説明

膜に囲まれた細胞または細胞小器官の内外へ生体分子をデリバリーするのに適したナノ粒子

熱誘導エンドソーム放出を介して、試験管内(in vitro)または生体外(ex vivo)で生体分子を細胞培養物へデリバリーするためのナノサイズ粒子であって、膜破壊成分と、デリバリーされる生体分子及びマーカーを結合するための結合部位とを含む熱感受性コーティングでコーティングされた超常磁性コアを含む粒子。本発明により記載される粒子を有する細胞培養物に交番磁界を適用することにより、複数の前記生体分子およびエンドソーム破壊分子の放出効果を導入する方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の技術分野】
【0001】
本発明は、膜に囲まれた細胞または細胞小器官の内外へ、物質の熱誘導放出を介して物質をデリバリーするのに適した粒子、様々な適用における前記粒子の使用、並びに膜に囲まれた細胞または細胞小器官の内外へ、物質の熱誘導放出を介して物質をデリバリーする方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
信頼できる生体分子のデリバリー方法は、多くの生命科学者にとって不可欠なツールである。トランスフェクション、siRNA評価、および種々の細胞標識方法のスクリーニングは、ターゲット細胞培養物への効率的なデリバリーが非常に重要である例である。成功したインビトロのための生体分子の非ウイルス性デリバリー方法は、一連の障害を克服し、ターゲット細胞に対する毒性効果を回避し、選択された機能性生体分子を細胞内にさらに効率よくデリバリーしなければならない。デリバリープロセスの第一の工程は、生体分子が、ターゲット細胞の表面に到達することである。生体分子は、細胞培養物中の培地成分とは無関係に細胞にデリバリーされ、付着細胞株と懸濁細胞の両方に到達すべきである。生体分子は、細胞表面にデリバリーされると、細胞膜/細胞壁を横断するか、またはエンドサイトーシス経路を介して細胞に入らなければならない。エンドソーム内ではpHは低く、サイトゾルおよびエンドソームのいずれも、種々の分解酵素を含有する。生体分子が、DNA、RNA、タンパク質、または他の分子のいずれを構成していても、効率的なデリバリー方法は、好ましくは、問題の生体分子の細胞分解を最小限にすべきである。生体分子がエンドサイトーシスを介して細胞に入るデリバリープロセスを成功させるためには、できるだけ多くの生体分子の、各々のエンドソームコンパートメントからサイトゾルへのエンドソーム放出を促進することが望ましい。サイトゾルにおいて生体分子は、好ましくは、細胞核などの特別な細胞内コンパートメントをターゲットにすべきである。
【0003】
今日利用可能な非ウイルス性の生体分子デリバリー方法のすべての基本的な技術は、二つのアプローチに分けることができる。エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、および遺伝子ボンバードメントなどの物理的方法は、生体分子を、細胞膜を介してサイトゾルへデリバリーする。化学的/人工的方法は、ターゲット細胞のエンドサイトーシスを使用する。いずれの技術も、特有の特徴および限界を有し、充分に確立された方法である。幹細胞、一次細胞株、および標準実験室の培養細胞株に関する、ハイスループットの臨床前の細胞ベースのインビトロ研究の増大により、効率的で、強固で、コスト効率のよい生体分子デリバリー方法が必要である。これらの需要を満足させるためには、化学的および人工的デリバリー方法のデリバリー効率を改良することが望ましい。デリバリー効率を高める一つのアプローチは、エンドソーム放出を活発に促進することである。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、一つの側面において、膜に囲まれた細胞または細胞小器官の内外へ、物質の熱誘導放出を介して物質をデリバリーするのに適した粒子であって、前記物質および膜破壊剤が結合している熱感受性コーティングでカプセル化された、交番磁界で熱を発生させることが可能な超常磁性コアを含む粒子に関する。
【0005】
本発明は、更なる側面において、宿主細胞の遺伝暗号および/または代謝を改変するための粒子の使用に関する。
【0006】
更なる側面において、本発明は、エンドソームまたはリソソームの細胞小器官から前記物質を放出するための粒子の使用に関する。
【0007】
更なる側面において、本発明は、膜に囲まれた細胞または細胞小器官の内外へ、膜破壊剤の熱誘導放出と組合せて物質の熱誘導放出を介して、物質をデリバリーする方法であって、
膜に囲まれた細胞または細胞小器官および本発明の複数の粒子を含むサンプルを提供すること;
前記サンプルに交番磁界を適用し、これにより粒子コアの熱エネルギーが、前記粒子の熱感受性コーティングの分解を引き起こし、これにより前記破壊剤が、膜に囲まれた細胞または細胞小器官の膜を破壊し、前記物質が放出すること
を含む方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【0008】
上記記載を考慮に入れながら、本発明は、多様なターゲット細胞内でのエンドソーム放出と、高効率の種々の生体分子のデリバリーとを組み合わせた、生体分子デリバリーに適した粒子を提供する。
【0009】
本発明は、本発明の好ましい態様を示す添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。しかし、本発明は、多くの様々な形態で具体化することができ、本明細書で記載される例示的態様に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの態様は、この開示が完全なものになり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。
【0010】
我々は、膜に囲まれた細胞または細胞小器官に結合させた超常磁性粒子のサンプルに交番磁界を適用し、これによる熱エネルギーの増大が、粒子の超常磁性コアの加熱を引き起こし、次に、細胞膜または細胞小器官の膜の一時的な開口を引き起こすことにより、膜に囲まれた生物学的構造の内外へ生体粒子(bioparticle)を導入または抽出する方法を、WO 01/18168に以前に記載した。
【0011】
ここに記載される発明は、交番磁界に晒された際に超常磁性コアから放出される熱エネルギーを利用し、化学的な膜破壊を誘導するために粒子の熱感受性コーティングから膜破壊分子(たとえば脂質、コレステロールまたは洗浄剤)を放出する、試験管内(in vitro)または生体外(ex vivo)で生体分子をデリバリーするためにデザインされた粒子である。デリバリーされるべき物質(たとえば生体分子)(以下、カーゴ分子と称する)およびエンドソーム膜などの細胞または細胞小器官の膜の破壊を促進することができる分子の両方が、粒子の超常磁性コアの加熱の間に放出される。本出願の文脈において、「物質」および「カーゴ分子」の用語は、互換的に使用される。物質またはカーゴ分子は、本発明の粒子を介してターゲット細胞にデリバリーされる。物質またはカーゴ分子の例は、生体分子である。
【0012】
生体臨床医学およびバイオテクノロジーにおける磁性粒子の適用は、増え続けている。今日、磁性ナノ粒子は、とりわけ、精製、定量、トランスフェクション、温熱療法、薬剤デリバリー、MRIによるイメージングのために使用される。薬剤デリバリーの目的のためにリポソーム内にプロドラッグとともに閉じ込められた超常磁性粒子は、US2003211045に記載され、ここでは、リポソーム内の磁性粒子の加熱により、プロドラッグが薬剤に変換される。超常磁性コアが、有機化合物および小胞形成脂質内にカプセル化された更に別の粒子は、US5441746に記載され、ここで粒子は、癌細胞の殺傷を促進するために超常磁性コアの誘導性加熱を目的とする。
【0013】
これらの以前に記載された脂質でカプセル化された超常磁性コアに対して、本発明は、交番磁界で熱を発生させることに加えて、試験管内(in vitro)または生体外(ex vivo)で非ウイルス性の生体分子をデリバリーするためにデザインされた超常磁性粒子を記載する。この粒子は、粒子/カーゴ分子の複合体がエンドサイトーシスを介して細胞に取り込まれる細胞表面にカーゴ分子を運ぶことに加えて、交番磁界に晒されると、カーゴ分子のエンドソーム放出を増大させる。このため、粒子の表面は、均質ではなく、加熱のパルスにより放出されるか、または構成を変える熱感受性構造のコンビネーションを有する。本発明により記載される複数の粒子の各々は、カーゴ分子のカップリングおよび/または結合のための複数の部位、一または複数の膜破壊剤、ターゲット細胞およびシグナル分子(たとえばペプチド)を認識し結合することができる認識分子、およびデリバリープロセスのイメージングのための蛍光マーカーを有する。
【0014】
本発明の一つの態様において、超常磁性コアのサイズは、1〜100 nm、好ましくは8〜15ナノメートルである。
【0015】
本発明の更なる態様において、前記超常磁性コアは、磁鉄鉱、磁赤鉄鉱、酸化鉄水和物(ironoxidehydrate)、一般式MeOxFe2O3のフェライト(ここでMeはCo, Ni, Mn, Be, Mg, Ca, Ba, Sr, Cu, Zn, Pt, Al, Cr, Biおよびこれらの組合せからなる群より選択される二価金属である)からなる。
【0016】
本発明の更なる態様において、熱感受性コーティングは、前記コアと直接接触したミセル様構造であって、少なくとも一つの疎水性分子、および疎水性部分と親水性部分の両方を含有する少なくとも一つの分子により形成されるミセル様構造を含む。熱感受性コーティングは、一または複数のジスルフィド結合、ペルオキシド結合、またはアゾ結合、またはこれらの組合せにより、前記物質および膜破壊剤に結合している。
【0017】
本発明の一つの態様において、前記親水性部分の構造は、ポリマー、脂質、合成分子、タンパク質、またはこれらの組合せを含有する。
【0018】
本発明の更なる態様において、少なくとも一つの認識分子が、熱感受性コーティングに更に結合しており、前記認識分子は、抗体、抗体のフラグメント、およびレクチンからなる群より選択される。
【0019】
本発明の更なる態様において、膜破壊剤は、洗浄剤、コレステロール、疎水性タンパク質、および界面活性剤、およびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0020】
本発明の更なる態様において、前記物質またはカーゴ分子は、DNA分子、RNA分子、タンパク質、ペプチド、脂質、化学製品、有機化合物、洗浄剤、合成ポリマー、およびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0021】
本発明の方法の一つの態様において、前記磁界は、0.1〜5 MHzの範囲の振動数の交番磁界の向きを有する。磁界は、1〜100 mTの範囲の磁界の強さを有していてもよい。
【0022】
本発明の更なる態様において、前記磁界は、時間をかけて一連のパルスとして繰返し暴露され、各パルスの期間が、好ましくは1〜600 s、更に好ましくは1〜45秒である。磁界は、不均一な交番磁界を有するとともに、勾配交番磁界の向きを有していてもよく、前記交番磁界の向きは、二つのコイルにより発生され、前記サンプルは、コイルの間に挿入される。コイルは、供給される交流のポジティブ部分またはネガティブ部分の何れかを供給されていてもよい。
【0023】
本発明は、コーティング層(layer or layers)にカプセル化された超常磁性コアを構成し、ここで内側の層は、超常磁性コアと直接接触している(例1および2参照)。粒子の超常磁性コアは、3つの望ましい特徴を満たす;MRIを用いて追跡可能であり、かかる粒子を保持する細胞は、磁選技術を用いて選別することができ(例2および7参照)、最も重要なことに熱を発生させることができる。交番磁界は、粒子の回転と、粒子内の磁気運動量の回転により、各粒子の磁性コア内に熱を誘発する(例3参照)。これらの現象の何れも、熱の損失という結果につながる。所定の瞬間に何れが優位であるかは、粒子サイズ、磁界の振動数、および粒子コーティングに依存する。このサイズ間隔のコアは、交番磁界の低メガヘルツの範囲の振動数の使用を可能にし、これによりターゲット細胞および周囲の増殖培地の渦巻熱を回避するため、粒子のコアの好ましいサイズは8〜15ナノメートルである。粒子のコーティングは、粒子のサイズを全体として好ましくは50ナノメートル以下に維持するようにできるだけ薄く維持すべきである。小さい粒子は、種々の細胞表面に結合するための高い表面および有利なカイネティクスを促進する(例9参照)。粒子が、重力により試験管内に沈殿しないほど小さい場合、懸濁細胞および付着細胞株の両方と相互作用することができる。
【0024】
粒子のコーティングは、安定なコロイド溶液中で粒子を互いに十分に分離させておくために非常に重要である。種々の緩衝液および細胞培地における安定性は、種々の生化学的カップリング技術を用いた表面修飾の点、並びに生細胞に対する影響の点から、ナノ粒子の有用性と有効性にとって非常に需要である。カーゴ分子および/または細胞認識分子の粒子表面へのカップリング化学のために、アミノ−PEGを、粒子の表面に導入し、NHS(N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル)、SPDP(N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)、グルタルアルデヒド、および他のバイオコンジュゲート技術により、カップリングを可能にする。試験管内(in vitro)または生体外(ex vivo)で細胞にデリバリーされるカーゴ分子は、共有結合、静電結合またはファン・デル・ワールス相互作用を介してコーティングに結合している。カーゴ分子がDNAまたはRNA分子である場合、DNAまたはRNA分子の負の骨格と、コーティングの外層の中に組み込まれたDOTABなどの正電荷の分子、または熱感受性コーティングの外側表面層でアミノ−PEG分子に共有結合したポリリジン、PEI(ポリエチレンイミン)、プロタミン、アルギンもしくはリジンリッチのペプチドなどの正電荷の分子との間の静電的な相互作用が、容易に利用される。蛍光マーカーまたはターゲット細胞認識分子などの更なる分子は、カーゴ分子と同じ手順により結合される。
【0025】
粒子が、遺伝子転移のためのDNAまたはRNA分子などのカーゴ分子と結合した複合体である場合、粒子は、安定な非毒性キャリアとして機能すべきである。更に、粒子は、好ましくは、カーゴ分子を分解から保護し、細胞内のターゲット部位で同一分子の放出を促進すべきである。粒子表面の近くにカーゴ分子を複合体化することにより、分解酵素に対する立体障害を導入し、これにより、カーゴ分子の酵素的分解を妨害することが好ましい。
【0026】
ナノ粒子は、カーゴ分子に加えて、シグナル分子(たとえばペプチド)および蛍光マーカーをもつことができる。本発明は、様々なカーゴ分子をもつことに加えて、ナノ粒子の表面からの熱放出効果を誘発することができる。熱誘発デリバリーの背後にあるアイデアは、粒子の近傍で分子拡散の速度を増大させること、および粒子の表面に結合した分子の放出を促進することである。
【0027】
二層の分子が、コーティングを形成する。内側層は、疎水性分子、たとえばオレイン酸などの脂肪酸、または疎水性分子の混合物から構成される。第二の層は、分子の各々が、疎水性部分と親水性部分により特徴づけられる、分子の混合物から構成される。疎水性部分は、第一の層とともに二重層、ミセル様構造を形成し、親水性部分は、周囲の培地に外側に向けられ、粒子に水系緩衝液および増殖培地での安定性を付与する。この親水性部分は、カーゴ分子、および粒子コーティングの表面に更に結合される任意の認識分子またはシグナル分子を結合させるために更に利用される。
【0028】
コーティング脂質の転移温度に相当する温度にコーティングを晒すと、上記コーティングは、粒子からコーティングが漏出するため、内部分子の再配置または混乱を伴って反応し、これにより、前記コーティングに結合した分子を放出する。相転移温度は、規則正しいゲル相(ここで炭化水素鎖は完全に伸びて、密にパックされている)から無秩序な液体結晶性相(ここで炭化水素鎖はランダムな向きで、流体である)へ脂質の物理状態を変化させるのに必要な温度として規定される。炭化水素の長さ、不飽和、電荷、および先端の基の種類など、相転移温度に直接影響を及ぼす幾つかの因子が存在する。
【0029】
粒子の超常磁性コアは、交番磁界の中で熱を発生させることができるため、加熱処理は、粒子のごく近傍で、大量に、非常に正確に行うことができる。このため、ターゲット細胞は、全体としては加熱されない。
【0030】
種々の分子を外側の脂質層に含めることにより、多目的の熱放出ナノ粒子が形成される。コレステロール、DOPE(ジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン)脂質などの公知のヘルパー分子が、表面の外側層のパート/メンバーとして輸送される。また、Triton XおよびSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)および類似の分子などの洗浄剤も、外側コーティング層のパート/メンバーとすることができる。これら洗浄剤が粒子に組み込まれている場合、これらは、ターゲット細胞に対して毒性が低いが、粒子から放出される際に、エンドソーム膜の崩壊を促進する(更に例10参照)。加えて、外側コーティング層の分子とカーゴ分子との間に温度感受性の共有結合架橋を選択することにより、エンドソームコンパートメントからのその後の脱出のために、ナノ粒子からのカーゴ分子の放出を更に強く促進することができる(例4および5参照)。
【0031】
本発明の一つの態様において、試験管内(in vitro)または生体外(ex vivo)で物質を細胞培養物へデリバリーするために本発明の粒子を使用する方法が記載される。所望の物質(substance or substances)が、静電的な相互作用、共有結合、またはファン・デル・ワールス相互作用を介して、カーゴ分子として粒子の表面に結合している。粒子/カーゴ分子の複合体を、細胞増殖培地と混合する。粒子の表面は、ターゲット細胞の表面上のターゲットに結合することができる親和性分子をもっていてもよいし、ターゲット細胞の負の表面領域と相互作用するように粒子/カーゴ複合体を促す正味の正電荷をもっていてもよい。粒子を、ターゲット細胞によるエンドサイトーシスにより急速にカプセル化し、その後、初期のエンドソームを、細胞へ輸送し、後期のエンドソームへ細胞により処理し、細胞内のゴルジ体および小胞体の細胞小器官コンパートメントへ輸送することができる。その後、磁界を、等間隔の休止期間をもって数秒〜数分のパルスで適用する。二回〜何百回のパルスを適用することができ、繰り返しの加熱により、粒子コーティング分子からの漏出が引き起こされ、これらに結合したカーゴ分子と膜破壊分子の放出が引き起こされる。膜破壊剤は、それ自体、エンドソーム膜に入り込み、エンドソームの破裂を引き起こす。カーゴ分子が粒子コーティングに共有結合している場合、ジスルフィド架橋などの熱感受性共有結合は、加熱された際に更に放出効果を促進することができる。磁界に晒される前の細胞および粒子のインキュベーション時間は、デリバリーの進行に影響を及ぼし、各々の特定の細胞株に対して個別に最適化される。加えて、磁界は、各々の処理の間に1時間未満〜数時間のインキュベーション時間をもって時間をかけて、デリバリープロセスを改良するために二回以上適用することができる。
【0032】
処理された細胞は、自動的に標識され、MRIで追跡可能であり、更に蛍光マーカーを粒子コーティングに添加し、蛍光顕微鏡でその進行を追跡する可能性を提供することができる。更に、細胞を洗浄し、任意の時に、急勾配磁選方法を用いて選別することができ、細胞を永久磁石の動きに晒した場合、顕微鏡下で移動させることができる。
【実施例】
【0033】
例1
鉄カルボン酸塩の熱分解
単分散粒子(11±1 nm)を作成するために、以下の手順を使用した。360 mgの酸化鉄(III)を小粒子にすりつぶし、5 gのオレイン酸および11 gの1-オクタデセンに添加した。その溶液を混合し、三つ口ボトルフラスコに移し、磁気スターラーを備えた加熱マンテルに置き、温度が少なくとも320℃に達し、1-オクタデセンが沸騰し始めるまで加熱する。1時間の反応時間の間、温度をモニターし、好ましくは、上記温度以下に下がらないようにすべきである。1時間のインキュベーション後、溶液を室温まで冷却した。粒子を、エタノール、メタノール、クロロホルム、またはこれらの組み合わせにより繰返し洗浄することにより、余分な試薬から精製し、最後に、クロロホルムまたはヘキサンに再懸濁する。
【0034】
例2
ポリ(エチレングリコール)−脂質表面コーティング
粒子をクロロホルムに短時間で懸濁し、その後、真空下で乾燥させた。30〜60モル%のリン脂質(たとえば、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンまたは化学構造の類似した他のもの)および40モル%以上のPEG-脂質(たとえば、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)2000]または類似のPEG-脂質、または化学構造の類似した他のもの)を含有するクロロホルム溶液を、乾燥粒子に添加し、その後、これを溶液に戻す。クロロホルムを蒸発させ、粒子を1〜4時間更に乾燥させる。その後、粒子を、水、NaClまたは通常の生理緩衝液を用いて水和し、穏やかに超音波処理し、100 nmフィルターを通して無菌濾過することができる透明な溶液を得る。粒子を、急勾配磁選により脂質およびPEG-脂質から精製し、4℃で保存する。しかし、粒子は、性質に目立った変化がなければ、室温で何週間もの間、保存してもよい。粒子は、生理食塩水の濃度の通常の緩衝液中で、何週間もの間、コロイド状で安定なままである。粒子は、10% FCS(血清)を含有する複合増殖培地においても、3日間を超える期間、安定なままであり、上限の時間は試験していないが、更に長期間、溶液中で安定なままである。
【0035】
粒子懸濁液は、磁気カラムを通す濾過(急勾配磁選)またはサイズ排除クロマトグラフィーにより、結合している化学物質および/または塩から容易に精製した。
【0036】
急勾配磁選カラム
粒子懸濁液を、1.2 Tの高い永久磁界に晒された磁気マトリクスを含有するカラムに添加する。磁気マトリクスが高い磁界に晒されている限り、粒子は、磁気マトリクスに保持される。磁界を除くと、粒子は、水または所望の緩衝溶液を用いて溶出された。また、少量の体積を溶出することにより、磁気カラム上で磁性流体を濃縮することもできる。
【0037】
サイズ排除クロマトグラフィー
粒子懸濁液を、SephacrylTM S-500高分解能ゲルを充填したカラムに添加する。磁性流体を、サイズ排除により、結合している化学物質および/または塩から分離する。磁性流体は、水または所望の緩衝溶液を用いて溶出される。
【0038】
サイズおよび安定性
粒子の酸化鉄コアの平均直径は、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて11±1 nmであると算定された(図1参照)。全粒子の直径は、脂質の表面層の組成およびキャリア液体の特徴に依存して変化する。磁性ナノ粒子は、容易に無菌濾過され、通常の生理緩衝液中で、コロイド状で安定であるため、粒子の作成および更なる修飾のプロセスの間に、サイズ排除クロマトグラフィー、透析、および急勾配磁選を利用することができた。粒子の表面上のアミノ基は、Fluram(登録商標)を用いて標準的なプロトコールで分析し、アミノ基の量は、粒子の安定性に影響を及ぼすことなく、粒子あたり数百〜数千のアミノ基の間で変化させることができた。更に、アミノ基は、他の官能基または分子を付加するために、通常の確立されたカップリング化学を用いて共有結合に利用することができる。
【0039】
例3
交番磁界における熱損失
粒子のコアは、超常磁性であり、かかる粒子が交番磁界に晒されると、周囲の培地へと熱が失われる。粒子の比吸光率(SAR)の振動数依存性を試験し、評価した。500ワット/gを超えるSAR値は、図2に示されるとおり、10 MHzの振動数および2.8 mTの磁界の強さで達成された。
【0040】
例4
粒子の表面からの分子の放出に対する熱の効果
リン脂質およびFluram(登録商標)で蛍光標識されたアミノ基をもつアミノ-PEG-脂質を有する粒子を含有するサンプルを、10 MHz、2.9 mTで5分間処理し、その後、磁選を行い、粒子の表面上の熱に対する最初の徴候と、磁界において起こり得る熱放出を得た。
【0041】
比較として、通常の水浴中で40〜95℃の温度でサンプルを5分処理して試験を行った。Fluram(登録商標)標識アミノ基の放出を、粒子の磁選からの流れで測定した。
【0042】
その結果を以下のとおり要約することができる:
1.2〜6%のアミノ基が、加熱により粒子から放出される。
【0043】
2.アミノ基の放出量は、50〜60℃でピークとなり、その後の温度の上昇により放出量は減少した。
【0044】
3.磁界で5分間処理したサンプルは、2〜3%のアミノ基を放出した。
【0045】
アミノ-PEG-nnは、比較的低い温度の上昇で、粒子を放出する。この特徴により、スロー放出に敵した粒子が作成される。分子がアミノ基に共有結合している場合、交番磁界での繰り返しの処理により、スローな繰り返しの放出を行うことができる。
【0046】
例7
アミノ-PEG-nnおよびリン脂質の両方が、同じ速度および温度で放出されるかどうか調べるために、FITC標識リン脂質を有する粒子を含むサンプルを、通常の水浴中で40〜95℃の温度で5分間処理した。
【0047】
その結果を以下のとおり要約することができる:
1.FITC標識リン脂質の最大25%が、80℃より高い温度で5分間加熱すると、粒子から放出される。
【0048】
2.80℃より高い温度で処理したサンプルは、処理後に凝集し、コロイドの不安定性を示した。
【0049】
この例は、PEG脂質と比較してリン脂質が、酸化鉄のコアを放出しにくいこと、80℃より高い温度の加熱が、粒子懸濁液のコロイドの安定性に対して重大な影響を及ぼすことを示す。
【0050】
例5
粒子の表面上のアミノ基に共有結合したFITC標識HIV TATぺプチドを有する粒子を含むサンプルを、上述のとおり処理した。この例は、アミノ基と別の分子の間に熱感受性の結合を共有結合でつくることにより放出効果を高めることができるかどうか調べるためにセットアップした。粒子とTATペプチドの間にジスルフィド架橋を生成するメディエイターとしてSPDPを用いて、ペプチドを粒子に結合させた。ジスルフィド架橋は、相対的に熱感受性であることが知られている。
【0051】
その結果を以下のとおり要約することができる:
1.3〜13%のTAT-ペプチドが、加熱により粒子から放出された。
【0052】
2.放出効果は、温度とともに増大した。例2に示される結果と比較して、これは、おそらくジスルフィド架橋の熱誘導性破壊による、放出効果の増大である。
【0053】
3.磁界で処理されたサンプルは、3〜5%のTAT-ペプチドを放出した。
【0054】
例6
細胞増殖
付着細胞株COS-7は、DMEM、10% FCSおよび5%ストレプトマイシン/ペニシリンにおいて増殖させた。懸濁細胞株K562は、RPMI、10% FCS、および5% CO2において増殖させた。細胞は、一週間あたり2回継代した。
【0055】
増殖
COS-7およびK562細胞を回収し、96ウェルプレートに、ウェルあたり105細胞で、それぞれ100μlの完全DMEMまたはRPMIに播いた。増殖スタンダードのための細胞を、104〜105細胞/ウェルで、同じものを3つずつ播いた。アミノ基、直鎖PEI、または分枝PEIを有する粒子を、適切な緩衝液で様々なFe濃度に希釈した。様々な粒子の各希釈液を、同じものを4つずつ、細胞に添加し、細胞あたり50〜250 pg Feの最終Fe濃度にした。更に、粒子/細胞複合体を交番磁界10 MHz、2.9 mTに晒した際のCOS-7細胞の増殖に関する試験を、図3に示される実験セットアップを用いて行った。コイルを冷却し、サンプルを所望の温度に維持するために水浴を使用した。サンプル内の温度は、RF磁界に影響を受けない光ファイバー温度計を用いて継続的にモニターする。
【0056】
増殖アッセイは、24時間のインキュベーション後に行った。比較的高い濃度の粒子を有する細胞が交番磁界に晒されると、増殖は低下するらしいと結論づけることができる。更に、粒子のPEI(ポリエチレンイミン)による修飾は、細胞に対する毒性を高くし、K562は、COS7よりも粒子に対する感受性が高い。
【0057】
例7
細胞の分離および洗浄
K562細胞を、24ウェルマイクロタイタープレートに、ウェルあたり1 mlの培地を用いて播いた。DOTAB/DOPE/リン脂質を混合コーティングで有する粒子を、以下の濃度で細胞に添加した:
サンプル1:1ピコグラムFe/細胞、2時間インキュベートした
サンプル2:2ピコグラムFe/細胞、2時間インキュベートした
サンプル3:2ピコグラムFe/細胞、2時間インキュベートし、分離カラムで磁石を使用しなかった
サンプル4:2ピコグラムFe/細胞、24時間インキュベートした
サンプル5:2ピコグラムFe/細胞、48時間インキュベートした
サンプル5:2ピコグラムFe/細胞、72時間インキュベートした
サンプル7:0ピコグラムFe/細胞、2時間インキュベートした。
【0058】
細胞を、培養皿から取り出し、緩衝液(PBS+BSA)中での短時間の遠心分離を用いて洗浄した。生細胞を、Calcein AMで標識し、次いで洗浄し、その後、急勾配磁選カラム(Milteyi)に添加した。各サンプルをカラム中で処理し、サンプルnr 3を、外部から静磁場を適用することなく分離した。細胞を、3カラム体積の緩衝液で洗浄し、製造元のマニュアルに従って永久磁石からカラムを離すことにより溶出した。Calceinの蛍光を、種々のフラクションで検出した。
【0059】
フラクション:
フロースルー(FT)
洗浄1、2、3(W1、W2、W3)
溶出(E)。
【0060】
図4に示される結果から、2ピコグラムのFE/細胞の添加は、分離と洗浄のための急勾配磁場を使用することができる十分な磁気材料を、処理細胞に与えるのに十分であり、その効果は72時間まで続くことが明らかに分かる。
【0061】
例8
細胞の取込みおよび粒子の分布
超常磁性ナノ粒子とともに1時間および24時間インキュベートしたCOS-7細胞の蛍光顕微鏡検査を、細胞を通過する輸送について粒子を追跡するために利用した。粒子は、細胞により容易かつ比較的迅速に取り込まれ、細胞内に均一に分布することが分かる。
【0062】
別の試験において、Texas-Redで標識され、共有結合によりFITC標識HIV-1 TAT-ペプチドで修飾された磁性ナノ粒子(100 pg 鉄/細胞)とともに、COS-7細胞を12時間インキュベートした。このペプチドは、天然の状態で、細胞核を標的にし、細胞核に入ることができる。(リン脂質上の)Texas-Red標識およびFITC標識HIV-1 TAT-ペプチドの両方が、細胞の細胞質に同時に局在する(co-localize)。
【0063】
例9
プラスミドDNA結合能
粒子表面上のアミノPEGに直鎖PEI(ポリエチレンイミン)または分枝PEIを共有結合しているか、または共有結合していないナノ粒子を、緩衝液で同じ粒子濃度に希釈した。粒子を、同量のDNA(100 ng)と、DNAに対する粒子の様々な比率(0.1−500)で混合した。DNAスタンダードを調製した(10−500 ng/ml)。その溶液を室温で10分間インキュベートし、その後、PicoGreen(登録商標)を添加し、蛍光を測定した(Ex 485/Em 520)。その結果を図5に示し、粒子の全てが、DNAを結合することができ、分枝PEIを露出した表面を有する粒子が、最も効率よくDNAを結合すると結論づけることができる。
【0064】
例10
PEG-NH2のみを有する粒子と比較した、SDS、DOPEおよびDOTABの混合物を有する粒子によるトランスフェクション
細胞(K562)を、texas redおよびルシフェラーゼをコードするプラスミド(phRL-SV40)を有するDOTAB/DOPE/SDSコーティングを備えた粒子とともに3時間インキュベートし、レファレンスとして、細胞を、ルシフェラーゼをコードするプラスミド(phRL-SV40)を有するアミノ-PEG(NH2)コーティングを備えた粒子とともに同様にインキュベートした。インキュベーション後、細胞を、AMF(交番磁界)において、30秒のパルスおよびパルス間の30秒の休止で繰返し処理した。
【0065】
AMFの露出後、細胞を新しい培養皿に播き、増殖のルミネセンス(proliferation an luminescens)を、処理後48時間後に読取った。図6に示すとおり、洗浄剤およびヘルパー脂質(DOTAB/DOPE/SDS)を有する粒子は、実質的に高い発現率を示す。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】記載されるナノ粒子の酸化鉄コアの一例のTEM画像。
【図2】熱効果 (A)ナノ粒子の比吸光率(specific absorption rate)(SAR値)と、10 MHzの振動数の交番磁界で適用された磁界の強さとの関係。(B)このグラフは、10 MHz、2.9 mTの交番磁界に晒された0.15 M NaCl中の7 mg Fe/mlの100μlサンプル内の温度の増加を示す。この値は、粒子なしの基準サンプルにおける温度の増加について補正した。温度測定は、光ファイバープローブ(IPITEK)を用いて行った。
【図3】実験セットアップの模式図。
【図4】アミノ基、直鎖PEI、および分枝PEIで表面修飾された磁性ナノ粒子のDNA結合能力の調査。様々な量の粒子を、プラスミドDNA(phRLSV40-luc, 3.7 kb)とTE緩衝液中で10分間インキュベートした。PicoGreenを添加後、FITCフィルターを備えたマイクロプレート蛍光リーダーを用いて蛍光を測定した。蛍光の減少は、凝縮したDNA(condensed DNA)を示す。
【図5】例7に記載される、粒子で処理された細胞の急勾配磁選に関する試験の結果。
【図6】例10に記載される、K562細胞のトランスフェクションの結果。「細胞」と記されるサンプルは、トランスフェクトしなかった細胞で発生したバックグラウンドのコントロールである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜に囲まれた細胞または細胞小器官の内外へ、物質の熱誘導放出を介して物質をデリバリーするのに適した粒子であって、前記物質および膜破壊剤が結合している熱感受性コーティングでカプセル化された、交番磁界で熱を発生させることが可能な超常磁性コアを含む粒子。
【請求項2】
前記超常磁性コアのサイズが、1〜100 nm、好ましくは8〜15ナノメートルである、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記超常磁性コアが、磁鉄鉱、磁赤鉄鉱、酸化鉄水和物(ironoxidehydrate)、一般式MeOxFe2O3のフェライト(ここでMeはCo, Ni, Mn, Be, Mg, Ca, Ba, Sr, Cu, Zn, Pt, Al, Cr, Biおよびこれらの組合せからなる群より選択される二価金属である)からなる、請求項1または2に記載の粒子。
【請求項4】
前記熱感受性コーティングが、前記コアと直接接触したミセル様構造を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の粒子。
【請求項5】
前記ミセル様構造が、少なくとも一つの疎水性分子、および疎水性部分と親水性部分の両方を含有する少なくとも一つの分子により形成される、請求項4に記載の粒子。
【請求項6】
前記熱感受性コーティングが、一または複数のジスルフィド結合、ペルオキシド結合、またはアゾ結合、またはこれらの組合せにより、前記物質および膜破壊剤に結合している、請求項4または5に記載の粒子。
【請求項7】
前記親水性部分の構造が、ポリマー、脂質、合成分子、タンパク質、またはこれらの組合せを含有する、請求項5に記載の粒子。
【請求項8】
認識分子が、熱感受性コーティングに更に結合している、請求項1〜7の何れか1項に記載の粒子。
【請求項9】
前記認識分子が、抗体、抗体のフラグメント、およびレクチンからなる群より選択される、請求項8に記載の粒子。
【請求項10】
前記膜破壊剤が、洗浄剤、コレステロール、疎水性タンパク質、および界面活性剤、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜9の何れか1項に記載の粒子。
【請求項11】
前記物質が、DNA分子、RNA分子、タンパク質、ペプチド、脂質、化学製品、有機化合物、洗浄剤、合成ポリマー、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1〜10の何れか1項に記載の粒子。
【請求項12】
宿主細胞の遺伝暗号および/または代謝を改変するための、請求項1〜11の何れか1項に記載の粒子の使用。
【請求項13】
エンドソームまたはリソソームの細胞小器官から前記物質を放出するための、請求項1〜11の何れか1項に記載の粒子の使用。
【請求項14】
膜に囲まれた細胞または細胞小器官の内外へ、膜破壊剤の熱誘導放出と組合せて物質の熱誘導放出を介して、物質をデリバリーする方法であって、
膜に囲まれた細胞または細胞小器官および請求項1〜11の何れか1項に記載の複数の粒子を含むサンプルを提供すること;
前記サンプルに交番磁界を適用し、これにより粒子コアの熱エネルギーが、前記粒子の熱感受性コーティングの分解を引き起こし、これにより前記破壊剤が、膜に囲まれた細胞または細胞小器官の膜を破壊し、前記物質が放出すること
を含む方法。
【請求項15】
前記磁界が、0.1〜5 MHzの範囲の振動数の交番磁界の向きを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記磁界が、1〜100 mTの範囲の磁界の強さを有する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記磁界が、時間をかけて一連のパルスとして繰返し暴露され、各パルスの期間が、好ましくは1〜600 s、更に好ましくは1〜45秒である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記磁界が、不均一な交番磁界を有するとともに、勾配交番磁界の向きを有し、前記交番磁界の向きが、二つのコイルにより発生され、前記サンプルが、コイルの間に挿入される、請求項14〜17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記コイルが、供給される交流のポジティブ部分またはネガティブ部分の何れかを供給されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記物質が、DNA分子、RNA分子、タンパク質、ペプチド、脂質、化学製品、有機化合物、洗浄剤、合成ポリマー、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項14〜19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記膜破壊剤が、洗浄剤、コレステロール、疎水性タンパク質、および界面活性剤、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項14〜20の何れか1項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−504181(P2009−504181A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526907(P2008−526907)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000960
【国際公開番号】WO2007/021236
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(502084724)ゲノビス・アーベー (1)
【Fターム(参考)】