説明

膜ポンプ

【構成】二部品膜ポンプハウジングを備えた膜ポンプである。ハウジングは、第1および第2追従接続界面にそって接続し、かつ内部ポンプ室、外部圧力ポート、外部減圧ポート、およびこれら外部ポートを内部室に接続する流体連絡チャネルを形成する上下部品を有する。第1接続界面および第2接続界面は、それぞれ向きが横断方向にある。ポンプの部品は、戻り止め機能を有し、工具を利用せずに、組み立てることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手作業で組み立てることができる膜ポンプに関する。特に、本発明は、工具、外部から締め付けを行うための工具や接着剤を利用せずに接続できる、少ない部品数からなる小形膜ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
小形膜ポンプは公知である。公知小形膜ポンプは、例えば、ねじ、接着剤、バンドおよび/またはその他の締め付け工具を用いて接続する複数のプレハブ式部品から製作されている。ポンプ部品の組み立ては、特に締め付け工具を設定するために少なくとも一つの手工具が必要な場合には、労働集約的でかつ時間のかかる作業である。従って、戻り止め機能をもつ部品から手作業で組み立てことができる小形膜ポンプが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
小形膜ポンプの多くでは、膜の直線的往復運動の軸に対して90°の角度で圧力ポートおよび真空(減圧)ポートを設定している。この設計の場合、例えば、少なくとも三つの個別なハウジング部品が必要な上に、これらを積層状態で配置接続する必要がある。圧力ポートおよび減圧ポートを上記のように配向配設したポンプの組み立てコストを削減し、組み立て時間を短縮するためには、ハウジングを単に2つのプレハブ式部品で構成し、これらを配置接続する必要がある。
【0004】
本発明は、戻り止め機能をもつ部品から手作業で組み立てることができる小形膜ポンプを提供するものである。本発明によれば、従来の小形膜ポンプに比較して、膜ポンプの組み立てに必要なコストを削減でき、必要な時間を短縮できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ポンプのハウジングの部品は、わずか2つである。二構成成分ハウジングは、上部部品と下部部品からなり、これらを第1および第2の追従接続界面にそって接続し、内部ポンプ室、外部圧力ポート、外部減圧ポート、およびこれら外部ポートを内部ポンプ室に接続する流体連絡チャネルを形成する。好ましくは、第1接続界面および第2接続界面については、相互に傾斜配設する。好適な実施態様では、下部部品の第1および第2接続界面を鈍角で設定配設し、上部構成成分の第1および第2接続界面を180°以上の角度で設定配設する。
【0006】
下部部品および上部部品それぞれは、ハウジングの外面を形成する複数の外面を有する。下部部品は、ベース部を有する。このベース部の一端に弁ブロックを形成し、ベース部の他端に第1接続界面および膜座を形成する。弁ブロックは、それぞれ対向する外側側面、外側後面、および第2内部接続界面を有する。圧力ポートおよび減圧ポートは、弁ブロックの外側後面に形成する。それぞれ圧力ポートおよび減圧ポートから弁ブロックを介して第2接続界面までチャネルを延設する。
【0007】
上部部品はベース部を有する。ベース部の一端に内部キャビティおよび第1接続界面を形成する。ベース部の他端に弁ヘッドを形成する。この弁ヘッドは、第2接続界面を有する。第2接続界面から弁ブロックを介して内部キャビティまでチャネルを延設する。上部部品および下部部品は整列配置し、そして第1構成成分および第2構成成分を接続したときに、ハウジングの流体連絡チャネルを形成する。
【0008】
本発明ポンプは、第1内部界面および第2内部界面が相互に接触した状態で、上部部品を下部部品に戻り止め方式で固着する手段を有する。この戻り止め式固着手段は、上部および下部部品の両接続界面に圧縮力を作り出す。好適な実施態様では、戻り止め式固着手段は、ハウジングカバーからなる。このハウジングカバーは、上部および下部部品にすべり係合し、両者を固着する。また、このハウジングカバーは、それぞれ対向する内部エッジを有し、これらは上部および下部部品の外面に係合する。これらエッジは、カバー内面にテーパ加工溝を有し、上部および下部部品の細長い外部エッジにすべり係合する。好適な実施態様では、ハウジングカバーは、下部部品に係合するスナップロック機構を有する。一つの好適な実施態様では、このスナップロック機構は、ハウジングカバーの切欠きに連動係合する、第1部品の外側側面から突出する戻り止めからなる。
【0009】
別な実施態様では、戻り止め式固着手段は、上部および下部部品を固着するクリップからなる。別な実施態様では、戻り止め式固着手段は、それぞれ、上部および下部部品に一体形成した相互固着するタブおよびスロットからなる。
【0010】
本発明の膜ポンプは、回転出力軸を有するモータ、およびハウジング内部に取り付けられるとともに、ポンプ軸に接続された直線的に振動する膜を有する。ハウジングは、モータをハウジングに戻り止め方式で固着する手段を有する。好適な実施態様では、下部部品は、ポンプモータを下部部品に接続するように構成したポンプ取り付け部材を有する。このポンプ取り付け部材は、下部部品に一体形成する。一つの実施態様では、ポンプ取り付け部材は、下部部品に設けた一対の弾性変形可能な、U字形部材からなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の膜ポンプを図1〜18について説明する。なお、図面全体を通じて、同じ符号は、同じ構成要素を示す。また、“手作業で組み立てる”とは、どのような種類の工具も使用せずに、手作業で組み立てることを意味するものとする。同様に、各部品に適用される“戻り止め”とは、外部固着工具、接着剤またはその他の構成部材を使用せずに、各部品を相互に係合かつ固着できることを意味するものとする。
【0012】
各図において、本発明の好適な実施態様による膜ポンプは、参照符号10で示す。この好適な実施態様では、ポンプ10は、戻り止め機能をもつ部品から手作業で組み立てることができる。
【0013】
図3および図4について説明すると、ポンプ10は、下部部品即ち第1部品14および上部部品即ち第2部品40からなる二部品構成のハウジングからなる。これら部品14、40を第1および第2の追従接続界面にそって接続し、内部ポンプ室、外部圧力ポート27、外部真空(減圧)ポート25、および外部ポート25、27を内部ポンプ室に接続する流体連絡チャネルを形成する。一つの実施態様では、圧力ポート25および減圧ポート27は、長手方向に延長する平行で同一平面にある軸を有する。
【0014】
上部ハウジング部品40については、射出成型によって単一の一体的な部品として構成するのが好ましい。同様に、上部ハウジング下部部品14についても、射出成型によって単一の一体的な部品として構成するのが好ましい。また、これらハウジング部品14、40は、化学的耐性のある射出成型性材料から製作するのが好ましい。下部部品14を構成する材料についても、以下に説明するように、U字形モータ取り付け部が、モータの取り付け時に撓むことができるように、弾性的に変形できる材料を使用することが好ましい。例えば、上下部の部品40、14はポリプロピレンで製作することができる。
【0015】
下部部品14は、全体として長方形の平面ベース部を有する。図3および図4に示す向きについて説明すると、ベース部上側の一端に、底の無いキャビティ22および第1内部接続界面18を形成し、ベース部上側の他端に弁ブロック24を形成する。ベース部の底側面から一対のU字形モータ取り付け部36a、36bを延設し、第1内部接続界面18内に一対の位置合わせボア34を形成する。
【0016】
第1内部接続界面18は、全体としてベース部と同一面にあり、底の無いキャビティ22外周を取り囲む。キャビティ22の外周に凹部を形成した膜座20を形成する。この膜座20に、キャビティ22内を往復運動する弾性膜76を着座させる。
【0017】
弁ブロック24については、下部部品14のベース部と一体化するのが好ましい。弁ブロック24の外面は、それぞれ対向する側面26a、26bおよび後側面26cを有する。弁ブロック24の第2内部接続界面28は、第1内部接続界面18と連続的に接しているが、向きは上向きであり、かつ図5に示すように、第1内部接続界面18に対して角度θ1で傾斜している。好適な実施態様では、この角度θ1はほぼ135°である。なお、角度θ1については、増減することができるが、角度θ1を90°〜135°の間にある値に設定すると、ポンプの外形または高さが大きくなり、一方角度θ1を大きくすると、各部品の製造が困難になるだけでなく、これは、以下に説明するように、弁の性能に悪影響を持つことになる。
【0018】
図4について説明すると、減圧ポート25および圧力ポート27は、弁ブロック24の後側面26cに形成する。吸気チャネル30および排気チャネル32は、外部後側面26cから弁ブロック24を介して第2内部接続界面28の凹部を形成した部分28aまで延設する。戻り止め38は、外側面26A、26bから外向きに延設する。
上部部品40も全体として長方形の平面ベース部を有する。図10および図11に詳しく図示するように、またそこに向きを示すように、上部部品の凹状キャップ部46を底面の一端に形成する。このキャップ部46が、内部膜室の上部境界になる。第1内部接続界面44が、キャップ部46の外周周囲に存在するとともに、全体としてベース部と同一平面に存在する。キャビティキャップ部46の外周に凹部膜座45を形成する。この膜座45の着座した弾性膜76がキャップ部46内を往復運動する。
【0019】
上部部品40の他端に弁ヘッド48を一体形成する。弁ヘッド48の第2内部接続界面50は、第1内部接続界面44に連続的に接するが、第1内部接続界面44の面に対して角度θ2で傾斜している。好適な実施態様では、角度θ2は、図5に示すように、ほぼ225度であるのが好ましい。なお、角度θ2については、増減することができるが、角度θ2を135°〜270°の間にある値に設定すると、ポンプの外形または高さが大きくなり、一方角度θ2を小さくすると、各部品の製造が困難になるだけでなく、これは、以下に説明するように、弁の性能に悪影響を持つことになる。吸気チャネル52および排気チャネル54を第2内部接続界面44から弁ヘッド48を介してキャップ部46の内部まで延設する。
【0020】
さらに図10および図11について説明すると、上部部品40の第1内部接続界面44から下向きに一対の位置合わせピン56を配設する。これら位置合わせピン56については、上部部品40と一体的に形成するのが好ましく、下部部品14の第1内部接続界面18に形成した位置合わせボア34に係合するものである。上部部品40および下部部品14は、それぞれ、第1内部接続界面18、44および第2内部接続界面28、50を重ねることによって組み立てる。一端接続すると、吸気チャネル30、52および排気チャネル32、54は位置が整合し、減圧ポート25、圧力ポート27と内部膜室との間に連続的な流体流路が形成する。
【0021】
ポンプ10のモータ60は、下部部品14の下側に着脱自在に取り付ける。図3および図4に示すように、モータ60としては、外部ハウジング62、駆動シャフト64、電気リード線65、およびハウジング62各端部のシャフトハブ66a、66bを有する通常の小形DCモーとが好ましい。このモータ60は、下部部品14の底面から下向きに延設した取り付けU字形部36a、36bに取り付ける。これら取り付けU字形部36a、36bについては、図2および図5に示すように、シャフトハブ66a、66bがU字形部36a、36bに着座した状態で、U字形部36a、36bがモータハウジング62を跨ぐように間隔をおいて設ける。
【0022】
内部ピストン体は、図3および図4に示すように、ピストン70、膜76、膜キャップ78、弁ガスケット80、ベアリング体82、および釣り合せ偏心ピン84を有する。ピストン70は、好ましくは一体ユニットとして形成したピストンヘッド72およびピストンアーム74を有するのが好ましい。2つの取り付けポスト73にピストンヘッド72を形成するとともに、これらポスト73をピストンヘッド72の上面に対して横断方向に延設する。ピストンアーム74の底部にアイレット87を形成する。
【0023】
膜76は、ピストンヘッド72の取り付けポスト73に位置が整合する2つの開口77を有する。膜76は、取り付けポスト73に係合する膜キャップ78によってピストンヘッド72に固定する。ピストン体は戻り止め機能を持ち、膜キャップ78を取り付けポスト73にスナップ嵌めすることによって手作業で組み立てることができる。膜76は、膜76の外周に存在するリブ部79を有するのが好ましい。このリブ部79は、下部部品14の膜座20および上部部品40の膜座45に着座する。一つの実施態様では、ピストン体は、外部圧力ポートおよび減圧ポートの長手軸線に対して垂直な軸にそって線形的に振動する。なお、圧力ポートおよび減圧ポートに関しては、これらの角度はピストン体の振動軸に対して垂直でなくてもよい。
【0024】
ピストン70および膜キャップ78については、化学的耐性をもつ射出成形可能なポリプロピレンなどの材料で製作するのが好ましい。ここで、膜70については、化学的耐性をもつ弾性材料、例えば、シリコーンゴム、ブチルゴムあるいはエチレンプロピレンゴム(EPDM)から構成するのが好ましい。特に好ましいのは、膜をブチルゴムまたはEPDMで構成することである。
【0025】
モータ駆動シャフト64には、ピストン体を直線的に振動させるために、釣り合い偏心ピン84およびベアリング体82を設ける。即ち、ベアリング体82をピストンアーム74のアイレット87に設け、偏心ピン84をモーターシャフト64に設ける。偏心ピン84、ベアリング体82、ピストンアーム74および駆動シャフト64は、締り嵌めによって接続する。従って、ピストン体およびベアリング体の各部品は、戻り止め機能をもち、手作業で各部品をプレスすることによって組み立てることができる。
【0026】
ガスケット80は、下部部品14および上部部品40それぞれの第2内部接続界面28、50の間の界面に着座する。図8について説明すると、下部部品14の第2内部接続界面28は、凹部28aを有し、ここにガスケット80を着座させる。
【0027】
図9について説明すると、ガスケット80は、リブ部88をガスケット80の外周周囲に形成した平坦な、全体として長方形の弾性材料で構成する。このリブ88がガスケット80を二分し、排気側80bから吸気側80aを分離する。蹄鉄形の開口90が、ガスケット80の吸気側80aに吸気フラップ92を形成する。同じように、半円形の開口94が、ガスケット80の排気側80bに排気フラップ96を形成する。
【0028】
図8について説明すると、排気チャネル32に近接する下部部品の第2界面28に大きなポケット97を形成する。このポケット97の中間に隔膜98を形成する。この隔膜98が、ポケット97内の排気フラップ96の移動路を制限する。同様に、図10および図11について説明すると、吸気チャネル52に近接する上部部品の第2界面50に大きなポケット95を形成する。このポケット95の中間に隔壁99を形成する。この隔膜が、ポケット95内の吸気フラップ92の移動路を制限する。
【0029】
好ましい実施態様では、カバー100が上部部品40を下部部品14に固着するとともに、ポンプ10が発生するノイズの発生量を抑制する。図4に詳しく図示するように、カバー100は、長手軸線Lにそって対称な不規則な形状を有する。即ち、カバー100は上壁102、それぞれ対向する側壁104、106、下壁108、後端107および前端109を有する。図12について説明すると、各側壁104、106の内面に、カバー100の一対の長手方向に走る、内向きエッジ110、112を形成する。
【0030】
好適な実施態様では、エッジ110、112は、斜めに配設する。第1エッジ110が、下部部品14の長手方向に走るエッジの下側に係合し、第2エッジ112が、上部部品40の長手方向に走るエッジの上側に係合する。即ち、第1エッジ110および第2エッジ112の長手軸線を斜めに設定し、これらの軸線が、カバー100の後端107から前端109に向かって収束するように構成する。エッジ110、112の軸線のテーパが、上下部品40、14の長手方向に走るエッジのテーパ角度の向きに全体として追従し、かつカバー100を取り付けたときに、長手方向に走るエッジを圧縮するように構成する。このカバー100が、上下の部品40、14の両接続界面に圧縮力を発生する。
【0031】
カバー100の各側壁104、106は、後端107に近接して長方形の開口114を有する。この開口114については、下部部品14の側面26a、26bそれぞれに形成した戻り止め38に係合するとともに、カバー100を下部部品14に固着するようにサイズ、構成を設定する。
【0032】
ポンプ10の各部品は、戻り止め機能をもつため、余計な締め付け工具や接着剤を利用しなくとも、迅速に手作業で組み立てることができる。また、各部品は、手作業によるスナップ固着やプレス嵌めなどによっても組み立てることができる。
【0033】
本発明の好適な実施態様では、最初に、モータ60を下部部品14に据え付ける。具体的には、図5に示すように、前部シャフトハブ66aが前取り付け部36aに着座するまで、前取り付け部36aに所定角度で駆動シャフト64を挿入することによってモータ60を据え付ける。次に、モータ60の後端を上方に押し上げると同時に、後取り付け部36bに後シャフトハブ66bが着座するまで、後取り付け部36bを撓ませる。
【0034】
次に、モータの駆動シャフト64に、ピストン70、ベアリング体82および釣り合い偏心ピン84を接続する。一つの実施態様では、ピストンアーム74のアイレット87にベアリング体82をプレス嵌めする。次に、ベアリング82に偏心ピン84をプレス嵌めしてから、駆動シャフト64にプレス嵌めする。
【0035】
ピストンヘッド72を内部キャビティ22に挿入した状態で、取り付けポスト73に膜キャップ78をプレス嵌めすることによってピストンヘッド72に膜76を固着する。下部部品14の第2内部接続界面28の凹部28aに弁ガスケット80を装着する。
【0036】
内部部品を一旦組み立てた後は、上下部品40、14の位置が整合し、これらが相互に固着することになる。上部部品40と下部部品14との位置を合わせるには、上部部品40の位置合わせポスト56を下部部品14の位置合わせボア34に挿入する。図6および図7に示すように、次に、下部部品14の戻り止め38がカバー100側部のスロット114にスナップ嵌めするまで、カバー100を両部品に滑り嵌めする。カバー100の内部エッジ110、112が上下部品40、14の外側の長手方向に走るエッジに係合し、これらを圧縮し、上下部品を締め付ける。そして、カバーが、上下部品40、14それぞれの第1および第2接続界面を圧縮する。
【0037】
膜ポンプの別な実施態様を図13〜図15に参照符号210で示す。この膜ポンプ210の場合、上下部品240、214が戻り止め機能をもち、上記のカバー100などの別な固着要素を必要としない点を除けば、上記のポンプ10と構成が同じである。図示を明確にするために、ピストン体の各部品を図13〜図15から省略してある。
【0038】
このポンプ210は、下記の点を除いて、上記の上下部品40、14と構成が同じ上下部品240、214を有する。なお、ポンプ210の場合、上下部品240、214を接続するカバーはもたないが、上下部品240、214をスナップ固着して手作業で組み立てることができるように、上下部品240、214にスナップ固着手段を一体的に形成する。
【0039】
図13および図14に示すように、下部部品214の前端は、上部部品のノーズ242に係合するノーズクリップ216を有する。図14に示すように、上部部品240は、第2接続界面250に固着され、これから延設する一対の対向タブ243を有する。図13に示すように、下部部品214は第2接続界面228に形成された一対の対向スロット229を含む。上下部品240、214の接続は、ノーズ242をノーズクリップ216に挿入してから、上部部品240のタブ243が下部部品214のスロット229内にスナップ固着するまで、ノーズ242の周りで上部部品240を回動することによって行う。
【0040】
膜ポンプのさらに別な実施態様を図16〜図17に参照符号310で示す。膜ポンプ310の場合、カバー100の代わりに固着クリップ345を利用する点を除くと、上記のポンプ10と構成は同じである。図示を明確にするため、ピストン体の各部品は、図16〜図17から省いてある。
【0041】
ポンプ310は、上記の上下部品40、14と構成が同じ上部部品340および下部部品314を有する。なお、ポンプ310は上下部品340、314を接続するカバーをもたないが、上下部品340、314の固着は、2つのクリップ345を利用して行う。これらクリップ345が、それぞれ上下部品340、314の第1および第2接続界面を圧縮する。
【0042】
図15に示すように、クリップ345の構成は、上記のカバー100の長手方向に走る内向きエッジ110、112と同じである。クリップ345の上下内部エッジ347、349のテーパ角度の向きは、斜めであり、上下部品240、214の長手方向に走るエッジのテーパ角度の向きに全体として追従し、かつクリップ345を取り付けたときに、長手方向に走るエッジを圧縮するように構成する。上下部品340、314の接続は、上下部品340、314を重ねてから、上下部品340、314が強く圧縮されるまで、長手方向に走るエッジにそって前から後にクリップを滑らせて行う。
【0043】
本発明の別な実施態様では、膜ポンプ410をピペットガン400内に配設し、ピペット417から流体を送り出す。図18に示すように、ピペットガン400のハウジング401は、握り部分402および向きがこの握り部分に対して横断方向にあるバレル部分403を有する。バレル部分403の端部にピペットコネクタ407を固着し、向きを横断方向に設定する。
【0044】
膜ポンプ410は、ピペットガン400のハウジング401の内部に設ける。この膜ポンプとしては、上記のポンプ実施態様のいずれかを使用することができる。内部導体409がポンプ410をピペットコネクタ407に接続する。そして、握り部分の陽圧空気流トリガ411および陰圧空気流トリガ413をポンプ410に接続し、ピペットコネクタ407を通る陽圧空気または陰圧空気の流量を選択的に調節する。
【0045】
以上、具体的な実施態様について本発明の原理を説明してきたが、説明は、いずれも例示のみを目的とし、発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施態様による膜ポンプの第1斜視図である。
【図2】図1に示した膜ポンプの第2斜視図である。
【図3】図1に示した膜ポンプの分解斜視図である。
【図4】図1に示した膜ポンプの分解斜視図である。
【図5】図1に示した膜ポンプの下部部品にモータが取り付けられた状態を示す側面図である。
【図6】図1に示した膜ポンプの上下部品上にカバー(一部破断)が取り付けられた状態を示す側面図である。
【図7】図1に示した膜ポンプの上下部品上にカバー(一部破断)が取り付けられた状態を示す側面図である。
【図8】図3に示した下部部品の第2接続界面の拡大斜視図である。
【図9】図3に示した弁ガスケットの拡大上面図である。
【図10】図3に示した上部部品の下面図である。
【図11】図3に示した上部部品の斜視図である。
【図12】図4の軸線L−Lに関するカバーの横断面図である。
【図13】本発明の別な実施態様による膜ポンプの斜視図である。
【図14】本発明の別な実施態様による膜ポンプの斜視図である。
【図15】本発明の別な実施態様による膜ポンプの斜視図である。
【図16】本発明のさらに別な実施態様による膜ポンプの斜視図である。
【図17】本発明のさらに別な実施態様による膜ポンプの斜視図である。
【図18】本発明の一実施態様による膜ポンプを設けたピペットガンを示す概略図である。
【符号の説明】
【0047】
10:膜ポンプ、
14:下部ハウジング部品、
18:接続界面、
20:膜座、
22:キャビティ、
24:弁ブロック、
25:外部減圧ポート、
27:外部圧力ポート、
28:接続界面、
30、52;吸気チャネル
32、54:排気チャネル、
38:戻り止め、
40:上部部品、
44:接続界面、
45:膜座、
60:モータ、
62:外部ハウジング、
64:駆動シャフト、
70:ピストン、
72:ピストンヘッド、
73:取り付けポスト、
74:ピストンアーム、
76:膜、
78:膜キャップ、
80:弁ガスケット、
82:ベアリング体、
96:排気フラップ、
97:ポケット、
98:隔壁、
100:カバー、
210:膜ポンプ、
310:膜ポンプ、
400:ピペットガン
410:膜ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜ポンプにおいて、
a)相互に向きが傾斜している第1接続界面および第2接続界面を有する第1部品および第2部品、
b)内部ポンプ室、
c)外部圧力ポートおよび外部減圧ポート、
d)上記外部ポートを上記内部ポンプ室に接続する内部流体連絡チャネル、および
e)上記第1接続界面および上記第2接続界面が相互に重なり接触した状態で、上記第1部品を上記第2部品に固着する手段を有することを特徴とする膜ポンプ。
【請求項2】
上記第1部品、上記第2部品および上記固着手段が手作業で組み立てることができる請求項1記載の膜ポンプ。
【請求項3】
上記固着手段が、上記第1部品および上記第2部品それぞれの少なくとも一部を封入するカバーを有する請求項2記載の膜ポンプ。
【請求項4】
上記固着手段が、上記第1部品および上記第2部品を締め付けるクリップを有する請求項2記載の膜ポンプ。
【請求項5】
上記第1部品および上記第2部品の少なくとも一つに上記固着手段を一体形成し、これら部品が戻り止め機能を有し、かつこれら部品を手作業で組み立てることができるように構成した請求項1記載の膜ポンプ。
【請求項6】
上記第1部品および上記第2部品のそれぞれが、上記膜ポンプの外面を形成する複数の外面を有する請求項1記載の膜ポンプ。
【請求項7】
上記第1部品がベース部、このベース部の一端に形成した弁ブロック、およびこのベース部の他端に形成した第1接続界面および膜座を有する請求項6記載の膜ポンプ。
【請求項8】
上記弁ブロックがそれぞれ対向する側面、外部後面および第2内部接続界面を有する請求項7記載の膜ポンプ。
【請求項9】
上記圧力ポートおよび上記減圧ポートを上記弁ブロックの上記外部後面に形成した請求項8記載の膜ポンプ。
【請求項10】
上記弁ブロックがそれぞれ上記圧力ポートおよび上記減圧ポートから上記第2接続界面に走る圧力チャネルおよび減圧チャネルを有する請求項9記載の膜ポンプ。
【請求項11】
上記第2部品がベース部、このベース部の一端に形成した内部キャビティおよび第1接続界面、およびこのベース部の他端に形成した弁ヘッドを有する請求項10記載の膜ポンプ。
【請求項12】
上記弁ヘッドが第2接続界面、および上記第2接続界面から上記弁ブロックを介して上記内部キャビティまで走る圧力チャネルおよび減圧チャネルを有する請求項11記載の膜ポンプ。
【請求項13】
上記第1部品および上記第2部品の上記圧力チャンネルおよび上記減圧チャネルが、上記第1部品および上記第2部品を組み立てたときに、位置が整合し、上記流体連絡チャネルを形成する請求項12記載の膜ポンプ。
【請求項14】
上記第1部品の上記第1接続界面および上記第2接続界面の向きが鈍角である請求項1記載の膜ポンプ。
【請求項15】
上記第2部品の上記第1接続界面および上記第2接続界面の角度を180°以上に設定した請求項1記載の膜ポンプ。
【請求項16】
上記第1部品が、ポンプモータを上記第1部品に接続する取り付け部を有する請求項1記載の膜ポンプ。
【請求項17】
上記ポンプモータ取り付け部を上記第1部品と一体形成した請求項16記載の膜ポンプ。
【請求項18】
上記カバーが上記第1部品および第2部品に滑り係合し、かつこれらを締め付ける請求項3記載の膜ポンプ。
【請求項19】
上記カバーが、上記第1部品および上記第2部品の外面に係合するそれぞれ対向した、内部エッジを有する請求項18記載の膜ポンプ。
【請求項20】
上記エッジが、上記カバーの内部にテーパ溝を有し、上記第1部品および上記第2部品の外面が、これらテーパ溝に係合する細長い外部エッジを有する請求項19記載の膜ポンプ。
【請求項21】
上記カバーが上記第1部品に係合するスナップ固着手段を有する請求項3記載の膜ポンプ。
【請求項22】
上記スナップ固着手段が、上記第1部品の外側面から突出した戻り止め、および上記カバーの切欠きを有する請求項21記載の膜ポンプ。
【請求項23】
手作業で組み立てることができる膜ポンプにおいて、
a)それぞれが第1接続界面および第2接続界面を有する第1ハウジング部品および第2ハウジング部品、内部ポンプ室、外部圧力ポート、外部減圧ポート、および上記外部ポートを上記内部ポンプ室に接続する流体チャンネルを有するハウジング、
b)上記第1接続界面および上記第2接続界面が相互に重なり接触した状態で、上記第1部品を上記第2部品に固着する手段、
c)上記ハウジング部品の一つに取り付けられ、回転出力シャフトを有するモータ、および
d)上記ハウジングに設けられ、かつ上記ポンプシャフトに接続された直線的に振動する膜を有することを特徴とする膜ポンプ。
【請求項24】
上記第1部品、上記第2部品、および上記固着手段が、戻り止め機能を有する請求項23記載の膜ポンプ。
【請求項25】
上記固着手段が、上記第1部品および上記第2部品に係合し、かつこれらを締め付けるとともに、上記第1部品および上記第2部品の少なくとも一部を封入するカバーを有する請求項24記載の膜ポンプ。
【請求項26】
上記カバーが、上記カバーの内部にそれぞれ対向するテーパ溝を有し、上記第1部品および上記第2部品の外面が、これらテーパ溝に係合する細長い外部エッジを有する請求項25記載の膜ポンプ。
【請求項27】
上記カバーが、上記第1部品に係合するスナップ固着手段を有する請求項26記載の膜ポンプ。
【請求項28】
上記スナップ固着手段が、上記第1部品の外側面から突出した戻り止め、および上記カバーの切欠きを有する請求項27記載の膜ポンプ。
【請求項29】
上記固着手段が、上記第1部品および上記第2部品を締め付けるクリップを有する請求項24記載の膜ポンプ。
【請求項30】
上記第1部品および上記第2部品の少なくとも一つに上記固着手段を一体形成し、これら部品が戻り止め機能を有するように構成した請求項23記載の膜ポンプ。
【請求項31】
上記第1接続界面および第2接続界面が相互に傾いている請求項23記載の膜ポンプ。
【請求項32】
上記第1部品に、上記モータを上記ハウジングに戻り止め方式で固着する戻り止め式モータ取り付け部を有する請求項23記載の膜ポンプ。
【請求項33】
上記の戻り止め取り付け部が、上記第1部品に一体的に形成した一対の弾性変形可能なU字形取り付け部を有する請求項30記載の膜ポンプ。
【請求項34】
手作業で組み立てることができる膜ポンプにおいて、
a)第1軸線にそって膜が直線的に振動する内部室を形成する第1ハウジング部品および第2ハウジング部品、この第1軸線に対して垂直な長手方向に走る軸線をもつ外部圧力ポートおよび減圧ポート、およびこれら外部ポートを上記の内部室に接続する内部流体連絡チャネルからなるハウジング、
b)上記ハウジングに取り付けられ、回転出力シャフトを有するモータ、
c)上記内部室において直線的に振動する膜、および
d)上記膜を上記ポンプシャフトに接続するピストンアームを有する膜ポンプ。
【請求項35】
上記ハウジング部品が、戻り止め方式のハウジング部品である請求項34記載の膜ポンプ。
【請求項36】
各ハウジング部品が、上記ハウジング部品を接続したときに重なる第1および第2接続界面を有する請求項35記載の膜ポンプ。
【請求項37】
各ハウジング部品の上記第1接続界面および第2接続界面が、相互に傾いている請求項36記載の膜ポンプ。
【請求項38】
上記ハウジングが、さらに、上記部品を固着する手段からなる請求項34記載の膜ポンプ。
【請求項39】
各ハウジング部品が、上記ハウジング部品を接続したときに重なる第1および第2接続界面を有する請求項38記載の膜ポンプ。

【請求項40】
各ハウジング部品の上記第1接続界面および第2接続界面が、相互に傾いている請求項39記載の膜ポンプ。
【請求項41】
少なくとも一つの平面状の接続海面にそって接続する第1部品および第2部品からなり、これら部品が、内部ポンプ室、外部圧力ポート、外部減圧ポート、およびこれら外部ポートを上記内部室に接続する内部流体チャネルを形成し、そして上記圧力および減圧ポートが、少なくとも一つの平面状界面に平行な平面を形成する長手方向に走る軸線を有することを特徴とする2部品膜ポンプ。
【請求項42】
上記第1部品および上記第2部品が、平面状の第2接続界面にそって接続する請求項41記載の膜ポンプ。
【請求項43】
上記第1接続界面および上記第2接続界面は、向きが相互に横断方向にある請求項42記載の膜ポンプ。
【請求項44】
戻り止め方式の部品から手作業で膜ポンプを組み立てる方法において、
a)第1および第2追従接続界面にそって接続し、かつ内部ポンプ室、外部圧力ポート、外部減圧ポート、およびこれら外部ポートを上記内部室に接続する流体連絡チャネルを形成する二部品ポンプハウジングを準備する工程、
b)回転出力シャフトをもつモータを準備する工程、
c)直線的に往復運動する膜、ピストンアームおよびベアリング体を有するピストン体を準備する工程、および
d)上記ハウジング、モータ、およびピストン体を戻り止め方式によって固着することによって手作業で膜ポンプを組み立てる工程を有することを特徴とする組み立て方法。
【請求項45】
手作業によって組み立てることができる膜ポンプにおいて、
a)弾性膜が振動する内部室、外部圧力ポート、外部減圧ポート、およびこれら外部ポートを上記内部室に接続する内部流体連絡チャネルを形成する第1ハウジング部品および第2ハウジング部品からなるハウジング、
b)上記内部室において直線的に振動する膜、および
c)膜駆動モータを有する膜ポンプを有することを特徴とする膜ポンプ。
【請求項46】
ピペットガンにおいて、
a)握り部分、およびこの握り部分に対して向きが横断方向にあるバレル部分を有するガンハウジング、
b)上記バレル部分に固定され、向きがこのバレル部分に対して横断方向にあるピペットコネクタ、
c)手作業によって組み立てることができる膜ポンプであって、
i)それぞれが第1および第2接続界面を有する第1および第2ハウジング部品、内部ポンプ室、外部圧力ポート、外部減圧ポート、およびこれら外部ポートを上記内部室に接続する流体連絡チャネルを有するハウジング、
ii)上記第1接続界面および上記第2内部接続界面が相互に重なり接触した状態で、上記第1部品を上記第2部品に固着する手段、
iii)上記ハウジング部品の一つに取り付けられ、回転出力シャフトを有するモータ、および
iv)上記ハウジングに配設され、かつ上記ポンプシャフトに接続された、直線的に振動する膜を有する膜ポンプ、
d)上記ポンプを上記ピペットコネクタに接続する内部導体、および
e)上記ガン握り部分に設けられ、かつ上記ポンプに接続されて陽圧空気圧または陰圧空気圧のいずれかを選択的調節し、これを上記ピペットコネクタに送る陽圧空気流トリガおよび陰圧空気流トリガを有することを特徴とするピペットガン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2007−526422(P2007−526422A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501905(P2007−501905)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/006614
【国際公開番号】WO2005/085641
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(506295621)ドラモンド サイエンティフィック カンパニー (3)
【氏名又は名称原語表記】DRUMMOND SCIENTIFIC COMPANY
【住所又は居所原語表記】500 Parkway,Broomall,PA 19008 USA
【Fターム(参考)】