説明

腰掛作業用台車

【課題】腰を掛けて、モータで車輪を駆動して移動しつつ足を楽にして効率良く手作業を行うことが可能となる腰掛作業用台車を提供する。
【解決手段】車体フレーム2に装着した前車輪軸3及び後車輪軸4と作業台1との間にモータ7及びバッテリー6を配着する。モータ7と後車輪軸4との間に回転伝達機構8を備えるとともに回転を伝達する駆動軸34にクラッチ9を装着する。車体フレーム2の前側の中央部位にステー11を突設して先端部にロッド枢支部10を設けて前方へ突出した足台支持ロッド12を上下擺動可能に枢支する。足台支持ロッド12のロッド枢支部寄り部位に足台支持ロッド12を下げたときに突き当たって水平方向で停止するストッパ13を設ける。足台支持ロッド12の先端部寄り部位に足台支持ロッド12の両側方へ突出した足台14を設け足台支持ロッド12の足台14近傍部位にモータ制御用のペダル15を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は台上に腰を掛けて移動しつつ手作業を行う台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畝間を移動しつつ腰を掛けて作業を行う農業用の作業用台車に関して、下記特許文献1の「園芸用電動作業車」が提案されている。この作業車ではモータの駆動によって移動しつつ作業台に腰を掛けたままで園芸作業を行うことができ、また作業台を二段にすることができるので下段に足を乗せて上段に腰を掛けることができ、さらに上段に乗れば高い位置での作業を行うことができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3136474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の園芸用電動作業車は、下段の低い位置に腰掛けて移動する際には脚の置き場がなく、作業台に乗って地面から足を上げたままの状態となるので、移動中の作業が困難であるばかりではなく疲労も極めて大きくなる。
また、発進・停止を行うモータの操作は、高い位置にあるハンドルに取り付けたスイッチまで手を伸ばして行わなければならないため、手作業は中断を余儀なくされ、その分作業能率の低下を来たすという難点があった。
【0005】
そこで本発明は、腰を掛けてモータの力で車輪を駆動して移動しつつ、足台に足を載せて楽な状態で効率良く低い位置での手作業を行うことを可能とし、さらに荷物運搬用にも兼用可能となるコンパクトな作業用台車を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の腰掛作業用台車は以下の如き構成とした。
即ち、請求項1に係る発明は、車体フレームに、両端にタイヤを備えた前車輪軸及び後車輪軸を平行に装着し、該車体フレームの上部に縦フレームを設けて該縦フレームに、前記各タイヤの上部を覆う程度の広さとした水平な作業台を人の膝高程度の高さに固設し、前記前車輪軸及び後車輪軸と作業台との間に、モータ及びバッテリーを配着する。
該モータと前記前車輪軸及び/又は後車輪軸との間に、該モータの回転を伝達可能とする回転伝達機構を備えるとともに回転を伝達する駆動軸にクラッチを装着し、該クラッチの操作を行うクラッチレバーを前記作業台下に設ける。
そして、前記車体フレームの前側の略中央部位に、ロッド枢支部を直接設けるか又はステーを突設して該ステーの先端部に設け、該ロッド枢支部に、前記作業台の前方へ突出した足台支持ロッドを上下擺動可能に枢支し、前記足台支持ロッドのロッド枢支部寄り部位に、該足台支持ロッドを下げたときに突き当たって略水平方向で該足台支持ロッドが停止するストッパを設ける。
さらに、前記足台支持ロッドの先端部又は先端部寄り部位に、前記足台支持ロッドの両側方へ略水平に突出した足台を設け、前記足台支持ロッドの足台近傍部位又は前記足台に、前記モータの制御を行うペダルを設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、上記発明において、前記クラッチが、駆動軸と従動軸に設けられたかみ合いクラッチであり、該クラッチをクラッチレバーの操作で機械的に回転の接続と切断とを可能としたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、上記各発明において、前記車体フレームと足台支持ロッドとの間に、足台支持ロッドをロッド枢支部から略直立した角度で固定可能とする係止部を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、上記各発明において、前記足台支持ロッド又は足台に、両側方へ略水平に突出した棒状の手動ハンドルを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、上記発明において、前記手動ハンドルに、ペダルと連動してモータの制御を行うレバーを装着したことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、上記各発明において、前記手動ハンドルに、クラッチレバーと連動してクラッチの切換え操作を行うクラッチレバーを装着したことを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、上記各発明において、前記車体フレームに、作業台の下部から両側方に、前車輪及び後車輪をよりも外側に突出させたガイド輪支持材を設け、該両支持材に垂直方向に配したガイド輪軸を両側にそれぞれ1つ又は2つ設け、前記各ガイド輪軸にガイド輪を水平にフリー回転可能に装着したことを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、上記各発明において、前記作業台に上下に貫通した縦孔を設けるとともに、該縦孔に下部を着脱可能とした腰当フレームと該腰当フレームに固定した腰当て板とから成る腰当て体を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、上記各発明において、前記作業台の周縁に、手指が入る大きさの把持用開口部を少なくとも1箇所設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の腰掛作業用台車は、作業台を下から支える車体フレームの前部中央に前記作業台の前方へ突出した足台支持ロッドを略水平な下限まで上下擺動可能に枢支して、該足台支持ロッドに両足を載置可能とする足台が設けられているので、作業台上に腰を下ろして該足台に脚を載せ、楽な姿勢で移動しつつ手作業を行うことができる。
また、該足台又は足台近傍にはモータの起動・停止及び速度を操作するペダルを設けたことで、足台に両足を載せて腰を掛けたままで進退、停止及び速度調節を、足を使ってペダル操作で行うことが可能となる。その際に、ペダル操作は足で行われるため、作業を行う手は全く自由となり、手作業を中断することなく能率良く農作業を行うことが可能となる。
【0016】
また、モータの回転を前車輪軸又は後車輪軸に伝達する駆動軸にクラッチを装着したので、該クラッチを切ることで、タイヤの回転がモータの回転負荷からフリーとなって本腰掛作業用台車を軽く押し引きすることが可能となる。
このため地面を足で軽く蹴るなどすることでも容易に押し引きして移動させることが可能となる。そして自らの脚で微妙な作業対象物との位置関係の調整ができるので、体感的に作業をし易い位置に移動して正確な手作業を行うことが可能となる。
さらに、クラッチの切換え操作を行うクラッチレバーを作業台下に設けたので、作業台での各種作業に全く障害とはならず、腰掛作業中に手を伸ばして容易にクラッチレバーの操作を行うことが可能なる。
【0017】
さらに、足を載せる足台が上下擺動可能であるため、ハウス内の畝端の枕地部分での別の畝への折り返し移動の際に、前記足台支持ロッドを上へ折り畳んで、台車全長を短くコンパクトにすることが容易にでき、極めて小さい回転半径で移動することが可能となる。
なお、タイヤを幅広のものを使用すれば、畝間の地面に轍が食い込むことなく、高い水平安定性が得られ、走行移動中でも正確な手作業を行うことが可能となる。
また、作業台から降りて前記足台支持ロッド又は足台を持てば、作業台上に商品や荷物を乗せて、荷物運搬用の台車として使用することが可能となる。
【0018】
請求項2に係る発明は、前記クラッチを、駆動軸と従動軸に設けられたかみ合いクラッチとしたことで、確実にクラッチレバーで機械的に回転の接続と切断の操作を行うことが可能となる。
【0019】
請求項3に係る発明は、前記車体フレームと足台支持ロッドとの間に、足台支持ロッドが枢支部から略直立した角度で固定可能とする係止部を設けたことで、作業台の前側に足台支持ロッドを折り畳んだ状態に固定でき、ハウス内の枕地などでの小回りを、周囲の構造物に足台部分を衝突させることなく安全に行うことが可能となる。
【0020】
請求項4に係る発明は、前記足台支持ロッド又は足台に、両側方へ略水平に突出した棒状の手動ハンドルを設けることで、商品や荷物の運搬用の台車として、前記足台支持ロッドを立てた状態で台車の前に立って手動ハンドルを持ち、作業台上に商品や荷物を乗せて使用することが可能となる。
【0021】
請求項5に係る発明は、前記手動ハンドルに、ペダルと連動してモータの制御を行うレバーを装着したことで、前記足台支持ロッドを立てて台車として使用する際に、立てた足台支持ロッドの前に立って前記手動ハンドルを手で持ったまま、該レバーを操作してモータの起動・停止及び速度調節が行える。このため傾斜地などでの荷物などの運搬作業がモータの制動で楽に行うこが可能となる。
【0022】
請求項6に係る発明は、前記手動ハンドルに、クラッチレバーと連動してクラッチの切換え操作を行うクラッチレバーを装着したことで、前記足台支持ロッドを立てて前記手動ハンドルを手で持って台車として使用する際に、そのまま登り坂道での電動による楽な移動と、平坦地でのクラッチを切って押し引きしてのモータ負荷のない軽い移動とを簡単に切換えて行うことが可能となる。
【0023】
請求項7に係る発明は、耕作地の畝間を進行中に、作業台の下部から突出したガイド輪支持材に水平方向にフリー回転可能に装着されたガイド輪が、畝の側面に当たることで、本発明の腰掛作業用台車を常に進行方向の向きに舵取りをし、前後方向へ除動的にガイドして円滑に移動させることが可能となる。
【0024】
請求項8に係る発明は、前記作業台上面に腰当て体を装着すれば、腰を掛けて座ったとき、腰の位置が確定し、作業中の尻の位置ズレが防止され、安定的な作業を行うことが可能となる。また着脱可能としたことで、作業するときの人の体勢に応じて使用したり、取り外したりすることが容易に行うことが可能となる。
【0025】
請求項9に係る発明は、前記作業台の周縁に手指が入る大きさの把持用開口部を設けたことで、該作業台部分を人が持ち易くなり、このため、畝間を飛ばして移動させるときなど農作業中の扱いが楽になり、作業能率を高めることが可能となる。
また、足台を折り畳めば台車全体をコンパクトにすることができ、且つ使用部品に軽量なのものを用いれば、前記作業台を持って乗用車などのトランクルームに容易に収納作業ができるので使用範囲や用途を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の足台を下げた状態を示す斜視図である。
【図2】図1の足台を上げた状態を示す斜視図である。
【図3】足台を下げた状態を示す側面図である。
【図4】足台を下げた状態を示す平面図である。
【図5】足台を下げた状態を示す底面図である。
【図6】足台を下げた状態を示す背面図である。
【図7】足台を上げた状態を示す側面図である。
【図8】クラッチ及びクラッチレバーの周辺の構造を示す要部の側面図である。
【図9】モータから車輪軸にかけての部品を示す要部の斜視図である。
【図10】モータから車輪軸にかけての部品を示す要部の斜視図である。
【図11】クラッチの要部を示し、(イ)が切った状態を示し、(ロ)が繋いだ状態を示す水平断面図である。
【図12】腰当て体を装着する前の状態を示す斜視図である。
【図13】腰当て体を装着した状態を示す斜視図である。
【図14】腰当て体を装着した状態を示す斜視図である。
【図15】ガイド輪を設けた形態を示す斜視図である。
【図16】ガイド輪を設けた形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態を、図を基に以下説明する。
本発明の腰掛作業用台車は、図1及び図5に示すように、車体フレーム2の前後に、両端にタイヤ5a、5b、5c、5dを備えた前車輪軸3及び後車輪軸4を平行に装着し、該車体フレーム2の上部に設けた縦フレーム2cの上端部に作業台1を人の膝高程度の高さ(図1中に台高をHで示す)に設定して水平に固設する。
前記作業台1に人が腰を掛けるので、前記作業台1の縁部がタイヤより外側に広い場合には、タイヤよりも外側に広がった部分に乗って体重を掛けると、作業台の反対側を跳ね上げて倒れる虞がある。逆にタイヤの上方が開放されている場合には、作業台1に乗った人の衣類等をタイヤに巻き込む虞がある。
このため本発明では、図4、図5及び図6に示すように、前記作業台1は各タイヤ5a、5b、5c、5dの最上部を上から覆う程度の広さとする。
なお、図1中符号20は、他の台車や運搬車などを牽引するための牽引用孔20である。
【0028】
前記車体フレーム2は、図1に示すように、両側部の両側部フレーム2aと、該側部フレーム2aを繋ぐ前部フレーム2bとから成り、前記両側部フレーム2a.2aには縦フレーム2cを間隔を置いて左右に直立させ、該縦フレーム2c、2cの上端部に作業台1を、脚の膝高程度の高さHに設定して水平に固定する。
前記車体フレーム2は台車全体の軽量化のためアルミニウムなど軽い金属を用いると良い。
【0029】
前記各タイヤ5a、5b、5c、5dは、全て同径のゴム製で前記作業台1の高さH以内の径であって前記作業台1の上には突出しないようにする。
前記タイヤ5a、5b、5c、5dの横幅は広くし、且つ径を可及的に大きくすると柔らかな畝間の農地に轍が沈んで食い込むようなことがなく、前記作業台1の水平安定性が確保されてスムーズに移動可能となる。
【0030】
そして、前記車輪軸3、4と作業台1との間にモータ7及びバッテリー6を配着する。
搭載するモータ7の位置は、前記前車輪軸3と後車輪軸4との間に配置して、前記側部フレーム2a、2aに固定し、モータ7の駆動軸を前記後車輪軸4に回転伝達機構8を介して回転が伝達可能に接続する。
該モータ7は、図10に示すように、前記側部フレーム2a、2aに設けたモータ支持枠2eに、モータ固定部33をネジで固定する。なお、モータ支持枠2eの上部にはモータ制御用基盤31を付設し、該モータ7の上部にはモータ7に電気を送るためのハーネス32を取り付ける。
【0031】
また、前記回転伝達機構8と前記モータ7との間にはクラッチ9を配着する。
該クラッチ9の切換え操作を行うクラッチレバー18は、例えば、図8に示すように、中間部に掛止孔23を設けて、前記作業台1下の縦フレーム2cに突設した掛止用突起22に該掛止孔23を掛けて吊り、前記クラッチレバー18の操作で前記掛止用突起22が前記掛止孔23内を移動できるようにすることができる。
この実施例を、図8及び図11により前記クラッチレバー18でクラッチ9を操作する仕組みについて説明すると、前記クラッチレバー18を前へ引ききったとき、そのままクラッチレバー18を下げるとクラッチ9内の断続体押圧スプリング38の力でクラッチレバー18が後方に引かれて戻され、前記掛止孔23の後方寄り上部に形成した返し部分のある吊り掛止孔23aに前記掛止用突起22が掛かって止まる。このとき、クラッチ操作ロッド25は前方に引かれてスライド歯37を後方へスライドさせることでクラッチ9を切った状態(図7に示す状態)となる。
また、前記クラッチレバー18を上に持ち上げつつ引くと、前記掛止用突起22が前記掛止孔23aの返し部分から外れて、前記クラッチレバー18から手を離すとクラッチ9内の断続体押圧スプリング38の力で前記掛止用突起22が前記掛止孔23に形成したスライド掛止孔23bを通過して前端側へ移動して止まる。このときクラッチ操作ロッド25は後方へ引かれてクラッチ9のスライド歯37を前方へスライドさせることでクラッチ9が入った状態(図8に示す状態)となる。
【0032】
前記クラッチ9は、図8及び図11に示すように、モータ7の回転をタイヤに伝達する駆動軸40と従動軸34にかみ合いクラッチを設けることで、クラッチレバー18によるクラッチ接続と切断の操作を機械的に確実に行うことが可能となる。
前記かみ合いクラッチの構造は各種可能であるが、本発明では、図11の(イ)及び(ロ)に示すスプライン軸を利用したかみ合いクラッチとするとコンパクトとなり全体の軽量化に適したものとなる。
【0033】
該スプライン軸を利用したかみ合いクラッチの構造を説明すると、図11の(イ)及び(ロ)に示すように、前記クラッチ9は、回転の駆動軸40と従動軸34の対向端部に対称な駆動側かみ合い歯35及び従動側かみ合い歯36を形成して、駆動側かみ合い歯35から従動側かみ合い歯36への移動で回転の切断から接続へと操作を行うスライド歯37を形成した断続体30を設ける。そして、クラッチ操作ロッド25の往復操作をして、図11の(ロ)に示すように、回転の接続と、図11の(イ)に示すように、切断とを可能とする。
そして、図10に示すように、クラッチ操作ロッド25は、車体フレーム2にステー27を突設して、前記ステー27を設けた枢支部28にクラッチ操作ロッド25の中間部位に固定された枢支軸26を枢支して、そのクラッチ操作ロッドの先端側操作板29で前記断続体30を挟んで往復を行えるようにする。
該クラッチ操作ロッド25には、図8に示すように、該クラッチ操作ロッド25にロッド24、バネ21等の連結部材を介して前記クラッチレバー18を接続し、該クラッチレバー18の手動による往復操作で前記断続体30の往復が可能となるようにする。
なお、図8及び図11に示すように、前記断続体30はクラッチ9が入った状態(図11の(ロ)に示す)に保持できるように断続体押圧スプリング38で前記断続体30を押すように付勢し、該断続体押圧スプリングが外れないように押えるスプリング押さえ板39を設ける。
【0034】
また、前記回転伝達手段8は、図9及び図10に示すように、前記従動軸34と前記後車輪軸4とを回転伝達可能に接続するものであり、図11に示すように、傘歯車8a、8bを使用すれば、90度に交差した前記後車輪軸4への回転の伝達が可能となる。
【0035】
そして、前記モータ7に電気を供給するため前記後車輪軸4上に小型のバッテリー6を配着する。
前記バッテリー6は、バッテリー支持フレーム2dの後方からスライドして収納できるようにすれば着脱可能とする態様が可能となる。その場合、該バッテリー6は、前記側部フレーム2aにバッテリー支持フレーム2dを設け、該バッテリー支持フレーム2dに固定する。該バッテリー支持フレーム2dはバッテー6を着脱可能とするため後方を開放し、そこからバッテリー6を出し入れし、差し込んだバッテリー6をネジ等を用いてバッテリー支持フレーム2dに固定する。
このバッテリー6をバッテリー支持フレーム2dへ着脱可能とする態様では、充電切れしたバッテリー6を別の充電したものと交換することで、充電時間を待たずに素早く使用可能となる。
【0036】
また、図1及び図2に示すように、前記側部フレーム2aを前側で繋ぐ前部フレーム2bの前側中央に直接又はステー11を設けてロッド枢支部10を設け、該ロッド枢支部10に足台支持ロッド12の基部を枢支して足台支持ロッド12を上下擺動可能に取り付ける。
該足台支持ロッド12を、図1は下ろした状態を示し、図2は上げた状態を示している。
【0037】
そして、前記足台支持ロッド12の基部と前記側部フレーム2aとの間にストッパ13を設ける。
このストッパ13は足台支持ロッド12を上向きから横向きに下げたときに突き当たって略水平方向になって停止するストッパ13であり、図3、図5及び図14に示すように、足台支持ロッド12が略水平方向になったときロッド側の下方に向けて突設したロッド下部突き当てストッパ13bが左右のステー側に掛け渡した棒状のストッパ固定部13aによって固定される。
即ち、足台支持ロッド12の基部の下側に前記ロッド下部突き当てストッパ13bが突き当たって足台支持ロッド12が略水平となって止まる仕組みである。
【0038】
また、前記足台支持ロッド12の先端部の両側方に略水平な棒状の両足を載置可能とする足台14を設ける。
該足台14は、図4に示すように、左右にそれぞれ靴の横幅程度の長さに棒を突出させる。なお、図示しないが、左右の板面を突出させた板状の足台としても良い。
【0039】
そして、前記足台14の先端側の前記足台支持ロッド12に前記モータの起動・停止及び速度を操作するペダル15を設ける。なお、各図中に、ペダル15から繋がるワイヤーは省略して表している。
各図では、該ペダル15は前記足台支持ロッド12の先端部にペダル支持用板状足置台17を設けて、該ペダル支持用板状足置台17に対して枢支した態様を示している。
【0040】
また、前記車体フレーム2と前記足台支持ロッド12との間に、足台支持ロッド12が枢支部10から略直立した角度で固定可能とする係止部16を設ける。
該係止部16は、図1及び図3に示すように、前記車体フレーム2のステー11に板状のステー側係止部16aを上に向けて突設して係止孔を設ける。そして、前記足台支持ロッド12を略直立させたとき、該ステー側係止部16aの孔とが貫通対応する孔を有する板状のロッド側係止部16bを突設し、図2に示すように、両孔にピンを差し込んで前記足台支持ロッド12を略直立状態に固定できるようにする。
【0041】
また、前記足台支持ロッド12には、図示しないが、手で握るハンドルを備えることもできる。該ハンドルは前記ペダル支持用板状足置台17の両側方に棒状の手動ハンドルを突出させた態様が可能である。
その手動ハンドルは前記足台支持ロッド12の前記ペダル支持用板状足置台17部分とは別に直接設けても良い。また、前記棒状の足台14を手動ハンドルとして兼用させても良い。
そして、荷物運搬用の台車として兼用するときの前記手動ハンドルには、前記ペダル15と連動してモータの制御を行うレバーを設けることができる。この場合、前記足台支持ロッド12を立てて台車として使用する際に、その前に人が立ち、前記手動ハンドルを手で持ったままで該レバーを操作してモータ7の起動・停止及び速度調節を行うことができる。そして、坂道などでの荷物の運搬作業をモータ7の制動で楽に行うこが可能となる。
【0042】
また、前記ハンドルには、前記クラッチレバー18と連動してクラッチ9の切換え操作を行うクラッチレバーを別に設けることができる。
この場合、そのクラッチレバーによって、前記足台支持ロッド12を立てて前記手動ハンドルを手で持って台車として使用する際に、坂道での電動による楽な移動と、平坦地でのクラッチ9を切ってのモータ負荷のない軽い押し引きによる移動とが可能となる。
このように台車として使用するときの前記ハンドルの高さが低すぎる場合には、腰を曲げて前記ハンドルを操作しなけてばならず扱いに難くなる。これを避けるため前記足台支持ロッド12に伸縮手段(図省略)を設け、長く伸ばして使用できる態様とすることも可能である。
【0043】
前記作業台1の周囲には、手指が入る大きさの把持用開口部19を設けると良い。この把持用開口部19は、図1に示すように、作業台1の周囲を枠体で形成し、その枠内に間隔を開けた格子状を形成することで、作業台周囲全体に把持用開口部19を形成することができる。この態様では台車周囲どこでも持ち扱い易くなる。
使用するときには、その枠台の上に合板などを敷けば、その合板などの上に座布団などを敷き、その座布団などに尻を載せて腰掛作業を行うことができる。
【0044】
また、腰掛作業を行う場合には、図12、13、14に示すように、前記作業台1の後部寄りに、上下に貫通した縦孔41を設け、該縦孔41に下部42aを挿入可能とした腰当フレーム42を有する腰当て体43を備えることが可能である。
例えば、該腰当て体43は前記腰当フレーム42に20cm幅の腰当て板43aを15cmから25cmの高にボルト44で固定する。
前記縦孔41は、図12に示すように、左右に1対設けて、該縦孔41、41に逆さU字形の金属パイプの両端下部42a、42aを途中まで差し込んで装着するタイプの腰当て体43とすれば、腰当て体43を作業台1上に安定して固定できる。そして、作業の内容によって邪魔になる場合には上に引きに抜けば容易に取り外すこともできる。
座ってする作業はその作業内容によっては腰が定まらずに作業能率が低下する場合もあるが、この腰当て体43を取り付けることで腰の位置が定まり、安定した作業を行うことが可能となる。また座布団を使用したときには、作業中に座布団が移動したり、落ちたりすることがあるが、前記腰当て体43によって座布団のズレ防止が可能となる。
【0045】
また、畝U間での作業用として、図15、16に示すように、前記車体フレーム2に、作業台1の下部から両側方に突出したガイド輪支持材46に水平な前記ガイド輪50を設ける形態が可能である。
この図15には前記ガイド輪50を左右2個、合計4個設けた態様を示している。
この図15では、前記車体フレーム2から前記両支持材46を作業台1の下部から両側方に突出させ、その支持部材46の先端にT字形に軸受け部材47を延設し、該軸受け部材47の両端に軸受け部48を設け、該両軸受け部48に垂直方向に配した車輪軸49をそれぞれ設けて、該各車輪軸49にガイド輪50を水平方向にフリー回転可能に装着したものを示している。
ガイド輪50は左右1対とすることも可能であるが、図15に示すように、4個設けた場合、図16に示すように、前記ガイド輪50、50の一方側の畝側面Uに2点で当たって進行方向へ安定なガイドを行うことが可能となる。
なお、前記車体フレーム2に対して前記支持部材46をボルトやピンなどで着脱可能に装着する着脱手段(図省略)を設けることも可能である。この態様では畝間の作業ではない作業を行うときには取り外せるようになるので便利である。
【0046】
上述の如く本発明では、搭載するモータ7とバッテリー6が重量の大半を占めるが、それらに小型のものを用いれば軽いタイヤや軽金属のフレーム2などを含めて全体で10〜15Kg程度の総重量に軽量化することが可能とる。
そして、この程度の重さであれば、誰でも楽に手で吊り下げて移動することができる。
そして、その際手指が入る大きさの把持用開口部19が設けられていれば、簡単に手で持つことができるので、農作業での畝間の移動の際などでの台車の運搬を大変楽に行えるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は主として農業用の歩行型作業台車として使用することを主目的とするものであるが、工場内の低い位置での腰掛作業をする場合や、物品や荷物の運搬用にも利用が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 作業台
2 車体フレーム
2a 側部フレーム
2b 前部フレーム
2c 縦フレーム
2d バッテリー支持枠
2e モータ支持枠
3 前車輪軸
4 後車輪軸
5a タイヤ
5b タイヤ
5c タイヤ
5d タイヤ
6 バッテリー
7 モータ
8 回転伝達機構
8a 傘歯車
8b 傘歯車
9 クラッチ
10 ロッド枢支部
11 ステー
12 足台支持ロッド
13 ストッパ
13aストッパ固定部
13bロッド下部突き当てストッパ
14 足置台
15 ペダル
16 係止部
16aロッド側係止部
16bステー側係止部
17 ペダル支持用板状足置台
18 クラッチレバー
19 把持用開口部
20 牽引用孔
21 バネ
22 掛止用突起
23 掛止孔
23a吊り掛止孔
23bスライド掛止孔
24 接続ロッド
25 クラッチ操作ロッド
26 枢支軸
27 ステー
28 枢支部
29 クラッチ操作ロッドの先端側操作板
30 断続体
31 モータ制御用基盤
32 ハーネス
33 モータ固定部
34 従動軸
35 駆動側かみ合い歯
36 従動側かみ合い歯
37 スライド歯
38 断続体押圧スプリング
39 スプリング押さえ板
40 駆動軸
41 腰当取付け孔
42 フレーム
43a腰当て板
43 腰当て体
44 ボルト
45 支持フレーム
46 支持部材
47 軸受け部材
48 軸受け部
49 ガイド輪軸
50 ガイド論
H 台高
U 畝側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームに、両端にタイヤを備えた前車輪軸及び後車輪軸を平行に装着し、該車体フレームの上部に、縦フレームを設け、該縦フレームに、前記各タイヤの上部を覆う程度の広さとした水平な作業台を人の膝高程度の高さに固設し、前記前車輪軸及び後車輪軸と作業台との間に、モータ及びバッテリーを配着し、
該モータと前記前車輪軸及び/又は後車輪軸との間に、該モータの回転を伝達可能とする回転伝達機構とクラッチとを装着し、前記作業台下に、該クラッチの操作を行うクラッチレバーを設け、
前記車体フレームの前側の略中央部位に、直接ロッド枢支部を設けるか又は突設させたステーの先端部にロッド枢支部を設け、該ロッド枢支部に、前記作業台の前方へ突出した足台支持ロッドを上下擺動可能に枢支し、前記足台支持ロッドのロッド枢支部寄り部位に、該足台支持ロッドが略水平方向で下限となるストッパを設け、
前記足台支持ロッドの先端部又は先端部寄り部位に、前記足台支持ロッドの両側方へ略水平に突出した足台を設け、前記足台支持ロッドの足台近傍部位又は前記足台に、前記モータの制御を行うペダルを設けたことを特徴とする腰掛作業用台車。
【請求項2】
クラッチが、駆動軸と従動軸に設けられたかみ合いクラッチであり、クラッチレバーの操作で機械的に回転の接続と切断とを可能としたことを特徴とする請求項1に記載の腰掛作業用台車。
【請求項3】
車体フレームと足台支持ロッドとの間に、足台支持ロッドがロッド枢支部から略直立した角度で固定可能とする係止部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の腰掛作業用台車。
【請求項4】
足台支持ロッド又は足台に、両側方へ略水平に突出した棒状の手動ハンドルを設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の腰掛作業用台車。
【請求項5】
手動ハンドルに、ペダルと連動してモータの制御を行うレバーを装着したことを特徴とする請求項4に記載の腰掛作業用台車。
【請求項6】
手動ハンドルに、クラッチレバーと連動してクラッチの切換え操作を行うクラッチレバーを装着したことを特徴とする請求項4又は5に記載の腰掛作業用台車。
【請求項7】
車体フレームに、作業台の下部から両側方に、前車輪及び後車輪をよりも外側に突出させたガイド輪支持材を設け、該両支持材に垂直方向に配したガイド輪軸を両側にそれぞれ1つ又は2つ設け、前記各ガイド輪軸にガイド輪を水平にフリー回転可能に装着したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の腰掛作業用台車。
【請求項8】
作業台に上下に貫通した縦孔を設けるとともに、該縦孔に下部を着脱可能とした腰当フレームと該腰当フレームに固定した腰当て板とから成る腰当て体を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の腰掛作業用台車。
【請求項9】
作業台の周縁に、手指が入る大きさの把持用開口部を少なくとも1箇所設けたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の腰掛作業用台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−66395(P2013−66395A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205595(P2011−205595)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000157153)関東農機株式会社 (13)
【Fターム(参考)】