説明

膜分離設備および膜分離装置および膜分離設備の運転方法

【課題】運転コストを抑制することが可能な膜分離設備を提供することを目的とする。
【解決手段】被処理水2を貯留する処理槽3と、処理槽3内の被処理水2に浸漬されて配置され且つろ過膜を透過した処理水5を得る膜分離装置6とを有し、膜分離装置6は、水平方向に隣接して配置される複数の膜ユニット7,8と、これらの膜ユニット7,8の周囲を取り囲んで膜ユニット7,8と処理槽3との間を仕切る壁体9を有し、壁体9の膜ユニット7,8より上部に、被処理水2を壁体9の内外に出し入れする連通部28が備えられ、膜ユニット7,8はそれぞれ、下部に、散気量を調整可能な散気装置12,13を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば下廃水や浄水等の被処理液を固液分離する膜分離設備および膜分離装置および膜分離設備の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の膜分離設備としては、例えば図17に示すように、反応槽81と固液分離槽82とが隣接して備えられ、固液分離槽82内には、汚泥混合液である被処理液83に浸漬されて配置され且つろ過膜を透過した処理液を得る膜分離装置85が備えられている。膜分離装置85は水平方向に隣接して配置される複数の膜ユニット86を有している。また、各膜ユニット86はそれぞれ、複数のろ過膜を有すると共に、下部に、散気装置87を備えている。
【0003】
反応槽81内の底部には補助散気装置88が設けられている。反応槽81と固液分離槽82とは仕切壁89で仕切られている。また、被処理液83を反応槽81内から固液分離槽82内へ供給する供給配管90が設けられ、供給配管90には供給ポンプ91が設けられている。仕切壁89には、固液分離槽82内の被処理液83を反応槽81内に返送する返送用開口部92が形成されている。
【0004】
これによると、供給ポンプ91が稼動することにより、反応槽81内の被処理液83が供給配管90を通って固液分離槽82内へ供給され、これに応じて、固液分離槽82内の被処理液83が返送用開口部92を通って反応槽81内に返送される。これにより、反応槽81と固液分離槽82との間で被処理液83が循環する。
【0005】
複数の膜ユニット86のうちの一部の膜ユニット86の散気装置87から大量の散気を行うと共に残部の膜ユニット86の散気装置87から少量の散気を行うことにより、一部の膜ユニット86に被処理液83の上昇流93を発生させると共に残部の膜ユニット86に被処理液83の下降流94を発生させる。一部の膜ユニット86のろ過膜の膜面は上昇流93によって洗浄される。
【0006】
また、残部の膜ユニット86の散気装置87から下降流94中に放出された気泡は、下降流94に抗して浮上するため、見掛けの上昇速度が低減され、横方向へ漂いながら広範囲を移動して浮上する。これにより、残部の膜ユニット86のろ過膜の膜面は気泡および気泡の動きに付随する局所的な流れ(乱流)によって広範囲にわたり洗浄され、ろ過膜の端部等に付着した付着物が剥離せずに残ってしまうのを防止することができる。
【0007】
尚、上記のような膜分離設備は下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−246357
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記の従来型式において、反応槽81と固液分離槽82とを個別に設け、固液分離槽82内に膜分離装置85を設けているため、反応槽81と固液分離槽82との間で被処理液83を循環させるのに、供給配管90と供給ポンプ91とが必要となり、供給ポンプ91を稼動させるための電力コスト等の運転コストが上がるといった問題がある。
【0010】
本発明は、運転コストを抑制することが可能な膜分離設備および膜分離装置および膜分離設備の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明における膜分離設備は、被処理液を貯留する処理槽と、処理槽内の被処理液に浸漬されて配置され且つろ過膜を透過した処理液を得る膜分離装置とを有し、
膜分離装置は、水平方向に隣接して配置される複数の膜ユニットと、これら複数の膜ユニットと処理槽との間を仕切る壁体を有し、
壁体の膜ユニットより上部に、被処理液を壁体の内外に出し入れする連通部が備えられ、
隣接する膜ユニットの下部領域同士が被処理液を介して連通し、
膜ユニットはそれぞれ、下部に散気装置を備えているものである。
【0012】
これによると、複数の膜ユニットのうちの一部の膜ユニットの散気装置から散気を行って、一部の膜ユニットに被処理液の上昇流を発生させる。この上昇流は下部領域を通じて隣接する残部の膜ユニットから引き込まれて流れ込んだ被処理液により形成されるため、残部の膜ユニットには被処理液の下降流が発生することとなる。このような下降流を維持した状態で残部の膜ユニットの散気装置から一部の膜ユニットの散気装置の散気量よりも少量の散気を行う。
【0013】
これにより、一部の膜ユニットのろ過膜の膜面は上昇流によって洗浄される。また、残部の膜ユニットの散気装置から下降流中に放出された気泡は、下降流に抗して浮上するため、見掛けの上昇速度が低減され、横方向へ漂いながら広範囲を移動して浮上する。これにより、残部の膜ユニットのろ過膜の膜面は、下降流によって洗浄されるとともに、気泡および気泡の動きに付随する局所的な流れ(乱流)によって広範囲にわたり洗浄される。従って、ろ過膜の隅部等に付着した付着物が剥離せずに残ってしまうのを防止することができる。
【0014】
また、上昇した上昇流の一部は、壁体の内側から連通部を通って壁体の外側へ流出する。また、壁体の外側の被処理液は、液面付近で下降流に引き込まれ、壁体の外側から連通部を通って壁体の内側へ流入する。これにより、処理槽内の被処理液が連通部を通じて壁体の内側と外側とに循環する。
【0015】
この際、壁体を有する膜分離装置が処理槽内の被処理液に浸漬されているため、連通部がそれぞれの膜ユニットの上方に面している構成にすることができる。このため、連通部を通じて被処理液を広範囲で循環させることができ、被処理液を循環させるための供給ポンプや供給配管が不要となり、運転コストを抑制することができる。
【0016】
本第2発明における膜分離設備は、隣接する膜ユニットの上部領域は仕切部材で仕切られているものである。
これによると、互いに隣接する一方の膜ユニットの散気装置から散気を行って、一方の膜ユニットに被処理液の上昇流を発生させる。この上昇流は下部領域を通じて隣接する残部の膜ユニットから引き込まれて流れ込んだ被処理液により形成されるため、残部の膜ユニットには被処理液の下降流が発生することとなる。このような下降流は、隣接する他方の膜ユニットを流れ、膜ユニットの下部領域を流れる際に反転して、一方の膜ユニットの下部へ引き込まれて流れ込む。これにより、一方の膜ユニットと他方の膜ユニットとにわたって被処理液が上下方向に循環する。
【0017】
本第3発明における膜分離設備は、処理槽内で且つ壁体の外側に、補助散気装置が設けられているものである。
これによると、下廃水等の被処理液を生物処理する際、補助散気装置から処理槽内の被処理液に散気を行うことによって、生物処理に必要な十分な量の酸素を被処理液中に供給することができる。
【0018】
本第4発明は、処理槽内の被処理液に浸漬されて配置され且つろ過膜を透過した処理液を得る膜分離装置であって、
水平方向に隣接して配置される複数の膜ユニットと、これら複数の膜ユニットと処理槽との間を仕切る壁体を有し、
壁体の膜ユニットより上部に、浸漬状態で被処理液を壁体の内外に出し入れする連通部が備えられ、
隣接する膜ユニットの下部領域同士が被処理液を介して連通し、
膜ユニットはそれぞれ、下部に散気装置を備えているものである。
【0019】
本第5発明は、上記第1発明から第3発明のいずれか1項に記載の膜分離設備の運転方法であって、
複数の膜ユニットのうちの一部の膜ユニットの散気装置から散気を行って、一部の膜ユニットに被処理液の上昇流を発生させると共に残部の膜ユニットに被処理液の下降流を発生させ、
下降流を維持した状態で残部の膜ユニットの散気装置から少量の散気を行うものである。
【0020】
これによると、一部の膜ユニットのろ過膜の膜面は上昇流によって洗浄される。また、残部の膜ユニットの散気装置から下降流中に放出された気泡は、下降流に抗して浮上するため、見掛けの上昇速度が低減され、横方向へ漂いながら広範囲を移動して浮上する。これにより、残部の膜ユニットのろ過膜の膜面は気泡および気泡の動きに付随する局所的な流れ(乱流)によって広範囲にわたり洗浄され、ろ過膜の隅部等に付着した付着物が剥離せずに残ってしまうのを防止することができる。
【0021】
本第6発明は、上記第1発明から第3発明のいずれか1項に記載の膜分離設備の運転方法であって、
複数の膜ユニットのうちの一部の膜ユニットの散気装置から散気を行い、残部の膜ユニットの散気装置から散気を行わないものである。
【0022】
これによると、一部の膜ユニットに被処理液の上昇流が発生し、この上昇流は下部領域を通じて隣接する残部の膜ユニットから引き込まれて流れ込んだ被処理液により形成されるため、残部の膜ユニットには被処理液の下降流が発生することとなる。一部の膜ユニットのろ過膜の膜面は上昇流により洗浄される。また、残部の膜ユニットの散気装置から散気を行わなくても、下降流によって残部の膜ユニットのろ過膜の膜面をある程度は洗浄することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によると、連通部を通じて被処理液を広範囲で循環させることができ、被処理液を循環させるための供給ポンプと供給配管とが不要となり、運転コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態における膜分離設備の断面図である。
【図2】同、膜分離設備の平面図である。
【図3】同、膜分離設備の膜ユニットの図であり、(a)は膜ユニットの一部切欠き斜視図、(b)は(a)におけるX方向矢視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における膜分離設備の断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態における膜分離設備の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態における膜分離設備の断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態における膜分離設備の断面図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態における膜分離設備の断面図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態における膜分離設備の断面図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態における膜分離設備の断面図である。
【図11】本発明の第9の実施の形態における膜分離設備の平面図である。
【図12】本発明の第10の実施の形態における膜分離設備の平面図である。
【図13】本発明の第11の実施の形態における膜分離設備の平面図である。
【図14】本発明の第13の実施の形態における膜分離設備の給気装置の図である。
【図15】本発明の第14の実施の形態における膜分離設備の断面図である。
【図16】同、膜分離設備の平面図である。
【図17】従来の膜分離設備の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
先ず、第1の実施の形態について説明する。
【0026】
図1〜図3に示すように、1は生活排水や下水又は工場排水等の有機物を含有する被処理水2(被処理液の一例)を生物処理して固液分離する膜分離設備である。膜分離設備1は、原水供給系35から供給される被処理水2を貯留する処理槽3と、処理槽3内の被処理水2に浸漬されて配置され且つろ過膜4を透過した処理水5(処理液の一例)を得る膜分離装置6とを有している。
【0027】
膜分離装置6は、水平方向に隣接して配置される二台(複数台)の膜ユニット7,8と、これら膜ユニット7,8の周囲を取り囲んで膜ユニット7,8と処理槽3との間を仕切る壁体9を有している。
【0028】
各膜ユニット7,8はそれぞれ、複数枚の平板状の膜エレメント10と、これら膜エレメント10を収める膜ケース11とを有している。各膜エレメント10は、樹脂製の濾板18の両表面にろ過膜4を取付けたものであり、処理水5を導出する処理水導出系19に連通している。各膜エレメント10は、ろ過膜4の膜面を上下方向に沿わせて配置され、所定間隔をあけて平行に並べられている。相対向する膜エレメント10のろ過膜4の膜面間には、上下両方に開放された被処理水2の流路34が形成されている。
【0029】
膜ケース11は、上部に膜充填部を有し、下部にドラフトチューブ部を有している。また、各膜ユニット7,8はそれぞれ、下部に、散気量(吐出風量)を調整可能な散気装置12,13を備えている。尚、散気装置12,13は複数個の散気孔を有する散気管等で構成されている。
【0030】
膜分離設備1には、各散気装置12,13に空気を供給する給気装置14が設けられている。給気装置14は、送風機15と、送風機15と各散気装置12,13との間に接続される複数の給気管16とを有している。各給気管16には、各散気装置12,13に供給される空気の流量を調整するためのバルブ17が設けられている。尚、バルブ17には自動流量調整弁等が用いられており、バルブ17の開度を増大すると、散気量が増加し、バルブ17の開度を縮小すると、散気量が減少し、バルブ17を全閉すると、散気量が0すなわち散気が行われない。
【0031】
壁体9は、上面が開放された四角形の箱状構造を有しており、四角枠状の側壁部20と、側壁部20の下端部を閉じる底壁部21とを備えており、処理槽3内の中央部分に設置されている。
【0032】
互いに隣接する膜ユニット7,8の上部領域22同士が被処理水2を介して連通するとともに下部領域23同士が被処理水2を介して連通している。また、膜ユニット7,8間は、上部領域22と下部領域23との間の領域において、仕切板25(仕切部材の一例)で仕切られている。尚、仕切板25は側壁部20の相対向する一対の壁面間に設けられている。また、各膜エレメント10は仕切板25と垂直な方向に配列されている。
【0033】
壁体9の膜ユニット7,8より上部には、処理槽3内の水面部分27において被処理水2を壁体9の内外に出し入れする連通部28が備えられている。すなわち、壁体9は処理槽3内の被処理水2中に没しており、壁体9の上端と水面部分27との間が連通部28として形成されている。連通部28は、壁体9の上方全周にわたって形成され、全ての膜ユニット7,8の上方に面している。
【0034】
また、壁体9の側壁部20は、上端部に、膜ユニット7,8の上端よりも上方へ突出した上部ドラフト部20aを有している。
膜分離設備1には、余剰汚泥を壁体9の内部の膜ユニット7,8の底部と壁体9の外部の底部から処理槽3の外部へ引き抜く汚泥引抜系29が接続されている。尚、この汚泥引抜系29は汚泥引抜用配管29aと引抜用バルブ29b,29c等で構成されている。引抜用バルブ29b,29cは、壁体9の内部の底部と外部の底部とが無条件に連通して被処理水2の行き来が生じないような位置に設けることが望ましい。
【0035】
処理槽3内の底部で且つ壁体9の外側には、複数の補助散気装置30(別の散気装置)が設けられている。尚、補助散気装置30は、複数個の気泡放出用スリットを有する散気膜等で構成されたメンブレン式又はセラミック等の多孔質体で構成されたもの等の一般的な散気装置である。
【0036】
膜分離設備1には、各補助散気装置30に空気を供給する補助給気装置31が設けられている。補助給気装置31は、補助送風機32と、補助送風機32と各補助散気装置30との間に接続される補助給気管33とを有している。
【0037】
以下、上記構成における作用を説明する。
原水供給系35から処理槽3内に供給された被処理水2は、処理槽3内の活性汚泥によって生物処理され、膜ユニット7,8で固液分離される。膜ユニット7,8のろ過膜4を透過した膜透過水は処理水5として処理水導出系19から槽外へ取り出される。また、活性汚泥を含む固形分は余剰汚泥として汚泥引抜系29から槽外へ取り出される。
【0038】
以下、上記膜分離設備1の運転方法を説明する。
複数の膜ユニット7,8のうちの一方の膜ユニット7(一部の膜ユニットの一例)の散気装置12(以下、一方の散気装置12と記載)から所定量の散気を行う。これにより、一方の散気装置12から多数の気泡37が被処理水2中に放出されて浮上し、一方の膜ユニット7に被処理水2の上昇流38が発生する。この上昇流38は下部領域23を通じて隣接する他方の膜ユニット8(残部の膜ユニットの一例)から引き込まれて流れ込んだ被処理水2により形成される(発生する)ため、他方の膜ユニット8には被処理水2の下降流39が発生することとなる。これにより、両膜ユニット7,8に被処理水2の上下方向の流れが発生する。また、上記下降流39を維持した状態で、他方の膜ユニット8の散気装置13(以下、他方の散気装置13と記載)から一方の散気装置12の散気量よりも少量の散気を行う。
【0039】
これにより、一方の膜ユニット7のろ過膜4の膜面は、流路34を流れる上昇流38によって洗浄される。また、他方の散気装置13から下降流39中に放出された気泡37は、下降流39に抗して浮上するため、見掛けの上昇速度が低減され、横方向へ漂いながら広範囲を移動しながら浮上する。これにより、他方の膜ユニット8のろ過膜4の膜面は、流路34を流れる下降流39によって洗浄されるとともに、気泡37および気泡37の動きに付随する局所的な流れ(乱流)によって広範囲にわたり洗浄される。したがって、ろ過膜4の隅部等に付着した付着物が剥離せずに残ってしまうのを防止することができる。
【0040】
この際、処理槽3内の水面付近まで上昇した上昇流38の大半(大部分)は、壁体9の内側から連通部28を通って壁体9の外側へ流出する。また、壁体9の外側の被処理水2は、水面付近で下降流39に引き込まれ、壁体9の外側から連通部28を通って壁体9の内側へ流入する。これにより、処理槽3内の被処理水2が連通部28を通じて壁体9の内側と外側とで混合攪拌され、処理槽3内の被処理水2の均質化が行われる。
【0041】
この際、連通部28は壁体9の上方全周にわたって形成されているため、連通部28を通じて被処理水2を広範囲で混合攪拌することができ、被処理水2を循環させるための供給ポンプや供給配管が不要となり、運転コストを抑制することができる。
【0042】
また、補助散気装置30から処理槽3内の被処理水2に散気を行うことにより、生物処理に必要な十分な量の酸素を被処理水2中に供給することができる。尚、酸素が被処理水2により一段と効率良く溶解するような位置に、補助散気装置30を配置することができる。このため、例えば送風機15の散気量を増加させて酸素の溶解を促進させるという方法に比べて、より少ない散気エネルギーで補助送風機32を運転することができるという利点がある。
【0043】
尚、上記のように一方の散気装置12から所定量の散気を行うとともに、他方の散気装置13から一方の散気装置12の散気量よりも少量の散気を行うには、他方の散気装置13のバルブ17の開度を一方の散気装置12のバルブ17の開度よりも絞ればよい。
【0044】
また、反対に、一方の散気装置12のバルブ17の開度を他方の散気装置13のバルブ17の開度よりも絞ることにより、他方の散気装置13から所定量の散気を行うとともに、一方の散気装置12から他方の散気装置13の散気量よりも少量の散気を行うことも可能である。この場合、他方の散気装置13から多数の気泡37が被処理水2中に放出されて浮上し、他方の膜ユニット8に上昇流38が発生し、一方の膜ユニット7に下降流39が発生する。この際、下降流39を維持した状態で、一方の散気装置12から少量の散気を行う。
【0045】
これにより、他方の膜ユニット8のろ過膜4の膜面は上昇流38によって洗浄される。また、一方の膜ユニット7のろ過膜4の膜面は、下降流39によって洗浄されるとともに、気泡37によって広範囲にわたり洗浄される。
【0046】
上記のように一方の膜ユニット7に上昇流38を発生させると共に他方の膜ユニット8に下降流39を発生させる第一運転(図1参照)と、他方の膜ユニット8に上昇流38を発生させると共に一方の膜ユニット7に下降流39を発生させる第二運転とを交互に繰り返すことによって、各膜ユニット7,8のろ過膜4の膜面をそれぞれ上昇流38と下降流39とによって交互に洗浄することができ、各膜ユニット7,8ごとの膜面洗浄状態を均一にすることができる。
【0047】
また、上記第一運転と第二運転とを定期的に切替えることにより、膜ユニット7,8に対する被処理水2の流れが上下方向に逆転するため、膜エレメント10の上端部に付着した繊維状の付着物や膜エレメント10間を通過できないような大きな付着物が上昇流38によって引き剥がされ、膜エレメント10の下端部に付着した付着物が下降流39によって引き剥がされる。
【0048】
また、同様に、第一運転と第二運転とを定期的に切替えることにより、散気装置12,13に絡まったし渣等の繊維状の付着物も上昇流38と下降流39とによって取り除かれる。したがって、付着物による散気装置12,13の散気孔の閉塞が抑制され、膜ユニット7,8における均一な散気が確保される。
【0049】
このようにして引き剥がされ又は取り除かれた付着物は、余剰汚泥と共に、汚泥引抜系29から槽外へ排出される。これにより、付着物が原因となる膜面洗浄効果の低下に伴う膜面の汚泥による閉塞が低減される。
【0050】
また、上昇流38は壁体9の上部ドラフト部20aによって加速されると共に整流される。このため、上昇流38の流速が増すと共に下降流39の流速も増し、ろ過膜4の膜面の洗浄効果が向上する。
【0051】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
先述した第1の実施の形態では、図1に示すように、壁体9は底壁部21を有しているが、本第2の実施の形態においては、図4に示すように、壁体45は底壁部21を有しておらず、処理槽3内の底面3aが底壁部21の役割を兼ねている。すなわち、壁体45は、側壁部20と仕切板25とを有しており、上下両面が開放されている。尚、壁体45は処理槽3内の中央部分に設置されており、側壁部20の下端と処理槽3内の底面との間にはパッキン等のシール材46が設けられている。
【0052】
これによると、先述した第1の実施の形態と同様な作用及び効果が得られる。
(その他の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、図1に示すように、壁体9の底部が処理槽3内の底面に密着しているが、第3の実施の形態として、図5に示すように、壁体9の底壁部21と処理槽3内の底面との間に所定の隙間48を設けてもよい。尚、壁体9は、図5では複数の脚49によって支持され処理槽3内に据え付けられているが、上方より吊り下げられて支持されていてもよい。
【0053】
上記第1および第2の実施の形態では、図1,図4に示すように、膜エレメント10の厚さ方向Aにおいて、膜ユニット7,8を二台配置しているが、二台に限定されるものではなく、例えば、第4の実施の形態として、図6に示すように、四台の膜ユニット7,8,50,51を配置してもよい。
【0054】
この場合、互いに隣り合う一方の膜ユニット7,50の散気装置12,52から所定量の散気を行うと共に、他方の膜ユニット8,51の散気装置13,53から上記散気装置12,52よりも少量の散気を行うことにより、一方の膜ユニット7,50に上昇流38が発生し、他方の膜ユニット8,51に下降流39が発生する。
【0055】
また、反対に、散気装置13,53から所定量の散気を行うと共に、散気装置12,52から散気装置13,53よりも少量の散気を行うことにより、他方の膜ユニット8,51に上昇流38が発生し、一方の膜ユニット7,50に下降流39が発生する。
【0056】
上記のように一方の膜ユニット7,50に上昇流38を発生させると共に他方の膜ユニット8,51に下降流39を発生させる第一運転(図6参照)と、他方の膜ユニット8,51に上昇流38を発生させると共に一方の膜ユニット7,50に下降流39を発生させる第二運転とを交互に繰り返すことによって、各膜ユニット7,8,50,51のろ過膜4の膜面をそれぞれ上昇流38と下降流39とによって交互に洗浄することができる。
【0057】
また、第5の実施の形態として、図7に示すように、壁体9の側壁体20の上端部(すなわち連通部28)にスクリーン55(浮遊物除去部材の一例)が設けられている。
これによると、被処理水2が壁体9の外部から連通部28のスクリーン55を通過して壁体9の内部へ流入する際、浮遊物はスクリーン55に捕捉されるので、浮遊物が壁体9の内部へ侵入するのを防止することができる。
【0058】
また、第6の実施の形態として、図8に示すように、壁体9の側壁体20の上部に複数の凹部58(連通部の一例)と凸部59とが形成され、各凸部59は処理槽3内の被処理水2の水面から上方に突出している。凹部58は、被処理水2の水面部分27において、壁体9の内外両方に連通している開口部である。また、壁体9の内部には、三台の膜ユニット7,8,50が配置されている。
【0059】
この場合、中央部の膜ユニット8の散気装置13から所定量の散気を行うと共に、両端部の散気装置12,52から上記散気装置13よりも少量の散気を行うことにより、中央部の膜ユニット8に上昇流38が発生し、両端部の膜ユニット7,50に下降流39が発生する(図8参照)。
【0060】
また、反対に、両端部の散気装置12,52から所定量の散気を行うと共に、中央部の散気装置13から散気装置12,52よりも少量の散気を行うことにより、両端部の膜ユニット7,50に上昇流38が発生し、中央部の膜ユニット8に下降流39が発生する。
【0061】
上記のように中央部の膜ユニット8に上昇流38を発生させると共に両端部の膜ユニット7,50に下降流39を発生させる第一運転と、両端部の膜ユニット7,50に上昇流38を発生させると共に中央部の膜ユニット8に下降流39を発生させる第二運転とを交互に繰り返すことによって、各膜ユニット7,8,50のろ過膜4の膜面をそれぞれ上昇流38と下降流39とによって交互に洗浄することができる。
【0062】
この際、処理槽3内の水面付近まで上昇した上昇流38の一部は、壁体9の内側から凹部58を通って壁体9の外側へ流出する。また、壁体9の外側の被処理水2は、水面付近で下降流39に引き込まれ、壁体9の外側から凹部58を通って壁体9の内側へ流入する。これにより、処理槽3内の被処理水2が連通部28を通じて壁体9の内側と外側とに循環する。
【0063】
また、第7の実施の形態として、図9に示すように、壁体9内に隔壁61が設けられ、壁体9内は隔壁61によって第1の処理室62と第2の処理室63とに区分けされている。第1の処理室62内には、複数台(例えば二台)の膜ユニット7,8が配置され、第2の処理室63内には複数台(例えば二台)の膜ユニット50,51が配置されている。
【0064】
これによると、第1の処理室62内において、一方の膜ユニット7に上昇流38を発生させると共に他方の膜ユニット8に下降流39を発生させる第一運転(図9参照)と、他方の膜ユニット8に上昇流38を発生させると共に一方の膜ユニット7に下降流39を発生させる第二運転とを交互に繰り返すことによって、各膜ユニット7,8のろ過膜4の膜面をそれぞれ上昇流38と下降流39とによって交互に洗浄することができる。
【0065】
また、第2の処理室63内において、一方の膜ユニット50に上昇流38を発生させると共に他方の膜ユニット51に下降流39を発生させる第三運転(図9参照)と、他方の膜ユニット51に上昇流38を発生させると共に一方の膜ユニット50に下降流39を発生させる第四運転とを交互に繰り返すことによって、各膜ユニット50,51のろ過膜4の膜面をそれぞれ上昇流38と下降流39とによって交互に洗浄することができる。
【0066】
尚、本実施の形態では、上記のような第一運転と第二運転との切換えと、第三運転と第四運転との切換えとを、第1の処理室62と第2の処理室63とにおいて、個別に行うことができる。
【0067】
また、上記各々の実施の形態では、膜ユニット7,8,50,51はそれぞれ上下一段(単段)で構成されているが、上下複数段で構成されていてもよい。例えば、第8の実施の形態として、図10に示すように、膜ユニット7,8はそれぞれ上下二段で構成されている。
【0068】
また、壁体9の側壁体20の上端部は処理槽3内の被処理水2の水面から上方に突出しており、側壁体20の上端部には、被処理水2の水面部分27において壁体9の内外両方に連通する開口部65(連通部の一例)が形成されている。
【0069】
これによると、処理槽3内の水面付近まで上昇した上昇流38の一部は、壁体9の内側から開口部65を通って壁体9の外側へ流出する。また、壁体9の外側の被処理水2は、水面付近で下降流39に引き込まれ、壁体9の外側から開口部65を通って壁体9の内側へ流入する。これにより、処理槽3内の被処理水2が開口部65を通じて壁体9の内側と外側とに循環する。尚、開口部65は、必ずしも水面部分27を含む必要は無く、膜ユニット7,8よりも上方に位置していれば、水面部分27よりも下方で完全に被処理水2中に没していても良い。
【0070】
また、上記第1の実施の形態では、図2に示すように、平面視において、壁体9内は仕切板25によって一方の区画41と他方の区画42とに仕切られており、一方の区画41に一台の膜ユニット7が配置され、他方の区画42に一台の膜ユニット8が配置されているが、一方の区画41に複数台の膜ユニット7が配置され、他方の区画42に複数台の膜ユニット8が配置されていてもよい。例えば、第9の実施の形態として、図11に示すように、一方の区画41に三台の膜ユニット7が並列に配置され、他方の区画42に三台の膜ユニット8が並列に配置されていてもよい。
【0071】
第10の実施の形態として、図12に示すように、壁体9は、上面が開放された四角形の箱状構造を有しており、四角枠状の外側壁部67と、外側壁部67内に設けられた四角枠状の内側壁部68と、外側壁部67の下端部と内側壁部68の下端部との間に設けられた底壁部(図示省略)とを備えており、処理槽3内の中央部分に設置されている。
【0072】
尚、内側壁部68の上下両端は開口している。壁体9内には、複数台の膜ユニット7,8,50,51,70〜73が内側壁部68の周囲を取り囲むように設置されている。また、互いに隣り合う膜ユニット7,8,50,51,70〜73間にはそれぞれ仕切板25が設けられている。尚、各仕切板25は外側壁部67と内側壁部68との間に取り付けられている。
【0073】
これによると、例えば、膜ユニット7,8,50,51,70〜73のうち、互いに隣接する一方の膜ユニット7,50,70,72に上昇流38を発生させると共に他方の膜ユニット8,51,71,73に下降流39を発生させる第一運転と、他方の膜ユニット8,51,71,73に上昇流38を発生させると共に一方の膜ユニット7,50,70,72に下降流39を発生させる第二運転とを交互に繰り返すことによって、各膜ユニット7,8,50,51,70〜73のろ過膜4の膜面をそれぞれ上昇流38と下降流39とによって交互に洗浄することができる。
【0074】
第11の実施の形態として、図13に示すように、壁体9の一部が処理槽3の一部により構成されている。すなわち、壁体9は、一方向A(例えば膜エレメント10の厚さ方向)において相対向する一対の側壁部9a,9bと、一方向Aに直交する他方向B(例えば膜エレメント10の幅方向)において相対向する一対の側壁部9c,9dとを有している。このうち、側壁部9a〜9cは処理槽3の一部により構成されており、側壁部9dは処理槽3の相対向する一対の壁面間に設けられている。
【0075】
壁体9の側壁部9dの上部には、処理槽3内の水面部分27において被処理水2を壁体9の内外に出し入れする連通部28が備えられている。すなわち、側壁部9dは処理槽3内の被処理水2中に没しており、側壁部9dの上端と水面部分27との間が連通部28として形成されている。
【0076】
壁体9内には複数台(例えば2台)の膜ユニット7,8が設置され、隣り同士の膜ユニット7,8間には仕切板25が設けられている。
これによると、一方の膜ユニット7に上昇流38を発生させると共に他方の膜ユニット8に下降流39を発生させる第一運転(図13参照)と、他方の膜ユニット8に上昇流38を発生させると共に一方の膜ユニット7に下降流39を発生させる第二運転とを交互に繰り返すことによって、各膜ユニット7,8のろ過膜4の膜面をそれぞれ上昇流38と下降流39とによって交互に洗浄することができる。
【0077】
この際、処理槽3内の水面付近まで上昇した上昇流38の一部は、図13の矢印F1に示すように、壁体9の内側から連通部28を通って壁体9の外側へ流出する。また、壁体9の外側の被処理水2は、水面付近で下降流39に引き込まれ、図13の矢印F2に示すように、壁体9の外側から連通部28を通って壁体9の内側へ流入する。これにより、処理槽3内の被処理水2が連通部28を通じて壁体9の内側と外側とに循環する。
【0078】
第12の実施の形態として、膜分離設備1を運転する際、複数の膜ユニットのうちの一部の膜ユニットの散気装置から散気を行い、残部の膜ユニットから散気を行わない運転方法が挙げられる。
【0079】
例えば、第1の実施の形態の図1に示した膜分離設備1において、複数の膜ユニット7,8のうちの一方の膜ユニット7(一部の膜ユニットの一例)の散気装置12(以下、一方の散気装置12と記載)から所定量の散気を行い、他方の膜ユニット8(残部の膜ユニットの一例)の散気装置13(以下、他方の散気装置13と記載)から散気を行わない。
【0080】
これにより、一方の膜ユニット7に被処理水2の上昇流38が発生し、この上昇流38
に下部領域23を通じて被処理水2が引き込まれることで、隣接する他方の膜ユニット8に被処理水2の下降流39が発生する。
【0081】
これにより、一方の膜ユニット7のろ過膜4の膜面は、流路34を流れる上昇流38によって洗浄される。また、他方の散気装置13から散気を行わなくても、他方の膜ユニット8のろ過膜4の膜面は、流路34を流れる下降流39によってある程度洗浄される。
【0082】
また、反対に、他方の散気装置13から所定量の散気を行い、一方の散気装置12から散気を行わないようにしてもよい。この場合、他方の膜ユニット8に上昇流38が発生し、一方の膜ユニット7に下降流39が発生するため、他方の膜ユニット8のろ過膜4の膜面は、流路34を流れる上昇流38によって洗浄される。また、一方の散気装置12から散気を行わなくても、一方の膜ユニット7のろ過膜4の膜面は、流路34を流れる下降流39によってある程度洗浄される。
【0083】
また、上記第1の実施の形態以外の各実施の形態における膜分離設備1についても、上記第12の実施の形態の運転方法を適用してもよい。
上記第4〜第10の実施の形態では、底壁部21を有する壁体9を設けているが、壁体9の代りに、第2の実施の形態で説明したような底壁部21を有していない壁体45を設けてもよい。
【0084】
上記第1の実施の形態では、図1に示すように、給気装置14に自動流量調整弁等のバルブ17を用いているが、第13の実施の形態として、図14に示すように、給気装置14に三方自動弁75a,75bを用いても良い。
【0085】
すなわち、給気装置14は、送風機15と、送風機15と各散気装置12,13との間に接続される複数の第1給気管74a,74bと、各第1給気管74a,74bに設けられた三方自動弁75a,75bと、各三方自動弁75a,75bと各第1給気管74a,74bとの間に接続された第2給気管76a,76bと、各第2給気管76a,76bに設けられた絞り弁77a,77bとを有している。
【0086】
一方の三方自動弁75aの第1出口P1は一方の第1給気管74aを介して一方の散気装置12と連通している。一方の第2給気管76aの一端は一方の三方自動弁75aの第2出口P2に接続され、他端は第1給気管74aの下流側に接続されている。
【0087】
同様に、他方の三方自動弁75bの第1出口P1は他方の第1給気管74bを介して他方の散気装置13と連通している。他方の第2給気管76bの一端は他方の三方自動弁75bの第2出口P2に接続され、他端は第1給気管74bの下流側に接続されている。
【0088】
一方および他方の三方自動弁75a,75bはそれぞれ、送風機15から供給される空気の流れを、入口P0側から第1出口P1側へ流す第1の流れ方向Faと入口P0側から第2出口P2側へ流す第2の流れ方向Fbとのいずれかに切換えるものである。また、両絞り弁77a,77bの開度は、散気量が少量に保たれるような開度に設定されている。
【0089】
以下、上記構成における作用を説明する。
例えば、一方の散気装置12から所定量の散気を行って上昇流38を発生させると共に、他方の散気装置13から上記所定量よりも少量の散気を行って下降流39を発生させる場合、一方の三方自動弁75aを切換えて、送風機15から一方の第1給気管74aに供給される空気を第1の流れ方向Faに流し、他方の三方自動弁75bを切換えて、送風機15から他方の第1給気管74bに供給される空気を第2の流れ方向Fbに流す。
【0090】
これにより、送風機15から吐出された空気は、一方の第2給気管76aを流れず、一方の第1給気管74aを通って一方の散気装置12から所定量で放出されると共に、他方の第1給気管74bの上流側から他方の第2給気管76bを流れ、他方の絞り弁77bで絞られた後、再び他方の第1給気管74bの下流側に流入して他方の散気装置13から少量で放出される。これにより、一方の散気装置12に上昇流38が発生すると共に、他方の散気装置13に下降流39が発生する。
【0091】
また、他方の散気装置13から所定量の散気を行って上昇流38を発生させると共に、一方の散気装置12から上記所定量よりも少量の散気を行って下降流39を発生させる場合、一方の三方自動弁75aを切換えて、送風機15から一方の第1給気管74aに供給される空気を第2の流れ方向Fbに流し、他方の三方自動弁75bを切換えて、送風機15から他方の第1給気管74bに供給される空気を第1の流れ方向Faに流す。
【0092】
これにより、送風機15から吐出された空気は、他方の第1給気管74bを通って他方の散気装置13から所定量で放出されると共に、一方の第1給気管74aの上流側から一方の第2給気管76aを流れ、一方の絞り弁77aで絞られた後、再び一方の第1給気管74aの下流側に流入して一方の散気装置12から少量で放出される。これにより、他方の散気装置13に上昇流38が発生すると共に、一方の散気装置12に下降流39が発生する。
【0093】
上記各々の実施の形態では、仕切板25が被処理水2の水面下に没し且つ壁体9の上端部よりも下に位置し、隣接する膜ユニット7,8,50,51の上部領域22同士が被処理水2を介して連通しているが、第14の実施の形態として、図15,図16に示すように、仕切板25の上端部が被処理水2の水面より上方に延びていてもよい。
【0094】
例えば隣り合う一方の膜ユニット7に上昇流38が形成され、他方の膜ユニット8に下降流39が形成されている場合、上昇流38は、全量が一方の膜ユニット7から一旦連通部28を通って壁体9の外部に流出した後に、壁体9の外部から連通部28を通って他方の膜ユニット8に流れ込む。このため、被処理水2が処理槽3全体にわたって混合および攪拌され、被処理水2の混合・攪拌が促進される。尚、仕切板25の上端部は被処理水2の水面上に突出していてもよく或は水面下に没していてもよい。
【0095】
上記各々の実施の形態では、各膜ユニット7,8,50,51間を仕切板25で仕切っているが、各膜ユニット7,8,50,51の膜ケース11が仕切板25に相当する機能を果たす場合には、仕切板25を設けなくてもよい。
【0096】
さらには、各膜ユニット7,8,50,51が膜ケース11を備えておらず、仕切板25も設けられていない構成であっても、各膜ユニット7,8,50,51毎に目的の上昇流38と下降流39とを形成することが可能である。
【0097】
上記各々の実施の形態では、各膜ユニット7,8,50,51と壁体9と仕切板25とを識別し易くするために、図1,図2,図4〜図13に示したように、各膜ユニット7,8,50,51と壁体9との間ならびに各膜ユニット7,8,50,51と仕切板25との間にそれぞれ間隙が形成されているが、実際には、このような間隙は極力狭くするか或は間隙を無くすことが好ましい。
【0098】
上記各々の実施の形態では、壁体9と各膜ユニット7,8,50,51の膜ケース11とを個別に設けているが、下部開口や上部ドラフト部20a等の必要な箇所のみを付け足して、膜ケース11が壁体9の一部を兼ねるように構成しても良い。
【0099】
上記各実施の形態では、平板状の膜エレメント10からなる膜ユニット7,8,50,51を使用しているが、膜エレメント10は平板状に限定されるものではなく、例えば、中空糸膜タイプや管状膜タイプ等、分離膜表面を流体の流れで洗浄する形式の膜エレメント10であれば、どのようなものでもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 膜分離設備
2 被処理水(被処理液)
3 処理槽
4 ろ過膜
5 処理水(処理液)
6 膜分離装置
7,8,50,51 膜ユニット
9 壁体
12,13,52,53 散気装置
22 上部領域
23 下部領域
25 仕切板(仕切部材)
27 水面部分(液面部分)
28 連通部
30 補助散気装置
38 上昇流
39 下降流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液を貯留する処理槽と、処理槽内の被処理液に浸漬されて配置され且つろ過膜を透過した処理液を得る膜分離装置とを有し、
膜分離装置は、水平方向に隣接して配置される複数の膜ユニットと、これら複数の膜ユニットと処理槽との間を仕切る壁体を有し、
壁体の膜ユニットより上部に、被処理液を壁体の内外に出し入れする連通部が備えられ、
隣接する膜ユニットの下部領域同士が被処理液を介して連通し、
膜ユニットはそれぞれ、下部に散気装置を備えていることを特徴とする膜分離設備。
【請求項2】
隣接する膜ユニットの上部領域は仕切部材で仕切られていることを特徴とする請求項1記載の膜分離設備。
【請求項3】
処理槽内で且つ壁体の外側に、補助散気装置が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の膜分離設備。
【請求項4】
処理槽内の被処理液に浸漬されて配置され且つろ過膜を透過した処理液を得る膜分離装置であって、
水平方向に隣接して配置される複数の膜ユニットと、これら複数の膜ユニットと処理槽との間を仕切る壁体を有し、
壁体の膜ユニットより上部に、浸漬状態で被処理液を壁体の内外に出し入れする連通部が備えられ、
隣接する膜ユニットの下部領域同士が被処理液を介して連通し、
膜ユニットはそれぞれ、下部に散気装置を備えていることを特徴とする膜分離装置。
【請求項5】
上記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の膜分離設備の運転方法であって、
複数の膜ユニットのうちの一部の膜ユニットの散気装置から散気を行って、一部の膜ユニットに被処理液の上昇流を発生させると共に残部の膜ユニットに被処理液の下降流を発生させ、
下降流を維持した状態で残部の膜ユニットの散気装置から少量の散気を行うことを特徴とする膜分離設備の運転方法。
【請求項6】
上記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の膜分離設備の運転方法であって、
複数の膜ユニットのうちの一部の膜ユニットの散気装置から散気を行い、残部の膜ユニットの散気装置から散気を行わないことを特徴とする膜分離設備の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−161791(P2012−161791A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9520(P2012−9520)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】