT-29腫瘍増殖の阻害を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i) a) 腫瘍細胞;
b) 腫瘍血管系;および/または
c) 腫瘍微小環境の成分
の細胞成分に特異的に結合する、抗体またはペプチド;ならびに
ii) 免疫刺激核酸配列(INAS)の1つまたは複数が病原体関連分子パターン(PAMP)を含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列
を含む、単離された抗体-核酸複合体またはペプチド-核酸複合体。
【請求項2】
抗体が、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体からなる群より選択される、請求項1記載の複合体。
【請求項3】
細胞成分が腫瘍関連抗原または細胞表面分子である、請求項1記載の複合体。
【請求項4】
細胞成分が、増殖因子受容体、共刺激分子、ホルモン受容体、サイトカイン受容体からなる群より選択される、請求項1記載の複合体。
【請求項5】
細胞成分が、上皮増殖因子受容体(EGFR、ErbB-1、HER1)、ErbB-2(HER2/neu)、ErbB-3/HER3、ErbB-4/HER4、EGFRリガンドファミリー;インスリン様増殖因子受容体(IGFR)ファミリー、IGF結合タンパク質(IGFBP)、IGFRリガンドファミリー;血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)ファミリー、PDGFRリガンドファミリー;線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)ファミリー、FGFRリガンドファミリー、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)ファミリー、VEGFファミリー;HGF受容体ファミリー;TRK受容体ファミリー;エフリン(EPH)受容体ファミリー;AXL受容体ファミリー;白血球チロシンキナーゼ(LTK)受容体ファミリー;TIE受容体ファミリー、アンジオポエチン1、2;受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体(ROR)受容体ファミリー;ジスコイジンドメイン受容体(DDR)ファミリー;RET受容体ファミリー;KLG受容体ファミリー;RYK受容体ファミリー;MuSK受容体ファミリー;トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)受容体、TGF-β;サイトカイン受容体、クラスI(ヘマトポエチンファミリー)およびクラスII(インターフェロン/IL-10ファミリー)受容体、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリー(TNFRSF)、デスレセプターファミリー;癌-精巣(CT)抗原、系統特異的抗原、分化抗原、α-アクチニン-4、ARTCl、切断点クラスター領域-Abelson(Bcr-abl)融合産物、B-RAF、カスパーゼ-5(CASP-5)、カスパーゼ-8(CASP-8)、β-カテニン(CTNNB1)、細胞分裂周期27(CDC27)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、CDKN2A、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD-2、伸長因子2(ELF2)、Ets変種遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS(ETC6-AML1)融合タンパク質、フィブロネクチン(FN)、GPNMB、低密度脂質受容体/GDP-Lフコース:β-Dガラクトース2-α-Lフコシルトランスフェラーゼ(LDLR/FUT)融合タンパク質、HLA-A2、HLA-A2遺伝子中のα2ドメインのαヘリックスの残基170におけるアルギニンからイソロイシンへの交換(HLA-A*201-R170I)、HLA-A11、熱ショックタンパク質70-2変異(HSP70-2M)、KIAA0205、MART2、黒色腫偏在性変異1、2、3(MUM-1、2、3)、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、neo-PAP、ミオシンクラスI、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、K-ras(KRAS2)、N-ras(NRAS)、HRAS、RBAF600、SIRT2、SNRPD1、SYT-SSX1または-SSX2融合タンパク質、トリオースリン酸イソメラーゼ、BAGE、BAGE-1、BAGE-2、3、4、5、GAGE-1、2、3、4、5、6、7、8、GnT-V(異常なN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV、MGAT5)、HERV-K-MEL、KK-LC、KM-HN-1、LAGE、LAGE-1、黒色腫上のCTL認識抗原(CAMEL)、MAGE-A1(MAGE-1)、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-3、MAGE-B1、MAGE-B2、MAGE-B5、MAGE-B6、MAGE-C1、MAGE-C2、ムチン1(MUC1)、MART-1/Melan-A(MLANA)、gp100、gp100/Pmel17(SILV)、チロシナーゼ(TYR)、TRP-1、HAGE、NA-88、NY-ESO-1、NY-ESO-1/LAGE-2、SAGE、Sp17、SSX-1、2、3、4、TRP2-INT2、癌胎児性抗原(CEA)、カリクレイン4、マンマグロビン-A、OA1、前立腺特異抗原(PSA)、TRP-1/gp75、TRP-2、アディポフィリン、黒色腫に存在しないインターフェロン誘導性タンパク質2(AIM-2)、BING-4、CPSF、サイクリンD1、上皮細胞接着分子(Ep-CAM)、EphA3、線維芽細胞増殖因子-5(FGF-5)、糖タンパク質250(gp250)、EGFR(ERBB1)、HER-2/neu(ERBB2)、インターロイキン13受容体α2鎖(IL13Rα2)、IL-6受容体、腸カルボキシルエステラーゼ(iCE)、αフェトプロテイン(AFP)、M-CSF、mdm-2、MUC1、p53(TP53)、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RNF43、RU2AS、SOX10、STEAP1、サバイビン(BIRC5)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、テロメラーゼ、ウィルムス腫瘍遺伝子(WT1)、SYCP1、BRDT、SPANX、XAGE、ADAM2、PAGE-5、LIP1、CTAGE-1、CSAGE、MMA1、CAGE、BORIS、HOM-TES-85、AF15q14、HCA661、LDHC、MORC、SGY-1、SPO11、TPX1、NY-SAR-35、FTHL17、NXF2、TDRD1、TEX15、FATE、TPTE、免疫グロブリンイディオタイプ、ベンス・ジョーンズタンパク質、エストロゲン受容体(ER)、アンドロゲン受容体(AR)、CD40、CD30、CD20、CD19、CD33、癌抗原72-4(CA 72-4)、癌抗原15-3(CA 15-3)、癌抗原27-29(CA 27-29)、癌抗原125(CA 125)、癌抗原19-9(CA 19-9)、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピンン、扁平上皮癌抗原、ニューロン特異的エノラーゼ、熱ショックタンパク質gp96、GM2、サルグラモスチム、CTLA-4、707アラニンプロリン(707-AP)、T細胞によって認識される腺癌抗原4(ART-4)、癌胎児性抗原ペプチド-1(CAP-1)、カルシウム活性化塩素チャネル-2(CLCA2)、シクロフィリンB(Cyp-B)、ヒト印環細胞腫瘍-2(HST-2)、ヒトパピローマウイルス(HPV)タンパク質(HPV-E6、HPV-E7、メジャーまたはマイナーカプシド抗原、その他)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)タンパク質(EBV潜伏感染膜タンパク質‐LMP1、LMP2;その他)、B型またはC型肝炎ウイルスタンパク質、ならびにHIVタンパク質からなる群より選択される、請求項1記載の複合体。
【請求項6】
細胞成分がEGFRまたはHER2/neuである、請求項5記載の複合体。
【請求項7】
ペプチドが、αvβ1インテグリン(CRRETAWAC(SEQ ID NO:5))、αvβ3インテグリン(CDCRGDCFC(SEQ ID NO:6)/RGD-4C;RGDWXE(SEQ ID NO:7))、αvβ5インテグリン(TRGDTF(SEQ ID NO:8))、αvβ6(RGDLxxL(SEQ ID NO:9)またはxxDLxxL(SEQ ID NO:10))、αIIβ3(SRGDM(SEQ ID NO:11))、αvβ5模倣アネキシンV(VVISYSMPD(SEQ ID NO:12))、E-セレクチン(IELLQAR(SEQ ID NO:13))、内皮細胞ミトコンドリア(CNGRC-GG-(KLAKLAK)2(SEQ ID NO:14))、エフリン-A2およびエフリン-A4(CVSNPRWKC(SEQ ID NO:15)、CHVLWSTRC(SEQ ID NO:16))、フィブロネクチン(CWDDGWLC(SEQ ID NO:17))、ICAM-Iまたはフォンウィルブランド因子(CPCFLLGCC(SEQ ID NO:18)/LLG-4C)、ラミン-1(DFKLFAVY(SEQ ID NO:19))、P-セレクチン(EWVDV(SEQ ID NO:20))、MMP-9:インテグリン複合体(D/E)(D/E)(G/L)W(SEQ ID NO:21)、MMP-9およびMMP-2(ゼラチナーゼ)(CTTHWGFTLC(SEQ ID NO:22))、内皮上のI型カドヘリン(N-Ac-CHAVC-NH2)、VEGFのFlt-1領域 NxxEIExYxxWxxxxxY(SEQ ID NO:23)、VEGFのKDR領域(HTMYYHHYQHHL(SEQ ID NO:24)、ATWLPPR(SEQ ID NO:25))、VEGF受容体(WHSDMEWWYLLG(SEQ ID NO:26)、RRKRRR(SEQ ID NO:27)、アミノペプチダーゼN/CD13(NGR)、NG2プロテオグリカン(TAASGVRSMH(SEQ ID NO:28)、LTLRWVGLMS(SEQ ID NO:29))、副腎由来ペプチド(LMLPRAD(SEQ ID NO:30))、脂肪組織由来ペプチド(CKGGRAKDC SEQ ID NO:31))、脳由来ペプチド(SR1)、脳内皮由来ペプチド(CLSSRLDAC(SEQ ID NO:32))、神経膠腫細胞由来ペプチド(VGLPEHTQ(SEQ ID NO:33))、神経芽細胞腫由来ペプチド(VPWMEPAYQRFL(SEQ ID NO:34))、骨髄由来ペプチド(GGG、GFS、LWS)、乳癌(HER2/neu)由来ペプチド(LTVxPWx(SEQ ID NO:35)、LTVxPWY(SEQ ID NO:36)、HER2 Ab/トラスツズマブミモトープ‐LLGPYELWELSH(SEQ ID NO:37))、結腸由来ペプチド(RPMC(SEQ ID NO:38))、腸由来ペプチド(YSGKWGW(SEQ ID NO:39))、頭頚部扁平上皮癌由来ペプチド(TSPLNIHNGQKL(SEQ ID NO:40))、肺血管系由来ペプチド(CGFELETC(SEQ ID NO:41))、冠動脈内皮由来ペプチド(NSVRDL(G/S)(SEQ ID NO:42)、NSVSSx(S/A)(SEQ ID NO:43))、リンパ管由来ペプチド(CGNKRTRGC(SEQ ID NO:44)/Lyp-1)、多臓器由来ペプチド(GVL、EGRx(SEQ ID NO:45)、xFG(G/V)(SEQ ID NO:46))、膵島由来ペプチド(CVSSNPRWKC(SEQ ID NO:47)、CHVLWSTRC(SEQ ID NO:48))、膵臓由来ペプチド(SWCEPGWCR(SEQ ID NO:49))、前立腺由来ペプチド(AGG、DPRATPGS(SEQ ID NO:50)、SMSIARL(SEQ ID NO:51)、CGRRAGGSC(SEQ ID NO:52)、GVL)、網膜由来ペプチド(RDV、CSCFRDVCC(SEQ ID NO:53))、催奇形物質リガンド由来ペプチド(TPKTSVT(SEQ ID NO:54))、ならびに子宮由来ペプチド(GLSGGRS(SEQ ID NO:55))からなる群より選択される、請求項3記載の複合体。
【請求項8】
INASがコード核酸または非コード核酸を含む、請求項1記載の複合体。
【請求項9】
非コード配列が、二本鎖DNA、一本鎖DNA、CpG DNA(CpG)、単純ヘルペスウイルス(HSV)DNA、二本鎖RNA(dsRNA)、CpG DNA(CpG)、および一本鎖RNA(ssRNA)からなる群より選択される、請求項8記載の複合体。
【請求項10】
非コード配列がCpGである、請求項9記載の複合体。
【請求項11】
CpGがSEQ ID NO:1を含む、請求項10記載の複合体。
【請求項12】
i) EGFRまたはHER2/neuに特異的に結合する抗体;および
ii) 免疫刺激核酸配列の1つまたは複数がSEQ ID NO:1に記載のCpG DNA配列を含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列
を含む、請求項1記載の複合体。
【請求項13】
i) RGDモチーフまたはCDGRCモチーフを含むペプチド;および
ii) 免疫刺激核酸配列の1つまたは複数がSEQ ID NO:1に記載のCpG DNA配列を含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列
を含む、請求項1記載の複合体。
【請求項14】
抗体-核酸複合体またはペプチド-核酸複合体を含む組成物を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、腫瘍性疾患を治療する方法であって、該複合体が、
i) a) 腫瘍細胞、
b) 腫瘍血管系、および/または
c) 腫瘍微小環境の成分
の細胞成分に特異的に結合する、抗体またはペプチド;ならびに
ii) 免疫刺激核酸配列の1つまたは複数が病原体関連分子パターン(PAMP)を含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列
を含む、方法。
【請求項15】
複合体を全身に、腫瘍内に、または腫瘍周囲に投与する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
i) 対象から免疫細胞を除去する段階;
ii) 段階(i)の細胞をエクスビボで複合体と接触させる段階;および
iii) 段階(ii)の細胞を対象に再導入する段階
をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
電離放射線、ホルモン療法、サイトカイン、免疫療法、細胞療法、ワクチン、モノクローナル抗体、抗血管新生薬、および小分子化学療法薬からなる群より選択される抗癌療法を施す段階をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
核酸配列の1つまたは複数が、遺伝子発現をサイレンシングするか、または細胞内死シグナル伝達を誘導する、請求項14記載の方法。
【請求項19】
核酸配列の1つまたは複数が、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、またはマイクロRNAである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの核酸配列がペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする、請求項18記載の方法。
【請求項21】
細胞成分が、上皮増殖因子受容体(EGFR)、HER2/neu、インスリン様増殖因子受容体ファミリー、血小板由来増殖因子受容体、インターロイキン-6受容体、血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGF受容体、CD40、CD28、エストロゲン受容体、サイトカイン受容体、CD20、CD19、CD33、MART-1/Melan-A、gp100、チロシナーゼ、TRP-1、MAGE-1、MAGE-3、MAGE-B1、MAGE-B2、BAGE、BAGE-1、GAGE-2、HAGE、LAGE、黒色腫偏在性変異1、2、3(MUM-1、2、3)、β-カテニン、癌胎児性抗原(CEA)、HPV-E6、HPV-E7、ムチン1、前立腺特異抗原(PSA)、エプスタイン・バーウイルス、αフェトプロテイン(AFP)、癌抗原72-4(CA 72-4)、癌抗原15-3(CA 15-3)、癌抗原27-29(CA 27-29)、癌抗原125(CA 125)、癌抗原19-9(CA 19-9)、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピンン、扁平上皮癌抗原、ベンス・ジョーンズタンパク質、ニューロン特異的エノラーゼ、熱ショックタンパク質gp96、熱ショックタンパク質70-2変異(HSP70-2M)、GM2、サルグラモスチム、CTLA-4、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、NY-ESO-1、707アラニンプロリン(707-AP)、黒色腫に存在しないインターフェロン誘導性タンパク質2(AIM-2)、T細胞によって認識される腺癌抗原4(ART-4)、切断点クラスター領域-Abelson(Bcr-abl)、黒色腫上のCTL認識抗原(CAMEL)、癌胎児性抗原ペプチド-1(CAP-1)、カスパーゼ-8(CASP-8)、細胞分裂周期27(CDC27)、サイクリン依存性キナーゼ(CDK4)、カルシウム活性化塩素チャネル-2(CLCA2)、癌-精巣抗原(CT)、シクロフィリンB(Cyp-B)、伸長因子2(ELF2)、上皮細胞接着分子(Ep-CAM)、エフリンA型受容体2、3(EphA2、3)、Ets変種遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS(ETC6-AML1)、線維芽細胞増殖因子5(FGF-5)、フィブロネクチン(FN)、糖タンパク質250(gp250)、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(GnT-V)、HLA-A2遺伝子中のα2ドメインのαヘリックスの残基170におけるアルギニンからイソロイシンへの交換(HLA-A*201-R170I)、ヒト印環細胞腫瘍-2(HST-2)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、腸カルボキシルエステラーゼ(iCE)、インターロイキン13受容体α2鎖(IL-13Rα2)、KIAA0205、低密度脂質受容体/GDP-Lフコース:β-Dガラクトース2-α-Lフコシルトランスフェラーゼ(LDLR/FUT)、およびウィルムス腫瘍遺伝子(WT1)からなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項22】
複合体が、
EGFRまたはHER2/neuに特異的に結合する抗体、および
免疫刺激核酸配列の1つまたは複数がSEQ ID NO:1に記載のCpG DNA配列を含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列
を含む、請求項14記載の方法。
【請求項23】
ペプチドが、αvβ1インテグリン(CRRETAWAC(SEQ ID NO:5))、αvβ3インテグリン(CDCRGDCFC(SEQ ID NO:6)/RGD-4C;RGDWXE(SEQ ID NO:7))、αvβ5インテグリン(TRGDTF(SEQ ID NO:8))、αvβ6(RGDLxxL(SEQ ID NO:9)またはxxDLxxL(SEQ ID NO:10))、αIIβ3(SRGDM(SEQ ID NO:11))、αvβ5模倣アネキシンV(VVISYSMPD(SEQ ID NO:12))、E-セレクチン(IELLQAR(SEQ ID NO:13))、内皮細胞ミトコンドリア(CNGRC-GG-(KLAKLAK)2(SEQ ID NO:14))、エフリン-A2およびエフリン-A4(CVSNPRWKC(SEQ ID NO:15)、CHVLWSTRC(SEQ ID NO:16))、フィブロネクチン(CWDDGWLC(SEQ ID NO:17))、ICAM-Iまたはフォンウィルブランド因子(CPCFLLGCC(SEQ ID NO:18)/LLG-4C)、ラミン-1(DFKLFAVY(SEQ ID NO:19))、P-セレクチン(EWVDV(SEQ ID NO:20))、MMP-9:インテグリン複合体(D/E)(D/E)(G/L)W(SEQ ID NO:21)、MMP-9およびMMP-2(ゼラチナーゼ)(CTTHWGFTLC(SEQ ID NO:22))、内皮上のI型カドヘリン(N-Ac-CHAVC-NH2)、VEGFのFlt-1領域 NxxEIExYxxWxxxxxY(SEQ ID NO:23)、VEGFのKDR領域(HTMYYHHYQHHL(SEQ ID NO:24)、ATWLPPR(SEQ ID NO:25))、VEGF受容体(WHSDMEWWYLLG(SEQ ID NO:26)、RRKRRR(SEQ ID NO:27)、アミノペプチダーゼN/CD13(NGR)、NG2プロテオグリカン(TAASGVRSMH(SEQ ID NO:28)、LTLRWVGLMS(SEQ ID NO:29))、副腎由来ペプチド(LMLPRAD(SEQ ID NO:30))、脂肪組織由来ペプチド(CKGGRAKDC SEQ ID NO:31))、脳由来ペプチド(SR1)、脳内皮由来ペプチド(CLSSRLDAC(SEQ ID NO:32))、神経膠腫細胞由来ペプチド(VGLPEHTQ(SEQ ID NO:33))、神経芽細胞腫由来ペプチド(VPWMEPAYQRFL(SEQ ID NO:34))、骨髄由来ペプチド(GGG、GFS、LWS)、乳癌(HER2/neu)由来ペプチド(LTVxPWx(SEQ ID NO:35)、LTVxPWY(SEQ ID NO:36)、HER2 Ab/トラスツズマブミモトープ‐LLGPYELWELSH(SEQ ID NO:37))、結腸由来ペプチド(RPMC(SEQ ID NO:38))、腸由来ペプチド(YSGKWGW(SEQ ID NO:39))、頭頚部扁平上皮癌由来ペプチド(TSPLNIHNGQKL(SEQ ID NO:40))、肺血管系由来ペプチド(CGFELETC(SEQ ID NO:41))、冠動脈内皮由来ペプチド(NSVRDL(G/S)(SEQ ID NO:42)、NSVSSx(S/A)(SEQ ID NO:43))、リンパ管由来ペプチド(CGNKRTRGC(SEQ ID NO:44)/Lyp-1)、多臓器由来ペプチド(GVL、EGRx(SEQ ID NO:45)、xFG(G/V)(SEQ ID NO:46))、膵島由来ペプチド(CVSSNPRWKC(SEQ ID NO:47)、CHVLWSTRC(SEQ ID NO:48))、膵臓由来ペプチド(SWCEPGWCR(SEQ ID NO:49))、前立腺由来ペプチド(AGG、DPRATPGS(SEQ ID NO:50)、SMSIARL(SEQ ID NO:51)、CGRRAGGSC(SEQ ID NO:52)、GVL)、網膜由来ペプチド(RDV、CSCFRDVCC(SEQ ID NO:53))、催奇形物質リガンド由来ペプチド(TPKTSVT(SEQ ID NO:54))、ならびに子宮由来ペプチド(GLSGGRS(SEQ ID NO:55))からなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項24】
複合体が、
RGDモチーフまたはCDGRCモチーフを含むペプチド、および
免疫刺激核酸配列の1つまたは複数がSEQ ID NO:1に記載のCpG DNA配列を含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列
を含む、請求項14記載の方法。
【請求項25】
腫瘍性疾患が癌である、請求項14記載の方法。
【請求項26】
癌が、頭頚部癌、気道消化器癌、胃腸癌、食道癌、胃癌、膵癌、肝胆道癌/肝癌、結腸直腸癌、肛門癌、小腸癌、泌尿生殖器癌、泌尿器癌、腎癌、尿管癌、精巣癌、尿道癌/陰茎癌、婦人科癌、卵巣癌/卵管癌、腹膜癌、子宮癌/子宮内膜癌、子宮頸癌/膣癌/外陰癌、妊娠性絨毛性疾患、前立腺癌、骨癌、肉腫(軟組織/骨)、肺癌、中皮腫、縦隔癌、乳癌、中枢神経系癌、脳腫瘍、黒色腫、白血病、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキンリンパ腫)、形質細胞腫瘍、骨髄腫、骨髄異形成症候群、内分泌癌、皮膚癌、黒色腫、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎、膵内分泌癌、カルチノイド、多発性内分泌腫瘍症、エイズ関連悪性腫瘍、原発部位不明の癌、および種々の小児癌からなる群より選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
対象がヒトである、請求項14記載の方法。
【請求項28】
細胞死、細胞成熟、および/またはNKG2Dリガンド依存的シグナル伝達を誘導する核酸複合体を同定する方法であって、
i) 腫瘍細胞、腫瘍血管系、および/もしくは腫瘍微小環境の成分の細胞成分に特異的に結合する抗体、またはRGDモチーフもしくはCDGRCモチーフを含むインテグリン由来ペプチドを含む、試験核酸複合体と、1つまたは複数の細胞とをインビトロで接触させる段階であって、該抗体または該ペプチドが、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列を含む核酸と複合化されており、かつ該核酸配列の1つまたは複数が病原体関連分子パターン(PAMP)を含む、段階;ならびに
ii) 免疫細胞の存在下または非存在下で、段階(i)の1つまたは複数の細胞におけるマーカーの誘導または表現型の変化を判定する段階
を含み、段階(i)の1つまたは複数の細胞における試験核酸複合体の存在下での誘導または変化の判定によって、細胞死シグナル伝達、細胞成熟、および/またはNKG2Dリガンド依存的シグナル伝達が示される、方法。
【請求項29】
段階(i)の細胞が腫瘍細胞であり、免疫細胞の非存在下で、接触により細胞の融合が起こる場合に、試験核酸複合体が細胞死シグナル伝達の誘導と関連している、請求項28記載の方法。
【請求項30】
段階(i)の細胞が免疫細胞および腫瘍細胞の混合物を含み、接触により腫瘍細胞の溶解が起こる場合に、試験核酸複合体が細胞成熟および/またはNKG2Dリガンド依存的シグナル伝達の誘導と関連している、請求項28記載の方法。
【請求項31】
段階(i)の細胞がPBMC細胞または樹状細胞(DC)であり、接触により、CD86、IFN-γ、および/またはApo2L/TRAILからなる群より選択される1つまたは複数のマーカーの発現が起こる場合に、試験核酸複合体が細胞成熟の誘導と関連している、請求項28記載の方法。
【請求項32】
抗体-核酸複合体を含む組成物を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、腫瘍性疾患または感染症を予防または治療する方法であって、該複合体が、
i) 免疫細胞または樹状細胞(DC)の細胞成分に特異的に結合する抗体;
ii) 免疫刺激核酸配列(INAS)の1つまたは複数が病原体関連分子パターン(PAMP)を含む、1つまたは複数の免疫刺激核酸配列;および
iii) 1つまたは複数の腫瘍抗原、または感染性微生物もしくは病原微生物に由来する抗原
を含む、方法。
【請求項33】
i) 対象から免疫細胞を除去する段階;
ii) 段階(i)の細胞をエクスビボで複合体と接触させる段階;および
iii) 段階(ii)の細胞を対象に再導入する段階
をさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
電離放射線、ホルモン療法、サイトカイン、免疫療法、細胞療法、ワクチン、モノクローナル抗体、抗血管新生薬、および小分子化学療法薬からなる群より選択される抗癌療法を施す段階をさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
感染症が、微生物感染、真菌感染、寄生虫感染、およびウイルス感染からなる群より選択される感染によって起こる、請求項32記載の方法。
【請求項36】
対象がヒトである、請求項32記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−525048(P2009−525048A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553342(P2008−553342)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/002705
【国際公開番号】WO2007/089871
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(506321481)ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー (9)
【出願人】(508232035)ボード オブ スーパーバイザーズ オブ ルイジアナ ステイト ユニバーシティ アンド アグリカルチュラル アンド メカニカル カレッジ (1)
【Fターム(参考)】